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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   F24C 7/02 20060101AFI20231030BHJP
   F24C 15/00 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F24C7/02 301S
F24C15/00 K
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020120013
(22)【出願日】2020-07-13
(65)【公開番号】P2022016987
(43)【公開日】2022-01-25
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】福澤 綾
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/012245(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/143267(WO,A1)
【文献】特表2017-534038(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0213187(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0141797(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0223782(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/02
F24C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱庫と、
食品を加熱調理するための情報コードを読み取る読取り装置と、
前記読取り装置によって読み取られた情報コードに基づいて、前記加熱庫内に配置された食品を加熱制御する加熱制御部と、
前記加熱庫内における前記食品の移動方向を判定する移動方向判定部と、
前記読取り装置の読取り動作を制御する読取り制御部と、を含み、
前記読取り制御部は、
前記移動方向判定部によって前記食品の移動方向が前記加熱庫から出る方向であると判定された後、所定時間、前記読取り装置による前記情報コードの読取り動作を停止させる、あるいは、前記移動方向判定部によって前記食品の移動方向が前記加熱庫から出る方向であると判定された場合、所定時間に前記読取り装置によって読み取られた情報コードをキャンセルすることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記移動方向判定部は、
前記加熱庫の内部を撮像する撮像部を含み、
前記撮像部が撮像した画像を解析して、前記食品の移動方向を判定することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記移動方向判定部は、
前記食品の移動を検知する移動検知部を含み、
前記読取り装置による前記情報コードの読取りと、前記移動検知部による前記食品の移動の検知との順番から、前記食品の移動方向を判定することを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記食品の移動の検知位置は、前記情報コードの読取り位置よりも前記加熱庫内部側であることを特徴とする請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記読取り制御部は、
前記読取り装置による前記情報コードの読取り動作を停止させてから、所定時間経過後、前記読取り装置による前記情報コードの読取り動作の停止を解除する、あるいは、前記読取り装置によって読取られた情報コードをキャンセルする動作を解除することを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱庫内に配置された食品を加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばコンビニエンスストアでは、販売した弁当等の食品を電子レンジ等の加熱調理器にて加熱し、客に手渡すサービスが行われている。
【0003】
食品を加熱する場合の好適な加熱温度や加熱時間は、食品の種類によって異なる。そこで、特許文献1および2に示す加熱調理器では、食品の容器に記された、食品の種類を示すバーコードを読取り装置にて読み取り、食品の種類に応じた加熱情報(加熱温度や加熱時間)に従って食品を加熱するようにしている。
【0004】
具体的には、特許文献1に記載の構成では、電子レンジにバーコードスキャナが接続され、ユーザがバーコードスキャナを手動操作して食品の容器に記されたバーコードを読み取ることで食品の種類に応じた加熱情報を得ている。
【0005】
また、特許文献2に記載の構成では、加熱調理器の前面の一方の側部に設けられた第1のバーコード読取り装置に、食品の容器に記されたバーコードをかざしてバーコードを読み取ることで食品の種類に応じた加熱情報を得ている。あるいは加熱調理器の加熱庫内部に、容器に収容された食品を配置し、加熱庫の天壁に設けられた第2のバーコード読取り装置にて食品の容器に記されたバーコードを読み取ることで食品の種類に応じた加熱情報を得ている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2006-64362号公報
【文献】実用新案登録第3076649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1、2の何れにおいても、バーコードスキャナや、第1あるいは第2のバーコード読取り装置がバーコードを読み取るタイミングについては記載されていない。しかしながら、これらの読取り装置が常にバーコードを読取り可能な状態とすると、加熱庫内部から加熱後の食品を取り出す際、誤って当該食品の容器のバーコードを読取る恐れがある。この場合、加熱庫から既に食品を取り出した後なので、加熱庫に食品が存在しない状態で加熱が行われる恐れがある。つまり、無負荷運転を行うことで、加熱調理器の加熱部、例えばマグネトロンに負担がかかり、機器寿命を短くするという問題が生じる。
【0008】
本発明の一態様は、無負荷運転を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、加熱庫と、食品を加熱調理するための情報コードを読み取る読取り装置と、前記読取り装置によって読み取られた情報コードに基づいて、前記加熱庫内に配置された食品を加熱制御する加熱制御部と、前記加熱庫内における前記食品の移動方向を判定する移動方向判定部と、前記読取り装置の読取り動作を制御する読取り制御部と、を含み、前記読取り制御部は、前記移動方向判定部によって前記食品の移動方向が前記加熱庫から出る方向であると判定された後、所定時間、前記読取り装置による前記情報コードの読取り動作を停止させるあるいは、前記移動方向判定部によって前記食品の移動方向が前記加熱庫から出る方向であると判定された場合、所定時間に前記読取り装置によって読み取られた情報コードをキャンセルすることを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
本発明の一態様によれば、無負荷運転を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態の加熱調理器の前扉を閉じた状態を正面の斜め上方から見た場合の斜視図である。
図2図1に示した加熱調理器の前扉を開放した状態の正面図である。
図3図1に示した加熱調理器の前扉を開放した状態を右斜め下方から見た場合の斜視図である。
図4図1に示した加熱調理器が備える読取り装置の設置状態を示すコントロールフレームの縦断面図である。
図5図4に示した読取り装置の読取り領域を示す説明図である。
図6】情報コードの具体的な例を示す説明図である。
図7図1に示した加熱調理器が備える制御装置の構成を示すブロック図である。
図8図1に示した加熱調理器における食品の移動方向の判定方法を示す説明図である。
図9】本発明の他の実施形態の加熱調理器が備える制御装置の構成を示すブロック図である。
図10図9に示す加熱調理器における食品の移動方向の検出方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。図1は、本実施形態の加熱調理器1の本体に設けられた開閉自在の前扉12を閉じた状態を正面の斜め上方から見た場合の斜視図である。図2は、図1に示した加熱調理器1の前扉12を開放した状態を正面の斜め下方から見た場合の斜視図である。図3は、図1に示した加熱調理器1の前扉12を開放した状態を右斜め下方から見た場合の斜視図である。
【0013】
(加熱調理器1の概要)
図1から図3に示すように、加熱調理器1は、例えば電子レンジであり、前面の上部に操作パネル11を有し、操作パネル11の下に前扉12を有している。前扉12は、前扉12の奥に設けられている加熱庫13を開閉する扉であり、閉状態にて加熱庫13の前面開口部13bを覆う。前扉12は、本実施形態において、向って左側の端部を中心として回転する横開き形式であり、回転中心と反対側の端部である、右端付近に取手14を有している。
【0014】
加熱庫13には、図2に示すように、庫内の天面13aに庫内撮影用のカメラ31(撮像部)が設けられている。カメラ31によって、加熱庫13内を撮影する。カメラ31による撮像画像によって食品の移動方向、すなわち、食品を庫内に入れる時か、食品を庫内から取り出す時かを判定する。カメラ31による撮像画像による食品の移動方向の判定の詳細については後述する。
【0015】
操作パネル11は、コントロールフレーム15の前面に設けられている。操作パネル11は、加熱調理器1の前後方向において、当該操作パネル11の前面が前扉12の前面とほぼ面一となるように設けられている。
【0016】
コントロールフレーム15の内部には、操作パネル11の表示部30の制御や、入力キー等に対するユーザ操作の受け付け等を行う制御基板(図示せず)が設けられている。
【0017】
(読取り装置16)
図4は、読取り装置16の設置状態を示すコントロールフレーム15の縦断面図である。図5は、読取り装置16の読取り領域19を示す説明図である。
【0018】
図4に示すように、コントロールフレーム15は、加熱調理器1の前方へ突出状に設けられている。読取り装置16は、読取り装置基板(回路基板)17の下面に取り付けられ、コントロールフレーム15の内部の下部に設けられている。読取り装置基板17は、読取り装置16の駆動回路を備えている。すなわち、読取り装置16は、加熱庫13の外部、かつ加熱庫13の前面開口部13bの上方位置を設置位置とし、設置位置よりも下方に読取り領域19を有するように設けられている。
【0019】
読取り装置16は、例えばバーコードリーダであり、加熱調理器1にて加熱する食品あるいは食品の容器に付与された情報コード(例えばバーコード)を読み取るようになっている。
【0020】
読取り装置16は、図5に示すように、読取り装置16の下方領域を読取り領域19としており、コントロールフレーム15は、読取り装置16と対向する下壁部の部分に、透明の読取り窓18を有している。
【0021】
読取り装置16の読取り領域19は、ユーザが目視にて読取り領域19を理解できるように、例えば赤色の光にて示すようになっている。この赤色の光は、読取り領域照明部21(図7参照)が照射する。読取り領域照明部21としては、例えば赤色LEDが用いられる。なお、読取り領域19を示す光は赤色に限定されず、ユーザが目視可能な他の光、例えばレーザ等であってもよい。また、赤色LEDの個数は1個でもよいし、複数個であってもよい。
【0022】
また、読取り装置16は、図2および図3に示すように、加熱庫13の前面開口部13bの幅方向(左右方向)の中央部に設けられている。
【0023】
(情報コード)
図6の(a)は、二次元コード(QRコード(登録商標))からなる情報コードの例を示す説明図、図6の(b)は、一次元バーコードからなる情報コードの例を示す説明図である。
【0024】
情報コードは、食品の加熱調理をするために用いられる。例えば情報コードは、食品の種類を示す情報、種類を示した食品の加熱調理の条件を示す情報(加熱情報)を含んでいる。加熱情報は、加熱調理に必要な情報であり、加熱調理器1における加熱時間、高周波出力のワット数を含んでいる。情報コードは、具体的には、食品の種類、例えば食品が弁当であること(あるいはさらに弁当の種類)や、おにぎりであること(あるいはさらにはおにぎりの種類)を示す情報と、それら示された食品に応じた加熱時間、高周波出力のワット数を含む加熱情報とを含んでいる。この情報コードは、食品あるいは食品の容器に、例えば印刷あるいはシールによって付与されている。なお、情報コードは、特定した食品の加熱調理をするために用いられるため、食品を特定する情報のみを含み、特定した食品の加熱情報を外部のサーバ51(図8)から取得するようにしてもよい。また、情報コードは、食品の加熱情報のみを含んでいてもよい。
【0025】
なお、情報コードは、例えば図6の(a)に示すように、二次元コードであってもよいし、図6の(b)に示すように、一次元バーコードであってもよい。なお、情報コードは、食品の種類を示すことができるものであればよく、特にバーコード等に限定されない。
【0026】
(制御装置)
図7は、加熱調理器1が備える制御装置の構成を示すブロック図である。制御装置は、加熱調理器1の動作を制御する制御部22を備えている。制御部22は、例えばマイクロコンピュータからなり、CPU、ROMおよびRAMを有する。
【0027】
図7に示すように、制御部22には、操作パネル11、加熱動作部23、読取り装置16、読取り領域照明部21、読取り結果報知部24、前扉開閉検知部25およびメモリ(記憶部)52が接続されている。前扉開閉検知部25は、例えば前扉12が閉じられたときにオンするスイッチからなり、前扉12の開状態および閉状態を検知する。
【0028】
加熱動作部23は、加熱庫13に配置された食品を加熱する動作部であり、例えばマイクロ波出力装置やヒータである。読取り結果報知部24は、ブザーや音声発生部であり、制御部22に制御されて、読取り装置16による情報コードの読み取りの成功または失敗をユーザに報知する。
【0029】
制御部22は、例えばインターネット回線を使用してサーバ51と通信可能である。サーバ51には、各種食品の種類に応じた加熱情報が登録されている。制御部22は、読取り装置16が情報コードを読み取ることによって取得した食品の種類に応じた加熱情報をサーバ51から取得し、取得した加熱情報に従って食品が加熱されるように、加熱動作部23を制御する。なお、食品の種類に応じた加熱情報は、加熱調理器1自体が有していてもよい。この場合、加熱調理器1はサーバ51との通信は不要である。
【0030】
さらに、制御部22は、加熱庫13内での食品40の移動方向(挿入方向または取出し方向)を判定する判定部22a(移動方向判定部)、判定部22aの判定結果に基づき加熱動作部23の加熱動作を制御する加熱制御部22b、判定部22aの判定結果に基づき読取り装置16の読取り動作を制御する読取り制御部22cを含んでいる。
【0031】
図8は、加熱調理器1における食品の移動方向の判定方法を示す説明図である。
【0032】
判定部22aは、カメラ31が撮像した画像に基づいて、加熱庫13内での食品40の移動方向を判定する。判定部22aは、カメラ31から受け取った2枚の画像から食品40の移動方向を判定している。すなわち、判定部22aは、受け取った2枚の画像のうち、最初に受け取った食品(QRコード)40の画像を符号40a、次に受け取った食品(QRコード)40の画像を符号40bとすると、図8の符号1181に示すように、画像40aが画像40bに対して加熱庫13の庫外側であれば、食品(QRコード)40の移動方向は、加熱庫13の庫内側(矢印X方向)であると判定する。一方、図8の符号1182に示すように、画像40aが画像40bに対して加熱庫13の庫内側であれば、食品40(QRコード)の移動方向は、加熱庫13の庫外側(矢印Y方向)であると判定する。なお、判定部22aは、食品40全体(QRコードを含む)の画像によって移動方向を判定してもよいが、食品40の画像の代わりに食品40の情報コード(図8の場合、QRコード)の画像から食品40の移動方向を判定してもよい。
【0033】
加熱制御部22bは、判定部22aの判定結果が加熱庫13の内側、すなわち庫内側に食品40が移動していることを示す結果であれば、加熱動作部23による加熱動作を許可し、一方、加熱庫13の外側、すなわち庫外側に食品40が移動していることを示す結果であれば、加熱動作部23による加熱動作を許可しない。
【0034】
読取り制御部22cは、判定部22aの判定結果が、加熱庫13の外側、すなわち庫外側に食品40が移動していることを示す結果であれば、所定時間、読取り装置16による情報コードの読取り動作を停止させる、あるいは、所定時間に読取り装置16によって読み取られた情報コードをキャンセルする。なお、読取り装置16によって読み取られた情報コードには、加熱調理に必要な加熱情報が含まれている。加熱情報とは、加熱調理器1における加熱時間、高周波出力のワット数をいう。
【0035】
読取り制御部22cは、読取り装置16による情報コードの読取り動作の停止を、所定時間経過後に解除する、あるいは、前記読取り装置によって読取られた情報コードをキャンセルする動作を解除する。ここで、所定時間は、任意に設定すればよく、少なくとも加熱庫13内から食品40を完全に取り出して、読取り装置16による読取り位置を過ぎるまでの時間に設定すればよい。このように所定時間を設定すれば、加熱終了後の食品を加熱庫13から取り出す際に、読取り装置16によって再び情報コードが読み込まれる可能性をより低くすることができる。
【0036】
所定時間の開始は、判定部22aによって加熱庫13内における食品40の移動方向が、庫外に向かう方向であると判定された時点であるのが好ましい。この場合、庫外側に食品40が移動してから、読取り装置16による読取り動作が停止されることになるので、加熱庫13から取り出された食品40が読取り装置16の読取り位置を通過しても、当該食品40の情報コードは読み取られる恐れは殆どない。
【0037】
所定時間の完了は、例えば、前扉開閉検知部25によって前扉12が閉じられたことを検知した時点であってもよい。具体的には、前扉開閉検知部25によって前扉12が開放されたことを検知し、且つ、判定部22aによって加熱庫13内に食品40の移動方向が、庫外に向かう方向であると判定された後、所定時間後、あるいは、読取り装置16による読取り動作を停止させ、扉開閉検知部25によって前扉12が閉じられたことを検知した時点以降に読取り装置16による読取り動作の停止を解除する。この場合、加熱調理が終わった食品40を加熱庫13から取り出すには、前扉12を開放する必要があるので、当該前扉12が開放された状態で、加熱庫13から食品40が取り出される。このとき、読取り装置16による読取り動作の停止が開始されることになる。そして、所定時間経過するか、あるいは、前扉12が閉じられた時点以降で、読取り装置16による読取り動作の停止を解除する。これにより、次に、食品40を加熱調理するために前扉12を開放して、加熱庫13に入れようとするときに、食品40の情報コードを読取り装置16によって読み取ることができる。
【0038】
メモリ52には、読取り装置16が読み取った情報コードに含まれる加熱情報が記憶される。これにより、情報コードを一度読み取った食品に関しては、加熱情報が加熱調理器1のメモリ52に登録されるので、加熱情報を加熱調理器1の外部から情報コードを読み取る都度取得する必要がなくなる。
【0039】
(加熱調理器1の動作)
上記の構成において、加熱調理器1の動作について以下に説明する。ここでは、食品40を、容器の上面に情報コードが付与された弁当とし、この弁当を加熱調理器1にて加熱する場合について説明する。
【0040】
まず、ユーザは、操作パネル11の案内表示20(例えば、「ドアを開けて赤色の光に情報コードをかざしてください」)を確認する。そして、ユーザは、この案内表示20に従って、前扉12を開ける。この前扉12の開放状態を前扉開閉検知部25が検知すると、制御部22は、読取り装置16および読取り領域照明部21を動作させる。
【0041】
次に、ユーザは、操作パネル11の案内表示20に従って、読取り装置16の読取り領域19に情報コードが入るように(情報コードに赤色の光が当たるように)、弁当を移動させる。
【0042】
この動作により、読取り装置16は弁当に付与された情報コードを読み取る。読取り装置16による情報コードの読み取りが成功すると、制御部22は、その読取り結果を読取り結果報知部24にてユーザに報知させる。この場合の読取り結果報知部24の動作は、例えば「ピー」という連続音を発する動作、「情報コードの読み取りが成功しました」という音声を発する動作、あるいはそれら両方である。
【0043】
ユーザは、読取り結果報知部24にて情報コードの読み取りの成功が知らされると、弁当を加熱庫13の庫内側に移動させ、加熱庫13内の所定の位置(フラットプレート13c上)に配置する。このとき、制御部22は、判定部22aによって弁当の移動方向は加熱庫13の庫内側であると判定され、この判定結果に基づき加熱制御部22bによる加熱制御、すなわち加熱動作部23による加熱動作が許可される。
【0044】
制御部22は、情報コードの読み取りが成功すると、サーバ51と通信し、情報コードが示す食品の種類の応じた加熱情報をサーバ51から取得する。その後、制御部22は、ユーザが前扉12を閉じ、操作パネル11のスタートボタンを押と、取得した加熱情報に従って加熱庫13内の弁当を加熱する。
【0045】
その後、制御部22は、ユーザが前扉12を閉じ、操作パネル11の加熱変更ボタン11aが操作され、スタートボタンが押される。そして、スタートボタンの押下に伴って、取得した加熱情報に従って加熱庫13内の弁当を加熱する。
【0046】
一方、読取り装置16による情報コードの読み取りが失敗すると、制御部22は、その読取り結果を読取り結果報知部24にてユーザに報知させる。この場合の読取り結果報知部24の動作は、例えば「ピッ、ピッ、ピッ」という断続音を発する動作、「情報コードの読み取りが失敗しました」という音声を発する動作、あるいはそれら両方である。
【0047】
ユーザは、読取り結果報知部24にて情報コードの読み取りの失敗が知らされると、読取り装置16の読取り領域19に情報コードが入るように(情報コードに赤色の光が当たるように)、再度、弁当を移動させる。これにより、情報コードの読み取りが成功した場合の動作は、前述のとおりである。
【0048】
以上のようにして、弁当の温めが完了すると、その旨がユーザに報知され、ユーザは、加熱庫13内から弁当を取り出す。弁当を加熱庫13内から取り出すことにより、制御部22の判定部22aは、弁当の移動方向は、加熱庫13の庫外側であると判定する。この判定部22aの判定結果(弁当の移動方向は、加熱庫13の庫外側である)に基づき、加熱制御部22bは、加熱動作部23による加熱動作を許可しない。さらに、判定部22aの判定結果(弁当の移動方向は、加熱庫13の庫外側である)に基づき、読取り制御部22cは、所定時間、読取り装置16による情報コードの読取り動作を停止させる。
【0049】
(効果)
上記構成の加熱調理器1によれば、判定部22aによって食品40の移動方向が加熱庫13から出る方向であると判定されたとき、読取り制御部22cは、所定時間、読取り装置16による情報コードの読取り動作を停止させる、あるいは、所定時間に読取り装置16によって読み取られた情報コードをキャンセルする。これにより、加熱庫13に食品40が存在しない状態で、読取り装置16による情報コードの読取りが所定時間行われない、あるいは、所定時間に読取り装置16によって読み取られた情報コードをキャンセルするので、加熱動作部23による加熱動作(無負荷運転)も行われない。従って、加熱調理器1は、無負荷運転を抑制することができる。
【0050】
また、上記構成の加熱調理器1によれば、判定部22aは、カメラ31による撮像解析により食品40の移動方向を容易に判定することができる。
【0051】
さらに、上記構成の加熱調理器1によれば、所定時間経過後に、読取り装置16の読取り動作の停止が解除される、あるいは、読取り装置16によって読取られた情報コードをキャンセルする動作が解除されるので、次に加熱調理を行う予定の食品40の情報コードの読取りを行わせことができる。ここで、所定時間は、任意に設定すればよく、少なくとも加熱庫内から食品を完全に取り出して、読取り装置による読取り位置を過ぎるまでの時間に設定すればよい。このように所定時間を設定すれば、加熱終了後の食品を加熱庫13から取り出す際に、読取り装置16によって再び情報コードが読み込まれる可能性をより低くすることができる。
【0052】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。図9は、加熱調理器2が備える制御装置の構成を示すブロック図である。図10は、図9に示す加熱調理器2における食品の移動方向の検出方法を示す説明図である。
【0053】
(加熱調理器2の概要)
図9および図10に示すように、本実施形態に係る加熱調理器2は、加熱調理器1のカメラ31に代えて、食品40の移動を検知する動きセンサ41(移動検知部)を備える。また、本実施形態に係る制御装置の判定部22a(移動方向判定部)は、読取り装置16による情報コードの読取りと、動きセンサ41による食品40の移動の検知との順番に基づいて、加熱庫13内での食品40の移動方向を判定する。加熱調理器2の他の構成は加熱調理器1と同様である。
【0054】
(動きセンサ41)
図10の符号1101に示すように、動きセンサ41は、読取り装置16の右側部に位置するようにコントロールフレーム15の内部の下部に設けられる。このように動きセンサ41が加熱庫13外に設けられることにより、動きセンサ41に対する熱の影響を低減することができる。なお、動きセンサ41が設けられる位置としてはこのような構成に限定されず、食品40の移動を検知できる位置であればよい。
【0055】
また、図10の符号1102に示すように、動きセンサ41による食品40の移動の検知位置41aは、情報コードの読取り位置16aよりも加熱庫13の内部側である。例えば、動きセンサ41は、検知位置41aが加熱庫13内となるように庫内側に傾けてコントロールフレーム15に設置される。また、読取り装置16は、読取り位置16aが加熱庫13外となるように庫外側に傾けてコントロールフレーム15に設置される。これにより、検知位置41aは、読取り位置16aよりも確実に加熱庫13の内部側とすることができる。
【0056】
(制御装置)
判定部22aは、読取り装置16による情報コードの読取りと、動きセンサ41による食品40の移動の検知との順番に基づいて、加熱庫13内での食品40の移動方向を判定する。ここで、図10の符号1102に示すように、検知位置41aは、読取り位置16aよりも加熱庫13の内部側である。そのため、読取り装置16が読取り位置16aで情報コードを読取った後に動きセンサ41が検知位置41aで食品40の移動を検知した場合、判定部22aは、食品40の移動方向が、加熱庫13の庫内側(矢印X方向)であると判定する。一方、読取り装置16が読取り位置16aで情報コードを読取る前に動きセンサ41が検知位置41aで食品40の移動を検知した場合、判定部22aは、食品40の移動方向が、加熱庫13の庫外側(矢印Y方向)であると判定する。
【0057】
(効果)
上記構成の加熱調理器2によれば、判定部22aは、読取り装置16による情報コードの読取りと動きセンサ41による食品40の移動の検知との順番により食品40の移動方向を容易に判定することができる。
【0058】
また、検知位置41aは、読取り位置16aよりも加熱庫13の内部側であるので、食品40を加熱庫13から取り出す際に、食品40が読取り位置16aを通過する前に食品40の移動の検知が行われる。そのため、読取り制御部22cは、読取り装置16による読取り動作を、食品40が読取り位置16aを通過する前に停止させることができる、あるいは、読取り装置16によって読み取られた情報コードを確実にキャンセルすることができる。従って、加熱調理器2は、無負荷運転を確実に抑制することができる。
【0059】
(変形例)
加熱調理器2において、動きセンサ41による食品40の移動の検知位置41aは、情報コードの読取り位置16aよりも加熱庫13の外部側であってもよい。このとき、読取り装置16が読取り位置16aで情報コードを読取る前に動きセンサ41が検知位置41aで食品40の移動を検知した場合、判定部22aは、食品40の移動方向が、加熱庫13の庫内側であると判定する。一方、読取り装置16が読取り位置16aで情報コードを読取った後に動きセンサ41が検知位置41aで食品40の移動を検知した場合、判定部22aは、食品40の移動方向が、加熱庫13の庫外側であると判定する。
【0060】
食品40の移動方向が加熱庫13の庫外側であると判定部22aが判定する場合、読取り制御部22cは、所定時間に読取り装置16によって読み取られた情報コードをキャンセルする。ここで、所定時間の開始は、例えば、食品40が読取り装置16による読取り位置16aを過ぎる時点より前になるように設定すればよい。これにより、判定部22aによる食品40の移動方向の判定が、食品40が読取り位置16aを通過する後であっても、読取り制御部22cは、読取り装置16によって読み取られた情報コードをキャンセルすることができる。従って、加熱調理器2は、無負荷運転を抑制することができる。
【0061】
〔ソフトウェアによる実現例〕
制御部22の制御ブロック(特に判定部22a、加熱制御部22b、読取り制御部22c)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0062】
後者の場合、制御部22は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0063】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る加熱調理器は、加熱庫と、食品を加熱調理するための情報コードを読み取る読取り装置と、前記読取り装置によって読み取られた情報コードに基づいて、前記加熱庫内に配置された食品を加熱制御する加熱制御部と、前記加熱庫内における前記食品の移動方向を判定する移動方向判定部と、前記読取り装置の読取り動作を制御する読取り制御部と、を含み、前記読取り制御部は、前記移動方向判定部によって前記食品の移動方向が前記加熱庫から出る方向であると判定された後、所定時間、前記読取り装置による前記情報コードの読取り動作を停止させる、あるいは、前記移動方向判定部によって前記食品の移動方向が前記加熱庫から出る方向であると判定された場合、所定時間に前記読取り装置によって読み取られた情報コードをキャンセルすることを特徴としている。
【0064】
上記の構成によれば、移動方向判定部によって食品の移動方向が加熱庫から出る方向であると判定されたときに、所定時間、読取り装置による情報コードの読取り動作を停止させる、あるいは、所定時間に読取り装置によって読み取られた情報コードをキャンセルする。そのため、加熱調理完了後の食品を加熱庫から取り出す際に、読取り装置による読取り位置を通過しても情報コードは読み取られない、あるいは読取り装置による読取り位置を通過したときに読み取られた情報コードはキャンセルされる。従って、加熱調理器は、無負荷運転を抑制することができる。
【0065】
本発明の態様2に係る加熱調理器の移動方向判定部は、上記態様1において、前記加熱庫の内部を撮像する撮像部を含み、前記撮像部が撮像した画像を解析して、前記食品の移動方向を判定してもよい。
【0066】
上記の構成によれば、画像解析により食品の移動方向を容易に判定することができる。
【0067】
本発明の態様3に係る加熱調理器の移動方向判定部は、上記態様1において、前記食品の移動を検知する移動検知部を含み、前記読取り装置による前記情報コードの読取りと、前記移動検知部による前記食品の移動の検知との順番から、前記食品の移動方向を判定してもよい。
【0068】
上記構成によれば、情報コードの読取りと食品の移動の検知との順番により食品の移動方向を容易に判定することができる。
【0069】
本発明の態様4に係る加熱調理器は、上記態様3において、前記食品の移動の検知位置は、前記情報コードの読取り位置よりも前記加熱庫内部側であってもよい。
【0070】
上記構成によれば、食品を加熱庫から取り出す際に、食品が読取り位置を通過する前に食品の移動の検知が行われる。そのため、読取り制御部は、読取り装置による読取り動作を、食品が読取り位置を通過する前に停止させることができる、あるいは、読取り装置によって読み取られた情報コードを確実にキャンセルすることができる。従って、加熱調理器は、無負荷運転を確実に抑制することができる。
【0071】
本発明の態様5に係る加熱調理器は、上記態様1~4の何れか1態様において、前記読取り制御部は、前記読取り装置による前記情報コードの読取り動作を停止させてから、所定時間経過後に読取り動作の停止を解除する、あるいは、前記読取り装置によって読取られた情報コードをキャンセルする動作を解除してもよい。
【0072】
上記構成によれば、所定時間経過後に、読取り装置の読取り動作の停止が解除される、あるいは、読取り装置によって読取られた情報コードをキャンセルする動作が解除されるので、次に加熱調理を行う予定の食品の情報コードの読取りを行わせことができる。ここで、所定時間は、任意に設定すればよく、少なくとも加熱庫内から食品を完全に取り出して、読取り装置による読取り位置を過ぎるまでの時間に設定すればよい。
【0073】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0074】
1、2 加熱調理器
11 操作パネル
11a 加熱変更ボタン
12 前扉
13 加熱庫
13a 天面
13b 前面開口部
13c フラットプレート
14 取手
15 コントロールフレーム
16 読取り装置
16a 読取り位置
17 装置基板
19 領域
20 案内表示
21 領域照明部
22 制御部
22a 判定部
22b 加熱制御部
22c 読取り制御部
23 加熱動作部
24 結果報知部
25 前扉開閉検知部
30 表示部
31 カメラ
40 食品
40a、40b 画像
41 動きセンサ
41a 検知位置
51 サーバ
52 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10