(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】情報表示装置及び情報表示方法
(51)【国際特許分類】
H04W 4/029 20180101AFI20231030BHJP
H04W 84/10 20090101ALI20231030BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H04W4/029
H04W84/10 110
G09G5/00 550C
G09G5/00 510A
(21)【出願番号】P 2020099311
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000002299
【氏名又は名称】清水建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(72)【発明者】
【氏名】松本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】山崎 元明
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 雄哉
(72)【発明者】
【氏名】白石 理人
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-070923(JP,A)
【文献】特開2016-154329(JP,A)
【文献】特開2018-088120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
G06F 13/00
G09G 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間におけるユーザの実体を検出するセンサの検出出力から前記ユーザの位置情報
と、前記位置情報が示す位置にて前記ユーザが行ったアクションを示すアクション情報とを取得するセンサ情報解析部と、
前記ユーザの個人端末と近距離通信を行って前記ユーザの個人端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記センサ情報解析部で取得された前記ユーザの位置情報と、前記位置情報取得部で取得された前記ユーザの個人端末の位置情報とを対比し、前記センサで検出されたユーザの位置にある個人端末を特定し、
前記ユーザの位置情報と、
前記ユーザの個人端末と、
前記センサ情報解析部で取得された前記ユーザのアクション情報とを対応付ける情報関連部と、
前記アクション情報が取得されると、前記アクション情報が示す前記ユーザのアクションに応じて前記ユーザに特化した情報を示す表示画像を生成する表示画像生成部と、
前記ユーザが前記空間に入ったことに基づき前記表示画像が示す情報とは異なる情報を前記ユーザの位置情報が示す位置に表示し、前記ユーザが前記空間にてアクションを行ったことに基づき前記表示画像生成部により生成された
前記表示画像を表示する表示部と、
を備えた情報表示装置。
【請求項2】
前記ユーザが開示しても良い個人情報を選択するユーザ情報設定部をさらに備え、
前記表示画像生成部は、前記ユーザ情報設定部の設定に従って、前記ユーザに特化した情報を生成する、
請求項1に記載の情報表示装置。
【請求項3】
前記表示部は、前記空間を形成する床面及び壁面の全部又はその一部である、
請求項1又は2に記載の情報表示装置。
【請求項4】
前記センサ情報解析部は、前記空間の撮像情報を解析して前記空間におけるユーザの位置情報を取得する、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項5】
前記近距離通信は、UWB(Ultra Wide Band)通信である、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の情報表示装置。
【請求項6】
空間におけるユーザの実体をセンサで検出して前記ユーザの位置情報
と、前記位置情報が示す位置にて前記ユーザが行ったアクションを示すアクション情報とを取得する工程と、
前記ユーザの個人端末と近距離通信を行って前記ユーザの個人端末の位置情報を取得する工程と、
前記ユーザの実体を検出して取得された前記ユーザの位置情報と前記ユーザの個人端末と通信を行って取得された前記ユーザの個人端末の位置情報とを対比し、前記センサで検出されたユーザの位置にある個人端末を特定し、
前記ユーザの位置情報と、
前記ユーザの個人端末と、
前記ユーザの実体を検出して取得された前記ユーザのアクション情報とを対応付ける工程と、
前記アクション情報が取得されると、前記アクション情報が示す前記ユーザのアクションに応じて前記ユーザに特化した情報を示す表示画像を生成する工程と、
前記ユーザが前記空間に入ったことに基づき前記表示画像が示す情報とは異なる情報を前記ユーザの位置情報が示す位置に表示し、前記ユーザが前記空間にてアクションを行ったことに基づき生成された
前記表示画像を表示する工程と、
を含む情報表示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報表示装置及び情報表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の外壁を情報ディスプレイにしたメディアファサードなどの取り組みが見られる。また、デジタルアートインスタレーションなどで、壁面に絵を描いたり、壁面のアニメーション画像とインタラクションしたりできる表現やツールが提案されている。また、電子ホワイトボードツールなどで、壁面に文字や絵を描いて物理的空間において複数人でコミュニケーションをしながら、同時に記録を電子データ化することができるようになっている。さらに公共の空間においては、デジタルサイネージとして、インタラクティブ広告や、タッチスクリーンによる情報端末などが用意されるようになっている。また、例えば特許文献1には、UWB(Ultra Wide Band)等を用いた、車とユーザのペアリング技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駅の待合室等の公共の空間の床や壁に、ユーザに必要な情報を表示する場合、空間においてユーザの位置・移動や、壁や床に対する操作のアクションを検出する必要がある。ユーザの検出には、カメラによる画像解析、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、測域センサ、静電容量センサ、圧力センサなど、様々なセンシングの方法が考えられる。例えば、情報の精度が高い、カメラによる画像解析を使えば、顔認証などにより個人の特定も可能であり、ユーザに特化した情報を表示することができる。しかしながら、公共の空間などでは、個人情報保護の観点などから、こうした個人が特定されるセンサ技術は導入することが難しい。一方、匿名での情報しか取得しないセンサを使用した場合、各ユーザに対して情報を特化することができないという問題がある。
【0005】
上述の課題を鑑み、本発明は、公共の空間においてユーザの個人情報を保護しつつ、ユーザに特化した情報を表示できる情報表示装置及び情報表示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る情報表示装置は、空間におけるユーザの実体を検出するセンサの検出出力から前記ユーザの位置情報と、前記位置情報が示す位置にて前記ユーザが行ったアクションを示すアクション情報とを取得するセンサ情報解析部と、前記ユーザの個人端末と近距離通信を行って前記ユーザの個人端末の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記センサ情報解析部で取得された前記ユーザの位置情報と、前記位置情報取得部で取得された前記ユーザの個人端末の位置情報とを対比し、前記センサで検出されたユーザの位置にある個人端末を特定し、前記ユーザの位置情報と、前記ユーザの個人端末と、前記センサ情報解析部で取得された前記ユーザのアクション情報とを対応付ける情報関連部と、前記アクション情報が取得されると、前記アクション情報が示す前記ユーザのアクションに応じて前記ユーザに特化した情報を示す表示画像を生成する表示画像生成部と、前記ユーザが前記空間に入ったことに基づき前記表示画像が示す情報とは異なる情報を前記ユーザの位置情報が示す位置に表示し、前記ユーザが前記空間にてアクションを行ったことに基づき前記表示画像生成部により生成された前記表示画像を表示する表示部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様に係る情報表示方法は、空間におけるユーザの実体をセンサで検出して前記ユーザの位置情報と、前記位置情報が示す位置にて前記ユーザが行ったアクションを示すアクション情報とを取得する工程と、前記ユーザの個人端末と近距離通信を行って前記ユーザの個人端末の位置情報を取得する工程と、前記ユーザの実体を検出して取得された前記ユーザの位置情報と前記ユーザの個人端末と通信を行って取得された前記ユーザの個人端末の位置情報とを対比し、前記センサで検出されたユーザの位置にある個人端末を特定し、前記ユーザの位置情報と、前記ユーザの個人端末と、前記ユーザの実体を検出して取得された前記ユーザのアクション情報とを対応付ける工程と、前記アクション情報が取得されると、前記アクション情報が示す前記ユーザのアクションに応じて前記ユーザに特化した情報を示す表示画像を生成する工程と、前記ユーザが前記空間に入ったことに基づき前記表示画像が示す情報とは異なる情報を前記ユーザの位置情報が示す位置に表示し、前記ユーザが前記空間にてアクションを行ったことに基づき生成された前記表示画像を表示する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、公共の空間においてセンサによりユーザの実体を検出してユーザの位置情報を取得するとともに、ユーザが携帯している個人端末と近距離通信を行ってユーザの個人端末の位置情報を取得することで、センサで検出されたユーザの位置にある個人端末を特定している。これにより、検出位置とユーザの個人端末とセンサの検出情報とを対応付けることができ、公共の空間において、ユーザに特化した情報を表示することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報表示装置の概要を示す図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る情報表示装置における制御装置の説明に用いる機能ブロック図である。
【
図3A】本発明の実施形態に係る情報表示装置での処理の説明図である。
【
図3B】本発明の実施形態に係る情報表示装置での処理の説明図である。
【
図4A】本発明の実施形態に係る情報表示装置において個人情報を設定するときの情報設定画面の説明図である。
【
図4B】本発明の実施形態に係る情報表示装置において個人情報を設定するときの情報設定画面の説明図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る情報表示装置での処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報表示装置1の概要を示す図である。
【0011】
本実施形態の情報表示装置1は、複数人によって利用される公共の空間に適用することが可能であり、例えば、駅(待合所、待合室、コンコース等)、空港、公園、商業施設、ビルのエントランス、歩道、博物館、病院、公共施設、イベント会場等に適用することが可能である。この図では、複数の人が集まる駅(例えば、駅の待合所)に用いられる場合について図示されている。
【0012】
図1において、空間10は例えば駅の待合所等の公共の空間であり、少なくとも床面11と壁面12とがある。床面11及び壁面12はその全体または少なくとも一部の領域が表示面として用いることができる。床面11及び壁面12は、プロジェクションやLED(Light Emitting Diode)モジュールなどにより映像信号が投写されることで、表示部としての機能を実現することができる。
【0013】
モーションセンサ20は、空間10内に入場したユーザ50を検出し、当該ユーザ50の位置や移動、アクション等を検出する。ユーザ50のアクションとしては、ユーザ50の壁面12及び床面11に対するタッチや、手を挙げたり、手を振ったりするジェスチャー等が考えられる。モーションセンサ20としては、カメラ、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)センサ、測域センサ、静電容量センサ、圧力センサ等が考えられる。モーションセンサ20がカメラの場合、モーションセンサ20の撮像情報からユーザ50の実体の位置を解析することで、ユーザ50の空間10内での位置を認識できる。また、モーションセンサ20がLIDARセンサや測域センサの場合、ユーザ50の実体を検出して、ユーザ50の空間10内での位置を認識できる。また、モーションセンサ20が静電容量センサや圧力センサの場合、床面11の全面に静電容量センサや圧力センサを配置し、その検出座標を解析することで、ユーザ50の空間10内での位置を認識できる。なお、この例では1台のモーションセンサ20のみ図示しているが、モーションセンサ20は複数台あっても良い。また、モーションセンサ20としては単独種類のセンサばかりでなく、カメラ、LIDARセンサ、測域センサ、静電容量センサ、圧力センサ等、複数のセンサを組み合わせて用いても良い。
【0014】
通信装置30は、ユーザ50の個人端末60と無線信号により近距離通信を行う。当該近距離通信は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)通信である。以下、本実施形態では、通信装置30がユーザ50の個人端末60とUWB通信を行う例について説明する。
UWB通信は、超広帯域の無線信号を用いた近距離高速通信であり、位置測定やレーダーの機能を有している。これにより、個人端末60を携帯しているユーザ50の位置を検出できる。個人端末60と通信装置30とをリンクさせる際には、ペアリングが行われる。なお、ここでは、1台の通信装置30のみ図示しているが、通信装置30は複数台あっても良い。例えば、UWB信号の到達時間差を用いて位置検出を行う場合、互いに異なる位置に3台の通信装置を設け、個人端末60からのUWB信号を3台の各通信装置で受信し、その時間差から個人端末60の位置を検出することになる。個人端末60の位置検出の方法は、近距離通信によりユーザ50の個人端末60の位置が検出できれば、どのような検出方法を用いても良い。
【0015】
制御装置40は、床面11及び壁面12に、ユーザ50の動きとインタラクティブに、各種の情報を表示するための処理を行う。また、後に説明するように、本実施形態では、通信装置30から取得される位置情報と、モーションセンサ20により検出された位置情報とを対比させることにより、モーションセンサ20で検出した位置にいるユーザ50がどの個人端末60を携帯しているかが特定できる。これにより、検出位置と、ユーザの個人端末60と、モーションセンサ20の検出情報との対応関係が構築でき、そのユーザ50に特化した情報を床面11及び壁面12に表示することができる。制御装置40は、ネットワーク70上のアプリケーションサーバにより実現しても良いし、PC(Personal Computer)により実現しても良い。
【0016】
個人端末60は、ユーザ50が携帯している端末である。個人端末60は、例えばスマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末等であり、ネットワーク70を介して、制御装置40と接続可能である。また、個人端末60は、通信装置30と通信を行うための通信機能を備えている。
【0017】
図2は、本発明の実施形態に係る情報表示装置1における制御装置40の説明に用いる機能ブロック図である。
図2に示すように、制御装置40は、センサ情報解析部401と、位置情報取得部402と、ID取得部403と、情報関連部404と、通信部405と、表示画像生成部406と、ユーザ情報設定部407とを備えている。
【0018】
センサ情報解析部401は、モーションセンサ20の検出出力から、ユーザ50の位置情報及びアクション情報を取得する。モーションセンサ20としてカメラを用いた場合、モーションセンサ20から得られる空間の撮像情報(撮像画像)を解析することで、ユーザ50の位置及びアクションの情報を取得できる。センサ情報解析部401で取得された位置情報は、情報関連部404に送られる。また、センサ情報解析部401で取得された位置情報及びアクション情報は、表示画像生成部406に送られる。
【0019】
位置情報取得部402は、ユーザ50の個人端末60と近距離通信を行って、ユーザ50の個人端末60の位置を測位する。位置情報取得部402で検出されたユーザ50の個人端末60の位置情報は、情報関連部404に送られる。
【0020】
ID取得部403は、ユーザ50の個人端末60と通信装置30とでペアリングを行う際に、個人端末60を識別するためのIDを取得する。取得したIDは、情報関連部404に送られる。なお、このIDは、ユーザ50の個人端末60を識別できれば、どのようなものを用いても良い。
【0021】
情報関連部404は、センサ情報解析部401により取得されたユーザ50の位置情報と、位置情報取得部402により取得されたユーザ50の携帯している個人端末60の位置情報とを対比させることで、モーションセンサ20で検出している位置にいるユーザの個人端末60が、どのユーザの個人端末60であるかを特定する。そして、情報関連部404は、検出位置と、ユーザの個人端末60と、モーションセンサ20の検出情報とを対応付け、対応関係を構築する。
【0022】
通信部405は、ネットワーク70を介して、ユーザ50の個人端末60と通信を行う。本実施形態では、ユーザ50は、個人端末60を操作することで、開示しても良い個人情報を選択することができる。選択した個人情報は、ユーザ情報設定部407に記憶される。
【0023】
表示画像生成部406は、モーションセンサ20の検出情報に従って表示画像を生成する。表示画像生成部406は、モーションセンサ20に検出されるユーザ50のアクションに応じた表示画像を生成し、床面11及び壁面12に表示画像を表示させる。表示画像生成部406には、センサ情報解析部401から位置情報及びアクション情報が送られる。また、表示画像生成部406は、ユーザ情報設定部407の設定情報に基づいて、ユーザ50に特化した情報である表示画像を生成し、床面11及び壁面12からなる表示部に当該表示画像を表示させることができる。
【0024】
表示部(不図示)は、表示画像生成部406により生成された表示画像を表示する。表示部は、空間を形成する床面11及び壁面12の全部又はその一部である。
【0025】
図3A及び
図3Bは、本発明の実施形態に係る情報表示装置1での処理の説明図である。
【0026】
図3Aに示すように、ユーザ50aが空間10内に入ったとする。モーションセンサ20は、空間10内をセンシングしており、ユーザ50aが空間10に入ると、ユーザ50aが位置(x1,y1)で検出されたことを示す情報を制御装置40に送信する。制御装置40は、ユーザ50aの足元の位置(x1,y1)に、ユーザ50aの位置を示す情報101aを表示する。さらに、ユーザ50bが空間10内に入ると、モーションセンサ20はユーザ50bが位置(x2,y2)で検出されたことを示す情報を制御装置40に送信する。制御装置40は、ユーザ50bの足元の位置(x2,y2)に、ユーザ50bの位置を示す情報101bを表示する。
【0027】
また、ユーザ50a、50bが空間10内に入ると、各ユーザ50a、50bの個人端末60a、60bと通信装置30とで通信が可能となる。ここで、ユーザ50a、50bが各自の個人端末60a、60bと通信装置30とのペアリングを許可すると、各ユーザ50a、50bの個人端末60a、60bと通信装置30とがリンクし、UWB通信により個人端末60a、60bの位置が測位される。ここでは、UWB通信で測位された個人端末60aの位置が(x1,y1)であり、個人端末60bの位置が(x2,y2)であったとする。
【0028】
制御装置40は、モーションセンサ20から解析したユーザの位置(位置(x1,y1)及び(x2,y2))に、通信装置30で測位した個人端末60a、60bがあるかを判定する。この例では、モーションセンサ20から解析したユーザの位置(x1,y1)は、通信装置30で個人端末60aを測位した位置(x1,y1)と一致している。また、モーションセンサ20から解析したユーザの位置(x2,y2)は、通信装置30で個人端末60bを測位した位置(x2,y2)と一致している。よって、制御装置40は、ユーザ50aの位置(x1,y1)及びユーザ50bの位置(x2,y2)に、それぞれ個人端末60a、個人端末60bがあると判定する。
【0029】
なお、ユーザ50の位置に個人端末60があるか否かの判定条件は、モーションセンサ20から解析したユーザ50の位置と通信装置30で測位した個人端末60の位置とが一致するか否かに限定されない。
例えば、判定条件は、モーションセンサ20から解析したユーザ50の位置の誤差範囲に基づく条件であってもよい。具体的に、判定条件は、ユーザ50の位置の誤差範囲内に、個人端末60の位置が含まれるか否かである。個人端末60のユーザ50の位置の誤差範囲に含まれる場合、制御装置40は、ユーザ50の位置に個人端末60があると判定する。
また、判定条件は、通信装置30が測位した個人端末60の位置の誤差範囲に基づく条件であってもよい。具体的に、判定条件は、個人端末60の位置の誤差範囲内に、ユーザ50の位置が含まれるか否かである。ユーザ50の位置が個人端末60の位置の誤差範囲に含まれる場合、制御装置40は、ユーザ50の位置に個人端末60があると判定する。
【0030】
制御装置40は、所定の条件に基づき、ユーザ50と個人端末60の組み合わせが正しいか否かを判定してもよい。当該所定の条件は、例えば、ユーザ50の移動方向と個人端末60の移動方向とが一致するか否か、ユーザ50の移動方向と個人端末60の移動方向が所定の範囲内の方向であるか否か等である。ユーザ50の移動方向と個人端末60の移動方向とが一致する場合、あるいはユーザ50の移動方向と個人端末60の移動方向が所定の範囲内の方向である場合、制御装置40は、ユーザ50と個人端末60の組み合わせが正しいと判定する。
【0031】
制御装置40は、モーションセンサ20から解析したユーザの位置に個人端末60がある場合には、モーションセンサ20の検出しているユーザの位置情報と、ユーザの個人端末60と、モーションセンサ20の検出情報とを関連付ける。この例では、位置(x1,y1)に個人端末60aがあることから、制御装置40は、位置(x1,y1)と、ユーザ50aの個人端末60aと、位置(x1,y1)でのユーザのアクションとを関連付ける。また、位置(x2,y2)に個人端末60bがあることから、制御装置40は、位置(x2,y2)と、ユーザ50bの個人端末60bと、位置(x2,y2)でのユーザのアクションとを関連付ける。
【0032】
また、ユーザ50a、50bは、個人端末60a、60bを操作することで、開示しても良い個人情報を選択する。
図4A及び
図4Bは、本発明の実施形態に係る情報表示装置1において個人情報を設定するときの情報設定画面の説明図である。個人端末60a、60bにインストールされているアプリケーションプログラムを起動させると、個人端末60a、60bと制御装置40とがネットワーク70を介して接続され、
図4A及び
図4Bに示すような情報設定画面が表示される。情報設定画面では、各ユーザが開示しても良い個人情報を選択できる。この例では、個人情報として、「行き先」、「氏名」、「スケジュール」、「定期券」の情報が表示されている。ユーザ50a、50bは、これらの情報の中で、開示しても良い情報を選択できる。ここでは、ユーザ50aは、個人端末60aを用いて、
図4Aに示すように、「定期券」の情報をオンに設定しているとする。また、ユーザ50bは、個人端末60bを用いて、
図4Bに示すように、「行き先」の情報をオンに設定しているとする。
【0033】
図3Bに示すように、ユーザ50a、50bがアクションを行うと、このアクションがモーションセンサ20で検出される。このとき、制御装置40は、設定した個人情報を基に、その個人に特化した情報を表示できる。
【0034】
例えば、位置(x1,y1)にいるユーザ50aがアクションを行ったとする。前述したように、位置(x1,y1)でのユーザのアクションは、ユーザ50aの個人端末60aと関連付けられている。よって、制御装置40は、ユーザ50aの個人端末60aの個人情報の設定を参照して、ユーザ50aに特化した情報を表示する。
図4Aに示したように、ユーザ50aは、個人端末60aにより、「定期券」の情報をオンに設定している。この場合には、
図3Bに示すように、位置(x1,y1)の近傍に定期券で利用可能な路線の次発情報や時刻表等を示す情報102aが表示される。なお、情報102aとして表示される情報は、かかる例に限定されない。
【0035】
また、例えば、位置(x2,y2)にいるユーザ50bがアクションを行ったとする。前述したように、位置(x2,y2)でのユーザのアクションは、ユーザ50bの個人端末60bと関連付けられている。よって、制御装置40は、ユーザ50bの個人端末60bの個人情報の設定を参照する。
図4Bに示したように、ユーザ50bは、個人端末60bにより「行き先」の情報をオンに設定している。この場合には、
図3Bに示すように、位置(x2,y2)の近傍に、矢印等によって乗り換えのルートを示す情報102bが表示される。なお、情報102bとして表示される情報は、かかる例に限定されない。
【0036】
制御装置40は、個人端末60で起動中のアプリケーションから取得する情報に基づき、情報102を表示させてもよい。例えば、ユーザがアプリケーションでルート検索を行っている場合、制御装置40は、個人情報の設定に基づき、ユーザがルート検索のために入力した行き先の情報やルート検索の結果等を取得する。そして、制御装置40は、取得した情報を情報102として表示させてもよいし、取得した情報に基づき生成した情報を情報102として表示させてもよい。例えば、制御装置40は、取得したルート検索の結果から乗り換えのルートを示す情報を生成し、表示させる。
また、制御装置40は、ユーザが設定すれば、ユーザが好む移動手段(電車、新幹線、飛行機、バス、タクシー、徒歩等)に関する情報を優先的に表示させてもよい。例えば、制御装置40は、アプリケーションでのルート検索時にユーザが選択した移動手段を示す情報を取得する。そして、制御装置40は、取得した情報が示す移動手段に関する情報を生成し、表示させる。
【0037】
図5は、本発明の実施形態に係る情報表示装置1での処理を示すフローチャートである。
【0038】
(ステップS101)ユーザ50は、床面11と壁面12とからなる空間10内に入場する。
【0039】
(ステップS102)モーションセンサ20は、空間10内に入ったユーザ50を検出し、この検出出力を制御装置40に送る。制御装置40は、モーションセンサ20の検出出力に基づいて、ユーザ50の足元の床面11に情報101を表示させる。
【0040】
(ステップS103)制御装置40は、モーションセンサ20の検出出力から、ユーザ50が退場したか否かを判定する。制御装置40は、ユーザ50が退場したら(ステップS103:Yes)、処理を終了し、ユーザ50が退場していなければ(ステップS103:No)、処理をステップS104に進める。
【0041】
(ステップS104)制御装置40は、モーションセンサ20の検出出力から、ユーザ50のアクションがあったか否かを判定する。制御装置40は、ユーザ50のアクションがあったら(ステップS104:Yes)、処理をステップS105に進め、ユーザ50のアクションが無ければ(ステップS104:No)、処理をステップS106に進める。
【0042】
(ステップS105)制御装置40は、ユーザ50のアクションに対応した情報を表示し、処理をステップS106に進める。例えば、制御装置40は、ユーザ50のアクション(例えば壁面12へのタッチ)に対応した情報102を壁面12に表示させる。また、ユーザ50が移動した場合、制御装置40は、ユーザ50の移動に合わせて、床面11に表示されている情報101の表示位置を移動させてもよい。
【0043】
(ステップS106)制御装置40は、モーションセンサ20で検出したユーザの位置に、個人端末60があるか否かを判定する。制御装置40は、モーションセンサ20で検出したユーザの位置に、個人端末60がある場合には(ステップS106:Yes)、処理をステップS107に進め、個人端末60がない場合には(ステップS106:No)、処理をステップS102に戻す。
【0044】
(ステップS107)制御装置40は、個人端末60と通信装置30とのペアリングが許可されているか否かを判定する。制御装置40は、ペアリングを許可する場合には(ステップS107:Yes)、処理をステップS108に進め、ペアリングを許可しない場合には(ステップS107:No)、処理をステップS102に戻す。ペアリングを許可すると、個人端末60と通信装置30との間でデータがやり取りされ、近距離通信により個人端末60の位置が測位される。制御装置40は、モーションセンサ20により取得された位置情報と、通信装置30により取得された位置情報とを対比させることで、モーションセンサ20で検出しているユーザの位置にある個人端末60を特定し、検出位置と、ユーザの個人端末60と、モーションセンサ20の検出情報とを対応付ける。
【0045】
(ステップS108)ユーザ50は、個人情報を制御装置40に設定して、個人情報の通知を許可するか否かを判定する。なお、前述したように、この個人情報の設定では、各ユーザが開示しても良い個人情報を選択できる。個人情報の通知を許可する場合には(ステップS108:Yes)、処理をステップS109に進め、通知を許可しない場合には(ステップS108:No)、処理をステップS102に戻す。
【0046】
(ステップS109)制御装置40は、ユーザ50の個人端末60により設定された個人情報を収集して、処理をステップS110に進める。
【0047】
(ステップS110)制御装置40は、床面11に表示されている情報101又は壁面12に表示されている情報102をユーザ50に特化した情報にして処理をステップS102に戻す。
【0048】
なお、ステップS102では、ユーザ50の足元の床面11に対する情報101の表示だけでなく、壁面12に対する情報102の表示も行われてよい。
【0049】
以上説明したように、本実施形態では、公共の空間10においてモーションセンサ20によりユーザ50(50a、50b)の実体を検出してユーザの位置情報を取得するとともに、ユーザ50(50a、50b)の個人端末60(60a、60b)と通信装置30とをペアリングさせて近距離通信を行うことで、ユーザ50(50a、50b)の携帯する個人端末60(60a、60b)の位置情報を取得している。モーションセンサ20により取得された位置情報と、近距離通信により取得された位置情報とを対比させることで、モーションセンサ20で検出された位置にある個人端末60(60a、60b)を特定することができ、検出位置と、ユーザの個人端末60と、モーションセンサ20の検出情報とを対応付けることができる。これにより、モーションセンサ20の検出情報がどのユーザの情報であるかを認識でき、公共の空間において、ユーザ50(50a、50b)に特化した情報を床面11及び壁面12に表示することが可能になる。また、本実施形態では、個人端末60(60a、60b)により、各ユーザが開示しても良い個人情報を選択して設定できる。このため、公共の空間などで、個人情報保護を図りながら、個人に特定した情報を表示させていくことができる。
【0050】
上述した実施形態における情報表示装置1の全部または一部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0051】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0052】
10… 空間、20… モーションセンサ、30…通信装置、40…制御装置、60,60a,60b…個人端末、70…ネットワーク、401…センサ情報解析部、402…位置情報取得部、403…ID取得部、404…情報関連部、406…表示画像生成部、407…ユーザ情報設定部