(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】使い捨ておむつおよび使い捨ておむつの製造方法
(51)【国際特許分類】
A61F 13/49 20060101AFI20231030BHJP
A61F 13/15 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61F13/49 413
A61F13/49 311Z
A61F13/49 312Z
A61F13/15 355A
(21)【出願番号】P 2019559577
(86)(22)【出願日】2018-12-05
(86)【国際出願番号】 JP2018044698
(87)【国際公開番号】W WO2019116982
(87)【国際公開日】2019-06-20
【審査請求日】2020-08-28
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】P 2017240340
(32)【優先日】2017-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】黒原 健志
【合議体】
【審判長】井上 茂夫
【審判官】山崎 勝司
【審判官】藤井 眞吾
(56)【参考文献】
【文献】特許第6229787(JP,B1)
【文献】特開2008-161514(JP,A)
【文献】特開2009-82482(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F13/15-13/84
A61L15/16-15/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前身頃を構成する第1外装体と、
後身頃を構成する第2外装体と、
前後方向における両端部に前記第1外装体および前記第2外装体と重なる端部領域を備え、前記第1外装体と前記第2外装体との間に股下部を構成する吸収性本体と、を備え
、前記第1外装体および前記第2外装体の胴周り方向の両端部を接合した状態において、前記第1外装体および前記第2外装体の上端に胴周り開口部が構成された使い捨ておむつであって、
前記第1外装体および前記第2外装体の少なくとも1つの外装体は、
前記胴周り方向に延在され伸縮する弾性部材を備え、当該弾性部材をシートで挟み込んで構成した内側弾性部であって、前記吸収性本体より装着者の肌に近い側となる内側に位置し、かつ、前記端部領域に対して非接着である前記内側弾性部と、
前記吸収性本体より肌とは反対側の外側であって、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する外部シート部、および、前記外部シート部の位置と前記吸収性本体との間の位置において、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する内部シート部のうちの何れか一方または両方を備えるシート部と、
前記シート部と前記内側弾性部とを、前記胴周り方向における前記端部領域の両側において部分的に接着する部分接着部と、
前記端部領域と隣接する股下部側を除いた三方向を囲む周辺部において、前記シート部と前記内側弾性部とを、連続的であり、かつ、凹部形状を有して前記端部領域における開口端が前記股下部を向くように接着する連続接着部とを備え、
前記連続接着部の外側に前記部分接着部を備え
、
前記胴周り開口部と前記端部領域の先端部との間の余白部において、前記胴周り開口部に近い領域は、前記胴周り方向に延びる前記部分接着部が構成され、前記端部領域の先端部に近い領域は、前記胴周り方向に延びる前記連続接着部が構成されている、使い捨ておむつ。
【請求項2】
前記部分接着部は、一定の間隔で接着部を有する
請求項1に記載の使い捨ておむつ。
【請求項3】
前記部分接着部は、前記前後方向に延び、かつ、前記胴周り方向に交互に並ぶ接着部と非接着部とによって構成されている
請求項1または2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項4】
前記部分接着部は、ドット形状を有する複数の接着部と、前記接着部以外の非接着部とによって構成されている
請求項1または2に記載の使い捨ておむつ。
【請求項5】
前記非接着部は、前記胴周り方向に延び、かつ、前記弾性部材の延在位置と一致した領域を含み、
前記部分接着部は、前記接着部において、前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方または両方と前記内側弾性部とが熱融着によって接着されている
請求項4に記載の使い捨ておむつ。
【請求項6】
前記部分接着部は、ホットメルト接着剤によって、前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方と前記内側弾性部とが接着されている
請求項1ないし4のうち何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項7】
前記第1外装体と前記第2外装体のうちの少なくとも1つの外装体は、
上部領域と、前記上部領域より股下部側に位置する下部領域とを備え、
前記上部領域は、前記内側弾性部を備え、
前記下部領域は、前記胴周り方向に延在され伸縮する下部弾性部材を備え、当該下部弾性部材をシートで挟み込んで構成した外側弾性部であって、前記吸収性本体より外側に位置する前記外側弾性部を備える
請求項1ないし6のうち何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項8】
前記部分接着部において、前記シート部および前記内側弾性部の間は、前記第1外装体および前記第2外装体の前記胴周り方向の両端部を接合することで構成される胴周り開口部の上端部と前記上端部と反対側の前記内側弾性部の下端部とを連通する連通路を備える
請求項1ないし7のうち何れか1項に記載の使い捨ておむつ。
【請求項9】
前身頃を構成する第1外装体と、
後身頃を構成する第2外装体と、
前後方向における両端部に前記第1外装体および前記第2外装体と重なる端部領域を備え、前記第1外装体と前記第2外装体との間に股下部を構成する吸収性本体とを備え
、前記第1外装体および前記第2外装体の胴周り方向の両端部を接合した状態において、前記第1外装体および前記第2外装体の上端に胴周り開口部が構成された使い捨ておむつの製造方法であって、
前記第1外装体および前記第2外装体の少なくとも1つの外装体は、
前記胴周り方向に延在され伸縮する弾性部材を備え、当該弾性部材をシートで挟み込んで構成した内側弾性部であって、前記吸収性本体より装着者の肌に近い側となる内側に位置し、かつ、前記端部領域に対して非接着である前記内側弾性部と、
前記吸収性本体より肌とは反対側の外側であって、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する外部シート部、および、前記外部シート部の位置と前記吸収性本体との間の位置において、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する内部シート部のうちの何れか一方または両方を備えるシート部とを備えており、
前記製造方法は、
前記シート部と前記内側弾性部とを、前記胴周り方向における前記端部領域の両側において部分的に接着する部分接着工程と、
前記端部領域と隣接する股下部側を除いた三方向を囲む周辺部において、前記シート部と前記内側弾性部とを、連続的であり、かつ、凹部形状を有して前記端部領域における開口端が前記股下部を向くように接着する連続接着工程とを含
み、
前記胴周り開口部と前記端部領域の先端部との間の余白部において、前記胴周り開口部に近い領域は、前記胴周り方向に前記シート部と前記内側弾性部とを部分的に接着し、前記端部領域の先端部に近い領域は、前記シート部と前記内側弾性部とを連続的に接着する
使い捨ておむつの製造方法。
【請求項10】
前記部分接着工程では、一定の間隔で接着部を設ける
請求項9に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項11】
前記部分接着工程では、前記前後方向に延び、かつ、前記胴周り方向に接着部と非接着部とを交互に並ぶように前記シート部と前記内側弾性部とを接着する
請求項9または10に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項12】
前記部分接着工程では、ドット形状を有する複数の接着部と前記接着部以外の非接着部が設けられるように前記シート部と前記内側弾性部とを接着する
請求項9または10に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項13】
前記部分接着工程では、ドット形状を有する複数の接着部と前記接着部以外の非接着部が設けられるように前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方または両方と前記内側弾性部とを熱融着により接着し、
前記非接着部は、前記胴周り方向に延び、かつ、前記弾性部材の延在位置と一致される
請求項12に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項14】
前記部分接着工程では、前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方と前記内側弾性部とをホットメルト接着剤によって接着する
請求項9ないし12のうち何れか1項に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【請求項15】
前記第1外装体と前記第2外装体のうちの少なくとも1つの外装体は、
上部領域と、前記上部領域より股下部側に位置する下部領域とを備え、
前記上部領域は、前記内側弾性部を備え、
前記下部領域は、
前記胴周り方向に延在され伸縮する下部弾性部材を備え、当該下部弾性部材をシートで挟み込んで構成した外側弾性部であって、前記吸収性本体より外側に位置する前記外側弾性部を備え、
前記製造方法は、
前記下部領域において、前記下部弾性部材をシートで挟み込んで前記外側弾性部を構成する工程と、
前記外側弾性部および前記シート部に跨って前記端部領域を配置し接着する工程とをさらに含む
請求項9ないし14のうち何れか1項に記載の使い捨ておむつの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い捨ておむつおよび使い捨ておむつの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の使い捨ておむつは、吸収性本体より内側に位置する内側弾性部を備え、吸収性本体と内側弾性部との間が非接着となっている。そして、胴周り方向における吸収性本体の両側では、対向して位置する外部シート部および内側弾性部がホットメルト接着剤によって全面接着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
使い捨ておむつにおいて、外部シート部や内側弾性部などは、複数のシート要素が重ねられて構成されており、シート要素同士は、ホットメルト接着剤によって接着されている。このため、ホットメルト接着剤の使用量の削減が求められている。また、ホットメルト接着剤がおむつ内外の通気性を阻害する原因となり、おむつ内外の通気性の向上が求められている。
【0005】
本発明の目的は、接着剤使用量を削減可能とするとともに、おむつ内外の通気性を向上可能とした使い捨ておむつおよび使い捨ておむつの製造方法を提供するである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための使い捨ておむつは、前身頃を構成する第1外装体と、後身頃を構成する第2外装体と、前後方向における両端部に前記第1外装体および前記第2外装体と重なる端部領域を備え、前記第1外装体と前記第2外装体との間に股下部を構成する吸収性本体とを備える。前記第1外装体および前記第2外装体の少なくとも1つの外装体は、胴周り方向に延在され伸縮する弾性部材を備え、当該弾性部材をシートで挟み込んで構成した内側弾性部であって、前記吸収性本体より装着者の肌に近い側となる内側に位置する前記内側弾性部と、前記吸収性本体より肌とは反対側の外側であって、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する外部シート部、および、前記外部シート部の位置と前記吸収性本体との間の位置において、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する内部シート部のうちの何れか一方または両方を備えるシート部と、前記シート部と前記内側弾性部とを前記胴周り方向における前記端部領域の両側において部分的に接着する部分接着部とを備える。
【0007】
上記構成によれば、端部領域の両側において部分的に接着する部分接着部を備えるので、全面接着の場合と比較して接着面積が減少し、接着剤使用量を削減することができる。また、おむつ内外の通気性を向上することができる。
【0008】
上記使い捨ておむつにおいて、前記部分接着部は、一定の間隔で接着部を有するようにしてもよい。
上記使い捨ておむつにおいて、前記内側弾性部は、前記端部領域に対して非接着であり、前記使い捨ておむつは、前記端部領域と隣接する周辺部において、前記シート部と前記内側弾性部とを、連続的であり、かつ、前記端部領域における開口端が前記股下部を向くように接着する連続接着部をさらに備え、前記連続接着部の外側に前記部分接着部を備えるようにしてもよい。
【0009】
上記構成によれば、連続接着部を設けることで、端部領域の部分に、排泄物を収容するポケットを構成することができる。そして、連続接着部が設けられていることで、ポケットに収容された排泄物の胴周り開口部からの漏れを抑えることができる。
【0010】
上記使い捨ておむつにおいて、前記部分接着部は、前記前後方向に延び、かつ、前記胴周り方向に交互に並ぶ接着部と非接着部とによって構成されているようにしてもよい。
上記構成によれば、ストライプ模様を構成するように接着部と非接着部が設けられることで、全面接着の場合と比較して接着面積が減少し、接着剤使用量を削減することができるとともに、おむつ内外の通気性を向上することができる。
【0011】
上記使い捨ておむつにおいて、前記部分接着部は、ドット形状を有する複数の接着部と、前記接着部以外の非接着部とによって構成されているようにしてもよい。
上記構成によれば、接着部がドット形状を構成することで、全面接着の場合と比較して接着面積が減少し、接着剤使用量を削減することができるとともに、おむつ内外の通気性を向上することができる。この場合、ドット形状を有する複数の接着部は、熱融着やホットメルト接着剤で構成することができる。
【0012】
上記使い捨ておむつにおいて、前記非接着部は、前記胴周り方向に延び、かつ、前記弾性部材の延在位置と一致した領域を含み、前記部分接着部は、前記接着部において、前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方または両方と前記内側弾性部とが熱融着によって接着されているようにしてもよい。
【0013】
上記構成によれば、部分接着部を熱溶着で設けることができる。そして、非接着部に弾性部材が延在することで、熱溶着によって弾性部材が切断されてしまうことも防ぐことができる。
【0014】
上記使い捨ておむつにおいて、前記部分接着部は、ホットメルト接着剤によって前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方と前記内側弾性部とが接着されているようにしてもよい。
【0015】
上記構成によれば、ホットメルト接着剤によって外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方と内側弾性部とを接着することができる。
上記使い捨ておむつにおいて、前記第1外装体と前記第2外装体のうちの少なくとも1つの外装体は、上部領域と、前記上部領域より股下部側に位置する下部領域とを備え、前記上部領域は、前記内側弾性部を備え、前記下部領域は、胴周り方向に延在され伸縮する下部弾性部材を備え、当該下部弾性部材をシートで挟み込んで構成した外側弾性部であって、前記吸収性本体より外側に位置する前記外側弾性部を備えるようにしてもよい。
【0016】
上記構成によれば、外側弾性部を備えることで、排泄物が上部領域に流れる手前の領域を肌側に押さえ、吸収性本体に排泄物を吸収し易くすることができる。
上記使い捨ておむつにおいて、前記部分接着部において、前記シート部および前記内側弾性部の間は、前記第1外装体および前記第2外装体の前記胴周り方向の両端部を接合することで構成される胴周り開口部の上端部と前記上端部と反対側の前記内側弾性部の下端部とを連通する連通路を備えるようにしてもよい。
【0017】
上記構成によれば、弾性部材の収縮により、非接着部に連通路を設けることができ、おむつ内外の通気性をより向上させることができる。
上記課題を解決するための使い捨ておむつの製造方法は、前身頃を構成する第1外装体と、後身頃を構成する第2外装体と、前後方向における両端部に前記第1外装体および前記第2外装体と重なる端部領域を備え、前記第1外装体と前記第2外装体との間に股下部を構成する吸収性本体とを備えた使い捨ておむつの製造方法であって、前記使い捨ておむつの前記第1外装体および前記第2外装体の少なくとも1つの外装体は、胴周り方向に延在され伸縮する弾性部材を備え、当該弾性部材をシートで挟み込んで構成した内側弾性部であって、前記吸収性本体より装着者の肌に近い側となる内側に位置する前記内側弾性部と、前記吸収性本体より肌とは反対側の外側であって、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する外部シート部、および、前記外部シート部の位置と前記吸収性本体との間の位置において、少なくとも前記内側弾性部と対向して位置する内部シート部のうちの何れか一方または両方を備えるシート部とを備えており、前記製造方法は、前記シート部と前記内側弾性部とを、前記胴周り方向における前記端部領域の両側において部分的に接着する部分接着工程を含む。
【0018】
上記使い捨ておむつの製造方法において、前記部分接着工程では、一定の間隔で接着部を設けるようにしてもよい。
上記使い捨ておむつの製造方法において、前記端部領域と隣接する周辺部において、前記シート部と前記内側弾性部とを、連続的であり、かつ、前記端部領域における開口端が前記股下部を向くように接着する連続接着工程をさらに含むようにしてもよい。
【0019】
上記使い捨ておむつの製造方法において、前記部分接着工程では、前記前後方向に延び、かつ、前記胴周り方向に接着部と非接着部とを交互に並ぶように前記シート部と前記内側弾性部とを接着するようにしてもよい。
【0020】
上記使い捨ておむつの製造方法において、前記部分接着工程では、ドット形状を有する複数の接着部と前記接着部以外の非接着部が設けられるように前記シート部と前記内側弾性部とを接着するようにしてもよい。
【0021】
上記使い捨ておむつの製造方法において、前記部分接着工程では、ドット形状を有する複数の接着部と前記接着部以外の非接着部が設けられるように前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方または両方と前記内側弾性部とを熱融着により接着し、前記非接着部は、前記胴周り方向に延び、かつ、前記弾性部材の延在位置と一致されるようにしてもよい。
【0022】
上記使い捨ておむつの製造方法において、前記部分接着工程では、前記外部シート部および前記内部シート部のうちの何れか一方と前記内側弾性部とをホットメルト接着剤によって接着するようにしてもよい。
【0023】
上記使い捨ておむつの製造方法において、前記第1外装体と前記第2外装体のうちの少なくとも1つの外装体は、上部領域と、前記上部領域より股下部側に位置する下部領域とを備え、前記上部領域は、前記内側弾性部を備え、前記下部領域は、胴周り方向に延在され伸縮する下部弾性部材を備え、当該下部弾性部材をシートで下部弾性部材を挟み込んで構成した外側弾性部であって、前記吸収性本体より外側に位置する前記外側弾性部を備え、前記製造方法は、前記下部領域において、前記下部弾性部材をシートで挟み込んで前記外側弾性部を構成する工程と、前記外側弾性部および前記シート部に跨って前記端部領域を配置し接着する工程とをさらに含むようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】第1実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの斜視図。
【
図2】(a)は、
図1のパンツ型使い捨ておむつの展開状態を示す平面図であって、肌と接する肌面側から見た図、(b)は、(a)の2B-2B線に沿った断面図。
【
図3】(a)は、
図1のパンツ型使い捨ておむつの上部領域の接着領域を
図2(a)に対応して示す平面図、(b)は、
図1のパンツ型使い捨ておむつの下部領域の接着領域を
図2(a)に対応して示す平面図。
【
図4】(a)~(f)は、
図1のパンツ型使い捨ておむつの製造工程を示す図であり、(a)は、外部シート部に対して上部弾性部材および下部弾性部材を配置した状態を示す図、(b)は、上部弾性部材および下部弾性部材の上に1枚の内部シート部を重ねた状態を示す図、(c)は、吸収性本体の端部領域を接着する領域および内側弾性部を接着する領域に接着剤を塗布した状態を示す図、(d)は、吸収性本体を載置した状態を示す図、(e)は、内側弾性部を折り返す状態を示す図、(f)は、内側弾性部を配置した状態を示す図。
【
図5】第2実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの展開状態を示す平面図。
【
図6】(a)~(f)は、
図5のパンツ型使い捨ておむつの製造工程を示す図であり、(a)は、外部シート部に対して上部弾性部材および下部弾性部材を配置した状態を示す図、(b)は、上部弾性部材および下部弾性部材の上に1枚の内部シート部を重ねた状態を示す図、(c)は、吸収性本体の端部領域を接着する領域に接着剤を塗布した状態を示す図、(d)は、吸収性本体を載置した状態を示す図、(e)は、端部領域の外側に接着剤を塗布して、内側弾性部を折り返す状態を示す図、(f)は、内側弾性部を配置した状態を示す図。
【
図7】第3実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの展開状態を示す平面図。
【
図8】(a)~(f)は、
図7のパンツ型使い捨ておむつの製造工程を示す図であり、(a)は、外部シート部に対して上部弾性部材および下部弾性部材を配置した状態を示す図、(b)は、上部弾性部材および下部弾性部材の上に1枚の内部シート部を重ねる状態を示す図、(c)は、吸収性本体の端部領域を接着する領域に接着剤を塗布した状態を示す図、(d)は、吸収性本体を載置した状態を示す図、(e)は、端部領域の外側に連続接着部を設けて、内側弾性部を折り返す状態を示す図、(f)は、上部領域を溶着により一体化する状態を示す図。
【
図9】第4実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの断面図。
【
図10】(a)~(f)は、
図9のパンツ型使い捨ておむつの製造工程を示す図であり、(a)は、外部シート部に下部弾性部材を配置した状態を示す図、(b)は、下部弾性部材に対してシートを重ねる状態を示す図、(c)は、吸収性本体の端部領域を接着する領域に接着剤を塗布した状態を示す図、(d)は、吸収性本体を載置するとともに、内側弾性部を構成するシートに上部弾性部材を配置した状態を示す図、(e)は、上部弾性部材をシートで挟み込み内側弾性部を構成し、さらに端部領域の外側に連続接着部を設けて、内側弾性部を載置する状態を示す図、(f)は、上部領域を溶着により一体化する状態を示す図。
【
図11】第5実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの展開状態を示す平面図であって、肌と接する肌面側から見た図。
【
図12】第6実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの断面図。
【
図13】第7実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの展開状態を示す平面図であって、肌と接する肌面側から見た図。
【
図14】第8実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1ないし
図14を参照して本発明における吸収性物品を具体化した第1~第8実施形態におけるパンツ型使い捨ておむつについて説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、パンツ型使い捨ておむつ10(以下、単に「おむつ10」という。)は、人体の腹部形状に追従する形状を有する前身頃10Fと、人体の背部形状に追従する形状を有する後身頃10Rと、前身頃10Fおよび後身頃10Rを繋ぐ股下部10Cとを備える。
【0026】
前身頃10Fにおいて股下部10Cと反対側は、人体の胴周りの部分を取り囲む胴周り部10Wを構成し、上端に、胴周り開口部10Aを備えている。また、前身頃10Fにおける左右両端部、後身頃10Rにおける左右両端部、および、股下部10Cにおける左右両端部の下側とは、人体の太股部分を取り囲む形状を有した左右一対の脚周り開口部10Lを構成している。また、前身頃10Fと後身頃10Rの胴周り方向の左右両端部は、接合部11となっている。
【0027】
図2(a)は、パンツ型使い捨ておむつの展開状態を示す平面図であって、肌と接する肌面側から見た図、
図2(b)は、
図2(a)の2B-2B線に沿った断面図である。なお、
図2(b)において、右側がおむつ装着者の肌側となる。
【0028】
前身頃10Fにおける胴周り部10Wは、腹側外装体12Fで構成され、後身頃10Rにおける胴周り部10Wは、背側外装体12Rで構成されている。
腹側外装体12Fおよび背側外装体12Rは、胴周り方向を長手方向とした矩形形状を有している。外装体を構成するシートは、一例として、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、その他の熱可塑性樹脂を原料とした合成繊維からなる不織布であり、また、透液性シート、不透液性シートであってもよい。そして、腹側外装体12Fは、腹側外装体12Fを構成するシート間に腹側上部弾性部材15FUおよび腹側下部弾性部材15FDが挟まれて構成されている。背側外装体12Rもまた、背側外装体12Rを構成するシート間に背側上部弾性部材15RUおよび背側下部弾性部材15RDが挟まれて構成されている。これらの弾性部材15FU,15FD,15RU,15RDは、天然ゴム、合成ゴム、ウレタンなどから選ばれる1つ以上の材料により形成された弾性体であり、糸状または紐状に形成されている。弾性部材15FU,15FD,15RU,15RDは、複数本が互いに平行に、胴周り方向に沿って配置されている。
【0029】
腹側外装体12Fと背側外装体12Rとは、股下部10Cを構成する吸収性本体16で連結される。吸収性本体16は、前後方向を長手方向とした矩形形状を有している。
図2(b)に示すように、吸収性本体16は、液不透過性を有したバックシート17と、吸収体18と、液透過性を有したトップシート19と、バックシート17に対して外側に重ねられるカバーシート20とを備えている。おむつ10において、トップシート19は、着用者の肌と接する内側に配置され、バックシート17は、吸収体18に対して外側に配置され、カバーシート20は、バックシート17を覆うように、最外に配置される。そして、吸収性本体16において、外側から、カバーシート20、バックシート17、吸収体18、トップシート19の順に重なっている。
【0030】
バックシート17を形成する材料は、例えば、液不透過性を有したポリエチレン樹脂製のフィルムである。バックシート17は、通気性を確保するため、微細孔が多数形成されている。トップシート19およびカバーシート20を形成する材料は、例えば、織布、不織布、多孔性フィルムなどから選ばれる1以上の材料である。また、トップシート19は、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンのような熱可塑性樹脂の繊維であって親水化処理が施された繊維から構成される液透過性を有した不織布などが用いられる。カバーシート20は、最外のシートであり、使用者に触れるシートであるため、手触り感を向上させる不織布などで構成されている。
【0031】
吸収体18は、前身頃10F、股下部10C、および、後身頃10Rに跨るように細長い帯形状を有している。吸収体18は、吸収性材料の成形体と、成形体を包むコアラップとで構成されている。吸収体18を形成する吸収性材料の成形体は、例えば、フラッフパルプ、高吸収性ポリマー、親水性シートなどの吸収性材料を成形したものである。また、コアラップは、ティシュや不織布などで構成されている。そして、吸収体18は、バックシート17とトップシート19との間に配置され接合される。吸収体18は、腹側外装体12Fと背側外装体12Rとの間に延在され、腹側端部18Fと背側端部18Rとを備えている。なお、吸収体18において、コアラップは省略されていてもよい。
【0032】
バックシート17、トップシート19、および、カバーシート20は、吸収体18に対して一回り大きな矩形形状を有したシートであり、中央領域に吸収体18が配置され、吸収体18の周辺部には吸収体18は存在しない。吸収性本体16における前後方向の両側縁部は、吸収体18が存在しないシート側縁部18Aである。シート側縁部18Aは、一例として、バックシート17、トップシート19、および、カバーシート20が重なって構成されている。また、シート側縁部18Aは、一例として、カバーシート20の前後方向に延びる両側縁部を内側に折り返して構成されている。また、吸収性本体16の前後方向における外装体12F,12Rと重なる領域の内面と外面は、外装体を構成するシートが接着される端部領域16Aとなる。端部領域16Aは、吸収性本体16の前後方向の両端部であって、吸収体18の腹側端部18Fおよび背側端部18Rと、これら端部18F,18Rの周辺部18Bと、シート側縁部18Aとを含む領域である。
【0033】
腹側外装体12Fは、腹側上部領域12FUと腹側下部領域12FDとを備えている。背側外装体12Rも、背側上部領域12RUと背側下部領域12RDとを備えている。
図2(b)に示すように、腹側上部領域12FUおよび背側上部領域12RUでは、腹側上部弾性部材15FUおよび背側上部弾性部材15RUが吸収性本体16に対して内側、すなわちトップシート19側に配置されており、胴周り開口部10Aや胴周り部10Wの一部を構成している。腹側下部領域12FDおよび背側下部領域12RDでは、腹側下部弾性部材15FDおよび背側下部弾性部材15RDが吸収性本体16に対して外側、すなわちバックシート17やカバーシート20側に配置されており、胴周り部10Wの一部を構成している。
【0034】
腹側上部領域12FUには、複数本の腹側上部弾性部材15FUが胴周り方向を長手方向としたシート間(腹側外部シート部26Fと腹側内部シート部29Fの間)において、胴周り方向における左右両端部に亘って伸長された状態で配置されている。背側上部領域12RUには、複数本の背側上部弾性部材15RUが胴周り方向を長手方向としたシート間(背側外部シート部26Rと背側内部シート部29Rとの間)において、胴周り方向における左右両端部に亘って伸長された状態で配置されている。
【0035】
また、腹側下部領域12FDには、複数本の腹側下部弾性部材15FDが胴周り方向を長手方向としたシート間(腹側外部シート部26Fと腹側内部シート部29Fとの間)において、胴周り方向における左右両端部に亘って配置されている。背側下部領域12RDには、複数本の背側下部弾性部材15RDが胴周り方向を長手方向としたシート間(背側外部シート部26Rと背側内部シート部29Rとの間)において、胴周り方向における左右両端部に亘って配置されている。これら弾性部材15FU,15FD,15RU,15RDは、胴周り部10Wにおいて、ウェストギャザーやタミーギャザーを構成し、腹漏れや背漏れの発生を抑制する。
【0036】
図2(b)に示すように、腹側下部領域12FDおよび背側下部領域12RDは、吸収性本体16における端部領域16Aのカバーシート20に直接接着されている。
図2(a)に示すように、腹側下部弾性部材15FDは、端部領域16A上において、伸長していない状態、例えば切断された状態で配置されている。また、大半の背側下部弾性部材15RDは、端部領域16A上において、伸長していない状態、例えば切断された状態で配置されている。これにより、吸収性本体16は、腹側下部弾性部材15FDおよび背側下部弾性部材15RDの収縮に合わせて吸収性本体16が収縮し、吸収性本体16にひだが形成されることを抑制することができる。そして、吸収性本体16と肌との間に隙間が生じることを抑制でき、腹漏れや背漏れを抑制することができる。
【0037】
複数本の背側下部弾性部材15RDのうちで背側上部領域12RUの近くにおいて背側上部領域12RUの下端部に沿って位置する複数本の背側下部弾性部材15RD1は、吸収体18の背側端部18R上において、伸長した状態、すなわち切断されていない状態で配置されている。したがって、背側下部弾性部材15RD1が配置された領域では、背側端部18Rにひだ16Bが形成される。ひだ16Bが形成された背側端部18Rでは、吸収体18の厚さがひだ16Bが形成されていない領域よりも厚くなり、吸収性本体16の端部領域16Aと腹側内部シート部29Fおよび背側内部シート部29Rとの間に尿などの排泄物が導かれる案内部として機能させることができる。
【0038】
図2(b)に示すように、腹側上部領域12FUは、腹側上部弾性部材15FUをシート(腹側外部シート部26Fと腹側内部シート部29F)で挟み込んで腹側内側弾性部27Fを構成している。また、腹側下部領域12FDも、腹側下部弾性部材15FDをシート(腹側外部シート部26Fと腹側内部シート部29F)で挟み込んだ腹側外側弾性部28Fを構成している。腹側上部領域12FUおよび腹側下部領域12FDは、腹側外部シート部26Fと腹側内部シート部29Fとによって、一連に繋がっている。
【0039】
背側上部領域12RUは、背側上部弾性部材15RUをシート(背側外部シート部26Rと背側内部シート部29R)で挟み込んで背側内側弾性部27Rを構成している。また、背側下部領域12RDも、背側下部弾性部材15RDをシート(背側外部シート部26Rと背側内部シート部29R)で挟み込んで背側外側弾性部28Rを構成している。背側上部領域12RUおよび背側下部領域12RDは、背側外部シート部26Rと背側内部シート部29Rとによって、一連に繋がっている。
【0040】
腹側外部シート部26Fおよび背側外部シート部26Rは、肌とは反対側の最も外側に位置するとともに、胴周り開口部10Aの部分で内側に折り曲げられて最も肌側に位置するシートである。腹側内部シート部29Fおよび背側内部シート部29Rは、腹側外部シート部26Fおよび背側外部シート部26Rにそれぞれ対向するシートである。詳しくは、内部シート部29F,29Rは、吸収性本体16より肌とは反対側の外側において、外部シート部26F,26Rと吸収性本体16との間に位置するとともに、胴周り開口部10Aの部分で内側に折り曲げられて、吸収性本体16より内側において、吸収性本体16と外部シート部26F,26Rとの間に位置する。
【0041】
腹側内側弾性部27Fおよび腹側外側弾性部28Fを構成している腹側外部シート部26Fおよび腹側内部シート部29Fは、腹側上部弾性部材15FUおよび腹側下部弾性部材15FDを挟み込み、ホットメルト接着剤などの第1接着剤24で接着されている。腹側外部シート部26Fおよび腹側内部シート部29Fの折り返し部分は、胴周り開口部10Aを構成し、胴周り開口部10Aをシートの2枚重ねで構成することによって、強度を高めている(
図2(b)中左A部参照)。
【0042】
背側内側弾性部27Rおよび背側外側弾性部28Rを構成している背側外部シート部26Rおよび背側内部シート部29Rは、背側上部弾性部材15RUおよび背側下部弾性部材15RDを挟み込み、ホットメルト接着剤などの第1接着剤24で接着されている。背側外部シート部26Rおよび背側内部シート部29Rの折り返し部分は、胴周り開口部10Aを構成し、胴周り開口部10Aをシート2枚重ねで構成することによって、強度を高めている(
図2(b)中右A部参照)。
【0043】
腹側内側弾性部27Fおよび背側内側弾性部27Rにおいて、腹側上部弾性部材15FUおよび背側上部弾性部材15RUと隣接する腹側内部シート部29Fおよび背側内部シート部29Rは、端部領域16Aのトップシート19に対して非接着とされる。また、腹側内側弾性部27Fおよび背側内側弾性部27Rにおいて、端部領域16Aの周囲の領域では、胴周り開口部10Aで折り返された腹側内部シート部29F同士がホットメルト接着剤などの第2接着剤25によって接着される。また、端部領域16Aのカバーシート20も腹側内部シート部29Fに対してホットメルト接着剤などの第2接着剤25によって接着される。
【0044】
ここで、
図3(a)は、上部領域の接着領域を
図2(a)に対応して示す平面図、
図3(b)は、下部領域の接着領域を
図2(a)に対応して示す平面図である。
図2(b)および
図3(a)に示すように、腹側上部領域12FUにおいて、端部領域16Aのカバーシート20が腹側内部シート部29Fに対して第2接着剤25によって接着される領域が、第1接着領域22Aとなる。腹側の第1接着領域22Aは、第2接着剤25がベタ塗りされている。そして、第1接着領域22Aでは、端部領域16Aのカバーシート20が腹側内部シート部29Fに対して第2接着剤25によって全面接着される。また、背側上部領域12RUにおいても、端部領域16Aのカバーシート20が背側内部シート部29Rに対して第2接着剤25によって接着される領域が、第1接着領域22Aとなる。背側の第1接着領域22Aも、第2接着剤25がベタ塗りされ、端部領域16Aのカバーシート20が背側内部シート部29Rに対して第2接着剤25によって全面接着される。
【0045】
また、腹側上部領域12FUにおける腹側内側弾性部27Fにおいて、第1接着領域22Aの周囲であって、胴周り開口部10Aで折り返された腹側内部シート部29F同士が第2接着剤25によって接着される領域が、第2接着領域22Bとなる。また、背側上部領域12RUにおける背側内側弾性部27Rにおいて、胴周り開口部10Aで折り返された背側内部シート部29R同士が第2接着剤25によって接着される領域が、第2接着領域22Bとなる。腹側内側弾性部27Fおよび背側内側弾性部27Rにおける第2接着領域22Bは、端部領域16Aの周囲となることで、股下部10Cを向いた凹部形状となる。この凹部形状の内側部分において、腹側内側弾性部27Fおよび背側内側弾性部27Rは、端部領域16Aのトップシート19に対して非接着部となる。これにより、腹側内側弾性部27Fの腹側内部シート部29Fと端部領域16Aのトップシート19との間には、空間部30Fが設けられ、この空間部30Fにおいても、吸収体18が存在することによって、排泄物などの液体を吸収することができる。背側内側弾性部27Rの背側内部シート部29Rと端部領域16Aのトップシート19との間にも、吸収体18が存在する空間部30Rが設けられ、この空間部30Rにおいても、吸収体18が存在することによって、排泄物などの液体を吸収することができる。
【0046】
腹側内側弾性部27Fおよび背側内側弾性部27Rにおいて、凹部形状の第2接着領域22Bは、部分接着部25Xを備えている。部分接着部25Xは、第2接着剤25が前後方向に延び、かつ胴周り方向に交互に並ぶ接着部22Xと非接着部22Yを備えている。接着部22Xおよび非接着部22Yは、等間隔で、直線形状を有しており、ストライプ模様を構成している。このように、部分接着部25Xは、接着部22Xのみに第2接着剤25が塗布されることで、第2接着剤25をベタ塗りする場合に比べて接着面積が減少し、使用する第2接着剤25の使用量を削減しているとともに、おむつ内外の通気性を向上させている。また、非接着部22Yにおいて、互いに対向する内部シート部29F,29Rの間は、上部弾性部材15FU,15RUが胴周り方向に撓むことによって、前後方向に延びる連通路22Zを構成する。連通路22Zの上端部は、胴周り開口部10Aであり、2枚重ねの内部シート部29F,29Rおよび外部シート部26F,26Rによって塞がれている(A部)一方、連通路22Zの下端部は、互いに対向する内部シート部29F,29Rの間が非接着であり開口端36となっている。着用時、おむつ10の内部の湿気は、連通路22Zを通り、胴周り開口部10Aの2枚のシート部29F,29R,26F,26Rを介して排気され、これによってもおむつ内外の通気性を向上させている。
【0047】
第2接着領域22Bは、胴周り開口部10Aと端部領域16Aの前後方向の先端部との間に所定の幅を有する余白部34を備えている。余白部34においても、接着部22Xと非接着部22Yとを交互に設けることで、前後方向に延びる短い連通路22Zを構成し、第2接着剤25の使用量の削減を図るとともに、空間部30F,30Rと外部との通気性の向上を図っている。
【0048】
また、
図3(b)に示すように、腹側下部領域12FDおよび背側下部領域12RDにおいて、腹側外側弾性部28Fおよび背側外側弾性部28Rの腹側内部シート部29Fおよび背側内部シート部29Rが端部領域16Aのカバーシート20に対して接着される領域が、第3接着領域22Cとなる。第3接着領域22Cにおいても、第2接着剤25がベタ塗りされている。そして、第3接着領域22Cでは、端部領域16Aのカバーシート20が腹側内部シート部29Fおよび背側内部シート部29Rに対して第2接着剤25によって全面接着される。
【0049】
ここで、腹側空間部30Fおよび背側空間部30Rの大きさについて説明する。腹側空間部30Fは、背側空間部30Rに対して大きく深いものとし、おむつ10を廃棄する際に、腹側空間部30F以外の部分が丸められた状態で収容することもできるようになっている。
【0050】
吸収性本体16の内面、すなわちトップシート19上には、前後方向に沿う両端部に立体ギャザー21が配置されている。各立体ギャザー21は、吸収性本体16の前後方向に延在する第1弾性部材21Eと、第1弾性部材21Eを挟み込むサイドシート21Sとを備えている。第1弾性部材21Eは、複数本が互いに平行な状態で、かつ、ホットメルト接着剤が塗布され伸長された状態でサイドシート21Sに対して配置され、サイドシート21Sが二つ折りされることで、サイドシート21Sによって挟み込まれる。第1弾性部材21Eは、弾性部材15FU,15FD,15RU,15RDと同様な材料で構成されている。サイドシート21Sも、トップシート19やカバーシート20と同様なシートで構成され、例えば、液不透過性を有した不織布などを含んだ前後方向に延びる長尺のシート体で構成されている。
【0051】
サイドシート21Sは、前後方向において、腹側上部領域12FU、股下部10C、および、背側上部領域12RUに跨る長さを有している。第1弾性部材21Eは、サイドシート21Sの前後方向における長さよりも短く、一例として、腹側下部領域12FD、股下部10C、および、背側下部領域12RDに跨る長さを有している。
【0052】
また、吸収性本体16のシート側縁部18Aは、カバーシート20の前後方向に沿う両側縁部を、中央側に折り返して構成されている。そして、折り返されたシート側縁部18Aは、レグギャザー23を備えている。レグギャザー23は、シート側縁部18Aで吸収性本体16の前後方向に延在する第2弾性部材23Eを挟み込んで構成されている。
【0053】
第2弾性部材23Eも、複数本が互いに平行な状態で、かつ、ホットメルト接着剤が塗布され伸長された状態で、腹側下部領域12FDから股下部10Cを介して背側下部領域12RDに亘って延在される。
【0054】
次に、おむつ10の製造方法について説明する。
図4(a)に示すように、外部シート部26を用意する。ここで用意する外部シート部26は、上部領域相当部分31と、下部領域相当部分32とを備えている。そして、上部領域相当部分31は、上部第1領域31Aと、上部第2領域31Bとを備えている。
【0055】
上部第1領域31Aには、上部弾性部材15Uが伸長した状態で
図4(a)中手前の面31A´に配置され、また、下部領域相当部分32には、下部弾性部材15Dが伸長した状態で
図4(a)中手前の面32´に配置される。そして、
図4(b)に示すように、外部シート部26の全面には、接着剤25Aが塗布され、上部弾性部材15Uおよび下部弾性部材15Dを被覆するように1枚の内部シート部29が重ねられる。または、接着剤25Aが塗布された上部弾性部材15Uおよび下部弾性部材15Dが配置され、外部シート部26に対して内部シート部29が重ねられる。これにより、接着剤25Aは、外部シート部26と内部シート部29とを接着し一体化する。そして、内側弾性部27と外側弾性部28とが構成されることになる。
【0056】
図4(c)に示すように、上部領域相当部分31の上部第2領域31Bにおいて、第1接着領域22Aおよび第2接着領域22B、ならびに、下部領域相当部分32の第3接着領域22Cには、第2接着剤25が塗布される。ここで、第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cは、第2接着剤25がベタ塗りされる。そして、第2接着領域22Bには、接着部22Xおよび非接着部22Yによりストライプ模様の部分接着部25Xが構成されるように第2接着剤25が塗布される(部分接着工程)。
図4(d)に示すように、吸収性本体16の端部領域16Aは、上部領域相当部分31の第1接着領域22Aおよび下部領域相当部分32の第3接着領域22Cに跨って載置される。
【0057】
図4(e)に示すように、上部弾性部材15Uをシートで挟み込んだ内側弾性部27は、谷折りされて、上部第2領域31Bに重ねられる。
図4(f)に示すように、内側弾性部27は、端部領域16Aに対して非接着であり、端部領域16Aと内側弾性部27との間には、非接着の空間部30が形成されることになる。
【0058】
以上のような第1実施形態におけるおむつ10にあっては、以下のような効果を得ることができる。
(1-1)腹側内側弾性部27Fおよび背側内側弾性部27Rにおいて、端部領域16Aの周辺部である第2接着領域22Bは、ストライプ模様を構成するように第2接着剤25としてのホットメルト接着剤が塗布される。したがって、第2接着領域22Bにおいて、第2接着剤25をベタ塗りする場合に比べて、接着面積が減少し、第2接着剤25の使用量を削減することができるとともに、おむつ内外の通気性を向上することができる。
【0059】
(1-2)非接着部22Yにおいて、互いに対向する内部シート部29F,29Rの間は、上部弾性部材15FU,15RUが胴周り方向に撓むことによって、前後方向に延びる連通路22Zを構成し、おむつ10の内部の湿気は、連通路22Zを通り、胴周り開口部10Aの2枚のシート部29F,29R,26F,26Rを介して排気され、これによってもおむつ内外の通気性を向上することができる。
【0060】
(1-3)下部領域12FD,12RDでは、外側弾性部28が吸収性本体16に対して外側に配置され、吸収性本体16の端部領域16Aに直接接着されている。したがって、上部領域12FU,12RUに流れる手前においても、吸収性本体16を着用者の肌に押さえ付けて排泄物を吸収させ易くすることができる。
【0061】
なお、上記第1実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・第2接着領域22Bと連続面の第3接着領域22Cにおいても、第2接着剤25は、ベタ塗りではなく、ストライプ模様を構成するように塗布してもよい。この場合、ストライプ模様は、ストライプ模様を構成する接着部および非接着部が前後方向に延びる場合に限らず、胴周り方向に延びる構成であってもよい。
【0062】
・部分接着部25Xにおいて、ストライプ模様を構成する接着部22Xおよび非接着部22Yは、前後方向に延びていれば、前後方向に対して傾いていてもよいし、直線状形状だけでなく、点線形状や波線形状であってもよい。
【0063】
・部分接着部25Xにおいて、ストライプ模様を構成する接着部22Xおよび非接着部22Yは、胴周り方向に延びていてもよい。
〔第2実施形態〕
図5は、第2実施形態のおむつにおける、
図3(a)に対応する上部領域の接着領域を示す平面図である。第2実施形態のおむつは、腹側上部領域12FUおよび背側上部領域12RUおける第2接着領域22Bにおいて、端部領域16Aに隣接する周辺部には、連続接着部25Yが設けられている。連続接着部25Yは、開口端が前記股下部10Cを向くような凹部形状を備えている。連続接着部25Yは、第2接着剤25としてのホットメルト接着剤がベタ塗りされる。そして、第2接着領域22Bにおいて、連続接着部25Yの外側は、第2接着剤25によってストライプ模様を構成した部分接着部25Xが構成されている。
【0064】
以上のようなおむつでは、空間部30F,30Rが連続接着部25Yによって股下部10C側を除いた三方向が囲まれるので、排泄物を収容するポケットとして機能する。そして、部分接着部25Xでは、非接着部22Yにおいて、連通路22Zが構成される。
【0065】
次に、第2実施形態のおむつの製造方法について説明する。
図6(a)に示すように、外部シート部26を用意する。ここで用意する外部シート部26は、上部領域相当部分31と、下部領域相当部分32とを備えている。そして、上部領域相当部分31は、上部第1領域31Aと、上部第2領域31Bとを備えている。
【0066】
上部第1領域31Aには、上部弾性部材15Uが伸長した状態で
図6(a)中手前の面31A´に配置され、また、下部領域相当部分32には、下部弾性部材15Dが伸長した状態で
図6(a)中手前の面32´に配置される。そして、
図6(b)に示すように、外部シート部26の全面には、接着剤25Aが塗布され、上部弾性部材15Uおよび下部弾性部材15Dを被覆するように1枚の内部シート部29が重ねられる。または、接着剤25Aが塗布された上部弾性部材15Uおよび下部弾性部材15Dが配置され、外部シート部26に対して内部シート部29が重ねられる。これにより、接着剤25Aは、外部シート部26と内部シート部29とを接着し一体化する。そして、内側弾性部27と外側弾性部28とが構成されることになる。
【0067】
図6(c)に示すように、上部領域相当部分31の上部第2領域31Bにおいて、第1接着領域22Aおよび下部領域相当部分32の第3接着領域22Cには、第2接着剤25がベタ塗りされる。
図6(d)に示すように、吸収性本体16の端部領域16Aは、上部領域相当部分31の第1接着領域22Aおよび下部領域相当部分32の第3接着領域22Cに跨って載置される。
【0068】
図6(e)に示すように、端部領域16Aの隣接する外側には、凹部形状を有するように、第2接着剤25としてのホットメルト接着剤がベタ塗りされ、連続接着部25Yが構成される(連続接着工程)。なお、連続接着部25Yは、第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cに第2接着剤25を塗布するときに設けるようにしてもよい。そして、第2接着領域22Bにおける連続接着部25Yの外側には、接着部22Xおよび非接着部22Yによりストライプ模様の部分接着部25Xが構成されるように第2接着剤25が塗布される(部分接着工程)。
【0069】
そして、上部弾性部材15Uをシートで挟み込んだ内側弾性部27は、谷折りされて、上部第2領域31Bに重ねられる。
図6(f)に示すように、内側弾性部27は、端部領域16Aに対して非接着であり、端部領域16Aと内側弾性部27との間には、排泄物を収容するポケットとして機能する空間部30が形成されることになる。
【0070】
以上のような第2実施形態におけるおむつにあっては、以下のような効果を得ることができる。
(2-1)端部領域16Aの隣接する外側には、連続接着部25Yで三方向が囲まれた排泄物のポケットとして機能する空間部30F,30Rが構成される。空間部30F,30Rには、股下部10C側の開口端から排泄物が浸入する。空間部30F,30Rは、連続接着部25Yによって囲まれることから、空間部30F,30R内の排泄物が胴周り開口部10Aの部分から腹漏れや背漏れすることを抑制することができる。
【0071】
(2-2)第2接着領域22Bにおいて、部分接着部25Xを備えることで、第2接着剤25をベタ塗りする場合に比べて、接着面積が減少し、第2接着剤25の使用量を削減することができるとともに、おむつ内外の通気性を向上することができる。
【0072】
(2-3)連続接着部25Yの外側は、部分接着部25Xが構成されることで、連通路22Zを通じておむつ10の内側における湿気を排気することができ、これによってもおむつ内外の通気性を向上することができる。
【0073】
なお、上記第2実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・余白部34において、胴周り開口部10A側に近い領域は、部分接着部25Xとし、空間部30F,30Rに近い領域は、連続接着部25Yとしてもよい。すなわち、余白部34には、前後方向に並び胴周り方向に延びる部分接着部25Xと連続接着部25Yを設けるようにしてもよい。これにより、第2接着剤の使用量を削減しつつ、空間部30F,30Rの排泄物が胴周り開口部10Aの部分から漏れることを抑えることができる。
【0074】
・部分接着部25Xにおいて、ストライプ模様を構成する接着部22Xおよび非接着部22Yは、前後方向に延びていれば、前後方向に対して傾いていてもよいし、直線状形状だけでなく、点線形状や波線形状であってもよい。
【0075】
・部分接着部25Xにおいて、ストライプ模様を構成する接着部22Xおよび非接着部22Yは、胴周り方向に延びていてもよい。
〔第3実施形態〕
図7は、第3実施形態のおむつにおける、
図3(a)に対応する上部領域の接着領域を示す平面図である。第3実施形態のおむつは、第2実施形態のおむつに対して、部分接着部25Xをホットメルト接着剤で構成するのではなく、熱融着によって構成する。部分接着部25Xは、ポケットとして機能する空間部30F,30Rを構成するための連続接着部25Yの外側に設けられ、ドット形状を有する複数の接着部22Xと、接着部22X以外の非接着部22Yとによって構成されている。接着部22Xは、前後方向および胴周り方向に等間隔に整列して設けられ、接着部22Xの間は、前後方向と胴周り方向に延びる非接着部22Yとなっている。上述のように、上部弾性部材15Uは、胴周り方向に延在されており、胴周り方向に延びる非接着部22Yに配置される。
【0076】
次に、第3実施形態のおむつの製造方法について説明する。なお、
図8(a)~(d)までは、第2実施形態のおむつの製造方法と同じなので、詳細は省略する。
図8(e)に示すように、端部領域16Aの隣接する外側には、凹部形状を有するように、第2接着剤25としてのホットメルト接着剤がベタ塗りされ、連続接着部25Yが構成される(連続接着工程)。
【0077】
図8(f)に示すように、上部弾性部材15Uをシートで挟み込んだ内側弾性部27は、谷折りされて、上部第2領域31Bに対して重ねられる。これにより、内側弾性部27は、連続接着部25Yにおいて、第2接着領域22Bに仮止めされる。この後、熱溶融ヘッドによって、重畳された外部シート部26および内側弾性部27を一括して所定の圧力で挟み込み加熱することによって熱溶融される。すなわち、熱溶融ヘッドの加熱部は、接着部22Xのパターンに対応しており、胴周り方向に延在された上部弾性部材15Uの間を挟み込んで加圧し加熱する。加圧し加熱する位置は、胴周り方向に延びる上部弾性部材15Uの間の位置である。これにより、連続接着部25Yの外側が熱融着による部分接着部25Xによって外部シート部26および内側弾性部27が一体化される。この際、上部弾性部材15Uが熱により切断することもなくなる(部分接着工程)。
【0078】
以上のような第3実施形態におけるおむつにあっては、以下のような効果を得ることができる。
(3-1)連続接着部25Yの外側に設けられる部分接着部25Xが第2接着剤25としてのホットメルト接着剤で構成するのではなく、熱融着によって構成される。したがって、第2接着剤25は、連続接着部25Yで使用されるだけとなり、全体として第2接着剤25の使用量を削減することができる。第2接着剤25をベタ塗りする場合に比べて、接着面積が減少し、おむつ内外の通気性を向上することができる。
【0079】
(3-2)熱融着は、上部弾性部材15Uの間で行われるので、上部弾性部材15Uが熱によって切れてしまうことを防ぐことができる。
(3-2)第2接着剤25は、熱融着の前段で外部シート部26に対して内側弾性部27を仮止めすることになり、上部弾性部材15Uの間を正確に熱融着することができる。そして、融着位置がずれて、上部弾性部材15Uが熱によって切れてしまうことを防ぐことができる。
【0080】
なお、上記第3実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・熱溶着による接着部22Xの位置は、上部弾性部材15Uの延在位置を避けていれば、等間隔でなくてもよい。
【0081】
・ドット形状を有する複数の接着部22Xは、熱融着ではなく、ホットメルト接着剤で構成するようにしてもよい。このような場合であっても、ベタ塗りする場合に比べて、第2接着剤25の使用量を削減することができる。第2接着剤25を使用する場合は、接着部22Xと上部弾性部材15Uが重なってもよい。部分接着部25Xを構成する第2接着剤25は、連続接着工程の前後で塗布することができる(
図8(e)参照)。
【0082】
・余白部34において、胴周り開口部10A側に近い領域は、部分接着部25Xとし、空間部30F,30Rに近い領域は、連続接着部25Yとしてもよい。
〔第4実施形態〕
図9に示すように、第4実施形態のおむつは、第2接着領域22Bにおいて、連通路22Zの胴周り開口部10Aを構成する上端部および下端部が開口端36を有し、通気性の向上が図られている。すなわち、外部シート部26が最も外側に位置し、上部弾性部材15Uが単一のシート27Aで挟み込まれて内側弾性部27が構成されている。そして、外部シート部26とシート27Aとは、別々のシートであることにより、外部シート部26とシート27Aとの間に構成される連通路22Zの上端部および下端部が開口端36を有した構成となっている。
【0083】
次に、第4実施形態のおむつの製造方法について説明する。
図10(a)に示すように、まず、外部シート部26を用意する。ここで用意する外部シート部26は、上部領域相当部分31と下部領域相当部分32とを備えている。そして、下部領域相当部分32には、下部弾性部材15Dが伸長した状態で配置される。
図10(b)に示すように、上部領域相当部分31および下部領域相当部分32には、ホットメルト接着剤などの接着剤33が塗布され、外側弾性部28を構成するシート28Aが接着される。または、接着剤33が塗布された下部弾性部材15Dが配置され、外部シート部26に対してシート28Aが重ねられる。これにより、下部弾性部材15Dは、外部シート部26とシート28Aとに挟み込まれ、外部シート部26には、下部領域相当部分32において、外側弾性部28が構成される。なお、シート28Aは、上部領域相当部分31と下部領域相当部分32とを合わせた大きさを有している。
【0084】
図10(c)に示すように、上部領域相当部分31の第1接着領域22Aおよび下部領域相当部分32の第3接着領域22Cには、第2接着剤25がベタ塗りされる。
図10(d)に示すように、吸収性本体16の端部領域16Aは、第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cに跨って載置される。この後、第2接着領域22Bにおいて、端部領域16Aの隣接する外側には、凹部形状を有するように、第2接着剤25としてのホットメルト接着剤がベタ塗りされ、連続接着部25Yが構成される(連続接着工程)。なお、連続接着部25Yは、第1接着領域22Aおよび第3接着領域22Cに第2接着剤25を塗布するときに設けるようにしてもよい。
【0085】
ここで、上部弾性部材15Uを挟み込む一続きの単一のシート27Aを用意する。ここでのシート27Aは、上部弾性部材15Uを挟み込むため、半分に折り曲げたとき上部領域相当部分31に相当する大きさを有する。シート27Aには、上部弾性部材15Uが伸長した状態で配置される。そして、シート27Aは、ホットメルト接着剤などの接着剤が塗布された後、半分に折り曲げられ、上部弾性部材15Uを挟み込む。または、シート27Aは、接着剤が塗布された上部弾性部材15Uが配置され、半分に折り曲げられ、上部弾性部材15Uを挟み込む。これにより、内側弾性部27が構成される。
【0086】
図10(e)に示すように、端部領域16Aの上から内側弾性部27が外部シート部26の第2接着領域22Bに対して重ねられる。内側弾性部27は、連続接着部25Yにおいて、第2接着領域22Bに仮止めされる。
図10(f)に示すように、この後、熱溶融ヘッドによって、重畳された外部シート部26および内側弾性部27を一括して所定の圧力で挟み込み加熱することによって熱溶融される。具体的に、熱溶融は、半分に折られたシート27Aおよび外部シート部26とを一体化する。熱溶融ヘッドの加熱部は、接着部22Xのパターンに対応しており、胴周り方向に延在された上部弾性部材15Uの間を挟み込んで加圧し加熱する。加圧し加熱する位置は、胴周り方向に延びる上部弾性部材15Uの間の位置である。これにより、連続接着部25Yの外側が熱融着による部分接着部25Xによって外部シート部26および内側弾性部27とが一体化される。この際、上部弾性部材15Uが熱により切断することもなくなる(部分接着工程)。
【0087】
以上のような第4実施形態におけるおむつにあっては、以下のような効果を得ることができる。
(4-1)外部シート部26と内側弾性部27を構成する上部弾性部材15Uを挟み込んだシート27Aとは、分離していることにより、外部シート部26とシート27Aとの間に連通路22Zが構成される。連通路22Zは、上端部および下端部が開口端36を有しており、おむつ10の内部の湿気は、連通路22Zを通り、排気される。上述した第1実施形態から第3実施形態の連通路22Zは、上端部がシートによって塞がっているが、第4実施形態の連通路22Zは、上端部がシートによって塞がっていないので、第1実施形態から第3実施形態の場合よりもおむつ内外の通気性が向上する。
【0088】
(4-2)連続接着部25Yの外側に設けられる部分接着部25Xが第2接着剤25としてのホットメルト接着剤で構成するのではなく、熱融着によって構成される。したがって、第2接着剤25は、連続接着部25Yで使用されるだけとなり、全体として第2接着剤25の使用量を削減することができる。
【0089】
(4-3)熱融着は、上部弾性部材15Uの間で行われるので、上部弾性部材15Uが熱によって切れてしまうことを防ぐことができる。
(4-4)第2接着剤25は、熱融着の前段で外部シート部26に対して内側弾性部27を仮止めすることになり、上部弾性部材15Uの間を正確に熱融着することができる。そして、融着位置がずれて、上部弾性部材15Uが熱によって切れてしまうことを防ぐことができる。
【0090】
なお、上記第4実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・熱溶着による接着部22Xの位置は、上部弾性部材15Uの延在位置を避けていれば、等間隔でなくてもよい。
【0091】
・上部弾性部材15Uを挟み込む一連のシート27Aは、胴周り開口部10Aの位置で分離されて2枚のシート素材で構成されていてもよい。
・ドット形状を有する複数の接着部22Xは、熱融着ではなく、ホットメルト接着剤で構成するようにしてもよい。このような場合であっても、ベタ塗りする場合に比べて、第2接着剤25の使用量を削減することができる。第2接着剤25を使用する場合は、接着部22Xと上部弾性部材15Uが重なってもよい。
【0092】
・余白部34において、胴周り開口部10A側に近い領域は、部分接着部25Xとし、空間部30F,30Rに近い領域は、連続接着部25Yとしてもよい。
〔第5実施形態〕
図11は、第5実施形態のおむつであって、第1実施形態の変形例を示す平面図である。具体的には、第1実施形態のおむつにおける下部領域12FD,12RDにおいて、外側弾性部28F,28Rの内部シート部29F,29Rが端部領域16Aのカバーシート20に対して接着される領域が、第3接着領域22Cとなる。第3接着領域22Cにおいて、第2接着剤25はベタ塗りされている。そして、第3接着領域22Cでは、端部領域16Aのカバーシート20が内部シート部29F,29Rに対して第2接着剤25によって全面接着されている(
図3(b)参照)。
【0093】
これに対して、第5実施形態のおむつでは、端部領域16Aは、胴回り方向である幅方向において、シート側縁部18Aの部分に第2接着剤25が塗布されないようにしている。すなわち、立体ギャザー21を構成する第1弾性部材21Eの中でシート側縁部18A側の1本または数本の部分、および/または、レグギャザー23を構成する第2弾性部材23Eの中でシート側縁部18A側の1本または数本の部分に第2接着剤25が接着されないようにしている。
【0094】
以上のような第5実施形態におけるおむつにあっては、以下のような効果を得ることができる。
(5-1)立体ギャザー21やレグギャザー23は、第2接着剤25によって外側弾性部28F,28Rに拘束されないので、外側弾性部28F,28Rに対して立ち上がり易くなる。
【0095】
(5-2)シート側縁部18Aの部分に第2接着剤25が塗布されないので、その分、第2接着剤25の使用量を削減することができる。
なお、上記第5実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
【0096】
・シート側縁部18Aの部分に第2接着剤25を塗布しない構成は、腹側外装体12Fだけで採用してもよいし、背側外装体12Rだけで採用してもよい。
〔第6実施形態〕
図12は、第6実施形態のおむつであって、第1実施形態の変形例を示す図である。具体的には、第1実施形態では、端部領域16Aの肌とは反対側の外側には、おむつの厚さ方向において内側弾性部27F,27Rに対向する上部領域12FU,12RUにおいても、内部シート部29F,29Rおよび外部シート部26F,26Rが第1接着剤24によって互いに接着された状態で延在している。
【0097】
これに対して、第6実施形態では、上部領域12FU,12RUにおいて、内部シート部29F,29Rおよび第1接着剤24を省略している。そして、外側弾性部28F,28Rは、外部シート部26F,26Rと内部下シート部29F´,29R´とで下部弾性部材15FD,15RDを挟み込んで構成されている。
【0098】
以上のような第6実施形態におけるおむつにあっては、以下のような効果を得ることができる。
(6-1)上部領域12FU,12RUにおいて、内部シート部29F,29Rを省略し、それに伴い、第1接着剤24も省略される。これにより、使用するシート材および接着剤を削減することができる。
【0099】
なお、上記第6実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・上部領域12FU,12RUにおいて、内部シート部を省略し、それに伴い、第1接着剤を省略する構成は、腹側外装体12Fだけで採用してもよいし、背側外装体12Rだけで採用してもよい。
【0100】
〔第7実施形態〕
図13は、第7実施形態のおむつであって、第1実施形態の変形例を示す図である。具体的には、下部領域12FD,12RDにおいて、端部領域16Aと重なる部分では、内部シート部29F,29Rを省略し、外部シート部26F,26Rが直接カバーシート20に対して接着される(B部)。なお、端部領域16A上であるB部では、下部弾性部材15FD,15RDが伸長していない状態、例えば切断された状態で配置されている。または、下部弾性部材15FD,15RDが存在しない。これに対して、下部領域12FD,12RDにおいて、端部領域16Aに対して両側の領域は、内部シート部29F,29Rが延在し、伸長した状態の下部弾性部材15FD,15RDを挟み込んでいる(C部)。
【0101】
以上のような第7実施形態におけるおむつにあっては、以下のような効果を得ることができる。
(7-1)下部領域12FD,12RDにおいて、端部領域16Aと重なる部分では、内部シート部29F,29Rを省略し、外部シート部26F,26Rが直接カバーシート20に対して接着される(B部)。したがって、当該部分での使用するシート材および接着剤を削減することができる。
【0102】
なお、上記第7実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・B部およびC部で示す構成は、腹側外装体12Fだけで採用してもよいし、背側外装体12Rだけで採用してもよい。
【0103】
〔第8実施形態〕
図14は、第8実施形態のおむつであって、第1実施形態の変形例を示す図である。具体的には、排泄物を収容するポケットとして機能する空間部30F,30Rの開口端が上部領域12FU,12RUの下端部ではなく、下部領域12FD,12RDの下端部に位置している。そして、端部領域16Aに対して肌側の上部領域12FU,12RUでは、外部シート部26F,26Rおよび内部シート部29F,29Rが上部弾性部材15FU,15RUを挟み込んでいる。これに対して、下部領域12FD,12RDでは、ウェストギャザーやタミーギャザーを構成する弾性部材が存在しない。すなわち、外部シート部26F,26Rおよび内部シート部29F,29Rは、下部領域12FD,12RDにおいて、ウェストギャザーやタミーギャザーを構成する弾性部材を挟み込んでいない。
【0104】
また、上部領域12FU,12RUおよび下部領域12FD,12RDであって端部領域16Aの肌とは反対側の外側は、第6実施形態(
図12参照)のように、内部シート部29F,29Rおよび第1接着剤24を省略している。そして、外側弾性部28F,28Rは、外部シート部26F,26Rと空間部30F,30Rを構成する内部シート部29F,29Rおよび端部領域16Aとで下部弾性部材15FD,15RDを挟み込んで構成されている。なお、外側弾性部28F,28Rは、第6実施形態(
図12参照)のように、外部シート部26F,26Rと内部下シート部29F´,29R´とで下部弾性部材15FD,15RDを挟み込んで構成されていてもよい。
【0105】
以上のような第8実施形態におけるおむつにあっては、以下のような効果を得ることができる。
(8-1)おむつは、着用者から外すとき、接合部11を上端から下端に向かって、または、下端から上端に向かって切り裂くことになる。
【0106】
端部領域16Aを挟んだ肌側となる内側およびその反対側となる外側には、上部領域12FU,12RUおよび下部領域12FD,12RDとに亘って外部シート部26F,26Rおよび内部シート部29F,29Rが延在している。したがって、接合部11は、上端から下端に亘って一様に4枚のシートが接合されることになる。したがって、接合部11を上下に切り裂くときに、その途中で接合部11の箇所から胴回り方向に横裂けしてしまうことを防ぐことができる。
【0107】
(8-2)ポケットとして機能する空間部30F,30Rの開口端が下部領域12FD,12RDの下端部に位置している。したがって、空間部30F,30Rの容量を大きくすることができる。
【0108】
(8-3)端部領域16Aに対する内側において、下部領域12FD,12RDには、ウェストギャザーやタミーギャザーを構成する弾性部材が存在しない。したがって、端部領域16Aが胴回り方向に収縮しひだが形成されることを抑制することができる。
【0109】
なお、上記第8実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・ポケットとして機能する空間部30F,30Rの開口端は、上部領域12FU,12RUの下端部よりも下側であれば下部領域12FD,12RDの下端部よりも上側の任意の位置に位置していてもよい。
【0110】
・空間部30F,30Rの開口端を下部領域12FD,12RDの下端部に揃える構成は、腹側外装体12Fだけで採用してもよいし、背側外装体12Rだけで採用してもよい。また、空間部30F,30Rの開口端を上部領域12FU,12RUの下端部よりも下側で、かつ、下部領域12FD,12RDの下端部よりも上側に位置させる構成(すなわち、空間部30F,30Rの開口端を上部領域12FU,12RUの下端部と下部領域12FD,12RDの下端部との間に位置させる構成)は、腹側外装体12Fだけで採用してもよいし、背側外装体12Rだけで採用してもよい。
【0111】
なお、上記実施形態は以下のように適宜変更して実施することもできる。
・上部領域12FU,12RUと下部領域12FD,12RDとは、外部シート部26で繋がっていなくてもよい。すなわち、上部領域12FU,12RUと下部領域12FD,12RDとが分離していてもよい。外部シート部26は、少なくとも内側弾性部27と対向する位置に設けられていればよく、それ以外は、おむつの構成によって適宜変更可能である。
【0112】
・吸収性本体16に対して内側に位置する上部弾性部材15Uが配置された領域と外側に位置する下部弾性部材15Dが配置された領域とは、重なっていてもよい。また、上部弾性部材15Uが配置された領域の下端部と下部弾性部材15Dが配置された領域の上端部とが、境界部分において、同じ位置に位置していてもよい。
【0113】
・腹側外装体12F、背側外装体12Rの何れか一方の外装体が上部領域12FU,12RUと下部領域12FD,12RDを備えていればよい。また、腹側外装体12F、背側外装体12Rの両方において、下部領域12FD,12RD(外側弾性部28)が割愛された構成であってもよい。
【0114】
・空間部30は、腹側外装体12Fと背側外装体12Rの両方に設けられることが好ましいが、少なくとも一方に設けられているだけでもよい。
・使い捨ておむつとしては、テープ型のおむつであってもよい。
【0115】
・乳幼児用又は介護を必要とする高齢者や障害者等の成人用の使い捨ておむつであってもよい。また、ペット用であってもよい。
・外装体12を構成する外部シート部26、内側弾性部27を構成するシート、および、外側弾性部28を構成するシートは、液不透過性であってもよいし、液透過性であってもよい。
【符号の説明】
【0116】
10A…胴周り開口部、10C…股下部、10F…前身頃、10L…脚周り開口部、10R…後身頃、10W…胴周り部、11…接合部、12FD…腹側下部領域、12FU…腹側上部領域、12R…背側外装体、12RD…背側下部領域、12RU…背側上部領域、15D…下部弾性部材、15FD…腹側下部弾性部材、15FU…腹側上部弾性部材、15RD…背側下部弾性部材、15RD1…背側下部弾性部材、15U…上部弾性部材、15RU…背側上部弾性部材、16…吸収性本体、16A…端部領域、17…バックシート、18…吸収体、18A…シート側縁部、18B…周辺部、18F…腹側端部、18R…背側端部、19…トップシート、20…カバーシート、21…立体ギャザー、21E…第1弾性部材、21S…サイドシート、22A…第1接着領域、22B…第2接着領域、22C…第3接着領域、22X…接着部、22Y…非接着部、22Z…連通路、23…レグギャザー、23E…第2弾性部材、24…第1接着剤、25…第2接着剤、25A…接着剤、25X…部分接着部、25Y…連続接着部、26…外部シート部、26F…腹側外部シート部、26R…背側外部シート部、27…内側弾性部、27A…シート、27F…腹側内側弾性部、27R…背側内側弾性部、28…外側弾性部、28A…シート、28F…腹側外側弾性部、28R…背側外側弾性部、29…内部シート部、29F…腹側内部シート部、29R…背側内部シート部、30F…腹側空間部、30R…背側空間部、31…上部領域相当部分、31A…上部第1領域、31B…上部第2領域、32…下部領域相当部分、33…接着剤、34…余白部、36…開口端。