(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
G01N 33/38 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G01N33/38
(21)【出願番号】P 2020083094
(22)【出願日】2020-05-11
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 圭一
(72)【発明者】
【氏名】黒田 泰弘
(72)【発明者】
【氏名】浦野 真次
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-103513(JP,A)
【文献】特開2001-228143(JP,A)
【文献】特開2015-021905(JP,A)
【文献】特開2020-071134(JP,A)
【文献】特開2006-053083(JP,A)
【文献】特開2018-112409(JP,A)
【文献】特開2012-068194(JP,A)
【文献】米国特許第04853614(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/00-33/46
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルを含む流動体の単位水量を測定する測定装置であって、
前記流動体が流通し筒状に形成され前記流動体の性状に応じて、出口において面積が調整された開口を有すると共に勾配が調整された流路と、
前記流路に設けられ、前記流路内を流通する前記流動体の単位水量を連続的に計測する流量計と、を備えることを特徴とする、
測定装置。
【請求項2】
前記流路は、前記フレッシュコンクリートのスランプ値又はフレッシュモルタルの流動性に応じて前記開口の前記面積及び前記勾配が調整されている、
請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記流路は、前記流動体の流通開始から所定時間経過後に前記流動体が所定の流速の範囲内において流通するように前記流動体の性状に応じて前記流路の前記勾配が調整される調整機構を備える、
請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
前記流量計は、所定面積に形成された検出部を有するマイクロ波センサを有し、
前記検出部は、接触する前記流動体が一定量となるように前記流路の底面の一部において前記底面と略同一面上に設けられている、
請求項1から3のうちいずれか1項に記載の測定装置。
【請求項5】
前記マイクロ波センサの検出結果に基づいて前記フレッシュコンクリート又は前記フレッシュモルタルの単位水量を算出する、
請求項4に記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルを含む流動体の単位水量を測定する測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレッシュコンクリート(レディーミクストコンクリート)の品質確保のため、国土交通省発注の土木工事では、コンクリートの生成時における単位水量測定が義務化されている。フレッシュコンクリートの単位水量測定は、国土交通省発注以外の工事にも波及しつつある。フレッシュコンクリートの単位水量の測定方法としては、エアメータ法、水中質量法、高周波加熱乾燥法、減圧式加熱乾燥法、乾燥炉法、静電容量法、水濃度測定法、塩分濃度差法などが挙げられ、このうち、エアメータ法、高周波加熱乾燥法が多用されている。
【0003】
上記の測定方法において、例えば生コン車(アジテータ車、ミキサー車)により現場に搬入されたフレッシュコンクリートから試料が採取され、試料の単位水量が測定される。この測定方法においては、サンプリング測定となり、サンプル検査の結果は、採取したサンプルに大きく依存すると共に、測定結果が得られるまでに長い時間を要し、打設するフレッシュコンクリートの単位水量をリアルタイムで確認することができない。
【0004】
そこで、出願人は既に流動するフレッシュコンクリートやフレッシュモルタルの単位水量を連続的に且つ短時間で、容易に高精度で測定することを可能にする方法(特許文献1参照)を開発・実用化した。この単位水量を測定する方法によれば、フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルを含む流動体に電磁波を発信するとともに水分で反射した電磁波を受信する水分計を、打設する流動体が流通する開放空間に設置し、流動して通過してゆく流動体の動的測定値を連続的に測定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アジテータ車には、流動体が流動する樋状に形成されたシュートが設置される。シュートは、開放された流路を有する。特許文献1に記載された方法によれば、シュート上を流動する流動体に対して水分計として用いられる棒型のマイクロ波センサをセットし、流動体の単位水量を推定する。しかしながら、特許文献1に記載された測定方法では、アジテータ車が入れ替わる毎に、マイクロ波センサをセットし直す必要があり、手間がかかるという課題がある。更に特許文献1に記載された方法によれば、流動体の流量が大きく変化した場合、マイクロ波の共振周波数のピーク値が変化し、動的測定値が安定しないという課題がある。
【0007】
本発明は、フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルを含む流動体の流量が変化しても単位水量を安定して測定できる測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、本発明は、フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルを含む流動体の単位水量を測定する測定装置であって、前記流動体が流通し筒状に形成され前記流動体の性状に応じて、出口において面積が調整された開口を有すると共に勾配が調整された流路と、前記流路に設けられ、前記流路内を流通する前記流動体の単位水量を連続的に計測する流量計と、を備えることを特徴とする、測定装置である。
【0009】
本発明によれば、筒状の流路に流動体を充填しながら流動させるため、流動体の単位水量を安定して測定することができる。流路の出口には流動体の性状に応じて開口の面積が調整されているため、流路における流動体の流速を調整できる。流路は、更に流動体の性状に応じて勾配が調整されるため、流路における流動体の流速を調整することができる。本発明によれば、アジテータ車が変更されても流動体の単位水量を安定して測定できる。
【0010】
また、本発明の前記流路は、前記フレッシュコンクリートのスランプ値又はフレッシュモルタルの流動性に応じて前記開口の前記面積及び前記勾配が調整されていてもよい。
【0011】
本発明によれば、流路は、具体的にはフレッシュコンクリートのスランプ値又はフレッシュモルタルの流動性に応じて開口の面積の大きさが調整されると共に、勾配を調整することにより、流路の開口において流動体を受け止めながら流動体を吐出させ流路の内部に流動体を充填させることができる。
【0012】
また、本発明の前記流路は、前記流動体の流通開始から所定時間経過後に前記流動体が所定の流速の範囲内において流通するように前記流動体の性状に応じて前記流路の前記勾配が調整される調整機構を備えていてもよい。
【0013】
本発明によれば、流動体の性状に応じて調整された流路の開口において流動体を受け止めることで所定時間が経過した後に流路内に流動体を充填するように勾配を調整することで流路内の流動体を所定の流速の範囲内で流通させることができる。
【0014】
また、本発明の前記流量計は、所定面積に形成された検出部を有するマイクロ波センサを有し、前記検出部は、接触する前記流動体が一定量となるように前記流路の底面の一部において前記底面と略同一面上に設けられていてもよい。
【0015】
本発明によれば、流路内を流動体が所定範囲内の流速で流通するため、流量計の検出部に流動体を安定して接触させることができる。
【0016】
また、本発明は、前記マイクロ波センサの検出結果に基づいて前記フレッシュコンクリート又は前記フレッシュモルタルの単位水量を算出してもよい。
【0017】
本発明によれば、マイクロ波センサの検出値を安定して検出できるため、検出結果に基づいて流動体の単位水量の算出結果を安定させることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルを含む流動体の状態や流量が変化しても流動体の単位水量を安定して測定できることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の実施形態に係る測定装置の使用状態を示す図である。
【
図7】台座の角度を調整する調整機構の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明に係る測定装置の実施形態について説明する。測定装置は、所定の配合比により予め配合されたレディーミクストコンクリート等のフレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルを含む流動体の単位水量を測定するものである。
【0021】
図1に示されるように、測定装置1は、例えば、アジテータ車AのシュートSと、コンクリートポンプ車Bの後部に設けられたホッパHとの間に配置されている。シュートSは、樋状に形成されたコンクリート等の流動体の流路である。シュートSは、アジテータ車Aから供給されるコンクリートを一端側において受け、他端側からコンクリートを移動対象に投入させる。ホッパHは、投入された流動体を仮受けし、目的の位置へ流し込むよう形成された装置である。測定装置1は、シュートSとホッパHとの間をコンクリート等が流動する際に流動体の単位水量を測定する。
【0022】
図2から
図5に示されるように、測定装置1は、流動体が流通する流路2と、流路2が載置された台座20と、台座20を支持する脚部10とを備える。脚部10は、例えば、足場用の複数のパイプと複数の接続金具によって組まれている。脚部10は、前側(後述の投入部24側)に設けられた脚と後側(後述の平板部23側)脚とが互い違いに伸縮自在に調整可能に形成されている。
【0023】
台座20は、平面視して下流側の辺が上流側より短い逆台形の板状に形成されている。台座20の上流側の辺には、台座20に対して回転自在に平板部23が連結されている。平板部23は、ヒンジQにより連結されている。平板部23は、底板23Aと、底板23Aを囲うように立設された一対の側板23B及び側板23Cとを備える。一対の側板23B及び側板23Cは、コンクリート漏れ止めのために設けられる。一対の側板23Bは、金属板により形成されていてもよいし、厚手のゴム板により形成されていてもよい。台座20の下流側の辺には、ホッパHに流動体を投入する投入部24が取り付けられている。投入部24は、上面が開放された樋状に形成されている。
【0024】
台座20には、流路2の上流側の開口に流動体を案内する一対のガイド板21が設けられている。一対のガイド板21は、流路2の上流側の開口に向かうほど間隔が狭くなるように取り付けられている。一対のガイド板21の上方から流動体が投入されると、流動体は一対のガイド板21に沿って流動し、流路2の上端の開口に案内される。流動体の流速が上がり、ガイド板21の上流側の流動体が溢れても、平板部23において、側板23B,23Cがコンクリートを受け止めるので、コンクリートがこぼれることが防止される。ガイド板21の長さは、適宜調整されて形成される。ガイド板21の長さは、図示する長さの半分程度であってもよい。台座20の両側には、上方に立設された一対の補強板22が設けられている。台座20上には、流路2が固定されている。
【0025】
図6に示されるように、流路2は、例えば、10cm×15cmの矩形断面の筒状に形成されている。流路2内は、流動体が流動する。流路2の下流側の開口2Aには、例えば、テーパ部2Bが設けられている。テーパ部2Bは、一端から下流側に向かうほど断面積が減少するように形成されている。テーパ部の出口には、矩形断面の開口2Cが形成されている。
【0026】
開口2Cは、流動体の性状に応じて面積が調整されている。開口2Cは、例えば、フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルのスランプ値や流動性に応じて面積が調整されている。開口2Cは、例えば、フレッシュコンクリートが流路を流動する場合、スランプ値が小さくなるほど面積が大きくなるように形成されている。即ち、開口2Cは、スランプ値に反比例した面積に設定されている。言い換えれば、開口2Cの面積は、フレッシュコンクリートの流動性が高い場合に大きく、流動性が小さい場合に小さくなるように形成されている。
【0027】
開口2Cの面積は、例えば、フレッシュコンクリートのスランプ値が15cm程度の場合、8cm×8cmに形成されている。開口2Cの面積は、例えば、フレッシュコンクリートのスランプ値が21cm程度の場合、6cm×6cmに形成されている。開口2Cの面積は、例えば、モルタルの場合、3cm×3cmに形成されている。テーパ部2Bは、フレッシュコンクリートのスランプ値が12cm以下の場合、設けられていなくてもよく、開口2Aの面積(10cm×15cm)からフレッシュコンクリートが吐出される。
【0028】
流路2は、流動体の流通開始から所定時間経過後に流動体が所定の流速の範囲内において流通するように流動体の性状に応じて流路2(台座20)の勾配を調整する調整機構5を備える。
【0029】
図7に示されるように、調整機構5は、例えば、台座20の勾配を多段階に調整するように構成されている。調整機構5は、台座20の底面に設けられた腕部6と、平板部23の底面に設けられた突出部7と、腕部6の先端と突出部7とを連結する連結部材8と、平板部23の底面に設けられたヒンジ9と、を備える。腕部6は、板状に形成されている。
【0030】
腕部6は、台座20の底面から下方に垂下し平板部23の方向に屈曲するように金属板が切り出されて形成されている。腕部6の先端には、ボルト穴が形成されている。突出部7は、平板部23の底面から下方に垂下するように金属板が切り出されて形成されている。突出部7の先端には、ボルト穴が形成されている。連結部材8は、矩形の板状体に形成されている。連結部材8には、長手方向に沿って複数のボルト穴8Aが形成されている。連結部材8の一端側は、ボルト及びナットにより突出部7に固定される。
【0031】
連結部材8の他端側は、ボルト及びナットにより腕部6に固定される。この状態において、流路2及び台座20は、傾斜が水平に固定される。連結部材8は、一端側から他端側にボルト穴の取り付け位置を変更して腕部6の先端とボルト及びナットにより固定される。ヒンジ9は、台座20を脚部10に対して回転自在に連結する。
【0032】
図7(A)に示されるように、調整機構5において、腕部6の連結部材8におけるボルト穴の取り付け位置を他端側から一端側に向かって1個ずらして固定すると、台座20と平板部23とのなす角度が15°に固定される。平板部23を水平に保ち、台座20を脚部10に固定すると、流路2が15°の勾配に固定される。
【0033】
図7(B)に示されるように、調整機構5において、腕部6の連結部材8におけるボルト穴の取り付け位置を他端側から一端側に向かって腕部6と突出部7とが離間する方向に更に1個ずらして固定すると、台座20と平板部23とのなす角度が30°に固定される。平板部23を水平に保ち、台座20を脚部10に固定すると、流路2が30°の勾配に固定される。
【0034】
図7(C)に示されるように、調整機構5において、腕部6の連結部材8におけるボルト穴の取り付け位置を他端側から一端側に向かって腕部6と突出部7とが離間する方向に更に1個ずらして固定すると、台座20と平板部23とのなす角度が45°に固定される。平板部23を水平に保ち、台座20を脚部10に固定すると、流路2が45°の勾配に固定される。平板部23の一対の側板23Bは、厚手のゴム板により形成されている場合、一対の補強板22に連結され、台座20と平板部23とのなす角の変化に応じて弾性変形するようにしてもよい。上記の調整機構5の構成は一例であり、台座20の勾配が調整できれば他のサイズ、他の機構が適用されていてもよい。
【0035】
流路2の勾配は、コンクリートのスランプ値の大きさに反比例して値が大きくなるように調整される。流路2の勾配は、例えば、コンクリートのスランプ値が大きい場合、勾配が小さくなるように調整される。流路2の勾配は、例えば、コンクリートのスランプ値が小さい場合、勾配が大きくなるように調整される。上記構成により流路2は、コンクリートの性状に応じてテーパ部2Bの開口2Cの面積と勾配が調整される。
【0036】
流路2は、例えば、フレッシュコンクリートのスランプ値が21cm程度で流動性が高い場合、開口2Cの面積が6cm×6cmのテーパ部2Bが取り付けられると共に、勾配が15°に調整される。流路2は、例えば、流動性が高いモルタルの場合、開口2Cの面積が3cm×3cmのテーパ部2Bが取り付けられると共に、勾配が15°に調整される。
【0037】
流路2は、例えば、フレッシュコンクリートのスランプ値が15cm程度の場合、開口2Cの面積が8cm×8cmのテーパ部2Bが取り付けられると共に、勾配が30°に調整される。流路2は、例えば、フレッシュコンクリートのスランプ値が12cm以下で流動性が低い場合、テーパ部2Bが取り外されて開口2Aの面積を10cm×15cmに、勾配を45°に調整される。上記の開口の面積及び勾配は、一例であり、面積と勾配との組合せ及び数値は適宜調整されてもよい。
【0038】
図8及び
図9に示されるように、流路2の底面2Dの途中には、流路内を流通する流動体の単位水量を連続的に計測する流量計30が設けられている。流量計30は、所定面積に形成された円板状の検出部31を有するマイクロ波センサを有している。検出部31は、接触する流動体が一定量となるように流路の底面2Dの一部において底面2Dと略同一面上に設けられている。検出部31は、マイクロ波センサの検出結果に基づいてフレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルの単位水量を算出する。
【0039】
次に、測定装置1を用いたフレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルの単位水量の検出について説明する。フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタル等の流動体の性状に応じてテーパ部2Bを選択し、流路2に取り付ける(
図6参照)。フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルの性状に応じて調整機構5を調整し、流路2の勾配を設定する(
図7参照)。平板部23にアジテータ車AのシュートSの下端を設置し、投入部24をホッパH内に設置する。測定装置の高さは、脚部10を調整して決定する。アジテータ車Aの排出速度を調整し、シュートSを介して台座20の一対のガイド板21に流動体を流動させる。
【0040】
流動体は、テーパ部2Bに受け止められて開口2Cから吐出されつつ、流路2内に充填される。流路2内に流動体が充填された後、流動体は、開口2Cから一定量が吐出されると共に、流路2内を一定の流速で移動する。この時、流量計30の検出部31には、単位時間当たり一定量の流動体が流通する。
【0041】
これにより、流量計30は、流動体の単位水量を計測する。測定装置1は、アジテータ車Aが変更されてもそのまま流動体の単位水量を測定することができる。測定装置1は、流動体の性状が変更されてもテーパ部2Bや勾配の調整により流動体の単位水量の測定を継続できる。
【0042】
図10に示されるように、測定装置1によるフレッシュモルタルの測定結果を参照する。測定開始時から25秒程度の所定時間が経過するまでは、流路2にフレッシュモルタルが完全に充填されていないため、測定結果が不安定である。測定結果は、所定時間が経過した後、アジテータ車からの排出量が10m
3/h以上になり、且つ、流路2の上部までフレッシュモルタル充填された後は、いずれの流速においても安定して動的測定値が得られていることがわかる。
【0043】
上述したように測定装置1によれば、フレッシュコンクリート又はフレッシュモルタルなどの流動体の状態や流量が変化しても流動体の単位水量を安定して測定できる。測定装置1によれば、流動体の性状に応じて流路2の開口2Cの面積及び流路2の勾配を適切に調整することにより、流量計30の検出部31上を通過する流動体の通過量を一定にすることができる。
【0044】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、流量計は、マイクロ波センサを用いるものを例示したが、これに限らず、流動体の単位水量を推定できるのであれば他のセンサを用いてもよい。調整機構5は、ネジ穴の位置を変更することで流路2の勾配を段階的に調整するものとしたが、これに限らず、ネジやターンバックル等を用いて無段階に調整するものであってもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 測定装置、2 流路、2A 開口、2B テーパ部、2C 開口、2D 底面、5 調整機構、6 腕部、7 突出部、8 連結部材、8A ボルト穴、9 ヒンジ、10 脚部、20 台座、21 ガイド板、22 補強板、23 平板部、24 投入部、30 流量計、31 検出部、A アジテータ車、B コンクリートポンプ車、H ホッパ、Q ヒンジ、S シュート