(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】袋状容器および袋状容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 30/10 20060101AFI20231030BHJP
B65D 33/25 20060101ALI20231030BHJP
B65D 33/01 20060101ALI20231030BHJP
B65D 81/03 20060101ALI20231030BHJP
B31B 70/81 20170101ALI20231030BHJP
【FI】
B65D30/10 V
B65D33/25 A
B65D33/01
B65D81/03 200Z
B31B70/81
(21)【出願番号】P 2020049309
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019121107
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸▲高▼ 匠
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3134676(JP,U)
【文献】特開2003-040337(JP,A)
【文献】実公昭40-001572(JP,Y1)
【文献】特開2015-217980(JP,A)
【文献】特開2016-127886(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 30/10
B65D 33/25
B65D 33/01
B65D 81/03
B31B 70/81
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側面および外側面を有し、前記外側面が袋本体の内側面および外側面の両方を構成するように折り曲げられたチューブ状フィルムと、
前記袋本体の内側面から突出する、互いに係合する少なくとも1対の係合部と
を備え、
前記チューブ状フィルムの内側面に面する少なくとも1つの閉空間が形成され、
前記閉空間に連通する通気口を形成する部材をさらに備え、
前記袋本体の開口側で重ね合わされた前記チューブ状フィルムのいずれか1層に、前記開口に沿ってスリットが形成され、
前記通気口を形成する部材は、一方が前記チューブ状フィルムの内側に位置し、他方が前記チューブ状フィルムの外側に位置するように前記スリットに挿入され
、
前記スリットの両側で、前記チューブ状フィルムの内側面同士の間、および前記通気口を形成する部材と前記チューブ状フィルムの内側面との間を接合するシール部が形成される袋状容器。
【請求項2】
前記スリットは、前記開口に沿って前記袋本体の全幅にわたって形成さ
れる、請求項1に記載の袋状容器。
【請求項3】
前記通気口を形成する部材は、前記シール部によって挟み込まれる1対の面を含む、
請求項1または請求項2に記載の袋状容器。
【請求項4】
前記1対の面は、複数のフィルムによって形成されるか、折り曲げられた単一のフィルムによって形成されるか、または筒状に成形された単一のフィルムによって形成される、請求項3に記載の袋状容器。
【請求項5】
前記少なくとも1対の係合部が突出する部位の近傍において、前記袋本体の内側面を構成する前記チューブ状フィルムの部分と前記袋本体の外側面を構成する前記チューブ状フィルムの部分とで前記チューブ状フィルムの内側面同士が接合されている、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の袋状容器。
【請求項6】
前記袋本体の内側面に接合される1対の基部条片をさらに備え、
前記係合部は前記1対の基部条片を介して前記袋本体の内側面から突出する、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の袋状容器。
【請求項7】
前記1対の基部条片のうちのいずれかが、前記係合部が突出する位置よりも前記袋本体の開口側では前記袋本体の内側面に接合されない、請求項6に記載の袋状容器。
【請求項8】
前記チューブ状フィルムの外側面は、ポリエチレンを主成分とする樹脂によって形成される、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の袋状容器。
【請求項9】
内側面および外側面を有し、前記外側面が袋本体の内側面および外側面の両方を構成するように折り曲げられたチューブ状フィルムと、
前記袋本体の内側面に接合される1対の基部条片、および前記1対の基部条片からそれぞれ突出して互いに係合可能な係合部を含むジッパーテープと
を備える袋状容器の製造方法であって、
前記チューブ状フィルムおよび前記ジッパーテープを、長手方向に連続的に搬送しながら、互いに重ね合わされた状態でドラムの周面に巻き付ける工程と、
前記ドラムの周面に対向するシール面を有するシールバーを用いて前記ジッパーテープを前記チューブ状フィルムに熱溶着する工程と、
前記チューブ状フィルムのいずれか1層にスリットを形成する工程と、
前記スリットを通して前記チューブ状フィルムの外側から内側に通気口を形成する部材を挿入する工程と
を含み、
前記スリットは、前記ジッパーテープが前記チューブ状フィルムに熱溶着される位置、または前記チューブ状フィルムに熱溶着された前記ジッパーテープに沿って形成され、
前記スリットの両側で前記チューブ状フィルムの内側面同士の間、および前記通気口を形成する部材と前記チューブ状フィルムの内側面との間を接合する工程をさらに含む、袋状容器の製造方法。
【請求項10】
前記ドラムの周面、または前記シールバーのシール面の少なくともいずれかに、前記チューブ状フィルムおよび前記ジッパーテープの搬送方向に延び、前記係合部よりも大きい幅を有する溝が形成され、
前記係合部は前記溝を通過する、請求項9に記載の袋状容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋状容器および袋状容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
輸送時などにおける物品の損傷を防ぐため、緩衝用の包装材を用いることは一般的である。このような包装材としては気泡緩衝材(気泡フィルム)が多く用いられ、気泡フィルムを用いて包装袋を形成する技術も知られている。この場合、緩衝用の包装材を別途用意する必要しなくてよいという利点があるが、例えば包装袋にジッパーテープなどの咬合具を取り付ける工程が煩雑になるという問題があった。これに対して、特許文献1には、凹部形成用フィルムに多数の凹部を形成した後、凹部を封止するために該フィルムを基材フィルムに貼着して気泡フィルムとし、この貼着と同時または前後において気泡フィルムの凸部側面であって凸部の存在しない部分に咬合具を貼着する咬合具付き気泡フィルムの製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1に記載された技術によれば、容器に緩衝機能をもたせながら、一般のフィルムを包装袋の表面材として使用できるとともに、生産の自動化および連続化が可能になる。しかしながら、それでもなお、気泡フィルムに咬合具を取り付ける工程は通常のフィルムを用いた場合に比べて煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明は、より簡便な製造工程で容器に緩衝機能をもたせることが可能な、袋状容器および袋状容器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある観点によれば、内側面および外側面を有し、外側面が袋本体の内側面および外側面の両方を構成するように折り曲げられたチューブ状フィルムと、袋本体の内側面から突出する、互いに係合する少なくとも1対の係合部とを備える袋状容器が提供される。
【0007】
上記の袋状容器において、チューブ状フィルムの内側面に面する少なくとも1つの閉空間が形成されてもよい。この場合において、袋状容器は、閉空間に連通する通気口を形成する部材をさらに備えてもよい。この場合において、袋本体の開口側で重ね合わされたチューブ状フィルムのいずれか1層に、開口に沿ってスリットが形成され、通気口を形成する部材は、一方がチューブ状フィルムの内側に位置し、他方がチューブ状フィルムの外側に位置するようにスリットに挿入されてもよい。さらに、スリットは、開口に沿って袋本体の全幅にわたって形成され、スリットの両側で、チューブ状フィルムの内側面同士の間、および通気口を形成する部材とチューブ状フィルムの内側面との間を接合するシール部が形成されてもよい。あるいは、通気口を形成する部材は、チューブ状フィルムの内側面同士の間、および袋本体の内側面を構成するチューブ状フィルムの外側面同士の間に形成されるシール部を横断してチューブ状フィルムの内側面同士の間に挿入されてもよい。上記のそれぞれの場合において、通気口を形成する部材は、シール部によって挟み込まれる1対の面を含んでもよく、1対の面は、複数のフィルムによって形成されるか、折り曲げられた単一のフィルムによって形成されるか、または筒状に成形された単一のフィルムによって形成されてもよい。
【0008】
上記の袋状容器において、少なくとも1対の係合部が突出する部位の近傍において、袋本体の内側面を構成するチューブ状フィルムの部分と袋本体の外側面を構成するチューブ状フィルムの部分とでチューブ状フィルムの内側面同士が接合されていてもよい。
【0009】
上記の袋状容器は、袋本体の内側面に接合される1対の基部条片をさらに備え、係合部は1対の基部条片を介して袋本体の内側面から突出してもよい。
【0010】
上記の袋状容器において、1対の基部条片のうちのいずれかが、係合部が突出する位置よりも袋本体の開口側では袋本体の内側面に接合されなくてもよい。
【0011】
上記の袋状容器において、チューブ状フィルムの外側面は、ポリエチレンを主成分とする樹脂によって形成されてもよい。
【0012】
本発明の別の観点によれば、内側面および外側面を有し、外側面が袋本体の内側面および外側面の両方を構成するように折り曲げられたチューブ状フィルムと、袋本体の内側面に接合される1対の基部条片、および1対の基部条片からそれぞれ突出して互いに係合可能な係合部を含むジッパーテープとを備える袋状容器の製造方法であって、チューブ状フィルムおよびジッパーテープを、長手方向に連続的に搬送しながら、互いに重ね合わされた状態でドラムの周面に巻き付ける工程と、ドラムの周面に対向するシール面を有するシールバーを用いてジッパーテープをチューブ状フィルムに熱溶着する工程とを含む、袋状容器の製造方法が提供される。
【0013】
上記の袋状容器の製造方法において、ドラムの周面、またはシールバーのシール面の少なくともいずれかに、チューブ状フィルムおよびジッパーテープの搬送方向に延び、係合部よりも大きい幅を有する溝が形成され、係合部は溝を通過してもよい。また、上記の製造方法は、ジッパーテープがチューブ状フィルムに熱溶着される位置、またはチューブ状フィルムに熱溶着されたジッパーテープに沿って、チューブ状フィルムのいずれか1層にスリットを形成する工程と、スリットを通してチューブ状フィルムの外側から内側に通気口を形成する部材を挿入する工程と、スリットの両側でチューブ状フィルムの内側面同士の間、および通気口を形成する部材とチューブ状フィルムの内側面との間を接合する工程とをさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記の構成では、チューブ状フィルムを折り曲げて用いることによって、袋本体を2枚重ねのフィルムで構成し、例えばフィルムの間の閉空間に気体を封入することによって袋状容器に緩衝機能をもたせることができる。また、チューブ状フィルム自体は1枚のフィルムであるため、例えば複数のフィルムを貼り合わせた気泡フィルムを用いる場合に比べて製造工程が簡便である。従って、本発明によれば、より簡便な製造工程で容器に緩衝機能をもたせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る袋状容器の平面図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る袋状容器の製造装置の概略的な構成を示す図である。
【
図4】
図3に示す製造装置のドラムシール部の拡大断面図である。
【
図5】第1の実施形態の変形例に係る袋状容器の断面図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る袋状容器の断面図である。
【
図8】本発明の第3の実施形態に係る袋状容器の平面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態に係る袋状容器の製造工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態に係る袋状容器の平面図であり、
図2は
図1のII-II線断面図である。
図1および
図2に示されるように、第1の実施形態に係る袋状容器100は、袋本体を構成するチューブ状フィルム110と、チューブ状フィルム110に取り付けられたジッパーテープ120とを含む。
図2に示されるように、袋状容器100では、チューブ状フィルム110の内側面111に面して収納空間が形成されるのではなく、袋本体の底部102でチューブ状フィルム110が折り曲げられることによって、チューブ状フィルム110の外側面112に面して収納空間S1が形成される。この場合、チューブ状フィルム110の外側面112が袋本体の内側面101Aおよび外側面101Bの両方を構成する。袋本体の両側はサイドシール部103,104によって封止される。
【0018】
チューブ状フィルム110は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂で形成される。より具体的には、チューブ状フィルム110は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。チューブ状フィルム110が多層の積層体である場合、LDPE、LLDPE、またはPPを両方の表面層とし、中間にナイロンなどの素材で形成された層を積層してもよい。この場合、表面層と中間層との間は酸変性ポリオレフィンなどの接着層で接着されてもよい。
【0019】
ここで、サイドシール部103,104では、袋本体の内側面101Aとして対向するチューブ状フィルム110の外側面112同士が接合されるのに加えて、チューブ状フィルム110の内側面111同士も接合される。これによって、袋状容器100では、収納空間S1とは別に、チューブ状フィルム110の内側面111に面する閉空間S2が形成される。例えば閉空間S2に空気などの気体を封入することによって、収納空間S1に収納される内容物に対する衝撃を緩和することができる。袋本体には、製袋加工後に閉空間S2に気体を注入するための通気口部材105が設けられてもよい。通気口部材105は、例えばチューブ状フィルム110の一部であってもよく、またチューブ状フィルム110に接合された別のフィルムによって形成されてもよい。通気口部材105は、後述するように逆止弁としても機能する。
【0020】
ジッパーテープ120は、基部条片121A,121Bと、基部条片121A,121Bからそれぞれ突出して互いに係合可能な係合部122A,122Bとを含む。
図2に示された例において、係合部122A,122Bは、基部条片121Aから突出する雄型係合部123Aおよび鉤型係合部124A、ならびに基部条片121Bから突出する雌型係合部123Bおよび鉤型係合部124Bを含み、雄型係合部123Aと雌型係合部123Bとが互いに係合可能であり、鉤型係合部124Aと鉤型係合部124Bとが互いに係合可能である。なお、係合部122A,122Bの具体的な構成は図示された例に限られず、公知の様々な係合部の構成を適用することが可能である。基部条片121A,121Bは、係合部122A,122Bが突出する側とは反対側で袋本体の内側面101A、すなわちチューブ状フィルム110の外側面112に接合され、これによって係合部122A,122Bは袋本体の内側面101Aから突出する。
【0021】
ジッパーテープ120は、例えばポリオレフィン系樹脂の押出成形によって形成される。より具体的には、ジッパーテープ120は、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、またはポリプロピレン(PP)で形成されてもよい。PPは、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)であってもよい。ジッパーテープ120の材料には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。
【0022】
本実施形態では、ジッパーテープ120の基部条片121A,121Bが袋本体の内側面101Aに接合され、係合部122A,122Bは基部条片121A,121Bを介して袋本体の内側面101Aから突出する。後述するように、基部条片121A,121Bは例えば熱溶着の工程によってチューブ状フィルム110に接合されるが、このとき袋本体の外側面101Bにも熱が加えられるため、袋状容器100では係合部122A,122Bが突出する部位の近傍において、袋本体の内側面101Aを構成するチューブ状フィルム110の部分と、袋本体の外側面101Bを構成するチューブ状フィルム110の部分とでチューブ状フィルム110の内側面111同士が接合されている。
【0023】
これによって、袋状容器100では、チューブ状フィルム110の内側面111に面する空間が、上記の閉空間S2と、これとは別の閉空間S3に分割される。
図1および
図2に示された例では、内側面111同士が接合されていることによって閉空間S2と閉空間S3との間で気体が流通しないため、例えば気体の注入によって閉空間S2が膨張しても、閉空間S3には気体が流入せず、閉空間S3は膨張しない。この場合、閉空間S3を含むチューブ状フィルム110の部分、すなわち袋状容器100の開口106とジッパーテープ120との間の部分を摘持して袋状容器100を開封することが容易になる。
【0024】
(袋状容器の製造工程)
図3は本発明の第1の実施形態に係る袋状容器の製造装置の概略的な構成を示す図であり、
図4は、
図3に示す製造装置のドラムシール部の拡大断面図である。
図3に示されているように、製造装置1は、供給部10と、ドラムシール部20と、搬送部30と、製袋部40とを含む。
【0025】
供給部10は、チューブ状フィルム110を供給するフィルムロール11と、ジッパーテープ120を供給するテープ巻取ロール12と、テープ巻取ロール12から引き出されたジッパーテープ120を、基部条片121A側と基部条片121B側とに分離する分離手段13と、搬送装置14とを含む。搬送装置14は、チューブ状フィルム110、およびジッパーテープ120の基部条片121A側または基部条片121B側を、それぞれの部材の長手方向に搬送しながら互いに重ね合わせてドラムシール部20に供給する。
図4に示すように、ジッパーテープ120の基部条片121A側および基部条片121B側は、それぞれチューブ状フィルム110の別の部分に重ね合わされる。
【0026】
ドラムシール部20は、回転可能なドラム21と、ドラム21の周面211に対向するシール面221を有するシールバー22と、周面211とシール面221との間に介挿される無端ベルト23とを含む。無端ベルト23は、ドラム21の周面211に対向する部分で周面211に同期して移動することができるように配置される。なお、ドラム21、および無端ベルト23のいずれかまたは両方を、例えば電動モーターなどの駆動装置によって駆動してもよい。供給部10から互いに重ね合わされた状態で供給されるチューブ状フィルム110、およびジッパーテープ120の基部条片121A側および基部条片121B側は、ドラム21の周面211に巻き付けられ、周面211に当接されるシールバー22のシール面221によってジッパーテープ120の基部条片121A側および基部条片121B側がそれぞれチューブ状フィルム110に熱溶着される。
【0027】
ここで、
図4に示された例では、ドラム21の周面211に、ドラム21の周方向、すなわちチューブ状フィルム110およびジッパーテープ120の搬送方向に沿って延びる溝212が形成されている。溝212は、ドラム21の軸方向でいうと、チューブ状フィルム110およびジッパーテープ120が互いに重ね合わされた状態で周面211に巻き付けられたときにジッパーテープ120の係合部122A,122Bが通過する位置に形成される。溝212の幅は、例えば係合部122A,122Bの幅よりも大きく、基部条片121A,121Bの幅よりも小さい。このような溝212を形成し、係合部122A,122Bに溝212を通過させることによって、係合部122A,122Bとドラム21の周面211とが干渉することを防ぎ、チューブ状フィルム110と基部条片121A,121Bとを均等な圧力でシールバー22のシール面221と周面211との間に挟み込むことによって、安定的に接合することができる。
【0028】
再び
図3を参照して、搬送部30は、ジッパーテープ120が取り付けられたチューブ状フィルム110を製袋部40まで搬送する搬送装置31を含む。製袋部40では、ジッパーテープ120が取り付けられたチューブ状フィルム110に対して折り曲げ、接合および切断などの工程を実施することによって、
図1に示されたような袋状容器100が製造される。なお、製袋部40の構成については、公知の各種の構成を適用することが可能であるため詳細な説明は省略する。製造装置1の構成については、上記の説明に加えて、例えば国際公開第2006/075644号などに記載された公知の各種の構成を適用することが可能である。
【0029】
ここで、上述の通り、本実施形態においてチューブ状フィルム110は単層または多層の熱可塑性樹脂フィルムで形成される。袋本体の内側面101Aは、収納空間S1を形成するためにサイドシール部103,104で互いに接合され、またジッパーテープ120の基部条片121A,121Bにも接合されるため、袋本体の内側面101Aを構成するチューブ状フィルム110の外側面112は、例えばポリエチレンを主成分とする樹脂のような易シール性の熱可塑性樹脂で形成される。より具体的には、チューブ状フィルム110は、易シール性の熱可塑性樹脂の単層フィルムで形成されるか、または外側面112側に易シール性の熱可塑性樹脂層が配置された多層フィルムで形成される。そうすると、既に述べたように、袋本体の外側面101Bもチューブ状フィルム110の外側面112で形成されることになる。
【0030】
チューブ状フィルム110にジッパーテープ120を接合する場合、袋本体の両側、すなわち基部条片121A,121Bが重ね合わされた袋本体の内側面101A側とその反対側の外側面101B側からシールバーを用いて押圧および加熱する。しかしながら、上記のように袋本体の外側面101Bが易シール性の熱可塑性樹脂で形成されていると、押圧および加熱したときに皺が生じやすい。従って、例えばシールバーが間欠的に昇降してジッパーテープと袋本体とを挟み込む種類のシール装置を用いた場合、押圧によってかかる圧力が大きく、かつ圧力が変動するために、袋本体の外側面101Bに皺が生じやすく、袋状容器100の外観が悪化する可能性がある。
【0031】
これに対して、ドラムシール部20を有する製造装置1を用いた場合、ドラム21によってチューブ状フィルム110に張力が与えられるため、シールバー22のシール面221がチューブ状フィルム110をドラム21の周面211に向けて押圧する圧力は小さくてよく、またチューブ状フィルム110は連続的に搬送されながらドラム21とシールバー22との間を通過するため、押圧によってかかる圧力が変動しにくい。結果として、チューブ状フィルム110によって形成される袋本体にジッパーテープ120を接合する際に袋本体の外側面101Bに皺が生じにくく、袋状容器100の外観を良好に保つことができる。
【0032】
(変形例)
図5は、第1の実施形態の変形例に係る袋状容器の断面図である。
図5に示された袋状容器100Aでは、チューブ状フィルム110によって構成される袋本体、およびジッパーテープ120の構成は上記の第1の実施形態と同様であるが、基部条片121Aが、係合部122Aが突出する位置よりも袋本体の開口106側では袋本体の内側面101Aに接合されない。これによって、例えば、係合部122A,122Bを互いに係合させて袋状容器100Aを封止した後は、開口106とジッパーテープ120との間の部分を摘持しても袋状容器100Aを開封することが困難になり、内容物の改竄を防止することができる。なお、内容物の改竄を防止するジッパーテープ120の構成、およびジッパーテープ120とチューブ状フィルム110との接合部分の構成については、例えば特開2015-116269号公報に記載された構成を採用してもよい。
【0033】
(通気口の構成)
図6Aおよび
図6Bは、
図1のVI-VI線断面図である。図示された例において、通気口部材105は、チューブ状フィルム110の内側面111同士の間、および袋本体の内側面101Aを構成するチューブ状フィルム110の外側面112同士の間に形成されるサイドシール部104を横断して、チューブ状フィルム110の内側面111同士の間に挿入される。通気口部材105は、サイドシール部104によって挟み込まれる1対の面105A,105Bを含む。この場合、
図6Aに示されるように、閉空間S2が気体の封入によって膨張していない状態では、1対の面105A,105Bの間を通って気体が流通する。一方、
図6Bに示されるように、閉空間S2が気体の封入によって膨張すると、押し広げられたチューブ状フィルム110によって1対の面105A,105Bが互いに押し付けられ、通気口部材105を介して気体が流通しなくなる。このようにして、図示された例では通気口部材105が逆止弁として機能する。通気口部材105の1対の面105A,105Bは、例えば筒状につなぎ合わされた複数のフィルムによって形成されてもよいし、折り曲げられた単一のフィルムによって形成されてもよいし、筒状に成形された単一のフィルムによって形成されてもよい。
【0034】
(第2の実施形態)
図7は、本発明の第2の実施形態に係る袋状容器の断面図である。
図7に示された袋状容器200は、袋本体を構成するチューブ状フィルム110と、チューブ状フィルム110と一体的に成形され、チューブ状フィルム110の外側面112によって構成される袋本体の内側面101Aから突出する係合部222A,222Bとを含む。係合部222A,222Bは、雄型係合部223A,雌型係合部223B、および鉤型係合部224A,224Bを含み、これらの係合部は上記の第1の実施形態の例と同様に互いに係合可能である。本実施形態に係る袋状容器200は、例えば、チューブ状フィルム110を、係合部222A,222Bを含んだ断面で押出成形(インフレーション成形)することによって製造される。
【0035】
本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、ジッパーテープの熱溶着の工程がないため、係合部222A,222Bが突出する部位の近傍で袋本体の内側面101Aおよび外側面101Bをそれぞれ構成するチューブ状フィルム110の部分が互いに接合されることはなく、従ってチューブ状フィルム110の内側面111に面する空間は全体が閉空間S2になる。本実施形態でも、例えば閉空間S2に空気などの気体を封入することによって、収納空間S1に収納される内容物に対する衝撃を緩和することができる。
【0036】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態に係る袋状容器の平面図であり、
図9は
図8のIX線-IX線断面図である。
図8および
図9に示されるように、第3の実施形態に係る袋状容器300は、上記の第1の実施形態と同様のチューブ状フィルム110およびジッパーテープ120と、通気口部材305とを含む。本実施形態では、袋本体の開口106側で重ね合わされたチューブ状フィルム110のいずれか1層にスリット307が形成される。例えば偏平な筒状に形成された通気口部材305が、一方がチューブ状フィルム110の内側に位置し、他方がチューブ状フィルム110の外側に位置するようにスリット307に挿入されることによって、閉空間S2に連通する通気口が形成される。この通気口によって、製袋加工後に閉空間S2に空気などの気体を封入することができる。通気口部材305は、後述するように逆止弁としても機能する。
【0037】
ここで、図示された例では、袋本体の開口106側でチューブ状フィルム110が4層に重ね合わされ、このうち袋本体の外側面101Bを構成する1層にスリット307が形成される。他の例では、チューブ状フィルム110の袋本体の内側面101Aを構成する1層にスリットが形成されてもよい。スリット307は、開口106に沿って袋本体の全幅にわたって形成され、スリット307の両側(開口106から収納空間S1に向かう方向の両側)にはチューブ状フィルム110の内側面111同士の間、および通気口部材305とチューブ状フィルム110の内側面111との間を接合するシール部308A,308B(合わせてシール部308ともいう)が形成される。スリット307の両側にシール部308が形成されることによって、閉空間S2に封入された気体が漏出することを防止できる。
【0038】
また、本実施形態では、袋本体の収納空間S1側に、チューブ状フィルム110の内側面111同士が接合される複数のリブ309が形成される。リブ309を形成することによって、袋本体の内側面101Aおよび外側面101Bのそれぞれを形成するチューブ状フィルム110の間の位置ずれを防止し、例えば製袋加工中に袋状容器300の形状を安定させることができる。図示された例において、リブ309は袋本体の底部102の折り返しにまたがって形成され、リブ309とスリット307の両側のシール部308との間には隙間がある。このような隙間を形成することによって、閉空間S2の中で均等に気体を流通させることができる。なお、図示された例におけるリブ309は一例であり、収納空間S1側でチューブ状フィルム110の内側面111同士を接合する各種の形状(リブとは呼ばれない、例えばドットパターンのようなものも含む)のシール部を形成することができる。また、上記の第1の実施形態や第2の実施形態に係る袋状容器にリブが形成されてもよい。
【0039】
図10は、本発明の第3の実施形態に係る袋状容器の製造工程を示す図であり、
図11Aから
図11Dは、それぞれ
図10のA-A線、B-B線、C-C線、およびD-D線に沿った断面図である。各図に示された例では、リブ309が形成されたチューブ状フィルム110がジッパーテープ120に重ね合わされ、袋本体の開口になる部分に沿ってジッパーテープ120がチューブ状フィルム110に熱溶着される(
図11A)。次に、ジッパーテープ120に沿って、チューブ状フィルム110のいずれか1層にスリット307が形成される(
図11B)。次に、ジッパーテープ120に沿った方向の所定位置で、スリット307に通気口部材305が差し込まれる(
図11C)。さらに、スリット307の両側で、チューブ状フィルム110の内側面111同士の間、および通気口部材305とチューブ状フィルム110の内側面111との間を接合するシール部308が形成される(
図11D)。このとき、袋本体の内側面101A同士が融着しないように、例えばガラスクロスシートなどの融着防止部材310が介挿されてもよい。さらに、製袋後のジッパーテープ120の長手方向端部にあたる位置に超音波潰し部311を形成し、溶断シールによってチューブ状フィルム110を裁断するとともにサイドシール部103,104を形成することによって、袋状容器300が製造される。
【0040】
本実施形態では、通気口を形成する通気口部材305が袋本体の開口側から差し込まれる。従って、上記の例のように、製造工程において溶断シールを用いて1工程でサイドシール部103,104を形成することができ、効率的な製造が可能になる。なお、例えば
図1に示された例のようにサイドシール部104を横断して通気口部材105を挿入する場合、サイドシール部104の一部を未シールのまま残し、そこに通気口部材105を挿入する工程が必要になる。
【0041】
なお、
図10に示された例では、袋本体の底部102で折り返された状態でチューブ状フィルム110を搬送し、袋本体の両面側からの押圧および加熱によってジッパーテープ120の熱溶着やシール部308の形成が実施されるが、他の例では、上記で
図3および
図4を参照して説明した例のようにドラムシール部20を含む製造装置を使用してもよい。この場合、チューブ状フィルム110は袋本体の底部102で折り返される前の状態で搬送される。また、この場合、
図9および
図13に示された例とは異なり、スリット307が形成されない側のチューブ状フィルム110にはシール部308が形成されなくてもよい。また、上記の例ではジッパーテープ120をチューブ状フィルム110に熱溶着した後にジッパーテープ120に沿ってスリット307が形成されるが、ジッパーテープ120が熱溶着される前に、ジッパーテープ120がチューブ状フィルム110に熱溶着される位置にスリット307が形成されてもよい。
【0042】
(通気口の構成)
図12Aおよび
図12Bは、
図8のXII-XII線断面図である。図示された例において、通気口部材305は、シール部308Bによって挟み込まれる1対の面305A,305Bを含む。この場合、
図12Aに示されるように、閉空間S2が気体の封入によって膨張していない状態では、1対の面305A,305Bの間を通って気体が流通する。一方、
図12Bに示されるように、閉空間S2が気体の封入によって膨張すると、押し広げられたチューブ状フィルム110によって1対の面305A,305Bが互いに押し付けられ、通気口部材305を介して気体が流通しなくなる。このようにして、図示された例では通気口部材305が逆止弁として機能する。通気口部材305の1対の面305A,305Bは、例えば筒状につなぎ合わされた複数のフィルムによって形成されてもよいし、折り曲げられた単一のフィルムによって形成されてもよいし、筒状に成形された単一のフィルムによって形成されてもよい。
【0043】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変形例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0044】
100,100A,200,300…袋状容器、101A…内側面、101B…外側面、102…底部、103,104…サイドシール部、105…通気口部材、105A,105B…1対の面、106…開口、110…チューブ状フィルム、111…内側面、112…外側面、120…ジッパーテープ、121A,121B…基部条片、122A,122B,222A,222B…係合部、123A,223A…雄型係合部、123B,223B…雌型係合部、124A,124B,224A,224B…鉤型係合部、305…通気口部材、305A,305B…1対の面、307…スリット、308,308A,308B…シール部、309…リブ、310…融着防止部材、311…超音波潰し部、1…製造装置、10…供給部、11…フィルムロール、12…テープ巻取ロール、13…分離手段、14…搬送装置、20…ドラムシール部、21…ドラム、211…周面、212…溝、22…シールバー、221…シール面、23…無端ベルト、30…搬送部、31…搬送装置、40…製袋部。