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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】オリジナル資料管理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/60 20130101AFI20231030BHJP
【FI】
G06F21/60
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021107400
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005469
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501221120
【氏名又は名称】明豊ファシリティワークス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115613
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 寧司
(72)【発明者】
【氏名】坂田 明
【審査官】岸野 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-118909(JP,A)
【文献】特開2008-262259(JP,A)
【文献】特開2009-199389(JP,A)
【文献】特開2009-009416(JP,A)
【文献】特開2007-249355(JP,A)
【文献】特開2007-251878(JP,A)
【文献】特開平7-99589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の画像の一部の色変更、別の画像への差し替え、又は文章の一部の単語の順序変更、の少なくとも何れかを施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システム。
【請求項2】
前記画像の一部の色変更が、所望領域のカラーコード、RGB値、又はHSV値の何れかを変更して行う請求項1記載のオリジナル資料管理システム。
【請求項3】
前記一部の単語の順序変更が、5W1Hに関連する単語間の入れ替えである請求項1又は請求項2記載のオリジナル資料管理システム。
【請求項4】
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の画像の一部の色変更を施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システム。
【請求項5】
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の別の画像への差し替えを施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システム。
【請求項6】
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の文章の一部の単語の順序変更を施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリジナル資料の配布、閲覧等の利用に際し、そのオリジナル資料にアクセスした利用者に対して、そのオリジナル資料に類似した変更資料を提供し、利用者と変更資料を紐付けて保存するオリジナル資料管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
企業や組織において秘匿すべき機密事項の外部流出は、その企業や組織の競争力を失う危険性を有しており、顧客情報等の流出に至っては企業や組織の信頼性を失墜させる原因にもなるため、機密事項の情報管理は極めて重要であり、機密事項は厳重に管理がなされている。
【0003】
機密事項管理の一例として、企業や組織の有する機密書類にアクセス制限を設け、部署や役職によってアクセスの可否を限定することが行われている。こうした技術は、特開2003-85045号公報(特許文献1)等に記載されている。また別の機密事項管理の一例として、機密事項自体にパスワード等を設定し、そのパスワード等を知る者だけが、その機密事項を参照し、利用することができるような管理もなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-85045号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、こうしたアクセス制限やパスワード等による管理は、機密事項にアクセスできる者、又はパスワード等を知る者が複数人存在する場合には、どの者による利用に端を発し機密情報が漏洩したかを特定することが困難である。
また、機密保持の重要性が低く、頒布を広く奨励するような資料に対しては、アクセス制限やパスワードによる制限を設けたのでは、かえって目的に反することにもなる。
そこで、本発明は、こうしたアクセス制限やパスワード等による管理に変わって、オリジナル資料の流出を管理することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の画像の一部の色変更、別の画像への差し替え、又は文章の一部の単語の順序変更、の少なくとも何れかを施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システムである。
【0007】
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の画像の一部の色変更、別の画像への差し替え、又は文章の一部の単語の順序変更、の少なくとも何れかを施した変更資料を作成するため、多面的な変更形態が含まれることで、そうした変更が分かり難い。
そして、オリジナル資料からの変更情報と、アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するため、変更資料の変更箇所を探ることで、どのアクセス要求に対して行われた出力なのかを追跡できる。よって、オリジナル資料の漏洩元を特定することができる。
【0008】
本発明の一態様は、前記画像の一部の色変更について所望領域のカラーコード、RGB値、又はHSV値の何れかを変更して行うものとすることができる。
前記画像の一部の色変更について所望領域のカラーコード、RGB値、又はHSV値の何れかを変更するものとしたため、画像の変更の履歴を保存でき、画像から変更箇所の特定が可能である。
【0009】
本発明の一態様は、一部の単語の順序変更を、5W1Hに関連する単語間の入れ替えとすることができる。
一部の単語の順序変更を、5W1Hに関連する単語間の入れ替えとしたため、文章の内容は変更せずに、その表現形式だけを変更することができる。そのため、オリジナル資料に対する意味内容の変更無しに、外形を変更した変更資料を作成することができる。
【0010】
本発明の一態様は、オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の画像の一部の色変更を施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システムとすることができる。
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の画像の一部の色変更を施した変更資料を作成することとしたため、文章を有しない、又は挿絵を有しないオリジナル資料についても本発明を適用できる。
そして、オリジナル資料からの変更情報と、アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するため、変更資料の変更箇所を探ることで、どのアクセス要求に対して行われた出力なのかを追跡できる。よって、オリジナル資料の漏洩元を特定することができる。
【0011】
本発明の一態様は、オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の別の画像への差し替えを施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システムである。
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の別の画像への差し替えを施した変更資料を作成することとしたため、例えば挿絵の変更だけで変更を済ませることができ、オリジナル資料にほとんど変更を加えずに変更資料を作成することができる。
そして、オリジナル資料からの変更情報と、アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するため、変更資料の変更箇所を探ることで、どのアクセス要求に対して行われた出力なのかを追跡できる。よって、オリジナル資料の漏洩元を特定することができる。
【0012】
本発明の一態様は、オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の文章の一部の単語の順序変更を施した変更資料を作成し、前記オリジナル資料からの変更情報と、前記アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するオリジナル資料管理システムである。
オリジナル資料に対するアクセス要求に対して、当該オリジナル資料の文章の一部の単語の順序変更を施した変更資料を作成することとしたため、画像を有しないオリジナル資料に対しても本発明を適用できる。
そして、オリジナル資料からの変更情報と、アクセス要求に関するアクセス情報とを関連付けて保存するため、変更資料の変更箇所を探ることで、どのアクセス要求に対して行われた出力なのかを追跡できる。よって、オリジナル資料の漏洩元を特定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、オリジナル資料の利用に関し、その利用ごとにオリジナル資料に変わる変更資料を作成し、そのオリジナル資料のアクセス情報とともに変更情報を管理するため、変更資料の特定によりオリジナル資料の利用の場面を特定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明のオリジナル資料管理システムにおける利用態様を示す説明図である。
図2】管理サーバの機能構成を示すブロック図である。
図3】オリジナル資料と変更資料の相違を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1実施形態>:
本発明のオリジナル資料管理システムは、機密情報等が含まれている可能性のある書類や原稿、画像等のオリジナル資料について、閲覧や複製等の要求があった場合に、このオリジナル資料に変更を加えて出力するシステムである。加えて、その出力ごとに変更箇所と出力先とを保存するシステムである。以下詳しく説明する。
【0016】
オリジナル資料管理システム10の利用態様図を図1に示す。このオリジナル資料管理システム10は、管理サーバ1に設けられており、オリジナル資料にアクセスする利用者端末2(2a、2b、・・)がネットワーク3を介して管理サーバ1に接続されている。
【0017】
利用者端末2は、顧客、得意先、従業員等の各人のコンピュータであり、一または複数のコンピュータ2a、2b、・・であり得る。この利用者端末2は、社内LAN、インターネット等のネットワークに接続し通信可能な通信装置を備えて構成されており、プログラムを起動しネットワークに接続して管理サーバ1にアクセスでき、管理サーバ1に保存されたオリジナル資料の開示請求をしたり、管理サーバ1から出力された変更資料を受信して、表示したり、プリンタ等を通じて出力したりすることができる。この利用者端末2となるコンピュータは、いわゆるパーソナルコンピュータの他、携帯電話端末やタブレット端末などであっても良い。
【0018】
管理サーバ1は、顧客、得意先、従業員等の利用者端末2からの指示を、ネットワーク3を介して受信し、その指示に従った処理を行う。この管理サーバ1は、利用者端末2以外のネットワークに接続したコンピュータ管理サーバであっても良く、利用者端末2のコンピュータで兼用する管理サーバとすることもできる。さらにクラウドコンピューティングに用いられるクラウド管理サーバであっても良い。
【0019】
管理サーバ1は、演算装置や制御装置として機能する中央演算処理装置(CPU)や、RAM等の主記憶装置、ハードディスク等の外部記憶装置、モデム等の通信装置、コンピュータプログラムを有している。これらの装置が後述する各機能を実現する。図2には、オリジナル資料管理システム10を実現する管理サーバ1の機能構成図を示す。図2で示すように、管理サーバ1は、データ記憶手段11と、資料判別手段12と、変更箇所選択手段13と、書換手段14と、通信手段15とで構成される。
【0020】
上記各手段の機能は次のとおりである。データ記憶手段11は、オリジナル資料の電子データや、利用者端末2に関する情報、利用者端末2からのアクセス情報や、変更資料の出力情報等を記憶する。
資料判別手段12は、オリジナル資料の備えている属性と変更可能な事項を検知する。
変更箇所選択手段13は、資料判別手段12が検知したオリジナル資料中の変更可能な事項の中から、所定の変更を行う箇所を選択する。
書換手段14は、変更箇所選択手段13により選択された箇所の変更を行う。
通信手段15は、利用者端末2からのアクセス要求を受信し、変更資料を利用者端末2等に出力する。
【0021】
オリジナル資料管理システム10によって得られる資料を、図3を用いて最初に簡単に説明する。図3には、このオリジナル資料管理システム10によって作成され、利用者端末2のディスプレイ等の表示手段に表示されたり、又はプリント手段によってプリントされたりする変更資料Chaと、変更前のオリジナル資料Oriの一例を示す。ここで示す例では、文章と画像とを含むオリジナル資料において、「~~2020年7月10日に両社のweb頁上で~~」と表示されたある一文が、変更資料において、「~~両社のweb頁上で2020年7月10日に~~」と変更されて表示されている。また、オリジナル資料において、背景が青色で示された画像が、変更資料においては背景が水色に示した画像に変更されて表示されている。さらに、オリジナル資料において、挿絵として自動車が描かれた画像が、変更資料においては挿絵が電車の画像に変更されて表示されている。
【0022】
オリジナル資料とは、企業や団体、組合、学校等で作成された文章又は画像を備えた資料であり、既に出来上がっている資料であって、多くは機密情報を含む資料である。電子データとして形成されたものであっても、あるいは、紙媒体に印刷等によって描かれたプリント物であっても良い。但し、プリント物である場合は、予めスキャナ等の読取り手段によって取り込まれたプリント物を形成する文章や画像が、電子データとして管理サーバ1に取り込まれることでオリジナル資料を形成する。
【0023】
次に、オリジナル資料から変更資料を作成する工程について説明する。一例を挙げれば、ある協力会社の従業員Bが、企業Aの保有するオリジナル資料にアクセスし、オリジナル資料に記載された企業Aの新製品を販売するため営業資料として、オリジナル資料をプリントする場合等を想定できる。
【0024】
従業員Bは自己の利用者端末2bから、オリジナル資料の保存された管理サーバ1にアクセスする。管理サーバ1が、利用者端末2bからのオリジナル資料へのアクセスの要求、及び利用者端末2bへのオリジナル資料の出力要求を受信すると、管理サーバ1は、アクセスがあった日時であるアクセス日時情報と、利用者端末2bの端末識別情報と、要求されたオリジナル資料に関する情報等のアクセス情報をデータ記憶手段11に記憶する。
【0025】
ここで、オリジナル資料が企業Aの新製品を含むような場合には、機密事項を含む資料であるため、アクセスは正当権限を有する者に限定する必要があり、管理サーバ1は、従業員Bからのアクセスが正当な権限を有する者のアクセスか否かを判断し、正当権限者のアクセスと認定すれば、従業員Bにアクセスを許可する工程を含ませることができる。
【0026】
しかしながら、オリジナル資料が機密事項を含まないような場合には、アクセス制限を設けずに、アクセスを許可することもできるし、管理サーバ1が利用者端末2から一定の要求項目、例えば、氏名、住所、連絡先等の要求項目を受信することで初めてアクセスを許可するように設定することもできる。
【0027】
管理サーバ1は、その通信手段15を通じて利用者端末2からのアクセスを受信すれば、資料判別手段12はオリジナル資料の備えている属性と、オリジナル資料の中で所定の変更が可能な事項を検知する。オリジナル資料の備えている属性とは、画像又は文章を有するか否か、機密書類であるか販促資料等の頒布資料であるか等の資料の重要性、最新書類か否か等のオリジナルとしての変更履歴等である。変更可能な事項とは、画像を有していればその一部の色が変更可能事項であり、画像が挿絵であればその挿絵であり、文章に5W1Hを含んでいれば、その5W1Hの表示である。画像が挿絵であるか、挿絵以外の画像であるかの判別は、オリジナル資料に備わる情報として挿絵については挿絵であるとの情報を持たせたり、管理サーバ1に設けた人口知能、又は管理サーバ1がアクセスし得る外部に備わる人口知能に判断を行わせたりすることができる。
【0028】
オリジナル資料の属性から、変更可能な事項に制限がある場合、例えば、画像がないオリジナル資料では、画像の一部の色の変更、及び挿絵の変更はできないため、資料判別手段12は、文章内の5W1Hの箇所を識別する。また、画像を有していても挿絵は有していないオリジナル資料では、資料判別手段12は、画像の一部の色変更と、文章内の5W1Hの箇所を識別するなど、資料判別手段12はオリジナル資料の属性に応じて変更可能事項を認定する。
【0029】
文章の場合に、変更可能箇所である5W1Hの抽出は次のように行う。資料判別手段12が、原文を単語の単位に分解して、さらにその中から、5W1H、即ち、When(いつ)に相当する日時、Where(どこで)に相当する場所や地名、Who(だれが)に相当する人名や役職名、会社名等、What(何を)に相当するイベント名や出来事、Why(なぜ)に相当する問題の原因や課題、How(どのように)に相当する解決手段や方法、の少なくとも何れかを抽出する。
【0030】
例えば、「我が社とAAA社は、BBB駅前大規模開発プロジェクトに共同参画することに合意し、両者のwebページ上で2030年7月10日に発表した。」という文章があれば、Whenにおいて、2030年7月10日を抽出し、Whereにおいて、両者のwebページ上を抽出する。また、Whoにおいて我が社とAAA社を抽出し、Whatにおいて、BBB駅前大規模開発プロジェクトに共同参画を抽出する。そしてまたHowにおいて発表を抽出する。すると、上記文章は、Who→What→Where→When→Howの順序による組合せによって成立した文章であることがわかる。これがオリジナル資料の組合せとなる。なお、この文章例では文中にWhyに相当する単語はないのでWhyは省略される。
【0031】
資料判別手段12が変更可能な事項を検知した後、その変更可能な事項から、変更箇所選択手段13が変更箇所を選択する。より具体的には、画像と文章を有するオリジナル資料であれば、変更箇所選択手段13が、画像の中でどの部分の色の変更を行うか、挿絵が複数あればどの挿絵を変更するか、5W1Hを含む文章が複数あれば、どの文章の5W1Hを変更するか、又は一の文章の5W1Hのうち、その何れを変更するか等を決定する。
【0032】
変更箇所選択手段13による変更箇所の選択は、乱数等を発生させて、行い得る変更箇所の中から乱数に応じて適当数、適当箇所を変更するように行っても良いし、あるいはまた所定の取り決めに基づいて行うようにしても良い。所定の取り決めには、オリジナル資料ごとに予めランクを設け、そのランクに応じて変更箇所を決定する取り決めを挙げることができる。例えば、重要な機密事項を含むオリジナル資料ではそのランクを高め、一定数以上の変更箇所を設けるようにし、それほど重要でないオリジナル資料ではそのランクを低め、一定数以下の変更箇所に抑えるようにすることができる。
【0033】
変更箇所の選択の一例として、文章中の5W1Hの変更については、例えば、
Who→What→Where→When→Howの順序により記載された文章があった場合に、WhoとWhatの2つを選択したり、WhenとWhereの2つを選択したりすることができる。
【0034】
次に、変更箇所選択手段13によって選択された変更箇所について、書換手段14が変更を行う。書換手段14の行う変更は、画像の一部の色を変更する、挿絵等の画像を別の画像へ差し替えする、文章の一部の単語(5W1H)の順序を変更する、の3つである。
【0035】
画像の一部の色変更は、例えば、所望領域のカラーコード、RGB値、HSV値の何れかを変更して行う。ここで所望領域とは、画像を表す領域の中から所定の特徴を有する領域を所望領域として変更箇所選択手段13が設定した箇所である。所定の特徴とは、例えば、背景や、サブと認識される描写物が挙げられる。背景とはメインと認識される描写物を取り囲む部分であり、サブと認識される描写物とは、メインと認識される描写物よりも大きさが小さかったり、画像の中心から遠い部分に描写されたりする描写物である。
【0036】
そして、書換手段14が、そうした所定領域を構成する画素のカラーコードや、RGB値、HSV値の何れかを変更し、変更資料を作成する。こうした処理を行うことで、背景や、サブと認識される描写物の色がオリジナル資料から変化した変更資料が得られる。
【0037】
挿絵の変更は、資料判別手段12がオリジナル資料の中から挿絵と認識した画像領域を特定し、変更箇所選択手段13が選択した挿絵について、書換手段14がオリジナル資料に描かれた画像とは別の画像に変更し、変更資料を作成する。こうした処理を行うことで、オリジナル資料の挿絵とは異なる挿絵が挿入された変更資料が得られる。
【0038】
文章中の5W1Hの変更について、上記のようにWho→What→Where→When→Howの順序により記載された文章があった場合に、変更箇所選択手段13がWhoとWhatの2つを選択すれば、この両者の順序を入れ替えて、What→Who→Where→When→Howの順序の文章に変更する。変更箇所選択手段13が、WhenとWhereの2つを選択すれば、この両者の順序を入れ替えて、Who→What→When→Where→Howの順序の文章に変更する。
【0039】
よって、Who→What→Where→When→Howの順序により記載された「我が社とAAA社は、BBB駅前大規模開発プロジェクトに共同参画することに合意し、両者のwebページ上で2030年7月10日に発表した。」という文章であれば、書換手段14は、WhoとWhatの位置を変更し「BBB駅前大規模開発プロジェクトに共同参画することに合意し、我が社とAAA社は、両者のwebページ上で2030年7月10日に発表した。」といった文章を作る。あるいはまた、WhenとWhereの位置を変更し、「我が社とAAA社は、BBB駅前大規模開発プロジェクトに共同参画することに合意し、2030年7月10日に両社のwebページ上で発表した。」といった文章を作る。
【0040】
そして、通信手段15がこうした変更を加えた変更資料を、利用者端末2に送信する。利用者端末2では、その利用者端末2のディスプレイ上に変更資料を表示したり、又は利用者端末2のプリンタからプリントしたりすることで、利用に供する。
【0041】
一方で、管理サーバ1のデータ記憶手段11では、利用者端末2からのアクセス情報と、オリジナル資料からの変更情報とを対にして記憶する。
【0042】
変更箇所選択手段13による変更箇所の選択、及び書換手段14による変更箇所の変更は、以下に示すオプションを採用することができる。
【0043】
(A)オリジナル資料からの変更を極力わからないような変更とする
第1のオプションは、オリジナル資料からの変更を極力わからないような変更とするためのものである。即ちできるだけ目立たない変更を施すことが重要である。
そのためには、画像の一部の色変更に関しては、変更する所望領域をできるだけ小さくなるように変更箇所選択手段13は変更箇所を選択し、かつ書換手段14は変更する色を出来るだけオリジナルに近いものとするように色を変更する。変更面積が小さく、変更色がオリジナル色に近似していれば、色変更が認識し難いからである。
【0044】
挿絵の差し替えについては、オリジナル資料の挿絵にできるだけ似た挿絵を変更後の挿絵として選択する。似た挿絵とすればオリジナルの挿絵との違いを認識し難いからである。
文章の一部の単語の順序変更については、When(いつ)とWhere(どこで)の変更だけを行うか、又は文章中に連続して表れる5W1Hのうちの2つを互いに入れ替えることを行う。When(いつ)とWhere(どこで)のどちらが先に表現されるかは認識され難く、また、連続して表れる部分の相互変換もまたその変更が認識され難いからである。
【0045】
(B)オリジナル資料からの変更があることが良くわかるように変更する
第2のオプションでは、上記(A)とは反対に、オリジナル資料からの変更が、変更資料にあることが良くわかるような変更をする場合もある。即ちできるだけ目立つ変更を施すことが重要である。
そのためには、画像の一部の色変更に関しては、変更する所望領域をできるだけ大きくし、かつ変更する色を出来るだけオリジナルから異なるものとする。変更箇所が大きい上、色変更を認識し易いからである。
挿絵の差し替えについては、オリジナル資料の挿絵とはできるだけ概念も大きさも絵のタッチ等も異なる挿絵を変更後の挿絵として選択する。異なる要素が多い挿絵とすればオリジナルの挿絵との違いを認識し易いからである。
文章の一部の単語の順序変更については、5W1Hのうち変換できる全ての変換を行うか、できるだけ多くの変換を行う。変更があることが認識され易いからである。
【0046】
(C)オリジナル資料からの変更があることがわかるように変更する箇所を設けるとともに、オリジナル資料からの変更が極力わからないような変更箇所も設ける
第3のオプションでは、上記(A)及び(B)の両者を施す場合である。
【0047】
オリジナル資料からの変更があることをわからせる方法としては、上記(A)の方法とはせずに、複製であることや、閲覧者情報等を別途、変更資料に表示する、などとすることもできる。画像の一部の色変更、挿絵の変更、文章の一部の単語の順序変更は、それぞれオリジナル資料からの変更を分かり難くする観点から採用した変更方法であるため、変更があることを知らしめる方法としては適切ではなく、敢えてこれらの方法によるまでもないからである。
【0048】
その後、この変更資料が、顧客を通じて第三者に漏洩されたと仮定した場合に、この漏洩した変更資料をオリジナル資料と対比することで変更箇所を特定し、その変更箇所を書換手段14の行った変更履歴と対比することで、オリジナル資料へのどのアクセス及び出力によるものかを特定する。こうして、オリジナル資料の流出元を特定することができる。こうしたオリジナル資料管理システム10によれば、漏洩した変更資料の漏洩元を容易に特定することができる。
【0049】
また、オリジナル資料管理システム10によれば、機密事項に限らず、販促資料や、webページでの表示事項等、種々の資料をオリジナル資料として扱うことができる。
機密事項に限定しないことで、アクセス権の制限も緩和したり、排除したりすることができ、扱うことができるオリジナル資料の領域を拡大させることができる。
これにより、例えば販促資料にオリジナル資料管理システムを適用する場合には、多量に出回った販促資料が、いつの時点で変更資料が作成されたものかの時期を特定することができ、またその第一次頒布先を特定することができる。したがって、販促に多大に貢献した時期、及び第一次配布先を知る端緒とできる。
【0050】
<第2実施形態>:
第2実施形態として説明するオリジナル資料管理システムは、オリジナル資料に対する変更を、画像の一部の色変更のみとするものである。
第1実施形態で説明した変更として、挿絵の変更と、5W1Hの順序変更があったが、挿絵を変更するためには挿絵のあるオリジナル資料に限られてしまい、また、5W1Hを変更するには、文章の構成分析が必須であり、そうした分析は困難な場合も多かった。加えて、挿絵の変更や、5W1Hの順序の変更は、オリジナル資料からの変更がわかり易く、変更箇所をわかり難くしたい要請には適合し難い態様であった。
これに対して、画像の一部の色変更のみを行う場合には、変更箇所が分かり難い点で大きな優位性を有するだけでなく、変更箇所のバリエーションが大きく、変更資料を限りなく多く作成できるという利点がある。
画像の一部の色変更の方法については、第1実施形態で説明したのと同様の方法を採用することができる。
【0051】
<第3実施形態>:
第3実施形態として説明するオリジナル資料管理システムは、オリジナル資料に対する変更を、挿絵を別の画像へ差し替える変更のみとするものである。
第1実施形態で説明した変更として、画像の一部の色変更と、5W1Hの順序変更があったが、5W1Hの順序変更の困難性は、第2実施形態の説明で説明したとおりである一方で、画像の一部の色変更にも課題がある。それは、一部の色変更を行うためには、オリジナル資料の画像の色解析を行う必要があることであり、これが困難な場合がある。
そうした一方で、挿絵の箇所を認識することは容易で、例えば、オリジナル資料における挿絵領域を予めオリジナル資料の情報として保持しておくことができる。また、挿絵は、ほぼ無限に代替案を準備することができ、限りないバリエーションの変更資料を作成することができ、また、変更する挿絵をオリジナル資料の挿絵に似たものとすることもでき、オリジナル資料からの変更を分かり難くすることにも有効である。
【0052】
<第4実施形態>:
第4実施形態として説明するオリジナル資料管理システムは、オリジナル資料に対する変更を、5W1Hの順序変更のみとするものである。
第1実施形態で説明した変更としての、画像の一部の色変更と、挿絵の変更の問題点を第2、第3実施形態で説明したとおりであるが、変更箇所を5W1Hの順序変更のみとすることで、画像が無いオリジナル資料についても適用できるというメリットがある。
【0053】
上記実施形態で示した例は本発明の一実施形態にすぎず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、実施形態間の構成要素の変更や、公知技術の追加、その他の改変を適宜行えるものである。例えば、第2実施形態から第4実施形態で説明したうちのいくつかの変更を組み合わせて取り入れたシステムとすることもできる。
【符号の説明】
【0054】
1 管理サーバ
2,2a,2b 利用者端末
3 ネットワーク
10 オリジナル資料管理システム
11 データ記憶手段
12 資料判別手段
13 変更箇所選択手段
14 書換手段
15 通信手段
Ori オリジナル資料
Cha 変更資料
図1
図2
図3