(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】インポートシーケンシング弁、及び、液圧クランプシステム
(51)【国際特許分類】
F16K 17/06 20060101AFI20231030BHJP
B23Q 3/06 20060101ALI20231030BHJP
B25B 5/06 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F16K17/06 A
B23Q3/06 301B
B25B5/06
(21)【出願番号】P 2020540308
(86)(22)【出願日】2019-01-22
(86)【国際出願番号】 US2019014558
(87)【国際公開番号】W WO2019144123
(87)【国際公開日】2019-07-25
【審査請求日】2022-01-18
(32)【優先日】2018-01-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-01-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505211156
【氏名又は名称】べクテック リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】リューティ, アーロン ヴァーノン
(72)【発明者】
【氏名】ハフマン, クロード アシュリー
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0059047(US,A1)
【文献】特開昭51-33375(JP,A)
【文献】特開昭54-10430(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0160335(US,A1)
【文献】特開2017-44327(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/00-17/168
B23Q 3/00- 3/154
B23Q 3/16- 3/18
B25B 1/00-11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入口通路および出口通路を有するポートを介して、液圧装置への作動液の通過を制御するためのインポートシーケンシング弁であって、
前方部分と、前記前方部分に対向する後方部分とを有するハウジングであって、内室と、前記入口通路と流体的に位置合わせされるように構成された入口チャネルと、前記出口通路と流体的に位置合わせされるように構成された出口チャネルとを少なくとも部分的に取り囲むハウジングと、
選択された弁作動設定に設定されるように構成されたプリロードアジャスターと、
前記プリロードアジャスターの先端によって圧縮され、前記内室内
のみに配置される弁ばねであって、前記プリロードアジャスターが前記選択された弁作動設定に相当する量だけ前記弁ばねを圧縮するように、前記プリロードアジャスターと強制的に連係している弁ばねと、
前記内室内に配置された弁ピストンであって、かつ前記弁ばねが、ばね圧縮量に相当する閾値ばね力を前記弁ピストンに及ぼすように、前記弁ばねと強制的に連係して
いる弁ピストンであって、前記入口チャネル内の作動液の圧力から生じる力が、前記閾値ばね力に打ち勝つ時、作動液が前記入口チャネルから前記出口チャネルまで通過できない閉位置から、作動液が前記入口チャネルから前記出口チャネルまで通過できる開位置へシフトされるように構成された弁ピストンとを有するインポートシーケンシング弁。
【請求項2】
前記出口チャネルおよび前記弁ピストンは、前記弁ピストンが前記閉位置にある場合に、作動液が前記出口チャネルに流入するのを防止するための相補的シール形状を含む、請求項1に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項3】
更に、ボールと、前記ボールと強制的に連係している逆止弁ばねとを含む逆止弁を有し、前記ボールは、前記ボールに作用する圧力差が前記逆止弁ばねのバイアス力に打ち勝つ時、閉位置から、作動液が前記出口チャネルから前記入口チャネルまで通過できる開位置に移動するように構成されている、請求項1、又は2に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項4】
前記弁ばねは、互いに軸方向に位置合わせされた複数のディスクを含む皿ばねである、請求項1~3のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項5】
前記ポートは、側壁および後壁を有し、前記インポートシーケンシング弁は、先端部を有し、前記ハウジングは、更に、前記先端部付近で底部ポートシール保持形状を有し、前記インポートシーケンシング弁は、更に、底部ポートシールと、前記底部ポートシール保持形状付近でスペーサとを有し、前記底部ポートシールは、前記スペーサが前記ポートの前記後壁に押し付けられると、半径方向に拡張して前記ポートの前記側壁とシール係合するように構成され、前記底部ポートシール保持形状は、前記スペーサを前記ハウジングの前記前方部分上に保持するように構成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項6】
前記弁ピストンは、前記弁ピストンが弁ピストン変調を受けるように構成されるように、先細りまたは狭小形状を有する、請求項1~5のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項7】
更に、前記弁ばねと前記弁ピストンとの間において強制的に連係しているばねプランジャを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項8】
更に、前記内室内に配置され、前記開位置の方向における前記弁ピストンの移動を制限するように構成されたストローク止めワッシャを有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項9】
前記入口チャネルは、前記ハウジングを通じて半径方向に延び、前記出口チャネルは、前記弁ピストンと軸方向に位置合わせされる、請求項1~8のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項10】
更に、前記プリロードアジャスターを前記選択されたバネ圧縮設定で保持するように構成されたプリロードアジャスターロックを有する、請求項1~9のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項11】
入口通路および出口通路を有するポートを介して、液圧装置への作動液の通過を制御するためのインポートシーケンシング弁であって、
前方部分と、前方部分に対向する後方部分とを有するハウジングであって、
前記後方部分内にあるばね室と、
前記前方部分内にあり、前記ばね室まで延びる弁ピストン室と、
前記入口通路と流体的に位置合わせされるように構成された入口チャネルと、
前記出口通路と流体的に位置合わせされるように構成された出口チャネルと、
を形成するハウジングと、
選択されたばね圧縮設定に設定されるように構成されたプリロードアジャスターと、
前記ばね室内に配置され、かつ前記プリロードアジャスターと強制的に連係しているディスク弁ばねであって、少なくとも
6,895kPaのシーケンス圧力に相当する所望の閾値ばね力を及ぼすように、前記選択されたばね圧縮設定に相当する量だけ軸方向に圧縮されるように構成されたディスク弁ばねと、
前記ばね室内
に配置され、前記ディスク弁ばねと強制的に連係しており、かつ同心であるばねプランジャと、
前記弁ピストン室内
に配置され、前記ばねプランジャと強制的に連係している弁ピストンであって、前記入口チャネル内の作動液の圧力から生じる力が、前記閾値ばね力に打ち勝つ時、作動液が前記入口チャネルから前記出口チャネルまで通過できない閉位置から、作動液が前記入口チャネルから前記出口チャネルまで通過できる開位置へシフトされるように構成された弁ピストンとを有するインポートシーケンシング弁。
【請求項12】
前記ハウジングの前記出口チャネルおよび前記弁ピストンは、前記弁ピストンが前記閉位置にある場合に、作動液が前記出口チャネルに流入するのを防止するための相補的シール形状を含む、請求項11に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項13】
更に、ボールと、前記ボールと強制的に連係している逆止弁ばねとを含む逆止弁を有し、前記ボールは、前記ボールに作用する圧力差から生じる力が前記逆止弁ばねのバイアス力に打ち勝つ時、閉位置から、作動液が前記出口チャネルから前記入口チャネルまで通過できる開位置に移動するように構成されている、請求項11、又は12に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項14】
前記ディスク弁ばねは、互いに軸方向に位置合わせされた複数のディスクを含むディスク弁ばねである、請求項11~13のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項15】
前記ポートは、側壁および後壁を有し、前記インポートシーケンシング弁は、先端部を有し、前記ハウジングは、更に、前記先端部付近で底部ポートシール保持形状を有し、前記インポートシーケンシング弁は、更に、底部ポートシールと、前記底部ポートシール保持形状付近でスペーサとを有し、前記底部ポートシールは、前記スペーサが前記ポートの前記後壁に押し付けられると、半径方向に拡張して前記ポートの前記側壁とシール係合するように構成され、前記底部ポートシール保持形状は、前記スペーサを前記ハウジングの前記前方部分上に保持するように構成されている、請求項11~14のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項16】
前記弁ピストンは、前記弁ピストンが弁ピストン変調を受けるように構成されるように、先細りまたは狭小形状を有する、請求項11~15のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項17】
更に、前記ばね室内に調整保持リングを有し、前記調整保持リングは、前記プリロードアジャスター、前記ディスク弁ばね、および前記ばねプランジャを前記ばね室内に保持するように構成されている、請求項11~16のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項18】
更に、前記内室内に配置され、前記開位置の方向における前記弁ピストンの移動を制限するように構成されたストローク止めワッシャを有する、請求項11~17のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項19】
前記入口チャネルは、前記ハウジングを通じて半径方向に延び、前記出口チャネルは、前記弁ピストンと軸方向に位置合わせされる、請求項11~18のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項20】
更に、前記プリロードアジャスターを前記選択されたバネ圧縮設定で保持するように構成されたばね調整ロックを有する、請求項11~19のいずれか1項に記載のインポートシーケンシング弁。
【請求項21】
液圧ポンプを介して工作物をクランプするための液圧クランプシステムであって、
複数の液圧クランプ装置と、
インポートシーケンシング弁と、を有し、
前記液圧クランプ装置は、それぞれ、
液圧ポンプに流体接続されるように構成された入口通路と、
前記入口通路と流体連通し、かつ開放端を含むクランプポートと、
前記クランプポートと流体連通する出口通路と、
前記出口通路と流体連通するクランプピストン室と、
を含む本体と、
前記クランプピストン室内に少なくとも部分的に摺動可能に配置され、前記クランプピストン室内においてクランプストローク領域およびアンクランプストローク領域を規定するクランプピストンであって、前記出口通路がクランプストローク領域と流体連通しているクランプピストンと、
前記クランプピストンに接続された係合部材であって、前記クランプピストンがクランプ位置にある場合に、前記工作物と係合するように構成される係合部材とを有し、
前記インポートシーケンシング弁は、
前記クランプポートを介して前記液圧クランプ装置のうちの1つとドッキングされるように構成され、
前方部分と、前記前方部分に対向する後方部分とを有するハウジングであって、内室と、前記入口通路と流体的に位置合わせされるように構成された入口チャネルと、前記出口通路と流体的に位置合わせされるように構成された出口チャネルとを少なくとも部分的に取り囲むハウジングと、
選択された弁作動設定に設定されるように構成されたプリロードアジャスターと、
前記プリロードアジャスターの先端によって圧縮され、前記内室内
のみに配置される弁ばねであって、前記プリロードアジャスターが前記選択された弁作動設定に相当する量だけ前記弁ばねを圧縮するように、前記プリロードアジャスターと強制的に連係している弁ばねと、
前記内室内
に配置され
た弁ピストンであって、
かつ前記弁ばねがばね圧縮量に相当する閾値ばね力を前記弁ピストンに及ぼすように、前記弁ばねと強制的に連係している弁ピストンであって、前記係合部材が前記工作物に係合するように前記クランプピストンを前記クランプ位置に付勢するように、前記入口チャネル内の作動液の圧力が、前記閾値ばね力に打ち勝つ時、作動液が前記入口チャネルから前記出口チャネルまで通過できない閉位置から、作動液が前記入口チャネルから前記出口チャネルまで、ひいては前記クランプピストン室の前記クランプストローク領域まで通過できる開位置へシフトされるように構成された弁ピストンとを有し、
前記液圧クランプ装置は、前記インポートシーケンシング弁の前記ドッキング位置および前記選択された弁作動設定のうちの少なくとも1つに従って、選択された順序で前記工作物をクランプするように構成されている、液圧クランプシステム。
【請求項22】
更に、前記液圧クランプ装置のうちの別の1つとドッキングされるように構成された別のインポートシーケンシング弁を有し、前記液圧クランプ装置は、前記インポートシーケンシング弁の前記ドッキング位置および前記選択された弁作動設定に従って、選択された順序で前記工作物をクランプするように構成されている、請求項21に記載の液圧クランプシステム。
【請求項23】
液圧クランプ装置は、スイングクランプおよびリンククランプを含む、請求項21、又は22に記載の液圧クランプシステム。
【請求項24】
更に、複数の治具データムを有し、前記液圧クランプ装置のいくつかは、前記治具データムに対向して前記工作物と係合するように構成されている、請求項21~23のいずれか1項に記載の液圧クランプシステム。
【請求項25】
前記液圧クランプ装置は、それぞれ、前記インポートシーケンシング弁が前記液圧クランプ装置とドッキングされていない場合に、直接ポンプ圧力で作動するように構成されている、請求項21~24のいずれか1項に記載の液圧クランプシステム。
【請求項26】
前記液圧クランプ装置のうちの1つは、更に、前記クランプピストン室の前記アンクランプストローク領域と流体連通しているアンクランプポートを有し、前記液圧クランプシステムは、追加のインポートシーケンシング弁のドッキング位置および選択された弁作動設定のうちの少なくとも1つに従って、選択された順序で前記工作物をアンクランプするために、前記アンクランプポート内にドッキングされるように構成された追加のインポートシーケンシング弁を更に有する、請求項21~25のいずれか1項に記載の液圧クランプシステム。
【請求項27】
更に、作動液が前記クランプピストン室の前記クランプストローク領域に直接流れることを可能にするために、前記クランプポートのうちの1つにドッキングされるように構成されたポートプラグを有する、請求項21~26のいずれか1項に記載の液圧クランプシステム。
【請求項28】
前記インポートシーケンシング弁は、少なくとも
2,068.5kPa~27,580kPaに亘る圧力に設定されるように構成されている、請求項21~27のいずれか1項に記載の液圧クランプシステム。
【請求項29】
更に、前記クランプ装置の少なくともいくつかは、クランプマニホルド取付ポートをそれぞれ規定するライザーベースを有し、前記入口通路は、前記クランプマニホルド取付ポートを介して液圧ポンプに流体接続されるように構成されている、請求項21~28のいずれか1項に記載の液圧クランプシステム。
【請求項30】
前記ライザーベースは、前記クランプ装置の少なくともいくつかを少なくとも部分的に支持する、請求項29に記載の液圧クランプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この非仮特許出願は、2018年1月19日に出願された「インポートシーケンス弁」という名称の先に出願された米国仮特許出願第62/619,453号の全ての共通する主題に関して優先権を主張するものである。この特定され、先に出願された仮特許出願は、その全体を参照して本願に援用する。
【背景技術】
【0002】
背景
クランプ装置は、コンピュータ数値制御(CNC)工作機械等によって工作物が機械加工される間、工作物を固定具上に保持するために、種々の製造工程で使用される。クランプ装置は、多くのシステムレベルシーケンス弁を介して特定のシーケンスで液圧を用いて作動させられ、段階的に増大するおよび/または順序付けられたクランプまたは安定化力を工作物に与えることができる。これには、相当な計画および回路設計が必要である。
【0003】
液圧シーケンス回路は、また、相当な配管を必要とする。例えば、他の機構の周りを曲がることができないいくつかの直線的な内部通路は、治具板および他の支持構造体内にドリル加工されなければならない。そのような内部通路を通すことは、いくつかの装置または窓機構を有する治具にとって困難である。更に、「ドリルウォーク」は、2つの通路が誤って互いに交差する原因となることがあり、これは修理不能であり、治具板全体を使用不能にすることがある。内部通路を通す際のこの困難性は、クランプ装置シーケンシングに対する設計上の制約および制限を引き起こす。
【0004】
シーケンス回路が一旦製造されると、いかなる設計変更および修正も、実現することが困難でありかつコストが高くなる場合がある。機械加工された治具板を、廃棄および交換する必要さえある場合がある。コストが高く時間のかかる修正または交換は、しばしば、不正確なあるいは非効率的なクランプシステムをもたらし、その結果、工作物の位置的再現性が悪くなり、ひいては工作物の品質が悪くなる。更に、隣接する内部通路は、高い液圧により、経時的に故障することがある。
【発明の概要】
【0005】
本発明の実施形態は、上述の問題および他の関連する問題を解決し、クランプシーケンシングの技術において明確な進歩を提供する。
【0006】
本発明の1つの実施形態は、スイングクランプまたは他の液圧装置と連結され得るインポートシーケンシング弁である。インポートシーケンシング弁は、大別して、ハウジングと、プリロードアジャスターと、プリロードアジャスターロックと、弁ばねと、ばねプランジャと、ストローク止めワッシャと、ストローク止め保持リングと、調整保持リングと、弁ピストンと、弁ピストンシールと、弁ピストンシールリングと、逆止弁と、底部ポートシールと、底部ポートシールスペーサと、ポートスポット面シールとを有する。
【0007】
ハウジングは、プリロードアジャスターと、弁ばねと、ばねプランジャと、ストローク止めワッシャと、弁ピストンとを収容し、対向する後方部分および前方部分と、外側クランプポートねじ山と、底部ポートシール形状と、底部ポートシール保持形状と、ポートスポット面シール形状と、ばね室と、調整ねじ山と、弁ピストン室と、入口チャネルと、出口チャネルとを含む。
【0008】
外側クランプポートねじ山は、インポートシーケンシング弁を液圧装置のクランプポート内に固定するために、前方部分付近でハウジングの外側を取り囲んでいる。あるいは、クリップ、ラッチ、溝、スロット、カム等の他の保持機構を使用してもよい。
【0009】
底部ポートシール形状は、底部ポートシールを受け、ハウジングの前方部分の先端部付近での環状溝であってもよい。底部ポートシール保持形状は、底部ポートシールスペーサ、ひいては底部ポートシールをハウジングの前方部分上に保持し、小さなフランジ、リップ、突起、または他の類似の機構であってもよい。
【0010】
ポートスポット面シール形状は、ポートスポット面シールを受け、底部ポートシール形状の後方での環状溝であってもよい。ポートスポット面シール形状は、また、ポートスポット面シールが前方または後方にスライドするのを防止する。
【0011】
ばね室は、後方部分に配置され、弁ピストン室に接続する。ばね室は、その内部に、プリロードアジャスターと、弁ばねと、ばねプランジャと、ストローク止めワッシャと、ストローク止め保持リングと、調整保持リングとを少なくとも部分的に受ける。
【0012】
調整ねじ山は、弁ばねの後方のばね室を取り囲み、プリロードアジャスターの調整ねじ山と係合する。調整ねじ山は、プリロードアジャスターの軸回転を、ハウジングに対するプリロードアジャスターの長手方向の移動に変換する。
【0013】
弁ピストン室は、ハウジングの前方部分内に配置され、ハウジングに接続される。弁ピストン室は、その内部に、弁ピストンを受け、ばね室の直径よりも実質的に小さい直径を有してもよい。
【0014】
入口チャネルは、ハウジングの側部から弁ピストン室内に半径方向内方に延び、クランプポートに流体接続される入口通路と流体的に位置合わせされるように構成されている。いくつかの実施形態では、他のクランプポートとの互換性を保証するために、追加の入口チャネルをハウジングの周囲に間隔をあけて配置してもよい。
【0015】
出口チャネルは、弁ピストン室をクランプポートに流体接続される出口通路に流体接続するために、弁ピストン室の先端部からハウジングの前方部分の先端部を通って長手方向に延びる。出口チャネルは、弁ピストンの相補的形状とシール係合するための相補的シール形状を含んでもよい。
【0016】
プリロードアジャスターは、選択された弁作動設定に相当する量だけ弁ばねを圧縮するために、弁ばねと強制的に連係しており、対向する後端および前端と、調整形状と、調整ねじ山と、ばねプランジャキャビティと、リリーフベントと、保持フランジと、ロックねじ山とを含む。
【0017】
調整形状は、弁作動設定を選択および/または調整するためのレンチまたは同様のツールを受ける。例えば、調整形状は、六角棒スパナを受け入れるための雌六角キャビティであってもよい。調整ねじ山は、プリロードアジャスターの軸回転を、ハウジングに対するプリロードアジャスターの長手方向の移動に変換するために、ハウジングの調整ねじ山と係合する。
【0018】
ばねプランジャキャビティは、プリロードアジャスターの前端まで延び、その内部に、ばねプランジャの後端を受ける。ばねプランジャキャビティはまた、ばねプランジャを弁ピストンおよび弁ばねと軸方向に位置合わせさせたままにしてもよい。
【0019】
リリーフベントは、ばねプランジャキャビティと調整形状との間に延びている。リリーフベントは、ばね室内の構成要素がシフトされるにつれて、ばね室内の圧力を大気圧と等しくする。これは、ヒステリシス(例えば、鈍いまたは存在しない応答)を防止する。
【0020】
保持フランジは、調整保持リングと係合して、プリロードアジャスターをばね室からに取り外すことができないことを保証するように構成されている。そのため、保持フランジは、調整保持リングの有効内径よりも大きい有効外径を有するリップまたは他の環状突起であってもよい。
【0021】
ロックねじ山は、プリロードアジャスターロックのロックねじ山と係合する。ロックねじ山は、標準的な螺旋ねじ山であってもよく、あるいはプリロードアジャスターロックをハウジングに付勢し、それによってプリロードアジャスターをハウジングに対して摩擦係止するための任意の好適な溝、スロット、またはカムであってもよい。
【0022】
プリロードアジャスターロックは、所望の設定でプリロードアジャスターを固定し、ロックねじ山と、ロック六角ナットとを含む。ロックねじ山は、プリロードアジャスターロックをハウジングに締め付けることができるように、プリロードアジャスターのロックねじ山と係合する。ロック六角ナットは、レンチ等を介してプリロードアジャスターロックを締め付けることを可能にする。
【0023】
弁ばねは、ばね室内に配置され、プリロードアジャスターとばねプランジャとの間で強制的に連係している。弁ばねは、コイルばね、ダイばね、皿ばね、波形ばね等であってもよい。弁ばねはまた、並列、直列、または並列と直列との組み合わせで積み重ねられた一連のばね(すなわち、ばねパック)であってもよい。
【0024】
ばねプランジャは、弁ばねと弁ピストンとの間において強制的に連係しており、ばね係合形状と、弁ピストン凹部とを含んでもよい。ばね係合形状は、弁ばねと軸方向に係合する。弁ピストン凹部は、弁ピストンの後端を受ける。
【0025】
ストローク止めワッシャは、弁ピストンの最大後方移動限界を確立する。ストローク止めワッシャは、ストローク止めワッシャと弁ピストンとの同心円的位置合わせを保証するために、厳しい公差嵌め合い(すなわち、位置嵌め合い)を有してもよい。
【0026】
ストローク止め保持リングは、ストローク止めワッシャをばね室の前端付近に保持し、ばね室内の小さな溝に嵌ってもよい。調整保持リングは、プリロードアジャスター、ひいては弁ばねおよびばねプランジャをばね室内に保持する。調整保持リングは、ばね室内の小さな溝に着座してもよい。
【0027】
弁ピストンは、ばねプランジャと強制的に連係して、弁ピストン室内に実質的に配置されており、かつ後方部分と、前方部分と、接続ピンとを含む。弁ピストンは、入口チャネルから出口チャネルへの作動液の通過を制御する。
【0028】
後方部分は、環状ショルダと、シールリング受け形状と、逆止弁ばね凹部とを含んでもよい。後方部分は、ばねプランジャとのボール・ソケット界面を形成するために、その近位端を円弧状にしている。環状ショルダは、ストローク止めワッシャに当接し、弁ピストンの最大後方移動限界を確立する。シールリング受け形状は、その内部に、弁ピストンシールおよび弁ピストンシールリングを保持する。
【0029】
前方部分は、逆止弁出口貫通孔と、逆止弁入口貫通孔と、相補的シール形状とを含む。逆止弁出口貫通孔は、ハウジングの入口チャネルと流体的に位置合わせされる。逆止弁入口貫通孔は、出口チャネルと流体的に位置合わせされる。
【0030】
相補的シール形状は、前方部分の先端部の周りに環状に延び、出口チャネルの相補的シール形状に接触して、その間に液圧シールを形成するように構成されている。
【0031】
接続ピンは、後方部分と前方部分との位置合わせ受け形状に配置される。接続ピンは、後方部分と前方部分とを一緒に保持し、その結果、それらは、一致して長手方向にスライドする。
【0032】
弁ピストンシールは、シールリング受け形状内で後方部分を取り囲み、作動液がばね室に流入するのを防止する。弁ピストンシールリングは、弁ピストンシールを取り囲み、弁ピストン室の内側に対してスライドする。
【0033】
弁ピストンが閉位置にある場合に、逆止弁は、逆止弁入口貫通孔から逆止弁出口貫通孔への(ひいては出口チャネルから入口チャネルへの)作動液の通過を制御し、ボールおよび逆止弁ばねを含んでもよい。ボールは、逆止弁入口貫通孔の周囲に延びる前方部分の内側表面に対して着座されるように構成されている。逆止弁ばねは、逆止弁ばね凹部内に少なくとも部分的に配置され、閉位置に向かってボールを付勢する。
【0034】
底部ポートシールは、前方部分の先端部付近でハウジングを取り囲み、底部ポートシール形状に着座されている。底部ポートシールは、クランプポートの側壁と係合し、それによって、入口通路と出口通路との間のクランプポートをシールする。
【0035】
底面ポートシールスペーサは、底面ポートシールの前方でハウジングを取り囲み、底面ポートシール保持形状と連動する。底面ポートシールスペーサは、ワッシャ、リング等であってもよい。底面ポートシールスペーサは、クランプポートの後壁に接触し、それによって、クランプポートとシール係合するように、底面ポートシールを押圧する。
【0036】
ポートスポット面シールは、ハウジングの中央付近でハウジングを取り囲み、ポートスポット面シール形状内に着座されている。ポートスポット面シールは、クランプポートのスポット面シール形状と係合する。
【0037】
インポートシーケンシング弁を所望の弁作動設定にプリセットするために、プリロードアジャスターは、調整形状に挿入された六角棒スパナを介して軸方向に回動させる。次に、プリロードアジャスターは、所望の弁作動設定に相当する量だけ弁ばねが圧縮されるまで、弁ばねを圧縮する。
【0038】
次に、インポートシーケンシング弁は、プリロードアジャスターロックを介して、選択された弁作動設定で係止されてもよい。プリロードアジャスターロックは、軸回転して、ハウジングの後方部分に接触し、これにより、プリロードアジャスターロックとハウジングとの摩擦により、プリロードアジャスターが、選択された弁作動設定から外れて回転することが防止される。
【0039】
本発明の別の実施形態は、上述のインポートシーケンシング弁のいくつかを利用するクランプシステムである。クランプシステムは、大別して、治具板と、多数の治具データムと、多数のスイングクランプと、多数のワーク支持体と、多数のリンククランプと、多数のポートプラグと、上記のインポートシーケンシング弁等の多数のインポートシーケンシング弁とを有する。また、クランプシステムは、液圧ポンプと、システム弁と、多数の液圧クランプ線と、多数の液圧アンクランプ線と、液圧リザーバとを含んでもよく、またはそれらに接続されてもよい。
【0040】
治具板は、治具データムと、スイングクランプと、ワーク支持体と、リンククランプとを支持している。治具板は、液圧クランプ線および液圧アンプランプ線が、スイングクランプ、ワーク支持体および/またはリンククランプに流体接続されることを可能にするための多数の液圧通路を含む。
【0041】
治具データムは、最初に工作物を支持し、円筒状の支柱、高架支持構造体等であってもよい。治具データムはそれぞれ、スイングアームがクランプ位置にある場合、1つのスイングクランプのスイングアームの直下に配置されるように構成されている。
【0042】
スイングクランプはそれぞれ、工作物を治具データムのうちの1つに固定し、大別して、ライザーベースと、クランプ本体と、クランプピストンと、ピストンロッドと、スイングアームと、工作物コンタクトとを有する。スイングクランプには、ポートプラグが取り付けられており、その目的は、以下で説明する。
【0043】
ライザーベースは、クランプ本体を支持し、クランプ本体を受けるためのキャビティと、スイングクランプを液圧クランプ線および液圧アンクランプ線に流体接続するための作動液通路とを含む。
【0044】
クランプ本体は、ライザーベースのキャビティ内に少なくとも部分的に配置され、クランプピストン室と、クランプポートと、アンクランプポートとを含む。クランプ本体はまた、クランプポートを液圧クランプ線に流体接続し、アンクランプポートを液圧アンクランプ線に流体接続し、かつクランプポートおよびアンクランプポートをクランプピストン室に流体接続するための作動液通路を含む。
【0045】
クランプピストン室は、クランプピストンを囲い、実質的に垂直方向に延びる円筒室である。クランプピストン室は、クランプピストンのシールによって、クランプポートに流体接続されるクランプストローク領域と、アンクランプポートに流体接続されるアンクランプストローク領域とに分割されてもよい。
【0046】
クランプポートは、クランプ線とクランプピストン室のクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。クランプポートは、以下に説明するように、クランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。
【0047】
アンクランプポートは、液圧アンクランプ線とクランプピストン室のアンクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。アンクランプポートは、以下に説明するように、アンクランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。
【0048】
クランプピストンは、ピストンロッド、ひいてはスイングアームおよび工作物コンタクトをアンクランプ位置とクランプ位置との間で垂直方向に移動させる。上述のように、クランプピストンのシールは、ピストン室を、クランプストローク領域と、アンクランプストローク領域とに分割する。
【0049】
ピストンロッドは、クランプピストンからスイングアームまで上方に延びている。ピストンロッドは、円筒状であり、カム等に追従して、スイングアームを工作物の上で回転させてもよい。
【0050】
スイングアームは、クランプ位置において工作物上に延びている。そのため、スイングアームは、ピストンロッドを介して、アンクランプ位置からクランプ位置まで垂直軸を中心に回転するように構成されている。
【0051】
工作物コンタクトは、上方から工作物と係合し、グリッパ、シュー、接触ボタン、接触ボルト、エンドエフェクタ等であってもよい。あるいは、スイングアームは、工作物に直接接触してもよい。
【0052】
ワーク支持体はそれぞれ、二次支持点において下方から工作物と係合し、大別して、下部ブロックと、ワーク支持体本体と、ワーク支持体ピストンと、プランジャと、工作物コンタクトと、係止スリーブとを有する。ワーク支持体には、インポート弁が取り付けられ、その目的は、以下で説明する。
【0053】
下部ブロックは、ワーク支持体本体を支持し、入口通路と、出口通路と、クランプポートとを含む。入口通路は、液圧クランプ線をクランプポートに流体接続し、クランプポートを半径方向(すなわち、この場合、垂直方向)に遮断する。出口通路は、クランプポートをワーク支持体本体のピストンボアおよび係止スリーブ室に流体接続し、クランプポートから長手方向(すなわち、この場合、水平方向)に延びている。
【0054】
クランプポートは、入口通路を介して液圧クランプ線と、出口通路を介してピストンボアおよび係止スリーブ室との間に流体接続される開放端キャビティである。クランプポートは、以下に説明するように、クランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。
【0055】
ワーク支持体本体は、下部ブロック内に配置されてもよく、プランジャ室と、前述のピストンボアと、係止スリーブ室とを含む。ワーク支持体本体はまた、出口通路をピストンボアおよび係止スリーブ室に接続するための作動液通路を含む。
【0056】
プランジャ室は、プランジャを少なくとも部分的に囲い、実質的に垂直に延びる円筒室であってもよい。プランジャ室は、作動液を受けないように、ピストンボアおよび係止スリーブ室から流体的に仕切られ、またはシールされてもよい。
【0057】
ピストンボアは、その内部に、ワーク支持体ピストンを少なくとも部分的に囲い、実質的に垂直に延びる円筒室であってもよい。ピストンボアは、ワーク支持体ピストンを介してプランジャを作動させるために、ワーク支持体ピストンの下で作動液を受ける。
【0058】
係止スリーブ室は、係止スリーブを少なくとも部分的に囲い、プランジャ室を少なくとも部分的に取り囲む。係止スリーブ室は、プランジャに対して係止スリーブを作動させるための作動液を受ける。
【0059】
ワーク支持体ピストンは、ワーク支持体本体のピストンボア内に少なくとも部分的に存在し、ワーク支持体ピストンの下方のピストンボア内に十分な液圧が構築されると、プランジャを伸長位置にシフトするように構成されている。ワーク支持体ピストンは、円筒状または任意の他の好適な形状であってもよい。
【0060】
プランジャは、プランジャ室内に少なくとも部分的に配置され、収縮位置と伸長位置との間で工作物コンタクトを垂直方向に移動させる。プランジャは、円筒状または任意の他の好適な形状であってもよい。
【0061】
工作物コンタクトは、下方から工作物に係合し、グリッパ、シュー、接触ボタン、接触ボルト、エンドエフェクタ等であってもよい。あるいは、プランジャは、工作物に直接接触してもよい。
【0062】
係止スリーブは、プランジャを少なくとも部分的に取り囲み、プランジャが伸長位置にある場合に、プランジャと係合するように構成されている。係止スリーブは、可撓性であってもよく、および/または非係合構成または位置と係合構成または位置との間でシフト可能であってもよい。係止スリーブは、付勢バネを介して非係合位置に向かって付勢されてもよく、または自己付勢されてもよい。
【0063】
リンククランプはそれぞれ、二次支持点において、ワーク支持体に対向して、上方から工作物と係合し、大別して、ライザーベースと、クランプ本体と、クランプピストンと、ピストンロッドと、左右の支点リンクと、ピボットアームとを有する。リンククランプには、ポートプラグおよびインポートシーケンシング弁が取り付けられ、その目的は、以下で説明する。
【0064】
ライザーベースは、クランプ本体を支持し、クランプ本体を受けるためのキャビティと、リンククランプを液圧クランプ線および液圧アンクランプ線に流体接続するための作動液通路とを含んでもよい。
【0065】
クランプ本体は、ライザーベースのキャビティ内に少なくとも部分的に配置され、クランプピストン室と、クランプポートと、アンクランプポートとを含む。クランプ本体はまた、クランプポートを液圧クランプ線に流体接続し、アンクランプポートを液圧アンクランプ線に流体接続し、かつクランプポートおよびアンクランプポートをクランプピストン室に流体接続するための作動液通路を含む。
【0066】
クランプピストン室は、クランプピストンを囲い、実質的に垂直方向に延びる円筒室であってもよい。クランプピストン室は、クランプピストンのシールによって、クランプポートに流体接続されるクランプストローク領域と、アンクランプポートに流体接続されるアンクランプストローク領域とに分割されてもよい。
【0067】
クランプポートは、液圧クランプ線とクランプピストン室のクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。クランプポートは、以下に説明するように、クランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。
【0068】
アンクランプポートは、液圧アンクランプ線とクランプピストン室のアンクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。アンクランプポートは、アンクランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。
【0069】
クランプピストンは、ピストンロッドを介してアンクランプ位置とクランプ位置との間でピボットアームを垂直方向に回転させる。上述のように、クランプピストンシールは、ピストン室を、前述のクランプストローク領域と、アンクランプストローク領域とに分割する。
【0070】
ピストンロッドは、ピボットアームをクランプピストンに接続するように、クランプピストンから上方に延びている。ピストンロッドは、円筒状であってもよく、ピン、ボルト、インターロック形状等を介してピボットアームに接続されてもよい。
【0071】
支点リンクは、ピボットアーム用のピボット点を創出し、それら自体が、ピボットアームの中間点付近で、クランプ本体およびピボットアームに旋回可能に接続されている。支点リンクは、アンクランプ後に工作物をクランプシステムから取り外すことができるように、ピボットアームを複雑な動作で移動させることを可能にする。
【0072】
ピボットアームは、工作物上を旋回するように構成され、ピボットアームの基端付近でピストンロッドに接続され、かつその中間点付近で支点リンクに接続されている。ピボットアームは、アンクランプ後に工作物をクランプシステムから取り外すことができるように、支点リンクを介して複雑な動作で工作物から離れるように構成されている。
【0073】
ポートプラグは、作動液が(アン)クランプポートを通って流れることを可能にしつつ、(アン)クランプポートの開放端をシールするように、スイングクランプ、ワーク支持体、およびリンククランプのクランプポートおよび/またはアンクランプポートのいくつかに挿入されるように構成されている。そのため、ポートプラグは、雄ねじ山を含む中実円筒状本体と、環状シールとを有してもよい。
【0074】
インポートシーケンシング弁がクランプ装置に挿入され、所望どおりにプリセットされた後、工作物は、スイングクランプおよびリンククランプがアンクランプ位置にあり、ワーク支持体が収縮位置にある状態で、治具データム上に配置される。次に、第1の、または「名目」のシーケンス圧力は、インポートシーケンシング弁が設置されていないクランプ装置を作動させる。例えば、スイングクランプは、インポートシーケンシング弁の代わりにポートプラグを備えてもよい。一方、名目のシーケンス圧力は、他のクランプ装置に設置されたインポートシーケンシング弁を作動させないので、他のクランプ装置は作動しない。
【0075】
液圧は、いくつかのインポートシーケンシング弁の弁作動設定に相当する第2のシーケンス圧力まで上昇する。例えば、ワーク支持体のインポートシーケンシング弁は、6,895kPaの弁作動設定に設定させてもよい。液圧が、6,895kPaの第2のシーケンス圧力に到達すると、弁ピストン室内の作動液は、弁ピストンを開位置に押し進める。具体的には、液圧からの力が、弁ばねのバイアス力に打ち勝つと、弁ピストンは、ばね室に向かって(すなわち、開位置に)シフトし始め、したがって、作動液が出口チャネルに流入することが可能になる。ワーク支持体は、これらのインポートシーケンシング弁が作動される結果として、加圧され、伸長位置にシフトし、係止する。
【0076】
次に、液圧は、追加のインポートシーケンシング弁の弁作動設定に相当する第3のシーケンス圧力まで上昇する。例えば、リンククランプのインポートシーケンシング弁は、17,238kPaの弁作動設定に設定されてもよい。ワーク支持体が作動した後に、リンククランプが加圧され、クランプ位置にシフトするように、追加のインポートシーケンシング弁は、このシーケンス圧力で作動する。
【0077】
本概要は、以下の詳細な説明において更に説明する選択された概念を簡素化した形態で紹介するために提供されている。本概要は、クレームされる主題の主な特徴または必要不可欠な特徴を特定するように意図されたものではなく、クレームされる主題の範囲を限定するために使用されるように意図されたものではない。本発明のその他の側面や有利な点は、以下の諸実施形態の詳細な説明と添付される図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0078】
本発明の諸実施形態を、添付した図面を参照して以下に詳細に説明する。
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に従って構成されたクランプシステムの上面斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のクランプシステムの別の上面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1のクランプシステムのインポートシーケンシング弁の部分切断立面図である。
【
図5】
図5は、本発明の別の実施形態に従って構成されたクランプ装置の立面図である。
【
図8】
図8は、
図5のクランプ装置の底面図である。 これらの図面は、本明細書で開示され記載される特定の諸実施形態に本発明を限定するものではない。これらの図面は、必ずしも寸法どおりではないが、その代わりに本発明の原理を明確に例示することに重点が置かれている。
【発明を実施するための形態】
【0079】
実施形態の詳細な説明
以下の本発明の詳細な説明は、本発明を実施することができる特定の諸実施形態を示す添付図面を参照する。本諸実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように本発明の形態を十分に詳細に説明するように意図されている。本発明の範囲から逸脱することなく、他の諸実施形態を利用することができ、変更を行うことができる。従って、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。本発明の範囲は、添付された請求項によってのみ定義され、そのような請求項が権利を有する均等物の全範囲を含む。
【0080】
本説明において、「1つの実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、または「複数の実施形態(embodiments)」に言及することは、言及した1つまたは複数の特徴が本技術の少なくとも1つの実施形態の中に含まれることを意味する。本説明において、「1つの実施形態(one embodiment)」、「実施形態(an embodiment)」、または「複数の実施形態(embodiments)」に個別に言及することは、必ずしも同じ実施形態に言及しているわけではなく、また、そのように明記しない限り、および/または本説明から当業者にとって直ぐに明らかになるものを除き、互いに排他的なものでもない。例えば、1つの実施形態において説明される特徴、構造、動作等は、他の諸実施形態の中に含まれても良いが、必ずしも含まれる必要はない。従って、本技術は、本明細書に説明された複数の実施形態の様々な組み合わせおよび/または統合を含むことができる。
【0081】
本発明の複数の実施形態は、インポートシーケンシング弁と、インポートシーケンシング弁に連結され得るクランプ装置と、インポートシーケンシング弁が取り付けられた複数のクランプ装置を含み得るクランプシステムとを含む。インポートシーケンシング弁およびクランプ装置は、クランプシステムの構成要素として論じられるであろう。
【0082】
図1~
図4を参照すると、本発明の実施形態に従って構成されたクランプシステム100が示されている。クランプシステム100は、コンピュータ数値制御(CNC)フライス加工等の機械加工または製造作業のための工作物10をクランプするように構成されている。
【0083】
クランプシステム100は、大別して、治具板102と、複数の治具データム104A~Cと、複数のスイングクランプ106A~Cと、複数のワーク支持体108A、Bと、複数のリンククランプ110A、Bとを有する。クランプシステム100には、複数のポートプラグ112および複数のインポートシーケンシング弁114A~Dが取り付けられてもよい。クランプシステム100はまた、液圧ポンプ116と、システム弁118と、複数の液圧クランプ線120と、複数の液圧アンクランプ線122と、液圧リザーバ124とを含んでもよい。
【0084】
治具板102は、治具データム104A~Cと、スイングクランプ106A~Cと、ワーク支持体108A、Bと、リンククランプ110A、Bとを支持している。治具板102は、液圧クランプ線120および液圧アンプランプ線122が、スイングクランプ106A~C、ワーク支持体108A、Bおよびリンククランプ110A、Bに流体接続されることを可能にするための複数の液圧通路を含んでもよい。
【0085】
治具データム104A~Cは、最初に工作物10を支持し、円筒状の支柱、高架支持構造体等であってもよい。治具データム104A~Cはそれぞれ、スイングアームがクランプ位置にある場合、スイングクランプ106A~Cのうちの1つのスイングクランプのスイングアームの直下に配置されてもよい。
【0086】
スイングクランプ106A~Cは、工作物10を治具データム104A~C上にクランプし、実質的に同一であるので、スイングクランプ106Aのみを詳細に説明する。スイングクランプ106Aは、大別して、ライザーベース126と、クランプ本体128と、クランプピストンと、ピストンロッド130と、スイングアーム132と、工作物コンタクト134とを有する。この実施形態では、スイングクランプ106Aには、2つのポートプラグ112が取り付けられている。
【0087】
ライザーベース126は、クランプ本体128を支持し、クランプ本体128を受けるためのキャビティと、スイングクランプ106Aを液圧クランプ線120および液圧アンクランプ線122に流体接続するための作動液通路とを含んでもよい。
【0088】
クランプ本体128は、ライザーベースのキャビティ内に少なくとも部分的に配置されてもよく、クランプピストン室と、クランプポート136と、アンクランプポート138とを含む。クランプ本体128はまた、クランプポート136を液圧クランプ線120に流体接続し、アンクランプポート138を液圧アンクランプ線122に流体接続し、かつクランプポート136およびアンクランプポート138をクランプピストン室に流体接続するための作動液通路を含んでもよい。
【0089】
クランプピストン室は、クランプピストンを囲い、実質的に垂直方向に延びる円筒室であってもよい。クランプピストン室は、クランプピストンのシールによって、クランプポート136に流体接続されるクランプストローク領域と、アンクランプポート138に流体接続されるアンクランプストローク領域とに分割されてもよい。
【0090】
クランプポート136は、クランプ線120とクランプピストン室のクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。クランプポート136は、以下に説明するように、クランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。この例示的な実施形態では、クランプポート136の開放端は、クランプピストン室のクランプストローク領域に作動液が自由に流れることを可能にしつつ、ポートプラグ112を介して閉じられる。そのため、クランプポート136は、その内部に、ポートプラグ112(またはインポートシーケンシング弁)を固定するための螺旋ねじ山を含んでもよい。
【0091】
アンクランプポート138は、液圧アンクランプ線122とクランプピストン室のアンクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。アンクランプポート138は、以下に説明するように、アンクランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。この例示的な実施形態では、アンクランプポート138の開放端は、クランプピストン室のアンクランプストローク領域に作動液が自由に流れることを可能にしつつ、ポートプラグ112を介して閉じられる。そのため、アンクランプポート138は、その内部に、ポートプラグ112(またはインポートシーケンシング弁)を固定するための螺旋ねじ山を含んでもよい。
【0092】
クランプピストンは、クランプピストン室内に配置され、ピストンロッド130、ひいてはスイングアーム132および工作物コンタクト134をアンクランプ位置とクランプ位置との間で垂直方向に移動させる。上述のように、クランプピストンのシールは、ピストン室を、クランプストローク領域と、アンクランプストローク領域とに分割してもよい。
【0093】
ピストンロッド130は、クランプピストンからスイングアーム132まで上方に延びている。ピストンロッド130は、円筒状であってもよく、カム等に追従して、スイングアーム132を工作物10上で回転させてもよい。
【0094】
スイングアーム132は、クランプ位置において工作物10を越えて延びている。そのため、スイングアーム132は、ピストンロッド130を介して、アンクランプ位置からクランプ位置まで垂直軸を中心に回転するように構成されている。
【0095】
工作物コンタクト134は、上方から工作物10に係合し、グリッパ、シュー、接触ボタン、接触ボルト、エンドエフェクタ等であってもよい。あるいは、スイングアーム132は、工作物10に直接接触してもよい。
【0096】
ワーク支持体108A、Bは、二次支持点において下方から工作物10と係合し、実質的に同一であるので、ワーク支持体108Aのみを詳細に説明する。ワーク支持体108Aは、大別して、下部ブロック142と、ワーク支持体本体144と、ワーク支持体ピストンと、プランジャ146と、工作物コンタクト148と、係止スリーブとを有する。
【0097】
下部ブロック142は、ワーク支持体本体144を支持し、(
図4に最もよく見られるように)入口通路150と、出口通路152と、クランプポート154とを含む。入口通路150は、液圧クランプ線120をクランプポート154に流体接続し、クランプポート154を半径方向(すなわち、この場合、垂直方向)に遮断する。出口通路152は、クランプポート154をワーク支持体本体144のピストンボアおよび係止スリーブ室に流体接続し、クランプポート154から長手方向(すなわち、この場合、水平方向)に延びている。
【0098】
クランプポート154は、入口通路150を介して液圧クランプ線120と、出口通路152を介してピストンボアおよび係止スリーブ室との間に流体接続される開放端キャビティである。クランプポート154は、以下に説明するように、クランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。この例示的な実施形態では、クランプポート154は、以下でより詳細に説明するインポートシーケンシング弁114Aを受けている。そのため、クランプポート154は、(その内部に、インポートシーケンシング弁114Aまたはポートプラグを固定するための)螺旋ねじ山156と、スポット面シール形状158と、スポット面160とを含んでもよい。
【0099】
ワーク支持体本体144は、下部ブロック142内に配置されてもよく、プランジャ室と、前述のピストンボアと、係止スリーブ室とを含んでもよい。ワーク支持体本体144はまた、出口通路152をピストンボアおよび係止スリーブ室に接続するための作動液通路を含んでもよい。
【0100】
プランジャ室は、プランジャ146を少なくとも部分的に取り囲み、実質的に垂直に延びる円筒室であってもよい。プランジャ室は、作動液を受けないように、ピストンボアおよび係止スリーブ室から流体的に仕切られ、またはシールされてもよい。
【0101】
ピストンボアは、その内部に、ワーク支持体ピストンを少なくとも部分的に取り囲み、実質的に垂直に延びる円筒室であってもよい。ピストンボアは、ワーク支持体ピストンを介してプランジャを作動させるために、ワーク支持体ピストンの下で作動液を受ける。
【0102】
係止スリーブ室は、係止スリーブを少なくとも部分的に取り囲み、プランジャ室を少なくとも部分的に取り囲む。係止スリーブ室は、プランジャ146に対して係止スリーブを作動させるための作動液を受ける。
【0103】
ワーク支持体ピストンは、ワーク支持体本体144のピストンボア内に少なくとも部分的に存在し、ワーク支持体ピストンの下方のピストンボア内に十分な液圧が構築されると、プランジャ146を伸長位置にシフトするように構成されている。ワーク支持体ピストンは、円筒状または任意の他の好適な形状であってもよい。
【0104】
プランジャ146は、プランジャ室内に少なくとも部分的に配置され、収縮位置と伸長位置との間で工作物コンタクト148を垂直方向に移動させる。プランジャ146は、円筒状または任意の他の好適な形状であってもよい。
【0105】
工作物コンタクト148は、下方から工作物10に係合し、グリッパ、シュー、接触ボタン、接触ボルト、エンドエフェクタ等であってもよい。あるいは、プランジャ146は、工作物10に直接接触してもよい。
【0106】
係止スリーブは、プランジャ146を少なくとも部分的に取り囲み、プランジャ146が伸長位置にある場合に、プランジャ146と係合するように構成されている。係止スリーブは、可撓性であってもよく、および/または非係合構成または位置と係合構成または位置との間でシフト可能であってもよい。係止スリーブは、付勢バネを介して非係合位置に向かって付勢されてもよく、または自己付勢されてもよい。
【0107】
リンククランプ110A、Bは、二次支持点において、ワーク支持体108A、Bに対向して、上方から工作物10と係合し、実質的に同一であるので、リンククランプ110Aのみを詳細に説明する。リンククランプ110Aは、大別して、ライザーベース164と、クランプ本体166と、クランプピストンと、ピストンロッド168と、左右の支点リンク170A、Bと、ピボットアーム172とを有する。
【0108】
ライザーベース164は、クランプ本体166を支持し、クランプ本体166を受けるためのキャビティと、リンククランプ110Aを液圧クランプ線120および液圧アンクランプ線122に流体接続するための作動液通路とを含んでもよい。
【0109】
クランプ本体166は、ライザーベースのキャビティ内に少なくとも部分的に配置されてもよく、クランプピストン室と、クランプポート174と、アンクランプポート176とを含む。クランプ本体166はまた、クランプポート174を液圧クランプ線120に流体接続し、アンクランプポート176を液圧アンクランプ線122に流体接続し、かつクランプポート174およびアンクランプポート176をクランプピストン室に流体接続するための作動液通路を含んでもよい。
【0110】
クランプピストン室は、クランプピストンを囲い、実質的に垂直方向に延びる円筒室であってもよい。クランプピストン室は、クランプピストンのシールによって、クランプポート174に流体接続されるクランプストローク領域と、アンクランプポート176に流体接続されるアンクランプストローク領域とに分割されてもよい。
【0111】
クランプポート174は、液圧クランプ線120とクランプピストン室のクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。クランプポート174は、以下に説明するように、クランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。この例示的な実施形態では、クランプポート174は、インポートシーケンシング弁114Cを受けている。そのため、クランプポート174は、上述したようなインポートシーケンシング弁係合機構を含んでもよい。
【0112】
アンクランプポート176は、液圧アンクランプ線122とクランプピストン室のアンクランプストローク領域との間に流体接続される開放端キャビティである。アンクランプポート176は、以下に説明するように、アンクランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。この例示的な実施形態では、アンクランプポート176の開放端は、クランプピストン室のアンクランプストローク領域に作動液が自由に流れることを可能にしつつ、ポートプラグ112を介して閉じられる。そのため、アンクランプポート176は、その内部に、ポートプラグ112(またはインポートシーケンシング弁)を固定するための螺旋ねじ山を含んでもよい。
【0113】
クランプピストンは、ピストンロッド168を介してアンクランプ位置とクランプ位置との間でピボットアーム172を垂直方向に回転させる。上述のように、クランプピストンシールは、ピストン室を、前述のクランプストローク領域と、アンクランプストローク領域とに分割してもよい。
【0114】
ピストンロッド168は、ピボットアーム172をクランプピストンに接続するように、クランプピストンから上方に延びている。ピストンロッド168は、円筒状であってもよく、ピン、ボルト、インターロック形状等を介してピボットアーム172に接続されてもよい。
【0115】
支点リンク170A、Bは、ピボットアーム172用のピボット点を創出し、それら自体が、ピボットアーム172の中間点付近で、クランプ本体166およびピボットアーム172に旋回可能に接続されている。支点リンク170A、Bは、アンクランプ後に工作物10をクランプシステム100から取り外すことができるように、ピボットアーム172を複雑な動作で移動させることを可能にする。
【0116】
ピボットアーム172は、工作物10上を旋回するように構成され、ピボットアームの基端付近でピストンロッド168に接続され、かつその中間点付近で支点リンク170A、Bに接続されている。ピボットアーム172は、アンクランプ後に工作物10をクランプシステム100から取り外すことができるように、支点リンク170A、Bを介して複雑な動作で工作物10から離れるように構成されている。
【0117】
ポートプラグ112は、作動液がクランプポートまたはアンクランプポートを通って流れることを可能にしつつ、開放端をシールするように、以下に説明するように、クランプシーケンシングまたはアンクランプシーケンシングに応じて、スイングクランプ106A~C、ワーク支持体108A、B、およびリンククランプ110A、Bのクランプポートおよび/またはアンクランプポートに挿入されるように構成されている。そのため、ポートプラグ112は、雄ねじ山を含む中実円筒状本体と、環状シールとを有してもよい。
【0118】
インポートシーケンシング弁114A~Dは、互いに実質的に同様であり、したがって、インポートシーケンシング弁114Aのみを、
図4を参照して詳細に説明する。インポートシーケンシング弁114Aは、ワーク支持体108Aのクランプシーケンスを規定し、大別して、ハウジング182と、プリロードアジャスター184と、プリロードアジャスターロック186と、弁ばね188と、ばねプランジャ190と、ストローク止めワッシャ192と、ストローク止め保持リング194と、調整保持リング196と、弁ピストン198と、弁ピストンシール200と、弁ピストンシールリング202と、逆止弁204と、底部ポートシール206と、底部ポートシールスペーサ208と、ポートスポット面シール210とを有する。
【0119】
ハウジング182は、プリロードアジャスター184と、弁ばね188と、ばねプランジャ190と、ストローク止めワッシャ192と、弁ピストン198とを収容し、対向する後方部分および前方部分212、214と、外側クランプポートねじ山216と、底部ポートシール形状218と、底部ポートシール保持形状220と、ポートスポット面シール形状222と、ばね室224と、調整ねじ山226と、弁ピストン室228と、入口チャネル230と、出口チャネル232とを含む。ハウジング182は、鋳造金属または機械加工された金属素材で形成してもよい。
【0120】
外側クランプポートねじ山216は、インポートシーケンシング弁114Aをクランプポート154内に固定するために、前方部分214付近でハウジング182の外側を取り囲んでいる。あるいは、クリップ、ラッチ、溝、スロット、カム等の他の保持機構を使用してもよい。
【0121】
底部ポートシール形状218は、底部ポートシール206を受け、ハウジング182の前方部分214の先端部付近での環状溝であってもよい。底部ポートシール保持形状220は、底部ポートシールスペーサ208、ひいては底部ポートシール206をハウジング182の前方部分214上に保持し、小さなフランジ、リップ、突起、または他の類似の機構であってもよい。重要なことは、底部ポートシール保持形状220は、底部ポートシールスペーサ208の内径よりも大きい外径を有する。
【0122】
ポートスポット面シール形状222は、ポートスポット面シール210を受け、底部ポートシール形状218の後方での環状溝であってもよい。ポートスポット面シール形状222はまた、ポートスポット面シール210が前方または後方にスライドするのを防止する。
【0123】
ばね室224は、後方部分212内に配置され、ハウジング182の中間点付近で弁ピストン室228に接続する。ばね室224は、その内部に、プリロードアジャスター184と、弁ばね188と、ばねプランジャ190と、ストローク止めワッシャ192と、ストローク止め保持リング194と、調整保持リング196とを少なくとも部分的に受ける。そのため、ばね室224は、弁ピストン室228の直径よりも大きい直径を有してもよい。
【0124】
調整ねじ山226は、弁ばね188の後方のばね室224を取り囲み、プリロードアジャスター184の調整ねじ山と係合する。調整ねじ山226は、標準的な螺旋ねじ山であってもよく、あるいはプリロードアジャスター184の軸回転を、ハウジング182に対するプリロードアジャスター184の長手方向の移動に変換するための任意の好適な溝、スロット、またはカムであってもよい。調整ねじ山226は、1回転あたり0.01562インチの軸方向移動を提供するために、1/64インチピッチ等の微細ピッチねじ山であってもよい。これは、調整分解能を増加させ、特定の設定への調整をより容易にする。
【0125】
弁ピストン室228は、ハウジング182の前方部分214内に配置され、ハウジング182の中間点付近でばね室224に接続される。弁ピストン室228は、その内部に、弁ピストン198を受け、ばね室224の直径よりも実質的に小さい直径を有してもよい。1つの実施形態では、弁ピストン室228は、弁ピストン198の正確な位置合わせを保証するために、弁ピストン198と厳しい公差を有する口径を有する。
【0126】
入口チャネル230は、ハウジング182の側部から弁ピストン室228内に半径方向内方に延び、クランプポート154に接続される入口通路150と流体的に位置合わせされるように構成されている。いくつかの実施形態では、他のクランプポートとの互換性を保証するために、追加の入口チャネルをハウジング182の周囲に間隔をあけて配置してもよい。
【0127】
出口チャネル232は、弁ピストン室228をクランプポート154に接続される出口通路152に流体接続するために、弁ピストン室228の先端部からハウジング182の前方部分214の先端部を通って長手方向に延びる。出口チャネル232は、弁ピストン198の相補的形状とシール係合するための相補的シール形状234を含んでもよい。相補的シール形状234(および出口チャネル232)は、ハウジング182と一体であってもよく、あるいは製造を容易にするために別個の構成要素の一部であってもよい。重要なことは、出口チャネル232の相補的シール形状234および弁ピストン198の相補的形状が、金属対金属シートを形成することである。
【0128】
プリロードアジャスター184は、選択された弁作動設定に相当する量だけ弁ばね188を圧縮するために、弁ばね188と強制的に連係しており、かつ対向する後端および前端236、238と、調整形状240と、調整ねじ山242と、ばねプランジャキャビティ244と、リリーフベント246と、保持フランジ248と、ロックねじ山250とを含む。
【0129】
調整形状240は、弁作動設定を選択および/または調整するためのレンチまたは同様のツールを受ける。この実施形態では、調整形状240は、六角棒スパナを受け入れるための雌六角キャビティである。あるいは、調整形状240は、対応するツールを受け取るための星形パターン、フラットヘッドパターン、クロスパターン、雄六角形パターン、あるいは任意の他の好適な形状を有してもよい。
【0130】
調整ねじ山242は、ハウジング182の調整ねじ山226と係合する。調整ねじ山242は、標準的な螺旋ねじ山であってもよく、あるいはプリロードアジャスター184の軸回転をハウジング182に対するプリロードアジャスター184の軸方向移動に変換するための任意の好適な溝、スロット、またはカムであってもよい。調整ねじ山242は、1回転あたり0.01562インチの軸方向移動を提供するために、1/64インチピッチ等の微細ピッチねじ山であってもよい。これは、調整分解能を増加させ、特定の設定への調整をより容易にする。
【0131】
ばねプランジャキャビティ244は、プリロードアジャスター184の前端238まで延び、その内部に、ばねプランジャ190の後端を受ける。ばねプランジャキャビティ244はまた、ばねプランジャ190を弁ピストン198および弁ばね188と軸方向に位置合わせさせたままにしてもよい。
【0132】
リリーフベント246は、ばねプランジャキャビティ244と調整形状240との間に延びている。具体的には、リリーフベント246は、ばね室224内の構成要素がシフトされるにつれて、ばね室224内の圧力を大気圧と等しくする。これは、ヒステリシス(例えば、鈍いまたは存在しない応答)を防止する。
【0133】
保持フランジ248は、調整保持リング196と係合して、プリロードアジャスター184をばね室224からに取り外すことができないことを保証するように構成されている。そのため、保持フランジ248は、調整保持リング196の有効内径よりも大きい有効外径を有するリップまたは他の環状突起であってもよい。
【0134】
ロックねじ山250は、プリロードアジャスターロック186のロックねじ山と係合する。ロックねじ山250は、標準的な螺旋ねじ山であってもよく、あるいはプリロードアジャスターロック186をハウジング182に付勢し、それによってプリロードアジャスター184をハウジング182に対して摩擦係止するための任意の好適な溝、スロット、またはカムであってもよい。
【0135】
プリロードアジャスターロック186は、所望の設定でプリロードアジャスター184を固定し、ロックねじ山252と、ロック六角部254とを含む。ロックねじ山252は、プリロードアジャスターロック186をハウジング182に締め付けることができるように、プリロードアジャスター184のロックねじ山250と係合する。ロック六角部254は、レンチ等を介してプリロードアジャスターロック186を締め付けることを可能にする。
【0136】
弁ばね188は、ばね室224内に配置され、プリロードアジャスター184とばねプランジャ190との間で強制的に連係している。弁ばね188は、コイルばね、ダイばね、皿ばね、波形ばね等であってもよい。弁ばね188はまた、並列、直列、または並列と直列との組み合わせで積み重ねられた一連のばね(すなわち、ばねパック)であってもよい。1つの実施形態では、弁ばね188は、直列に軸方向に積み重ねられた複数の皿ばねを含む。ばねの種類、個数、および配置は、所望のばね力範囲、たわみ範囲、およびばね形状に応じて選択されてもよい。弁ばね188は、2,069kPa~27,580kPaのシーケンス圧力を生成するために、大きな範囲のばね力を生成することができる。1つの実施形態では、弁ばね188のばね力は、少なくとも6,895kPaのシーケンス圧力を生成する。
【0137】
ばねプランジャ190は、弁ばね188と弁ピストン198との間で強制的に連係しており、ばね係合形状256と、弁ピストン凹部258とを含んでもよい。ばね係合形状256は、ばねプランジャ190の前端付近に配置され、弁ばね188と軸方向に係合するためのフランジ、リップ、あるいは任意の他の好適な機構であってもよい。弁ピストン凹部258は、ばねプランジャ190の前端内に延び、弁ピストン198の後端を受ける。弁ピストン凹部258は、弁ピストン198が、ばねプランジャ190と同心円的に位置合わせされることを保証するために、弁ピストン198と厳密な公差を有してもよい。
【0138】
ストローク止めワッシャ192は、弁ピストン198の最大後方移動限界を確立する。ストローク止めワッシャ192は、ストローク止めワッシャ192と弁ピストン198との同心円的位置合わせを保証するために、厳しい公差嵌め合い(すなわち、位置嵌め合い)を有してもよい。
【0139】
ストローク止め保持リング194は、ストローク止めワッシャ192をばね室224の前端付近に保持し、ばね室224内の小さな溝に嵌まってもよい。ストローク止め保持リング194の内径は、ストローク止めワッシャ192の移動を確実に防止するために、ストローク止めワッシャ192の外径よりも小さくてもよい。
【0140】
調整保持リング196は、プリロードアジャスター184、ひいては弁ばね188およびばねプランジャ190をばね室224内に保持する。調整保持リング196は、ばね室224内の小さな溝に着座してもよい。調整保持リング196の内径は、プリロードアジャスター184がばね室224から取り外されるのを確実に防止するために、保持フランジ248の外径よりも小さくしてもよい。
【0141】
弁ピストン198は、入口チャネル230から出口チャネル232への作動液の通過を制御し、後方部分260と、前方部分262と、接続ピン264とを含んでもよい。弁ピストン198は、ばねプランジャ190と強制的に連係して、弁ピストン室228内に実質的に配置されてもよい。
【0142】
後方部分260は、環状ショルダ266と、シールリング受け形状268と、逆止弁ばね凹部270とを含んでもよい。後方部分260は、ばねプランジャ190とのボール・ソケット界面を形成するために、その近位端を円弧状にしてもよい。これにより、ばね室224内のいかなるミスアライメントであっても、弁ピストン198の係合点から離れて側方負荷が伝達されることによって、弁ピストン198とハウジング182との間のシールを損なう結果とならないことが保証される。ボール・ソケット界面は、また、圧縮中に弁ばね188によって生成される軸外力を排除する。環状ショルダ266は、ストローク止めワッシャ192が、弁ピストン198の最大値後方移動限界を確立するように、ストローク止めワッシャ192に当接するように構成されてもよい。シールリング受け形状268は、その内部に、弁ピストンシール200および弁ピストンシールリング202を保持し、環状溝または類似の形状であってもよい。逆止弁ばね凹部270は、逆止弁204のばねを受けるための、後方部分260の前端に延びるボアまたは類似のキャビティであってもよい。
【0143】
前方部分262は、逆止弁出口貫通孔272と、逆止弁入口貫通孔274と、相補的シール形状276とを含む。逆止弁出口貫通孔272は、ハウジング182の入口チャネル230と位置合わせされるか、または流体連通している。1つの実施形態では、逆止弁出口貫通孔272は、入口チャネル230と流体的に位置合わせされるように、前方部分262の側部を通って半径方向に延びている。逆止弁入口貫通孔274は、出口チャネル232と流体的に位置合わせされるように、前方部分262の先端部を通って長手方向に延びている。1つの実施形態では、逆止弁入口貫通孔274は、前方部分262の先端部を通って軸方向に延びている。前方部分262は、その先端部に向けて先細りまたは狭小形状を有してもよく、その目的は、以下で説明する。前方部分262は、硬度差に基づいて耐摩耗性およびシール性を増加させるために硬化させることができる熱処理可能な材料で形成されてもよい。前方部分262は、弁ピストン室228の内側での好適な位置合わせを提供するために、直径に対する最小ガイド長さ対直径比を有してもよい。
【0144】
相補的シール形状276は、出口チャネル232の相補的シール形状234に接触して、その間に液圧シールを形成するように構成されている。1つの実施形態では、相補的シール形状276は、前方部分262の先端部の周りに環状に延びている。
【0145】
接続ピン264は、後方部分260と前方部分262とを一緒に保持し、その結果、それらは、一致して長手方向にスライドし、後方部分260と前方部分262との位置合わせ受け形状に配置されてもよい。あるいは、接続ピン264は、クリップ、リング、ボルト、止めネジ、または任意の他の好適な部品であってもよい。弁ピストン198の2ピース構造(すなわち、後方部分260および前方部分262)は、逆止弁204を内部で組み立てられ、補修されることを可能にし、弁ピストンシール200およびシールリング202の設置を簡単にする。
【0146】
弁ピストンシール200は、シールリング受け形状268内で後方部分260を取り囲み、作動液がばね室224内に流入するのを防止する。弁ピストンシールリング202は、弁ピストンシール200を取り囲み、弁ピストン室228の内側に対してスライドする。弁ピストンシール200および弁ピストンシールリング202は、超低摩擦Oリング付勢キャップシール等の低摩擦でなければならない。
【0147】
弁ピストン198が閉位置にある場合に、逆止弁204は、逆止弁入口貫通孔274から逆止弁出口貫通孔272への(ひいては出口チャネル232から入口チャネル230への)作動液の通過を制御し、ボール278および逆止弁ばね280を含んでもよい。ボール278は、逆止弁入口貫通孔274の周囲に延びる前方部分262の内側表面に対して着座されるように構成されている。逆止弁ばね280は、逆止弁ばね凹部270内に少なくとも部分的に配置され、出口チャネル232から入口チャネル230への圧力差が閾値を下回る場合、逆止弁入口貫通孔274をシールするように、閉位置に向かってボール278を付勢する。逆止弁204は、以下により詳細に説明するように、弁ピストン198と並列に動作してもよい。
【0148】
底部ポートシール206は、前方部分214の先端部付近でハウジング182を取り囲み、底部ポートシール形状218に着座されている。底部ポートシール206は、クランプポート154の側壁と係合し、それによって、入口通路150と出口通路152との間のクランプポート154をシールする。
【0149】
底面ポートシールスペーサ208は、底面ポートシール206の前方でハウジング182を取り囲み、底面ポートシール保持形状220と連動する。底面ポートシールスペーサ208は、ワッシャ、リング等であってもよい。底面ポートシールスペーサ208は、クランプポート154の後壁に接触し、それによって、クランプポート154とシール係合するように、底面ポートシール206を押圧する。
【0150】
ポートスポット面シール210は、ハウジング182の中央付近でハウジング182を取り囲み、ポートスポット面シール形状222内に着座されている。ポートスポット面シール210は、クランプポート154を大気に対してシールするようにクランプポート154のスポット面シール形状158と係合し、Oリング、ガスケット、または任意の他の好適なシールであってもよい。
【0151】
ここで、インポートシーケンシング弁114Aの設置について、より詳細に説明する。インポートシーケンシング弁114Aは、ポートスポット面シール210が、クランプポート154のスポット面シール形状158と係合するように、ワーク支持体108Aのクランプポート154に挿入されてもよい。具体的には、インポートシーケンシング弁114Aは、外側クランプポートねじ山216が、クランプポート154の螺旋ねじ山156と係合するように軸方向に回動させる。重要なことは、底部ポートシール206は、ワーク支持体108Aの螺旋ねじ山156の内径をクリアするように構成されている。一方、底面ポートシールスペーサ208は、クランプポート154の後壁に接触し、クランプポート154の側壁と係合するように底面ポートシール206を付勢する。
【0152】
ここで、インポートシーケンシング弁114Aのプリセットについて、より詳細に説明する。まず、プリロードアジャスター184は、調整形状240に挿入された六角棒スパナを介して軸方向に回動させてもよい。プリロードアジャスター184は、プリロードアジャスター184の調整ねじ山242とハウジング182の調整ねじ山226との間の相互作用により、回動するについて、弁ばね188を圧縮する。プリロードアジャスター184は、6,895kPaまたは17,237.5kPa等の弁作動設定に相当する量だけ弁ばね188が圧縮されるまで、回動されてもよい。
【0153】
次に、インポートシーケンシング弁114Aは、プリロードアジャスターロック186を介して、選択された弁作動設定で係止されてもよい。具体的には、プリロードアジャスターロック186は、六角レンチを介して軸方向に回動されてもよい。次に、プリロードアジャスターロック186は、プリロードアジャスターロック186のロックねじ山252とプリロードアジャスター184のロックねじ山250との相互作用により、ハウジング182の後方部分212に接触する。したがって、プリロードアジャスターロック186とハウジング182との摩擦により、プリロードアジャスター184が、選択された弁作動設定から外れて回転することが防止される。
【0154】
ここで、クランプシステム100を介して工作物10をクランプすることについて、より詳細に説明する。まず、工作物10は、スイングクランプ106A~Cおよびリンククランプ110A、Bがアンクランプ位置にあり、ワーク支持体108A、Bが収縮位置にある状態で、治具データム104A~C上に配置されてもよい。次いで、システム弁118は、液圧ポンプ116が、液圧クランプ線120に流体接続されるように、クランプ構成に設定されてもよい。
【0155】
液圧ポンプ116は、液圧クランプ線120内に液圧を構築し、それによって、スイングクランプ106A~Cは、第1の、または「名目」のシーケンス圧力で作動される。具体的には、スイングアーム132をクランプ位置にシフトさせるように、作動液は、クランプポート136を通じて、スイングクランプ106A~Cのピストン室に流れる。一方、名目のシーケンス圧力は、ワーク支持体108A、Bおよびリンククランプ110A、B内に設置されたインポートシーケンシングス弁114A~Dを作動させない。また、アンクランプ液圧線122および任意のアンクランプポート内の作動液を、リザーバ124に流してもよい。
【0156】
液圧ポンプ116は、ワーク支持体108A、B内に設置されたインポートシーケンシング弁114A、Bの弁作動設定に相当する第2のシーケンス圧力に最終的に到達するように、液圧を構築し続ける。例えば、インポートシーケンシング弁114Aは、6,895kPaの弁作動設定に設定されてもよい。液圧が6,895kPaの第2のシーケンス圧力に到達すると、弁ピストン室228内の作動液は、弁ピストン198を開位置に押し進める。具体的には、液圧からの力が、弁ばね188のバイアス力に打ち勝つと、弁ピストン198は、ばね室224に向かってシフトし始め、したがって、作動液が出口チャネル232に流入し、出口通路152を通ってワーク支持体108Aのピストンボアおよび係止スリーブ室に流れることが可能になる。
【0157】
これにより、弁ばね188が弁ピストン198を閉位置に戻すように、弁ピストン198上の圧力が局所的に低下することがある。液圧は、再び弁ピストン198に対して構築され、弁ピストン198の前方部分262の先細りまたは狭小形状による弁ピストン変調を介して非常に急速に解放される。高い変調周波数は、インポート弁114Aを通じて出口通路152への見かけの一定の流れを提供し、したがって、他の場所で液圧を中断することなく、滑らかにワーク支持体108Aを加圧し作動させる。
【0158】
弁ピストン変調中にワーク支持体108Aのピストンボア内に液圧が構築されると、ワーク支持ピストンは、工作物コンタクト148が工作物10に出くわすように、プランジャ146を伸張位置にシフトさせる。係止スリーブ室内の液圧はまた、プランジャ146を伸張位置に係止するように、ワーク支持体108Aの係止スリーブをプランジャ146と係合させるように付勢する。ワーク支持体108Bは、インポートシーケンシング弁114Bを介して、ワーク支持体108Aと同時に、かつ同様の方法で作動させられてもよい。
【0159】
液圧ポンプ116は、最終的にはリンククランプ110A、B内に設置されたインポートシーケンシング弁114C、Dの弁作動設定に相当する第3のシーケンス圧力に到達するように、液圧を構築し続ける。例えば、インポートシーケンシング弁114Cは、17,238kPaの弁作動設定に設定されてもよい。液圧が17,238kPaの第3のシーケンス圧力に到達すると、インポートシーケンシング弁114Cが作動し、作動液がリンククランプ110Aのピボットアーム172を工作物10に対して作動させることを可能にする。リンククランプ110Bは、インポートシーケンシング弁114Dを介して、リンククランプ110Aと同様かつ同時に作動させてもよい。17,238kPaの弁作動設定は、リンククランプ110A、Bが、工作物10に接触し、クランプ力を加えるように、ワーク支持体108A、Bが支持を提供するのに十分な圧力を有することを保証する。
【0160】
液圧ポンプ116は、24,133kPa等のシステム動作圧力まで液圧を構築し続けてもよい。この時点で、工作物10は、しっかりとクランプされ、機械加工またはフライス加工の準備が整う。
【0161】
次いで、工作物10は、以下のようにクランプシステム100からアンクランプされてもよい。まず、システム弁118は、液圧ポンプ116が、液圧アンクランプ線122に流体接続され、かつ液圧クランプ線120がリザーバ124に流体接続されるように、アンクランプ構成に設定されてもよい。インポートシーケンシング弁114Aの下流の作動液は、弁ピストン198が、高い液圧により開位置にあるため、インポートシーケンシング弁114Aを通ってリザーバ124に向かって上流に逆流してもよい。液圧が低下すると、弁ピストン198は閉じられてもよく、インポートシーケンシング弁114Aの下流の作動液が逆止弁204を介してインポートシーケンシング弁114Aを通って上流に逆流し続けてもよい。
【0162】
一方、液圧ポンプ116は、スイングクランプ106A~Cおよびリンククランプ110A、Bをアンクランプ位置に作動させるように、液圧アンクランプ線122内の液圧を増加させてもよい。この実施例では、スイングクランプ106A~Cおよびリンククランプ110A、Bは全て、それらのアンクランプポートにはインポートシーケンシング弁が設置されていないので、名目のシーケンス圧力で作動させてもよい。しかしながら、インポートシーケンシング弁は、上述のクランプシーケンスと同じ方法で、アンクランプシーケンスのために使用されてもよい。
【0163】
クランプシステム100は、いくつかの利点を提供する。例えば、クランプ装置が、同時に作動するクランプ装置のいくつかと共に特定の増分順序で作動するように、シーケンシング圧力を調整することができる。例えば、上記実施形態では、まずスイングクランプ106A~Cが作動するように設定され、次にワーク支持体108A、B、その次にリンククランプ110A、Bが続く。適切なクランプ接触順序および反復可能な工作物積載により、一貫した、反復可能な、効率的な機械加工および製造が可能になる。インポートシーケンシング弁114A~Dは、クランプおよびアンクランプの両方で使用することができ、単一のクランプ装置にも使用することもできる。
【0164】
インポートシーケンシング弁114A~Dは、「装置レベル」であり、したがって、インポートシーケンシング弁114A~Dを、選択されたクランプ装置のクランプポート内に設置することによって、個々のクランプ装置のシーケンシングを可能にする。これにより、液圧計画および回路設計が大幅に簡素化される。インポートシーケンシング弁114A~Dはまた、個別に調整できるので、液圧回路全体を再設計する必要がない。インポートシーケンシング弁114A~Dはまた、クランプ回路をクランプ部分とアンクランプ部分に減らすことを可能にし、したがってシステムレベルシーケンシング弁およびシステムレベルシーケンシング弁の下流の回路ブランチをなくすことができる。更に、回路内の通路は、直列に、あるいは作動液をクランプ装置に導く任意の構成で接続することができる。インポートシーケンシング弁114A~Dは、専用のキャビティまたはシステムレベルシーケンシング弁へのポーティングの必要性を排除し、互いに独立して調整することができる。クランプ順序の変更またはチューニングは、治具のセットアップ中またはセットアップ後でも達成することができる。
【0165】
インポートシーケンシング弁114Aは、SAE#4ポート、BSPP1/8ポート、およびBSPP1/4ポート等の種々の工業規格液圧ポートに適合することができる。インポートシーケンシング弁114Aは、種々のクランプ(およびアンクランプ)ポート深さで使用するために、いくつかの長さのうちの1つを有してもよい。一方、クランプポートは、上述のようにクランプ装置の一部として配置することができ、あるいはクランプ装置のポートに接続される特別なフィッティングまたはブロックに収容することができる。インポートシーケンシング弁114Aの小さなサイズは、クランプポート内へのコンパクトな設置を提供する。
【0166】
インポートシーケンシング弁114Aは、改良されたシールシステムを有する。具体的には、インポートシーケンシング弁114Aが自己完結型であるように、底部ポートシールスペーサ208および底部ポートシール保持形状220は、底部ポートシール形状218内に底部ポートシール206を保持している。底部ポートシール206がクランプポート螺旋ねじ山156の小径をクリアにでき、かつ設置中に入口通路150のいかなるアンダーカットによってもクリップされないように、インポートシーケンシング弁114Aが設置されていない場合、底部ポートシール206は、底部ポートシール形状218内に置かれている。インポートシーケンシング弁114Aがクランプポート154内に挿入されるにつれて、底部ポートシールスペーサ208が、クランプポート154の後壁に接触すると、底部ポートシールスペーサ208は、底部ポートシール206を、クランプポート154の側壁に接触させるように、半径方向外方に圧縮する。これにより、インポートシーケンシング弁114Aの設置が簡単になる。
【0167】
弁ピストン198は、いくつかの利点を提供する。例えば、弁ピストン198の相補的シール形状276は、ハウジング182の相補的シール形状234に対してシールし、デフォルト状態で常閉状態を提供する。弁ピストン198は、内部逆止弁アセンブリのための2ピース構造を有し、補修が容易である。弁ピストン198の前方部分262は、硬度差に基づく高い耐摩耗性および改善されたシール性を有するように、硬化された熱処理可能材料で形成されてもよい。後方部分260は、ストローク止めワッシャ192に対して止まるための環状ショルダ266を含む。後方部分260はまた、ボールアンドソケット接続を形成するように弁ピストン凹部258に嵌合する円弧状端部を有し、したがって、いかなるミスアライメントも、弁ピストン198の前方部分262に側方荷重を伝達しないことを保証する。ボールアンドソケット接続はまた、圧縮中に弁ばね188によって生成される軸外力を排除する。前方部分262の先細りまたは狭小形状は、弁ピストン変調を促進し、これにより、他の場所で液圧を中断させることなく、インポートシーケンシング弁114Aの円滑な作動およびワーク支持体108Aの作動が可能になる。
【0168】
弁ばね188は、いくつかのばねまたは種々の種類のばねを有することができる。特に、皿ばねは、2,069kPaから27,580kPaのシーケンス圧力を生成するために、大きな範囲のばね力を生成する種々のばねパックを構成することができる。1つの実施形態では、弁ばね188のばね力は、少なくとも6,895kPaのシーケンス圧力を生成する。必要な力およびたわみに応じて、皿ばねを、並列、直列、あるいは並列と直列の組み合わせで積み重ねることができる。
【0169】
ストローク止めワッシャ192は、弁ピストン198の移動を制限し、これにより、流路面積とバネ圧縮のバランスを与える。これにより、特定の弁作動設定での一貫した反復可能な作動が保証される。
【0170】
リリーフベント246は、ばね室224が大気圧に近くなることを保証し、弁ピストンの動きによってその内部容積が変化するにしたがって、ばね室224が「呼吸」することを可能にする。これにより、弁ピストンの応答が遅くなること(つまり、ヒステリシス)を防ぐ。
【0171】
プリロードアジャスター184が機械の振動または不注意による調整によって滑らないことを、プリロードアジャスターロック186が保証する一方で、プリロードアジャスター184は、インポートシーケンシング弁114Aを所望の弁作動設定に調整することを可能にする。調整保持リング196は、プリロードアジャスター184の後方の移動を制限し、ばね室224内に構成要素を保持する。
【0172】
図5~
図8を参照して、別の実施形態に従って構成されたスイングクランプ300を詳細に説明する。スイングクランプ300は、大別して、ライザーベースと、クランプ本体302と、クランプピストン304と、ピストンロッド306と、スイングアームと、工作物コンタクトとを有する。この実施形態では、スイングクランプ300には、インポートシーケンシング弁400(上述のインポートシーケンシング弁114A~Dと同様)およびポートプラグ402(上述のポートプラグ112と同様)が取り付けられている。
【0173】
ライザーベースは、クランプ本体302を支持し、クランプ本体302を受けるためのキャビティと、スイングクランプ300を液圧クランプ線および液圧アンクランプ線に流体接続するための作動液通路とを含んでもよい。
【0174】
クランプ本体302は、ライザーベースキャビティ内に少なくとも部分的に配置されてもよく、ピストン室プラグ308と、クランプピストン室310と、ピストンロッドワイパ312と、ピストンロッドシール314と、クランプマニホルドポート316と、クランプ入口通路318と、クランプ出口通路320と、クランプポート322と、アンクランプマニホルドポート324と、アンクランプ入口通路326と、アンクランプ出口通路328と、アンクランプポート330とを含む。
【0175】
ピストン室プラグ308は、クランプ本体302の下部にあるクランプピストン室310を囲う。そのため、ピストン室プラグ308は、クランプピストン室310の下端で螺旋ねじ山と係合するための螺旋ねじ山332を含んでもよい。
【0176】
クランプピストン室310は、クランプピストン304を囲い、実質的に垂直に延びる円筒室であってもよい。クランプピストン室310は、(後述するように)クランプピストン304のストロークシールによって、クランプポート322に流体接続されるクランプストローク領域334と、アンクランプポート330に流体接続されるアンクランプストローク領域336とに分割されてもよい。
【0177】
ピストンロッドワイパ312は、ピストンロッド306を取り囲み、破片がクランプピストン室310に入るのを防止する。ピストンロッドシール314は、ピストンロッドワイパ312の下方でピストンロッド306を取り囲み、クランプピストン室310内で作動液を保持する。
【0178】
クランプマニホルドポート316は、液圧クランプ線をクランプ入口通路318に流体接続することを可能にする。そのため、クランプマニホルドポート316は、Oリング面シール等を含んでもよい。いくつかの実施形態では、クランプマニホルドポート316は、治具板の流体通路と流体的に位置合わせされるように構成されてもよい。
【0179】
クランプ入口通路318は、クランプマニホルドポート316をクランプポート322に流体接続し、クランプポート322を半径方向(すなわち、この場合、垂直方向)に遮断してもよい。クランプ出口通路320は、クランプポート322をクランプピストン室310のクランプストローク領域334に流体接続し、クランプポート322を長手方向(すなわち、この場合、水平方向)に遮断してもよい。
【0180】
クランプポート322は、液圧クランプ線とクランプピストン室310のクランプストローク領域334との間に流体接続された開放端キャビティである。クランプポート322は、クランプ入口通路318付近に逃げ溝338を含むことができる。インポートシーケンシング弁400の底部ポートシールは、設置中にクリップされることなく、この逃げ溝338をクリアするように構成されている。クランプポート322は、所望のクランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁400またはポートプラグを受ける。そのため、クランプポート322は、その内部に、インポートシーケンシング弁400(またはポートプラグ)を固定するための(
図6に示される)螺旋ねじ山340を含んでもよい。
【0181】
アンクランプマニホルドポート324は、液圧アンクランプ線をアンクランプ入口通路326に流体接続することを可能にする。そのため、アンクランプマニホルドポート324は、Oリング面シール等を含んでもよい。アンクランプマニホルドポート324はまた、治具板の流体通路と流体的に位置合わせされるように構成されてもよい。
【0182】
アンクランプ入口通路326は、アンクランプマニホルドポート324をアンクランプポート330に流体接続し、アンクランプポート330を半径方向(すなわち、この場合、垂直方向)に遮断してもよい。アンクランプ出口通路328は、アンクランプポート330をクランプピストン室310のアンクランプストローク領域336に流体接続し、アンクランプポート330から長手方向(すなわち、この場合、水平方向)に延びてもよい。
【0183】
アンクランプポート330は、液圧アンクランプ線とクランプピストン室310のアンクランプストローク領域336との間に流体接続される開放端キャビティである。アンクランプポート330は、以下に説明するように、アンクランプシーケンシングに応じて、インポートシーケンシング弁またはポートプラグを受ける。この例示的な実施形態では、アンクランプポート330の開放端は、作動液がクランプピストン室310のアンクランプストローク領域336に自由に流れることを可能にしつつ、ポートプラグ402を介して閉じられる。そのため、アンクランプポート330は、その内部に、ポートプラグ402(またはインポートシーケンシング弁)を固定するための螺旋ねじ山を含んでもよい。
【0184】
クランプピストン304は、ピストンロッド306、ひいてはスイングアームおよび工作物コンタクトをアンクランプ位置とクランプ位置との間で垂直方向に移動させる。クランプピストン304は、クランプピストン室310を、クランプストローク領域334と、アンクランプストローク領域336とに分割するためのストロークシール342を含む。
【0185】
ピストンロッド306は、クランプピストン室310から上方に延び、スイングアームをクランプピストン304に接続する。ピストンロッド306は、円筒状であってもよく、カム等に追従して、スイングアームを工作物10の上で回転させてもよい。
【0186】
スイングアームは、クランプ位置において工作物上に延びている。そのため、スイングアームは、ピストンロッド306を介して、アンクランプ位置からクランプ位置まで垂直軸を中心に回転するように構成されている。
【0187】
工作物コンタクトは、上方から工作物と係合し、グリッパ、シュー、接触ボタン、接触ボルト、エンドエフェクタ等であってもよい。あるいは、スイングアームは、工作物に直接接触してもよい。
【0188】
本発明は、添付した図面に示す諸実施形態を参照して説明してきたが、特許請求の範囲に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書において均等物を採用することができ、置換を行うことができることに留意されたい。
【0189】
このように、本発明の様々な諸実施形態について説明してきたが、新たなものとして特許請求の範囲に記載され、特許証によって保護されることが望まれるものは、以下を含む。