(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】少なくとも3重撚りを有する改善されたアラミド繊維コード
(51)【国際特許分類】
D02G 3/28 20060101AFI20231030BHJP
D02G 3/48 20060101ALI20231030BHJP
B60C 9/00 20060101ALI20231030BHJP
B60C 9/08 20060101ALI20231030BHJP
B60C 9/18 20060101ALI20231030BHJP
B60C 9/22 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
D02G3/28
D02G3/48
B60C9/00 D
B60C9/08 J
B60C9/18 K
B60C9/22 B
(21)【出願番号】P 2020550854
(86)(22)【出願日】2019-03-19
(86)【国際出願番号】 FR2019050619
(87)【国際公開番号】W WO2019180369
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-02-02
(32)【優先日】2018-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】ボスケ アウグスティン
(72)【発明者】
【氏名】コルニーユ リシャール
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-538050(JP,A)
【文献】特開2009-061870(JP,A)
【文献】特表2018-500471(JP,A)
【文献】特開2015-028229(JP,A)
【文献】特開平07-144731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D02G 1/00- 3/48
D07B 1/00- 9/00
B60C 1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
3重撚り(T1、T2、T3)を有するコード(30)であって、
撚りT3で方向D2に互いに撚られたN=3ストランド(20、20a、20b、20c)から構成されたアセンブリであって、各ストランドが、M=2予備ストランド(10、10a、10b)から構成され、予備ストランドは、それら自体が、D2とは反対の方向D1に撚りT2(T2a、T2b、T2c)で互いに撚られ、各予備ストランドそれ自体が、該方向D1に撚りT1(T1a、T1b)でそれ自体の周りに事前に撚られた糸(5)にある前記アセンブリ、
を含み、
前記撚りT1、T2、T3の単位はメートル当たりの巻回数であり、
各糸(5)が、芳香族ポリアミド又は芳香族コポリイミドの基本モノフィラメントから構成され、各糸(5)が、90から130テックスの範囲の番手を有する、
ことを特徴とするコード(30)。
【請求項2】
各糸(5)が、100から120テックスの範囲の番手を有し、好ましくは、各糸(5)が、110テックスに等しい番手を有することを特徴とする請求項1に記載のコード(30)。
【請求項3】
各予備ストランドが、2から80の範囲の撚り係数K1を有することを特徴とする請求項1から請求項2のいずれかに記載のコード(30)。
【請求項4】
各ストランドが、10から150の範囲の撚り係数K2を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコード(30)。
【請求項5】
50から500の範囲の撚り係数K3を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコード(30)。
【請求項6】
T2が、T1よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のコード(30)。
【請求項7】
T3が、T2よりも大きいことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のコード(30)。
【請求項8】
合計T1+T2が、0.8xT3から1.2xT3の範囲であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコード(30)。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の少なくとも1つのコード(30)が埋め込まれたポリマー母材、
を含むことを特徴とする半完成物品又は製品。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコード(30)、
を含むことを特徴とするタイヤ(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両タイヤのような補強型物品に使用することができる繊維補強型要素又は「補強体」に関する。
【0002】
それは、より具体的には、取り分け、そのようなタイヤを補強するのに使用することができる繊維コード又は積層糸に関する。
【背景技術】
【0003】
繊維は、タイヤ補強体として当初から使用されてきた。ポリエステル、ナイロン、セルロース又はアラミド繊維のような連続織物繊維から製造される繊維コードは、公知のように、超高速走行に関して承認された高性能タイヤを含むタイヤでは重要な役割を有する。タイヤの要件を満たすために、それらは、高破断強度、高引張係数、良好な疲労耐久性、及び最後にそれらが補強することができるゴム又は他のポリマーの母材への良好な接着性を有していなければならない。
【0004】
2重撚り(T1,T2)を慣例的に有するこれらの繊維積層糸又はコードは、
-第1の段階で、コードの各成分マルチフィラメント糸又は繊維(英語では「糸」)が、所与の方向D1(それぞれ方向S又はZ)にそれ自体の周りに個々に最初に撚られ(初期撚りT1により)、基本フィラメントが繊維軸(又はストランド軸)の周りに螺旋変形を受けるストランド(英語では「ストランド」)を形成し、
-次に、第2の段階で、同一種類又は混成物又は複合物として公知のコードの場合は異なる種類の通常は個数が2、3、又は4の複数のストランドが、その後に、反対方向D2(S又はZの中心部分に従って巻回の向きを指定する認識された技術用語により、それぞれ方向Z又はS)に最終撚りT2(T1に等しい又は異なる場合がある)によって互いに再度撚られ、複数のストランドを有するコード(英語では「コード」)又は完成アセンブリを生成する、
「撚糸」方法として公知であるものによって調製されることをここで少し注意されたい。
【0005】
撚りの目的は、補強体の横断方向凝集性を生成し、その疲労抵抗性を高め、かつ補強された母材との接着性も改善するように材料の特性を適応させることである。
【0006】
そのような繊維コード、それらの構成、及び製造方法は、当業者に公知である。それらは、多くの文書に詳細に説明されており、その中で以下は単に少数の例である:EP 021 485、EP 220 642、EP 225 391、EP 335 588、EP 467 585、US 3 419 060、US 3 977 172、US 4 155 394、US 5 558 144、WO97/06294、及びEP 848 767、及び最近ではWO2012/104279、WO2012/146612、WO2014/057082。
【0007】
タイヤのようなゴム物品を補強することができるためには、これらの繊維コードの疲労強度(引張、曲げ、圧縮での耐久性)が基本的に重要である。慣例的には、所与の材料に対して、疲労強度は、使用される撚りの量と共に増大するが、他方で、引張破断強度(それが重量の単位に関連する時に靱性と呼ばれる)は、撚りが増大する時に容赦なく低減し、これは、補強の観点では明らかに有害である。製造された状態で、繊維コードは、ポリマー母材、好ましくは、エラストマー母材に埋め込まれ、母材と母材に埋め込まれた繊維コードとを含む半完成物品又は製品を形成する。タイヤ製造の目的に対して、半完成物品又は製品は、プライの一般形態を取る。
【0008】
従って、繊維コードの設計者、並びにタイヤ製造業者は、所与の材料及び所与の撚りに対して機械的特性、特に、破断強度及び靱性が改善される繊維コードを常に求めている。
【0009】
すなわち、3重撚りを有する繊維コードが従来技術から、特に文書WO2016/091809から公知である。WO2016/091809は、方向Sにメートル当たり撚りT3=300巻回によって互いに撚られたM=4ストランドから構成されるアセンブリを含む表1の試験5に対応する繊維コードを説明している。各ストランドは、M=3予備ストランドから構成され、これは、Sとは反対の方向Zにメートル当たり撚りT2=180又は240巻回によってそれら自体が互いに撚られている。各予備ストランドは、方向Zにメートル当たり撚りT1=160又は120巻回によってそれ自体の周りに事前に撚られた糸からそれ自体が構成される。各糸は、WO2016/091809でのアラミドの芳香族ポリアミドの基本モノフィラメントから構成され、かつ55テックスに等しい番手を有する。
【0010】
しかし、このコードは、改善することができると考えられる撓み及び圧縮での耐久力の損失を有する欠点を有する。更に、このコードは、その拡大が望ましくないと考えられる直径を有し、直径のそのような拡大は、次に、繊維コードの満足な見掛けの靱性にも関わらず、それを含む半完成物品又は製品の肥厚に必然的に至る。
【0011】
これに加えて、このコードの製造は、既存の撚糸機械の主要な改修を必要とする。これは、既存の撚糸機械が2又は3のストランド又は予備ストランドを容易に互いに撚ることができ、一方で4又はそれ以上のストランド又は予備ストランドの撚りは、機械全体の改修、すなわち、給送手段及び撚糸手段を必要とするからである。そのような改修は、高価であり、かつ既存機械の停止も必要とする。
【0012】
最後に、そのようなコードは、12個の糸及び従って予備ストランド製造の12個の段階を必要とする。工程は、従って、比較的長いか又は多くの撚糸機械の同時使用を必要とするかのいずれかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、上述の欠点を是正することを可能にするコードである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
すなわち、本発明の主題は、方向D2に撚りT3によって互いに撚られたN=3ストランドから構成されるアセンブリを含む3重撚りを有するコードであり、各ストランドは、D2とは反対の方向D1に撚りT2によってそれら自体が互いに撚られたM=2予備ストランドから構成され、各予備ストランドは、方向D1に撚りT1によってそれ自体の周りに事前に撚られた糸にそれ自体が存在し、各糸は、芳香族ポリアミド又は芳香族コポリイミドの基本モノフィラメントから構成され、各糸は、90から130テックスの範囲の番手を有する。
【0015】
本発明によるコードは、以下に説明する比較試験によって示すように、満足な見掛け靱性を維持しながら制御される直径を有し、それによって所与のカレンダー仕上げパラメータに対して、満足なプライ破断強度を有する適度の靱性の半完成物品又は製品を製造することを可能にする。本発明によるコードは、比較的高い破断強度と改善された撓み及び圧縮での耐久性とを有する。最後に、その製造は、既存の製造機械に為される多くの改修を必要とせず、一方で、製造時間と、それがWO2016/091809でのコードの場合でのように12ではなく6の糸に基づくのでそれを製造するのに必要な機械の数とを有意に低減することを可能にする。
【0016】
表現「芳香族ポリアミド又は芳香族コポリアミドの基本モノフィラメント」は、公知のように、2つの芳香環に、より具体的には光学異方性スピン組成物から長い間生成されてきたポリ(p-フェニレンテレフタルアミド)(又はPPTA)の繊維により、その少なくとも85%が直接にリンクされたアミドリンクによって相互リンクされた芳香族基によって形成された線形マクロ分子も基本モノフィラメントにここでは関心があることを示す。芳香族ポリアミド又は芳香族コポリアミドの中でも、ポリアリルアミド(叉はPAA、特に、Solvayカンパニーによって商品名lxefで公知)、ポリ(メタキシリレンアジパミド)、ポリフタルアミド(又はPPA、特に、Solvayカンパニーによって商品名Amodelで公知)、非晶質半芳香族ポリアミド(又はPA 6-3T、特に、Evonikカンパニーによって商品名Trogamidで公知)、又はパラ-アラミド(又はポリ(パラフェニレンテレフタルアモド)又はPA PPD-T、特に、Du Pont de Nemoursカンパニーによって商品名Kevlar又はTeijiカンパニーによって商品名Twaronで公知)に言及することができる。
【0017】
本発明は、コードが埋め込まれたポリマー母材を含む半完成物品又は製品の補強のためのそのようなコードの使用にも関する。
【0018】
そのような半完成物品又は製品は、未硬化状態(すなわち、架橋又は加硫の前)及び硬化状態(架橋又は加硫の後)の両方でのチューブ、ベルト、コンベヤベルト、車両のためのタイヤである。好ましい実施形態では、そのような半完成物品又は製品は、プライの形態を取る。プライは、一方では、1又は2以上のコードのアセンブリ、他方では、ポリマー母材、好ましくはエラストマー母材であるように理解され、コードは、ポリマー母材、好ましくはエラストマー母材に埋め込まれる。
【0019】
すなわち、本発明の別の主題は、上記に定めたコードを含むタイヤである。タイヤは、支持要素、例えば、リムと協働してキャビティを形成するように意図するケーシングであるように理解され、このキャビティは、大気圧よりも高い圧力まで加圧することができる。本発明によるタイヤは、実質的にトロイド構造を有する。
【0020】
本発明のタイヤは、好ましくは、4x4SUV(スポーツ実用車両)乗用タイプの自動車を意図している。
【0021】
本発明の適用では、他を明示的に示さない限り、示す全ての百分率(%)は、重量百分率である。
【0022】
表現「aとbの間」によって示される値のいずれの間隔も,aよりも大きいものからbよりも小さいものまで延びる値の範囲を表し(すなわち、限界aとbは除外される)、一方で、表現「aからbまで」によって示す値のいずれの間隔も、aからbまで延びる値の範囲を意味する(すなわち、厳密な限界aとbを含む)。
【0023】
全ての上述の特性(番手、糸の初期弾性率、破断強度、及び靱性)は、生である(すなわち、被覆されていない)又は接着された(すなわち、使用待機中又はそれらが補強している物品から抽出された)かつ予備調整を受けたコードで20℃で決定され、用語「予備調整」は、コードが、欧州基準DIN EN 20139による標準大気(温度、20±2℃、水分含量、65±2%)内に測定前に少なくとも24時間にわたって保管される(乾燥の後で)ことを意味するように取られる。
【0024】
糸、予備ストランド、ストランド、及びコードの番手(又は線形密度)は、2014年のASTM D 885/D 885M-10a基準に従って決定され、番手は、テックス(製品の1000mのグラムでの重量、0.111テックスは、1デニールに等しいことに注意されたい)で与えられる。
【0025】
機械的引張特性(靱性、初期弾性率、破断時の伸長)は、2014年のASTM D 885/D 885M-10a基準に従って他に指定されない限り、4D引張グリップ(100daN未満の破断強度に対して)又は4Eグリップ(少なくとも100daNの破断強度に対して)を有するInstron引張機械を用いて公知の方法で測定される。試験されるサンプルは、4Dグリップに対して400mm及び4Eグリップに対して800mmの初期長さにわたって200mm/minの公称速度で0.5cN/texの標準予備引張の下で引張応力を受ける。与えられる全ての結果は、10測定にわたる平均である。特性が計測されるのが糸での時に、後者は、公知のように、グリップに位置決めされて引張を受ける前に、約6度の螺旋角度に対応する「保護撚り」と呼ばれる非常に小さい予備撚りを受ける。
【0026】
当業者に公知であるように、靱性は、番手に対する破断強度の比であり、cN/texで表される。見掛け靱性(daN/mm2での)は、見掛け断面積Sに対する破断強度の比であり、S=(Pi*φ2)/4であり、φは、以下の方法によって測定される見掛け直径である。
【0027】
集光光学系、光ダイオード、及び増幅器から構成される受信機により、平行光のレーザビームによって照明されたコードの影が0.1マイクロメートルの精度で測定されることを可能にする装置が使用される。そのような装置は、例えば、参照番号「1210」の下でZ-Mikeカンパニーによって市販されている。この方法は、コードが予備調整を受けた後に、直径が測定されることになるコードの試料を0.5cN/texの標準予備引張の下で電動移動テーブルに固定する段階にある。移動テーブルに固定された時に、コードは、25mm/sの速度でドロップシャドウ測定システムに対して垂直に移動され、レーザビームを直角に切断する。少なくとも420mmのコードにわたって少なくとも200回のドロップシャドウ測定が行われ、これらのドロップシャドウ測定値の平均は、見掛け直径φを表す。
【0028】
プライの破断強度は、2014年のASTM D 885D 885M-10aをプライのコードに適用することによって得られる力-伸長曲線に基づいて計算される。プライの破断強度は、コードの破断強度にプライのmm当たりのコード数を乗算することによって決定され、この数は、コードがプライ内で延びる方向に垂直な方向に沿って決定される。
【0029】
表現軸線方向は、タイヤの回転軸と実質的に平行な方向を意味する。
【0030】
表現円周方向は、軸線方向及びタイヤの半径の両方に実質的に垂直(すなわち、タイヤの回転軸上に中心がある円に対して接線方向)である方向を意味する。
【0031】
表現半径方向は、タイヤの半径に沿う方向、すなわち、タイヤの回転軸と交差し、かつその軸に対して実質的に垂直であるあらゆる方向を意味する。
【0032】
表現正中面(Mで示す)は、2つのビード間の中間に位置し、かつクラウン補強体の中央を通過するタイヤの回転軸に対して垂直な平面を意味する。
【0033】
表現赤道円周平面(Eで示す)は、正中面に対してかつ半径方向に対して垂直なタイヤの赤道を通過する仮想平面を意味する。タイヤの赤道は、円周断面平面(円周方向に垂直かつ半径方向及び軸線方向に平行な平面)では、タイヤの回転軸に平行な軸であり、かつ地面に接触するように意図するトレッドの半径方向最外点と、支持体、例えば、リムに接触するように意図するタイヤの半径方向最内点との間で等距離に位置し、これらの2つの点の間の距離は、Hに等しい。
【0034】
角度の向きは、この角度を定める基準直線、この事例ではタイヤの円周方向からこの角度を定める他方の基準直線に到達するのに回転する必要がある時計回り又は反時計回りの方向を意味する。
【0035】
本発明によるコード
【0036】
本発明の繊維コード又は積層糸は、従って、非常に特殊な構成のコードであり、その基本的特性は、それが、
-3重撚り(すなわち、3つの撚り)T1、T2、T3を示し、
-アセンブリが、最終撚りT3が採取方向D2(S又はZ)を有して互いに撚られたN=3ストランドから構成され、
-各ストランドが、中間撚りT2がD2(S又はZ)と反対の中間方向D1(Z又はS)にあってそれら自体が互いに撚られたM=2予備ストランドから構成され、
-各予備ストランドが、初期撚りT1が初期方向D1(Z又はS)にあってそれ自体の周りに事前に撚られた糸にあり、
-各ストランドが、芳香族ポリアミド又は芳香族コポリイミドの基本モノフィラメントから構成され、かつ
-各糸が、90から130テックスの範囲の番手を有する、
アセンブリを有することである。
【0037】
表現3重撚り(すなわち、3つの撚り)を有するコード又はアセンブリは、より戻し(又は逆撚り)の3回の連続作動が本発明のコード又はアセンブリを「分解する」のにかつそれを形成する初期糸に「戻す」のに、すなわち、それらの初期状態、すなわち、撚りなしの元の糸(基本モノフィラメントを含む繊維)を取り戻すのに必要であることを意味するとして当業者によって直ちに理解されるであろう。換言すれば、本発明のコード又はアセンブリを形成するための正確に3つの(2つ又は4つではなく)連続撚り作動があり、通常の場合のような2つではない。
【0038】
有利なことに、各糸は、100から120テックスまで変化する番手を有し、好ましくは、各糸は、110テックスに等しい番手を有する。
【0039】
当業者に公知であるように、撚りは、単純にメートル当たりの巻回数(t.m-1)として、又はより厳密には、材料がそれらの性質(単位容積当たりの質量)において異なる又はそれらの番手が比較されることになる時には、螺旋角度として又は同等である撚り係数Kの形式でそのいずれかの異なる方法で測定かつ表現することができる。
【0040】
撚り係数Kは、以下の公知の関係によって撚りT(ここでは、例えば、それぞれT1、T2、T3)に関連する:
K=(撚りT)x[(番手/(1000.ρ)]1/2
ここで、基本モノフィラメント(予備ストランド、ストランド、又は積層糸を形成する)の撚りTは、メートル当たりの巻回数で表され、番手は、テックス(1000メートルの予備ストランド、ストランド、又は積層糸のグラムでの重量)で表され、最後にρは、予備ストランド、ストランド、又は積層糸の構成材料の密度又は単位容積当たりの質量(g/cm3での)であり(近似的に、セルロースに対して1.50g/cm3、アラミドに対して1.44g/cm3、PETのようなポリエステルに対して1.38g/cm3、ナイロンに対して1.14g/cm3)、混成コードの場合に、ρは、明らかに、予備ストランド、ストランド、又は積層糸の構成材料のそれぞれの番手によって重み付けされた密度の平均である。
【0041】
好ましくは、メートル当たりの巻回数(t.m-1)で表される撚りT1は、10から350、より好ましくは20から200、更により好ましくは105から135の範囲である。好ましい実施形態では、各予備ストランドは、2から80、より好ましくは6から70、更により好ましくは30から40の範囲の撚り係数K1を有する。
【0042】
好ましい実施形態により、メートル当たりの巻回数で表される撚りT2は、好ましくは25から470、より好ましくは35から400、更により好ましくは170から190の範囲である。好ましい実施形態により、各ストランドは、10から150、より好ましくは20から130、更により好ましくは69から86の範囲の撚り係数K2を有する。
【0043】
好ましい実施形態により、メートル当たりの巻回数で表される撚りT3は、好ましくは30から600、より好ましくは80から500、更により好ましくは280から330の範囲である。好ましい実施形態により、本発明のコードは、50から500、より好ましくは80から230の範囲の撚り係数K3を有する。
【0044】
好ましくは、T2は、T1よりも大きい(T1及びT2は、取り分け、t.m-1で表される)。直前のものと組み合わされる又は組み合わされない場合がある別の好ましい実施形態により、T3は、T2よりも大きく(T2及びT3は、取り分け、t.m-1で表される)、T2は、より好ましくは0.2xT3から0.95xT3、特に、0.4xT3から0.8xT3の範囲である。
【0045】
耐久性が更に改善されることを可能にする好ましい実施形態により、合計T1+T2は、0.8xT3から1.2xT3、より好ましくは0.9xT3から1.1xT3(T1、T2、及びT3は、取り分け、t.m-1で表される)の範囲であり、T1+T2は、特に、好ましくはT3に等しい。
【0046】
一実施形態では、コードは、ここでは115daN.mm-2よりも大きいか又はそれに等しい又は好ましくは130daN.mm-2よりも大きいか又はそれに等しい高い見掛け靱性を有する。
【0047】
非常に有利な方式では、コードは、ここでは有利には1.03mmよりも小さいか又はそれに等しい、又は好ましくは1.00mmよりも小さいか又はそれに等しい、より好ましくは0.98mmよりも小さいか又はそれに等しい比較的小さい直径を有する。
【0048】
本発明によるタイヤ
【0049】
本発明によるコードは、その優秀な靱性、その制御された直径、及びその既存手段を用いた製造の容易さに起因して本発明によるタイヤのある一定の実施形態では特に有利である。
【0050】
すなわち、1つの特に有利な実施形態では、タイヤは、タイヤの円周方向との厳密に10°よりも小さい角度を形成する少なくとも1つのフープ補強織物フィラメント要素を含むフーピングプライを含むフープ補強体を含むクラウン補強体を含み、この及び各フープ補強織物フィラメント要素は、上述のようにコードによって形成される。
【0051】
すなわち、その制御された直径により、コードは、フーピングプライの厚み、フーピングプライの重量、タイヤのヒステリシス、及び従ってタイヤの転がり抵抗を制御することを可能にする。実際に、他の全てが等しければ、フーピングプライのヒステリシスは、厚みと共に増加する。直径を制御することにより、各コードの後部に存在する厚みを維持しながらプライの全体厚みの増加が回避され、一方でトレッドとフーピングプライの間、他方でフーピングプライの半径方向内側のプライとフーピングプライそれ自体の間の分離厚みを維持することを可能にする。更に、各コードの後部での厚みを一定に保つことにより、フーピングプライを通る腐食剤の通過に対する抵抗が保持され、作動補強体が保護されることを可能にし、この保護は、作動補強体が単一作動プライのみを含む時に遙かに重要である。
【0052】
有利には、フープ補強体は、単一フーピングプライを含む。すなわち、フープ補強体は、フーピングプライ以外には、フィラメント補強要素によって補強されたいずれのプライも持たない。タイヤのフープ補強体から除外されるそのような補強プライのフィラメント補強要素は、金属フィラメント補強要素及び織物フィラメント補強要素を含む。非常に好ましくは、フープ補強体は、フーピングプライによって形成される。
【0053】
好ましい実施形態では、この又は各フープ補強織物フィラメント要素は、タイヤの円周方向との7°よりも小さいか又はそれに等しい、より好ましくは5°よりも小さいか又はそれに等しい角度を形成する。
【0054】
有利には、タイヤは、トレッドと、2つの側壁と、2つのビードとを含むクラウンを含み、各側壁は、各ビードをクラウンに接続し、クラウン補強体は、タイヤの円周方向にクラウン内を延びる。
【0055】
有利には、タイヤは、ビードの各々内に固定されて側壁内及びクラウン内を延びるカーカス補強体を含み、クラウン補強体は、カーカス補強体とトレッドの間で半径方向に挿入される。
【0056】
一実施形態では、カーカス補強体は、単一カーカスプライを含む。すなわち、カーカス補強体は、カーカスプライ以外には、フィラメント補強要素によって補強されたいずれのプライも持たない。タイヤのカーカス補強体から除外されるそのような補強プライのフィラメント補強要素は、金属フィラメント補強要素及び織物フィラメント補強要素を含む。非常に好ましくは、カーカス補強体は、カーカスプライによって形成される。
【0057】
好ましくは、単一カーカスプライは、カーカス補強フィラメント要素を含む。有利には、カーカス補強フィラメント要素は、各ビード内に固定され、かつタイヤのビードの一方から他方に延びて各側壁とクラウンとを通過する。
【0058】
一実施形態では、各カーカス補強フィラメント要素は、タイヤの赤道円周平面内でタイヤの円周方向と85°よりも大きいか又はそれに等しい角度AC2を作る。カーカス補強フィラメント要素は、各側壁内で実質的に半径方向であり、すなわち、実質的に円周方向と垂直であり、ラジアルカーカスタイヤの全ての利点が保持されることを可能にする。
【0059】
特に有利な実施形態では、クラウン補強体は、単一作動プライを含む作動補強体を含む。すなわち、作動補強体は、作動プライ以外には、フィラメント補強要素によって補強されたいずれのプライも持たない。タイヤの作動補強体から除外されるそのような補強プライのフィラメント補強要素は、金属フィラメント補強要素及び織物フィラメント補強要素を含む。非常に好ましくは、作動補強体は、作動プライによって形成される。本発明によるコードによって付与されたフープ補強体耐久性は、作動補強体が2つの作動プライを含む従来のタイヤと比較して、作動補強体の1つの作動プライが排除されることを有利に可能にする。有意により軽量のタイヤが得られる。
【0060】
別の実施形態では、クラウン補強体は、2つの作動プライを含む作動補強体を含む。本発明によるコードによって付与されたフープ補強体耐久性は、超高耐久性クラウン補強体が得られることを可能にする。有意により高耐久性のタイヤが得られる。
【0061】
上述の実施形態では、クラウンは、トレッドとクラウン補強体を含む。トレッドは、
-地面に接触するように意図された面によって外側に向けて半径方向に、かつ
-クラウン補強体によって内側に向けて半径方向に、
範囲が定められたポリマー性、好ましくはエラストマー性材料のストリップであると理解される。
【0062】
ポリマー材料のストリップは、ポリマー材料、好ましくはエラストマー材料のプライによって形成され、又は各プライがポリマー材料、好ましくはエラストマー材料から構成されるいくつかのプライのスタックから構成されている。
【0063】
クラウン補強体は、フープ補強体と単一作動プライを含む。すなわち、クラウン補強体は、フープ補強体及び作動補強体以外には、補強要素によって補強されたいずれの補強体も持たない。タイヤのクラウン補強体から除外されるそのような補強体の補強要素は、金属フィラメント補強要素及び織物フィラメント補強要素を含む。非常に好ましくは、クラウン補強体は、フープ補強体及び作動補強体で構成される。
【0064】
非常に好ましい実施形態では、クラウンは、クラウン補強体以外には、補強要素によって補強されたいずれの補強体も持たない。タイヤのクラウンから除外されるそのような補強体の補強要素は、金属フィラメント補強要素及び織物フィラメント補強要素を含む。非常に好ましくは、クラウンは、トレッド及びクラウン補強体で構成される。
【0065】
非常に好ましい実施形態では、カーカス補強体は、クラウン補強体と直接に半径方向に接触するように配置され、クラウン補強体は、トレッドと直接に半径方向に接触するように配置される。この非常に好ましい実施形態では、単一フーピングプライ及び単一作動プライは、互いに直接に半径方向に接触するように有利に配置される。
【0066】
表現直接に半径方向に接触するは、互いに直接に半径方向に接触する問題の物体、この場合はプライ、補強体、又はトレッドが、互いに直接に半径方向に接触する問題の物体の間に半径方向に挿入されたいずれの物体によっても、例えば、いずれのプライ、補強体、又はストリップによっても半径方向に分離されないことを意味する。
【0067】
一実施形態では、フープ補強体は、作動補強体とトレッドの間に半径方向に挿入される。
【0068】
好ましくは、単一作動プライは、作動補強フィラメント要素を含む。
【0069】
有利には、単一作動プライは、2つの軸線方向縁部によって範囲が定められ、各軸線方向縁部は、各側壁の外側に半径方向に配置され、作動補強フィラメント要素は、単一作動プライの一方の軸線方向縁部から他方の軸線方向縁部まで延びる。
【0070】
一実施形態では、各作動補強フィラメント要素は、タイヤの正中面内でタイヤの円周方向と10°よりも大きいか又はそれに等しい、好ましくは30°から50°、より好ましくは35°から45°の範囲の角度ATを作る。すなわち、作動補強フィラメント要素は、円周方向と形成する角度に起因して、タイヤのクラウン内の三角形メッシュの形成に参画する。
【0071】
有利には、1又は複数のフープ補強織物フィラメント要素、作動補強フィラメント要素、及びカーカス補強フィラメント要素は、円周赤道平面上の投影内に三角形メッシュを形成するように配置される。そのようなメッシュは、フーピングプライ、2つの作動プライ、及びカーカスプライを含む従来技術タイヤのものと類似の機械的挙動を得ることを可能にする。
【0072】
可能な最も有効な三角形メッシュを形成するために、角度ATの向き及び角度ACTの向きは、好ましくは、タイヤの円周方向と反対である。
【0073】
有利には、各プライの補強フィラメント要素は、エラストマー母材に埋め込まれる。異なるプライは、同じエラストマー母材又は異なるエラストマー母材を含む場合がある。
【0074】
エラストマー母材は、架橋状態でエラストマー挙動を示す母材であると理解される。そのような母材は、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの他の成分とを含む組成物を架橋することによって有利に得られる。好ましくは、少なくとも1つのエラストマーと少なくとも1つの他の成分とを含む組成物は、エラストマー、架橋システム、及び充填剤を含む。これらのプライに使用される組成物は、天然ゴム又は他のジエンエラストマーに典型的に基づくカレンダー仕上げ補強剤、カーボンブラックのような補強充填剤、硬化システム、及び通常の添加剤のための従来の組成物である。本発明のコードとそれが埋め込まれる母材との間の接着は、例えば、RFL又は同等の接着剤のような通常の粘着性化合物によって与えられる。
【0075】
有利には、各作動補強フィラメント要素は金属性である。金属フィラメント要素は、定義により、1つのスレッド、又は金属材料で完全に作られた(スレッドの100%)いくつかのスレッドのアセンブリで形成されたフィラメント要素を意味する。そのような金属性フィラメント要素は、好ましくは、鋼で作られた、より好ましくは以下で「炭素鋼」と呼ぶパーライト(又はフェライト-パーライト)炭素鋼で作られた、又はステンレス鋼(定義により、少なくとも11%クロム及び少なくとも50%鉄を含む鋼)で作られた1又は2以上のスレッドを用いて実施される。しかし、勿論、他の鋼又は他の合金を使用することが可能である。炭素鋼が有利に使用される場合に、その炭素含有量(鋼の重量による%)は、好ましくは、0.2%から1.2%、取り分け、0.5%から1.1%の範囲であり、これらの含有量は、タイヤに要求される機械的特性とスレッドの実現可能性との間の良好な妥協を表す。使用される金属又は鋼は、それが特に炭素鋼である又はステンレス鋼であるかに関わらず、それ自体を金属層で被覆することができ、これは、例えば、金属コードの又はその構成要素の加工性、又は接着特性、耐腐食性、又は耐経年劣化性のようなコードの及び/又はタイヤ自体の使用特性を改善する。好ましい実施形態により、使用される鋼は、黄銅(Zn-Cu合金)の又は亜鉛の層で覆われる。
【0076】
本発明及びその利点は、詳細説明及び以下の実施形態の非限定的な例、及び概略で示す(他を示さない限り、いずれの特定の縮尺のものでもない)これらの例に関連する
図1から6に照らして容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【
図1】最初に初期状態(5)で、すなわち、撚りなしで、次にそれ自体の周りに撚られた糸又は「予備ストランド」(10)を形成するために方向D1の第1の撚り作動T1の後での従来のマルチフィラメント織物繊維(又は糸)の断面の図である。
【
図2】本発明によるコードのためのストランド(20)を形成するために依然として同じ方向D1の第2の撚り作動T2によって組み立てられた予備ストランド(同じ方向D1にT1a、T1bによって事前に撚られた)として作用する上述の2つの糸(10a、10b)のアセンブリの断面の図である。
【
図3】本発明による3重撚り(T1、T2、T3)コード(30)を形成するために今回は方向D1と反対の方向D2の第3の撚り作動T3によって組み立てられた上述の3つのストランド(20a、20b、20c)(同じ方向D1にT2a、T2b、T2cによって事前に撚られた)のアセンブリ(25)の断面の図である。
【
図4】本発明によるタイヤの円周方向に対して垂直な断面の図である。
【
図5】フープ補強フィラメント要素、作動補強フィラメント要素、及びカーカス補強フィラメント要素の円周赤道平面Eの上への投影を示す
図4のタイヤの切欠き図である。
【
図6】タイヤの正中面M上の投影内の
図4のタイヤの側壁に配置されたカーカス補強フィラメント要素の図である。
【発明を実施するための形態】
【0078】
最初に、
図1は、通常は25μm未満である非常に細かい直径を有する典型的に数十から数百の範囲の複数の基本モノフィラメント50によって糸が形成されるような公知の方法での「糸」(英語で「糸」)とも呼ばれる従来のマルチフィラメント織物繊維5を初期状態で、すなわち、いずれの撚りもなしに断面に概略的に示している。ここで、各糸5は、芳香族ポリアミド又は芳香族コポリアミドの基本モノフィラメントによって形成され、かつ90から130テックス、好ましくは100から120テックスまで変化し、より好ましくは110テックスに等しい番手を有する。
【0079】
方向D1(ここではZ)に10から350巻回.m-1、好ましくは20から200巻回.m-1、より好ましくは105から135巻回.m-1の範囲でのかつここでは120巻回.m-1に等しいメートル当たりの巻回数で表された第1の撚り作動T1(第1の撚り)中に、初期繊維5は、「予備ストランド」10と呼ばれるそれ自体の周りに撚られた繊維に変換される。この予備ストランド10では、基本モノフィラメント50は、従って、繊維軸(又は予備ストランド軸)の周りに螺旋変形を受ける。
【0080】
図2に示すように、M=2予備ストランド10a、10bの各々は、特定の第1の撚りT1(ここでは、例えば、T1a、T1b)によって特徴付けられ、これは、等しい(一般的な場合に、すなわち、ここでは、例えば、T1a=T1b)又は1つのストランドから別のもので異なる場合がある。ここでは、M=2予備ストランド10a、10bの各々は、2から80、好ましくは6から70、より好ましくは30から40の範囲のかつここでは33に等しい撚り係数K1を有する。
【0081】
次に、再度
図2を参照すると、M=2予備ストランド10a、10bは、それら自体が前と同じ方向D1(ここでは、Z)に互いに撚られ、中間撚りT2(第2の撚り)は、「ストランド」20を形成するために25から470巻回.m
-1、好ましくは35から400巻回.m
-1、より好ましくは170から190巻回.m
-1の範囲であり、ここでは180巻回.m
-1に等しい。
【0082】
図3に示すように、N=3ストランド20a、20b、20cの各々は、特定の第2の撚りT2(ここでは、例えば、T2a、T2b、T2c)によって特徴付けられ、これは、等しい(一般的な場合に、すなわち、ここでは、例えば、T2a=T2b=T2c)又は1つのストランドから別のもので異なる場合がある。ここでは、N=3ストランド20a、20b、20cの各々は、10から150、好ましくは20から130、より好ましくは69から86の範囲のかつここでは70に等しい撚り係数K2を有する。T2=180巻回.m
-1は、T1=120巻回.m
-1よりも大きいことに注意しなければならない。
【0083】
次に、再度
図3を参照すると、N=3予備ストランド20a、20b、20cは、それら自体がD1と反対(ここでは、S)の方向D2に互いに撚られ、最終撚りT2(第3の撚り)は、本発明によるコード30のアセンブリ25を形成するために30から600巻回.m
-1、好ましくは80から500巻回.m
-1、より好ましくは310から370巻回.m
-1の範囲であり、ここでは300巻回.m
-1に等しい。コード30は、次に、50から500、好ましくは80から230の範囲のかつここでは203に等しい撚り係数K3を有する。
【0084】
T3=300巻回.m-1は、T2=180巻回.m-1よりも大きいことに注意しなければならない。これに加えて、T2は、0.2xT3から0.95xT3、好ましくは0.4xT3から0.8xT3の範囲である。ここでは、T2=0.60xT3である。これに加えて、合計T1+T2は、0.8xT3から1.2xT3、好ましくは0.9xT3から1.1xT3の範囲であり、ここでは、T1+T2=T3である。
【0085】
第1の実施形態では、コード30は、生のアセンブリ26によって形成される。これは、生コードとして公知である。生コードは、コードの成分基本モノフィラメントが、接着機能を有するいずれのコーティングによっても基本モノフィラメントが覆われることなしにコードを製造する方法からもたらされるようなものである。すなわち、生コードは、裸であると考えられ、すなわち、コードの1又は複数の構成材料は、いずれのコーティングによっても被覆されず、又はサイズが塗られる場合があり、すなわち、取り分け、コードの1又は複数の成分材料の摺動をその製造の工程中に容易にする又は静電荷の蓄積を防止する機能を有するサイジング化合物で被覆される。
【0086】
第2の実施形態では、コード30は、アセンブリ25と粘着性化合物の外側層とを含む。これは、粘着化コードとして公知である。すなわち、生アセンブリ25の製造後に、生アセンブリ25は、熱架橋化合物の外側層で被覆され、外側層で被覆された生アセンブリ25は、粘着性化合物を架橋するために熱処理され、コード30をその後に形成する粘着化アセンブリ25を生成する。
【0087】
第3の実施形態では、コード30は、アセンブリ25と粘着性化合物の2つの層とを含む。すなわち、生アセンブリ25の製造後に、生アセンブリ25は、第1の熱架橋粘着性化合物の中間層で被覆され、中間層で被覆された生アセンブリ25は、第1の粘着性化合物を架橋するために熱処理され、事前粘着化アセンブリ25を生成する。事前粘着化アセンブリ25は、次に、第2の熱架橋粘着性化合物の外側層で被覆され、外側層で被覆された事前粘着化アセンブリ25は、第2の粘着性化合物を架橋するために熱処理され、コード30をその後に形成する粘着化アセンブリ25を生成する。
【0088】
コード30は、115daN.mm-2よりも大きいか又はそれに等しい、又は好ましくは130daN.mm-2よりも大きいか又はそれに等しい、ここでは135daN.mm-2に等しい見掛け靱性を有する。コード30は、1.03mmよりも小さいか又はそれに等しい、好ましくは1.00mmよりも小さいか又はそれに等しい、より好ましくは0.98mmよりも小さいか又はそれに等しい、ここでは0.97mmに等しい直径を有する。
【0089】
図4から6は、タイヤのそれぞれ通常の軸線(X)方向、半径(Y)方向、及び円周(Z)方向に対応する座標系X、Y、Zを示す。
【0090】
図4は、本発明による及び全体参照番号100によって表されたタイヤを示す。タイヤ100は、軸線方向Xと実質的に平行な軸の周りの回転を実質的に示す。タイヤ100は、この場合に乗用車のためのものを意図している。
【0091】
タイヤ100は、トレッド200を含むクラウン120と円周方向Zにクラウン120内を延びるクラウン補強体140とを含む。
【0092】
クラウン補強体140は、単一作動プライ180を含む作動補強体160と、単一フープピングプライ190を含むフープ補強体170とを含む。ここでは、作動補強体160は、この作動プライ180から構成され、フープ補強体170は、このフープピングプライ190から構成される。
【0093】
クラウン補強体140は、トレッド200を載せている。ここでは、フープ補強体170、この場合はフープピングプライ190は、作動補強体160とトレッド200の間に半径方向に挿入される。
【0094】
タイヤ100は、半径方向内向きにクラウン120を延ばす2つの側壁220を含む。タイヤ100はまた、側壁220の半径方向内側であり、かつ環状補強構造260、この事例では多量の充填ゴム300を載せているビードワイヤ280と同じく半径方向カーカス補強体320とを各々が含む2つのビード240を含む。クラウン補強体140は、カーカス補強体320とトレッド200の間で半径方向に位置している。各側壁220は、各ビード240をクラウン120に接続する。
【0095】
カーカス補強体320は、単一カーカスプライ340を有する。カーカス補強体320は、ビードワイヤ280の周りに折り返されてビード240から側壁220を通ってクラウン120の中に延びる主ストランド380と折り返しストランド400とを各ビード240内に形成することにより、ビード240の各々に固定され、折り返しストランド400の半径方向外端420は、環状補強構造260の半径方向外側である。カーカス補強体320は、従って、ビード240から側壁220を通ってクラウン120の中にまで遠くに延びる。この実施形態では、カーカス補強体320はまた、クラウン120を通って軸線方向に延びる。クラウン補強体140は、カーカス補強体320とトレッド200の間に半径方向に挿入される。
【0096】
各作動プライ180、フープピングプライ190、及びカーカスプライ340は、対応するプライの1又は2以上の補強要素が埋め込まれたエラストマー母材を含む。
【0097】
図5を参照すると、単一カーカスプライ340は、各ビード240に固定されてタイヤのビードの一方から他方まで各側壁220とクラウン120とを通過するカーカス補強フィラメント要素440を含む。各カーカス補強フィラメント要素440は、タイヤ100の正中面M内で、換言すれば、クラウン120内でタイヤ100の円周方向Zと55°よりも大きいか又はそれに等しい、好ましくは55°から80°、より好ましくは60°から70°の範囲の角度A
C1を形成する。
【0098】
縮尺を所与として全てのカーカス補強フィラメント要素440が互いに平行に示された単純化された図である
図6を参照すると、各カーカス補強フィラメント要素440は、タイヤ100の赤道円周平面E内で、換言すれば、各側壁220内でタイヤ100の円周方向Zと85°よりも大きいか又はそれに等しい角度A
C2を作る。
【0099】
この例では、基準直線、この場合は円周方向Zから反時計回り方向に向けられた角度は正の符号を有すること、及び基準直線、この場合は円周方向Zから時計回り方向に向けられた角度は負の符号を有することが慣例によって採用される。この事例では、AC1=+67°及びAC2=+90°である。
【0100】
図5を参照すると、単一作動プライ180は、作動補強フィラメント要素460を含む。単一作動プライが、作動プライ180の幅LTを軸線方向に定める2つの軸線方向縁部Bによって軸線方向に範囲が定められると、各軸線方向縁部Bは、各側壁220の半径方向外側に配置される。作動補強フィラメント要素460は、単一作動プライ180の一方の軸線方向縁部Bから他方の軸線方向縁部Bまで延びる。
【0101】
各カーカス補強フィラメント要素460は、正中面M内でタイヤ100の円周方向Zと10°よりも大きいか又はそれに等しい、好ましくは30°から50°、より好ましくは35°から45°の範囲の角度ATを形成する。上記に定めた向きを所与として、AT=40°である。
【0102】
単一フープピングプライ190は、少なくとも1つのフーピング補強織物フィラメント要素480を含む。この事例では、フープピングプライ190は、タイヤ100のクラウン120の軸線方向幅LFにわたって連続的に巻かれた単一フーピング補強織物フィラメント要素480を含む。有利には、軸線方向幅LFは、作動プライ180の幅LTよりも短い。フーピング補強織物フィラメント要素480は、タイヤ100の円周方向Zと10°よりも厳密に小さい、好ましくは7°よりも小さいか又はそれに等しい、より好ましくは5°よりも小さいか又はそれに等しい角度AFを形成する。この事例では、AF=+5°である。
【0103】
カーカス補強フィラメント要素440、作動補強フィラメント要素460、及びフーピング補強フィラメント要素480は、三角形メッシュを赤道円周平面Eの上への投影内に定めるようにクラウン120に配置されることに注意されたい。ここでは、角度AFと、角度AFの向きと角度AC1の向きがタイヤ100の円周方向Zと反対であるという事実とは、この三角形メッシュが得られることを可能にする。
【0104】
各カーカス補強フィラメント要素440は、従来的に、2つのマルチフィラメントストランドを含み、各マルチフィラメントストランドは、ポリエステルモノフィラメント、ここではPETの糸から構成され、これらの2つのマルチフィラメントストランドは、一方向に240巻回.m-1まで過剰捻転され、次に、反対方向に240巻回.m-1まで互いに撚られる。これらの2つのマルチフィラメントストランドは、互いの周りに螺旋に巻かれる。これらのマルチフィラメントストランドの各々は、220テックスに等しい番手を有する。
【0105】
各作動補強フィラメント要素460は、0.30mmに等しい直径を各々が有する2つの鋼モノフィラメントのアセンブリであり、2つの鋼モノフィラメントは、14mmのピッチで互いに巻かれている。
【0106】
フーピング補強織物フィラメント要素480は、上述の本発明によるコード30によって形成される。
【0107】
タイヤ100は、以下に説明する方法を用いて製造される。
【0108】
最初に、作動プライ180及びカーカスプライ340が、各プライの補強フィラメント要素を互いに平行に配置し、それらを少なくともエラストマーを含む未架橋化合物に例えばカレンダー仕上げによって埋め込むことによって製造され、この化合物は、架橋された時にエラストマー母材を形成するように意図している。プライの補強フィラメント要素が互いに平行であり、かつプライの主方向に平行である直線プライと呼ばれるプライが得られる。次に、必要に応じて、各直線プライの一部分が、切断角度で切断され、これらの部分は、プライの補強フィラメント要素が互いに平行であり、かつ切断角度に等しいプライの主方向との角度を形成する傾斜プライと呼ばれるものを得るために互いに対して当接される。
【0109】
次に、EP1623819又はFR1413102に説明されているような組み立て方法が実施される。
【0110】
この組み立て方法中に、フープ補強体170、この場合はフープピングプライ190が、作動補強体160の半径方向外側に配置される。この場合に、第1の変形では、本発明によるコード30によって形成されたフーピング補強織物フィラメント要素480が未架橋化合物に埋め込まれ、かつビードが軸線方向幅LFを得るためにいくつかの巻回にわたって螺旋状に巻き上げられたLFよりも有意に短い幅Bのビードが製造される。第2の変形では、幅LFを有するフープピングプライ190が、カーカス及び作動プライと類似の方法で製造され、フープピングプライ190は、作動補強体160の上で1巻回を通して巻かれる。第3の変形では、本発明によるコード30によって形成されたフーピング補強織物フィラメント要素480は、作動プライ180の半径方向外側に巻き上げられ、次に、タイヤの硬化中に本発明によるコード30によって形成されたフーピング補強織物フィラメント要素480が埋め込まれることになる化合物の層が、その上に堆積される。全ての3つの変形では、コード30によって形成された粘着化された補強織物フィラメント要素480は、化合物に埋め込まれ、タイヤ製造方法の完了時に、本発明によるコード30によって形成されたフーピング補強織物フィラメント要素480を含むフープピングプライ190を形成する。
【0111】
トレッド200を敷く段階の後に、エラストマー母材の組成物がまだ架橋されず、かつ未硬化状態にあるタイヤが次に得られる。これは、タイヤのグリーンフォームとして公知のものである。
【0112】
最後に、組成物が架橋状態にあるタイヤを得るために、例えば硬化又は加硫によって組成物が架橋される。この硬化段階中に、エラストマー母材が未硬化状態にあるタイヤは、硬化モールドの面に対してタイヤを押圧するために例えば膨脹膜を加圧することによって半径方向に、円周方向に、及び軸線方向に拡張される。
【0113】
比較試験
【0114】
その特殊な構成に起因して、本発明のコードは、実施形態の以下の例によって明らかにされるように取り分け改善された引張特性を有する。
【0115】
異なる構成を有する5つの3重撚りコードコード、すなわち、本発明に適合しないもの(コードE1、E2、E3、及びE4)及び本発明に適合するもの(コード30)の間で比較が行われた。
【0116】
各コードの構成及びその最終特性は、以下の表1に要約されている。
【0117】
初期糸は、公知のように市販されており、この場合はKevlarの商品名の下でDuPontによって又はTwaronの商品名の下でTeijinによって販売されている。
【0118】
各コードに対して、破断強度(Fr)及び見掛け直径(φ)が測定された。見掛け靱性(σ)は、これらから推定された。破断強度及び見掛け靱性の値は、コードE1に対する基数100でも示されている。
【0119】
同じく示されているのは、4.8から4.9まで変化するカレンダー機能係数値を有するプライを生成するのに必要なコード密度とレイアップピッチであり、この2つの値は、有意には異ならず、かつ既存の産業条件で製造することができて隣接コードのポリマー材料の正しく形成されたリンクを有するプライに対応する。カレンダー機能係数は、コードの直径と、プライ内のレイアップピッチとコードの直径間の差との間の比として定められる。提案するプライに対して、プライのdaN.mmで表されるプライの破断強度(Rn)も計算された。
【0120】
撓み及び圧縮での耐久性も評価された。実際に、取り分けタイヤ構造を補強することを意図するコードに対して、耐久性又は耐疲労性は、これらのコードを様々な公知の実験室試験、取り分け、「靴磨き試験」と呼ばれることもある(例えば、EP 848 767、US 2 595 069、US 4 902 774、及びASTM D885-591基準、改訂67Tを見られたい)「ベルト」試験の名称によって公知の疲労試験をこれらのコードに受けさせることによって分析することができ、この試験では、事前被覆されたコードが、硬化されたゴム物品の中に組み込まれる。「ベルト」試験の原理は、第1に、以下の通りである:ベルトは、織物フィラメント要素の2つの層を含み、第1の層は、その性能が評価されることになるコードを含み、各々が0.4mmの化合物の2つの薄膜に1.25mmのピッチで埋め込まれ、第2の補強層は、第1の層の伸長を防止するためのものであり、この第2の層は、比較的剛性の織物フィラメント要素を含み、かつメートル当たり315巻回の撚りで互いに撚られて各々が0.3mmの化合物の2つの薄膜に0.9mmのピッチで埋め込まれた各々167テックスの2つのアラミドストランドを含む。各コードの軸線は、ベルトの長手軸線に向けられる。このベルトは、次に、以下の応力を受ける:ベルトは、ベルトの各基本部分が15daNの引張を受け、かつ湾曲の変動サイクルを受けてそれを無限曲率半径から所与の曲率半径、この場合は20mmまで7Hzの周波数での190,000サイクルの行程を通過させるようにクランク及びクランクシャフトシステムを用いて所与の直径のローラーで循環的に引き出される。この部分の湾曲の変動は、ローラーにより近い内側層上のコードにローラーの直径に応じて所与の割合の形状的圧縮を受けさせる。この応力印加の終了時に、コードは、内側層から剥ぎ取ることによって抽出され、疲労したコードの残留破断強度が測定される。これから残留見掛け靱性(σ)と%で表される試験中の見掛け靱性の損失とが推定される。損失が大きいほど、コードの耐久性の満足度が小さい。
【0121】
コードE1の「A55/1/3/4-Z120/Z180/S300」で表される構成は、このコードが、4つの異なるストランドの最終撚り(T3=300巻回.m-1、方向S)の作動によって生成された3重撚り(T1、T2、T3)コードであることを意味し、4つの異なるストランドの各々は、3つの予備ストランドの逆方向(方向Z)の中間撚り(T2=180巻回.m-1)の作動によって先行して調製されたものであり、これらの3つ予備ストランドの各々は、芳香族ポリアミドの基本モノフィラメント、この場合は第1の撚り作動で予備ストランドに関するのと同じ方向(方向Z)にT1=120巻回.m-1でそれ自体の周りに事前に撚られた55テックスの番手を有するアラミド(A)から構成された単一の糸から構成される。コードE2からE4及び30の他の表記法は、これらのコードに対応する構成が変更すべきところは変更して識別されることを可能にする。
【0122】
全てのコードE1からE4及び30は、最終撚り係数Kによって特徴付けられ、これらの係数Kは、非常に類似であり、かつ本発明によるコードの優秀な特性が撚りT1、T2、及びT3のような他の特徴ではなくその糸の番手とN及びMの値との特定の組合せによるものであることの保証を提供することに注意することは重要である。
【0123】
コード30は例外として、試験したコードのどれも90から130テックスまで、この場合は100から120テックスまで変化するかつ110テックスに等しい番手を有する芳香族ポリアミド又は芳香族コポリアミドの基本モノフィラメントから構成される糸に基づいていない。コードE1からE4は、全てがより低い番手(E1、E3、及びE4)を有するか又はより高い番手(E2)を有する糸を有する。本発明によるコード30のみが、M=2及びN=3であり、かつ各糸が90から130テックスの範囲の番手を有する構成を有する。
【0124】
実際に、コードE1は、M=3及びN=4である構成を有し、試験したコードの中で得られた最良の破断強度Fr及び最良の見掛け靱性σをもたらす。しかし、M=3及びN=4構成の別の影響は、一方で、このコードは、それが既存の撚糸機械に多くの改修を必要とするので製造するのにより高価であり、他方で、このコードは12個の糸に基づいているので比較的長い製造工程及び同時に多くの撚糸機械を使用することが必要であることである。取り分け、コードE1での損失は、全ての試験したコードの中で最大である。
【0125】
コードE2は、N=M=2である構成を有する。比較的少数の糸を補償する試みにおいて、コードE2は、167テックスの番手を有する糸を含む。コードE2のN=M=2構成は、それが既存の撚糸機械上で機械の改修なしで製造されることを可能にし、一方で、比較的高速であってコードに使用する糸の少ない数(コードE1に関して12及びコードE4に関して9に対して,コードE2に関して4)に起因して必要な機械の数も非常に少ない方法の使用を可能にする。しかし、比較的高い番手の使用は、一方で、試験したコードの中で最低の見掛け靱性σ、及び他方で、比較的大きい直径及び従って比較的低いプライ破断強度Rnをもたらす。更に、コードE2での損失は、比較的高い。
【0126】
コードE3は、M=2及びN=3である構成を有し、各糸の番手がコードE2との比較で低減されることを可能にする。コードE3のM=2及びN=3構成は、それが既存の撚糸機械上で機械の改修なしで製造されることを可能にし、一方で、比較的高速であってコードに使用する糸の少ない数(コードE1に関して12及びコードE4に関して9に対して,コードE3に関して6)に起因して必要な機械の数も少ない方法の使用を可能にする。すなわち、コードE3は、比較的小さい直径を有するが、コードE1よりも低い見掛け靱性σとコードE2のものと同等の、すなわち、比較的低いプライ強度Rnとを代償として払う。更に、コードE3での損失は、比較的高い。
【0127】
コードE1とは対照的に、コードE4の構成は、M=N=3であり、それが既存の撚糸機械上で機械の改修なしで製造されることを可能にするようなものである。コードE2とは対照的に、コードE4の直径は、コードE1のものよりも小さい。低減された直径の結果として、コードE2及びE3とは対照的に、コードE4は、コードE1のものと同等の見掛け靱性を有する。これに加えて、コードE2及びE3とは対照的に、プライ破断強度Rnは、コードE1に対して満足なレベルに保たれる。最後にかつ特に、コードE3は、コードE1、E2、及びE3のものよりも遙かに良好な耐久性を有する。しかし、構成M=N=3は、それが、比較的長い製造工程を使用すること又はコードが9個の糸に基づいているので多くの撚糸機械を同時に使用することのいずれかを必要とするという影響も有する。
【0128】
最後に、本発明によるコード30は、直径の制御、耐久性の改善、及び非常に容易な製造の間の最良の妥協を有する。これは、コードE1及びE4とは対照的に、本発明によるコード30の構成が、M=2及びN=3であり、かつそれが既存の撚糸機械上で機械の改修なしで製造されることを可能にし、一方で、比較的高速であってコードに使用する糸の少ない数(コードE1に関して12及びコードE4に関して9に対して,本発明によるコード30に関して6)に起因して必要な機械の数も非常に少ない方法の使用を可能にするようなものであるからである。コードE2とは対照的に、本発明によるコード30の直径は、コードE1のものと同等である。そのような直径は、プライ厚み、後者の重量、タイヤのヒステリシス、及び従ってタイヤの転がり抵抗の増大を回避することを可能にする。更に、コードE2及びE3とは対照的に、プライ破断強度Rnは、コードE1に対して満足なレベルに保たれる。取り分け、コード30は、コードE1、E2、及びE3のものよりも遙かに良好な耐久性を示す。
【0129】
結論として、本発明により、同じ所与の最終撚りに関して、既存の製造機械に対して多くの改修を行う必要なしにコンパクト性の特質を保持し、繊維コードの撓み及び圧縮での耐久性を改善し、かつこれらのコードで補強されるタイヤのアーキテクチャを更に改善し、一方で同じく、コードがそれに基づいている糸の数が少ないことに起因して、高速であり、かつ必要な機械の数が非常に少ない方法を使用することがここで可能である。
【0130】
本発明は、上述の実施形態に限定されない。実際に、作動補強体が2つの作動プライを含む実施形態が想定可能であると考えられる。この実施形態では、各カーカス補強フィラメント要素は、タイヤの正中面内でかつタイヤの赤道円周平面内でタイヤの円周方向と80°よりも大きいか又はそれに等しい、好ましくは80°から90°の範囲の角度を形成する。このようにして、側壁とクラウンの両方に半径方向カーカス補強体を有するタイヤが得られる。この実施形態では、各作動プライは、互いに実質的に平行に並んで配置されたいくつかの好ましくは金属の作動補強フィラメント要素を含む。そのような作動補強フィラメント要素は、タイヤの円周方向と10°から40°の範囲、好ましくは20°から30°の範囲の角度を形成する。有利には、2つのプライの作動補強要素によって形成された角度は、反対方向に向けられ、換言すれば、2つのプライの作動補強要素は、一方の作動プライから他方まで交差する。この実施形態では、上記でより詳細に説明した実施形態でのように、フープ補強フィラメント要素、作動補強フィラメント要素、及びカーカス補強フィラメント要素は、赤道円周平面の上への投影内に三角形メッシュを定めるように有利に配置される。
【0131】
【符号の説明】
【0132】
20a、20b、20c N=3ストランド、N=3予備ストランド
25 コードのアセンブリ
30 本発明によるコード
T1、T3 撚り
D1、D2 方向