(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群又は腺筋症を治療するための医薬製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/513 20060101AFI20231030BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231030BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231030BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20231030BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20231030BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231030BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231030BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20231030BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231030BHJP
A61K 9/28 20060101ALI20231030BHJP
A61P 15/08 20060101ALI20231030BHJP
A61P 5/32 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61K31/513
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/18
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/38
A61K47/36
A61K9/20
A61K9/28
A61P15/08
A61P5/32
(21)【出願番号】P 2020509108
(86)(22)【出願日】2018-08-20
(86)【国際出願番号】 US2018047072
(87)【国際公開番号】W WO2019036712
(87)【国際公開日】2019-02-21
【審査請求日】2021-08-19
(32)【優先日】2017-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】PCT/US2018/043321
(32)【優先日】2018-07-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】513224696
【氏名又は名称】ニューロクライン バイオサイエンシス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤンス,ジャヤンシー
(72)【発明者】
【氏名】スペンス,ケビン・シー
(72)【発明者】
【氏名】マクレランド,グレゴリー・エイ
(72)【発明者】
【氏名】ステパネンコ,アンナ・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】フバリス,クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】オーウェンズ,シャーロット・ディー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス,ジェームズ・ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】カステッリ-ヘイリー,ジェーン
(72)【発明者】
【氏名】ゴードン,キース
(72)【発明者】
【氏名】スナブス,マイケル・シー
(72)【発明者】
【氏名】ソリマン,アーメッド・エム
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】メッツガー,デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】リー,イエンシア
(72)【発明者】
【氏名】ジュ,ツーチー・アール
(72)【発明者】
【氏名】シャオ,シー
(72)【発明者】
【氏名】フロレス,オスカー・アントゥネス
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン,リタ
(72)【発明者】
【氏名】ン,ウィング-ケウン・ジューキ
(72)【発明者】
【氏名】ノース,ジャニン・ディー
(72)【発明者】
【氏名】パラック,ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】ペロソ,ポール・エム
【審査官】平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/062087(WO,A1)
【文献】特表2007-521309(JP,A)
【文献】特表2011-519929(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K31/33~33/44
A61P 1/00~43/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
150mg、200mg又は300mgの4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩、及び抗ゲル化剤を含む医薬組成物であって、少なくとも10重量%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物
であって、
該抗ゲル化剤が、弱酸の水溶性塩、塩基、塩基性アミノ酸、塩基性塩又は塩基性ポリマーである、医薬組成物。
【請求項2】
抗ゲル化剤が、組成物中の(R)-5-(2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-1-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチル-3-(2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-2-フェニルエチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物B)の形成を、抗ゲル化剤がないがそれ以外は同一の組成物よりも低減させる安定化剤としてさらに働く、請求項
1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
抗ゲル化剤が、アルカリ金属塩又は塩基性塩を含む、請求項
2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
アルカリ金属塩又は塩基性塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カルシウム、グアニジン、水酸化マグネシウム、メグルミン、ピペリジン、グルコサミン、ピペラジン又はTRIS(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項
3に記載の医薬組成物。
【請求項5】
アルカリ金属塩が、炭酸ナトリウムである、請求項
3に記載の医薬組成物。
【請求項6】
炭酸ナトリウムが、炭酸ナトリウム一水和物である、請求項
5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比が、0.5:1~20:1又は1:1~4:1、例えば2:1である、請求項
2~
6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
抗ゲル化剤が、医薬組成物の5重量%~35重量%の量、例えば医薬組成物の10重量%~25重量%の量で存在する、請求項
2~
6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
(a)少なくとも1種の水溶性充填剤又は(b)少なくとも1種の水不溶性充填剤及び界面活性剤をさらに含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項10】
900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定すると、少なくとも80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を45分間で放出する、請求項1~
9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
少なくとも1種の滑沢剤をさらに含む、請求項1~
10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
固形経口剤形である、請求項1~
11のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
固形経口剤形が、錠剤である、請求項
12に記載の医薬組成物。
【請求項14】
化合物Aの塩を含む、請求項1~
13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
化合物Aの塩が、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムである、請求項
14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
化合物Aの塩が、アモルファスの4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムである、請求項
14に記載の医薬組成物。
【請求項17】
ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、3時間未満、例えば0.5~2.0時間である平均T
max値をもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項18】
4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸塩が、150mgの化合物Aに等価な量で存在し、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、400ng/mL~660ng/mLである平均C
max値をもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項19】
4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸塩が、150mgの化合物Aに等価な量で存在し、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、1000ng・時/mL~1600ng・時/mLである平均AUC
tをもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項20】
4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸塩が、150mgの化合物Aに等価な量で存在し、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、1010ng・時/mL~1610ng・時/mLである平均AUC
∞をもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項21】
4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸塩が、200mgの化合物Aに等価な量で存在し、固形経口剤形がヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、590ng/mL~1100ng/mLである平均C
maxをもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項22】
4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸塩が、200mgの化合物Aに等価な量で存在し、固形経口剤形がヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、1510ng・時/mL~2980ng・時/mLである平均AUC
tをもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項23】
4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸塩が、200mgの化合物Aに等価な量で存在し、固形経口剤形がヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、1520ng・時/mL~2990ng・時/mLである平均AUC
∞をもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項24】
4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸塩が、300mgの化合物Aに等価な量で存在し、固形経口剤形がヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、1100ng/mL~1730ng/mLである平均C
maxをもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項25】
化合物A又は薬学的に許容されるその塩が、300mgの化合物Aに等価な量で存在し、固形経口剤形がヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、2990ng・時/mL~4670ng・時/mLである平均AUC
tをもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項26】
化合物A又は薬学的に許容されるその塩が、300mgの化合物Aに等価な量で存在し、固形経口剤形がヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、3020ng・時/mL~4720ng・時/mLである平均AUC∞をもたらす、請求項
15に記載の医薬組成物。
【請求項27】
女性対象に投与されると、黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルの迅速な抑制をもたらす、請求項1~
26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
25℃及び60%相対湿度において、少なくとも1か月間、保管した後に、0.7%未満の(R)-5-(2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-1-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチル-3-(2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-2-フェニルエチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを含む、請求項1~
27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項29】
25℃及び60%相対湿度において、1か月~3か月間、保管した後に、0.7%未満の(R)-5-(2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-1-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチル-3-(2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-2-フェニルエチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを含む、請求項1~
27のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項30】
150mgの4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩、及び抗ゲル化剤を含む医薬組成物であって、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比が、0.5:1~20:1又は1:1~4:1、例えば2:1である、医薬組成物
であって、
該抗ゲル化剤が、弱酸の水溶性塩、塩基、塩基性アミノ酸、塩基性塩又は塩基性ポリマーである、医薬組成物。
【請求項31】
200mgの4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩、及び抗ゲル化剤を含む医薬組成物であって、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比が、0.5:1~20:1又は1:1~4:1、例えば2:1である、医薬組成物
であって、
該抗ゲル化剤が、弱酸の水溶性塩、塩基、塩基性アミノ酸、塩基性塩又は塩基性ポリマーである、医薬組成物。
【請求項32】
300mgの4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩、及び抗ゲル化剤を含む医薬組成物であって、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比が、0.5:1~20:1又は1:1~4:1、例えば2:1である、医薬組成物
であって、
該抗ゲル化剤が、弱酸の水溶性塩、塩基、塩基性アミノ酸、塩基性塩又は塩基性ポリマーである、医薬組成物。
【請求項33】
抗ゲル化剤が、炭酸ナトリウムである、請求項
30~
32のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項34】
化合物A又は薬学的に許容されるその塩の炭酸ナトリウムに対する重量比が、2:1である、請求項
33に記載の医薬組成物。
【請求項35】
水溶性充填剤をさらに含む、請求項
30~
34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項36】
水不溶性充填剤及び界面活性剤をさらに含む、請求項
30~
34のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項37】
結合剤をさらに含む、請求項
30~
36のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項38】
結合剤がポリビニルピロリドンである、請求項
37に記載の医薬組成物。
【請求項39】
化合物Aの塩を含む、請求項
30~
38のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項40】
化合物Aの塩が、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムである、請求項
39に記載の医薬組成物。
【請求項41】
(a)20~50重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩、
(b)結合剤、
(c)抗ゲル化剤、及び
(d)水溶性充填剤
を含む医薬組成物であって、
該抗ゲル化剤が、弱酸の水溶性塩、塩基、塩基性アミノ酸、塩基性塩又は塩基性ポリマーである、医薬組成物。
【請求項42】
結合剤が、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース、微結晶セルロース、デンプン及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項
41に記載の医薬組成物。
【請求項43】
結合剤がポリビニルピロリドンを含む、請求項
41に記載の医薬組成物。
【請求項44】
結合剤が、1重量%~10重量%の量で存在する、請求項
41~
43のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項45】
抗ゲル化剤が、アルカリ金属塩又は塩基性塩を含む、請求項
41~
44のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項46】
アルカリ金属塩又は塩基性塩が、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、リン酸ナトリウム、水酸化カルシウム、グアニジン、水酸化マグネシウム、メグルミン、ピペリジン、グルコサミン、ピペラジン又はTRIS(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項
45に記載の医薬組成物。
【請求項47】
抗ゲル化剤が、炭酸ナトリウムを含む、請求項
41に記載の医薬組成物。
【請求項48】
炭酸ナトリウムが、炭酸ナトリウム一水和物である、請求項
47に記載の医薬組成物。
【請求項49】
抗ゲル化剤が、10重量%~25重量%の量で存在する、請求項
41~
48のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項50】
水溶性充填剤が、マンニトール及びアルファ化デンプンを含む、請求項
41~
49のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項51】
水溶性充填剤が、30重量%~50重量%の量で存在する、請求項
41~
50のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項52】
1~5%の滑沢剤をさらに含む、請求項
41~
51のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項53】
滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項
52に記載の医薬組成物。
【請求項54】
固形経口剤形である、請求項
41~
53のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項55】
固形経口剤形が、錠剤である、請求項
54に記載の医薬組成物。
【請求項56】
錠剤が、フィルムコーティングを含む、請求項
55に記載の医薬組成物。
【請求項57】
化合物Aの塩を含む、請求項
41~
56のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項58】
化合物Aの塩が、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムである、請求項
57に記載の医薬組成物。
【請求項59】
化合物Aの塩が、アモルファスの4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムである、請求項
57に記載の医薬組成物。
【請求項60】
(a)33.2重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、
(b)16.7重量%のアルカリ金属塩、及び
(c)50.1重量%の1種以上の賦形剤
を含む固形経口剤形。
【請求項61】
1種以上の賦形剤が、結合剤、水溶性充填剤、滑沢剤及びフィルムコーティング剤を含む、請求項
60に記載の固形経口剤形。
【請求項62】
(d)33.2重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、
(e)2.9重量%の結合剤、
(f)16.7重量%のアルカリ金属塩、
(g)41.6重量%の水溶性充填剤、
(h)1.8重量%の滑沢剤、及び
(i)3.8重量%のフィルムコーティング剤
を含む固形経口剤形。
【請求項63】
結合剤がポリビニルピロリドンである、請求項
62に記載の固形経口剤形。
【請求項64】
アルカリ金属塩が、炭酸ナトリウムである、請求項
62又は請求項
63に記載の固形経口剤形。
【請求項65】
炭酸ナトリウムが、炭酸ナトリウム一水和物である、請求項
64に記載の固形経口剤形。
【請求項66】
水溶性充填剤が、マンニトール及び/又はアルファ化デンプンを含む、請求項
62~
65のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項67】
固形経口剤形が、32重量%のマンニトール及び9重量%のアルファ化デンプンを含む、請求項
66に記載の固形経口剤形。
【請求項68】
滑沢剤がステアリン酸マグネシウムである、請求項
62~
67のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項69】
粒内部分及び粒外部分を含む、請求項
62~
68のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項70】
化合物A又は薬学的に許容されるその塩及び化合物B又はその塩を含む医薬組成物であって、化合物Aが、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸であり、化合物Bが、(R)-5-(2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-1-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチル-3-(2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-2-フェニルエチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンであり、化合物Bが、0.7重量%未満の量で組成物中に存在する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項71】
化合物Bが、25℃及び60%の相対湿度において、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、又は少なくとも6か月間、保管した後に、0.7重量%未満の量で組成物中に存在する、請求項
70に記載の医薬組成物。
【請求項72】
子宮内膜症の治療のための、請求項1~
59及び請求項
70~
71のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項
60~
69のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項73】
子宮筋腫の治療のための、請求項1~
59及び請求項
70~
71のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項
60~
69のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項74】
子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらすための、請求項1~
59及び請求項
70~
71のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項
60~
69のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項75】
女性患者におけるエストラジオールレベルが、50pg/mL未満である、請求項
74に記載の医薬組成物又は固形経口剤形。
【請求項76】
女性患者におけるエストラジオールレベルが、20pg/mL未満である、請求項
74に記載の医薬組成物又は固形経口剤形。
【請求項77】
非優勢腺筋症又は症候性腺筋症を治療するための、請求項1~
59及び請求項
70~
71のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項
60~
69のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項78】
化合物Aが、300mgを1日2回、又は600mgを1日1回、投与される、請求項
77に記載の医薬組成物又は固形経口剤形。
【請求項79】
エストラジオール、ノルエチンドロン又はこれらの塩からなる群から選択されるさらなるアドバック療法が、それを必要とする患者に投与される、請求項
77に記載の医薬組成物又は固形経口剤形。
【請求項80】
さらに、1mgのエストラジオール、0.5mgの酢酸ノルエチンドロン又はこれらの組合せ物が、それを必要とする患者に1日1回、投与される、請求項
79に記載の医薬組成物又は固形経口剤形。
【請求項81】
非優勢腺筋症又は症候性腺筋症の治療が、以下:
(a)6か月時において、月経による血液喪失(MBL)がベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(b)3か月時における、骨盤痛の臨床的に有意な低下(ベースラインからの>30%の低下として定義)、
(c)3か月時において、MBLがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(d)12か月時において、MBLがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(e)6か月時における、骨盤痛のベースラインからの臨床的に有意な低下(>30%の低下として定義)、
(f)プラセボに比べた、ベースラインからのMBL体積平均の低下、
(g)無月経+/-点状出血により定義される出血の抑制、
(h)月経期の全体にわたって続く月経痙攣の抑制、
(i)性交の間の疼痛の低減、又は
(j)月経期中に出る血栓の低下
を含む、請求項
77に記載の医薬組成物又は固形経口剤形。
【請求項82】
症候性腺筋症を有する女性における、重度の月経出血及び骨盤痛を治療するための、300mgの当量の化合物Aを含む医薬組成物であって、
組成物が、
(j)33.2重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、
(k)16.7重量%のアルカリ金属塩、及び
(l)50.1重量%の1種以上の賦形剤であって、結合剤、水溶性充填剤、滑沢剤及びフィルムコーティング剤を含む賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項83】
(a)33.2重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、
(b)2.9重量%の結合剤、
(c)16.7重量%のアルカリ金属塩、
(d)41.6重量%の水溶性充填剤、
(e)1.8重量%の滑沢剤、及び
(f)3.8重量%のフィルムコーティング剤
を含む、請求項
82に記載の医薬組成物。
【請求項84】
治療が、エストラジオール、酢酸ノルエチンドロン又はこれらの組合せからなる群から選択されるアドバック療法をさらに含む、請求項
82に記載の医薬組成物。
【請求項85】
アドバック療法が、1mgのエストラジオール、0.5mgの酢酸ノルエチンドロン、又はこれらの組合せを含み、アドバック療法が、それを必要とする患者に、1日1回、投与される、請求項
84に記載の医薬組成物。
【請求項86】
症候性腺筋症の治療が、以下:
(a)6か月時において、月経による血液喪失(MBL)がベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(b)3か月時における、骨盤痛の臨床的に有意な低下(ベースラインからの>30%の低下として定義)、
(c)3か月時において、MBLがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(d)12か月時において、MBLがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(e)6か月時における、骨盤痛のベースラインからの臨床的に有意な低下(>30%の低下として定義)、
(f)プラセボに比べた、ベースラインからのMBL体積平均の低下、
(g)無月経+/-点状出血により定義される出血の抑制、
(h)月経期の全体にわたって続く月経痙攣の抑制、
(i)性交の間の疼痛の低減、又は
(j)月経期中に出る血栓の低下
を含む、請求項
82に記載の医薬組成物。
【請求項87】
非優勢腺筋症を有する女性における、重度の月経出血及び骨盤痛を治療するための、300mgの当量の化合物Aを含む医薬組成物であって、
組成物が、
a)33.2重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、
b)16.7重量%のアルカリ金属塩、及び
c)50.1重量%の1種以上の賦形剤であって、結合剤、水溶性充填剤、滑沢剤及びフィルムコーティング剤を含む賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項88】
a)33.2重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、
b)2.9重量%の結合剤、
c)16.7重量%のアルカリ金属塩、
d)41.6重量%の水溶性充填剤、
e)1.8重量%の滑沢剤、及び
f)3.8重量%のフィルムコーティング剤
を含む、請求項
87に記載の医薬組成物。
【請求項89】
治療が、エストラジオール、酢酸ノルエチンドロン又はこれらの組合せからなる群から選択されるアドバック療法をさらに含む、請求項
87に記載の医薬組成物。
【請求項90】
アドバック療法が、1mgのエストラジオール、0.5mgの酢酸ノルエチンドロン、又はこれらの組合せを含み、アドバック療法が、それを必要とする患者に、1日1回、投与される、請求項
89に記載の医薬組成物。
【請求項91】
非優勢腺筋症の治療が、以下:
(a)6か月時において、月経による血液喪失(MBL)がベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(b)3か月時における、骨盤痛の臨床的に有意な低下(ベースラインからの>30%の低下として定義)、
(c)3か月時において、MBLがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(d)12か月時において、MBLがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(e)6か月時における、骨盤痛のベースラインからの臨床的に有意な低下(>30%の低下として定義)、
(f)プラセボに比べた、ベースラインからのMBL体積平均の低下、
(g)無月経+/-点状出血により定義される出血の抑制、
(h)月経期の全体にわたって続く月経痙攣の抑制、
(i)性交の間の疼痛の低減、又は
(j)月経期中に出る血栓の低下
を含む、請求項
87に記載の医薬組成物。
【請求項92】
中度から重度の子宮内膜症を有する患者において、倦怠感をさらに低減する、子宮内膜症関連疼痛を治療のための、請求項1~
59及び請求項
70~
71のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項
60~
69のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項93】
化合物Aが、150mgを1日1回、200mgを1日2回、300mgを1日2回、又は600mgを1日1回、投与される、請求項
91に記載の医薬組成物。
【請求項94】
治療が、エストラジオール、酢酸ノルエチンドロン又はこれらの組合せからなる群から選択されるアドバック療法をさらに含む、請求項
91に記載の医薬組成物。
【請求項95】
中度から重度の子宮内膜症を有する患者において、疼痛用医薬の使用をさらに低減させる、子宮内膜症関連疼痛を治療するための、請求項1~
59及び請求項
70~
71のいずれか一項に記載の医薬組成物、又は請求項
60~
69のいずれか一項に記載の固形経口剤形。
【請求項96】
化合物Aが、150mgを1日1回、200mgを1日2回、300mgを1日2回、又は600mgを1日1回、投与される、請求項
93に記載の医薬組成物。
【請求項97】
治療が、エストラジオール、酢酸ノルエチンドロン又はこれらの組合せからなる群から選択されるアドバック療法をさらに含む、請求項
94に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、それらの全体のすべてがすべての目的のため、参照により本明細書に組み込まれている、2017年8月18日出願の仮特許出願第62/547,402号、2018年4月19日出願の仮特許出願第62/660,102号、及び2018年7月23日出願の非仮特許出願PCT/US2018/043321からの優先権を求める。
【0002】
共同研究合意
本出願に開示されている主題は、本出願の有効出願日に、又はそれ以前に効力のある共同研究合意に対する当事者であるAbbVie Inc.及び/又はNeurocrine Biosciences,Inc.によって、又はこれらの代理として作成されたものであり、このような主題は、該共同研究合意の範囲内で開始された活動の結果として作成されたものである。
【0003】
本発明は、化合物A及び薬学的に許容される塩の医薬組成物、並びにこのような組成物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0004】
子宮内膜症は、子宮腔(すなわち、子宮内膜)に通常、見られる組織が、子宮の外側に見られる、すなわち、通常、骨盤の腹膜内壁の表面に埋まっている疾患である。子宮内膜症は、出産可能年齢の女性10名あたり推定で1名が罹患しており、疼痛、不妊症及び性機能障害を引き起こす恐れがある。子宮腔の子宮内膜組織の外側の成長は、エストロゲン依存性と考えられている。
【0005】
子宮筋腫(平滑筋腫)は、良性腫瘍であり、出産可能年齢の女性において、多く蔓延している。子宮筋腫に関連する症状は、最も一般には、重度の又は長く続く月経出血、骨盤圧迫及び骨盤器官の圧縮、背痛、並びに悪い繁殖成績が含まれる。重度の月経出血(HMB;月経周期1回あたり80mLを超えるものとして定義される月経過多)(The Menorrhagia Research Group、Quantification of menstrual blood loss. The Obstetrician & Gynaecologist.2004年;6巻:88~92頁)は、不自由であり、鉄欠乏性貧血に至る恐れがあり、これは、子宮摘出術を含むことがある外科的処置の主要原因である。他の症状、特に圧迫症状は、腫瘍のサイズ、数及び位置に大きく依存する。
【0006】
病因は、依然として十分に解明されていないが、子宮筋腫の成長は、エストロゲン及びプロゲストーゲンの両方に大きく依存することが知られている。筋腫は、ホルモン生成の減少により、更年期後に収縮する傾向がある。
【0007】
腺筋症は、子宮の筋肉壁(子宮筋層)を子宮の内壁(子宮内膜)が突き破る疾患である。腺筋症は、月経期前の月経痙攣、下腹部の圧迫及び腫脹を引き起こすことがあり、重度の生理を引き起こす恐れがある。この疾患は、子宮全体にわたり位置され得る、又は一点に局在し得る。腺筋症は、よく見られる疾患である。腺筋症は、中年女性、及び子供を出産した女性において、最も多く診断されている。ある検討により、以前に子宮の手術を受けた女性は、腺筋症のリスクがあり得ることも示唆されている。月経過多及び月経中間期出血が、最も一般的な訴えであり、疼痛、とりわけ、月経疼痛、並びに膀胱及び直腸の圧迫が続く。手術(筋腫摘出又は子宮摘出術)のみが、治癒をもたらすと考えられている。
【0008】
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、出産可能年齢の女性の間において、よく起こるホルモンの障害である。PCOSを有する女性は、不定期な又は長く続く月経期を有することがある、又は過度の男性ホルモン(アンドロゲン)レベルを有することがある。卵巣は、流体(毛包)からなる多数の小さな集合体に発達することがあり、定期的に卵子を放出することができないことがある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0009】
【文献】The Menorrhagia Research Group、Quantification of menstrual blood loss. The Obstetrician & Gynaecologist.2004年;6巻:88~92頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、子宮内膜症、子宮筋腫、PCOS及び腺筋症のため、特に、子宮内膜症、子宮筋腫、PCOS又は腺筋症に関連する疼痛、及び子宮内膜症、子宮筋腫、PCOS又は腺筋症に関連する重度の月経出血の管理のための、経口投与による新規な治療が当分野において必要とされている。さらに、このような治療剤、特に非ペプチドGnRHアンタゴニストを含む経口により生体利用可能な剤形を開発することが当分野において依然として必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本開示は、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物、このような組成物を使用する方法、及びこのような組成物から化合物Aの放出を促進する方法を対象とする。
【0012】
本出願は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬製剤の開発に対する少なくとも2つの難題を特定する。1つの難題は、化合物A、特に、化合物Aの一ナトリウム塩は、特に、適切な抗ゲル化剤の非存在下で約10重量%を超える量で存在する場合、固形剤形で経口的に投与されると、ゲルを形成する傾向を有するということであった。このようなゲル形成により、APIの溶解が制限され、最終的に、患者間及び患者内の生体利用率が非常に変動する恐れがある。もう1つの難題は、化合物Aは、分解して、ラクタム部分を有する化合物(本明細書において化合物Bと呼ばれる)を形成することができるということであった。例えば、製品の寿命にわたり安全性及び有効性を維持するため、この薬物のラクタム含有分解生成物への転化を低減することが望ましい。したがって、医薬組成物は、APIのゲル化を低減する、かつ/又はラクタム分解生成物(すなわち、化合物B)の生成を低減することが、本出願において判明した。化合物Bなどの変異不純物は望ましいものではなく、製品の安全性及び有効性を維持して、非常に低いレベル、又はできる限り最低レベルに低下されるべきである。
【0013】
一態様において、開示されている医薬組成物は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩、及び少なくとも1種の抗ゲル化剤を含む。
【0014】
ある種の実施形態において、化合物Aの塩は、一ナトリウム塩(4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム)である。
【0015】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、錠剤などの固形剤形からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進する。
【0016】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、例えば、組成物中の(R)-5-(2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-1-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチル-3-(2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-2-フェニルエチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物B)の形成を、抗ゲル化剤がないがそれ以外は同一の組成物よりも低減させる安定化剤としても働く。
【0017】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、緩衝剤などのpH改変剤として働く。
【0018】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩である。炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウム一水和物又は無水炭酸ナトリウムのどちらか一方とすることができる。他の抗ゲル化剤は、塩基とすることができる。塩基の例には、水酸化カルシウム、グアニジン、水酸化マグネシウム、メグルミン、ピペリジン、グルコサミン、ピペラジン又はTRIS(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)が含まれる。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、塩基性アミノ酸であってもよい。塩基性アミノ酸の例は、L-オルニチン、L-リシン又はL-アルギニンを含む。ある種の他の実施形態において、抗ゲル化剤は、塩基性塩であってもよい。塩基性塩の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、炭酸グアニジンを含む。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、オイドラギットEPOであってもよい。
【0019】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約1:1~約20:1である。重量比は1:1、2:1、4:1、6:1、10:1又は20:1からなる群から選択される、様々な範囲に選択され得る。したがって、この比は、例えば、1:1~2:1、又は1:1~4:1、又は1:1~6:1、又は1:1~10:1、又は1:1~20:1の範囲とすることができる。
【0020】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約2:1である。
【0021】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、本医薬組成物の約5重量%~約35重量%の量で本医薬組成物中に存在する。
【0022】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、本医薬組成物の約15重量%~約25重量%の量で本医薬組成物中に存在する。
【0023】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、結合剤、充填剤、滑沢剤、流動促進剤及びこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1種の追加の賦形剤をさらに含む。
【0024】
ある種の実施形態において、結合剤はポリビニルピロリドンである。
【0025】
ある種の実施形態において、充填剤は、デンプン及び/又はマンニトールである。ある種の実施形態において、充填剤は、マンニトール若しくはアルファ化(pregelitanized)デンプン、又はこれらの組合せなどの水溶性充填剤である。ある種の実施形態において、充填剤は、微結晶セルロースなどの水不溶性充填剤である。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤をさらに含む。
【0026】
ある種の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0027】
ある種の実施形態において、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0028】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、経口剤形である。一部のこのような実施形態において、経口剤形は錠剤である。
【0029】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約100mg~約600mgの量の化合物A又は薬学的に許容されるその塩、及び少なくとも約10重量%の抗ゲル化剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約100mg~約350mgの量の化合物A又は薬学的に許容されるその塩、及び少なくとも約10重量%の抗ゲル化剤を含む。
【0030】
一態様において、開示されている医薬組成物は、約150mgの化合物A又は薬学的に許容されるその塩、少なくとも1種の抗ゲル化剤、及び任意選択的に、少なくとも1種の結合剤を含む。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、炭酸ナトリウム一水和物などの炭酸ナトリウムである。一部のこのような実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の炭酸ナトリウムに対する重量比は、約2:1である。ある種の実施形態において、結合剤はポリビニルピロリドンである。ある種の実施形態において、化合物Aの塩は、一ナトリウム塩(4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム)である。一部のこのような実施形態において、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムの炭酸ナトリウム一水和物に対する重量比は、約2:1である。
【0031】
別の態様において、開示されている医薬組成物は、約200mgの化合物A又は薬学的に許容されるその塩、少なくとも1種の抗ゲル化剤、及び任意選択的に、少なくとも1種の結合剤を含む。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、炭酸ナトリウム一水和物などの炭酸ナトリウムである。一部のこのような実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の炭酸ナトリウムに対する重量比は、約2:1である。ある種の実施形態において、結合剤はポリビニルピロリドンである。ある種の実施形態において、化合物Aの塩は、一ナトリウム塩(4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム)である。一部のこのような実施形態において、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムの炭酸ナトリウム一水和物に対する重量比は、約2:1である。
【0032】
さらに別の態様において、開示されている医薬組成物は、約300mgの化合物A又は薬学的に許容されるその塩、少なくとも1種の抗ゲル化剤、及び任意選択的に、少なくとも1種の結合剤を含む。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、炭酸ナトリウム一水和物などの炭酸ナトリウムである。一部のこのような実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の炭酸ナトリウムに対する重量比は、約2:1である。ある種の実施形態において、結合剤はポリビニルピロリドンである。ある種の実施形態において、化合物Aの塩は、一ナトリウム塩(4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム)である。一部のこのような実施形態において、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムの炭酸ナトリウム一水和物に対する重量比は、約2:1である。
【0033】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約125mg~約175mg、例えば約150mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約3時間未満、例えば約2時間未満である平均Tmax値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約175mg~約225mg、例えば約200mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤である錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約3時間未満、例えば約2時間未満である平均Tmax値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約275mg~約325mg、例えば約300mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約3時間未満、例えば約2時間未満である平均Tmax値をもたらす錠剤である。
【0034】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約125mg~約175mg、例えば約150mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約380ng/mL(510の約75%)である平均Cmax値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約175mg~約225mg、例えば約200mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約550ng/mL(738の約75%)である平均Cmax値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約275mg~約325mg、例えば約300mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団の場合、少なくとも約1030ng/mL(1378の約75%)である平均Cmax値をもたらす錠剤である。
【0035】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約125mg~約175mg、例えば約150mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約940ng・時/mL(1263の約75%)である平均AUCt値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約175mg~約225mg、例えば約200mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約1410ng・時/mL(1890の約75%)である平均AUCt値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約275mg~約325mg、例えば約300mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約2800ng・時/mL(3732の約75%)である平均AUCt値をもたらす錠剤である。
【0036】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約125mg~約175mg、例えば約150mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約950ng・時/mL(1271の約75%)である平均AUC∞値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約175mg~約225mg、例えば約200mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約1430ng・時/mL(1900の約75%)である平均AUC∞値をもたらす錠剤である。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約275mg~約325mg、例えば約300mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、及び少なくとも約10重量%、例えば約15重量%~約20重量%の間の抗ゲル化剤を含む錠剤であって、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、少なくとも約2820ng・時/mL(3772の約75%)である平均AUC∞値をもたらす錠剤である。
【0037】
本開示はまた、1種以上の薬学的に許容される担体、及び150、200又は300mgである量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩を含む錠剤の形態で経口投与するための単回単位剤形である医薬組成物を対象としている。
【0038】
同様に、以下:
a)約20~約60重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩、
b)結合剤、
c)組成物中に、(R)-5-(2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-1-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチル-3-(2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-2-フェニルエチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物B)の形成を低減するための安定化剤として働く抗ゲル化剤、及び
d)水溶性充填剤
を含む医薬組成物が提供される。
【0039】
同様に、以下:
a)約33重量%の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、
b)約3重量%の結合剤、
c)約17重量%のアルカリ金属塩、
d)約41重量%の水溶性充填剤、
e)約2重量%の滑沢剤、及び
f)約4重量%のフィルムコーティング剤
を含む医薬組成物が提供される。
【0040】
同様に、1種以上の薬学的に許容される担体及びある量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物であって、ほぼ同じ量の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を有する化合物A又は薬学的に許容されるその塩の即時放出製剤と、生物学的に等価な、医薬組成物が提供される。
【0041】
本開示はまた、化合物A又は薬学的に許容されるその塩、及び組成物から化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進するのに十分な量のアルカリ金属塩を含む医薬組成物を対象としている。
【0042】
ある種の実施形態において、この放出は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定される。
【0043】
ある種の実施形態において、この放出は、900mLの0.1N塩酸中、pH1.2、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定される。
【0044】
ある種の実施形態において、この放出は、900mLの0.1N塩酸中、pH1.2、37℃及びパドル速度100rpmにおいて、米国薬局方装置Iを使用して測定される。
【0045】
ある種の実施形態において、アルカリ金属塩はまた、安定化剤として働く。
【0046】
ある種の実施形態において、アルカリ金属塩は、緩衝剤などのpH改変剤として働く。
【0047】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩のアルカリ金属塩に対する重量比は、約1:1~約4:1である。
【0048】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩のアルカリ金属塩に対する重量比は、約2:1である。
【0049】
ある種の実施形態において、アルカリ金属塩は、本医薬組成物の約10重量%~約30重量%の量で本医薬組成物中に存在する。
【0050】
ある種の実施形態において、アルカリ金属塩は、本医薬組成物の約15重量%~約25重量%の量で本医薬組成物中に存在する。
【0051】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、経口剤形である。
【0052】
ある種の実施形態において、経口剤形は錠剤である。
【0053】
本開示はまた、化合物A又は薬学的に許容されるその塩及び炭酸ナトリウムを含む、錠剤などの固形経口剤形を対象とする。
【0054】
ある種の実施形態において、化合物Aの塩はナトリウム塩である。
【0055】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の炭酸ナトリウムに対する重量比は、約1:1~約4:1である。
【0056】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の炭酸ナトリウムに対する重量比は、約2:1である。
【0057】
ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、本医薬組成物の約10重量%~約30重量%の量で本医薬組成物中に存在する。
【0058】
ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、本医薬組成物の約15重量%~約25重量%の量で本医薬組成物中に存在する。
【0059】
本開示はまた、経口剤形からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進する方法を対象としている。
【0060】
ある種の実施形態において、本方法は、少なくとも1種の抗ゲル化剤、及び化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を調製するステップを含む。
【0061】
化合物Aは、水の存在下において、ゲルを形成し、本開発方法をさらに複雑にする傾向を有する。したがって、一態様において、本開示は、実質的に水の非存在下において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を製造する方法を提供する。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、ローラー圧縮工程を使用して製造される。
【0062】
本開示はまた、子宮内膜症の治療を必要とする対象における、子宮内膜症を治療する方法であって、本開示の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日2回(BID)、投与される。
【0063】
本開示はまた、子宮内膜症を治療する際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0064】
本開示はまた、子宮筋腫の治療を必要とする対象における、子宮筋腫を治療する方法であって、本開示の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日2回(BID)、投与される。
【0065】
本開示はまた、子宮筋腫を治療する際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0066】
本開示はまた、腺筋症又は腺筋腫の治療を必要とする対象における、腺筋症又は腺筋腫を治療する方法であって、本開示の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日2回(BID)、投与される。
【0067】
本開示はまた、腺筋症又は腺筋腫を治療する際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0068】
本開示はまた、PCOSの治療を必要とする対象における、PCOSを治療する方法であって、本開示の医薬組成物を対象に投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日2回(BID)、投与される。
【0069】
本開示はまた、PCOSを治療する際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0070】
本開示はまた、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者において、黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の迅速な抑制をもたらす方法であって、女性患者に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0071】
本開示はまた、子宮内膜症を有する女性患者において、黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の迅速な抑制をもたらす方法であって、女性患者に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0072】
本開示はまた、子宮筋腫を有する女性患者において、黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の迅速な抑制をもたらす方法であって、女性患者に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0073】
本開示はまた、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を有する女性患者において、黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の迅速な抑制をもたらす方法であって、女性患者に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0074】
本開示はまた、腺筋症を有する女性患者において、黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)の迅速な抑制をもたらす方法であって、女性患者に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、対象に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0075】
本開示はまた、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者において、LH及び/又はFSHの迅速な抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0076】
一実施形態において、本開示はまた、子宮内膜症を有する女性患者において、LH及び/又はFSHの迅速な抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0077】
一実施形態において、本開示はまた、子宮筋腫を有する女性患者において、LH及び/又はFSHの迅速な抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0078】
一実施形態において、本開示はまた、多嚢胞性卵巣症候群を有する女性患者において、LH及び/又はFSHの迅速な抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0079】
一実施形態において、本開示はまた、腺筋症を有する女性患者において、LH及び/又はFSHの迅速な抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0080】
本開示はまた、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす方法であって、対象に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0081】
一実施形態において、本開示はまた、子宮内膜症を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす方法であって、対象に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0082】
一実施形態において、本開示はまた、子宮筋腫を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす方法であって、対象に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0083】
一実施形態において、本開示はまた、多嚢胞性卵巣症候群を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす方法であって、対象に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0084】
一実施形態において、本開示はまた、腺筋症を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす方法であって、対象に本開示の医薬組成物を投与するステップを含む方法を対象としている。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日1回(QD)、投与される。一部のこのような実施形態において、本医薬組成物は、女性患者に1日2回(BID)、投与される。
【0085】
本開示はまた、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0086】
一実施形態において、本開示はまた、子宮内膜症を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0087】
一実施形態において、本開示はまた、子宮筋腫を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0088】
一実施形態において、本開示はまた、多嚢胞性卵巣症候群を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0089】
一実施形態において、本開示はまた、腺筋症を有する女性患者において、エストラジオールの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす際に使用するための医薬組成物を対象としている。
【0090】
本開示はまた、このような医薬組成物を調製する方法を対象としている。
【0091】
本発明のこれらの目的及び他の目的は、以下の段落に記載されている。これらの目的は、本発明の範囲を狭めるものと見なされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図2】水中における、化合物Aの見かけ上の溶解度を示すプロットである。
【
図4】18か月間又は24か月間、保管した後の製剤F5に関するインビトロでの溶解プロファイルを示すグラフである。
【
図5】1、3、6又は9か月間、保管した後の製剤F6に関するインビトロでの溶解プロファイルを示すグラフである。
【
図6】製剤F10(非コーティング錠剤及びフィルムコーティング錠剤)に関するインビトロでの溶解プロファイルを示すグラフである。
【
図7】様々な量の炭酸ナトリウム一水和物を含有する組成物に関するインビトロでの溶解プロファイルを示すグラフである。
【
図8】1週間、保管した後の、分解生成物(化合物B)の割合を示す棒グラフである。
【
図9】様々な保管条件における、分解生成物(化合物B)の形成速度を示す棒グラフである。
【
図10】pH1.2における(100RPM及び37℃において、米国薬局方装置I)、エラゴリクスナトリウム製剤1、2、8、10、11の溶解プロファイルを図示するグラフである。
【
図11】12か月間にわたる、検討EM-Iにおける平均月経困難疼痛スコアのベースラインからの平均変化、及びこの拡張検討EM-IIIにおける応答の維持を示すグラフである。
【
図12】12か月間にわたる、検討EM-Iにおける平均NMPPスコアのベースラインからの平均変化、及びこの拡張検討EM-IIIにおける応答の維持を示すグラフである。
【
図13】12か月間にわたる、検討EM-Iにおける平均性交疼痛スコアのベースラインからの平均変化、及びこの拡張検討EM-IIIにおける応答の維持を示すグラフである。
【
図14】エラゴリクス150mg QD及び200mg BIDに関する、ベースライン時、6か月時及び12か月時の腰椎BMD Zスコア箱プロットを示すグラフである。
【
図15】ベースラインからの平均変化率としての、レスキューオピオイド丸剤数の結果を示すグラフである。有意性対プラセボは、ANCOVAモデルから、P<.05(
*)及びP<.001(
***)に関して表示されている。1か月=35日間の間隔である。
【
図16】平均のPromis倦怠感SF-6a Tスコアのベースラインは、正常集団よりも高い1SD超となることを示すグラフである[平均値=50、SD=10]。
**は、P<0.01である。
**は、倦怠感に関するANOVAモデルから、エラゴリクス治療群対プラセボに関して統計学的有意性があることを示し、処置が主要因子となることを示す。最大SF-6a Tスコア=76.8である。
【
図17】エラゴリクスは、子宮内膜症患者間のベースラインからの倦怠感スコアを低下させたことを示すグラフである。倦怠感に関するANCOVAモデルからの、統計学的有意性対プラセボのP<0.05、<0.01、<0.001(
*,
**,
***)が示されており、このことは、処置が主要因子となること、及びベースライン倦怠感が共変量となることを示し、これにより、各処置群とプラセボとが比較される。
【発明を実施するための形態】
【0093】
この詳細説明は、本発明、この原理及びこの実践的用途を当業者に知らしめるためのものに過ぎないことが意図されており、したがって、当業者は、本発明が特定の使用の要件に最良に適合され得るように、本発明をこの様々な形態で、適合及び適用することができる。本記載及びこの具体例は、例示目的に過ぎないことが意図されている。したがって、本発明は、本特許出願に記載されている実施形態に限定されず、様々に修正され得る。
【0094】
A.定義
本明細書及び添付されている特許請求の範囲において使用される場合、特に逆のことを指定しない限り、以下の用語は、示されている意味を有する。
【0095】
用語「API」は、本明細書において使用する場合、「活性医薬成分」を表す。本明細書において開示されている好ましいAPIは、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩であり、このようなものは、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムである。
【0096】
本明細書において使用する場合、用語「医薬組成物」は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩、及び任意選択的に1種以上の薬学的に許容される賦形剤を含む組成物を意味する。
【0097】
用語「薬学的に許容される」とは、修飾された名詞が、ヒト使用のための医薬製品として、又はヒト使用のための医薬製品の一部としての使用に適切なものであることを意味するために、形容して使用される。
【0098】
用語「対象」は、ヒト及び他の霊長類、並びに他の哺乳類を含む。対象という用語は、例えば、閉経前の健常な女性、及び、例えば、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者を含む。ある種の実施形態において、対象はヒトである。ある種の実施形態において、対象は成人ヒト女性である。ある種の実施形態において、対象は、女性であり、通常、子宮内膜症を有する閉経前女性である。ある種の実施形態において、対象は、女性であり、通常、子宮筋腫を有する閉経前女性である。ある種の実施形態において、対象は、女性であり、通常、腺筋症を有する閉経前女性である。ある種の実施形態において、対象は、女性であり、通常、PCOSを有する閉経前女性である。
【0099】
用語「治療有効量」は、いかなる医療的治療にも適用可能な、妥当な利益/リスク比で、状態、障害又は疾患を治療するAPI又は医薬組成物の十分な量を意味する。
【0100】
用語「治療する」、「治療すること」及び「治療」とは、状態、障害若しくは疾患、及び/又は付随するこれらの兆候及び症状を改善又は無効にする方法を指す。
【0101】
B.薬物
本明細書に開示されている医薬組成物は、少なくとも1つの活性医薬成分:4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸(化合物A)又は薬学的に許容されるその塩を含む。
【0102】
化合物Aは、以下の式:
【0103】
【0104】
化合物Aは、経口により活性な、非ペプチドGnRHアンタゴニストであり、他のGnRHアゴニスト及び注射可能な(ペプチド)GnRHアンタゴニストとは異なる。化合物Aは、女性における、下垂体及び卵巣ホルモンの用量依存的抑制を生じる。化合物A及び薬学的に許容されるその塩、並びに類似化合物を作製する方法は、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、WO2001/055119、WO2005/007165及びWO2017/221144に記載されている。薬物の重水素型も、本発明の範囲内にあることがやはり企図されている。薬物の重水素型は、この内容が参照により本明細書に組み込まれている、特許出願CN108129400(A)に記載されている。エラゴリクス及びエラゴリクスナトリウムは、互換的に使用されて、薬物を指す。具体的に支持されていない場合、エラゴリクスは、その範囲内にエラゴリクスナトリウムを企図する。
【0105】
ある種の実施形態において、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸は、双性イオン形態で存在する。例えば、カルボン酸と三級アミンの両方が、イオン化されており、したがって、この分子は、全体として電荷を有していないが、電荷分離を有する。このような双性イオン形態は、用語「化合物A又は薬学的に許容されるその塩」の範囲内に包含される。
【0106】
化合物Aは、酸付加塩又は塩基付加塩の形態で医薬組成物中に存在してもよい。本発明の遊離アミノ化合物の酸付加塩は、当分野において周知の方法によって調製され得、有機酸及び無機酸から形成され得る。好適な有機酸は、マレイン酸、フマル酸、安息香酸、アスコルビン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、シュウ酸、プロピオン酸、酒石酸、サリチル酸、クエン酸、グルコン酸、乳酸、マンデル酸、桂皮酸、アスパラギン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、グリコール酸、グルタミン酸及びベンゼンスルホン酸を含む。好適な無機酸は、塩化水素、臭化水素酸、硫酸、リン酸及び硝酸を含む。好適な塩基付加塩には、カルボン酸陰イオンと形成する塩を含み、アルカリ及びアルカリ土類金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、バリウム及びカルシウム)、並びにアンモニウムイオン及びこれらの置換されている誘導体(例えば、ジベンジルアンモニウム、ベンジルアンモニウム、2-ヒドロキシエチルアンモニウムなど)から選択されるものなどの有機及び無機の陽イオンと形成される塩を含む。したがって、化合物Aの「薬学的に許容される塩」という用語は、ありとあらゆる許容可能な塩形態を包含することが意図されている。
【0107】
ある種の実施形態において、化合物Aは、医薬組成物中に薬学的に許容される塩の形態で存在する。ある種の実施形態において、化合物Aの薬学的に許容される塩は、化合物Aのナトリウム塩である。化合物Aの一ナトリウム塩は、C32H29F5N3O5Naという分子式を有しており、これは、約653.6(塩)及び約631.6(遊離形態)の分子量に相当する。化合物Aの一ナトリウム塩は、以下の式:
【0108】
【0109】
エラゴリクスは、約7.89及び約4.15などの、約8及び約4のpKaを有する。
【0110】
ある種の実施形態において、一ナトリウム塩は、アモルファス固体の形態にある。ある種の実施形態において、一ナトリウム塩は、部分結晶形態などの結晶形態にある。一部の実施形態において、アモルファス化合物である一ナトリウム形態は、結晶化度が欠如しているX線粉末回折(XRPD)パターンを有する。エラゴリクス及びエラゴリクスナトリウムは、互換的に使用されて、活性物質を指す。具体的に指示されていない限り、エラゴリクスは、その範囲内にエラゴリクスナトリウムを企図する。
【0111】
本明細書において使用する場合、及び化合物Aの特定の薬学的に許容される塩を具体的に参照しない場合、いずれの投与量も、ミリグラム若しくは重量百分率として、又は別の成分との比として表されているかどうかに関わらず、化合物Aの遊離形態の量を指すと見なされるべきである。
【0112】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩は、約25mg~約650mgの化合物Aの量で、医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩は、約45mg~約650mgの化合物Aの量で、医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の量は、約50mg~約400mgである。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の量は、約100mg~約350mgである。一部のこのような実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の量は、約150mgなどの約140mg~約160mgである。他のこのような実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の量は、約200mgなどの約190mg~約210mgである。さらに他の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の量は、約300mgなどの約290mg~約310mgである。
【0113】
C.医薬組成物
化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を治療するために使用され得る。一実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、子宮内膜症を治療するために使用され得る。一実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、子宮筋腫を治療するために使用され得る。一実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を治療するために使用され得る。一実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、腺筋症を治療するために使用され得る。本明細書に記載されている医薬組成物又は剤形は、ヒトに投与され得る、経口剤形、特に固形経口剤形とすることができる。経口剤形は、錠剤の形態にあってもよい。
【0114】
本開示は、医薬製剤、及び、とりわけ、薬物製品及び/若しくは薬物の薬物溶解を促進する、かつ/又はこれらの安定性を増強(例えば、分解生成物の形成を制御することによる)するための機能的賦形剤を提供する。
【0115】
薬物投与の経口経路は、患者にとって最も都合がよく、錠剤が、現在、使用されている最も定評のある固形経口剤形として現れている。しかし、化合物Aのための即時放出錠剤の開発は、単純なものではなかった。典型的な医薬品用賦形剤と共に化合物Aを造粒することにより調製された初期の錠剤は、pH1.2の0.1N HCL緩衝液900mLに化合物Aが完全に溶解しないことを示した。錠剤中の薬物の割合が、10%を超える場合、薬物担持量のわずか30~40%しか溶解しなかった。残りの量の化合物Aは、溶解容器の上部の不溶性沈殿物として存在した。
【0116】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、即時放出医薬組成物である。少なくとも1つの態様において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、抗ゲル化剤を含む。
【0117】
本明細書において参照される通り、「抗ゲル化剤」は、ゲル形成を低減又は防止する作用剤である。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、抗ゲル化剤がないがそれ以外は同一の組成物よりも、ゲル形成を低減又は防止する。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、ゲル形成を低減又は防止し、こうして、組成物からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出が促進される。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、抗ゲル化剤を含まない同一の医薬組成物よりも、医薬組成物からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を改善する。
【0118】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、緩衝剤などのpH改変剤として働く。
【0119】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属塩である。炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウム一水和物又は無水炭酸ナトリウムのどちらか一方とすることができる。他の抗ゲル化剤は、塩基とすることができる。塩基の例には、水酸化カルシウム、グアニジン、水酸化マグネシウム、メグルミン、ピペリジン、グルコサミン、ピペラジン又はTRIS(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)が含まれる。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、塩基性アミノ酸であってもよい。塩基性アミノ酸の例は、L-オルニチン、L-リシン又はL-アルギニンを含む。ある種の他の実施形態において、抗ゲル化剤は、塩基性塩であってもよい。塩基性塩の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物、炭酸グアニジンを含む。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、オイドラギットEPOであってもよい。
【0120】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約1:1~約20:1である。重量比は1:1、2:1、4:1、6:1、10:1又は20:1からなる群から選択される、様々な範囲に選択され得る。したがって、この比は、例えば、1:1~2:1、又は1:1~4:1、又は1:1~6:1、又は1:1~10:1、又は1:1~20:1の範囲とすることができる。
【0121】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、本医薬組成物の約3重量%~約60重量%(w/w)の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、本医薬組成物の約3重量%~約50重量%(w/w)の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、本医薬組成物の約5重量%~約35重量%(w/w)の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、本医薬組成物の約10重量%~約25重量%(w/w)の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、本医薬組成物の約15重量%~約20重量%(w/w)の量で本医薬組成物中に存在する。
【0122】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、フィルムコーティング錠剤である。一部のこのような実施形態において、抗ゲル化剤は、非コーティング錠剤の約3重量%~約60重量%、代替として、約3重量%~約50重量%、代替として、約5重量%~約35重量%、代替として、約10重量%~約25重量%、代替として、約15重量%~約20重量%の量で存在する。一部のこのような実施形態において、抗ゲル化剤は、コーティング錠剤の約3重量%~約60重量%、代替として、約3重量%~約50重量%、代替として、約5重量%~約35重量%、代替として、約10重量%~約25重量%、代替として、約15重量%~約20重量%の量で存在する。
【0123】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約20:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約10:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約6:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約4:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は約1:1~約3:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約2:1である。
【0124】
一部の実施形態において、本医薬組成物は、本医薬組成物が患者に投与されると、API放出の速度及び生体利用率を低下させる恐れのある、ゲル塊の形成を防止するのに有効な量の抗ゲル化剤をさらに含む。
【0125】
一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、ゲル形成を低減又は防止し、こうして、医薬組成物からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出が促進される。一部の実施形態において、本医薬組成物は、患者に投与されると、医薬組成物からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進するよう、これらの微小環境を改変するのに有効な量の抗ゲル化剤をさらに含む。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、水性媒体において、錠剤から、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進する微小環境を提供するのに十分な量で存在する。一部の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進することにより、抗ゲル化剤のない医薬組成物と比べて、一層予測可能な放出及び吸収速度をもたらす。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、抗ゲル化剤を含まない同一の医薬組成物よりも、医薬組成物からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を改善する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、組成物から化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を増大するのに有効な量の抗ゲル剤をさらに含み、この放出は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定される。
【0126】
一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の双性イオン形態の形成を低減又は防止するのに有効な量の、抗ゲル化剤をさらに含む。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は希釈剤として作用する。
【0127】
一部の実施形態において、本医薬組成物は、例えば、胃腸管において化合物A又は薬学的に許容されるその塩の溶解にとって好都合な微小環境をもたらすために、医薬組成物の崩壊時間、及び/又は化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の溶解時間を調整するのに有効な量の抗ゲル化剤をさらに含む。
【0128】
一部の実施形態において、本医薬組成物は、患者に投与されると、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の微小環境の乾燥レベルを増大することにより、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の微小環境を改変するのに有効な量の抗ゲル化剤をさらに含む。
【0129】
一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、アミン、アミド、アンモニウム化合物及びアミノ酸から選択される。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、アンモニア、乳酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム、水酸化アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、トリメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリヒドロキシメチルアミノメタン、エチレンジアミン、アラントイン、N,N-ジメチルグリシン、N-メチルグルカミド、6N-メチルグルカミン、トロメタモール、メグルカミン、L-オルニチン、L-リシン及びL-アルギニン又はこれらの組合せから選択される。
【0130】
一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、酢酸、アセツル酸(N-アセチルグリシン)、アジピン酸、L-アスコルビン酸、L-アスパラギン酸、酪酸、デカン酸、炭酸、クエン酸、フマル酸、ガラクタル酸、D-グルカル酸、D-グルコヘプトン酸、D-グルコン酸、D-グルクロン酸、L-グルタミン酸、グルタル酸、グリセロリン酸、グリコール酸、馬尿酸、塩酸、DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、L-リンゴ酸、パルミチン酸、リン酸、ピルビン酸、セバシン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸、L-酒石酸及びチオシアン酸又はこれらの組合せからなる群から選択される酸の水溶性塩である。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、酢酸、アジピン酸、L-アスコルビン酸、炭酸、クエン酸、L-グルタミン酸、塩酸、DL-乳酸、ラクトビオン酸、ラウリン酸、マレイン酸、L-リンゴ酸、リン酸、ステアリン酸、コハク酸、硫酸及びL-酒石酸又はこれらの組合せからなる群から選択される酸の水溶性塩である。
【0131】
一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、アルギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、2-(4-ヒドロキシルベンゾイル)-安息香酸、(+)-シヨウノウ酸、オクタン酸、シクラミン酸、ジ(tert-ブチル)ナフタレンジスルホン酸、ジ(tert-ブチル)ナフタレンスルホン酸、ドデシル硫酸、エタン-1,2-ジスルホン酸、エタンスルホン酸、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸、ゲンチジン酸、α-オキソ-グルタル酸、イソ酪酸、マロン酸、メタンスルホン酸、ナフタレン-1,5-ジスルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、オレイン酸、オロチン酸、シュウ酸、エンボン酸、プロパン酸、L-ピログルタミン酸及びパラ-トルエンスルホン酸又はこれらの組合せからなる群から選択される酸の水溶性塩である。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、アルギン酸、安息香酸、オクタン酸、ニコチン酸及びプロパン酸又はこれらの組合せから選択される酸の水溶性塩である。
【0132】
一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム若しくはカリウム塩基、又はこれらの組合せとのアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩などの炭酸又は重炭酸の塩、例えば、炭酸ナトリウムである。炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウム一水和物又は無水炭酸ナトリウムのどちらか一方とすることができる。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、クエン酸と、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウム塩基、又はこれらの組合せ物との塩から選択される。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、リン酸と、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウム塩基、又はこれらの組合せ物との塩からなる群から選択される。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、酢酸と、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウム塩基との塩、又はこれらの塩からなる群から選択される。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、硫酸と、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウム塩基、又はこれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、L-アスコルビン酸と、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウム塩基、又はこれらの組合せ物との塩からなる群から選択される。一部の実施形態において、抗ゲル化剤は、L-アスパラギン酸と、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム及びカリウム塩基、又はこれらの組合せ物との塩からなる群から選択される。一部の実施形態において、カルシウム塩基は、水酸化カルシウムである。一部の実施形態において、マグネシウム塩基は、水酸化マグネシウムである。一部の実施形態において、ナトリウム塩基は、水酸化ナトリウムである。一部の実施形態において、カリウム塩基は、水酸化カリウムである。他の抗ゲル化剤は、塩基とすることができる。塩基の例には、水酸化カルシウム、グアニジン、水酸化マグネシウム、メグルミン、ピペリジン、グルコサミン、ピペラジン又はTRIS(トリスヒドロキシメチルアミノメタン)又はこれらの組合せが含まれる。ある種の他の実施形態において、抗ゲル化剤は、塩基性塩であってもよい。塩基性塩の例は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム二水和物若しくは炭酸グアニジン、又はこれらの組合せを含む。
【0133】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム)、酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム)又はリン酸塩(例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム又はリン酸三ナトリウム)又はこれらの組合せなどの、弱酸の水溶性塩を含む。
【0134】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、アルギニン、リシン、ヒスチジン又はこれらの組合せなどの、塩基性アミノ酸を含む。ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、オイドラギットE100、オイドラギットE12、オイドラギットE5、オイドラギットE PO又はこれらの組合せなどのポリ(メタ)アクリレートポリマーなどの、塩基性ポリマーを含む。
【0135】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、アルカリ金属塩又はこれらの組合せを含む。例示的なアルカリ金属塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム又はリン酸ナトリウムを含む。
【0136】
ある種の実施形態において、アルカリ金属塩は、ゲル形成を低減又は防止する微小環境をもたらすのに十分な量で存在する。ある種の実施形態において、アルカリ金属塩は、水性媒体において、錠剤から、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進する微小環境をもたらすのに十分な量で存在する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の放出、又は医薬組成物の崩壊が、小腸において起こるような、放出プロファイルを有する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の放出、又は医薬組成物の崩壊が、幽門括約筋(pyloric sphynctor)から遠位部において起こるような、放出プロファイルを有する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の放出、又は医薬組成物の崩壊が、十二指腸球部から遠位部において起こるような、放出プロファイルを有する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の放出、又は医薬組成物の崩壊が、十二指腸中部(midduodenum)から遠位において起こるような、放出プロファイルを有する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の放出、又は医薬組成物の崩壊が、十二指腸空腸結合部から遠位部において起こるような、放出プロファイルを有する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の放出、又は医薬組成物の崩壊が、近位空腸から遠位部において起こるような、放出プロファイルを有する。
【0137】
一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A若しくは薬学的に許容されるその塩の放出、又は医薬組成物の崩壊が、pHが化合物Aの実質的なゲル化を回避するのに十分に高い領域において起こるような、放出プロファイルを有する。
【0138】
一部の実施形態において、本医薬組成物は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定すると、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約30分間で放出するなど、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約45分で放出する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、900mLの塩酸中、pH1.2、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用すると、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約30分間で放出するなど、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約45分で放出する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定すると、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約30分間で放出するなど、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約45分で放出し、900mLの塩酸中、pH1.2、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用すると、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約30分間で放出するなど、少なくとも約80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を約45分で放出する。一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出のための微小環境をもたらし、この放出は、pHに依存しない。分析面での終了は、紫外線(UV)検出を伴う高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムによるものであってもよい。
【0139】
一部の実施形態において、本医薬組成物は、胃腸管において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の微小環境のpHをモジュレートするのに有効な量の抗ゲル化剤をさらに含む。一部の実施形態において、錠剤からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進する微小環境は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の低い側のpKaと化合物A又は薬学的に許容されるその塩の高い側のpKaとの間のpHを含む。それらの値は、当分野において公知の方法を使用して、当業者によって経験的に決定され得る。ある種の実施形態において、錠剤からの化合物A又は薬学的に許容されるその塩の放出を促進する微小環境は、約4.0~約8.0などの約3.5~約8.0のpHを含む。
【0140】
ある種の実施形態において、抗ゲル化剤は、炭酸ナトリウム一水和物又は無水炭酸ナトリウムなどの炭酸ナトリウムである。
【0141】
ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、本医薬組成物の約3重量%~約60重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、本医薬組成物の約3重量%~約50重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、本医薬組成物の約5重量%~約35重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、本医薬組成物の約10重量%~約25重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、本医薬組成物の約15重量%~約20重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。
【0142】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、フィルムコーティング錠剤である。一部のこのような実施形態において、炭酸ナトリウムは、非コーティング錠剤の約3重量%~約60重量%、代替として、約3重量%~約50重量%、代替として、約5重量%~約35重量%、代替として、約10重量%~約25重量%、代替として、約15重量%~約20重量%の量で存在する。一部のこのような実施形態において、炭酸ナトリウムは、コーティング錠剤の約3重量%~約60重量%、代替として、約3重量%~約50重量%、代替として、約5重量%~約35重量%、代替として、約10重量%~約25重量%、代替として、約15重量%~約20重量%の量で存在する。
【0143】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約20:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約10:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約6:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約0.5:1~約4:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は約1:1~約3:1である。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の抗ゲル化剤に対する重量比は、約2:1である。
【0144】
ある種の実施形態において、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムの炭酸ナトリウム一水和物に対する重量比は、約0.5:1~約4:1である。ある種の実施形態において、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムの炭酸ナトリウム一水和物に対する重量比は、約1:1~約3:1である。ある種の実施形態において、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムの炭酸ナトリウム一水和物に対する重量比は、約2:1である。
【0145】
本明細書において使用する場合、及び炭酸ナトリウムの特定の水和物(又は無水)形態を具体的に参照しない場合、いずれの量も、ミリグラム若しくは重量百分率で、又は別の成分との比として表されているかどうかに関わらず、炭酸ナトリウム一水和物の量を指すと見なされるべきである。
【0146】
経口固形剤形を介して投与される放出プロファイル薬物は、全身性吸収が起こり得る前に、インビボにおいて溶解すべきである。薬物の物理化学特性を含めた、薬物溶解に影響を及ぼす、いくつかの因子が存在する。BCSクラスII(低溶解度及び高透過性)などの水溶性に乏しい薬物は、多くの場合、乏しい溶解及び生体利用率を示すことが多い。BCSクラスIII(高溶解度及び低透過性)などの水溶性の高い薬物でさえも、乏しい溶解及び生体利用率を示すことがある。不完全な溶解は、非常に様々な患者間及び患者内生体利用率をもたらすことがある。化合物Aが、BCSクラスIII薬物であることが、本出願において判明した。化合物Aの一ナトリウム塩は、特に、適切な抗ゲル化剤の非存在下で約10重量%を超える量で存在する場合、固形剤形で経口投与されると、ゲルを形成する傾向を有するということが、本出願においてやはり判明した。したがって、薬物溶解を促進する経口固形剤形を提供することが望ましい。
【0147】
ある種の実施形態において、溶解は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを利用して評価される。ある種の実施形態において、溶解は、900mLの塩酸中、pH1.2、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを利用して評価される。分析面での終了は、紫外線(UV)検出を伴う高速液体クロマトグラフィー(HPLC)システムによるものであってもよい。
【0148】
本明細書に記載されている固形経口剤形は、通常、錠剤、特に、即時放出錠剤の形態にある。ある種の実施形態において、即時放出錠剤は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定すると、少なくとも80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を30分間で放出する(AbbVieの内部規格)。ある種の実施形態において、即時放出錠剤は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して測定すると、少なくとも80%の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を45分間で放出する(FDA)。
【0149】
(3)安定性 少なくとも1つの態様において、本明細書に開示されている医薬組成物は、例えば、保管、流通及び製品寿命(例えば、室温/周囲条件において、最大2年間)の期間の間、安定である。安定な医薬組成物は、例えば、APIの分解をそれほど示さないことがある、及び/又は一層少ない量の分解生成物しか示さないことがある。薬物及び/又は薬物製品の保管の間に生じる分解生成物は、望ましいものではなく、極端な場合、このような薬物製品により治療されている患者に有害なことさえあり得る。したがって、分解生成物、特に可能性として、薬物製品中の有害な不純物の形成を制御することが望ましい。
【0150】
医薬組成物、特に固形経口剤形、より詳細には錠剤のアッセイ及び分解生成物の決定は、UV検出を伴うHPLCを使用して行われ得る。
【0151】
医薬組成物は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも1か月、少なくとも2か月、少なくとも3か月、少なくとも6か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月又は少なくとも24か月の間、保管した後の分解生成物に関して評価され得る。特に、分解生成物は、1、3、6、9、12、18、24、36及び/又は48か月間の時間間隔時に評価され得る。保管条件は、長期、中期又は加速条件とすることができる。特に、保管条件は、例えば、25℃±2℃/40%相対湿度(RH)±5%RH、25℃±2℃/60%RH±5%RH、30℃±2℃/35%RH±5%RH、30℃±2℃/65%RH±5%RH、40℃±2℃/25%RH±5%RH、40℃±2℃/75%RH±5%RH、50℃±2℃/75%RH±5%RH、60℃±2℃/5%RH±5%RH、60℃±2℃/40%RH±5%RH、70℃±2℃/5%RH±5%RH、70℃±2℃/75%RH±5%RH及び/又は80℃±2℃/40%RH±5%RHとすることができる。
【0152】
化合物Aの例示的な分解生成物の1つは、(R)-5-(2-フルオロ-3-メトキシフェニル)-1-(2-フルオロ-6-(トリフルオロメチル)ベンジル)-6-メチル-3-(2-(2-オキソピロリジン-1-イル)-2-フェニルエチル)ピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン(化合物B)であり、これは、以下の構造:
【0153】
【0154】
化合物Bの形成は、ある種の製剤において適切に制御されていないことが本出願において特定された。例えば、65℃/75%RHにおいて1週間、保管された炭酸ナトリウム一水和物を含まない製剤において、化合物Bは、1%を超えて存在した。したがって、ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムが、分解を低減するため、及び/又はゲル形成を低減若しくは防止するための安定化剤として、医薬組成物中に含まれる。
【0155】
ある種の実施形態において、炭酸ナトリウムは、医薬組成物の約15重量%~約20重量%などの、約10重量%~約25重量%の量で存在する。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の炭酸ナトリウムに対する重量比は、約2:1(薬物:炭酸ナトリウム)などの、約1:1~約4:1である。
【0156】
ある種の実施形態において、化合物Bは、25℃及び60%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約1.0重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物Bは、25℃及び60%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約0.7重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物Bは、25℃及び60%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約0.5重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物Bは、25℃及び60%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約0.03重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。
【0157】
一態様において、本開示は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む安定な医薬組成物を提供する。安定な医薬組成物は、例えば、少なくとも1週間及び/又は少なくとも1か月間、少なくとも3か月、少なくとも6か月、少なくとも9か月、少なくとも12か月、少なくとも18か月若しくは少なくとも24か月間、保管した後に、1%未満の化合物Bを含有し得る。
【0158】
ある種の実施形態において、化合物Bは、40℃及び75%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約1.0重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物Bは、40℃及び75%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約0.7重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物Bは、40℃及び75%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約0.5重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、化合物Bは、40℃及び75%の相対湿度において、少なくとも1週間、少なくとも1か月間、少なくとも2か月間、少なくとも6か月間、少なくとも12か月間、少なくとも18か月間又は少なくとも24か月間、保管した後に、約0.03重量%未満の量で本医薬組成物中に存在する。
【0159】
薬物動態:本明細書に記載されている固形経口剤形は、通常、錠剤の形態にある。特定の薬物動態パラメーターを有する錠剤の提供は、本発明によってもたらされる特定の利点である。薬物動態パラメーターとは、Tmax、Cmax及びAUCなどの任意の好適な薬物動態パラメーターを指す。パラメーターは、FDA、EMA、MHLW又はWHOなどの医薬品規制局に許容可能となると思われる、基準及び慣例に従って測定されるべきである。これらの値は、服用後、1時間毎などの錠剤の服用時間の後の適切な間隔において、又は2、4、6、8、10、12、16及び24時間などの、徐々に間隔を設けたサンプリング間隔において行われる測定値に基づくことができる。薬物動態パラメーターは、単回用量後などの、薬物の単回用量後、又は定常状態のどちらかにおいて評価され得る。ある種の実施形態において、薬物動態パラメーターは、医薬組成物の単回用量後に決定される。ある種の実施形態において、薬物動態パラメーターは、複数の投与レジメンにおいて決定される。例えば、薬物動態パラメーターは、いくつかの投与間隔後、例えば、定常状態において決定され得る。薬物動態パラメーターは、絶食状態下などの絶食状態又は食事摂取条件下において評価され得る。
【0160】
Cmaxとは、ピーク濃度、特に、薬物の観察された血漿/血清中濃度の最大値を指す。Tmaxは、ピーク濃度に到達するまでの時間を指す。AUCtは、血漿中濃度-時間曲線下面積を指し、この場合、tは、その検討における、最後の測定可能な血漿中濃度の時間である。AUC∞は、単回投与後の時間0から無限までの血漿中濃度-時間曲線下面積を指す。
【0161】
ある種の実施形態において、固形経口剤形(特に、錠剤)は、本明細書に記載されている通りに提供され、この場合、剤形は、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約3時間未満の平均Tmaxをもたらす。ある種の実施形態において、固形経口剤形(特に、錠剤)は、本明細書に記載されている通りに提供され、この場合、剤形は、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約0.5時間~約2.0時間の平均Tmaxをもたらす。一部のこのような実施形態において、固形経口剤形は、絶食条件下において投与される。
【0162】
ある種の実施形態において、固形経口剤形(特に、錠剤)は、本明細書に記載されている通りに提供され、この場合、投与量は、約150mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムを含み、この場合、この剤形は、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約400(510の約80%)ng/mL~約660(523の約125%)ng/mLの平均Cmax、約1000(1263の約80%)ng・時/mL~約1600(1273の約125%)ng・時/mLの平均AUCt、及び/又は約1010(1271の約80%)ng・時/mL~約1610(1281の約125%)ng・時/mLの平均AUC∞をもたらす。一部のこのような実施形態において、固形経口剤形は、絶食条件下において投与される。
【0163】
ある種の実施形態において、固形経口剤形(特に、錠剤)は、本明細書に記載されている通りに提供され、この場合、投与量は、約200mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムを含み、この場合、剤形は、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約590(738の約80%)ng/mL~約930(738の約125%)ng/mLなどの約590(738の約80%)ng/mL~約1100(879の約125%)ng/mLの平均Cmax、約1520(1910の約80%)ng・時/mL~約2390(1910の約125%)ng・時/mLなどの約1510(1890の約80%)ng・時/mL~約2980(2384の約125%)ng・時/mLの平均AUCt、及び/又は約1530(1920の約80%)ng・時/mL~約2400(1920の約125%)ng・時/mLなどの約1520(1900の約80%)ng・時/mL~約2990(2391の約125%)ng・時/mLの平均AUC∞をもたらす。一部のこのような実施形態において、固形経口剤形は、絶食条件下において投与される。
【0164】
ある種の実施形態において、固形経口剤形(特に、錠剤)は、本明細書に記載されている通りに提供され、この場合、投与量は、約300mgの化合物Aに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウムを含み、この場合、この剤形は、ヒト対象の集団に単回用量として投与されると、ヒト対象の集団に、約1100(1378の約80%)ng/mL~約1730(1378の約125%)ng/mLの平均Cmax、約2990(3732の約80%)ng・時/mL~約4670(3732の約125%)ng・時/mLの平均AUCt、及び/又は約3020(3772の約80%)ng・時/mL~約4720(3772の約125%)ng・時/mLの平均AUC∞をもたらす。一部のこのような実施形態において、固形経口剤形は、絶食条件下において投与される。
【0165】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている固形経口剤形(特に、錠剤)であって、ヒト対象の集団における、化合物A又は薬学的に許容されるその塩に関する対数変換Cmax、対数変換AUCt及び/又は対数変換AUC∞の90%信頼区間が、それぞれ、参照錠剤の対数変換Cmax、対数変換AUCt及び/又は対数変換AUC∞の80~125%の範囲内に完全に収まり、参照錠剤が、化合物Aの約150mgに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、約150mgのマンニトール;約44mgのアルファ化デンプン;約14mgのポビドン;約78mgの炭酸ナトリウム一水和物;約8mgのステアリン酸マグネシウム;及びポリビニルアルコールからなるフィルムコーティング剤;二酸化チタン;ポリエチレングリコール;タルク、並びに非常に淡いカルミン(Opadry(登録商標)II Pinkなど)を含む、固形経口剤形が提供される。
【0166】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている固形経口剤形(特に、錠剤)であって、ヒト対象の集団における、化合物A又は薬学的に許容されるその塩に関する対数変換Cmax、対数変換AUCt及び/又は対数変換AUC∞の90%信頼区間が、それぞれ、参照錠剤の対数変換Cmax、対数変換AUCt及び/又は対数変換AUC∞の80~125%の範囲内に完全に収まり、参照錠剤が、化合物Aの約200mgに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、約200mgのマンニトール;約59mgのアルファ化デンプン;約18mgのポビドン;約104mgの炭酸ナトリウム一水和物;約11mgのステアリン酸マグネシウム;及びポリビニルアルコールからなるフィルムコーティング剤;二酸化チタン;ポリエチレングリコール;タルク、並びに酸化鉄レッド(Opadry(登録商標)II Salmonなど)を含む、固形経口剤形が提供される。
【0167】
一部の実施形態において、本明細書に記載されている固形経口剤形(特に、錠剤)であって、ヒト対象の集団における、化合物A又は薬学的に許容されるその塩に関する対数変換Cmax、対数変換AUCt及び/又は対数変換AUC∞の90%信頼区間が、それぞれ、参照錠剤の対数変換Cmax、対数変換AUCt及び/又は対数変換AUC∞の80~125%の範囲内に完全に収まり、参照錠剤が、化合物Aの約300mgに等価な量の4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)ブタン酸ナトリウム、マンニトール;アルファ化デンプン;ポビドン;炭酸ナトリウム一水和物;ステアリン酸マグネシウム;及びフィルムコーティング剤を含む、固形経口剤形が提供される。
【0168】
(5) ホルモン抑制 一部の実施形態において、本医薬組成物は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む錠剤であって、同量の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を有する経口溶液製剤と等しい又はこれより高いレベルにおいて生体利用率又は曝露を有する錠剤である。
【0169】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物の投与は、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者における、黄体形成ホルモン(LH)及び/又は卵胞刺激ホルモン(FSH)のレベルの迅速な抑制をもたらす。ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物の投与は、子宮内膜症、子宮筋腫、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)又は腺筋症を有する女性患者における、エストラジオールレベルの、部分的から、実質的に完全な、抑制をもたらす。一部のこのような実施形態において、エストラジオールのレベルは、約50pg/mL未満である。一部のこのような実施形態において、エストラジオールのレベルは、約20pg/mL~約50pg/mLの間である。一部のこのような実施形態において、エストラジオールのレベルは、約20pg/mL未満である。一部のこのような実施形態において、エストラジオールのレベルは、約12pg/mL未満(例えば、定量の最低限度未満)である。
【0170】
(6) 追加の賦形剤 本医薬組成物は、充填剤、結合剤、崩壊剤、流動促進剤及び滑沢剤として機能する賦形剤(excipent)などの他の賦形剤を含んでもよい。したがって、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、1種以上の慣用的な薬学的に許容される賦形剤を任意選択的にさらに含む。
【0171】
(6a) 充填剤 ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、充填剤として機能する少なくとも1種の賦形剤を含む。充填剤は、デキストロース、イソマルト、マンニトール、ソルビトール、ラクトース及びスクロースなどのポリオール;天然若しくはアルファ化ポテトデンプン又はトウモロコシデンプン;微結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標));又はこれらの組合せを含むことができる。好適な充填剤の例は、噴霧乾燥マンニトール(例えば、Pearlitol(登録商標)100SD、Pearlitol(登録商標)200SD)などのマンニトール、Starch1500(登録商標)などのアルファ化デンプン、Avicel(登録商標)などの微結晶セルロース、Foremost(登録商標)316 Fast Flo(登録商標)などのラクトース一水和物、galenIQ(商標)720などのイソマルツロース誘導体の混合物、及び他の好適な充填剤、並びにこれらの組合せを含むことができる。
【0172】
ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、少なくとも1種の水溶性充填剤を含む。一部のこのような実施形態において、水溶性充填剤は、マンニトール、ソルビトール、ラクトース又はスクロースなどのポリオール;アルファ化デンプン;又はこれらの組合せである。一部のこのような実施形態において、水溶性充填剤は、マンニトールである。一部のこのような実施形態において、水溶性充填剤は、マンニトール及びアルファ化デンプンである。ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、少なくとも1種の水不溶性充填剤を含む。一部のこのような実施形態において、水不溶性充填剤は、デンプン、微結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標))又はリン酸カルシウムである。一部のこのような実施形態において、開示されている医薬組成物は、水不溶性充填剤、及びラウリル硫酸ナトリウム(SLS)などの界面活性剤を含む。
【0173】
ある種の実施形態において、充填剤は、本医薬組成物の約5重量%~約70重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、充填剤は、本医薬組成物の約10重量%~約60重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、充填剤は、本医薬組成物の約20重量%~約50重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、充填剤は、本医薬組成物の約30重量%~約45重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。
【0174】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、医薬組成物の約20重量%~約50重量%の量の第1の充填剤、及び約1重量%~約20重量%の量の第2の充填剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、医薬組成物の約25重量%~約40重量%の量の第1の充填剤、及び約5重量%~約15重量%の量の第2の充填剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、医薬組成物の約30重量%~約35重量%の量の第1の充填剤、及び約8重量%~約12重量%の量の第2の充填剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、医薬組成物の約33重量%の量の第1の充填剤、及び約10重量%の量の第2の充填剤を含む。ある種の実施形態において、第1の充填剤は、マンニトールであり、第2の充填剤は、アルファ化デンプンである。
【0175】
(6b) 結合剤 ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、充填剤として機能する少なくとも1種の賦形剤を含む。結合剤は、ポリビニルピロリドン(例えば、ポビドン)、ビニルピロリドン及び酢酸ビニルからなるコポリマー(例えば、コポビドン)、ヒドロキシメチルプロピルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース又は微結晶セルロースなどのセルロース、スクロース、デンプン及びこれらの組合せを含むことができる。ある種の実施形態において、結合剤は、親水性ポリマーである。親水性ポリマーは、N-ビニルラクタム、セルロースエステル、セルロースエーテル、ポリアルキレングリコール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルポリマー、オリゴ糖、多糖又はこれらの組合せからなるコポリマーから選択されてもよい。一部のこのような実施形態において、結合剤は、ポリビニルピロリドンである。
【0176】
ある種の実施形態において、結合剤は、本医薬組成物の約0.1重量%~約20重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、結合剤は、本医薬組成物の約1重量%~約10重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、結合剤は、本医薬組成物の約2重量%~約5重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約3重量%の結合剤を含む。ある種の実施形態において、結合剤はポリビニルピロリドンである。
【0177】
(6c) 流動促進剤 ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、流動促進剤として機能する少なくとも1種の賦形剤を含む。流動促進剤は、例えば、高度に分散したシリカ(Aerosil(登録商標))を含めた、コロイド状二酸化ケイ素、又は動物性若しくは植物性脂肪又はワックスなどの任意の他の好適な流動促進剤を含むことができる。
【0178】
ある種の実施形態において、流動促進剤は、本医薬組成物の約0.1重量%~約5重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、流動促進剤は、本医薬組成物の約0.3重量%~約2重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、流動促進剤は、本医薬組成物の約0.3重量%~約1.2重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約0.5重量%の流動促進剤を含む。ある種の実施形態において、流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素である。
【0179】
ある種の実施形態において、流動促進剤は、医薬組成物の粒内部分に含まれている。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.1重量%~約5重量%(w/w)の量で流動促進剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約3重量%(w/w)の量で流動促進剤を含む。
【0180】
ある種の実施形態において、流動促進剤は、医薬組成物の粒外部分に含まれている。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.1重量%~約5重量%(w/w)の量の流動促進剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約3重量%(w/w)の量の流動促進剤を含む。
【0181】
ある種の実施形態において、流動促進剤は、本医薬組成物の粒内部分及び粒外部分の両方に含まれている。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.1重量%~約5重量%(w/w)の量の流動促進剤を含み、本医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.1重量%~約5重量%(w/w)の量の流動促進剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約3重量%(w/w)の量の流動促進剤を含み、本医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約3重量%(w/w)の量の流動促進剤を含む。
【0182】
(6c) 滑沢剤 ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、滑沢剤として機能する少なくとも1種の賦形剤を含む。滑沢剤は、例えば、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、又は他の好適な滑沢剤を含むことができる。
【0183】
ある種の実施形態において、滑沢剤は、本医薬組成物の約0.1重量%~約10重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、滑沢剤は、本医薬組成物の約0.5重量%~約5重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、滑沢剤は、本医薬組成物の約1重量%~約3重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。ある種の実施形態において、本医薬組成物は、約1.9重量%の滑沢剤を含む。ある種の実施形態において、滑沢剤は、ステアリン酸マグネシウムである。
【0184】
ある種の実施形態において、滑沢剤は、医薬組成物の粒内部分に含まれている。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約5重量%(w/w)の量の滑沢剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約1重量%~約3重量%(w/w)の量の滑沢剤を含む。
【0185】
ある種の実施形態において、滑沢剤は、医薬組成物の粒外部分に含まれている。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約5重量%(w/w)の量の滑沢剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約1重量%~約3重量%(w/w)の量の滑沢剤を含む。ある種の実施形態において、ステアリン酸マグネシウムは、滑沢剤として使用され、ステアリン酸マグネシウムは、粒外部分に存在する。
【0186】
ある種の実施形態において、滑沢剤は、医薬組成物の粒内部分及び粒外部分に含まれている。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約5重量%(w/w)の量の滑沢剤を含み、医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.5重量%~約5重量%(w/w)の量の滑沢剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約1重量%~約3重量%(w/w)の量の滑沢剤を含み、医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約1重量%~約3重量%(w/w)の量の滑沢剤を含む。ある種の実施形態において、本医薬組成物の粒内部分は、全医薬組成物の重量に対して、約0.9重量%(w/w)の量の滑沢剤を含み、医薬組成物の粒外部分は、全医薬組成物の重量に対して、約1重量%(w/w)の量の滑沢剤を含む。ある種の実施形態において、ステアリン酸マグネシウムは、粒内に添加された約0.9%、及び粒外に添加された約1%を含む、製剤の約1.9%重量/重量のレベルで滑沢剤として使用される。
【0187】
(6d) 崩壊剤 ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、崩壊剤として機能する少なくとも1種の賦形剤を含む。崩壊剤は、例えば、デンプングリコール酸ナトリウム(例えば、Explotab)、クロスポビドンとしても知られている架橋修飾デンプン、架橋ポリビニルピロリドンなどの架橋ポリマー、並びにクロスカルメロースとしても知られている架橋カルボキシメチルセルロースを含むことができる。ある種の実施形態において、崩壊剤は、本医薬組成物の約0.1重量%~約20重量%(w/w)の量で医薬組成物中に存在する。
【0188】
(7) フィルムコーティング剤 ある種の実施形態において、本医薬組成物は錠剤であり、これは、フィルムコーティングなどの任意の好適なコーティング剤によりコーティングされ得る。フィルムコーティング剤は、例えば、錠剤がのみ込まれ得るのに容易にとなるよう寄与するために使用され得る。フィルムコーティングはまた、味覚を改善し、洗練された外観をもたらすために使用されてもよい。フィルムコーティング剤は、Opadry(登録商標)II及びKollicoat(登録商標)IRなどの、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールグラフトコポリマーを含むことができる。フィルムコーティング剤はまた、抗付着剤としてタルクを含んでもよい。フィルムコーティング剤は、錠剤の重量の約5重量%未満を占め得る。
【0189】
少なくとも1つの態様において、本開示は、薬理学的に有効かつ身体上許容可能な、単一の安定な固形経口剤形の化合物A又は薬学的に許容されるその塩を提供することを対象とする。本明細書において開示されている固形経口剤形は、ヒト対象における医薬品使用が意図されている。したがって、上記の固形経口剤形は、治療的に有効であることに加えて、経口によるヒト投与に適切なサイズ及び重量となるべきである(例えば、これらは、約1.5g未満の総重量を有するべきである。)。哺乳動物によってこのような剤形の摂取を促進するため、剤形は、丸い形状又は長方形の形状などの適切な形状に成形されてもよい。
【0190】
(8) 例示的な製剤(表) 例えば、表1に説明されている通り、開示されている医薬組成物は、1種以上の充填剤、崩壊剤、流動促進剤及び/又は滑沢剤を、活性剤及び抗ゲル化剤と組み合わせて含むことができる。
【0191】
表1中に参照されている化合物Aは、化合物Aのナトリウム塩であり、対応する重量パーセントは、その塩形態に基づいて提示されている。
【0192】
【0193】
aコーティング錠剤の重量に基づいて与えられる百分率は、四捨五入のために100%にならないことがある。
【0194】
以下の表中に参照されている化合物A又は薬学的に許容されるその塩の量(mg)は、化合物Aの遊離形態の量(mg)を指す(すなわち、薬学的に許容される塩の場合、遊離形態に等価な重量である。)。
【0195】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、以下を含む:
【0196】
【0197】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、以下を含む:
【0198】
【0199】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、以下を含む:
【0200】
【0201】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、以下を含む:
【0202】
【0203】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、以下を含む:
【0204】
【0205】
ある種の実施形態において、本医薬組成物は、以下を含む:
【0206】
【0207】
D. 製造方法
開示された医薬組成物は、任意の好適な方法によって調製されてもよい。直接圧縮、流動層造粒、ローラー圧縮又は乾式造粒及び湿式造粒などの方法を使用して、化合物A又は薬学的に許容されるその塩は、抗ゲル化剤、並びに水溶性充填剤又は水不溶性充填剤、及び界面活性剤を含めた医薬組成物の任意の他の賦形剤と一緒にブレンドされ得る。
【0208】
ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、湿式造粒工程を使用し、この最終ブレンドを圧縮して錠剤にすることにより調製される。
【0209】
ある種の実施形態において、開示されている医薬組成物は、ローラー圧縮工程を使用して調製される。ローラー圧縮工程は、任意の好適なステップを含んでもよい。例えば、
図1に例示されている通り、ローラー圧縮は、活性剤と、ブレンドのためにサイズを整えた1種以上の粒内用賦形剤とをブレンドする、このブレンドをローラー圧縮器に供給して緩い粉末の密度を高めてリボンにする、得られたリボンをミル粉砕して顆粒にする、任意選択的に、この顆粒を滑沢剤などの粒外用賦形剤とブレンドする、この顆粒を圧縮して錠剤にする、及び任意選択的に、この錠剤をフィルムコーティング剤によりコーティングするなどのステップを含むことができる。
【0210】
本明細書に記載されているあらゆる方法、組成物又は使用は、「本医薬組成物が、マンニトール、炭酸ナトリウム一水和物、アルファ化デンプン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク及び非常に淡いカルミンと組み合わせて、化合物Aのナトリウム塩155.2mg(150mgの化合物Aと等価)を含む即時放出錠剤ではない場合」という限定を任意選択的に含む。
【0211】
本明細書に記載されているあらゆる方法、組成物又は使用はまた、「本医薬組成物が、マンニトール、炭酸ナトリウム一水和物、アルファ化デンプン、ポビドン、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルアルコール、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、タルク及び酸化鉄レッドと組み合わせて、化合物Aのナトリウム塩207.0mg(200mgの化合物Aと等価)を含む即時放出錠剤ではない」という限定を任意選択的に含む。
【0212】
一部の実施形態において、1種以上の薬学的に許容される担体は、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、湿潤剤、滑沢剤、流動促進剤、着色剤、色素-移動阻害剤、甘味剤及び着香剤から選択される。
【0213】
好適な結合剤又は造粒剤は、以下に限定されないが、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン及びアルファ化デンプン(例えば、STARCH1500)などのデンプン;ゼラチン;スクロース、グルコース、デキストロース、糖蜜及びラクトースなどの糖;アカシア、アルギン酸、アルギネート、アイリッシュモスの抽出物、パンワーガム(Panwar gum)、ガッチガム(ghatti gum)、イサブゴール外皮の粘液(imucilage of isabgol husks)、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、ビーガム、カラマツアラビノガラクタン(larch arabogalactan)、粉末トラガカント及びグアーガムなどの天然ガム及び合成ガム;エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース;AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103、AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corp.、Marcus Hook、PA)などの微結晶セルロース;及びこれらの混合物を含む。好適な充填剤は、以下に限定されないが、タルク、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、粉末セルロース、デクストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン及びこれらの混合物を含む。結合剤又は充填剤は、本明細書において提供される医薬組成物中に約50~約99重量%存在することができる。
【0214】
好適な希釈剤は、以下に限定されないが、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、ソルビトール、スクロース、イノシトール、セルロース、カオリン、マンニトール、塩化ナトリウム、乾燥デンプン及び粉末糖を含む。
【0215】
好適な崩壊剤は、以下に限定されないが、寒天;ベントナイト;メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロースなどのセルロース;木材生成物;天然スポンジ;陽イオン交換樹脂;アルギン酸;グアーガム及びビーガム(Vee gum)HVなどのガム;カンキツパルプ;クロスカロメロースなどの架橋セルロース;クロスポビドンなどの架橋ポリマー:架橋デンプン;炭酸カルシウム;デンプングリコール酸ナトリウムなどの微結晶セルロース;ポラクリリンカリウム;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプン及びアルファ化デンプンなどのデンプン;クレイ;アリグンス(aligns);及びこれらの混合物を含む。本明細書において提供される医薬組成物中の崩壊剤の量は、製剤のタイプに応じて様々であり、当業者に容易に認識可能である。本明細書において提供される医薬組成物は、約0.5~約15重量%又は約1~約5重量%の崩壊剤を含有することができる。
【0216】
好適な滑沢剤は、以下に限定されないが、ステアリン酸カルシウム;ステアリン酸マグネシウム;鉱物油;軽質鉱物油;グリセリン;ソルビトール;マンニトール;ベヘン酸グリセリル及びポリエチレングリコール(PEG)などのグリコール;ステアリン酸;ラウリル硫酸ナトリウム;タルク;ピーナッツ油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油及びダイズ油を含めた水素化植物油;ステアリン酸亜鉛;オレイン酸エチル;ラウリン酸エチル;寒天;デンプン;石松子;AEROSIL(登録商標)200(W.R.Grace Co.、Baltimore、MD)及びCAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co.、Boston、MA)などのシリカ又はシリカゲル;及びこれらの混合物を含む。本明細書において提供される医薬組成物は、約0.1~約5重量%の滑沢剤を含有することができる。好適な流動促進剤は、コロイド状二酸化ケイ素、CAB-0-SIL(登録商標)(Cabot Co.Boston、MA)及びアスベスト不含タルクを含む。着色剤は、承認、保証がされている水溶性FD&C色素及びアルミナ水和物上に懸濁されている水不溶性FD&C色素、並びにレーキ顔料、並びにこれらの混合物を含む。レーキ顔料は、重金属の水和酸化物に水溶性色素を吸着させることによる組合せ物であり、色素を不溶性形態にする。着香剤は、果実などの植物から抽出された天然の風味剤、並びにペパーミント及びサリチル酸メチルなどの心地よい味覚を生じる化合物の合成ブレンドを含む。甘味剤は、スクロース、ラクトース、マンニトール、糖蜜、グリセリン、並びにサッカリン及びアスパルテームなどの人工甘味剤を含む。好適な乳化剤は、ゼラチン、アカシア、トラガカント、ベントナイト、及びポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(TWEEN(登録商標)20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート80(TWEEN(登録商標)80)及びオレイン酸トリエタノールアミンなどの界面活性剤を含む。懸濁剤及び分散剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、トラガカント、ビーガム、アカシア、カルボメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドンを含む。保存剤は、グリセリン、メチルパラベン及びプロピルパラベン、安息香酸付加物(benzoic add)、安息香酸ナトリウム及びアルコールを含む。湿潤剤は、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ジエチレングリコール及びポリオキシエチレンラウリルエーテルを含む。溶媒は、グリセリン、ソルビトール、エチルアルコール及び糖蜜を含む。エマルションにおいて利用される非水性液体の例は、鉱物油及び綿実油を含む。有機酸は、クエン酸及び酒石酸を含む。二酸化炭素源は、炭酸水素ナトリウム及び炭酸ナトリウムを含む。
【0217】
本医薬組成物は、粉末状の結晶形態又は顆粒形態の活性成分から単独で、又は結合剤、崩壊剤、制御放出ポリマー、滑沢剤、希釈剤及び/若しくは着色剤を含めた、本明細書に記載されている1種以上の担体又は賦形剤と組み合わせて調製され得る。
【0218】
E. 使用方法
少なくとも1つの態様において、本発明は、患者に化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む、子宮内膜症を治療する方法を含む。ある種の実施形態において、子宮内膜症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約150mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日1回(「QD」)、投与される。ある種の実施形態において、子宮内膜症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約200mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日2回(「BID」)、投与される。ある種の実施形態において、子宮内膜症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約300mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日2回(「BID」)、投与される。ある種の実施形態において、子宮内膜症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約600mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日1回(QD)、投与される。
【0219】
少なくとも1つの態様において、本発明は、患者に化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む、子宮筋腫を治療する方法を含む。ある種の実施形態において、子宮筋腫を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約150mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、QDで投与される。ある種の実施形態において、子宮筋腫を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約200mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、BIDで投与される。ある種の実施形態において、子宮筋腫を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約300mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、BIDで投与される。ある種の実施形態において、子宮筋腫を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約600mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、QDで投与される。
【0220】
少なくとも1つの態様において、本発明は、患者に化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を投与するステップを含む、腺筋症を治療する方法を含む。ある種の実施形態において、腺筋症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約150mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日1回(「QD」)、投与される。ある種の実施形態において、腺筋症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約200mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日2回(「BID」)、投与される。ある種の実施形態において、腺筋症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約300mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日2回(「BID」)、投与される。ある種の実施形態において、腺筋症を治療する方法は、化合物A又は薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を約600mgの用量で投与することを含む。一部のこのような実施形態において、本組成物は、1日1回(「QD」)、投与される。
【0221】
ある種の実施形態において、上記の方法のいずれも、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の潜在的な副作用を低減又は軽減するよう、対象にホルモンを投与するステップをさらに含む。例えば、本方法は、エストロゲン、プロゲスチン又はこれらの組合せ物の投与を含むことができる。このような治療は、「アドバック」療法と一般に呼ばれる。エストロゲンは、エストラジオール、エチニルエストラジオール及びコンジュゲートされているエストロゲンからなる群から選択される。プロゲストーゲンは、プロゲステロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲスチマート、ドロスピレノン及びメドロキシプロゲステロンからなる群から選択される。
【0222】
一実施形態(emobidment)において、エストロゲンは、エストラジオールであり、プロゲストーゲンは、酢酸ノルエチンドロンである。
【0223】
一部のこのような実施形態において、アドバック療法は、プロゲスチンなどのプロゲストーゲンを含む。一部のこのような実施形態において、アドバック療法は、エストロゲンを含む。一部のこのような実施形態において、アドバック療法は、プロゲスチン及びエストロゲンを含む。
【0224】
エストロゲン及び/又はプロゲストーゲンは、経口的に、経皮的に又は膣内に投与され得る。アドバック療法に使用するための好適なプロゲストーゲンは、例えば、プロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲスチマート、ドロスピレノン及びメドロキシプロゲストーゲンを含む。アドバック療法に使用するための好適なエストロゲンは、例えば、エストラジオール、エチニルエストラジオール及びコンジュゲートされているエストロゲンを含む。エストロゲン及びプロゲストーゲンを含有する一緒にされた経口用製剤は、当分野で公知であり、例えば、Activella(登録商標)、Angeliq(登録商標)、FemHRT(登録商標)、Jenteli(商標)、Mimvey(商標)、Prefest(商標)、Premphase(登録商標)及びPrempro(登録商標)を含む。
【0225】
ある種の実施形態において、エストロゲンは、エストラジオール、エチニルエストラジオール又はコンジュゲートされているエストロゲンである。一部のこのような実施形態において、エストロゲンは、エストラジオールである。一部のこのような実施形態において、エストラジオールは、1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、エストラジオールの用量は0.5mgである。他のこのような実施形態において、エストラジオールの用量は1.0mgである。一部のこのような実施形態において、エストロゲンは、エチニルエストラジオールである。一部のこのような実施形態において、エチニルエストラジオールは、1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、エチニルエストラジオールの用量は2.5megである。他のこのような実施形態において、エチニルエストラジオールの用量は5.0megである。一部のこのような実施形態において、エストロゲンは、コンジュゲートされているエストロゲンである。一部のこのような実施形態において、コンジュゲートされているエストロゲンは、1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、コンジュゲートされているエストロゲンの用量は0.3mgである。他のこのような実施形態において、コンジュゲートされているエストロゲンの用量は、0.45mg又は0.625mgである。
【0226】
ある種の実施形態において、プロゲストーゲンは、プロゲステロン、ノルエチンドロン、酢酸ノルエチンドロン、ノルゲスチマート、メドロキシプロゲステロン又はドロスピレノンである。一部のこのような実施形態において、プロゲストーゲンは、経口プロゲステロンである。一部のこのような実施形態において、経口プロゲステロンは、周期的(28~30日間のサイクルの最後の12日間)に使用される。一部のこのような実施形態において、経口プロゲステロンの用量は、100mg又は200mgである。一部のこのような実施形態において、プロゲストーゲンは、ノルエチンドロン又は酢酸ノルエチンドロンである。一部のこのような実施形態において、ノルエチンドロン又は酢酸ノルエチンドロンは、1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、ノルエチンドロン又は酢酸ノルエチンドロンの用量は0.1mgである。一部のこのような実施形態において、ノルエチンドロン又は酢酸ノルエチンドロンの用量は0.5mgである。一部のこのような実施形態において、ノルエチンドロン又は酢酸ノルエチンドロンの用量は1.0mgである。一部のこのような実施形態において、プロゲストーゲンは、ノルゲスチマートである。一部のこのような実施形態において、ノルゲスチマートは、1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、ノルゲスチマートの用量は0.09mgである。一部のこのような実施形態において、プロゲストーゲンは、メドロキシプロゲステロンである。一部のこのような実施形態において、メドロキシプロゲステロンは、1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、メドロキシプロゲステロンの用量は1.5mgである。一部のこのような実施形態において、メドロキシプロゲステロンの用量は、2.5mg又は5mgである。一部のこのような実施形態において、プロゲストーゲンは、ドロスピレノンである。一部のこのような実施形態において、ドロスピレノンは、1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、ドロスピレノンの用量は、0.25mgである。一部のこのような実施形態において、ドロスピレノンの用量は、0.5mgである。
【0227】
ある種の実施形態において、アドバック療法は、酢酸ノルエチンドロンなどのノルエチステロンプロドラッグを含む。一部のこのような実施形態において、アドバック療法は、エストラジオールをさらに含む。したがって、一部のこのような実施形態において、アドバック療法は、エストラジオール及び酢酸ノルエチンドロンを含む。一部のこのような実施形態において、エストラジオール及び酢酸ノルエチンドロンは、経口により1日1回、投与される。一部のこのような実施形態において、エストラジオールは、1日あたり約0.5mgの量で投与され、酢酸ノルエチンドロンは、1日あたり約0.1mgの量で投与される。他のこのような実施形態において、エストラジオールは、1日あたり約1.0mgの量で投与され、酢酸ノルエチンドロンは、1日あたり約0.5mgの量で投与される。代替的に、ある種の実施形態において、エストラジオールは、連続的に投与され、酢酸ノルエチンドロンは、月経周期の最後の12~14日の間に、1日1回、投与される。
【0228】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩の用量は、1日2回、投与される。一部のこのような実施形態において、アドバック療法は、1日1回、投与される。化合物A又は薬学的に許容されるその塩の投与は、アドバック療法の実施前、その直前、その最中、その直後、又はその後であってもよい。
【0229】
ある種の実施形態において、ある用量の化合物A又は薬学的に許容されるその塩(例えば、300mg)は、エストロゲンとプロゲストーゲン(例えば、エストラジオール及び酢酸ノルエチンドロン)との組合せ物などの、アドバック療法と一緒に午前中に投与され、ある用量の化合物A又は薬学的に許容されるその塩(例えば、300mg)は、アドバック療法なしに、夕刻に投与される。
【0230】
ある種の実施形態において、化合物A又は薬学的に許容されるその塩は、アドバック療法と共パッケージされる。例えば、ブリスターパックは、ある用量分の化合物A又は薬学的に許容されるその塩、及びある用量分のアドバック療法を含有することができる。
【0231】
本明細書に記載されている医薬組成物、方法及び使用は、以下の例示的な実施形態及び実施例を参照することにより、一層良好に理解され、上記の例示的な実施形態及び実施例は、本発明の範囲の例示として含まれており、これを限定するものではない。
【0232】
F.
【実施例】
【0233】
以下の実施例は、製剤開発の間に直面したある種の難題を実証し、これらの難題を克服する製剤を記載する。
【0234】
[実施例1] 化合物A-ナトリウム塩によるゲル形成
水中の化合物Aの溶解度を推定するため、1.5mLの固定体積に様々な量の化合物Aのナトリウム塩を加え、37℃において平衡にした。溶液を化合物Aの濃度に関してアッセイした。
【0235】
表2は、この実験の生データ及び観察を一覧表示したものであり、
図2は、添加した固体の化合物Aの量の関数としての濃度を示している。
図2の点線は、添加した固体の重量及び水の体積に基づく理論濃度である。
図2に示される通り、化合物Aの濃度は、最大100mgの固体/1.5mLとなる単純計算に一致する。理論上の線からの濃度の逸脱は、多量の溶質の溶解時の体積膨張によるものである。これを超えると、濃度は、理論上の線から逸脱するが、溶液は、依然として濁りはなく、目視可能なゲル化は観察されなかった。500mgを超える化合物Aの固体を加えた場合、目視可能なゲル化が観察され、したがって、濃度を決定しなかった。
【0236】
【0237】
さらなる実験により、錠剤製剤中の化合物A又はその塩の割合が、10パーセントより高い場合(及び、適切な抗ゲル化剤の非存在下)、不完全な溶解が起こり、化合物Aは不溶性沈殿物として存在することが明らかになった。したがって、化合物Aのナトリウム塩の製剤は、最小限のゲル化が観察される約10%の薬物担持量において評価した。
【0238】
[実施例2] 抗ゲル化剤の非存在下におけるインビトロ放出
即時放出製剤は、抗ゲル化剤なしに調製した。ステアリン酸マグネシウムを除くすべての構成成分を、高せん断造粒器においてブレンドし、何も含まない脱イオン水を用いて造粒した。顆粒を40℃においてトレイ乾燥して、#20US標準ふるいに通し、ステアリン酸マグネシウムを塗布した。以下の表に参照されている化合物Aは、化合物Aのナトリウム塩である。
【0239】
抗ゲル化剤を含まない製剤の組成
【0240】
【0241】
pH1.2の媒体における、非コーティング錠剤に関する溶解プロファイルが、表3に示されている。
【0242】
【0243】
[実施例3] 抗ゲル化剤を有する製剤
表4は、開示した製剤の構成成分の追加的な非限定例、及び最終コーティング錠剤の重量百分率(w/w)を示している。以下の表中に参照されている化合物Aは、化合物Aのナトリウム塩であり、対応する量(mg/錠剤)及び重量百分率は、その塩形態に基づいて示されている。
【0244】
【0245】
3.1.調製
F1は、2段階造粒工程を使用して調製した。この製造工程のフロー図は、
図3に示されている。この工程において、結合剤、及び充填剤の一部は、単一ポットでの加工用ボウルに添加した。炭酸ナトリウム、残りの充填剤、化合物A及びコロイド状二酸化ケイ素は、IBCにおいてブレンドする。第1の造粒段階において、水を用いて、SPPボウル内の充填剤/結合剤ブレンドを造粒した。第2の造粒段階において、化合物AのブレンドをSPPボウルに加え、短時間、混合することにより造粒した。次に、真空及びスイングモードを使用し、SPPボウルにおいてこの造粒物を乾燥した。乾燥造粒物は、コミル(Comil)を使用してミル粉砕し、別のIBCに入れた。この顆粒に、滑沢剤であるステアリン酸マグネシウムを加えてブレンドした。この顆粒を150mgの用量強度となるよう、600mgの錠剤に圧縮した。
【0246】
製剤F2及びF3は、ブレンド、流動層造粒、ミル粉砕、錠剤化及び錠剤コーティングを使用して調製した。
【0247】
製剤F4~F11は、
図1に概ね示されている通り、ブレンド、ローラー圧縮及びミル粉砕、錠剤化、並びに錠剤コーティングを使用して調製した。製剤F4及びF5は、約35%の化合物Aを目標薬物担持量にして開発し、それぞれ、100mg及び150mgの用量強度となるよう、300mg及び450mgの非コーティング錠剤重量を得た。
【0248】
即時放出錠剤のサブセットは、腸溶コーティングによりコーティングし、遅延放出錠剤(F7DR)を得た(DR1)。錠剤は、オイドラギットL30 D-55、Plasacryl T20及びクエン酸トリエチルを含む腸溶コーティングによりコーティングした。この工程の間、通常のコーティングパラメーターを維持した。
【0249】
3.2. pH1.2の緩衝液における、製剤F1及びF5に関するインビトロ溶解プロファイル
25%の薬物担持量を有する、複数の回分の製剤を製造した。pH1.2の媒体における、F1錠剤に関する溶解プロファイルが、表5に示されている。
【0250】
【0251】
pH1.2の媒体における、F5錠剤に関する溶解プロファイルが、表6に示されている。
【0252】
【0253】
3.3. 最大24か月まで保管した後のインビトロ溶解プロファイル
製剤F5、F6及びF10は、900mLのリン酸ナトリウム中、pH6.8、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用して、溶解に関する試験を行った。製剤F5、F6及びF10はすべて、最初の試験時と最大24か月の保管時のどちらも、類似した溶解プロファイルを示した。18か月時及び24か月時の製剤F5錠剤の溶解プロファイルが、
図4に示されている。製剤F7錠剤の安定溶解プロファイルが、
図5に示されている。非コーティング製剤F10及びフィルムコーティング製剤F10の錠剤の溶解プロファイルが、
図6に示されている。
【0254】
3.4. 150mg、200mg及び300mgの投与量の場合の薬物動態プロファイル
3.4.1. F3及びF5(150mg)の薬物動態
絶食条件における、150mgの用量の2つのIR錠剤製剤(F3及びF5)の単回用量の生体利用率を探索するための検討を行った。薬物動態パラメーターが、表7に示されている。薬物動態パラメーターに関するデータは、平均値±SDとして示されている。
【0255】
【0256】
3.4.2. F4及びF7(200mg)の薬物動態
絶食条件における、製剤F7の1錠の200mg IR錠剤の単回用量分の相対生体利用率と、製剤F4の2錠の100mg IR錠剤の相対生体利用率とを比較する検討を行った。薬物動態アセスメントにより、最大濃度(Cmax)及び曲線下面積(AUC)に関して、製剤F7(200mg IR錠剤)は、製剤F4(2×100mg IR)と生物学的に等価であり、90%CIは、0.80~1.25の範囲に収まることが示された。薬物動態パラメーターが、表8に示されている。薬物動態パラメーターに関するデータは、平均値±SDとして示されている。
【0257】
【0258】
3.4.3. F4及びF10(200mg)の薬物動態
絶食条件における、製剤F10の1錠の200mg IR錠剤の単回用量分の生体利用率と、製剤F4の2錠の100mgのIR錠剤の生体利用率とを探索するさらなる検討を行った。薬物動態パラメーターが、表9に示されている。薬物動態パラメーターに関するデータは、平均値±SDとして示されている。
【0259】
【0260】
3.4.4. F5(300mg)の薬物動態
絶食条件における、製剤F5の2錠の150mg IR錠剤の単回用量分の生体利用率を探索する検討を行った。薬物動態パラメーターが、表10に示されている。薬物動態パラメーターに関するデータは、平均値±SDとして示されている。
【0261】
【0262】
3.4.5. F7及びF7DR(200mg)の薬物動態
F7とF7DRとのインビボにおける成績を比較するための臨床検討を行った。さらに、この検討は、F7DRの薬物動態に及ぼす高脂肪食の潜在的な影響を評価した。成人の閉経前の健康な女性対象に、絶食条件において、単回用量のF7DR、高脂肪食を摂取して30分後に単回用量のF7DR、又は絶食条件において、単回用量のF7を投与した。
【0263】
高脂肪食は、F7DR錠剤製剤の濃度を低下させた。食事条件に関わらず、F7DR錠剤製剤の場合、吸収の遅延が観察された。食物により、F7DRのCmax及びAUCが低下した。摂食条件において、吸収の遅延は一層、長かった。
【0264】
薬物動態パラメーターが、表11に示されている。Cmax及びAUCに関するデータは、平均値(%CV)として表されている。Tmaxに関するデータは、中央値(min-max)として表した。t1/2に関するデータは、調和平均(偽CV)として表す。
【0265】
【0266】
[実施例4] F4又はF5による治療後のエストラジオール濃度
中度から重度の子宮内膜症関連疼痛を有する閉経前女性において、さらなる検討を行った。この検討に登録された女性は、中度から重度の子宮内膜症関連疼痛を有する女性からなる一般集団の代表であった。検討項目における、対象の子宮内膜症関連疼痛を含めた、ベースライン特徴は、治療群にわたり同等であった。
【0267】
治療群は次の通りとした:(a)1錠のF5錠剤を1日1回(すなわち、150mgをQD)及び(b)2錠のF4錠剤を1日2回(すなわち、200mgをBID)。1か月毎の臨床訪問の間に血液試料を採集し、ホルモン濃度を測定した。北米における、151の施設にわたり800名を超える女性対象を、それぞれ、プラセボ、150mg QD又は200mg BIDに、3:2:2の比で、この検討に無作為化した。
【0268】
治療期間の間、プラセボに比べて、知慮群において、エストラジオールの用量依存的抑制が観察された。プラセボ群の場合、この1か月毎の訪問時におけるエストラジオールレベルの中央値は、70.0~91.6pg/mLの間であり、2%~4%の女性は、<20pg/mLのエストラジオール濃度を有した。150mg QD群の場合、この1か月毎の訪問時におけるエストラジオールレベルの中央値は、36.8~45.7pg/mLの間であり、15%~24%の女性は、<20pg/mLのエストラジオール濃度を有した。200mg BID群の場合、この1か月毎の訪問時におけるエストラジオールレベルの中央値は、定量の限界値(12.4pg/mL)にあり、71%~81%の女性は、<20pg/mLのエストラジオール濃度を有した。
【0269】
【0270】
[実施例5] F4又はF5による治療後のエストラジオール濃度
中度から重度の子宮内膜症関連疼痛を有する閉経前女性において、別の検討を行った。この検討に登録された女性は、中度から重度の子宮内膜症関連疼痛を有する女性からなる一般集団の代表であった。検討項目における、対象の子宮内膜症関連疼痛を含めた、ベースライン特徴は、治療群にわたり同等であった。
【0271】
治療群は次の通りとした:(a)1錠のF5錠剤を1日1回(すなわち、150mgをQD)及び(b)2錠のF4錠剤を1日2回(すなわち、200mgをBID)。1か月毎の臨床訪問の間に血液試料を採集し、ホルモン濃度を測定した。北米、南米、欧州、アフリカ及びオーストラリアにおける、187の施設にわたり800名を超える女性対象を、それぞれ、プラセボ、150mg QD又は200mg BIDに3:2:2の比で、この検討に無作為化した。
【0272】
治療期間の間、プラセボに比べて、治療群において、エストラジオールの用量依存的抑制が観察された。プラセボ群の場合、この1か月毎の訪問時におけるエストラジオールレベルの中央値は、70.7~105pg/mLの間であり、4%~6%の女性は、<20pg/mLのエストラジオール濃度を有した。150mg QDの用量の場合、この1か月毎の訪問時におけるエストラジオールレベルの中央値は、37.2~55.8pg/mLの間であり、14%~22%の女性は、<20pg/mLのエストラジオール濃度を有した。200mg BIDの用量の場合、この1か月毎の訪問時におけるエストラジオールレベルの中央値は、8.43~13.1pg/mLの間であり、62%~77%の女性は、<20pg/mLのエストラジオール濃度を有した。
【0273】
【0274】
[実施例6] 水不溶性充填剤及び界面活性剤の影響
炭酸ナトリウムを含有する即時放出製剤を調製した。ステアリン酸マグネシウムを除くすべての構成成分を、高せん断造粒器においてブレンドし、何も含まない脱イオン水を用いて造粒した。この顆粒を40℃においてトレイ乾燥して、#20US標準ふるいに通し、ステアリン酸マグネシウムを塗布した。以下の表14に参照されている化合物Aは、化合物Aのナトリウム塩である。
【0275】
【0276】
製剤F12Aは、ボトルにおいて、6.3gの製剤F12及び97.3mgのドデシル硫酸ナトリウム(1.5%w/w)を一緒にして、このボトルを手作業により回転してブレンドすることにより調製した。
【0277】
インビトロ溶解検討を行った。化合物Aの放出は、pH6.8の緩衝液900mL中、37℃及びパドル速度50rpmにおいて、米国薬局方装置IIを使用してモニタリングした。溶解結果を表15に示す。
【0278】
【0279】
[実施例7] 溶解時の炭酸ナトリウムの影響
溶解時の炭酸ナトリウム一水和物レベルの影響を試験した。炭酸ナトリウム一水和物の量は、溶解に及ぼす影響を検討するため、名目上のレベルの±20%分、変動させた。錠剤の全重量を維持するため、製剤中のマンニトールレベルを調整した。叩き工程を使用して錠剤を製造し、目的固形率0.88、硬度125Nにした。この回分に由来する錠剤の溶解プロファイルが、
図7に示されている。結果はすべて、t=30分において、提案されている溶解規格に合格した。これらの結果は、炭酸ナトリウム一水和物のレベルの±20%の変化は、溶解に影響を及ぼさないことを示している。
【0280】
[実施例8] 化合物Bを含む、分解生成物に及ぼす炭酸ナトリウムの影響
化合物Aの分解生成物の1つは、ラクタム部分を有する化合物Bである。このラクタム部分は、多数の技法を使用して決定することができる。一実施形態において、ラクタム部分は、275nmにおいて、紫外線(UV)検出を伴う逆相高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して決定する。HPLCシステムは、1.1mL/分の流速を用いるC8カラムからなる。カラム温度は、分析全体にわたり、50℃に維持する。移動相Aと移動相Bのどちらも、適用し、移動相Aは、水:トリエチルアミン:酢酸の比が100:0.1:0.06(v/v)を有するトリエチルアミン/酢酸緩衝溶液(pH5.3)であり、移動相Bは、アセトニトリルである。希釈液は、50:50(v/v)の比のトリエチルアミン/酢酸緩衝溶液及びアセトニトリルである。検出限界の標準品は、約0.06μgエラゴリクス遊離形態/mLの正確に既知の濃度を有する希釈液において調製する。ラクタム部分に関する典型的な相対保持時間(RRT)は、約1.48であり、正規化ファクター(NF)は、1.08である。
【0281】
賦形剤の適合性検討は、炭酸ナトリウムを含む又は含まない、賦形剤と化合物Aとの混合物を使用して行った。これらの結果が、
図8に示されている。すべての賦形剤により、炭酸ナトリウムの非存在下において、ラクタムがかなり多く形成されたことが示された。炭酸ナトリウムの存在下において、賦形剤は、ラクタム含有率がかなり低いことを示し、約0.03%の検出可能限界に非常に近かった。
【0282】
化合物Aと炭酸ナトリウム一水和物とが2:1、3:1及び4:1 w/wの比を使用する製剤を調製した。これらの製剤は、約35%の化合物A、炭酸ナトリウム一水和物、マンニトール、アルファ化デンプン、ポビドン及びステアリン酸マグネシウムを含有した。これらの錠剤をフィルムコーティングし、2~25日間の範囲の期間にわたり、50℃/75%RH、60℃/5%RH、60℃/40%RH、70℃/5%RH、70℃/75%RH、80℃/40%RHの加速安定性プロトコル条件において試験した。これらの結果が、
図9に示されている。化合物Aと炭酸ナトリウムとが3:1及び4:1 w/wの比を用いて調製した製剤は、ラクタム分解物が一層多量に存在したことを示した一方、2:1 w/wの比を有する製剤は、ラクタム分解物の形成は比較的少ないことを示した。
【0283】
製剤F5及びF7に関して、さらなる安定性試験を行った。錠剤を調製し、アルミニウムホイルを備える透明のブリスターパックに入れて、以下の条件:25℃/60%RH又は40℃/75%RHにおいて保管した。25℃/60%RHの条件の場合、0(最初)、1、3、6、9、12、18及び24か月時に、及び40℃/75%RHの条件の場合、0(最初)、1、3及び6か月時に、化合物Bを含めた、分解生成物の存在について錠剤を評価した。結果が表16に示されている。
【0284】
【0285】
[実施例9] 安定性及び溶解試験のための、様々なpH改変剤を含有するエラゴリクスナトリウム200mgの錠剤の調製
製剤
緩衝剤などの、様々なタイプ及び量のpH改変剤を含有するエラゴリクスナトリウム200mgの錠剤製剤を調製した。本検討に使用したpH改変剤が、表C1に示されている。製剤組成は、表C2に示されている。
【0286】
【0287】
【0288】
安定錠剤の調製
安定性検討用の200mgの丸形錠剤を、表(Tablet)C3に示されている目的錠剤重量を用いて直接ブレンド工程及び圧縮工程を使用して調製した。目標錠剤の固形分の割合は、すべての製剤に関して一定である。
【0289】
溶解錠剤の調製
溶解検討用の200mgの卵形状の錠剤を、ブレンド工程→叩き工程→ミル粉砕工程→圧縮工程を使用して調製した。製剤ブレンドを叩き、次に、ミル粉砕して1.0mmのふるいに通した。目標錠剤の固形分の割合は、すべての製剤に関して一定である。
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
図10は、pH1.2における、エラゴリクスナトリウム製剤1、2、8、10、11の溶解プロファイルを示している(100RPM及び37℃において、米国薬局方装置I)。
【0294】
[実施例A-1] 子宮筋腫及び非優勢腺筋症を有する女性の部分群における、エラゴリクスの有効性及び安全性
腺筋症は、子宮筋組織内部における、子宮膜の良性組織の成長というエストロゲン依存性疾患であり、重度の月経出血(HMB)及び月経困難を伴う。腺筋症は、子宮を正常に覆っている子宮内膜の組織が、内部から飛び出し、子宮の筋壁にまで成長している場合に起こる。場所の違う子宮内膜組織が、各月経周期の間、通常(肥厚化、破壊及び出血)通り、働き続ける。大きくなった子宮、及び疼痛のある重度の生理をもたらす恐れがある。症状は、子供を出産後、出産年齢の後半に始まることが最も多い。腺筋症の原因は、依然として不明であるが、この疾患は、通常、更年期を過ぎるとなくなる。腺筋症に起因する重度の不快感を経験する女性の場合、ある治療が一助となり得るが、子宮摘出が唯一の治療法である。時として、腺筋症は、無症候性である、兆候又は症状を引き起こさない、又は、唯一軽度の不快感がある。他の例において、腺筋症は、以下:重度の又は長く続く月経出血、月経中の重度の痙攣、又は鋭い刃物で刺すような骨盤痛(月経困難)、生理期間にわたり続く月経痙攣及び年齢を重ねるにつれて起こる悪化、性交中の疼痛、並びに月経期間に出る(pass)血栓を引き起こす恐れがある。
【0295】
UF及び腺筋症を有する女性の部分群における、エラゴリクスの有効性及び安全性の解析を行った。
【0296】
患者及び方法:HMB(≧80ml/月)及びUFを有する閉経前女性において、エラゴリクス(コホート1、300mgを1日2回[BID]及びコホート2、600mgを1日1回[QD])、エラゴリクスと0.5mgのエストラジオール(E2)/0.1mgの酢酸ノルエチンドロン(NETA)、及びエラゴリクスと1.0mgのE2/0.5mgのNETAの安全性及び有効性を評価する、6か月間の無作為化した、二重盲検のプラセボを対照とする2つのコホートの第2b相臨床試験を行った。この臨床試験において検討したエラゴリクスは、化合物Aのナトリウム塩を含んだ。
【0297】
対象はすべて、超音波を用いて評価し、サブセットは、MRIによってやはり自発的に評価を受けた。女性が、優勢状態(超音波/MRIにより、子宮筋層の>50%)として、びまん性又は部分性腺筋症の形跡を有した場合、この検討から除外した。ベースラインにおいて、非優勢腺筋症(超音波/MRI)であると確認された女性の部分群において、有効性及び安全性を事後評価した。月経による血液喪失(MBL)は、生理用品から定量した(アルカリヘマチン)。複合一次エンドポイントは、最後の28日間の治療におけるベースラインからの、HMB及び<80mLであるMBLの≧50%低下を有した女性の割合とした。有害事象(AE)を記録した。
【0298】
結果:この検討において治療した567名の女性のうち、86名の女性(15%;コホート1、n=32;コホート2、n=54)は、腺筋症であることが確認された(超音波及び/又はMRI)。確認された腺筋症を有する女性の大多数(72%)は黒人であり、87%が、ベースラインにおいて、≧25BMIを有した。治療の最後の28日間に、HMB及び<80mLの月経による血液喪失(MBL)がベースラインから≧50%の低下を有した、コホート1における女性の割合は、プラセボ(n=10)の場合、40%であり、エラゴリクス 300mg BID(n=5)の場合、80%であり、エラゴリクス 300mg BIDと0.5mg E2/0.1mg NETA(n=12)との場合、83%であり、エラゴリクス 300mg BIDと1.0mg E2/0.5mg NETA(n=5)との場合、100%であり、コホート2における女性の割合は、プラセボ(n=16)の場合、13%であり、エラゴリクス 600mg QD(n=13)の場合、92%であり、エラゴリクス 600mg QDと0.5mg E2/0.1mg NETA(n=14)との場合、93%であり、エラゴリクス 600mg QDと1.0mg E2/0.5mg NETA(n=9)との場合、89%であった。薬物検討に関連する又はこれに関連しない、少なくとも1つのAEは、コホート1において、プラセボ群(n=10)の90%、及びエラゴリクス治療群(n=22)の77%に報告があり、コホート2において、プラセボ群(n=16)の88%、及びエラゴリクス治療群(n=38)の67%に報告があった。
【0299】
[実施例A-2] 症候性腺筋症を有する女性におけるエラゴリクスの安全性及び有効性
症候性腺筋症を有する年齢が18~51歳の閉経前女性において、プラセボに比べ、E2/NETA(エストラジオール1mg/酢酸ノルエチンドロン 0.5mg QD)と組み合わせたエラゴリクス300mg BIDの安全性、有効性及び耐容性を臨床試験において評価する。
【0300】
アドバック治療と等価なエラゴリクス300mg BIDは、症候性腺筋症を有する女性において、重度の月経出血(HMB)及び骨盤痛を低減することが予期される。既に記載した通り、アドバック及びエラゴリクスの別の用量は、症候性腺筋症の治療にも使用することができる。
【0301】
エラゴリクスが効果的かつ安全であることを見出すことができた評価の様々な態様は、以下を含むことができる:
(a)6か月時において、月経による血液喪失(MBL)がベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下。
【0302】
(b)3か月時における、骨盤痛の臨床的に有意な低下(ベースラインからの>30%の低下として定義)。このアセスメントは、同様に、鎮痛剤などの他の共投薬を考慮に入れる。
【0303】
(c)3か月時において、MBLがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(d)12か月時において、MLBがベースラインから>50%の低下を伴う、重度の月経出血の<80ml/月への低下、
(e)6か月時における、骨盤痛のベースラインからの臨床的に有意な低下(>30%の低下として定義)。このアセスメントは、同様に、鎮痛剤などの他の共投薬を考慮に入れる。
【0304】
(f)プラセボに比べた、ベースラインからのMBL体積平均変化、
(g)無月経+/-点状出血により定義される出血の抑制、
(h)月経期の全体にわたって続く月経痙攣の抑制、
(i)性交の間の疼痛の低減、又は
(j)月経期中に出る血栓の低下。
【0305】
安全性評価は、身体検査、バイタルサイン、子宮内膜のアセスメント(子宮内膜の厚み及び生検)、骨盤の超音波[TAU(経腹超音波)/TVU(経膣超音波)]、臨床検査室検査及び有害事象のモニタリングを含むことができる。
【0306】
[実施例A-3] 子宮内膜症に関連する状態における、エラゴリクスの安全性及び有効性
(I)エラゴリクスは、脳下垂体におけるGnRH受容体に競合的に結合することによって内因性GnRHシグナル伝達を遮断する、経口的に投与される短期作用型の選択的非ペプチド低分子GnRH受容体アンタゴニストである。エラゴリクスの投与は、黄体形成ホルモン(LH)及び卵胞刺激ホルモン(FSH)レベルの用量依存的抑制をもたらし、卵巣の性ホルモンである、エストラジオール及びプロゲステロンの血中レベルの低下をもたらす。LH及びFSH抑制は、投与時間内に始まり、エラゴリクスの中止時に容易に反転可能である。
【0307】
(a)薬力学:排卵及びエストラジオールに及ぼす影響
健常な女性における3回の月経周期の検討経過の間に、エラゴリクス150mg QD及び200mg BIDにより、排卵率はそれぞれ、約50%及び32%になった。子宮内膜症を有する女性における第3相検討において、エストラジオールの約50pg/mLへの部分抑制が、エラゴリクス150mg QDの場合に観察された一方、エラゴリクス200mg BIDによる治療後に、エストラジオールの約12pg/mLまでのほぼ完全な抑制が観察された。
【0308】
(b)QT間隔に及ぼすエラゴリクスの影響
エラゴリクスは、QTc間隔を延長しない。QTc間隔に及ぼすエラゴリクス(最大1200mg)の影響を、活性を制御(モキシフロキサシン400mg)した徹底的なQT検討において評価した。エラゴリクスの治療濃度の17~23倍(それぞれ、200mg BID及び150mg QDレジメンに対する)時において、エラゴリクスは、QTc間隔を延長しなかった。
【0309】
(II)健常な対象におけるエラゴリクスの薬物動態特性が、表A-1に示されている。定常状態の薬物動態パラメーターが、表A-2に示されている。
【0310】
【0311】
【0312】
(III)特定の集団における薬物動態
(a)腎臓障害
エラゴリクス曝露(Cmax及びAUC)は、腎臓障害によって改変されない。平均曝露は、正常な腎機能を有する女性と比べて、中度から重度の、又は末期の腎不全(透析を受けている女性を含む)を有する女性と類似している。
【0313】
(b)肝障害
エラゴリクス曝露(Cmax及びAUC)は、正常な肝機能を有する女性と軽度の肝障害を有する女性との間において類似している。中度及び重度の肝障害を有する女性におけるエラゴリクス曝露は、正常な肝機能を有する女性からの曝露の、それぞれ、約3倍及び7倍である。
【0314】
(IV)薬物の相互作用検討
薬物相互作用検討は、エラゴリクス、及び共投与される可能性が高い他の薬物、及び薬物動態相互作用に対するプローブとして一般に使用される薬物を用いて行った。表A-3及びA-4は、エラゴリクスが、潜在的に臨床的に適切な変化を示した他の薬物と共投与された場合の、薬物動態影響を要約している。
【0315】
【0316】
【0317】
(V)薬物相互作用
(a)エラゴリクスが他の薬物に影響を及ぼす可能性
エラゴリクスは、シトクロムP450(CYP)3A酵素の低度から中度の誘発物質である。エラゴリクスとの共投与により、CYP3Aの基質である薬物の血漿中濃度が低下し得る。
【0318】
エラゴリクスは、300mg BID又は400mg QD又は600mg QDなどの、200mg BID以上において、排出トランスポーターP-グリコタンパク質(P-gp)の阻害剤となる。エラゴリクス200mg BIDとの共投与により、P-gpの基質である薬物の血漿中濃度が低下し得る。
【0319】
(b)他の薬物がエラゴリクスに影響を及ぼす可能性
エラゴリクスは、CYP3A、P-gp及び有機陰イオン輸送ポリペプチド(OATP)1B1の基質である。エラゴリクスが、CYP3A又はP-gpを阻害する薬物と共投与される場合、臨床的に有意な相互作用は予期されない。
【0320】
エラゴリクスを、CYP3Aを誘発する薬物と共投与すると、エラゴリクスの血漿中濃度が低下し得る。
【0321】
エラゴリクスを、OATP1B1を阻害する薬物と共投与すると、エラゴリクスの血漿中濃度が上昇し得る。強力なOATP1B1阻害剤とエラゴリクス200mg BIDレジメンとの使用は推奨されない。
【0322】
(c)確定された、及び他の潜在的薬物相互作用
表A-5は、同時投与薬物の濃度に及ぼすエラゴリクスの共投与の影響、及びエラゴリクスに及ぼす同時投与薬物の影響を示している。
【0323】
【0324】
(d)エラゴリクスとの臨床的に有意な相互作用が観察されない薬物
エラゴリクスが、以下の医薬:ケトコナゾール、フルコナゾール、セルトラリン及びノルエチンドロン、又は他のプロゲスチン単独避妊薬と共投与された場合、用量調整は必要としない。
【0325】
(VI)非臨床的毒性学
(a)発がん性
2年間の発がん性検討(マウス及びラットにおいて実施)により、いかなる用量においても、マウスに腫瘍の増大がないことが明らかになったが、高用量(女性において、200mg BIDに関すると、安全性の13倍の差)のラットにおいて、甲状腺(雄及び雌)及び肝臓(雄のみ)の腫瘍の増大が発生した。ラットの腫瘍は、種特異的なものとして特定され、ヒトにとって無視できる程度の関連性であった。この結論は、甲状腺及び肝臓の腫瘍がラットに特異的であり得、高用量における肝臓の薬物代謝酵素の誘発により発生した可能性を証明するために行った、甲状腺及び肝臓への影響に関連する継続探索検討に基づいたものである。
【0326】
(b)突然変異誘発
変異原性検討は、インビトロ及びインビボにおける試験系を使用して、エラゴリクスを用いて行った。これらの検討により、突然変異性又は染色体異常誘発性の可能性の証拠はもたらされなかった。
【0327】
(c)出産能の機能障害
出産能及び生殖器に及ぼす影響を、ラット及びサルを用いる検討において評価し、この検討は、GnRH受容体結合親和性における種の差異を調整すると、ラットの場合、MRHDにおいてAUC未満の血漿中濃度となること、及びサルの場合、約0.28倍~9.9倍となることが確立された。ラットにおいて、出産能検討(用量50、150、300mg/kg/日)において影響はないが、反復用量検討(600、800mg/kg/日の用量)において、卵巣における黄体の退行及び低下が観察された。サルの反復用量検討(75、150、300及び600mg/kg/日)において、すべての用量において、生殖器(子宮頚部、子宮及び膣)の可逆的な萎縮が観察された。ヒトにおけるエラゴリクスの薬理学的作用に基づくと、出産能に対する可逆的な影響が、女性において予期され得る。
【0328】
(VII)臨床検討
関連疼痛を伴う子宮内膜症の管理における、エラゴリクス150mg QD及び200mg BIDの有効性を、1686名の閉経前女性において、2つの国際的な二重盲検のプラセボ対照検討(検討EM-I及びEM-II)において、及び2つの非対照盲検拡張検討(検討EM-III及びEM-IV)において実証した。各プラセボ対照検討は、6か月間の処置にわたる、子宮内膜症関連疼痛の低下を評価した。EM-I及びEM-IIの検討を完了した女性の75%超が、追加の6か月間の治療期間の拡張検討に登録した。治療後の最大12か月間、対象を追跡した。
図11~14を参照されたい。
【0329】
(a)疼痛の低下
共主要有効性エンドポイントは、プラセボと比較した、3か月時における、月経困難、及び月経に関連しない骨盤痛(非月経骨盤痛[NMPP]としても知られている)に対する応答者の割合とした。一次解析は、前の24時間にわたり、疼痛、及び日常の活動に及ぼす影響を評価するよう患者に依頼した毎日の記録日誌を使用して、上記のエンドポイントを独立して評価した。毎日の子宮内膜症疼痛インパクトスケールは、患者が報告する疼痛レベルはない、軽度、中度又は重度(それぞれ、0~3のスコアに関連付ける)からなり、各スコアに対して、機能的な構成要素を含ませた。
【0330】
女性が、子宮内膜症関連疼痛のために鎮痛剤の使用を増やすことなく、月経困難及び/又はNMPPの臨床的に有意な低下を経験した場合、その女性を応答者として定義した。
【0331】
プラセボに比べ、エラゴリクス150mg QD又は200mg BIDにより治療された一層高い割合の女性が、3か月時に、用量依存的に、月経困難及びNMPPに対する応答者となった。有効性の持続は、6か月にわたり観察された[表A-6を参照されたい。]。
【0332】
性交疼痛は、毎日の子宮内膜症疼痛インパクトスケールを使用して、二次エンドポイントとして評価した。
【0333】
プラセボに比べ、エラゴリクス200mg BIDにより治療した一層高い割合の女性が、3か月~6か月時に、性交疼痛の臨床的に有意な低下を報告した。
【0334】
【0335】
エラゴリクス治療群はどちらも、月経困難スコアの平均値はベースラインから低下し、これは、1か月時点に開始したプラセボよりも統計学的に有意性が高く、6か月間にわたり持続した。
【0336】
これらの検討における女性はまた、0(疼痛なし)~10(これまでで最悪の疼痛)までの範囲のスケールに関して、数値評点スケール(NRS)を使用して、子宮内膜症の疼痛の毎日の自己アセスメントを提出した。エラゴリクス150mg QD及び200mg BIDを服用した女性は、3か月時及び6か月時に、プラセボと比べて、NRSスコアの統計学的に(p<0.001)非常に有意な低下を報告した。
【0337】
対照検討EM-I及びEM-IIにおいて、元々、エラゴリクスを服用していた患者が、その用量を維持した、2つの盲検拡張検討EM-III及びEM-IVにおいて、月経困難、NMPP及び性交疼痛が改善した持続期間が、合計で12か月となることが実証された。
図11を参照されたい。検討EM-IVにおいて、エラゴリクスが食物と共に服用される、及び食物と一緒に服用されない場合、有効性は維持された。
【0338】
検討EM-IIからの有効性エンドポイントに関する結果は、検討EM-Iにおいて観察されたものと一致した。
【0339】
(b)疼痛用医薬使用の低減
これらの検討において、エラゴリクス200mg BIDを服用した女性は、子宮内膜症関連疼痛を治療するために使用されるオピオイド(アセトアミノフェンを含むヒドロコドン)又はナプロキセンレスキュー医薬の量を、ベースラインにおいて必要な量と比べて減量した。さらに、プラセボを服用した女性と比べると、エラゴリクス 200mg BIDを服用した女性の場合、オピオイド又はナプロキセンレスキュー医薬を使用した、1か月あたりの日数の割合が有意に低下した。これらの効果は、エラゴリクス150mg QDを服用した女性の場合、それほど一貫して観察されなかった。
図15を参照されたい。プラセボと比べると、200mg BIDエラゴリクス群は、3か月~6か月時に、1日あたりのオピオイド丸剤の平均数の変化率のベースラインからの有意な低下を有した。疼痛の低下は、例えば、処方され得る、又は一般市販薬に見出され得る、処方オピオイド又は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(例えば、ナプロキセン又はアセトアミノフェン)などの、疼痛用医薬の低下によって反映され得る。150mgを1日1回又は1日2回にすると、疼痛用医薬の服用が低減することがやはり予期され、疼痛が低下したことを示し、同様に、1日1回又は1日2回の服用に関わらず、300mgの用量により、疼痛用医薬の摂取量が低下すること、及び疼痛の低下を示すことが予期される。プラセボと比較した、2つの第3相試験における、レスキュー鎮痛剤の使用のこのプールした解析において、(1)エラゴリクス 150 QD及び200 BIDの用量はどちらも、レスキューオピオイド医薬が服用された日数の割合の有意な低下を示した、(2)200mg BIDのエラゴリクス用量は、毎日のピル数の平均割合の有意な低下を示した、(3)各エラゴリクス群における女性は、オピオイド用量を増加したものはほとんどおらず、一層多くの女性が、オピオイド用量の減量、又は安定したオピオイド用量を有した。
【0340】
EM-1及びEM-2において、患者の59%及び60%が、ベースライン時において、オピオイドレスキュー鎮痛剤を疼痛に使用した。ベースライン時に使用されたオピオイドレスキュー鎮痛剤は、主に、5/300~325mg及び30/300~500mgの強度のヒドロコドン/アセトアミノフェン(HC/APAP)及びコデイン/APAPであった。EM-1において、ベースライン時にオピオイドを服用している患者のすべてのうち、それぞれ、98%及び2%が、HC/APAP及びコデイン/APAPを服用した。EM-2において、ベースライン時にオピオイドを服用した患者のすべてのうち、50%が、HC/APAPを服用し、16%が、コデイン/APAPを服用し、3%が、コデインを服用し、32%が、トラマドール/APAPを服用した。
【0341】
(c)出血パターンに及ぼす影響
月経出血パターンに及ぼす影響
月経出血に及ぼすエラゴリクスの影響を、毎日、電子記録日誌を使用して、最大12か月間、評価し、この場合、対象は、その月経出血流(最後の24時間にある場合)を、点状出血、軽度、中度又は重度として分類した。エラゴリクスは、月経出血を報告した対象において、出血及び点状出血した平均日数、並びに出血強度の用量依存的低下をもたらした。
【0342】
【0343】
エラゴリクスはまた、治療期間にわたり、無月経の女性(56日間の間隔において、出血又は点状出血がないものとして定義)の割合が、用量依存的に上昇することも実証した。治療の最初の6か月の間の無月経の発生率は、エラゴリクス150mgを1日1回の場合、6~17%の範囲となり、エラゴリクス200mgを1日2回の場合、13~52%の範囲となり、プラセボの場合、1%未満の範囲となった。治療の第2の6か月の間、無月経の発生率は、エラゴリクス150mgを1日1回の場合、11~15%の範囲となり、エラゴリクス200mgを1日2回の場合、46~57%の範囲となった。
【0344】
1日1回の150mgのエラゴリクスによる治療の6か月後、停止後の月経の回復は、それぞれ、1か月、2か月及び6か月以内に、59%、87%及び95%の女性によって報告された。1日2回の200mgのエラゴリクスによる治療の6か月後、治療の停止後の月経の回復は、それぞれ、1か月、2か月及び6か月以内に、60%、88%及び97%の女性によって報告された。
【0345】
1日1回の150mgのエラゴリクスによる治療の12か月後、治療の停止後の月経の回復は、それぞれ、1か月、2か月及び6か月以内に、77%、95%及び98%の女性により報告された。1日2回の200mgのエラゴリクスによる治療の12か月後、治療の停止後の月経の回復は、それぞれ、1か月、2か月及び6か月以内に、55%、91%及び96%の女性により報告された。
【0346】
(VII)授乳
リスク要約:ミルク生成に及ぼすエラゴリクスの影響、母乳におけるその存在又は授乳された子供に及ぼすエラゴリクスの影響を評価するためのヒト検討は行われていない。エラゴリクス及びその代謝産物がヒトの母乳に存在するかどうかが、ヒトのミルク生成に影響を及ぼす、又は授乳を受けた幼児に影響を及ぼすことは知られていない。
【0347】
(a)ラットにおいて、エラゴリクスは、ミルクを介して、最小限しか分泌されない。
【0348】
授乳の発達上及び健康上の利益は、エラゴリクスに対する母体の臨床的必要性、及びエラゴリクスからの授乳を受けた児童に及ぼす任意の潜在的な有害作用と合わせて考慮されるべきである。
【0349】
(b)データ:動物データ
妊娠ラットに、妊娠期間及び授乳期間全体にわたり、エラゴリクスを含有する食事を与えて、1日あたり、400mg/kgのエラゴリクス用量にした。看護中、母マウス及び同腹マウスを給餌制限群及び非制限群に分けて、母体のミルク中にエラゴリクスが分泌されたかどうかを決定した。出産して10日目及び20日目において、給餌の制限された餌を受けた同複マウスの子供におけるエラゴリクスの血漿中濃度は、測定不能であった。給餌の制限されない群の子供マウスにおいて、エラゴリクス血漿中濃度は測定可能であり、母体の血漿中濃度の約1%であった。授乳を介した曝露の代わりとして、同腹マウスにおける血漿中濃度を使用すると、エラゴリクスは、ミルク中に最小限しか分泌されないと考えられる。
【0350】
(IX)有害反応
(a)臨床試験の経験
臨床試験は、幅広い様々な条件において行われるので、薬物の臨床試験に観察された有害反応の割合は、別の薬物の臨床試験における割合と直接、比較することができず、臨床実践において観察される割合を反映していない可能性がある。
【0351】
エラゴリクスの安全性は、合計が952名の女性を150mg QD又は200mg BIDにより治療した、2つの6か月間のプラセボを対照とする臨床検討(検討EM-I及び検討EM-II)において評価した。集団の年齢範囲は、18~49歳であった。6か月間の治療を完了し、適格基準を満たした女性は、最大12か月間の全治療期間の間、2つの6か月間の拡張盲検検討において治療を継続した。
【0352】
(b)検討中止に至る有害反応(>1%)
この2つの対照検討(EM-I及びEM-II)において、エラゴリクス150mg QDにより治療された患者の5.5%、及びエラゴリクス200mg BIDにより治療された患者の9.6%が、有害反応により治療を中止した。どちらの剤形の場合の中止も、一過性熱感(0.8%及び2.5%)及び吐き気(0.8%及び1.5%)によるものが最も共通するものであった。一過性熱感及び吐き気のために中止した大部分は、治療の最初の2か月以内に発生した。対照検討において6か月間、エラゴリクス150mgをQDで服用した後の拡張検討の間に、一過性熱感のためのこれを中止した女性は皆無であった。
【0353】
(c)共通の有害反応:
エラゴリクス用量群のどちらか一方における、2つのプラセボ対照検討における女性の≧5%に報告され、プラセボよりも高い頻度の有害反応を以下の表A-7に明記する。
【0354】
【0355】
拡張検討において、有害反応プロファイルは、表A-7に明記されている通り、プラセボ対照検討において明記されたものと類似した。
【0356】
(d)それほど共通していない有害反応:
EM-I及びEM-IIにおいて、エラゴリクス用量群のどちらか一方において≧3%及び<5%に報告された、プラセボより多い有害反応は、以下を含む:
a)検討:体重の増加
b)精神医学的障害:うつ病、過敏性、性欲の低下、情緒不安定;
c)胃腸障害:下痢、腹痛、便秘;
d)神経系障害:めまい、又は
e)皮膚及び皮下組織障害:寝汗。
【0357】
一過性熱感の事象は、用量依存的であり、大部分は、軽度から中度として評価した。他のすべての有害事象は、エラゴリクスの両方の用量間において、同等であった。低用量ホルモンアドバック療法を追加すると、一過性熱感などのエストロゲン低下に関連する症状の発生が低減され得る。
【0358】
(e)骨無機分の密度変化
プラセボ対照臨床検討及び拡張臨床検討において、BMDをDXAによって測定した。これらの検討からの腰椎のBMDデータを表A-8に示す。他の解剖学的部位(大腿部頚部、股関節)のBMDにおいて観察された変化は、腰椎よりも概して小さいものであった。
【0359】
【0360】
エラゴリクス治療の12か月後、毎日150mgの用量を服用した患者は、-2.0の正常下限値未満のZスコアを有するものはなく、200mg BIDの用量を服用した患者の1%未満しか、-2.0の正常下限値未満のZスコアを有するものはなかった。エラゴリクス治療群のどちらにおいても、6か月及び12か月の治療後に、3つのDXA部位:腰椎、股関節及び大腿部におけるBMDの進行性回復があった。
【0361】
曝露-応答のモデル化からの追加解析により、エラゴリクス150mg QDの場合、12か月及び24か月時において、Zスコアの予測平均値(95%CI)は、それぞれ、0.23(0.01~0.45)及び0.18(-0.04~0.40)である。このモデルにより、3か月間、エラゴリクス150mg QDの治療を開始し、次に、200mg BIDまで用量を増加した対象において、6か月及び12か月時に、Zスコアの予測平均値(95%CI)は、それぞれ、0.23(-0.01~0.47)及び0.11(-0.13~0.36)であると予測される。
【0362】
(f)治療の間の検査値の変化
(i)脂質
総コレステロール、低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)及びトリグリセリドの用量依存的増加が、エラゴリクス治療の間に認められたが、これらの値は、概して、正常範囲内に留まった。
【0363】
脂質増加は、エラゴリクス治療を開始した後の1~2か月以内に通常、発生し、これ以降、12か月にわたり、安定したままであった。脂質レベルの上昇は、治療を停止して1か月後にベースラインに戻った。
【0364】
LDL-Cの治療前のベースラインからの平均上昇値は、150mg QDの場合、5.25mg/dLであり、200mg BIDの場合、13.10mg/dLであった。HDL-Cの治療前のベースラインからの平均上昇値は、150mg QDの場合、2.24mg/dLであり、200mg BIDの場合、4.16mg/dLであった。トリグリセリドの治療前のベースラインからの平均上昇値は、エラゴリクスの6か月間の治療後、150mg QDの場合、0.42mg/dLであり、200mg BIDの場合、11.08mg/dLであった。
【0365】
脂質比の変化は、LDL-C及びHDL-Cのどちらも上昇するため最小限であった。
【0366】
脂質プロファイルは、現在の臨床実践のガイドラインに従って、評価及び管理を行うべきである。
【0367】
(ii)子宮内膜の安全性
子宮内膜の生検は、6か月及び12か月時に、EM-I検討及びその拡張検討において、対象に行った。これらの結果は、増殖性及び分泌生検パターンの用量依存的低下、及び休止/最小限の刺激生検パターンの増大を示している。子宮内膜過形成又はがんなどの、ベースライン後の異常な生検所見はなかった。
【0368】
健常な女性における、3回の月経周期の検討の経過中の、経膣超音波に基づいて、エラゴリクス150mg QD及び200mg BIDにより、治療前の値と比べて、子宮内膜の平均厚さの用量依存的低下がもたらされた。
【0369】
(X)骨無機分の密度低下
エラゴリクスは、骨無機分の密度(BMD)の用量依存的低下にやはり関連し得る、血清エストラジオールのレベルを用量依存的に低下させる。治療停止後の6か月及び12か月時に、BMDの進行性回復がある[有害反応(6.1)を参照されたい。]。
【0370】
12か月間の連続使用の後、二重エネルギーX線吸光光度定量法(DXA)によるBMDの評価。BMD Zスコアが、-2.0より低い場合、BMDが年齢に適切な範囲になるまで、エラゴリクスを中止する。
【0371】
エラゴリクスの使用を、12か月より長く継続する場合、BMDは、臨床的に支持されている通り評価することが推奨される。継続的な長期間使用のためにエラゴリクスの投与を受けた女性にとって、利益/リスクのアセスメントにおいて、閉経前女性におけるBMDの喪失が考慮されるべきである。
【0372】
低いBMDというより大きなリスクにある患者において、年に1回よりも早くBMDのアセスメントを考慮されたい。リスク因子には、以下:エラゴリクス 200mgを1日2回、服用すること、エラゴリクスによる治療の以前の経過後に、-2.0未満のZスコアとなること、GnRHアゴニストを以前に使用したこと、代謝性骨疾患、慢性的な飲酒及び/又は喫煙、神経性食欲不振症、骨粗鬆症の強固な家族歴、又は抗痙攣剤若しくはコルチコステロイドなどの骨質量を低下させる恐れのある薬物の慢性使用が含まれる。
【0373】
エラゴリクスを使用している女性において、カルシウム及びビタミンDが、BMD喪失を低下させることがあるかどうかを取り扱った検討はないが、患者のすべてが、適切なカルシウム及びビタミンDの摂取をすべきである。
【0374】
GnRHアナログ又はエラゴリクスを用いる臨床検討(他の集団中の場合)により、低用ホルモンのアドバック療法(エストロゲン/プロゲスチン又は酢酸ノルエチンドロン)の使用は、これらの薬剤単独の場合に起こる骨の無機分の喪失を低減するのに有効となり得ることを示唆する。
【0375】
(XI)投与量及び投与
(a)投与情報
食物と共に又は食物なしに経口服用されるエラゴリクスは、150mgの錠剤(1日1回、QD)又は200mgの錠剤(1日2回、BID)、150mg BID、300mg BID又は400mg QD又は600mg QDのいずれかとして入手可能である。
【0376】
(b)投与の推奨
症状の重症度及び治療目的に基づいて、最低量有効用量を使用する[臨床検討(VII)を参照されたい。]。エラゴリクスによる治療は、患者の月経周期の間のいずれの時に開始してもよい。
【0377】
【0378】
エラゴリクスの投与量調整は、軽度の肝障害(チャイルド-ピューA)を有する女性に必要ではない。
【0379】
正常な肝機能を有する女性と比べると、中度の肝障害を有する女性は、約3倍高いエラゴリクス曝露を有し、重度な肝障害を有する女性は、約7倍高い、エラゴリクス曝露を有した。曝露及び骨量減少のリスクのこのような増大のため、中度の肝障害(チャイルド-ピューB)を有する女性の場合、1日1回のエラゴリクス150mgが推奨され、治療期間を6か月に限定する。エラゴリクス 200mgを1日2回使用することは、中度の肝障害を有する女性には推奨されない。重度の肝障害(チャイルド-ピューC)を有する女性において、エラゴリクスは禁忌される。
【0380】
錠剤はそれぞれ、150mgのエラゴリクスに等価な155.2mgのエラゴリクスナトリウムを含む。錠剤はそれぞれ、200mgのエラゴリクスに等価な207.0mgのエラゴリクスナトリウムを含む。
【0381】
(c)腎臓障害
いずれの程度の腎臓障害又は末期腎疾患(透析を受けている女性を含む)を有する女性において、エラゴリクスの用量調整は必要ではない[特定集団及び臨床的薬理学における使用を参照されたい。]。
【0382】
(d)肝障害
エラゴリクスの投与量調整は、軽度の肝障害(チャイルド-ピューA)を有する女性において必要ではない。エラゴリクス150mg QDのレジメンは、中度の肝障害(チャイルド-ピューB)を有する女性に推奨される。200mgのBIDレジメンは推奨されない。
【0383】
重度の肝障害(チャイルド-ピューC)を有する女性において、エラゴリクスは禁忌される。
【0384】
肝臓トランスアミナーゼの増加
臨床試験において、基準範囲の上限値の少なくとも3倍の血清中アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の用量依存的増加が、エラゴリクスを用いると起こった。エラゴリクスの最低有効用量の使用が推奨される。さらに、患者は、黄疸などの肝臓損傷を反映し得る症状又は兆候がある場合、速やかに、医療的注意を求めるよう指示される。患者は、継続治療の利益がリスクを上回るかどうかを判定するため、肝検査値の上昇に関して速やかに評価を受ける。
【0385】
プラセボ対象による臨床試験(検討EM-1及びEM-2)において、基準範囲の上限値の少なくとも3倍まで血清ALTの用量依存的な無症候性上昇が、ORILISSAによる治療(150mg、1日1回-1/450、0.2%;200mg、1日2回-5/443、1.1%;プラセボ-1/696、0.1%)の間に起こった。拡張試験(検討EM-3及びEM-4)において類似の上昇が見られた。
【0386】
(e)自殺念慮、自殺挙動、及び気分障害の増悪
エラゴリクスを使用する対象は、プラセボと比べて、うつ病及び情緒変化の発生率が高く、自殺傾向又はうつ病の病歴を有するエラゴリクスの使用者対象は、このような病歴のない使用者対象と比べて、うつ病の発現率は高い。うつ症状を有する患者は、継続治療のリスクが、利益を勝るかどうかを判定するよう評価されるべきである。うつ病、不安症又は他の情緒変化を新しく有する患者、又はこれらが悪化している患者は、適宜、精神保健専門家に診てもらうべきである。自殺念慮及び自殺挙動を有する患者は、即時の医療的注意を求めるべきである。エラゴリクスを継続する利益及びリスクは、このような事象が発生するかどうかを評価すべきであり、任意選択的に、エラゴリクスは、悪化、又は深刻なうつ病、不安症、情緒変化若しくは自殺念慮が原因で停止されるべきである。
【0387】
プラセボ対照試験(検討EM-1及びEM-2)において、エラゴリクスは、特に、うつ病の病歴を有する女性において、有害な情緒変化を伴う。
【0388】
【0389】
[実施例A-4] 中度から重度の子宮内膜症による疼痛を有する患者において、エラゴリクスは倦怠感を低減する。
【0390】
疼痛及び他の症状の臨床的に有意な低下に関するエラゴリクスの影響を評価するための第III相検討を行った。提示されたデータは、中度から重度の子宮内膜症関連疼痛を有する女性における、倦怠感に及ぼすエラゴリクスの影響を試験したものである。3つのコホートの検討において、第1のコホートは、プラセボを服用する女性を含み、第2のコホートは、150mgのエラゴリクスを1日1回、服用する女性を含み、第3のコホートは、200mgのエラゴリクスを1日2回、服用する女性を含んだ。300mgを1日1回若しくは1日2回、及び600mgを1日1回、又は類似用量が、同様に、倦怠感の低下を示すことが予期される。倦怠感は、患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS(登録商標))、倦怠感ショートフォーム(SF)6aを使用して評価した。6つの項目により、疲労の軽度から重症までの主観的感覚、日常の活動を行う能力を低下させる可能性が高い極度の疲労の持続的感覚、及び正常な機能に及ぶ自己報告症状の範囲が評価された。主要なものを、倦怠感の経験(頻度、期間及び強度)並びに身体的、精神的及び社会的活動に及ぼす倦怠感の影響に分類した。項目はすべて、前の7日間にわたり、倦怠感を評価した。5項目のリッカート尺度に関して、各質問への応答を取りまとめた。1は、「まったくない」、2は、「すこしある」、3は、「いくぶんある」、4は、「かなりある」、5は、「非常にある」である。質問は、ベースライン時、並びに1か月、3か月及び6か月時に行った。スコアが低いほど、倦怠感が少ないことを示した。事後の倦怠感SF-6a生スコアをTスコアに変換した。Tスコアは、5段階の生スコアを標準化したスコアに尺度変更し、こうして、一般集団は、50の平均値及び10の標準偏差(SD)を有することになる。
【0391】
解析:PROMIS倦怠感SF-6a Tスコアのベースラインからの変化を、各活性剤治療(エラゴリクス 150mg QD及び200mg BID)及びプラセボの間で比較した。共分散(ANCOVA)の一元解析を利用した。ANCOVAは、治療を主要な影響として制御した。ベースライン倦怠感SF-6a Tスコアは、共変量として含んだ。
【0392】
子宮内膜症関連疼痛を有する女性の間の倦怠感は、未だ満たされていない医療的必要性が残されたままである。ベースライン時において、この検討における女性は、一般集団における女性よりも平均で1SD悪化する倦怠感のレベルを有した。プラセボと比較すると、エラゴリクスは、子宮内膜症に関連する中度から重度の(sever)疼痛を有する女性において、用量依存的に倦怠感を改善した。
図16を参照されたい。3か月及び6か月時にエラゴリクスの用量のどちらの場合にも、PROMIS倦怠感SF-6a Tスコアにおけるプラセボに比べた統計学的に有意な低下が観察された。エラゴリクス200mgにより、倦怠感の統計学的に有意な低下が、早くも1か月時にやはり観察された。
図17を参照されたい。上記の治療用量のエラゴリクスはすべて、中度から重度の子宮内膜症に罹患している女性において、倦怠感を低減させることが予期される。
【0393】
本発明を実施する方法
本発明の一態様において、本方法は、エラゴリクスナトリウム(一般に、エラゴリクスと称される)又は4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸を含有する医薬組成物を投与することによって行われる。投与目的のため、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸が、医薬組成物として製剤化され得る。医薬組成物は、4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸若しくは薬学的に許容されるその塩、又はその溶媒和物、及び薬学的に許容される担体及び/若しくは希釈剤を含む。4-((R)-2-[5-(2-フルオロ-3-メトキシ-フェニル)-3-(2-フルオロ-6-トリフルオロメチル-ベンジル)-4-メチル-2,6-ジオキソ-3,6-ジヒドロ-2H-ピリミジン-1-イル]-1-フェニル-エチルアミノ)-酪酸は、特定の障害を治療するのに有効な量、すなわち好ましくは患者に許容可能な毒性を伴って、GnRH受容体アンタゴニスト活性をもたらすのに十分な量で組成物中に存在する。
【0394】
本発明を記載する文脈において(とりわけ、以下の特許請求の範囲の文脈において)、「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」という用語、並びに類似の指示語の使用は、本明細書中において特に指摘がない限り、又は明確に文脈と矛盾しない限り、単数及び複数の両方に及ぶものと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」とは、特に明記しない限り、オープンエンドターム(すなわち「を含むが、これらに限定されない」を意味する)として解釈されるべきである。本明細書における値の範囲の列挙は、本明細書中において特に指摘がない限り、その範囲内に収まる個々の値のそれぞれを個別に言及する省略法として働くことが単に意図されているに過ぎず、個々の値はそれぞれ、あたかも本明細書において個々に引用されているかのごとく、本明細書に組み込まれている。本明細書において記載されている方法はすべて、本明細書に特に指摘がない限り、又は文脈と明確に矛盾しない限り、任意の好適な順序で行うこともできる。本明細書において提示されているあらゆる例、又は例示的な言い回し(例えば、「など」)の使用は、特に主張しない限り、単に本発明をよりよく説明することが意図されているに過ぎず、本発明の範囲に限定を設けるものではない。本明細書における言い回しは、本発明の実施に必須なものとして特許請求されていないいかなる要素をも示すものとして解釈されるべきではない。
【0395】
上記の詳細説明及び添付の実施例は、単に例示に過ぎず、本発明の範囲に関する限定として見なされるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びこの均等物によってしか規定されないことが理解される。開示された実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者に明白である。本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、製剤若しくは方法、又は本発明の使用のこのような変更及び修正のいかなる組合せに関するものを非限定的に含めて、このような変更及び修正が、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなくなされてもよい。
【0396】
上に引用された参照文献(特許及び非特許)はすべて、参照によりこの特許出願に組み込まれる。このような参照文献の考察は、これらの参照文献の著者によって行われた主張を単に要約することを意図しているに過ぎない。いずれの参照文献(又は、いかなる参照文献の一部)が、関連する従来技術(又は、完全な従来技術)であるということは認められない。本出願人は、引用された参照文献の正確さ及び適切性に異議を申し立てる権利を保有する。