(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】アリコートトーンを減衰させるための装置および方法
(51)【国際特許分類】
G10C 3/26 20190101AFI20231030BHJP
【FI】
G10C3/26
(21)【出願番号】P 2020543459
(86)(22)【出願日】2018-10-18
(86)【国際出願番号】 SI2018050033
(87)【国際公開番号】W WO2019083462
(87)【国際公開日】2019-05-02
【審査請求日】2021-09-09
(32)【優先日】2017-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SI
(73)【特許権者】
【識別番号】520143889
【氏名又は名称】メルコチ、アントン
【氏名又は名称原語表記】MERKOCI,Antun
(73)【特許権者】
【識別番号】520143890
【氏名又は名称】ブラチッチ、アレス
【氏名又は名称原語表記】BRACIC,Ales
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】メルコチ、アントン
(72)【発明者】
【氏名】ブラチッチ、アレス
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-003927(JP,U)
【文献】特開2010-085679(JP,A)
【文献】特開2006-003530(JP,A)
【文献】特開平10-301562(JP,A)
【文献】特開平10-260674(JP,A)
【文献】特表2017-513058(JP,A)
【文献】実開昭53-039036(JP,U)
【文献】実開昭51-123017(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2004/0007116(US,A1)
【文献】米国特許第05022302(US,A)
【文献】米国特許第05515759(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10C 1/00-9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの係留点(7)の間に取り付けられている複数の弦(6)を有するピアノまたはアップライトピアノにおける使用のためのアリコートトーンの減衰装置(1)であって、前記装置(1)は、
押圧材(2)が係留された少なくとも1つの押圧要素(8)と、
少なくとも一つの可動要素(3)と、
少なくとも一つの戻り要素(10)と、
連結部材(5)と、
アクチュエータ(4)と、を備え、
前記アクチュエータ(4)は前記連結部材(5)を介して前記可動要素(3)を作動させ、
前記少なくとも1つの押圧要素(8)は、少なくとも一群の複数の弦(6)に亘り且つ前記一群の複数の弦(6)を横切るように延在するよう延びた形状を有し、前記一群の複数の弦(6)の上に配置されていることを特徴とし、
該可動要素(3)を作動させることによって、ガイド(9)により導かれた前記押圧要素(8)が前記一群の複数の弦(6)に向かって変位させられ、前記押圧材(2)が前記一群の複数の弦(6)の作動している箇所の先端または末端に対して、最初または最後の係留点(7)において、押圧されることで、前記一群の複数の弦(6)の前記アリコートトーンのみが減衰し、前記一群の複数の弦(6)の各々の弦の基音の音色を変化させ、新たなサウンドレジスタを提供し、
前記可動要素(3)の変位によって、戻り要素(10)が同時に作動させられ、作動が終わると、前記戻り要素(10)によって前記可動要素(3)と、したがって、前記押圧要素(8)とが初期位置に戻される、装置。
【請求項2】
前記押圧材(2)は、前記弦(6)に対して押圧されるときに僅かに変形する材料の中から選択された弾性材であって、
前記弦と接触する前記弾性材の一部は、形状が前記弦(6)の形状に適応して、前記弦(6)と前記弾性材との間における接触面が増えて、前記弾性材が解放されると初期位置に戻ることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記連結部材(5)は機械式であって、コード、ロープ、鋼線、棒鋼、または他の機械連結部材として形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記連結部材(5)は、油圧導体、空気圧導体、または電気導体として形成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記連結部材(5)は無線式であって、前記アクチュエータ(4)は、前記可動要素(3)を動作させる無線信号を送信することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記可動要素(3)は、非円形状
の機械要素として形成され、
作動は、前記機械要素を軸の周りで回転させることにより行われ、
前記機械要素の前記非円形状によって、前記機械要素の押圧点が変化する、より正確には、前記機械要素の回転点から前記機械要素の前記押圧点までの距離を定める半径が変化することを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記可動要素(3)は、油圧シリンダまたは空気圧シリンダまたは電磁石として形成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
二つの係留点(7)の間に取り付けられている複数の弦(6)を有するピアノまたはアップライトピアノにおけるアリコートトーンを減衰させるための方法であって、前記方法は請求項1~7のいずれか一項に記載の装置に対して実行され、
前記アクチュエータ(4)は前記連結部材(5)を介して前記可動要素(3)を作動させることを特徴とし、
前記可動要素(3)は変位中、前記押圧材(2)が係留された押圧要素(8)に対して押圧されることによって、前記複数の弦(6)の最初または最後の係留点(7)における前記複数の弦(6)のうち作動している箇所の最初または最後の部分において前記押圧材(2)が前記複数の弦(6)を押圧して前記複数の弦(6)の前記アリコートトーンのみを減衰させ、前記複数の弦(6)の基音の音色を変化させ、新たなサウンドレジスタを提供するように、ガイド(9)により導かれた前記押圧要素(8)を前記複数の弦(6)に向けて変位させ、
前記可動要素(3)は変位中、前記戻り要素(10)を同時に作動させ、作動が終了すると、前記戻り要素(10)は前記可動要素(3)を初期位置に戻して、前記押圧要素(8)と、したがって前記押圧材(2)とが前記複数の弦(6)から離間する、方法。
【請求項9】
前記装置は2つ以上の押圧要素(8)を含み、該2つ以上の押圧要素(8)の各々は個別の一群の複数の弦(6)に亘って延在し、前記装置(1)を徐々にオンにすることによって、前記アクチュエータ(4)の段階的作動が個別の一群の複数の弦(6)を減衰させることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アリコートトーン(alikvotni toni; aliquot tones)、アリコートトーンを減衰させること、弦楽器(string instruments)、ピアノ、アップライトピアノに関する。
【背景技術】
【0002】
弦楽器は、いくつかの弦が設けられている楽器であり、各弦は二つの固定係留点(rigid fastening points)の間に取り付けられている。当該固定係留点のうち1つによって、弦を締めることが可能となる。それによって、個々の弦を調弦することができる。楽器の様々な音(tones)の数は、弦の数によって決まる。
【0003】
各弦は基音(fundamental tone)とアリコートトーンとを有する。アリコートトーンには、協和音(consonant tones)、付帯音(accessory tones)、部分音(partial tones)、倍音(overtones)など様々な名称がある。アリコートトーンは、個々の弦の基音と共に生成される、微かに聞こえる協和音である。基音とアリコートトーンとは共に、基音の音色にとって非常に重要である弦のサウンド(sound)または音の協和(consonance)を形成する。
【0004】
各弦のサウンドは、基音とアリコートトーンとからなる。アリコートトーンを減衰させるための装置によって基音の音色が変化し、それによって、今までに知られているピアノおよびアップライトピアノの既知の変種(known variants)に関連する(in relation to)新たなサウンドレジスタ(sound register)が提供される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
商業的に利用可能なピアノおよびアップライトピアノは一定数の弦を有し、各弦は基音とアリコートトーンとを生成する。基音とアリコートトーンとは、基音の音色にとって非常に重要である弦のサウンドを生成する。
【0006】
ピアノおよびアップライトピアノにおけるアリコートトーンを減衰させる装置は、市場においても文献においても見つかっていない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の目的は、二つの固定係留点の間に取り付けられている多数の弦を有し、音楽家が自身の指または手持ち式の機器(accessory)を用いて弦に触らない楽器におけるアリコートトーンを減衰させるための、好ましくは、ピアノまたはアップライトピアノにおけるアリコートトーンを減衰させるための装置および方法である。
【0008】
ピアノまたはアップライトピアノにおけるサウンドは、弦を打って振動させるハンマーを有しているレバー機構を作動させるキーを打鍵することによって、生成される。
弦の音またはサウンドは、基音とアリコートトーンとによって確定される。アリコートトーンは、個々の弦の基音と共に生成される、微かに聞こえる協和音である。基音とアリコートトーンとの協和は、基音の音色にとって非常に重要である。
【0009】
いくつかの楽器(たとえば、ピアノまたはアップライトピアノ)は、弦の音(弦のダンパ)を完全に減衰させるための統合手段を有する。この手段により、弦は完全に減衰/静止され、弦の音またはサウンドは聞こえなくなる。ピアノまたはアップライトピアノにおいて、弦(ダンパ)を完全に減衰させるための統合手段はキーを打鍵することで解除され、ダンパは当該キーが離されると再び作動する(弦が減衰する)。
【0010】
本発明の装置は、音を完全に減衰させるのではなく、アリコートトーンのみを減衰させ、それによって、基音の音色を変化させ、新たなサウンドレジスタを提供する。
本発明によると、押圧材を有する弦のうち作動している部分の最初または最後の箇所に対して、アクチュエータによって圧力が加えられる。押圧材の圧力によって、弦の振動に変化が生じ、ひいてはアリコートトーンが減衰する。
【0011】
押圧材は、好ましくは、負荷がかけられるときに(即ち、弦に対して押圧されるときに)僅かに変形する材料の中から選択された弾性材であって、弦と接触する弾性材の一部は、形状が弦の形状に適応して、弦と弾性材との間における接触面が増える。弾性材が解放されると、弾性材は初期形状を呈し、変形はなくなる。好ましい実施形態においては、押圧材はシリコーンゴムによって形成されている。
【0012】
アリコートトーンを減衰させるための装置は少なくとも、弦に圧力が加えられる押圧材と、押圧材が弦に対して押圧され可動要素が変位を伴って少なくとも一つの戻り要素を作動させるように、変位されることで押圧力を生じる少なくとも一つの可動要素と、可動要素を作動させて可動要素が弦に対して押圧材を押圧することでアリコートトーンを減衰させるアクチュエータと、を備える。
【0013】
弦に対する圧力は、弦のうち作動している部分の最初または最後の箇所に対して加えられる。弦のうち作動している部分とは、二つの固定係留点の間に取り付けられている弦の部分のことを指す。
【0014】
アクチュエータは適格な(adequate)連結部材を通じて可動要素を作動させ(動作させ(triggers)、可動要素も変位を伴って戻り要素を作動させる。戻り要素の機能は、作動が終わった際に戻り要素を初期位置に戻すことであり、それによって、押圧材を弦から離間させる。好ましい実施形態においては、戻り要素はバネとして構成されている。ただし、当該好ましい実施形態においては、押圧材は可動要素に対して直接的に係留されていてもよく、押圧要素が押圧材と共に弦に対して押圧されるように、可動要素は作動または変位されると押圧材が係留されている押圧要素に対して押圧される。押圧要素はガイドによって導かれる。よって、押圧要素の変位は、弦に向かう方向に限られる。アクチュエータと連結部とが作動しなくなると、可動要素は押圧要素に対して圧力を加えなくなり、可動要素と、同時に、押圧材を伴う押圧要素とが戻り要素によって初期位置に戻される。
【0015】
アクチュエータは、少なくとも一またはいくつかの可動要素を作動させる。可動要素は、既知の方法(たとえば、機械連結部材(コード、ロープ、鋼線、棒鋼、または他の機械連結部材など)を通して、電気連結部材(電気導体など)を通して、油圧連結部材(油圧導体など)を通して、空気圧連結部材(空気圧導体など)を通して、または、無線連結部材を通して、動作/作動する。アクチュエータは、可動要素を動作させる無線信号を送信する。可動要素は、いかなる方法で具現化されてもよい。可動要素の仕事(task)は、作動(変位)時に弦に対して圧力を加えることであって、弦に対する圧力は押圧材を介して与えられる。押圧材と可動要素との間において、押圧材が係留される、または、押圧材が可動要素に対して係留される押圧要素があってもよい。
【0016】
押圧要素によって、同時に1またはいくつかの弦に対する同時押圧を行うことが可能となる。押圧要素はガイドに取り付けられている。よって、押圧要素の変位は弦に向かう方向に限られる。
【0017】
押圧要素の弦に対する圧力は可動要素の変位によってかけられる。可動要素は、連結部材(機械式、油圧式、空気圧式、電気式であってもよい)によって、つまり機械的に、油圧によって、空気圧によって、電気によって、または他の方法で変位されるが、これによって本発明の本質を限定することはない。
【0018】
弦に対しての圧力はいかなる方法で作動されてもよい。アクチュエータは好ましくはフットペダルとして形成されるが、これによって本発明の本質を限定することはない。
可動要素はどのような構成であってもよいが、好ましくは以下のものとして形成される。
・非円形状の、好ましくは楕円形状の機械要素であって、作動/移動は、機械要素を軸の周りで回転させることにより行われ、機械要素の非円形状によって、機械要素の押圧点が変化する、より正確には、機械要素の回転点から機械要素の押圧点までの距離を定める半径が変化する。
・可動要素は油圧シリンダとして形成されてもよい。
・可動要素は電磁石として形成されてもよい。
・可動要素は空気圧シリンダとして形成されてもよい。
【0019】
弦の個別組ごとにアリコートトーンを減衰させるための装置を徐々にオンにすることによって、アクチュエータの段階的作動が様々な組の弦を段階的に減衰させてもよい。フットペダルの形状であるアクチュエータが用いられる場合、弦の個別組ごとにアリコートトーンを減衰させるための装置を徐々にオンにすることによって、アクチュエータの段階的作動が様々な組の弦をそれぞれ減衰させる。第1ステップで、たとえば、ハイピッチの弦のみのアリコートトーンを減衰させるための装置がオンにされ(作動され)、第2ステップで、ローピッチの弦のみのアリコートトーンを減衰させるための装置がオンにされ(作動され)、第3ステップで、全ての弦のアリコートトーンを減衰させるための装置がオンにされる(作動される)。
【0020】
本発明は、実施形態および添付の図面によって以下でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施例(first variant)におけるアリコートトーンを減衰させるための装置の概略図であって、装置1、押圧材2、可動要素3、アクチュエータ4、連結部材(linkage)5、弦6、弦係留点(string fastening point)7、押圧要素8、ガイド9、戻り要素(return element)10を示す図。
【
図2】第2実施例(second variant)におけるアリコートトーンを減衰させるための装置の概略図であって、装置1、押圧材2、可動要素3、アクチュエータ4、連結部材5、弦6、弦係留点7、押圧要素8、ガイド9、戻り要素10を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
第1実施形態を
図1に概略的に示す。
本実施形態の楽器は、弦の音(弦のダンパ)を完全に減衰させるための統合手段(integrated means)を有するピアノまたはアップライトピアノである。この手段により、弦が完全に減衰/静止される。ダンパは、キーを打鍵することで解除され、当該キーが離されると再び作動する(弦が減衰する)。
【0023】
アリコートトーンを減衰させるための装置1は、一つの弦6または複数の弦6に対して、当該弦6のうち作動している部分(active part)の最初または最後の箇所(initial or final part)において(即ち、弦6の最初の係留点(initial fastening point)7、あるいは、弦6の最後の係留点(final fastening point)7であってもよい)、アクチュエータ4(本実施形態においてはフットペダル)を介して圧力が加えられるよう、技術的に構成される。アクチュエータ4を押圧することで、連結部材5によって可動要素3が作動し、可動要素3は押圧材2(本実施形態においてシリコーンゴムによって形成されている)が係留された押圧要素8に対して押圧され、押圧要素8を弦6に向けて押圧または変位させる。押圧材2は、弦6に対して押圧され、アリコートトーンを減衰させる。押圧要素8はガイド9によって導かれる。押圧要素8が変位されると、可動要素3は戻り要素10(本実施形態においてはバネ)を作動させ、より正確には、可動要素3が戻り要素10を引っ張る(it stretches it)。アクチュエータ4と、したがって連結部材5とが作動しなくなる(no longer active)と、バネは元の形状に戻って縮まり、それによって、可動要素3を初期位置に復帰/変位させる。押圧要素8と押圧材2とは弦6から離間する。
【0024】
アクチュエータ4が作動すると、可動要素3は、押圧材2が係留された押圧要素8を弦6に対して押圧する。弦6に対する押圧は、弦6のうち作動している部分の最初または最後の箇所(即ち、弦6の最初のあるいは最後の係留点7)において、行われる。
【0025】
アクチュエータ4は、連結部材5(本実施形態においては鋼線)を介して、可動要素3(本実施形態においては機械楕円要素)を回転させる。当該可動要素の変位によって、押圧材2が係留された押圧要素8が、弦6に向かう方向に押圧/変位される。押圧要素8はガイド9によって導かれる。アクチュエータ4が作動しなくなると、戻り要素10(本実施形態においてはバネ)によって可動要素3と、したがって押圧要素8とが初期位置に戻る。それによって、押圧材2の弦6に対する押圧が解放される。
【0026】
図1に示すように、二つの可動要素3(楕円形の機械要素)は、回転点に係留され、外半径において連結部材5(即ち鋼線)に係留される。アクチュエータ4(即ちフットペダル)が押圧されると、鋼線が引っ張られて、機械要素が回転点の周りで回転する。機械要素の回転中心と、押圧材2が係留された押圧要素8の押圧点との間の距離が長くなることによって、押圧要素8が弦6に向かって変位して、押圧材2が弦6に対して押圧される。押圧材2の弦6に対する押圧によって、アリコートトーンが減衰する。
【0027】
第2実施形態を
図2に概略的に示す。
本実施形態における楽器は、ピアノまたはアップライトピアノである。アリコートトーンを減衰させるための装置1は、弦のうち作動している部分の最初または最後の箇所において、または、弦6の最初または最後の係留点7において、弦6がアクチュエータ4(本実施形態においてはフットペダルである)を介して、押圧材2を係留している押圧要素8(本実施形態においてはシリコーンゴムによって形成されている)を通して押圧されるよう構成される。押圧材2の押圧によって、アリコートトーンが減衰する。
【0028】
アリコートトーンを減衰させるための装置1は、弦6に対しての押圧が行われる押圧材2と、押圧力を生じる可動要素3と、押圧材2を係留している押圧要素8が弦6に対して押圧され、それによってアリコートトーンが減衰するよう、弦6に対する押圧が作動されるアクチュエータ4とを備えている。
【0029】
アクチュエータ4が作動すると、可動要素3が、押圧材2を係留している押圧要素8を、弦のうち作動している部分の先端(beginning)または末端(end)において、または、弦6の最初または最後の係留点7において、弦6に対して押圧する。
【0030】
油圧シリンダ内で圧力が生成されてピストンが伸び、圧力が押圧材2を係留している押圧要素8に圧力が加えられ、それによって押圧要素8が弦6に向かって変位するように、連結部材5(本実施形態においては油圧連結部材)を介するアクチュエータ4によって、可動要素3(本実施形態においては油圧シリンダ)が変位する。押圧材2は弦6に対して押圧され、アリコートトーンが減衰する。押圧要素8はガイド9に導かれる。押圧要素8が変位すると、可動要素3が戻り要素10(本実施形態においてはバネである)を作動させ、より正確には、可動要素3が戻り要素10を引っ張る。アクチュエータ4と、したがって連結部材5とが作動しなくなると、バネは元の形状に戻って縮まり、それによって、可動要素3を初期位置に復帰/変位し、押圧要素8と、したがって押圧材2とは弦6から離間する。
【0031】
図2に示すように、本実施形態における可動要素3は油圧シリンダである。アクチュエータ4を動作させることによって、油圧連結部材の内部における圧力が増す。それによって、押圧材2を係留している押圧要素8を押圧する油圧シリンダが機能する。押圧要素8と、したがって押圧材2とが弦6に対して押圧されると、アリコートトーンが減衰する。
【0032】
記載された解決策は、本発明の本質を変更しない異なる実施例(variant)で実行できることを理解されたい。