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特許7374784データ収集解析装置及びデータ収集解析方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】データ収集解析装置及びデータ収集解析方法
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20231030BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B10/00 N
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020011022
(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公開番号】P2021117767
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-08-12
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121980
【弁理士】
【氏名又は名称】沖山 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100128107
【弁理士】
【氏名又は名称】深石 賢治
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 沙津希
(72)【発明者】
【氏名】越智 大介
(72)【発明者】
【氏名】山内 隆史
(72)【発明者】
【氏名】檜山 聡
【審査官】梅岡 信幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-140172(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 9/00-10/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のデータソース装置から予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを取得するデータ取得機能と、
予測対象とは異なる複数の妊婦の妊娠に関するデータと前記複数の妊婦に係る出産日との関係性を解析することによって生成された出産日予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを適用することによって、前記予測対象の妊婦に係る出産日の予測を行う出産日予測機能と、
を有し、
前記出産日予測モデルは、妊婦の属性によって当該妊婦を1または複数の群に層別化し、各層それぞれについて、特定の妊娠期間のデータを利用して、出産日と関連が大きいデータ項目を出産日予測に利用する特徴量として抽出することによって、生成されたものである、データ収集解析装置。
【請求項2】
前記出産日予測機能は、前記予測対象の妊婦の妊娠に関するデータに欠損がある場合に、前記予測対象とは異なる妊婦の妊娠に関するデータに基づいて前記欠損を補間する、請求項1に記載のデータ収集解析装置。
【請求項3】
複数のデータソース装置から予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを取得するデータ取得機能と、
予測対象とは異なる複数の妊婦の妊娠に関するデータと前記複数の妊婦に係る所定期間内の出産有無との関係性を解析することによって生成された出産有無予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを適用することによって、前記妊婦に係る所定期間内での出産有無の予測を行う出産有無予測機能と、
を有し、
前記出産有無予測モデルは、妊婦の属性によって当該妊婦を1または複数の群に層別化し、各層それぞれについて、特定の妊娠期間のデータを利用して、所定期間内の出産有無予測と関連が大きいデータ項目を出産有無の予測に利用する特徴量として抽出することによって、生成されたものである、データ収集解析装置。
【請求項4】
前記出産有無予測機能は、前記予測対象の妊婦の妊娠に関するデータに欠損がある場合に、前記予測対象とは異なる妊婦の妊娠に関するデータに基づいて前記欠損を補間する、請求項に記載のデータ収集解析装置。
【請求項5】
データ収集解析装置により実行されるデータ収集解析方法であって、
複数のデータソース装置から予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを取得することと、
複数の妊婦の妊娠に関するデータと前記複数の妊婦に係る出産日との関係性を解析することによって生成された出産日予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを適用することによって、前記予測対象の妊婦に係る出産日の予測を行うことと、
を含み、
前記出産日予測モデルは、妊婦の属性によって当該妊婦を1または複数の群に層別化し、各層それぞれについて、特定の妊娠期間のデータを利用して、出産日と関連が大きいデータ項目を出産日予測に利用する特徴量として抽出することによって、生成されたものである、データ収集解析方法。
【請求項6】
データ収集解析装置により実行されるデータ収集解析方法であって、
複数のデータソース装置から予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを取得することと、
予測対象とは異なる複数の妊婦の妊娠に関するデータと前記複数の妊婦に係る所定期間内の出産有無との関係性を解析することによって生成された出産有無予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦の妊娠に関するデータを適用することによって、前記妊婦に係る所定期間内での出産有無の予測を行うことと、
を含み、
前記出産有無予測モデルは、妊婦の属性によって当該妊婦を1または複数の群に層別化し、各層それぞれについて、特定の妊娠期間のデータを利用して、所定期間内の出産有無予測と関連が大きいデータ項目を出産有無の予測に利用する特徴量として抽出することによって、生成されたものである、データ収集解析方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に医療診断技術に関し、より詳細には、非侵襲的に実施する妊婦の出産日予測又は所定期間内の出産有無予測のためのデータ収集解析装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
妊婦の出産予定日は、最終月経日や超音波検査などを0日とした場合に40週0日(280日)として妊娠初期に算出される。しかし、実際には、妊婦の体質や妊娠中の体調なども影響するため、単胎自然分娩の場合でも、出産日は平均約39±2週という幅広い分布となっており、出産予定日と出産日との間には大きな乖離がある。
【0003】
正確な出産日の予測には、妊婦やその家族においては、いつ出産するかという心理的不安の低減及び家族の出産準備に対して需要がある。また、医療機関においても、計画出産の日程調整や計画出産に伴う人員配置等の確保(リソースの確保)に対して正確な出産日の予測に対する需要があると考えられる。
【0004】
従来の出産日の予測では、受診時に取得されるビショップスコアを基に医師が判断することが主流であった。しかしこの方法には、予測自体が医師の経験則によるためこの方法の精度に改善の余地があった。また、ビショップスコアは分娩に近い時期に計算される。したがって、妊婦やその家族が出産に対応するための計画を立てるためには時期的に有用とはいえない場合がある。
【0005】
妊婦の体質や妊娠中の体調に基づいた疫学的な出産日の予測に関する研究としては、例えば、高齢や体内のホルモンの一種であるプロゲステロン値が妊娠中に増加が妊娠週数の長さに関連するという報告(非特許文献1)がある。しかし、この研究では、関連調査に限られている。
【0006】
また、妊娠週数を予測した研究では、出生時の先天性代謝異常スクリーニングの一部として測定された児の血漿中の代謝物を用いることで、早産と正期産とを区別し、妊娠週数を2週間以内の誤差で特定したという報告(非特許文献2)がある。しかし、この研究は、産後のデータを用いて予測が行われているため、出産前の予測に適用することができない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】“Lengthof human pregnancy and contributors to its natural variation”, Jukic AM, HumanReproduction 2013 (https://academic.oup.com/humrep/article/28/10/2848/620772)
【文献】“Gestationaldating by metabolic profile at birth: a California cohort study”, Jelliffe-Pawlowski LL et al ., American Journal of Obstetrics andGynecology 2016 (https://www.ajog.org/article/S0002-9378(15)02402-3/fulltext)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本開示は、妊婦の出産日に関する予測が可能なデータ収集解析装置及びデータ収集解析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本開示の一の例示的形態に係るに係るデータ収集解析装置は、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得するデータ取得機能と、予め保持されている出産日を予測するための出産日予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、前記予測対象の妊婦に係る出産日の予測を行う出産日予測機能と、有する。
【0010】
本開示の一の例示的形態に係るに係るデータ収集解析装置は、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得するデータ取得機能と、予め保持されている所定期間内の出産の有無を予測するための出産有無予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、前記妊婦に係る所定期間内での出産有無の予測を行う出産有無予測機能と、有する。
【0011】
本開示の一の例示的形態に係るに係るデータ収集解析方法は、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得することと、予め保持されている出産日を予測するための出産日予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、前記予測対象の妊婦に係る出産日の予測を行うことと、を含む。
【0012】
本開示の他の例示的形態に係るに係るデータ収集解析装置は、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得することと、予め保持されている所定期間内の出産の有無を予測するための出産有無予測モデルに対して、前記予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、前記妊婦に係る所定期間内での出産有無の予測を行うことと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、妊婦の出産日に関する予測が可能なデータ収集解析技術を有するデータ収集解析装置及びデータ収集解析方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1は、本開示の一実施形態に係るシステムのシステム構成を示すブロック図である。
図2図2は、一実施形態に係る測定値転送装置の機能構成を示すブロック図である。
図3図3は、一実施形態に係る体調登録装置の機能構成を示すブロック図である。
図4図4は、一実施形態に係る気象情報取得装置の機能構成を示すブロック図である。
図5図5は、一実施形態に係る調査票登録装置の機能構成を示すブロック図である。
図6図6は、一実施形態に係る診療記録登録装置の機能構成を示すブロック図である。
図7図7は、一実施形態に係る収集解析装置の機能構成を示すブロック図である。
図8図8は、データ収集解析処理を示すフローチャートである。
図9図9は、出産日予測モデル生成処理を示すフローチャートである。
図10図10は、出産日予測モデル生成において選定された特徴量の組み合わせを示す表である。
図11図11は、出産日予測処理を示すフローチャートである。
図12図12は、所定期間内の出産有無予測モデル生成処理を示すフローチャートである。
図13図13は、7日以内の出産有無予測モデルの生成において選定された特徴量の組み合わせの例を示す表である。
図14図14は、所定期間内の出産有無予測処理を示すフローチャートである。
図15図15は、一実施形態に係るデータ収集システムを構成する各装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
以下の実施形態では、出産日予測と所定期間内の出産有無予測のためのデータ収集解析装置が開示される。データ収集解析装置では、妊婦の生活習慣等に係るデータのうち、複数のデータを組み合わせて予測精度を向上させる。データ収集解析装置では、取得するデータが1つの時点の測定値だけではなく、例えば、連続的に、または定期的など複数の時点にて断続的に取得してモデルの作成及び予測に使用した場合、取得したデータから想起バイアスを極力排除することができ、客観的なデータに基づいた予測を行うことを可能とする。
【0017】
具体的には、データ収集システムでは、妊婦の生活等に係る情報に基づいて、出産日の予測、及び、所定期間内の出産有無に関するモデルを作成し、予め作ったモデルを用いて対象となる妊婦についてこれらの予測を行う。妊婦の出産日に影響を与える要因は種々のものが考えられる。したがって、妊娠初期または妊娠前より、以下のような多様なデータを取得する。
1)血圧計、体重計、活動量計、体温計などの計測装置の日々のデータ
2)日々の気分、睡眠、便通、吐き気、痛み、子宮収縮、動悸、胎動間隔、食事内容、服薬内容などの体調データ
3)妊婦の居住地の気温、天候、湿度、気圧、潮汐などの日々の生活環境データ
4)食習慣、睡眠状況、喫煙等の生活習慣に関する定期的な調査票データ
5)妊婦健診等の定期的な診療記録データ
【0018】
上記のように多様なデータを取得し、これらのデータから出産日に関する予測を行う。上記1)~3)に関しては、妊娠期間中やその前後において、1日数回から1週間に数回など高頻度にデータを取得した場合、さらに、上記1)、3)などによる客観的なデータ取得と、2)による日々の登録において妊婦が記憶するべき間隔を短くすることにより、想起バイアスの排除又は低減を実現することができる。なお、上記のデータのうち、1)~3)のデータ項目はライフログと定義される。また、データの収集は連続的に行ってもよく、連続的に収集したデータを用いた解析は得られたデータから適宜選択したものを解析に使用することでもよい。
【0019】
出産日予測モデル及び所定期間内の出産有無予測モデルを生成するために、これらのライフログや調査票、診療記録等を取得し、妊婦の環境情報と、遺伝情報を充実させることができる。つまり、本発明は、非侵襲的に出産日予測及び/又は所定期間内の出産有無予測のために、妊婦の妊娠期間中や産後に日々のライフログとして、例えば、血圧計、体重体組成計、活動量計、体温計等で計測した客観データ、日々の気分、睡眠、便通、吐き気、痛み、子宮収縮、動悸、胎動、食事、服薬などの妊婦の体調に関するデータを取得すると共に、妊婦の居住地の気温、天候、湿度、気圧、潮汐などの客観データを取得し、これらを組み合わせて解析することによって、高精度な出産日予測又は所定期間内の出産有無予測を実現することができる。
【0020】
以下、具体的な構成について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
(データ収集システム)
図1~7を参照して、本開示の一実施形態に係るデータ収集システム及びデータ収集システムに含まれる各装置について説明する。
【0022】
図1は、データ収集システムのシステム構成を示すブロック図である。図1に示されるように、データ収集システム10は、計測装置20、測定値転送装置30、体調登録装置40、気象情報取得装置50、調査票登録装置60、診療記録登録装置70、及びデータ収集解析装置100を有する。なお、図示されたシステム構成は一例にすぎず、一部の装置は省かれてもよいし、あるいは、他の装置が追加されてもよい。例えば、データ収集システム10は、計測装置20又は体調登録装置40のいずれか一方又は両方、診療記録登録装置70及びデータ収集解析装置100を有し、任意的に、測定値転送装置30、気象情報取得装置50及び/又は調査票登録装置60を有してもよい。
【0023】
計測装置20は、妊婦の生理データなどを計測する装置である。一例として、計測装置20には、血圧計、体重計、活動量計、体温計等が含まれ得る。計測装置20の機能に応じて、計測される生理データの種類が変わり得る。一例として、血圧計は、収縮期血圧、拡張期血圧、脈拍数、室温などを計測する。体重計は、体重、BMI、体脂肪率、骨格筋率などを計測する。活動量計は、歩数、消費カロリーなどを計測する。体温計は、体温などを計測する。計測装置20において計測される生理データの種類及びその数は特に限定されない。一例として、計測装置20による測定は、血圧計については1日朝晩の2回、その他は1日朝1回を想定するが、その限りではなく、1回、または連続的に、あるいは任意の間隔で複数回断続的に計測することも可能である。計測装置20における妊婦の生理データに係る計測は、妊娠期間中やその前後において1回、または連続的に、あるいは1日数回から1週間に数回など高頻度に行われ得る。
【0024】
測定値転送装置30は、計測装置20とデータ収集解析装置100との間でデータを転送する機能を有する。測定値転送装置30は、ネットワークNを介した通信を行うことが可能とされ、計測装置20から取得した計測結果をデータ収集解析装置100へ送信する。なお、計測装置20自体が測定値転送装置30としての機能を含み、データ収集解析装置100に対して計測値を直接送信するようにしてもよい。
【0025】
体調登録装置40は、妊婦の日々の体調情報を妊婦自身から取得するための機能を有する。一例として、体調登録装置40は、アプリケーションを用いてスマートフォンに実装可能とされる。また、体調登録装置40は入力インタフェースがWEBページ等によって設けられていてもよい。妊婦は、体調登録装置40を操作し、自らの体調情報を入力する。これにより、体調登録装置40は、妊婦の体調情報を取得することができる。ここで、体調情報は、例えば、気分、睡眠(睡眠時間、就寝/起床時刻、就寝中に起きた回数、睡眠の質等)、便通(回数、柔らかさ等)、吐き気(吐き気を感じた総時間、嘔吐の回数、空嘔吐の回数等)、痛み(痛みが生じる場所、強さ等)、子宮収縮(痛みを伴わない子宮収縮回数、痛みを伴う子宮収縮回数等)、動悸、胎動間隔、食事内容、服薬内容などのデータ項目を含むものであってもよいが、これらに限定されない。体調情報の登録期間は、妊娠前もしくは妊娠中の任意の時点から、出産もしくは産後の任意の時点までの間が想定される。また、体調登録間隔は、主なデータ項目は1日1回を想定するが、食事内容や服薬内容など一部のデータ項目については、1日複数回の入力が想定される。ただし、体調情報の登録期間及び登録間隔等は上記に限定されるものではない。
【0026】
気象情報取得装置50は、妊婦の居住地に係る気象情報を取得する機能を有する。気象情報取得装置50は、一般に公開されている気象情報のデータベース等から、妊婦の居住地に係る気象情報を取得する。ここで、気象情報は、例えば、所定の期間毎(1時間単位、1日単位など)の天候(日付、降水量、全天日射量、平均雲量、降雪の深さ、最深積雪等)、降水確率、気温(平均気温、最高気温、最低気温等)、湿度、風速、風向、気圧、潮汐、月齢などのデータ項目を含むものであってもよいが、これらに限定されない。また、気温、降水量、風向き、風速、日照時間、湿度、気圧、天気概況等については、1時間毎に取得されてもよいが、これらに限定されるものでない。また、データの単位も1日や時間に限定されず、週単位、月単位、年単位であってもよい。
【0027】
調査票登録装置60は、妊婦に係る調査を行った結果に係る調査票に含まれる情報を登録する機能を有する。調査票とは、妊婦に対して定期的に行われる基本的な生活状況等に係る調査の結果を記録するものである。具体的には、入力担当者が、妊婦から取得した調査票の情報を調査票登録装置60に登録する。ここで、調査票の情報は、例えば、妊婦やその家族の家族構成、妊婦や家族の既往歴、妊娠出産歴、食生活、睡眠状況、服薬状況、喫煙飲酒状況、運動状況、勤務状況、精神的状況などのデータ項目を含むものであってもよいが、これらに限定されない。
【0028】
診療記録登録装置70は、妊婦に係る診療記録を取得する機能を有する。一例として、入力担当者が妊婦に係る診療の内容に係る情報を入力することで、診療記録登録装置70において当該情報が登録される。診療の内容に係る情報には、例えば、診療日、各種検査に係る検査値、医師の所見などの記録が含まれ得る。妊婦に係る診療記録には、妊婦が医療機関で受診した場合の記録が含まれ得る。なお、任意で妊婦の定期的な妊婦健診等の診療情報が、診療記録登録装置70に登録されてもよい。
【0029】
データ収集解析装置100は、上述の計測装置20、測定値転送装置30、体調登録装置40、気象情報取得装置50、調査票登録装置60及び診療記録登録装置70の1つ以上の装置から、各装置で保持されている情報を収集し、出産日予測モデル及び/又は所定期間内の出産有無予測モデルを生成し、モデルに基づいた出産日及び/又は所定期間内の出産有無に係る予測を実施する。
【0030】
ネットワークNは、一例として移動体通信網等の無線通信ネットワークが挙げられる。なお、ネットワークNは、単一のネットワークではなく、複数の通信網から構成されていてもよい。
【0031】
図2図7を参照しながら、上記のデータ収集システム10に含まれる各装置について説明する。
【0032】
図2は、データ収集システム10に含まれる測定値転送装置30の機能構成を示すブロック図である。測定値転送装置30は、データ取得機能31、データ転送機能32、計測装置認証機能33及び利用者認証機能34を有する。
【0033】
データ取得機能31は、1つ以上の計測装置20と通信し、計測装置20から計測結果を取得する機能を有する。計測装置20からの計測結果の取得のタイミングは特に限定されず、例えば、妊婦に係る計測を行う度に計測装置20から測定値転送装置30へ計測結果が送られる構成としてもよく、測定値転送装置30からデータ収集解析装置100へ計測結果を送信するタイミングで計測装置20から計測結果を取得する構成としてもよい。また、測定値転送装置30と計測装置20との間の通信方式は特に限定されず、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、NFC、ZigBee(登録商標)、USB接続、モバイル通信(3G、LTE、4G、5Gなど)等を用いることができる。計測装置20から取得される計測結果の項目としては、例えば、血圧、体重、活動量、体温等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
データ転送機能32は、計測装置20から取得した計測結果を、ネットワークNを介してデータ収集解析装置100に転送する機能を有する。計測結果の転送は、計測装置20からの計測結果の取得毎に行われてもよいし、所定の間隔で定期的に行われてもよい。また、データ収集解析装置100での処理を行う際に、過去に取得された計測結果を全て転送する構成としてもよい。
【0035】
計測装置認証機能33は、通信先の計測装置20を認証する機能を有する。また、利用者認証機能34は、妊婦などの測定値転送装置30の利用者を認証する機能を有する。
【0036】
図3は、体調登録装置40の機能構成を示すブロック図である。体調登録装置40は、データ登録機能41、データ転送機能42及び利用者認証機能43を有する。
【0037】
データ登録機能41は、妊婦などの利用者からの入力内容をデータとして登録する機能を有する。妊婦から入力されるデータ項目としては、例えば、日々の気分、睡眠、便通、吐き気、痛み、子宮収縮、動悸、胎動間隔、食事内容、服薬内容などの妊婦の体調データが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、当該データは、妊娠期間中やその前後において1回、または連続的に、あるいは1日数回から1週間に数回など高頻度に取得されてもよい。
【0038】
データ転送機能42は、登録されたデータをデータ収集解析装置100に転送する機能を有する。データの転送は、データ登録機能41がデータを登録する度に行われてもよいし、所定の間隔で定期的に行われてもよい。
【0039】
利用者認証機能43は、妊婦などの体調登録装置の利用者を認証する機能を有する。
【0040】
図4は、気象情報取得装置50の機能構成を示すブロック図である。気象情報取得装置50は、データ取得機能51及びデータ転送機能52を有する。
【0041】
データ取得機能51は、気象情報データベースXから気象情報を取得する機能を有する。気象情報データベースXとしては、例えば、一般公開されているデータベースが挙げられる。例えば、気象情報には、例えば、妊婦の居住地の気温、天候、湿度、気圧、潮汐などの情報が含まれるが、これらに限定されるものではない。また、気象情報は、妊娠期間中やその前後において1回、または連続的に、あるいは1日数回から1週間に数回など高頻度に取得されてもよい。
【0042】
データ転送機能52は、取得したデータをデータ収集解析装置100に転送する機能を有する。データの転送は、データ取得機能51がデータを取得する度に行われてもよいし、所定の間隔で定期的に行われてもよい。
【0043】
図5は、調査票登録装置60の機能構成を示すブロック図である。調査票登録装置60は、データ登録機能61及びデータ転送機能62を有する。
【0044】
データ登録機能61は、調査票情報の入力担当者が入力するデータを登録する機能を有する。入力担当者は、例えば、妊婦が記入した調査票D1を妊婦から取得し、調査票D1に記載された情報を調査票登録装置60へ入力する。データ登録機能61は、この情報を調査票情報として登録する。妊婦に関する調査票情報としては、例えば、妊婦やその家族の家族構成、妊婦や家族の既往歴、妊娠出産歴、食生活、睡眠状況、服薬状況、喫煙飲酒状況、運動状況、勤務状況、精神的状況などの妊婦やその家族の生活習慣に関する情報が含まれるが、これらに限定されない。調査票情報は、妊娠期間中またはその前後において1回、または定期的に登録されてもよい。
【0045】
データ転送機能62は、登録したデータをデータ収集解析装置100に転送する機能を有する。データの転送は、データ登録機能61がデータを登録する度に行われてもよいし、所定の間隔で定期的に行われてもよい。
【0046】
図6は、診療記録登録装置70の機能構成を示すブロック図である。診療記録登録装置70は、データ登録機能71及びデータ転送機能72を有する。
【0047】
データ登録機能71は、診療記録の入力担当者が入力するデータを登録する機能を有する。入力担当者は、診療記録D2に含まれる情報を診療記録登録装置70へ入力する。データ登録機能71は、この情報を診療記録として登録する。診療記録には、例えば、医師などにより記録された妊婦健診などの診療記録が含まれてもよい。また、妊婦健診とは関係がない診療に関する記録等が診療記録に含まれてもよい。診療記録に係る情報は、例えば、妊婦が医療機関を受診する度に登録されてもよい。
【0048】
データ転送機能72は、登録したデータをデータ収集解析装置100に転送する機能を有する。データの転送は、データ登録機能71がデータを登録する度に行われてもよいし、所定の間隔で定期的に行われてもよい。
【0049】
図7は、データ収集解析装置100の機能構成を示すブロック図である。データ収集解析装置100は、データ取得機能110、データ保存機能120、出産日予測モデル生成機能130、出産日予測機能140、所定期間内の出産有無予測モデル生成機能150、所定期間内の出産有無予測機能160、及び結果通知機能170を有する。
【0050】
データ取得機能110は、複数のデータソース装置から妊婦に関するデータを取得する機能を有する。また、データ取得機能110は、妊婦の妊娠前後の何れかの時期から出産前後の何れかの時期までのデータ取得期間において、妊婦に関するデータを1回、または連続的に、あるいは複数の時点にて断続的に取得する。すなわち、データ取得機能110は、上述した計測装置20、測定値転送装置30、体調登録装置40、気象情報取得装置50、調査票登録装置60及び/又は診療記録登録装置70などのデータソース装置から、妊婦の妊娠前後の何れかの時期から出産前後の何れかの時期までのデータ取得期間において、妊婦に関する1つ以上のデータ項目のデータを、例えば、1回、または連続的に、あるいは定期的など複数の時点にて断続的に取得する。
【0051】
妊婦に関するデータは、上記の各装置で取得される情報であり、例えば、非妊娠時BMI、妊娠回数、出産回数、妊娠時年齢、血圧、脈拍、体重、BMI、歩数、消費カロリー、体温、気分、睡眠時間、就寝時刻、起床時刻、就寝中に起きた回数、睡眠の質、便通の回数、便通の柔らかさ、子宮収縮、頭の痛み、歯の痛み、上腹部の痛み、下腹部の痛み、腰の痛み、吐き気、嘔吐、動悸、胎動間隔、食事内容、服薬内容、既往歴、妊娠状況(単胎・多胎)、気温、室温、湿度、気圧、天気概況、潮汐、月齢等が含まれ得る。これらのデータ項目に関する1つ以上のデータ項目を含むものであってもよい。
【0052】
データ保存機能120は、データ取得機能110において取得した妊婦に関するデータを保存する機能を有する。保存されたデータは、必要に応じて後述の出産日予測モデル生成機能130、出産日予測機能140、所定期間内の出産有無予測モデル生成機能150、所定期間内の出産有無予測機能160等で使用され得る。
【0053】
なお、データ保存機能120で保存するデータは、妊娠中の妊婦のデータに限定されず、例えば、出産後の妊婦に係るデータも保存される。出産後の妊婦に係るデータについては、出産時の情報も妊婦に係るデータに対応付けて保存される。出産時の情報とは、出産日に係る情報(出産予定日との対応関係に係る情報を含んでもよい)、帝王切開の有無に係る情報、合併症の有無に係る情報が挙げられる。
【0054】
出産日予測モデル生成機能130は、出産日予測モデルを生成及び保存する機能を有する。例えば、出産日予測モデル生成機能130は、合併症を発症せずに且つ帝王切開せずに出産した妊婦を含む複数の妊婦から取得した妊婦に関するデータに基づき、出産日予測モデルを生成及び更新してもよい。具体的には、出産日予測モデルは、後述のモデル導出方法に従って生成されてもよい。
【0055】
出産日予測機能140は、出産日予測モデルに基づき、取得した妊婦に関するデータから妊婦の出産日予測を実行する機能を有する。
【0056】
所定期間内の出産有無予測モデル生成機能150(「出産有無予測モデル生成機能150」という場合がある)は、所定期間内の出産有無予測モデルを生成及び保存する機能を有する。例えば、出産有無予測モデル生成機能150は、合併症を発症せずに、及び帝王切開せずに出産した妊婦を含む複数の妊婦から取得した妊婦に関するデータに基づき、所定期間内の出産有無予測モデルを生成し更新してもよい。具体的には、出産日予測モデルは、以下の詳細に説明されるようなモデル導出方法に従って生成されてもよい。
【0057】
所定期間内の出産有無予測機能160(「出産有無予測機能160」という場合がある)は、所定期間内の出産有無予測モデルに基づき、取得した妊婦に関するデータから妊婦の所定期間内の出産有無予測を実行する機能を有する。
【0058】
結果通知機能170は、出産日予測機能140または出産有無予測機能160によって実行された出産日予測の結果を妊婦、医療関係者などに通知する機能を有する。
【0059】
上述した各装置は、それぞれが単独の装置であることもあれば、ある装置が他の装置の機能の一部又は全部を備えることもある。
【0060】
(データ収集解析方法)
次に、データ収集解析装置100におけるデータ収集解析方法について説明する。データ収集解析方法に係る処理は、上述したデータ収集解析装置100によって実行される。
【0061】
次に、図8を参照して、本発明の一実施例によるデータ収集解析処理を説明する。当該データ収集解析処理は、上述したデータ収集解析装置100によって実行され得る。
【0062】
まず、ステップS100において、データ収集解析装置100は、上述した計測装置20、測定値転送装置30、体調登録装置40、気象情報取得装置50、調査票登録装置60及び/又は診療記録登録装置70などのデータソース装置の全て又は一部からデータを取得し、取得したデータを保存する。具体的には、データ収集解析装置100は、妊婦の妊娠前後の何れかの時期から出産前後の何れかの時期までのデータ取得期間において、各装置からデータを1回、または連続的に、あるいは定期的など複数の時点で断続的に取得する。
【0063】
妊婦は、妊娠前もしくは妊娠中の任意の時点から、出産もしくは産後の任意の時点までの間、計測装置20を使用する。妊婦が計測装置20を使用することにより、計測装置20では計測結果が取得される。計測装置20は、測定値転送装置30に対して計測結果を送信する。測定値転送装置30は、各計測装置20から計測データを取得し、データ収集解析装置100に転送する。
【0064】
また、妊婦は、体調登録装置40に自身の体調を登録する。体調登録装置40は、登録したデータをデータ収集解析装置100に送信する。
【0065】
気象情報取得装置50は、気象情報を収集する。気象情報取得装置50は、登録した気象情報をデータ収集解析装置100に送信する。同様に、調査票登録装置60は、妊婦が記入した定期的な調査票の情報を取得する。調査票登録装置60は、登録したデータをデータ収集解析装置100に送信する。さらに、診療記録登録装置70は、妊婦に係る診療記録を取得する。診療記録登録装置70は、登録したデータをデータ収集解析装置100に送信する。
【0066】
ステップS101において、データ収集解析装置100は、取得したデータを参照し、各種のデータにおける異常値を検出及び除去すると共に、欠測値を補間する。例えば、日々の収縮期血圧が120mmHgである妊婦が、ある1日だけ60mmHgであることを示すデータが収集されたとする。この場合、データ収集解析装置100は、当該測定値を実際の値ではなく計測エラーとみなして、当該測定値を除去する。この除去基準の一例として、データ収集解析装置100は、その妊婦のこれまでの収縮期血圧の平均μと標準偏差σを計算し、ある計測値が平均μよりnσ以上解離していた場合に、当該計測値を除去する(nは任意の数値)ことが考えられる。ただし、この方法に限定されない。また、上記は収縮期血圧に係る除去基準の一例であり、他のデータ項目についてもそれぞれ除去基準が設定され得る。
【0067】
また、欠測値に関しては、前後の点を用いた線形補間やスプライン補間や、欠測値以外の計測点にフィッティングしたモデルを用いて補間する方法などがあるが、それらに限定されない。
【0068】
なお、異常値の除去及び欠測値の補完の対象となるデータ項目は、データ収集解析装置100が収集するデータの一部である。一例として、計測装置20から取得される計測結果はこの処理の対象となり得る。一方、診療記録等に含まれる検査値等は異常値であっても除去の対象とはしないことが考えられる。したがって、ステップS101を行う対象となるデータ項目は適宜設定され得る。
【0069】
ステップ102において、データ収集解析装置100は、既に出産して、出産状況が確定している妊婦のデータを参照し、このデータの中から、妊娠中に妊娠合併症を発症せず、且つ帝王切開をせずに出産した妊婦に係るデータを抽出する。データ保存機能120には、出産後の妊婦のデータも保存されているので、これらのデータの中から出産時に係る情報を参照して、対象となるデータを抽出する。このとき、データ項目の一部のデータ項目を加工し、新たにデータ項目として追加するデータの「加工」を行ってもよい。データの「加工」については後述する。
【0070】
ステップS102の後、ステップS012において抽出されたデータを用いて、ステップS103,ステップS104と、ステップS105,ステップS105と、がそれぞれ個別に行われ得る。
【0071】
ステップS103において、データ収集解析装置100は、ステップS102において抽出した対象となるデータから、特徴量を選択し、出産日予測モデルを生成する。具体的には、データ収集解析装置100は、ステップS103において、出産日と関連が大きいデータ項目を抽出し、いつ出産するかを予測するモデルとして出産日予測モデルを生成する。出産日予測モデルの生成に係る処理については後述する。
【0072】
ステップS103の後ステップS104が行われる。ステップS104において、データ収集解析装置100は、生成された出産日予測モデルに対して予測対象の妊婦に係るデータをそれぞれ投入し、出産日予測を実行する。出産日予測に係る処理については後述する。
【0073】
一方、ステップS105において、データ収集解析装置100は、出産日と関連が大きいデータ項目や出産前の所定期間内にデータの変化が大きいデータ項目を抽出し、所定期間内に出産するか否かを分類するモデルとして所定期間内の出産有無予測モデルを生成する。所定期間内の出産有無予測モデルの生成に係る処理については後述する。
【0074】
ステップS105の後ステップS106が行われる。ステップS106において、データ収集解析装置100は、生成された所定期間内の出産有無予測モデルに予測対象の妊婦のデータをそれぞれ投入し、所定期間内の出産有無予測を実行する。所定期間内の出産有無予測に係る処理については後述する。
【0075】
ステップS103及びステップS105では、データ収集解析装置100は、それぞれ特徴量として、予測対象(出産日、または、所定期間内の出産有無予測)と関連が大きいデータ項目を抽出する。このときのデータ項目の抽出には、ウェルチのt検定、スチューデントのt検定、多変量解析、多変量ロジスティック回帰、カイ二乗検定、フィッシャーの正確確率検定などを用いた方法や、Lasso回帰やRidge回帰、Elastic Netなどにより有用なデータ項目を限定する方法や主成分分析の寄与率などからデータ項目を限定する方法がある。ただし、予測対象(出産日、または、所定期間内の出産有無予測)と関連が大きいデータ項目を抽出する方法は、これらの方法に限定されるものでない。なお、特徴量とは、何らかの予測モデルを作成する際にモデルの変数として使用するデータ項目のことを指し、例えば血圧、体温などである。
【0076】
また、データ収集解析装置100は、予測モデルの作成には、線形回帰モデル、ロジスティック回帰モデル、SVMによる回帰モデル、多層ニューラルネットワークによる回帰モデル等のモデルが使用され得るが、それらに限定されるものでない。また、所定期間内に出産するかしないかの分類モデルにおいては、線形分類、ロジスティック回帰、ベイジアンネットワーク、SVM、k近傍法、ランダムフォレスト、多層ニューラルネットワークによる分類モデルなどもあるが、それらに限定されるものでない。また、ステップS103、S105は、データ項目抽出と予測モデル生成を切り離して処理されてもよい。
【0077】
ステップS103,ステップS104、及び/又は、ステップS105,ステップS105が行われた後に、ステップS107が行われる。ステップS107において、データ収集解析装置100は、出産日予測結果及び/又は所定期間内の出産有無予測結果を妊婦又は医療機関に通知する。妊婦又は医療機関へは、出産日予測結果及び/又は所定期間内の出産有無予測結果を出産時期や出産する確率などに変換した値を通知してもよい。以上の処理によって、データ収集解析に係る処理が終了する。
【0078】
なお、出産日予測モデル又は所定期間内の出産有無予測モデルで用いられるデータ項目は、非妊娠時BMI、妊娠回数、出産回数、妊娠時年齢、血圧、脈拍、体重、BMI、歩数、消費カロリー、体温、気分、睡眠時間、就寝時刻、起床時刻、就寝中に起きた回数、睡眠の質、便通の回数、便通の柔らかさ、子宮収縮、頭の痛み、歯の痛み、上腹部の痛み、下腹部の痛み、腰の痛み、吐き気、嘔吐、動悸、胎動間隔、食事内容、服薬内容、既往歴、妊娠状況(単胎・多胎)、気温、室温、湿度、気圧、天気概況、潮汐、月齢の1つ以上に限定されてもよい。これにより、より少ないデータ数で効率的にモデルの生成及び利用が可能となる。
【0079】
(出産日予測モデル生成処理)
図9は、出産日予測モデルの生成に係る処理を示すフローチャートである。図8では、データ収集解析に係る一連の処理を説明したが、図9では、出産日予測モデルの生成に関して詳細な手順を説明する。出産日予測モデル生成処理は、上述された図8のステップS102,S103において実行可能であり、後述されるステップS102-1~3がステップS102におけるモデル生成に利用するデータの抽出処理に対応し、ステップS103-1~10がステップS103の出産日予測モデルの生成処理に対応する。
【0080】
まず、ステップS102-1において、データ収集解析装置100は、取得したデータ項目の一部のデータ項目を加工し、新たにデータ項目として追加する。具体的には、データ収集解析装置100は、一部のデータ項目について、以下に限定することなく、数日前のデータとの差、数日間の平均及び分散、計測値の近似モデルを生成したその微分、二階微分などを導出する。なお、データの「加工」とは、収集された各データ項目について、その一部また全部から新たにデータを算出する処理を指す。データをどのように加工するかは、過去のモデル生成時に有用であった(精度改善に有効であった)データが何であったか等に基づいて設定されていてもよい。
【0081】
ステップS102-2において、データ収集解析装置100は、元のデータとS102-1で生成したデータとを結合した上で、モデル生成のために、既に出産済みの妊婦のデータを抽出する。
【0082】
ステップS102-3において、データ収集解析装置100は、モデル生成のために、既に出産済みの妊婦のデータから、正期産で出産した妊婦であり、妊娠中に妊娠合併症を発症しておらず、且つ帝王切開を適用していない妊婦を抽出する。
【0083】
次に、ステップS103-1において、データ収集解析装置100は、出産日予測に有用なデータ項目が妊婦の属性(経産歴など)ごとに異なる変化をすることを前提とし、出産日と関連が大きいデータ項目の抽出を属性ごとに層別化して算出するループを開始する。層別化のために、非妊娠時BMI、年齢、既往歴、出産歴、児の性別などの妊婦の属性が利用されてもよい。例えば、妊婦の経産歴ごとにデータ項目を抽出する場合、妊婦の経産歴をt1-1~t1-n群(例えば、t1-1=経産歴あり、t1-2=経産歴なし)に分けるとすると、妊婦の経産歴を示すパラメータi=t1でループ内処理を実行し、次にi=t1-2として実行し、最終的にi=t1-nとして実行する。
【0084】
ステップS103-2において、データ収集解析装置100は、出産日予測に有用なデータ項目が妊娠期間ごとに変化することを前提とし、出産日と関連が大きいデータ項目の抽出を妊娠期間ごとに層別化して算出するループを開始する。妊娠期間として、妊娠初期、や妊娠中期や妊娠後期など複数に分割された妊娠期間を利用してもよいし、妊娠週数が利用されてもよい。例えば、N~N+n週(例えば、N=16、N+n=38)まで各週で出産日予測に有用なデータ項目を算出する場合、妊娠日数を示すパラメータt2をt2=N×7(日)でループ内処理を実行し、次にt2=(N+1)×7として実行し、最終的にt2=(N+n)×7として実行する。
【0085】
ステップS103-3において、データ収集解析装置100は、複数のデータ項目のうち出産日と関連する有効データ項目を算出するため、データ項目ごとに算出するループt3を開始する。
【0086】
ステップS103-4において、データ収集解析装置100は、各データ項目と出産日との関連の大きさを確認するために、重回帰を用いてp値を算出及び/又は、Lasso回帰やElastic Net回帰などを用いて特徴量抽出のための出産日予測モデルMaを生成し、妊婦の実際の出産日と出産日予測モデルMaを適用して算出された予測日との誤差をRoot Mean SquareError(RMSE)などを用いて算出する。
【0087】
ステップS103-5において、データ収集解析装置100は、t3のループを終了する。
【0088】
ステップS103-3、ステップ103-4及びステップS103-5ではデータ項目毎にループを回しているが、複数のデータ項目から出産日予測に有用なデータ項目を同時に複数選択するために、データ項目ごとにループを回さずに処理してもよい。また、ステップS103-3、ステップ103-4及びステップS103-5は切り離さずに処理してもよい。
【0089】
次に、ステップS103-6において、データ収集解析装置100は、データ項目ごとに算出したp値がc未満やRMSEがd未満となる妊婦属性t1とデータ項目を期間t2の特徴量F(t1, t2)とし、モデルMb(F(t1, t2))を生成する。なお、モデルの生成には、出産時の妊娠日数を出力する重回帰を用いてもよいし、Lasso回帰やElastic Net回帰を用いてもよい。cは有意差pの閾値を指し、dは実測値と予測値の誤差を指し、dは週数や日数、時間数などであってもよい。例えば、c=0.05とし、d=7として計算する。
【0090】
ステップ103-7において、データ収集解析装置100は、t2の分だけ各データ項目のモデルを生成し、ループを終了する。
【0091】
ステップ103-8において、データ収集解析装置100は、妊娠期間t2以前に算出された出産日予測結果を反映させて出産日を算出する出産日予測モデルMxを生成するため、Mb(F(t1, t2) )及び/又は妊娠期間t2以前の出産日予測モデルの出産日モデル群M(M={Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) )})のうち、所定の回数分の出産日予測モデルを取得する。例えば、期間t2以前の期間に出産日予測モデルがX(X=0, …, x)個分生成された場合、過去直近4回分の出産日予測モデルを用いてもよいし、過去1ヶ月ごとに予測された4回分の出産日予測モデルを用いてもよい。
【0092】
ステップ103-9において、データ収集解析装置100は、期間t2の出産日予測モデルMb及び妊娠期間t2以前の出産日予測モデルMを用いて、アンサンブル学習などを用いて複数の出産日予測モデルを組み合わせて妊婦属性t1と妊娠期間t2に対応する出産日予測モデルMxを生成する。なお、出産日予測モデル群Mから出産日予測モデルMb(F(t1, t2) )のみを取得する場合は、Mx=Mbとする。
【0093】
ステップ103-10において、データ収集解析装置100は、t1の分だけ各データ項目のモデルを生成し、t1のループを終了する。
【0094】
以上により、複数の妊娠期間のそれぞれにおいて安定して高い出産日予測精度を示す出産日予測モデルを生成できる。
【0095】
なお、図10には、上記の出産日予測モデルMに使用される可能性が高い特徴量(データ項目)を30個示している。出産日予測モデルMにおいて用いられるデータ項目は、当然ながらモデル作成に使用する妊婦に係るデータによって変動し得る。図10に示す特徴量は、複数回のモデルの作成において使用される頻度の高かった項目である。図10に示されたデータ項目は、出産日予測に重要なデータ項目であるともいえる。したがって、図10は、より正確に出産日を予測したい場合には妊婦から取得すべきデータ項目を示した表であるともいえる。
【0096】
(出産日予測処理)
図11は、本発明の実施例による出産日予測処理を示すフローチャートである。上述した出産日予測モデルに対して、予測対象となる未出産の妊婦データを適用させることで、任意の妊娠期間において安定して高い出産日予測値を算出する。
【0097】
当該出産日予測処理は、上述された図8のステップS102,S103において実行可能であり、後述されるステップS104-1~6がステップS104の出産日予測処理に対応する。出産日予測処理では、出産日予測機能140は、取得した予測対象妊婦を属性(出産歴など)で分け、妊娠期間や妊婦の登録しているデータ項目など妊婦の登録データに応じた出産日予測モデルから出産日予測結果を算出する。なお、出産日予測機能140は、予測対象妊婦を属性に基づいて分類し、妊娠期間に応じた出産日予測モデルから出産日予測結果を算出してもよい。また、予測に利用するデータ項目に対応するデータが予測対象の妊婦のデータに含まれていない場合は、出産日予測モデルを作成する際に使用した妊婦のデータのうち、予測対象妊婦と属性などが最も近しい妊婦のデータを利用して予測対象妊婦のデータを補間し予測してもよい。
【0098】
図11に示されるように、ステップS104-1において、データ収集解析装置100は、取得したデータ項目の一部のデータ項目に含まれるデータを加工し、新たにデータ項目として追加する。具体的には、データ収集解析装置100は、一部のデータ項目について、以下に限定することなく、数日前のデータとの差、数日間の平均及び分散、計測値の近似モデルを生成したその微分、二階微分などを導出する。また、本発明において加工処理とは、収集された各データ項目について、その一部また全部から新たにデータを算出する処理を指す。このときのデータの「加工」は、出産日予測モデルに対応した加工内容とされ得る。すなわち、出産日予測モデルで使用する特徴量が、何らかの加工により作成されたデータを用いたものである場合、出産日を予測する対象のデータについても同様の加工が行われる。
【0099】
ステップS104-2において、データ収集解析装置100は、予測対象妊婦を属性によって分類し、妊婦の属性t1と予測時の妊娠週数t2からなる出産日予測モデルMb(F(t1, t2) )と、予測対象妊婦に登録されるデータに適応するt2以前の出産日予測モデルで組み合わせされた出産日予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))を選択する。なお、妊婦の属性はS102-3での妊婦の属性分類と同様の方法で実施する。
【0100】
ステップS104-3において、データ収集解析装置100は、予測対象妊婦のデータから、出産日予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))に必要なデータを抽出する。
【0101】
ステップS104-2とステップS104-3において、データ収集解析装置100は、出産日予測モデルMxの選択には、妊婦の登録データに関係なく、予測対象妊婦の属性t1と予測時の妊娠週数t2からなる出産日予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))を選択してもよい。妊婦の登録データに関係なく、予測対象妊婦の属性t1と予測時の妊娠週数t2から選択された出産日予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))に必要なデータを予測対象妊婦が持っていない場合には、予測対象妊婦に不足するデータを出産日予測モデル生成時に使用した妊婦のデータから補間してもよい。例えば、出産日予測モデルに必要なデータ項目fa、fb、fcのうち、予測対象妊婦のデータの中にデータ項目fcに対応するデータが含まれていないとする。この場合、出産日予測モデル生成時に使用した妊婦のデータのうち、予測対象妊婦と属性が近しい妊婦のデータから、データ項目fcに対応するデータを抽出し、予測対象妊婦のデータとして補間してもよい。なお、不足データの補間は、出産日予測モデル生成時に使用した妊婦データからの補間に限定せず、その他の妊婦(他の未出産の妊婦)のデータから補間するなどしてもよいし、予測対象の妊婦のデータのうち別の時系列のデータを利用して補間してもよい。
【0102】
ステップS104-4において、データ収集解析装置100は、予測対象妊婦のデータを出産日予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))に適用し、予測値を算出する。
【0103】
ステップS104-5において、データ収集解析装置100は、S104-5で算出された予測された出産時の妊娠日数の予測値と妊婦の妊娠開始日を基に妊婦の出産日予測結果を算出する。
【0104】
ステップS104-6において、データ収集解析装置100は、出産日予測結果を返す。
【0105】
以上により、予測対象の妊婦について、上述の出産日予測モデルを用いて精度よく出産日を予測することができる。
【0106】
(所定期間内の出産有無予測モデル生成処理)
図12は、所定期間内の出産有無予測モデル生成処理を示すフローチャートである。上述したように、所定期間内の出産有無予測モデル生成処理では、所定期間内の出産と関連が大きなデータ項目のデータを特徴量として、複数の妊娠週数または妊娠期間のそれぞれについて、安定して高い所定期間内の出産有無予測精度を示す所定期間内の出産有無予測モデルが生成される。
【0107】
所定期間内の出産有無予測モデル生成処理は、上述された図8のステップS102,S105において実行可能である。具体的には、後述されるステップS102-1~3がステップS102の特徴量の抽出処理に対応し、ステップS105-1~10がステップS105の所定期間内の出産有無予測モデルの生成処理に対応する。
【0108】
所定期間内の出産有無予測モデルの生成処理では、所定期間内の出産有無予測モデル生成機能150は、取得したデータのうち、重回帰やLasso回帰、Elastic Net回帰などを用いて所定期間内の出産との関連が大きいデータ項目を抽出する。また、各データ項目において相関の高いデータ項目同士のうち一つを選択しデータ項目数を削減することによって、所定期間内の出産有無予測モデルの生成に利用する特徴量を抽出する。なお、上記は所定期間内の出産有無予測モデルに利用する特徴量の抽出方法や所定期間内の出産有無予測モデルの選定方法の一例であって、所定期間内の出産有無予測生成モデル生成処理はこれに制限されない。他複数の回帰手法などによって特徴量を抽出し、所定期間内の出産有無予測モデルを生成する方法もある。
【0109】
図12に示されるように、ステップS102-1において、データ収集解析装置100は、取得したデータ項目の一部のデータ項目を加工し、新たにデータ項目として追加する。具体的には、データ収集解析装置100は、一部のデータ項目について、以下に限定することなく、数日前のデータとの差、数日間の平均及び分散、計測値の近似モデルを生成したその微分、二階微分などを導出する。なお、データの「加工」とは、収集された各データ項目について、その一部また全部から新たにデータを算出する処理を指す。データをどのように加工するかは、過去のモデル生成時に有用であった(精度改善に有効であった)データが何であったか等に基づいて設定されていてもよい。
【0110】
ステップS102-2において、データ収集解析装置100は、元のデータとS102-1で生成したデータとを結合し、モデル生成のために、既に出産済みの妊婦のデータを抽出する。
【0111】
ステップS102-3において、データ収集解析装置100は、モデル生成のために、出産済みの妊婦のデータから、正期産で出産した妊婦であり、妊娠中に妊娠合併症を発症しておらず、且つ帝王切開を適用していない妊婦を抽出する。
【0112】
ステップS105-1において、データ収集解析装置100は、所定期間内の出産有無予測に有用なデータ項目が妊婦の属性(経産歴など)ごとに異なる変化をすることを前提とし、所定期間内の出産と関連が大きいデータ項目の抽出を属性ごとに層別化して算出するループを開始する。層別化のために、非妊娠時BMI、年齢、既往歴、出産歴、児の性別などの妊婦の属性が利用されてもよい。例えば、妊婦の経産歴ごとにデータ項目を抽出する場合、妊婦の経産歴をt1-1~t1-n群(例えば、t1-1=経産歴あり、t1-2=経産歴なし)に分けるとすると、妊婦の経産歴を示すパラメータi=t1-1でループ内処理を実行し、次にi=t1-2として実行し、最終的にi=t1-nとして実行する。
【0113】
ステップS105-2において、データ収集解析装置100は、所定期間内の出産有無予測に有用なデータ項目が妊娠週数ごとに変化するとして、所定期間内の出産と関連が大きいデータ項目の抽出を妊娠週数ごとに層別化して算出するループを開始する。例えば、N~N+n週(例えば、N=37、N+n=41)まで各週で所定期間内の出産有無予測に有用なデータ項目を算出する場合、妊娠日数を示すパラメータt2をt2=N×7(日)でループ内処理を実行し、次にt2=(N+1)×7として実行し、最終的にt2=(N+n)×7として実行する。なお、ステップ105-2は、所定期間内の出産有無予測に有用なデータ項目が、連続した複数の妊娠週数ごとに変化することを前提に、連続した複数の妊娠週数ごとにループを開始してもよい。例えば、N~N+n週(例えば、N=37、N+n=40)まで2週分ごとに所定期間内の出産有無予測に有用なデータ項目を算出する場合、妊娠日数を示すパラメータt2をt2=N×7+(N+1)×7(日)でループ内処理を実行し、次にt2=(N+3)×7+(N+4)×7として実行する。
【0114】
なお、ステップS105-2において、データ収集解析装置100は、妊娠週数に関係なく、所定期間内の出産有無予測に有用なデータ項目を抽出するために、ステップS105-2のループを開始しなくてもよい。
【0115】
ステップS105-3において、データ収集解析装置100は、複数のデータ項目のうち所定期間内の出産と関連する有効データ項目を算出するため、データ項目ごとに算出するループt3を開始する。
【0116】
ステップS105-4において、データ収集解析装置100は、各データ項目と所定期間内の出産との関連の大きさを確認するために、重回帰を用いてp値を算出する。重回帰を適用する場合には、データ項目t3に、交絡因子として妊娠日数、非妊娠時BMI、妊娠時の年齢、妊娠週数t2における最低気温などを追加する。
【0117】
ステップS105-5において、データ収集解析装置100は、t3のループを終了する。
【0118】
ステップS105-3、ステップS105-4及びステップS105-5は、データ項目毎にループを回しているが、複数のデータ項目から出産有無の予測に有用なデータ項目を同時に複数選択するために、データ項目ごとにループを回さずに処理してもよい。また、ステップS105-3、ステップ105-4及びステップS105-5は切り離さずに処理してもよい。
【0119】
ステップS105-6において、データ収集解析装置100は、データ項目ごとに算出したp値がc未満やRMSEがd未満となるデータ項目を妊婦の属性t1と期間t2の特徴量F(t1, t2)とし、モデルMb(F(t1, t2))を生成する。なお、モデルの生成には所定期間内に出産するか否かを出力するためにロジスティック回帰や、重回帰を用いてもよいし、Lasso回帰やElastic Net回帰を用いてもよい。cは有意差pの閾値を指し、dは実測値と予測値の誤差を指し、dは週数や日数、時間数などであってもよい。例えば、c=0.05とし、d=7として計算する。
【0120】
ステップ105-7において、データ収集解析装置100は、妊娠週数t2の分だけ各データ項目のモデルを生成し、ループを終了する。
【0121】
ステップ105-8において、データ収集解析装置100は、妊娠期間t2以前に算出された所定期間内の出産有無予測結果を反映させて所定期間内に出産するか否かを算出する所定期間内の出産有無予測モデルMxを生成するため、Mb(F(t1, t2) )及び/又は妊娠期間t2以前の所定期間内の出産有無予測モデルの所定期間内の出産有無予測群M(M={Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) )})のうち、所定の回数分の所定期間内の出産有無予測モデルを取得する。例えば、期間t2以前の期間に所定期間内の出産有無予測モデルがX(X=0, …, x)個分生成された場合、過去直近4回分の所定期間内の出産有無予測モデルを用いてもよいし、過去1ヶ月ごとに予測された4回分の所定期間内の出産有無予測モデルを用いてもよい。
【0122】
ステップ105-9において、データ収集解析装置100は、所定期間内の出産有無予測群Mから所定の回数分取得された所定期間内の出産有無予測群M‘に対して、アンサンブル学習などを用いて複数の所定期間内の出産有無予測モデルを組み合わせて妊婦属性t1と妊娠期間t2の所定期間内の出産有無予測モデルMxを生成する。なお、所定期間内の出産有無予測モデル群Mから所定期間内の出産有無予測モデルMb(F(t1, t2) )のみを取得する場合は、Mx=Mbとする。
【0123】
ステップ105-10において、データ収集解析装置100は、妊婦の属性t1の分だけ各データ項目の所定期間内の出産有無予測モデルを生成し、のループを終了する。
【0124】
以上により、複数の妊娠期間において安定して高い所定期間内の出産有無予測精度を示す所定期間内の出産有無予測モデルを生成できる。
【0125】
なお、図13には、上記の出産有無予測モデルMbに使用される可能性が高い特徴量(データ項目)の一例として、7日以内の出産と関連が強いと考えられる特徴量を30個示している。出産有無予測モデルMbにおいて用いられるデータ項目は、当然ながらモデル作成に使用する妊婦に係るデータによって変動し得る。図13に示す特徴量は、複数回のモデルの作成において使用される頻度の高かった項目である。図10に示されたデータ項目は、出産有無の予測に重要なデータ項目であるともいえる。したがって、図13は、より正確に所定期間の出産の有無を予測したい場合には妊婦から取得すべきデータ項目を示した表であるともいえる。
【0126】
(所定期間内の出産有無予測処理)
図14は、本発明の実施例による所定期間内の出産有無予測処理を示すフローチャートである。上述の処理により生成された所定期間内の出産有無予測モデルに関して、予測対象となる未出産の妊婦データを適用させることで、任意の妊娠期間において安定して高い所定期間内の出産有無予測値を算出する。
【0127】
所定期間内の出産有無予測処理は、上述された図8のステップS106において実行可能であり、後述されるステップS106-1~5がステップS106の所定期間内の出産有無予測処理に対応する。
【0128】
所定期間内の出産有無予測処理では、所定期間内の出産有無予測機能160は、取得した予測対象妊婦を属性(出産歴など)で分け、妊娠期間または妊婦に係るデータ等に応じた所定期間内の出産有無予測モデルから所定期間内の出産有無予測結果を算出する。なお、所定期間内の出産有無予測機能160は、予測対象の妊婦を属性で分けて妊娠期間に応じた所定期間内の出産有無予測モデルから、所定期間内の出産有無予測結果を算出してもよく、予測に利用するデータおよびデータ項目が予測対象妊婦のデータにない場合は、所定期間内の出産有無予測モデル生成時の妊婦の中で、予測対象妊婦と属性などが最も近しい妊婦のデータから予測対象妊婦のデータを補間し予測してもよい。
【0129】
図14に示されるように、ステップS106-1において、データ収集解析装置100は、取得したデータ項目の一部のデータ項目を加工し、新たにデータ項目として追加する。具体的には、データ収集解析装置100は、一部のデータ項目について、以下に限定することなく、数日前のデータとの差、数日間の平均及び分散、計測値の近似モデルを生成したその微分、二階微分などを導出する。このときのデータの「加工」は、所定期間内の出産有無予測モデルに対応した加工内容とされ得る。すなわち、所定期間内の出産有無予測モデルで使用する特徴量が、何らかの加工により作成されたデータを用いたものである場合、所定期間内の出産有無を予測する対象のデータについても同様の加工が行われる。
【0130】
ステップS106-2において、データ収集解析装置100は、予測対象妊婦を属性によって分類し、妊婦の属性t1と予測時の妊娠週数t2からなる所定期間内の出産有無予測モデルMb(F(t1, t2) )と、予測対象妊婦に登録されるデータに適応するt2以前の所定期間内の出産有無予測モデルで組み合わせされた所定期間内の出産有無予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))を選択する。なお、妊婦の属性はS102-3での妊婦の属性分類と同様の方法で実施する。
【0131】
ステップS106-3において、データ収集解析装置100は、予測対象妊婦のデータから、所定期間内の出産有無予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))に必要なデータを抽出する。
【0132】
ステップS106-2とステップS106-3とにおいて、データ収集解析装置100は、所定期間内の出産有無予測モデルMxの選択には、妊婦の登録データに関係なく、予測対象妊婦の属性t1と予測時の妊娠週数t2からなる所定期間内の出産有無予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))を選択してもよい。妊婦の登録データに関係なく、予測対象妊婦の属性t1と予測時の妊娠週数t2から選択された所定期間内の出産有無予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))に必要なデータが予測対象の妊婦のデータに含まれていない場合には、予測対象妊婦に不足するデータを所定期間内の出産有無予測モデルの生成に使用した妊婦のデータから補間してもよい。例えば、所定期間内の出産有無予測モデルに必要なデータ項目fa、fb、fcのうち、予測対象妊婦のデータの中にデータ項目fcに対応するデータが含まれていないとする。この場合、所定期間内の出産有無予測モデルの生成時に使用した妊婦のデータのうち、予測対象妊婦と属性が近しい妊婦のデータから、データ項目fcに対応するデータを抽出し、予測対象妊婦のデータとして補間してもよい。なお、不足データの補間は、所定期間内の出産有無予測モデルの生成時に使用した妊婦データからの補間に限定せず、その他の妊婦(他の未出産の妊婦)のデータから補間するなどしてもよいし、予測対象の妊婦のデータのうち別の時系列のデータを利用して補間してもよい。
【0133】
ステップS106-4において、データ収集解析装置100は、予測対象妊婦のデータを所定期間内の出産有無予測モデルMx(Mb(F(t1, t2) ), Mb(F(t1-1, t2-1) ), Mb(F(t1-2, t2-2) ), …, Mb(F(t1-x, t2-x) ))に適用し、予測値を算出する。
【0134】
ステップS106-5において、データ収集解析装置100は、所定期間内の出産有無予測結果を返す。
【0135】
以上により、予測対象の妊婦について、上述の所定期間内の出産有無予測モデルを用いて精度よく所定期間内の出産有無を予測することができる。
【0136】
(作用)
以上のように、上記実施形態に係るデータ収集解析装置100では、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得するデータ取得機能110と、予め保持されている出産日を予測するための出産日予測モデルに対して、予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、予測対象の妊婦に係る出産日の予測を行う出産日予測機能140と、を有する。
【0137】
また、データ収集解析装置100によるデータ収集解析方法は、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得することと、予め保持されている出産日を予測するための出産日予測モデルに対して、予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、予測対象の妊婦に係る出産日の予測を行うことと、を含む。
【0138】
上記のデータ収集解析装置及びデータ収集解析方法では、出産日予測モデルに対して、予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、予測対象の妊婦に係る出産日を予測することができる。したがって、予測対象の妊婦について、妊婦の出産日に関する予測として、上述の出産日予測モデルを用いて精度よく出産日を予測することができる。
【0139】
従来からビショップスコアを用いた分娩(出産)の進行を評価することが行われている。しかしながら、出産時期を事前に把握することは困難であり、経験知に基づく予測しか行われておらず、その精度も十分高いとはいえなかった。これに対して、上記のデータ収集解析装置では、出産日を予測するための出産日予測モデルに対して、予測対象の妊婦に関するデータを適用することで、出産日を予測することができる。したがって、経験知に基づく予測と比較して、高い精度で出産日を予測することができる。
【0140】
また、データ取得機能110は、予測対象とは異なる複数の妊婦に関するデータを取得し、複数のデータに基づいて、出産日予測モデルを生成する出産日予測モデル生成機能130をさらに有する態様とすることができる。このような構成とすることで、予測対象とは異なる複数の妊婦に関するデータを取得し、出産日予測モデルを生成する出産日予測モデル生成機能130をさらに有することで、データ収集解析装置100単体で出産日予測モデルの生成と出産日の予測とを行うことができる。
【0141】
出産日予測モデルは、妊婦の属性によって当該妊婦を1または複数の群に層別化し、各層それぞれについて、特定の妊娠期間のデータを利用して出産日予測に利用する特徴量を抽出し、生成されたものである態様とすることができる。このような構成とすることで、妊婦の属性を考慮した出産日予測モデルを利用して出産日の予測を行うことができるため、より高い精度で出産日の予測を行うことができる。なお、層別化する妊婦の属性としては、出産歴、非妊娠時BMI、年齢、既往歴、出産歴、児の性別、最低気温、妊娠日数、妊娠週数の何れか1つ以上を含み得る。
【0142】
出産日予測機能140は、予測対象の妊婦に関するデータに欠損がある場合に、予測対象とは異なる妊婦に関するデータに基づいて欠損を補間する態様とすることができる。このような構成とすることで、欠損があることによって従来は出産日予測モデルが適用できないデータについても、欠損が補間されたデータを利用して出産日の予測を行うことが可能となる。
【0143】
また、上記実施形態に係るデータ収集解析装置100では、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得するデータ取得機能110と、予め保持されている所定期間内の出産の有無を予測するための出産有無予測モデルに対して、予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、妊婦に係る所定期間内での出産有無の予測を行う出産有無予測機能160と、を有する。
【0144】
また、データ収集解析装置100によるデータ収集解析方法は、複数のデータソース装置から予測対象の妊婦に関するデータを取得することと、予め保持されている所定期間内の出産の有無を予測するための出産有無予測モデルに対して、予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、妊婦に係る所定期間内での出産有無の予測を行うことと、を含む。
【0145】
上記のデータ収集解析装置及びデータ収集解析方法では、出産有無予測モデルに対して、予測対象の妊婦に関するデータを適用することによって、予測対象の妊婦に係る所定期間内での出産有無を予測することができる。したがって、予測対象の妊婦について、妊婦の出産日に関する予測として、上述の出産有無予測モデルを用いて精度よく所定期間内での出産有無を予測することができる。
【0146】
また、データ取得機能110は、予測対象とは異なる複数の妊婦に関するデータを取得し、複数の妊婦に関するデータに基づいて、出産有無予測モデルを生成する出産有無予測モデル生成機能150をさらに有する態様とすることができる。このような構成とすることで、予測対象とは異なる複数の妊婦に関するデータを取得し、出産日予測モデルを生成する出産有無予測モデル生成機能150をさらに有することで、データ収集解析装置100単体で出産有無予測モデルの生成と所定期間内での出産有無の予測とを行うことができる。
【0147】
出産有無予測モデルは、妊婦の属性によって当該妊婦を1または複数の群に層別化し、各層それぞれについて、特定の妊娠期間のデータを利用して出産有無の予測に利用する特徴量を抽出し、生成されたものである態様とすることができる。このような構成とすることで、妊婦の属性を考慮した出産有無予測モデルを利用して出産有無の予測を行うことができるため、より高い精度で出産有無の予測を行うことができる。なお、層別化する妊婦の属性としては、出産歴、非妊娠時BMI、年齢、既往歴、出産歴、児の性別、最低気温、妊娠日数、妊娠週数の何れか1つ以上を含み得る。
【0148】
出産有無予測機能160は、予測対象の妊婦に関するデータに欠損がある場合に、予測対象とは異なる妊婦に関するデータに基づいて欠損を補間する態様とすることができる。このような構成とすることで、欠損があることによって従来は出産有無予測モデルが適用できないデータについても、欠損が補間されたデータを利用して所定期間内での出産有無の予測を行うことが可能となる。
【0149】
上記のデータ収集解析装置100において利用される妊婦に関するデータは、妊婦の妊娠前後の何れかの時期から出産前後の何れかの時期までのデータ取得期間において、連続して取得されたデータを含む態様とすることができる。このような構成とすることで、データ取得期間において妊婦に関する時系列に沿ったデータを利用することができるため、時系列の変化を考慮して出産日に関する予測を行うことができる。
【0150】
また、上記のデータ収集解析装置100では、データ取得機能110で取得された妊婦に関するデータに基づいて、出産日予測機能140において出産日の予測を行うと共に、出産有無予測機能160において、所定期間内での出産有無の予測を行う。このような構成とすることで、実際の出産日に関する予測と、所定期間内での出産有無に関する予測と、の両方を一つのデータ収集解析装置100において行うことができる。出産日に関する予測としては、大枠として「いつ頃出産するか」ということを把握したいというニーズがあると考えられる。また、より詳細には、実際の出産日がいつ頃になるかを知ることで中期的に出産に関する準備を行いたいということと、所定期間内に出産が起こるか否かを知ることで近々の出産準備の要否を把握したいということと、の2種類のニーズがあると考えられる。上記のデータ収集解析装置100では、出産日の予測を行うと共に、定期間内での出産有無の予測を行うため、上記の2種類のニーズに対応した予測を実現することが可能となる。
【0151】
なお、上記の出産日予測機能140における出産日の予測と、出産有無予測機能160における所定期間内での出産有無の予測と、のいずれか一方であっても、従来と比較して「いつ頃出産するか」という妊婦の出産日に関する予測を行うことが実現され得る。
【0152】
なお、出産日予測モデル生成機能130は、BMI、平均動脈圧、下腹部の痛み、拡張期血圧、脈拍、基礎体温、基礎代謝、就寝中に起きた回数、起床時刻、1日に活動した距離、から嘔吐の回数、腰の痛み、骨格筋率、歯の痛み、室温、収縮期血圧、収縮期血圧と拡張期血圧の差、就寝時刻、上腹部の痛み、睡眠の質の悪さ、睡眠時間、総消費カロリー、体脂肪率、体重、非妊娠時からの体重増加率、非妊娠時からの体重増加量、痛みを伴う収縮、痛みを伴わない収縮、吐き気の総時間、頭の痛み、動悸の回数、便通の回数、便通の柔らかさ、1日の歩数、脈圧及び嘔吐、妊娠状況(単胎・多胎)、妊娠回数、出産回数の1つ以上のデータ項目から、特徴量を抽出し得る。
【0153】
また、出産有無予測モデル生成機能150は、BMI、平均動脈圧、下腹部の痛み、拡張期血圧、脈拍、基礎体温、基礎代謝、就寝中に起きた回数、起床時刻、1日に活動した距離、から嘔吐の回数、腰の痛み、骨格筋率、歯の痛み、室温、収縮期血圧、収縮期血圧と拡張期血圧の差、就寝時刻、上腹部の痛み、睡眠の質の悪さ、睡眠時間、総消費カロリー、体脂肪率、体重、非妊娠時からの体重増加率、非妊娠時からの体重増加量、痛みを伴う収縮、痛みを伴わない収縮、吐き気の総時間、頭の痛み、動悸の回数、便通の回数、便通の柔らかさ、1日の歩数、脈圧及び嘔吐、妊娠状況(単胎・多胎)、妊娠回数、出産回数の1つ以上のデータ項目から、特徴量を抽出し得る。
【0154】
以上、本開示の例示的形態について詳述したが、本開示は上述した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0155】
例えば、上記のデータ収集解析装置100では、出産日予測モデルを生成する機能、出産日予測モデルに基づいて予測を行う機能、出産有無予測モデルを生成する機能、及び出産有無予測モデルに基づいて予測を行う機能を含んで構成されているが、これらの機能は一つの装置に含まれていなくてもよい。例えば、データ収集解析装置100では、出産日予測モデルに基づいて予測を行う機能または出産有無予測モデルに基づいて予測を行う機能のみを有しており、他の装置で生成されたモデルを利用して予測を行う構成であってもよい。
【0156】
また、図8図9図11図12及び図14で示したフローチャートは一例であり、その処理の詳細及びその順序は適宜変更することができる。例えば、予測モデルの生成方法に応じて、図9及び図12で示したフローは変更され得る。また、予測モデルが変更されると、図11及び図14で示したフローは変更され得る。このように、処理の手順は一例であり適宜変更され得る。
【0157】
(その他)
上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。
【0158】
例えば、本発明の一実施の形態における計測装置20、測定値転送装置30、体調登録装置40、気象情報取得装置50、調査票登録装置60、診療記録登録装置70、及びデータ収集解析装置100は、それぞれ、本実施形態の上述の装置の処理を行うコンピュータとして機能してもよい。図15は、本実施形態に係る上述の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。各装置は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、バス1007などを含むコンピュータ装置として構成されてもよい。
【0159】
なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。上述の各装置のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0160】
各装置における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信や、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び/又は書き込みを制御することで実現される。
【0161】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインタフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)で構成されてもよい。例えば、上述の各装置における各種の機能は、プロセッサ1001で実現されてもよい。
【0162】
また、プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールやデータを、ストレージ1003及び/又は通信装置1004からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、上述の実施の形態で説明した動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。例えば、上述の各装置における各種の機能は、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001で動作する制御プログラムによって実現されてもよい。上述の各種処理は、1つのプロセッサ1001で実行される旨を説明してきたが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップで実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワークから送信されても良い。
【0163】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つで構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本発明の一実施の形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0164】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つで構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。上述の記憶媒体は、例えば、メモリ1002及び/又はストレージ1003を含むデータベース、サーバその他の適切な媒体であってもよい。
【0165】
通信装置1004は、有線及び/又は無線ネットワークを介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。例えば、上述の各装置における各種の機能は、通信装置1004で実現されてもよい。
【0166】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キーボード、マウス、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチパネル)であってもよい。
【0167】
また、プロセッサ1001やメモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバス1007で接続される。バス1007は、単一のバスで構成されてもよいし、装置間で異なるバスで構成されてもよい。
【0168】
また、上述の各装置は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つで実装されてもよい。
【0169】
以上、本実施形態について詳細に説明したが、当業者にとっては、本実施形態が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本実施形態は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本実施形態に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0170】
情報の通知は、本明細書で説明した態様/実施形態に限られず、他の方法で行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0171】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0172】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルで管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、または追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0173】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:trueまたはfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0174】
本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0175】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
【0176】
また、ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0177】
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0178】
なお、本明細書で説明した用語及び/又は本明細書の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。
【0179】
本明細書で使用する「システム」および「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0180】
また、本明細書で説明した情報、パラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
【0181】
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的なものではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本明細書で明示的に開示したものと異なる場合もある。
【0182】
本明細書で使用する「判断(judging)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベースまたは別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0183】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。本明細書で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及び/又はプリント電気接続を使用することにより、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどの電磁エネルギーを使用することにより、互いに「接続」又は「結合」されると考えることができる。
【0184】
本明細書で使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0185】
「含む(include)」、「含んでいる(including)」、およびそれらの変形が、本明細書あるいは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書あるいは特許請求の範囲において使用されている用語「または(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0186】
本明細書において、文脈または技術的に明らかに1つのみしか存在しない装置である場合以外は、複数の装置をも含むものとする。本開示の全体において、文脈から明らかに単数を示したものではなければ、複数のものを含むものとする。
【符号の説明】
【0187】
10…データ収集システム、20…計測装置、30…測定値転送装置、40…体調登録装置、50…気象情報取得装置、60…調査票登録装置、70…診療記録登録装置、100…データ収集解析装置、110…データ取得機能、120…データ保存機能、130…出産日予測モデル生成機能、140…出産日予測機能、150…出産有無予測モデル生成機能、160…出産有無予測機能、170…結果通知機能。
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