(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】砕石デバイスのレーザ光源を制御するためのシステム、方法およびコンピュータ可読記憶デバイス
(51)【国際特許分類】
A61B 18/26 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
A61B18/26
(21)【出願番号】P 2020542770
(86)(22)【出願日】2019-02-09
(86)【国際出願番号】 US2019017391
(87)【国際公開番号】W WO2019157406
(87)【国際公開日】2019-08-15
【審査請求日】2021-11-24
(32)【優先日】2018-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】500498763
【氏名又は名称】ジャイラス エーシーエムアイ インク ディー/ビー/エー オリンパス サージカル テクノロジーズ アメリカ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン・エム・タルボット
(72)【発明者】
【氏名】カート・ジー・シェルトン
(72)【発明者】
【氏名】アン・ジー・マクローリン
(72)【発明者】
【氏名】千田 雅泰
【審査官】羽月 竜治
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-522058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0325890(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0133728(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0036751(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラを備えるシステムであって、
前記コントローラは、第1のプロセスを1回以上実行するように構成され、前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、
砕石デバイスのレーザ光源の少なくとも1つの可変動作パラメータを選択し、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定し、
前記複数のベース設定の前記各々について順番に、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータを前記複数のベース設定の各々の値に設定すること、および
設定された前記複数のベース設定の各々の値に基づいてレーザ光を出力するために前記レーザ光源を制御すること、
を実行し、
前記コントローラは、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の1つを選択し、
第2のプロセスを1回以上実行するように構成され、前記第2のプロセスでは、前記コントローラは、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の前記1つに基づいて前記レーザ光源を制御する、ように構成される、システム
において、
前記第2のプロセスでは、前記コントローラは、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の前記1つに基づいて選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの複数の最適化設定の各々の値を決定し、
前記複数の最適化設定の各々について順番に、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータを前記複数の最適化設定の各々の値に設定すること、および
設定された前記複数の最適化設定の各々の値に基づいてレーザ光を出力するために前記レーザ光源を制御すること、
を実行する、
ように構成されることによって、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の前記1つに基づいて前記レーザ光源を制御するように構成される、システム。
【請求項2】
前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、第1の所定の範囲内であるべき前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の各々の値を決定するように構成され、
前記第2のプロセスでは、前記コントローラは、前記第1の所定の範囲よりも小さい第2の所定の範囲内であるべき前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数の最適化設定の各々の値を決定するように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項3】
前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、サイズの順番で1つのベース設定および隣接するベース設定の値の差の絶対値が、第1の所定の定数であるように、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の各々の値を決定するように構成され、
前記第2のプロセスでは、前記コントローラは、
サイズの順番で1つの最適化設定および隣接する最適化設定の値の差の絶対値が、前記第1の所定の定数よりも小さい第2の所定の定数であるように、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数の最適化設定の各々の値を決定する、ように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記第2のプロセスの1回以上の実行より前に、前記レーザ光によって照射されるべき目標物体の特徴を検出し、
前記第2のプロセスの前記少なくとも1つ以上の繰り返しの実行後に、前記目標物体の前記特徴を検出する、
ためにセンサを制御し、
前記第2のプロセスの1回以上の実行より前から前記第2のプロセスの1回以上の実行後までの、前記目標物体の前記特徴の変化を決定し、
決定された前記目標物体の前記特徴の前記変化に基づいて選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数の最適化設定の1つを選択し、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数の最適化設定の1つに基づいて前記レーザ光源を制御する、
ように構成される、請求項
1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、前記少なくとも1つの可変動作パラメータとして、
前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光のエネルギー(E)、
前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光のピークパワー(P
peak)、
前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光のパルス幅(PW)、
前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光の平均パワー(P
avg)、および
前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光の周波数(F)、の少なくとも1つを選択するように構成されることによって、前記砕石デバイスの前記レーザ光源の前記少なくとも1つの可変動作パラメータを選択するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、
前記少なくとも1つの可変動作パラメータとして、前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光のピークパワー(P
peak)および前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光のパルス幅(PW)を選択することであって、前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光のエネルギー(E)は、方程式1:E=P
peak*PWに従ってP
peakおよびPWに関連付けられる、選択すること、または
前記少なくとも1つの可変動作パラメータとして、前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光のPWおよび周波数(F)を選択することであって、前記レーザ光源によって出力される前記レーザ光の平均パワー(P
avg)は、方程式2:P
avg=P
peak*PW*Fに従ってP
peak、PWおよびFに関連付けられる、選択すること、
を実行するように構成されることによって、前記砕石デバイスの前記レーザ光源の前記少なくとも1つの可変動作パラメータを選択するように構成され、
前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、
前記少なくとも1つの可変動作パラメータとしてP
peakおよびPWを選択することに応答して、方程式1におけるEが、P
peakの値およびPWの値の複数の組合せにわたって一定であるように、P
peakの前記値およびPWの前記値の前記複数の組合せを決定し、
前記少なくとも1つの可変動作パラメータとしてPWおよびFを選択することに応答して、方程式2におけるP
avgおよびP
peakが、PWの値およびPWの値の複数の組合せにわたって一定であるように、PWの前記値およびFの前記値の前記複数の組合せを決定する、
ように構成されることによって選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の前記各々の前記値を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、第1の所定の範囲内であるべき前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の各々の値を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記第1のプロセスでは、前記コントローラは、サイズの順番で1つのベース設定および隣接するベース設定の値の差の絶対値が、第1の所定の定数であるように、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の各々の値を決定するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラは、受け取ったユーザ選択に基づいて選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の1つを選択するように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記第1のプロセスの1回以上の実行より前に、目標物体の特徴を検出するためにセンサを制御し、
前記第1のプロセスを1回以上実行する際には
、前記レーザ光源の前記少なくとも1つの可変動作パラメータ
の選
択、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の各々の値
の決
定、または前記少なくとも1つの可変動作パラメータの選択と前記複数のベース設定の各々の値の決定と
の両方を
、前記センサによって検出された前記目標物体の特徴に基づいて実行する、
ように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記第1のプロセスの1回以上の実行より前に、前記レーザ光によって照射されるべき目標物体の特徴を検出し、
前記第1のプロセスの1回以上の実行後に、前記目標物体の前記特徴を検出する、
ためにセンサを制御し、
前記第1のプロセスの1回以上の実行より前から前記第1のプロセスの1回以上の実行後までの、前記目標物体の特徴の変化を決定し、
決定された前記目標物体の特徴の変化に基づいて選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の1つを選択する、
ように構成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記砕石デバイスをさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
命令を記憶するコンピュータ可読記憶デバイスであって、
前記命令は、コントローラのコンピュータに第1のプロセスを1回以上実行させ、前記第1のプロセスでは、前記コンピュータは、
砕石デバイスのレーザ光源の少なくとも1つの可変動作パラメータを選択し、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定し、
前記複数のベース設定の前記各々について順番に、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータを前記複数のベース設定の前記各々の前記値に設定すること、および
設定された前記複数のベース設定の前記各々の前記値に基づいてレーザ光を出力するために前記レーザ光源を制御すること、
を実行する、
ように構成され、
前記命令は、前記コントローラの前記コンピュータに選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の1つを選択させ、かつ
第2のプロセスを1回以上実行させ、前記第2のプロセスでは、前記コンピュータは、選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の1つに基づいて前記レーザ光源を制御するように構成される、コンピュータ可読記憶デバイス
において、
前記命令は、
前記第2のプロセスでは、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の1つに基づいて選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの複数の最適化設定の各々の値を決定すること、ならびに
前記複数の最適化設定の前記各々について順番に、
選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータを前記複数の最適化設定の各々の値に設定すること、および
設定された前記複数の最適化設定の各々の値に基づいてレーザ光を出力するために、前記レーザ光源を制御すること、
を少なくとも実行すること、によって選択された前記少なくとも1つの可変動作パラメータの前記複数のベース設定の1つに基づいて前記レーザ光源を制御させること、
を前記コンピュータに実行させる、コンピュータ可読記憶デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、その内容全体が、参照により本明細書に組み込まれる、2018年2月9日に出願された、米国仮出願第62/628,513号の便益を主張するものである。
【0002】
本発明は一般に、結石または石などの目標物体を断片化するまたは破砕するために砕石デバイスのレーザ光源を制御するためのシステム、方法および命令を記憶するコンピュータ可読記憶デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
結石または石は、尿路内に生じ、痛み、出血、尿の流れの屈曲および/または妨害を引き起こすこともある、硬いかたまりである。より小さい結石または石は、症状を引き起こさないこともあり、ひとりでに腎臓から尿路を通って尿内に排出されることもある。ひとりでに通過しない、より大きい結石または石は、砕石術を用いて除去することができる。
【0004】
砕石術は、尿管鏡などの内視鏡の使用を伴うことができる。内視鏡は、結石または石に達するために、尿道を通り、膀胱に入り、尿管を上がり、腎臓の集合系内に挿入されてもよい。内視鏡は、内視鏡の挿入を案内するための画像を提供し、結石または石を可視化するために撮像デバイスを含むことができる。いくつかの事例では、内視鏡は、より大きい結石または石を、内視鏡を用いて除去されるまたは尿内に排出されることが可能な、より小さい切片に断片化するまたは破砕するために、内視鏡のワーキングチャネルを通り、ワーキングチャネルの遠位開口から外へ挿入されるデバイスとともに使用することができる。1つのそのようなデバイスは、結石または石を断片化するまたは破砕するためのエネルギー源としてレーザ光を出力するための光ファイバを含む。
【0005】
結石または石は、結晶を形成する尿内の無機物でできていることもある。結石または石は、主にカルシウムで構成されることもある。しかしながら、結石または石は、尿酸、シスチン、またはストルバイト(マグネシウム、アンモニウムおよびリン酸塩の混合物)などの他の物質で構成されることもある。
【0006】
結石または石が生じるメカニズムは、均一な組成または不均一な組成を有する結石または石をもたらすこともある。均一な組成を有する結石または石は、結石または石全体にわたって実質的に一貫性のある機械的性質を有する可能性がより高い。そのような結石または石は、単一の組の動作パラメータ(例えば、エネルギー、ピークパワー、パルス幅、平均パワー、および周波数)を有するレーザ光を用いてより容易に断片化されるまたは破砕されることもある。対照的に、不均一な組成を有する結石または石は、いろいろな機械的特性を有する可能性がより高い。そのような結石または石は、単一の組の動作パラメータを有するレーザ光を用いて断片化するまたは破砕するのがより難しいこともある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、いろいろな機械的特性を有する結石または石をより効果的にかつ効率良く断片化するまたは破砕するための技法の必要性が、存在する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態は、コントローラを備えるシステムであって、コントローラは、第1のプロセスの1つ以上の繰り返しを行うように構成され、第1のプロセスでは、コントローラは、砕石デバイスのレーザ光源の少なくとも1つの可変動作パラメータを選択し、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定し、複数のベース設定の各々について順番に、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータを複数のベース設定の各々の値に設定すること、および設定された複数のベース設定の各々の値に基づいてレーザ光を出力するためにレーザ光源を制御すること、を行うように構成され、コントローラは、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つを選択し、第2のプロセスの1つ以上の繰り返しを行うように構成され、第2のプロセスでは、コントローラは、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つに基づいてレーザ光源を制御するように構成される、システムを提供する。
【0009】
本発明の別の実施形態は、第1のプロセスの1つ以上の繰り返しを行うステップであって、第1のプロセスは、砕石デバイスのレーザ光源の少なくとも1つの可変動作パラメータを選択するステップと、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定するステップと、複数のベース設定の各々について順番に、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータを複数のベース設定の各々の値に設定するステップ、および設定された複数のベース設定の各々の値に基づいてレーザ光を出力するためにレーザ光源を制御するステップ、を行うステップと、を含む、ステップと、選択された少なくも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つを選択するステップと、第2のプロセスの1つ以上の繰り返しを行うステップであって、第2のプロセスは、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つに基づいてレーザ光源を制御するステップを含む、ステップと、を含む、方法を提供する。
【0010】
本発明の別の実施形態は、命令を記憶するコンピュータ可読記憶デバイスであって、命令は、コントローラのコンピュータに第1のプロセスの1つ以上の繰り返しを行わせ、第1のプロセスでは、コンピュータは、砕石デバイスのレーザ光源の少なくとも1つの可変動作パラメータを選択し、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定し、複数のベース設定の各々について順番に、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータを複数のベース設定の各々の値に設定すること、および設定された複数のベース設定の各々の値に基づいてレーザ光を出力するためにレーザ光源を制御することを行うように構成され、命令は、コントローラのコンピュータに選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つを選択させ、かつ第2のプロセスの1つ以上の繰り返しを行わせ、第2のプロセスでは、コンピュータは、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つに基づいてレーザ光源を制御するように構成される、コンピュータ可読記憶デバイスを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本システムの一実施形態による、人体内腔内の結石を断片化するための内視鏡デバイス、砕石デバイスおよび制御デバイスを含むシステムの概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるコントローラによって行われるステップの流れ図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるコントローラによって行われる追加のステップの流れ図である。
【
図4】本発明の一実施形態による、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値の決定を例示するグラフである。
【
図5】本発明の一実施形態による、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数の最適化設定の各々の値の決定を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態によるシステム1は、図面を参照して今から述べられることになる。
【0013】
図1に示されるように、システム1は、内視鏡デバイス10、砕石デバイス20および制御デバイス30を含むことができ、それらの各々の詳細は、以下で述べられることになる。
【0014】
システム1は、人体内腔内の結石(または石)を断片化するまたは破砕するために、対象者の人体内腔への医療処置に使用することができる。例として、人体内腔は、膀胱、尿管または腎臓の集合系とすることができる。しかしながら、システム1は、実質的に任意の人体内腔からの、または人間以外の内腔からの結石を断片化するまたは破砕するために使用することができる。
【0015】
内視鏡デバイス10は、遠位端を有する挿入部分12を含むことができ、ただし挿入部分12は、結石C(または石)に達するために、尿道を通り、膀胱に入り、尿管を上がり、腎臓の集合系内に挿入されるべきサイズにされ、十分な柔軟性を提供されてもよい。挿入部分12は、挿入部分12の少なくとも一部を通って挿入部分12の遠位端における開口まで延びるワーキングチャネル14を規定することができる。ワーキングチャネル14は、治療器具または砕石デバイス20の一部分などの構造物(以下でより詳細に述べられるような)がそれを通過し、開口部を超えることが可能である形状にされてもよい。
【0016】
内視鏡デバイス10は、光源(例示略)および画像センサ16を含むことができる。内視鏡デバイス10の光源は、人体内腔の内部および結石Cを照らすために可視光などの光を出力することができる。画像センサ16は、画像センサ16の結像面に入射する戻り光を制御デバイス30によって画像に画像処理されるべき画像信号に光変換する(photoconvert)ことができる。この手段によって、画像センサ16および制御デバイス30は、複数の画像(またはビデオ)を時間にわたって生成することができる。
【0017】
砕石デバイス20は、制御デバイス30の制御下でレーザ光を出力することができるレーザ光源22を含むことができる。レーザ光源22は、例えば、ホルミウム(Ho)レーザ光源、ホルミウム(hulium):YAG(Ho:YAG)レーザ光源、ネオジムドープ:YAG(Nd:YAG)レーザ光源、半導体レーザダイオード、チタン酸リン酸カリウム結晶(KTP)レーザ光源、二酸化炭素(CO2)レーザ光源、アルゴンレーザ光源、エキシマレーザ光源、ダイオードレーザ光源または別の適切なレーザ光源とすることができる。
【0018】
レーザ光源22は、レーザ光の1つ以上の動作パラメータを変えるために制御デバイス30によって制御することができる。レーザ光の動作パラメータは、レーザ光のエネルギー(E)、レーザ光のピークパワー(Ppeak)、レーザ光のパルス幅(PW)、レーザ光の平均パワー(Pavg)、およびレーザ光の周波数(F)を含むが、限定はされない。
【0019】
動作パラメータは、少なくとも次に来る方程式によって関連付けられる。
方程式1: E=Ppeak*PW
方程式2: Pavg=E*F=Ppeak*PW*F
【0020】
砕石デバイス20はさらに、ワーキングチャネル14の開口部を越えて延びるために内視鏡デバイス10のワーキングチャネル14を通って挿入できる光ファイバ24を含むことができる。光ファイバ24は、結石Cに照射するためにレーザ光源22によって生成されるレーザ光を伝達することができる。レーザ光から吸収されるエネルギーは、結石Cを断片化させるまたは破砕させることができる。
【0021】
制御デバイス30は、コントローラ32、入力デバイス34およびディスプレイ36を含むことができる。
【0022】
コントローラ32は、ハードウェアを備えるプロセッサ、およびハードウェア(例えば、メモリ)を備える記憶装置を含むことができる。プロセッサの機能は、例えば、ハードウェアのそれぞれの部品によって実施されてもよくまたはハードウェアの統合された部品によって実施されてもよい。ハードウェアは、例えば、1つもしくは複数の回路デバイス(例えば、集積回路(IC))または回路基板上の1つもしくは複数の回路要素(例えば、抵抗器、キャパシタ、その他)を含んでもよい。プロセッサは、例えば、1つ以上の中央処理ユニット(CPU)とすることができるが、しかしこれは、限定する意味で解釈すべきでなく、グラフィックス処理ユニット(GPU)およびデジタルシグナルプロセッサ(DSP)を含む様々なタイプのプロセッサが、使用されてもよい。プロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)を有するハードウェア回路であってもよい。ハードウェアを備える記憶装置は、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)およびダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)などの半導体メモリ、レジスタ、ハードディスクデバイスなどの磁気記憶デバイス、および光ディスクデバイスなどの光記憶デバイスであってもよい。記憶装置は、例えば、コンピュータ可読命令を記憶する。命令が、プロセッサによって実行されるとき、本明細書で述べられるコントローラ32の機能が、実施される。
【0023】
コントローラ32は、以下で詳細に述べられる技法によって撮像デバイス20および砕石デバイス20を制御することができる。
【0024】
入力デバイス34は、入力をユーザから受け取ることができるデバイスを含むことができる。入力デバイス34は、ポインティングデバイス、タッチスクリーン、キーボードおよび音声制御などの非触覚実体を含むことができる。
【0025】
入力デバイス34、ディスプレイ36、内視鏡デバイス10および砕石デバイス20と協力してコントローラ32によって行うことができるプロセスは、
図2および
図3を参照して以下で詳細に述べられる。
【0026】
図2に示されるように、コントローラ32は、第1のプロセスの1つ以上の繰り返しを行うことができる。
【0027】
第1のプロセスの各繰り返しは、ステップS12からS16を含むことができる。
【0028】
ステップS12において、コントローラ32は、砕石デバイス20のレーザ光源22の少なくとも1つの可変動作パラメータを選択することができる。レーザ光源22の少なくとも1つの可変動作パラメータは、例えば、レーザ光源22によって出力されるレーザ光のエネルギー(E)、レーザ光源22によって出力されるレーザ光のピークパワー(Ppeak)、レーザ光源22によって出力されるレーザ光のパルス幅(PW)、レーザ光源22によって出力されるレーザ光の平均パワー(Pavg)、およびレーザ光源22によって出力されるレーザ光の周波数(F)の1つ以上を含むことができる。
【0029】
ステップS14において、コントローラ32は、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。
【0030】
ステップS16において、コントローラ32は、順番に、複数のベース設定の各々について、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータを複数のベース設定の各々の値に設定すること、および設定された複数のベース設定の各々の値に基づいて結石Cにレーザ光を出力するためにレーザ光源22を制御することを行うことができる。
【0031】
第1のプロセスの1つ以上の繰り返しを行った後、コントローラ32は、ステップS18において、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つを選択することができる。
【0032】
次に、
図3に示されるように、コントローラ32は、第2のプロセスの1つ以上の繰り返しを行うことができる。
【0033】
第2のプロセスの各繰り返しは、ステップS22およびS24を含むことができる。
【0034】
ステップS22において、コントローラ32は、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の1つに基づいて選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数の最適化設定の各々の値を決定することができる。
【0035】
ステップS24において、コントローラ32は、順番に、複数の最適化設定の各々について、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータを複数の最適化設定の各々の値に設定すること、および設定された複数の最適化設定の各々の値に基づいて結石Cにレーザ光を出力するためにレーザ光源22を制御することを行うことができる。
【0036】
第2のプロセスの1つ以上の繰り返しを行った後、コントローラ32は、ステップ26において、決定された目標物体の特徴の変化に基づいて選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数の最適化設定の1つを選択することができる。
【0037】
次に、ステップS28において、コントローラ32は、選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数の最適化設定の1つに基づいて結石Cにレーザ光を出力するためにレーザ光源22を制御することができる。
【0038】
ステップS28に続いて、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、第1および第2のプロセスによって最適化された動作パラメータを有するレーザ光を用いて治療された結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32は、1つ以上の画像を見ているユーザが、異なる最適化設定の下でより効率良く断片化されまたは破砕されることが可能な異なる機械的特性を有する結石Cの別の層を明らかにするために、1つの機械的特性を有する結石Cの1つの層が断片化されるまたは破砕されることによって除去されたかどうかを決定することを可能にするために、1つ以上の画像を表示するためのディスプレイ36を制御することができる。
【0039】
ステップS28に続いて、入力デバイス34は、1つ以上の入力をユーザから受け取り、1つ以上の入力に基づいて1つ以上の命令をコントローラ32に出力することができる。さらに、コントローラ32は、1つ以上の命令に基づいて、ユーザが、結石Cの別の層を断片化するまたは破砕するのにより適した複数のベース設定の各々の値の決定のためにステップS12からS16に戻るように命令したかどうかを決定することができる。もしステップS12からS16に戻ることが、命令されるならば、コントローラ32は、ステップS12からS16を再度実行することができる。もしステップS12からS16に戻ることが、望まれないならば、上述のプロセスは、終了する。
【0040】
次に、ステップS12~S28の詳細が、実施例として述べられることになる。
【0041】
(第1の実施例)
ステップS12~S28の詳細は、第1の実施例として以下に述べられることになる。
【0042】
ステップS12において、入力デバイス34は、1つ以上の入力をユーザから受け取り、1つ以上の入力に対応する1つ以上の命令をコントローラ32に出力することができる。ステップS12およびS14において、コントローラ32は、1つ以上の命令を入力デバイス34から受け取り、入力デバイス34から受け取った1つ以上の命令に基づいて可変動作パラメータとしてレーザ光源22によって出力されるレーザ光のピークパワーPpeak(またはパルス幅PW)を選択し、レーザ光のピークパワーPpeak(またはパルス幅PW)の複数のベース設定の各々の値を決定することができる。
【0043】
コントローラ32は、入力デバイス34から受け取った1つ以上の命令に基づいてレーザ光のピークパワーPpeakの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。
【0044】
入力デバイス34から受け取った1つ以上の命令は、レーザ光のピークパワーPpeakの値の第1の範囲(すなわち、上限および下限)を示すことができる。コントローラ32は次いで、1つ以上の命令によって示されるレーザ光のピークパワーPpeakの値の第1の範囲内に入るレーザ光のピークパワーPpeakの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。その上、コントローラ32は、ピークパワーPpeakの値の第1の範囲内に均等に分配されるべきピークパワーPpeakの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。
【0045】
第1の実施例の変更形態では、入力デバイス34は、第1の範囲内のピークパワーPpeakの複数のベース設定の各々の値を示す1つ以上の入力を受け取り、1つ以上の入力に対応する1つ以上の命令をコントローラ32に出力することができる。コントローラ32は次いで、入力デバイス34から受け取った1つ以上の命令に基づいてレーザ光のピークパワーPpeakの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。
【0046】
ステップS16において、コントローラ32は、順番に、複数のベース設定の各々について、レーザ光のピークパワーPpeakを複数のベース設定の各々の値に設定すること、および結石Cを断片化もしくは破砕しようとするまたは断片化もしくは破砕し始めるために、複数のベース設定の各々の値に設定されたピークパワーPpeakを有するレーザ光を結石Cに向かって出力するためにレーザ光源22を制御することを行うことができる。
【0047】
第1のプロセスの第1の繰り返し(ステップS12~S16を含む)を行った後、コントローラ32は、第1のプロセスの第2のまたはその後の繰り返しを行うことができる。第1のプロセスの第2のまたはその後の繰り返しでは、コントローラ32は、レーザ光源22によって出力されるレーザ光の周波数Fなどの別の可変動作パラメータを選択し、レーザ光の可変動作パラメータとしてのレーザ光の周波数Fの選択に基づいてステップS14およびS16を進行することができる。
【0048】
ステップS18において、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、複数のベース設定の各々の値に設定されたピークパワーPpeakを有する異なるレーザ光によって治療された結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32は、ユーザが、結石Cを断片化するまたは破砕するために異なるレーザ光の各々の有効性を判断することを可能にするために生成された1つ以上の画像を表示するためのディスプレイ36を制御することができる。
【0049】
さらに、ステップS18において、入力デバイス34は、1つ以上の入力をユーザ(ディスプレイ36上に表示される結石Cの1つ以上の画像を見た)から受け取り、1つ以上の入力に対応する1つ以上の命令をコントローラ32に出力することができる。コントローラ32は次いで、ユーザの1つ以上の入力に従ってレーザ光のピークパワーPpeakの複数のベース設定の1つを選択することができる。選択されたピークパワーPpeakの複数のベース設定の1つは、ディスプレイ36上に表示される結石Cの1つ以上の画像に基づく、ピークパワーPpeakの複数のベース設定の1つが、結石Cを断片化するまたは破砕するための複数のベース設定の中で最も効果的であるというユーザの決定を示す。
【0050】
ステップS22において、コントローラ32は、ステップS18において選択された複数のベース設定の1つに基づいてレーザ光のピークパワーPpeakの複数の最適化設定の各々の値を決定することができる。
【0051】
ここで、コントローラ32は、レーザ光のピークパワーPpeakの第2の範囲(すなわち、上限および下限)を設定することができ、ただし第2の範囲は、ステップS14において確立された第1の範囲よりも小さい。コントローラ32は次いで、レーザ光のピークパワーPpeakの第2の範囲内に入るレーザ光のピークパワーPpeakの複数の最適化設定の各々の値を決定することができる。その上、コントローラ32は、ピークパワーPpeakの第2の範囲内に均等に分配されるべきピークパワーPpeakの複数の最適化設定の各々の値を決定することができる。
【0052】
ステップS24において、コントローラ32は、順番に、複数の最適化設定の各々について、レーザ光のピークパワーPpeakをピークパワーPpeakの複数の最適化設定の各々の値に設定すること、および設定された複数の最適化設定の各々の値に基づいてレーザ光を出力するためにレーザ光源22を制御することを行うことができる。
【0053】
ステップS26において、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、複数の最適化設定の各々の値に設定されたピークパワーPpeakを有する異なるレーザ光によって治療された結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32は、ユーザが、結石Cを断片化するまたは破砕するために異なるレーザ光の有効性を判断することを可能にするために生成された1つ以上の画像を表示するためのディスプレイ36を制御することができる。
【0054】
さらに、ステップS26において、入力デバイス34は、1つ以上の入力を (ディスプレイ36上に表示される結石Cの1つ以上の画像を見た) ユーザから受け取り、1つ以上の入力に対応する1つ以上の命令をコントローラ32に出力することができる。コントローラ32は次いで、ユーザの1つ以上の入力に従ってレーザ光のピークパワーPpeakの複数の最適化設定の1つを選択することができる。選択されたピークパワーPpeakの複数の最適化設定の1つは、ディスプレイ36上に表示される結石Cの1つ以上の画像に基づく、ピークパワーPpeakの複数の最適化設定の1つが、結石Cを断片化するまたは破砕するための複数の最適化設定の中で最も効果的であるというユーザの決定を示す。
【0055】
ステップS28において、コントローラ32はさらに、結石Cをより効果的にかつ効率良く断片化するまたは破砕するために、選択されたレーザ光のピークパワーPpeakの複数の最適化設定の1つに基づいてレーザ光源22を制御することができる。
【0056】
[第2の実施例]
ステップS12~S28の詳細は、第2の実施例として以下で述べられることになる。
【0057】
第2の実施例は、ステップS12およびS14において、コントローラ32が、1つ以上の命令を入力デバイス34から受け取り、入力デバイス34から受け取った1つ以上の命令に基づいて (第1の実施例でのような単一の可変動作パラメータの代わりに) 複数の可変動作パラメータを選択し、レーザ光の複数の動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定することができるという点において第1の実施例と異なる。
【0058】
上で論じられた方程式1を参照すると、コントローラ32は、複数の可変動作パラメータとしてレーザ光のピークパワーPpeakおよびパルス幅PWを選択することができる。
【0059】
さらに、
図4に示されるように、コントローラ32は、レーザ光のピークパワーP
peakおよびパルス幅PWの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。具体的には、コントローラ32は、レーザ光のエネルギーEが一定であることを可能にすることになるピークパワーP
peakおよびパルス幅PWの値の組合せを決定することができる。例えば、コントローラ32は、第1のベース設定について、ピークパワーP
peakの値がP
peak1であり、パルス幅PWの値がPW1であると決定することができ、ただしP
peak1の値を有するピークパワーP
peakおよびPW1の値を有するパルス幅PWの動作パラメータの下で出力されるレーザ光は、所定のエネルギーEnergy1を有することになる。
【0060】
コントローラ32はさらに、第2のベース設定について、ピークパワーPpeakの値がPpeak2であり、パルス幅PWの値がPW2であると決定することができ、ただしPpeak2は、Ppeak1よりも小さく、PW2は、PW1よりも大きく、Ppeak2の値を有するピークパワーPpeakおよびPW2の値を有するパルス幅PWの動作パラメータの下で出力されるレーザ光は、同じ所定のエネルギーEnergy1を有することになる。
【0061】
コントローラ32はさらに、第3のベース設定について、ピークパワーPpeakの値がPpeak3であり、パルス幅PWの値がPW3であると決定することができ、ただしPpeak3は、Ppeak1よりも大きく、PW3は、PW1よりも小さく、Ppeak3の値を有するピークパワーPpeakおよびPW3の値を有するパルス幅PWの動作パラメータの下で出力されるレーザ光は、同じ所定のエネルギーEnergy1を有することになる。
【0062】
第1のプロセスの第2のまたはその後の繰り返しでは、コントローラ32は、レーザ光が、所定のエネルギーEnergy2を有することを可能にすることになるレーザ光のピークパワーPpeakおよびパルス幅PWの値の組合せを決定することができ、ただしEnergy2はEnergy1と異なる。
【0063】
第1のプロセスの第2のまたはその後の繰り返しでは、コントローラ32はまた、他の可変動作パラメータを選択することもできる。例えば、コントローラ32は、上で論じられた方程式2を参照して、複数の可変動作パラメータとして周波数Fおよびパルス幅PWを選択することができる。
【0064】
さらに、方程式2を参照すると、コントローラ32は、レーザ光の周波数Fおよびパルス幅PWの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。具体的には、コントローラ32は、レーザ光の平均パワーPavgが一定であることを可能にすることになる周波数Fおよびパルス幅PWの値の組合せを決定することができる。この実施例では、方程式2を参照すると、コントローラ32は、高ピークパワーが、結石Cを断片化するまたは破砕するのにより効果的であるという証拠に基づいて、レーザ光のピークパワーPpeakを不変に保つ。
【0065】
第2の実施例は、コントローラ32が、複数の動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を第1の範囲内の値に決定することができるという点において第1の実施例に似ている。具体的には、コントローラ32は、Ppeak1、Ppeak2およびPpeak3を第1の範囲内のピークパワー値に決定し、PW1、PW2およびPW3を第1の範囲内のパルス幅値に決定することができる。
【0066】
第2の実施例はさらに、ステップS22において、コントローラ32が、レーザ光の複数の動作パラメータの複数の最適化設定の各々の値を決定することができるという点において第1の実施例と異なる。
【0067】
さらに、
図5に示されるように、コントローラ32は、上で論じられた方程式1を参照して、ステップS18における値P
peak2およびPW2を有するベース設定の選択に基づいてレーザ光のピークパワーP
peakおよびパルス幅PWの複数の最適化設定の各々の値を決定することができる。具体的には、コントローラ32は、レーザ光のエネルギーEが一定であることを可能にすることになるピークパワーP
peakおよびパルス幅PWの値の組合せを決定することができる。例えばコントローラ32は、第1の最適化設定について、ピークパワーP
peakの値がP
peak2であり、パルス幅PWの値がPW2であると決定することができ、ただしP
peak2の値を有するピークパワーP
peakおよびPW2の値を有するパルス幅PWの動作パラメータの下で出力されるレーザ光は、所定のエネルギーEnergy1を有することになる。
【0068】
コントローラ32はさらに、第2の最適化設定について、ピークパワーPpeakの値がPpeak2´であり、パルス幅PWの値がPW2´であると決定することができ、ただしPpeak2´は、Ppeak2よりも大きく、PW2´は、PW2よりも小さく、Ppeak2´の値を有するピークパワーPpeakおよびPW2´の値を有するパルス幅PWの動作パラメータの下で出力されるレーザ光は、同じ所定のエネルギーEnergy1を有することになる。
【0069】
コントローラ32はさらに、第3の最適化設定について、ピークパワーPpeakの値がPpeak2´´であり、パルス幅PWの値がPW2´´であると決定することができ、ただしPpeak2´´は、Ppeak2よりも小さく、PW2´´は、PW2よりも大きく、Ppeak2´´の値を有するピークパワーPpeakおよびPW2´´の値を有するパルス幅PWの動作パラメータの下で出力されるレーザ光は、同じ所定のエネルギーEnergy1を有することになる。
【0070】
[第3の実施例]
ステップS12~S28の詳細は、第3の実施例として以下で述べられることになる。
【0071】
第3の実施例は、ステップS12、S14、S18、S22およびS26の1つ以上が、センサによって検出される結石Cの特徴に従って行われてもよいという点において第2の実施例と異なる。
【0072】
ステップS12およびS14において、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32はさらに、結石Cの1つ以上の特徴を検出するために、結石Cの1つ以上の画像を処理することができる。結石Cの1つ以上の特徴は、結石Cのサイズ、結石Cの色、および結石Cの外部幾何形状を含むことができるが、限定はされない。さらに、コントローラ32は、検出された結石Cの1つ以上の特徴に基づいてレーザ光の少なくとも1つの可変動作パラメータを選択することができる。さらになお、コントローラ32は、検出された結石Cの1つ以上の特徴に基づいて選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定することができる。例として、ステップS12において、コントローラ32は、結石Cのサイズが所定のサイズを上回ると決定することに応答して、エネルギーEをより高い所定値に設定し、ピークパワーPpeakおよびパルス幅PWを少なくとも1つの可変動作パラメータに選択し、方程式1を満たす複数のベース設定の各々の値を決定することができる。
【0073】
コントローラ32のメモリはまた、1つ以上の特徴とレーザ光の対応する少なくとも1つの可変動作パラメータとの間の所定の関係を記憶することもできる。コントローラ32は次いで、ステップS12において少なくとも1つの可変動作パラメータを選択し、ステップS14において選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数のベース設定の各々の値を決定するために、記憶された所定の関係を考慮して検出された結石Cの1つ以上の特徴を考察することができる。
【0074】
ステップS18において、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、ステップS12~S16に従ってレーザ光を用いて結石Cを治療した後に結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32はさらに、結石Cの1つ以上の特徴を検出するために結石Cの1つ以上の画像を処理することができる。結石Cの1つ以上の特徴は、結石Cのサイズの変化、結石Cの色の変化、および結石Cの外部幾何形状の変化を含むことができるが、しかし限定はされない。コントローラ32はさらに、検出された結石Cの1つ以上の特徴に基づいて複数のベース設定の1つを選択することができる。例として、ステップS18において、コントローラ32は、結石Cのサイズの最大減少を示す画像を決定し、結石Cのサイズの最大減少をもたらす複数のベース設定の1つを決定し、決定された複数のベース設定の1つを選択することができる。
【0075】
ステップS22において、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32はさらに、結石Cの1つ以上の特徴を検出するために結石Cの1つ以上の画像を処理することができる。結石Cの1つ以上の特徴は、結石Cのサイズ、結石Cの色、および結石Cの外部幾何形状を含むことができるが、限定はされない。さらに、コントローラ32は、検出された結石Cの1つ以上の特徴に基づいて選択された少なくとも1つの可変動作パラメータの複数の最適化設定の各々の値を決定することができる。
【0076】
ステップS26において、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、ステップS22およびS24に従ってレーザ光を用いて結石Cを治療した後に結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32はさらに、結石Cの1つ以上の特徴を検出するために、結石Cの1つ以上の画像を処理することができる。結石Cの1つ以上の特徴は、結石Cのサイズの変化、結石Cの色の変化、および結石Cの外部幾何形状の変化を含むことができるが、限定はされない。コントローラ32はさらに、検出された結石Cの1つ以上の特徴に基づいて複数の最適化設定の1つを選択することができる。例として、ステップS26において、コントローラ32は、結石Cのサイズの最大減少を示す画像を決定し、結石Cのサイズの最大減少をもたらす複数の最適化設定の1つを決定し、決定された複数の最適化設定の1つを選択することができる。
【0077】
ステップS28の後、コントローラ32は、画像センサ16と一緒に、ステップS28に従ってレーザ光を用いて結石Cを治療した後に結石Cの1つ以上の画像を生成することができる。コントローラ32はさらに、結石Cの1つ以上の特徴を検出するために、結石Cの1つ以上の画像を処理することができる。コントローラ32はさらに、検出された結石Cの1つ以上の特徴に基づいてステップS12~S16に戻るかどうかを決定することができる。例として、コントローラ32はさらに、結石Cのサイズの変化が、所定のしきい値以下であるという決定、または結石Cの色の変化が、所定の量以下であるという決定に基づいてステップS12~S16に戻ると決定することができる。
【0078】
上で提供された記述では、画像を生成しかつ処理する機能、およびレーザ光源22を制御する機能は、コントローラ32によって行われると記述される。しかしながら、画像を生成しかつ処理する機能およびレーザ光源22を制御する機能は、互いに通信する別個のコントローラによって行われてもよいと理解される。
【0079】
本発明の別の実施形態は、上で述べられたコントローラ32によって行われる方法を含む。
【0080】
なお、本発明の別の実施形態は、コントローラ32のハードウェアを備えるプロセッサに上で述べられた機能を行わせることができる命令を記憶するコンピュータ可読記憶デバイスを含む。
【0081】
上で述べられた技法では、ステップS18の後、複数のベース設定の1つに対応する特定の機械的特性を有する結石Cを断片化するまたは破砕するためにより効果的である、レーザ光源22によって出力されるレーザ光のピークパワーPpeak(または別の可変動作パラメータ)の複数のベース設定の1つが、特定の機械的特性を有する結石Cをより効果的に断片化するまたは破砕するために選択される。ステップS18におけるそのような選択は、従来の砕石技法を超える改善を表す。さらに、ステップS28の後、複数の最適化設定の1つを選択することは、結石Cのさらにより効果的な断片化または破砕を可能にする。ステップS28におけるそのような選択は、従来の砕石技法を超える付加的改善を表す。
【0082】
本発明の実施形態が、述べられたが、もちろん、形または詳細の様々な変更および変化が、本発明の趣旨から逸脱することなく容易になされることもあり得ると理解されることになる。したがって、本発明は、述べられかつ例示される厳密な形に限定されず、添付の特許請求の範囲内に入ることもあるすべての変更をカバーするように構成されるべきであるということが、意図されている。
【符号の説明】
【0083】
1 システム
10 内視鏡デバイス
12 挿入部分
14 ワーキングチャネル
16 画像センサ
20 砕石デバイス
22 レーザ光源
24 光ファイバ
30 制御デバイス
32 コントローラ
34 入力デバイス
36 ディスプレイ
C 結石