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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 29/78 20060101AFI20231030BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20231030BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20231030BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H01L29/78 652K
H01L29/78 652F
H01L29/78 652M
H01L29/78 652D
H01L29/78 652P
H01L29/06 301F
H01L29/06 301V
H01L29/78 652T
H01L29/78 658F
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020153298
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047399
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】岸本 裕幸
(72)【発明者】
【氏名】加藤 浩朗
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-050760(JP,A)
【文献】特開2019-096732(JP,A)
【文献】特開2019-054071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/78
H01L 29/739
H01L 29/06
H01L 29/12
H01L 21/336
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向と、においてゲート絶縁層を介して前記第2半導体領域と対向するゲート電極であって、
第1部分、
前記第2方向において前記第1部分から離れた複数の第2部分、及び、
前記第1部分と前記複数の第2部分との間にそれぞれ設けられた複数の第3部分、
を含み、前記複数の第3部分のそれぞれの前記第3方向における長さは、前記複数の第2部分のそれぞれの前記第3方向における長さよりも短前記第2半導体領域の一部が前記第1半導体領域と前記複数の第2部分との間に設けられた、前記ゲート電極と、
前記第3方向において前記複数の第2部分と交互に設けられた複数のコンタクト部を含み、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第2電極と、
を備えた半導体装置。
【請求項2】
前記複数のコンタクト部の下部にそれぞれ接する第2導電形の複数の第4半導体領域をさらに備え、
前記複数の第4半導体領域のそれぞれにおける第2導電形の不純物濃度は、前記第2半導体領域における第2導電形の不純物濃度よりも高い請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の第3部分のそれぞれの下において、前記第1半導体領域は前記ゲート絶縁層に接する請求項1又は2に記載の半導体装置。
【請求項4】
第1電極と、
前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続された第1導電形の第1半導体領域と、
前記第1半導体領域の上に設けられた第2導電形の第2半導体領域と、
前記第2半導体領域の上に設けられた第1導電形の第3半導体領域と、
前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向と、においてゲート絶縁層を介して前記第2半導体領域と対向するゲート電極であって、
第1部分、
前記第2方向において前記第1部分から離れた複数の第2部分、及び、
前記第1部分と前記複数の第2部分との間にそれぞれ設けられた複数の第3部分、
を含み、前記複数の第3部分のそれぞれの前記第3方向における長さは、前記複数の第2部分のそれぞれの前記第3方向における長さよりも短い、前記ゲート電極と、
前記第3方向において前記複数の第2部分と交互に設けられた複数のコンタクト部を含み、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続された第2電極と、
を備え、
前記第2半導体領域は、
前記第3方向において前記複数の第3部分と交互に設けられた複数の第1領域と、
前記第2方向において前記複数の第1領域から離れた第2領域と、
を含み、
前記複数のコンタクト部は、前記第2領域と前記複数の第1領域との間に設けられた半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体領域中に第1絶縁層を介して設けられた導電部をさらに備え、
前記第1部分は、第2絶縁層を介して前記導電部の上に設けられた請求項1~のいずれか1つに記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor(MOSFET)などの半導体装置は、電力変換等の用途に用いられる。半導体装置のオン抵抗は、低いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4570370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、オン抵抗を低減可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る半導体装置は、第1電極と、第1導電形の第1半導体領域と、第2導電形の第2半導体領域と、第1導電形の第3半導体領域と、ゲート電極と、第2電極と、を備える。前記第1半導体領域は、前記第1電極の上に設けられ、前記第1電極と電気的に接続されている。前記第2半導体領域は、前記第1半導体領域の上に設けられている。前記第3半導体領域は、前記第2半導体領域の上に設けられている。前記ゲート電極は、前記第1電極から前記第1半導体領域に向かう第1方向に垂直な第2方向と、前記第1方向及び前記第2方向に垂直な第3方向と、においてゲート絶縁層を介して前記第2半導体領域と対向している。前記ゲート電極は、第1部分、前記第2方向において前記第1部分から離れた複数の第2部分、及び、前記第1部分と前記複数の第2部分との間にそれぞれ設けられた複数の第3部分を含む。前記複数の第3部分のそれぞれの前記第3方向における長さは、前記複数の第2部分のそれぞれの前記第3方向における長さよりも短い。前記第2電極は、前記第3方向において前記複数の第2部分と交互に設けられた複数のコンタクト部を含む。前記第2電極は、前記第2半導体領域、前記第3半導体領域、及び前記ゲート電極の上に設けられ、前記第2半導体領域及び前記第3半導体領域と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図2】実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図3図1及び図2のIII-III断面図である。
図4図1及び図2のIV-IV断面図である。
図5図1及び図2のV-V断面図である。
図6図1及び図2のVI-VI断面図である。
図7】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図8】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図9】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図10】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図11】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図12】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図13】実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
図14】実施形態の変形例に係る半導体装置を表す平面図である。
図15】実施形態の変形例に係る半導体装置を表す平面図である。
図16図14及び図15のXVI-XVI断面図である。
図17図14及び図15のXVII-XVII断面図である。
図18図14及び図15のXVIII-XVIII断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
以下の説明及び図面において、n、n及びp、pの表記は、各不純物濃度の相対的な高低を表す。すなわち、「+」が付されている表記は、「+」及び「-」のいずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に高く、「-」が付されている表記は、いずれも付されていない表記よりも不純物濃度が相対的に低いことを示す。これらの表記は、それぞれの領域にp形不純物とn形不純物の両方が含まれている場合には、それらの不純物が補償しあった後の正味の不純物濃度の相対的な高低を表す。
以下で説明する各実施形態について、各半導体領域のp形とn形を反転させて各実施形態を実施してもよい。
【0008】
図1及び図2は、実施形態に係る半導体装置を表す平面図である。
図3は、図1及び図2のIII-III断面図である。図4は、図1及び図2のIV-IV断面図である。図5は、図1及び図2のV-V断面図である。図6は、図1及び図2のVI-VI断面図である。図1は、図3図5のI-I断面に対応する。図2は、図3図5のII-II断面に対応する。
実施形態に係る半導体装置100は、MOSFETである。
【0009】
図1図5に表したように、半導体装置100は、n形(第1導電形)ドリフト領域1(第1半導体領域)、p形(第2導電形)ベース領域2a(第2半導体領域)、n形ソース領域3a(第3半導体領域)、n形ソース領域3b、p形コンタクト領域4a(第4半導体領域)、n形ドレイン領域5、ゲート電極11、導電部15、ドレイン電極21(第1電極)、及びソース電極22(第2電極)を含む。
【0010】
実施形態の説明では、XYZ直交座標系を用いる。ドレイン電極21からn形ドリフト領域1に向かう方向をZ方向(第1方向)とする。Z方向に対して垂直であり、相互に直交する2方向をX方向(第2方向)及びY方向(第3方向)とする。また、説明のために、ドレイン電極21からn形ドリフト領域1に向かう方向を「上」と言い、その反対方向を「下」と言う。これらの方向は、ドレイン電極21とn形ドリフト領域1との相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0011】
図3に表したように、半導体装置100の下面には、ドレイン電極21が設けられている。n形ドレイン領域5は、ドレイン電極21の上に設けられ、ドレイン電極21と電気的に接続されている。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域5の上に設けられている。n形ドリフト領域1は、n形ドレイン領域5を介してドレイン電極21と電気的に接続されている。n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度は、n形ドレイン領域5におけるn形不純物濃度よりも低い。導電部15は、絶縁層15a(第1絶縁層)を介してn形ドリフト領域1中に設けられている。
【0012】
p形ベース領域2aは、n形ドリフト領域1の上に設けられている。1つのp形ベース領域2aの上に、n形ソース領域3a及び3bが設けられている。n形ソース領域3a及び3bは、X方向において互いに離れている。
【0013】
図1に表したように、ゲート電極11は、X方向及びY方向において、ゲート絶縁層11aを介してp形ベース領域2aと対向している。具体的には、ゲート電極11は、第1部分P1、複数の第2部分P2、及び複数の第3部分P3を含む。
【0014】
図3図5に表したように、第1部分P1は、絶縁層15b(第2絶縁層)を介して導電部15の上に設けられている。図1に表したように、第1部分P1は、Y方向に延伸している。第1部分P1のY方向における長さは、第1部分P1のX方向における長さよりも長い。第1部分P1は、X方向において、ゲート絶縁層11aを介してp形ベース領域2aと対向している。
【0015】
複数の第2部分P2は、X方向において第1部分P1から離れている。複数の第2部分P2は、Y方向において互いに離れている。例えば、1つの第2部分P2のY方向における長さは、当該1つの第2部分P2のX方向における長さよりも長い。それぞれの第2部分P2は、X方向において、ゲート絶縁層11aを介してp形ベース領域2aと対向している。
【0016】
複数の第3部分P3は、X方向において、第1部分P1と複数の第2部分P2との間にそれぞれ設けられている。複数の第3部分P3は、第1部分P1と複数の第2部分P2とをそれぞれ電気的に接続している。第3部分P3のY方向における長さL1は、第2部分P2のY方向における長さL2よりも短い。それぞれの第3部分P3は、Y方向において、ゲート絶縁層11aを介してp形ベース領域2aと対向している。
【0017】
具体的な形状の一例として、図5に表したように、第2部分P2の下面及び第3部分P3の下面は、第1部分P1の下面よりも上方に位置する。図1に表したように、第2部分P2の一部は、X方向において第3部分P3と並び、第2部分P2の別の一部は、X方向において第3部分P3と並んでいない。図5に表した第2部分P2の前記一部の上面は、図4に表した第2部分P2の前記別の一部の上面よりも、上方に位置する。
【0018】
図1に表したように、p形ベース領域2aは、複数の第1領域R1及び第2領域R2を含む。複数の第1領域R1は、Y方向において互いに離れている。複数の第1領域R1と複数の第3部分P3は、Y方向において交互に設けられている。すなわち、Y方向において隣り合う一対の第1領域R1の間に、1つの第3部分P3が設けられている。Y方向において隣り合う一対の第3部分P3の間に、1つの第1領域R1が設けられている。第2領域R2は、X方向において複数の第1領域R1から離れている。
【0019】
p形ベース領域2aの上には、複数のn形ソース領域3a及び1つのn形ソース領域3bが設けられている。図2に表したように、複数のn形ソース領域3aは、Y方向において互いに離れている。複数のn形ソース領域3aと複数の第3部分P3は、Y方向において交互に設けられている。すなわち、隣り合う一対のn形ソース領域3aの間に、1つの第3部分P3が設けられている。隣り合う一対の第3部分P3の間に、1つのn形ソース領域3aが設けられている。n形ソース領域3bは、X方向において、複数のn形ソース領域3aから離れている。
【0020】
図3図5に表したように、ソース電極22は、p形ベース領域2a、複数のn形ソース領域3a、n形ソース領域3b、及びゲート電極11の上に設けられている。ソース電極22は、p形ベース領域2a、複数のn形ソース領域3a、及びn形ソース領域3bと電気的に接続されている。ソース電極22は、ゲート電極11とは電気的に分離されている。
【0021】
図1図3に表したように、ソース電極22は、ドレイン電極21に向けて突出した複数のコンタクト部22aを含む。図1及び図2に表したように、複数のコンタクト部22aと複数の第2部分P2は、Y方向において交互に設けられている。すなわち、Y方向において隣り合う一対のコンタクト部22の間に、1つの第2部分P2が設けられている。Y方向において隣り合う一対の第2部分P2の間に、1つのコンタクト部22が設けられている。複数のコンタクト部22aは、X方向において、複数の第1領域R1と1つの第2領域R2との間にそれぞれ設けられている。図2に表したように、複数のコンタクト部22aは、X方向において、複数のn形ソース領域3aと1つのn形ソース領域3bとの間にそれぞれ設けられている。
【0022】
図3に表したように、p形コンタクト領域4aは、p形ベース領域2aの上に設けられている。1つのp形コンタクト領域4aは、1つのコンタクト部22aの下部に接している。p形コンタクト領域4aは、Y方向において複数設けられている。複数のp形コンタクト領域4aが、複数のコンタクト部22aの下部とそれぞれ接している。p形コンタクト領域4aにおけるp形不純物濃度は、p形ベース領域2aにおけるp形不純物濃度よりも高い。
【0023】
図6に表したように、導電部15のY方向における端部は、上方に向けて引き上げられる。これにより、導電部15は、ソース電極22と電気的に接続される。又は、第1部分P1と導電部15との間に絶縁層15bが設けられておらず、導電部15はゲート電極11と電気的に接続されても良い。この場合、導電部15のY方向における端部は、引き上げられておらず、導電部15とソース電極22は、電気的に分離されている。
【0024】
例えば、p形ベース領域2a、n形ソース領域3a、n形ソース領域3b、p形コンタクト領域4a、ゲート電極11、及び導電部15は、X方向において複数設けられている。
【0025】
半導体装置100の動作を説明する。
ドレイン電極21に、ソース電極22に対して正の電圧が印加された状態で、ゲート電極11に閾値より高い電圧を印加する。p形ベース領域2aにチャネル(反転層)が形成される。電子は、チャネル及びn形ドリフト領域1を通ってドレイン電極21へ流れる。これにより、半導体装置100がオン状態になる。その後、ゲート電極11に印加される電圧が閾値よりも低くなると、p形ベース領域2aにおけるチャネルが消滅し、半導体装置100がオフ状態になる。
【0026】
半導体装置100がオフ状態に切り替わると、ソース電極22に対してドレイン電極21に印加される正の電圧が増大する。ドレイン電極21と導電部15との間の電位差により、絶縁層15aとn形ドリフト領域1との界面からn形ドリフト領域1に向けて空乏層が広がる。この空乏層の広がりにより、半導体装置100の耐圧を高めることができる。又は、半導体装置100の耐圧を維持したまま、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0027】
半導体装置100の各構成要素の材料の一例を説明する。
形ドリフト領域1、p形ベース領域2a、n形ソース領域3a、n形ソース領域3b、p形コンタクト領域4a、及びn形ドレイン領域5は、半導体材料として、シリコン、炭化シリコン、窒化ガリウム、又はガリウムヒ素を含む。半導体材料としてシリコンが用いられる場合、n形不純物として、ヒ素、リン、又はアンチモンを用いることができる。p形不純物として、ボロンを用いることができる。ゲート電極11及び導電部15は、ポリシリコンなどの導電材料を含む。ゲート絶縁層11a、絶縁層15a、及び絶縁層15bは、酸化シリコンなどの絶縁材料を含む。ドレイン電極21及びソース電極22は、銅、アルミニウムなどの金属を含む。
【0028】
実施形態に係る半導体装置の製造方法の一例を説明する。
図7図13は、実施形態に係る半導体装置の製造方法を表す断面図である。
形半導体層5a及びn形半導体層1aを含む半導体基板Subを用意する。n形半導体層1aは、n形半導体層5aの上に設けられている。反応性イオンエッチング(RIE)により、図7(a)に表したように、n形半導体層1aの上面に開口OP1を形成する。開口OP1は、X方向において複数形成される。各開口OP1は、Y方向に延伸している。
【0029】
熱酸化により、開口OP1の内壁及びn形半導体層1aの上面に沿って、絶縁層IL1を形成する。絶縁層IL1は、酸化シリコンを含む。化学気相堆積(CVD)により、絶縁層IL1の上に、複数の開口OP1を埋め込む導電層を形成する。ケミカルドライエッチング(CDE)により、導電層の上面を後退させる。これにより、図7(b)に表したように、それぞれの開口OP1の底部に、導電部15が形成される。導電部15は、ポリシリコンを含む。
【0030】
CVDにより、絶縁層IL1及び複数の導電部15の上に、絶縁層IL2を形成する。絶縁層IL2は、Boro-Phospho Silicate Glass(BPSG)又はNon doped Silicate Glass(NSG)を含む。ウェットエッチングにより、絶縁層IL2の上面を後退させる。それぞれの開口OP1の内部において、絶縁層IL2が導電部15の上に残る。CVDにより、絶縁層IL1及び複数の絶縁層IL2の上に、絶縁層IL3を形成する。絶縁層IL3は、酸化シリコンを含む。化学機械研磨(CMP)により、図8(a)に表したように、絶縁層IL3の上面を後退させ、n形半導体層1aの上面を露出させる。
【0031】
RIEにより、隣り合う開口OP1同士の間に、1つの開口OP2を形成する。開口OP2の深さ(Z方向における寸法)は、開口OP1の深さよりも浅い。開口OP2は、X方向において複数形成される。各開口OP2は、Y方向に延伸している。CVDにより、複数の開口OP2を埋め込む絶縁層IL4を形成する。CMPにより、図8(b)に表したように、絶縁層IL4の上面を後退させ、n形半導体層1aの上面を露出させる。
【0032】
図9(a)、図9(d)、図10(a)、図10(d)、図11(a)、図11(d)、図12(a)、及び図13は、図1及び図2に表したIII-III線における製造工程を表す。図9(b)、図9(e)、図10(b)、図10(e)、図11(b)、図11(e)、及び図12(b)は、図1及び図2に表したIV-IV線における製造工程を表す。図9(c)、図9(f)、図10(c)、図10(f)、図11(c)、図11(f)、及び図12(c)は、図1及び図2に表したV-V線における製造工程を表す。
【0033】
フォトリソグラフィ及びRIEにより、図9(a)~図9(c)に表したように、絶縁層IL1のY方向における一部と、絶縁層IL4のY方向における一部と、の間のn形半導体層1aを除去する。これにより、開口OP1の一部と開口OP2の一部が繋がる。除去により形成された空間の一部には、後の工程において、第3部分P3に相当する要素が形成される。RIEにより、絶縁層IL1の上部、絶縁層IL3の全部、及び絶縁層IL4の全部を除去する。熱酸化により、図9(d)~図9(f)に表したように、露出したn形半導体層1aの表面に沿って絶縁層IL5を形成する。
【0034】
CVDにより、絶縁層IL1、IL2、及びIL5の上に、導電層CL1を形成する。導電層CL1は、ポリシリコンを含む。CMPにより、絶縁層IL5の上面が露出するまで、導電層CL1の上面を後退させる。図9(a)~図9(c)に表した工程により、開口OP2の一部は、X方向において、開口OP1の一部と繋がっている。開口OP2の別の一部は、X方向において、開口OP1から離れている。フォトリソグラフィ及びCDEにより、図10(a)~図10(c)に表したように、開口OP2の前記別の一部に設けられた導電層CL1の上面を、後退させる。
【0035】
フォトリソグラフィ及びCDEにより、開口OP2内の一部に設けられた導電層CL1を選択的に除去する。CVDにより、絶縁層IL5及び導電層CL1の上に、開口OP2を埋め込む絶縁層IL6を形成する。CMPにより、図10(d)~図10(f)に表したように、n形半導体層1aの上面が露出するまで、絶縁層IL5の一部及び絶縁層IL6の一部を除去する。
【0036】
p形不純物及びn形不純物を順次イオン注入し、p形半導体領域2p及びn形半導体領域3nを形成する。CVDにより、n形半導体領域3n、導電層CL1、及び絶縁層IL6の上に絶縁層IL7を形成する。フォトリソグラフィにより、図11(a)~図11(c)に表したように、絶縁層IL7をパターニングする。これにより、絶縁層IL6の一部が露出する。
【0037】
RIEにより、露出した絶縁層IL6を除去する。これにより、開口OP2を通して、p形半導体領域2pの一部が露出する。露出したp形半導体領域2pの一部にp形不純物をイオン注入し、p形コンタクト領域4aを形成する。フォトリソグラフィ及びRIEにより、絶縁層IL7の一部を除去し、図11(d)~図11(f)に表したように、絶縁層IL7に覆われていたn形半導体領域3n及び絶縁層IL6を露出させる。このとき、絶縁層IL6の上面が後退する。
【0038】
図12(a)~図12(c)に表したように、n形半導体領域3n、絶縁層IL6、及び絶縁層IL7の上に、開口OP2を埋め込むソース電極22を形成する。n形半導体層5aが所定の厚さになるまで、n形半導体層5aの下面を研削する。図13に表したように、n形半導体層5aの下面に、ドレイン電極21を形成する。以上により、実施形態に係る半導体装置100が製造される。
【0039】
実施形態の効果を説明する。
図1に表したように、半導体装置100では、ゲート電極11が、第1部分P1~第3部分P3を含む。第1部分P1及び第2部分P2は、X方向において、ゲート絶縁層11aを介してp形ベース領域2aと対向している。第3部分P3は、Y方向において、ゲート絶縁層11aを介してp形ベース領域2aと対向している。半導体装置100がオン状態のとき、p形ベース領域2aにおいて、第1部分P1~第3部分P3と対向する領域にチャネルが形成される。実施形態によれば、ゲート電極11が第1部分P1のみを含む場合に比べて、より多くの領域にチャネルを形成でき、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0040】
また、半導体装置100では、複数の第2部分P2と複数のコンタクト部22aが、Y方向において交互に設けられている。それぞれのコンタクト部22aは、p形ベース領域2aと電気的に接続されている。実施形態によれば、第1部分P1と平行に1つの第2部分P2がY方向に延伸している場合に比べて、p形ベース領域2aの電位をより安定化できる。例えば、半導体装置100においてアバランシェ降伏が生じた際に、p形ベース領域2aの電位の上昇を抑制できる。n形ドリフト領域1、p形ベース領域2a、n形ソース領域3a、及びn形ソース領域3bから構成される寄生NPNトランジスタの動作を抑制でき、アバランシェ耐量を向上できる。
【0041】
それぞれの第2部分P2は、第3部分P3により第1部分P1と電気的に接続されている。このため、第2部分P2をゲート電位に接続するための配線等を、ゲート電極11よりも上方に設ける必要が無い。例えば、半導体装置100の構造が複雑となることを抑制でき、半導体装置100の歩留まりを向上できる。
【0042】
それぞれの第3部分P3のY方向における長さL1は、それぞれの第2部分P2のY方向における長さL2よりも短い。これにより、長さL1とL2が同じ場合に比べて、第2部分P2がp形ベース領域2aと対向する面積を大きくでき、半導体装置100のオン抵抗をさらに低減できる。
【0043】
図3に表したように、p形ベース領域2aの上には、コンタクト部22aの下部と接するp形コンタクト領域4aが設けられている。p形コンタクト領域4aが設けられることで、p形ベース領域2aの電位をさらに安定化できる。これにより、半導体装置100のアバランシェ耐量をさらに向上できる。
【0044】
第2部分P2の下において、n形ドリフト領域1は、ゲート絶縁層11aに接していても良い。好ましくは、図4に表したように、n形ドリフト領域1と第2部分P2との間には、p形ベース領域2aの一部が設けられている。この構造によれば、n形ドリフト領域1と第2部分P2との間で容量が発生することを抑制できる。第2部分P2の長さL2を長くした場合でも、ゲート電極11とドレイン電極21との間の容量CGDの増大を抑制できる。例えば、半導体装置100のスイッチング速度の低下を抑制できる。
【0045】
形ドリフト領域1と第3部分P3との間に、p形ベース領域2aの一部が設けられていても良い。好ましくは、図5に表したように、第3部分P3の下において、n形ドリフト領域1は、ゲート絶縁層11aに接する。すなわち、n形ドリフト領域1と第3部分P3との間に容量が発生する。第3部分P3において容量CGDを発生させることで、容量CGDを容易に調整できる。例えば、第3部分P3の長さL1、第3部分P3同士のY方向における間隔などを調整することで、容量CGDを調整できる。容量CGDが大きいほど、半導体装置100をターンオフした際のドレイン電極21の電圧の振動を抑制できる。容量CGDが小さいほど、半導体装置100のスイッチング速度を向上でき、半導体装置100のスイッチング損失を低減できる。半導体装置100の用途に応じて容量CGDを調整することで、半導体装置100の性能を向上できる。
【0046】
図1に表したように、p形ベース領域2aは、複数の第1領域R1及び第2領域R2を含む。複数のコンタクト部22a及び複数の第2部分P2は、第2領域R2と複数の第1領域R1との間、及び第2領域R2と複数の第3部分P3との間に設けられている。換言すると、第2部分P2は、X方向において隣り合う一対の第1部分P1の1つのみと電気的に接続されている。この構造によれば、第2部分P2が一対の第1部分P1の両方と電気的に接続される場合に比べて、第3部分P3の数を少なくできる。これにより、ゲート電極11の容量を小さくできる。例えば、容量CGDの調整がさらに容易となる。
【0047】
また、半導体装置100は、導電部15を含むことが好ましい。導電部15を設けることで、上述したように、半導体装置100の耐圧を向上できる。又は、半導体装置100の耐圧を維持したまま、n形ドリフト領域1におけるn形不純物濃度を高め、半導体装置100のオン抵抗を低減できる。
【0048】
(変形例)
図14及び図15は、実施形態の変形例に係る半導体装置を表す平面図である。
図16は、図14及び図15のXVI-XVI断面図である。図17は、図14及び図15のXVII-XVII断面図である。図18は、図14及び図15のXVIII-XVIII断面図である。図14は、図16図18のXIV-XIV断面図に対応する。図15は、図16図18のXV-XV断面図に対応する。
変形例に係る半導体装置110は、半導体装置100と比べて、p形ベース領域2b、p形コンタクト領域4b、及びゲート電極12をさらに含む。
【0049】
p形ベース領域2bは、n形ドリフト領域1の上に設けられている。複数のp形ベース領域2aと複数のp形ベース領域2bが、X方向において交互に設けられている。1つのp形ベース領域2bの上には、一対のn形ソース領域3bが設けられている。一対のn形ソース領域3bは、X方向において互いに離れている。
【0050】
ゲート電極12は、X方向において、ゲート絶縁層12aを介して、p形ベース領域2a及び2bと対向している。ゲート電極12は、Y方向に延伸している。複数のゲート電極11と複数のゲート電極12が、X方向において交互に設けられている。複数のゲート電極11及び複数のゲート電極12は、複数の絶縁層15bを介して複数の導電部15の上にそれぞれ設けられている。
【0051】
ソース電極22は、p形ベース領域2bの上に設けられたコンタクト部22bを含む。コンタクト部22bは、ドレイン電極21に向けて突出している。コンタクト部22bは、一対のn形ソース領域3b同士の間に位置する。p形コンタクト領域4bは、p形ベース領域2bの上に設けられ、コンタクト部22bの下部と接している。p形コンタクト領域4bにおけるp形不純物濃度は、p形ベース領域2bにおけるp形不純物濃度よりも高い。
【0052】
図14及び図15に表したように、半導体装置110は、1つのp形ベース領域2a、複数のn形ソース領域3a、1つのn形ソース領域3b、1つのゲート電極11、及び複数のコンタクト部22aを含む群G1を備える。また、半導体装置110は、1つのp形ベース領域2b、一対のn形ソース領域3b、1つのゲート電極12、及び1つのコンタクト部22bを含む群G2を備える。複数の群G1及び複数の群G2は、X方向において交互に設けられている。
【0053】
変形例に係る半導体装置110のように、第2部分P2又は第3部分P3を含まないゲート電極12が設けられても良い。半導体装置110における群G1の数と群G2の数の比は、適宜変更可能である。例えば、2つ以上の群G1と1つの群G2が、X方向において繰り返し設けられても良い。1つの群G1と2つ以上の群G2が、X方向において繰り返し設けられても良い。
【0054】
半導体装置110では、Y方向に延伸したコンタクト部22bが設けられる。アバランシェ降伏が生じた際に発生したキャリアは、半導体装置100に比べて、ソース電極22へ排出され易い。このため、変形例によれば、半導体装置100に比べて、半導体装置110のアバランシェ耐量を向上できる。また、ゲート電極12の容量は、ゲート電極11の容量よりも小さい。このため、変形例によれば、半導体装置100に比べて、容量CGD、又はゲート電極とソース電極22との間の容量CGSを低減できる。
【0055】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0056】
1:n形ドリフト領域、 1a:n形半導体層、 2a,2b:p形ベース領域、 2p:p形半導体領域、 3a,3b:n形ソース領域、 3n:n形半導体領域、 4a,4b:p形コンタクト領域、 5:n形ドレイン領域、 5a:n形半導体層、 11:ゲート電極、 11a:ゲート絶縁層、 12:ゲート電極、 12a:ゲート絶縁層、 15:導電部、 15a,15b:絶縁層、 21:ドレイン電極、 22:ソース電極、 22a,22b:コンタクト部、 100,110:半導体装置、 P1:第1部分、 P2:第2部分、 P3:第3部分、 R1:第1領域、 R2:第2領域
図1
図2
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