(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】立軸回転電機用の摺動部材および立軸回転電機用の摺動部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
F16C 17/08 20060101AFI20231030BHJP
F16C 33/20 20060101ALI20231030BHJP
H02K 7/08 20060101ALI20231030BHJP
H02K 15/14 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F16C17/08
F16C33/20 Z
H02K7/08 B
H02K15/14 A
(21)【出願番号】P 2020185317
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317015294
【氏名又は名称】東芝エネルギーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【氏名又は名称】山下 和也
(74)【代理人】
【識別番号】100198029
【氏名又は名称】綿貫 力
(72)【発明者】
【氏名】末松 妃菜子
(72)【発明者】
【氏名】牧野 駿介
(72)【発明者】
【氏名】森 淳二
(72)【発明者】
【氏名】澤 史雄
(72)【発明者】
【氏名】幡野 浩
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-296235(JP,A)
【文献】特開平08-084452(JP,A)
【文献】特開昭62-064527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 17/00-17/26,33/00-33/28
F16C 21/00-27/08
H02K 7/00-7/20,15/00-15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
立軸回転電機のロータシャフトに取り付けられたランナの下端部が摺動する立軸回転電機用の摺動部材であって、
第1層と、
前記第1層とは異なる材料で構成され、前記第1層に積層された第2層であって、前記ランナの下端部が摺動する摺動面を有する第2層と、
前記第1層と前記第2層との間に設けられた中間層と、を備え、
前記中間層は、前記第1層に接合された第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面に貫通した複数の貫通孔と、を有し、
前記第1層は、前記中間層の側の面に設けられた複数の溝部であって、積層方向に直交する方向に延びる複数の溝部を有し、
前記貫通孔と前記溝部とが部分的に重なって、前記第1面に、前記溝部に対向した溝対向部分が設けられており、
前記貫通孔と前記溝部とに、前記第2層の一部が入り込んでいる、摺動部材。
【請求項2】
複数の前記溝部は、互いに平行に延びている、請求項1に記載の摺動部材。
【請求項3】
前記第2面は、主面と、前記主面と前記貫通孔との間に設けられた孔周囲面と、を含み、
前記孔周囲面は、前記主面から前記貫通孔に近づくにつれて、前記第1面に近づくように形成されている、請求項1または2に記載の摺動部材。
【請求項4】
前記孔周囲面は、凸状に湾曲している、請求項3に記載の摺動部材。
【請求項5】
前記第1層は、金属材料を含み、
前記第2層は、樹脂材料を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の摺動部材。
【請求項6】
前記第1層の前記第2層の側の面および前記中間層の前記第2面のうち少なくとも一方は、30μm以上80μm以下の算術平均粗さを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載の摺動部材。
【請求項7】
前記第1層の前記中間層の側の面および前記中間層の前記第2面のうち少なくとも一方に、前記第2層と結合する結合層が設けられている、請求項1から6のいずれか一項に記載の摺動部材。
【請求項8】
立軸回転電機のロータシャフトに取り付けられたランナの下端部が摺動する立軸回転電機用の摺動部材の製造方法であって、
第1層と中間層とを準備する準備工程であって、前記中間層は、前記第1層に接合された第1面と、前記第1面とは反対側に位置する第2面と、前記第1面から前記第2面に貫通した複数の貫通孔と、を有し、前記第1層は、前記中間層の側の面に設けられた複数の溝部であって、積層方向に直交する方向に延びる複数の溝部を有する、準備工程と、
前記第1層とは異なる材料で構成された第2層を前記第1層に積層する積層工程であって、前記中間層が前記第1層と前記第2層との間に設けられる、積層工程と、を備え、
前記貫通孔と前記溝部とが部分的に重なって、前記第1面に、前記溝部に対向した溝対向部分が設けられており、
前記貫通孔と前記溝部とに、前記第2層の一部が入り込んでいる、摺動部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、立軸回転電機用の摺動部材および立軸回転電機用の摺動部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
立形水車発電機や揚水発電設備の発電電動機等の立軸回転電機に用いられる摺動部材が知られている。この立軸回転電機用の摺動部材は、立軸回転電機の軸方向の荷重を支持するように構成されており、立軸回転電機のロータシャフトに取り付けられたランナの下端部が摺動するようになっている。
【0003】
一般に、立軸回転電機用の摺動部材は、第1層と、第1層とは異なる材料で構成された第2層とが積層された複合材料によって構成されている。しかしながら、例えば、第1層が金属材料で構成され、第2層が樹脂材料で構成されている場合、これらの材料を十分な接合強度で接合することは困難である。第1層と第2層との接合強度が十分でない場合、立軸回転電機1の運転時、摺動部材に積層方向あるいは積層方向に直交する方向に大きな荷重が加わることにより、第1層と第2層とが分離するおそれがある。このような問題に対処するため、第1層と第2層との間に、それぞれ複数の貫通穴を有する2枚の板材から成る中間層を配置して、第1層と第2層との接合強度を向上させる技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平10-29256号公報
【文献】特開2000-35622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中間層が2枚の板材から成る場合、各板材はろう付け等によって接合されているが、ろう付けで2枚の板材が接合された部分には高さ方向(積層方向)にばらつきが生じ得る。このため、第2層は均一な厚みを得ることができず、第2層の摺動面に面内ばらつきが生じるおそれがある。この結果、摺動部材の摺動性能が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、摺動性能の低下を抑制することができる立軸回転電機用の摺動部材および立軸回転電機用の摺動部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の形態による摺動部材は、立軸回転電機のロータシャフトに取り付けられたランナの下端部が摺動する立軸回転電機用の摺動部材である。摺動部材は、第1層と、第1層とは異なる材料で構成され、第1層に積層された第2層であって、ランナの下端部が摺動する摺動面を有する第2層と、第1層と第2層との間に設けられた中間層と、を備える。中間層は、第1層に接合された第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面と、第1面から第2面に貫通した複数の貫通孔と、を有する。第1層は、中間層の側の面に設けられた複数の溝部であって、積層方向に直交する方向に延びる複数の溝部を有する。貫通孔と溝部とが部分的に重なって、第1面に、溝部に対向した溝対向部分が設けられており、貫通孔と溝部とに、第2層の一部が入り込んでいる。
【0008】
また、実施の形態による摺動部材の製造方法は、立軸回転電機のロータシャフトに取り付けられたランナの下端部が摺動する立軸回転電機用の摺動部材の製造方法である。摺動部材の製造方法は、第1層と中間層とを準備する準備工程であって、中間層は、第1層に接合された第1面と、第1面とは反対側に位置する第2面と、第1面から第2面に貫通した複数の貫通孔と、を有し、第1層は、中間層の側の面に設けられた複数の溝部であって、積層方向に直交する方向に延びる複数の溝部を有する、準備工程を備える。また、摺動部材の製造方法は、第1層とは異なる材料で構成された第2層を第1層に積層する積層工程であって、中間層が第1層と第2層との間に設けられる、積層工程と、を備える。貫通孔と溝部とが部分的に重なって、第1面に、溝部に対向した溝対向部分が設けられており、貫通孔と溝部とに、第2層の一部が入り込んでいる。
【発明の効果】
【0009】
本実施の形態によれば、摺動性能の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本実施の形態による立軸回転電機の子午面断面図である。
【
図5】
図5は、
図3の第1層と中間層とが重なった状態を示す上面図であって、貫通孔および溝部の配置例を示す図である。
【
図7】
図7は、比較例によるスラストパッドを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本実施の形態による立軸回転電機用の摺動部材および立軸回転電機用の摺動部材の製造方法について説明する。
【0012】
まず、
図1を用いて、本実施の形態による立軸回転電機について説明する。
【0013】
図1に示すように、立軸回転電機1は、回転子2と、不図示の固定子と、軸受構造体3と、を有している。
【0014】
回転子2は、鉛直方向に延びる円柱状のロータシャフト4と、ロータシャフト4の周囲に取り付けられた回転子鉄心(不図示)と、を有している。
図1にはロータシャフト4の上部が示されており、回転子鉄心は、
図1のロータシャフト4の下方に配置されている。ロータシャフト4は、不図示のランナ羽根等を介して流水から動力を得ることで回転するように構成されている。
【0015】
固定子(不図示)は、回転子2の外周側に配置されている。固定子は、
図1のロータシャフト4の下方に配置されている。固定子は、円筒状の固定子鉄心を有している。固定子鉄心は、固定子鉄心の内周面が回転子鉄心の外周面に対向するように配置されている。回転子鉄心の外周面と固定子鉄心の内周面との間には間隙が設けられている。
【0016】
軸受構造体3は、ランナ10と、油槽20と、ジャーナル軸受25と、スラスト軸受30と、を有している。
【0017】
ランナ10は、ロータシャフト4に取り付けられており、ロータシャフト4の回転に伴って回転するようになっている。ランナ10は、ロータシャフト4に取り付けられた円環状のランナ上部12と、ランナ上部12から下方に延びる円筒状のランナ円筒部14と、ランナ円筒部14から更に下方に延びるランナ下部16と、を有している。ランナ上部12、ランナ円筒部14およびランナ下部16は一体に形成されている。ランナ下部16は、ランナ円筒部14の外径よりも大きい外径を有している。ランナ下部16の下端部16a、すなわちランナ10の下端部16aは、後述するスラスト軸受30のスラストパッド40の摺動面64aに対向している。ロータシャフト4が回転した際、ランナ10の下端部16aが、スラストパッド40の摺動面64aに摺動するようになっている。
【0018】
油槽20は、潤滑油Lを貯留している。油槽20は、ランナ10、ジャーナル軸受25およびスラスト軸受30を覆うように設けられており、ランナ円筒部14およびランナ下部16並びにジャーナル軸受25およびスラスト軸受30が潤滑油Lに浸かっている。これにより、ランナ10の回転により、油槽20内の潤滑油Lを撹拌することができる。また、ランナ円筒部14とジャーナル軸受25との間、およびランナ下部16とスラスト軸受30との間に潤滑油Lを供給し、摺動を滑らかにすることができる。油槽20には、油槽20内に潤滑油Lを供給する油供給口(不図示)と、油槽20内から潤滑油Lを排出する油排出口(不図示)とが設けられていてもよい。
【0019】
ジャーナル軸受25は、円筒状に形成されており、ジャーナル軸受25の内周面はランナ円筒部14の外周面に対向している。ジャーナル軸受25は、ランナ10が回転可能なように、ランナ円筒部14を径方向に支持している。ロータシャフト4が回転した際、ランナ円筒部14の外周面が、ジャーナル軸受25の内周面に摺動するようになっている。
【0020】
スラスト軸受30は、立軸回転電機1の軸方向の荷重、より具体的には、回転子2の軸方向の荷重を支持している。スラスト軸受30は、台座32と、パッド支持部34と、スラストパッド40と、を有している。
【0021】
台座32は、直方体形状を有しており、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。台座32は、立軸回転電機1の構造物に固定されている。これらの複数の台座32上に円筒状のパッド支持部34が取り付けられている。
【0022】
パッド支持部34上には、スラストパッド40が取り付けられている。パッド支持部34とスラストパッド40との間に弾性部材が介在していてもよい。スラストパッド40は、
図2に示すように、底面が扇形状の柱体であり、周方向に所定の間隔をあけて複数配置されている。スラストパッド40は、上述したように、立軸回転電機1の軸方向の荷重を支持するように構成されており、ランナ10の下端部16aが摺動するようになっている。
【0023】
次に、
図2~
図6を用いて、本実施の形態によるスラストパッド40(立軸回転電機用の摺動部材)について詳細に説明する。
【0024】
図2および
図3に示すように、スラストパッド40は、第1層50と、第2層60と、第1層50と第2層60との間に設けられた中間層70と、を備えている。スラストパッド40は、第1層50、中間層70および第2層60がこの順番で積層されている。
図2に示すように、第1層50、第2層60および中間層70は、平面視において、それぞれ扇形状を有していてもよい。
【0025】
図3に示すように、第1層50は、第2層60とは反対側に位置する第1面52と、第1面52とは反対側、すなわち第2層60の側に位置する第2面54と、を有している。第1層50の第2面54は、後述する中間層70の第1面72に接合されている。
【0026】
図3および
図4に示すように、第1層50の第2面54には、複数の溝部80が設けられている。溝部80は、積層方向に直交する方向に延びている。
図4に示すように、複数の溝部80は、互いに平行に延びていてもよい。
図4に示す例においては、各溝部80は、積層方向に直交する一方向(
図4における上下方向)に直線状に延びている。
【0027】
また、
図3および
図4に示すように、第1層50の第2面54には、互いに隣り合う溝部80の間に設けられた凸部82が設けられている。この凸部82が、中間層70の第1面72に当接して接合されている。凸部82は、溝部80と同様、積層方向に直交する方向に延びている。
図4に示すように、複数の凸部82は、互いに平行に延びていてもよい。
図4に示す例においては、各凸部82は、積層方向に直交する一方向(
図4における上下方向)に直線状に延びている。
図4に示すように、積層方向に直交する方向であって、溝部80が延びる方向に直交する方向(
図4における左右方向)において、溝部80と凸部82とが交互に設けられていてもよい。
【0028】
溝部80は、2mm以上10mm以下の幅(
図4の左右方向における寸法)を有していてもよい。また、溝部80は、0.5mm以上3mm以下の深さ(
図3の上下方向における寸法)を有していてもよい。また、隣り合う溝部80間の寸法、すなわち凸部82の幅(
図4の左右方向における寸法)は、2mm以上10mm以下であってもよい。
【0029】
第1層50は、30mm以上200mm以下の厚みを有していてもよい。すなわち、第1層50の第1面52と第2面54(凸部82の上面)との間の寸法が、30mm以上200mm以下であってもよい。
【0030】
第1層50は、金属材料で構成されていてもよい。金属材料としては、例えば、鉄およびクロムを含むステンレス鋼、鉄、クロムおよびニッケルを含むステンレス鋼、並びに、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、マンガン、シリコン、ニオブおよびチタンを含むステンレス鋼等を挙げることができる。
【0031】
図3に示すように、第2層60は、第1層50の側に位置する第1面62と、第1面62とは反対側に位置する第2面64と、を有している。第2層60の第2面64は、ランナ10の下端部16aが摺動する摺動面64aを構成している。すなわち、第2層60は、第1層50の側とは反対側に、ランナ10の下端部16aが摺動する摺動面64aを有している。
【0032】
また、
図3に示すように、第2層60は、第1面62から第1層50の側に突出して、後述する中間層70の貫通孔75と上述した第1層50の溝部80とに入り込んだ入込み部66を有している。すなわち、第2層60の一部が、中間層70の貫通孔75と第1層50の溝部80とに入り込んでいる。
【0033】
第2層60は、1mm以上3mm以下の厚みを有していてもよい。すなわち、第2層60の第1面62と第2面64との間の寸法が、1mm以上3mm以下であってもよい。換言すると、摺動面64aと後述する中間層70の主面76との間の寸法が、1mm以上3mm以下であってもよい。
【0034】
第2層60は、第1層50とは異なる材料で構成されている。第2層60は、高い摺動性を有する材料で構成されていてもよい。第1層50が金属材料で構成されている場合、第2層60は、樹脂材料で構成されていてもよい。樹脂材料としては、例えば、ポリテトラフロロエチレン(PTFE)、パーフルオロアルコキシアルカン(PFA)、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)や、熱硬化性樹脂にPTFE等の有機固体潤滑剤または二硫化モリブデン、グラファイト等の無機固体潤滑剤を含有させた複合材料等を挙げることができる。また、第2層60は、ゴム材料や、ガラス材料、セラミックス材料で構成されていてもよい。第2層60を構成する材料は、第1層50を構成する材料の融点および中間層70を構成する材料の融点よりも低い硬化温度あるいは融点を有していてもよい。
【0035】
図3に示すように、中間層70は、第1層50の側に位置する第1面72と、第1面72とは反対側、すなわち第2層60の側に位置する第2面74と、を有している。上述したように、中間層70の第1面72は、第1層50の第2面54に接合されている。
【0036】
図3および
図5に示すように、中間層70は、第1面72から第2面74に貫通した複数の貫通孔75を有している。ここで、
図5のB-B線断面図が
図3の断面図に対応している。貫通孔75は、第1面72から第2面74に直線状に延びていてもよい。
図5に示すように、平面視において、貫通孔75は、円形状を有していてもよい。貫通孔75は、2mm以上10mm以下の直径を有していてもよい。また、平面視において、貫通孔75は、千鳥状に配置されていてもよい。貫通孔75の配置間隔(配列ピッチ、孔同士の中心間距離)は、0.5mm以上10mm以下であってもよい。
【0037】
図3および
図5に示すように、中間層70の貫通孔75と第1層50の溝部80とが部分的に重なっていてもよい。
図5に示すように、貫通孔75および溝部80が、貫通孔75の中心点と溝部80の中心線とがずれるように配置されていてもよい。このように貫通孔75と溝部80とが部分的に重なることにより、
図3に示すように、中間層70の第1面72の一部が溝部80に対向することができる。すなわち、中間層70の第1面72に、溝部80に対向した溝対向部分90が設けられる。また、上述したように、中間層70の貫通孔75内および第1層50の溝部80内に、上述した第2層60の入込み部66が配置されている。すなわち、中間層70の貫通孔75と第1層50の溝部80とに、第2層60の一部が入り込んでいる。
【0038】
このように、貫通孔75と溝部80とが部分的に重なって、中間層70の第1面72に溝対向部分90が設けられ、その貫通孔75と溝部80とに第2層60の一部が入り込むことで、第1層50と第2層60とが高い接合強度で接合される。これにより、スラストパッド40に積層方向あるいは積層方向に直交する方向に大きな荷重が加わった場合であっても、第1層50と第2層60とが分離することが防止される。
【0039】
また、
図3および
図6に示すように、中間層70の第2面74は、主面76と、主面76と貫通孔75との間に設けられた孔周囲面78と、を含んでいる。孔周囲面78は、各貫通孔75の周囲に設けられている。平面視において、孔周囲面78は、中空円形状を有しており、貫通孔75の外輪郭から所定の距離離れた位置まで延在している。平面視における孔周囲面78の幅は、0.5mm以上3mm以下であってもよい。孔周囲面78は、主面76から貫通孔75に近づくにつれて、第1面72の側に近づくように形成されている。本実施の形態においては、孔周囲面78は、凸状に湾曲している。孔周囲面78の曲率半径は、0.5mm以上3mm以下であってもよい。
【0040】
中間層70は、0.5mm以上3mm以下の厚みを有していてもよい。すなわち、中間層70の第1面72と第2面74(より具体的には、主面76)との間の寸法が、0.5mm以上3mm以下であってもよい。
【0041】
中間層70は、第1層50の材料と同様の金属材料で構成されていてもよい。すなわち、中間層70は、鉄およびクロムを含むステンレス鋼、鉄、クロムおよびニッケルを含むステンレス鋼、並びに、鉄、クロム、ニッケル、モリブデン、マンガン、シリコン、ニオブおよびチタンを含むステンレス鋼等の金属材料で構成されていてもよい。中間層70の第1面72と第1層50の第2面54とは、ろう付けによって接合されていてもよい。ろう材としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等を用いることができる。
【0042】
スラストパッド40は、全体として、30mm以上200mm以下の厚みを有していてもよい。
【0043】
次に、このような構成からなるスラストパッド40の製造方法について説明する。
【0044】
スラストパッド40の製造方法は、第1層50と中間層70とを準備する準備工程と、第2層60を第1層50に積層する積層工程と、を備えている。
【0045】
準備工程においては、まず、金属材料で構成された第1層50を準備する。上述したように、第1層50の第2面54には、複数の溝部80が形成されている。溝部80は、第1層50を構成するようになる板材の表面に切削加工を行うことにより形成されてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、第1層50は、積層造形により作製されてもよい。この場合、積層造形に係る3次元データに、上述した溝部80が含まれる。
【0046】
続いて、第1層50と同様の金属材料で構成された中間層70を準備する。上述したように、中間層70には、複数の貫通孔75が形成されている。貫通孔75は、中間層70を構成するようになる板材に打ち抜き加工を行うことにより形成されてもよい。また、上述したように、中間層70には、各貫通孔75の周囲に孔周囲面78が形成されている。孔周囲面78は、各貫通孔75の周囲に切削加工を行うことにより形成されてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、中間層70は、積層造形により作製されてもよい。この場合、積層造形に係る3次元データに、上述した貫通孔75や孔周囲面78が含まれる。
【0047】
次に、中間層70を第1層50に接合する。より具体的には、中間層70の第1面72と第1層50の第2面54とを、ろう付けによって接合する。ここで、中間層70の貫通孔75と第1層50の溝部80とが部分的に重なって、中間層70の第1面72に、第1層50の溝部80に対向した溝対向部分90が設けられる。
【0048】
このようにして、第1層50と、第1層50に接合された中間層70と、を準備することができる。
【0049】
次に、積層工程においては、まず、第2層60を構成するようになる粉末状の樹脂材料もしくは液体状の未硬化樹脂材料を準備する。
【0050】
続いて、粉末状の樹脂材料もしくは液体状の未硬化樹脂材料を第1層50に積層する。ここで、粉末状の樹脂材料もしくは液体状の未硬化樹脂材料を、中間層70の貫通孔75と第1層50の溝部80とに入り込ませつつ、第1層50および中間層70に積層していく。
【0051】
次に、粉末状の樹脂材料もしくは液体状の未硬化樹脂材料を加熱して溶融(硬化)させる。ここで、加熱には、加熱装置やレーザ光を用いてもよい。
【0052】
そして、溶融した樹脂材料を冷却して凝固させる。これにより、樹脂材料が硬化して、第1層50上に第2層60が形成される。
【0053】
このようにして、第1層50とは異なる材料で構成された第2層60を第1層50に積層することができる。
【0054】
以上により、第1層50と、第1層50に積層された第2層60と、第1層50と第2層60との間に設けられた中間層70と、を備える上述したスラストパッド40を製造することができる。
【0055】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。
【0056】
本実施の形態による立軸回転電機1の運転時、スラストパッド40は、ランナ10を介して立軸回転電機1の軸方向の荷重を支持し、スラストパッド40に、ランナ10の下端部16aが摺動する。これにより、スラストパッド40には、積層方向および積層方向に直交する方向に大きな荷重が加わる。ここで、スラストパッド40において、貫通孔75と溝部80とが部分的に重なって、中間層70の第1面72に溝対向部分90が設けられ、その貫通孔75と溝部80とに第2層60の一部が入り込んでいる。このため、第1層50と第2層60とは、積層方向および積層方向に直交する方向に高い接合強度で接合されており、上述した荷重によって第1層50と第2層60とが分離することが防止される。
【0057】
ここで、本実施の形態の作用効果について、
図7に示すスラストパッド40’と比較して説明する。
図7に示すスラストパッド40’においては、第1層50’は、上述した本実施の形態のような溝部80を有しておらず、中間層70’が、2枚の板材70a’、70b’により構成されている。2枚の板材70a’、70b’は、それぞれ貫通孔75a’、75b’を有している。板材70a’の貫通孔75a’と板材70b’の貫通孔75b’とは、互いに部分的に重なるように配置されている。そして、各貫通孔75a’、75b’には、第2層60’の一部が入り込んでいる。これにより、第1層50’と第2層60’とが高い接合強度で接合されている。
【0058】
図7に示すスラストパッド40’においては、上述したように、中間層70’が、2枚の板材70a’、70b’により構成されているが、これらの板材70a’、70b’は、ろう付けによって互いに接合されている。ここで、2枚の板材70a’、70b’をろう付けによって接合した場合、ろう付けで接合された部分には高さ方向(積層方向)にばらつきが生じ得る。このため、第2層60’は均一な厚みを得ることができず、第2層60’の摺動面64a’に面内ばらつきが生じるおそれがある。この結果、スラストパッド40’の摺動性能が低下するおそれがある。
【0059】
これに対して本実施の形態によれば、第1層50は、第2面54に設けられた複数の溝部80であって、積層方向に直交する方向に延びる複数の溝部80を有している。そして、中間層70の貫通孔75と第1層50の溝部80とが部分的に重なって、中間層70の第1面72に、溝部80に対向した溝対向部分90が設けられ、貫通孔75と溝部80とに、第2層60の一部が入り込んでいる。このような構成により、第1層50と第2層60とを高い接合強度で接合している。このように、第1層50が複数の溝部80を有していることにより、中間層70として2枚の板材70a’、70b’を用いることを不要にすることができる。すなわち、1枚の中間層70によって、第1層50と第2層60とを高い接合強度で接合することができる。このため、中間層70の厚みを均一化することができ、第2層60の摺動面64aに面内ばらつきが生じることを抑制することができる。この結果、スラストパッド40の摺動性能の低下を抑制することができる。
【0060】
また、
図7に示すスラストパッド40’においては、中間層70’(板材70b’)の第2面74’は、上述した本実施の形態のような孔周囲面78を含んでいない。すなわち、中間層70’の第2面74’は、主面76’により構成され、この主面76’が貫通孔75b’まで延びるように形成されている。このため、貫通孔75b’の周囲には、直角に尖った角部79’が形成されている。
【0061】
図7に示すスラストパッド40’においては、積層方向に大きな荷重が加わった場合、貫通孔75b’の周囲の角部79’に荷重が集中し得る。この場合、この角部79’の近傍において第2層60’に大きな圧縮応力が生じ、第2層60’が変形あるいは破損するおそれがある。
【0062】
これに対して本実施の形態によれば、中間層70の第2面74は、主面76と貫通孔75との間に設けられた孔周囲面78を含み、孔周囲面78は、主面76から貫通孔75に近づくにつれて、第1面72に近づくように形成されている。このことにより、積層方向に大きな荷重が加わった場合、貫通孔75の周囲に加わる荷重を積層方向と積層方向に直交する方向とに分散させることができる。このため、貫通孔75の周囲において、第2層60に大きな圧縮応力が生じることを抑制することができる。この結果、スラストパッド40の変形や破損を防止することができる。
【0063】
このように本実施の形態によれば、第1層50は、第2面54に設けられた複数の溝部80であって、積層方向に直交する方向に延びる複数の溝部80を有している。そして、中間層70の貫通孔75と第1層50の溝部80とが部分的に重なって、中間層70の第1面72に、溝部80に対向した溝対向部分90が設けられ、貫通孔75と溝部80とに、第2層60の一部が入り込んでいる。このような構成により、第1層50と第2層60とを高い接合強度で接合している。このように、第1層50が複数の溝部80を有していることにより、中間層70として2枚の板材70a’、70b’を用いることを不要にすることができる。すなわち、1枚の中間層70によって、第1層50と第2層60とを高い接合強度で接合することができる。このため、中間層70の厚みを均一化することができ、第2層60の摺動面64aに面内ばらつきが生じることを抑制することができる。この結果、スラストパッド40の摺動性能の低下を抑制することができる。
【0064】
また、本実施の形態によれば、複数の溝部80は、互いに平行に延びている。このような溝部80は、第1層50の第2面54に対して切削加工を行うことにより容易に形成することができる。このため、第1層50と第2層60とが高い接合強度で接合されたスラストパッド40の製造を容易化することができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、中間層70の第2面74は、主面76と貫通孔75との間に設けられた孔周囲面78を含み、孔周囲面78は、主面76から貫通孔75に近づくにつれて、第1面72に近づくように形成されている。このことにより、積層方向に大きな荷重が加わった場合、貫通孔75の周囲に加わる荷重を積層方向と積層方向に直交する方向とに分散させることができる。このため、貫通孔75の周囲において、第2層60に大きな圧縮応力が生じることを抑制することができる。この結果、スラストパッド40の変形や破損を防止することができる。
【0066】
また、本実施の形態によれば、孔周囲面78は、凸状に湾曲している。このことにより、貫通孔75の周囲に加わる荷重をより効果的に積層方向に直交する方向に分散させることができる。このため、貫通孔75の周囲において、第2層60に大きな圧縮応力が生じることをより一層抑制することができる。この結果、スラストパッド40の変形や破損をより効果的に防止することができる。
【0067】
また、本実施の形態によれば、第1層50は、金属材料を含み、第2層60は、樹脂材料を含んでいる。この場合、第1層50と第2層60とを十分な接合強度で接合することは困難である。本実施の形態によれば、このような場合であっても、スラストパッド40の摺動性能の低下を抑制しつつ、第1層50と第2層60とを高い接合強度で接合することができる。
【0068】
とりわけ、第2層60が樹脂材料を含む場合、スラストパッド40とランナ10の下端部16aとの摺動により、スラストパッド40が高温になり、第2層60が熱膨張して、積層方向により大きな荷重が加わり得る。本実施の形態によれば、このような場合であっても、中間層70の第2面74が孔周囲面78を含んでいることにより、貫通孔75の周囲に加わる荷重を積層方向と積層方向に直交する方向とに分散させることができる。このため、貫通孔75の周囲において、第2層60に大きな圧縮応力が生じることを抑制することができる。この結果、スラストパッド40の変形や破損を防止することができる。
【0069】
(第1変形例)
上述した実施の形態においては、平面視において、貫通孔75が千鳥状に配置されている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、貫通孔75は、溝部80と部分的に重なる態様であれば、格子状等、その他任意の態様で配置されていてもよい。
【0070】
また、上述した実施の形態においては、各溝部80が積層方向に直交する一方向に直線状に延びている例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、各溝部80は、積層方向に直交する方向であれば、任意の方向に延びていてもよい。例えば、各溝部80は、互いに対して傾斜していてもよい。また、各溝部80は、湾曲していてもよいし、折れ曲がっていてもよい。
【0071】
このような場合であっても、第1層50が第2面54に設けられた複数の溝部80を有していることにより、1枚の中間層70によって、第1層50と第2層60とを高い接合強度で接合することができる。このため、中間層70の厚みを均一化することができ、第2層60の摺動面64aに面内ばらつきが生じることを抑制することができる。この結果、スラストパッド40の摺動性能の低下を抑制することができる。
【0072】
(第2変形例)
また、上述した実施の形態においては、孔周囲面78が凸状に湾曲している例について説明した。しかしながら、このことに限られることはなく、孔周囲面78は、主面76から貫通孔75に近づくにつれて第1面72に近づくような形状であれば、任意の形状を有していてもよい。
【0073】
図8に示す例においては、中間層70の第2面74に設けられた孔周囲面78は、主面76に対して傾斜している。換言すると、断面視において、孔周囲面78は、主面76から貫通孔75に向かって直線状に延びている。
【0074】
このような場合であっても、中間層70の第2面74が孔周囲面78を有していることにより、積層方向に大きな荷重が加わった場合、貫通孔75の周囲に加わる荷重を積層方向と積層方向に直交する方向とに分散させることができる。このため、貫通孔75の周囲において、第2層60に大きな圧縮応力が生じることを抑制することができる。この結果、スラストパッド40の変形や破損を防止することができる。
【0075】
(第3変形例)
また、上述した実施の形態において、第1層50の第2面54および中間層70の第2面74のうち少なくとも一方が、30μm以上80μm以下の算術平均粗さRa(JIS B 0601-2001)を有していてもよい。なお、算術平均粗さRaの測定には、菱化システム社製の走査型白色干渉計VertScanを用いてもよい。
【0076】
上述したスラストパッド40の製造方法の準備工程において、第1層50の第2面54および中間層70の第2面74に、例えばブラスト処理を行うことによって、このような数値範囲の算術平均粗さRaを得ることができる。ブラスト処理は、第1層50の第2面54のうち第2層60に対向する部分、および中間層70の第2面74のうちの主面76に対して行われてもよい。ブラスト処理は、第1層50の第2面54に設けられた溝部80の底面に対しても行われてもよい。このようなブラスト処理は、中間層70を第1層50に接合した後に行われてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、中間層70を第1層50に接合する前に行われてもよい。
【0077】
さらに、第1層50の第2面54および中間層70の第2面74のうち少なくとも一方に、第2層60と結合する結合層100が設けられていてもよい。
【0078】
図9に示す例においては、第1層50の第2面54のうち第2層60に対向する部分と中間層70の主面76とに、それぞれ結合層100が設けられている。また、第1層50の溝部80の底面にも、結合層100が設けられている。結合層100は、上述した算術平均粗さRaを有する面、すなわち、上述したブラスト処理が行われた面に設けられてもよい。しかしながら、このことに限られることはなく、ブラスト処理が行われていない面に設けられてもよい。
【0079】
結合層100は、第2層60を構成する材料と結合(接着)する成分を含んでいる。例えば、第2層60がPTFE等の樹脂材料を含んでいる場合には、結合層100は、フッ素系のシランカップリング剤を含んでいてもよい。あるいは、結合層100は、フッ素樹脂と親和性の高い表面処理剤を含んでいてもよい。
【0080】
上述したスラストパッド40の製造方法の準備工程において、第1層50の第2面54および中間層70の第2面74に、上述したシランカップリング剤あるいは表面処理剤を塗布することで、このような結合層100を形成することができる。結合層100は、上述したブラスト処理を行った直後に形成されてもよい。
【0081】
本変形例によれば、第1層50の第2面54および中間層70の第2面74のうち少なくとも一方が、30μm以上80μm以下の算術平均粗さRaを有している。このことにより、積層方向および積層方向に直交する方向に大きな荷重が加わった場合に、第1層50あるいは中間層70と第2層60との間に滑りが生じることを抑制することができる。このため、スラストパッド40の圧縮弾性率の低下を抑制することができ、スラストパッド40の剛性の低下を抑制することができる。この結果、スラストパッド40の変形や破損を防止することができる。
【0082】
また、本変形例によれば、第1層50の第2面54および中間層70の第2面74のうち少なくとも一方に、第2層60と結合する結合層100が設けられている。このことにより、積層方向および積層方向に直交する方向に大きな荷重が加わった場合に、第1層50あるいは中間層70と第2層60との間に滑りが生じることをより一層抑制することができる。このため、スラストパッド40の圧縮弾性率の低下をより一層抑制することができ、スラストパッド40の剛性の低下をより一層抑制することができる。この結果、スラストパッド40の変形や破損をより効果的に防止することができる。
【0083】
以上述べた実施の形態によれば、摺動性能の低下を抑制することができる。
【0084】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0085】
1:立軸回転電機、4:ロータシャフト、10:ランナ、16a:下端部、40:スラストパッド、50:第1層、54:第1層の第2面、60:第2層、64a:摺動面、70:中間層、72:中間層の第1面、74:中間層の第2面、75:貫通孔、76:主面、78:孔周囲面、80:溝部、90:溝対向部分、100:結合層