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  • 特許-熱交換システム 図1
  • 特許-熱交換システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】熱交換システム
(51)【国際特許分類】
   E01C 11/26 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
E01C11/26 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020005171
(22)【出願日】2020-01-16
(65)【公開番号】P2021113407
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】小島 啓輔
(72)【発明者】
【氏名】渡部 陽介
(72)【発明者】
【氏名】平野 尭将
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄大
(72)【発明者】
【氏名】隅倉 光博
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-226299(JP,A)
【文献】特開昭59-192869(JP,A)
【文献】特開平02-229309(JP,A)
【文献】特開2003-307353(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 1/00-17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱回収部と放熱部との間で熱エネルギーを交換可能な熱交換システムであって、
前記熱回収部に接して配置され、第1蒸発部および第1凝縮部を有するヒートパイプと、
前記放熱部に接して配置され、第2蒸発部および第2凝縮部を有し、環状に形成された循環熱交換装置と、を備え、
前記ヒートパイプの前記第1凝縮部と、前記循環熱交換装置の前記第2蒸発部と、が互いに熱伝達可能に接触する熱交換部を有し、
前記ヒートパイプは、管内部に熱媒体を封入することで管周囲の環境と熱交換を行うように前記第1蒸発部が地中に配置され、
前記ヒートパイプの前記第1蒸発部において熱エネルギーを回収し、該熱エネルギーは前記第1凝縮部に伝達され、
前記循環熱交換装置は、管内に熱媒体が封入され、該熱媒体を循環移動させるように環状の配管のみで形成されており、
前記循環熱交換装置は、前記第2凝縮部から前記第2蒸発部に向かう間に冷却する第1循環路と、前記第2蒸発部から前記第2凝縮部に向かう間において前記第2蒸発部で気化した蒸気が移動する第2循環路と、が設けられ、
前記熱交換部が位置する前記第2蒸発部、前記第2凝縮部、及び前記第2循環路は、地上に配置され、
前記ヒートパイプの前記第1凝縮部は、前記第2蒸発部のうち前記循環熱交換装置に封入されている前記熱媒体の水面を含む領域に接触していることを特徴とする熱交換システム。
【請求項2】
前記循環熱交換装置は、
熱媒体の循環方向で前記第2凝縮部から前記第2蒸発部に向かう間の第1循環路で冷却され、
前記循環方向で前記第2蒸発部から前記第2凝縮部に向かう間の第2循環路のうち少なくなくとも一部が断熱されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換システム。
【請求項3】
前記熱回収部は、路盤であり、
前記放熱部は、地中に埋設される排水貯留設備内部の排水であることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、路面の高温化は、ヒートアイランド現象の要因の一つとして考えられているだけではなく、道路の耐久性を低下させる要因となっている。このような路面の高温化の対策としては、既存のコンクリート舗装やアスファルト舗装を保水性舗装へ変更したり、下水再生水の活用による道路散水等が知られている。
また、他のヒートアイランド現象の対策で路面の熱を回収する方法としては、例えば特許文献1に示されるように、道路表層部に流体を送り込み、路面と流体とで熱交換を行うことで路面を冷却する方法がある。
【0003】
特許文献1には、生産井から汲み上げられた地下水を、道路舗装部に設けた帯水層からなる表層部に供給して冷却または加熱する道路冷却・融雪システムであって、道路舗装部が、表層部に流体を導入する導入口と、生産井から汲み上げられた地下水を導入口に供給する送り流路と、表層部に供給されて一定量を超えた流体を排出する排出部と、該排出部から流体を還元井または下水路に導く排出流路と、を設けた構成について記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-046331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるような路面の熱を回収する方法では、流体を送り込んだり、循環させたりするためのポンプが必要となることから、無動力で路面の熱を回収することが求められており、その点で改善の余地があった。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、無動力で効率よく熱回収部の温度を低減することができる熱交換システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る熱交換システムは、熱回収部と放熱部との間で熱エネルギーを交換可能な熱交換システムであって、前記熱回収部に接して配置され、第1蒸発部および第1凝縮部を有するヒートパイプと、前記放熱部に接して配置され、第2蒸発部および第2凝縮部を有し、環状に形成された循環熱交換装置と、を備え、前記ヒートパイプの前記第1凝縮部と、前記循環熱交換装置の前記第2蒸発部と、が互いに熱伝達可能に接触する熱交換部を有し、前記ヒートパイプは、管内部に熱媒体を封入することで管周囲の環境と熱交換を行うように前記第1蒸発部が地中に配置され、前記ヒートパイプの前記第1蒸発部において熱エネルギーを回収し、該熱エネルギーは前記第1凝縮部に伝達され、前記循環熱交換装置は、管内に熱媒体が封入され、該熱媒体を循環移動させるように環状の配管のみで形成されており、前記循環熱交換装置は、前記第2凝縮部から前記第2蒸発部に向かう間に冷却する第1循環路と、前記第2蒸発部から前記第2凝縮部に向かう間において前記第2蒸発部で気化した蒸気が移動する第2循環路と、が設けられ、前記熱交換部が位置する前記第2蒸発部、前記第2凝縮部、及び前記第2循環路は、地上に配置され、前記ヒートパイプの前記第1凝縮部は、前記第2蒸発部のうち前記循環熱交換装置に封入されている前記熱媒体の水面を含む領域に接触していることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る熱交換システムでは、熱回収部からヒートパイプの第1蒸発部で熱を回収した熱エネルギーが第1凝縮部から熱交換部を介して循環熱交換装置の第2蒸発部に伝達される。そして、熱交換部から供給された熱によって循環熱交換装置内の熱媒体が第2蒸発部で蒸発して熱媒体に循環流が生じ、移動した蒸気が第2凝縮部で凝縮されて流体に戻ることで熱交換が行われる。例えば、熱回収部である路面にヒートパイプの第1蒸発部を配置し、放熱部である下水管内の排水に循環熱交換装置の少なくとも一部を配置することで、路面の熱をヒートパイプにより無動力で回収し、その回収した熱を環状の循環熱交換装置により無動力で排水に放熱することができる。
【0009】
また、本発明の熱交換システムでは、ヒートパイプ内に封入する媒体量と圧力を調整することによって、熱回収部の温度が所定の温度に低下したときにはヒートパイプによる熱回収を自動的に停止させ、また熱回収部の温度が所定の温度に上昇したときにはヒートパイプによる熱回収を自動的に開始させることができる。
【0011】
さらに、熱交換部においてヒートパイプで回収された熱を、循環熱交換装置に封入されている熱媒体の水面を含む領域に対して直接伝達することができるので、循環熱交換装置の第2蒸発部で効率よく熱媒体を蒸発させることができ、熱効率のよい熱交換を行うことができる。
【0012】
また、本発明に係る熱交換システムは、前記循環熱交換装置は、熱媒体の循環方向で前記第2凝縮部から前記第2蒸発部に向かう間の第1循環路で冷却され、前記循環方向で前記第2蒸発部から前記第2凝縮部に向かう間の第2循環路のうち少なくなくとも一部が断熱されていることを特徴としてもよい。
【0013】
この場合には、循環熱交換装置の第2循環路のうち少なくとも一部が断熱されているので、外部の温度の影響を小さく抑えることができる。すなわち、夏場で外気が高温になって第2循環路自体が高温になることを防止でき、熱交換の効率の低下を抑制することができる。
【0014】
また、本発明に係る熱交換システムは、前記熱回収部は、路盤であり、前記放熱部は、地中に埋設される排水貯留設備内部の排水であることを特徴としてもよい。
【0015】
この場合には、夏場に外気に比べて大幅に低温となる地中の排水が循環熱交換装置が配置される放熱部となるから、効果的な熱交換を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の熱交換システムによれば、路盤等の熱回収部からの熱回収を行う熱交換と、回収した熱を下水や生活排水もしくは地盤に放熱する熱交換を併用することで、無動力で効率よく熱回収部の温度を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態による熱交換システムの構成を示す縦断面図である。
図2図1の熱交換システムの要部拡大図であって、ヒートパイプの熱供給部と循環熱交換装置の接続状態を示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態による熱交換システムについて、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1に示す本実施形態による熱交換システム1は、地上の路面10aを有する路盤10(熱回収部)と、地中に埋設される下水管2(排水貯留設備)内の排水W(放熱部)との間で熱エネルギーを交換可能とするシステムである。すなわち路盤10の路面10aの熱を回収して、その熱を排水Wに放熱するものである。
本実施形態の熱交換システム1の放熱部である排水Wが流れる下水管2は、雨水や生活排水などの排水Wが流入され、流れを有した状態で貯留されている。
【0020】
熱交換システム1は、路盤10に接して配置され、第1蒸発部3Aおよび第1凝縮部3Bを有するヒートパイプ3と、排水Wに接して配置され、第2蒸発部4Aおよび第2凝縮部4Bを有し、環状に形成された循環熱交換装置4と、を備えている。熱交換システム1では、ヒートパイプ3の第1凝縮部3Bと、循環熱交換装置4の第2蒸発部4Aと、が互いに熱伝達可能に接触する熱交換部Pを有している。
【0021】
図2に示すように、ヒートパイプ3は、棒状に形成され、管内部に熱媒体31を封入することで管周囲の環境と熱交換を行うためのものである。ヒートパイプ3は、長さ方向の一端側の第1蒸発部3Aにおいて路面10の熱エネルギーを回収し、その熱エネルギーは他端側の第1凝縮部3Bに伝達される。本実施形態では、例えば地上から0.1~2m程度の浅い路盤10中に第1蒸発部3Aを水平方向に向けた状態でヒートパイプ3が埋設される。
ヒートパイプ3の管内に封入される熱媒体31としては、水、エタノール、アンモニア水などの液体が用いられる。
【0022】
ヒートパイプ3の第1凝縮部3Bは、第1蒸発部3Aから斜め上方に向けて延びる連結部3Cを介して各部が連通した状態で設けられ、熱交換部Pである循環熱交換装置4の地上部分に位置する第1縦配管42Aの外周面42aにおける第2蒸発部4Aに対して熱伝達可能に接触した状態で設けられている。第1凝縮部3Bは、第2蒸発部4Aのうち循環熱交換装置4に封入されている熱媒体41の水面41aを含む領域に接触している。
【0023】
第1凝縮部3Bは、熱交換部Pで第1縦配管42Aの外周面42aに接触していればよいが、より高温の熱を第1凝縮部3Bから第1縦配管42Aに付与できる観点から第1凝縮部3Bの接触面積は小さい方が好ましい。
なお、第1凝縮部3Bの構成として、例えば第1縦配管42Aの外周面42aに外嵌するような筒状に形成されていてもよい。
【0024】
第1蒸発部3Aでは、管内部の熱媒体31が外部の路盤10より熱を奪って蒸発することにより採熱する。採熱により蒸発した蒸気は、蒸気の圧力差により第1凝縮部3Bに向かって高速で移動する。そして、第1凝縮部3Bでは、熱交換部Pで循環熱交換装置4に熱伝達されることにより蒸気が凝縮潜熱を放出して液化し、重力によって液が還流する。すなわち、熱媒体31の液は、第1凝縮部3Bから第1蒸発部3Aへ移動する。
【0025】
循環熱交換装置4は、図1に示すように、管内に熱媒体41が封入され、熱媒体41を循環方向(図1及び図2に示す符号E方向)に循環移動させるように環状に形成された配管である。循環熱交換装置4は、循環方向Eで第2凝縮部4Bから第2蒸発部4Aに向かう間に冷却する第1循環路4Cが設けられ、循環方向Eで第2蒸発部4Aから第2凝縮部4Bに向かう間において第2蒸発部4Aで気化した蒸気が移動する第2循環路4Dが設けられている。ここで、本実施形態では、熱交換部Pが位置する第2蒸発部4A、第2凝縮部4B、及び第2循環路4Dは、地上に配置されている。
【0026】
第1循環路4Cには、下水管2の排水Wを通過する冷却部43を有している。第1循環路4Cと第2循環路4Dには、上下方向に延びて第2蒸発部4Aが配置される第1縦配管42Aと、上下方向に延びて第2凝縮部4Bが配置される第2縦配管42Bと、を有している。第1縦配管42Aと第2縦配管42Bとは平行に配置されている。循環熱交換装置4は、第1縦配管42A内の熱媒体41の水位(第1水面41aの高さ)と、第2縦配管42B内の熱媒体41の水位(第2水面41bの高さ)とが同じ位置を保とうとしている。
循環熱交換装置4の管内に封入される熱媒体41としては、水、エタノール、アンモニア水などの液体が用いられる。
【0027】
また、循環熱交換装置4では、管内の圧力が大気圧よりも減圧され、熱媒体41の沸点が低く設定されている。これにより熱媒体41は、大気圧における流体の沸点より低い温度で蒸発する。
図1に示すように、第1循環路4Cには、上述したように排水Wに接触する部分において螺旋状の冷却部43が形成されている。冷却部43は、排水Wの流れ方向を中心とした螺旋状に形成されている等、排水Wに対する接触面積を増大して放熱の熱効率が高められた構成となっている。
【0028】
また、循環熱交換装置4は、ヒートパイプ3の第1凝縮部3Bが接触する熱交換部P(第2蒸発部4A)から循環方向Eに沿って第2凝縮部4B(第2水面41b)までの第2循環路4Dうち少なくなくとも一部が不図示の断熱材等で被覆されることによって断熱されている。
【0029】
次に、上述した熱交換システム1の作用について、図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態による熱交換システム1では、図1に示すように、熱回収部である路盤10からヒートパイプ3の第1蒸発部3Aで熱を回収した熱エネルギーが第1凝縮部3Bから熱交換部Pを介して循環熱交換装置4の第2蒸発部4Aに伝達される。そして、熱交換部Pから供給された熱によって循環熱交換装置4内の熱媒体41が第1水面41aの位置で蒸発(図2に示す蒸気E1)して熱媒体41に循環流が生じる。そして、第1縦配管42A内における熱媒体41の第1水面41aとは反対側に位置する第2縦配管42Bの第2水面41b(熱媒体41)に熱を供給することで、移動した蒸気E1が第2凝縮部4Bで凝縮されて流体(図2に示す流体E2)に戻ることで熱交換が行われる。
【0030】
このとき、本熱交換システム1では、熱交換部P(第2蒸発部4A)でヒートパイプ3より供給された熱によって第1縦配管42A内の熱媒体41が蒸発することで、一時的に第1水面41aの位置が低下するが、第2蒸発部4Aと反対側で第2凝縮部4Bに位置する第2縦配管42B内に存在する熱媒体41の第2水面41bの高さと等しくなろうとする力が働くため循環熱交換装置4内では、循環流が生じることになる。
この循環流が生じている間に下水管2内の排水Wに位置する第1循環路4C(主に冷却部43)で熱媒体41と排水Wとで熱交換が行われる。
【0031】
そのため、本実施形態のように、熱回収部である路盤10にヒートパイプ3の第1蒸発部3Aを配置し、放熱部である排水Wに循環熱交換装置4の第1循環路4Cを配置することで、路盤10の熱をヒートパイプ3により無動力で回収し、下水管2の排水Wに放熱することができる。
【0032】
また、本実施形態による熱交換システム1では、ヒートパイプ3の第1凝縮部3Bが循環熱交換装置4の熱媒体41の第1水面41aの位置を含む領域(第2蒸発部4A)に接触している。そのため、熱交換部Pにおいてヒートパイプ3で回収された熱を、循環熱交換装置4に封入されている熱媒体41の第1水面41aに対して直接伝達することができるので、第2蒸発部4Aで効率よく熱媒体41を蒸発させることができ、熱効率のよい熱交換を行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、循環熱交換装置4において、第2蒸発部4Aから第2凝縮部4Bに向かう間の第2循環路4Dのうち少なくなくとも一部が断熱された構成になっている。つまり、循環熱交換装置4のうち熱媒体41が蒸気となって気化した部分が断熱されるので、外部の温度の影響を小さく抑えることができる。すなわち、夏場で外気が高温になって第2循環路4D自体が高温になることを防止でき、熱交換の効率の低下を抑制することができる。
【0034】
さらに、本実施形態では、夏場に外気に比べて大幅に低温となる地中の排水Wが循環熱交換装置4が配置される放熱部となるから、効果的な熱交換を行うことができる。
【0035】
上述のように本実施形態による熱交換システム1では、路盤10からの熱回収を行うヒートパイプ3と、回収した熱を下水や生活排水もしくは地盤に放熱する循環熱交換装置4を併用することで、無動力で効率よく路面温度を低減することができる。
【0036】
以上、本発明による熱交換システムの実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0037】
例えば、本実施形態では、ヒートパイプ3の第1凝縮部3Bが循環熱交換装置4における第1縦配管42A内の熱媒体41の第1水面41aの位置を含む領域(第2蒸発部4A)に接触した構成としているが、熱交換部Pにおける第1凝縮部3Bと第2蒸発部4Aとの接触位置として、第1縦配管42Aにおける熱媒体41の第1水面41aの位置を含む領域であることに制限されることはない。要は、ヒートパイプ3における第1縦配管42Aと接触する第1凝縮部3Bから第1縦配管42A内の熱媒体41の第1水面41aに対して蒸発可能な範囲で熱が伝達されればよいのであって、第1縦配管42Aにおける熱媒体41の第1水面41aの近傍にヒートパイプ3の第1凝縮部3Bが接触していればよいのである。
【0038】
また、循環熱交換装置4において、第2循環路4Dに設けられる断熱材の設置範囲は適宜設定することができる。
【0039】
さらに、本実施形態では、循環熱交換装置4の放熱部として、下水管2(排水貯留設備)に貯留される排水Wを対象としているが、これに限定されることはない。例えば、下水管2に代えて貯水槽とし、貯水槽に貯留された排水を放熱部としてもよい。また、川の水を放熱部としてもかまわない。さらに、放熱部として水を対象とせずに地盤とすることも可能である。
【0040】
また、ヒートパイプ3及び循環熱交換装置4の設置位置、形状、大きさ、長さ等の構成は、熱回収部のスペースの大きさ等の条件を考慮して最適に設計すれば良い。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0042】
1 熱交換システム
2 下水管(排水貯留設備)
3、3C ヒートパイプ
3A 第1蒸発部
3B 第1凝縮部
4 循環熱交換装置
4A 第2蒸発部
4B 第2凝縮部
4C 第1循環路
4D 第2循環路
10 路盤(熱回収部)
10a 路面
31 ヒートパイプの熱媒体
41 循環熱交換装置の熱媒体
42A 第1縦配管
42B 第2縦配管
42a 外周面
43 冷却部
P 熱交換部
W 排水(放熱部)
図1
図2