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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09G 3/36 20060101AFI20231030BHJP
   G09G 3/20 20060101ALI20231030BHJP
   G02F 1/133 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 624B
G09G3/20 611A
G09G3/20 611H
G09G3/20 670J
G09G3/20 623A
G02F1/133 550
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020510162
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 IB2019052193
(87)【国際公開番号】W WO2019186320
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2018067709
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】豊高 耕平
(72)【発明者】
【氏名】吉本 智史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 一徳
(72)【発明者】
【氏名】川島 進
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭
【審査官】橋本 直明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2007/0236440(US,A1)
【文献】特開2006-309104(JP,A)
【文献】特開2017-010000(JP,A)
【文献】国際公開第98/002773(WO,A1)
【文献】特開平09-080386(JP,A)
【文献】特開2002-277898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/36
G09G 3/20
G02F 1/133
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素、複数の走査線及び複数の信号線を有する表示装置であって、
前記複数の信号線は、第1の配線、第2の配線及び第3の配線を有し、
前記複数の走査線は、第4の配線、第5の配線及び第6の配線を有し、
前記画素は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第4のトランジスタ、第1の容量素子、第2の容量素子及び第1の回路を有し、
前記第1の回路は、入力端子を有し、
前記第1のトランジスタのゲートは、前記第4の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第1の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の容量素子の電極の一方と、前記入力端子とに電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第2の配線と電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと、前記第1の容量素子の電極の一方とに電気的に接続され、
前記第3のトランジスタのゲートは、前記第5の配線と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3の配線と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのソース又はドレインの他方は、前記第2の容量素子の電極の他方と電気的に接続され、
前記第4のトランジスタのゲートは、前記第6の配線と電気的に接続され、
前記第1の回路は、第3の容量素子と、第5のトランジスタと、第6のトランジスタと、発光素子とを有し、
前記第1の回路の前記入力端子は、前記第3の容量素子の電極の一方と、前記第5のトランジスタのゲートとに電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記発光素子と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第3の容量素子の電極の他方と電気的に接続され、
前記第5のトランジスタのソース又はドレインの一方は、前記第6のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続され、
前記第6のトランジスタのゲートは、前記第4の配線と電気的に接続され、
前記第6のトランジスタがオンするとき、前記第1のトランジスタがオンする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一形態は、表示装置、及び表示装置の駆動方法に関する。
【0002】
また、本発明の一形態は、物、方法、又は、製造方法に関する。又は、本発明の一形態は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。本発明の一形態は、その駆動方法、又は、その作製方法に関する。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。記憶装置、表示装置、電気光学装置、蓄電装置、半導体回路及び電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
表示装置に求められる付加価値の1つとして、低消費電力がある。例えば、静止画を表示している期間、データを書き換える間隔を長くすることで、消費電力を低減することが特許文献1、又は特許文献2に開示されている。
【0005】
表示装置に用いられるトランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。特にIn-Ga-Zn酸化物(以下、IGZOとも呼ぶ)に関する研究が盛んに行われている。
【0006】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもないCAAC(c-axis aligned crystalline)構造及びnc(nanocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照)。非特許文献1及び非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いてトランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造及びnc構造よりも結晶性の低い酸化物半導体でさえも微小な結晶を有することが非特許文献4及び非特許文献5に示されている。
【0007】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非特許文献6参照)、その特性を利用したLSI及びディスプレイが報告されている(非特許文献7及び非特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2011-141522号公報
【文献】特開2011-237760号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】S.Yamazaki et al.,“SID Symposium Digest of Technical Papers”,2012,volume 43,issue 1,p.183-186
【文献】S.Yamazaki et al.,“Japanese Journal of Applied Physics”,2014,volume 53,Number 4S,p.04ED18-1-04ED18-10
【文献】S.Ito et al.,“The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”,2013,p.151-154
【文献】S.Yamazaki et al.,“ECS Journal of Solid State Science and Technology”,2014,volume 3,issue 9,p.Q3012-Q3022
【文献】S.Yamazaki,“ECS Transactions”,2014,volume 64,issue 10,p.155-164
【文献】K.Kato et al.,“Japanese Journal of Applied Physics”,2012,volume 51,p.021201-1-021201-7
【文献】S.Matsuda et al.,“2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”,2015,p.T216-T217
【文献】S.Amano et al.,“SID Symposium Digest of Technical Papers”,2010,volume 41,issue 1,p.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一形態は、新規な表示装置を提供することを課題の一とする。また、本発明の一形態は、新規な表示装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。また、本発明の一形態は、消費電力が低減された表示装置を提供することを課題の一とする。
【0011】
なお、複数の課題の記載は、互いの課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一形態は、これらの課題の全てを解決する必要はない。また、列記した以外の課題が、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、これらの課題も、本発明の一形態の課題となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一形態は、第1の画素、第2の画素、走査線、第1の配線、及び第2の配線を有する表示装置の駆動方法である。第1の画素及び第2の画素には、それぞれ異なる表示データを与えることができる。第1の画素及び第2の画素に与えられる設定データは、第1の画素及び第2の画素の表示データを更新する状態、又は表示データを更新しない状態を設定することができる。走査線は、前記第1の画素及び第2の画素に電気的に接続される。第1の配線は、第1の画素に電気的に接続され、第2の配線は、第2の画素に電気的に接続される。本発明の一形態の駆動方法は、第1の期間乃至第3の期間を有し、第1の期間において、走査線には第1の画素及び第2の画素を選択する信号が与えられる。第1の配線には、第1の画素が表示データを更新する状態となる設定データが与えられ、第2の配線には、第2の画素が前記表示データを更新する状態となる設定データが与えられる。第2の期間において、走査線には第1の画素及び第2の画素を選択する信号が与えられる。第1の配線には、第1の画素が表示データを更新しない状態となる前記設定データが与えられ、第2の配線には、第2の画素が表示データを更新する状態となる設定データが与えられる。第3の期間において、走査線には第1の画素及び第2の画素を非選択となる信号が与えられる。第1の画素では、第1の表示データが表示され、第2の画素では、第2の表示データが表示される表示装置の駆動方法である。
【0013】
上記形態において、画素は、設定データを保持するための容量素子、及びトランジスタを有し、容量素子に与えられる設定データは、表示データを更新する状態、又は表示データを更新しない状態を画素に設定する機能を有し、容量素子に与えられる設定データによって、トランジスタのオン状態又はオフ状態を制御され、容量素子に表示データを更新する状態とする設定データが与えられる場合、トランジスタを介して表示データが更新され、容量素子に表示データを更新しない状態とする設定データが与えられる場合、トランジスタを介して表示データが更新されない表示装置の駆動方法が好ましい。
【0014】
本発明の一形態は、表示装置は、複数の画素、複数の走査線、及び複数の信号線を有する。それぞれの信号線は、第1の配線、及び第2の配線を有し、それぞれの走査線は、第3の配線、及び第4の配線を有する。それぞれの画素は、第1のトランジスタ、第2のトランジスタ、第3のトランジスタ、第1の容量素子、及び第1の回路を有する。第1の回路は、入力端子を有する。第1のトランジスタのゲートは、第3の配線と電気的に接続される。第1のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第1の配線と電気的に接続される。第1のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のトランジスタのソース又はドレインの一方と電気的に接続される。第2のトランジスタのソース又はドレインの他方は、入力端子と電気的に接続される。第3のトランジスタのソース又はドレインの一方は、第2の配線と電気的に接続される。第3のトランジスタのソース又はドレインの他方は、第2のトランジスタのゲートと、第1の容量素子の電極の一方とに電気的に接続される。第3のトランジスタのゲートは、第4の配線と電気的に接続される表示装置である。
【0015】
上記形態において、第1の回路は、第2の容量素子と、液晶素子とを有する。第1の回路の入力端子は、第2の容量素子の電極の一方と、液晶素子とに電気的に接続される表示装置が好ましい。
【0016】
上記形態において、第1の回路は、第3の容量素子と、第4のトランジスタと、発光素子とを有する。第1の回路の入力端子は、第3の容量素子の電極の一方と、第4のトランジスタのゲートとに電気的に接続される。第4のトランジスタのソース又はドレインの一方は、発光素子と電気的に接続される表示装置が好ましい。
【0017】
本発明の一形態は、上記のいずれか一に記載の表示装置が、ソースドライバを有する。ソースドライバは、複数の信号線に電気的に接続される。ソースドライバは、第1の配線に表示データを与える、又は浮遊状態にするかを選択する機能を有する。ソースドライバは、第2の配線に設定データを与える機能を有する。ソースドライバは、複数の信号線に表示データを同時に与えることができる表示装置が好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一形態により、新規な表示装置を提供することができる。また、本発明の一形態は、新規な表示装置の駆動方法を提供することができる。また、本発明の一形態は、消費電力が低減された表示装置を提供することができる。
【0019】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一形態は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】表示装置の構成例を示す回路図。
図2】表示装置の構成例を示す回路図。
図3】表示装置の構成例を示す回路図。
図4】表示装置の構成例を示す回路図。
図5】表示装置の構成例を示す回路図。
図6】表示装置の構成例を示す回路図。
図7】表示装置の構成例を示すブロック図。
図8】表示装置の構成例を示すブロック図。
図9】(A)表示装置の表示例。(B)表示装置の構成例を示すブロック図。
図10】表示装置の動作例を示すタイミングチャート。
図11】トランジスタの構成例を示す断面図。
図12】トランジスタの構成例を示す断面図。
図13】トランジスタの構成例を示す断面図。
図14】トランジスタの構成例を示す断面図。
図15】電子機器の例を示す斜視図。
図16】電子機器の例を示す斜視図。
図17】電子機器の例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態及び実施例の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0022】
なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0023】
なお、本明細書で説明する各図において、各構成の大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。
【0024】
なお、本明細書中において、高電源電圧をHレベル(又はVDD)、低電源電圧をLレベル(又はGND)と呼ぶ場合がある。
【0025】
また、本明細書は、以下の実施の形態及び実施例を適宜組み合わせることが可能である。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0026】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体などに分類される。例えば、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。また、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物と総称する場合がある。
【0027】
(実施の形態1)
複数の画素を有する表示装置には、大きく分けて2つの駆動方法が知られている。1つは、一般的な静止画、又は動画を表示するための駆動方法であり、1フレーム毎に表示データを書き換える駆動方法である。これを”通常駆動”と呼ぶ。もう1つは、表示データの書き込み処理を実行した後、表示データの書き換えを停止する駆動方法である。これを”アイドリング・ストップ(IDS)駆動”と呼ぶ。主に静止画の表示に用いられる駆動方法である。
【0028】
IDS駆動とは、通常駆動よりも低い頻度で表示データを書き換える駆動方法である。例えばIDS駆動には、表示データの書き換え頻度を1フレーム毎に制御する方法がある。例えば、表示装置を備える電子機器では、表示装置が有する表示領域を大きく2つの表示領域に分けて管理することができる。第1の表示領域は静止画などの表示に使用され、第2の表示領域は動画又は動画の編集画面等の表示に使用される。なお、第1の表示領域と、第2の表示領域の大きさ、位置などは、固定されるものではなく、表示の内容により変化させることができる。本実施の形態では、第1の表示領域、又は第2の表示領域の表示データの書き換え制御を容易に行える画素について説明する。
【0029】
表示装置は、ソースドライバ、ゲートドライバ、複数の画素、及び複数の配線を有する。複数の配線には、走査信号が与えられる複数の走査線、及び表示データが与えられる複数の信号線がある。それぞれの走査線には、複数の画素が電気的に接続される。各画素は、表示データを更新する状態、又は表示データを更新しない状態の2つの状態をとることができる。これらの状態は、画素に与えられる設定データにより制御することができる。設定データとは、表示データを更新する状態又は更新しない状態を設定するデータのことを示し、“H”、又は“L”の2値の電圧として与えられる。なおソースドライバは、表示データ、及び設定データを画素に与えることができる。
【0030】
例えば、同じ走査線に電気的に接続された第1の画素及び第2の画素について説明する。以下では、第1の画素は表示データを更新しない状態とし、第2の画素は表示データを更新する状態とする場合の駆動方法について説明する。ここでは、第1の期間に与えられる表示データを第1の表示データ、第2の期間に与えられる表示データを第2の表示データとする。なお、第1の画素と第2の画素にそれぞれ与えられるデータは、異なる階調値を含むデータであってもよいし、同じ階調値を含むデータであってもよい。
【0031】
まず、第1の期間において、第1の画素及び第2の画素のそれぞれに、表示データを更新する状態となる設定データが与えられ、その後に、それぞれの画素に、第1の表示データが与えられる。続いて、第2の期間において、まず第1の画素には表示データを更新しない状態となる設定データが、第2の画素には表示データを更新する状態となる設定データが、それぞれ与えられ、その後に、第2の画素に、第2の表示データが与えられることで、第2の画素の表示データが更新される。続いて、第3の期間において、走査線には第1の画素及び第2の画素を非選択とする信号が与えられる。よって、第3の期間において、第1の画素は、第1の表示データを表示し、第2の画素は、第2の表示データを表示する。
【0032】
例えば、静止画を表示する画素には、表示データを更新しない状態となる設定データが与えられ、動画などを表示する画素には、表示データを更新する状態となる設定データが与えられる。なお、第1の表示データ(静止画)、又は第2の表示データ(動画)の指定がない場合、表示データとは、第1の表示データ、および第2の表示データのいずれか一又は双方を含むものとして説明する。
【0033】
画素には、該設定データが任意のタイミングで与えられることが好ましい。よって、表示装置は、異なる更新タイミングで更新された画素の表示データを同時に表示することができる。なお、走査信号が与えられる走査線に接続される複数の画素には、表示データが更新される画素、又は表示データを更新せずに前表示データを保持し続ける画素が混在してもよい。
【0034】
なお上述した表示装置を備える電子機器とは、スマートフォン、タブレット、電子ブック、ノート型コンピュータ、モニタ、又はデジタルサイネージなどに適用されることが好ましいが、時計、ビデオカメラ、ゲーム機器、TVなどにも適用することができる。静止画などを表示する第1の表示領域は、表示データの更新頻度を低くすることができるため、信号線を介して表示データを制御するソースドライバの消費電力を低減することができる。なお、電子機器の詳細については、実施の形態3又は実施の形態4で詳細な説明をする。
【0035】
〈〈画素〉〉
図1は、表示装置の構成例を示す回路図である。一例として、表示装置は、画素、及び複数の配線を有している。画素10は、トランジスタ11、トランジスタ12、トランジスタ13、回路14、容量素子15を有する。なお回路14は入力端子14aを有している。また、表示装置は、ゲートドライバ(図示せず)から走査信号が与えられる走査線として機能する配線31(配線31a、及び配線31b)を有する。なお配線31a、及び配線31bは、それぞれ異なる走査信号が与えられる走査線として機能する。また、表示装置は、ソースドライバからデータ信号が与えられる信号線として機能する配線32(配線32a、及び配線32b)を有する。配線32aには表示データ、配線32bには設定データが与えられる。配線33aには、固定電位が与えられる。以降においてデータ信号と示す場合は、表示データ、および設定データのいずれか一又は双方を含むものとして説明する。
【0036】
回路14は、液晶素子、EL(Electroluminescence)素子、又はLED(Light Emitting Diode)を有していることが好ましい。回路14については、図2で詳細な説明をする。
【0037】
次に、画素10の電気的接続について説明する。トランジスタ11のゲートは、配線31aと電気的に接続される。トランジスタ11のソース又はドレインの一方は、配線32aと電気的に接続される。トランジスタ11のソース又はドレインの他方は、トランジスタ12のソース又はドレインの一方と電気的に接続される。トランジスタ12のソース又はドレインの他方は、回路14の入力端子14aと電気的に接続される。トランジスタ13のソース又はドレインの一方は、配線32bと電気的に接続される。トランジスタ13のソース又はドレインの他方は、トランジスタ12のゲートと、容量素子15の電極の一方とに電気的に接続される。トランジスタ13のゲートは、配線31bと電気的に接続される。
【0038】
容量素子15には、回路14の表示データを更新する状態又は更新しない状態となる設定データを与えることができる。よって、トランジスタ13を介して容量素子15に与えられる設定データがトランジスタ12を制御する。容量素子15に表示データを更新する状態となる設定データが与えられる場合、トランジスタ12がオン状態になりトランジスタ11を介して表示データが回路14に与えられる。容量素子15に表示データを更新しない状態となる設定データが与えられる場合、トランジスタ12がオフ状態のため回路14の表示データが更新されない。つまり、画素に該設定データを与えることによって、表示データを更新する状態又は更新しない状態を設定することができる。
【0039】
なお、トランジスタ12をオン状態にするには、容量素子15に与えられる設定データが回路14に与えられる表示データの電圧範囲よりも高い電圧であることが好ましい。もしくは、該設定データが、表示データの電圧範囲にトランジスタ12の閾値電圧を加えた電圧よりも高い電圧であることがより好ましい。
【0040】
また、容量素子15に与えられる設定データが、回路14に与えられる表示データの電圧範囲よりも低い電圧であることが好ましい。又は、該設定データは、表示データの電圧範囲よりもトランジスタ12の閾値を引いた電圧よりも低い電圧であることがより好ましい。
【0041】
なお、トランジスタ11乃至トランジスタ13に用いる半導体層は特に限定されず、非晶質半導体、結晶性を有する半導体(微結晶半導体、多結晶半導体、単結晶半導体、又は一部に結晶領域を有する半導体)のいずれを用いてもよい。結晶性を有する半導体を用いると、トランジスタ特性の劣化を抑制できるため好ましい。
【0042】
トランジスタのチャネルが形成される半導体には、例えばシリコンを用いることができる。シリコンとして、アモルファスシリコンを用いてもよい。アモルファスシリコンを用いる場合、大型の基板上に歩留り良くトランジスタを形成でき、量産性に優れる。
【0043】
また、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどの結晶性を有するシリコンを用いてもよい。特に、多結晶シリコンは、単結晶シリコンに比べて低温で形成でき、且つアモルファスシリコンに比べて高い電界効果移動度と高い信頼性を備える。
【0044】
もしくは、トランジスタの半導体層に金属酸化物を用いてもよい。金属酸化物を半導体層に有するトランジスタは、オフ電流が低いことが知られている。画素の選択トランジスタとして機能するトランジスタ11乃至トランジスタ13は、オフ電流の低いトランジスタを用いることで表示データの更新間隔を長くしても表示品質の劣化を抑えることができる。よって、静止画を表示する場合は、表示の更新回数を削減することができるため、消費電力を小さくすることができる。
【0045】
さらにオフ電流の低いトランジスタは、トランジスタがオフ状態の場合にソースとドレイン間の絶縁性が高いと言い換えることができる。従って、配線32a、又は配線32bに与えられるデータ信号が、回路14に与える影響を低減する。従って、半導体層に金属酸化物を用いたトランジスタは、トランジスタ11乃至トランジスタ13に用いるのにより好適である。金属酸化物を半導体層に用いたトランジスタについては、実施の形態5で詳細な説明をする。
【0046】
図2では、回路14の構成例について説明する。図2(A-1)に示す回路14は、入力端子14a、容量素子14b、液晶素子14c、及び配線33aを有している。図2(A-2)に示す回路14は、配線33bを有する点が図2(A-1)に示す回路14と異なっている。入力端子14aは、容量素子14bの電極の一方と、液晶素子14cの電極の一方とに電気的に接続される。図2(A-1)に示す回路14では、容量素子14bの電極の他方及び液晶素子14cの電極の他方が配線33aに電気的に接続される。図2(A-2)に示す回路14では、液晶素子14cの電極の他方が配線33bと電気的に接続される点が図2(A-1)に示す回路14と異なっている。
【0047】
図2(A-1)に示す回路14では、配線33aが固定の電位を与えられることが好ましいが、表示フレーム毎、又はゲート線毎に異なる電位を与えてもよい。例えば、液晶素子14cにかかる電界の向きを反転させることで、液晶素子14cの焼き付きを低減する効果がある。
【0048】
図2(A-2)に示す回路14では、一例として、配線33a、配線33bがそれぞれ異なる固定の電位を与えられることが好ましい。なお、配線33bには、表示フレーム毎、又はゲート線毎に異なる電位を与えてもよい。容量素子14bが、液晶素子14cと異なる固定の電位を基準として表示データを保持することで、表示データとは異なる電位を液晶素子14cに与えることができる。画素に用いるトランジスタの温度特性と、液晶素子14cの温度特性が異なる場合に固定電位の大きさを調整することで温度特性を調整するのに好適である。
【0049】
また、図2(A-2)に示す回路14では、容量素子14bを必ずしも設けなくてもよい。液晶素子14cの電極を利用して容量を形成してもよい。液晶素子14cの電極を利用して容量を形成し、液晶素子14cを駆動する方法をFFS(Fringe Field Switching)モードと呼ぶ。
【0050】
なお、本明細書において、回路14が液晶素子14cを有する表示装置は、画像の表示方法により直視型、投写型などに分類される。また、該表示装置は、照明光が画素を透過するか、反射するかで、透過型、反射型、半透過型で分類することができる。液晶素子14cの一例としては、液晶の光学的変調作用によって光の透過又は非透過を制御する素子がある。その素子は一対の電極と液晶層により構成されることが可能である。なお、液晶の光学的変調作用は、液晶にかかる電界(横方向の電界、縦方向の電界又は斜め方向の電界を含む)によって制御される。液晶素子に適用される液晶としては、ネマチック液晶、コレステリック液晶、スメクチック液晶、ディスコチック液晶、サーモトロピック液晶、リオトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、高分子分散型液晶(PDLC)、強誘電液晶、反強誘電液晶、主鎖型液晶、側鎖型高分子液晶、バナナ型液晶等が挙げられる。
【0051】
また、液晶表示装置の表示方式としては、TN(Twisted Nematic)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード、IPS(In-Plane-Switching)モード、MVA(Multi-domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASV(Advanced Super View)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro-cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード、PNLC(Polymer Network Liquid Crystal)モード、ゲストホストモード、及び、ブルー相(Blue Phase)モード等がある。
【0052】
図2(B-1)に示す回路14は、入力端子14a、容量素子14b、トランジスタ14d、発光素子14e、配線34a、配線34b、及び配線35を有している。入力端子14aは、容量素子14bの電極の一方と、トランジスタ14dのゲートとに電気的に接続される。トランジスタ14dのソース又はドレインの一方は、配線34aに電気的に接続される。トランジスタ14dのソース又はドレインの他方は、発光素子14eの電極の一方に電気的に接続される。発光素子14eの電極の他方は配線34bに電気的に接続される。容量素子14bの電極の他方は、配線35に電気的に接続される。図示はしていないが、容量素子14bの電極の他方は、トランジスタ14dのソース又はドレインのいずれか一に接続されてもよい。一例として、配線34aには、アノード電位が与えられ、配線34bには、カソード電位が与えられてもよい。もしくは、配線34aには、カソード電位が与えられ、配線34bには、アノード電位が与えられてもよい。
【0053】
図2(B-2)に示す回路14は、さらにトランジスタ14f、及び配線34cを有する点が図2(B-1)に示す回路14と異なっている。トランジスタ14fのゲートには、配線31aが電気的に接続されることが好ましい。
【0054】
一例として、トランジスタ14fの動作について説明する。なお、図示はしていないが、容量素子14bの電極の他方は、トランジスタ14dのソース又はドレインのいずれか一に接続されてもよい。配線32aに与えられる表示データを容量素子14bに与える場合、トランジスタ12がオン状態で、且つ配線31aに与えられる走査信号によってトランジスタ11と、トランジスタ14fとが、同時にオン状態になることが好ましい。入力端子14aを介して容量素子14bの電極の一方に表示データを与えることができる。表示データを容量素子14bに与える場合、トランジスタ14dのソース又はドレインの他方の電位が配線34cから与えられる電位によって固定されることが好ましい。よって、容量素子14bの電極の一方に与えられる表示データを、トランジスタ14dのソース又はドレインの他方の電位を基準とした電位として正確に与えることができる。
【0055】
次に、上述したトランジスタ14fの動作と異なる動作例について説明する。容量素子14bの電極の他方が、トランジスタ14dのソース又はドレインの他方と電気的に接続されている場合、トランジスタ12がオフ状態で、且つ配線31aに与えられる走査信号によってトランジスタ14fをオン状態にする。トランジスタ14fがオン状態になることで配線34cを介してトランジスタ14dに流れる電流を測定することができる。トランジスタ14dに流れる電流を測定することで、トランジスタ14dの電気特性のばらつき、又はトランジスタ14dの電気特性の劣化を補正することができる。
【0056】
画素10がトランジスタ12を有することで、静止画を表示する表示領域のトランジスタ14dの電流値を測定することができるようになる。但し、トランジスタ14dの電流値が小さい場合、電流を測定するには、時間を要する場合がある。従って、複数の配線34cに流れる電流値をまとめて測定してもよい。複数の配線34cに流れる電流値をまとめて測定することで、一つのトランジスタ14dの電流値が小さくても、複数のトランジスタ14dの電流値をまとめて測定することで測定ポイントを削減できるようになる。但し、測定対象のそれぞれの画素に与えられる表示データ、又は配線34bに与えられる電位などは同じであることが好ましい。
【0057】
トランジスタ14dの電気特性の劣化をより正確に補正する場合、配線34bに与える電位は、配線34cに与える電位と同じ電位にすることが好ましい。発光素子14eの影響を受けずトランジスタ14dの電流値を測定することができる。測定された電流値を、トランジスタ14dの電流値を管理する管理テーブルと比較して補正値を算出してもよいし、又は測定された電流値と前回測定された電流値との差分を補正値として算出してもよい。表示データに補正値を加えることで、補正後の第3の表示データを画素10に与えることができる。
【0058】
配線33a、配線33b、配線34a、配線34b、配線34c、及び配線35は、複数の画素に電気的に接続される。なお、それぞれの配線は、信号線に接続される複数の画素、走査線に接続される複数の画素、又は全ての画素などと、適宜電気的に接続されることが好ましい。例えば、配線34cは、それぞれの信号線に接続される複数の画素を一つの単位として接続されることが好ましい。また配線34a、配線34bは、全ての画素と電気的に接続されることが好ましい。
【0059】
図3は、図1と異なる表示装置の構成例を示す回路図である。なお、表示装置は、画素、及び複数の配線を有している。
【0060】
図3(A)に示す画素10Aには、配線32aによって表示データ及び設定データを与えることができる。つまり、配線32aは、トランジスタ11のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ13のソース又はドレインの一方に電気的に接続される。よって配線の数を減らすことで画素10Aの開口率を大きくすることができる。もしくは、画素10Aの開口率を維持したまま、より高精細な表示装置を実現できる。
【0061】
図3(B)に示す画素10Bは、トランジスタ11a乃至トランジスタ13aを有する。トランジスタ11a乃至トランジスタ13aは、半導体層に金属酸化物を有することが好ましい。さらに、トランジスタ11a乃至トランジスタ13aは、それぞれがバックゲートを有する。半導体層に金属酸化物を有するトランジスタは、バックゲートを有することでトランジスタの閾値電圧を制御することができる。
【0062】
例えば、それぞれのトランジスタのゲートがバックゲートと電気的に接続されることで、半導体膜の膜厚を薄くしたのと同じような効果を得ることができる。従って、電極が1つの場合に比べてオン電流を高くすることができる。よって、この構造のトランジスタを画素10Bに用いることで、オン電流を高くすることができるので、トランジスタのサイズを小さくすることができる。そのため画素10Bを用いることで、より高精細な表示装置を実現できる。
【0063】
図3(C)に示す画素10Cは、トランジスタ12aを設けない点が図3(B)に示す画素10Bと異なっている。トランジスタ12aの代わりに、トランジスタ11aのバックゲートには、容量素子15の電極の一方が電気的に接続される。よって、トランジスタ11aのバックゲートには、容量素子15に与えられる設定データが与えられる。トランジスタ11aのバックゲートに設定データが与えられることでトランジスタの閾値電圧が制御される。よって、トランジスタ11aのオン状態又はオフ状態は、容量素子15に与えられる設定データで制御することができる。従って、画素10Cは、トランジスタの数を減らすことで開口率を大きくすることができる。もしくは、画素10Cの開口率を維持したまま、より高精細な表示装置を実現できる。
【0064】
なお、図3(B)、(C)では、トランジスタがバックゲートを有する例を示しているが、半導体層に金属酸化物を有するトランジスタは、必ずしもバックゲートを設けなくてもよい。また、トランジスタのゲートがバックゲートに接続する例を示しているが、バックゲートは、トランジスタのソースに接続されてもよいし、外部の配線に接続されてもよい。
【0065】
図4は、図1と異なる表示装置の構成例を示す回路図である。なお、表示装置は、画素、及び複数の配線を有している。
【0066】
図4(A)に示す表示装置は、走査線として機能する配線31c、及び信号線として機能する配線32cを有し、且つ、画素10Dが、トランジスタ16、及び容量素子17を有する点が図1に示す表示装置と異なっている。トランジスタ16のゲートは、配線31cと電気的に接続される。トランジスタ16のソース又はドレインの一方は、配線32cと電気的に接続される。トランジスタ16のソース又はドレインの他方は、容量素子17の電極の一方と電気的に接続される。容量素子17の電極の他方は、回路14の入力端子14aと電気的に接続されている。
【0067】
例えば、画素10Dでは、トランジスタ12がオン状態の場合、配線32aに与えられる表示データをトランジスタ11を介して回路14に書き込むことができる。次にトランジスタ12がオフ状態に移行する、又はトランジスタ11がオフ状態に移行するいずれか一又は両方の場合において、配線32cに与えられる第1のデータをトランジスタ16を介して容量素子17の電極の一方に与えることができる。容量素子17は、容量素子の電荷保存則に従い回路14に与えられた表示データに第1のデータを加えることができる。
【0068】
従って、画素10Dは、表示データに第1のデータを加算して第4の表示データを生成し、回路14に与えることができる。表示装置は、表示データを画素に与えるソースドライバを有するが、画素10Dが表示データに第1のデータを加算することができるため、ソースドライバが出力する表示データの電圧範囲を小さくすることができる。ソースドライバの出力電圧の範囲を小さくすることで、消費電力を低減することができる。特に回路14が液晶素子14cを有する場合は、画素10Dの構成が好適である。液晶素子14cでは、表示データに高い電圧を与えることが要求される場合がある。
【0069】
図4(B)に示す画素10Eは、配線32bによって設定データ及び第1のデータを画素10Eに与えることができる点が図4(A)に示す画素10Dと異なっている。つまり、配線32bは、トランジスタ13のソース又はドレインの一方と、及びトランジスタ16のソース又はドレインの一方とに電気的に接続される。設定データは、回路14の表示データを更新する状態又は更新しない状態を制御するため、配線32bから容量素子15へ設定データを与える頻度を低く抑えることができる。よって、配線の数を減らすことで画素10Eの開口率を大きくすることができる。もしくは、画素10Eの開口率を維持したまま、より高精細な表示装置を実現できる。
【0070】
図5(A)に示す画素10Fは、配線32aによって表示データ及び第1のデータを画素10Fに与えることができる点が図4(A)に示す画素10Dと異なる点である。つまり、配線32aは、トランジスタ11のソース又はドレインの一方、及びトランジスタ16のソース又はドレインの一方に電気的に接続される。なお、配線32bは、トランジスタ13のソース又はドレインの一方に電気的に接続される。設定データは、回路14の表示データを更新する状態又は更新しない状態を制御するため、配線32bから容量素子15へ設定データを与える頻度を低く抑えることができる。よって、配線の数を減らすことで画素10Dに比べ画素10Fの開口率を大きくすることができる。もしくは、画素10Fの開口率を維持したまま、より高精細な表示装置を実現できる。なお、画素10Fの詳細な動作については、図1、又は図4(A)の説明を援用するものとして省略する。
【0071】
図5(B)に示す画素10Gは、配線32aによって表示データ及び設定データを画素10Gに与えることができる点が図4(A)に示す画素10Dと異なる点である。つまり、配線32aは、トランジスタ11のソース又はドレインの一方と、及びトランジスタ13のソース又はドレインの一方とに電気的に接続される。なお、配線32bは、トランジスタ16のソース又はドレインの一方に電気的に接続される。設定データは、回路14の表示データを更新する状態又は更新しない状態を制御するため、配線32bから容量素子15へ設定データを与える頻度を低く抑えることができる。よって、配線の数を減らすことで画素10Dに比べ画素10Gの開口率を大きくすることができる。もしくは、画素10Gの開口率を維持したまま、より高精細な表示装置を実現できる。なお、画素10Gの詳細な動作については、図3(A)、又は図4(A)の説明を援用するものとして省略する。
【0072】
図6(A)に示す画素10Hは、配線31cを設けない点が図4(A)に示す画素10Dと異なっている。配線31aは、トランジスタ11のゲートに電気的に接続される。配線31bは、トランジスタ13のゲートと、トランジスタ16のゲートとに電気的に接続される。
【0073】
画素10Hの動作を説明する。最初に、トランジスタ13を介して設定データを容量素子15に与える。次に表示データがトランジスタ11を介して回路14に与えられる。次に、トランジスタ13を介してトランジスタ12を非導通状態にし、且つ、トランジスタ16を介して容量素子17に第1のデータを与えることで、表示データに第1のデータを加算する。配線32a、配線32b、及び配線32cには、それぞれに異なるデータ信号が与えられる。よって、配線の数を減らすことで画素10Dに比べ画素10Hの開口率を大きくすることができる。もしくは、画素10Hの開口率を維持したまま、より高精細な表示装置を実現できる。
【0074】
図6(B)に示す画素10Jは、配線31aがトランジスタ11のゲートと、トランジスタ16のゲートとに電気的に接続され、配線31bは、トランジスタ13のゲートに電気的に接続される点が図6(A)に示す画素10Hと異なっている。
【0075】
画素10Jの動作を説明する。最初に、トランジスタ13を介して設定データを容量素子15に与える。次に表示データがトランジスタ11を介して回路14に与えられる。次に、トランジスタ13を介してトランジスタ12を非導通状態にし、且つ、トランジスタ16を介して容量素子17に第1のデータを与えることで、表示データに第1のデータを加算する。配線32a、配線32b、及び配線32cには、それぞれに異なるデータ信号が与えられる。よって、配線の数を減らすことで画素10Dに比べ画素10Jの開口率を大きくすることができる。もしくは、画素10Hの開口率を維持したまま、より高精細な表示装置を実現できる。
【0076】
〈〈表示装置〉〉
図7では、表示装置について詳細な説明をする。表示装置20は、表示部21、ゲートドライバ22、ゲートドライバ23、及びソースドライバ24を有する。表示部21は、複数の画素10を有する。ゲートドライバ22は配線31aに走査信号を与えることができ、ゲートドライバ23は配線31bに走査信号を与えることができる。ソースドライバ24は、デジタルアナログ変換回路24a、及びバッファ回路24bを有する。バッファ回路24bは、複数のバッファ回路24c、及び複数のバッファ回路24dを有している。
【0077】
配線32aに表示データを与えるバッファ回路24cは、表示データを出力していない期間の出力を浮遊状態にできることが好ましい。また、配線32bに設定データを与えるバッファ回路24dは、設定データを出力していない期間は“L”の電圧を出力することが好ましい。ソースドライバ24は、配線32aに表示データを与え、配線32bに設定データを与えることができる。なお、デジタルアナログ変換回路24aは、ディスプレイコントローラ(図7では表示せず)に接続されることが好ましい。
【0078】
図7で示す表示装置20は、配線31a、又は配線31bに対しそれぞれ異なるタイミングで走査信号を与えることができる。つまり、ディスプレイコントローラが表示データを静止画であると判断する場合、ディスプレイコントローラは任意のタイミングで、ゲートドライバ23を用いて画素10に対し表示データを更新しない状態となる設定データを与えることができる。そのため、配線31bに与えられる走査信号は、画素10の表示データを更新するゲートドライバ22とは異なるタイミングで画素10を選択できることが好ましい。ゲートドライバ23は、ゲートドライバ22と同様にシフトレジスタ回路で構成されてもよい、もしくは、デコーダ回路で構成されることがより好ましい。デコーダ回路で構成されるゲートドライバ23は、設定データを変更したい走査線を直接選択することができる。
【0079】
なお、第1の期間では、表示領域が有する全ての画素の表示データを更新する。次に、ディスプレイコントローラが表示データを静止画であると判断する場合、第2の期間では、表示領域の第1の画素に対してゲートドライバ23を用いて表示データを更新しない状態となる設定データを与えることができる。又は、ディスプレイコントローラが表示データを動画であると判断する場合、第2の期間では、表示領域の第2の画素には、表示データを更新する状態となる設定データを与えることができる。次に、第3の期間では、第1の画素、及び第2の画素に与えられた表示データによって同時に表示することができる。上述したように、異なるタイミングで与えられた表示データを用いて同時に表示領域を表示することができる。
【0080】
つまり、動画を表示する表示領域は、表示の視認性に最適な更新頻度で表示データが更新され、静止画を表示する表示領域は、消費電力を低減するため低い更新頻度で表示データが更新される。上述した駆動方法は、部分的にIDS駆動をするため部分IDS駆動と呼ぶことができる。消費電力を小さくすることが要求されるバッテリで動作する電子機器では、好適な駆動方法である。
【0081】
さらに、ディスプレイコントローラは、表示データを更新しなくてもよい画素10と判断すると、バッファ回路24cの出力を浮遊状態にすることが好ましい。該バッファ回路24cの出力を浮遊状態にすることで配線32aの充放電に必要な電力を削減することができる。
【0082】
図8に示す表示装置20Aは、ゲートドライバ25aが奇数行の配線31a、又は配線31b、ゲートドライバ25bが偶数行の配線31a、又は配線31bに走査信号を与えることができる。なお、図7と異なり配線31a、又は配線31bに与える走査信号は、画素10に連続して与えられることが好ましい。
【0083】
ディスプレイコントローラが表示データを静止画と判断する場合について説明する。配線31bに走査信号が与えられている期間の画素10には、表示データを更新しない状態となる設定データが配線32bを介して与えられる。続いて、配線31aに走査信号が与えられている期間は、バッファ回路24bの出力を浮遊状態にすることが好ましい。なお、該画素10には、配線32aを介して表示データが与えられても、又は与えられなくてもいずれでもよい。もしも、該画素10に表示データが与えられたとしても、画素には表示データが書き込まれない。なお、ゲートドライバ25a、及びゲートドライバ25bはシフトレジスタ回路であることが好ましい。
【0084】
図9(A)では、表示装置20によって表示部21において表示を行う例を示している。表示部21は、表示領域21a、及び表示領域21bを有する。図9(A)は、表示領域21aに静止画が表示され、表示領域21bに動画が表示される例である。動画が表示される表示領域21bは、フレーム毎に表示データが更新されることが好ましい。但し、静止画が表示される表示領域21aの表示データは、表示領域21bの表示データが複数回更新される毎に1回更新されることが好ましい。もしくは、表示領域21bの表示データが30回以上更新される毎に表示領域21aの表示データが1回更新されることがより好ましい。もしくは表示領域21bの表示データが60回以上更新される毎に表示領域21aの表示データが1回更新されることがより好ましい。表示領域21aの表示データの更新回数が、表示領域21bの表示データの更新回数より少ないほど消費電力が低減できる。
【0085】
図9(B)では、図9(A)の表示領域21aと表示領域21bとの境界部分である領域21cを拡大表示して示している。領域21cは、図7の表示装置20と同じ構成を有する例を示している。一例として、領域21cは、画素10(i、j)乃至画素10(i+1,j+2)、配線31a(j)乃至配線31a(j+2)、配線31b(j)乃至配線31b(j+2)、配線32a(i)、配線32a(i+1)、配線32b(i)、及び配線32b(i+1)を有する。なお、画素10(i+1,j+1)、画素10(i+1,j+2)は表示領域21bに属しており動画を表示するため、フレーム毎に表示データが更新されることが好ましい。
【0086】
図10では、図9(B)で示す領域21cの動作をタイミングチャートに従って説明する。図10(A)、(B)は、それぞれ異なるタイミングで、画素10に対し表示データ及び設定データを与える例を示している。
【0087】
最初に、図10(A)のタイミングチャートを用いて領域21cの動作を説明する。なお、配線32aに与えられる表示データは、階調を有するアナログ信号であり、配線32bに与えられる“L”の設定データは、トランジスタ12をオフ状態にする電圧である。また、配線32bに与えられる“H”の設定データは、トランジスタ12をオン状態にする電圧である。
【0088】
時刻T1では、配線31b(j)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32b(i)、配線32b(i+1)には、“L”の設定データが与えられる。画素10(i,j)、及び画素10(i+1,j)は、表示データが更新されない状態になる。
【0089】
時刻T2では、配線31b(j+1)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32b(i)には、“L”の設定データが与えられる。また、配線32b(i+1)には、“H”の設定データが与えられる。画素10(i+1,j+1)は、表示データが更新できる状態になる。画素10(i,j+1)は、表示データが更新されない状態になる。
【0090】
時刻T3では、配線31b(j+2)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32b(i)には、“L”の設定データが与えられる。また、配線32b(i+1)には、“H”の設定データが与えられる。画素10(i+1,j+2)は、表示データが更新できる状態になる。画素10(i,j+2)は、表示データが更新されない状態になる。
【0091】
時刻T5では、配線31a(j)に走査信号が与えられる。該時刻では、配線32a(i)、配線32a(i+1)が浮遊状態を維持している。
【0092】
時刻T6では、配線31a(j+1)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32a(i+1)には、表示データD(i+1,j+1)の信号が与えられる。配線32a(i)が浮遊状態になる。
【0093】
時刻T7では、配線31a(j+2)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32b(i+1)には、表示データD(i+1,j+2)の信号が与えられる。配線32a(i)が浮遊状態になる。
【0094】
図10(A)では、設定データ、及び表示データを異なるタイミングで更新する例を示している。つまり、それぞれの画素では、“H”の設定データが与えられた場合しか、表示データを更新しない。なお、図10(A)では、画素に“L”の設定データを与えた場合に表示データを与えた例は示していないが、画素に“L”の設定データを与えた場合は、画素が配線32aに与えられた表示データで更新されない。
【0095】
次に図10(B)では、図10(A)とは異なるタイミングチャートを用いて領域21cの動作を説明する。
【0096】
時刻T11では、配線31b(j)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32b(i)、配線32b(i+1)には、“L”の設定データが与えられる。画素10(i,j)、及び画素10(i+1,j)は、表示データが更新されない状態になる。
【0097】
時刻T12では、配線31a(j)に走査信号が与えられる。該時刻では、配線32a(i)、配線32a(i+1)が浮遊状態を維持している。
【0098】
時刻T13では、配線31b(j+1)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32b(i+1)には、“H”の設定データが与えられる。配線32b(i)には、“L”の設定データが与えられる。画素10(i+1,j+1)は、表示データの更新が許可された状態になる。
【0099】
時刻T14では、配線31a(j+1)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32a(i+1)には、表示データD(i+1,j+1)の信号が与えられる。配線32a(i)が浮遊状態を維持している。
【0100】
時刻T15では、配線31b(j+2)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32b(i+1)には、“H”の設定データが与えられる。配線32b(i)には、“L”の設定データが与えられる。画素10(i+1,j+1)は、表示データの更新が許可された状態になる。
【0101】
時刻T16では、配線31a(j+2)に走査信号が与えられる。該時刻において、配線32a(i+1)には、表示データD(i+1,j+2)の信号が与えられる。配線32a(i)が浮遊状態を維持している。
【0102】
図10(B)では、設定データ、及び表示データを連続するタイミングで更新する例を示している。つまり、それぞれの画素に“H”の設定データが与えられた場合しか、表示データを更新しない。図10(B)では、画素に“L”の設定データを与えた場合に表示データを与えた例は示していないが、画素に“L”の設定データを与えた場合は、画素は表示データで更新されない。
【0103】
例えば、スマートフォンや、タブレット、又はノート型コンピュータなどに上述した表示装置を適用した場合について説明する。一例としてスマートフォンで動画を見る場合、動画を表示している表示領域の画素には“H”の設定データを与え、静止画を表示している表示領域の画素には“L”の設定データを与える。よって静止画を表示する表示領域の画素では表示データが更新されないため消費電力を低減することができる。
【0104】
さらに異なる例として、ビデオカメラ、又はゲーム機器などに上述した表示装置を適用した場合について説明する。一例としてビデオカメラなどで動画を見る場合、上述した機能を用いることで、動画の中から、静止画として取得したい表示領域をタッチパネルなどの入力デバイスを用いて指示する。タッチパネルなどの入力デバイスによって選択された時刻の該表示領域を静止画として取得することが容易にできる。
【0105】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0106】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で説明した各トランジスタに置き換えて用いることのできるトランジスタの一例について、図面を用いて説明する。
【0107】
表示装置20の有する画素10は、ボトムゲート型のトランジスタや、トップゲート型トランジスタなどの様々な形態のトランジスタを用いて作製することができる。よって、既存の製造ラインに合わせて、使用する半導体層の材料やトランジスタ構造を容易に置き換えることができる。
【0108】
〈〈ボトムゲート型トランジスタ〉〉
図11(A1)は、ボトムゲート型のトランジスタの一種であるチャネル保護型のトランジスタ810のチャネル長方向の断面図である。図11(A1)において、トランジスタ810は基板860上に形成されている。また、トランジスタ810は、基板860上に絶縁層861を介して電極858を有する。また、電極858上に絶縁層852を介して半導体層856を有する。電極858はゲート電極として機能できる。絶縁層852はゲート絶縁層として機能できる。
【0109】
また、半導体層856のチャネル形成領域上に絶縁層855を有する。また、半導体層856の一部と接して、絶縁層852上に電極857a及び電極857bを有する。電極857aは、ソース電極又はドレイン電極の一方として機能できる。電極857bは、ソース電極又はドレイン電極の他方として機能できる。電極857aの一部、及び電極857bの一部は、絶縁層855上に形成される。
【0110】
絶縁層855は、チャネル保護層として機能できる。チャネル形成領域上に絶縁層855を設けることで、電極857a及び電極857bの形成時に生じる半導体層856の露出を防ぐことができる。よって、電極857a及び電極857bの形成時に、半導体層856のチャネル形成領域がエッチングされることを防ぐことができる。本発明の一形態によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。
【0111】
また、トランジスタ810は、電極857a、電極857b及び絶縁層855上に絶縁層853を有し、絶縁層853の上に絶縁層854を有する。
【0112】
絶縁層854を設けることで、電極857a及び電極857bの形成時に生じる半導体層856の露出を防ぐことができる。よって、電極857a及び電極857bの形成時に半導体層856の薄膜化を防ぐことができる。
【0113】
半導体層856に酸化物半導体を用いる場合、電極857a及び電極857bの、少なくとも半導体層856と接する部分に、半導体層856の一部から酸素を奪い、酸素欠損を生じさせることが可能な材料を用いることが好ましい。半導体層856中の酸素欠損が生じた領域はキャリア濃度が増加し、当該領域はn型化し、n型領域(n層)となる。従って、当該領域はソース領域又はドレイン領域として機能することができる。半導体層856に酸化物半導体を用いる場合、半導体層856から酸素を奪い、酸素欠損を生じさせることが可能な材料の一例として、タングステン、チタン等を挙げることができる。
【0114】
半導体層856にソース領域及びドレイン領域が形成されることにより、電極857a及び電極857bと半導体層856の接触抵抗を低減することができる。よって、電界効果移動度や、しきい値電圧などの、トランジスタの電気特性を良好なものとすることができる。
【0115】
半導体層856にシリコンなどの半導体を用いる場合は、半導体層856と電極857aの間、及び半導体層856と電極857bの間に、n型半導体又はp型半導体として機能する層を設けることが好ましい。n型半導体又はp型半導体として機能する層は、トランジスタのソース領域又はドレイン領域として機能することができる。
【0116】
絶縁層854は、外部からのトランジスタへの不純物の拡散を防ぐ、又は低減する機能を有する材料を用いて形成することが好ましい。なお、必要に応じて絶縁層854を省略することもできる。
【0117】
図11(A2)に示すトランジスタ811は、絶縁層854上にバックゲート電極として機能できる電極850を有する点が、トランジスタ810と異なる。電極850は、電極858と同様の材料及び方法で形成することができる。
【0118】
一般に、バックゲート電極は導電層で形成され、ゲート電極とバックゲート電極で半導体層のチャネル形成領域を挟むように配置される。よって、バックゲート電極は、ゲート電極と同様に機能させることができる。バックゲート電極の電位は、ゲート電極と同電位としてもよいし、接地電位(GND電位)や、任意の電位としてもよい。また、バックゲート電極の電位をゲート電極と独立して変化させることで、トランジスタのしきい値電圧を変化させることができる。
【0119】
また、電極858及び電極850は、どちらもゲート電極として機能することができる。よって、絶縁層852、絶縁層853、及び絶縁層854は、それぞれがゲート絶縁層として機能することができる。なお、電極850は、絶縁層853と絶縁層854の間に設けてもよい。
【0120】
なお、電極858又は電極850の一方を、「ゲート電極」という場合、他方を「バックゲート電極」という。例えば、トランジスタ811において、電極850を「ゲート電極」と言う場合、電極858を「バックゲート電極」と言う。また、電極850を「ゲート電極」として用いる場合は、トランジスタ811をトップゲート型のトランジスタの一種と考えることができる。また、電極858及び電極850のどちらか一方を、「第1のゲート電極」といい、他方を「第2のゲート電極」という場合がある。
【0121】
半導体層856を挟んで電極858及び電極850を設けることで、更には、電極858及び電極850を同電位とすることで、半導体層856においてキャリアの流れる領域が膜厚方向においてより大きくなるため、キャリアの移動量が増加する。この結果、トランジスタ811のオン電流が高くなると共に、電界効果移動度が高くなる。
【0122】
従って、トランジスタ811は、占有面積に対して高いオン電流を有するトランジスタである。すなわち、求められるオン電流に対して、トランジスタ811の占有面積を小さくすることができる。本発明の一形態によれば、トランジスタの占有面積を小さくすることができる。よって、本発明の一形態によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
【0123】
また、ゲート電極とバックゲート電極は導電層で形成されるため、トランジスタの外部で生じる電界が、チャネルが形成される半導体層に作用しないようにする機能(特に静電気などに対する電界遮蔽機能)を有する。なお、バックゲート電極を半導体層よりも大きく形成し、バックゲート電極で半導体層を覆うことで、電界遮蔽機能を高めることができる。
【0124】
また、バックゲート電極を、遮光性を有する導電膜で形成することで、バックゲート電極側から半導体層に光が入射することを防ぐことができる。よって、半導体層の光劣化を防ぎ、トランジスタのしきい値電圧がシフトするなどの電気特性の劣化を防ぐことができる。
【0125】
本発明の一形態によれば、信頼性の良好なトランジスタを実現することができる。また、信頼性の良好な半導体装置を実現することができる。
【0126】
図11(B1)は、図11(A1)とは異なる構成のチャネル保護型のトランジスタ820のチャネル長方向の断面図である。トランジスタ820は、トランジスタ810とほぼ同様の構造を有しているが、絶縁層855が半導体層856の端部を覆っている点が異なる。また、半導体層856と重なる絶縁層855の一部を選択的に除去して形成した開口部において、半導体層856と電極857aが電気的に接続している。また、半導体層856と重なる絶縁層855の一部を選択的に除去して形成した他の開口部において、半導体層856と電極857bが電気的に接続している。絶縁層855の、チャネル形成領域と重なる領域は、チャネル保護層として機能できる。
【0127】
図11(B2)に示すトランジスタ821は、絶縁層854上にバックゲート電極として機能できる電極850を有する点が、トランジスタ820と異なる。
【0128】
また、トランジスタ820及びトランジスタ821は、トランジスタ810及びトランジスタ811よりも、電極857aと電極858の間の距離と、電極857bと電極858の間の距離が長くなる。よって、電極857aと電極858の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。また、電極857bと電極858の間に生じる寄生容量を小さくすることができる。本発明の一形態によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現できる。
【0129】
図11(C1)は、ボトムゲート型のトランジスタの1つであるチャネルエッチング型のトランジスタ825のチャネル長方向の断面図である。トランジスタ825は、絶縁層855を用いずに電極857a及び電極857bを形成する。このため、電極857a及び電極857bの形成時に露出する半導体層856の一部がエッチングされる場合がある。一方、絶縁層855を設けないため、トランジスタの生産性を高めることができる。
【0130】
図11(C2)に示すトランジスタ825は、絶縁層854上にバックゲート電極として機能できる電極850を有する点が、トランジスタ820と異なる。
【0131】
図12(A1)乃至(C2)にトランジスタ810、811、820、821、825、826のチャネル幅方向の断面図をそれぞれ示す。
【0132】
図12(B2)、(C2)に示す構造では、ゲート電極とバックゲート電極とが接続され、ゲート電極とバックゲート電極との電位が同電位となる。また、半導体層856は、ゲート電極とバックゲート電極に挟まれている。
【0133】
ゲート電極及びバックゲート電極のそれぞれのチャネル幅方向の長さは、半導体層856のチャネル幅方向の長さよりも長く、半導体層856のチャネル幅方向全体は、絶縁層852、855、853、854を間に挟んでゲート電極又はバックゲート電極に覆われた構成である。
【0134】
当該構成とすることで、トランジスタに含まれる半導体層856を、ゲート電極及びバックゲート電極の電界によって電気的に取り囲むことができる。
【0135】
トランジスタ821又はトランジスタ826のように、ゲート電極及びバックゲート電極の電界によって、チャネル形成領域が形成される半導体層856を電気的に取り囲むトランジスタのデバイス構造をSurrounded channel(S-channel)構造と呼ぶことができる。
【0136】
S-channel構造とすることで、ゲート電極及びバックゲート電極の一方又は双方によってチャネルを誘起させるための電界を効果的に半導体層856に印加することができるため、トランジスタの電流駆動能力が向上し、高いオン電流特性を得ることが可能となる。また、オン電流を高くすることが可能であるため、トランジスタを微細化することが可能となる。また、S-channel構造とすることで、トランジスタの機械的強度を高めることができる。
【0137】
〈〈トップゲート型トランジスタ〉〉
図13(A1)に例示するトランジスタ842は、トップゲート型のトランジスタの1つである。トランジスタ842は、絶縁層854を形成した後に電極857a及び電極857bを形成する点がトランジスタ810やトランジスタ820と異なる。電極857a及び電極857bは、絶縁層853及び絶縁層854に形成した開口部において半導体層856と電気的に接続する。
【0138】
また、電極858と重ならない絶縁層852の一部を除去し、電極858と残りの絶縁層852をマスクとして用いて不純物を半導体層856に導入することで、半導体層856中に自己整合(セルフアライメント)的に不純物領域を形成することができる。トランジスタ842は、絶縁層852が電極858の端部を越えて延伸する領域を有する。半導体層856の絶縁層852を介して不純物が導入された領域の不純物濃度は、絶縁層852を介さずに不純物が導入された領域よりも小さくなる。半導体層856は、電極858と重ならない領域にLDD(Lightly Doped Drain)領域が形成される。
【0139】
図13(A2)に示すトランジスタ843は、電極850を有する点がトランジスタ842と異なる。トランジスタ843は、基板860の上に形成された電極850を有する。電極850は、絶縁層861を介して半導体層856と重なる領域を有する。電極850は、バックゲート電極として機能することができる。
【0140】
また、図13(B1)に示すトランジスタ844及び図13(B2)に示すトランジスタ845のように、電極858と重ならない領域の絶縁層852を全て除去してもよい。また、図13(C1)に示すトランジスタ846及び図13(C2)に示すトランジスタ847のように、絶縁層852を残してもよい。
【0141】
トランジスタ842乃至トランジスタ847も、電極858を形成した後に、電極858をマスクとして用いて不純物を半導体層856に導入することで、半導体層856中に自己整合的に不純物領域を形成することができる。本発明の一形態によれば、電気特性の良好なトランジスタを実現することができる。また、本発明の一形態によれば、集積度の高い半導体装置を実現することができる。
【0142】
図14(A1)乃至(C2)にトランジスタ842、843、844、845、846、847のチャネル幅方向の断面図をそれぞれ示す。
【0143】
トランジスタ843、トランジスタ845、及びトランジスタ847は、それぞれ先に説明したS-channel構造である。但し、これに限定されず、トランジスタ843、トランジスタ845、及びトランジスタ847をS-channel構造としなくてもよい。
【0144】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0145】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置、表示装置、及び/又は記憶装置が搭載された電子機器の例について説明する。
【0146】
本実施の形態では、本発明の一形態を用いて作製された表示装置を備える電子機器について説明する。
【0147】
図15(A)は、ファインダー8100を取り付けた状態のカメラ8000の外観を示す図である。
【0148】
カメラ8000は、筐体8001、表示部8002、操作ボタン8003、シャッターボタン8004等を有する。またカメラ8000には、着脱可能なレンズ8006が取り付けられている。
【0149】
ここではカメラ8000として、レンズ8006を筐体8001から取り外して交換することが可能な構成としたが、筐体にレンズ8006が組み込まれていてもよい。
【0150】
カメラ8000は、シャッターボタン8004を押すことにより、撮像することができる。また、表示部8002はタッチパネルとしての機能を有し、表示部8002をタッチすることにより撮像することも可能である。
【0151】
カメラ8000の筐体8001は、電極を有するマウントを有し、ファインダー8100のほか、ストロボ装置等を接続することができる。
【0152】
ファインダー8100は、筐体8101、表示部8102、ボタン8103等を有する。
【0153】
筐体8101は、カメラ8000のマウントと係合するマウントを有しており、ファインダー8100をカメラ8000に取り付けることができる。また当該マウントには電極を有し、当該電極を介してカメラ8000から受信した映像等を表示部8102に表示させることができる。
【0154】
ボタン8103は、電源ボタンとしての機能を有する。ボタン8103により、表示部8102の表示のオン・オフを切り替えることができる。
【0155】
カメラ8000の表示部8002、及びファインダー8100の表示部8102に、本発明の一形態の表示装置を適用することができる。
【0156】
なお、図15(A)では、カメラ8000とファインダー8100とを別の電子機器とし、これらを脱着可能な構成としたが、カメラ8000の筐体8001に、表示装置を備えるファインダーが内蔵されていてもよい。
【0157】
図15(B)は、ヘッドマウントディスプレイ8200の外観を示す図である。
【0158】
ヘッドマウントディスプレイ8200は、装着部8201、レンズ8202、本体8203、表示部8204、ケーブル8205等を有している。また装着部8201には、バッテリ8206が内蔵されている。
【0159】
ケーブル8205は、バッテリ8206から本体8203に電力を供給する。本体8203は無線受信機等を備え、受信した表示データ等の映像情報を表示部8204に表示させることができる。また、本体8203に設けられたカメラで使用者の眼球やまぶたの動きを捉え、その情報をもとに使用者の視線の座標を算出することにより、使用者の視線を入力手段として用いることができる。
【0160】
また、装着部8201には、使用者に触れる位置に複数の電極が設けられていてもよい。本体8203は使用者の眼球の動きに伴って電極に流れる電流を検知することにより、使用者の視線を認識する機能を有していてもよい。また、当該電極に流れる電流を検知することにより、使用者の脈拍をモニタする機能を有していてもよい。また、装着部8201には、温度センサ、圧力センサ、加速度センサ等の各種センサを有していてもよく、使用者の生体情報を表示部8204に表示する機能を有していてもよい。また、使用者の頭部の動きなどを検出し、表示部8204に表示する映像をその動きに合わせて変化させてもよい。
【0161】
表示部8204に、本発明の一形態の表示装置を適用することができる。
【0162】
図15(C)(D)(E)は、ヘッドマウントディスプレイ8300の外観を示す図である。ヘッドマウントディスプレイ8300は、筐体8301と、表示部8302と、バンド状の固定具8304と、一対のレンズ8305と、を有する。
【0163】
使用者は、レンズ8305を通して、表示部8302の表示を視認することができる。なお、表示部8302を湾曲して配置させると好適である。表示部8302を湾曲して配置することで、使用者が高い臨場感を感じることができる。なお、本実施の形態においては、表示部8302を1つ設ける構成について例示したが、これに限定されず、例えば、表示部8302を2つ設ける構成としてもよい。この場合、使用者の片方の目に1つの表示部が配置されるような構成とすると、視差を用いた3次元表示等を行うことも可能となる。
【0164】
なお、表示部8302に、本発明の一形態の表示装置を適用することができる。本発明の一形態の半導体装置を有する表示装置は、極めて精細度が高いため、図15(E)のようにレンズ8305を用いて拡大したとしても、使用者に画素が視認されることなく、より現実感の高い映像を表示することができる。
【0165】
次に、図15(A)乃至図15(E)に示す電子機器と、異なる電子機器の一例を図16(A)乃至図16(G)に示す。
【0166】
図16(A)乃至図16(G)に示す電子機器は、筐体9000、表示部9001、スピーカ9003、操作キー9005(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子9006、センサ9007(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9008、等を有する。
【0167】
図16(A)乃至図16(G)に示す電子機器は、様々な機能を有する。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)によって処理を制御する機能、無線通信機能、無線通信機能を用いて様々なコンピュータネットワークに接続する機能、無線通信機能を用いて様々なデータの送信又は受信を行う機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能、等を有することができる。なお、図16(A)乃至図16(G)に示す電子機器が有することのできる機能はこれらに限定されず、様々な機能を有することができる。また、図16(A)乃至図16(G)には図示していないが、電子機器は、複数の表示部を有する構成としてもよい。また、該電子機器にカメラ等を設け、静止画を撮影する機能、動画を撮影する機能、撮影した画像を記録媒体(外部またはカメラに内蔵)に保存する機能、撮影した画像を表示部に表示する機能、等を有していてもよい。
【0168】
図16(A)乃至図16(G)に示す電子機器の詳細について、以下説明を行う。
【0169】
図16(A)は、テレビジョン装置9100を示す斜視図である。テレビジョン装置9100は、大画面、例えば、50インチ以上、又は100インチ以上の表示部9001を組み込むことが可能である。
【0170】
図16(B)は、携帯情報端末9101を示す斜視図である。携帯情報端末9101は、例えば電話機、手帳又は情報閲覧装置等から選ばれた一つ又は複数の機能を有する。具体的には、スマートフォンとして用いることができる。なお、携帯情報端末9101は、スピーカ9003、接続端子9006、センサ9007等を設けてもよい。また、携帯情報端末9101は、文字や画像情報をその複数の面に表示することができる。例えば、3つの操作ボタン9050(操作アイコン又は単にアイコンともいう)を表示部9001の一の面に表示することができる。また、破線の矩形で示す情報9051を表示部9001の他の面に表示することができる。なお、情報9051の一例としては、電子メールやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)や電話などの着信を知らせる表示、電子メールやSNSなどの題名、電子メールやSNSなどの送信者名、日時、時刻、バッテリの残量、アンテナ受信の強度などがある。又は、情報9051が表示されている位置に、情報9051の代わりに、操作ボタン9050などを表示してもよい。
【0171】
図16(C)は、携帯情報端末9102を示す斜視図である。携帯情報端末9102は、表示部9001の3面以上に情報を表示する機能を有する。ここでは、情報9052、情報9053、情報9054がそれぞれ異なる面に表示されている例を示す。例えば、携帯情報端末9102の使用者は、洋服の胸ポケットに携帯情報端末9102を収納した状態で、その表示(ここでは情報9053)を確認することができる。具体的には、着信した電話の発信者の電話番号又は氏名等を、携帯情報端末9102の上方から観察できる位置に表示する。使用者は、携帯情報端末9102をポケットから取り出すことなく、表示を確認し、電話を受けるか否かを判断できる。
【0172】
図16(D)は、腕時計型の携帯情報端末9200を示す斜視図である。携帯情報端末9200は、移動電話、電子メール、文章閲覧及び作成、音楽再生、インターネット通信、コンピュータゲームなどの種々のアプリケーションを実行することができる。また、表示部9001はその表示面が湾曲して設けられ、湾曲した表示面に沿って表示を行うことができる。また、携帯情報端末9200は、通信規格された近距離無線通信を実行することが可能である。例えば無線通信可能なヘッドセットと相互通信することによって、ハンズフリーで通話することもできる。また、携帯情報端末9200は、接続端子9006を有し、他の情報端末とコネクターを介して直接データのやりとりを行うことができる。また接続端子9006を介して充電を行うこともできる。なお、充電動作は接続端子9006を介さずに無線給電により行ってもよい。
【0173】
図16(E)(F)(G)は、折り畳み可能な携帯情報端末9201を示す斜視図である。また、図16(E)が携帯情報端末9201を展開した状態の斜視図であり、図16(F)が携帯情報端末9201を展開した状態又は折り畳んだ状態の一方から他方に変化する途中の状態の斜視図であり、図16(G)が携帯情報端末9201を折り畳んだ状態の斜視図である。携帯情報端末9201は、折り畳んだ状態では可搬性に優れ、展開した状態では、継ぎ目のない広い表示領域により表示の一覧性に優れる。携帯情報端末9201が有する表示部9001は、ヒンジ9055によって連結された3つの筐体9000に支持されている。ヒンジ9055を介して2つの筐体9000間を屈曲させることにより、携帯情報端末9201を展開した状態から折りたたんだ状態に可逆的に変形させることができる。例えば、携帯情報端末9201は、曲率半径1mm以上150mm以下で曲げることができる。
【0174】
本実施の形態において述べた電子機器は、何らかの情報を表示するための表示部を有する。ただし、本発明の一形態の半導体装置は、表示部を有さない電子機器にも適用することができる。
【0175】
本実施の形態で例示した構成例、及びそれらに対応する図面等は、少なくともその一部を他の構成例、又は図面等と適宜組み合わせて実施することができる。
【0176】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0177】
(実施の形態4)
本実施の形態では、本発明の一形態の電子機器について、図面を参照して説明する。
【0178】
以下で例示する電子機器は、表示部に本発明の一形態の表示装置を備えるものである。従って、高い解像度が実現された電子機器である。また高い解像度と、大きな画面が両立された電子機器とすることができる。
【0179】
本発明の一形態の電子機器の表示部には、例えばフルハイビジョン、4K2K、8K4K、16K8K、又はそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。また、表示部の画面サイズとしては、対角20インチ以上、又は対角30インチ以上、又は対角50インチ以上、対角60インチ以上、又は対角70インチ以上とすることもできる。
【0180】
電子機器としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用などのモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機などの大型ゲーム機などの比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、などが挙げられる。
【0181】
本発明の一形態の電子機器又は照明装置は、家屋もしくはビルの内壁もしくは外壁、又は、自動車の内装もしくは外装の曲面に沿って組み込むことができる。
【0182】
本発明の一形態の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0183】
本発明の一形態の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0184】
本発明の一形態の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像など)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻などを表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。
【0185】
図17(A)にテレビジョン装置の一例を示す。テレビジョン装置7100は、筐体7101に表示部7500が組み込まれている。ここでは、スタンド7103により筐体7101を支持した構成を示している。
【0186】
表示部7500に、本発明の一形態の表示装置を適用することができる。
【0187】
図17(A)に示すテレビジョン装置7100の操作は、筐体7101が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機7111により行うことができる。又は、表示部7500にタッチセンサを備えていてもよく、指等で表示部7500に触れることで操作してもよい。リモコン操作機7111は、当該リモコン操作機7111から出力する情報を表示する表示部を有していてもよい。リモコン操作機7111が備える操作キー又はタッチパネルにより、チャンネル及び音量の操作を行うことができ、表示部7500に表示される映像を操作することができる。
【0188】
なお、テレビジョン装置7100は、受信機及びモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができる。また、モデムを介して有線又は無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)又は双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0189】
図17(B)に、ノート型パーソナルコンピュータ7200を示す。ノート型パーソナルコンピュータ7200は、筐体7211、キーボード7212、ポインティングデバイス7213、外部接続ポート7214等を有する。筐体7211に、表示部7500が組み込まれている。
【0190】
表示部7500に、本発明の一形態の表示装置を適用することができる。
【0191】
図17(C)、(D)に、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)の一例を示す。
【0192】
図17(C)に示すデジタルサイネージ7300は、筐体7301、表示部7500、及びスピーカ7303等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、又は操作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
【0193】
また、図17(D)は円柱状の柱7401に取り付けられたデジタルサイネージ7400である。デジタルサイネージ7400は、柱7401の曲面に沿って設けられた表示部7500を有する。
【0194】
図17(C)、(D)において、表示部7500に、本発明の一形態の表示装置を適用することができる。
【0195】
表示部7500が広いほど、一度に提供できる情報量を増やすことができる。また、表示部7500が広いほど、人の目につきやすく、例えば、広告の宣伝効果を高めることができる。
【0196】
表示部7500にタッチパネルを適用することで、表示部7500に画像又は動画を表示するだけでなく、使用者が直感的に操作することができ、好ましい。また、路線情報もしくは交通情報などの情報を提供するための用途に用いる場合には、直感的な操作によりユーザビリティを高めることができる。
【0197】
また、図17(C)、(D)に示すように、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400は、ユーザが所持するスマートフォン等の情報端末機7311又は情報端末機7411と無線通信により連携可能であることが好ましい。例えば、表示部7500に表示される広告の情報を、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面に表示させることができる。また、情報端末機7311又は情報端末機7411を操作することで、表示部7500の表示を切り替えることができる。
【0198】
また、デジタルサイネージ7300又はデジタルサイネージ7400に、情報端末機7311又は情報端末機7411の画面を操作手段(コントローラ)としたゲームを実行させることもできる。これにより、不特定な複数のユーザが同時にゲームに参加し、楽しむことができる。
【0199】
本実施の形態は、少なくともその一部を本明細書中に記載する他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することができる。
【0200】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記実施の形態で述べたOSトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0201】
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、又はその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つあるいはそれ以上の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上2nm以下、又はその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、又はパッチ状ともいう。
【0202】
なお、金属酸化物は、少なくともインジウムを含むことが好ましい。特にインジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種が含まれていてもよい。
【0203】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OS(CAC-OSの中でもIn-Ga-Zn酸化物を、特にCAC-IGZOと呼称してもよい。)とは、インジウム酸化物(以下、InOX1(X1は0よりも大きい実数)とする。)、又はインジウム亜鉛酸化物(以下、InX2ZnY2Z2(X2、Y2、及びZ2は0よりも大きい実数)とする。)と、ガリウム酸化物(以下、GaOX3(X3は0よりも大きい実数)とする。)、又はガリウム亜鉛酸化物(以下、GaX4ZnY4Z4(X4、Y4、及びZ4は0よりも大きい実数)とする。)などと、に材料が分離することでモザイク状となり、モザイク状のInOX1、又はInX2ZnY2Z2が、膜中に均一に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。
【0204】
つまり、CAC-OSは、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。なお、本明細書において、例えば、第1の領域の元素Mに対するInの原子数比が、第2の領域の元素Mに対するInの原子数比よりも大きいことを、第1の領域は、第2の領域と比較して、Inの濃度が高いとする。
【0205】
なお、IGZOは通称であり、In、Ga、Zn、及びOによる1つの化合物をいう場合がある。代表例として、InGaO(ZnO)m1(m1は自然数)、又はIn(1+x0)Ga(1-x0)(ZnO)m0(-1≦x0≦1、m0は任意数)で表される結晶性の化合物が挙げられる。
【0206】
上記結晶性の化合物は、単結晶構造、多結晶構造、又はCAAC構造を有する。なお、CAAC構造とは、複数のIGZOのナノ結晶がc軸配向を有し、かつa-b面においては配向せずに連結した結晶構造である。
【0207】
一方、CAC-OSは、金属酸化物の材料構成に関する。CAC-OSとは、In、Ga、Zn、及びOを含む材料構成において、一部にGaを主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。従って、CAC-OSにおいて、結晶構造は副次的な要素である。
【0208】
なお、CAC-OSは、組成の異なる二種類以上の膜の積層構造は含まないものとする。例えば、Inを主成分とする膜と、Gaを主成分とする膜との2層からなる構造は、含まない。
【0209】
なお、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域とは、明確な境界として観察することが難しい場合がある。
【0210】
なお、ガリウムの代わりに、アルミニウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種が含まれている場合、CAC-OSは、一部に該金属元素を主成分とするナノ粒子状に観察される領域と、一部にInを主成分とするナノ粒子状に観察される領域とが、それぞれモザイク状にランダムに分散している構成をいう。
【0211】
CAC-OSは、例えば基板を加熱しない条件で、スパッタリング法により形成することができる。また、CAC-OSをスパッタリング法で形成する場合、成膜ガスとして、不活性ガス(代表的にはアルゴン)、酸素ガス、及び窒素ガスの中から選ばれたいずれか一つ又は複数を用いればよい。また、成膜時の成膜ガスの総流量に対する酸素ガスの流量比は低いほど好ましく、例えば酸素ガスの流量比を0%以上30%未満、好ましくは0%以上10%以下とすることが好ましい。
【0212】
CAC-OSは、X線回折(XRD:X-ray diffraction)測定法のひとつであるOut-of-plane法によるθ/2θスキャンを用いて測定したときに、明確なピークが観察されないという特徴を有する。すなわち、X線回折測定から、測定領域のa-b面方向、及びc軸方向の配向は見られないことが分かる。
【0213】
またCAC-OSは、プローブ径が1nmの電子線(ナノビーム電子線ともいう。)を照射することで得られる電子線回折パターンにおいて、リング状に輝度の高い領域(リング領域)と、該リング領域に複数の輝点が観測される。従って、電子線回折パターンから、CAC-OSの結晶構造が、平面方向、及び断面方向において、配向性を有さないnc(nano-crystal)構造を有することがわかる。
【0214】
また例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、GaOX3が主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0215】
CAC-OSは、金属元素が均一に分布したIGZO化合物とは異なる構造であり、IGZO化合物と異なる性質を有する。つまり、CAC-OSは、GaOX3などが主成分である領域と、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域と、に互いに相分離し、各元素を主成分とする領域がモザイク状である構造を有する。
【0216】
ここで、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域は、GaOX3などが主成分である領域と比較して、導電性が高い領域である。つまり、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域を、キャリアが流れることにより、金属酸化物としての導電性が発現する。従って、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域が、金属酸化物中にクラウド状に分布することで、高い電界効果移動度(μ)が実現できる。
【0217】
一方、GaOX3などが主成分である領域は、InX2ZnY2Z2、又はInOX1が主成分である領域と比較して、絶縁性が高い領域である。つまり、GaOX3などが主成分である領域が、金属酸化物中に分布することで、リーク電流を抑制し、良好なスイッチング動作を実現できる。
【0218】
従って、CAC-OSを半導体素子に用いた場合、GaOX3などに起因する絶縁性と、InX2ZnY2Z2、又はInOX1に起因する導電性とが、相補的に作用することにより、高いオン電流(Ion)、及び高い電界効果移動度(μ)を実現することができる。
【0219】
また、CAC-OSを用いた半導体素子は、信頼性が高い。従って、CAC-OSは、ディスプレイをはじめとするさまざまな半導体装置に最適である。
【0220】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0221】
本明細書において、特に断りがない場合、オン電流とは、トランジスタがオン状態にあるときのドレイン電流をいう。オン状態(オンと略す場合もある)とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧(V)がしきい値電圧(Vth)以上の状態、pチャネル型トランジスタでは、VがVth以下の状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオン電流とは、VがVth以上のときのドレイン電流を言う。また、トランジスタのオン電流は、ドレインとソースの間の電圧(V)に依存する場合がある。
【0222】
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態(オフと略す場合もある)とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、VがVthよりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、VがVthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、VがVthよりも低いときのドレイン電流を言う。トランジスタのオフ電流は、Vに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流が10-21A未満である、とは、トランジスタのオフ電流が10-21A未満となるVの値が存在することを言う場合がある。
【0223】
また、トランジスタのオフ電流は、Vに依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合、Vの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、又は20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。又は、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVにおけるオフ電流を表す場合がある。
【0224】
なお、電圧とは2点間における電位差のことをいい、電位とはある一点における静電場の中にある単位電荷が持つ静電エネルギー(電気的な位置エネルギー)のことをいう。但し、一般的に、ある一点における電位と基準となる電位(例えば接地電位)との電位差のことを、単に電位もしくは電圧と呼び、電位と電圧が同義語として用いられることが多い。このため、本明細書では特に指定する場合を除き、電位を電圧と読み替えてもよいし、電圧を電位と読み替えてもよいこととする。
【0225】
本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。
【0226】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0227】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さずに、XとYとが、接続されている場合である。
【0228】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能な場合である。なお、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。又は、スイッチは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【符号の説明】
【0229】
11:トランジスタ、11a:トランジスタ、12:トランジスタ、12a:トランジスタ、13:トランジスタ、13a:トランジスタ、14:回路、14a:入力端子、14b:容量素子、14c:液晶素子、14d:トランジスタ、14e:発光素子、14f:トランジスタ、15:容量素子、16:トランジスタ、17:容量素子、20:表示装置、20A:表示装置、21:表示部、21a:表示領域、21b:表示領域、21c:領域、22:ゲートドライバ、23:ゲートドライバ、24:ソースドライバ、24a:デジタルアナログ変換回路、24b:バッファ回路、25a:ゲートドライバ、25b:ゲートドライバ、31:配線、31a:配線、31b:配線、31c:配線、32:配線、32a:配線、32b:配線、32c:配線、33a:配線、33b:配線、34a:配線、34b:配線、34c:配線。
図1
図2
図3
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