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特許7374891活性化可能抗CD71抗体による薬物コンジュゲート及びこの使用の方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】活性化可能抗CD71抗体による薬物コンジュゲート及びこの使用の方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/30 20060101AFI20231030BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 38/08 20190101ALI20231030BHJP
   A61K 47/65 20170101ALI20231030BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20231030BHJP
   A61K 47/55 20170101ALI20231030BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231030BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231030BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20231030BHJP
【FI】
C07K16/30 ZNA
C07K19/00
A61K39/395 N
A61K39/395 L
A61K38/08
A61K47/65
A61K47/68
A61K47/55
A61P35/00
A61P43/00 111
C12N15/13
C12N15/11 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020520804
(86)(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 US2018055733
(87)【国際公開番号】W WO2019075417
(87)【国際公開日】2019-04-18
【審査請求日】2021-05-13
(31)【優先権主張番号】62/572,467
(32)【優先日】2017-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シン,シュエタ
(72)【発明者】
【氏名】リチャードソン,ジェニファー・ホープ
(72)【発明者】
【氏名】サーワー,ローラ・パターソン
(72)【発明者】
【氏名】テレット,ジョナサン・アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】モーガン-ラッペ,スーザン・イー
(72)【発明者】
【氏名】エンリケス,トレイシー
(72)【発明者】
【氏名】ラルストン,シェリー・エル
(72)【発明者】
【氏名】リーナ,マービン・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】バーダニャーニ,イラーリア
(72)【発明者】
【氏名】ボーズ,サハナ
【審査官】松村 真里
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/179257(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K 16/00
C12N 15/00
A61K 38/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、
i.配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域、並びに
ii.配列番号12を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体であり、
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能なコンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し、
(iii)LP1は、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり、
(iv)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり、
(v)LP2は、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり、
(b)「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項2】
ABが、IgG1アイソタイプを含む、請求項1に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項3】
ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、請求項1又は2に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項4】
重鎖可変領域が、配列番号5の配列を含み、軽鎖可変領域が、配列番号7の配列を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項5】
配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項6】
配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号201の配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項7】
配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号202の配列を含む軽鎖可変領域を含む、請求項6に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項8】
配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号202の配列を含む軽鎖可変領域を含み、配列番号202のN末端アミノ酸が、ピログルタメートへと修飾されている、請求項6に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項9】
配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項10】
配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号170の配列を含む軽鎖を含む、請求項9に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【請求項11】
配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号170の配列を含む軽鎖を含み、配列番号170のN末端アミノ酸が、ピログルタメートへと修飾されている、請求項9に記載の活性化可能なコンジュゲート抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その内容を、その全体において参照により本明細書に組み込む、2017年10月14日に出願された、米国仮特許出願第62/572,467号の利益を主張する。
【0002】
配列表の参照
本出願は、37 C.F.R.1.821に従い、ファイル名を「CYTM056001US_12OCT2018_FINAL_ST25.txt」としてEFS-Webを介して、コンピュータで読取り可能な形態(CFR)において、本明細書と共に電子的に提出されている「配列表」を、その全体において参照により本明細書に組み込む。配列表の電子コピーは、2018年10月12日に作成され、ディスクサイズは、96キロバイトである。
【0003】
発明の分野
本発明は、一般に、活性化状態においてCD71に結合する活性化可能抗体薬物コンジュゲート(AADC)並びにこれらの活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体を作り、様々な治療適応、診断適応及び予防適応において使用する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
抗体ベースの療法は、いくつかの疾患に対して、有効な処置であることが実証されているが、場合によって、広範な標的発現に起因する毒性は、これらの治療有効性を制限している。加えて、抗体ベースの治療剤は、投与後における循環からの急速なクリアランスなど、他の制限も呈示している。
【0005】
低分子治療剤の領域において、活性の化学的実体によるプロドラッグをもたらす戦略が開発されている。このようなプロドラッグは、比較的不活性の(又は著しく小さな活性の)形態において投与される。投与されると、プロドラッグは、インビボにおいて、活性化合物へと代謝される。このようなプロドラッグ戦略は、薬物の、その意図された標的に対する選択性の増大及び有害作用の軽減をもたらし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、抗体ベースの治療剤の分野において、低分子プロドラッグの所望の特徴を模倣する抗体が、引き続き必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の要旨)
本開示は、トランスフェリン受容体タンパク質1(TfR1)としてもまた公知のCD71に特異的に結合する活性化可能コンジュゲート抗体を提示する。
【0008】
本発明のある態様において、式(I):
【0009】
【化1】
[式中、(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)LP1は、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;(iv)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(v)LP2は、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;(b)「n」は2である。]の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0010】
本発明の関連する態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)LP1が、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;(iv)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(v)LP2が、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;(b)「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0011】
本発明の関連する態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)LP1が、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;(iv)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(v)LP2が、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;(b)「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0012】
本発明の関連する態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含み、「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0013】
本発明の関連する態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号170の配列を含む軽鎖を含み、「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0014】
本発明の関連する態様において、式(II):
【0015】
【化2】
[式中、(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(b)「n」は2である。]の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0016】
本発明の関連する態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(b)「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0017】
本発明の関連する態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(b)「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0018】
本発明の関連する態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含み、「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0019】
本発明の関連する態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号170の配列を含む軽鎖を含み、「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0020】
本発明の別の態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)LP1が、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;(iv)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(v)LP2が、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;(b)「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0021】
本発明の別の態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)LP1が、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;(iv)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(v)LP2が、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;(b)「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0022】
本発明の別の態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)LP1が、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;(iv)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(v)LP2が、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;(b)「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0023】
本発明の別の態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含み;(b)「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0024】
本発明の別の態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号170の配列を含む軽鎖を含み;(b)「n」が2である、式(I)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0025】
本発明の別の態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(b)「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0026】
本発明の別の態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(b)「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0027】
本発明の別の態様において、(i)ABが、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含む抗体であり;(ii)MMが、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMが、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;(iii)CMが、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMが、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;(b)「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0028】
本発明の別の態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含み;(b)「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0029】
本発明の別の態様において、MM-LP1-CM-LP2-ABが、活性化可能抗体であり、ここで、ABが、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、活性化可能抗体が、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号170の配列を含む軽鎖を含み;(b)「n」が2である、式(II)の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0030】
本発明の別の態様において、式(I)又は式(II)の1回の反復による活性化可能コンジュゲート抗体を含む医薬組成物が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含み得る。
【0031】
本発明の別の態様において、対象におけるがんを処置する、その症状を緩和する又はその進行を遅延させる方法であって、胃がん、卵巣がん、食道がん、非小細胞肺がん、ER+乳がん、トリプルネガティブ乳がん、結腸直腸がん、黒色腫、前立腺がん、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部小細胞癌、膵臓がん、中皮腫、非ホジキンリンパ腫、肝細胞癌及び神経膠芽腫からなる群から選択されるがんのために、治療有効量の、式(I)若しくは式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体又は式(I)若しくは式(II)の1回の反復による活性化可能コンジュゲート抗体を含む医薬組成物及び、任意選択的に、薬学的に許容される担体を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法が本明細書において提示されている。
【0032】
本発明の別の態様において、(a)非切断状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB[配置中、(i)ABは、哺乳動物CD71に特異的に結合し、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号7の軽鎖可変領域配列を含む抗体であり;(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABへとカップリングされたMMは、ABの、CD71への結合を阻害し;(iii)CMは、ABへとカップリングされた配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。]の構造的配置を含む活性化可能抗体(AA);並びに(b)活性化可能抗体が2当量のモノメチルアウリスタチンE(MMAE)へとコンジュゲートされた、MMAEを含む活性化可能コンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、活性化可能コンジュゲート抗体。
【0033】
本発明の別の態様において、式AA-(AG)p[式中、(a)AAは、非切断状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB[配置中、(i)ABは、哺乳動物CD71に特異的に結合し、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号7の軽鎖可変領域配列を含む抗体であり;(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABへとカップリングされたMMは、ABの、CD71への結合を阻害し;(iii)CMは、ABへとカップリングされた配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。]の構造的配置を含む活性化可能抗体であり;(b)AGは、AAへとコンジュゲートさせた薬剤であり、ここで、薬剤はMMAEであり、pは2である。]を有する、活性化可能コンジュゲート抗体が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、活性化可能コンジュゲート抗体。
【0034】
本発明の別の態様において、活性化可能コンジュゲート抗体を製造する方法であって、(a)少なくとも1つのMMAEを、活性化可能抗体(AA)へとコンジュゲートさせ、これにより、AA-(MMAE)p[式中、pは1~8である。]を含む組成物を作製すること;及び(b)組成物を、pが2である、活性化可能コンジュゲート抗体分子種について強化することを含み、AAが、非切断状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB[配置中、ABは、哺乳動物CD71に特異的に結合し、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号7の軽鎖可変領域配列を含む抗体であり;(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABへとカップリングされたMMは、ABの、CD71への結合を阻害し;(iii)CMは、ABへとカップリングされた配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。]の構造的配置を含み;(b)AGは、AAへとコンジュゲートされた薬剤であり、ここで、薬剤はMMAEであり、pは2である、方法が本明細書において提示されている。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、活性化可能コンジュゲート抗体。
【0035】
本発明の別の態様において、医薬としての使用のための、本明細書において開示されている、任意の活性化可能コンジュゲート抗体又は医薬組成物が本明細書において提示されている。
【0036】
本発明の別の態様において、任意選択的に、胃がん、卵巣がん、食道がん、非小細胞肺がん、ER+乳がん、トリプルネガティブ乳がん、結腸直腸がん、黒色腫、前立腺がん、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部小細胞癌、膵臓がん、中皮腫、非ホジキンリンパ腫、肝細胞癌及び神経膠芽腫からなる群から選択されるがんの処置における使用のための、本明細書において開示されている、任意の活性化可能コンジュゲート抗体又は医薬組成物が本明細書において提示されている。
【0037】
本発明の別の態様において、本明細書において開示されている、少なくとも1つの活性化可能抗体を含むキットが本明細書において提示されている。キットは、1つ以上のvcMMAE及び/又は還元剤をさらに含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】実施例5において論じられている通り、多様な原発がん組織型内及び転移性がん組織型内の、CD71発現レベルを決定する、例示的な免疫組織化学(IHC)アッセイを描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、CD71が、様々なヒトがんの原発腫瘍内において、高レベルで発現されていることを示した。
図2】実施例5において論じられている通り、CD71の、複数の患者に由来する転移性がん試料中の発現レベルについての例示的な研究を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、CD71が、様々なヒトがんの転移性腫瘍内において、高レベルで発現されていることを示した。
図3A】実施例4において論じられている通り、活性化可能抗体が、無傷である又はタンパク質分解的に活性化されている(「ACT」と表記される)場合に、本開示の、非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体及びコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体が、ヒトの組換えCD71に結合する能力についての、例示的なインビトロアッセイを描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、その非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体対応物と同等なレベルにおいて、CD71に結合し、また、プロテアーゼを活性化させると、CD71に、アフィニティーを同等に増大させて結合することを示した。
図3B】実施例4において論じられている通り、活性化可能抗体が、無傷である又はタンパク質分解的に活性化されている(「ACT」と表記される)場合に、本開示の、非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体及びコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体が、カニクイザルの組換えCD71に結合する能力についての、例示的なインビトロアッセイを描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、その非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体対応物と同等なレベルにおいて、CD71に結合し、また、プロテアーゼを活性化させると、CD71に、アフィニティーを同等に増大させて結合することを示した。
図3C】実施例4において論じられている通り、活性化可能抗体が、無傷である又はタンパク質分解的に活性化されている(「ACT」と表記される)場合に、本開示の、非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体及びコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体が、ヒトの、細胞表面上のCD71に結合する能力についての、例示的なインビトロアッセイを描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、その非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体対応物と同等なレベルにおいて、細胞表面CD71に結合し、また、プロテアーゼを活性化させると、細胞表面CD71に、アフィニティーを同等に増大させて結合することを示した。
図3D】実施例4において論じられている通り、活性化可能抗体が、無傷である又はタンパク質分解的に活性化されている(「ACT」と表記される)場合に、本開示の、非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体及びコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体が、カニクイザルの、細胞表面上のCD71に結合する能力についての、例示的なインビトロアッセイを描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、その非コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体対応物と同等なレベルにおいて、細胞表面CD71に結合し、また、プロテアーゼを活性化させると、細胞表面CD71に、アフィニティーを同等に増大させて結合することを示した。
図4A】実施例6において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究(抗CD71 TF01-3011-MMAE対抗CD71 TF02.13-2011-MMAE)を描示する図である。これらの例示的な結果が示したところによると、この図及び例において、低アフィニティーのマスキング部分を伴うAADC(TF02.13)が、高アフィニティーのマスキング部分を伴うAADC(TF01)より、大きな有効性を示す。
図4B】実施例6において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究(抗CD71 TF01-3011-MMAE対抗CD71 TF02.13-2011-MMAE)を描示する図である。これらの例示的な結果が示したところによると、この図及び例において、低アフィニティーのマスキング部分を伴うAADC(TF02.13)が、高アフィニティーのマスキング部分を伴うAADC(TF01)より、大きな有効性を示す。
図4C】実施例6において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究(抗CD71 TF01-3011-MMAE対抗CD71 TF02.13-2011-MMAE)を描示する図である。これらの例示的な結果が示したところによると、この図及び例において、低アフィニティーのマスキング部分を伴うAADC(TF02.13)が、高アフィニティーのマスキング部分を伴うAADC(TF01)より、大きな有効性を示す。
図5】実施例7において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、切断可能性がより低い基質を伴う、表示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE)の有効性が、図4B及び4Cにおいて示されている、切断可能性がより高い基質を伴うAADC(抗CD71 TF02.13-3011-vcMMAE)の有効性と実質的に同じであることを裏付けている。
図6A】実施例8において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の、DAR(DARを約3とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE対DARを約2とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)が異なる活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、異なるDARを有する、用量をマッチさせたAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE)の有効性が、同等な有効性を示したことを裏付けている。
図6B】実施例8において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の、DAR(DARを約3とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE対DARを約2とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)が異なる活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、異なるDARを有する、用量をマッチさせたAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE)の有効性が、同等な有効性を示したことを裏付けている。
図6C】実施例8において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の、DAR(DARを約3とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE対DARを約2とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)が異なる活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、異なるDARを有する、用量をマッチさせたAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE)の有効性が、同等な有効性を示したことを裏付けている。
図6D】実施例8において論じられている通り、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の、DAR(DARを約3とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE対DARを約2とする抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)が異なる活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)についての、例示的な有効性研究を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、異なるDARを有する、用量をマッチさせたAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE)の有効性が、同等な有効性を示したことを裏付けている。
図7A】実施例9において論じられている通り、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)の投与から生じる代謝産物について解析するための、例示的な概略的ワークフローを示す図である。
図7B】実施例9において論じられる通り、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)の投与から生じる代謝産物について解析するための、例示的な概略的ワークフローを示す図である。
図7C】実施例9において論じられる通り、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)の投与から生じる代謝産物について解析するための、例示的な概略的ワークフローを示す図である。
図8】実施例11~14において論じられている通り、動物モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)投与後における、代謝副産物の例示的な時間経過を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示の完全無傷のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の量が、動物内において、投与を通じて、用量に比例する量で維持され、活性化可能抗体へとコンジュゲートされたMMAEの量が、投与を通じて、全ての投与レベルにおいて、非コンジュゲートMMAEの量より実質的に高量であることを裏付ける。
図9】実施例11~14において論じられている通り、動物モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)投与後における、代謝副産物の例示的な時間経過を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示の完全無傷のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の量が、動物内において、投与を通じて、用量に比例する量で維持され、活性化可能抗体へとコンジュゲートされたMMAEの量が、投与を通じて、全ての投与レベルにおいて、非コンジュゲートMMAEの量より実質的に高量であることを裏付ける。
図10】実施例11~14において論じられている通り、動物モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)投与後における、代謝副産物の例示的な時間経過を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示の完全無傷のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の量が、動物内において、投与を通じて、用量に比例する量で維持され、活性化可能抗体へとコンジュゲートされたMMAEの量が、投与を通じて、全ての投与レベルにおいて、非コンジュゲートMMAEの量より実質的に高量であることを裏付ける。
図11】実施例11~14において論じられている通り、動物モデルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)投与後における、代謝副産物の例示的な時間経過を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示の完全無傷のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の量が、動物内において、投与を通じて、用量に比例する量で維持され、活性化可能抗体へとコンジュゲートされたMMAEの量が、投与を通じて、全ての投与レベルにおいて、非コンジュゲートMMAEの量より実質的に高量であることを裏付ける。
図12】実施例17において論じられている通り、表示の被験物質の、iC3bタンパク質断片に対する、例示的な滴定であって、補体カスケードを活性化させる、それらの能力を表す滴定を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)が、補体活性化について、その非コンジュゲート活性化可能抗体と比較した低能力を示したことを裏付けている。
図13】実施例19において論じられている通り、ヒト結腸直腸細胞株を使用するマウス異種移植片モデルにおける、本開示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の、例示的な有効性を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示のAADCが、全ての投与量において、有意な腫瘍増殖の阻害を示し、最高投与量において観察された完全退縮を伴ったことを裏付けている。
図14】実施例20において論じられている通り、ヒト患者由来腫瘍(DLBCL)を使用する、マウス異種移植片モデルにおける、本開示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の、例示的な有効性を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示のAADCが、単回投与の後において、有意な腫瘍増殖の阻害を示し、場合によって、完全奏効も観察されたことを裏付けている。
図15A】実施例21において論じられている通り、患者由来マウス異種移植片(PDX)モデルにおける、本開示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の、例示的な有効性を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示のAADCが、様々なヒトがん型に由来するPDXモデルにおいて、場合によって、完全奏効も含む有効性を示したことを裏付けている。
図15B】実施例21において論じられている通り、患者由来マウス異種移植片(PDX)モデルにおける、本開示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の、例示的な有効性を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示のAADCが、様々なヒトがん型に由来するPDXモデルにおいて、場合によって、完全奏効も含む有効性を示したことを裏付けている。
図15C】実施例21において論じられている通り、患者由来マウス異種移植片(PDX)モデルにおける、本開示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の、例示的な有効性を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示のAADCが、様々なヒトがん型に由来するPDXモデルにおいて、場合によって、完全奏効も含む有効性を示したことを裏付けている。
図16】実施例22において論じられている通り、患者由来マウス異種移植片モデルにおける、本開示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)の、例示的な有効性を描示する図である。この図及び例において示されている例示的な結果は、本開示のAADCが、PDX膵臓がんモデルに対して、場合によって、完全奏効も含む有効性を示したことを裏付けている。
図17】実施例10において論じられている通り、本開示の、毒素をコンジュゲートさせた活性化可能抗ヒトCD71抗体(AADC)(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)は、カニクイザルにおける高相対用量においてもなお、対応する親抗CD71抗体薬物コンジュゲート(ADC)と比較して、忍容性が良好であり、安定であり、基質の切断能力が大きく、高DARを有することを示す結果をまとめる図である。
図18A】実施例27において論じられている通り、非精製抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE中に存在する分子種についての、HICにより分離されたプロファイルを示す図である。この図及び例は、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2が、単一のコンジュゲート分子種として泳動されることを示す。
図18B】実施例27において論じられている通り、精製抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2中に存在する分子種についての、HICにより分離されたプロファイルを示す図である。この図及び例は、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2が、単一のコンジュゲート分子種として泳動されることを示す。
図18C】実施例27において論じられている通り、マウスにおける、非精製抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE中及び精製抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2中に存在する分子種のクリアランス速度を示す図である。この図及び例は、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2が、低クリアランス速度を有することを示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本開示は、活性化状態にあるCD71に特異的に結合する活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体を提示する。CD71はまた、トランスフェリン受容体タンパク質1(TfR1)としても公知である。一般に、本開示は、マスキング部分、切断可能部分、vcリンカー及びMMAE毒素を含む活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体を対象とする。マスキング部分(MM)は、活性化可能抗体が非切断状態にある場合に、抗体結合性部位が、このCD71標的抗原に結合する能力を低減し;切断可能部分(CM)は、腫瘍微小環境において切断された結果として、マスキング部分の除去及び抗CD71ターゲティングCDRの共時的な活性化をもたらす、プロテアーゼにより活性化可能な基質である。具体的に、本開示は、それが、低アフィニティーのマスキング部分、切断可能性がより低い部分基質及び薬物ローディングを2とする低薬物ロードの固有の組合せであって、総体として、マウス腫瘍モデルにおいて、有意に改善された有効性及び忍容性を結果としてもたらす組合せを有するために、当技術分野において公知である、他の形における、他の活性化可能抗CD71コンジュゲートモノクローナル抗体より優れた有効性及び忍容性を有する活性化可能抗CD71コンジュゲートモノクローナル抗体の選択について記載している。加えて、驚くべきことに、活性化可能抗CD71コンジュゲートモノクローナル抗体はまた、野生型IgG1 Fcを含有する他の抗体と異なり、阻害性FcγRIIb受容体に結合する能力も欠くが、このような受容体への結合は、FcγRIIb受容体が活性化された場合いずれも有効性の低下を結果としてもたらすことが予測される脱顆粒、食作用、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、サイトカイン放出及び炎症促進性の活性化などのカルシウム依存性過程を阻害することが公知であるため、この欠如は重要である。
【0040】
CD71とは、がん細胞を含む分裂細胞上において発現されている細胞表面受容体である。CD71は、多種多様ながん細胞型内において高レベルで発現され、内部化されているので、抗体により方向付けられたコンジュゲート毒素を使用するがん治療のターゲティングのための、魅力的な標的となっている。高アフィニティー及び低アフィニティーを有するマスキング部分(MM)のほか、切断能力が小さい又は大きい切断可能部分(CM)が同定され、様々な活性化可能抗体を構築し、次いで、vcMMAEコンジュゲート抗体(すなわち、活性化可能抗体薬物コンジュゲート又はAADC)を構築するのに使用された。マウス異種移植片モデルにおける、これらの活性化可能コンジュゲート抗体についての、例示的な有効性研究が示したところによれば、高アフィニティーのマスキング部分を伴うAADC(例えば、CD71-TF01-3011-vcMMAE)が、低アフィニティーマスク(例えば、CD71-TF02.13-3011-vcMMAE)を伴うAADCより小さな有効性を示す。さらに、同じ低アフィニティーマスクを有するが、切断能力が異なる基質を伴うAADCを使用する、他の有効性研究は、有効性が同じ場合、非ヒト霊長動物において、切断可能性が低い基質を伴うAADC(CD71-TF02.13-2011-vcMMAE)が、切断可能性が高い基質を伴うAADC(CD71-TF02.13-3011-vcMMAE)と比較して、忍容が良好であり、活性化形態にある循環AADCのレベルも低く、したがって、高度な治療指数をもたらすことを示した。さらに、研究は、薬物対活性化可能抗体比が小さいAADC(例えば、DARが2であるCD71-TF02.13-3011-vcMMAE E2)は、DARが大きい(すなわち、DAR≒3)、同じ活性化可能コンジュゲート抗体と比較して、投与量が高いほど忍容されることを示した。さらに、CD71-TF02.13-3011-vcMMAE E2は、ヒトがんについての、様々なCDXマウスモデル及びPDXマウスモデルにおいて、高DAR AADCと用量をマッチさせた投与量により、同等の有効性を示した。最後に、CD71-TF02.13-3011-vcMMAE E2は、低用量においてもなお忍容されなかった、その非マスキング対応物に対して、有意な忍容性を示した。
【0041】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲートモノクローナル抗体は、CD71含有細胞により内部化されている。「CD71」という用語の使用は、非限定例として述べると、CD-71及び/又はCD 71など、この任意の変化形を対象とすることが意図され、全ての変化形は、本明細書において、互換的に使用される。
【0042】
CD71は、トランスフェリンに主に結合する膜貫通糖タンパク質である。CD71は、細胞のホメオスタシスに不可欠である。CD71は、リガンド媒介性エンドサイトーシスを介して、持続的に再利用されており、ここで、主要なリガンドは、トランスフェリンである。CD71はまた、分裂細胞上において、遍在的に発現されていることも公知である。
【0043】
CD71及びCD71と関連するシグナル伝達の、異常な発現及び/又は活性は、がんなど、多くの疾患及び障害の発症機序に関与している。CD71は、固形がん及び血液がんの両方を含む、多くのがんにおいて、過剰発現されている。CD71は、広範な細胞表面発現を有する。悪性細胞内のCD71は、細胞分裂に要求される、高度な鉄の取込みを媒介する。CD71はまた、白血病における予後不良とも関連する。CD71は、複数のがん適応にわたり蔓延するため、所望の標的である。
【0044】
本開示は、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を処置する、阻止する、その進行を遅延させる、その症状を改善及び/又は緩和する方法において有用な、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体を提示する。例えば、活性化可能抗CD71抗体は、がん又は他の新生物性状態を処置する、阻止する、その進行を遅延させる、その症状を改善及び/又は緩和する方法において使用される。
【0045】
本開示は、CD71を発現する細胞と関連している疾患又は障害を処置する、阻止する、その進行を遅延させる、その症状を改善及び/又は緩和する方法において有用な、抗コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体を提示する。一部の実施形態において、細胞は、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している。一部の実施形態において、細胞は、CD71の正常な発現及び/又は活性と関連している。例えば、活性化可能抗CD71抗体は、がん又は他の新生物性状態を処置する、阻止する、その進行を遅延させる、その症状を改善及び/又は緩和する方法において使用される。
【0046】
本開示は、罹患細胞がCD71を発現する疾患又は障害を処置する、阻止する、その進行を遅延させる、その症状を改善及び/又は緩和する方法において有用な、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体を提示する。一部の実施形態において、罹患細胞は、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している。一部の実施形態において、罹患細胞は、CD71の正常な発現及び/又は活性と関連している。例えば、活性化可能抗CD71抗体は、がん又は他の新生物性状態を処置する、阻止する、その進行を遅延させる、その症状を改善及び/又は緩和する方法において使用される。
【0047】
コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体は、マスキング部分(MM)のカップリングが、抗体又はこの抗原結合性断片がCD71に結合する能力を低減するように、MMへとカップリングさせた、CD71に特異的に結合する抗体又はこの抗原結合性断片を含む。一部の実施形態において、MMは、プロテアーゼ、例えば、対象の処置部位におけるCD71と共局在化しているプロテアーゼに対する基質を含む配列を介して、カップリングされている。
【0048】
本発明の例示的な活性化可能抗CD71抗体は、例えば、下記に示されている重鎖可変配列及び軽鎖可変配列(CDR配列は、太字及び下線により示されている。)である又はこれに由来する重鎖及び軽鎖を含む活性化可能抗体を含む。
【0049】
【化3】
【0050】
本発明の例示的な活性化可能抗CD71抗体は、例えば、可変重鎖相補性決定領域1(本明細書において、CDRH1ともまた言及されるVH CDR1)配列、可変重鎖相補性決定領域2(本明細書において、CDRH2ともまた言及されるVH CDR2)配列、可変重鎖相補性決定領域3(本明細書において、CDRH3ともまた言及されるVH CDR3)配列、可変軽鎖相補性決定領域1(本明細書において、CDRL1ともまた言及されるVL CDR1)配列、可変軽鎖相補性決定領域2(本明細書において、CDRL2ともまた言及されるVL CDR2))配列及び可変軽鎖相補性決定領域3(本明細書において、CDRL3ともまた言及されるVL CDR3)配列の組合せを含む活性化可能抗体を含み、ここで、少なくとも1つのCDR配列は、アミノ酸配列GYTFTSYWMH(配列番号9)を含むVH CDR1配列;アミノ酸配列AIYPGNSETG(配列番号10)を含むVH CDR2配列;アミノ酸配列ENWDPGFAF(配列番号11)を含むVH CDR3配列;アミノ酸配列SASSSVYYMY(配列番号12)又はCRASSSVYYMY(配列番号13)を含むVL CDR1配列;アミノ酸配列STSNLAS(配列番号14)を含むVL CDR2配列及びアミノ酸配列QQRRNYPYT(配列番号15)を含むVL CDR3配列からなる群から選択される。
【0051】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列の組合せを含み、ここで、少なくとも1つのCDR配列は、アミノ酸配列GYTFTSYWMH(配列番号9)を含むVH CDR1配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含むVH CDR1配列;アミノ酸配列AIYPGNSETG(配列番号10)を含むVH CDR2配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含むVH CDR2配列;アミノ酸配列ENWDPGFAF(配列番号11)を含むVH CDR3配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含むVH CDR3配列;アミノ酸配列ASSSVYYMY(配列番号12)又はCRASSSVYYMY(配列番号13)を含むVL CDR1配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含むVL CDR1配列;アミノ酸配列STSNLAS(配列番号14を含むVL CDR2配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含むVL CDR2配列;及びアミノ酸配列QQRRNYPYT(配列番号15)を含むVL CDR3配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含むVL CDR3配列からなる群から選択される。
【0052】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列の組合せを含み、ここで、VH CDR1配列は、アミノ酸配列GYTFTSYWMH(配列番号9)を含み;VH CDR2配列は、アミノ酸配列AIYPGNSETG(配列番号10)を含み;VH CDR3配列は、アミノ酸配列ENWDPGFAF(配列番号11)を含み;VL CDR1配列は、アミノ酸配列SASSSVYYMY(配列番号12)又はCRASSSVYYMY(配列番号13)を含み;VL CDR2配列は、アミノ酸配列STSNLAS(配列番号14)を含み;VL CDR3配列は、アミノ酸配列QQRRNYPYT(配列番号15)を含む。
【0053】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、VH CDR1配列、VH CDR2配列、VH CDR3配列、VL CDR1配列、VL CDR2配列及びVL CDR3配列の組合せを含み、ここで、VH CDR1配列は、アミノ酸配列GYTFTSYWMH(配列番号9)と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含み;VH CDR2配列は、アミノ酸配列AIYPGNSETG(配列番号10)と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含み;VH CDR3配列は、アミノ酸配列ENWDPGFAF(配列番号11)と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含み;VL CDR1配列は、アミノ酸配列SASSSVYYMY(配列番号12)又はCRASSSVYYMY(配列番号13)と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含み;VL CDR2配列は、アミノ酸配列STSNLAS(配列番号14)と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含み;VL CDR3配列は、アミノ酸配列QQRRNYPYT(配列番号15)と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%以上同一である配列を含む。
【0054】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の抗体は、CD71に特異的に結合する抗体を含む。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体は、CD71に結合するモノクローナル抗体を含む。一部の実施形態において、CD71に結合するこのようなモノクローナル抗体は、ヒト化モノクローナル抗体又は完全ヒトモノクローナル抗体である。
【0055】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号5を含む、重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号7を含む、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号5を含む、重鎖可変領域のアミノ酸配列及び配列番号7を含む、軽鎖可変領域又はこの抗原結合性断片のアミノ酸配列のアミノ酸配列を含む。
【0056】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号5を含むアミノ酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、重鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号7を含むアミノ酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号1及び3~5を含むアミノ酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、重鎖可変領域のアミノ酸配列並びに配列番号7を含むアミノ酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である、軽鎖可変領域のアミノ酸配列を含む。
【0057】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号5を含むアミノ酸配列を含む、重鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号7を含むアミノ酸配列を含む、軽鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号5を含むアミノ酸配列を含む、重鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列及び配列番号7を含むアミノ酸配列を含む、軽鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。
【0058】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号5を含むアミノ酸配列を含む、重鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号7を含むアミノ酸配列を含む、軽鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の、抗体又はこの抗原結合性断片は、配列番号5を含むアミノ酸配列を含む、重鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列及び配列番号7を含むアミノ酸配列を含む、軽鎖アミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。
【0059】
本開示はまた、細胞を、活性化可能抗体の発現をもたらす条件下において培養することにより、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の活性化可能抗体を作製するための方法も提示するが、ここで、細胞は、本開示の核酸分子又は本開示のベクターを含む。
【0060】
本開示はまた、マスキング部分(MM)のカップリングが、抗体又はこの抗原結合性断片がCD71に結合する能力を低減するように、MMへとカップリングさせた、CD71に特異的に結合する抗体又はこの抗原結合性断片を含む活性化可能コンジュゲート抗体も提示する。一部の実施形態において、MMは、プロテアーゼ、例えば、罹患組織内において活性であるプロテアーゼ及び/又は対象の処置部位におけるCD71と共局在化しているプロテアーゼに対する基質を含む配列を介してカップリングされている。本明細書において、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体又はCD71活性化可能コンジュゲート抗体としても互換的に称される、本明細書において提示されているコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体は、循環中において安定であり、意図された、治療及び/又は診断の部位において活性化されているが、処置及び/又診断の標的とされない正常組織、例えば、健常組織若しくは他の組織において活性化されておらず、活性化されると、本明細書において親抗体とも称される、対応する非修飾抗体と少なくとも同等な、CD71への結合を呈する。
【0061】
本発明はまた、CD71に結合する活性化可能コンジュゲート抗体、特に、CD71に結合し、CD71及び/又はCD71媒介性シグナル伝達の少なくとも1つの生物学的活性を中和する又は他の形において阻害する活性化可能コンジュゲート抗体を使用して、対象における、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している症状を処置する、この発症若しくは進行を阻止及び/若しくは遅延させる又はこれを緩和する方法も提供する。
【0062】
本発明はまた、CD71に結合する活性化可能コンジュゲート抗体、特に、CD71を発現しつつある細胞又はCD71を異常に発現しつつある細胞に結合する、それらの細胞を標的とする、中和する、死滅させる又はそれらの細胞の少なくとも1つの生物学的活性を他の形において阻害する活性化可能抗体を使用して、対象における、CD71を発現しつつある細胞又はCD71を異常に発現しつつある細胞の存在、増殖(growth)、増殖(proliferation)、転移及び/又は活性と関連している症状を処置する、この発症若しくは進行を阻止及び/若しくは遅延させる又はこれを緩和する方法も提供する。
【0063】
本発明はまた、CD71に結合する活性化可能コンジュゲート抗体、特に、CD71を発現しつつある細胞に結合する、それらの細胞を標的とする、中和する、死滅させる又はそれらの細胞の少なくとも1つの生物学的活性を他の形において阻害する活性化可能抗体を使用して、対象における、CD71を発現しつつある細胞の存在、増殖(growth)、増殖(、proliferation)、転移及び/又は活性と関連している症状を処置する、この発症若しくは進行を阻止及び/若しくは遅延させる又はこれを緩和する方法も提供する。
【0064】
本発明はまた、CD71に結合する活性化可能コンジュゲート抗体、特に、CD71を異常に発現しつつある細胞に結合する、それらの細胞を標的とする、中和する、死滅させる又はそれらの細胞の少なくとも1つの生物学的活性を他の形において阻害する活性化可能コンジュゲート抗体を使用して、対象における、CD71を異常に発現しつつある細胞の存在、増殖(growth)、増殖(proliferation)、転移及び/又は活性と関連している症状を処置する、この発症若しくは進行を阻止及び/若しくは遅延させる又はこれを緩和する方法も提供する。
【0065】
活性化状態にある活性化可能コンジュゲート抗体は、CD71に結合し、(i)CD71に特異的に結合する抗体(AB);(ii)活性化可能抗体が非切断状態にある場合に、ABの、CD71への結合を阻害するマスキング部分(MM);及び(c)ABへとカップリングされており、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである、切断可能部分(CM)を含む。
【0066】
一部の実施形態において、非切断状態にある活性化可能コンジュゲート抗体は、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MMの構造的配置を有する。
【0067】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体は、MMとCMとの間に連結ペプチドを含む。
【0068】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体は、CMとABとの間に連結ペプチドを含む。
【0069】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体は、第1の連結ペプチド(LP1)及び第2の連結ペプチド(LP2)を含み、ここで、非切断状態にある活性化可能コンジュゲート抗体は、N末端からC末端へと、MM-LP1-CM-LP2-AB又はAB-LP2-CM-LP1-MMの構造的配置を有する。一部の実施形態において、2つの連結ペプチドは、互いと同一である必要はない。
【0070】
一部の実施形態において、LP1又はLP2のうちの少なくとも1つは、(GS)、(GGS)、(GSGGS)(配列番号24)及び(GGGS)(配列番号25)[配列中、nは、少なくとも1の整数である。]からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0071】
一部の実施形態において、LP1又はLP2のうちの少なくとも1つは、GGSG(配列番号26)、GGSGG(配列番号27)、GSGSG(配列番号28)、GSGGG(配列番号29)、GGGSG(配列番号30)及びGSSSG(配列番号31)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0072】
一部の実施形態において、LP1は、アミノ酸配列GGGSSGGS(配列番号207)、GSSGGSGGSGGSG(配列番号32)、GSSGGSGGSGG(配列番号33)、GSSGGSGGSGGS(配列番号34)、GSSGGSGGSGGSGGGS(配列番号35)、GSSGGSGGSG(配列番号36)、GSSGGSGGSGS(配列番号37)を含む。
【0073】
一部の実施形態において、LP2は、アミノ酸配列GSS、GGS、GGGS(配列番号38)、GSSGT(配列番号39)又はGSSG(配列番号40)を含む。
【0074】
一部の実施形態において、ABは、哺乳動物CD71への結合について、約100nM以下の解離定数を有する。一部の実施形態において、ABは、哺乳動物CD71への結合について、約10nM以下の解離定数を有する。一部の実施形態において、ABは、CD71への結合について、約5nM以下の解離定数を有する。一部の実施形態において、ABは、CD71への結合について、約1nM以下の解離定数を有する。一部の実施形態において、ABは、CD71への結合について、約0.5nM以下の解離定数を有する。一部の実施形態において、ABは、CD71への結合について、約0.1nM以下の解離定数を有する。一部の実施形態において、ABは、哺乳動物CD71への結合について、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01~0.5nM、0.01nm~0.1nM、0.01nm~0.05nM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05~0.5nM、0.05nm~0.1nM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1~0.5nM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~100nM、5nM~10nM、又は10nM~100nMの解離定数を有する。
【0075】
一部の実施形態において、非切断状態にある活性化可能コンジュゲート抗体は、哺乳動物CD71に、1nM以下、5nM以下、10nM以下、15nM以下、20nM以下、25nM以下、50nM以下、100nM以下、150nM以下、250nM以下、500nM以下、750nM以下、1000nM以下及び/又は2000nM以下の解離定数で、特異的に結合する。
【0076】
一部の実施形態において、非切断状態にある活性化可能コンジュゲート抗体は、哺乳動物CD71に、1nM~2000nM、1nM~1000nM、1nM~750nM、1nM~500nM、1nM~250nM、1nM~150nM、1nM~100nM、1nM~50nM、1nM~25nM、1nM~15nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~2000nM、5nM~1000nM、5nM~750nM、5nM~500nM、5nM~250nM、5nM~150nM、5nM~100nM、5nM~50nM、5nM~25nM、5nM~15nM、5nM~10nM、10nM~2000nM、10nM~1000nM、10nM~750nM、10nM~500nM、10nM~250nM、10nM~150nM、10nM~100nM、10nM~50nM、10nM~25nM、10nM~15nM、15nM~2000nM、15nM~1000nM、15nM~750nM、15nM~500nM、15nM~250nM、15nM~150nM、15nM~100nM、15nM~50nM、15nM~25nM、25nM~2000nM、25nM~1000nM、25nM~750nM、25nM~500nM、25nM~250nM、25nM~150nM、25nM~100nM、25nM~50nM、50nM~2000nM、50nM~1000nM、50nM~750nM、50nM~500nM、50nM~250nM、50nM~150nM、50nM~100nM、100nM~2000nM、100nM~1000nM、100nM~750nM、100nM~500nM、100nM~250nM、100nM~150nM、150nM~2000nM、150nM~1000nM、150nM~750nM、150nM~500nM、150nM~250nM、250nM~2000nM、250nM~1000nM、250nM~750nM、250nM~500nM、500nM~2000nM、500nM~1000nM、500nM~750nM、500nM~500nM、500nM~250nM、500nM~150nM、500nM~100nM、500nM~50nM、750nM~2000nM、750nM~1000nM、又は1000nM~2000nMの範囲の解離定数で、特異的に結合する。
【0077】
一部の実施形態において、活性化状態にある活性化可能コンジュゲート抗体は、哺乳動物CD71に、0.01nM、0.05nM、0.1nM、0.5nM、1nM、5nM又は10nM以下の解離定数で、特異的に結合する。
【0078】
一部の実施形態において、活性化状態にある活性化可能コンジュゲート抗体は、哺乳動物CD71に、0.01nM~100nM、0.01nM~10nM、0.01nM~5nM、0.01nM~1nM、0.01~0.5nM、0.01nm~0.1nM、0.01nm~0.05nM、0.05nM~100nM、0.05nM~10nM、0.05nM~5nM、0.05nM~1nM、0.05~0.5nM、0.05nm~0.1nM、0.1nM~100nM、0.1nM~10nM、0.1nM~5nM、0.1nM~1nM、0.1~0.5nM、0.5nM~100nM、0.5nM~10nM、0.5nM~5nM、0.5nM~1nM、1nM~100nM、1nM~10nM、1nM~5nM、5nM~100nM、5nM~10nM、又は10nM~100nMの範囲の解離定数で、特異的に結合する。
【0079】
一部の実施形態において、哺乳動物CD71は、ヒトCD71、マウスCD71、ラットCD71及びカニクイザルCD71からなる群から選択される。一部の実施形態において、ABは、ヒトCD71、マウスCD71又はカニクイザルCD71に、1nM未満の解離定数で、特異的に結合する。一部の実施形態において、哺乳動物CD71は、ヒトCD71である。
【0080】
一部の実施形態において、ABは、以下の特徴:(a)ABが、ヒトCD71に特異的に結合すること;及び(b)ABが、ヒトCD71及びカニクイザルCD71に特異的に結合することのうちの1つ以上を有する。
【0081】
一部の実施形態において、ABは、以下の特徴:(a)ABが、ヒトCD71及びカニクイザルCD71に特異的に結合すること;(b)ABが、トランスフェリンの、哺乳動物CD71への結合を阻害すること;(c)ABが、ヒトトランスフェリンの、ヒトCD71への結合を阻害すること;及び(d)ABが、カニクイザルトランスフェリンの、カニクイザルCD71への結合を阻害することのうちの1つ以上を有する。
【0082】
一部の実施形態において、ABは、天然リガンドが、哺乳動物CD71に、5nM以下、10nM以下、50nM以下、100nM以下、500nM以下及び/又は1000nM以下のEC50により結合する能力を遮断する。一部の実施形態において、ABは、トランスフェリンが、哺乳動物CD71に、5nM以下、10nM以下、50nM以下、100nM以下、500nM以下及び/又は1000nM以下のEC50により結合する能力を遮断する。一部の実施形態において、CD71の天然リガンドは、トランスフェリンである。
【0083】
一部の実施形態において、ABは、天然リガンドが、哺乳動物CD71に、5nM~1000nM、5nM~500nM、5nM~100nM、5nM~50nM、5nM~10nM、10nM~1000nM、10nM~500nM、10nM~100nM、10nM~50nM、50nM~1000nM、50nM~500nM、50nM~100nM、100nM~1000nM、100nM~500nM、500nM~1000nMのEC50により結合する能力を遮断する。一部の実施形態において、ABは、トランスフェリンが、哺乳動物CD71に、5nM~1000nM、5nM~500nM、5nM~100nM、5nM~50nM、5nM~10nM、10nM~1000nM、10nM~500nM、10nM~100nM、10nM~50nM、50nM~1000nM、50nM~500nM、50nM~100nM、100nM~1000nM、100nM~500nM、500nM~1000nMのEC50により結合する能力を遮断する。一部の実施形態において、CD71の天然リガンドは、トランスフェリンである。
【0084】
一部の実施形態において、本開示のABは、哺乳動物CD71を発現する細胞の増殖(grwoth)、増殖(proliferation)及び/又は転移を阻害又は低減する。いかなる理論にも束縛される意図はないが、本開示のABは、CD71に特異的に結合し、天然リガンドの、哺乳動物CD71への結合を阻害、遮断及び/又は阻止することにより、哺乳動物CD71を発現する細胞の増殖(grwoth)、増殖(proliferation)及び/又は転移を阻害又は低減し得る。一部の実施形態において、哺乳動物CD71の天然リガンドは、トランスフェリンである。
【0085】
一部の実施形態において、MMは、ABの、CD71に対する解離定数より大きい、ABへの結合についての解離定数を有する。
【0086】
一部の実施形態において、MMは、ABの、CD71に対する解離定数以下である、ABへの結合についての解離定数を有する。
【0087】
一部の実施形態において、MMは、ABの、CD71に対する解離定数未満である、ABへの結合についての解離定数を有する。
【0088】
一部の実施形態において、MMの、ABに対する解離定数(K)は、ABの、標的に対する解離定数の、2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍以上又は1~5、5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000若しくは100,000~10,000,000倍以上である。
【0089】
一部の実施形態において、MMは、活性化可能抗体が切断状態にある場合に、CD71への結合について、ABに干渉しない又はこれと競合しない。
【0090】
一部の実施形態において、MMは、約2~40アミノ酸の長さのポリペプチドである。一部の実施形態において、MMは、最長において、約40アミノ酸の長さのポリペプチドである。
【0091】
一部の実施形態において、MMポリペプチド配列は、CD71のポリペプチド配列と異なる。一部の実施形態において、MMポリペプチド配列は、ABの、任意の天然結合パートナーと、50%以下同一である。一部の実施形態において、MMポリペプチド配列は、CD71のポリペプチド配列と異なり、ABの、任意の天然結合パートナーと、40%、30%、25%、20%、15%又は10%以下同一である。
【0092】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも2倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0093】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも5倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0094】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも10倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0095】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも20倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0096】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも40倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0097】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも100倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0098】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも1000倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0099】
一部の実施形態において、MMの、ABへのカップリングは、MMへとカップリングさせた場合のABの、CD71に対する解離定数(K)が、MMへとカップリングさせなかった場合のABの、CD71に対するKの少なくとも10,000倍となるように、ABがCD71に結合する能力を低減する。
【0100】
一部の実施形態において、例えば、その内容を、その全体において参照により本明細書に組み込む、PCT公開第WO2010/081173号において記載されたアッセイなどの標的置換アッセイを使用して、インビトロにおいてアッセイすると、CD71の存在下において、CMが切断されていない場合、CMが切断されている場合と比較して、MMは、ABがCD71に結合する能力を少なくとも90%低減する。
【0101】
一部の実施形態において、MMは、配列番号16又は18からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0102】
一部の実施形態において、CMを切断するプロテアーゼは、罹患組織内において、活性である、例えば、上方調節されている又は他の形において無調節であり、プロテアーゼは、活性化可能抗体がプロテアーゼへと曝露されると、活性化可能抗体内のCMを切断する。
【0103】
一部の実施形態において、プロテアーゼは、組織内のCD71と共局在化され、プロテアーゼは、活性化可能抗体がプロテアーゼへと曝露されると、活性化可能コンジュゲート抗体内のCMを切断する。
【0104】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能コンジュゲート抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも2倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では(すなわち、活性化可能コンジュゲート抗体が切断状態にある場合)、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0105】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも5倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では(すなわち、活性化可能コンジュゲート抗体が切断状態にある場合)、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0106】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも10倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では(すなわち、活性化可能コンジュゲート抗体が切断状態にある場合)、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0107】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能コンジュゲート抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも20倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では(すなわち、活性化可能コンジュゲート抗体が切断状態にある場合)、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0108】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能コンジュゲート抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも40倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0109】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能コンジュゲート抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも50倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0110】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能コンジュゲート抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも100倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0111】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合、活性化可能コンジュゲート抗体のCD71への結合は、低減されて、非修飾ABの、CD71への結合の解離定数の少なくとも200倍の解離定数で生じるのに対し、切断状態では、ABがCD71に結合するように、CMは、活性化可能コンジュゲート抗体内に配置される。
【0112】
一部の実施形態において、CMは、最長において、15アミノ酸の長さのポリペプチドである。
【0113】
一部の実施形態において、CMは、少なくとも1つのマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)に対する基質である、第1の切断可能部分(CM1)及び少なくとも1つのセリンプロテアーゼ(SP)に対する基質である、第2の切断可能部分(CM2)を含むポリペプチドである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質のうちの、CM1基質配列及びCM2基質配列の各々は、独立に、最長において、15アミノ酸の長さのポリペプチドである。
【0114】
一部の実施形態において、CMは、がんにおいて上方調節されている、若しくは他の形において無調節である又はこのようであると考えられる、少なくとも1つのプロテアーゼに対する基質である。
【0115】
一部の実施形態において、CMは、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、レグマイン並びにセリンプロテアーゼ、例えばマトリプターゼ(MT-SP1)及びウロキナーゼ(uPA)からなる群から選択される少なくとも1つのプロテアーゼに対する基質である。理論に束縛されるわけではないが、これらのプロテアーゼは、がんのうちの少なくとも1つにおいて上方調節されている又は他の形において無調節であることが考えられる。
【0116】
一部の実施形態において、CMは、特異的なプロテアーゼ、例えば、活性化可能抗体の標的と共局在化させることが既知のプロテアーゼを伴う使用のために選択される。
【0117】
一部の実施形態において、CMは、少なくとも1つのMMPに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、MMP9、MMP14、MMP1、MMP3、MMP13、MMP17、MMP11及びMMP19からなる群から選択されるプロテアーゼに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、MMP9に対する基質である。一部の実施形態において、CMは、MMP14に対する基質である。
【0118】
一部の実施形態において、CMは、配列TGRGPSWV(配列番号41);SARGPSRW(配列番号42);TARGPSFK(配列番号43);LSGRSDNH(配列番号44);GGWHTGRN(配列番号45);HTGRSGAL(配列番号46);PLTGRSGG(配列番号47);AARGPAIH(配列番号48);RGPAFNPM(配列番号49);SSRGPAYL(配列番号50);RGPATPIM(配列番号51);RGPA(配列番号52);GGQPSGMWGW(配列番号53);FPRPLGITGL(配列番号54);VHMPLGFLGP(配列番号55);SPLTGRSG(配列番号56);SAGFSLPA(配列番号57);LAPLGLQRR(配列番号58);SGGPLGVR(配列番号59);PLGL(配列番号60);LSGRSGNH(配列番号175);SGRSANPRG(配列番号176);LSGRSDDH(配列番号177);LSGRSDIH(配列番号178);LSGRSDQH(配列番号179);LSGRSDTH(配列番号180);LSGRSDYH(配列番号181);LSGRSDNP(配列番号182);LSGRSANP(配列番号183);LSGRSANI(配列番号184);LSGRSDNI(配列番号185);MIAPVAYR(配列番号186);RPSPMWAY(配列番号187);WATPRPMR(配列番号188);FRLLDWQW(配列番号189);ISSGL(配列番号190);ISSGLLS(配列番号191);及び/又はISSGLL(配列番号192)を含む基質である。
【0119】
一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDNH(配列番号44)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列TGRGPSWV(配列番号41)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列PLTGRSGG(配列番号47)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列GGQPSGMWGW(配列番号53)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列FPRPLGITGL(配列番号54)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列VHMPLGFLGP(配列番号55)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列PLGL(配列番号60)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列SARGPSRW(配列番号42)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列TARGPSFK(配列番号43)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列GGWHTGRN(配列番号45)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列HTGRSGAL(配列番号46)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列AARGPAIH(配列番号48)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列RGPAFNPM(配列番号49)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列SSRGPAYL(配列番号50)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列RGPATPIM(配列番号51)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列RGPA(配列番号52)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSGNH(配列番号175)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列SGRSANPRG(配列番号176)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDDH(配列番号177)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDIH(配列番号178)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDQH(配列番号179)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDTH(配列番号180)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDYH(配列番号181)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDNP(配列番号182)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSANP(配列番号183)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSANI(配列番号184)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LSGRSDNI(配列番号185)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列MIAPVAYR(配列番号186)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列RPSPMWAY(配列番号187)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列WATPRPMR(配列番号188)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列FRLLDWQW(配列番号189)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列ISSGL(配列番号190)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列ISSGLLS(配列番号191)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列及び/又はISSGLL(配列番号192)を含む。
【0120】
一部の実施形態において、CMは、MMPに対する基質であり、配列ISSGLSS(配列番号61);QNQALRMA(配列番号62);AQNLLGMV(配列番号63);STFPFGMF(配列番号64);PVGYTSSL(配列番号65);DWLYWPGI(配列番号66)、ISSGLLSS(配列番号67)、LKAAPRWA(配列番号68);GPSHLVLT(配列番号69);LPGGLSPW(配列番号70);MGLFSEAG(配列番号71);SPLPLRVP(配列番号72);RMHLRSLG(配列番号73);LAAPLGLL(配列番号74);AVGLLAPP(配列番号75);LLAPSHRA(配列番号76);及び/又はPAGLWLDP(配列番号77)を含む。
【0121】
一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列ISSGLSS(配列番号61)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列QNQALRMA(配列番号62)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列AQNLLGMV(配列番号63)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列STFPFGMF(配列番号64)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列PVGYTSSL(配列番号65)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列DWLYWPGI(配列番号66)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列ISSGLLSS(配列番号67)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LKAAPRWA(配列番号68)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列GPSHLVLT(配列番号69)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LPGGLSPW(配列番号70)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列MGLFSEAG(配列番号71)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列SPLPLRVP(配列番号72)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列RMHLRSLG(配列番号73)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LAAPLGLL(配列番号74)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列AVGLLAPP(配列番号75)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列LLAPSHRA(配列番号76)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列PAGLWLDP(配列番号77)を含む。
【0122】
一部の実施形態において、CMは、トロンビンに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、トロンビンに対する基質であり、配列GPRSFGL(配列番号78)又はGPRSFG(配列番号79)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列GPRSFGL(配列番号78)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列GPRSFG(配列番号79)を含む。
【0123】
一部の実施形態において、CMは、NTLSGRSENHSG(配列番号80);NTLSGRSGNHGS(配列番号81);TSTSGRSANPRG(配列番号82);TSGRSANP(配列番号83);VAGRSMRP(配列番号84);VVPEGRRS(配列番号85);ILPRSPAF(配列番号86);MVLGRSLL(配列番号87);QGRAITFI(配列番号88);SPRSIMLA(配列番号89);及びSMLRSMPL(配列番号90)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0124】
一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列NTLSGRSENHSG(配列番号80)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列NTLSGRSGNHGS(配列番号81)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列TSTSGRSANPRG(配列番号82)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列TSGRSANP(配列番号83)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列VAGRSMRP(配列番号84)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列VVPEGRRS(配列番号85)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列ILPRSPAF(配列番号86)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列MVLGRSLL(配列番号87)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列QGRAITFI(配列番号88)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列SPRSIMLA(配列番号89)を含む。一部の実施形態において、CMは、アミノ酸配列SMLRSMPL(配列番号90)を含む。
【0125】
一部の実施形態において、CMは、好中球エラスターゼに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、セリンプロテアーゼに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、uPAに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、レグマインに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、マトリプターゼに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、システインプロテアーゼに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、カテプシンなどのシステインプロテアーゼに対する基質である。
【0126】
一部の実施形態において、CMは、CM1-CM2基質であり、配列ISSGLLSGRSDNH(配列番号91);ISSGLLSSGGSGGSLSGRSDNH(配列番号92);AVGLLAPPGGTSTSGRSANPRG(配列番号93);TSTSGRSANPRGGGAVGLLAPP(配列番号94);VHMPLGFLGPGGTSTSGRSANPRG(配列番号95);TSTSGRSANPRGGGVHMPLGFLGP(配列番号96);AVGLLAPPGGLSGRSDNH(配列番号97);LSGRSDNHGGAVGLLAPP(配列番号98);VHMPLGFLGPGGLSGRSDNH(配列番号99);LSGRSDNHGGVHMPLGFLGP(配列番号100);LSGRSDNHGGSGGSISSGLLSS(配列番号101);LSGRSGNHGGSGGSISSGLLSS(配列番号102);ISSGLLSSGGSGGSLSGRSGNH(配列番号103);LSGRSDNHGGSGGSQNQALRMA(配列番号104);QNQALRMAGGSGGSLSGRSDNH(配列番号105);LSGRSGNHGGSGGSQNQALRMA(配列番号106);QNQALRMAGGSGGSLSGRSGNH(配列番号107);ISSGLLSGRSGNH(配列番号108);ISSGLLSGRSANPRG(配列番号148);AVGLLAPPTSGRSANPRG(配列番号149);AVGLLAPPSGRSANPRG(配列番号150);ISSGLLSGRSDDH(配列番号151);ISSGLLSGRSDIH(配列番号152);ISSGLLSGRSDQH(配列番号153);ISSGLLSGRSDTH(配列番号154);ISSGLLSGRSDYH(配列番号155);ISSGLLSGRSDNP(配列番号156);ISSGLLSGRSANP(配列番号157);ISSGLLSGRSANI(配列番号158);AVGLLAPPGGLSGRSDDH(配列番号159);AVGLLAPPGGLSGRSDIH(配列番号160);AVGLLAPPGGLSGRSDQH(配列番号161);AVGLLAPPGGLSGRSDTH(配列番号162);AVGLLAPPGGLSGRSDYH(配列番号163);AVGLLAPPGGLSGRSDNP(配列番号164);AVGLLAPPGGLSGRSANP(配列番号165);AVGLLAPPGGLSGRSANI(配列番号166)、ISSGLLSGRSDNI(配列番号171);AVGLLAPPGGLSGRSDNI(配列番号172);GLSGRSDNHGGAVGLLAPP(配列番号193);及び/又はGLSGRSDNHGGVHMPLGFLGP(配列番号194)を含む。
【0127】
一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2001とも称される、配列ISSGLLSGRSDNH(配列番号91)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質1001/LP’/0001とも称される、配列ISSGLLSSGGSGGSLSGRSDNH(配列番号92)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2015及び/又は基質1004/LP’/0003とも称される、配列AVGLLAPPGGTSTSGRSANPRG(配列番号93)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0003/LP’/1004とも称される、配列TSTSGRSANPRGGGAVGLLAPP(配列番号94)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質1003/LP’/0003とも称される、配列VHMPLGFLGPGGTSTSGRSANPRG(配列番号95)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0003/LP’/1003とも称される、配列TSTSGRSANPRGGGVHMPLGFLGP(配列番号96)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3001及び/又は基質1004/LP’/0001とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDNH(配列番号97)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0001/LP’/1004とも称される、配列LSGRSDNHGGAVGLLAPP(配列番号98)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質1003/LP’/0001とも称される、配列VHMPLGFLGPGGLSGRSDNH(配列番号99)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0001/LP’/1003とも称される、配列LSGRSDNHGGVHMPLGFLGP(配列番号100)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0001/LP’/1001とも称される、配列LSGRSDNHGGSGGSISSGLLSS(配列番号101)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0002/LP’/1001とも称される、配列LSGRSGNHGGSGGSISSGLLSS(配列番号102)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質1001/LP’/0002とも称される、配列ISSGLLSSGGSGGSLSGRSGNH(配列番号103)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0001/LP’/1002とも称される、配列LSGRSDNHGGSGGSQNQALRMA(配列番号104)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質1002/LP’/0001とも称される、配列QNQALRMAGGSGGSLSGRSDNH(配列番号105)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0002/LP’/1002とも称される、配列LSGRSGNHGGSGGSQNQALRMA(配列番号106)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質1002/LP’/0002とも称される、配列QNQALRMAGGSGGSLSGRSGNH(配列番号107)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGSGGS(配列番号205)である。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2002とも称される、配列ISSGLLSGRSGNH(配列番号108)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2003とも称される、配列ISSGLLSGRSANPRG(配列番号148)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2004とも称される、配列AVGLLAPPTSGRSANPRG(配列番号149)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2005とも称される、配列AVGLLAPPSGRSANPRG(配列番号150)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2006とも称される、配列ISSGLLSGRSDDH(配列番号151)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2007とも称される、配列ISSGLLSGRSDIH(配列番号152)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2008とも称される、配列ISSGLLSGRSDQH(配列番号153)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2009とも称される、配列ISSGLLSGRSDTH(配列番号154)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2010とも称される、配列ISSGLLSGRSDYH(配列番号155)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2011とも称される、配列ISSGLLSGRSDNP(配列番号156)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2012とも称される、配列ISSGLLSGRSANP(配列番号157)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2013とも称される、配列ISSGLLSGRSANI(配列番号158)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3006とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDDH(配列番号159)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3007とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDIH(配列番号160)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3008とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDQH(配列番号161)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3009とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDTH(配列番号162)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3010とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDYH(配列番号163)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3011とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDNP(配列番号164)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3012とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSANP(配列番号165)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3013とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSANI(配列番号166)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質2014とも称される、配列ISSGLLSGRSDNI(配列番号171)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質3014とも称される、配列AVGLLAPPGGLSGRSDNI(配列番号172)を含む。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0001/LP’/1014とも称される、配列GLSGRSDNHGGAVGLLAPP(配列番号193)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。一部の実施形態において、CM1-CM2基質は、本明細書において基質0001/LP’/1003とも称される、配列GLSGRSDNHGGVHMPLGFLGP(配列番号194)を含み、このCM1-CM2基質内において使用されているLP’は、アミノ酸配列GGである。
【0128】
一部の実施形態において、CMは、少なくとも2つのプロテアーゼに対する基質である。一部の実施形態において、CMは、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン及びマトリプターゼからなる群から選択される少なくとも2つのプロテアーゼに対する基質である。
【0129】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体は、少なくとも第1のCM及び第2のCMを含む。一部の実施形態において、第1のCM及び第2のCMは、15アミノ酸長以下の各ポリペプチドである。一部の実施形態において、非切断状態にある活性化可能コンジュゲート抗体内の、第1のCM及び第2のCMは、N末端からC末端へと、MM-CM1-CM2-AB又はAB-CM2-CM1-MMの構造的配置を有する。一部の実施形態において、第1のCM及び第2のCMのうちの少なくとも1つは、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン及びマトリプターゼからなる群から選択されるプロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。一部の実施形態において、第1のCMは、標的組織内の、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン及びマトリプターゼからなる群から選択される第1の切断剤により切断され、第2のCMは、標的組織内の、第2の切断剤により切断される。一部の実施形態において、他のプロテアーゼは、表(I)に示されているプロテアーゼからなる群から選択される。一部の実施形態において、第1の切断剤及び第2の切断剤は、MMP、トロンビン、好中球エラスターゼ、システインプロテアーゼ、uPA、レグマイン及びマトリプターゼからなる群から選択される同じプロテアーゼであり、第1のCM及び第2のCMは、酵素の異なる基質である。一部の実施形態において、第1の切断剤及び第2の切断剤は、表(I)に示されているプロテアーゼからなる群から選択される同じプロテアーゼである。一部の実施形態において、第1の切断剤及び第2の切断剤は、異なるプロテアーゼである。一部の実施形態において、第1の切断剤及び第2の切断剤は、標的組織内に共局在化している。一部の実施形態において、第1のCM及び第2のCMは、標的組織内の、少なくとも1つの切断剤により切断される。
【0130】
一部の実施形態において、プロテアーゼがCMを切断した後の、活性化状態又は切断状態において、活性化コンジュゲート抗体が、LP2配列及び/又はCM配列のうちの少なくとも一部を含む軽鎖アミノ酸配列を含むように、活性化可能コンジュゲート抗体は、プロテアーゼへと曝露され、これにより切断される。
【0131】
一部の実施形態において、活性化可能抗体は、1当量以上の薬剤へとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、1当量の薬剤へとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、2、3又は4当量の薬剤へとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、均一当量数のコンジュゲート剤を有する、活性化可能抗体の混合物の一部である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、不均一当量数のコンジュゲート剤を有する、活性化可能抗体の混合物の一部である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の混合物は、各活性化可能抗体へとコンジュゲートされた薬剤の平均数が、0~1、1~2、2~3又は3~4であるような混合物である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の混合物は、各活性化可能抗体へとコンジュゲートされた薬剤の平均数が、1、2、3又は4であるような混合物である。
【0132】
一部の実施形態において、活性化可能抗体は、リシン残基及び/又はシステイン残基の数が、活性化可能抗体の元のアミノ酸配列に照らして増大又は減少するように、1つ以上の部位特異的なアミノ酸配列の修飾を含むので、これに応じて、一部の実施形態において、活性化可能抗体へとコンジュゲートされ得る薬剤の数を増大若しくは減少させている又は一部の実施形態において、薬剤の活性化可能抗体へのコンジュゲーションを、部位特異的に限定している。一部の実施形態において、修飾活性化可能抗体は、1つ以上の非天然アミノ酸により、部位特異的に修飾され、したがって、一部の実施形態において、薬剤のコンジュゲーションを、非天然アミノ酸の部位だけに限定している。
【0133】
本明細書において開示されている活性化可能コンジュゲート抗体は、抗体の構成に応じて、少なくとも部分的に、コンジュゲーションを実施するのに使用された方法に応じて、薬物分子及び抗体部分を、多様な化学量論モル比で含み得る。
【0134】
「薬物ロード」又は「薬物ローディング」という用語は、個々の活性化可能コンジュゲート抗体内の、抗体1つ当たりの薬物分子のモル比を指す。ある特定の実施形態において、薬物ローディングは、1つ~4つの薬物分子、2つ~4つの薬物分子、1つ~3つの薬物分子、2つ~3つの薬物分子又は1つ~2つの薬物分子を含み得る。ある特定の実施形態において、薬物ローディングは、1つの薬物分子、2つの薬物分子、3つの薬物分子又は4つの薬物分子を含み得る。
【0135】
本発明の目的のために、当業者は、「薬物ローディング」と「薬物対抗体比」(DARとも称される)とは、同じではないことを理解する。DARとは、少なくとも2つの活性化可能コンジュゲート抗体分子の集団内の、抗体1つ当たりの薬物分子の平均モル比を指すが、ここで、薬物ローディングは、個々の活性化可能コンジュゲート抗体分子内の、抗体1つ当たりの薬物分子のモル比を指す。薬物ローディングが、主に、活性化可能コンジュゲート抗体の構築及びデザインに関与するのに対し、DARは、主に、患者へと投与される、治療用活性化可能コンジュゲート抗体の医薬組成物に関与する。
【0136】
一部の実施形態において、本発明の活性化可能抗体は、狭いDAR分布を有する活性化可能コンジュゲート抗体の、比較的均質な調製物を作出するようにコンジュゲートされ得る。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体調製物は、そのDAR分布に照らして、実質的に均質であり得るが、これは、調製物中に、特定のDARを伴う(例えば、DARを2及び/又は4とする)、部位特異的なADCの主要な分子種が存在することを意味する。一部の実施形態において、実質的に均質な活性化可能コンジュゲート抗体調製物はまた、ローディングの部位(すなわち、遊離システイン上の)に照らしても、均質であり得る。
【0137】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2及び/又は4となる。この文脈において、「約」という用語は、凝集物中に、80%より大きい2つの主要な分子種であって、2及び4に等しいDARを有する分子種を、ほぼ同等な分布(例えば、各々、40%より大きい)により含有し、残りは、他のDAR分子種からなる、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈されるべきである。
【0138】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2となるように強化される。この文脈において、「約」という用語は、約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%より大きな比率を含有する、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈されるべきである。
【0139】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2となるように強化され、「約」という用語は、約94%±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%より大きな比率を含有する、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈される。
【0140】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2となるように強化され、「約」という用語は、約95%±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%より大きな比率を含有する、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈される。
【0141】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2となるように強化され、「約」という用語は、約96%±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%より大きな比率を含有する、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈される。
【0142】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2となるように強化され、「約」という用語は、約97%±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%より大きな比率を含有する、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈される。
【0143】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2となるように強化され、「約」という用語は、約98%±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%より大きな比率を含有する、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈される。
【0144】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2となるように強化され、「約」という用語は、約99%±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9%より大きな比率を含有する、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈される。
【0145】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体のDARは、約2及び/又は4となる。この文脈において、「約」という用語は、凝集物中に、80%より大きい2つの主要な分子種であって、2及び4に等しいDARを有する分子種を、ほぼ同等な分布(例えば、各々、40%より大きい)により含有し、残りは、他のDAR分子種からなる、活性化可能コンジュゲート抗体調製物を意味するように解釈されるべきである。
【0146】
一部の実施形態において、部位特異的活性化可能抗体並びに/又は選択的還元及びコンジュゲーションの使用を介して、所望の均質性を達成することが可能である。一部の実施形態において、所望の均質性は、選択的還元と組み合わせた、部位特異的構築物の使用を介して達成され得る。一部の実施形態において、調製物は、解析用クロマトグラフィー法又は調製用クロマトグラフィー法を使用することなどにより、さらに精製され得る。これらの実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体調製物の均質性は、質量分析、HPLC(例えば、サイズ除外HPLC、RP-HPLC、HIC-HPLCなど)又はキャピラリー電気泳動を含むがこれらに限定されない、当技術分野において公知の多様な技法を使用して解析され得る。
【0147】
活性化可能コンジュゲート抗体調製物の精製に関して、所望の純度を得るのに、標準的な医薬調製法が利用され得ることが理解される。本明細書において論じられている通り、逆相(RP)クロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)などの液体クロマトグラフィー法は、薬物ローディング値により、混合物中の化合物を分離し得る。場合によって、イオン交換クロマトグラフィー(IEC)又は混合モードクロマトグラフィー(MMC)もまた、特異的な薬物ロードを伴う分子種を単離するのに使用され得る。
【0148】
一部の実施形態において、比較的高レベルの薬物ロード均質性を伴う、所与のDARを有する本開示の活性化可能コンジュゲート抗体調製物は、実のところ、ある範囲又は分布の薬物ロードを伴うコンジュゲートの混合物を含み得るが、ここで、薬物ロードの、混合物中の分布は、平均DAR値の近傍を中心とする(又はこの重み付け平均を有する)。したがって、一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体調製物は、混合物の平均DARが、各々±0.5とする、約1、2又は3である、コンジュゲートの混合物を含む。ある特定の好ましい実施形態において、範囲又は偏差は、0.4未満であり得ることが理解される。したがって、他の実施形態において、組成物は、各々±0.3とする、約1、2又は3の平均DARを含む。
【0149】
一部の実施形態において、コンジュゲーション反応に由来する、活性化可能コンジュゲート抗体の調製物中の、抗体1つ当たりの薬物の分布は、UV-Vis分光光度法、逆相HPLC、HIC、質量分析、ELISA及び電気泳動など、従来の手段により特徴付けられ得る。
【0150】
一部の実施形態において、異なる薬物ロードを有するコンジュゲートの混合物を含む、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の混合物は、特異的な薬物ロードを有するコンジュゲートの、1つ以上の分子種について、精製又は強化され得る。例えば、薬物ロードを0、2、4、6及び8とするAADCの混合物を含む活性化可能コンジュゲート抗体混合物は、薬物ロードを2とする活性化可能コンジュゲート抗体について強化又は精製され得る。一部の実施形態において、混合物は、薬物ロードを4とする活性化可能コンジュゲート抗体の分子種だけについて精製又は強化され得る。一部の実施形態において、混合物は、薬物ロードを2及び4とする活性化可能コンジュゲート抗体の分子種だけについて精製又は強化され得る。本明細書において使用される場合、薬物ロードを2とするコンジュゲート分子種の分子種の比較的均質な調製物を有する、調製物若しくは精製物又は活性化可能コンジュゲート抗体は、「E2」と称され、これは、DARを約2とする。本明細書において使用される場合、薬物ロードを4とするコンジュゲート分子種の比較的均質な調製物を有する、調製物若しくは精製物又は活性化可能コンジュゲート抗体は、「E4」と称される。本明細書において使用される場合、「DE」(DAR強化型)と称され、DARを約3とする、薬物ロードを2又は4とするコンジュゲート分子種の混合物を有する、調製物若しくは精製物又は活性化可能コンジュゲート抗体。この文脈において、「約」という用語は、禁止量の、±0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0を意味するように解釈される。
【0151】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体は、式:
AA-(AG)
[式中、AAは、非切断状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-ABの構造的配置を有する活性化可能抗体である。ABは、哺乳動物CD71に特異的に結合し、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号7の軽鎖可変領域配列を含む抗体である。MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、MMは、ABへとカップリングされており、AAが非切断状態にある場合に、ABの、CD71への結合を阻害する。CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、CMは、ABへとカップリングされており、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。AGは、AA-(AG)の場合の、AAへとコンジュゲートさせた薬剤である。]により表され得る。一部の実施形態において、pは、0、1、2、3、4、5、6、7又は8である。一部の実施形態において、本開示の組成物は、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の混合物を含み、ここで、各活性化可能コンジュゲート抗体は、式AA-(AG)[式中、pは0~8の整数である。]により表される。一部の実施形態において、組成物は、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の混合物を含み、ここで、分子種のうちの少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は少なくとも98%は、活性化可能コンジュゲート抗体であり、pは2である。
【0152】
一部の実施形態において、具体的な薬物ロードを伴う、所与の分子種のコンジュゲートについて精製又は強化された活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、少なくともある特定の百分率の所与の薬物ロード分子種を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、少なくとも50%の、薬物ロードを2とする活性化可能コンジュゲート抗体を含む。一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、少なくとも75%の、薬物ロードを2とする活性化可能コンジュゲート抗体を含む。一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、少なくとも85%の、薬物ロードを2とする活性化可能コンジュゲート抗体を含む。一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、少なくとも90%の、薬物ロードを2とする活性化可能コンジュゲート抗体を含む。一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、少なくとも95%の、薬物ロードを2とする活性化可能コンジュゲート抗体を含む。一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、少なくとも98%の、薬物ロードを2とする活性化可能コンジュゲート抗体を含む。
【0153】
一部の実施形態において、所与の薬物ロード分子種について精製又は強化された、活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、他の全ての薬物ロード分子種が組み合わされた総モル当量より大きなモル当量の、所与の薬物ロード分子種を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、薬物ロードが2ではない組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種の各々の組合せ当量が、薬物ロードが2である活性化可能コンジュゲート抗体の当量未満であるような調製物である。一部の実施形態において、E4活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、薬物ロードが4ではない組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種の各々の組合せ当量が、薬物ロードが4である活性化可能コンジュゲート抗体の当量未満であるような調製物である。一部の実施形態において、DE活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、薬物ロードが2又は4ではない組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種の各々の組合せ当量が、薬物ロードを2又は4とする活性化可能コンジュゲート抗体の当量未満であるような調製物である。
【0154】
一部の実施形態において、所与のDAR分子種(例えば、本明細書において論じられているE2又はE4)について精製又は強化された活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、ある特定の百分率未満の、所与の薬物ロード分子種ではない活性化可能コンジュゲート抗体を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、50%未満の、薬物ロードが2分子種ではない、活性化可能コンジュゲート抗体を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、25%未満の、薬物ロードが2分子種ではない、活性化可能コンジュゲート抗体を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、15%未満の、薬物ロードが2分子種ではない、活性化可能コンジュゲート抗体を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、10%未満の、薬物ロードが2分子種ではない、活性化可能コンジュゲート抗体を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、5%未満の、薬物ロードが2分子種ではない、活性化可能コンジュゲート抗体を含む。例えば、一部の実施形態において、E2活性化可能コンジュゲート抗体の調製物は、2%未満の、薬物ロードが2分子種ではない、活性化可能コンジュゲート抗体を含む。他の一部の実施形態において、又は強化又は精製された調製物(例えば、E4若しくはDE)は、強化又は精製された活性化可能コンジュゲート抗体組成物中に、50%未満、25%未満、15%未満、10%未満、5%未満又は2%未満の、対応する薬物ロードの分子種ではない分子種を有し得る。
【0155】
一部の実施形態において、薬剤は、抗炎症剤である。
【0156】
一部の実施形態において、コンジュゲート活性化可能抗体はまた、検出可能部分も含む。一部の実施形態において、検出可能部分は、診断剤である。
【0157】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体はまた、シグナルペプチドも含む。一部の実施形態において、シグナルペプチドは、スペーサーを介して、活性化可能抗体へとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、スペーサーは、シグナルペプチドの非存在下において、活性化可能抗体へとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、スペーサーは、活性化可能抗体のMMへと、直接接続されている。一部の実施形態において、スペーサーは、スペーサー-MM-CM-ABの、N末端からC末端への構造的配置において、活性化可能抗体のMMへと、直接接続されている。活性化可能抗体のMMのN末端へと直接接続されているスペーサーの例は、QGQSGQ(配列番号109)である。活性化可能抗体のMMのN末端へと直接接続されているスペーサーの他の例は、QGQSGQG(配列番号138)、QGQSG(配列番号139)、QGQS(配列番号140)、QGQ、QG及びQを含む。活性化可能抗体のMMのN末端へと直接接続されているスペーサーの他の例は、GQSGQG(配列番号143)、QSGQG(配列番号144)、SGQG(配列番号145)、GQG及びGを含む。一部の実施形態において、スペーサーは、MMのN末端へと接続されていない。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSGQ(配列番号109)を含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSGQG(配列番号138)を含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQSG(配列番号139)を含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQS(配列番号140)を含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGQを含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QGを含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸残基Qを含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列GQSGQG(配列番号143)を含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列QSGQG(配列番号144)を含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列SGQG(配列番号145)を含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列GQGを含む。一部の実施形態において、スペーサーは、少なくともアミノ酸配列Gを含む。一部の実施形態において、スペーサーは存在しない。
【0158】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体のABは、天然において、1つ以上のジスルフィド結合を含有する。一部の実施形態において、ABは、1つ以上のジスルフィド結合を含むように操作され得る。
【0159】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の活性化可能抗体は、配列番号5からなる群から選択される、重鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の活性化可能抗体は、配列番号7からなる群から選択される、軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の活性化可能抗体は、配列番号5からなる群から選択される、重鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列及び配列番号7からなる群から選択される、軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。
【0160】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の活性化可能抗体は、配列番号5からなる群から選択される、重鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の活性化可能抗体は、配列番号7からなる群から選択される、軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体の活性化可能抗体は、配列番号5からなる群から選択される、重鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列及び配列番号7からなる群から選択される、軽鎖可変領域のアミノ酸配列をコードしている核酸配列と、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%又は99%同一である核酸配列を含む核酸配列によりコードされている。
【0161】
本開示はまた、細胞を、活性化可能抗体の発現をもたらす条件下において培養することにより、本開示の活性化可能抗体を作製するための方法も提示するが、ここで、細胞は、本開示の核酸分子又は本開示のベクターを含む。
【0162】
本開示はまた、活性化状態において、CD71に結合する活性化可能抗体を製造する方法であって、(a)活性化可能抗体をコードしている核酸構築物を含む細胞を、本開示の活性化可能抗体を含む活性化可能抗体の発現をもたらす条件下において培養すること;及び(b)活性化可能抗体を回収することを含む方法も提示する。
【0163】
一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、対応する抗体の血清半減期より長い、例えば、活性化可能コンジュゲート抗体のpKは、対応する抗体のpKより長い。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、対応する抗体の血清半減期と同等である。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも15日間である。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも12日間である。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも11日間である。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも10日間である。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも9日間である。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも8日間である。一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも7日間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも6日間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも5日間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも4日間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも3日間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも2日間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも24時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも20時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも18時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも16時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも14時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも12時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも10時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも8時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも6時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも4時間である。一部の実施形態において、活性化可能抗体の血清半減期は、生物へと投与された場合、少なくとも3時間である。
【0164】
本開示はまた、細胞を、ポリペプチドの発現をもたらす条件下において培養することにより、抗CD71抗体及び/又は活性化可能抗CD71抗体のポリペプチドを作製する方法であって、細胞が、本明細書において記載されている抗体及び/若しくは活性化可能抗体をコードしている単離核酸分子並びに/又はこれらの単離核酸配列を含むベクターを含む、方法も提示する。本開示は、細胞を、抗体及び/又は活性化可能抗体の発現をもたらす条件下において培養することにより、抗体及び/又は活性化可能抗体を作製する方法であって、細胞が、本明細書において記載されている抗体及び/若しくは活性化可能抗体をコードしている単離核酸分子並びに/又はこれらの単離核酸配列を含むベクターを含む、方法を提示する。
【0165】
本発明は、治療有効量の、本明細書において記載されているコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体を、それを必要とする対象へと投与することにより、対象におけるCD71媒介性疾患を阻止する、その進行を遅延させる、この疾患を処置する、その症状を緩和する又は他の形でこれを改善する方法を提供する。
【0166】
本発明はまた、治療有効量の、本明細書において記載されているコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体を、それを必要とする対象へと投与することにより、対象におけるがんを阻止する、その進行を遅延させる、この疾患を処置する、その症状を緩和する又は他の形でこれを改善する方法も提供する。CD71は、非限定例として述べると、腺がん、胆管(胆道)がん、膀胱がん、乳がん、例えば、トリプルネガティブ乳がん及びHer2陰性乳がん;カルチノイドがん;子宮頸がん;胆管癌;結腸直腸がん;子宮内膜がん;神経膠腫;頭頸部がん、例えば、頭頸部扁平上皮がん;白血病;肝臓がん;肺がん、例えば、NSCLC、SCLC;リンパ腫;黒色腫;口腔咽頭がん;卵巣がん;膵臓がん;前立腺がん、例えば、転移性去勢抵抗性前立腺癌;腎臓がん;皮膚がん;扁平上皮がん、胃がん;精巣がん;甲状腺がん;及び尿路上皮がんなど、様々ながんにおいて発現することが公知である。
【0167】
一部の実施形態において、がんは、CD71発現腫瘍と関連している。一部の実施形態において、がんは、CD71発現腫瘍に起因する。
【0168】
これらの方法及び使用についての実施形態のうちのいずれかにおいて使用されている、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体は、疾患の、任意の病期において投与され得る。例えば、このようなコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体は、早期~転移期にわたる、任意の病期のがんを患う患者へと投与され得る。本明細書において、対象及び患者という用語は、互換的に使用される。
【0169】
一部の実施形態において、対象は、ヒト又は非ヒト霊長動物などの哺乳動物である。
【0170】
コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体及びこの治療用製剤は、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を患う又はこれに対して感受性の対象へと投与される。CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を患う又はこれに対して感受性の対象は、当技術分野において公知の様々な方法のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、がん又は他の新生物性状態を患う対象は、健康状態を査定するのに、身体検診並びに血液解析、尿解析及び/又は糞便解析など、様々な臨床検査及び/又は検査室検査のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、炎症及び/又は炎症性障害を患う対象は、健康状態を査定するのに、身体検診並びに/又は体液解析、例えば、血液解析、尿解析及び/若しくは糞便解析など、様々な臨床検査及び/又は検査室検査のうちのいずれかを使用して同定される。
【0171】
コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体の、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を患う患者への投与は、様々な検査目的又は臨床目的のうちのいずれかが達成された場合に、成功であると考えられる。例えば、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体の、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を患う患者への投与は、疾患又は障害と関連している症状のうちの1つ以上が、緩和、低減、阻害される又はさらなる状態、すなわち、増悪した状態へと進行しない場合に、成功であると考えられる。コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体の、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を患う患者への投与は、疾患又は障害が、寛解に入る又はさらなる状態、すなわち、増悪した状態へと進行しない場合に、成功であると考えられる。
【0172】
一部の実施形態において、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体及びこの治療用製剤は、対象の罹患細胞がCD71を発現しつつある、がん又は他の新生物性状態を患う対象など、疾患又は障害を患う又はこれに対して感受性の対象へと投与される。一部の実施形態において、罹患細胞は、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している。一部の実施形態において、罹患細胞は、CD71の正常な発現及び/又は活性と関連している。対象の罹患細胞がCD71を発現する疾患又は障害を患う又はこれに対して感受性の対象は、当技術分野において公知の様々な方法のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、がん又は他の新生物性状態を患う対象は、健康状態を査定するのに、身体検診並びに血液解析、尿解析及び/又は糞便解析など、様々な臨床検査及び/又は検査室検査のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、炎症及び/又は炎症性障害を患う対象は、健康状態を査定するのに、身体検診並びに/又は体液解析、例えば、血液解析、尿解析及び/若しくは糞便解析など、様々な臨床検査及び/又は検査室検査のうちのいずれかを使用して同定される。
【0173】
一部の実施形態において、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体及びこの治療用製剤は、がん又は他の新生物性状態を患う対象など、CD71を発現する細胞又はこのような細胞の、存在、増殖(growth)、増殖(proliferation)、転移及び/若しくは活性と関連している疾患又は障害を患う又はこれに対して感受性の対象へと投与される。一部の実施形態において、細胞は、CD71の異常な発現及び/又は活性と関連している。一部の実施形態において、細胞は、CD71の正常な発現及び/又は活性と関連している。CD71を発現する細胞と関連している疾患又は障害を患う又はこれに対して感受性の対象は、当技術分野において公知の様々な方法のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、がん又は他の新生物性状態を患う対象は、健康状態を査定するのに、身体検診並びに血液解析、尿解析及び/又は糞便解析など、様々な臨床検査及び/又は検査室検査のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、炎症及び/又は炎症性障害を患う対象は、健康状態を査定するのに、身体検診並びに/又は体液解析、例えば、血液解析、尿解析及び/若しくは糞便解析など、様々な臨床検査及び/又は検査室検査のうちのいずれかを使用して同定される。
【0174】
コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体の、CD71を発現する細胞と関連している疾患又は障害を患う患者への投与は、様々な検査目的又は臨床目的のうちのいずれかが達成された場合に、成功であると考えられる。例えば、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体の、CD71を発現する細胞と関連している疾患又は障害を患う患者への投与は、疾患又は障害と関連している症状のうちの1つ以上が、緩和、低減、阻害される又はさらなる状態、すなわち、増悪した状態へと進行しない場合に、成功であると考えられる。コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体の、CD71を発現する細胞と関連している疾患又は障害を患う患者への投与は、疾患又は障害が、寛解に入る又はさらなる状態、すなわち、増悪した状態へと進行しない場合に、成功であると考えられる。
【0175】
本開示はまた、罹患細胞がCD71を発現する障害又は疾患を処置する、これらの症状を緩和する又はこれらの進行を遅延させる方法であって、治療有効量の、本開示のコンジュゲート抗体又は本開示の抗体を含む医薬組成物又は本開示のコンジュゲート抗体を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、障害又は疾患は、がんである。
【0176】
本開示はまた、CD71を発現する細胞と関連している障害又は疾患を処置する、これらの症状を緩和する又はこれらの進行を遅延させる方法であって、治療有効量の、本開示のコンジュゲート抗体又は本開示のコンジュゲート抗体を含む医薬組成物を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、CD71を発現する細胞と関連している障害又は疾患は、がんである。一部の実施形態において、がんは、腺がん、胆管(胆道)がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、Her2陰性乳がん、カルチノイドがん、子宮頸がん、胆管癌、結腸直腸がん、結腸がん、子宮内膜がん、神経膠腫、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、白血病、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、黒色腫、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、転移性去勢抵抗性前立腺癌、腎臓がん、肉腫、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿路生殖器がん又は尿路上皮がんである。一部の実施形態において、天然リガンドは、トランスフェリンである。一部の実施形態において、哺乳動物CD71の発現及び/又は活性は、異常である。一部の実施形態において、方法は、さらなる薬剤を投与することを含む。一部の実施形態において、さらなる薬剤は、治療剤である。
【0177】
本開示はまた、哺乳動物CD71を発現する細胞の増殖(growth)、増殖(proliferation)又は転移を阻害又は低減する方法であって、治療有効量の、本開示の抗体又は本開示のコンジュゲート抗体又は本開示の抗体を含む医薬組成物又は本開示のコンジュゲート抗体を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、天然リガンドは、トランスフェリンである。一部の実施形態において、哺乳動物CD71の発現及び/又は活性は、異常である。一部の実施形態において、方法は、さらなる薬剤を投与することを含む。一部の実施形態において、さらなる薬剤は、治療剤である。
【0178】
本開示はまた、天然リガンドの、哺乳動物CD71への結合を阻害、遮断又は阻止する方法であって、治療有効量の、本開示の抗体又は本開示のコンジュゲート抗体又は本開示の抗体を含む医薬組成物又は本開示のコンジュゲート抗体を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、天然リガンドは、トランスフェリンである。一部の実施形態において、哺乳動物CD71の発現及び/又は活性は、異常である。一部の実施形態において、方法は、さらなる薬剤を投与することを含む。一部の実施形態において、さらなる薬剤は、治療剤である。
【0179】
本開示はまた、罹患細胞がCD71を発現する障害又は疾患を処置する、これらの症状を緩和する又はこれらの進行を遅延させる方法であって、治療有効量の、本開示の活性化可能抗体又は本開示の活性化可能コンジュゲート抗体又は本開示の活性化可能抗体を含む医薬組成物又は本開示の活性化可能コンジュゲート抗体を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、障害又は疾患は、がんである。
【0180】
本開示はまた、CD71を発現する細胞と関連している障害又は疾患を処置する、これらの症状を緩和する又はこれらの進行を遅延させる方法であって、治療有効量の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体又は本開示の活性化可能コンジュゲート抗体を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、CD71を発現する細胞と関連している障害又は疾患は、がんである。一部の実施形態において、がんは、腺がん、胆管(胆道)がん、膀胱がん、骨がん、乳がん、トリプルネガティブ乳がん、Her2陰性乳がん、カルチノイドがん、子宮頸がん、胆管癌、結腸直腸がん、結腸がん、子宮内膜がん、神経膠腫、頭頸部がん、頭頸部扁平上皮がん、白血病、肝臓がん、肺がん、非小細胞肺がん、小細胞肺がん、リンパ腫、黒色腫、口腔咽頭がん、卵巣がん、膵臓がん、前立腺がん、転移性去勢抵抗性前立腺癌、腎臓がん、肉腫、皮膚がん、扁平上皮がん、胃がん、精巣がん、甲状腺がん、尿路生殖器がん又は尿路上皮がんである。一部の実施形態において、天然リガンドは、トランスフェリンである。一部の実施形態において、哺乳動物CD71の発現及び/又は活性は、異常である。一部の実施形態において、方法は、さらなる薬剤を投与することを含む。一部の実施形態において、さらなる薬剤は、治療剤である。
【0181】
本開示はまた、哺乳動物CD71を発現する細胞の増殖(growth)、増殖(proliferation)又は転移を阻害又は低減する方法であって、治療有効量の、本開示の活性化可能抗体又は本開示の活性化可能コンジュゲート抗体又は本開示の活性化可能抗体を含む医薬組成物又は本開示の活性化可能コンジュゲート抗体を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、天然リガンドは、トランスフェリンである。一部の実施形態において、哺乳動物CD71の発現及び/又は活性は、異常である。一部の実施形態において、方法は、さらなる薬剤を投与することを含む。一部の実施形態において、さらなる薬剤は、治療剤である。
【0182】
本開示はまた、天然リガンドの、哺乳動物CD71への結合を阻害、遮断又は阻止する方法であって、治療有効量の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体又は本開示の活性化可能コンジュゲート抗体を含む医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法も提示する。一部の実施形態において、天然リガンドは、トランスフェリンである。一部の実施形態において、哺乳動物CD71の発現及び/又は活性は、異常である。一部の実施形態において、方法は、さらなる薬剤を投与することを含む。一部の実施形態において、さらなる薬剤は、治療剤である。
【0183】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体は、検出可能な標識を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、検出可能な標識は、イメージング剤、造影剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1つ以上の金属イオン又はリガンドベースの標識を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、イメージング剤は、放射性同位元素を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、放射性同位元素は、インジウム又はテクネシウムである。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム又は酸化鉄を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ-ガラクトシダーゼを含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、改変赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質であるtdimer2(RFP tdimer2)、HCRED又はユーロピウム誘導体を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、発光標識は、N-メチルアクリジウム誘導体を含む。これらの方法についての、一部の実施形態において、標識は、Alexa Fluor(登録商標)680又はAlexa Fluor(登録商標)750などのAlexa Fluor(登録商標)標識を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、リガンドベースの標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン又は1つ以上のハプテンを含む。
【0184】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、対象は、哺乳動物である。これらの方法についての、一部の実施形態において、対象は、ヒトである。一部の実施形態において、対象は、非ヒト霊長動物、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、農場動物、作業動物又は動物園動物などの非ヒト哺乳動物である。一部の実施形態において、対象は、齧歯動物である。
【0185】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、方法は、インビボ法である。これらの方法についての、一部の実施形態において、方法は、インサイチュー法である。これらの方法についての、一部の実施形態において、方法は、エクスビボ法である。これらの方法についての、一部の実施形態において、方法は、インビトロ法である。
【0186】
方法及びキットについての、一部の実施形態において、方法は、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体による処置に続く、このコンジュゲート活性化可能抗CD71抗体を、これを必要とする対象へと投与することによる処置に適する患者集団を同定する又は他の形において精緻化するのに使用される。例えば、検査により、標的(例えば、CD71)及び被験活性化可能抗CD71抗体の切断可能部分(CM)内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陽性である患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗CD71抗体による処置に適する候補者として同定され、次いで、患者は、治療有効量の、被験活性化可能抗CD71抗体及び/又は被験コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体を投与される。同様に、これらの方法を使用して、検査により、標的(例えば、CD71)及び被験活性化可能抗体のCM内の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について陰性である患者は、別の治療形態に適する候補者として同定され得る。一部の実施形態において、このような患者は、処置に適する活性化可能抗CD71抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗CD71抗体)が同定されるまで、他の活性化可能抗CD71抗体により検査され得る。一部の実施形態において、次いで、患者は、治療有効量の、検査において患者が陽性であった活性化可能抗CD71抗体及び/又は活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体を投与される。適切なAB、MM及び/又はCMは、本明細書において開示されているAB、MM及び/又はCMのうちのいずれかを含む。
【0187】
本発明に従う医薬組成物は、本発明の抗体及び、任意選択的に、薬学的に許容される担体を含み得る。これらの医薬組成物は、例えば、診断的キットなどのキットに含まれ得る。
【0188】
一部の実施形態において、医薬組成物は、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体及び、任意選択的に、薬学的に許容される担体を含む。一部の実施形態において、医薬組成物は、さらなる薬剤を含む。一部の実施形態において、さらなる薬剤は、治療剤である。
【0189】
抗CD71抗体及び本開示の活性化可能抗体内のABは、例えば、哺乳動物CD71及び/又はヒトCD71などのCD71標的に特異的に結合する。本開示にはまた、本開示の抗体及び/又は本明細書において記載されている活性化した活性化可能抗体と同じCD71エピトープに結合する抗CD71抗体及びABも含まれる。本開示にはまた、抗CD71抗体及び/又は本明細書において記載されている活性化した活性化可能抗CD71抗体と、CD71標的、例えば、ヒトCD71への結合について競合する、抗CD71抗体及びABも含まれる。本開示にはまた、抗CD71抗体及び/又は本明細書において記載されている活性化した活性化可能抗CD71抗体と、CD71標的、例えば、ヒトCD71への結合について交差競合する、抗CD71抗体及びABも含まれる。
【0190】
本明細書において提示されている活性化可能抗CD71抗体は、マスキング部分を含む。一部の実施形態において、マスキング部分は、抗CD71抗体の、CD71に特異的に結合する能力をマスキング部分が低減するように、抗CD71抗体へとカップリングされている又は他の形において接合され、活性化可能抗CD71抗体構築物内に配置されたアミノ酸配列である。適切なマスキング部分は、公知の様々な技法のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、ペプチドによるマスキング部分は、その内容を、その全体において参照により本明細書に組み込む、Daughertyらによる、PCT公開第WO2009/025846号において記載された方法を使用して同定される。
【0191】
本明細書において提示されている活性化可能抗CD71抗体は、切断可能部分を含む。一部の実施形態において、切断可能部分は、プロテアーゼ、通例、細胞外プロテアーゼに対する基質であるアミノ酸配列を含む。適切な基質は、公知の様々な技法のうちのいずれかを使用して同定される。例えば、ペプチド基質は、それらの各々の内容を、それらの全体において参照により本明細書に組み込む、Daughertyらによる、米国特許第7,666,817号;Staglianoらによる、米国特許第8,563,269号;La Porteらによる、PCT公開第WO2014/026136号において記載された方法を使用して同定される(また、Boulwareら、「Evolutionary optimization of peptide substrates for proteases that exhibit rapid hydrolysis kinetics」、Biotechnol.Bioeng.、106.3(2010):339~46頁も参照されたい)。
【0192】
例示的な基質は、これらに限定されないが、表(I)に列挙された、以下の酵素又はプロテアーゼのうちの1つ以上により切断可能な基質を含む。
【0193】
【表1】
【0194】
本明細書において記載されている活性化可能抗CD71抗体は、抗体治療剤、特に、インビボにおいて、少なくともある程度毒性であることが公知の抗体治療剤の限界を克服している。標的媒介性毒性は、治療用抗体の開発に対する、大きな限界を構成している。本明細書において提示されている活性化可能抗CD71抗体は、従来の治療用抗体により、正常組織内の標的の阻害と関連している毒性に対処するようにデザインされる。これらの活性化可能抗CD71抗体は、疾患の部位において、タンパク質分解的に活性化されるまで、マスキングを維持している。親治療用抗体としての抗CD71抗体により出発して、本発明の活性化可能抗CD71抗体は、プロテアーゼ基質を組み込むリンカーを介して、抗体を、阻害性マスクへとカップリングさせることにより操作された。
【0195】
ABがMMにより修飾され、標的の存在下にある場合、ABの、その標的への特異的結合は、MMにより修飾されていないABの特異的結合又は親ABの、標的への特異的結合と比較して、低減又は阻害される。
【0196】
MMにより修飾されたABの、標的に対するKは、MMにより修飾されていないAB又は親ABの、標的に対するKの少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍以上又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000若しくは100,000~10,000,000倍である。逆に、MMにより修飾されたABの、標的に対する結合アフィニティーは、MMにより修飾されていないAB又は親ABの、標的に対する結合アフィニティーの、少なくとも2、3、4、5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍以上又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000若しくは100,000~10,000,000分の1である。
【0197】
MMの、ABに対する解離定数(K)は、一般に、ABの、標的に対するKより大きい。MMの、ABに対するKは、ABの、標的に対するKの少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000なお又は10,000,000倍であり得る。逆に、MMの、ABに対する結合アフィニティーは、一般に、ABの、標的に対する結合アフィニティーより小さい。MMの、ABに対する結合アフィニティーは、ABの、標的に対する結合アフィニティーの、最大において、5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、100,000、1,000,000なお又は10,000,000分の1であり得る。
【0198】
一部の実施形態において、MMの、ABに対する解離定数(K)は、ABの、標的に対するKとほぼ等しい。一部の実施形態において、MMの、ABに対する解離定数(K)は、ABの、標的に対する解離定数以下である。
【0199】
一部の実施形態において、MMの、ABに対する解離定数(K)は、ABの、標的に対する解離定数未満である。
【0200】
一部の実施形態において、MMの、ABに対する解離定数(K)は、ABの、標的に対する解離定数より大きい。
【0201】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのK以下であるKを有する。
【0202】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのK以上であるKを有する。
【0203】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのKとほぼ等しいKを有する。
【0204】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのK未満であるKを有する。
【0205】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのKより大きいKを有する。
【0206】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのKの、2、3、4、5、10、25、50、100、250、500又は1,000倍以下のKを有する。一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのKの、1~5、2~5、2~10、5~10、5~20、5~50、5~100、10~100、10~1,000、20~100、20~1000又は100~1,000倍のKを有する。
【0207】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティー未満であるアフィニティーを有する。
【0208】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティー以下であるアフィニティーを有する。
【0209】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティーとほぼ等しいアフィニティーを有する。
【0210】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティー以上であるアフィニティーを有する。
【0211】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティーより大きいアフィニティーを有する。
【0212】
一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティーの、2、3、4、5、10、25、50、100、250、500又は1,000分の1であるアフィニティーを有する。一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティーの、1~5、2~5、2~10、5~10、5~20、5~50、5~100、10~100、10~1,000、20~100、20~1000又は100~1,000分の1のアフィニティーを有する。一部の実施形態において、MMは、ABへの結合について、ABの、標的への結合についてのアフィニティーの、2~20分の1であるアフィニティーを有する。一部の実施形態において、ABへと、共有結合的に連結されておらず、ABとモル濃度にないMMは、ABの、標的への結合を阻害しない。
【0213】
ABが、MMにより修飾され、標的の存在下にある場合、ABの、その標的への特異的結合は、MMにより修飾されていないABの特異的結合又は親ABの、標的への特異的結合と比較して、低減又は阻害される。MMにより修飾されていないABの、標的への結合又は親ABの、標的への結合と比較すると、MMにより修飾された場合に、ABが標的に結合する能力は、インビボにおいて又はインビトロアッセイにおいて測定された場合に、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84若しくは96時間又は5、10、15、30、45、60、90、120、150若しくは180日間又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12カ月間以上にわたり、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%低減される場合があり、なお100%も低減され得る。
【0214】
MMは、ABの、標的への結合を阻害する。MMは、ABの抗原結合性ドメインに結合し、ABの、標的への結合を阻害する。MMは、ABの、標的への結合を、立体的に阻害し得る。MMは、ABの、その標的への結合を、アロステリックに阻害し得る。これらの実施形態において、ABがMMにより修飾される又はこれへとカップリングされ、標的の存在下にある場合、インビボにおいて又はインビトロアッセイにおいて測定された場合に、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84若しくは96時間又は5、10、15、30、45、60、90、120、150若しくは180日間又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12カ月間以上にわたり、MMにより修飾されていないAB、親AB又はMMへとカップリングされていないABの、標的への結合と比較して、ABの、標的への結合がみられない、若しくはこれが実質的に見られない又は0.001%、0.01%、0.1%、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%若しくは50%以下の結合が見られる。
【0215】
ABがMMへとカップリングされている又はこれにより修飾されている場合、MMは、ABの、標的への特異的結合を、「マスキングする」又は低減する又は他の形においてこれを阻害する。ABがMMへとカップリングされている又はこれにより修飾されている場合、このようなカップリング又は修飾は、ABがその標的に特異的に結合する能力を低減又は阻害する構造的変化をもたらし得る。
【0216】
MMへとカップリングされているAB又はMMにより修飾されているABは、以下の式(アミノ(N)末端領域~カルボキシル(C)末端領域の順に:
(MM)-(AB)
(AB)-(MM)
(MM)-L-(AB)
(AB)-L-(MM)
[式中、MMは、マスキング部分であり、ABは、抗体又はこの抗体断片であり、Lは、リンカーである。]により表され得る。多くの実施形態において、可撓性をもたらすように、1つ以上のリンカー、例えば、可撓性リンカーを、組成物へと挿入することが所望であり得る。
【0217】
ある特定の実施形態において、MMは、ABの、天然の結合パートナーではない。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーに対する相同性を含有しない又はこれを実質的に含有しない。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%以下同等である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、25%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、50%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、20%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、10%以下同一である。
【0218】
一部の実施形態において、活性化可能抗体は、MMにより修飾されたABを含み、また、1つ以上の切断可能部分(CM)も含む。このような活性化可能抗体は、ABの標的への活性化可能/切替え可能な結合を呈する。活性化可能抗体は、一般に、マスキング部分(MM)及び修飾可能又は切断可能部分(CM)により修飾された又はこれへとカップリングされた、抗体又は抗体断片(AB)を含む。一部の実施形態において、CMは、少なくとも1つのプロテアーゼに対する基質として用いられるアミノ酸配列を含有する。
【0219】
切断(又は相対的活性)状態及び標的の存在下において、ABは標的に結合する一方、活性化可能抗体は、標的の存在下において、非切断(又は相対的不活性)状態にある場合、ABの、その標的への特異的結合が、低減又は阻害されるように、MM及びCMが配置されるように、活性化可能抗体のエレメントは配列される。ABの、その標的への特異的結合は、ABがその標的に特異的に結合する能力の、MMによる阻害又はマスキングに起因して低減され得る。
【0220】
MM及びCMにより修飾されたABの、標的に対するKは、MM及びCMにより修飾されていないAB又は親ABの、標的に対するKの、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍以上又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000若しくは100,000~10,000,000倍である。逆に、MM及びCMにより修飾されたABの、標的に対する結合アフィニティーは、MM及びCMにより修飾されていないAB又は親ABの、標的に対する結合アフィニティーの、少なくとも5、10、25、50、100、250、500、1,000、2,500、5,000、10,000、50,000、100,000、500,000、1,000,000、5,000,000、10,000,000、50,000,000倍以上又は5~10、10~100、10~1,000、10~10,000、10~100,000、10~1,000,000、10~10,000,000、100~1,000、100~10,000、100~100,000、100~1,000,000、100~10,000,000、1,000~10,000、1,000~100,000、1,000~1,000,000、1000~10,000,000、10,000~100,000、10,000~1,000,000、10,000~10,000,000、100,000~1,000,000若しくは100,000~10,000,000分の1である。
【0221】
ABが、MM及びCMにより修飾され、標的の存在下にあるが、薬剤(例えば、少なくとも1つのプロテアーゼ)の存在下にない場合、ABの、その標的への特異的結合は、MM及びCMにより修飾されていないABの特異的結合又は親ABの、標的への特異的結合と比較して低減又は阻害される。親ABの、その標的への結合又はMM及びCMにより修飾されていないABの、その標的への結合と比較すると、MM及びCMにより修飾された場合に、ABが標的に結合する能力は、インビボにおいて又はインビトロアッセイにおいて測定された場合に、少なくとも2、4、6、8、12、28、24、30、36、48、60、72、84若しくは96時間又は5、10、15、30、45、60、90、120、150若しくは180日間又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12カ月間以上にわたり、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%低減される場合があり、なお100%も低減され得る。
【0222】
本明細書において使用される場合、切断状態という用語は、少なくとも1つのプロテアーゼによる、CMの修飾後における、活性化可能抗体の状態を指す。本明細書において使用される場合、非切断状態という用語は、プロテアーゼによる、CMの切断の非存在下における、活性化可能抗体の状態を指す。上記において論じられた通り、「活性化可能抗体」という用語は、その非切断(天然)状態及びその切断状態の両方における、活性化可能抗体を指すように本明細書において使用される。当業者には、一部の実施形態において、切断された活性化可能抗体が、少なくともMMの放出(例えば、MMは、共有結合(例えば、システイン残基間のジスルフィド結合により、活性化可能抗体へと接続されていない)を結果としてもたらす、プロテアーゼによるCMの切断に起因して、MMを欠き得ることが明らかである。
【0223】
活性化可能又は切替え可能とは、活性化可能抗体が阻害されている、マスキングされている又は切断されていない状態(すなわち、第1のコンフォメーション)にある場合における、標的への結合の第1のレベル、及び阻害されていない、マスキングされていない及び/又は切断された状態(すなわち、第2のコンフォメーション)における、標的への結合の第2のレベルを、活性化可能抗体が呈し、ここで、標的への結合の第2のレベルが、結合の第1のレベルより高レベルであることを意味する。一般に、標的の、活性化可能抗体のABへのアクセスは、CMを切断することが可能な切断剤、すなわち、プロテアーゼの存在下において、このような切断剤の非存在下より大きい。したがって、活性化可能抗体が非切断状態にある場合、ABは、標的結合から阻害され、標的結合からマスキングされ(すなわち、第1のコンフォメーションは、ABが、標的に結合し得ないコンフォメーションである。)、切断状態において、ABは、阻害されていない又は標的への結合に対してマスキングされていない。
【0224】
活性化可能抗体のCM及びABは、ABが所与の標的に対する結合部分を表し、CMがプロテアーゼに対する基質を表すように選択される。一部の実施形態において、プロテアーゼは、対象の、処置部位又は診断部位における標的と共局在化されている。本明細書において使用される場合、共局在化されたとは、同じ部位にある又は比較的近接することを指す。一部の実施形態において、プロテアーゼは、CMを切断し、切断部位の近傍に配置された標的に結合する活性化された抗体をもたらす。本明細書において開示されている活性化可能抗体は、例えば、CM内の部位を切断することが可能なプロテアーゼ、すなわち、プロテアーゼが、処置部位又は診断部位の標的含有組織内に、非処置部位の組織内(例えば、健常組織内)より、比較的高度なレベルにおいて存在する場合に、特に使用される。一部の実施形態において、本開示のCMはまた、1つ以上の他のプロテアーゼによっても切断される。一部の実施形態において、インビボにおいて、標的と共に共局在化され、CMの切断の一因となるのは、この1つ以上の他のプロテアーゼである。
【0225】
一部の実施形態において、活性化可能抗体は、ABがマスキングされていない又は他の形において、標的への結合から阻害されていない場合に、非処置部位におけるABの結合から生じかねない、毒性及び/又は有害な副作用の軽減をもたらす。
【0226】
一般に、活性化可能抗体は、目的のABを選択し、コンフォメーション的に拘束された場合に、MMがABのマスキング又はABの、その標的への結合の低減をもたらすように、活性化可能抗体の残余を構築することによりデザインされ得る。構造的デザインの基準は、この機能的な特色をもたらすように考慮されるものとされ得る。
【0227】
非阻害コンフォメーションと対比された、阻害コンフォメーションにおける、標的への結合について所望されるダイナミックレンジの、切替え可能な表現型を呈する活性化可能抗体が提供されている。ダイナミックレンジは、一般に、(a)第1のセットの条件下における、パラメータの最大検出レベルの、(b)第2のセットの条件下における、このパラメータの最小検出値に対する比を指す。例えば、活性化可能抗体の文脈において、ダイナミックレンジとは、(a)活性化可能抗体のCMを切断することが可能な少なくとも1つのプロテアーゼの存在下における、標的タンパク質の、活性化可能抗体への結合の最大検出レベルの、(b)プロテアーゼの非存在下における、標的タンパク質の、活性化可能抗体への結合の最小検出レベルに対する比を指す。活性化可能抗体のダイナミックレンジは、活性化可能抗体切断剤(例えば、酵素)による処理の解離定数の、活性化可能抗体切断剤による処理の解離定数に対する比として計算され得る。活性化可能抗体のダイナミックレンジが大きいほど、活性化可能抗体の切替え可能表現型は良好である。比較的大きなダイナミックレンジ値(例えば、1より大きい)を有する活性化可能抗体は、活性化可能抗体による標的タンパク質への結合が、活性化可能抗体のCMを切断することが可能な切断剤(例えば、酵素)の存在下において、切断剤の非存在下より大きな程度において生じる(例えば、卓越して生じる)ような、より所望される切替え表現型を呈する。
【0228】
活性化可能抗体は、様々な構造的構成により提供され得る。活性化可能抗体についての例示的な式は、下記に提示されている。とりわけ、N末端~C末端における、AB、MM及びCMの順序は、活性化可能抗体内において、逆転され得ることが想定される。とりわけ、例えば、CMがMM内に含有されるように、CMとMMとが、アミノ酸配列内において重複し得ることもまた想定され得る。
【0229】
例えば、活性化可能抗体は、以下の式(アミノ(N)末端領域~カルボキシル(C)末端領域の順に):
(MM)-(CM)-(AB)
(AB)-(CM)-(MM)
[式中、MMは、マスキング部分であり、CMは、切断可能部分であり、ABは、抗体又はこの断片である。]により表され得る。上記の式において、MMとCMとは、顕著に異なる構成要素として指し示されているが、本明細書において開示されている全ての例示的な実施形態(式を含む)において、MMのアミノ酸配列と、CMのアミノ酸配列とは、例えば、CMがMM内に完全に又は部分的に含有されるように、重複し得ることが想定されることに留意されたい。加えて、上記の式は、活性化可能抗体エレメントに対して、N末端又はC末端に配置され得る、さらなるアミノ酸配列も提示する。
【0230】
ある特定の実施形態において、MMは、ABの、天然の結合パートナーではない。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーに対する相同性を含有しない又はこれを実質的に含有しない。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%以下同等である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%又は80%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、50%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、25%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、20%以下同一である。一部の実施形態において、MMは、ABの、任意の天然結合パートナーと、10%以下同一である。
【0231】
多くの実施形態において、MM-CM接合部、CM-AB接合部又はこれらの両方のうちの1つ以上において、可撓性をもたらすように、1つ以上のリンカー、例えば、可撓性リンカーを、活性化可能抗体構築物へと挿入することが所望であり得る。例えば、AB、MM及び/又はCMは、所望の可撓性をもたらすのに十分な数の残基(例えば、Gly、Ser、Asp、Asn、とりわけ、Gly及びSer、特に、Gly)を含有しない場合がある。このように、このような活性化可能抗体構築物の切替え可能表現型は、可撓性リンカーをもたらすための、1つ以上のアミノ酸の導入から利益を受け得る。加えて、下記で記載されている通り、活性化可能抗体がコンフォメーション的に拘束された構築物として提供される場合、可撓性リンカーは、非切断活性化可能抗体内の、環状構造の形成及び維持を容易とするように、作動可能に挿入され得る。
【0232】
例えば、ある特定の実施形態において、活性化可能抗体は、以下の式(下記の式は、アミノ酸配列を、N末端~C末端の方向に又はC末端~N末端の方向に表す):
(MM)-LP1-(CM)-(AB)
(MM)-(CM)-LP2-(AB)
(MM)-LP1-(CM)-LP2-(AB)
[式中、MM、CM及びABは、上記において規定された通りであり;LP1及びLP2は、各々、独立に、かつ任意選択的に、存在する又は存在せず、少なくとも1つの可撓性アミノ酸(例えば、Gly)を含む、同一である又は異なる可撓性リンカーである。]のうちの1つを含む。加えて、上記の式は、活性化可能抗体エレメントに対して、N末端又はC末端に配置され得る、さらなるアミノ酸配列も提示する。例は、これらに限定されないが、ターゲティング部分(例えば、標的組織内に存在する細胞の受容体に対するリガンド)及び血清半減期延長部分(例えば、免疫グロブリン(例えば、IgG)又は血清アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン(HAS)などの血清タンパク質に結合するポリペプチド)を含む。
【0233】
CMは、少なくとも1つのプロテアーゼにより、約0.001~1500×10-1-1又は少なくとも0.001、0.005、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2.5、5、7.5、10、15、20、25、50、75、100、125、150、200、250、500、750、1000、1250若しくは1500×10-1-1の速度において特異的に切断される。一部の実施形態において、CMは、約100,000M-1-1の速度において特異的に切断される。一部の実施形態において、CMは、約1×10E2~約1×10E6M-1-1(すなわち、約1×10~約1×10-1-1)の速度において特異的に切断される。
【0234】
酵素による特異的な切断のために、酵素とCMとの接触点が作られる。MM及びCMへとカップリングさせたABを含む活性化可能抗体が標的及び十分な酵素活性の存在下にある場合、CMは、切断され得る。十分な酵素活性とは、酵素がCMとの接触点を作り、切断を行う能力を指す場合がある。他の細胞因子又は酵素のタンパク質修飾により、酵素が、CMの近傍にあり得るが、切断が不可能であることが、たやすく想定され得る。
【0235】
本明細書において記載されている組成物における使用に適するリンカーは、一般に、ABの、標的への結合の阻害を容易とする、修飾されたAB又は活性化可能抗体の可撓性をもたらすリンカーである。このようなリンカーは、一般に、可撓性リンカーと称される。適するリンカーは、たやすく選択される可能性があり、1アミノ酸(例えば、Gly)~20アミノ酸、2アミノ酸~15アミノ酸、3アミノ酸~12アミノ酸、4アミノ酸~10アミノ酸を含み、5アミノ酸~9アミノ酸、6アミノ酸~8ミノ酸又は7アミノ酸~8アミノ酸及び1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20アミノ酸の長さなど、異なる長さの適するリンカーのうちのいずれかであり得る。
【0236】
例示的な可撓性リンカーとしては、グリシンポリマー(G)n、グリシン-セリンポリマー(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号24)及び(GGGS)n(配列番号25)[配列中、nは、少なくとも1の整数である。]を含む)、グリシン-アラニンポリマー、アラニン-セリンポリマー及び当技術分野において公知である他の可撓性リンカーが挙げられる。グリシンポリマー及びグリシン-セリンポリマーは、比較的構造化されておらず、したがって、構成要素間の中性のテザーとして用いられる可能性があり得る。グリシンは、アラニンよりなお大きなファイ-プサイ空間に顕著に接近し、側鎖が長い残基より拘束がはるかに小さい(Scheraga、Rev.Computational Chem.、11173~142頁(1992年)を参照されたい)。例示的な可撓性リンカーとしては、これらに限定されないが、Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号26)、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号27)、Gly-Ser-Gly-Ser-Gly(配列番号28)、Gly-Ser-Gly-Gly-Gly(配列番号29)、Gly-Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号30)、Gly-Ser-Ser-Ser-Gly(配列番号31)などが挙げられる。当業者は、活性化可能抗体のデザインが、リンカーが、可撓性リンカーのほか、所望の活性化可能抗体構造をもたらすように、可撓性の小さな構造を付与する1つ以上の部分を含み得るように、全てが可撓性である又は部分的に可撓性であるリンカーを含み得ることを認識する。
【0237】
本開示はまた、CD71に特異的に結合する抗体又は抗体断片(AB)を含む活性化可能抗CD71抗体を含む組成物及び方法も提示するが、ここで、ABは、ABの、その標的に結合する能力を減少させるマスキング部分(MM)へとカップリングされている。一部の実施形態において、活性化可能抗CD71抗体は、プロテアーゼに対する基質である切断可能部分(CM)をさらに含む。本明細書において提示されている組成物及び方法は、活性化可能抗CD71抗体の活性(例えば、マスキング、活性化又は結合活性)を損なわずに、1つ以上の薬剤の、AB内の1つ以上のシステイン残基への接合を可能とする。一部の実施形態において、本明細書において提示されている組成物及び方法は、MM内の、1つ以上のジスルフィド結合を低減する又は他の形において攪乱することなく、1つ以上の薬剤の、AB内の1つ以上のシステイン残基への接合を可能とする。本明細書において提示されている組成物及び方法は、例えば、一部の実施形態において、活性化可能抗CD71抗体のMMへとコンジュゲートされている薬剤(複数可)のうちのいずれかを伴わずに、1つ以上の薬剤、例えば、様々な治療剤、診断剤及び/又は予防剤のうちのいずれかへとコンジュゲートされている活性化可能抗CD71抗体をもたらす。本明細書において提示されている組成物及び方法は、MMが、非切断状態にある活性化可能抗体のABを、効果的かつ効率的にマスキングする能力を保持する、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体をもたらす。本明細書において提示されている組成物及び方法は、活性化可能抗体がやはり活性化されている、すなわち、CMを切断し得るプロテアーゼの存在下において切断されている、コンジュゲート活性化可能抗CD71抗体をもたらす。
【0238】
活性化可能抗CD71抗体は、薬剤のための、少なくとも1つのコンジュゲーション点を有するが、本明細書において提示されている方法及び組成物において、可能なコンジュゲーション点が全て、薬剤へのコンジュゲーションに利用可能なわけではない。一部の実施形態において、1つ以上のコンジュゲーション点は、ジスルフィド結合に関与している硫黄原子である。一部の実施形態において、1つ以上のコンジュゲーション点は、鎖間ジスルフィド結合に関与している硫黄原子である。一部の実施形態において、1つ以上のコンジュゲーション点は、鎖間スルフィド結合に関与している硫黄原子であるが、鎖内ジスルフィド結合に関与する硫黄原子ではない。一部の実施形態において、1つ以上のコンジュゲーション点は、システイン又は硫黄原子を含有する他のアミノ酸残基の硫黄原子である。このような残基は、抗体構造内で、天然において生じる場合もあり、部位指向突然変異誘発、化学的転換又は非天然アミノ酸の誤組込みにより、抗体へと組み込まれる場合もある。
【0239】
また、AB内の、1つ以上の鎖間ジスルフィド結合及びMM内の、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合並びに遊離チオールと反応性の薬物を有する、活性化可能抗CD71抗体のコンジュゲートを調製する方法も提供されている。方法は、一般に、活性化可能抗体内の鎖間ジスルフィド結合を、例えば、TCEPなどの還元剤により、部分的に還元すること;及び遊離チオールと反応性の薬物を、部分的に還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせることを含む。本明細書において使用される場合、部分的還元という用語は、活性化可能抗CD71抗体が、還元剤と接触され、全てではないジスルフィド結合、例えば、全てではない、可能なコンジュゲーション部位が還元される状況を指す。一部の実施形態において、全ての可能なコンジュゲーション部位のうちの、99%未満、98%、97%、96%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%又は5%未満が還元される。
【0240】
さらに他の実施形態において、薬剤、例えば、薬物を還元し、これを、活性化可能抗CD71抗体へとコンジュゲートさせて、薬剤の配置における選択性を結果としてもたらす方法が提供されている。方法は、一般に、活性化可能抗体のマスキング部分内又は他のAB以外の部分内の、任意のコンジュゲーション部位が還元されないように、活性化可能抗CD71抗体を、還元剤により部分的に還元すること及び薬剤を、AB内の鎖間チオールへとコンジュゲートさせることを含む。コンジュゲーション部位(複数可)は、薬剤の所望の配置を可能として、コンジュゲーションが所望の部位において生じることを可能とするように選択される。還元剤は、例えば、TCEPである。例えば、還元剤の、活性化可能抗体に対する比、インキュベーションの長さ、インキュベーション時の温度、還元反応溶液のpHなどの還元反応条件は、MMが、非切断状態にある活性化可能抗体のABを、効果的かつ効率的にマスキングする能力を保持する、活性化可能コンジュゲート抗体をもたらす条件を同定することにより決定される。還元剤の、活性化可能抗CD71抗体に対する比は、活性化可能抗体に応じて変動する。一部の実施形態において、還元剤の、活性化可能抗CD71抗体に対する比は、約20:1~1:1、約10:1~1:1、約9:1~1:1、約8:1~1:1、約7:1~1:1、約6:1~1:1、約5:1~1:1、約4:1~1:1、約3:1~1:1、約2:1~1:1、約20:1~1:1.5、約10:1~1:1.5、約9:1~1:1.5、約8:1~1:1.5、約7:1~1:1.5、約6:1~1:1.5、約5:1~1:1.5、約4:1~1:1.5、約3:1~1:1.5、約2:1~1:1.5、約1.5:1~1:1.5又は約1:1~1:1.5の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約5:1~1:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約5:1~1.5:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約4:1~1:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約4:1~1.5:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約8:1~約1:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約2.5:1~1:1の範囲にある。
【0241】
一部の実施形態において、活性化可能抗CD71抗体のAB内の鎖間ジスルフィド結合を還元し、薬物などの薬剤、例えば、チオール含有薬剤を、結果として得られる鎖間チオールへとコンジュゲートさせて、薬剤(複数可)を、AB上に、選択的に配置する方法が提供されている。方法は、一般に、ABを、還元剤により部分的に還元して、活性化可能抗体内において、可能な鎖間チオールを全ては形成せずに、少なくとも2つの鎖間チオールを形成すること;及び薬剤を、部分的に還元されたABの鎖間チオールへとコンジュゲートさせることを含む。例えば、活性化可能抗体のABは、約37℃、所望の還元剤:活性化可能抗体の比において、約1時間にわたり部分的に還元される。一部の実施形態において、還元剤の、活性化可能抗体に対する比は、約20:1~1:1、約10:1~1:1、約9:1~1:1、約8:1~1:1、約7:1~1:1、約6:1~1:1、約5:1~1:1、約4:1~1:1、約3:1~1:1、約2:1~1:1、約20:1~1:1.5、約10:1~1:1.5、約9:1~1:1.5、約8:1~1:1.5、約7:1~1:1.5、約6:1~1:1.5、約5:1~1:1.5、約4:1~1:1.5、約3:1~1:1.5、約2:1~1:1.5、約1.5:1~1:1.5又は約1:1~1:1.5の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約5:1~1:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約5:1~1.5:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約4:1~1:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約4:1~1.5:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約8:1~約1:1の範囲にある。一部の実施形態において、比は、約2.5:1~1:1の範囲にある。
【0242】
チオール含有試薬は、例えば、システイン又はN-アセチルシステインであり得る。還元剤は、例えば、TCEPであり得る。一部の実施形態において、還元された活性化可能抗体は、例えば、カラムクロマトグラフィー、透析又は透析濾過を使用して、コンジュゲーションの前に精製され得る。代替的に、還元された抗体は、部分的還元の後であり、かつコンジュゲーションの前に精製されない。
【0243】
本発明はまた、活性化可能抗体内の、少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能抗体内の、鎖内ジスルフィド結合を攪乱せずに、還元剤により還元されている、部分的に還元された活性化可能抗CD71抗体も提示するが、ここで、活性化可能抗体は、CD71に特異的に結合する抗体又はこの抗原結合性断片(AB)、非切断状態にある活性化可能抗体のABの、CD71への結合を阻害するマスキング部分(MM)及びABへとカップリングされており、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである、切断可能部分(CM)を含む。一部の実施形態において、MMは、CMを介して、ABへとカップリングされている。一部の実施形態において、活性化可能抗体の、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により攪乱されない。一部の実施形態において、活性化可能抗体内のMMの、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により攪乱されない。一部の実施形態において、非切断状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MMの構造的配置を有する。一部の実施形態において、還元剤は、TCEPである。
【0244】
さらに他の実施形態において、リシン残基及び/又はシステイン残基の、規定された数及び位置を伴う、活性化可能抗CD71抗体をもたらすことにより、薬剤、例えば、薬物を還元し、これを、活性化可能抗CD71抗体へとコンジュゲートさせて、薬剤の配置における選択性を結果としてもたらす方法。一部の実施形態において、リシン残基及び/又はシステイン残基の規定された数は、親抗体又は活性化可能抗体のアミノ酸配列内の、対応する残基の数より大きい又は小さい。一部の実施形態において、リシン残基及び/又はシステイン残基の、規定された数は、抗CD71抗体又は活性化可能抗CD71抗体へとコンジュゲートされ得る、規定された当量数の薬剤を結果としてもたらし得る。一部の実施形態において、リシン残基及び/又はシステイン残基の規定された数は、抗CD71抗体又は活性化可能抗CD71抗体へとコンジュゲートされ得る、規定された当量数の薬剤を、部位特異的に、結果としてもたらし得る。一部の実施形態において、修飾活性化可能抗体は、1つ以上の非天然アミノ酸により、部位特異的に修飾され、したがって、一部の実施形態において、薬剤のコンジュゲーションを、非天然アミノ酸の部位だけに限定している。一部の実施形態において、リシン残基及び/又はシステイン残基の規定された数及び位置を伴う、活性化可能抗体のマスキング部分内又は他のAB以外の部分内の、任意のコンジュゲーション部位が還元されないように、抗CD71抗体又は活性化可能抗CD71抗体は、本明細書において論じられているように還元剤により部分的に還元し、薬剤を、AB内の鎖間チオールへとコンジュゲートさせることができる。
【0245】
本開示はまた、活性化可能抗体内の少なくとも1つの鎖間ジスルフィド結合が、活性化可能抗体内の鎖内ジスルフィド結合を攪乱せずに、還元剤により還元されている、部分的に還元された活性化可能抗体も提示するが、ここで、活性化可能抗体は、標的、例えば、CD71に特異的に結合する抗体又はこの抗原結合性断片(AB)、非切断状態にある活性化可能抗体のABの、標的への結合を阻害するマスキング部分(MM)及びABへとカップリングされた切断可能部分(CM)を含み、CMは、少なくとも1つのプロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。一部の実施形態において、MMは、CMを介して、ABへとカップリングされている。一部の実施形態において、活性化可能抗体の1つ以上の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により攪乱されない。一部の実施形態において、活性化可能抗体内のMMの、1つ以上の鎖内ジスルフィド結合は、還元剤により攪乱されない。一部の実施形態において、非切断状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MMの構造的配置を有する。一部の実施形態において、還元剤は、TCEPである。
【0246】
一部の実施形態において、本明細書において記載されている活性化可能抗体はまた、活性化可能抗体へとコンジュゲートされた薬剤も含む。一部の実施形態において、コンジュゲート剤は、抗炎症剤及び/又は抗新生物剤などの治療剤である。このような実施形態において、例えば、炭水化物部分が活性化可能抗体内の抗体又は抗原結合性断片の、抗原結合性領域の外部に配置された一部の実施形態において、薬剤は、活性化可能抗体の炭水化物部分へとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、薬剤は、活性化可能抗体内の抗体又は抗原結合性断片のスルフヒドリル基へとコンジュゲートされている。
【0247】
一部の実施形態において、薬剤は、毒素(例えば、細菌由来、真菌由来、植物由来又は動物由来の、酵素的に活性の毒素若しくはこれらの断片)又は放射性同位元素(すなわち、ラジオコンジュゲート)などの細胞傷害剤である。
【0248】
一部の実施形態において、薬剤は、例えば、標識又は他のマーカーなどの検出可能部分である。一部の実施形態において、検出可能部分は、診断剤である。例えば、薬剤は、放射性標識されたアミノ酸、マーキングされたアビジン(例えば、光学法若しくは熱量法により検出され得る、蛍光マーカー若しくは酵素活性を含有するストレプトアビジン)により検出され得る、1つ以上のビオチニル部分、1つ以上の放射性同位元素又は放射性核種、1つ以上の蛍光標識、1つ以上の酵素標識及び/又は1つ以上の化学発光剤である又はこれを含む。一部の実施形態において、検出可能部分は、スペーサー分子により接合されている。
【0249】
本開示はまた、毒素(例えば、細菌由来、真菌由来、植物由来又は動物由来の、酵素的に活性の毒素又はこれらの断片)又は放射性同位元素(すなわち、ラジオコンジュゲート)などの細胞傷害剤へとコンジュゲートされた抗体を含むイムノコンジュゲートにも関する。適切な細胞傷害剤としては、例えば、ドラスタチン及びこの誘導体(例えば、アウリスタチンE、AFP、MMAF、MMAE、MMAD、DMAF、DMAE)が挙げられる。例えば、薬剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)又はモノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。一部の実施形態において、薬剤は、ドラスタチンである。一部の実施形態において、薬剤は、アウリスタチン又はこの誘導体である。一部の実施形態において、薬剤は、アウリスタチンE又はこの誘導体である。一部の実施形態において、薬剤は、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)である。一部の実施形態において、薬剤は、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)である。一部の実施形態において、薬剤は、マイタンシノイド又はマイタンシノイド誘導体である。
【0250】
一部の実施形態において、ABへとコンジュゲートさせたリンカー及び毒素は、SPDB-DM4部分、vc-MMAD部分、vc-MMAE部分、vc-デュオカルマイシン又はPEG2-vc-MMAD部分を含む。一部の実施形態において、リンカーは、切断可能リンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、非切断可能リンカーである。一部の実施形態において、薬剤は、検出可能部分である。
【0251】
一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカー又はマレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを使用して、ABへと連結される。一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカーを使用して、ABへと連結される。一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカーを使用して、ABへと連結された、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書において、「vc-MMAE」と称される。一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを使用して、ABへと連結される。一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドテトラ-PEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを使用して、ABへと連結された、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書において、「PEG4-vc-MMAD」と称される。一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドテトラ-PEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを使用して、ABへと連結された、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書において、「PEG4-vc-MMAE」と称される。一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを使用して、ABへと連結される。一部の実施形態において、薬剤は、マレイミドビス-PEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを使用して、ABへと連結された、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)であり、このリンカーペイロード構築物は、本明細書において、「PEG2-vc-MMAD」と称される。PEG4-vc-MMAD、PEG4-vc-MMAE、PEG2-vc-MMAD及びvc-MMAEの構造は、下記に示されている。
【0252】
【化4】
【0253】
本開示はまた、val-cit(vc)リンカーを伴うモノメチルアウリスタチンE(MMAE)ペイロードである、vcMMAEへと連結された活性化可能抗体であって、標的に特異的に結合する抗体(AB)、ABへとカップリングされたマスキング部分(MM)であって、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABの、標的への結合を阻害するMM及びABへとカップリングされた切断可能部分(CM)を含み、CMはプロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである、活性化可能抗体を含む活性化可能コンジュゲート抗体も提示する。一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体は、式(I):
【0254】
【化5】
[式中、ABは、標的に特異的に結合し、重鎖可変領域、重鎖及び/又は1つ以上の重鎖CDR(CDRH)領域を含む抗体である。]の構造又はその塩を有する。ABはまた、軽鎖可変領域、軽鎖及び/又は1つ以上の軽鎖CDR(CDRL)領域も含む。式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体はまた、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABの、その標的への結合を阻害するマスキング部分(MM)、第1の連結部分(LP1)、切断可能部分(CM)及び第2の連結部分(LP2)も含む。式(I)についての、特定の実施形態において、「n」は2である。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0255】
一部の実施形態において、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体は、式(II):
【0256】
【化6】
[式中、ABは、標的に特異的に結合し、重鎖可変領域、重鎖及び/又は1つ以上の重鎖CDR(CDRH)領域を含む抗体である。]の構造又はその塩を有する。ABはまた、軽鎖可変領域、軽鎖及び/又は1つ以上の軽鎖CDR(CDRL)領域も含む。式(I)の活性化可能コンジュゲート抗体はまた、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABの、その標的への結合を阻害するマスキング部分(MM)及び切断可能部分(CM)も含む。式(II)についての、特定の実施形態において、「n」は2である。一部の実施形態において、ABが、IgG1アイソタイプを含む、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。一部の実施形態において、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている、式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0257】
式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、標的は、哺乳動物CD71である。式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、標的は、ヒトCD71である。
【0258】
式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域並びに配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域を含み、MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含み、CMは、配列番号156の配列を含み、「n」は2である。式(I)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域並びに配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域を含み、MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含み、LP1は、配列番号207のアミノ配列を含み、CMは、配列番号156の配列を含み、LP2は、配列番号38のアミノを含み、「n」は2である。
【0259】
式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含み、MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含み、CMは、配列番号156の配列を含み、「n」は2である。式(I)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含み、MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含み、LP1は、配列番号207のアミノ配列を含み、CMは、配列番号156の配列を含み、LP2は、配列番号38のアミノ配列を含み、「n」は2である。
【0260】
式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含み、MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含み、CMは、配列番号156の配列を含み、「n」は2である。式(I)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含み、MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含み、LP1は、配列番号207のアミノ配列を含み、CMは、配列番号156の配列を含み、LP2は、配列番号38のアミノ配列を含み、「n」は2である。
【0261】
式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含み、「n」は2である。式(I)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含み、「n」は2である。式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号201の配列を含む軽鎖を含み、「n」は2である。
【0262】
式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む。式(I)又は(II)の、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体についての、一部の実施形態において、ABは、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む。
【0263】
本開示はまた、モノメチルアウリスタチンD(MMAD)ペイロードへと連結された活性化可能抗体を含む活性化可能コンジュゲート抗体も提示するが、ここで、活性化可能抗体は、標的に特異的に結合する抗体又はこの抗原結合性断片(AB)、非切断状態にある活性化可能抗体のABの、標的への結合を阻害するマスキング部分(MM)及びABへとカップリングされた切断可能部分(CM)を含み、CMは、少なくとも1つのMMPプロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。
【0264】
一部の実施形態において、MMAD-活性化可能コンジュゲート抗体は、薬剤を、ABへと接合させるための:(a)ABの炭水化物部分への接合又は(b)ABのスルフヒドリル基への接合又は(c)ABのアミノ基への接合又は(d)ABのカルボン酸基への接合のためのいくつかの方法のうちのいずれかを使用してコンジュゲートされ得る。
【0265】
一部の実施形態において、MMADペイロードは、リンカーを介して、ABへとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、MMADペイロードは、リンカーを介して、AB内のシステインへとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、MMADペイロードは、リンカーを介して、AB内のリシンへとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、MMADペイロードは、リンカーを介して、本明細書において開示されている残基など、ABの別の残基へとコンジュゲートされている。一部の実施形態において、リンカーは、チオール含有リンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、切断可能リンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、非切断可能リンカーである。一部の実施形態において、リンカーは、表(II)及び(III)に示されているリンカーからなる群から選択される。一部の実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンリンカーを介して連結される。一部の実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドPEG-バリン-シトルリンリンカーを介して連結される。一部の実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。一部の実施形態において、活性化可能抗体とMMADペイロードとは、マレイミドPEG-バリン-シトルリン-パラ-アミノベンジルオキシカルボニルリンカーを介して連結される。一部の実施形態において、MMADペイロードは、本明細書において開示されている部分的還元及びコンジュゲーション技術を使用して、ABへとコンジュゲートされている。
【0266】
一部の実施形態において、本開示のリンカーのポリエチレングリコール(PEG)構成要素は、2つのエチレングリコール単量体、3つのエチレングリコール単量体、4つのエチレングリコール単量体、5つのエチレングリコール単量体、6つのエチレングリコール単量体、7つのエチレングリコール単量体8つのエチレングリコール単量体、9つのエチレングリコール単量体又は少なくとも10のエチレングリコール単量体から形成される。本開示の一部の実施形態において、PEG構成要素は、分枝状ポリマーである。本開示の一部の実施形態において、PEG構成要素は、非分枝状ポリマーである。一部の実施形態において、PEGポリマー構成要素は、アミノ基若しくはこの誘導体、カルボキシル基若しくはこの誘導体又はアミノ基若しくはこの誘導体及びカルボキシル基若しくはこの誘導体の両方により官能化されている。
【0267】
一部の実施形態において、本開示のリンカーのPEG構成要素は、アミノテトラエチレングリコールカルボキシル基又はこの誘導体である。一部の実施形態において、本開示のリンカーのPEG構成要素は、アミノトリエチレングリコールカルボキシル基又はこの誘導体である。一部の実施形態において、本開示のリンカーのPEG構成要素は、アミノジエチレングリコールカルボキシル基又はこの誘導体である。一部の実施形態において、アミノ誘導体は、アミノ基と、それがコンジュゲートされたカルボキシル基とのアミド結合の形成である。一部の実施形態において、カルボキシル誘導体は、カルボキシル基と、それがコンジュゲートされたアミノ基とのアミド結合の形成である。一部の実施形態において、カルボキシル誘導体は、カルボキシル基と、それがコンジュゲートされたヒドロキシル基とのエステル結合の形成である。
【0268】
酵素的に活性である、有用な毒素及びこの断片としては、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、外毒素A鎖(シュードモナス・エルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)に由来する)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデクシンA鎖、アルファ-サルシン、アレウリテス・フォルディイ(Aleurites fordii)のタンパク質、ジアンチンタンパク質、フィトラカ・アメリカーナ(Phytolaca americana)のタンパク質(PAPI、PAPII及びPAP-S)、モモルディカ・カランティア(momordica charantia)による阻害剤、クルシン、クロチン、サポナリア・オフィキナリス(sapaonaria officinalis)による阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン、レストリクトシン、フェノマイシン、エノマイシン及びトリコテセンが挙げられる。放射性コンジュゲート抗体を作製するために、様々な放射性同位元素が利用可能である。例しては、212Bi、131I、131In、90Y及び186Reが挙げられる。
【0269】
抗体と細胞傷害剤とのコンジュゲートは、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(アジプイミド酸ジメチルHCLなど)、活性エステル(スベリン酸ジスクシンイミジルなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒド(glutareledehyde))など)、ビス-アジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミンなど)、ジイソシアン酸(トルエン(tolyene)2,6-ジイソシアン酸など)及び活性のビス-フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)など、様々な二官能性タンパク質のカップリング剤を使用して作られる。例えば、リシン免疫毒素は、Vitettaら、Science、238:1098(1987年)において記載された通りに調製され得る。炭素14標識された1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性核種の、抗体へのコンジュゲーションのための例示的なキレート剤である(WO94/11026を参照されたい)。
【0270】
当業者は、多種多様な可能部分が、結果として得られる本開示の抗体へとカップリングされ得ることを認識する(例えば、その全内容を、参照により本明細書に組み込む、「Conjugate Vaccines」、Contributions to Microbiology and Immunology、J.M.Cruse及びR.E.Lewis,Jr(編)、Carger Press、New York(1989年)を参照されたい)。
【0271】
カップリングは、抗体及び他の部分がこれらのそれぞれの活性を保持する限りにおいて、2つの分子を結合させる、任意の化学反応により達せられ得る。この連結は、多くの化学機構、例えば、共有結合、アフィニティー結合、挿入、配位結合及び錯体化を含み得る。しかし、一部の実施形態において、結合は、共有結合である。共有結合は、存在する側鎖の直接的縮合又は外部の架橋分子の組込みにより達成され得る。多くの二価連結剤又は多価連結剤は、本開示の抗体などのタンパク質分子を、他の分子へとカップリングさせるのに有用である。例えば、代表的なカップリング剤としては、チオエステル、カルボジイミド、スクシンイミドエステル、ジイソシアン酸、グルタルアルデヒド、ジアゾベンゼン及びヘキサメチレンジアミンなどの有機化合物が挙げられ得る。この列挙は、当技術分野において公知のカップリング剤の多様なクラスについて網羅的なものではなく、より一般的なカップリング剤について例示的であることが意図される(Killen及びLindstrom、Jour.Immun.、133:1335~2549(1984年);Jansenら、Immunological Reviews、62:185~216(1982年);並びにVitettaら、Science、238:1098(1987年)を参照されたい。
【0272】
一部の実施形態において、本明細書において提示されている組成物及び方法に加えて、活性化可能コンジュゲート抗体はまた、活性化可能抗体配列内に挿入された又は他の形において含まれた修飾アミノ酸配列を介する、部位特異的コンジュゲーションのためにも修飾され得る。これらの修飾されたアミノ酸配列は、活性化可能コンジュゲート抗体内のコンジュゲート剤の、配置及び/又は投与量の制御を可能とするようにデザインされている。例えば、活性化可能抗体は、軽鎖上及び重鎖上の位置におけるシステイン置換であって、反応性のチオール基をもたらすが、タンパク質のフォールディング及びアセンブリーに、負の影響を与えたり、抗原への結合を変更したりしないシステイン置換を含むように操作され得る。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、活性化可能抗体内に、1つ以上の非天然アミノ酸残基を含む又は他の形においてこれらを導入して、コンジュゲーションに適する部位をもたらすように操作され得る。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、活性化可能抗体配列内に、酵素的に活性化可能なペプチド配列を含む又は他の形においてこれらを導入するように操作され得る。
【0273】
適するリンカーについては、文献において記載されている(例えば、MBS(M-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル)の使用について記載している、Ramakrishnan,S.ら、Cancer Res.、44:201~208(1984年)を参照されたい。また、オリゴペプチドリンカーにより、抗体へとカップリングされた、ハロゲン化アセチルヒドラジド誘導体の使用について記載している、米国特許第5,030,719号も参照されたい。一部の実施形態において、適するリンカーとしては、(i)EDC(1-エチル-3-(3-ジメチルアミノ-プロピル)カルボジイミド塩酸塩;(ii)SMPT(4-スクシンイミジルオキシカルボニル-アルファ-メチル-アルファ-(2-ピリジル-ジチオ)-トルエン(Pierce Chem.Co.Cat.21558G);(iii)SPDP(スクシンイミジル-6[3-(2-ピリジルジチオ)プロピオンアミド]ヘキサン酸塩(Pierce Chem.Co.Cat.#21651G);(iv)スルホ-LC-SPDP(スルホスクシンイミジル6[3-(2-ピリジルジチオ)-プロピオン(propian)アミド]ヘキサン酸塩(Pierce Chem.Co.Cat.#2165-G);及び(v)EDCへとコンジュゲートされた、スルホ-NHS(N-ヒドロキシスルホ-スクシンイミド:Pierce Chem.Co.Cat.#24510)が挙げられる。さらなるリンカーとしては、これらに限定されないが、SMCC((スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩)、スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボン酸塩)、SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)ブタン酸塩)又はスルホ-SPDB(N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタン酸塩)が挙げられる。
【0274】
上記で記載されたリンカーは、異なる属性を有し、したがって、異なる生理化学的特性を伴うコンジュゲートをもたらす構成要素を含有する。例えば、カルボン酸アルキルのスルホ-NHSエステルは、芳香族カルボン酸のスルホ-NHSエステルより安定である。リンカーを含有するNHS-エステルは、スルホ-NHSエステルより、可溶性が小さい。さらに、リンカーであるSMPTは、立体障害型ジスルフィド結合を含有しており、安定性を増大させたコンジュゲートを形成し得る。ジスルフィド連結は、インビトロにおいて切断されるため、一般に、他の連結より安定性が小さく、利用可能なコンジュゲートの減少を結果としてもたらす。スルホ-NHSは、特に、カルボジイミドカップリングの安定性を増強し得る。カルボジイミドカップリング(EDCなど)は、スルホ-NHSと共に使用されると、カルボジイミドカップリング反応単独よりも、加水分解に対する抵抗性が大きいエステルを形成する。
【0275】
一部の実施形態において、リンカーは、切断可能である。一部の実施形態において、リンカーは、切断可能でない。一部の実施形態において、2つ以上のリンカーが存在する。この2つ以上のリンカーは、全て同じである、すなわち、切断可能である若しくは切断可能でない又は2つ以上のリンカーは、異なる、すなわち、少なくとも1つは切断可能であり、少なくとも1つは切断可能でない。
【0276】
本開示は、薬剤を、ABへと接合させるための:(a)ABの炭水化物部分への接合又は(b)ABのスルフヒドリル基への接合又は(c)ABのアミノ基への接合又は(d)ABのカルボン酸基への接合のためのいくつかの方法を用いる。本開示に従い、ABは、1つはABと反応し、1つは薬剤と反応する、少なくとも2つの反応性基を有する中間リンカーを介して、薬剤へと共有結合的に接合され得る。任意の適合性の有機化合物を含み得るリンカーは、AB(又は薬剤)との反応が、ABの反応性及び選択性に有害な影響を及ぼさないように選び出され得る。さらに、リンカーの、薬剤への接合は、薬剤の活性を破壊しない場合がある。酸化抗体又は酸化抗体断片との反応に適するリンカーとしては、一級アミン基、二級アミン基、ヒドラジン基、ヒドラジド基、ヒドロキシルアミン基、フェニルヒドラジン基、セミカルバジド基及びチオセミカルバジド基からなる群から選択されるアミンを含有するリンカーが挙げられる。このような反応性官能基は、リンカー構造の一部として存在する場合もあり、このような基を含有しないリンカーの、適切な化学修飾により導入される場合もある。
【0277】
本開示に従い、還元されたABへの接合に適するリンカーは、還元された抗体又は断片のスルフヒドリル基との反応が可能な、ある特定の反応性基を有するリンカーを含む。このような反応性基は、これらに限定されないが、反応性のハロアルキル基(例えば、ハロアセチル基を含む)、p-安息香酸水銀基及びマイケル型付加反応が可能な基を含む(例えば、マレイミド並びにMitra及びLawton、1979年、J.Amer.Chem.Soc.、101:3097~3110頁により記載された種類の基を含む)。
【0278】
本開示に従い、酸化も還元もされていないAbへの接合に適するリンカーは、Abの非修飾リシン残基内に存在する一級アミノ基との反応が可能な、ある特定の官能基を有するリンカーを含む。このような反応性基は、これらに限定されないが、NHSのカルボン酸エステル又は炭酸エステル、スルホ-NHSのカルボン酸エステル又は炭酸エステル、4-ニトロフェニルのカルボン酸エステル又は炭酸エステル、ペンタフルオロフェニルのカルボン酸エステル又は炭酸エステル、アシルイミダゾール、イソシアネート及びイソチオシアネートを含む。
【0279】
本開示に従い、酸化も還元もされていないAbへの接合に適するリンカーは、適切な試薬により活性化されたAbのアスパラギン酸残基又はグルタメート残基内に存在するカルボン酸基との反応が可能な、ある特定の官能基を有するリンカーを含む。適切な活性化試薬は、NHS又はスルホ-NHS及びカルボキサミドの形成のために用いられる他の脱水剤の付加を伴う又は伴わないEDCを含む。これらの場合、適切なリンカー内に存在する官能基は、一次アミン及び二次アミン、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン並びにヒドラジドを含む。
【0280】
薬剤は、リンカーが、ABへと接合される前又は後に、リンカーへと接合され得る。ある特定の適用において、まず、リンカーが薬剤を会合させていない、AB-リンカー中間体を作製することが所望であり得る。次いで、特定の適用に応じて、特異的な薬剤が、リンカーへと共有結合的に接合され得る。一部の実施形態において、ABは、まず、MM、CM及び会合されたリンカーへと接合され、次いで、コンジュゲーションを目的として、リンカーへと接合される。
【0281】
分枝状リンカー:具体的な実施形態において、薬剤の接合のための、複数の部位を有する分枝状リンカーが用いられている。複数部位リンカーについて、ABへの、単一の共有接合は、多数の部位において、薬剤に結合することが可能なAB-リンカー中間体を結果としてもたらす。部位は、薬剤が接合され得る、アルデヒド基若しくはスルフヒドリル基又は任意の化学的部位であり得る。
【0282】
一部の実施形態において、高度な特異的活性(又は高度な、薬剤の、ABに対する比)は、単一部位リンカーの、AB上の複数部位における接合により達成され得る。この複数部位は、2つの方法のうちの一方により、ABへと導入され得る。第1に、同じAB内に、複数のアルデヒド基及び/又はスルフヒドリル基を作出することができる。第2に、その後のリンカーへの接合のために、ABの、アルデヒド又はスルフヒドリルへと、複数の機能的部位を有する、「分枝状リンカー」を接合させることができる。分枝状リンカー又は複数部位リンカーの機能的部位は、アルデヒド基又はスルフヒドリル基の場合もあり、リンカーが接合され得る任意の化学的部位の場合もある。これらの2つの手法を組み合わせること、すなわち、AB上のいくつかの部位において、複数部位リンカーを接合させることにより、さらに高度な特異的活性が得られ得る。
【0283】
切断可能リンカー:本開示の一実施形態において、u-プラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、トリプシン、プラスミン又はタンパク質分解活性を有する別の酵素などであるがこれらに限定されない、補体系の酵素による切断を受けやすいペプチドリンカーが使用され得る。本開示の一方法に従い、薬剤は、補体による切断を受けやすいリンカーを介して接合されている。抗体は、補体を活性化させ得るクラスから選択される。こうして、抗体-薬剤コンジュゲートは、補体カスケードを活性化させ、標的部位において、薬剤を放出する。本開示の別の方法に従い、薬剤は、u-プラスミノーゲン活性化因子、組織プラスミノーゲン活性化因子、プラスミン又はトリプシンなど、タンパク質分解活性を有する酵素による切断を受けやすいリンカーを介して接合されている。
【0284】
切断可能リンカー配列の非限定例は、表(II)において提示されている。
【0285】
【表2】
【0286】
加えて、薬剤は、ジスルフィド結合(例えば、システイン分子上のジスルフィド結合)を介して、ABへと接合され得る。多くの腫瘍は天然において、高レベルのグルタチオン(還元剤)を放出するので、これは、送達の部位における、その後の薬剤の放出により、ジスルフィド結合を還元し得る。一部の実施形態において、CMを修飾する還元剤はまた、活性化可能コンジュゲート抗体のリンカーも修飾する。
【0287】
スペーサー及び切断可能エレメント:一部の実施形態において、薬剤と、活性化可能抗体のABとの間隔を最適化するように、リンカーを構築することが必要であり得る。これは、一般構造:
W-(CH)n-Q
[式中、
Wは、-NH-CH-又は-CH-であり;
Qは、アミノ酸、ペプチドであり;
nは、0~20の整数である。]
のリンカーの使用により達せられ得る。
【0288】
一部の実施形態において、リンカーは、スペーサーエレメント及び切断可能エレメントを含み得る。スペーサーエレメントは、切断可能エレメントの、切断の一因となる酵素へのアクセス可能性が大きくなるように、切断可能エレメントを、ABのコアから隔てて配置するのに用いられる。上記において記載された分枝状リンカーのうちの、ある特定のものは、スペーサーエレメントとして用いられ得る。
【0289】
この議論を通して、リンカーの、薬剤への接合(又はスペーサーエレメントの、切断可能エレメントへの接合又は切断可能エレメントの、薬剤への接合)は、特定の接合方式又は反応方式である必要がないことを理解されたい。適切な安定性及び生物学的適合性を有する生成物をもたらす、任意の反応が許容可能である。
【0290】
血清補体及びリンカーの選択:本開示の一方法に従い、薬剤の放出が所望される場合、補体を活性化させ得るクラスの抗体であるABが使用され得る。結果として得られるコンジュゲートは、抗原に結合する能力及び補体カスケードを活性化させる能力の両方を保持している。したがって、本開示のこの実施形態に従い、薬剤は、切断可能リンカー又は切断可能エレメントの一方の末端へと接続され、リンカー基の他の末端は、AB上の特異的な部位へと接合されている。例えば、薬剤がヒドロキシ基又はアミノ基を有する場合、薬剤は、それぞれ、エステル結合又はアミド結合を介して、ペプチド、アミノ酸又は他の適切に選び出されたリンカーのカルボキシ末端へと接合され得る。例えば、このような薬剤は、カルボジイミド反応を介して、リンカーペプチドへと接合され得る。薬剤が、リンカーへの接合に干渉する官能基を含有する場合、これらの干渉性官能基は、接合の前にブロッキングされ、生成物のコンジュゲート又は中間体が作られたら、デブロッキングされ得る。次いで、リンカーの反対側の末端又はアミノ末端が、直接又はさらなる修飾の後に、補体を活性化させることが可能なABへの結合のために使用される。
【0291】
リンカー(又はリンカーのスペーサーエレメント)は、任意の所望の長さであることが可能であり、その1つの末端は、活性化可能抗体のAB上における特異的な部位へと共有結合的に接合され得る。リンカー又はスペーサーエレメントの他方の末端は、アミノ酸又はペプチドリンカーへと接合され得る。
【0292】
したがって、これらのコンジュゲートが補体の存在下において、抗原に結合する場合、薬剤をリンカーへと接合させるアミド結合又はエステル結合が切断される結果として、この活性形態にある薬剤の放出がもたらされる。これらのコンジュゲートは、対象へと投与されると、標的部位における、薬剤の送達及び放出を達成し、特に、医薬剤、抗生剤、抗代謝物、抗増殖剤などのインビボ送達に有効である。
【0293】
補体の活性化を伴わない放出のためのリンカー:ターゲティングされた送達の、さらに別の適用において、補体カスケードの活性化は、最終的に標的細胞を溶解させるので、補体の活性化を伴わない薬剤の放出が所望される。よって、この手法は、薬剤の送達及び放出が、標的細胞を死滅させずに達せられるべきである場合に、有用である。ホルモン、酵素、コルチコステロイド、神経伝達物質、遺伝子又は酵素など、細胞メディエーターの、標的細胞への送達が所望される場合の目標は、このようである。これらのコンジュゲートは、血清プロテアーゼによる切断を、微弱に受けやすいリンカーを介して、補体を活性化させることが可能ではない薬剤を、ABへと接合させることにより調製され得る。このコンジュゲートが個体へと投与される場合、抗原-抗体間複合体が迅速に形成される一方、薬剤の切断は、緩徐に生じる結果として、標的部位における、化合物の放出がもたらされる。
【0294】
生化学的架橋剤:一部の実施形態において、活性化可能抗体は、ある特定の生化学的架橋剤を使用して、1つ以上の治療剤へとコンジュゲートされ得る。架橋形成試薬は、2つの異なる分子の官能基を結び合わせる、分子架橋を形成する。2つの異なるタンパク質を、段階的に連結するために、望ましくないホモポリマーの形成をなくす、ヘテロ二官能性架橋剤が使用され得る。
【0295】
リソソームプロテアーゼにより切断可能なペプチジルリンカー、例えば、Val-Cit、Val-Ala又は他のジペプチドもまた、有用である。加えて、リソソームの、低pH環境において切断可能な、酸不安定性リンカー、例えば、ビス-シアリルエーテルも使用され得る。他の適切なリンカーは、カテプシン不安定性基質、特に、酸性pHにおいて、最適の機能を示す基質を含む。
【0296】
例示的なヘテロ二官能性架橋剤は、表(III)において参照される。
【0297】
【表3】
【0298】
非切断可能リンカー又は直接的接合:本開示の一部の実施形態において、コンジュゲートは、薬剤が標的へと送達されるが、放出されないように、デザインされ得る。これは、薬剤を、ABへと、直接又は非切断可能リンカーを介して接合させることにより達せられ得る。
【0299】
これらの非切断可能リンカーは、その後、本明細書において記載されている方法により、ABへの接合において用いられ得る官能基を含むように修飾され得る、アミノ酸、ペプチド、D-アミノ酸又は他の有機化合物を含み得る。このような有機リンカーについての一般式は、
W-(CH)n-Q
[式中、
Wは、-NH-CH-又は-CH-であり;
Qは、アミノ酸、ペプチドであり;
nは、0~20の整数である。]
であり得る。
【0300】
非切断可能コンジュゲート:一部の実施形態において、化合物は、補体を活性化させないABへと接合され得る。補体の活性化が可能でないABを使用する場合、この接合は、活性化された補体による切断を受けやすいリンカーを使用して達せられる場合もあり、活性化された補体による切断を受けやすくないリンカーを使用して達せられる場合もある。
【0301】
定義:
そうでないことが規定されない限りにおいて、本開示との関連において使用されている科学技術用語は、当業者により一般に理解される意味を有するものとする。「ある(a)」実体又は「ある(an)」実体とは、この実体のうちの1つ以上を指す。例えば、化合物(a compound)は、1つ以上の化合物を指す。このように、「ある(a)」、「ある(an)」、「1つ以上の」及び「少なくとも1つの」という用語は、互換的に使用され得る。さらに、文脈により、そうでないことが要求されない限りにおいて、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。一般に、本明細書において記載されている細胞及び組織の培養、分子的生物学並びにタンパク質及びオリゴヌクレオチド化学又はポリヌクレオチド化学並びにハイブリダイゼーションとの関連において用いられている用語法及びこれらの技法において用いられている用語法は、当技術分野において周知であり、一般に使用されている用語法である。標準的技法は、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成並びに組織の培養及び形質転換(例えば、電気穿孔、リポフェクション)のために使用されている。酵素反応法及び精製法は、製造元の仕様に従い又は当技術分野において、一般に達せられた通りに又は本明細書において記載された通りに実施される。前出の技法及び手順は、一般に、当技術分野において周知である、従来の方法に従い実施され、本明細書を通じて引用され、論じられた、多様で一般的な参考文献及びより具体的な参考文献において記載された通りに実施される。例えば、Sambrookら、Molecular Cloning:A Laboratory Manual(2版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor、N.Y.(1989年))を参照されたい。本明細書において記載されている分析化学、有機合成化学及び創薬化学及び医薬品化学との関連において用いられている用語法並びにこれらの検査室手順及び技法において用いられている用語法は、当技術分野において周知であり、一般に使用されている用語法である。標準的技法は、化学合成、化学分析、医薬調製物、製剤及び送達並びに患者の処置のために使用されている。
【0302】
本開示に従い用いられる場合、以下の用語は、そうでないことが指し示されない限りにおいて、以下の意味を有すると理解されるものとする:
本明細書において使用される場合、「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子及び免疫グロブリン(Ig)分子の免疫学的活性部分、すなわち、抗原に特異的に結合する(抗原と免疫反応する)抗原結合性部位を含有する分子を指す。「~に特異的に結合する」又は「~と免疫反応する」又は「~に免疫特異的に結合する」とは、抗体が、所望の抗原の、1つ以上の抗原決定基と反応し、他のポリペプチドと反応しない又ははるかに低度のアフィニティー(K>10-6)で、これに結合することを意味する。
【0303】
基礎的な抗体構造単位は、四量体を含むことが公知である。各四量体は、各対が1つの「軽」鎖(約25kDa)及び1つの「重」鎖(約50~70kDa)を有する、ポリペプチド鎖の、2つの同一の対から構成される。各鎖のアミノ末端部分は、主に、抗原認識の一因となる、約100~110アミノ酸以上の可変領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主に、エフェクター機能の一因となる、定常領域を規定する。一般に、ヒトから得られた抗体分子は、分子内に存在する重鎖の性質により、互いと異なる、クラスIgG、IgM、IgA、IgE及びIgDのうちのいずれかに関する。ある特定のクラスは、IgG、IgG及び他のサブクラスなどのサブクラスも有する。さらに、ヒトにおいて、軽鎖は、カッパ鎖の場合もあり、ラムダ鎖の場合もある。
【0304】
本明細書において使用される場合、「モノクローナル抗体」(mAb)又は「モノクローナル抗体組成物」という用語は、固有の軽鎖遺伝子産物及び固有の重鎖遺伝子産物からなる抗体分子のうちの、1つの分子種だけを含有する、抗体分子の集団を指す。特に、モノクローナル抗体の相補性決定領域(CDR)は、集団の全ての分子において同一である。mAbは、それに対する固有の結合アフィニティーにより特徴づけられた抗原の特定のエピトープと免疫反応することが可能な、抗原結合性部位を含有する。
【0305】
「抗原結合性部位」又は「結合性部分」という用語は、抗原への結合に参与する、免疫グロブリン分子の部分を指す。抗原結合性部位は、重(「H」)鎖及び軽(「L」)鎖のN末端可変(「V」)領域のアミノ酸残基により形成される。「超可変領域」と称される、重鎖及び軽鎖のV領域内の、高度に多様な3つの連なりが、「フレームワーク領域」又は「FR」として公知の、より保存的な隣接する連なりの間に挟まれている。したがって、「FR」という用語は、天然の免疫グロブリン内の超可変領域の間において見出され、これらと隣接するアミノ酸配列を指す。抗体分子において、軽鎖の3つの超可変領域及び重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間内において、抗原結合性表面を形成するように、互いと関連して配置される。抗原結合性表面は、結合した抗原の三次元表面と相補的であり、重鎖及び軽鎖の各々の3つの超可変領域は、「相補性決定領域」又は「CDR」と称される。各ドメインへの、アミノ酸の割当ては、Kabat Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health、Bethesda、Md.(1987年及び1991年))又はChothia及びLesk、J.Mol.Biol.、196:901~917頁(1987年)、Chothiaら、Nature、342:878~883頁(1989年)による定義に従う。
【0306】
本明細書において使用される場合、「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン、scFv又はT細胞受容体への特異的結合が可能な、任意のタンパク質決定基を含む。「エピトープ」という用語は、免疫グロブリン又はT細胞受容体への特異的結合が可能な、任意のタンパク質決定基を含む。エピトープの決定基は、通例、アミノ酸又は糖側鎖など、化学的に活性の表面分子群からなり、通例、特異的な三次元構造特徴のほか、特異的な電荷特徴を有する。例えば、抗体は、ポリペプチドのN末端ペプチド又はC末端ペプチドに対して惹起され得る。抗体は、解離定数が、≦1μM、一部の実施形態において、≦100nMである場合に、一部の実施形態において、≦10nMである場合に、抗原に特異的に結合すると言われる。
【0307】
本明細書において使用される場合、「特異的結合」、「免疫学的結合」及び「免疫学的結合特性」という用語は、免疫グロブリン分子と、免疫グロブリンが特異的である抗原との間において生じる種類の、非共有結合的相互作用を指す。免疫学的結合相互作用の強度又はアフィニティーは、相互作用の解離定数(K)との関係において表される場合があり、ここで、Kが小さいほど、より大きなアフィニティーを表す。選択されたポリペプチドの、免疫学的結合特性は、当技術分野において周知の方法を使用して定量され得る。1つのこのような方法は、抗原結合性部位/抗原複合体の形成及び解離の速度を測定することを伴うが、ここで、これらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用のアフィニティー及び速度に、両方の方向において、同等に影響を及ぼす幾何学的パラメータに依存している。したがって、「オン速度定数」(Kon)及び「オフ速度定数」(Koff)のいずれも、濃度並びに会合及び解離の実際の速度の計算により決定され得る(Nature、361:186~87頁(1993年)を参照されたい)。Koff/Konの比は、アフィニティーと関連しない、全てのパラメータの相殺を可能とし、解離定数Kと等しい(一般に、Daviesら(1990年)、Annual Rev Biochem、59:439~473頁を参照されたい)。本開示の抗体は、結合定数(K)が、放射性リガンド結合アッセイ又は当業者に公知である同様のアッセイなどのアッセイにより測定して、≦1μM、一部の実施形態において、≦100nM、一部の実施形態において、≦10nM、一部の実施形態において、≦100pM~約1pMである場合に、標的に特異的に結合すると言われる。
【0308】
本明細書において使用される通り、「単離ポリヌクレオチド」という用語は、ゲノム由来、cDNA由来若しくは合成由来のポリヌクレオチド又はこれらの一部の組合せを意味するものとし、ここで、「単離ポリヌクレオチド」は、その由来により、(1)「単離ポリヌクレオチド」が、天然において見出されるポリヌクレオチドの全部又は一部と会合せず、(2)天然において連結されないポリヌクレオチドに、作動可能に連結されている又は(3)より大型の配列の一部として天然に存在しない。本開示に従うポリヌクレオチドは、本明細書において示されている重鎖免疫グロブリン分子をコードしている核酸分子及び本明細書において示されている軽鎖免疫グロブリン分子をコードしている核酸分子を含む。
【0309】
本明細書において言及されている「単離タンパク質」という用語は、cDNA由来、組換えRNA由来若しくは合成由来のタンパク質又はこれらの一部の組合せを意味し、ここで、「単離タンパク質」は、その由来又は導出の供給源により、(1)天然において見出されるタンパク質と会合しない、(2)同じ供給源に由来する他のタンパク質を含まない、例えば、マウスタンパク質を含まない、(3)異なる種に由来する細胞により発現されている又は(4)天然に存在しない。
【0310】
本明細書において、「ポリペプチド」という用語は、天然タンパク質、断片又はポリペプチド配列の類似体を指す、総称用語として使用される。よって、天然タンパク質の断片及び類似体は、ポリペプチド属の分子種である。本開示に従うポリペプチドは、本明細書において示されている重鎖免疫グロブリン分子及び本明細書において示されている軽鎖免疫グロブリン分子のほか、重鎖免疫グロブリン分子を、カッパ軽鎖免疫グロブリン分子などの軽鎖免疫グロブリン分子と共に含む組合せ及びこの逆の組合せにより形成された抗体分子のほか、これらの断片及び類似体を含む。
【0311】
目的物へと適用される、本明細書において使用される場合の「天然に存在する」という用語は、目的物が、天然において見出され得るという事実を指す。例えば、生物(ウイルスを含む)において存在し、天然の供給源から単離される場合があり、実験室において、人手により、意図的に又は他の形において修飾されていないポリペプチド配列又はポリヌクレオチド配列は、天然に存在する。
【0312】
本明細書において使用される場合、「作動可能に連結されている」という用語は、そのように記載された構成要素が、これらの意図された形において機能することを可能とする関係にあるこれらの位置を指す。コード配列に「作動可能に連結されている」制御配列は、コード配列の発現が、制御配列と適合性の条件下で達成されるようにライゲーションされている。
【0313】
本明細書において使用される場合、「制御配列」という用語は、それらがライゲーションされるコード配列の発現及びプロセシングを実行するのに必要な、ポリヌクレオチド配列を指す。原核生物において、このような制御配列の性質は、宿主生物に応じて異なり、真核生物において、このような制御配列は、一般に、プロモーター、リボソーム結合性部位及び転写終結配列を含み、一般に、このような制御配列は、プロモーター及び転写終結配列を含む。「制御配列」という用語は、最小限において、それらの存在が、発現及びプロセシングに不可欠である、全ての構成要素を含むことが意図され、また、それらの存在が有利である、さらなる構成要素、例えば、リーダー配列及び融合パートナー配列も含み得る。本明細書において言及されている、「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド若しくはデオキシヌクレオチド又はヌクレオチドのいずれかの種類の修飾形態である、少なくとも10塩基の長さのヌクレオチドを意味する。用語は、DNAの、一本鎖形態及び二本鎖形態を含む。
【0314】
本明細書において言及されている、オリゴヌクレオチドという用語は、天然に存在するオリゴヌクレオチド連結及び天然に存在しないオリゴヌクレオチド連結により一体に連結された、天然に存在するヌクレオチド及び修飾ヌクレオチドを含む。オリゴヌクレオチドは、200塩基以下の長さを一般に含む、ポリヌクレオチドのサブセットである。一部の実施形態において、オリゴヌクレオチドは10~60塩基の長さであり、一部の実施形態において、12、13、14、15、16、17、18、19又は20~40塩基の長さである。オリゴヌクレオチドは、通例、例えば、プローブのための一本鎖であるが、オリゴヌクレオチドは、例えば、遺伝子突然変異体の構築における使用のための二本鎖であり得る。本開示のオリゴヌクレオチドは、センスオリゴヌクレオチド又はアンチセンスオリゴヌクレオチドである。
【0315】
本明細書において言及されている、「天然に存在するヌクレオチド」という用語は、デオキシリボヌクレオチド及びリボヌクレオチドを含む。本明細書において言及されている、「修飾ヌクレオチド」という用語は、糖基が修飾又は置換されたヌクレオチドなどを含む。本明細書において言及されている、「オリゴヌクレオチド連結」という用語は、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレルロエート、ホスホロジセレノエート、ホスホロアニロチオエート、ホスホルアニラデート(phosphoraniladate)、ホスホルオムニデートなどなどのオリゴヌクレオチド連結を含む。例えば、LaPlancheら、Nucl.Acids Res.、14:9081頁(1986年);Stecら、J.Am.Chem.Soc.、106:6077頁(1984年);Steinら、Nucl.Acids Res.、16:3209頁(1988年);Zonら、Anti Cancer Drug Design、6:539頁(1991年);Zonら、Oligonucleotides and Analogues:A Practical Approach、87~108頁(F.Eckstein編、Oxford University Press、Oxford England(1991年));Stecら、米国特許第5,151,510号;Uhlmann及びPeyman、Chemical Reviews、90:543頁(1990年)を参照されたい。オリゴヌクレオチドは、所望の場合、検出のための標識を含み得る。
【0316】
本明細書において使用される場合、20の従来型アミノ酸及びそれらの略記法は、従来型の用法に従う。Immunology-A Synthesis(2版、E.S.Golub及びD.R.Green編、Sinauer Associates、Sunderland、Mass.(1991年))を参照されたい。20の従来型アミノ酸の立体異性体(例えば、D-アミノ酸)、α-アミノ酸、α-二置換アミノ酸、N-アルキルアミノ酸、乳酸及び他の従来型ではないアミノ酸などの非天然アミノ酸もまた、本開示のポリペプチドに適する構成要素であり得る。非従来型アミノ酸の例としては、4ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、ε-N,N,N-トリメチルリシン、ε-N-アセチルリシン、O-ホスホセリン、N-アセチルセリン、N-ホルミルメチオニン、3-メチルヒスチジン、5-ヒドロキシリシン、σ-N-メチルアルギニン並びに他の類似のアミノ酸及びイミノ酸(例えば、4-ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書において使用されているポリペプチド表記において、標準的な使用及び慣例に従い、左手方向が、アミノ末端方向であり、右手方向が、カルボキシ末端方向である。
【0317】
同様に、そうでないことが指定されない限り、一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手末端は、5’末端であり、二本鎖ポリヌクレオチド配列の左手方向は、5’方向と称される。5’から3’への、新生RNA転写物の付加方向は転写方向と称され、RNAと同じ配列を有する、DNA鎖上の、RNA転写物の5’末端に対して5’側にある配列領域は、「上流配列」と称され、RNAと同じ配列を有する、DNA鎖上のRNA転写物の3’末端に対して3’側にある配列領域は、「下流配列」と称される。
【0318】
ポリペプチドに適用される場合、「実質的な同一性」という用語は、デフォルトのギャップ重みを使用するプログラムである、GAP又はBESTFITなどにより、最適にアライメントされた場合の、2つのペプチド配列が、少なくとも80パーセントの配列同一性、一部の実施形態において、少なくとも90パーセントの配列同一性、一部の実施形態において、少なくとも95パーセントの配列同一性及び一部の実施形態において、少なくとも99パーセント配列同一性を共有することを意味する。
【0319】
一部の実施形態において、同一でない残基位置は、保存的アミノ酸置換により異なる。
【0320】
本明細書において論じられている通り、抗体又は免疫グロブリン分子のアミノ酸配列のわずかな変動は、アミノ酸配列の変動が、少なくとも75%、一部の実施形態において、少なくとも80%、90%、95%であり、一部の実施形態において、99%を維持することを条件として、本開示により包含されるものとして想定される。特に、保存的なアミノ酸の置きかえが想定される。保存的置きかえとは、それらの側鎖内の、類縁のアミノ酸のファミリー内において生じる置きかえである。遺伝子によりコードされたアミノ酸は、一般に、以下のファミリーに分けられる:(1)酸性アミノ酸は、アスパルテート、グルタメートであり;(2)塩基性アミノ酸は、リシン、アルギニン、ヒスチジンであり;(3)非極性アミノ酸は、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン、トリプトファンであり、(4)非帯電極性アミノ酸は、グリシン、アスパラギン、グルタミン、システイン、セリン、トレオニン、チロシンである。親水性アミノ酸は、アルギニン、アスパラギン、アスパルテート、グルタミン、グルタメート、ヒスチジン、リシン、セリン及びトレオニンを含む。疎水性アミノ酸は、アラニン、システイン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、トリプトファン、チロシン及びバリンを含む。アミノ酸の他のファミリーは、(i)脂肪族ヒドロキシファミリーであるセリン及びトレオニン;(ii)アミド含有ファミリーであるアスパラギン及びグルタミン;(iii)脂肪族ファミリーであるアラニン、バリン、ロイシン及びイソロイシン;及び(iv)芳香族ファミリーであるフェニルアラニン、トリプトファン及びチロシンを含む。例えば、とりわけ、置きかえがフレームワーク部位内のアミノ酸を伴わない場合、ロイシンの、イソロイシン又はバリンによる単独の置きかえ、アスパルテートの、グルタメートによる単独の置きかえ、トレオニンの、セリンによる単独の置きかえ又はアミノ酸の、構造的に類縁のアミノ酸による、同様の置きかえが、結果として得られる分子の結合又は特性に対して、大きな影響を及ぼさないことを予期することが妥当である。アミノ酸変化が、機能的なペプチドを結果としてもたらすのかどうかは、ポリペプチド誘導体の特異的な活性をアッセイすることにより、たやすく決定され得る。アッセイについては、本明細書に、詳細に記載されている。抗体又は免疫グロブリン分子の断片又は類似体は、当業者により、たやすく調製され得る。断片又は類似体の、適切なアミノ末端及びカルボキシ末端は、機能的ドメインの境界部の近傍において生じる。構造機能的ドメインは、ヌクレオチド及び/又はアミノ酸の配列データの、公開された配列データベース又は特許権のある配列データベースに照らした比較により同定され得る。一部の実施形態において、コンピュータ化された比較法は、公知の構造及び/又は機能を有する、他のタンパク質内において生じる、配列モチーフ又は予測されたタンパク質コンフォメーションドメインを同定するのに使用される。公知の三次元構造へとフォールディングするタンパク質配列を同定する方法は、公知である。BowieらScience 253:164頁(1991年)。したがって、前出の例は、当業者が、本開示に従う構造機能的ドメインを規定するのに使用され得る、配列モチーフ及び構造的コンフォメーションを認識し得ることを裏付ける。
【0321】
適切なアミノ酸置換は、(1)タンパク質分解の受けやすさを低減するアミノ酸置換、(2)酸化の受けやすさを低減するアミノ酸置換、(3)タンパク質複合体を形成するための結合アフィニティーを変更するアミノ酸置換、(4)結合アフィニティーを変更するアミノ酸置換及び(5)このような類似体の、他の物理化学的特性又は機能的な特性を付与又は修飾するアミノ酸置換である。類似体は、天然に存在するペプチド配列以外の配列の、多様なムテインを含み得る。例えば、単一又は複数のアミノ酸置換(例えば、保存的アミノ酸置換)が、天然に存在する配列内に(例えば、分子間接触点を形成している、ドメイン(複数可)の外部のポリペプチドの部分内に施され得る。保存的アミノ酸置換は、親配列の構造的特徴を、実質的に変化させるべきではない(例えば、置きかえによるアミノ酸は、親配列内に生じる螺旋を切断する又は親配列を特徴付ける他の種類の二次構造を破壊する傾向をもつべきではない)。当技術分野において認知されたポリペプチド二次構造及び三次構造の例については、Proteins,Structures and Molecular Principles(Creighton編、W.H.Freeman and Company、New York(1984年));Introduction to Protein Structure(C.Branden and J.Tooze編、Garland Publishing、New York、N.Y.(1991年));及びThorntonら、Nature、354:105頁(1991年)において記載されている。
【0322】
本明細書において使用される場合、「ポリペプチド断片」という用語は、アミノ末端及び/若しくはカルボキシ末端における欠失並びに/又は1つ以上の内部欠失を有するが、残りのアミノ酸配列は、例えば、全長cDNA配列から推測された、天然に存在する配列内の、対応する位置と同一であるポリペプチドを指す。断片は、典型的に、少なくとも5、6、8又は10アミノ酸長、一部の実施形態において、少なくとも14アミノ酸長、一部の実施形態において、少なくとも20アミノ酸長、通例、少なくとも50アミノ酸長であり、一部の実施形態において、少なくとも70アミノ酸長である。本明細書において使用される場合、「類似体」という用語は、推測されたアミノ酸配列の一部に対して、実質的な同一性を有し、適切な結合条件下において、標的への特異的結合を有する、少なくとも25アミノ酸のセグメントから構成されるポリペプチドを指す。典型的に、ポリペプチド類似体は、天然に存在する配列に照らした、保存的アミノ酸置換(又は付加若しくは欠失)を含む。類似体は、典型的に、少なくとも20アミノ酸長、一部の実施形態において、少なくとも50アミノ酸長又はこれより長く、しばしば、天然に存在する全長ポリペプチドと同じ長さである。
【0323】
本明細書において、「薬剤」という用語は、化合物、化合物の混合物、生体高分子又は生物学的素材から作られた抽出物を描示するのに使用される。
【0324】
本明細書において使用される場合、「標識」又は「標識された」という用語は、例えば、放射性標識されたアミノ酸の組込み又はマーキングされたアビジン(例えば、光学法又は熱量法により検出され得る、蛍光マーカー又は酵素活性を含有するストレプトアビジン)により検出され得るビオチニル部分のポリペプチドへの接合による、検出可能なマーカーの組込みを指す。ある特定の状況において、標識又はマーカーはまた、治療的でもあり得る。当技術分野において、ポリペプチド及び糖タンパク質を標識付けする多様な方法が公知であり、使用され得る。ポリペプチドのための標識の例としては、これらに限定されないが、以下:放射性同位元素又は放射性核種(例えば、H、14C、15N、35S、90Y、99Tc、111In、125I,131I)、蛍光標識(例えば、FITC、ローダミン、ランタニド蛍光体)、酵素標識(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ、p-ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、アルカリホスファターゼ)、化学発光基、ビオチニル基、二次レポーター(例えば、ロイシンジッパー対合配列、二次抗体の結合性部位、金属結合性ドメイン、エピトープタグ)により認識される、所定のポリペプチドエピトープを含む。一部の実施形態において、標識は、多様な長さのスペーサーアームにより、潜在的な立体障害を低減するように接合されている。本明細書において使用される場合の「医薬剤又は医薬物」という用語は、患者へと、適性に投与された場合に、所望の治療効果を誘導することが可能な、化合物又は組成物を指す。
【0325】
本明細書における他の化学用語は、McGraw-Hill Dictionary of Chemical Terms(Parker,S.編、McGraw-Hill、San Francisco(1985年))により例示されている通り、当技術分野における従来の使用に従い使用されている。
【0326】
本明細書において使用される場合、「実質的に純粋な」とは、目的物の分子種が、存在する、主要な分子種であり(すなわち、モルべースにおいて、組成物中の、他の任意の個々の分子種より豊富であり)、一部の実施形態において、実質的に精製された画分が、存在する全ての高分子種のうちの、少なくとも約50パーセント(モルベースにおいて)を、目的物の分子種が構成する組成物であることを意味する。
【0327】
一般に、実質的に純粋な組成物は、約80パーセント超の、組成物中に存在する全高分子種、一部の実施形態において、約85%、90%、95%及び99%超を含む。一部の実施形態において、目的物の分子種は、組成物が単一の高分子種から本質的になる、本質的な均質性(夾雑分子種が、従来の検出法により、組成物中に検出され得ない。)へと精製される。
【0328】
患者という用語は、ヒト対象及び獣医学的対象を含む。
【0329】
本開示の抗体及び/又は活性化可能抗体は、所与の標的、例えば、ヒトCD71などのヒト標的タンパク質に特異的に結合する。本開示にはまた、本明細書において記載されている抗体及び/又は活性化可能抗体と同じエピトープに結合する抗体及び/又は活性化可能抗体も含まれる。本開示にはまた、CD71、例えば、ヒトCD71への結合について、本明細書において記載されている抗CD71抗体及び/又は活性化可能抗CD71抗体と競合する抗体及び/又は抗体活性化可能抗体も含まれる。本開示にはまた、CD71、例えば、ヒトCD71への結合について、本明細書において記載されている抗CD71抗体及び/又は活性化可能抗CD71抗体と交差競合する、抗体及び/又は活性化可能抗体も含まれる。
【0330】
当業者は、前者が、後者の、標的への結合を阻止するのかどうかを確認することにより、不要な実験を伴わずに、モノクローナル抗体(例えば、マウスモノクローナル抗体又はヒト化抗体)が、本明細書において記載された方法において使用されたモノクローナル抗体と同じ特異性を有するのかどうかを決定することが可能であると認識する。本開示のモノクローナル抗体による結合の減少により示される通り、被験モノクローナル抗体が、本開示のモノクローナル抗体と競合する場合、2つのモノクローナル抗体は、同じエピトープ又は近縁のエピトープに結合する。モノクローナル抗体が、本開示のモノクローナル抗体の特異性を有するのかどうかを決定するための代替的な方法は、本開示のモノクローナル抗体を、標的と共にプレインキュベートし、次いで、被験モノクローナル抗体を添加して、被験モノクローナル抗体が標的に結合するその能力において阻害されるのかどうかを決定することである。被験モノクローナル抗体が阻害された場合、ほぼ確実に、それは、本開示のモノクローナル抗体と同じである又は機能的に同等である、エピトープ特異性を有する。
【0331】
活性化可能コンジュゲート抗体の使用
本開示に従う治療用実体の投与は、移入、送達、忍容性などの改善をもたらすように、製剤へと組み込まれた、適切な、薬学的に許容される担体、賦形剤及び他の薬剤と共に投与されることが理解される。
【0332】
非限定例として、活性化可能コンジュゲート抗体を含む、本開示の治療用製剤は、標的の異常な発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を防止する、処置する又は他の形において改善するのに使用される。例えば、活性化可能コンジュゲート抗体を含む、本開示の治療用製剤は、がん若しくは他の新生物性状態、炎症、炎症性障害及び/又は自己免疫疾患を処置する又は他の形において改善するのに使用される。一部の実施形態において、がんは、標的が発現されている、充実性腫瘍又は血液悪性腫瘍である。一部の実施形態において、がんは、標的が発現されている、充実性腫瘍である。一部の実施形態において、がんは、標的が発現されている、血液悪性腫瘍である。一部の実施形態において、標的は、実質(例えば、がんにおいて、臓器又は組織の機能(複数可)を果たすことが多い、臓器又は組織の一部)において発現されている。一部の実施形態において、標的は、細胞、組織又は臓器において発現されている。一部の実施形態において、標的は、間質(すなわち、細胞、組織又は臓器の結合支持骨格)において発現されている。一部の実施形態において、標的は、骨芽細胞において発現されている。一部の実施形態において、標的は、上皮(血管系)において発現されている。一部の実施形態において、標的は、がん幹細胞において発現されている。一部の実施形態において、抗体及び/又は活性化可能抗体がコンジュゲートされている薬剤は、微小管阻害剤である。一部の実施形態において、抗体及び/又は活性化可能抗体がコンジュゲートされている薬剤は、核酸損傷剤である。
【0333】
防止、改善又は処置の有効性は、例えば、標的の異常な発現及び/又は活性など、標的の発現及び/又は活性と関連している疾患又は障害を診断又は処置するための、任意の公知の方法との関連において決定される。対象の生存を延長する又は対象における標的の発現及び/又は活性、例えば、標的の異常な発現及び/又は活性と関連している、疾患又は障害の進行を、他の形において遅延させることは、抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体が、臨床利益を付与することを指し示す。
【0334】
抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、医薬組成物の形態において投与され得る。抗体断片が使用される、一部の実施形態において、標的タンパク質の結合性ドメインに特異的に結合する最小の断片が選択される。例えば、標的タンパク質配列に結合する能力を保持する、抗体の可変領域配列に基づき、ペプチド分子がデザインされ得る。このようなペプチドは、化学的に合成される場合もあり、かつ/又は組換えDNA技術により作製される場合もある(例えば、Marascoら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:7889~7893頁(1993年)を参照されたい)。
【0335】
インビボ投与のために使用される製剤は、滅菌でなければならない。これは、滅菌濾過膜を介する濾過により、たやすく達せられる。
【0336】
一部の実施形態において、抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、検出可能な標識を含有する。無傷抗体又はこの断片(例えば、Fab、scFv又はF(ab))が使用される。プローブ又は抗体に関する、「標識された」という用語は、検出可能な物質を、プローブ又は抗体へとカップリングすること(すなわち、物理的に連結すること)による、プローブ又は抗体の、直接的な標識付けのほか、直接的に標識された、別の試薬との反応性によるプローブ又は抗体の、間接的な標識付けを包含することが意図される。間接的な標識付けの例は、蛍光標識された二次抗体を使用する、一次抗体の検出及びDNAプローブの、ビオチンによる、それが、蛍光標識されたストレプトアビジンにより検出され得るような、末端標識付けを含む。「生物学的試料」という用語は、対象から単離された、組織、細胞及び生物学的流体のほか、対象の内部に存在する、組織、細胞及び流体を含むことが意図される。したがって、「生物学的試料」という用語の使用の中に、血液及び血清、血漿若しくはリンパを含む、血液の画分又は成分が含まれる。すなわち、本開示の検出法は、インビトロ及びインビボにおいて、生物学的試料中の解析物である、mRNA、タンパク質又はゲノムDNAを検出するのに使用され得る。例えば、解析物であるmRNAを検出するためのインビトロ法は、ノーザンハイブリダイゼーション及びインサイチューハイブリダイゼーションを含む。解析物であるタンパク質を検出するためのインビトロ法は、酵素免疫測定アッセイ(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降、免疫化学染色及び免疫蛍光を含む。解析物であるゲノムDNAを検出するためのインビトロ法は、サザンハイブリダイゼーションを含む。イムノアッセイを行うための手順については、例えば、「ELISA:Theory and Practice:Methods in Molecular Biology」、42巻、J.R.Crowther(編)、Human Press、Totowa、NJ、1995年;「Immunoassay」、E.Diamandis及びT.Christopoulus、Academic Press,Inc.、San Diego、CA、1996年;並びに「Practice and Theory of Enzyme Immunoassays」、P.Tijssen、Elsevier Science Publishers、Amsterdam、1985年において記載されている。さらに、解析物であるタンパク質を検出するためのインビボ法は、対象へと、標識された抗解析物タンパク質抗体を導入することを含む。例えば、抗体は、対象における、その存在及び場所が、標準的なイメージング法により検出され得る、放射性マーカーにより標識され得る。
【0337】
本開示の抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体はまた、様々な診断用製剤及び予防用製剤においても有用である。一実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体は、前述の障害のうちの1つ以上を発症する危険性がある患者へと投与される。前述の障害のうちの1つ以上に対する、患者又は臓器の素因は、遺伝子型マーカー、血清学的マーカー又は生化学的マーカーを使用して決定され得る。
【0338】
本開示の一部の実施形態において、活性化可能コンジュゲート抗体は、前述の障害のうちの1つ以上と関連している臨床適応を伴うと診断されたヒト個体へと投与される。診断されると、活性化可能コンジュゲート抗体は、臨床適応の影響を、和らげる又は抑制するように投与される。
【0339】
本開示の抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体はまた、標的の、患者試料中の検出においても有用であり、したがって、診断法として有用である。例えば、本開示の抗体及び/又は活性化可能抗体並びにこれらのコンジュゲート形は、標的の、患者試料中レベルを検出するように、インビトロアッセイ、例えば、ELISAにおいて使用される。
【0340】
一実施形態において、本開示の抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、固体支持体(例えば、マイクロ滴定プレートのウェル(複数可))上に固定化されている。固定化された抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、被験試料中に存在し得る、任意の標的のための捕捉抗体として用いられる。固定化された抗体及び/若しくは活性化可能抗体並びに/又はこれらのコンジュゲート形を、患者試料と接触させる前に、固体支持体は、すすがれ、解析物の非特異的な吸着を防止するように、ミルクタンパク質又はアルブミンなどのブロッキング剤により処理される。
【0341】
その後、ウェルは、抗原を含有することが疑われる被験試料又は標準量の抗原を含有する溶液により処理される。このような試料は、例えば、病態について診断的であると考えられるレベルの循環抗原を有することが疑われる対象に由来する血清試料である。被験試料又は標準物質をすすいだ後に、固体支持体は、検出可能に標識された二次抗体により処理される。標識された二次抗体は、検出抗体として用いられる。検出可能な標識のレベルは測定され、標的抗原の、被験試料中濃度は、標準試料から開発された検量線との比較により決定される。
【0342】
本開示の抗体及び活性化可能抗体並びにこれらのコンジュゲート形を、インビトロ診断アッセイにおいて使用して得られた結果に基づき、標的抗原の発現レベルに基づいて、対象における疾患を病期分類することが可能であると理解される。所与の疾患について、血液試料が、疾患の進行の多様な病期及び/又は疾患の治療的処置の多様な時点にあると診断された対象から採取される。進行又は治療の各病期又は各段階について、統計学的に有意な結果をもたらす試料の集団を使用して、各病期に特徴的であると考えられ得る抗原濃度の範囲が指定される。
【0343】
抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体はまた、診断法及び/又はイメージング法においても使用され得る。一部の実施形態において、このような方法は、インビトロ法である。一部の実施形態において、このような方法は、インビボ法である。一部の実施形態において、このような方法は、インサイチュー法である。一部の実施形態において、このような方法は、エクスビボ法である。例えば、酵素的に切断可能なCMを有する活性化可能抗体は、CMを切断することが可能な酵素の存在又は非存在を検出するのに使用され得る。このような活性化可能抗体は、所与の宿主生物の、所与の細胞内又は組織内の、活性化された抗体(すなわち、活性化可能抗体の切断から生じる抗体)の蓄積の測定を介する酵素活性(又は、一部の実施形態において、ジスルフィド結合の還元をもたらし得る環境など、還元の潜在的可能性を増大させた環境)のインビボ検出(例えば、定性的又は定量的)を含み得る診断法において使用され得る。活性化された抗体のこのような蓄積は、組織が、酵素活性(又はCMの性質次第では、還元の潜在的可能性の増大)を発現するだけでなく、また、活性化された抗体が結合する標的も発現することを指し示す。
【0344】
例えば、CMは、生物学的に閉止された部位(例えば、膿瘍内、臓器内など)における、腫瘍部位、ウイルス感染又は細菌感染の部位などにおいて見出された、少なくとも1つのプロテアーゼに対する基質であるように選択され得る。ABは、標的抗原に結合するABであり得る。本明細書において開示されている方法又は、適切な場合、当業者が精通している方法を使用して、検出可能な標識(例えば、蛍光標識又は放射性標識又は放射性トレーサー)は、AB又は抗体及び/若しくは活性化可能抗体の他の領域へとコンジュゲートされ得る。上記のスクリーニング法の文脈において、適切な検出可能な標識が論じられており、さらなる具体的な例が、下記に提示されている。疾患状態についてのタンパク質又はペプチドに特異的なABを、その活性が、目的の疾患組織内において上昇している少なくとも1つのプロテアーゼと共に使用すると、活性化可能抗体は、CM特異的な酵素が検出可能なレベルにおいて存在していない又は疾患組織内より低レベルにおいて存在する又は不活性である組織(例えば、チモーゲン形態にある又は阻害剤と複合させた)と比べた、疾患組織への結合速度の増大を呈する。小型タンパク質及びペプチドは、腎濾過系により、血液から急速にクリアランスされるので、かつCMに特異的な酵素が検出可能なレベルで存在していない(又は非疾患組織内の低レベルにおいて存在する又は不活性コンフォメーションにおいて存在する)ため、活性化された抗体の疾患組織内での蓄積は、非疾患組織と比べて増強される。
【0345】
別の例において、活性化可能抗体は、切断剤の、試料中の存在又は非存在を検出するのに使用され得る。例えば、活性化可能抗体が酵素による切断を受けやすいCMを含有する場合、活性化可能抗体は、酵素の、試料中の存在を検出する(定性的に又は定量的に)のに使用され得る。活性化可能抗体が還元剤による切断を受けやすいCMを含有する、別の例において、活性化可能抗体は、還元条件の、試料中の存在を検出する(定性的に又は定量的に)のに使用され得る。これらの方法における解析を容易とするために、活性化可能抗体は、検出可能に標識される場合があり、支持体(例えば、スライド又はビーズなどの固体支持体)に結合され得る。検出可能な標識は、切断後において放出されない活性化可能抗体の一部に配置される場合があり、例えば、検出可能な標識は、切断が生じるまで、検出可能ではない、クエンチングされた蛍光標識又は他の標識であり得る。アッセイは、例えば、固定化させた、検出可能に標識された活性化可能抗体を、酵素及び/又は還元剤を含有することが疑われる試料と、切断が生じるのに十分な時間にわたり接触させ、次いで、過剰な試料及び夾雑物を除去するように洗浄することにより行われ得る。次いで、切断剤(例えば、酵素又は還元剤)の、試料中の存在又は非存在は、試料と接触させる前における、活性化可能抗体の、検出可能なシグナルの変化、例えば、試料中の切断剤による活性化可能抗体の切断に起因する、検出可能なシグナルの存在及び/又は増大により評価される。
【0346】
このような検出法は、切断された場合に、活性化可能抗体のABへの結合が可能な標的の存在又は非存在の検出もまた、もたらすように適応され得る。したがって、アッセイは、切断剤の存在又は非存在及び目的の標的の存在又は非存在について評価するように適応され得る。切断剤の存在又は非存在は、上記で記載した通り、活性化可能抗体の、検出可能な標識の存在及び/又は増大により検出される場合があり、標的の存在又は非存在は、標的-AB複合体の検出により、例えば、検出可能に標識された抗標的抗体の使用により検出され得る。
【0347】
活性化可能抗体は、例えば、プロテアーゼの切断及び特定の標的への結合による、活性化可能抗体の活性化のバリデーションのための、インサイチューイメージングにおいてもまた有用である。インサイチューイメージングは、タンパク質分解活性及び標的の、細胞培養物又は組織切片など、生物学的試料中の位置特定を可能とする技法である。この技法を使用して、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づき、所与の標的への結合及びタンパク質分解活性の両方を確認することが可能である。
【0348】
これらの技法は、疾患部位(例えば、腫瘍組織)又は健常組織に由来する、任意の凍結細胞又は凍結組織に対して有用である。これらの技法はまた、新鮮な細胞試料又は組織試料に対しても有用である。
【0349】
これらの技法において、活性化可能抗体は、検出可能な標識により標識される。検出可能な標識は、蛍光色素、(例えば、フルオロフォア、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、イソチオシアン酸ローダミン(TRITC)、Alexa Fluor(登録商標)標識)、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノ結晶)、コロイド状金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチン及びストレプトアビジンなどの増幅試薬又は酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)であり得る。
【0350】
標識された、活性化可能抗体と共にインキュベートされた試料中の標識の検出は、試料が標的を含有し、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含有することを指し示す。一部の実施形態において、プロテアーゼの存在は、本明細書において記載されているものなど、広域スペクトルのプロテアーゼ阻害剤を使用して、かつ/又はプロテアーゼに特異的な薬剤、例えば、プロテアーゼマトリプターゼに特異的であり、マトリプターゼのタンパク質分解性活性を阻害する、A11などの抗体を使用することにより確認され得る。例えば、2010年11月11日に公開された、国際公開第WO2010/129609号を参照されたい。本明細書において記載されているものなど、広域スペクトルのプロテアーゼ阻害剤を使用し、かつ/又はより選択的な阻害性薬剤を使用することによる、同じ手法は、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを同定するのに使用され得る。一部の実施形態において、標的の存在は、標的に特異的な薬剤を使用して確認される場合がある、例えば、別の抗体又は検出可能な標識は、非標識の標的と競合され得る。一部の実施形態において、非標識の活性化可能抗体は、標識された二次抗体又はより複雑な検出システムによる検出と共に使用され得る。
【0351】
同様の技法もまた、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物における蛍光のシグナルの検出が、疾患部位が標的を含有し、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含有する、インビボイメージングに有用である。
【0352】
これらの技法はまた、活性化可能抗体内の、プロテアーゼ特異的CMに基づく、様々な細胞、組織及び生物における、プロテアーゼ活性の、検出、同定又は特徴付けのためのキットにおいて、かつ/又は試薬としても有用である。
【0353】
本開示は、様々な診断適応及び/又は予防適応において、抗体及び/又は活性化可能抗体を使用する方法を提示する。例えば、本開示は、(i)対象又は試料を、活性化可能抗体と接触させることであって、活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)、切断剤、例えば、プロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)及び目的の標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン又はこの断片(AB)を含み、ここで、活性化可能抗体が、切断されていない非活性化状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、(a)MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず、ABの、天然の結合パートナーの修飾形態ではなく;かつ(b)切断されていない非活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合しない。]の構造的配置を含む、接触させること;及び(ii)対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体のレベルを測定することであって、対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体の、検出可能なレベルが、切断剤及び標的が対象又は試料において存在することを指し示し、対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤、標的又は切断剤及び標的の両方が対象又は試料において存在していない、かつ/又は十分に存在していないことを指し示す、測定することにより、対象又は試料における、切断剤及び目的の標的の存在又は非存在を検出する方法を提示する。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、検出可能な標識は、AB上に配置される。一部の実施形態において、対象又は試料における、活性化可能抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を使用して達せられ、ここで、試薬は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0354】
本開示はまた、(i)対象又は試料を、目的の標的、例えば、その標的の存在下において、活性化可能抗体と接触させることであって、活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)、切断剤、例えば、プロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)及び目的の標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン又はこの断片(AB)を含み、ここで、活性化可能抗体が、切断されていない非活性化状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、(a)MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず、ABの、天然の結合パートナーの修飾形態ではなく;かつ(b)切断されていない非活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合しない。]の構造的配置を含む、接触させること;及び(ii)対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体のレベルを測定することであって、対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤が対象又は試料において存在することを指し示し、対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤が対象又は試料において存在していない、かつ/又は十分に存在していないことを指し示す、測定することにより、対象又は試料における、切断剤の存在又は非存在を検出する方法も提示する。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、検出可能な標識は、AB上に配置される。一部の実施形態において、対象又は試料における、活性化可能抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を使用して達せられ、ここで、試薬は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0355】
本開示はまた、対象又は試料における、切断剤及び標的の存在又は非存在を検出する方法における使用のためのキットであって、マスキング部分(MM)、切断剤、例えば、プロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)及び目的の標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン又はこの断片(AB)を含む活性化可能抗体であって、ここで、活性化可能抗体は、切断されていない非活性化状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、(a)MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず、ABの、天然の結合パートナーの修飾形態ではなく;かつ(b)切断されていない非活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合しない。]の構造的配置を含む活性化可能抗体を少なくとも含むキット;及び(ii)対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体のレベルを測定することであって、対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤が対象又は試料において存在することを指し示し、対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤が対象又は試料において存在していない、かつ/又は十分に存在していないことを指し示す、測定することも提示する。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、検出可能な標識は、AB上に配置される。一部の実施形態において、対象又は試料における、活性化可能抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を使用して達せられ、ここで、試薬は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0356】
本開示はまた、(i)対象又は試料を、活性化可能抗体と接触させることであって、活性化可能抗体が、マスキング部分(MM)、切断剤、例えば、プロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)、標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン(AB)及び検出可能な標識を含み、ここで、活性化可能抗体が、切断されていない非活性化状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず、ABの、天然の結合パートナーの修飾形態ではなく;切断されていない非活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された活性化状態において、MMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合せず;CMの切断後において放出される検出可能な標識が、活性化可能抗体の部分に配置されている。]の構造的配置を含む、接触させること;及び(ii)対象又は試料における、検出可能な標識のレベルを測定することであって、対象又は試料における、検出可能な標識の検出可能なレベルが、切断剤が対象又は試料において存在していない、かつ/又は十分に存在していないことを指し示し、対象又は試料における、検出可能な標識の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤が対象又は試料において存在することを指し示す、測定することにより、対象又は試料における、切断剤の存在又は非存在を検出する方法も提示する。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、検出可能な標識は、AB上に配置される。一部の実施形態において、対象又は試料における、活性化可能抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を使用して達せられ、ここで、試薬は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0357】
本開示はまた、対象又は試料における、切断剤及び標的の存在又は非存在を検出する方法における使用のためのキットであって、対象又は生物学的試料を接触させることにおける使用のための、少なくとも、本明細書において記載されている活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体(例えば、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体)並びに活性化した活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体の、対象又は生物学的試料におけるレベルを検出するための手段を含み、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤及び標的が対象又は生物学的試料において存在することを指し示し、対象又は試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤、標的又は切断剤及び標的の両方が、対象又は生物学的試料において存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体の、標的への結合及び/又はプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示す、キットも提示する。
【0358】
本開示はまた、(i)対象又は生物学的試料を、標的の存在下において、活性化可能抗体と接触させること;及び(ii)対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体のレベルを測定することであって、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤が対象又は生物学的試料において存在することを指し示し、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤が、対象又は生物学的試料の検出可能なレベルで存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体のプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示す、測定することにより、対象又は試料における、切断剤の存在又は非存在を検出する方法も提示する。このような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)、切断剤、例えば、プロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)及び標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン又はこの断片(AB)を含み、ここで、非切断(すなわち、非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、(a)MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず;かつ(b)非切断状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された(すなわち、活性化された)状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合しない。]の構造的配置を含む。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、検出可能な標識は、マスキング部分へと接合されている。一部の実施形態において、検出可能な標識は、プロテアーゼ切断部位に対してN末端側の切断可能部分へと接合されている。一部の実施形態において、ABの単一の抗原結合性部位がマスキングされている。本開示の抗体が少なくとも2つの抗原結合性部位を有する、一部の実施形態において、少なくとも1つの抗原結合性部位が、マスキングされ、少なくとも1つの抗原結合性部位が、マスキングされていない。一部の実施形態において、全ての抗原結合性部位がマスキングされている。一部の実施形態において、測定することは、検出可能な標識を含む二次試薬の使用を含む。
【0359】
本開示はまた、対象又は試料における、切断剤及び標的の存在又は非存在を検出する方法における使用のためのキットであって、対象又は生物学的試料を、標的の存在下において、活性化可能抗体と接触させることにおける使用のための、少なくとも、本明細書において記載されている活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体並びに対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体のレベルを測定することであって、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤が対象又は生物学的試料において存在することを指し示し、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤が、対象又は生物学的試料の検出可能なレベルにおいて存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体のプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示す、測定することを含むキットも提示する。このような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)、切断剤、例えば、プロテアーゼにより切断される切断可能部分(CM)及び標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン又はこの断片(AB)を含み、ここで、非切断(すなわち、非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、(a)MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず;かつ(b)非切断状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された(すなわち、活性化された)状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合しない。]の構造的配置を含む。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、検出可能な標識は、マスキング部分へと接合されている。一部の実施形態において、検出可能な標識は、プロテアーゼ切断部位に対してN末端側の切断可能部分へと接合されている。一部の実施形態において、ABの単一の抗原結合性部位がマスキングされている。本開示の抗体が少なくとも2つの抗原結合性部位を有する、一部の実施形態において、少なくとも1つの抗原結合性部位が、マスキングされ、少なくとも1つの抗原結合性部位が、マスキングされていない。一部の実施形態において、全ての抗原結合性部位がマスキングされている。一部の実施形態において、測定することは、検出可能な標識を含む二次試薬の使用を含む。
【0360】
本開示はまた、対象又は試料における、切断剤の存在又は非存在を検出する方法における使用のためのキットであって、対象又は生物学的試料を接触させることにおける使用のための、少なくとも、本明細書において記載されている活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体並びに活性化した活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体の、対象又は生物学的試料におけるレベルを検出するための手段を含み、活性化可能抗体が、活性化可能抗体の部分に配置された検出可能な標識であり、CMの切断後において放出される標識を含み、ここで、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤が、対象又は生物学的試料において存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体の標的への結合及び/又はプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示し、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが見られないことが、切断剤が対象又は生物学的試料の検出可能なレベルにおいて存在することを指し示す、キットも提示する。
【0361】
本開示は、(i)対象又は生物学的試料を、活性化可能抗体と接触させることであって、活性化可能抗体が、活性化可能抗体の部分に配置された検出可能な標識であり、CMの切断後において放出される標識を含む、接触させること;及び(ii)対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体のレベルを測定することであって、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤、標的又は切断剤及び標的の両方が、対象又は生物学的試料において存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体の標的への結合及び/又はプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示し、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルの低減が、切断剤及び標的が対象又は生物学的試料において存在することを指し示す、測定することにより、対象又は試料における、切断剤及び標的の存在又は非存在を検出する方法を提示する。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%及び/又は約100%の低減である。このような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)、切断剤により切断される切断可能部分(CM)及び標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン又はこの断片(AB)を含み、ここで、非切断(すなわち、非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、(a)MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず;かつ(b)非切断状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された(すなわち、活性化された)状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合しない。]の構造的配置を含む。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、検出可能な標識は、AB上に配置される。一部の実施形態において、対象又は試料における、活性化可能抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を使用して達せられ、ここで、試薬は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0362】
本開示はまた、対象又は試料における、切断剤及び標的の存在又は非存在を検出する方法における使用のためのキットであって、対象又は生物学的試料を接触させることにおける使用のための、少なくとも、本明細書において記載されている活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体並びに活性化した活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体の、対象又は生物学的試料におけるレベルを検出するための手段を含み、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルが、切断剤、標的又は切断剤及び標的の両方が、対象又は生物学的試料において存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体の標的への結合及び/又はプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示し、対象又は生物学的試料における、活性化した活性化可能抗体の検出可能なレベルの低減が、切断剤及び標的が対象又は生物学的試料において存在することを指し示す、キットも提示する。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%及び/又は約100%の低減である。
【0363】
本開示はまた、(i)対象又は生物学的試料を、活性化可能抗体と接触させることであって、活性化可能抗体が、活性化可能抗体の部分に配置された検出可能な標識であり、CMの切断後において放出される標識を含む、接触させること;及び(ii)対象又は生物学的試料における、検出可能な標識のレベルを測定することであって、対象又は生物学的試料における、検出可能な標識の検出可能なレベルが、切断剤が、対象又は生物学的試料の検出可能なレベルにおいて、存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体のプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示し、対象又は生物学的試料における、検出可能な標識の検出可能なレベルの低減が、切断剤が対象又は生物学的試料において存在することを指し示す測定することにより、対象又は試料における、切断剤の存在又は非存在を検出する方法も提示する。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%及び/又は約100%の低減である。このような活性化可能抗体は、マスキング部分(MM)、切断剤により切断される切断可能部分(CM)及び標的に特異的に結合する抗原結合性ドメイン又はこの断片(AB)を含み、ここで、非切断(すなわち、非活性化)状態にある活性化可能抗体は、N末端からC末端へと、MM-CM-AB又はAB-CM-MM[式中、(a)MMは、ABの、標的への結合を阻害するペプチドであり、ここで、MMは、ABの、天然に存在する結合パートナーのアミノ酸配列を有さず;かつ(b)非切断状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉するが、切断された(すなわち、活性化された)状態にある活性化可能抗体のMMは、ABの、標的への特異的結合に干渉しない又はこれと競合しない。]の構造的配置を含む。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、検出可能な標識は、AB上に配置される。一部の実施形態において、対象又は試料における、活性化可能抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を使用して達せられ、ここで、試薬は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0364】
本開示はまた、対象又は試料における、目的の切断剤の存在又は非存在を検出する方法における使用のためのキットであって、対象又は生物学的試料を接触させることにおける使用のための、少なくとも、本明細書において記載されている活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体並びに活性化した活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体の、対象又は生物学的試料におけるレベルを検出するための手段を含み、活性化可能抗体が、活性化可能抗体の部分に配置された検出可能な標識であり、CMの切断後において放出される標識を含み、ここで、対象又は生物学的試料における、検出可能な標識の検出可能なレベルが、切断剤、標的又は切断剤及び標的の両方が、対象又は生物学的試料において存在していない、かつ/又は十分に存在しておらず、その結果、活性化可能抗体の標的への結合及び/又はプロテアーゼによる切断が対象又は生物学的試料において検出され得ないことを指し示し、対象又は生物学的試料における、検出可能な標識の検出可能なレベルの低減が、切断剤及び標的が対象又は生物学的試料において存在することを指し示す、キットも提示する。検出可能な標識のレベルの低減は、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%及び/又は約100%の低減である。
【0365】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、検出可能な標識は、イメージング剤、造影剤、酵素、蛍光標識、発色団、色素、1つ以上の金属イオン又はリガンドベースの標識を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、イメージング剤は、放射性同位元素を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、放射性同位元素は、インジウム又はテクネシウムである。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、造影剤は、ヨウ素、ガドリニウム又は酸化鉄を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、酵素は、西洋ワサビペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ又はβ-ガラクトシダーゼを含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、蛍光標識は、黄色蛍光タンパク質(YFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、改変赤色蛍光タンパク質(mRFP)、赤色蛍光タンパク質であるtdimer2(RFP tdimer2)、HCRED又はユーロピウム誘導体を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、発光標識は、N-メチルアクリジウム誘導体を含む。これらの方法についての、一部の実施形態において、標識は、Alexa Fluor(登録商標)680又はAlexa Fluor(登録商標)750などのAlexa Fluor(登録商標)標識を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、リガンドベースの標識は、ビオチン、アビジン、ストレプトアビジン又は1つ以上のハプテンを含む。
【0366】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、対象は、哺乳動物である。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、対象は、ヒトである。一部の実施形態において、対象は、非ヒト霊長動物、愛玩動物(例えば、ネコ、イヌ、ウマ)、農場動物、作業動物又は動物園動物などの非ヒト哺乳動物である。一部の実施形態において、対象は、齧歯動物である。
【0367】
これらの方法についての、一部の実施形態において、方法は、インビボ法である。これらの方法についての、一部の実施形態において、方法は、インサイチュー法である。これらの方法についての、一部の実施形態において、方法は、エクスビボ法である。これらの方法についての、一部の実施形態において、方法は、インビトロ法である。
【0368】
一部の実施形態において、インサイチューイメージング及び/又はインビボイメージングは、処置すべき患者を同定する方法において、有用である。例えば、インサイチューイメージングにおいて、活性化可能抗体は、患者試料をスクリーニングして、適切な場所、例えば、腫瘍部位において、適切なプロテアーゼ(複数可)及び標的(複数可)を有する患者を同定するのに使用される。
【0369】
一部の実施形態において、インサイチューイメージングは、本開示の活性化可能抗体による処置に適する患者集団を同定する又は他の形において精緻化するのに使用される。例えば、検査により、標的(例えば、標的)及び被験活性化可能抗体の切断可能部分(CM)内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陽性である(例えば、活性化された抗体を、疾患部位において蓄積させる)患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗体による処置に適する候補者として同定される。同様に、これらの方法を使用して、検査により、標的(例えば、標的)及び被験活性化可能抗体のCM内の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について陰性である患者は、別の治療形態に適する候補者として同定され得る。一部の実施形態において、検査により、第1の活性化可能抗体に関して陰性である、このような患者は、処置に適する活性化可能抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む、他の活性化可能抗体により検査され得る。一部の実施形態において、次いで、患者は、検査において、患者が陽性であった治療有効量の活性化可能抗体を投与される。
【0370】
一部の実施形態において、インビボイメージングは、本開示の活性化可能抗体による処置に適する患者集団を同定する又は他の形において精緻化するのに使用される。例えば、検査により、標的(例えば、標的)及び被験活性化可能抗体の切断可能部分(CM)内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陽性である(例えば、活性化された抗体を、疾患部位において蓄積させる)患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗体による処置に適する候補者として同定される。同様に、検査により陰性である患者は、別の治療形態に適する候補者として同定され得る。一部の実施形態において、検査により、第1の活性化可能抗体に関して陰性である、このような患者は、処置に適する活性化可能抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む、他の活性化可能抗体により検査され得る。一部の実施形態において、次いで、患者は、検査において、患者が陽性であった治療有効量の活性化可能抗体を投与される。
【0371】
方法及びキットについての、一部の実施形態において、方法又はキットは、本開示の活性化可能抗体による処置に適する患者集団を同定する又は他の形において精緻化するのに使用される。例えば、これらの方法において、検査により、標的(例えば、標的)及び被験活性化可能抗体の切断可能部分(CM)内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陽性である患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗体による処置に適する候補者として同定される。同様に、これらの方法を使用して、検査により、標的(例えば、標的)及び被験活性化可能抗体のCM内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陰性である患者は、別の治療形態に適する候補者として同定され得る。一部の実施形態において、このような患者は、処置に適する活性化可能抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、他の活性化可能抗体により検査され得る。一部の実施形態において、検査により、標的(例えば、標的)の一方について陰性である患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗体による処置に適する候補者として同定される。一部の実施形態において、検査により、標的(例えば、標的)の一方について陰性である患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗体による処置に適さない候補者として同定される。一部の実施形態において、このような患者は、処置に適する活性化可能抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、他の活性化可能抗体により検査され得る。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体である。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、薬剤へとコンジュゲートされていない。一部の実施形態において、活性化可能抗体は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、検出可能な標識は、AB上に配置される。一部の実施形態において、対象又は試料における、活性化可能抗体のレベルを測定することは、活性化された抗体に特異的に結合する二次試薬を使用して達せられ、ここで、試薬は、検出可能な標識を含む。一部の実施形態において、二次試薬は、検出可能な標識を含む抗体である。
【0372】
一部の実施形態において、方法又はキットは、本開示の活性化可能抗標的抗体及び/又は活性化可能抗標的コンジュゲート抗体(例えば、治療剤がコンジュゲートされた活性化可能抗体)による処置に続く、この活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体を、これを必要とする対象へと投与することによる処置に適する患者集団を同定する又は他の形において精緻化するのに使用される。例えば、これらの方法において、検査により、標的(例えば、標的)及び被験活性化可能抗体及び/又は被験活性化可能コンジュゲート抗体の切断可能部分(CM)内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陽性である患者は、このような抗体及び/又はこのようなCMを含むこのような活性化可能コンジュゲート抗体による処置に適する候補者として同定され、次いで、患者は、治療有効量の、被験活性化可能抗体及び/又は被験活性化可能コンジュゲート抗体を投与される。同様に、これらの方法を使用して、検査により、標的(例えば、標的)及び被験活性化可能抗体のCM内の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について陰性である患者は、別の治療形態に適する候補者として同定され得る。一部の実施形態において、このような患者は、処置に適する抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体)が同定されるまで、他の抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体により検査され得る。一部の実施形態において、次いで、患者は、治療有効量の、検査において、患者が陽性であった活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体を投与される。
【0373】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、MMは、約4~40アミノ酸の長さを有するペプチドである。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、活性化可能抗体は、リンカーペプチドを含み、ここで、リンカーペプチドは、MMとCMとの間に配置される。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、活性化可能抗体は、リンカーペプチドを含み、ここで、リンカーペプチドは、ABとCMとの間に配置される。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、活性化可能抗体は、第1のリンカーペプチド(LP1)及び第2のリンカーペプチド(LP2)を含み、ここで、第1のリンカーペプチドは、MMとCMとの間に配置され、第2のリンカーペプチドは、ABとCMとの間に配置される。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、LP1及びLP2の各々は、約1~20アミノ酸の長さのペプチドであり、ここで、LP1及びLP2の各々は、同じリンカーである必要がない。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、LP1及びLP2の一方又は両方は、グリシン-セリンポリマーを含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、LP1及びLP2のうちの少なくとも1つは、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号24)及び(GGGS)n(配列番号25)[配列中、nは、少なくとも1の整数である。]からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、LP1及びLP2のうちの少なくとも1つは、式(GGS)n[配列中、nは、少なくとも1の整数である。]を有するアミノ酸配列を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、LP1及びLP2のうちの少なくとも1つは、Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号26)、Gly-Gly-Ser-Gly-Gly(配列番号27)、Gly-Ser-Gly-Ser-Gly(配列番号28)、Gly-Ser-Gly-Gly-Gly(配列番号29)、Gly-Gly-Gly-Ser-Gly(配列番号30)及びGly-Ser-Ser-Ser-Gly(配列番号31)からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
【0374】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、ABは、本明細書において提示されている交差反応性の抗体配列から選択される抗体配列又は抗体断片配列を含む。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、ABは、Fab断片、scFv又は単鎖抗体(scAb)を含む。
【0375】
これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、切断剤は、対象又は試料において、標的と共に共局在化するプロテアーゼであり、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり、ここで、プロテアーゼは、活性化可能抗体がプロテアーゼへと曝露されると、活性化可能抗体内のCMを切断する。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、CMは、最長において、15アミノ酸の長さのポリペプチドである。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、CMは、ABのN末端へとカップリングされている。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、CMは、ABのC末端へとカップリングされている。これらの方法及びキットについての、一部の実施形態において、CMは、ABのVL鎖のN末端へとカップリングされている。
【0376】
本発明の抗体ポリペプチド鎖のN末端及びC末端は、一般に観察された翻訳後修飾に起因して、本明細書において記載されている配列と異なり得る。例えば、C末端のリシン残基は、抗体重鎖から逸失していることが多い。Dickら(2008年)Biotechnol.Bioeng.、100:1132頁。N末端のグルタミン残基及び、これより低度において、グルタメート残基は、しばしば、治療用抗体の軽鎖上及び重鎖上の両方における、ピログルタメート残基へと転換される。Dickら(2007年)Biotechnol.Bioeng.、97:544頁;Liuら(2011年)JBC、28611211;Liuら(2011年)J.Biol.Chem.、286:11211。したがって、式(I)及び/又は式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体は、重鎖定常領域のC末端残基が末端において、1つ以上のアミノ酸を欠く、C末端のリシンを欠く、翻訳後プロセシングに起因してC末端のリシンが除去される又はC末端のリシンがリシン以外のアミノ酸である、抗体(AB)を有し得る。重鎖定常領域のC末端残基がリシン以外のアミノ酸である場合、一実施形態において、それは、一般に、ジスルフィド結合を形成するのに適さない又は他の形において、細胞傷害剤とのコンジュゲーションに適さないアミノ酸である。
【0377】
ある特定の実施形態において、式(I)及び/又は式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体は、重鎖上及び/又は軽鎖上のN末端グルタメートが、任意選択的に、ピログルタメートである又はピログルタメートへと翻訳後修飾されている抗体(AB)を有し得る。
【0378】
ある特定の実施形態において、式(I)及び/又は式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体の重鎖定常領域は、C末端において、リシン又は別のアミノ酸を含む、例えば、重鎖定常領域は、以下の最後のアミノ酸:重鎖のためのPGKを含む。ある特定の実施形態において、重鎖定常領域は、C末端において、1つ以上のアミノ酸を欠いており、例えば、C末端の配列である、PG又はPを有する。
【0379】
ある特定の実施形態において、式(I)及び/又は式(II)の活性化可能コンジュゲート抗体の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域は、N末端において、アミノ酸である、グルタメート又はピログルタメートを含む、例えば、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域は、以下の最後のアミノ酸:軽鎖のためのpQGQ及び/又は重鎖のためのpQVQ[配列中、「pQ」は、ピログルタメートを表す。]を含む。
【0380】
本開示の抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、診断用製剤及び予防用製剤において使用される。一実施形態において、活性化可能抗体は、前述の、炎症、炎症性障害、がん又は他の障害のうちの1つ以上を発症する危険性がある患者へと投与される。
【0381】
前述の障害のうちの1つ以上に対する、患者又は臓器の素因は、遺伝子型マーカー、血清学的マーカー又は生化学的マーカーを使用して決定され得る。
【0382】
本開示の一部の実施形態において、抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、前述の障害のうちの1つ以上と関連している臨床適応を伴うと診断されたヒト個体へと投与される。診断されると、抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、臨床適応の影響を、和らげる又は抑制するように投与される。
【0383】
本開示の抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体はまた、標的の、患者試料中の検出においても有用であり、したがって、診断法として有用である。例えば、本開示の抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体は、標的の、患者試料中レベルを検出するように、インビトロアッセイ、例えば、ELISAにおいて使用される。
【0384】
一実施形態において、本開示の抗体及び/又は活性化可能抗体は、固体支持体(例えば、マイクロ滴定プレートのウェル(複数可))上に固定化されている。固定化された抗体及び/又は活性化可能抗体は、被験試料中に存在し得る、任意の標的のための捕捉抗体として用いられる。固定化された抗体及び/又は活性化可能抗体を、患者試料と接触させる前に、固体支持体は、すすがれ、解析物の非特異的な吸着を防止するように、ミルクタンパク質又はアルブミンなどのブロッキング剤により処理される。
【0385】
その後、ウェルは、抗原を含有することが疑われる被験試料又は標準量の抗原を含有する溶液により処理される。このような試料は、例えば、病態について診断的であると考えられるレベルの循環抗原を有することが疑われる対象に由来する血清試料である。被験試料又は標準物質をすすいだ後に、固体支持体は、検出可能に標識された二次抗体により処理される。標識された二次抗体は、検出抗体として用いられる。検出可能な標識のレベルは測定され、標的抗原の、被験試料中濃度は、標準試料から開発された検量線との比較により決定される。
【0386】
本開示の抗体及び/又は活性化可能抗体を、インビトロ診断アッセイにおいて使用して得られた結果に基づき、標的抗原の発現レベルに基づいて、対象における疾患を病期分類することが可能であると理解される。所与の疾患について、血液試料が、疾患の進行の多様な病期及び/又は疾患の治療的処置の多様な時点にあると診断された対象から採取される。進行又は治療の各病期又は各段階について、統計学的に有意な結果をもたらす試料の集団を使用して、各病期に特徴的であると考えられ得る抗原濃度の範囲が指定される。
【0387】
抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体はまた、診断法及び/又はイメージング法においても使用され得る。一部の実施形態において、このような方法は、インビトロ法である。一部の実施形態において、このような方法は、インビボ法である。一部の実施形態において、このような方法は、インサイチュー法である。一部の実施形態において、このような方法は、エクスビボ法である。例えば、酵素的に切断可能なCMを有する活性化可能抗体は、CMを切断することが可能な酵素の存在又は非存在を検出するのに使用され得る。このような活性化可能抗体は、所与の宿主生物の、所与の細胞内又は組織内の、活性化された抗体(すなわち、活性化可能抗体の切断から生じる抗体)の蓄積の測定を介する酵素活性(又は、一部の実施形態において、ジスルフィド結合の還元をもたらし得る環境など、還元の潜在的可能性を増大させた環境)のインビボ検出(例えば、定性的又は定量的)を含み得る診断法において使用され得る。活性化された抗体の、このような蓄積は、組織が、酵素活性(又はCMの性質次第では、還元の潜在的可能性の増大)を発現するだけでなく、また、活性化された抗体が結合する標的も発現することを指し示す。
【0388】
例えば、CMは、生物学的に閉止された部位(例えば、膿瘍内、臓器内など)における、腫瘍部位、ウイルス感染又は細菌感染の部位などにおいて見出されたプロテアーゼに対する、プロテアーゼ基質であるように選択され得る。ABは、標的抗原に結合するABであり得る。当業者が精通している方法を使用して、検出可能な標識(例えば、蛍光標識又は放射性標識又は放射性トレーサー)は、AB又は活性化可能抗体の他の領域へとコンジュゲートされ得る。上記のスクリーニング法の文脈において、適切な検出可能な標識が論じられており、さらなる具体的な例が、下記に提示されている。疾患状態についてのタンパク質又はペプチドに特異的なABを、その活性が、目的の疾患組織内において上昇しているプロテアーゼと共に使用すると、活性化可能抗体は、CM特異的な酵素が検出可能なレベルにおいて存在していない又は疾患組織内より低レベルにおいて存在する又は不活性である組織(例えば、チモーゲン形態にある又は阻害剤と複合させた)と比べた、疾患組織への結合速度の増大を呈する。小型タンパク質及びペプチドは、腎濾過系により、血液から急速にクリアランスされるので、かつCMに特異的な酵素は検出可能なレベルにおいて存在しない(又は非疾患組織内の低レベルにおいて存在する又は不活性コンフォメーションにおいて存在する)ため、活性化された抗体の、疾患組織内の蓄積は、非疾患組織と比べて増強される。
【0389】
別の例において、活性化可能抗体は、切断剤の、試料中の存在又は非存在を検出するのに使用され得る。例えば、活性化可能抗体が、酵素による切断を受けやすいCMを含有する場合、活性化可能抗体は、酵素の、試料中の存在を検出する(定性的に又は定量的に)のに使用され得る。活性化可能抗体が還元剤による切断を受けやすいCMを含有する、別の例において、活性化可能抗体は、還元条件の、試料中の存在を検出する(定性的に又は定量的に)のに使用され得る。これらの方法における解析を容易とするために、活性化可能抗体は、検出可能に標識される場合があり、支持体(例えば、スライド又はビーズなどの固体支持体)に結合され得る。検出可能な標識は、切断後において放出されない活性化可能抗体の一部に配置される場合があり、例えば、検出可能な標識は、切断が生じるまで、検出可能ではない、クエンチングされた蛍光標識又は他の標識であり得る。アッセイは、例えば、固定化させた、検出可能に標識された活性化可能抗体を、酵素及び/又は還元剤を含有することが疑われる試料と、切断が生じるのに十分な時間にわたり接触させ、次いで、過剰な試料及び夾雑物を除去するように洗浄することにより行われ得る。次いで、切断剤(例えば、酵素又は還元剤)の、試料中の存在又は非存在は、試料と接触させる前における、活性化可能抗体の、検出可能なシグナルの変化、例えば、試料中の切断剤による活性化可能抗体の切断に起因する、検出可能なシグナルの存在及び/又は増大により評価される。
【0390】
このような検出法は、切断された場合に、活性化可能抗体のABへの結合が可能な標的の存在又は非存在の検出もまた、もたらすように適応され得る。したがって、アッセイは、切断剤の存在又は非存在及び目的の標的の存在又は非存在について評価するように適応され得る。切断剤の存在又は非存在は、上記で記載した通り、活性化可能抗体の、検出可能な標識の存在及び/又は増大により検出される場合があり、標的の存在又は非存在は、標的-AB複合体の検出により、例えば、検出可能に標識された抗標的抗体の使用により検出され得る。
【0391】
活性化可能抗体は、例えば、プロテアーゼの切断及び特定の標的への結合による、活性化可能抗体の活性化のバリデーションのための、インサイチューイメージングにおいてもまた有用である。インサイチューイメージングは、タンパク質分解活性及び標的の、細胞培養物又は組織切片など、生物学的試料中の位置特定を可能とする技法である。この技法を使用して、検出可能な標識(例えば、蛍光標識)の存在に基づき、所与の標的への結合及びタンパク質分解活性の両方を確認することが可能である。
【0392】
これらの技法は、疾患部位(例えば、腫瘍組織)又は健常組織に由来する、任意の凍結細胞又は凍結組織に対して有用である。これらの技法はまた、新鮮な細胞試料又は組織試料に対しても有用である。
【0393】
これらの技法において、活性化可能抗体は、検出可能な標識により標識される。検出可能な標識は、蛍光色素(例えば、イソチオシアン酸フルオレセイン(FITC)、イソチオシアン酸ローダミン(TRITC)、近赤外(NIR)色素(例えば、Qdot(登録商標)ナノ結晶)、コロイド状金属、ハプテン、放射性マーカー、ビオチン及びストレプトアビジンなどの増幅試薬又は酵素(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はアルカリホスファターゼ)であり得る。
【0394】
標識された、活性化可能抗体と共にインキュベートされた試料中の標識の検出は、試料が標的を含有し、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含有することを指し示す。一部の実施形態において、プロテアーゼの存在は、本明細書において記載されているものなど、広域スペクトルのプロテアーゼ阻害剤を使用して、かつ/又はプロテアーゼに特異的な薬剤、例えば、プロテアーゼマトリプターゼに特異的であり、マトリプターゼのタンパク質分解性活性を阻害する、A11などの抗体を使用することにより確認され得る。例えば、2010年11月11日に公開された、国際公開第WO2010/129609号を参照されたい。本明細書において記載されているものなど、広域スペクトルのプロテアーゼ阻害剤を使用し、かつ/又はより選択的な阻害性薬剤を使用することによる、同じ手法は、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼ又はプロテアーゼのクラスを同定するのに使用され得る。一部の実施形態において、標的の存在は、標的に特異的な薬剤を使用して確認される場合がある、例えば、別の抗体又は検出可能な標識は、非標識の標的と競合され得る。一部の実施形態において、非標識の活性化可能抗体は、標識された二次抗体又はより複雑な検出システムによる検出と共に使用され得る。
【0395】
同様の技法もまた、対象、例えば、ヒトを含む哺乳動物における蛍光のシグナルの検出が、疾患部位が標的を含有し、活性化可能抗体のCMに特異的なプロテアーゼを含有する、インビボイメージングに有用である。
【0396】
これらの技法はまた、活性化可能抗体内の、プロテアーゼ特異的CMに基づく、様々な細胞、組織及び生物における、プロテアーゼ活性の、検出、同定又は特徴付けのための、キットにおいて、かつ/又は試薬としても有用である。
【0397】
一部の実施形態において、インサイチューイメージング及び/又はインビボイメージングは、処置すべき患者を同定する方法において、有用である。例えば、インサイチューイメージングにおいて、活性化可能抗体は、患者試料をスクリーニングして、適切な場所、例えば、腫瘍部位において、適切なプロテアーゼ(複数可)及び標的(複数可)を有する患者を同定するのに使用される。
【0398】
一部の実施形態において、インサイチューイメージングは、本開示の活性化可能抗体による処置に適する患者集団を同定する又は他の形において精緻化するのに使用される。例えば、検査により、標的及び被験活性化可能抗体の切断可能部分(CM)内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陽性である(例えば、活性化された抗体を、疾患部位において蓄積させる)患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗体による処置に適する候補者として同定される。同様に、これらの方法を使用して、検査により、標的及び被験活性化可能抗体のCM内の基質を切断するプロテアーゼの一方又は両方について陰性である患者は、別の治療形態に適する(すなわち、被験活性化可能抗体による処置に適さない)候補者として同定される。一部の実施形態において、検査により、第1の活性化可能抗体に関して陰性である、このような患者は、処置に適する活性化可能抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む、他の活性化可能抗体により検査され得る。
【0399】
一部の実施形態において、インビボイメージングは、本開示の活性化可能抗体による処置に適する患者集団を同定する又は他の形において精緻化するのに使用される。例えば、検査により、標的及び被験活性化可能抗体の切断可能部分(CM)内の基質を切断するプロテアーゼの両方について陽性である(例えば、活性化された抗体を、疾患部位において蓄積させる)患者は、このようなCMを含む、このような活性化可能抗体による処置に適する候補者として同定される。同様に、検査により陰性である患者は、別の治療形態に適する(すなわち、被験活性化可能抗体による処置に適さない)候補者として同定される。一部の実施形態において、検査により、第1の活性化可能抗体に関して陰性である、このような患者は、処置に適する活性化可能抗体(例えば、疾患部位において、患者により切断されるCMを含む活性化可能抗体)が同定されるまで、異なるCMを含む、他の活性化可能抗体により検査され得る。
【0400】
医薬組成物
本開示の抗体、コンジュゲート抗体、活性化可能抗体及び/又は活性化可能コンジュゲート抗体(本明細書において、「活性化合物」とも称される)並びにこれらの誘導体、断片、類似体及び相同体は、投与に適する医薬組成物へと組み込まれ得る。
【0401】
投与の容易さ及び投与量の均一性のために、経口組成物又は非経口組成物を、単位剤形において製剤化することが、とりわけ有利である。本明細書において使用される場合、単位剤形とは、処置される対象のための単位投与量として適する、物理的に個別の単位を指し、各単位は、要求された、薬学的に許容される担体との関連において、所望の治療的効果を及ぼすように計算された、所定数量の活性化合物を含有する。本開示の単位剤形の仕様は、活性化合物の固有の特徴及び達成される特定の治療効果及び個体の処置のために、このような活性化合物を調合する上での、当技術分野に固有の限界により必然的に決まり、これらに直接依存する。
【0402】
医薬組成物は、投与のための指示書と併せて、容器内、パック内又は分注器内に含まれ得る。
【0403】
本発明は、以下に列挙されている実施形態及び実施例において、さらに記載されるが、これらは、特許請求の範囲において記載されている、本発明の範囲を限定するものではない。
【0404】
実施形態の列挙
本発明は、以下に列挙されている、例示的な実施形態の参照により規定され得る。
【0405】
セットI
I-1.活性化可能コンジュゲート抗体であって、
(a)非切断状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB[配置中、
(i)ABは、哺乳動物CD71に特異的に結合し、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号7の軽鎖可変領域配列を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABへとカップリングされたMMは、ABの、CD71への結合を阻害し;
(iii)CMは、ABへとカップリングされた配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。]
の構造的配置を含む活性化可能抗体(AA);並びに
(b)活性化可能抗体が2当量のモノメチルアウリスタチンE(MMAE)へとコンジュゲートされた、MMAE
を含む活性化可能コンジュゲート抗体。
【0406】
I-2.式AA-(AG)p[式中、
(a)AAは、非切断状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB[配置中、
(i)ABは、哺乳動物CD71に特異的に結合し、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号7の軽鎖可変領域配列を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18の配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABへとカップリングされたMMは、ABの、CD71への結合を阻害し;
(iii)CMは、ABへとカップリングされた配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。]
の構造的配置を含む活性化可能抗体であり;
(b)AGは、AAへとコンジュゲートさせた薬剤であり、ここで、薬剤は、MMAEであり、pは2である。]
を有する、活性化可能コンジュゲート抗体を含む組成物。
【0407】
I-3.活性化可能コンジュゲート抗体を製造する方法であって、少なくとも1つのMMAEを、活性化可能抗体(AA)へとコンジュゲートさせ、これにより、AA-(MMAE)p[式中、pは1~8である。]を含む組成物を作製すること;及び組成物を、pが2である、活性化可能コンジュゲート抗体分子種について強化することを含み、AAが、非切断状態において、N末端からC末端へと、MM-CM-AB[配置中、
(i)ABは、哺乳動物CD71に特異的に結合し、配列番号5の重鎖可変領域配列及び配列番号7の軽鎖可変領域配列を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、ABへとカップリングされたMMは、ABの、CD71への結合を阻害し;
(iii)CMは、ABへとカップリングされた、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドである。]
の構造的配置を含む、方法。
【0408】
I-4.ABが、配列番号20の重鎖配列を含む、実施形態I-1に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2に記載の組成物又は実施形態I-3に記載の方法。
【0409】
I-5.ABが、配列番号167の重鎖配列を含む、実施形態I-1に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2に記載の組成物又は実施形態I-3に記載の方法。
【0410】
I-6.ABが、配列番号19の軽鎖配列を含む、実施形態I-1、I-4及びI-5のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2、I-4及びI-5のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-5のいずれか一項に記載の方法。
【0411】
I-7.AAが、ABとMMとの間に連結ペプチドLP1を含む、実施形態I-1及びI-4~I-6のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-6のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~6のいずれか一項に記載の方法。
【0412】
I-8.LP1が、GGGSSGGS(配列番号207)のアミノ酸配列を含む、実施形態I-7に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は組成物又は方法。
【0413】
I-9.AAが、ABとCMとの間に連結ペプチドLP2を含む、実施形態I-1及び4~8のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-8のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-8のいずれか一項に記載の方法。
【0414】
I-10.LP2が、GGGS(配列番号38)のアミノ酸配列を含む、実施形態I-9に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は組成物又は方法。
【0415】
I-11.AAが、第1の連結ペプチド(LP1)及び第2の連結ペプチド(LP2)を含み、ここで、非切断状態にあるAAが、N末端からC末端へと、MM-LP1-CM-LP2-ABの構造的配置を有する、実施形態I-1及びI-4~I-10のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-10のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-10のいずれか一項に記載の方法。
【0416】
I-12.活性化可能抗体が、配列番号138及び143~145並びにGQGからなる群から選択されるスペーサー配列を含む軽鎖を含む、実施形態I-1及びI-4~I-11のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-11のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-11のいずれか一項に記載の方法。
【0417】
I-13.スペーサー配列が、MMに対してN末端側である、実施形態I-12に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は組成物又は方法。
【0418】
I-14.活性化可能抗体が、配列番号201の軽鎖可変領域配列を含む、実施形態I-1及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-13のいずれか一項に記載の方法。
【0419】
I-15.活性化可能抗体が、配列番号202の軽鎖可変領域配列を含む、実施形態I-1及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-13のいずれか一項に記載の方法。
【0420】
I-16.活性化可能抗体が、配列番号169の軽鎖配列を含む、実施形態I-1及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-13のいずれか一項に記載の方法。
【0421】
I-17.活性化可能抗体が、配列番号170の軽鎖配列を含む、実施形態I-1及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-13のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-13のいずれか一項に記載の方法。
【0422】
I-18.ABが、ヒトCD71及びカニクイザルCD71に特異的に結合する、実施形態I-1及びI-4~I-17のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-17のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-17のいずれか一項に記載の方法。
【0423】
I-19.MMが、ABの、CD71に対する解離定数より大きい、ABへの結合についての解離定数を有する、実施形態I-1及びI-4~I-18のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及び4~18のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-18のいずれか一項に記載の方法。
【0424】
I-20.MMが、活性化可能抗体が切断状態にある場合に、CD71への結合について、ABに干渉しない又はこれと競合しない、実施形態I-1及びI-4~I-19のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-19のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-19のいずれか一項に記載の方法。
【0425】
I-21.MMが、40アミノ酸以下の長さのポリペプチドである、実施形態I-1及びI-4~I-20のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-20のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-20のいずれか一項に記載の方法。
【0426】
I-22.CMが、罹患組織内で活性のプロテアーゼに対する基質である、実施形態I-1及びI-4~I-21のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-21のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-21のいずれか一項に記載の方法。
【0427】
I-23.薬剤が、リンカーを介して、ABへとコンジュゲートされている、実施形態I-1及びI-4~I-22のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-22のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-22のいずれか一項に記載の方法。
【0428】
I-24.薬剤がABへとコンジュゲートされている場合のリンカーが、バリン-シトルリン部分を含む、実施形態I-1及びI-4~I-23のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-23のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-23のいずれか一項に記載の方法。
【0429】
I-25.薬剤がABへとコンジュゲートされている場合のリンカーが、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリン部分を含む、実施形態I-1及びI-4~I-24のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-24のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-24のいずれか一項に記載の方法。
【0430】
I-26.薬剤がABへとコンジュゲートされている場合のリンカーが、マレイミドカプロイル-バリン-シトルリンパラアミノベンジルオキシカルボニル部分を含む、実施形態I-1及びI-4~I-25のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-25のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-25のいずれか一項に記載の方法。
【0431】
I-27.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体のうちの少なくとも50%が、pが2である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0432】
I-28.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体のうちの少なくとも75%が、pが2である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0433】
I-29.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体のうちの少なくとも90%が、pが2である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0434】
I-30.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体のうちの少なくとも95%が、pが2である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0435】
I-31.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体のうちの少なくとも98%が、pが2である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0436】
I-32.pが1又は3~8である、組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種の各々の当量が、pが2である、組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種の当量未満である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0437】
I-33.pが1又は3~8である、組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種が、pが2である、組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種の当量未満である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0438】
I-34.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種のうちの50%未満が、pが1又は3~8である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0439】
I-35.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種のうちの25%未満が、pが1又は3~8である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0440】
I-36.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種のうちの10%未満が、pが1又は3~8である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0441】
I-37.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種のうちの5%未満が、pが1又は3~8である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0442】
I-38.組成物の活性化可能コンジュゲート抗体分子種のうちの2%未満が、pが1又は3~8である分子種である、実施形態I-2及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-3~I-26のいずれか一項に記載の方法。
【0443】
I-39.実施形態I-1及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-38のいずれか一項に記載の組成物;並びに担体
を含む医薬組成物。
【0444】
I-40.対象におけるがんを処置する、その症状を緩和する又はその進行を遅延させる方法であって、治療有効量の、実施形態I-1及びI-4~I-26のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態I-2及びI-4~I-38のいずれか一項に記載の組成物又は実施形態I-39に記載の医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法。
【0445】
I-41.がんが、胃がんである、実施形態I-40に記載の方法。
【0446】
I-42.がんが、卵巣がんである、実施形態I-40に記載の方法。
【0447】
I-43.がんが、食道がんである、実施形態I-40に記載の方法。
【0448】
I-44.がんが、非小細胞肺がんである、実施形態I-40に記載の方法。
【0449】
I-45.がんが、乳がんである、実施形態I-40に記載の方法。
【0450】
I-46.がんが、結腸直腸がんである、実施形態I-40に記載の方法。
【0451】
I-47.がんが、黒色腫である、実施形態I-40に記載の方法。
【0452】
I-48.がんが、前立腺がんである、実施形態I-40に記載の方法。
【0453】
I-49.がんが、中皮腫である、実施形態I-40に記載の方法。
【0454】
セットII
II-1.式(I):
【0455】
【化7】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、
i.配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに
ii.配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(iii)LP1は、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;
(iv)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
(v)LP2は、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;
(b)「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0456】
II-2.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-1に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0457】
II-3.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-1又はII-2に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0458】
II-4.式(I):
【0459】
【化8】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号8のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(iii)LP1は、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;
(iv)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
(v)LP2は、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;
(b)「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0460】
II-5.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-4に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0461】
II-6.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-4又はII-5に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0462】
II-7.式(I):
【0463】
【化9】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(iii)LP1は、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;
(iv)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
(v)LP2は、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;
(b)「n」は、2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0464】
II-8.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-7に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0465】
II-9.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-7又はII-8に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0466】
II-10.式(I):
【0467】
【化10】
[式中、MM-LP1-CM-LP2-ABは、活性化可能抗体であり、ここで、ABは、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、
活性化可能抗体は、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号170の配列を含む軽鎖を含み、
「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0468】
II-11.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-10に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0469】
II-12.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-10又はII-11に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0470】
II-13.式(II):
【0471】
【化11】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、
i.配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに
ii.配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が、非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(iii)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
(b)「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0472】
II-14.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-13に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0473】
II-15.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-13又はII-14に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0474】
II-16.式(II):
【0475】
【化12】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号5の配列を含む重鎖可変領域及び配列番号7の配列を含む軽鎖可変領域を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(iii)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
(b)「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0476】
II-17.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-16に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0477】
II-18.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-16又はII-17に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0478】
II-19.式(II):
【0479】
【化13】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号19の配列を含む軽鎖を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(iii)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
(b)「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0480】
II-20.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-19に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0481】
II-21.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-19又はII-20に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0482】
II-22.式(II):
【0483】
【化14】
[式中、MM-CM-ABは、活性化可能抗体であり、ここで、ABは、ヒトCD71に特異的に結合する抗体であり、
活性化可能抗体は、配列番号167の配列を含む重鎖及び配列番号169の配列を含む軽鎖を含み、
「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体。
【0484】
II-23.ABが、IgG1アイソタイプを含む、実施形態II-22に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0485】
II-24.ABが、重鎖定常領域を有する抗体であり、ここで、重鎖定常領域のC末端残基が、リシンではない、実施形態II-22又はII-23に記載の活性化可能コンジュゲート抗体。
【0486】
II-25.式(I):
【0487】
【化15】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、
i.配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに
ii.配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(iii)LP1は、配列番号207のアミノ酸配列を含む、第1の連結部分であり;
(iv)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
(v)LP2は、配列番号38のアミノ酸配列を含む、第2の連結部分であり;
ここで、「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、
(b)
(i)MM-LP1-CM-LP2-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び
(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせること
を含む方法。
【0488】
II-26.式(II):
【0489】
【化16】
[式中、
(a)
(i)ABは、ヒトCD71に特異的に結合し、
i.配列番号9を含むCDRH1配列、配列番号10を含むCDRH2配列及び配列番号11を含むCDRH3配列を含む重鎖可変領域;並びに
ii.配列番号12又は配列番号13を含むCDRL1配列、配列番号14を含むCDRL2配列及び配列番号15を含むCDRL3配列を含む軽鎖可変領域
を含む抗体であり;
(ii)MMは、配列番号18のアミノ酸配列を含むマスキング部分であり、ここで、活性化可能コンジュゲート抗体が非切断状態にある場合に、MMは、ABの、ヒトCD71への結合を阻害し;
(ii)CMは、配列番号156の配列を含む切断可能部分であり、ここで、CMは、プロテアーゼに対する基質として機能するポリペプチドであり;
ここで、「n」は2である。]
の構造又はその塩を含む、活性化可能なコンジュゲート抗体を製造する方法であって、
(b)
(i)MM-CM-ABを含む活性化可能抗体を、還元剤により還元すること;及び
(ii)1つ以上のvcMMAEを、還元された活性化可能抗体へとコンジュゲートさせること
を含む方法。
【0490】
II-27.実施形態II-1~II-24のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体;及び任意選択的に、薬学的に許容される担体
を含む医薬組成物。
【0491】
II-28.対象におけるがんを処置する、その症状を緩和する又はその進行を遅延させる方法であって、胃がん、卵巣がん、食道がん、非小細胞肺がん、ER+乳がん、トリプルネガティブ乳がん、結腸直腸がん、黒色腫、前立腺がん、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部小細胞癌、膵臓がん、中皮腫、非ホジキンリンパ腫、肝細胞癌及び神経膠芽腫からなる群から選択されるがんのために、治療有効量の、実施形態II-1~II-24のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態II-27に記載の医薬組成物を、これを必要とする対象へと投与することを含む方法。
【0492】
II-29.医薬としての使用のための、実施形態II-1~II-24のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態II-27に記載の医薬組成物。
【0493】
II-30.任意選択的に、胃がん、卵巣がん、食道がん、非小細胞肺がん、ER+乳がん、トリプルネガティブ乳がん、結腸直腸がん、黒色腫、前立腺がん、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、頭頸部小細胞癌、膵臓がん、中皮腫、非ホジキンリンパ腫、肝細胞癌及び神経膠芽腫からなる群から選択されるがんの処置における使用のための、実施形態II-1~II-24のいずれか一項に記載の活性化可能コンジュゲート抗体又は実施形態II-27に記載の医薬組成物。
【実施例
【0494】
実施例1 活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)
本明細書において提示されている研究は、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体のうちの一部を作るためにデザインした。
【0495】
その全体において参照により本明細書に組み込む、米国特許出願第US2016/0355599A1号において記載される通り、抗CD71 M21モノクローナル抗体は、当技術分野において公知の技法に従う、マウスハイブリドーマ技術を使用して得た。マウスを、ヒトCD71細胞外ドメイン(ECD)により免疫化し、細胞傷害作用ピギーバックアッセイを使用して、それに続くハイブリドーマをスクリーニングし、このアッセイによる細胞傷害作用陽性クローンが、ヒトCD71 ECDポリペプチドに結合することを、ELISAにより確認し、細胞表面に結合することを、FACSにより確認した。抗CD71 M21モノクローナル抗体は、配列番号1の重鎖可変領域(VH)及び配列番号2の軽鎖可変領域(VL)を含む。
【0496】
抗CD71マウスモノクローナル抗体M21に基づく、以下のヒト化抗CD71抗体:Ab21.10 LcB:HcA(配列番号3のVH及び配列番号7のVL)、Ab21.11 LcB:HcB(配列番号4のVH及び配列番号7のVL)、Ab21.12 LcB:HcC(配列番号5のVH及び配列番号7のVL)及びM21(配列番号1のVH及び配列番号2のVL)もまた調べた。本開示の、多様な抗CD71抗体の、細胞表面CD71に結合する能力は、FACSにより確認した。
【0497】
ヒト化抗CD71抗体の全ては、CD71 M21マウス抗体が示した結合と同等な、ヒトCD71及びカニクイザルCD71への結合を示した。ヒト化抗CD71抗体の結合は、FACSにより、BxPC3細胞株上において確認した。略述すると、BxPC3細胞を、表示の濃度における、マウスモノクローナルMab21抗体又はhuCD71(Ab21.10、Ab21.11及びAb21.12)抗体により標識し、その後、それぞれ、Alexa Fluor 647により標識されたヤギ抗マウスIgG又は抗ヒトIgG Alexa Fluor 647により検出した。
【0498】
例示的な研究において、抗CD71 Ab21.12 LcB:HcC(配列番号5のVH及び配列番号7のVL)の、ヒト、カニクイザル、マウス及びラットの供給源に由来する、組換えCD71細胞(ELISAを使用する)及びCD71発現細胞(フローサイトメトリーを使用する)に対する結合活性を測定した。表1の例示的な結果に示されている通り、ELISAにより測定したところ、抗CD71抗体は、ヒト組換えCD71及びサル組換えCD71に、同等なアフィニティーにより結合し、これは、ヒトホロトランスフェリンの、ヒトCD71に対するアフィニティーと同等であった。フローサイトメトリーにより測定したところ、抗体は、ヒト及びサルのCD71発現細胞株(それぞれ、ヒトBxPC3膵臓がん細胞及びカニクイザル初代腎臓上皮細胞)に、同等なアフィニティーにより結合した。抗CD71抗体による、組換えマウスCD71又はラットCD71発現細胞株(ラットH-4-11-E肝がん細胞)への有意な結合は、測定されなかった。
【0499】
【表4】
【0500】
実施例2 マスクの発見
本明細書において提示されている研究は、本開示の活性化可能抗CD71抗体における使用のためのマスキング部分を同定し、特徴付けるためにデザインした。
【0501】
2010年7月15日に公開された、PCT国際公開第WO2010/081173号において記載された方法と同様の方法を使用して、全多様度を6×1010とする、X15[配列中、Xは、任意のアミノ酸である。]ペプチドのランダムライブラリーをスクリーニングするのに、米国特許出願第US2016/0355599A1号に記載されている通り、配列番号5のVH及び配列番号7のVLを含む、抗CD71 21.12抗体を使用した。スクリーニングは、1ラウンドのMACS分取及び5ラウンドのFACS分取からなった。初期MACS分取は、protein-A Dynabeads(Invitrogen)及び200nMの濃度の抗CD71 21.12抗体により行った。MACSのために、細胞約1×1012個を、結合についてスクリーニングし、細胞1×10個を回収した。抗CD71 21.12を、DyLight-488(ThermoFisher)とコンジュゲートさせ、CD71への結合活性を確認し、抗CD71 21.12-488を、全てのFACSラウンドのための蛍光プローブとして使用した。以下の通りに、細菌細胞を染色し、陽性クローンを回収した:FACSラウンド1において回収された細胞1×10個を伴う、20nMの抗CD71 21.12-488、FACSラウンド2において回収された細胞6.2×10個を伴う、5nMの抗CD71 21.12-488並びにFACSラウンド3において回収された、細胞5×10個を伴う、5nMの抗CD71 21.12-488及び細胞5×10個を伴う、1nMの抗CD71 21.12-488、FACSラウンド4及び5において回収された細胞>2×10個を伴う、1nMの抗CD71 21.12-488。第2のFACSラウンドに由来する陽性集団が、抗CD71 21.12-488抗体の、組換えCD71タンパク質への結合を阻害することを検証した。個々のペプチドクローンを、FACSラウンド3に由来する、5nMの結合剤並びにFACSラウンド3、4及び5に由来する、1nMの結合剤に由来する配列解析により同定した。
【0502】
同定されたマスキング部分は、TF01(QFCPWSYYLIGDCDI;配列番号16)及びTF02(NLCTEHSFALDCRSY;配列番号17)を含む。マスキング効率の異なる、活性化可能抗体のファミリーであって、マスキング部分TF02.13(NLCTEHSAALDCRSY;配列番号18)を含むファミリーを作出するように、TF01マスク及びTF02マスクを切断し、アラニン走査した。
【0503】
これらのマスキングペプチドを使用して、本開示の活性化可能抗CD71抗体を作出した。これらの活性化可能抗CD71抗体のうちのある特定のものについての配列を、下記の表Aに示している。一部の実施形態において、これらの活性化可能抗CD71抗体は、表示の通り、切断可能部分2001(ISSGLLSGRSDNH;配列番号91)、切断可能部分3001(AVGLLAPPGGLSGRSDNH;配列番号97)、切断可能部分2011(ISSGLLSGRSDNP;配列番号156)又は切断可能部分3011(AVGLLAPPGGLSGRSDNP;配列番号164)を含む。
【0504】
下記に示されている、ある特定の配列は、配列番号138のスペーサー配列を含むが、当業者は、本開示の活性化可能抗CD71抗体が、例えば、QGQSGQG(配列番号138)、QGQSGQ(配列番号109)、QGQSG(配列番号139)、QGQS(配列番号140)、QGQ、QG、GQSGQG(配列番号143)、QSGQG(配列番号144)、SGQG(配列番号145)、GQG、G又はQからなる群から選択されるスペーサー配列など、任意の適切なスペーサー配列を含み得ることを理解する。一部の実施形態において、本開示の活性化可能抗CD71抗体は、そのN末端へと接続したスペーサー配列を有さない場合がある。
【0505】
【表5】
【0506】
実施例3 活性化可能活性化可能抗CD71抗体及び活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体の作出及び特徴付け
本明細書において提示されている研究は、本開示の一部の活性化可能抗CD71抗体を作出するためにデザインした。
【0507】
マスキング効率(すなわち、活性化可能抗体のMMが、活性化可能抗体のABの、その標的への結合を遮断する能力の測定値)が異なる活性化可能抗CD71抗体を作出した。ペプチドTF01及びTF02を、実施例2に記載されたトランケーション及びアラニン走査により突然変異させた。これらのマスキングペプチド変異体を使用して、ある範囲のマスキング効率を伴う、本開示の活性化可能抗CD71抗体のファミリーを作出した。
【0508】
本開示の活性化可能抗CD71抗体の、NCI H292(本明細書において、H292とも称される)細胞株への結合は、FACSを使用して査定した。略述すると、細胞を、ある範囲の濃度の、huCD71抗体又は活性化可能抗体により標識し、その後、Alexa Fluor 647により標識されたヤギ抗ヒトIgG二次抗体により検出して、結合曲線を決定した。下記の表2の例示的な結合データにまとめられた通り、本開示の活性化可能抗CD71抗体は、親抗CD71抗体(huCD71 21.12 Ab)と比較して、ある範囲のマスキング効率を示す。
【0509】
【表6】
【0510】
表2における、これらの例示的なデータは、活性化可能抗体が無傷状態又は非切断状態にある場合、どちらのマスク(TF01及びTF02.13)も、抗CD71抗体の、CD71への結合を阻害することを示している。これらの例示的なデータはまた、TF01マスキング部分が、TF02.13マスキング部分より高度なマスキング効率を示すことも裏付けている。
【0511】
実施例4 活性化可能CD71抗体及び活性化可能CD71コンジュゲート抗体の結合活性の特徴付け
本実施例が示すところによれば、本開示の活性化可能抗CD71抗体及び活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、これらの無傷の非切断形態にある場合の、これらの対応するプロテアーゼ切断形態と比較して、組換え及び細胞表面のヒトCD71タンパク質及びカニクイザルCD71タンパク質への低結合アフィニティーを示した。
【0512】
図3A及び3Bにおいて示されている通り、固相結合アッセイ(ELISA)を使用して、それらの無傷の非切断形態及びそれらのプロテアーゼ活性化切断形態の両方における、本開示の活性化可能抗CD71抗体及び活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体の、組換えCD71への結合アフィニティーを裏付けた。これらの例において、ELISAプレートを、組換えカニクイザルタンパク質(図3B)又は組換えヒトCD71タンパク質(図3A)(R&D Systems)により、1μg/mLの濃度でコーティングし、次いで、表示濃度の本開示の無傷の非切断活性化可能抗CD71抗体(「抗CD71-TF02.13-2011」)又は本開示の無傷の非切断E2(すなわち、DARを約2とする)活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(「抗CD71-TF02.13-2011-vc-MMAE E2」)と共にインキュベートした。また、活性化可能抗体構成要素のうちの切断可能部分を切断するプロテアーゼによる処理の後における、本開示の活性化可能抗CD71抗体(「抗CD71-TF02.13-2011(Act)」)又はE2(すなわち、DARを約2とする)活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(「抗CD71-TF02.13-2011(Act)」)についてもアッセイした。
【0513】
本明細書において論じられている「E2」とは、本質的に、各活性化可能抗体分子につき、薬物ロードが、2薬物分子である、活性化可能コンジュゲート抗体の分子種だけを含み、いかなる量又は最小量の、他の可能な分子種(すなわち、薬物ロードが、0、1、3、4、5、6、7、8などである分子種)も、本質的に含まない、所与の本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体の組成物を指す。本明細書において論じられる場合、「DAR」とは、このような活性化可能コンジュゲート抗体の集団内の、薬物(この場合、MMAE)の、活性化可能抗体(すなわち、CD71-TF02.13-2011)に対する平均比を指す。したがって、本実施例において、抗CD71-TF02.13-2011-vc-MMAE E2とは、実施例26に記載される通り、各活性化可能抗体が、2当量のvc-MMAEの薬物ロードを有し、約2のDARを有した、抗CD71-TF02.13-2011活性化可能抗体だけを含む組成物を指す。
【0514】
各試料中の、結合した抗体の量は、インキュベーション及び西洋ワサビペルオキシダーゼへとコンジュゲートされたヤギ抗ヒト抗体による検出及びUltra TMB(Thermo Fisher Scientific)による検出により検出した。結合アフィニティーの概要を、下記に示す。
【0515】
【表7】
【0516】
図3C及び3Dは、FACSアッセイにおいて、本開示の活性化可能抗CD71抗体及び本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、ヒトCD71(図3C)及びカニクイザルCD71(図3D)を発現する細胞に、対応する、本開示のプロテアーゼにより活性化された活性化可能抗CD71抗体又はプロテアーゼにより活性化された活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体の場合より、大きな解離定数及び低度のアフィニティーにより結合するという、例示的な結果を示している。これらの例示的な結果は、本開示の、切断された、プロテアーゼにより活性化された、活性化可能抗CD71抗体の結合アフィニティー及び本開示の、切断された、プロテアーゼにより活性化された、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、細胞に、親抗CD71抗体のアフィニティーと同等のアフィニティーにおいて結合することを示し、したがって、抗CD71の、無傷活性化可能抗体内又は無傷活性化可能コンジュゲート抗体内のその標的への結合の阻害における、マスキング部分の効果を裏付ける。
【0517】
図3C及び3Dにおいて示されている例示的な研究において、本開示の抗体の、表示の細胞株への結合は、標準的なFACS標識化法を使用して実施した。略述すると、細胞を、表示の抗体又は本開示の活性化可能抗体:対照抗体(AB095)、ヒト抗CD71抗体(配列番号5のVH及び配列番号7のVLを有するAb21.12)、活性化可能抗CD71抗体(抗CD71 TF02.13-2011)又はE2(すなわち、DARを約2とする)活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2)により標識した。加えて、その中の切断可能部分を切断する、プロテアーゼによる活性化の後における、活性化可能抗CD71抗体(抗CD71 TF02.13-2011(Act))及びE2(すなわち、DARを約2とする)活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2(Act))の結合アフィニティーについてもアッセイした。各被験物質を、表示の濃度において適用し、その後、Alexa Fluor 647により標識されたヤギ抗ヒトIgG二次抗体により検出した。
【0518】
下記の表3Bは、図3C~3Dに描示された結合曲線に基づくEC50値を示している。これらの結果は、無傷活性化可能抗体及び無傷活性化可能コンジュゲート抗体が、その標的に、それらのプロテアーゼにより活性化された対応物よりも低度のアフィニティーにより結合し、プロテアーゼにより活性化された活性化可能抗体が、親抗CD71抗体のアフィニティーと同等なアフィニティーによりに結合したことを示している。
【0519】
【表8】
【0520】
同様の例示的な研究において、ELISAアッセイ及びフローサイトメトリーアッセイを使用して、本開示の抗CD71抗体、抗CD71コンジュゲート抗体、活性化可能抗CD71抗体(無傷の非切断形態及びプロテアーゼにより活性化された切断形態)並びに活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(無傷の非切断形態及びプロテアーゼにより活性化された切断形態)の、組換えヒトCD71及びカニクイザルCD71並びにヒトCD71及びカニクイザルCD71発現細胞株に対する組換えCD71に対する結合アフィニティーを裏付けた。被験物質は、抗CD71 Ab21.12抗体(配列番号5のVH及び配列番号7のVL)、コンジュゲート抗体である抗CD71 Ab21.12-vcMMAE E2(すなわち、DARを約2とする)、活性化可能抗体である抗CD71-TF02.13-2011及びDAR2の活性化可能コンジュゲート抗体である抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(すなわち、DARを約2とする)であった。
【0521】
ELISAの例において、ELISAプレートを、組換えカニクイザルCD71 ECDタンパク質又は組換えヒトCD71 ECDタンパク質によりコーティングし、次いで、濃度範囲のうちの1つの範囲の本開示の被験物質と共にインキュベートした後、結合した被験物質の量を、二次抗体により測定した。活性化された被験物質は、マトリプターゼプロテアーゼ酵素と共にインキュベートした。各被験物質についての、例示的な見かけのKd値を、表3Cに示している。
【0522】
表3Cにおいてもまた示されている例示的な研究において、本開示の抗体の、表示の細胞株への結合は、標準的なFACS標識化法を使用して実施した。フローサイトメトリー結果は、4つのヒト細胞株(HCC1806ヒト乳がん、HT-29ヒト結腸直腸がん、NCI-H292ヒト肺がん及びNCI-H520ヒト肺がん)及びカニクイザルCD71を発現する1つのCHO-K1細胞株から測定された平均Kappを反映している。各被験物質についての、例示的な見かけのKd値を、表3Cに示している。
【0523】
【表9】
【0524】
これらの例示的な結果は、無傷活性化可能抗体及び無傷活性化可能コンジュゲート抗体が、これらの活性化対応物又はこれらの親抗体と比較して、低度の、CD71に対する見かけのアフィニティーを示したことを示している。
【0525】
実施例5 複数の、患者由来の原発腫瘍及び転移性腫瘍におけるCD71の発現
本実施例は、抗CD71抗体を使用する免疫組織化学(IHC)染色により、CD71が、多種多様な原発腫瘍型及び転移性腫瘍型において発現されていることを示す。
【0526】
図1及び2は、CD71が、複数の、患者由来の原発腫瘍及び患者由来の転移性組織マイクロアレイ(TMA)に対する、市販の抗CD71抗体によるIHC染色を使用して、多数の原発腫瘍試料中及び転移性腫瘍試料中で、高度に発現されたことを示している。図1は、頭頸部がん(1)、子宮頸がん(2)、乳がん(3)、リンパ節内の非ホジキンリンパ腫(NHL)(4)、肺がん(5)、膀胱がん(6)、卵巣がん(7)及び食道がん(8)におけるCD71についてのIHC染色を示している。図2が示すところによれば、転移性腫瘍に由来するコアからなる、組織マイクロアレイ(TMA)におけるCD71についてのIHC染色が、大部分のコアにおける、中~高レベルのCD71の発現を示した。免疫組織化学(IHC)による、ヒト腫瘍試料中の、CD71の発現の概要を、表4Aに示している。
【0527】
【表10】
【0528】
[実施例6] CRC異種移植片モデルにおける、マスキング効率及び活性化可能抗CD71-AADCのインビボ有効性
本実施例は、本開示のコンジュゲート毒素を伴う活性化可能抗ヒトCD71抗体(AADC)のマスキング効率が、HT29結腸直腸がん(CRC)マウス異種移植片モデルにおけるその有効性の因子であることを示す。
【0529】
これらの研究において、マウスにおけるHT29異種移植片腫瘍を、150mmの平均体積へと増殖させた。次いで、マウスを、群へと無作為化し、1日目に、3mg/kg(又は表示の他の形において)ずつの、表示の各被験物質を投与した。平均腫瘍体積±SEMを、各時点についてプロットした。
【0530】
図4Aが示すところによれば、高アフィニティーマスクを伴う、本開示の例示的な抗CD71 AADC(抗CD71 TF01-3011-vc-MMAE)が、単回の3mg/kgの投与の後において、媒体対照と比べた、ある程度の腫瘍増殖の阻害を示した。これと比較して、図4Bは、低アフィニティーマスクを伴うが、同じ切断可能基質を伴う、本開示の例示的な抗CD71 AADC(抗CD71 TF02.13-3011-vc-MMAE)が、単回の3mg/kgの投与の後において、異種移植片の、本質的に完全な退縮を示したことを示した。図4Cが示すところによれば、低アフィニティーマスクを伴うが、同じ切断可能基質を伴う、本開示の例示的な抗CD71 AADC(抗CD71 TF02.13-3011-vc-MMAE)がまた、単回の2mg/kg又は3mg/kgのどちらの投与量においても、HT29異種移植片の、本質的に完全な退縮も示した。これらの例示的な結果が示すところによれば、低アフィニティーのマスキング部分を伴うAADCが、高アフィニティーのマスキング部分を伴うAADCより、大きな有効性を示した。
【0531】
実施例7 CRC異種移植片モデルにおける、切断可能基質及び活性化可能抗CD71-AADCのインビボ有効性
本実施例は、マウス異種移植片モデルにおける、本開示の例示的な活性化可能抗ヒトCD71コンジュゲート抗体(AADC)の有効性に対する、切断可能基質の効果を示す。
【0532】
これらの研究において、マウスにおける、HT29(結腸直腸がん由来)異種移植片腫瘍を、150mmの平均体積へと増殖させた。次いで、マウスを、群へと無作為化し、1日目に、表示量の、表示の被験物質を投与した。平均腫瘍体積±SEMを、各時点についてプロットした。
【0533】
図5は、本開示の例示的な抗CD71 AADC(CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE)が、マウス異種移植片モデルの、2つの異なる投与量において、完全又はほぼ完全な退縮を示すことを示している。これらの例示的なデータは、切断可能性が低い基質を伴う、表示のAADC(抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE)の有効性が、図4B及び4Cにおいて示された、切断可能性が高い基質を伴うAADC(抗CD71 TF02.13-3011-vc-MMAE)の有効性と実質的に同じであることを裏付けている。
【0534】
実施例8 複数の異種移植片モデルにおける、活性化可能抗CD71-AADCのインビボ有効性
本実施例は、多様なマウス異種移植片モデルの、2つの異なる薬物対抗体比(DAR)における、本開示のAADCである、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAEの有効性を示す。
【0535】
これらの研究において、マウスにおける、卵巣がん(OV-90;図6B)、胃がん(NCI-N87;図6A)、ER+乳がん(BT474;図6C)又はトリプルネガティブ乳がん(HCC-70;図6D)の異種移植片腫瘍を、150mmの平均体積へと増殖させた。次いで、マウスを、群へと無作為化し、1日目に、表示の被験物質を投与した。投与される、各AADCの量は、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE(平均DARを約3とする)が、3mg/kgにおいて投与され、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2(平均DARを約2とする)が、4.3mg/kgにおいて投与されるように、MMAE毒素の量に基づき、用量をマッチさせた。平均腫瘍体積±SEMを、各時点についてプロットした。
【0536】
図6A~6Bが示すところによれば、本開示の例示的な抗CD71 AADC(抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE)が、卵巣がん及び胃がんのマウス異種移植片モデルにおいて、完全又はほぼ完全な退縮を示す。各々2当量ずつのMMAE毒素を伴う精製AADCを含む、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2(すなわち、DARを約2とする)もまた、同じモデルにおいて、完全な退縮を示した。図6C及び6Dにおいて示された場合など、完全又はほぼ完全な退縮が観察されなかった場合においても、全ての場合に、E2(すなわち、DARを約2とする)の活性と、高DAR AADCの活性とは、同等又はほぼ同等であった。これらの例示的なデータは、用量をマッチさせたE2(すなわち、DARを約2とする)AADC(抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2)の有効性が、対応する高DAR AADCと同等であることを裏付けている。
【0537】
表4Bに示されている通り、DARを約2とする抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2 AADCの、様々な患者由来細胞株(PDX)又はがん細胞株(CDX)に対する有効性を、マウス異種移植片モデルにおいて調べ、6mg/kg以下において、このAADCを1回又は2回投与した。下記にまとめられている結果が示すところによれば、AADCが、被験モデルのほぼ全てにおいて、退縮~休眠~腫瘍増殖の阻害の範囲の、少なくともある程度の有効性を示した。
【0538】
【表11】
【0539】
実施例9 処置された動物に由来する試料中の、コンジュゲート及び遊離毒素並びに無傷AADC及び全AADCのレベルを決定する生物解析アッセイ
本実施例は、代謝物の、被験試料中レベルであって、コンジュゲート及び遊離毒素のレベル並びに無傷活性化可能コンジュゲート抗体及び全活性化可能コンジュゲート抗体のレベルを含むレベルを測定するアッセイのための、例示的なワークフローを示す。
【0540】
図7A、7B及び7Cは、処置されたサルにおける、無傷活性化可能抗体及び全活性化可能抗体(すなわち、無傷活性化可能抗体と、切断された活性化可能抗体との組合せ)の量のほか、処置されたサルにおける、無傷AADC(切断されていない毒素を伴う)及び切断された毒素の量を決定する、例示的な生物解析アッセイのための概略的ワークフローを示す。図7Aに描示されている例示的なアッセイプロトコールを使用して、無傷活性化可能抗体及び切断された活性化可能抗体(例えば、抗CD71 TF02.13-3001)の試料中総量は、磁気プロテインAビーズにより捕捉し、その後、変性させ(RapiGest(商標))、ジチオトレイトールにより還元し、アルキル化させ、トリプシン消化することができる。逆相LC-MS/MSを使用して、抗体の重鎖及び軽鎖に由来する、特徴的なペプチド断片を同定及び定量することにより、結果として得られるペプチド断片を解析することができる。この特定のアッセイにおいて、無傷活性化可能抗体及び切断された活性化可能抗体の両方の総量を決定するのに、逆相LC-MS/MSを使用し、これにより、無傷活性化可能抗体及び切断された活性化可能抗体の試料中総量を測定して、活性化可能抗体又は活性化可能コンジュゲート抗体の抗体部分に特徴的な、1つ以上のペプチドを、同定及び定量することができる。
【0541】
同じアッセイにおいて、無傷活性化可能抗体の総量を決定するのに、逆相LC-MS/MSを使用し、これにより、無傷活性化可能抗体の試料中総量を測定して、活性化可能抗体(例えば、抗CD71-TF02.13-2011の軽鎖のN末端に由来する)、切断されていない切断可能部分(CM)及びマスキング部分(MM)に特徴的な、1つ以上のペプチドを、同定及び定量することができる。
【0542】
図7Bに描示されている例示的なアッセイプロトコールを使用して、試料中において、その毒素(MMAE)へのコンジュゲーションを維持している、AADC(例えば、抗CD71 TF02.13-3001-vc-MMAE)の総量を決定することができる。このアッセイにおいて、コンジュゲート活性化可能抗体及び非コンジュゲート活性化可能抗体の両方の総量を、MabSelect(登録商標)プロテインAにより捕捉する。この画分を、システインプロテアーゼにより処理して、リンカー-毒素を切断し、これにより、その活性化可能抗体へのコンジュゲーションを維持した、任意の毒素を放出する。システインプロテアーゼにより切断された画分を解析するのに、逆相LC-MS/MSを使用して、捕捉された活性化可能抗体へのコンジュゲーションを維持した、特徴的な毒素(MMAE)を同定及び定量し、これにより、コンジュゲート毒素の、試料中量を測定することができる。
【0543】
図7Cに描示されている例示的なアッセイプロトコールを使用して、毒素の、試料中総量であって、AADCから切断された毒素の、動物における総量を含む総量を決定することができる。図7Cに描示されているこの例示的なアッセイにおいて、試料に由来する全タンパク質は、上清中に沈殿され、遊離している、非コンジュゲート毒素(MMAE)である。沈殿されたタンパク質と会合していなかった特徴的な毒素(例えば、MMAE)を同定及び定量するのに、逆相LC-MS/MSを使用して、上清を解析し、これにより、非コンジュゲート毒素の、試料中量を測定することができる。これらのアッセイにおいて、定量化を可能とするように、内部標準物質(例えば、SILu(商標)Mab、Sigma-Aldrich)を組み入れた。
【0544】
実施例10 カニクイザルにおける、抗CD71-AADC及び抗CD71ADCの忍容性及び安定性
本実施例は、本開示のコンジュゲート毒素を伴う活性化可能抗ヒトCD71抗体(AADC)が、カニクイザルにおいて、1つ以上の血液学リードアウト及び臨床症状に基づき、対応する親抗CD71抗体薬物コンジュゲート(ADC)と比較して、忍容性が良好であることを示す。結果を、下記の表5にまとめ、図17にまとめている。
【0545】
この研究において、1日目及び21日目において、表示の投与量により表示のAADC又はADCにより、カニクイザルを、静脈内処置した。抗CD71 TF02.13-3011-vc-MMAE AADCについて、1回だけの投与が忍容され、抗CD71-vc-MMAE E2(すなわち、DARを約2とする)ADCについて、1回だけの投与が実施された。各動物から得られた、活性化可能抗体(すなわち、総活性化可能抗体対無傷活性化可能抗体)の、試料中の安定性は、実施例9に記載された通り、逆相LC/MS/MSを使用して実施した)。
【0546】
【表12】
【0547】
1回目の用量投与後において測定された最小の体重に対して、体重の減少を決定した。ベースラインの好中球カウントは、1μL当たり少なくとも1000であった。
【0548】
表5にまとめられている通り、マスキングされていないE2(すなわち、DARを約2とする)ADC(抗CD71-vc-MMAE E2)は、初回投与から8日以内に、致死性を示した。
【0549】
表5にまとめられている例示的な結果がまた示すところによれば、切断可能性が低い基質を伴うAADC(すなわち、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE及び抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2)が、切断可能性が高い基質を伴う、対応するAADC(すなわち、抗CD71 TF02.13-3011-vc-MMAE)より、忍容が良好であり、非ヒト霊長動物において、高レベルの循環安定性を示した。最後に、例示的な結果が示すところによれば、AADC(抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2(すなわち、DARを約2とする))が、対応する高DAR AADC(抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE)より、測定可能な形で改善された、非ヒト霊長動物における忍容性を示した。
【0550】
実施例11 カニクイザルにおける、抗CD71-AADCの安定性及び薬物動態
本実施例は、カニクイザルにおける、本開示のコンジュゲート毒素を伴う活性化可能抗ヒトCD71抗体(AADC)の安定性及び薬物動態を示す。この研究において、
この研究において、その結果について実施例12~14においてさらに詳細に記載される、カニクイザルの4つの群を、表6に示されている表示の用量及びスケジュールによって、表示のE2(すなわち、DARを約2とする)抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE又は媒体対照により、静脈内処置した。各動物に由来する試料は、表6に表示された日に取得し、これを、全活性化可能抗体及び無傷活性化可能抗体並びにコンジュゲートMMAE毒素及び非コンジュゲートMMAE毒素について、実施例9に記載された形でアッセイした。
【0551】
【表13】
【0552】
表6にまとめられた通り、カニクイザルに、示された投与レベル及びスケジュールで、緩徐なIVボーラスにより、媒体又は抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2 AADCのいずれかを投与した。トキシコキネティクス解析のための血液試料は、血漿へと加工し、解析の前に、-80℃において保管した。血清試料は、投与前及び群1~3について、2回目の投与の7日後及び群4について、初回投与の22日後に、抗薬物解析のために得た。全ての群は、3匹の動物(2匹の雄及び1匹の雌)を含有した。
【0553】
実施例12 カニクイザルにおける、抗CD71-AADCの安定性
本実施例は、カニクイザルにおける、本開示のコンジュゲート毒素を伴う活性化可能抗ヒトCD71抗体(AADC)の安定性を示す。
【0554】
表8A及び8Bの例示的な結果に示されている通り、投与されたAADCの、全活性化可能抗体及び無傷活性化可能抗体(抗CD71 TF02.13-2011)の血漿濃度を、実施例9及び11に記載された形において決定した。無傷活性化可能抗体及び全活性化可能抗体のいずれについても、定量下限(LLOQ)は、表示の通り、0.633nMであった。これらの例示的な結果は、無傷活性化可能抗体の血漿濃度が、一般に、21日間の投与間隔中、元来投与された用量に比例するレベルで維持されたことを裏付ける。投与の7日後においてもなお、血漿中の活性化可能コンジュゲート抗体(抗CD71-TF02.13-2011-vc-MMAE E2)のうちの約80%は、無傷の、プロドラッグ形態にあった。
【0555】
表9A及び9Bの例示的な結果に示されている通り、コンジュゲートMMAE毒素及び非コンジュゲートMMAE毒素の血漿濃度を、実施例9及び11に記載された形において決定した。定量下限(LLOQ)は、表示の通り、コンジュゲートMMAEについて、1.77nMであり、非コンジュゲートMMAEについて、0.31nMであった。これらの例示的な結果は、血漿濃度中において測定された全MMAEのうちの1%未満が、非コンジュゲート形態にあることを裏付ける。
【0556】
実施例13 カニクイザルにおける、抗CD71-AADCの投与後の、薬物の、活性化可能抗体に対する比の変化
本実施例は、カニクイザルへの、本開示のコンジュゲート毒素を伴う活性化可能抗ヒトCD71抗体(AADC)の投与の後、血漿中において観察された、薬物(MMAE)の、活性化可能抗体(抗CD71 TF02.13-2011)比を示す。
【0557】
全活性化可能抗体及び無傷活性化可能抗体(抗CD71 TF02.13-2011)の血漿濃度を、実施例9及び11に記載された形において決定した。図10に示されている通り、薬物の、活性化可能抗体に対する比は、表示の各時点において、コンジュゲートMMAEの濃度(実施例12及び図9Aを参照されたい)を、総活性化可能抗体の濃度(実施例11及び図8Aを参照されたい)により除することにより計算した。具体的な時点についての平均比及び標準偏差を、表7に示している。これらの例示的な結果は、観察された、MMAE薬物の、活性化可能抗体に対する比が、時間経過にわたり、3回の投与の各々の間の、一貫した形において変化したことを裏付ける。各回の投与において、無傷AADCの計算されたDARは、投与の直後及び投与から4時間以内において、約2において始まり、この比は、投与の約96時間(すなわち、約4日)後において、約1へと降下した。
【0558】
【表14】
【0559】
実施例14 カニクイザルにおける抗CD71-AADCの薬物動態パラメータ
本実施例は、カニクイザルにおける、本開示のコンジュゲート毒素を伴う活性化可能抗ヒトCD71抗体(AADC)の薬物動態パラメータを示す。
【0560】
全活性化可能抗体及び無傷活性化可能抗体(抗CD71 TF02.13-2011)の血漿濃度を、実施例9及び11に記載された形において決定した。表8に示された通り、所与の解析物についての平均Cmaxは、観察された最大血漿濃度に基づいた。平均AUC0-7は、0~7日目における血漿濃度-時間曲線下面積に基づいた。総活性化可能コンジュゲート抗体、無傷活性化可能コンジュゲート抗体及びコンジュゲートMMAEについての半減期推定値は、2.5~6.3日間の範囲であった。半減期推定値は、非コンジュゲートMMAEについては生成しなかった。
【0561】
【表15】
【0562】
実施例15 抗薬物抗体についてのアッセイ
本実施例は、被験動物における抗薬物抗体(ADA)の形成についてモニタリングする架橋アッセイの使用について記載する。
【0563】
ADA解析のための血漿試料を、研究前及び2回目の投与の7日後に回収した。抗薬物抗体を、研究において投与された動物9例中3例において検出した。
【0564】
実施例16 活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体の、インビトロにおける細胞傷害作用
本実施例は、ヒト腫瘍由来細胞株上の、アイソタイプ対照ADCと比較した、本開示の、無傷の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体及び活性化された活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体についての、インビトロ細胞傷害作用アッセイについて記載する。
【0565】
マトリプターゼによる前処理を伴う又はこれを伴わない、本開示の活性化可能コンジュゲート抗体である、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(配列番号167のHC及び配列番号169のLC)の、例示的なインビトロ細胞傷害活性を査定し、アイソタイプ対照である、非CD71結合性コンジュゲート抗体(DARを2とするAB095-vcMMAEであり、ここで、AB095は、破傷風毒素に特異的である)と比較した。各被験物質を、各細胞株と共に、5日間にわたりインキュベートし、次いで、細胞生存率を、各被験物質の濃度範囲を測定して、各被験物質について、EC50を決定することにより、被験物質の細胞傷害作用を、HT29(ヒト結腸直腸がん細胞株)、H292(ヒト肺がん細胞株)、H520(ヒト肺がん細胞株)及びHCC1806(ヒト乳がん細胞株)において調べた。結果を、下記の表9にまとめている。
【0566】
【表16】
【0567】
これらの例示的な結果は、無傷活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体のインビトロ細胞傷害作用が、アイソタイプ(isotypc)対照のインビトロ細胞傷害作用と同等であるが、マトリプターゼによる活性化時に、実質的に増大したことを示す。
【0568】
実施例17 活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体による、Fcへの結合及び補体の活性化
本実施例は、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)及び補体依存性細胞傷害作用(CDC)など、エフェクター機能ベースの機構を媒介する能力を裏付けた。
【0569】
IgG抗体のFc(fragment crystallizable)部分は、それらの一部が、Fc受容体及びC1qへの結合を介して生じる、様々な機能を媒介し得る。これらの機能は、サイトカイン誘導、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害作用(ADCC)、古典的補体系経路の活性化を介する補体依存性細胞傷害作用(CDC)、食作用、及びIgGのリサイクリングを介する抗体のホメオスタシスを含む(Ravetchら、Annu Rev Immunol.、2001年;19:275~290頁;Roopenianら、Nat Rev Immunol.、2007年;7:715~725頁)。
【0570】
抗体のホメオスタシスは、部分的に、腸上皮細胞上、血管内皮細胞上及びプロフェッショナル抗原提示細胞上に存在する、Fc関連新生児受容体であるFcRnにより調節される。細胞内において、FcRnは、小胞内に存在するが、酸性エンドソーム内の、低pHにおいて、FcRnは、飲作用により取り込まれている、IgGのFc部分に結合し得る。次いで、エンドソームが、細胞外の中性pHへの曝露の結果として、細胞表面へとリサイクリングされると、IgGが放出される。この過程は、単層上皮障壁を隔てたIgGトラフィッキングの制御を可能とし、IgG分子を、異化から保護し、IgGの血清半減期を延長する(Roopenian)。実際、低pHにおいて、FcRnの結合を増強するが、生理学的pHにおいて、低度の結合を維持する突然変異は、血清半減期の延長をもたらすことが示されている(Hintonら、J Biol Chem.、2004年;279:6213~6216頁;Hintonら、J Immunol.、2006年;176:346~356頁)。
【0571】
ヒトFcγR系は、活性化(FcγRI、FcγRIIa及びFcγRIIIa)受容体及び阻害性(FcγRIIb)受容体の両方から構成される。高アフィニティーのIgG1受容体であるFcγRIは、単球系統の細胞により発現されている(Liら、J Immunol.、2008年;181:1012~1018頁)。FcγRIIaは、より広く発現されている、低アフィニティーのIgG受容体であって、免疫複合体に優先的に結合するIgG受容体である(Littauaら、J Immunol.、1990年;144:3183~3186頁)。FcγRIIbは、大半が、単球系統及びB細胞において発現されており、低アフィニティーの阻害性IgG受容体である。FcγRIIbが、IgG複合体へと結合すると、脱顆粒、食作用、ADCC、サイトカイン放出及び炎症促進性活性化などのカルシウム依存性過程の全てが遮断される(Clynesら、Nat.Med.、6:446~446頁(2000年);Minard-Colinら、Blood、112:1205~1213頁(2008年)及びHamaguchiら、J.Exp.Med.、203:743~753頁(2006年))。FcγRIIIaは、NK細胞のADCC活性の一因となる、低アフィニティーの受容体である(Ravetch)。Fcγ受容体の多様性に付け加えると、IgG分子に対するアフィニティーの差違を有する、FcγRIIa(H131対R131)及びFcγRIIIa(V158対F158)の多型変異体が存在する(Bruhnsら、Blood、2008年;113:3716~3725頁)。
【0572】
抗体の、FcγR又は補体エフェクター系を介する様々な機能を媒介する能力は、IgGベースの、操作された生物学的薬剤における、意図されない薬理作用の過剰増強の可能性を可能とする。末梢血リンパ球における、未知の交差反応性は、Fcγ受容体の架橋を誘発することが可能である。Fcγ受容体の相互作用を架橋することは、サイトカインの誘導、ADCC及び食作用を含む、様々な機能を媒介する(Ravetch)ため、治療用抗体が、血液中又は組織内の意図されない標的に結合する能力を決定することが重要である。
【0573】
方法:表面プラズモン共鳴による、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIIa及びFcRnの結合アッセイ
表面プラズモン共鳴(Biacore)により、これらの、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE、抗CD71 Ab21.12(IgG1/κ)、AB095-MMAE-E2及びAB095(IgG1/κ)への結合について評価するのに、6×Hisタグを介して、組換えヒトFcγRII及びFcγRIIIを捕捉した。製造元のプロトコールに従うアミンカップリングにより、マウス抗6×His抗体を、CM5チップ上に、10000RUの密度まで、直接固定化させた。次いで、ヒトFcγRを、フローセル2、3及び4において捕捉して、250~500RUの、FcγRの捕捉レベルを達成した。フローセル1を、基準表面として使用した。HBS-EP+緩衝液(GE、Healthcare)を、ランニング緩衝液として使用した。抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2、抗CD71 Ab21.12(IgG1/κ)、AB095-MMAE-E2、AB095(IgG1/κ)及びトラスツズマブ(IgG1/κ)を、全てのフローセル上に、50μL/分の流速、FcγRIIについて、46.9~12000nM、FcγRIIIについて、7.8~4000nMの範囲の濃度(両方とも、2倍の系列希釈液)で、1~2分間にわたり(FcγRIIb及びFcγRIIa H131については1分間にわたり、FcγRIIIa F158及びFcγRIIIa V158については2分間にわたり)注入した後、1~5分間の(FcγRIIb、FcγRIIa H131については1分間にわたり、FcγRIIIa F158及びFcγRIIIa V158については5分間にわたる)解離時間を施した。チップ表面は、4つ全てのフローセル上、100μL/分の流速において、2秒間にわたる、100mMのHClの注入により再生した。全ての種類の実験誤差(計器、表面及び作業者)に対処するように、3つの異なるCM5チップの使用による、3つの実験を、各試料について(各々、2回繰り返して)行った。これらの3つの実験の結果を平均した。
【0574】
FcRn結合解析のために、製造元のプロトコールに従うアミンカップリングにより、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2、抗CD71 TF02.13-2011(vc-MMAEを伴わないIgG1/κ)、AB095-vcMMAE-E2(DAR=2に強化したMMAEを含有する、非特異的ヒト抗破傷風トキソイドモノクローナルIgG1/κ抗体)、AB095(非特異的ヒト抗破傷風トキソイドモノクローナルIgG1/κ抗体)及びトラスツズマブ(IgG1/κ)を、CM5チップ上に、500RUの密度まで、直接固定化させた。Hu FcRnを、全てのフローセル上に、50μL/分の流速、5.5~12000nMの範囲の濃度(3倍の系列希釈液)において、1分間にわたり注入した後、2分間の解離時間を施した。表面は、2秒間にわたる、100mMのHClに続く、HBS-EP+、pH7.4の注入により再生した。試料を調製し、2つのランニング緩衝液系である、MES-EP+pH6.0中及びHBS-EP pH7.4中において試行にかけた。計器、表面及び作業者の誤差を考慮して、3つの異なるCM5チップの使用による、3つの実験を、各試料について(各々、2回繰り返して)行った。これらの3つの実験の結果を平均した。
【0575】
全ての組換えヒトFcγRIIIa V158データ及びFcγRIIIa F158データを、捕捉レベルのばらつきを考慮して、Rmaxを局所に固定した、1:1の結合当てはめモデルへと当てはめた。組換えヒトFcγRIIb、組換えヒトFcγRIIa H131及び組換えヒトFcRnの結合データを、定常状態アフィニティーモデルへと当てはめた。全てのデータを当てはめるのに、Biacore T200 Evaluation Software Version 2.0を使用した。
【0576】
結果
抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2は、ヒトIgG1/κアイソタイプFcを含有する。抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2が、FcγRI、FcγIIa、FcγIIb、FcγIIIに結合することが予測されたことは、他の野生型IgG1/κ抗体と符合した。抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2の、FcγRへの結合は、表面プラズモン共鳴、FcγRI競合結合ELISA(結果は示されていない)及びFcγRIII競合結合ELISA(結果は示されていない)により解析し、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2の、補体への結合は、ヒト及びカニクイザル補体の機能的活性化アッセイ(結果は示されていない)により解析した。これらのアッセイは、市販のヒト抗体及び社内において作出したヒト抗体をベンチマークとした。トラスツズマブの素材である、臨床グレードのヒト抗HER2 IgG1/κを、FcγR結合アッセイのための陽性対照として使用した。Fc受容体及び補体は、野生型IgG1抗体に結合することが公知である(Ravetch;Roopenian;Burtonら、Nature.1980年;288:338~344頁;Hughes-Jonesら、Mol Immunol.、1979年;16:697~701頁;及びHezarehら、J Virol.、2001年;75:12161~12168頁)。抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAEについての検討は、それが、FcγRI、FcγIIa H131、FcγRIII及びFcRnに結合するが、陽性対照であるトラスツズマブと比較した場合、FcγRIIIへの結合のわずかな低減(SPRによる)が観察されることを明らかにした。抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2の、FcγRIIbへの結合は、Biacore計器の検出下限である、1.0×10のKDを下回ったため、微弱過ぎて、決定できなかった(表10A及び10Bを参照されたい)。
【0577】
【表17】
【0578】
【表18】
【0579】
補体依存性細胞傷害作用(CDC)は、CDCについてのELISAにより、iC3b(ヒト)又はC3(カニクイザル)を捕捉することを介して、活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体が、ヒト及びカニクイザルの血清補体を活性化させる能力について評価することにより査定した。
【0580】
図12の例示的な結果に示されている通り、表示の濃度における、表示の被験物質の、iC3bへの結合を、ヒト補体の活性化についてのアッセイとして示す。抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2は、ヒト血清中及びカニクイザル血清中両方の補体活性化アッセイにおいてiC3bに結合したが、CDCアッセイにおいて使用した陽性対照である、7C6抗体より、低度においてであった。表示の突然変異を伴う7C6.7抗体を、陰性対照として使用した。抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2の、iC3bへの結合もまた、その非コンジュゲート活性化可能抗体対応物(抗CD71-TF02.13-2011)より低度であった。
【0581】
実施例18 ヒトPBMCにおけるサイトカインの放出
本実施例は、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2は、ヒト又はカニクイザルの末梢血単核細胞(PBMC)に結合しないが、IgG1抗体は、末梢血リンパ球上のFcγ受容体を架橋し、これにより、サイトカインの誘導を含む、様々な機能を媒介することが可能であることを示した。
【0582】
抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2又は抗CD71-TF02.13-2011が、インビトロにおいて、ヒトPBMC内のサイトカイン放出を誘導する能力を、以下のサイトカイン:インターロイキン(IL)-1β、IL6、IL2、インターフェロン(IFN)γ及び腫瘍壊死因子アルファ(TNFα)について、可溶性フォーマット又は固相(プレート結合型)フォーマットにおいて査定した。固相実験のために、8例の健常ヒトドナーに由来するPBMCを、0.96μgの被験物質により、あらかじめコーティングされたポリプロピレン製プレートへと添加し、1.5時間後に洗浄した。解析のために、48時間後に、上清を回収した。トラスツズマブ及び非結合性アイソタイプ対照ADCであるAB095-vcMMAE E2を、陰性対照として使用した。T細胞刺激抗体である、TGN1412又はビジリズマブ並びにB細胞及び骨髄細胞を刺激するリポ多糖(LPS)という、3つの陽性対照を使用した。被験ドナー8例中1例において、測定されたサイトカイン5つ中3つである、IL-1β、IL-6及びdTNFαの実質的な放出が、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2及びAB095-vcMMAE-E2の両方に応答して観察された。さらなるドナー8例中2例において、IL-6及びTNFαの放出が、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2及びAB095-vcMMAE E2の両方に応答して観察された。3例のドナーを、24時間にわたる、高細胞密度提示アッセイである、可溶性提示アッセイにおいて調べた。
【0583】
この研究において、ヒトドナーPBMCからのサイトカイン放出は、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2及び抗CD71-TF02.13-2011(IgG1κ)による、ウェル1つ当たり0.96μgのプレコートによる刺激の後において測定した。トラスツズマブを、陰性対照である、IgG1κ抗体として使用した。AB095-vcMMAE-E2及びAB095(IgG1κ)を、アイソタイプ対照抗体として使用した。TGN1412、ビジリズマブ及びリポ多糖(LPS)を、サイトカイン放出についての陽性対照として追加した。太字の値及び枠囲いされた値は、トラスツズマブによる放出の>2倍のサイトカイン放出を誘発した被験物質を強調している。
【0584】
表11の例示的な結果に示されている通り、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2は、陰性対照であるトラスツズマブにより誘導されたレベルを上回るサイトカイン放出を誘発しなかった。サイトカイン放出についてはまた、3例のカニクイザルドナーにおいても、以下のサイトカイン:IL-1β、IL-6、IL-2、IFNγ、IL-8及びIL10について、固相フォーマットにおいて評価した。抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2は、被験ドナー3例中1例において、トラスツズマブにより規定されたバックグラウンドレベルをわずかに上回る、IL-8の産生を誘発した。抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2についての、カニクイザル非GLP/GLP毒性研究において、サイトカイン放出を表す急性臨床症状は、いかなる投与レベルにおいても観察されなかった。
【0585】
【表19】
【0586】
実施例19 SW-48異種移植片マウスモデルにおける、抗CD71 AADCの抗腫瘍有効性
本実施例は、SW-48細胞(ヒト結腸直腸がん)を使用する、マウス腫瘍異種移植片モデルにおける、本開示の活性化抗CD71コンジュゲート抗体の有効性を示す。
【0587】
この例示的な研究において、表示の投与量における、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(AADC)の、単回の腹腔内注射を、マウス8匹の群へと投与し、平均腫瘍体積を、時間経過にわたり観察した。図13及び表12に示されている通り、23日目における、全増殖阻害(TGI)の、媒体対照と比較した範囲を、全ての投与量において観察したところ、6及び12mg/kgの投与量において、完全な腫瘍退縮が観察された。
【0588】
【表20】
【0589】
実施例20 DLBCL PDXマウスモデルにおける、抗CD71 AADCの抗腫瘍有効性
本実施例は、雌SCIDマウス又は雌NOGマウスにおける、HuPrime患者由来びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を使用する、5匹のマウスによる、患者由来異種移植片(PDX)腫瘍モデルにおける、本開示の活性化抗CD71コンジュゲート抗体の有効性を示す。
【0590】
この例示的な研究において、マウス3匹の群を、皮下腫瘍(100~200mm)により確立し、0及び7日目において、6mg/kgの抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(AADC)又は媒体対照を投与した。図14の例示的な結果に示されている通り、AADCの被験物質は、媒体対照群と比較して、5つのモデル中4つにおいて、>100%のTGIを達成し、1つのモデルにおいて、72%のTFIを達成した。LY2345について、マウス3匹中2匹、モデルLY6933について、マウス3匹中3匹、モデルLY6934について、マウス3匹中2匹及びモデルLY2318について、マウス2又は3匹において、AADCを投与されたモデルにおける完全奏効(すなわち、研究終了における、測定可能な腫瘍の非存在)が観察された。モデルLY3604について、完全奏効は観察されなかった。これらの例示的な結果が示すところによれば、本開示のAADCが、一部のモデルにおいて、最良の場合に完全奏効である、有効性を示した。
【0591】
実施例21 腫瘍移植片PDXマウスモデルにおける、抗CD71 AADCの抗腫瘍有効性
本実施例は、ヌードマウスにおいて、患者由来ヒト乳がん(CTG-0437、CTG-0869、CTG-1059)、非小細胞肺がん(NSCLC)(CTG-1082、CTG-0860、CTG-0160、CTG-1012)及び頭頸部小細胞癌(HNSCC)(CTG-1140、CTG-1082)の腫瘍移植片を使用する、9匹のマウスによる、患者由来異種移植片(PDX)腫瘍モデルにおける、本開示の活性化抗CD71コンジュゲート抗体の有効性を示す。
【0592】
この例示的な研究において、各PDXモデルにつき、マウス3匹ずつの群を、皮下腫瘍(150~300mm)により確立し、0日目及び7日目において、6mg/kgの抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(AADC)又は媒体対照を投与した。図15A、15B及び15Cの例示的な結果に示されている通り、AADCの被験物質は、9つのモデル中6つにおいて、3つのがん適応にわたり、>100%の腫瘍増殖阻害(TGI)を達成した。>100%のTGIが観察された、これら6つのモデルにおいて、AADCを施されるマウス18匹中6匹が、完全奏効(すなわち、研究終了における、測定可能な腫瘍の非存在)を達成した。2つのさらなるモデルにおいて、HNSCC及びNSCLCのそれぞれについて、92%及び78%のTGIが観察された。1つのNSCLCモデルは、AADCに応答しなかった。これらの例示的な結果において示されている通り、本開示のAADCは、様々なヒトがん型に由来するPDXモデルにより、場合によって、完全奏効も含む有効性を裏付けた。
【0593】
実施例22 HuPrime膵臓PDXマウスモデルにおける、抗CD71 AADCの抗腫瘍有効性
本実施例は、SCIDマウスにおいて、HuPrime患者由来ヒト膵臓がん(PA6237)を使用する、患者由来異種移植片(PDX)マウスモデルにおける、本開示の活性化抗CD71コンジュゲート抗体の有効性を示す。
【0594】
この例示的な研究において、マウス3匹ずつの群を、皮下腫瘍(100~200mm)により確立し、0日目及び7日目において、3mg/kg又は6mg/kgの抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(AADC)又は媒体対照を投与した。図16の例示的な結果に示されている通り、AADCの被験物質は、3mg/kg及び6mg/kgにおいて、>100%の腫瘍増殖阻害(TGI)を達成した。これらの6mg/kg群において、3例中3例の完全奏効が、59日目まで観察される一方、3mg/kg群は、31日目まで完全奏効を維持した後、腫瘍を再増殖させた。
【0595】
実施例23 活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体についての、非GLPパイロット毒性研究
本実施例は、3週間ごと(Q3W)又は2週間ごと(Q2W)のIVボーラス注射の後の、カニクイザル(群1つ当たり性別当たりのサル1~2匹)における、6~18mg/kgの範囲の投与レベルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)である、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2の、0.6~6mg/kgの範囲の投与レベルにおける、抗CD71コンジュゲート抗体(ADC)である、Ab21.12-vcMMAE E2に対する相対毒性を示す。終了時における剖検は、29日目に(最終回投与の7日後に)、被験動物に対して実施した。研究時の評価は、臨床徴候、体重、飼料摂取、臨床病理学、解剖病理学、TK及び免疫原性を含んだ。パイロット毒性研究の概要を、表13に示す。
【0596】
【表21】
【0597】
重度の毒性は、高用量のCD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(18mg/kg)、6mg/kg及び2mg/kgにおける、CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2(1日目及び15日目における投与)又は非マスキング親抗CD71抗体薬物コンジュゲート(ADC)(Ab21.12-vcMMAE E2)の、高頻度の投与を施された群における、猫背の姿勢、活動の減少及び体温上昇により顕示されるものとして観察した。死因を確立し得る場合、それは、薬物関連免疫抑制感染に続発すると決定された。
【0598】
被験物質関連所見は、CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2及びAb21.12-vcMMAE E2について同様であり、主に、血液毒性からなった。鍵となる所見は、(1)1日目及び15日目、CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2の、18mg/kgにおける単回投与、CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2の、8mg/kgにおける単回投与又は≧2mg/kgにおける、ADC(Ab21.12-vcMMAE E2)の単回投与を施された群において、二次感染に帰せられる死亡を観察したこと、(2)投与の2週間後における、体重の減少、≧12mg/kgにおける、CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2の投与の3週間後までの回復、(3)投与の3週間後に、部分的~完全な回復が観察された、赤血球量及び全ての白血球集団の、用量依存性の減少、(4)投与の2週間後における、血小板レベルの、一過性の上昇、(5)軽度~中等度の、フィブリノーゲンの増大、アルブミンの減少及びグロブリンの増大、(6)対応する、胸腺及び脾臓の重量の低減を伴う、軽度~中等度の、骨髄、脾臓及び胸腺の細胞充実度の減少を含んだ。細胞充実度の減少はまた、いくつかのリンパ系組織においても観察された。
【0599】
この例示的な研究において、これらの研究における、CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2及びAb21.12-vcMMAE E2(対応するADC)の最大耐量は、それぞれ、3週間ごと、2回の投与にわたり投与された、12mg/kg及び0.6mg/kgであった。
【0600】
実施例24 活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体についての、GLP毒性研究
本実施例は、IVボーラス注射を介する、1日目及び22日目の、0、2、6又は12mg/kgの投与レベルにおける、本開示の活性化可能抗CD71コンジュゲート抗体(AADC)である、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2についての、カニクイザルにおける、GLP反復投与毒性研究を示す。投与群を、表14に示している。
【0601】
【表22】
【0602】
この例示的な研究において、雄ザル6匹及び雌ザル6匹ずつの各群に、表14に示された通り、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2又は媒体(1日目及び22日目における、表示の投与量のIVボーラス)を投与した。終了時における剖検は、29日目に実施し、回復動物の剖検は、64日目に実施した。毒性評価は、死亡率、臨床徴候、体重の変化、飼料摂取、臨床病理学、解剖病理学、眼科検診並びに心血管系、呼吸器系及び中枢神経系の機能についての評価を含んだ。研究は、TK解析及びADA形成についての評価を含んだ。以下の、例示的な観察を行った。非マスキング抗CD71抗体薬物コンジュゲート(ADC)である、Ab21.12-vcMMAE E2(DARを約2とする)についての、対応する非GLP研究と比較した、これもまたDARを約2とする、抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2についてのGLP毒性研究から選択した結果の概要を、表15にまとめている。
【0603】
【表23】
【0604】
体重、飼料摂取、呼吸数、心電図、凝固及び尿検査パラメータに対するAADC関連作用は見られず、神経学的作用も、眼作用も、肉眼病理学所見もみられなかった。
【0605】
12mg/kgの用量において、AADC関連の死亡を観察したが、1匹の雌は、10日目に死亡しているのが見つかり、2匹の雌は、臨床状態が悪化する11日目に、安楽死させた。これらの動物における、AADC関連臨床病理学及び顕微鏡所見は、AADC関連免疫抑制の帰結であると考えられた、細菌感染についての顕微鏡的証拠を例外として、スケジュールされた剖検(29日目)まで生存した動物において存在するものと同等であった。
【0606】
表15に示されている通り、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2は、Ab21.12-vcMMAE E2と比べて、優れた忍容性を示し、検出可能な体重の減少を伴わなかった。示されている通り、Ab21.12-vcMMAE E2が、2mg/kgにおける単回投与から8日間以内に、忍容性を欠いたのに対し、抗CD71-TF02.13-2011-vcMMAE E2は、非マスキングAb21.12-vcMMAE E2に対する、≧10倍の保護をもたらした。
【0607】
12mg/kgを投与された動物であって、スケジュールされた剖検まで生存した動物におけるAADC関連臨床徴候は、白血球集団の減少及び急性期応答の徴候(アルブミン及びコレステロールの減少並びにグロブリン、総ビリルビン及びトリグリセリドの増大)と相関する感染症と符合する、皮膚病変/創傷であった。
【0608】
≧6mg/kgの、初回投与後における、血液学パラメータの変化は、血小板の増大と共に、赤血球量、網状赤血球及び全ての白血球サブセットの減少からなった。2mg/kgにおける血液学的変化は、1回目及び2回目の投与後における、血小板のわずかな増大に限定された。
【0609】
初回投与後における、臨床化学パラメータのAADC関連変化は、12mg/kgにおいて、最も顕著であり、急性期応答(アルブミン及びコレステロールの減少並びにグロブリン、トリグリセリド[雌だけ]、総ビリルビンの増大)並びに尿素窒素(個体だけ)及びクレアチニンの増大並びにリンの減少からなった。6mg/kgにおける臨床化学変化は、初回投与後だけにおいてみられ、個々の雌における、ビリルビンの最小限の増大及びグロブリンの増大に限定された。
【0610】
AADC関連血液学所見及び臨床化学所見は、回復期の終わりまでに回復した。
【0611】
終末の安楽死時におけるAADC関連顕微鏡所見は、投与1回当たり≧6mg/kgの、胸腺、副腎及び骨髄において存在した。注射部位における所見は、全ての群において観察され、投与手順と関連するものであり、AADCに特異的ではないと解釈された。胸腺重量は、12mg/kgを投与された雄ザル及び6mg/kgを投与された雌ザルにおいて減少したが、これは、組織学的に、特に、胸腺皮質の、細胞充実度の減少と相関している。副腎重量は、12mg/kgを投与された雄ザル及び6mg/kgを投与された雌ザルにおいて増大し、組織学的相関物は、副腎皮質の肥大であった。細胞充実度の減少は、とりわけ、≧6mg/kgを投与された雄ザルの大腿骨における骨髄において存在した。6週間の無投与間隔の後、胸腺の細胞充実度の減少及び副腎皮質の肥大は存在せず、これらの変化の完全な回復と符合した。骨髄の細胞充実度の増大は、遷延したが、重症度は減少し、部分的回復と符合した。
【0612】
実施例25 MMAEの、活性化可能CD71抗体へのコンジュゲーション及び結果として得られる活性化可能CD71コンジュゲート抗体のDARを、約3のDARへと低下させる方法
本実施例は、DARを、約3へと強化するのに使用される方法に加えて、vc-MMAEを、活性化可能抗CD71抗体である、抗CD71 TF02.13-2011へとコンジュゲートさせて、各抗CD71 TF02.13-2011分子につき、2つずつのMMAE分子による薬物ロードを含有する、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAEを創出するのに使用される方法について概括する。
【0613】
コンジュゲーション法
E2強化型抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE:抗CD71 TF02.13-2011の溶液(13.95mg/mL)、39gの溶液、544mg、3.5ナノモル)に、0.5MのEDTA(0.39mL)及びTCEP(0.77mL、WFI中に10mM、7.7ナノモル、2.2当量)を、2~8℃において、一晩にわたり添加した。次いで、還元された抗体を、DMSO(2.29mL)により希釈し、DMSO(17.9ナノモルのDMSO中に、9.49mMのvcMMAEが1.89mL、5.1当量)中のvcMMAEにより、室温において、1時間にわたり処理した。コンジュゲート抗体を、N-アセチルシステイン(29ナノモルのWFI中に、100mMが0.29mL、8.2当量)により処理して、過剰なvcMMAEをクエンチングした。クエンチングした溶液を、HIC(疎水性相互作用クロマトグラフィー)により、>E4のDAR分子種(高DAR分子種、上記の調製物中に20.9%)について解析した。
【0614】
DARを低下させるための強化法
コンジュゲーション反応物を、東ソー株式会社から市販されているHIC樹脂(例としては、Toyopearlアルキル)などのHIC樹脂の一部と共に、室温において、2時間にわたり懸濁させ、高DAR分子種を、標的レベル(一般に<2%)へと低減した。処理された溶液を濾過し、樹脂を、PBSE(125mMのリン酸カリウム、150mMのNaCl、6.3mMのEDTA、pH7.2、22g)に続いて、PBS(5mMのリン酸カリウム、200mMのNaCl、pH7、35g)により、逐次的に洗浄した。濾液とすすぎ液との組合せを濃縮し、分子量カットオフを30kDとする遠心分離機フィルターを使用して、緩衝液交換し、次いで、保管のための製剤成分により希釈した。
【0615】
結果として得られる産物は、228mg(A280:6.5mg/mL)を含有し、市販のHICカラムにより測定したところ、DARを約2.9とし、以下の特徴及びDAR分子種を構成することが示された:SEC:98.7%の単量体、0.2%の高分子量物、1.1%の低分子量物、内毒素<0.06EU/mg、E4より大きいDAR分子種は、2面積%未満であり、DAR E0は、約6.2面積%であり、DAR E2は、約40.7面積%であり、DAR E4は、約46.8面積%であった。
【0616】
本明細書において記載されている例において、この強化型DAR生成物を、「抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE(平均DARを約3とする)」と称する。
【0617】
実施例26 MMAEの、活性化可能CD71抗体へのコンジュゲーション及び結果として得られる活性化可能CD71コンジュゲート抗体のDARを、約2のDAR(「E2」)へと強化する方法
本実施例は、DARを約2へと強化するのに使用される方法に加えて、vc-MMAEを、活性化可能抗CD71抗体である、抗CD71 TF02.13-2011へとコンジュゲートさせて、各抗CD71 TF02.13-2011分子につき、2つずつのMMAE分子による薬物ロードを含有する、抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAEを創出するのに使用される方法について概括する。
【0618】
コンジュゲーション法
抗CD71 TF02.13-2011-vc-MMAE E2:抗CD71 TF02.13-2011(20.3mg/mL)の溶液を、1457gのPBSE(125mMのリン酸カリウム、150mMのNaCl、6.3mMのEDTA、pH7.7)により希釈し、4℃へと冷却した。冷却された溶液に、TCEP(WFI中に10mM、30.2mL、0.30ミリモル、1.5当量)を添加し、4℃において、15時間にわたり維持した。還元された抗体に、vc-MMAE(1.056g、0.80ミリモル、4当量)の、DMSO(300g)中溶液を、冷却しながら添加した後、DMSOすすぎ液(65g)を添加し、この後、溶液を、室温へと暖めた。3.5時間後、N-アセチルシステイン(0.262g、1.60ミリモル、8当量)を添加して、過剰なvc-MMAEをクエンチングし、反応混合物を、精製まで、2~8℃において保管した。
【0619】
DARを低下させるための強化法
生成物の一部は、UVによる、280nmにおけるモニタリングを伴う、pH7.1の硫酸アンモニウム/リン酸緩衝液による勾配を使用する、GE Life Sciences(アルキルSepharose)から市販されているHIC精製カラムなど、市販のHIC精製カラム上において精製した。Pellicon3 Ultracel 30kD膜を使用して、回収されたDAR2生成物プール(約9.5g、30%の収率)を、pH6.0において、TFFにより、緩衝液と緩衝液交換し、次いで、保管のための製剤成分により希釈した。
【0620】
結果として得られる産物(A280:6.4mg/mL)は、市販のHICカラムにより測定したところ、DARを約2とし、以下の特徴及びDAR分子種を構成することが示された:SEC:99.6%の単量体、0.2%のHMW物、0.2%のLMW物、内毒素<0.06EU/mg、DAR E2は、約99.0面積%であり、試行間のばらつきは、94~99%のDAR E2であった。
【0621】
本明細書において記載されている例において、この強化型(Enriched)DAR2(「E2」)産物を、「抗CD71 TF02.13-2011-vcMMAE E2」と称する。
【0622】
実施例27 前臨床マウスモデルにおける、高DAR分子種と対比した、E2分子種の、生物物理的特徴についての評価
本明細書において概括された、標準的な緩衝液及び手順を使用して、HICにより精製されていない、実施例25に記載された方法から得られたコンジュゲート生成物を、HICカラムにかけた。図18Aに示されている通り、薬物ロードを0~8とする、多数の分子種を同定した。
【0623】
精製された、実施例26から得られたE2生成物を、同じHICクロマトグラフィーにかけた。図18Bに示されている通り、2の薬物ロードを含有する、単一の分子種だけが観察された。
【0624】
非精製のE2生成物を、放射性標識し、マウスへと注射して、各生成物の全クリアランス及び毒性について評価した。図18Cに示されている通り、精製E2生成物は、非精製の高薬物ロード生成物と比べて、クリアランスが顕著に低度であることが示された。
【0625】
他の実施形態
本発明について、その詳細な記載と共に記載してきたが、前出の記載は、付属の特許請求の範囲により規定される、本発明の範囲を例示することを意図するものであり、これを限定することを意図するものではない。他の態様、利点及び改変は、以下の範囲内にある。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18A
図18B
図18C
【配列表】
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