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  • 特許-人感センサ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】人感センサ
(51)【国際特許分類】
   G08C 17/00 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G08C17/00 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020040226
(22)【出願日】2020-03-09
(65)【公開番号】P2021140681
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 元明
(72)【発明者】
【氏名】白石 理人
【審査官】菅藤 政明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/136989(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 15/00-19/48
H04Q 9/00
G08B 25/00-25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一定周期の送信タイミングで検知信号を無線送信する人感センサであって、
前記送信タイミングの直前の一定周期内において人を検知した場合、人の検知を示す前記検知信号を無線送信するとともに、その後、人を検知した人検知時点から、前記一定周期よりも長い一定期間内の前記送信タイミングで人の検知を示す前記検知信号を無線送信し続け、前記送信タイミングが前記一定期間内でなく、かつ、直前の前記一定周期内において人を検知していない場合、人の無検知を示す無検知信号を無線送信する人感センサ。
【請求項2】
前記一定期間は、前記人検知時点から、人の検知の有無にかかわらず、人の検知状態を維持する不感期間である請求項1に記載の人感センサ。
【請求項3】
人を検知した人検知時点に、人の検知を示す第1の検知信号を無線送信し、前記人検知時点から、人の検知状態を維持する不感期間の間、人の検知の有無にかかわらず、検知信号を送信せず、前記不感期間以外の間に人を検知した場合に、人の検知を示す前記第1の検知信号を無線送信するとともに前記不感期間の処理を繰り返し、前記不感期間以外、及び、前記不感期間の終了後の待機期間以外の間に人を検知しない場合、第1の一定周期の送信タイミングで人の無検知を示す第1の無検知信号を送信する基準人感センサと、
第2の一定周期の送信タイミングの直前の前記第2の一定周期内において前記基準人感センサから人の検知を示す第1の検知信号を受信した場合、前記第1の検知信号を人の検知を示す第2の検知信号として無線送信するとともに、その後、前記第2の一定周期よりも長く、前記第1の検出信号の受信時点から、前記不感期間内の前記第2の一定周期の送信タイミングで人の検知を示す前記第2の検知信号を無線送信し続け、前記第2の一定周期の送信タイミングが前記不感期間内でなく、かつ、直前の前記第2の一定周期内において人の検知を示す前記第1の検出信号を受信していない場合、人の無検知を示す第2の無検知信号を無線送信する信号変換装置と、
を備える人感センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人感センサの設置時の無線電波調査や無線性能試験の作業負担を軽減することができる人感センサに関する。
【背景技術】
【0002】
IoT技術の進展にともないIoT無線センサの普及が進み、建物内でのIoT無線センサの利用も進んでいる。IoT無線センサの種類としては、例えば、一定の時間間隔で検知データを無線送信する温度センサ、振動を検知したときに検知信号を無線送信する振動センサ、ドアの開閉を検知したときに検知信号を無線送信するドア開閉センサ、人を検知したときに検知信号を無線送信する人感センサなどがある。
【0003】
このうち、人感センサは、これまでトイレブース内の照明オンオフなどに用いられることが多かったが、人感センサの無線化に伴い、比較的大きな会議室での人の有無を把握する目的などでも使われるようになっている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-40282号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のIoT無線センサを建物内などに設置する場合、複数のIoT無線センサの電波を有効に検知するため、センサ設置時に無線電波調査や無線性能試験を行う必要がある。ここで、一般的な人感センサは、設置作業者が人感センサを動作させようとする場合、意図したタイミングで検知信号を無線送信できない場合がある。これは、人感センサは、一度、人を検知した場合、その後一定期間、再検知をさせない不感状態の期間(以下、不感期間とする)を設けているのと、他方、所定周期の間、人を検知しない場合、センサ死活監視信号を無線送信する、という人感センサ特有の2つの無線電波発信パターンをもつからである。
【0006】
したがって、従来の人感センサを設置する場合、センサ設置時の無線電波調査や無線性能試験が複雑になり、しかも、作業に時間がかかるという課題があった。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、人感センサの設置時の無線電波調査や無線性能試験の作業負担を軽減することができる人感センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、一定周期の送信タイミングで検知信号を無線送信する人感センサであって、前記送信タイミングの直前の一定周期内において人を検知した場合、人の検知を示す前記検知信号を無線送信するとともに、その後、人を検知した人検知時点から、前記一定周期よりも長い一定期間内の前記送信タイミングで人の検知を示す前記検知信号を無線送信し続け、前記送信タイミングが前記一定期間内でなく、かつ、直前の前記一定周期内において人を検知していない場合、人の無検知を示す無検知信号を無線送信する。
【0009】
また、本発明は、上記の発明において、前記一定期間は、前記人検知時点から、人の検知の有無にかかわらず、人の検知状態を維持する不感期間であってもよい。
【0010】
また、本発明は、人を検知した人検知時点に、人の検知を示す第1の検知信号を無線送信し、前記人検知時点から、人の検知状態を維持する不感期間の間、人の検知の有無にかかわらず、検知信号を送信せず、前記不感期間以外の間に人を検知した場合に、人の検知を示す前記第1の検知信号を無線送信するとともに前記不感期間の処理を繰り返し、前記不感期間以外、及び、前記不感期間の終了後の待機期間以外の間に人を検知しない場合、第1の一定周期の送信タイミングで人の無検知を示す第1の無検知信号を送信する基準人感センサと、第2の一定周期の送信タイミングの直前の前記第2の一定周期内において前記基準人感センサから人の検知を示す第1の検知信号を受信した場合、前記第1の検知信号を人の検知を示す第2の検知信号として無線送信するとともに、その後、前記第2の一定周期よりも長く、前記第1の検出信号の受信時点から、前記不感期間内の前記第2の一定周期の送信タイミングで人の検知を示す前記第2の検知信号を無線送信し続け、前記第2の一定周期の送信タイミングが前記不感期間内でなく、かつ、直前の前記第2の一定周期内において人の検知を示す前記第1の検出信号を受信していない場合、人の無検知を示す第2の無検知信号を無線送信する信号変換装置と、を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人感センサの設置時の無線電波調査や無線性能試験の作業負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施の形態である人感センサの構成を示すブロック図である。
図2図2は、人感センサ及び従来の人感センサによる検知信号の送信処理の一例を示すタイムチャートである。
図3図3は、図1に示した制御部による検知信号の送信処理手順を示すフローチャートである。
図4図4は、変形例の人感センサの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態である人感センサ1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、人感センサ1は、赤外線検知部2、記憶部3、送信部4及び制御部5を有する。赤外線検知部2は、所定監視領域の赤外線を検出する赤外線センサもしくは赤外線カメラである。記憶部3は、各種情報を記録する不揮発性メモリなどの記憶デバイスであり、一定周期ΔT1及び不感期間ΔT2を記憶する。送信部4は、外部に無線送信する通信デバイスであり、例えば、WiFi(登録商標)などの近距離無線通信を行う通信デバイスである。
【0015】
制御部5は、人感センサ1全体を制御する制御部であり、人検知部6及び送信処理部7を有する。人検知部6は、赤外線検知部2での状態変化検知により、人の存在を検知する。送信処理部7は、人感センサ1が一定間隔ΔT1の送信ピッチを常に保ちながら、OFF信号またはON信号のいずれかを送信し続けるように指示を行う。
【0016】
送信処理部7での指示内容について順を追って説明する。人感センサ1の電源投入後、まだ人を検知していない段階では、人感センサ1が一定間隔ΔT1の送信ピッチでOFF信号を送信し続ける(図2の時点t00~t05)。送信処理部7は、一定周期ΔT1の送信タイミングの直前の一定周期ΔT1内において人検知部6が人を検知した場合(時点t06)、人の検知を示す検知信号であるON信号を送信部4から無線送信する。その後、送信処理部7は、人を検知した人検知時点から、一定周期ΔT1よりも長い一定期間である不感期間ΔT2内の送信タイミングで人の検知を示すON信号を無線送信し続け(時点t07~t09)、送信タイミングが不感期間ΔT2内でなく、かつ、直前の一定周期ΔT1内において人を検知していない場合、人の無検知を示す検知信号(無検知信号)であるOFF信号を無線送信する(時点t10以降)。不感期間ΔT2以後の時点(時点t09以後)で人を検知した場合は、時点t06の状態に戻り、次の送信タイミングでON信号を送信する(時点t07)。
【0017】
この結果、人感センサ1は、一定周期ΔT1の送信間隔で、ON信号かOFF信号のいずれかの検知信号を必ず送信することになる。
【0018】
<検知信号の送信処理の一例>
図2は、人感センサ1及び従来の人感センサによる検知信号の送信処理の一例を示すタイムチャートである。図2(b)に示すように、従来の人感センサは、例えば、人を検知した時点t06に、人の検知を示すON信号を無線送信し、時点t06から、人の検知状態を維持する不感期間ΔT2の間、人の検知の有無にかかわらず、検知信号を送信せず、不感期間ΔT2以外の期間に人を検知した場合に、人の検知を示すON信号を無線送信し、時点t06からの送信処理、すなわち、不感期間ΔT2の処理を繰り返し、不感期間ΔT2以外、及び、不感期間ΔT2の終了(時点t09)後の待機期間ΔT20以外の間に人を検知しない場合、一定周期ΔT10の送信タイミングで人の無検知を示すOFF信号を検知信号(無検知信号)として送信する。
【0019】
すなわち、従来の人感センサは、時点t06で人を検知した場合、時点t06でON信号を送信し、その後、不感期間ΔT2の間、全く検知信号を送信せず、人を検知した場合でもON信号を送信しない。不感期間ΔT2後の待機期間ΔT20では、検知信号を送信しないが、人の検知があった場合、ON信号を送信して、その後時点t06の状態に戻り、不感期間ΔT2及び待機期間ΔT20に移行する。時点t06からの送信処理を同じ処理を繰り返す。図2(b)では、待機期間ΔT20内で人の検知がなかったため、検知信号を全く送信していない。この待機期間ΔT20の終了(時点t12)後、人の検知がなかった場合、一定周期ΔT10の送信タイミングで、OFF信号を送信する(時点t12,t14)。このOFF信号は、センサ死活監視信号として機能する。不感期間ΔT2を設けないとON信号の送信が頻繁になり、検知信号を受け取る機器側の情報が集中し、動作の安定性が損なわれる恐れがあるためである。また、待機期間ΔT20も、検知信号を用いる機器側における動作の安定性(チャタリング防止)を持たせるためのマージンの期間であり、センサの生存状態を確認する信号でもある。
【0020】
したがって、従来の人感センサは、不感期間ΔT2の間、送信タイミングであっても全く検知信号が送信されず、さらに不感期間ΔT2に続く、待機期間ΔT20において人の検知がない場合、時点t06から、この待機期間ΔT20の終了の時点t12までの間、全く検知信号が送信されないことになる。
【0021】
これに対し、人感センサ1では常に一定間隔で信号が送信されるため、検知信号を受け取る側での機器の処理も簡潔であり、無線信号の状態確認も容易である。図2(a)に示すように、人の検知があった時点t06から、不感期間ΔT2の終了の時点t09までの間の一定周期ΔT1の送信タイミングの時点t07,t08でON信号が送信され、その他の送信タイミングでは、OFF信号が送信される。すなわち、人感センサ1は、一定周期ΔT1の送信タイミングでは必ず、ON信号あるいはOFF信号の検知信号が送信されることになる。
【0022】
<検知信号の送信処理>
図3は、制御部5による検知信号の送信処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、制御部5は、一定周期ΔT1毎の送信タイミングであるか否かを判定する(ステップS110)。送信タイミングでない場合(ステップS110:No)、ステップS110の判定処理を繰り返す。
【0023】
送信タイミングである場合(ステップS110:Yes)には、直前の一定周期ΔT1内に人を検知しているか否かを判定する(ステップS120)。人を検知している場合(ステップS120:Yes)には、この送信タイミングでON信号を送信し(ステップS130)、本処理を終了する。
【0024】
一方、直前の一定周期ΔT1内に人を検知していない場合(ステップS120:No)、さらに、この送信タイミングが不感期間ΔT2の継続中であるか否かを判定する(ステップS140)。送信タイミングが不感期間ΔT2の継続中である場合(ステップS140:Yes)には、ON信号を送信して(ステップS150)、本処理を終了する。
【0025】
これに対し、送信タイミングが不感期間ΔT2の継続中でない場合(ステップS140:No)には、OFF信号を送信して(ステップS160)、本処理を終了する。
【0026】
<変形例>
図4は、変形例の人感センサ30の構成を示すブロック図である。本変形例では、従来の人感センサである基準人感センサが送信する検知信号を受信して、人感センサ1と同じ検知信号に変換して送信するものである。
【0027】
図4に示すように人感センサ30は、基準人感センサ20及び信号変換装置10を有する。基準人感センサ20は、図2(b)に示した動作を行う従来の人感センサである。したがって、送信処理部27は、図2(b)に示した送信処理を行う。このため、記憶部3には、新たに待機期間ΔT20が記憶されている。ここで、基準人感センサ20は、人の検知があった時点t06で直ちにON信号を送信する。
【0028】
信号変換装置10は、受信部12、記憶部13、送信部14及び制御部15を有する。受信部12は、基準人感センサ20が送信する検知信号を受信する。制御部15は、送信処理部17を有する。送信処理部17は、受信部12が受信した検知信号のうち、ON信号を受信した時点を、人が検知された時点に置き換え、人感センサ1の送信処理部7と同じ処理を行い、送信部14から一定周期ΔT1の送信タイミングで必ず検知信号を送信する。なお、記憶部13は、人感センサ1の記憶部3と同様に、一定周期ΔT1及び不感期間ΔT2を記憶している。この人感センサ30から送信される検知信号は、人感センサ1と同じ検知信号を送信することになる。
【0029】
なお、上記の実施の形態及び変形例の一定周期ΔT1は、例えば60秒、不感期間ΔT2は、例えば200秒であり、これら一定周期ΔT1及び不感期間ΔT2は、可変設定値である。
【0030】
本実施の形態及び変形例の構成によれば、一定周期ΔT1の送信タイミングごとに必ず検知信号を送信するとともに、不感期間ΔT2の間の送信タイミングではON信号を送信し続けるので、人感センサの設置時の無線電波調査や無線性能試験の作業負担を軽減することができる。
【0031】
なお、上記の実施の形態及び変形例では、検知信号が一定周期ΔT1である一定時間間隔で送信されるため、検知信号を一定時間間隔の時系列データとして蓄積することができ、その後の人感センサのデータ分析が容易になる。
【0032】
また、上記の実施の形態及び変形例では、赤外線検知部2を用いて人を検知するようにしていたが、これに限らず、人を検知することができるセンサであればよく、他の光センサや音センサなどを用いてもよい。
【0033】
なお、上記の実施の形態及び変形例で図示した各構成は機能概略的なものであり、必ずしも物理的に図示の構成をされていることを要しない。すなわち、各装置及び構成要素の分散・統合の形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。
【符号の説明】
【0034】
1,30 人感センサ
2 赤外線検知部
3,13 記憶部
4,14 送信部
5,15 制御部
6 人検知部
7,17,27 送信処理部
10 信号変換装置
12 受信部
20 基準人感センサ
t00~t15 時点
ΔT1,ΔT10 一定周期
ΔT2 不感期間
ΔT20 待機期間
図1
図2
図3
図4