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特許7374954神経活性ステロイド溶液およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】神経活性ステロイド溶液およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/57 20060101AFI20231030BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 47/69 20170101ALI20231030BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20231030BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
A61K31/57
A61K9/08
A61K47/69
A61K47/02
A61K47/12
A61P25/24
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021097884
(22)【出願日】2021-06-11
(62)【分割の表示】P 2017564862の分割
【原出願日】2016-06-17
(65)【公開番号】P2021127350
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-06-11
(31)【優先権主張番号】62/181,550
(32)【優先日】2015-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514058913
【氏名又は名称】セージ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】フランセスコ ジー. サリトゥロ
(72)【発明者】
【氏名】アルバート ジーン ロビチャウド
(72)【発明者】
【氏名】ポール ワトソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム フンケ
【審査官】新熊 忠信
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-513316(JP,A)
【文献】特表2007-517067(JP,A)
【文献】特表2009-526858(JP,A)
【文献】特表2009-542649(JP,A)
【文献】特表2009-526860(JP,A)
【文献】特表平10-506912(JP,A)
【文献】特表2010-513392(JP,A)
【文献】国際公開第2016/127170(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-33/44
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00-47/69
A61P 25/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)アロプレグナノロン、スルホブチルエーテルβシクロデキストリン、およびシトレート緩衝液を含む第1の溶液を熱で処理する工程、ならびに(ii)前記第1の溶液と希釈剤とを混合して、薬学的に受容可能な希釈された水性溶液を生成する工程、を含む、薬学的に受容可能な希釈された水性溶液を調製する方法
【請求項2】
前記薬学的に受容可能な希釈された水性溶液は、均質である、請求項1に記載の方法
【請求項3】
前記希釈剤は、注射用滅菌水または食塩溶液を含む、請求項1または2に記載の方法
【請求項4】
前記第1の溶液は、1部の第1の溶液に対して2部の希釈剤で希釈される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法
【請求項5】
前記第1の溶液は、1部の第1の溶液に対して9部の希釈剤で希釈される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法
【請求項6】
記第1の溶液の熱での処理は、オートクレーブ処理を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法
【請求項7】
前記オートクレーブ処理は、前記第1の溶液を、少なくとも10分間、15分間、20分間、30分間、または40分間、加熱殺菌のサイクルに供することである、請求項6に記載の方法
【請求項8】
前記オートクレーブ処理の温度は、110℃~150℃である、請求項6に記載の方法
【請求項9】
前記オートクレーブ処理の温度は、121℃~123℃である、請求項6に記載の方法
【請求項10】
前記第1の溶液は、5mg/mL アロプレグナノロンおよび250mg/mL スルホブチルエーテルβシクロデキストリンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法
【請求項11】
スルホブチルエーテルβシクロデキストリンは、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンの塩を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法
【請求項12】
スルホブチルエーテルβシクロデキストリンは、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンのナトリウム塩を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
この出願は、米国特許法§119(e)の下、2015年6月18日に出願された米国
仮出願第62/181,550号(この全体の内容は、参考として本明細書に援用される
)への優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
(背景)
治療剤(例えば、本明細書で記載される神経活性ステロイド)を含む均質な溶液(例え
ば、水性溶液)は、種々の投与様式(例えば、経口、非経口(例えば、静脈内、筋肉内、
皮下)送達)による、必要なヒト被験体への投与を可能にする。神経活性ステロイドは、
代表的には、水溶性が本質的に低い高度に親油性の化合物である。特に静脈内投与に関し
ては、溶液は、一般にpH安定または化学的に安定であり、好ましくは、長期間、pH安
定または化学的に安定である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
(発明の要旨)
本明細書で提供されるのは、神経活性ステロイド(例えば、アロプレグナノロン)、ス
ルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらから本質
的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液であり;ここで:上記溶液は、
少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月
、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年
もしくはこれより長く、pH約3~約9の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6
.5の間)の安定な溶液である。
【0004】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週
間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10
ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約2℃~約8℃の
温度において、pH約3~約9の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間
)の安定な溶液である。
【0005】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週
間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10
ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約0℃~約45℃
(例えば、約0℃~約30℃の間、約15℃~約25℃の間)の温度において、pH約3
~約9の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)の安定な溶液である。
【0006】
また、本明細書で提供されるのは、神経活性ステロイド(例えば、アロプレグナノロン
)、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらか
ら本質的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液であり;ここで:上記緩
衝液は、少なくとも0.1mM(例えば、少なくとも0.5mM、1mM、2mM、5m
M、または10mM)の濃度で存在する。
【0007】
また、本明細書で提供されるのは、神経活性ステロイド(例えば、アロプレグナノロン
)、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらか
ら本質的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液であり;ここで:上記溶
液は、不純物を実質的に含まない(例えば、3%w/w未満、2%w/w未満、1%w/
w未満、0.5%w/w未満、0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、0.1%w/
w未満という製品仕様を満たす)ままである(例えば、上記溶液は、室温において、少な
くとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6
ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もし
くはこれより長く、不純物を実質的に含まない(例えば、3w/w未満、2w/w未満、
1w/w未満、0.5w/w未満、0.3w/w未満、0.2w/w未満、0.1%w/
w未満という製品仕様を満たす))。いくつかの実施形態において、上記溶液は、少なく
とも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ
月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしく
はこれより長く、少なくとも97%の純度を有する。例えば、上記溶液は、少なくとも1
週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7
ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれ
より長く、90~110のアッセイ値を有する。
【0008】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週
間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10
ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約2℃~約8℃の
温度において、不純物を実質的に含まない(例えば、3%w/w未満、2%w/w未満、
1%w/w未満、0.5%w/w未満、0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、0.
1%w/w未満の不純物)ままである。
【0009】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週
間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10
ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約0℃~約45℃
(例えば、約0℃~約30℃の間、約15℃~約25℃の間)の温度において、不純物を
実質的に含まない(例えば、3%w/w未満、2%w/w未満、1%w/w未満、0.5
%w/w未満、0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、0.1%w/w未満の不純物
)ままである。
【0010】
いくつかの実施形態において、上記溶液中の緩衝液は、約5~10mMの濃度で存在す
る。いくつかの実施形態において、上記溶液中の緩衝液は、約0.1~約4mMの濃度で
存在する。いくつかの実施形態において、上記溶液中の緩衝液は、約0.1mM、約0.
5mM、約1.67mM、または約3.3mMの濃度で存在する。
【0011】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、希釈剤をさらに含む。
【0012】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、非経口的使用に適している。
【0013】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、均質である。
【0014】
いくつかの実施形態において、上記神経活性ステロイドは、プレグナノロン、ガナキソ
ロン(ganaxolone)、アルファダロン(alphadalone)、アルファ
キサロン(alphaxalone)、およびアロプレグナノロンから選択される。いく
つかの実施形態において、上記神経活性ステロイドは、ガナキソロンである。いくつかの
実施形態において、上記神経活性ステロイドは、アロプレグナノロンである。
【0015】
いくつかの実施形態において、上記神経活性ステロイドは、エストロール(estro
l)である。
【0016】
いくつかの実施形態において、上記神経活性ステロイドのアッセイは、1日、2日、3
日、4日、5日、6日、7日;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月もしく
はこれより長く、または1年、2年、3年もしくはこれより長く、室温(例えば、23±
2℃)において、貯蔵の間に10%より少なく低下する。
【0017】
いくつかの実施形態において、上記神経活性ステロイドのアッセイは、1日、2日、3
日、4日、5日、6日、7日;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月もしく
はこれより長く、または1年、2年、3年もしくはこれより長く、約2~約8℃において
、貯蔵の間に10%より少なく低下する。
【0018】
いくつかの実施形態において、上記神経活性ステロイドのアッセイは、少なくとも10
分、15分、20分、25分、30分、40分、45分もしくはこれより長く、約110
~約130℃(例えば、約110~約125℃、例えば、122±2℃)において、貯蔵
の間に10%より少なく低下する。
【0019】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、100±10%のアッセイ値を有する。
【0020】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、化学的に安定である。いくつかの実施形態
において、上記溶液は、物理的に安定である。いくつかの実施形態において、上記溶液は
、pH安定である。
【0021】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、0.5%w/w未満の、0.4%w/w未
満の、0.3%w/w未満の、0.2%w/w未満の、または0.1%w/w未満の、神
経活性ステロイド(例えば、アロプレグナノロン)の分解生成物を含む。いくつかの実施
形態において、上記分解生成物は、上記神経活性ステロイドの酸化生成物(例えば、アロ
プレグナノロンの酸化生成物、136)である。いくつかの実施形態において、上記分解
生成物は、上記神経活性ステロイドのラセミ混合物またはエピマー(例えば、アロプレグ
ナノロンのエピマー生成物、1269)である。いくつかの実施形態において、上記溶液
に存在する神経活性ステロイドの分解生成物(例えば、上記神経活性ステロイドのラセミ
混合物またはエピマーまたは酸化生成物)の量は、1日、2日、3日、4日、5日、6日
、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く;
1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月
、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこれより長く、
実質的に類似である(例えば、±0.1%w/w、±0.2%w/w、±0.5%w/w
、±1%w/w、±2%w/wという製品仕様を満たす)。いくつかの実施形態において
、上記溶液に存在する神経活性ステロイドの分解生成物の量は、1日、2日、3日、4日
、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこ
れより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ
月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこ
れより長く、0.1%w/w未満である。
【0022】
いくつかの実施形態において、上記溶液のpHは、1日、2日、3日、4日、5日、6
日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く
;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ
月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこれより長く
、実質的に類似である(例えば、製品仕様を満たす;上記pHは、±1.2未満、±1未
満、±0.8未満、±0.5未満、±0.3未満、もしくはこれより小さい)。
【0023】
いくつかの実施形態において、上記溶液のpHは、1日、2日、3日、4日、5日、6
日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く
;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ
月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこれより長く
、約3~約9(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)である。
【0024】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、3℃~37℃の間にある。いくつかの実施
形態において、上記溶液は、0℃~45℃の間(例えば、0℃~30℃の間、例えば、1
5℃~25℃の間)にある。いくつかの実施形態において、上記溶液は、室温(例えば、
25℃)にある。
【0025】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、酸性、塩基性、または中性の緩衝液から
選択される。いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、酸性または中性の緩衝液から
選択される。いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、約2~約9のpKaを有する
。いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、一塩基酸を含む。いくつかの実施形態に
おいて、上記緩衝液は、多塩基酸(例えば、シトレート)を含む。いくつかの実施形態に
おいて、上記緩衝液は、シトレート、ホスフェート、アセテート、ラクテート、グルコネ
ート、マレート、スクシネート、トリス、ヒスチジン、およびタートレートならびにこれ
らの混合物からなる群より選択される。
【0026】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、シトレート緩衝液である。いくつかの実
施形態において、上記シトレート緩衝液は、pH約3~約8(例えば、約4.5~約7.
0、約5.5~約6.5、約5.0~約6.0)を有する。
【0027】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、ホスフェート緩衝液である。いくつかの
実施形態において、上記ホスフェート緩衝液は、pH約1~約9(例えば、約4.5~約
7.0、約5.5~約6.5、約5.0~約6.0)を有する。
【0028】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、1もしくはこれより多くの物質(例えば
、弱酸および弱塩基の塩;弱酸およびこの弱酸と強塩基との塩の混合物)の溶液である。
【0029】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラ
ジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]ア
ミノ}エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MO
PS)、ピペラジン-N,N′-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、ジメチ
ルアルシン酸(カコジレート)、シトレート(例えば、塩類クエン酸ナトリウム)、2-
(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ホスフェート(例えば、PBS、D-
PBS)、スクシネート(すなわち、2(R)-2-(メチルアミノ)コハク酸)、アセ
テート、ジメチルグルタレート、マレエート、イミダゾール、N-(2-アセトアミド)
-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-
2-アミノエタンスルホン酸(BES)、ビシン(bicine)、ビス-トリス、ボレ
ート、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、グリシン、3
-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPP
SまたはEPPS)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノプロパン
スルホン酸、[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]
-1-プロパンスルホン酸(TAPS)、トリシン、トリス、トリス塩基、トリス緩衝液
、トリス-グリシン、トリス-HCl、コリジン、ベロナールアセテート、N-(2-ア
セトアミド)イミノ二酢酸;N-(カルバモイルメチル)イミノ二酢酸(ADA)、β-
ヒドロキシ-4-モルホリンプロパンスルホン酸、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロ
パンスルホン酸(MOPSO)、塩化コラミン(cholamine chloride
)、3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンス
ルホン酸(DIPSO)、アセトアミドグリシン、3-{[1,3-ジヒドロキシ-2-
(ヒドロキシメチル)-2-プロパンイル]アミノ}-2-ヒドロキシ-1-プロパンス
ルホン酸(TAPSO)、ピペラジン-N,N′-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホ
ン酸)(POPSO)、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N′-(2-ヒドロ
キシプロパンスルホン酸)(HEPPSO)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンス
ルホン酸(CHES)、2-アミノ-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPd)、
およびグリシンアミドから選択される。いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、ピ
ペラジン(例えば、PIPES、HEPES、POPSO、EPPS)を含む。
【0030】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、非金属錯化化合物(例えば、MES、M
OPS、PIPES)を含む。
【0031】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、注射に適したpH(例えば、安全、許容
できる、非刺激性)にある。
【0032】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、その有効な緩衝能の範囲内にある。
【0033】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、シトレートである。いくつかの実施形態
において、上記シトレート緩衝液は、約1~約100mMもしくはこれより高い濃度で存
在する。いくつかの実施形態において、上記シトレート緩衝液は、5mM、10mM、2
0mM、50mM、100mMもしくはこれより高い濃度で存在する。
【0034】
いくつかの実施形態において、上記緩衝液は、ホスフェートである。いくつかの実施形
態において、上記ホスフェート緩衝液は、約1~約100mMもしくはこれより高い濃度
で存在する。いくつかの実施形態において、上記ホスフェート緩衝液は、5mM、10m
M、20mM、50mM、100mMもしくはこれより高い濃度で存在する。
【0035】
いくつかの実施形態において、上記溶液のpHは、約3~約9(例えば、好ましくは約
5~約9、約4.5~約7.0、約5.0~約6.5)である。
【0036】
いくつかの実施形態において、上記神経活性ステロイドは、0.1mg/mL、0.5
,mg/mL、1mg/mL、1.25mg/mL、2.5mg/mL、3.75mg/
mL、5mg/mL、6.25mg/mL、7.5mg/mL、8mg/mL、9mg/
mL、または10mg/mLまたはこれより高い濃度で存在する。いくつかの実施形態に
おいて、上記神経活性ステロイドは、2.5%w/v、5%w/v、6%w/v、7.5
%w/v、10%w/v、15%w/v、20%w/v、30%w/vもしくはこれより
高いスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで製剤化される。
【0037】
いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド 対 スルホアルキルエーテル-β
-シクロデキストリンのモル比は、約1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6
、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:50、1:75、1:
100、1:120であるかもしくはこれより大きい。いくつかの実施形態において、神
経活性ステロイド 対 スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリンのモル比は、
約0.1、0.05、0.03、0.02、0.01、0.008、0.005であるか
もしくはこれより低い。いくつかの実施形態において、上記神経活性ステロイドは、アロ
プレグナノロンである。いくつかの実施形態において、アロプレグナノロン 対 スルホ
アルキルエーテル-β-シクロデキストリンのモル比は、約1:1、1:2、1:3、1
:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20、1:30、1:
50、1:75である。いくつかの実施形態において、アロプレグナノロン 対 スルホ
アルキルエーテル-β-シクロデキストリンのモル比は、約1:1、1:2、1:3、1
:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10、1:20である。いくつか
の実施形態において、アロプレグナノロン 対 スルホアルキルエーテル-β-シクロデ
キストリンのモル比は、約1:1~約1:60(例えば、約1:1~約1:20、約1:
1~約1:15)である。いくつかの実施形態において、アロプレグナノロン 対 スル
ホアルキルエーテル-β-シクロデキストリンのモル比は、約1:3~約1:20(例え
ば、約1:5~約1:10)である。いくつかの実施形態において、上記溶液は、界面活
性剤をさらに含む。
【0038】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、キレート剤をさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、保存剤をさらに含む。
【0040】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、等張化剤をさらに含む。いくつかの実施形
態において、上記等張化剤は、等張性を得る量において存在する。
【0041】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、加熱処理によって滅菌される。
【0042】
一局面において、提供されるのは、神経活性ステロイド、スルホブチルエーテルβシク
ロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらから本質的になる、これらからなる
)薬学的に受容可能な水性溶液であり;その組成は、3%w/w未満、2%w/w未満、
1%w/w未満、0.5%w/w未満、0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、0.
1%w/w未満の不純物を含む(例えば、上記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週
間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ
月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、不純物を
実質的に含まない(例えば、3%w/w未満、2%w/w未満、1%w/w未満、0.5
%w/w未満、0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、0.1%w/w未満の不純物
))。
【0043】
一局面において、提供されるのは、アロプレグナノロンを含む安定な溶液を調製するた
めの方法であり、上記方法は、アロプレグナノロンと、スルホブチルエーテルβシクロデ
キストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらから本質的になる、これらからなる)薬
学的に受容可能な水性溶液とを接触させる工程を包含する。
【0044】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、約0℃~約60℃の間(例えば、約20℃
~約50℃の間、約35℃~約45℃の間)にある。いくつかの実施形態において、上記
溶液は、室温(例えば、35~45℃)にある。
【0045】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、化学的に安定である。
【0046】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、オートクレーブ処理される(例えば、加熱
滅菌のサイクルに供される、例えば、少なくとも10分(例えば、少なくとも15分、2
0分、30分、40分)の加熱(例えば、110~150℃(例えば、121~123℃
))に供される。いくつかの実施形態において、上記溶液は、110~150℃(例えば
、121~123℃)にある。
【0047】
いくつかの実施形態において、上記溶液に存在する神経活性ステロイドの分解生成物の
量は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週
間、3週間、4週間もしくはこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、
6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く
;1年、2年、3年もしくはこれより長く、0.1%w/w未満である。
【0048】
一局面において、本明細書で提供されるのは、神経活性ステロイド(例えば、アロプレ
グナノロン)、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば
、これらから本質的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液であり;ここ
で:上記溶液は、少なくとも5分、例えば、少なくとも10分、15分、20分、25分
、30分、35分、40分、45分、50分、55分または60分もしくはこれより長く
、約120℃~約124℃の温度において、pH約3~約9の間(例えば、約5~約7の
間、約5.5~約6.5の間)の安定な溶液であるか;あるいは上記緩衝液は、少なくと
も0.1mMの濃度で存在するか;あるいは上記溶液は、少なくとも5分、例えば、少な
くとも10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、5
5分、または60分もしくはこれより長く、約120℃~約124℃の温度において、不
純物を実質的に含まない(例えば、3%w/w未満、2%w/w未満、1%w/w未満、
0.5%w/w未満、0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、0.1%w/w未満と
いう製品仕様を満たす)ままである。
【0049】
一局面において、本明細書で提供されるのは、非経口投与のための方法であり、上記方
法は、アロプレグナノロンを含む第1の溶液(例えば、本明細書で記載される溶液)と希
釈剤(例えば、水または注射溶液もしくは食塩溶液)とを混合して、希釈した溶液を提供
する工程;および上記希釈した溶液を被験体に非経口投与する工程を包含する。いくつか
の実施形態において、上記第1の溶液は、1部の第1の溶液に対して2部の希釈剤で希釈
される。いくつかの実施形態において、上記第1の溶液は、1部の第1の溶液に対して9
部の希釈剤で希釈される。
【0050】
一局面において、本明細書で提供されるのは、神経活性ステロイド、スルホアルキルエ
ーテルβシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンまた
はスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)、および緩衝液を含む水性溶液を調
製するための方法であり、ここで上記溶液は、(例えば、高剪断均質化によって)混合さ
れて、固体を実質的に含まない(例えば、約1%w/v未満、約0.5%w/v未満、約
0.2%w/v未満、約0.1%w/v未満)(例えば、直径が0.22ミクロン、0.
45ミクロン、1ミクロンもしくはこれより大きな粒子サイズを有するいかなる固体も含
まない)溶液を提供する。
【0051】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、適切な混合デバイスまたは方法で混合され
る。いくつかの実施形態において、上記混合デバイスは、高剪断インペラーミキサー、ロ
ーターステーターミキサー、ホモジナイザー、超音波デバイス、またはマイクロフルイダ
イザーである。
【0052】
いくつかの実施形態において、上記ローターステーターミキサーは、2,000~18
,000rpmで回転する。いくつかの実施形態において、上記ホモジナイザーは、10
00~5000psiで機能する。
【0053】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、適切な高剪断混合デバイス(例えば、ロー
ター/ステーターデバイス、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーまたは超音波処理
デバイス)によって混合される。いくつかの実施形態において、上記高剪断混合デバイス
(例えば、ローター/ステーター、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーまたは超音
波処理デバイス)は、直列式高剪断アセンブリ(inline high shear
assembly)を使用する。
【0054】
いくつかの実施形態において、上記方法は、可溶化を達成するために適切な期間(例え
ば、少なくとも15分、30分、60分もしくはこれより長い分数)にわたって使用され
る。
【0055】
いくつかの実施形態において、上記溶液は、例えば、混合物を生成するために、希釈剤
で希釈される。
【0056】
一局面において、本明細書で提供されるのは、神経活性ステロイド、スルホアルキルエ
ーテルβシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンまた
はスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)、および緩衝液を含み;ガス層(例
えば、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、9
9%、99.1%、99.5%、99.98%、99.99%より高い不活性ガス(例え
ば、窒素、アルゴン)を実質的に含む)をさらに含む密閉容器である。
【0057】
いくつかの実施形態において、上記ガス層は、21%未満、20%未満、17%未満、
15%未満、12%未満、10,%未満、8%未満、5%未満、3%未満、1%未満、0
.5%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満の酸素ガスを含む(例えば、
酸素ガスを含まない)。
【0058】
いくつかの実施形態において、上記容器は、バイアル、ストッパー、またはオーバーシ
ールを含む。
【0059】
いくつかの実施形態において、上記容器は、事前充填シリンジである。いくつかの実施
形態において、上記容器は、ガラス容器である。いくつかの実施形態において、上記容器
は、プラスチック容器である。いくつかの実施形態において、上記プラスチック容器およ
び低酸素レベルは、上包(例えば、アルミニウムラミネートパウチ)によって提供される
【0060】
一局面において、本明細書で提供されるのは、被験体(例えば、本明細書で記載される
疾患または障害(例えば、うつ(例えば、産後うつ))に罹患している被験体)を処置す
るための方法であり、上記方法は、本明細書で記載される水性溶液または混合物を投与し
、それによって被験体を処置する工程を包含する。
【0061】
一局面において、本明細書で提供されるのは、被験体(例えば、本明細書で記載される
疾患または障害(例えば、うつ(例えば、産後うつ))に罹患している被験体)を処置す
るための方法であり、上記方法は、2部の本明細書で記載される希釈剤(例えば、WFI
)につき1部の本明細書で記載される水性溶液を投与し、それによって被験体を処置する
工程を包含する。
【0062】
一局面において、本明細書で提供されるのは、被験体(例えば、本明細書で記載される
疾患または障害(例えば、うつ(例えば、産後うつ))に罹患している被験体)を処置す
るための方法であり、上記方法は、9部の本明細書で記載される希釈剤(例えば、WFI
)につき1部の本明細書で記載される水性溶液を投与し、それによって被験体を処置する
工程を包含する。
本発明の実施形態の例として、以下の項目が挙げられる。
(項目1)
神経活性ステロイド、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらから本質的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液であって;ここで:
前記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、pH約3~約9の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)の安定な溶液であるか;または
前記緩衝液は、少なくとも0.1mMの濃度で存在するか;または
前記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、不純物を実質的に含まない(例えば、3% w/w未満、2% w/w未満、1% w/w未満、0.5% w/w未満、0.3% w/w未満、0.2% w/w未満、0.1% w/w未満の不純物)ままである、
溶液。
(項目2)
前記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約2℃~約8℃の温度において、pH約3~約9の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)の安定な溶液である、項目1に記載の溶液。
(項目3)
前記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、
4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約0℃~約45℃(例えば、約0℃~約30℃の間、約15℃~約25℃の間)の温度において、pH約3~約9の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)の安定な溶液である、項目1に記載の溶液。
(項目4)
前記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約2℃~約8℃の温度において、不純物を実質的に含まない(例えば、3% w/w未満、2% w/w未満、1% w/w未満、0.5% w/w未満、0.3% w/w未満、0.2% w/w未満、0.1% w/w未満の不純物)ままである、項目1に記載の溶液。
(項目5)
前記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約0℃~約45℃(例えば、約0℃~約30℃の間、約15℃~約25℃の間)の温度において、不純物を実質的に含まない(例えば、例えば、3% w/w未満、2% w/w未満、1% w/w未満、0.5% w/w未満、0.3% w/w未満、0.2% w/w未満、0.1% w/w未満の不純物)ままである、項目1に記載の溶液。
(項目6)
前記溶液中の前記緩衝液は、約5~100mM(約1~50mM、約1~20mM、約5~10mM)の濃度で存在する、項目1に記載の水性溶液。
(項目7)
前記溶液中の前記緩衝液は、約0.1~約20mMの濃度で存在する、項目1に記載の水性溶液。
(項目8)
前記溶液中の前記緩衝液は、約0.1mM、約0.5mM、約1.67mM、または約3.3mMの濃度で存在する、項目1に記載の水性溶液。
(項目9)
前記溶液は、非経口的使用に適している、項目1に記載の水性溶液。
(項目10)
前記溶液は、均質である、項目1に記載の溶液。
(項目11)
前記神経活性ステロイドは、プレグナノロン、ガナキソロン、アルファダロン、アルファキサロン、およびアロプレグナノロンから選択される、項目1に記載の溶液。
(項目12)
前記神経活性ステロイドは、アロプレグナノロンである、項目1に記載の溶液。
(項目13)
前記神経活性ステロイドは、エストロールである、項目1に記載の溶液。
(項目14)
前記神経活性ステロイドのアッセイは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月もしくはこれより長く、または1年、2年、3年もしくはこれより長い貯蔵の間に、室温(例えば、23±2oC)において、
10%未満低下する、項目1に記載の溶液。
(項目15)
前記溶液は、100±10%のアッセイ値(%)を有する、項目1に記載の溶液。
(項目16)
前記溶液は、化学的に安定である、項目1に記載の溶液。
(項目17)
前記溶液は、物理的に安定である、項目1に記載の溶液。
(項目18)
前記溶液は、pH安定である、項目1に記載の溶液。
(項目19)
前記溶液は、0.5% w/w未満(例えば、0.5% w/w未満、0.4% w/w未満、0.3% w/w未満、0.2% w/w未満)の神経活性ステロイド、例えば、アロプレグナノロンの分解生成物を含む、項目1に記載の溶液。
(項目20)
前記分解生成物は、前記神経活性ステロイドの酸化生成物(例えば、アロプレグナノロンの酸化生成物、136)である、項目19に記載の溶液。
(項目21)
前記分解生成物は、神経活性ステロイドのエピマー(例えば、アロプレグナノロンのエピマー、1269)である、項目19に記載の溶液。
(項目22)
前記溶液に存在する前記神経活性ステロイドの分解生成物(前記神経活性ステロイドの例えば、エピマー、または酸化生成物)の量は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこれより長く、実質的に類似(例えば、±0.1% w/w%、±0.2% w/w%、±0.5% w/w%、±1、2% w/w%の製品仕様を満たす)である、項目19に記載の溶液。
(項目23)
前記溶液に存在する前記神経活性ステロイドの分解生成物の量は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこれより長く、0.1% w/w未満である、項目19に記載の溶液。
(項目24)
前記溶液のpHは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこれより長く、実質的に類似である(例えば、製品仕様を満たし;前記pHは、±1.2、±1、±0.8、±0.5、±0.3もしくはこれより低い)、項目1に記載の溶液。
(項目25)
前記溶液のpHは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年もしくはこれより長く、約3~約9(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)である、項目1に記載の溶液。
(項目26)
前記溶液は、0℃~45℃の間にある、項目1に記載の溶液。
(項目27)
前記溶液は、0℃~30℃の間にある、項目1に記載の溶液。
(項目28)
前記溶液は、室温(例えば、15~25℃)にある、項目1に記載の溶液。
(項目29)
前記溶液は、110~150℃(例えば、121~123℃)にある、項目1に記載の溶液。
(項目30)
前記緩衝液は、酸性、塩基性、または中性の緩衝液から選択される、項目1に記載の溶液。
(項目31)
前記緩衝液は、酸性または中性の緩衝液から選択される、項目1に記載の溶液。
(項目32)
前記緩衝液は、約2~約9のpKaを有する、項目1に記載の溶液。
(項目33)
前記緩衝液は、一塩基酸を含む、項目31に記載の溶液。
(項目34)
前記緩衝液は、多塩基酸(例えば、シトレート)を含む、項目31に記載の溶液。
(項目35)
前記緩衝液は、シトレート、ホスフェート、アセテート、ラクテート、グルコネート、マレート、スクシネート、トリス、ヒスチジンおよびタートレートならびにこれらの混合物からなる群より選択される、項目30に記載の溶液。
(項目36)
前記緩衝液は、1もしくはこれより多くの物質(例えば、弱酸および弱塩基の塩;弱酸および前記弱酸と強塩基との塩の混合物)の溶液である、項目1に記載の溶液。
(項目37)
前記緩衝液は、4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ}エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOPS)、ピペラジン-N,N′-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、ジメチルアルシン酸(カコジレート)、シトレート(例えば、塩類クエン酸ナトリウム)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(MES)、ホスフェート(例えば、PBS、D-PBS)、スクシネート(すなわち、2(R)-2-(メチルアミノ)コハク酸)、アセテート、ジメチルグルタレート、マレエート、イミダゾール、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、ビシン、ビス-トリス、ボレート、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(CAPS)、グリシン、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロパンスルホン酸(HEPPSまたはEPPS)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-3-アミノプロパンスルホン酸、[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(TAPS)、トリシン、トリス、トリス塩基、トリス緩衝液、トリス-グリシン、トリス-HCl、コリジン、ベロナールアセテート、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸;N-(カルバモイルメチル)イミノ二酢酸(ADA)、β-ヒドロキシ-4-モルホリンプロパンスルホン酸、3-モルホリノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、塩化コラミン、3-(N,N-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIPSO)、アセトアミドグリシン、3-{[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチル)-2-プロパンイル]アミノ}-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(TAPSO)、ピペラジン-N,N′-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPSO)、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N′-(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(HEPPSO)、N-シクロヘキシル(cycloxhexyl)-2-アミノエタンスルホン酸(CHES)、2-アミノ-メチル-1,3-プロパンジオール(proponediol)(AMPd)、およびグリシンアミドから選択される、項目1に記載の溶液。
(項目38)
前記緩衝液は、注射に適した(例えば、安全、許容できる、非刺激性)pHにある、項目1に記載の溶液。
(項目39)
前記緩衝液は、その有効な緩衝能の範囲内にある、項目1に記載の溶液。
(項目40)
前記緩衝液は、シトレートである、項目1に記載の溶液。
(項目41)
前記シトレート緩衝液は、約1~約100mMもしくはこれより高い濃度で存在する、項目40に記載の溶液。
(項目42)
前記シトレート緩衝液は、5mM、10mM、20mM、50mM、100mMもしくはこれより高い濃度で存在する、項目40に記載の溶液。
(項目43)
前記溶液のpHは、約3~約9である、項目1に記載の溶液。
(項目44)
前記溶液のpHは、約5~約9である、項目1に記載の溶液。
(項目45)
前記溶液のpHは、約4.5~約7.0である、項目1に記載の溶液。
(項目46)
前記溶液のpHは、約5.0~約6.5である、項目1に記載の溶液。
(項目47)
前記神経活性ステロイドは、0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、1.25mg/mL、2.5mg/mL、3.75mg/mL、5mg/mL、6.25mg/mL、7.5mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、または10mg/mLもしくはこれより多く存在する、項目1に記載の溶液。
(項目48)
前記神経活性ステロイドは、2.5% w/v、5% w/v、6% w/v、7.5% w/v、10% w/v、15% w/v、20% w/v、30% w/vもしくはこれより多くのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンで製剤化される、項目1に記載の溶液。
(項目49)
神経活性ステロイド 対 スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリンのモル比は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:20、約1:30、約1:50、約1:75、約1:100、約1:120であるかもしくはこれより大きい、項目1に記載の溶液。
(項目50)
神経活性ステロイド 対 スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリンのモル比は、約0.1、約0.05、約0.03、約0.02、約0.01、約0.008、約0.005であるかもしくはこれより小さい、項目1に記載の溶液。
(項目51)
界面活性剤をさらに含む、項目1に記載の溶液。
(項目52)
キレート剤をさらに含む、項目1に記載の溶液。
(項目53)
保存剤をさらに含む、項目1に記載の溶液。
(項目54)
等張性を得る量において等張化剤も含む、項目1に記載の溶液。
(項目55)
前記溶液は、加熱処理によって滅菌される、項目1に記載の溶液。
(項目56)
神経活性ステロイド、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらから本質的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液であって;その組成は、3% w/w未満、2% w/w未満、1% w/w未満、0.5%
w/w未満、0.3% w/w未満、0.2% w/w未満、0.1% w/w未満の不純物を含む(例えば、前記溶液は、少なくとも1週間、2週間、3週間、4週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月;1年、2年、3年もしくはこれより長く、不純物を実質的に含まない(例えば、3% w/w未満、2% w/w未満、1% w/w未満、0.5% w/w未満、0.3% w/w未満、0.2% w/w未満、0.1% w/w未満の不純物))、溶液。
(項目57)
アロプレグナノロンを含む安定な溶液を調製するための方法であって、前記方法は、アロプレグナノロンと、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらから本質的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液とを接触させる工程を包含する、方法。
(項目58)
前記溶液は、約0℃~約60℃の間(例えば、約20℃~約50℃の間、約35℃~約45℃の間)にある、項目57に記載の方法。
(項目59)
前記溶液は、室温(例えば、35~45℃)にある、項目57に記載の方法。
(項目60)
前記溶液は、化学的に安定である、項目57に記載の方法。
(項目61)
前記溶液は、オートクレーブ処理される(例えば、加熱滅菌のサイクルに供される、例えば、少なくとも10分(例えば、少なくとも15分、20分、30分、40分)の加熱(例えば、110~150℃(例えば、121~123℃)に供される)、項目57に記載の方法。
(項目62)
前記溶液は、110~150℃(例えば、121~123℃)にある、項目57に記載の方法。
(項目63)
前記溶液に存在する前記神経活性ステロイドの分解生成物の量は、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く; 1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く; 1年、2年、3年もしくはこれより長く、0.1% w/w未満である、項目57に記載の溶液。
(項目64)
神経活性ステロイド(例えば、アロプレグナノロン)、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンおよび緩衝液を含む(例えば、これらから本質的になる、これらからなる)薬学的に受容可能な水性溶液であって;ここで:
前記溶液は、少なくとも5分、例えば、少なくとも10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分または60分もしくはこれより長く、約120℃~約124℃の温度において、pH約3~約9の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)の安定な溶液であるか;あるいは
前記緩衝液は、少なくとも0.1mMの濃度で存在するか;あるいは
前記溶液は、少なくとも5分、例えば、少なくとも10分、15分、20分、25分、30分、35分、40分、45分、50分、55分または60分もしくはこれより長く、約120℃~約124℃の温度において、不純物を実質的に含まない(例えば、3% w/w未満、2% w/w未満、1% w/w未満、0.5% w/w未満、0.3% w/w未満、0.2% w/w未満、0.1% w/w未満の製品仕様を満たす)ままである、
溶液。
(項目65)
非経口投与の方法であって、前記方法は、
アロプレグナノロンを含む第1の溶液(例えば、本明細書で記載される溶液)と希釈剤(例えば、水もしくは注射溶液もしくは食塩溶液)とを混合して、希釈した溶液を提供する工程;および
前記希釈した溶液を被験体に非経口投与する工程
を包含する、方法。
(項目66)
前記第1の溶液は、1部の第1の溶液に対して2部の希釈剤で希釈される、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記第1の溶液は、1部の第1の溶液に対して9部の希釈剤で希釈される、項目65に記載の方法。
(項目68)
神経活性ステロイド、スルホアルキルエーテルβシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)、および緩衝液を含む水性溶液を調製する方法であって、ここで前記溶液は、(例えば、高剪断均質化によって)混合されて、固体を実質的に含まない(例えば、約1% w/v未満、約0.5% w/v未満、約0.2% w/v未満、約0.1% w/v未満)(例えば、直径が0.22ミクロン、0.45ミクロン、1ミクロンもしくはこれより大きい粒子サイズを有するあらゆる固体を含まない)溶液を提供する、方法。
(項目69)
前記溶液は、適切な混合デバイスまたは方法で混合される、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記混合デバイスは、高剪断インペラーミキサー、ローターステーターミキサー、ホモジナイザー、超音波デバイス、またはマイクロフルイダイザーである、項目68に記載の方法。
(項目71)
前記ローターステーターミキサーは、2,000~18,000rpmで回転する、項目70に記載の方法。
(項目72)
前記ホモジナイザーは、1000~5000psiで機能する、項目70に記載の方法。
(項目73)
前記溶液は、適切な高剪断混合デバイス、例えば、ローター/ステーターデバイス、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーまたは超音波処理デバイスによって混合される、項目68に記載の方法。
(項目74)
前記高剪断混合デバイス(例えば、ローター/ステーター、ホモジナイザー、マイクロフルイダイザーまたは超音波処理デバイス)は、直列式高剪断アセンブリを使用する、項目68に記載の方法。
(項目75)
前記方法は、可溶化を達成するために適切な期間(例えば、少なくとも15分、30分、60分もしくはこれより長い分数)にわたって使用される、項目68に記載の方法。
(項目76)
前記溶液は、希釈剤で希釈されて、例えば、混合物を生成する、項目68に記載の方法。
(項目77)
神経活性ステロイド、スルホアルキルエーテルβシクロデキストリン(例えば、スルホブチルエーテルβシクロデキストリンまたはスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)、および緩衝液を含み;(例えば、90%超、91%超、92%超、93%超、94%超、95%超、96%超、97%超、98%超、99%超、99.1%超、99.5%超、99.98%超、99.99%超の不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)を実質的に含むガス層をさらに含む、密閉容器。
(項目78)
前記ガス層は、21%未満、20%未満、17%未満、15%未満、12%未満、10%未満、8%未満、5%未満、3%未満、1%未満、0.5%未満、0.2%未満、0.1%未満、0.05%未満の酸素ガスを含む(例えば、酸素ガスを含まない)、項目77に記載の密閉容器。
(項目79)
前記容器は、バイアル、ストッパー、またはオーバーシールを含む、項目77に記載の容器。
(項目80)
前記容器は、事前充填シリンジである、項目77に記載の容器。
(項目81)
前記容器は、ガラス容器である、項目77に記載の容器。
(項目82)
前記容器は、プラスチック容器である、項目77に記載の容器。
(項目83)
前記プラスチック容器および低酸素レベルは、上包(例えば、アルミニウムラミネートパウチ)によって提供される、項目77に記載の容器。
(項目84)
被験体(例えば、本明細書で記載される疾患または障害(例えば、うつ(例えば、産後うつ))に罹患している被験体)を処置する方法であって、前記方法は、本明細書で記載される水性溶液または混合物(例えば、項目1に記載の水性溶液)を投与し、それによって被験体を処置する工程を包含する、方法。
【図面の簡単な説明】
【0063】
図1図1。アロプレグナノロン分解プロセスの描写。
図2図2。SBECD中のアロプレグナノロン溶解度の描写。
図3図3。時間=0、4週間、6週間、および12週間でのホスフェート緩衝液中のアロプレグナノロンの安定性(A)40℃での曲線下面積;(B)60℃での曲線下面積。
図4図4。時間=0、4週間、6週間、および12週間でのシトレート緩衝液中のアロプレグナノロンの安定性(A)40℃での曲線下面積;(B)60℃での曲線下面積。
図5図5。(A)40℃において;(B)60℃において、種々の緩衝液中での経時的な136の形成
図6-1】図6。1269の例示的なLC-MS特徴付け。
図6-2】図6。1269の例示的なLC-MS特徴付け。
図7-1】図7。136の例示的なLC-MS特徴付け。
図7-2】図7。136の例示的なLC-MS特徴付け。
図7-3】図7。136の例示的なLC-MS特徴付け。
図8図8。(A)40℃および(B)60℃において12週間測定した、非緩衝化アロプレグナノロン製剤のアッセイ。
【発明を実施するための形態】
【0064】
発明のある特定の実施形態の詳細な説明
本明細書で記載されるのは、神経活性ステロイド、シクロデキストリン、および緩衝液
を含む水性溶液または混合物;それらの使用および投与の方法、それらの調製法、ならび
に上記溶液または混合物を含む容器である。
【0065】
定義
本明細書で使用される場合、本明細書で記載される、用語「安定化された(stabil
ized)」および「安定な(stable)」水性溶液(例えば、神経活性ステロイド
を含む水性溶液)とは、「化学的に安定」および「物理的に安定」である溶液をいう。神
経活性ステロイドを含む溶液は、神経活性ステロイドが化学的変換または分解(例えば、
ラセミ化、エピマー化、酸化)を受けない場合に、化学的に安定である。例えば、化学的
に安定な神経活性ステロイド(例えば、溶液中の)は、例えば、ある期間(例えば、1時
間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14時間
、16時間、18時間、20時間、24時間もしくはこれより長く;1日、2日、3日、
4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間もしく
はこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10ヶ月
、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年、4年、5年もしくはこれより長く
)の後に、または温度(例えば、周囲または高温)において、ラセミ化またはエピマー化
(例えば、受けやすい位置で(例えば、神経活性ステロイドにおけるC17位でのラセミ
化またはエピマー化))しないか、または酸化(例えば、受けやすい位置で(例えば、神
経活性ステロイドのC3位で酸化))しないか、または還元(例えば、受けやすい位置で
(例えば、神経活性ステロイドのC21位で還元))しない。本明細書で使用される場合
、「pH安定」とは、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く
;1週間、2週間、3週間、4週間もしくはこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4
ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしく
はこれより長く;1年、2年、3年、4年、5年もしくはこれより長く、例えば、少なく
とも1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間;1ヶ月、2ヶ
月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、
12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年、4年、5年もしくはこれより長く、
溶液のpHが実質的に類似である(例えば、±1.2、±1、±0.8、±0.5、±0
.3、もしくはこれより小さい)溶液に言及する。神経活性ステロイドを含む溶液は、上
記溶液が、例えば、ある期間後または種々の温度において、物理的変化(例えば、色もし
くは微粒子物のレベルの変化)を受けない場合に、「物理的に安定」である。例えば、神
経活性ステロイドを含む安定な水性溶液は、製造(例えば、調製;化合、濾過、標識およ
び滅菌)、輸送、または貯蔵条件下で、化学的に安定および物理的に安定である。
【0066】
「アッセイ」とは、本明細書で使用される場合、薬物物質の含有量を決定する、特異的
で安定性が示されている手順をいう。例えば、アッセイは、基準となる標準の使用を要す
るクロマトグラフィー方法(chromagraphic method)(例えば、H
PLC)であり得る。
【0067】
「不純物」とは、本明細書で使用される場合、有機不純物および無機不純物、ならびに
残留溶媒をいう。例えば、不純物とは、ラセミ化またはエピマー化された(例えば、受け
やすい位置で(例えば、神経活性ステロイドにおいてC17位でラセミ化またはエピマー
化された))か、または酸化された(例えば、受けやすい位置で(例えば、神経活性ステ
ロイドのC3位において酸化された))か、または還元された(例えば、受けやすい位置
で(例えば、神経活性ステロイドのC21位において)、神経活性ステロイドをいう。溶
液は、これが3%w/w未満、2%w/w未満、1%w/w未満、0.5%w/w未満、
0.3%w/w未満、0.2%w/w未満、または0.1%w/w未満の不純物を含む場
合に、不純物を含まない。
【0068】
「純度」とは、本明細書で使用される場合、例えば、溶液または組成物中に、その親(
例えば、時間=0での)と比較して、不純物が存在しないことをいう。
【0069】
「滅菌」とは、本明細書で使用される場合、無菌充填(aseptic fill)(
例えば、防腐滅菌(aseptic sterilization))または最終滅菌(
terminal sterilization)をいう。
【0070】
溶液
本明細書で記載される水性溶液または混合物は、神経活性ステロイドを含む。神経活性
ステロイドは、代表的には、本質的に水溶性の低い、高度に親油性の化合物である。シク
ロデキストリン(例えば、本明細書で記載されるとおりのシクロデキストリン)は、化合
物(例えば、神経活性ステロイド化合物)の安定化を促進し得る。スルホブチルエーテル
-β-シクロデキストリンを含むある特定の非緩衝化神経活性ステロイド溶液は、pH安
定ではないことが予測外にも見出された。例えば、上記溶液(例えば、非緩衝化溶液)の
pHは、約3~約9の間、例えば、約5~約8の間、例えば、約5.5~約7.5の間で
ある。さらに、上記溶液(例えば、非緩衝化溶液)のpHは、変動することが見出された
(例えば、pHは、所望のpH範囲の間に留まらなかった)。ある特定の緩衝液は、例え
ば、臨床状況において、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリンを含む非緩衝化
神経活性ステロイド溶液と併用するために十分に適していることが見出された。なぜなら
上記溶液または混合物のpHは変化しないからである(例えば、上記pHは、5.5~7
.5の間で留まった)。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月もしくはこれ
より長い月数にわたって、4~40℃の温度において貯蔵される場合、ある特定の緩衝化
溶液または混合物は、ある特定の非緩衝化溶液より安定であることが予測外にも見出され
た。さらに驚くべきことに、本明細書で記載されるある特定の緩衝化溶液または混合物は
、例えば、高温(例えば、121℃)において、短期間にわたって、滅菌プロセス(例え
ば、本明細書で記載される滅菌プロセス)に対して安定(例えば、物理的におよび化学的
に安定)であることが見出された。例えば、本明細書で記載されるある特定の緩衝化溶液
または混合物は、高温(例えば、121℃)において、10分、20分、30分、40分
、50分、60分、70分、80分、90分もしくはこれより長く、安定(例えば、物理
的におよび化学的に安定)である。さらに、本明細書で記載されるある特定の緩衝化神経
活性ステロイド溶液または混合物は、予測外にも、ある範囲の温度および時間にわたって
不純物の形成を受けにくいことが見出された。例えば、ある特定の緩衝化神経活性ステロ
イド溶液または混合物は、ある範囲の温度および貯蔵時間にわたって、ある特定の非緩衝
化神経活性ステロイド溶液より少ない不純物含有量(例えば、2% w/vもしくはこれ
より少ない)を有し得る。
【0071】
本明細書で記載されるある特定の緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物はまた、
1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、8時間、10時間、12時間、14
時間、16時間、18時間、20時間、24時間もしくはこれより長く;1日、2日、3
日、4日、5日、6日、7日もしくはこれより長く;1週間、2週間、3週間、4週間も
しくはこれより長く;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、10
ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く;1年、2年、3年、4年、5年もしくはこれより
長く、安定(例えば、化学的におよび物理的に安定)である。ある特定の緩衝化神経活性
ステロイド溶液または混合物は、約3~約125℃の間で安定(例えば、pH安定、化学
的に安定)である。いくつかの実施形態において、緩衝化神経活性ステロイド溶液または
混合物は、約3~約6℃の間で安定である。いくつかの実施形態において、緩衝化神経活
性ステロイド溶液または混合物は、約4℃において安定である。いくつかの実施形態にお
いて、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、約20~約40℃の間で安定であ
る。いくつかの実施形態において、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、室温
(例えば、周囲温度)において安定である。いくつかの実施形態において、緩衝化神経活
性ステロイド溶液または混合物は、約25℃において安定である。いくつかの実施形態に
おいて、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、約37℃において安定である。
いくつかの実施形態において、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、約115
~約125℃の間で、例えば、数分(例えば、10分、20分、30分、40分、50分
、60分、70分、80分、90分もしくはこれより長く、数時間(例えば、1時間、2
時間、3時間もしくはこれより長く)にわたって、安定である。いくつかの実施形態にお
いて、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、オートクレーブ処理温度において
安定である。いくつかの実施形態において、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物
は、約121℃において安定である。
【0072】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ステロイド溶液ま
たは混合物は、約20~30℃の範囲の温度において、少なくとも1週間、2週間、3週
間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ
月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより
長く;1年、2年、3年、4年、5年もしくはこれより長く、安定である。
【0073】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ステロイド溶液ま
たは混合物は、約2~8℃の範囲の温度において、少なくとも1週間、2週間、3週間、
4週間、5週間、6週間、7週間、8週間;1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、
6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月もしくはこれより長く
;1年、2年、3年、4年、5年もしくはこれより長く、安定である。
【0074】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ステロイド溶液ま
たは混合物は、被験体への注射のために調製される。よって、それらは、滅菌されており
、発熱物質、粒状物、および他の混入物質を含まず、かつ適切な場合には、微生物増殖の
インヒビターを含むことを確実にするために設計された方法によって調製される。よって
、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、目に見える固体粒子を本質的に含まな
い。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ステロイド溶液
または混合物は、濾過されていてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で記載
される緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、滅菌され得る(例えば、濾過によ
って(例えば、0.45ミクロンおよび0.22ミクロンのフィルタを通して濾過される
)、熱によって(例えば、121℃での蒸気滅菌)、または照射によって(例えば、γ線
照射)滅菌され得る)。いくつかの実施形態において、滅菌された緩衝化神経活性ステロ
イド溶液または混合物は、より高レベルの不純物(例えば、酸化された神経活性ステロイ
ドまたはラセミ化もしくはエピマー化神経活性ステロイド)を含まない。例えば、滅菌さ
れた緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、0.001%w/w、0.002%
w/w、0.005%w/w、0.01%w/w、0.02%w/w、0.05%w/w
、0.1%w/w、0.2%w/w、0.5%w/w、1%w/wより多くの不純物を含
まない。いくつかの実施形態において、滅菌された緩衝化神経活性ステロイド溶液または
混合物は、約3~約8の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)のpH
を有する。
【0075】
いくつかの実施形態において、緩衝化神経活性ステロイド溶液または混合物は、ヒト投
与に関して安全で、十分に許容され、または非刺激性である。
【0076】
いくつかの実施形態において、本明細書で記載されるとおりの緩衝化神経活性ステロイ
ドは、非経口投与に適したエマルジョンとして調製される。このようなエマルジョンは、
張度を改変し、組成物の化学的および物理的安定性を確実にするために、適切な油または
油の混合物、適切な乳化成分、適切な緩衝液、および必要な場合には他の成分の中に、本
明細書で記載される神経活性ステロイドを含む。よってそれらは、滅菌されており、発熱
物質、粒状物、および他の混入物質を含まず、かつ適切な場合には、微生物増殖のインヒ
ビターを含むことを確実にするために設計された方法によって調製される。よって、緩衝
化神経活性ステロイド溶液は、目に見える固体粒子を本質的に含まない。いくつかの実施
形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ステロイド溶液は、濾過されていて
もよい。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ステロイド
溶液は、滅菌され得る(例えば、濾過によって(例えば、0.45ミクロンおよび0.2
2ミクロンのフィルタを通して濾過される)、熱によって(例えば、121℃での蒸気滅
菌)、または照射によって(例えば、γ線照射)滅菌され得る)。いくつかの実施形態に
おいて、滅菌された緩衝化神経活性ステロイドエマルジョンは、緩衝化神経活性ステロイ
ドエマルジョンの安全かつ有効な投与を確実にするために、必要とされる乳球または液滴
サイズを維持する。いくつかの実施形態において、滅菌された緩衝化神経活性ステロイド
エマルジョンは、より高レベルの不純物(例えば、酸化された神経活性ステロイドまたは
ラセミ化もしくはエピマー化神経活性ステロイド)を含まない。例えば、滅菌された緩衝
化神経活性ステロイドエマルジョンは、0.001%w/w、0.002%w/w、0.
005%w/w、0.01%w/w、0.02%w/w、0.05%w/w、0.1%w
/w、0.2%w/w、0.5%w/w、1%w/wより多くの不純物を含まない。いく
つかの実施形態において、滅菌された緩衝化神経活性ステロイドエマルジョンは、約3~
約8の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)のpHを有する。
【0077】
いくつかの実施形態において、緩衝化神経活性ステロイドは、注射に適した油溶液とし
て調製される。このような油溶液は、組成物の化学的および物理的安定性を確実にするた
めに、適切な油または油の混合物および必要な場合には他の成分の中に、神経活性ステロ
イドを含む。いくつかの実施形態において、油および製剤化賦形剤の選択は、神経活性ス
テロイドの所望の放出および持続した活性を提供する。よってそれらは、滅菌されており
、発熱物質、粒状物、および他の混入物質を含まず、かつ適切な場合には、微生物増殖の
インヒビターを含むことを確実にするために設計された方法によって調製される。よって
緩衝化神経活性ステロイド油溶液は、目に見える固体粒子を本質的に含まない。いくつか
の実施形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ステロイド油溶液は、濾過さ
れていてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される緩衝化神経活性ス
テロイド油溶液は、滅菌され得る(例えば、濾過によって(例えば、0.45ミクロンお
よび0.22ミクロンのフィルタを通して濾過される)、熱によって(例えば、>150
℃での乾熱滅菌)滅菌され得る)。いくつかの実施形態において、滅菌された緩衝化神経
活性ステロイド油溶液は、より高レベルの不純物(例えば、酸化された神経活性ステロイ
ドまたはラセミ化もしくはエピマー化神経活性ステロイド)を含まない。例えば、滅菌さ
れた緩衝化神経活性ステロイド油溶液は、0.001%w/w、0.002%w/w、0
.005%w/w、0.01%w/w、0.02%w/w、0.05%w/w、0.1%
w/w、0.2%w/w、0.5%w/w、1%w/wより多くの不純物を含まない。
【0078】
いくつかの実施形態において、緩衝化神経活性ステロイド溶液またはエマルジョンは、
凍結乾燥される。このような凍結乾燥した溶液またはエマルジョンは、本明細書で記載さ
れる神経活性ステロイド溶液に使用されるのと類似の賦形剤を含み得る。いくつかの実施
形態において、凍結乾燥された緩衝化神経活性溶液またはエマルジョンは、凍結乾燥プロ
セスを高めるために、当業者に公知のさらなる成分(例えば、糖、改変された炭水化物化
合物、および溶媒(例えば、t-ブチルアルコール)が挙げられるが、これらに限定され
ない)を含み得る。よって、それらは、滅菌されており、発熱物質、粒状物、および他の
混入物質を含まず、かつ適切な場合には、微生物増殖のインヒビターを含むことを確実に
するために設計された方法によって調製される。よって、凍結乾燥された緩衝化神経活性
ステロイド溶液またはエマルジョンは、再構成の際に、目に見える固体粒子を本質的に含
まない。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される凍結乾燥された緩衝化神経
活性ステロイド溶液またはエマルジョンは、再構成前および再構成後に濾過されてもよい
。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される凍結乾燥された緩衝化神経活性ス
テロイド溶液またはエマルジョンは、滅菌され得る(例えば、濾過によって(例えば、0
.45ミクロンおよび0.22ミクロンのフィルタを通して濾過される)、または照射に
よって(例えば、γ線照射)滅菌され得る)。いくつかの実施形態において、凍結乾燥さ
れた滅菌緩衝化神経活性ステロイド溶液またはエマルジョンは、0.001%w/w、0
.002%w/w、0.005%w/w、0.01%w/w、0.02%w/w、0.0
5%w/w、0.1%w/w、0.2%w/w、0.5%w/w、1%w/wより多くの
不純物(例えば、酸化された神経活性ステロイドまたはラセミ化もしくはエピマー化神経
活性ステロイド)を含まない。いくつかの実施形態において、滅菌された凍結乾燥緩衝化
神経活性ステロイド溶液またはエマルジョンは、再構成後に、約3~約8の間(例えば、
約5~約7の間、約5.5~約6.5の間)のpHを有する。
【0079】
混合物
本明細書で記載される水性溶液は、「混合物」を提供するために本明細書で記載される
希釈剤と混合され得る。適切な希釈剤としては、注射用滅菌水(「WFI」)、食塩水、
およびデキストロースが挙げられる。いくつかの実施形態において、本明細書で記載され
る水性溶液は、1:2 水性溶液:希釈剤の比において本明細書で記載される希釈剤と混
合される。いくつかの実施形態において、本明細書で記載される水性溶液は、1:9 水
性溶液:希釈剤の比において本明細書で記載される希釈剤と混合される。
【0080】
いくつかの実施形態において、混合物は、約1~約3mg/mL 神経活性ステロイド
を含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約1.2~約2.5mg/mL 神経
活性ステロイドを含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約1.4~約2.0m
g/mL 神経活性ステロイドを含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約1.
6~約1.7mg/mL 神経活性ステロイドを含む。いくつかの実施形態において、混
合物は、約1.67mg/mL 神経活性ステロイドを含む。
【0081】
いくつかの実施形態において、混合物は、約0.1~約1mg/mL 神経活性ステロ
イドを含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約0.25~約0.75mg/m
L 神経活性ステロイドを含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約0.5mg
/mL 神経活性ステロイドを含む。
【0082】
いくつかの実施形態において、混合物は、約1%~約20%w/wシクロデキストリン
(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施
形態において、混合物は、約2.5%~約15%w/wシクロデキストリン(例えば、ス
ルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施形態において
、混合物は、約5%~約15%w/wシクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエー
テル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約5
%~約10%w/wシクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロ
デキストリン)を含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約8.3%w/wシク
ロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。
【0083】
いくつかの実施形態において、混合物は、約0.1%~約10% w/w シクロデキ
ストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつ
かの実施形態において、混合物は、約0.5%~約7.5% w/w シクロデキストリ
ン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実
施形態において、混合物は、約0.5%~約5% w/w シクロデキストリン(例えば
、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施形態にお
いて、混合物は、約1%~約5% w/w シクロデキストリン(例えば、スルホアルキ
ルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施形態において、混合物は
、約2.5% w/w シクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シ
クロデキストリン)を含む。
【0084】
いくつかの実施形態において、混合物は、約1~約3mg/mL 神経活性ステロイド
および約1%~約20% w/w シクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテ
ル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約1.
2~約2.5mg/mL 神経活性ステロイドおよび約2.5%~約15%w/wシクロ
デキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。い
くつかの実施形態において、混合物は、約1.4~約2.0mg/mL 神経活性ステロ
イドおよび約5%~約15%w/wシクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテ
ル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約1.
6~約1.7mg/mL 神経活性ステロイドおよび約5%~約10%w/wシクロデキ
ストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつ
かの実施形態において、混合物は、約1.67mg/mL 神経活性ステロイドおよび約
8.3%w/wシクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキ
ストリン)を含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、混合物は、約0.1~約1mg/mL 神経活性ステロ
イドおよび約0.1%~約10% w/w シクロデキストリン(例えば、スルホアルキ
ルエーテル-β-シクロデキストリン)を含む。いくつかの実施形態において、混合物は
、約0.25~約0.75mg/mL 神経活性ステロイドを含み約0.5%~約5%w
/wシクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)
を含む。いくつかの実施形態において、混合物は、約0.5mg/mL 神経活性ステロ
イドおよび約2.5%w/wシクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル-β
-シクロデキストリン)を含む。
【0086】
いくつかの実施形態において、混合物は、本明細書で記載される緩衝液、例えば、シト
レート緩衝液、ホスフェート緩衝液を含む。いくつかの実施形態において、緩衝液は、約
1~約500mM(例えば、約1~約250mM、約1~約200mM、約1~約150
mM、約1~約100mM、約1~約50mM)で存在する。いくつかの実施形態におい
て、緩衝液は、生理学的pHにおいてまたはその付近にある。好ましくは、混合物のpH
は、約3~約8の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間、約5.9~約
6.1の間)に、または上記範囲内の任意の特定の値にある。いくつかの実施形態におい
て、混合物のpHは、約5~約6.5の間に、または上記範囲内の任意の特定の値(例え
ば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6.1、6.2、6.3、6.4)
にある。いくつかの実施形態において、混合物のpHは、約6である。いくつかの実施形
態において、緩衝液は、シトレート緩衝液であり、そのpHは、約3~約7.4の間にあ
る。いくつかの実施形態において、緩衝液は、シトレート緩衝液であり、そのpHは、約
5.5~約6.2の間にある。いくつかの実施形態において、緩衝液は、ホスフェート緩
衝液であり、そのpHは、約6.2~8.2の間に、好ましくは、約7.4にある。
【0087】
いくつかの実施形態において、混合物は、2部の希釈剤(例えば、WFI)あたり、1
部の緩衝化神経活性ステロイド溶液(本明細書で記載されるとおりの緩衝化神経活性ステ
ロイド溶液)を含む。
【0088】
いくつかの実施形態において、混合物は、9部の希釈剤(例えば、食塩水、WFI)あ
たり、1部の緩衝化神経活性ステロイド溶液(本明細書で記載されるとおりの緩衝化神経
活性ステロイド溶液)を含む。
【0089】
いくつかの実施形態において、混合物は、等張性である。いくつかの実施形態において
、混合物は、低張性である。いくつかの実施形態において、混合物の張度は、例えば、張
度増強剤(tonicity enhancer)によって、約300mOsm/Lもし
くはこれより低い溶液を提供するために調節される。
【0090】
緩衝液
本明細書で記載される水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、緩衝液(例えば、
約3~約8の間(例えば、約5~約7の間、約5.5~約6.5の間、約5.9~約6.
1の間)のpHにある緩衝液)を含む。本明細書で使用される場合、用語「緩衝液」、「
緩衝液系」または「緩衝化成分」とは、通常は、少なくとも1種の他の化合物と組み合わ
せて、緩衝化能を、すなわち、強酸または強塩基(アルカリ)のいずれかのそれぞれpH
低下またはpH上昇効果を、本来のpH(例えば、強酸または強塩基によって影響を受け
る前の例えば、pH)における変化が比較的小さいかまたは変化が全くなく、制限内で中
和する能力を示す溶液中の化学システムを提供する化合物に言及する。例えば、本明細書
で記載される緩衝液は、溶液のpHをある特定のpH範囲へと維持または制御する。例え
ば、「緩衝化能」は、1リットル(標準単位)の緩衝溶液に添加される場合に、pHを1
単位変化させるために必要とされる強酸または強塩基(またはそれぞれ、水素イオンもし
くは水酸化物イオン)のミリモル(mM)に言及し得る。この定義から、特定量の酸また
はアルカリの添加によって引き起こされる溶液のpH変化が小さいほど、溶液の緩衝能は
大きいことは、明らかである。例えば、Remington:The Science
and Practice of Pharmacy, Mack Publishin
g Co., Easton, Pennsylvania (第19版, 1995)
, 第17章, 第225~227頁を参照のこと。その緩衝能は、緩衝液成分の種類お
よび濃度に依存する。
【0091】
いくつかの実施形態によれば、緩衝化成分は、溶液中に、1mM、2mM、5mM、1
0mM、20mM、50mM、75mM、100mM、150mM、200mM、250
mMもしくはこれより多く存在する。
【0092】
好ましい緩衝液としては、以下が挙げられる:4-2-ヒドロキシエチル-1-ピペラ
ジンエタンスルホン酸(HEPES)、2-{[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]ア
ミノ}エタンスルホン酸(TES)、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸(MO
PS)、ピペラジン-N,N′-ビス(2-エタンスルホン酸)(PIPES)、ジメチ
ルアルシン酸(カコジレート)、シトレート(例えば、塩類クエン酸ナトリウム、クエン
酸カリウム、クエン酸アンモニウム)、2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸(ME
S)、ホスフェート(例えば、PBS、D-PBS)、スクシネート(すなわち、2(R
)-2-(メチルアミノ)コハク酸)、アセテート、ジメチルグルタレート、マレエート
、イミダゾール、N-(2-アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)
、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、ビ
シン、ビス-トリス、ボレート、N-シクロヘキシル-3-アミノプロパンスルホン酸(
CAPS)、グリシン、3-[4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジニル]プロ
パンスルホン酸(HEPPSまたはEPPS)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチ
ル]-3-アミノプロパンスルホン酸、[(2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシ
メチル)エチル)アミノ]-1-プロパンスルホン酸(TAPS)、トリシン、トリス、
トリス塩基、トリス緩衝液、トリス-グリシン、トリス-HCl、コリジン、ベロナール
アセテート、N-(2-アセトアミド)イミノ二酢酸;N-(カルバモイルメチル)イミ
ノ二酢酸(ADA)、β-ヒドロキシ-4-モルホリンプロパンスルホン酸、3-モルホ
リノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(MOPSO)、塩化コラミン、3-(N,N
-ビス[2-ヒドロキシエチル]アミノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(DIP
SO)、アセトアミドグリシン、3-{[1,3-ジヒドロキシ-2-(ヒドロキシメチ
ル)-2-プロパンイル]アミノ}-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(TAP
SO)、ピペラジン-N,N′-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(POPS
O)、N-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-N′-(2-ヒドロキシプロパンスル
ホン酸)(HEPPSO)、N-シクロヘキシル-2-アミノエタンスルホン酸(CHE
S)、2-アミノ-メチル-1,3-プロパンジオール(AMPd)、およびグリシンア
ミド。
【0093】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、一塩基酸を含む。いくつかの実施形態におい
て、緩衝液は、多塩基酸(例えば、シトレートまたはホスフェート)を含む。いくつかの
実施形態において、緩衝液は、1もしくはこれより多くの物質(例えば、弱酸および弱塩
基の塩;弱酸およびその弱酸と強塩基との塩の混合物)の溶液である。いくつかの実施形
態において、緩衝液は、ピペラジン(例えば、PIPES、HEPES、POPSO、E
PPS)を含む。
【0094】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、非金属錯化化合物(例えば、MES、MOP
S、PIPES)を含む。
【0095】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、金属錯化化合物(すなわち、金属キレート剤
)を含む。いくつかの実施形態において、その金属キレート剤は、シトレートである。
【0096】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、シトレート緩衝液である。いくつかの実施形
態において、緩衝液は、ホスフェート緩衝液である。いくつかの実施形態において、緩衝
液は、ヒスチジン緩衝液である。
【0097】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、約0.01mM、0.05mM、0.1mM
、0.5mM、1mM、5mM、10mM、20mM、50mM、100mM、200m
M、250mM、500mMもしくはこれより高い濃度で存在する。いくつかの実施形態
において、緩衝液は、約1~約500mM、約1~約300mM、約1~約200mM、
約1~約100mM、約1~約50mM、約10~約500mM、約10~約300mM
、約10~約200mM、約10~約100mM、約10~約50mMの濃度で存在する
【0098】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、約0.01~約10mM、約0.05~約5
mM、約0.05~約5mM、約0.1~約5mM、約0.1~約3.5mMの濃度で存
在する。
【0099】
いくつかの実施形態において、水性溶液のpHは、生理学的pHまたはその付近にある
。好ましくは、水性溶液のpHは、約3~約8の間(例えば、約5~約7の間、約5.5
~約6.5の間、約5.9~約6.1の間)に、または上記範囲内の任意の特定の値にあ
る。いくつかの実施形態において、水性溶液のpHは、約5~約6.5の間に、または上
記範囲内の任意の特定の値(例えば、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9、6、6
.1、6.2、6.3、6.4)にある。いくつかの実施形態において、水性溶液のpH
は、約6である。当業者は、そのpHが溶液中に含まれる神経活性ステロイドおよびスル
ホアルキルエーテル-β-シクロデキストリンの安定性に依存して、より最適なpHに調
節され得ることを認識する。そのpHは、例えば、塩酸、リン酸または有機酸(例えば、
クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、およびこれらの組み
合わせ)で調節され得る。いくつかの実施形態において、そのpHは、塩基(例えば、1
N 水酸化ナトリウム)または酸(例えば、1N 塩酸)で調節される。
【0100】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、シトレート緩衝液であり、そのpHは、約3
~約8の間にある。いくつかの実施形態において、緩衝液は、シトレート緩衝液であり、
そのpHは、約3~約7.4の間にある。いくつかの実施形態において、緩衝液は、シト
レート緩衝液であり、そのpHは、約5.5~約6.2の間にある。
【0101】
いくつかの実施形態において、緩衝液は、ホスフェート緩衝液であり、そのpHは、約
3~約9の間にある。いくつかの実施形態において、緩衝液は、ホスフェート緩衝液であ
り、そのpHは、約6.2~約8.2の間にある。いくつかの実施形態において、緩衝液
は、ホスフェート緩衝液であり、そのpHは、約7.4である。
【0102】
神経活性ステロイド
本明細書で記載される水性溶液または混合物は、本明細書で記載される神経活性ステロ
イドを含む。神経活性ステロイド(または神経ステロイド)は、神経伝達物質開口型イオ
ンチャネルとの相互作用を通じて神経興奮性を迅速に変化させる天然の、合成の、または
半合成のステロイドである。神経活性ステロイドは、膜結合レセプター(例えば、阻害性
神経伝達物質および(または)興奮性神経伝達物質(GABA、NMDAが挙げられる
)に関するもの)およびσレセプターへの結合をもたらす。
【0103】
化学構造および生理学的活性に従って機能的群へと分類され得るステロイドとしては、
卵胞ホルモン、月経前期ホルモン、および男性ホルモンが挙げられる。特に重要なのは、
月経前期ホルモン(本明細書では「プロゲスチン」または「プロゲストゲン」といわれる
)、ならびにそれらの誘導体および生体活性代謝産物である。この広いファミリーのメン
バーとしては、Remington’s Pharmaceutical Scienc
es, Gennaroら, Mack Publishing Co.(第18版.1
990)990-993に開示されるステロイドホルモンが挙げられる。全ての他のクラ
スのステロイドでも同様に、立体異性体は、性ホルモンに伴って根本的に重要である。本
明細書で使用される場合、種々のプロゲスチン(例えば、プロゲステロン)およびそれら
の誘導体(合成生成物および天然生成物の両方を含む)は、プロゲスチン代謝産物(例え
ば、プロゲステロン)と同様に使用され得る。
【0104】
用語「プロゲステロン」とは、本明細書で使用される場合、プロゲスチンファミリーの
メンバーに言及し、21炭素のステロイドホルモンを含む。プロゲステロンは、D4-プ
レグネン-3,20-ジオン;Δ4-プレグネン-3,20-ジオン;またはプレグン-
4-エン-3,20-ジオンとしても公知である。本明細書で使用される場合、「合成プ
ロゲスチン」は、その構造がプロゲステロンのものに関連し、合成由来であり、そしてプ
ロゲステロンの生物学的活性を保持する分子である。
【0105】
代表的な合成プロゲスチンとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:プ
ロゲステロン環の17位に、ヒドロキシル、アセチル、ヒドロキシルアセチル、脂肪族、
ニトロ、または複素環式基を導入する置換、17α-OHエステル(例えば、17α-ヒ
ドロキシプロゲステロンカプロエート)を生成する改変、ならびに6-メチル、6-エン
、および6-クロロ置換基をプロゲステロンに導入する改変(例えば、メドロキシプロゲ
ステロンアセテート、メゲストロールアセテート、およびクロマジノンアセテート)(そ
してこれらは、プロゲステロンの生物学的活性を保持する)。このようなプロゲスチン誘
導体としては、以下が挙げられる:5-デヒドロプロゲステロン、6-デヒドロ-レトロ
プロゲステロン(ジドロゲステロン)、アロプレグナノロン(アロプレグナン-3α、ま
たは3β-オール-20-オン)、エチノジオールジアセテート、ヒドロキシプロゲステ
ロンカプロエート(プレグン-4-エン-3,20-ジオン、17-(1-オキソヘキシ
)オキシ);レボノルゲストレル、ノルエチンドロン、ノルエチンドロンアセテート(1
9-ノルプレグン-4-エン-20-イン-3-オン、17-(アセチルオキシ)-,(
17α)-);ノルエチノドレル、ノルゲストレル、プレグネノロン、ガナキソロン(C
CD-1042またはINNともいわれる)、およびメゲストロールアセテート。いくつ
かの実施形態において、神経活性ステロイドは、ガナキソロンである。
【0106】
有用なプロゲスチンとしてはまた、以下が挙げられ得る:アロプレグナン(allop
regnone)-3αまたは3β、20αまたは20β-ジオール(メルクインデック
ス258-261を参照のこと);アロプレグナン-3β,21-ジオール-11,20
-ジオン;アロプレグナン-3β,17α-ジオール-20-オン;3,20-アロプレ
グナンジオン、アロプレグナン-3β,11β,17α,20β,21-ペントール(a
llopregnane,3β,11β,17α,20β,21-pentol);アロ
プレグナン-3β,17α,20β,21-テトラオール;アロプレグナン-3αまたは
3β,11β,17α,21-テトラオール-20-オン、アロプレグナン-3β,17
αまたは20β-トリオール;アロプレグナン-3β,17α,21-トリオール-11
,20-ジオン;アロプレグナン-3β,11β,21-トリオール-20-オン;アロ
プレグナン-3β,17α,21-トリオール-20-オン;アロプレグナン-3αまた
は3β-オール-20-オン;プレグナンジオール;3,20-プレグナンジオン;プレ
グナン-3α-オール-20-オン;4-プレグネン-20,21-ジオール-3,11
-ジオン;4-プレグネン-11β,17α,20β,21-テトラオール-3-オン;
4-プレグネン-17α,20β,21-トリオール-3,11-ジオン;4-プレグネ
ン-17α,20β,21-トリオール-3-オン、およびプレグネノロンメチルエーテ
ル。さらなるプロゲスチン誘導体としては、以下が挙げられる:非毒性有機酸(例えば、
酢酸、安息香酸、マレイン酸、リンゴ酸、カプロン酸、およびクエン酸)とのエステルお
よび無機塩(例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、および炭酸塩)。他の適切
なプロゲスチンとしては、アルファキサロン(INN、アルファキサロン(alfaxo
lone)、およびアルファキサロン(alphaxolone)ともいわれる)、アル
ファドロン(alphadolone)(アルファドロン(alfadolone)とも
いわれる)、ヒドロキシジオン、およびミナキソロン(minaxolone)が挙げら
れる。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、アルファキサロンである。
【0107】
さらなる適切な神経活性ステロイドは、WIPO公報番号WO2013/188792
、WO2013/056181、WO2015/010054、WO2014/1698
32、WO2014/169836、WO2014/169833、WO2014/16
9831、WO2015/027227、WO2014/100228ならびに米国特許
第5,232,917号、同第8,575,375号および同第8,759,330号(
これらは、それらの中で記載される神経活性ステロイドに関して本明細書に参考として援
用される)に開示される。
【0108】
特定の実施形態において、ステロイドは、プロゲステロンおよびデオキシコルチコステ
ロンの主要代謝産物、3α-ヒドロキシ-5α-プレグナン-20-オン(アロプレグナ
ノロン)および3α,21-ジヒドロキシ-5α-プレグナン-20-オン(アロテトラ
ヒドロDOC)をそれぞれ含む一連の鎮静-催眠性3α-ヒドロキシ環A還元プレグナン
ステロイドのうちの1もしくはこれより多くである。これらの3α-ヒドロキシステロイ
ドは、古典的な細胞内ステロイドレセプターと相互作用しないが、立体選択的にかつ高い
親和性で脳中の主要な阻害性神経伝達物質であるγ-アミノ-酪酸(GABA)のレセプ
ターに対して結合する。
【0109】
ある特定の実施形態において、神経活性ステロイドは、プロゲステロン、プレグナノロ
ン、アロプレグナノロン、アルファダロン、ガナキソロン(ganxolone)、アル
ファキサロンまたは他のプロゲステロンアナログである。特定の実施形態において、神経
活性ステロイドは、アロプレグナノロンまたはその誘導体である。いくつかの実施形態に
おいて、神経活性ステロイドは、アロプレグナノロンである。例示的誘導体としては、(
20R)-17β-(1-ヒドロキシ-2,3-ブタジエニル)-5α-アンドロスタン
-3α-オール(HBAO)が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる誘導体は
、WO2012/127176に記載される。
【0110】
いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、アロプレグナノロンである。い
くつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、ガナキソロンである。いくつかの実
施形態において、神経活性ステロイドは、アルファキサロンである。
【0111】
神経活性ステロイド(例えば、プレグナノロン、アロプレグナノロン、アルファダロン
、ガナキソロン、またはアルファキサロン)の親油性の性質は、インビボ投与のために製
剤化することを困難にし得る。上記で考察されるように、神経活性ステロイド(例えば、
プレグナノロン、アロプレグナノロン、アルファダロン、ガナキソロン、またはアルファ
キサロン)は、溶解度を改善するために、ホスト(host)(例えば、シクロデキスト
リン)とともに製剤化され得る。あるいは、またはさらに、神経活性ステロイド(例えば
、プレグナノロン、アロプレグナノロン、アルファダロン、ガナキソロン、またはアルフ
ァキサロン)は、溶解度を改善しようと試みて改変され得る。例えば、極性基が、水溶性
、脳へのアクセスしやすさ、およびKasalら, J. Med. Chem., 5
2(7), 2119-215 (2009)に記載されるとおりの神経活性ステロイド
の有効性を増大させるという目的で、16α位に導入され得る。
【0112】
シクロデキストリン
本明細書で記載される水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、シクロデキストリ
ンを含む。神経活性ステロイドの溶解度は、シクロデキストリンによって改善され得る。
ステロイド-シクロデキストリン複合体は、当該分野で公知である。例えば、米国特許第
7,569,557号(Backensfeldら)および米国特許出願公開US 20
06/0058262(Zoppettiら)を参照のこと。
【0113】
シクロデキストリンは、6個(α-シクロデキストリン)、7個(β-シクロデキスト
リン)、8個(γ-シクロデキストリン)、もしくはこれより多くのα-(1,4)-結
合グルコース残基を含有するかまたは含む環状オリゴサッカリドである。シクロデキスト
リンのヒドロキシル基は、環の外側に向かって配向される一方で、グルコシド酸素および
交換可能でない水素原子の2個の環は、腔の内側に向かって方向付けられる。
【化1】
【0114】
神経活性ステロイド-シクロデキストリン複合体は、好ましくは、β-シクロデキスト
リン、およびその誘導体からなる群より選択されるシクロデキストリンから形成される。
そのシクロデキストリンは、大環状分子の一級もしくは二級のヒドロキシル基、または両
方のうちのいくつかまたは全てが、ペンダント基で官能化されるように、化学的に改変さ
れてもよい。適切なペンダント基としては、スルフィニル、スルホニル、ホスフェート、
アシル、ならびに1個もしくはこれより多くの(例えば、1個、2個、3個、または4個
の)ヒドロキシ、カルボキシ、カルボニル、アシル、オキシ、オキソで必要に応じて置換
されたC-C12アルキル基;またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限
定されない。これらのアルコール残基を改変する方法は、当該分野で公知であり、多くの
シクロデキストリン誘導体が市販されている(商品名CAPTISOL(登録商標)の下
でLigand Pharmaceuticals(La Jolla, CA)から入
手可能なスルホブチルエーテルβ-シクロデキストリンが挙げられる)。
【0115】
好ましいシクロデキストリンとしては、アルキルシクロデキストリン、ヒドロキシアル
キルシクロデキストリン(例えば、ヒドロキシプロピルβ-シクロデキストリン)、カル
ボキシアルキルシクロデキストリンおよびスルホアルキルエーテルシクロデキストリン(
例えば、スルホブチルエーテルβ-シクロデキストリン)が挙げられるが、これらに限定
されない。
【0116】
特定の実施形態において、シクロデキストリンは、表面に複数の電荷(例えば、負電荷
または正電荷)を有するβシクロデキストリンである。いくつかの特定の実施形態におい
て、そのシクロデキストリンは、生理学的pHで負に荷電する複数の官能基を含有するか
または含むβ-シクロデキストリンである。このような官能基の例としては、カルボン酸
(カルボキシレート)基、スルホネート(RSO )、ホスフェート基、ホスフィネー
ト基、および生理学的pHで負に荷電するアミノ酸が挙げられるが、これらに限定されな
い。その荷電した官能基は、シクロデキストリンに直接結合され得るか、またはスペーサ
ー(例えば、アルキレン鎖)によって連結され得る。そのアルキレン鎖中の炭素原子の数
は変動し得るが、一般には、約1~10個の間の炭素、好ましくは1~6個の炭素、より
好ましくは1~4個の炭素である。高度に硫酸化されたシクロデキストリンは、米国特許
第6,316,613号に記載される。
【0117】
一実施形態において、シクロデキストリンは、複数のスルホブチルエーテル基で官能化
されたβ-シクロデキストリンである。このようなシクロデキストリンは、商品名CAP
TISOL(登録商標)の下で販売される。
【0118】
CAPTISOL(登録商標)は、ブチルエーテルスペーサー基、またはスルホブチル
エーテル(SBE)によって親油性の腔から分離されたスルホン酸ナトリウム塩を含むポ
リアニオン性β-シクロデキストリン誘導体である。CAPTISOL(登録商標)は、
単一化学種ではないが、不純物を制御するため一貫して実施されかつ改善された、特許権
が付与された製造プロセスによって均一なパターンへと規定されかつ制御された種々の程
度の置換および位置異性体(positional/regional isomer)
の多数のポリマー構造から構成される。
【0119】
CAPTISOL(登録商標)は、シクロデキストリン分子1個あたり6~7個のスル
ホブチルエーテル基を含む。そのスルホン酸基の非常に低いpKaが原因で、CAPTI
SOL(登録商標)は、生理学的に適合性のpH値において複数の負電荷を有する。4炭
素のブチル鎖は、末端基負電荷の反発と相まって、シクロデキストリン腔の「拡大」を可
能にする。これはしばしば、他の改変されたシクロデキストリンを使用して達成され得る
ものよりも薬物候補への強い結合を生じる。それはまた、シクロデキストリンと正に荷電
した薬物分子との間のイオン電荷相互作用の可能性をも提供する。さらに、これらの誘導
体は、分子に例外的な溶解度および非経口的安全性を付与する。β-シクロデキストリン
と比較して、CAPTISOL(登録商標)は、より高い相互作用特徴および100g/
100mlを上回る優れた水溶性(50倍の改善)を提供する。
【0120】
好ましくは、シクロデキストリンは、溶液全体(例えば、緩衝化神経活性ステロイド溶
液)の約0.1%~約40%w/w、好ましくは約5%~約40%w/w、より好ましく
は約10%~約40%w/w、最も好ましくは約10%~約35%w/wの量で存在する
。ある特定の実施形態において、シクロデキストリンの濃度は、約15%~約35%w/
w、好ましくは約20%~約35%w/w、より好ましくは約20%~約30%w/wで
ある。ある特定の実施形態において、シクロデキストリンの濃度は、約25%w/wであ
る。
【0121】
一実施形態において、製剤は、シクロデキストリン(例えば、CAPTISOL(登録
商標))の1mlあたり約1~約2mg、好ましくは約1.5mgの神経活性ステロイド
(例えば、プレグナノロン、アロプレグナノロン、アルファダロン、ガナキソロン、アル
ファキサロン)を含む。いくつかの実施形態において、そのシクロデキストリン(例えば
、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)は、0.1mg/mL、0.2m
g/mL、0.3mg/mL、0.5mg/mL、0.7mg/mL、1mg/mL、1
.2mg/mL、1.5mg/mL、1.8mg/mL、2mg/mL、2.5mg/m
L、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg
/mL、10mg/mL、11mg/mL、12mg/mLにおいて、もしくはこれより
多く、本明細書で記載される水性溶液に存在する。
【0122】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル
-β-シクロデキストリン)は、1%w/w、2%w/w、3%w/w、5%w/w、7
%w/w、10%w/w、12%w/w、20%w/w、25%w/w、30%w/w、
40%w/wにおいてもしくはこれより多く、本明細書で記載される水性溶液に存在する
【0123】
いくつかの実施形態において、シクロデキストリン(例えば、スルホアルキルエーテル
-β-シクロデキストリン)は、少なくとも0.1mg/mL、0.2mg/mL、0.
3mg/mL、0.5mg/mL、0.7mg/mL、1mg/mL、1.2mg/mL
、1.5mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6m
g/mL、7mg/mL、8mg/mL、10mg/mLにおいてもしくはこれより高く
、本明細書で記載される水性溶液に存在する。
【0124】
いくつかの実施形態において、神経活性ステロイド 対 シクロデキストリン(例えば
、スルホアルキルエーテル-β-シクロデキストリン)のモル比は、約0.1、0.05
、0.03、0.02、0.01、0.008、0.005であるかもしくはこれより小
さい。
【0125】
張度増強剤
本明細書で記載される水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、張度増強剤をさら
に含み得る。張度は、有効浸透圧に等しいか、または拡散の方向および程度を決定する溶
液の相対的濃度である。張度は、必要とされる場合に、代表的には張度増強剤(toni
city enhancing agent)によって調節され得る。このような薬剤は
、例えば、イオン性および/または非イオン性タイプのものであり得る。イオン性張度増
強剤の例は、アルカリ金属または土類金属ハライド(例えば、CaCl、KBr、KC
l、LiCl、NaI、NaBrもしくはNaCl、NaSOのような)、またはホ
ウ酸である。非イオン性張度増強剤は、例えば、尿素、グリセロール、ソルビトール(s
orbital)、マンニトール、プロピレングリコール、またはデキストロースである
。記載される水性溶液は、代表的には、等張性(例えば、約270~約300mOsm/
L、約275~約295mOsm/L)であるように、等張化剤(tonicity a
gent)で調節される。いくつかの実施形態において、記載される水性溶液は、約15
0~約320mOsm/L(例えば、約200~約300mOsm/L)の範囲の容量オ
スモル濃度(osmolarlity)へと等張化剤で調節される。いくつかの実施形態
において、水性溶液は、約320mOsm/L未満(例えば、約300mOsm/L未満
、290mOsm/L未満、280mOsm/L未満、270mOsm/L未満、260
mOsm/L未満、250mOsm/L未満)である。
【0126】
いくつかの実施形態において、記載される水性溶液は、高張性である。例えば、その水
性溶液は、高張性(例えば、約900~約1000mOsm/L)であり得る。いくつか
の実施形態において、その水性溶液は、注射用水(「WFI」、例えば、いかなる追加さ
れた成分をも含まない高度精製水;注射用蒸留水の滅菌の非発熱性の溶質を含まない調製
物)で、例えば、等張性または低張性の溶液を提供するために希釈される。いくつかの実
施形態において、その混合物は、NaClの溶液(例えば、食塩水)で希釈される。
【0127】
保存剤
本明細書で記載される水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、保存剤を含み得る
。例示的な保存剤としては、抗菌剤(例えば、組織プラスミノゲンアクチベーター、サル
グラモスチム、インターロイキン、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール
、パラベン(メチル、プロピル、ブチル)、塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、
チメロサール、フェニル水銀塩(アセテート、ボレート、ニトレート))、塩化ベンザル
コニウム、塩化ベンゼトニウム、クロロブタノール、ミリスチル-γ-塩化ピコリニウム
(myristyl gamma-picolinium chloride)、2-フ
ェノキシエタノール、チメロサール、メチルパラベン、プロピルパラベン、ブチルパラベ
ン、エチレンジアミン、ホルムアルデヒドが挙げられる。
【0128】
本明細書で記載される水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、抗酸化剤を含み得
る。例示的な抗酸化剤としては、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸塩、アスコルビン酸およ
びその塩、アセチルシステイン、モノチオグリセロール(monothioglyerc
ol)、EDTA、凍結防止剤(cryoprotectant)および凍結乾燥保護剤
(lyoprotectant)(例えば、糖(例えば、スクロース、トレハロース)、
アミノ酸(例えば、グリシン、リジン)、ポリマー(例えば、液体ポリエチレングリコー
ルまたはデキストラン)、ポリオール(例えば、マンニトール、ソルビトール)が挙げら
れる。
【0129】
滅菌
本明細書で記載される水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、例えば、投与前に
、滅菌を要し得る。本明細書で記載される組成物は、滅菌プロセスの存在下で、安定性(
例えば、化学的安定性、物理的安定性)を提供する。いくつかの実施形態において、緩衝
化神経活性ステロイド溶液または混合物は、無菌である。いくつかの実施形態において、
その水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、無菌プロセス(例えば、無菌充填、無
菌濾過)を通じて滅菌される。いくつかの実施形態において、水性神経活性ステロイド溶
液または混合物は、最終滅菌(例えば、加熱(例えば、乾熱もしくは蒸気オートクレーブ
処理)または照射(例えば、γ線照射))を通じて滅菌される。本明細書で記載される組
成物(例えば、本明細書で記載されるとおりの緩衝液を含む組成物)は、最終滅菌(例え
ば、約120℃~約124℃、例えば、121℃の温度サイクルにおいて)または照射の
存在下で、安定性(例えば、化学的安定性、物理的安定性)を提供する。
【0130】
混合
本明細書で記載される水性神経活性ステロイド溶液または混合物は、例えば、均質な溶
液または混合物を提供するために、混合を要し得る。いくつかの実施形態において、緩衝
化神経活性ステロイド溶液またはエマルジョンの製造は、激しい、高強度の、高剪断の混
合(撹拌)を要する。撹拌は、加熱を伴ってまたは伴わずに与えられ得る。いくつかの実
施形態において、撹拌の間に混合物を加熱すると、混合効率が促進され得、溶解または乳
化に必要とされる時間を短縮し得る。適用される加熱の量(混合温度)は、混合される系
に依存するが;装置の動作ならびに混合物の物理的および化学的安定性によって制限され
得る。いくつかの実施形態において、約40℃という温度は、生成物の調製を促進するた
めに有用であると見出された。
【0131】
撹拌は、高剪断インペラーミキサー、ローターステーターミキサー、ホモジナイザー、
超音波デバイス、またはマイクロフルイダイザーのようなデバイスによって与えられ得る
。激しい、高強度の、高剪断の撹拌または混合は、2つの相互に不溶性の液体を混合およ
びブレンドして、または固体粒子をビヒクルの中へと溶解することを促進して、全体を同
じまたは均一にするために使用される。高剪断ミキサーは、隣接する領域にある流体に対
して異なる速度での流体移動を誘導するように機能する。可溶化または乳化は、生成物の
相のうちの1つを、他の液体全体に均一に分布した極めて小さな粒子からなる状態へと変
えることによって達成され得る。
【0132】
高剪断インペラーでの混合は、神経活性ステロイド溶液のうちのいくつかの実施形態の
溶解または乳化のために十分な撹拌を提供し得る。しかし、いくつかの実施形態において
、混合の継続時間は、実際的な製造サイクルにとっては長すぎる可能性がある。ローター
ステーターミキサー、ホモジナイザー、超音波デバイス、またはマイクロフルイダイザー
によって与えられる撹拌は、実際的な製造サイクル時間にするために溶解の速度を速めか
つ促進し得る。いくつかの実施形態において、撹拌の間に混合物を加熱すると、混合効率
が促進され得、溶解または乳化に必要とされる時間を短縮し得る。その適用される加熱の
量(混合温度)は、混合される系に依存するが;装置の動作ならびにその混合物の物理的
および化学的安定性によって制限され得る。いくつかの実施形態において、約40℃とい
う温度は、生成物の調製を促進する。
【0133】
高剪断混合デバイス(例えば、ローターステーターミキサー)は、神経活性ステロイド
溶液のうちのいくつかの実施形態の溶解または乳化のために十分な撹拌を提供し得る。高
ローター/ステーターは、電気モーターによって代表的には出力される回転インペラーま
たは高速ローターを使用する。そのローターは、流れおよび剪断を作り出すために、固定
式リング(stationary ring)(ステーター)内で、混合物の中で非常に
高速(例えば、2,000~18,000RPM)において回転する。吸引は、混合物を
ローター/ステーターアセンブリの中心へと引っ張るステーター内でのローターブレード
の高速回転から作り出される。その高速遠心力は、ローターの周囲に向かう混合物を、ス
テーター(ここで混合物は、ローターとステーターとの間での制限されたクリアランスに
起因して粉砕動作に供される)に向かって駆動する。この混合物は高速で強い水圧剪断に
よって押しやられ、ステーターの孔を通って混合容器の中に入る。混合物を水平(半径)
方向に押し出しそしてローター/ステーターへと吸引する効果は、混合容器内の循環パタ
ーンを設定する。ローターの設計およびステーターの設計は、装置のタイプおよび設計に
伴って変化する;そして当業者は、ローターおよびステーターのデザインの多くの組み合
わせが容認できるように機能し得ることを見出し得る。ローター/ステーターアセンブリ
のサイズは、加工処理のバッチサイズおよび所望の継続時間に依存したサイズにされる。
ローター/ステーターアセンブリの位置は、装置設計に依存して変化するが、いくつかの
実施形態は、混合容器の底部にまたはその付近に取り付けられたローター/ステーターア
センブリを使用し得る。混合物中に沈むように設計された頂部に取り付けられたローター
/ステーターが使用されてもよい。ローター/ステーターアセンブリは、混合物が導入さ
れかつローター/ステーターヘッドを通過させられ得るかまたはここを通って再循環させ
られ得る混合容器に対して外部に取り付けられた。ステーター内のローターの所望の速度
は、代表的には可変性であり、実際的な製造サイクル内で所望の流動および高剪断混合を
提供するように設定され得る。当業者は、バッチサイズを増大させる場合に、ローターの
先端速度が、ローター/ステーターアセンブリのサイズのスケールアップを容易にするた
めに使用され得ることを認識する。いくつかの実施形態において、撹拌の間に混合物を加
熱すると、高剪断混合効率が促進され得、溶解または乳化に必要とされる時間を短縮し得
る。適用される加熱の量(混合温度)は、混合される系に依存するが;装置の動作ならび
に混合物の物理的および化学的安定性によって制限され得る。いくつかの実施形態におい
て、40℃という温度は、生成物(例えば、本明細書で記載されるとおりの水性溶液また
は混合物)の調製を容易にするために有用であると見出された。
【0134】
高剪断混合デバイス(例えば、ホモジナイザー)は、神経活性ステロイド溶液のうちの
いくつかの実施形態の溶解または乳化のために十分な撹拌を提供し得る。ホモジナイザー
は、高圧(例えば、1000~5000psi)で混合物を、弁座、インパクトリングお
よび弁から構成される小さなチャンバへとポンプ輸送するように機能する場合に、高剪断
を提供する。その混合物は、高圧で、弁と弁座との間の領域を通って、急速な圧力低下を
伴ってその圧力低下の下で流れる。急速な圧力低下は、混合物を、キャビテーションおよ
びキャビテーションバブルが崩壊する場合に起こる衝撃によって破壊する。その混合物は
次に、混合物内でさらなる破壊および剪断を引き起こすインパクトリングに衝突する。そ
の混合物は、バルク溶液へと排出される。異なる弁アセンブリ、製品バッチに対する乳化
剤の相対的位置、複数の弁アセンブリ、および広い範囲の能力を有する装置が使用され得
る。いくつかの実施形態において、撹拌の間に混合物を加熱すると、高剪断混合効率が促
進され得、溶解または乳化に必要とされる時間を短縮し得る。その適用される混合プロセ
スの加熱または温度制御の量(混合温度)は、混合される系に依存するが;装置の動作な
らびにその混合物の物理的および化学的安定性によって制限され得る。いくつかの実施形
態において、40℃という温度は、生成物(例えば、本明細書で記載されるとおりの水性
溶液または混合物)の調製を促進するために有用であると見出された。
【0135】
高剪断混合デバイス(例えば、マイクロフルイダイザー)は、神経活性ステロイド溶液
のうちのいくつかの実施形態の溶解または乳化のために十分な撹拌を提供し得る。マイク
ロフルイダイザーの結果に由来する高剪断混合は、極めて高速で、高圧(例えば、2,0
00~40,000psi)で、混合物を小さいチャネルを通って相互作用チャンバへと
ポンプ輸送することによって引き起こされる。相互作用チャンバの中では、その混合物は
、高剪断、乱流、衝撃、およびキャビテーションに供される。これらの力の全てが、高剪
断混合効率を促進し得、溶解または乳化に必要とされる時間を短縮し得る。異なる相互作
用チャンバアセンブリ、生成物バッチに対するマイクロフルイダイザーの相対的位置、お
よび広い範囲の能力を有する装置が、使用され得る。適用される混合プロセスの加熱また
は温度制御の量(混合温度)は、混合される系に依存するが;装置の動作ならびに混合物
の物理的および化学的安定性によって制限され得る。いくつかの実施形態において、40
℃という温度は、生成物の調製を容易にするために有用であると見出された。
【0136】
超音波エネルギーを使用する高剪断混合デバイスは、神経活性ステロイド溶液のうちの
いくつかの実施形態の溶解または乳化のために十分な撹拌を提供し得る。超音波エネルギ
ーの結果に由来する高剪断混合は、キャビテーションおよびキャビテーションによって形
成される小さなバブルの急速な崩壊によって引き起こされる。これらの力は、高剪断混合
効率を促進し得、溶解または乳化に必要とされる時間を短縮し得る。異なる超音波処理ア
センブリ、生成物バッチに対する超音波処理アセンブリの相対的位置、および広い範囲の
能力を有する装置が、使用され得る。適用される混合プロセスの加熱または温度制御の量
(混合温度)は、混合される系に依存するが;装置の動作ならびに混合物の物理的および
化学的安定性によって制限され得る。いくつかの実施形態において、40℃という温度は
、生成物の調製を容易にするために有用であると見出された。
【0137】
容器
また、本明細書で記載されるのは、本明細書で記載される水性溶液または混合物を含む
容器である。容器の例としては、バッグ(例えば、プラスチックまたはポリマー(例えば
、PVC)のバッグ)、バイアル(例えば、ガラスバイアル)、ボトル、またはシリンジ
が挙げられる。一実施形態において、その容器は、溶液または混合物を非経口的に(例え
ば、i.m.またはi.v.)送達するために構成されている。
【0138】
いくつかの実施形態において、注射が意図される生成物は、適切なサイズにされた密封
されたガラス容器の中に充填される。いくつかの実施形態において、上記生成物は、注入
する前に希釈されることが意図され、医薬バイアルまたはボトル(例えば、適切なサイズ
にされた、適切なガラスまたはプラスチックのバイアルまたはボトル)の中にパッケージ
される。いくつかの実施形態において、上記生成物は、注入の準備ができた状態であるよ
うに調製され得、注入に使用されることが意図された事前充填シリンジもしくは他のシリ
ンジデバイス(例えば、適切なサイズにされた、適切なガラスまたはプラスチックのパッ
ケージ)またはより大容積の容器(例えば、適切なサイズにされた、適切なガラスまたは
プラスチックの容器)の中にパッケージされ得る。いくつかの実施形態において、上記生
成物は、漏れない(例えば、溶液中に汚染も不純物も導入しない(またはその増殖も可能
にしない))容器の中に提供される。
【0139】
神経変性疾患および障害
本明細書で記載される溶液または混合物は、本明細書で記載される方法において、例え
ば、本明細書で記載される障害(例えば、神経変性疾患)の処置において使用され得る。
【0140】
用語「神経変性疾患」とは、ニューロンの構造もしくは機能の進行性の喪失、またはニ
ューロンの死滅と関連する疾患および障害を含む。神経変性疾患および障害としては、以
下が挙げられるが、これらに限定されない:アルツハイマー病(軽度、中程度、または重
度の認知障害の関連症状を含む);筋萎縮性側索硬化症(ALS);無酸素性および虚血
性の損傷;失調および痙攣(統合失調感情障害によってまたは統合失調症を処置するため
に使用される薬物によって引き起こされる発作の処置および防止に関するものを含む);
良性のもの忘れ;脳浮腫;小脳失調(マクラウド神経有棘赤血球症候群(McLeod
neuroacanthocytosis syndrome)(MLS)が挙げられる
);非開放性頭部損傷;昏睡;打撲傷(contusive injury)(例えば、
脊髄損傷および頭部損傷);認知症(多発梗塞性認知症および老人性認知症が挙げられる
);意識障害;ダウン症候群;薬剤性パーキンソン症候群(drug-induced
or medication-induced Parkinsonism)(例えば、
神経遮断薬誘発性急性アカシジア(neuroleptic-induced acut
e akathisia)、急性ジストニア、パーキンソン症候群、または遅発性ジスキ
ネジア、神経弛緩薬悪性症候群、または薬剤性姿勢時振戦(medication-in
duced postural tremor));てんかん;脆弱X症候群;ジル・ド
ゥ・ラ・トゥーレット症候群;頭部外傷;聴覚障害および喪失;ハンティングトン病;レ
ノックス症候群;レボドパ誘発性ジスキネジア(levodopa-induced d
yskinesia);精神遅滞;無運動および無動(強直性)症候群(akineti
c (rigid) syndrome)(基底核石灰化症、大脳皮質基底核変性症、多
系統萎縮症、パーキンソン-ALS認知症複合(Parkinsonism-ALS d
ementia complex)、パーキンソン病、脳炎後パーキンソン症候群、およ
び進行性核上性麻痺を含む)を含む運動障害;筋痙攣および筋痙縮または虚弱と関連する
障害(舞踏病(例えば、良性遺伝性舞踏病、薬剤性舞踏病、片側バリスム、ハンティング
トン病、神経有棘赤血球症、シデナム舞踏病、および症候性舞踏病)を含む)、ジスキネ
ジア(複雑チック、単純チック、および症候性チックのようなチックを含む)、ミオクロ
ーヌス(全般性ミオクローヌス(generalized myoclonus)および
限局性シロクローヌス(focal cyloclonus)が挙げられる)、振戦(例
えば、安静時振戦、姿勢時振戦、および企図振戦)およびジストニア(体軸ジストニア(
axial dystonia)、ジストニア性書痙(dystonic writer
’s cramp)、片麻痺性ジストニア(hemiplegic dystonia)
、発作性ジストニア(paroxysmal dystonia)、および局所性ジスト
ニア(例えば、眼瞼痙攣、顎口腔ジストニア(oromandibular dysto
nia)、ならびに痙攣性発声障害および斜頚)が挙げられる);眼の損傷、眼の網膜症
または黄斑変性を含むニューロン損傷;脳卒中、血栓塞栓性脳卒中(thromboem
bolic stroke)、出血性脳卒中、脳虚血、脳血管痙攣(cerebral
vasospasm)、低血糖症、健忘症、低酸素症、無酸素症、周産期仮死および心停
止、の結果として起こる神経毒性傷害;パーキンソン病;発作;てんかん重積状態;脳卒
中;耳鳴り;結節性硬化症、およびウイルス感染誘発性神経変性(例えば、後天性免疫不
全症候群(AIDS)および脳症によって引き起こされる)。神経変性疾患としてはまた
、以下が挙げられるが、これらに限定されない:脳卒中、血栓塞栓性脳卒中、出血性脳卒
中、脳虚血、脳血管痙攣、低血糖症、健忘症、低酸素症、無酸素症、周産期仮死および心
停止、の結果として起こる神経毒性傷害。神経変性疾患を処置または防止するための方法
はまた、神経変性障害に特徴的なニューロン機能の喪失を処置または防止する工程を包含
する。
【0141】
気分障害
本明細書で記載される溶液または混合物は、本明細書で記載される方法において、例え
ば、気分障害のような本明細書で記載される障害の処置において、使用され得る。
【0142】
臨床的うつ病は、大うつ病、大うつ病性障害(MDD)、重度うつ病(severe
depression)、単極性うつ病、単極性障害(unipolar disord
er)、および再発性うつ病としても公知であり、自尊心の低さおよび通常は楽しい活動
での興味もしくは喜びの喪失が付随する広がったかつ持続性の気分の落ち込みによって特
徴付けられる精神障害をいう。臨床的うつ病を有するいくらかの人々は、睡眠障害、体重
減少を有し、一般に、動揺(agitated)および過敏さを感じる。臨床的うつ病は
、個体がどのように感じるか、考えるか、および行動するかに影響を及ぼし、種々の感情
的および身体的問題をもたらし得る。臨床的うつ病を有する個体は、日々の活動を行うこ
とに問題を有し得、人生は生きるに値しないかのように個体に感じさせ得る。
【0143】
産後うつ病(postnatal depression)(PND)は、分娩後うつ
病(postpartum depression)(PPD)ともいわれ、出産後の女
性が罹患する臨床的うつ病の1タイプをいう。症状としては、悲哀、疲労、睡眠習慣およ
び食事習慣の変化、性欲低下、泣き叫びエピソード、不安、および易刺激性が挙げられ得
る。いくつかの実施形態において、PNDは、処置抵抗性うつ病(例えば、本明細書で記
載されるとおりの処置抵抗性うつ病)である。いくつかの実施形態において、PNDは、
難治性うつ病(例えば、本明細書で記載されるとおりの難治性うつ病)である。
【0144】
非定型うつ病(atypical depression)(AD)は、気分反応性(
例えば、逆説的な無快感症)および積極性(positivity)、顕著な体重増加ま
たは食欲増進によって特徴付けられる。ADに罹患している患者はまた、過剰な睡眠また
は傾眠(睡眠過剰)、四肢が重いという感覚、および知覚される対人関係拒絶(inte
rpersonal rejection)に対する過敏性の結果としての顕著な社会性
障害を有し得る。
【0145】
メランコリー型うつ病(melancholic depression)は、大部分
のまたは全ての活動における喜びの喪失(無快感症)、快い刺激に反応しない、悲しみも
しくは喪失のものより著しい抑うつ気分、過剰な体重減少、または過剰な罪悪感によって
特徴付けられる。
【0146】
精神病性大うつ病(psychotic major depression)(PM
D)または精神病性うつ病(psychotic depression)とは、個体が
妄想および幻覚のような精神病性の症状を経験する大うつ病エピソード(特に、メランコ
リー型の性質のもの)をいう。
【0147】
緊張性うつ病(catatonic depression)とは、運動行動および他
の症状の障害を伴う大うつ病をいう。個体は、唖および昏迷になり得、不動であるか、ま
たは無目的もしくは奇妙な運動を示すかのいずれかである。
【0148】
季節性情動障害(seasonal affective disorder)(SAD
)とは、秋または冬がやってくると、個体がうつ病エピソードの季節性のパターンを有す
る、季節性うつ病の1タイプをいう。
【0149】
気分変調(dysthymia)とは、同じ身体的および認知的問題が明白である単極
性うつ病に関連する状態をいう。それらは、それほど重篤ではなく、より長く持続する傾
向にある(例えば、少なくとも2年)。
【0150】
二重うつ病(double depression)とは、少なくとも2年間持続しか
つ大うつ病の期間によって強調されるかなりの抑うつ気分(気分変調)をいう。
【0151】
抑うつ性パーソナリティー障害(depressive personality d
isorder)(DPD)とは、抑うつ特徴を有するパーソナリティー障害をいう。
【0152】
反復性短期うつ病(recurrent Brief Depression)(RB
D)とは、個体が1ヶ月あたり約1回の抑うつエピソードを有し、各エピソードが2週間
もしくはこれ未満、代表的には、2~3日未満持続する状態をいう。
【0153】
小うつ病性障害(minor depressive disorder)または小う
つ病とは、少なくとも2つの症状が2週間現れるうつ病をいう。
【0154】
双極性障害(bipolar disorder)または躁うつ性障害(manic
depressive disorder)は、感情的高ぶり(躁または軽躁)および感
情的沈み(うつ病)を含む極端な気分変動を引き起こす。躁の期間の間には、その個体は
、異常に幸せに、精力的にまたは興奮して感じ得るかまたは行動し得る。彼らはしばしば
、結論にほとんど注意を払わずに、あまり熟考せずに決断を下す。睡眠の必要性は通常低
減される。うつ病の期間の間には、泣き叫ぶ、他者とあまり目を合わせない、および人生
に関する消極的な見通しがあり得る。この障害を有するひとの間では自殺のリスクは高く
、20年間で6%を超える一方で、自傷行為は、30~40%において起こる。他のメン
タルヘルス問題(例えば、不安障害および物質使用障害(substance use
disorder))は、双極性障害と一般に関連する。
【0155】
慢性的な医学的状態によって引き起こされるうつ病(depression caus
ed by chronic medical condition)とは、慢性的な医
学的状態(例えば、癌または慢性疼痛、化学療法、慢性的ストレス)によって引き起こさ
れるうつ病をいう。
【0156】
処置抵抗性うつ病(treatment-resistant depression
)とは、個体がうつ病について処置されているが、症状が改善しない状態をいう。例えば
、抗うつ薬または心理的カウンセリング(心理療法)は、処置抵抗性うつ病を有する個体
に関してはうつ病の症状を軽減しない。ある場合には、処置抵抗性うつ病を有する個体は
、症状を改善するが、逆戻りする。難治性うつ病(refractory depres
sion)は、標準的薬物療法(standard pharmacological
treatment)(三環系抗うつ薬、MAOI、SSRI、ならびに二重および三重
取り込みインヒビターおよび/または抗不安薬が挙げられる)、ならびに非薬物療法(n
on-pharmacological treatment)(例えば、心理療法、電
気痙攣療法、迷走神経刺激療法および/または経頭蓋磁気刺激)に対して抵抗性であるう
つ病に罹患している患者において起こる。
【0157】
自殺傾向(suicidability)、自殺念慮(suicidal ideat
ion)、自殺行動(suicical behavior)とは、個体が自殺をする傾
向をいう。自殺念慮は、自殺に関して思考もしくは異常に夢中になっていることに関する
。自殺念慮の範囲は、例えば、つかの間の思考から徹底的な思考、詳細な立案、役割演技
、不完全な企てまで大きく変化する。症状としては、自殺について話す、自殺をするため
の手段を獲得する、社会的接触から引きこもる、死に夢中になる、ある状況に追い込まれ
るもしくは絶望的な気持ちになる、アルコールもしくは薬物の使用の増加、危険なもしく
は自己破壊的なことをする、人々に二度と会えないかのように彼らにさよならをいうこと
が挙げられる。
【0158】
月経前不快気分障害(Premenstrual dysphoric disord
er)(PMDD)とは、月経前症候群(PMS)の重度の、時には身体障害性拡張(d
isabling extension)をいう。PMDDは、月経期間が始まる7~1
0日前に代表的には始まって、そして月経期間の最初の数日間継続する症状を伴う極端な
気分のシフト(modd shift)を引き起こす。症状としては、悲しみもしくは絶
望、不安もしくは緊張、極端な不機嫌(extreme moodiness)、および
顕著な易刺激性もしくは怒りが挙げられる。
【0159】
うつ病の症状としては、持続する不安感もしくは悲しい感覚、無力感、絶望、悲観、無
価値、気力の低下(low energy)、不穏(restlessness)、易刺
激性、疲労、楽しい活動もしくは趣味における興味の喪失、積極的な思考もしくは計画が
ない、過剰な睡眠、食べ過ぎ、食欲喪失、不眠症、自傷行為、自殺の思考、および自殺企
図が挙げられる。症状の存在、重篤度、頻度、および継続時間は、症例毎に変動し得る。
うつ病の症状、およびうつ病の軽減は、医師または心理学者(例えば、メンタルステート
検査によって)によって確認され得る。
【0160】
不安障害
本明細書で記載される溶液または混合物は、本明細書で記載される方法において、たと
えば、不安障害のような本明細書で記載される障害の処置において使用され得る。
【0161】
不安障害(anxiety disorder)は、異常かつ病的な恐怖および不安の
いくつかの異なる形態を網羅する対象範囲の広い用語である。現在の精神科診断基準は、
広く種々の不安障害を認めている。
【0162】
全般性不安障害(generalized anxiety disorder)は、
いずれか1つの対象もしくは状況に焦点を当てるのではない、長く持続する不安によって
特徴付けられる一般的な慢性障害である。全般性不安に罹患しているひとは、非特異的な
絶え間ない恐怖および心配を経験し、毎日のことを過度に心配するようになる。全般性不
安障害は、高齢の成人に影響を及ぼす最も一般的な不安障害である。
【0163】
パニック障害(panic disorder)において、個人は、強い恐怖および懸
念の、しばしば、ふるえ、動揺、混乱、目眩、悪心、呼吸困難が目立つ短時間の発作に苦
しんでいる。これらのパニック発作は、不意に生じかつ10分未満でピークに達する恐怖
もしくは不快感としてAPAによって定義され、この発作は数時間継続し得、ストレス、
恐怖、もしくはさらに運動によって誘発され得る;しかし特定の原因が常に明らかである
わけではない。反復性の予期されないパニック発作に加えて、パニック障害の診断はまた
、この発作が慢性的な結果:発作の潜在的な影響の心配、将来的な発作の絶え間ない恐怖
、または発作に関連した行動の顕著な変化のいずれかを有することを要する。よって、パ
ニック障害に罹患しているひとは、特定のパニックエピソードの範囲外ですら症状を経験
する。しばしば、心拍の通常の変化は、パニック障害患者が気づき、彼らが心臓になにか
問題があるのではないかと考えさせるか、または彼らは別のパニック発作をまさに起こそ
うとしている。ある場合には、身体機能の自覚の高まり(過剰な警戒)がパニック発作の
間に起こり、そこでは、何らかの知覚される生理学的変化は、生命を脅かす可能性がある
病気(すなわち、極端な心気症)として解釈される。
【0164】
強迫性障害(obsessive compulsive disorder)は、反
復性の強迫観念(苦悩を与える、絶え間ない、かつ押しつけがましい思考もしくは考え)
および強迫行為(特定の行為もしくは儀式をせずにはいられない)によって主に特徴付け
られる不安障害の1タイプである。OCD思考パターンは、実際には、存在しない因果関
係の信念を伴う限りにおいて迷信になぞらえ得る。しばしばそのプロセスは、完全に非論
理的である;例えば、ある特定のパターンで歩くという強迫行為は、切迫した危害という
強迫観念を緩和するために使用され得る。そして多くの場合、強迫行為は、完全に不可解
であり、神経質によって誘発される儀式を単純に完遂せずにはいられないことである。少
数例では、OCD患者は、明白な強迫行為がない強迫観念のみを経験することもある;強
迫行為のみを経験する患者は、遙かに少ない。
【0165】
不安障害の1つの最も大きなカテゴリーは、恐怖症(phobia)というカテゴリー
であり、これは、恐怖および不安が特定の刺激もしくは状況によって誘発される全ての症
例を含む。患者は、代表的には、彼らの恐怖の対象(これは、動物から体液に至る位置ま
で何でもであり得る)に遭遇することによる恐ろしい結果を予期する。
【0166】
心的外傷後ストレス障害(post-traumatic stress disor
der)またはPTSDは、トラウマ的な経験から生じる不安障害である。心的外傷後ス
トレスは、極端な状況(例えば、戦闘、強姦、人質事件、またはさらには重大事故)から
生じ得る。それは、重度のストレッサーへの長期の(慢性的な)曝露からも生じ得る(例
えば、個々の戦いに耐えるが、連続した戦闘には対抗できない兵士)。一般的な症状とし
ては、フラッシュバック、回避行動(avoidant behavior)、およびう
つ病が挙げられる。
【0167】
摂食障害
本明細書で記載される溶液または混合物は、本明細書で記載される方法において、例え
ば、摂食障害のような本明細書で記載される障害の処置において使用され得る。摂食障害
は、摂食行動および体重調節における障害を特徴とし、広い範囲の有害な心理学的、身体
的、および社会的結果と関連する。摂食障害を有する個体は、単に食品の量をより少なく
またはより多く食べることから始まり得るが、ある時点で、彼らは制御不能により少なく
またはより多く食べるという悪循環に入らずにはいられなくなる。摂食障害は、体重また
は外見についての重度の悩みもしくは懸念、または体重もしくは食品摂取を管理する極端
な努力によって特徴付けられ得る。摂食障害としては、神経性食欲不振症、神経性大食症
、過食性障害、悪液質、およびそれらの異型が挙げられる。
【0168】
神経性食欲不振症(anorexia nervosa)を有する個体は、代表的には
、彼らが低体重である場合すら、彼ら自身を過体重と理解している。神経性食欲不振症を
有する個体は、食べること、食品、および体重コントロールで頭がいっぱいになり得る。
神経性食欲不振症を有する個体は、代表的には、反復して彼ら自身の体重を量り、食品を
注意深くとりわけ、そしてある特定の食品のみをごく少量食べる。神経性食欲不振症を有
する個体は、過食、続いて極端な節食、過剰な運動、自己誘発嘔吐(self-indu
ced vomiting)または緩下剤、利尿剤もしくは浣腸の誤用に走り得る。症状
としては、極めて低い体重、厳格な食物制限、痩せへの容赦のない追求および正常もしく
は健康的体重を維持する気がない、体重増加の強い恐怖、体重および外見の認知によって
重大に影響を受けたゆがんだ身体イメージおよび自尊心、または低体重の重篤さの否定、
少女および女性の中での無月経が挙げられる。他の症状としては、骨が痩せてくる、脆い
毛髪および爪、乾燥し黄色っぽい皮膚、身体にわたる全ての細い毛の増殖、軽度の貧血、
筋消耗、および虚弱、重篤な便秘、低血圧または緩慢になった呼吸および脈、心臓の構造
および機能への損傷、脳損傷、多臓器不全、深部体温(internal body t
emperature)の低下、嗜眠、不活発、および不妊が挙げられる。
【0169】
神経性大食症(bulimia nervosa)を有する個体は、通常でない多量の
食品を食べることの反復性のかつ頻繁なエピソードを有し、これらのエピソードを制御で
きないと感じる。この過食に続いて、無理矢理嘔吐する、緩下剤もしくは利尿剤を過剰に
使用する、絶食、過剰な運動、またはこれらの行動の組み合わせのような過食の代償行動
をとる。
【0170】
神経性食欲不振症とは異なり、神経性大食症を有する人々は、通常は、健康的または正
常な体重とみなされるものを維持する一方で、ある人は、僅かに過体重である。しかし、
神経性食欲不振症を有する人々と同様に、彼らは代表的には、体重増加を恐れ、しゃにむ
に体重を落としたがり、彼らの体の大きさおよび外見に不満を持っている。通常、過食行
動は、隠れて行われる。なぜならそれは嫌悪感もしくは羞恥心を感じることがしばしば付
随するからである。過食しゃ下のサイクルは、1週間に数回から1日に多数回までどこで
でも起こり得る。他の症状としては、慢性的に炎症した喉の痛み、頸部および顎領域にお
ける唾液腺の腫れ、歯のエナメル質の摩滅、ならびに胃酸への曝露の結果として次第に歯
がしみるおよびう蝕する、胃酸逆流障害(acid reflux disorder)
および他の消化管問題、緩下剤乱用による消化管障害および刺激状態(intestin
al distress and irritation from laxative
abuse)、体液のしゃ下による重篤な脱水症、電解質不均衡(心臓発作若しくは脳
卒中に至り得る)が挙げられる。
【0171】
過食性障害(binge-eating disorder)を有する個体は、彼らの
摂食に対する制御を失う。神経性大食症とは異なり、過食の期間は、しゃ下、過剰な運動
、または絶食のような代償行動は起こらない。過食性障害を有する個体はしばしば、過体
重または肥満である。過食性障害を有する肥満個体は、心血管疾患および高血圧症を発生
させるリスクがより高い。彼らはまた、彼らの過食について罪悪感、羞恥心、および苦痛
を経験し、これがより過食をもたらし得る。
【0172】
悪液質は、「消耗障害(wasting disorder)」としても公知であり、
多くの癌患者が経験する摂食関連問題である。悪液質を有する個体は、正常に食べること
を継続し得るが、彼らの身体は、摂取しているビタミンおよび栄養素を利用することを拒
み得るか、または彼らは食欲を失い、食べることを止めてしまう。個体が食欲の喪失を経
験し、食べるのを止めてしまう場合、彼らは、神経性食欲不振症を発症したと考えられ得
る。
【0173】
てんかん
本明細書で記載される溶液または混合物は、本明細書で記載される方法において、例え
ば、てんかん、てんかん発作重積状態、または発作のような本明細書で記載される障害(
例えば、WO2013/112605およびWO/2014/031792(これらの内
容は、これらの全体において本明細書に参考として援用される)に記載されるとおり)の
処置において使用され得る。
【0174】
てんかんは、経時的に発作が反復されることによって特徴付けられる脳障害である。て
んかんのタイプとしては、全般性てんかん、例えば、小児欠神てんかん、若年ミオクロー
ヌスてんかん、覚醒時大発作てんかん、ウエスト症候群、レノックス・ガストー症候群、
部分てんかん、例えば、側頭葉てんかん、前頭葉てんかん、小児の良性焦点性てんかん(
benign focal epilepsy of childhood)が挙げられ
得るが、これらに限定されない。
【0175】
てんかん発作重積状態(SE)
てんかん発作重積状態(SE)は、例えば、けいれん性てんかん発作重積状態、例えば
、早期のてんかん発作重積状態、確立されたてんかん発作重積状態、難治性のてんかん発
作重積状態、超難治性のてんかん発作重積状態;非けいれん性てんかん発作重積状態、例
えば、全般性てんかん発作重積状態、複雑部分発作てんかん発作重積状態;全般性周期性
てんかん性放電;および周期性一側性てんかん性放電が挙げられ得る。けいれん性てんか
ん発作重積状態は、けいれん性てんかん発作重積状態の発作(convulsive s
tatus epileptic seizure)の存在によって特徴付けられ、早期
のてんかん発作重積状態、確立されたてんかん発作重積状態、難治性てんかん発作重積状
態、超難治性てんかん発作重積状態を含み得る。早期てんかん発作重積状態は、第一選択
治療で処置される。確立されたてんかん発作重積状態は、第一選択治療での処置にも拘わ
らず持続するてんかん発作重積状態の発作によって特徴付けられ、第二選択治療が投与さ
れる。難治性てんかん発作重積状態は、第一選択および第二選択治療での処置にも拘わら
ず持続するてんかん発作重積状態の発作によって特徴付けられ、全身麻酔が一般に投与さ
れる。超難治性てんかん発作重積状態は、第一選択治療、第二選択治療、および24時間
もしくはこれより長い全身麻酔での処置にも拘わらず持続するてんかん発作重積状態の発
作によって特徴付けられる。
【0176】
非けいれん性てんかん発作重積状態としては、例えば、焦点性非けいれん性てんかん発
作重積状態、例えば、複雑部分発作非けいれん性てんかん発作重積状態、単純型部分発作
性けいれん性てんかん発作重積状態、微細非けいれん性てんかん発作重積状態;全般性非
けいれん性てんかん発作重積状態、例えば、遅発性欠神非けいれん性てんかん発作重積状
態、非定型欠神非けいれん性てんかん発作重積状態、または典型的欠神非けいれん性てん
かん発作重積状態が挙げられ得る。
【0177】
本明細書で記載される組成物はまた、CNS障害(例えば、外傷性脳損傷、てんかん発
作重積状態、例えば、けいれん性てんかん発作重積状態、例えば、早期てんかん発作重積
状態、確立されたてんかん発作重積状態、難治性てんかん発作重積状態、超難治性てんか
ん発作重積状態;非けいれん性てんかん発作重積状態、例えば、全般性てんかん発作重積
状態、複雑部分発作てんかん発作重積状態;全般性周期性てんかん性放電;および周期性
一側性てんかん性放電)を有する被験体に予防薬として;発作の発生前に投与され得る。
【0178】
発作
発作は、脳の中の異常な電気活動のエピソード後に起こる身体的所見または行動変化で
ある。用語「発作」はしばしば、「けいれん」と交換可能に使用される。けいれんは、個
人の身体が迅速にかつ制御不能に震える場合である。けいれんの間に、その個人の筋肉は
、収縮弛緩を繰り返す。
【0179】
行動および脳活動のタイプに基づいて、発作は、2つの広いカテゴリーに分けられる:
全般性および部分的(局所性または焦点性ともいわれる)。発作のタイプを分類すること
で、患者がてんかんを有するか否かを医師が診断する助けになる。
【0180】
全般性発作は、脳全体からの電気インパルスによって生じるのに対して、部分発作は、
脳の比較的小さな部分における電気インパルスによって(少なくとも最初は)生じる。発
作を生じる脳の部分は、ときおり焦点といわれる。
【0181】
全般性発作には6つのタイプがある。最も一般的かつ劇的、従って最も周知であるのは
、全般性けいれん(大発作といわれる)である。このタイプの発作では、患者は意識を失
い、通常は虚脱する。意識喪失に続いて、全般性身体硬直(generalized b
ody stiffening)(発作の「強直」相といわれる)が30~60秒間起こ
り、次いで、激しい痙動(「間代」相)が30~60秒間起こり、その後、患者は深い睡
眠に入る(「発作後(postictal)」または発作後(after-seizur
e)相)。大発作の間に、傷害および偶発症候が起こり得る(例えば、咬舌および尿失禁
症)。
【0182】
欠神発作は、ほぼまたは全く症状なく、短時間の意識喪失(ほんの数秒間)を引き起こ
す。その患者(最も頻繁なのは小児)は、代表的には、活動を中断し、ぼんやりと凝視す
る。これらの発作は、不意に始まって終わり、1日に数回起こり得る。患者は、通常、彼
らが「時間を失っている」ことに気づき得ることを除いて、発作を有していることに気づ
いていない。
【0183】
ミオクローヌス発作は、散発性の痙動からなり、通常は、身体の両側に起こる。患者は
ときおり、痙動を短時間の電気ショックと説明する。激しい場合には、これらの発作は、
物体を落とすまたは無意識に投げることを生じ得る。
【0184】
間代発作は、同時に身体の両側が関連する反復性の、律動的な痙動である。
【0185】
強直発作は、筋硬直によって特徴付けられる。
【0186】
アトニー発作は、特に、腕および脚における突然のかつ全身の筋緊張の喪失からなり、
しばしば倒れる。
【0187】
本明細書で記載される発作としては、以下が挙げられ得る:てんかん発作;急性の反復
性発作;群発発作(cluster seizure);持続性発作(continuo
us seizure);絶え間ない発作(unremitting seizure)
;長期の発作(prolonged seizure);反復発作;てんかん発作重積状
態の発作、例えば、難治性けいれん性てんかん発作重積状態、非けいれん性てんかん発作
重積状態の発作;難治性発作;ミオクローヌス発作;強直発作;強直間代発作;単純部分
発作;複雑部分発作;二次性全般性発作;非定型欠神発作;欠神発作;アトニー発作;良
性ローランド発作(benign Rolandic seizure);熱性痙攣;情
動発作(emotional seizure);焦点性発作;笑い発作;全般性発症発
作(generalized onset seizure);点頭痙攣;ジャクソン型
発作;両側汎発性ミオクローヌス発作(massive bilateral myoc
lonus seizure);多焦点性発作(multifocal seizure
);新生児発症発作(neonatal onset seizure);夜間発作;後
頭葉発作;外傷後発作;微細発作(subtle seizure);シルビウス発作(
Sylvan seizure);視覚反射性発作;または離脱発作。
【0188】
振戦
本明細書で記載される溶液または混合物は、本明細書で記載される方法において、例え
ば、振戦のような本明細書で記載される障害の処置において使用され得る。
【0189】
振戦(tremor)は、1もしくはこれより多くの身体部分(例えば、手、腕、眼、
顔面、頭部、声帯ひだ、体幹、脚)の振動または攣縮を伴い得る不随意の、ときおり律動
的な筋収縮および弛緩である。
【0190】
小脳性振戦(cerebellar tremor)または企図振戦(intenti
on tremor)は、意図した動作の後に起こる四肢の緩徐な広い振戦である。小脳
性振戦は、例えば、腫瘍、脳卒中、疾患(例えば、多発性硬化症、遺伝性変性障害(in
herited degenerative disorder))から生じる小脳の病
変または損傷によって引き起こされる。
【0191】
ジストニア振戦(dystonic tremor)は、ジストニア(持続性の不随意
性筋収縮が捻転および反復性の運動ならびに/または有痛性および異常な姿勢もしくは位
置を引き起こす運動障害)によって影響を及ぼされた個体において起こる。ジストニア振
戦は、身体における任意の筋肉に影響を及ぼし得る。ジストニア振戦は、不規則に起こり
、しばしば絶対安静によって軽減され得る。
【0192】
本態性振戦(essential tremor)または良性本態性振戦は、振戦の最
も一般的なタイプである。本態性振戦は、軽度およびあるものは非進行性であり得、そし
て緩徐な進行性であり得、身体の片側に始まるが、3年以内に両側に影響を及ぼす。手は
もっとも頻繁に影響を受けるが、頭部、声、舌、脚、および体幹もまた、関係し得る。振
戦周波数は、個人が年齢を経るにつれて低下し得るが、重篤度は増大し得る。感情の高ぶ
り、ストレス、発熱、肉体疲労、または低血糖は、振戦を誘発し得、そして/またはそれ
らの重篤度を増大させ得る。
【0193】
起立性振戦(orthostatic tremor)は、起立直後に脚および体幹に
起こる速い(例えば、12Hzより高い)律動的筋収縮によって特徴付けられる。けいれ
んが、大腿部および脚に感じられ、患者は、一点に立つように要請された場合に制御不能
に震え得る。起立性振戦は、本態性振戦を有する患者に起こり得る。
【0194】
パーキンソン振戦(parkinsonian tremor)は、運動を制御する脳
内の構造に対する損傷によって引き起こされる。パーキンソン振戦はしばしば、パーキン
ソン病の前兆であり、代表的には、おとがい、口唇、脚および体幹に影響を及ぼし得る手
の「丸薬丸め」運動として認められる。パーキンソン振戦の始まりは、代表的には60歳
以降に始まる。運動は、一方の脚にまたは身体の片側に始まり、他の片側を含むように進
行し得る。
【0195】
生理的振戦(physiological tremor)は、正常個体に起こり得、
臨床上の重大性はない。それは、全て随意筋群において認められ得る。生理的振戦は、あ
る特定の薬物、アルコール離脱、または甲状腺機能亢進および低血糖を含む医学的状態に
よって引き起こされ得る。振戦は、古典的には約10Hzの周波数を有する。
【0196】
心因性振戦(psychogenic tremor)またはヒステリー性振戦は、安
静時にまたは姿勢維持運動(postural movement)もしくは動的運動(
kinetic movement)の間に起こり得る。心因性振戦を有する患者は、転
換性障害または別の精神疾患を有し得る。
【0197】
赤核振戦(rubral tremor)は、安静時に、姿勢をとっているとき(at
posture)に、および意図があることで存在し得る大きくゆっくりとした振戦に
よって特徴付けられ得る。その振戦は、中脳の赤核に影響を及ぼす状態、古典的な普通で
ない脳卒中と関連する。
【0198】
麻酔/鎮静
本明細書で記載される溶液または混合物は、本明細書で記載される方法において、例え
ば、麻酔もしくは鎮静を誘導するために使用され得る。麻酔は、健忘症、痛覚脱失、応答
の喪失、骨格筋反射の喪失、ストレス応答の低下、または同時にこれらのうちの全ての薬
理学的に誘導されかつ可逆的な状態である。これらの効果は、結果の非常に具体的な組み
合わせを達成するために、効果の正確な組み合わせを単独で提供する単一の薬物から、ま
たはときおり、薬物の組み合わせ(例えば、催眠薬、鎮静薬、調節麻痺薬(paraly
tic)、鎮痛薬)とともに得られ得る。麻酔は、さもなければ患者が経験すると思われ
る苦痛および疼痛なしに手術および他の手順を受けることを可能にする。
【0199】
鎮静は、一般には医学的手順または診断手順を促進するための、薬剤の投与による易刺
激性または動揺の低減である。
【0200】
鎮静および痛覚脱失は、最小限の鎮静(不安緩解)から全身麻酔までの範囲に及ぶ意識
状態の連続を含む。
【0201】
最小限の鎮静(minimal sedation)は、不安緩解としても公知である
。最小限の鎮静は、薬物誘導性の状態であり、その状態の間に、患者は、通常は言葉によ
る指示に応答する。認知機能および協調は、損なわれていてもよい。換気機能および心血
管機能は、代表的には影響を受けない。
【0202】
中程度の鎮静/痛覚脱失(moderate sedation/analgesia
)(意識下鎮静(conscious sedation))は薬物誘導性の意識抑制で
あり、その間に患者は、単独でまたは軽度の触覚刺激を付随してかのいずれかで、言葉に
よる指示に意図的に応答する。通常は、開放気道を維持するために介入は必要ない。自然
換気が、代表的には妥当である。心血管機能は、通常は維持される。
【0203】
深部鎮静/痛覚脱失(deep sedation/analgesia)は、薬物誘
導性の意識抑制であり、その間に患者は、容易に覚醒できないが、反復性のまたは有痛性
の刺激の後に、意図的に応答する(有痛性の刺激からの引っ込め反射ではない)。独立し
た換気機能は損なわれ得、患者は、開放気道を維持するために補助を必要とし得る。自然
換気は不適切であり得る。心血管機能は、通常は維持される。
【0204】
全身麻酔(general anesthesia)は、薬物誘導性の意識抑制であり
、その間に患者は、有痛性の刺激に対しても覚醒できない。独立した換気機能を維持する
能力はしばしば損なわれ、開放気道を維持するためにしばしば補助が必要とされる。抑制
された自然換気または薬物誘導性の神経筋機能抑制に起因して、陽圧換気が必要とされ得
る。心血管機能は損なわれ得る。
【0205】
集中治療室(ICU)での鎮静は、患者の周囲状況(environment)への自
覚の抑制、および患者の外部刺激への応答の低下を可能にする。それは、重病患者のケア
において役割を果たし得、患者間で、および彼らの病気の経過全体を通じて個体間で変動
する広い範囲の症状コントロールを包含する。集中治療における深い鎮静は、気管内チュ
ーブの許容および人工呼吸器同期化を、しばしば神経筋遮断剤を用いて容易にするために
使用されている。
【0206】
いくつかの実施形態において、鎮静(例えば、長期鎮静、持続的鎮静)は、長期間(例
えば、1日、2日、3日、5日、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月)にわたって
、ICUにおいて誘導および維持される。長期鎮静薬は、作用持続時間が長くてもよい。
ICUでの鎮静薬は、短い排出半減期を有し得る。
【0207】
処置時の鎮静および痛覚脱失(procedural sedation and a
nalgesia)(意識下鎮静ともいわれる)は、鎮静薬または解離性薬剤(diss
ociative agent)を、鎮痛薬とともにまたはそれを伴わずに投与して、被
験体が不快な手順を許容すると同時に心肺機能を維持することを可能にする状態を誘導す
る技術である。
【0208】
投与法
治療上有効な量の神経活性ステロイド、シクロデキストリン、および緩衝液を含む本明
細書で記載される水性溶液または混合物は、非経口的に(例えば、鼻内に、口内に、静脈
内にまたは筋肉内に(例えば、筋肉内(IM)注射)または静脈内に)投与され得る。
【0209】
一実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、約0.1n
g~約100g/kg 体重、約10ng~約50g/kg 体重、約100ng~約1
g/kg 体重、約1μg~約100mg/kg体重、約10μg~約10mg/kg
体重、約100μg~約5mg/kg 体重,、約250μg~約3mg/kg 体重、
約500μg~約2mg/kg 体重、約1μg~約50mg/kg 体重、約1μg~
約500μg/kg 体重;および約1μg~約50μg/kg 体重の神経活性ステロ
イドの非経口投与に等価な用量で投与される。あるいは、治療有効用量を達成するために
投与される神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物の量は、約0.1ng、1n
g、10ng、100ng、1μg、10μg、100μg、1mg、1.5mg、2m
g、3mg、4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、
12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、
20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、
100mg、500mg/kg 体重またはこれより多くの神経活性ステロイドである。
【0210】
一実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、約0.1n
g~約100g/kg 体重、約10ng~約50g/kg 体重、約100ng~約1
g/kg 体重、約1μg~約100mg/kg 体重、約1μg~約50mg/kg
体重、約10μg~約5mg/kg 体重、約100μg~約500μg/kg 体重、
約100μg~約400μg/kg 体重、約150μg~約350μg/kg 体重、
約250μg~約300μg/kg 体重の神経活性ステロイドの非経口投与に等価な用
量での静脈内ボーラス注入として投与される。一実施形態において、神経活性ステロイド
を含む水性溶液または混合物は、約100~約400μg/kgの神経活性ステロイドの
非経口投与に等価な用量で静脈内ボーラス注入として投与される。いくつかの実施形態に
おいて、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、約150~約350μg/
kgの神経活性ステロイドの静脈内ボーラス注入として投与される。いくつかの実施形態
において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、約250~約300μg
/kgの神経活性ステロイドの静脈内ボーラス注入として投与される。具体的実施形態に
おいて、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、約100μg/kg、12
5μg/kg、150μg/kg、175μg/kg、200μg/kg、225μg/
kg、250μg/kg、260μg/kg、270μg/kg、280μg/kg、2
90μg/kg、300μg/kg、325μg/kg、または350μg/kgの神経
活性ステロイドに等価な用量で静脈内ボーラス注入として投与される。
【0211】
一実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、kg体重あ
たり約0.1nモル/L~約100μモル/L、kg体重あたり約1nモル/L~約10
μモル/L、kg体重あたり約10nモル/L~約10μモル/L、kg体重あたり約1
00nモル/L~約10μモル/L、kg体重あたり約300nモル/L~約5μモル/
L、kg体重あたり約500nモル/L~約5μモル/L、およびkg体重あたり約75
0nモル/L~約1μモル/Lの神経活性ステロイドの非経口投与に等価な用量で静脈内
ボーラス注入として投与される。あるいは、治療有効用量を達成するために投与される神
経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物の量は、約0.1ng、1ng、10ng
、100ng、1μg、10μg、100μg、1mg、1.5mg、2mg、3mg、
4mg、5mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、1
3mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、2
1mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、2
9mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、1
00mg、500mg/kg 体重もしくはこれより多くの神経活性ステロイドである。
【0212】
いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、1
日に1回または数回投与され得る。処置の継続期間は、例えば、約1日、2日、3日、4
日、5日、6日、7日もしくはこれより長い期間にわたって1日に1回に従い得る。いく
つかの実施形態において、個々の投与量単位もしくはいくつかのより小さな投与量単位の
形態での単一用量、またはある特定の間隔で細分した投与量の複数回の投与によるかのい
ずれかで、投与される。例えば、投与量単位は、傷害後約0時間~約1時間、約1時間~
約24時間、約1~約72時間、約1~約120時間、または約24時間から少なくとも
約120時間まで投与され得る。あるいは、投与量単位は、傷害後約0.5時間、1時間
、1.5時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、1
0時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、1
8時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、30時間、4
0時間、48時間、72時間、96時間、120時間もしくはこれより長くから投与され
得る。その後の投与量単位は、治療効果が達成されるように最初の投与の後に任意の時間
で投与され得る。例えば、さらなる投与量単位が、傷害後最初の数日間にわたって起こり
得る浮腫の第二波から被験体を保護するために投与され得る。
【0213】
いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物の投与
は、投与から離脱される(weaned off)期間を含む。
【0214】
本明細書で使用される場合、「離脱(weaning)」または「離脱用量(wean
ing dose)」とは、患者への投与用量を低減し、それによって、固定期間または
被験体の治療応答の定期的モニタリングに基づく医師の評価によって経験的に決定された
期間のいずれかにわたって神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物の漸進的な減
少および最終的な除去を生じる投与プロトコルをいう。離脱される投与の期間は、約12
時間、24時間、36時間、48時間もしくはこれより長くなり得る。あるいは、離脱さ
れる投与の期間は、約1~12時間、約12~約48時間、または約24~約36時間の
範囲に及び得る。いくつかの実施形態において、離脱される投与の期間は、約24時間で
ある。
【0215】
使用される離脱は、「線形的」離脱であり得る。例えば、500mgからの「10%」
線形的離脱は、500、450、400、350、300、250、200、150、1
00、50へと進む。あるいは、指数関数的離脱が使用され得、これは、上記で概説され
たプログラムが例として使用される場合、その指数関数的離脱は、例えば、500、45
0、405、365、329、296、266、239などである。よって、約5%、1
0%、15%、20%、25%、30%、35%、または40%の線形的または指数関数
的離脱が、本発明の方法において使用され得る。さらに、約1%~5%、約6%~10%
、約11%~15%、約16%~20%、約21%~25%、約26%~30%、約31
%~35%、約36%~40%の線形的または指数関数的離脱が使用され得る。
【0216】
他の実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物の投与は、神
経活性ステロイドの投与が漸減される最終期間を含む。
【0217】
本明細書で使用される場合、「漸減投与(tapered administrati
on)」、「漸減用量(tapered dose)」、および「下方漸減用量(dow
nward taper dose)」とは、固定期間または被験体の治療応答の定期的
モニタリングに基づく医師の評価によって経験的に決定された期間のいずれかにわたって
患者への投与用量を低減し、それによって、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混
合物の漸進的な減少および最終的な除去を生じる投与プロトコルをいう。漸減投与の期間
は、約12時間、24時間、36時間、48時間もしくはこれより長くなり得る。あるい
は、漸減投与の期間は、約1~12時間、約12~約48時間、または約24~約36時
間の範囲に及び得る。いくつかの実施形態において、漸減投与の期間は、約24時間であ
る。
【0218】
使用される漸減は、「線形的」漸減であり得る。例えば、500mgからの「10%」
線形的漸減は、500mg、450mg、400mg、350mg、300mg、250
mg、200mg、150mg、100mg、50mgへと進む。あるいは、指数関数的
漸減が使用され得、これは、上記で概説されたプログラムが例として使用される場合、そ
の指数関数的漸減は、例えば、500、450、405、365、329、296、26
6、239などである。よって、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、3
5%、または40%の線形的または指数関数的漸減が、本発明の方法において使用され得
る。さらに、約1%~5%、約6%~10%、約11%~15%、約16%~20%、約
21%~25%、約26%~30%、約31%~35%、約36%~40%の線形的また
は指数関数的漸減が使用され得る。いくつかの実施形態において、薬物漸減は、約25%
線形的漸減である。
【0219】
一実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、約20~約
5000μg/kg/時間という神経活性ステロイド/単位時間の量で静脈内注入として
投与される。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドの維持サイクルは、約2
0~約2500μg/kg/時間という神経活性ステロイド/単位時間の量で静脈内注入
として投与される。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドの維持サイクルは
、約20~約500μg/kg/時間という神経活性ステロイド/単位時間の量で静脈内
注入として投与される。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、約20~
約250μg/kg/時間の速度で静脈内注入として投与される。いくつかの実施形態に
おいて、神経活性ステロイドは、約20~約200μg/kg/時間という神経活性ステ
ロイド/単位時間の量で静脈内注入として投与される。いくつかの実施形態において、神
経活性ステロイドは、約20~約150μg/kg/時間という神経活性ステロイド/単
位時間の量で静脈内注入として投与される。いくつかの実施形態において、神経活性ステ
ロイドは、約50~約100μg/kg/時間という神経活性ステロイド/単位時間の量
で静脈内注入として投与される。いくつかの実施形態において、神経活性ステロイドは、
約70~約100μg/kg/時間という神経活性ステロイド/単位時間の量で静脈内注
入として投与される。具体的実施形態において、神経活性ステロイドは、約25μg/k
g/時間、50μg/kg/時間、75μg/kg/時間、80μg/kg/時間、85
μg/kg/時間、86μg/kg/時間、87μg/kg/時間、88μg/kg/時
間、89μg/kg/時間、90μg/kg/時間、100μg/kg/時間、125μ
g/kg/時間、150μg/kg/時間、または200μg/kg/時間という神経活
性ステロイド/単位時間の量で静脈内注入として投与される。
【0220】
一実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、約0.1n
g~約100g/kg 体重、約10ng~約50g/kg 体重、約100ng~約1
g/kg 体重、約1μg~約100mg/kg 体重、約1μg~約50mg/kg
体重、約10μg~約5mg/kg 体重;および約100μg~約1000μg/kg
体重の神経活性ステロイドの非経口投与に等価な用量で静脈内注入として投与される。
一実施形態において、神経活性ステロイドを含む水性溶液または混合物は、kg体重あた
り約0.1nモル/L~約100μモル/L、kg体重あたり約1nモル/L~約10μ
モル/L、kg体重あたり約10nモル/L~約10μモル/L、kg体重あたり約10
0nモル/L~約10μモル/L、kg体重あたり約300nモル/L~約5μモル/L
、kg体重あたり約500nモル/L~約5μモル/L、およびkg体重あたり約750
nモル/L~約5μモル/Lの神経活性ステロイドの非経口投与に等価な用量で静脈内注
入として投与される。あるいは、治療有効用量を達成するために投与される神経活性ステ
ロイドを含む水性溶液または混合物の量は、約0.1ng、1ng、10ng、100n
g、1μg、10μg、100μg、1mg、1.5mg、2mg、3mg、4mg、5
mg、6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、1
4mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、2
2mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、3
0mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、
500mgの神経活性ステロイド/kg 体重であるかまたはこれより多い。
【0221】
本明細書で使用される場合、「約」は、およそ±10%を意味する。
【実施例
【0222】
実施例1.SBECD製剤中のアロプレグナノロンの分解経路
図1は、SBECD製剤中のアロプレグナノロンに関して見出された2つの主要な分解
経路をまとめる。図3~5および図8ならびに表1~11および表16に示されるデータ
に基づいて、約6もしくはこれより小さいpHで観察された主要な分解経路は、アロプレ
グナノロンの、化合物1269へのエピマー化である。図3~5および図8ならびに表1
~11および表16に示されるデータに基づいて、約6もしくはこれより高いpHで観察
された主要な分解経路は、アロプレグナノロンの、化合物136への酸化である。
【0223】
アロプレグナノロンの溶解度を、緩衝液なしのスルホブチルエーテル-β-シクロデキ
ストリン中で決定した。シクロデキストリンの関数としてのアロプレグナノロンのグラフ
表示は、図2に示される。
【0224】
実施例2.緩衝液なしのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレ
グナノロン
【0225】
250mg/mL スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレグナ
ノロン(5mg/mL)の製剤を、緩衝液なしで調製し、タイプI ガラスバイアル中に
パッケージした。
【0226】
具体的には、上記製剤を、Betadex Sulfobutyl Ether So
dium(すなわち、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)の必要量を、適
切な容器中で、35~40℃において標準的インペラー撹拌機で注射用滅菌水(SWI)
の必要量のうちの約80%の中に溶解することによって製造した。アロプレグナノロンを
、非緩衝化Betadex Sulfobutyl Ether Sodium(すなわ
ち、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)溶液に添加し、混合して、高剪断
撹拌機で溶解した。35~40℃での高剪断混合を、アロプレグナノロン薬物物質が溶解
したことを示す、溶液が視覚的に透明になるまで継続した。そのバルク溶液を、SWIで
最終容積にし、混合した。その溶液を、0.45μmプレフィルタを通して濾過し、適切
に重複する滅菌0.2μmフィルタ(例えば、Millipore PVDF)を通して
事前に滅菌しておいた充填容器へと無菌的に濾過した。その滅菌溶液を、事前に滅菌して
おいたバイアルへと無菌的に充填し、事前に滅菌しておいたストッパーで密閉し、そのス
トッパーを、アルミニウムシールで圧着してバイアルに付加した。その充填したバイアル
を、目に見える微粒子物および容器閉鎖の欠陥について100%検査し、販売試験のため
にサンプリングし、2~8℃で貯蔵した。
【0227】
安定性結果から、pHの下方変動および分解の証拠(化合物136および1269の形
成)が示され、これは、より高温でより速かった。より高温での分解生成物の存在は、こ
れら条件でのアロプレグナノロン製剤を化学的に不安定にした。不安定な製剤は、ヒト臨
床試験および潜在的な商業的適用における材料の使用可能な時間枠を制限する。
【0228】
表1において、緩衝液なしの250mg/mL スルホブチルエーテル-β-シクロデ
キストリン中のアロプレグナノロン(5mg/mL)の製剤を、9ヶ月間、25℃/60
% RHにおいてモニターした。pH、アッセイ、および不純物および粒状物質の量を記
録した。
製剤安定性
【表1】
【0229】
表2において、緩衝液なしの250mg/mL スルホブチルエーテル-β-シクロデ
キストリン中のアロプレグナノロン(5mg/mL)の製剤を、3ヶ月間、40℃/75
% RHにおいてモニターした。pH、アッセイ、不純物および粒状物質の量を記録した

【表2】
【0230】
表3において、緩衝液なしの250mg/mL スルホブチルエーテル-β-シクロデ
キストリン中のアロプレグナノロン(5mg/mL)の製剤を、6ヶ月間、40℃/75
% RHにおいてモニターした。pH、アッセイ、不純物および粒状物質の量を記録した

【表3】
【0231】
実施例3.緩衝液ありのスルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレ
グナノロン
【0232】
250mg/mL スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレグナ
ノロン(5mg/mL)の製剤を、シトレート緩衝液で調製し、タイプIガラスバイアル
中にパッケージした。
【0233】
7種のアロプレグナノロン溶液を、表4に記載されるように調製した。7種の溶液の各
々のバッチを、121℃で30分間、60分間および90分間、オートクレーブ処理した
。その溶液を、室温において試験する前に貯蔵した。表5は、その溶液に関する初期のp
H値をまとめる。
【表4】

【表5】
【0234】
非オートクレーブ処理およびオートクレーブ処理済みサンプルのアッセイ値の比較を、
表6に示す。データは、アッセイ値(%)が、研究した全てのオートクレーブ処理時間に
関して一定に保持されたことを示す。
【表6】
【0235】
表7は、不純物プロフィール、具体的には、高温への短時間暴露の間に形成される化合
物136および1269の量をまとめる。
【0236】
酸化分解生成物(化合物136)を、コントロールサンプルにおいて90分オートクレ
ーブ処理した後に、0.13%のレベルで観察した。90分 pH5.5 緩衝化サンプ
ルにおいて類似のレベルが見出された(5mMサンプルに関しては0.15%および10
mM サンプルに関しては0.11%)。90分 pH6.5 緩衝化サンプルは、僅か
に低いレベルの酸化分解生成物を含んだ(5mM サンプルに関しては0.05%および
10mM サンプルに関しては0.03%)。
【0237】
この研究の条件下では、5mM 緩衝液と比較して、10mM 緩衝液での化合物13
6の形成の欠如において顕著なおよび僅かな改善があった。
【0238】
重要なことには、加熱ストレス研究の間には、エピマー化(化合物1269の形成)は
認められず、非緩衝化コントロールの90分時点での0.15%に対して、緩衝化製剤の
検出されない(ND)と比較する。
【表7】
【0239】
表8は、各バッチに関する初期pH、初期アッセイおよび不純物データをまとめる。表
は、初期のT=0オートクレーブ処理サンプルとともに、非オートクレーブ処理コントロ
ールサンプルを含む。サンプルを、室温条件においておよそ3ヶ月貯蔵でのpH、ならび
に室温においておよそ4ヶ月後のアッセイおよび不純物について分析した。
【表8】
【0240】
非緩衝化非オートクレーブ処理コントロールサンプルのpHは、室温での3ヶ月の貯蔵
後において1.1 pH単位低下し、非緩衝液化オートクレーブ処理済みコントロールサ
ンプルのpHは、室温での3ヶ月の貯蔵後に0.6 pH単位低下した。
【0241】
緩衝化溶液のpHは、有意に変化しなかった(報告された最大pH変化は、0.1 p
H単位であった)。
【0242】
5mMおよび10mMの両方の緩衝液濃度は、オートクレーブ処理および貯蔵後に良好
なpH制御を提供した。
【0243】
原型をわたってのアッセイ(%)および総不純物の初期データ(T=0)は、それぞれ
、100.6~102.9%および0.79~0.85%の一貫した範囲を示した。T=
4ヶ月サンプルのアッセイ値は、T=0サンプルと一致し、いかなる分解の徴候も示さな
かった。これはまた、総不純物に関しても当てはまる。
【0244】
250mg/mL スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレグナ
ノロン(5mg/mL)の製剤のより大きなロットを、シトレート緩衝液で調製し、タイ
プIガラスバイアルの中にパッケージした。
【0245】
具体的には、その製剤を、適切な容器中で、35~40℃において標準的インペラー撹拌
機でクエン酸一水和物(USP)およびクエン酸ナトリウム二水和物(USP)の必要量
を、注射用滅菌水(SWI)の必要量のうちのおよそ80%の中に溶解することによって
製造した。Betadex Sulfobutyl Ether Sodium(すなわ
ち、スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン)の必要量を、その緩衝溶液に添加
し、混合して溶解させた。その生成物pHをチェックし、必要であれば、塩酸または水酸
化ナトリウムでpH6.0±0.2へと調節した。アロプレグナノロンを、その緩衝化B
etadex Sulfobutyl Ether Sodium(すなわち、スルホブ
チルエーテル-β-シクロデキストリン)溶液に添加し、混合して、高剪断撹拌機で溶解
させた。35~40℃での高剪断混合を、アロプレグナノロン薬物物質が溶解したことを
示す、その溶液が視覚的に透明になるまで継続した。その生成物pHをチェックし、必要
であれば、塩酸または水酸化ナトリウムでその生成物がpH6.0±0.1を有すること
を確実にするために調節した。そのバルク溶液をSWFIで最終容積にし、混合した。そ
の溶液を、0.45μmプレフィルタを通して濾過し、適切に重複する滅菌0.2μmフ
ィルタ(例えば、Millipore PVDF)を通して事前に滅菌しておいた充填容
器へと無菌的に濾過した。その滅菌溶液を、事前に滅菌しておいたバイアルへと無菌的に
充填し、事前に滅菌しておいたストッパーで密閉し、そのストッパーを、アルミニウムシ
ールで圧着してバイアルに付加した(表9中に記載される成分)。その充填したバイアル
を、目に見える微粒子物および容器閉鎖の欠陥について100%検査し、販売試験のため
にサンプリングし、2~8℃で貯蔵した。
【表9】
【0246】
表10において、10mM シトレート緩衝液 pH6中の250mg/mL スルホ
ブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレグナノロン(5mg/mL)の製
剤を、6ヶ月、40℃/75% RHにおいてモニターした。pH、アッセイ(例えば、
パーセント表示)、不純物および粒状物質の量を記録した。
【表10】
【0247】
表11において、10mM シトレート緩衝液 pH6中の250mg/mL スルホ
ブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレグナノロン(5mg/mL)の製
剤を、12ヶ月、25℃/60% RHにおいてモニターした。pH、アッセイ(パーセ
ント表示)、不純物および粒状物質の量を記録した。
【表11】
【0248】
実施例4.20mL バイアルにおける250mg/mL シクロデキストリン(10
mM シトレート緩衝液, pH6.0)中の注射用アロプレグナノロン(5mg/mL
)の最終滅菌
【0249】
実験を、アロプレグナノロン注射、250mg/mL Captisol(登録商標)
(10mM シトレート緩衝液、pH=6.0、20mL/バイアル)中、5mg/m
Lの滅菌プロセスが、Finn-Aqua蒸気滅菌器を使用する負荷の間中に温度均一性
および生物学的死滅(Geobacillus stearothermophilus
の既知の微生物負荷の増殖がないことの実証を含む)を提供することを示すために行った
【0250】
そのプロトコルは、滅菌プロセスを規定および検証し、滅菌器負荷プローブが生成物の
日常的な操作の間にどこに配置されるかを決定した。Finn-Aqua蒸気滅菌器(モ
デル91515-DP-RP-GMP-S7、シリアル番号C0A41043)を使用し
て、各バイアルサイズに関して、3回の最大負荷滅菌器試行および3回の最小負荷滅菌器
試行を行った。このFinn-Aqua蒸気滅菌器は、Siemens Simatic
S7-300 Programmable Logic Controller(PL
C)によって制御した二重ドアユニットであった。この滅菌器を、ユーザーインターフェ
イスOperator Panel OP27から操作した。内部チャンバの寸法は、(
w×h×d)が37インチ×61インチ×61インチであり、総内部容積は、75立方フ
ィートであった。単一のカートがあり、そこには15段までの棚が装備され得る。各棚は
、8枚のバイアルのトレイを収納した(各トレイは、162-20mL バイアルを収納
)。「D値」とは、特異的微生物集団を90%低下させる温度(T)で必要とされる時間
または生存微生物の数が1/10倍(1 log)に低下するために必要とされる時間を
いう。
【0251】
最大オートクレーブバッチサイズ259Lで、およそ12,690本のバイアルが収納
された。最小検証負荷は、1枚のトレイの最小オートクレーブバッチサイズに基づいて3
Lであった。
【0252】
生成物を、製造施設の滅菌コア内で無菌的に充填し、それを、無菌プロセスシミュレー
ション(媒体充填)によって支援した。その無菌プロセスのこれら評価は、生成物が無菌
性保証レベル(SAL)10-3を有することを検証した。生物汚染度を、充填後および
最終滅菌前に採取したサンプル中で測定した。警告レベル>1CFU/10mLでゼロ(
0)CFU/10mLを測定することが予測された。
【0253】
そのプロセスが芽胞チャレンジの8 log低下(6 log+ 2-log 安全係
数(safety factor))を果たす能力を示すために、提唱される標準的滞留
時間に等しい滞留時間を使用して、検証を行った。生成物D値は、20mL バイアルに
関しては3.5分であり、50mLバイアルに関しては4.5分であることが決定された
。両方のバイアルサイズを1サイクルで調整するために、最高D値を選択した。BIの完
全死滅が6 logの低下を要すると想定すると、検証サイクルのために得られる推奨曝
露(死滅)時間は、以下である:
【化2】

よって、検証サイクルは、以下であることが決定された:
推奨曝露:Exp時間(分):40分 温度:122.2℃±1.0℃
【0254】
小数点を生じる計算された時間は、隣の分の位に丸められた。さらに、滅菌のために1
21.1℃を上回る生成物温度を維持するために、曝露の間の滅菌器設定点は、122.
2℃であった。
【0255】
最終滅菌プロセスの有効性を、温度均一性および1×10~5×10芽胞/バイア
ルで添加したG.stearothermophilusの生存胞子数の少なくとも6-
log低下の実証によって決定した。検証サイクルの間の生物学的死滅の成功裡の実証に
基づいて、製造サイクル曝露時間は、D値の間に決定された接種された生成物の計算され
た必要とされる曝露時間と一致させるために、40分の曝露時間(122.2℃±1.0
℃の検証曝露温度において)を有する。20mL バイアルサイズに関しては、3回の実
験完全負荷滅菌器試行を行った。これは、10分、15分、および20分の曝露時間から
なった。これらの3回の実験試行が一旦完了した後、最適試行を選択し、さらに2回の滅
菌器試行を行うことによって検証した。
【0256】
その検証は、2部分からなった。3回の最大負荷滅菌器試行を、チャンバ全体に配置し
た温度測定デバイスおよび生物学的インジケーターを用いて、年に1回のオートクレーブ
の再認定の間に行われる空のチャンバサイクルから決定される位置を強調して、行った(
生物学的インジケーターの位置は、各サイクルに関して同じ位置に配置される)。3回の
最小負荷滅菌器サイクルを、チャンバの最上部の棚の上に置いた1枚のトレイを使用して
試行した(滅菌器は、チャンバの最上部の棚から一貫して負荷した;従って、最大数より
少ないトレイでのいかなる滅菌器負荷も常に、滅菌器の最上部の棚の上にトレイを有する
)。
【0257】
生物学的インジケーター(BI)を、各負荷プローブチェック(load-probe
-check)/貫通プローブ(penetration Probe)(LPC/PP
)の隣に置いた。用語プローブは、この節で使用される場合、温度測定デバイスをいう。
全ての貫通プローブ、滅菌器負荷プローブ、負荷プローブチェックプローブおよび生物学
的インジケーターを、生成物製剤を含むバイアル中に配置した;負荷の残りは、等量の水
を含むバイアルから構成された。水バイアルの使用は、許容可能である。なぜなら生成物
製剤は、水性溶液でありその温度特性は、純水と本質的に同一であったからである。
【0258】
チャレンジ試験-最小および最大チャンバ負荷
目的:バイアル負荷全体の温度均一性および生物学的死滅を実証すること。
許容可能な基準:
1)全ての曝露された生物学的インジケーター(BI)は、増殖を示してはならない。
2)全ての陽性コントロールは、インキュベーションの終了時に増殖を示さねばならな
い。
3)全ての陰性コントロールは、インキュベーションの終了時に増殖に関して陰性と検
査されなければならない。
4)全ての貫通プローブおよび負荷-プローブ-チェックプローブは、曝露の間に12
2.2℃±1.0℃の温度範囲を維持するべきである。
【0259】
実施例5.化合物1269の特徴付けデータ
1269のHおよび13C NMR割り当てを、表12に提供する。
【表12】
【0260】
1269のLC-MS分析は、図6および表13に示される。
【表13】
【0261】
実施例6.化合物136の特徴付けデータ
【表14】
【0262】
136のLC-MS分析を、図7および表15に示す。
【表15】
【0263】
実施例6.SBECD中のアロプレグナノロン製剤のpH安定性
【0264】
250mg/mL スルホブチルエーテル-β-シクロデキストリン中のアロプレグナ
ノロン(5mg/mL)の製剤を、種々のpH値で調製し、タイプIガラスバイアル中に
パッケージした。その製剤のアッセイを、40℃において12週間後に測定した(図8A
)。その製剤のアッセイを、60℃において12週間後に測定した(図8B)。
【0265】
実施例7.種々の緩衝液の効果の比較
図3A~Bは、ホスフェート緩衝液中、40℃において12週間後に測定した製剤の純
度を示す。図4A~Bは、シトレート緩衝液中、40℃において12週間後に測定した製
剤の純度を示す。図5は、種々の緩衝液中、40℃および60℃での経時的な136の形
成を示す。
【0266】
実施例8.低温でのアロプレグナノロン製剤の安定性
10mM シトレート緩衝液 pH=6中での250mg/mL SBECD中の5m
g/mLのアロプレグナノロンの製剤の安定性を、2~8℃において12ヶ月間貯蔵した
。安定性研究のデータを、表16に示す。
【表16】
図1
図2
図3
図4
図5
図6-1】
図6-2】
図7-1】
図7-2】
図7-3】
図8