(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】電源装置とこの電源装置を備える電動車両及び蓄電装置、電源装置用締結部材
(51)【国際特許分類】
H01M 50/264 20210101AFI20231030BHJP
H01M 50/262 20210101ALI20231030BHJP
H01M 50/209 20210101ALI20231030BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20231030BHJP
【FI】
H01M50/264
H01M50/262 S
H01M50/209
H01M50/262 E
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2021511110
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 JP2019050463
(87)【国際公開番号】W WO2020202670
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】P 2019066829
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003225
【氏名又は名称】弁理士法人豊栖特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山城 豪
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-283193(JP,A)
【文献】特開2011-023302(JP,A)
【文献】特開2012-243534(JP,A)
【文献】特開2014-179298(JP,A)
【文献】特表2018-508967(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M50/20-50/298
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体と、
前記電池積層体の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレートと、
前記電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材と、
を備える電源装置であって、
前記複数の締結部材の各々は、
長手方向の両端でそれぞれ前記エンドプレートと固定される端部締結部と、
前記端部締結部同士の間を連結する中間連結部と
を有し、
前記中間連結部が、
前記電池積層体の側面に沿って延長された板状であって、前記締結部材の正面視において波形に形成された複数列の連結バーを備えており、
前記二次電池セルの膨張時において、前記連結バーを前記電池積層体の側面に沿う面内で弾性変形させて、前記中間連結部が前記二次電池セルの積層方向に延伸されるようにしてなることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置であって、
前記中間連結部が、互いに上下対称な波形に形成された第一連結バーと第二連結バーとを備え、
前記第一連結バーと前記第二連結バーの両端が前記端部締結部に連結されてなる電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記第一連結バーが、前記電池積層体の側面の上部領域に対向して配置されて、
前記第二連結バーが、前記電池積層体の側面の下部領域に対向して配置されてなる電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置であって、
前記第一連結バーの波形の下端部と、前記第二連結バーの波形の上端部が、一体連結部で一体的に連結されて、前記中間連結部を1枚の板材で形成してなる電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置であって
前記中間連結部が、対向する前記第一連結バーと前記第二連結バーとを複数の前記一体連結部で連結して閉ループ状の変形延伸部を形成してなる電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源装置であって、
前記第一連結バーは、その両端部が前記端部締結部の上端部に連結されて、
前記第二連結バーは、その両端部が前記端部締結部の下端部に連結されており、
前記変形延伸部の両側に、前記一体連結部で連結された前記第一連結バー及び前記第二連結バーの端部と前記端部締結部とで形成された連結保持部を備える電源装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の電源装置であって
前記連結バーが三角波の波形で、前記変形延伸部が正面視ひし形状である電源装置。
【請求項8】
請求項2に記載の電源装置であって、
前記第一連結バーと前記第二連結バーが2枚の板材で構成されると共に、
該第一連結バーと該第二連結バーの一部が互いに積層されてなる電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置であって、
前記第一連結バーと前記第二連結バーが、正面視において、複数
の交差部で互いに交差する姿勢で積層されてなる電源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電源装置であって、
前記第一連結バーは、正面視を中央凹形状として、その両端が前記端部締結部の上端部に連結されて、中間部が前記電池積層体の側面の下部領域に対向して配置されており、
前記第二連結バーは、正面視を中央凸形状として、その両端が前記端部締結部の下端部に連結されて、中間部が前記電池積層体の側面の上部領域に対向して配置されており、
前記第一連結バーと前記第二連結バーが、積層部において一対の
前記交差部で交差されると共に、一対の前記交差部の間に中間隙間が形成されてなる電源装置。
【請求項11】
請求項9または10に記載の電源装置であって、
前記第一連結バーと前記第二連結バーで形成される複数の前記交差部において、
前記第一連結バーの外側に前記第二連結バーが積層される交差部と、
前記第一連結バーの内側に前記第二連結バーが積層される交差部と
を交互に設けてなる電源装置。
【請求項12】
請求項10に記載の電源装置であって
前記連結バーが三角波の波形で、前記中間隙間が正面視ひし形状である電源装置。
【請求項13】
請求項7または12に記載の電源装置であって、
前記中間連結部が、正面視において、パンタグラフ状に形成されてなる電源装置。
【請求項14】
請求項1ないし6、及び8~11のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記連結バーの形状が、三角波、正弦波、台形波のいずれか、またはこれらの一部を連結した波形である電源装置。
【請求項15】
請求
項1ないし14のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記連結バーの幅(d)が、前記電池積層体の側面の高さ(h)の1/5~1/3である電源装置。
【請求項16】
請求項1ないし15のいずれか一項に記載の電源装置であって、
前記締結部材は、さらに、前記端部締結部に固定される係止ブロックを備えており、
前記エンドプレートは、前記係止ブロックが案内される嵌合部を外周面に有し、さらに、前記嵌合部の前記電池積層体側には、前記係止ブロックと当接するストッパ部を設けており、
前記係止ブロックが前記ストッパ部に係止されて、前記エンドプレートを前記締結部材で締結してなることを特徴とする電源装置。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれかに記載される電源装置であって、
前記電池積層体が、複数の前記二次電池セルの積層方向の中間部に、中間プレートを積層しており、
前記締結部材が、両端に設けた前記端部締結部の中間に、前記中間プレートに連結される中間締結部を有しており、
前記端部締結部と前記中間締結部の間に前記中間連結部を設けてなる電源装置。
【請求項18】
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の電源装置を備える電動車両であって、
前記電源装置と、
該電源装置から電力供給される走行用のモータと、
前記電源装置及び前記モータを搭載してなる車両本体と、
前記モータで駆動されて前記車両本体を走行させる車輪と
を備えることを特徴とする電動車両。
【請求項19】
請求項1ないし17のいずれか一項に記載の電源装置を備える蓄電装置であって、
前記電源装置と、
該電源装置への充放電を制御する電源コントローラと
を備え、
前記電源コントローラでもって、外部からの電力により前記二次電池セルへの充電を可能とすると共に、該二次電池セルに対し充電を行うよう制御することを特徴とする蓄電装置。
【請求項20】
外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体の両端面を覆う一対のエンドプレート同士を締結するための電源装置用締結部材であって、
長手方向の両端でそれぞれ前記エンドプレートと固定される端部締結部と、
前記端部締結部同士の間を連結する中間連結部と
を有し、
前記中間連結部が、
前記電池積層体の側面に沿って延長された板状であって、正面視において互いに上下対称な波形に形成された第一連結バーと第二連結バーとを備え、
前記第一連結バーと前記第二連結バーの両端が前記端部締結部に連結されてなる電源装置用締結部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の二次電池セルを積層している電池積層体の両端に配置してなるエンドプレートを締結部材で連結してなる電源装置とこの電源装置を備える電動車両及び蓄電装置、電源装置用締結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的な電源装置は、複数の角形電池セルからなる電池積層体と、電池積層体の両端面に配置される一対のエンドプレートと、一対のエンドプレートを連結するバインドバー等の締結部材を備えている(特許文献1参照)。この電源装置は、電池積層体をエンドプレートとバインドバーにより拘束することで、複数の角形電池セルからなる電池積層体を集合化できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の電源装置は、バインドバーやエンドプレートを介して複数の角形電池セルからなる電池積層体を集合化させているため、電池積層体を構成する複数の角形電池セルの膨張が抑制されることになる。つまり、バインドバーやエンドプレートを介して、角形電池セルの膨張を抑制することになるため、バインドバーやエンドプレートに大きな力が加わる。
【0005】
一方で、角形電池セルは、体積あたりのエネルギー密度や重量あたりのエネルギー密度を高くしようとすると、充放電や劣化に伴う寸法変化が大きくなる傾向がある。バインドバーやエンドプレートにかかる負荷は、角形電池セルの膨張量に起因するため、膨張量に伴う寸法変化の大きい角形電池セルを用いる場合には、上記特許文献1の電源装置の構成では、エンドプレートやバインドバーに対して、角形電池セルの膨張時に強い負荷が印加される。この結果、バインドバーとエンドプレートとの接合部分に強い剪断応力が働き、破断するおそれがある。このため、バインドバーの剛性を高めることが求められる。
【0006】
しかしながら、金属材料は一般に剛性を高めると、延伸性が低下する。角形電池セルが膨張すると、バインドバーが伸びる方向に負荷がかかるところ、延伸性が低下すると却って膨張に対する耐性が低下するという、相反する問題があった。
【0007】
本発明の目的の一は、複数の二次電池セルを積層した電池積層体を締結する締結部材において、エンドプレートとの連結強度を高めつつも、膨張時における延伸性を確保した電源装置とこの電源装置を備える電動車両及び蓄電装置、電源装置用締結部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様に係る電源装置は、外装缶1aを角型とした複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10、20と、電池積層体10、20の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレート3と、電池積層体10、20の対向する側面にそれぞれ配置されて、エンドプレート3同士を締結する複数の締結部材4、14、24とを備えている。複数の締結部材4、14、24の各々は、長手方向の両端でそれぞれエンドプレート3と固定される端部締結部4X、14X、24Xと、端部締結部4X、14X、24X同士の間を連結する中間連結部4Y、14Y、24Yとを有し、中間連結部4Y、14Y、24Yが、電池積層体10、20の側面10a、20aに沿って延長された板状であって、締結部材4、24の正面視において波形に形成された複数列の連結バー6を備えている。電源装置は、二次電池セル1の膨張時において、連結バー6を電池積層体10、20の側面10a、20aと平行な面内で弾性変形させて、中間連結部4Y、14Y、24Yが二次電池セル1の積層方向に延伸されるようにしている。
【0009】
本発明のある態様に係る電動車両は、上記電源装置100と、電源装置100から電力供給される走行用のモータ93と、電源装置100及びモータ93を搭載してなる車両本体91と、モータ93で駆動されて車両本体91を走行させる車輪97とを備えている。
【0010】
本発明のある態様に係る蓄電装置は、上記電源装置100と、電源装置100への充放電を制御する電源コントローラ88と備えて、電源コントローラ88でもって、外部からの電力により二次電池セル1への充電を可能とすると共に、二次電池セル1に対し充電を行うよう制御している。
【0011】
本発明のある態様に係る電源装置用締結部材は、外装缶1aを角型とした複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10、20の両端面を覆う一対のエンドプレート3同士を締結するための電源装置用締結部材であって、長手方向の両端でそれぞれエンドプレート3と固定される端部締結部4X、14X、24Xと、端部締結部4X、14X、24X同士の間を連結する中間連結部4Y、14Y、24Yとを有し、中間連結部4Y、14Y、24Yが、電池積層体10、20の側面10a、20aに沿って延長された板状であって、正面視において互いに上下対称な波形に形成された第一連結バー6X、16Xと第二連結バー6Y、16Yとを備え、第一連結バー6X、16Xと第二連結バー6Y、16Yの両端が端部締結部4X、14Xに連結されている。
【発明の効果】
【0012】
以上の電源装置によると、電池積層体を締結する締結部材の端部締結部の強度を高めつつ、中間連結部の延伸性を高めることで、強度と延伸性という相反する特性を両立させることができる。とくに、複数の二次電池セルを積層した電池積層体を締結する締結部材において、エンドプレートとの連結強度を高めつつも、膨張時における延伸性を確保することで、二次電池セルの膨張に対する耐性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態1に係る電源装置の斜視図である。
【
図3】
図2に示す電源装置の締結部材の拡大正面図である。
【
図4】
図3に示す締結部材が伸びる状態を示す模式図である。
【
図5】締結部材の他の一例を示す拡大正面図である。
【
図6】
図5に示す締結部材が伸びる状態を示す模式図である。
【
図7】
図5に示す締結部材の製造方法の一例を示す分解正面図である。
【
図8】
図5に示す締結部材の製造方法の他の一例を示す分解斜視図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る電源装置の斜視図である。
【
図10】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図11】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
【
図12】蓄電用の電源装置に適用する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のある態様の電源装置は、以下の構成により特定されてもよい。本発明のある態様の電源装置は、外装缶を角型とした複数の二次電池セルを積層した電池積層体と、前記電池積層体の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレートと、前記電池積層体の対向する側面にそれぞれ配置されて、前記エンドプレート同士を締結する複数の締結部材とを備える。前記複数の締結部材の各々は、長手方向の両端でそれぞれ前記エンドプレートと固定される端部締結部と、前記端部締結部同士の間を連結する中間連結部とを有し、前記中間連結部が、前記電池積層体の側面に沿って延長された板状であって、前記締結部材の正面視において波形に形成された複数列の連結バーを備えており、前記二次電池セルの膨張時において、前記連結バーを前記電池積層体の側面に沿う面内で弾性変形させて、前記中間連結部が前記二次電池セルの積層方向に延伸されるようにしている。
【0015】
本明細書において締結部材の正面視とは、
図3に示すように、面方向に広がる板状の締結部材に対して垂直に交差する方向から見る状態であって、電池積層体の側面に沿って配置される締結部材を、電池積層体の側面方向から見る状態を意味するものとする。
また、本明細書において、上下方向は、図に示す方向であって、
図1及び
図2に示す二次電池セルにおいて、外装缶の缶底を下側とし、封口板を上側とする方向とする。
【0016】
上記構成によると、二次電池セルの膨張時において、締結部材の中間連結部が備える複数列の波形の連結バーを電池積層体の側面に沿う面内で弾性変形させることにより、中間連結部が二次電池セルの積層方向に延伸されることで、二次電池セルの膨張に対する耐性を高めることができる。とくに、この締結部材は、正面視において波形の連結バーを機械的に変形させることで、二次電池セルの積層方向に延伸させることができる。したがって、締結部材を無理なく確実に変形させて延伸できる。
【0017】
本発明の他の態様の電源装置は、前記中間連結部が、互いに上下対称な波形に形成された前記第一連結バーと前記第二連結バーとを備え、前記第一連結バーと前記第二連結バーの両端を前記端部締結部に連結している。上記構成により、第一連結バーと第二連結バーとを上下対称な形状とすることで、二次電池セルの膨張時に作用する引張り力に対して、バランスよく延伸させることができる。
【0018】
本発明の他の態様の電源装置は、前記第一連結バーを、前記電池積層体の側面の上部領域に対向して配置し、前記第二連結バーを、前記電池積層体の側面の下部領域に対向して配置している。上記構成によると、電池積層体の上下に配置される第一連結バーと第二連結バーにより、二次電池セルの膨張時に作用する引張り力を上下に分散させながら延伸できる。
【0019】
本発明の他の態様の電源装置は、前記第一連結バーの波形の下端部と、前記第二連結バーの波形の上端部とを一体連結部で一体的に連結して、前記中間連結部を1枚の板材で形成している。上記構成により、締結部材を1枚の板材で構成することが可能となり、簡単かつ低コストに多量生産できる。
【0020】
本発明の他の態様の電源装置は、前記中間連結部が、対向する前記第一連結バーと前記第二連結バーとを複数の一体連結部で連結して閉ループ状の変形延伸部を形成している。上記構成により、中間連結部に閉ループ状の変形延伸部を設けることで、この変形延伸部を変形させて締結部材を無理なく延伸させることができる。
【0021】
本発明の他の態様の電源装置は、前記第一連結バーの両端部を前記端部締結部の上端部に連結し、前記第二連結バーの両端部を前記端部締結部の下端部に連結しており、前記変形延伸部の両側に、前記一体連結部で連結された前記第一連結バー及び前記第二連結バーの端部と前記端部締結部とで形成された連結保持部を設けている。上記構成によると、一対の連結バーの両端を端部締結部の上下の端部に連結して、変形延伸部の両側に、連結バーの端部と端部締結部とで形成される連結保持部を設けることで、中間連結部を介して端部締結部に作用する引張り力を上下に分散して剪断応力が集中するのを防止できる。
【0022】
本発明の他の態様の電源装置は、前記連結バーが三角波の波形で、前記変形延伸部をひし形状としている。
【0023】
本発明の他の態様の電源装置は、前記第一連結バーと前記第二連結バーを2枚の板材で構成し、該第一連結バーと該第二連結バーの一部を互いに積層している。上記構成によると、第一連結バーと第二連結バーとを2枚の板材で形成するのでお、第一連結バーと第二連結バーとを独立して変形させることで、締結部材をより効果的に延伸できる。
【0024】
本発明の他の態様の電源装置は、前記第一連結バーと前記第二連結バーを、正面視において、複数箇所で互いに交差する姿勢で積層している。
【0025】
本発明の他の態様の電源装置は、前記第一連結バーが、正面視を中央凹形状として、その両端を前記端部締結部の上端部に連結して、中間部を前記電池積層体の側面の下部領域に対向して配置しており、前記第二連結バーが、正面視を中央凸形状として、その両端を前記端部締結部の下端部に連結して、中間部を前記電池積層体の側面の上部領域に対向して配置しており、前記第一連結バーと前記第二連結バーを、積層部において一対の交差部で交差すると共に、一対の前記交差部の間に中間隙間を形成している。
【0026】
本発明の他の態様の電源装置は、前記第一連結バーと前記第二連結バーで形成される複数の前記交差部において、前記第一連結バーの外側に前記第二連結バーが積層される交差部と、前記第一連結バーの内側に前記第二連結バーが積層される交差部とを交互に設けている。上記構成により、二次電池セルの膨張時に受ける引張り力により、各連結バーが延伸する際に、傾倒する方向に変形するのを有効に防止できる。このため、締結部材を電池セルの積層方向に対して安定して延伸できる。
【0027】
本発明の他の態様の電源装置は、前記連結バーが三角波の波形で、前記中間隙間を正面視ひし形状としている。
【0028】
本発明の他の態様の電源装置は、前記中間連結部が、正面視において、パンタグラフ状に形成されている。
【0029】
本発明の他の態様の電源装置は、前記連結バーの形状を、三角波、正弦波、台形波のいずれか、またはこれらの一部を連結した波形としている。
【0030】
本発明の他の態様の電源装置は、前記連結バーの幅(d)を、前記電池積層体の側面の高さ(h)の1/5~1/3としている。
【0031】
本発明の他の態様の電源装置は、前記締結部材は、さらに、前記端部締結部に固定される係止ブロックを備えており、前記エンドプレートは、前記係止ブロックが案内される嵌合部を外周面に有し、さらに、前記嵌合部の前記電池積層体側には、前記係止ブロックと当接するストッパ部を設けており、前記係止ブロックが前記ストッパ部に係止されて、前記エンドプレートを前記締結部材で締結している。
【0032】
本発明の他の態様の電源装置は、前記電池積層体が、複数の前記二次電池セルの積層方向の中間部に、中間プレートを積層しており、前記締結部材が、両端に設けた前記端部締結部の中間に、前記中間プレートに連結される中間締結部を有しており、前記端部締結部と前記中間締結部の間に前記中間連結部を設けている。
【0033】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は以下のものに特定されない。また、本明細書は、特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部材の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。また、一部の実施例、実施形態において説明された内容は、他の実施例、実施形態等に利用可能なものもある。
【0034】
実施形態に係る電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車などの電動車両に搭載されて走行用モータに電力を供給する電源、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの発電電力を蓄電する電源、あるいは深夜電力を蓄電する電源など、種々の用途に使用され、とくに大電力、大電流の用途に好適な電源として使用される。以下の例では、電動車両の駆動用の電源装置に適用した実施形態について、説明する。
【0035】
[実施形態1]
本発明の実施形態1に係る電源装置100の斜視図を
図1に、その分解斜視図を
図2に、それぞれ示す。これらの図に示す電源装置100は、複数の二次電池セル1を積層した電池積層体10と、この電池積層体10の積層方向の両端面を覆う一対のエンドプレート3と、エンドプレート3同士を締結する複数の締結部材4とを備える。
【0036】
電池積層体10は、正負の電極端子2を備える複数の二次電池セル1と、これら複数の二次電池セル1の電極端子2に接続されて、複数の二次電池セル1を並列かつ直列に接続するバスバー(図示せず)を備える。これらのバスバーを介して複数の二次電池セル1を並列や直列に接続している。二次電池セル1は、充放電可能な二次電池である。電源装置100は、複数の二次電池セル1が並列に接続されて並列電池グループを構成すると共に、複数の並列電池グループが直列に接続されて、多数の二次電池セル1が並列かつ直列に接続される。
図1と
図2に示す電源装置100は、複数の二次電池セル1を積層して電池積層体10を形成している。また電池積層体10の両端面には一対のエンドプレート3が配置される。このエンドプレート3同士に、締結部材4の端部を固定して、積層状態の二次電池セル1を加圧状態に固定する。
【0037】
(二次電池セル1)
二次電池セル1は、幅広面である主面の外形を四角形とする角形電池であって、幅よりも厚さを薄くしている。さらに、二次電池セル1は、充放電できる二次電池であって、リチウムイオン二次電池としている。ただ、本発明は、二次電池セルを角形電池には特定せず、またリチウムイオン二次電池にも特定しない。二次電池セルには、充電できる全ての電池、たとえばリチウムイオン二次電池以外の非水系電解液二次電池やニッケル水素二次電池セルなども使用できる。
【0038】
二次電池セル1は、
図2に示すように、正負の電極板を積層した電極体を外装缶1aに収納して、電解液を充填して気密に密閉している。外装缶1aは、底を閉塞する四角い筒状に成形しており、この上方の開口部を金属板の封口板1bで気密に閉塞している。外装缶1aは、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工して製作される。封口板1bは、外装缶1aと同じように、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。封口板1bは、外装缶1aの開口部に挿入され、封口板1bの外周と外装缶1aの内周との境界にレーザ光を照射して、封口板1bを外装缶1aにレーザ溶接して気密に固定している。
【0039】
(電極端子2)
二次電池セル1は、天面である封口板1bを端子面1Xとして、この端子面1Xの両端部に正負の電極端子2を固定している。電極端子2は、突出部を円柱状としている。ただ、突出部は、必ずしも円柱状とする必要はなく、多角柱状又は楕円柱状とすることもできる。
【0040】
二次電池セル1の封口板1bに固定される正負の電極端子2の位置は、正極と負極が左右対称となる位置としている。これにより、二次電池セル1を左右反転させて積層し、隣接して接近する正極と負極の電極端子2をバスバーで接続することで、隣接する二次電池セル1同士を直列に接続できるようにしている。
【0041】
(電池積層体10)
複数の二次電池セル1は、各二次電池セル1の厚さ方向が積層方向となるように積層されて電池積層体10を構成している。電池積層体10は、正負の電極端子2を設けている端子面1X、
図2においては封口板1bが同一平面となるように、複数の二次電池セル1を積層している。
【0042】
電池積層体10は、隣接して積層される二次電池セル1同士の間に、絶縁スペーサ11を介在させてもよい。絶縁スペーサ11は、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状又はシート状に製作されている。絶縁スペーサ11は、二次電池セル1の対向面とほぼ等しい大きさのプレート状とする。この絶縁スペーサ11を互いに隣接する二次電池セル1の間に積層して、隣接する二次電池セル1同士を絶縁できる。なお、隣接する二次電池セル1間に配置されるスペーサとしては、二次電池セル1とスペーサの間に冷却気体の流路が形成される形状のスペーサを用いることもできる。また、二次電池セル1の表面を絶縁材で被覆することもできる。例えばPET樹脂等のシュリンクチューブで二次電池セルの電極部分を除く外装缶の表面を熱溶着させてもよい。この場合は、絶縁スペーサを省略してもよい。また、複数の二次電池セルを多並列、多直列に接続する電源装置においては、互いに直列に接続される二次電池セル同士の間に絶縁スペーサを介在させて絶縁する一方、互いに並列に接続される二次電池セル同士においては、隣接する外装缶同士に電圧差が生じないので、これらの二次電池セルの間の絶縁スペーサを省略することもできる。
【0043】
さらに、
図2に示す電源装置100は、電池積層体10の両端面にエンドプレート3を配置している。なおエンドプレート3と電池積層体10の間に端面スペーサ12を介在させて、これらを絶縁してもよい。端面スペーサ12も、樹脂等の絶縁材で薄いプレート状又はシート状に製作できる。
【0044】
電池積層体10は、隣接する二次電池セル1の正負の電極端子2に金属製のバスバーが接続されて、このバスバーを介して複数の二次電池セル1が並列かつ直列に接続される。電池積層体10は、互いに並列に接続されて並列電池グループを構成する複数の二次電池セル1においては、端子面1Xの両端部に設けた正負の電極端子2が左右同じ向きとなるように積層され、互いに直列に接続される並列電池グループを構成する二次電池セル1同士においては、端子面1Xの両端部に設けた正負の電極端子2が左右逆向きとなるように複数の二次電池セル1が積層されている。ただ、本発明は、電池積層体を構成する二次電池セルの個数とその接続状態を特定しない。後述する他の実施形態も含めて、電池積層体を構成する二次電池セルの個数、及びその接続状態を種々に変更することもできる。
【0045】
実施形態に係る電源装置100は、複数の二次電池セル1が互いに積層される電池積層体10において、互いに隣接する複数の二次電池セル1の電極端子2同士をバスバーで接続して、複数の二次電池セル1を並列かつ直列に接続する。また、電池積層体10とバスバーとの間にバスバーホルダを配置してもよい。バスバーホルダを用いることで、複数のバスバーを互いに絶縁し、かつ二次電池セルの端子面とバスバーとを絶縁しながら、複数のバスバーを電池積層体の上面の定位置に配置できる。
【0046】
(バスバー)
バスバーは、金属板を裁断、加工して所定の形状に製造される。バスバーを構成する金属板には、電気抵抗が小さく、軽量である金属、例えばアルミニウム板や銅板、あるいはこれらの合金が使用できる。ただ、バスバーの金属板は、電気抵抗が小さくて軽量である他の金属やこれらの合金も使用できる。
【0047】
(エンドプレート3)
エンドプレート3は、
図1と
図2に示すように、電池積層体10の両端に配置されると共に、電池積層体10の両側面10aに沿って配置される左右一対の締結部材4を介して締結される。エンドプレート3の外形は、二次電池セル1の外形にほぼ等しく、あるいはこれよりもわずかに大きく、両側の外周面に締結部材4を固定して、電池積層体10の膨化を抑制する四角形の板材である。このエンドプレート3は、全体をアルミニウムやアルミニウム合金、SUS、鉄等の金属製としている。ただし、エンドプレートは、図示しないが、プラスチックに金属板を積層する構造とし、あるいはまた、全体を補強繊維を埋設している繊維強化樹脂成形板としてもよい。
【0048】
エンドプレート3は、
図2の分解斜視図に示すように、締結部材4に設けている係止ブロック5を確実に連結するために、係止ブロック5を案内する嵌合部3aを両側の外周面に設けている。さらに、エンドプレート3は、嵌合部3aの電池積層体10側に、係止ブロック5と当接するストッパ部3bを設けている。言い換えると、エンドプレート3の両側面には、それぞれ、電池積層体10側の端部から締結部材4に向けて突出するストッパ部3bを設けて、段差形状の嵌合部3aを設けている。また、エンドプレート3は、
図2に示すように、嵌合部3aの底面に、複数の雌ねじ穴3cを設けている。
【0049】
(締結部材4)
締結部材4は、両端を電池積層体10の両端面に配置された一対のエンドプレート3に固定している。締結部材4は、電池積層体10の対向する側面10aにそれぞれ配置されており、一対の締結部材4でもって電池積層体10を積層方向に締結している。
図1~
図3に示す締結部材4は、電池積層体10の側面10aに沿う平板状であって、1枚の板材で一体的に形成されている。締結部材4は、好ましくは金属板であって、強い引張力に耐える金属板が使用される。締結部材4には、鋼板や鉄、鉄合金、SUS、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属板が使用できる。金属板である締結部材4は、1枚の金属板を裁断して製造される。これにより、特定の形状の締結部材4を簡単かつ容易に製造することができる。ただ、締結部材4は、金属板に限らず、炭素繊維等の補強繊維をプラスチックに埋設している繊維強化樹脂成形板としてもよい。以下、締結部材4を鋼板である金属板とする例を示す。
【0050】
締結部材4は、長手方向の両端でそれぞれエンドプレート3と固定される端部締結部4Xと、端部締結部4X同士の間を連結する中間連結部4Yとで構成される。端部締結部4Xは、エンドプレート3に確実に固定されるように強度を高くし、中間連結部4Yは、端部締結部4Xよりも延伸性が高くなるように構成している。このようにすることで、端部締結部4Xは強度を高めて電池積層体10の締結力を発揮させつつ、中間連結部4Yでは延伸性を高めて、二次電池セル1の膨張時に変形し易くして、強度と延伸性という相反する特性を両立させている。具体的には、締結部材4を所定の厚さの板材、例えば金属板とすることで、端部締結部4Xの強度を確保しつつ、中間連結部4Yを独特の構成とすることで延伸性を高めている。
【0051】
(端部締結部4X)
端部締結部4Xは、締結部材4を構成する板材の両端部に配置されており、エンドプレート3に固定するための強度を有している。
図2に示す端部締結部4Xは、詳細には後述するが、エンドプレート3に固定するための係止ブロック5が固定されている。係止ブロック5は、エンドプレート3の外周面に設けた嵌合部3aに案内されて固定される。ただ、端部締結部は、必ずしも係止ブロックを必要とせず、端部締結部をエンドプレートに対して、ボルト止めや溶接等により直接固定することもできる。
【0052】
(中間連結部4Y)
中間連結部4Yは、電池積層体10の側面10aに沿って延長された板状であって、
図3に示す正面視において、波形に形成された複数列の連結バー6を備えている。図に示す中間連結部4Yは、互いに上下対称な波形に形成された第一連結バー6Xと第二連結バー6Yとからなる一対の連結バー6で構成されている。図に示す中間連結部4Yは、第一連結バー6Xを、電池積層体10の側面10aの上部領域に対向して配置される上部連結バー6Aとし、第二連結バー6Yを、電池積層体10の側面10aの下部領域に対向して配置される下部連結バー6Bとしている。電池積層体10の側面10aの上下に配置される上部連結バー6Aと下部連結バー6Bは、電池積層体10の側面10aの中心線Mであって、高さ方向の中心を通る中心線Mを対称の軸として上下対称となる形状に形成されている。上部連結バー6Aである第一連結バー6Xは、両端に位置する一対の端部締結部4Xの上部同士を連結し、下部連結バー6Bである第二連結バー6Yは、両端に位置する一対の端部締結部4Xの下部同士を連結している。
【0053】
図3に示す中間連結部4Yは、一対の連結バー6を、左右の端部締結部4Xの間において、互いに連結して1枚の金属板で形成している。具体的には、互いに接近する上部連結バー6Aと下部連結バー6Bの対向部同士を一体的に連結して一体連結部6xを設けることにより、上部連結バー6Aと下部連結バー6Bとを1枚の板材で構成している。
【0054】
中間連結部4Yは、
図3に示すように、連結バー6の両端部を端部締結部4Xの上下の端部に連結している。上部連結バー6Aは、両端部に波形の上端部6aを配置しており、これらの上端部6aを左右の端部締結部4Xの上端部に連結している。また、下部連結バー6Bは、両端部に波形の下端部6bを配置しており、これらの下端部を左右の端部締結部4Xの下端部に連結している。さらに、一対の端部締結部4Xの間において、上部連結バー6Aの波形の下端部6bと下部連結バー6Bの波形の上端部6aとを互いに連結して一体連結部6xを形成している。このように中間連結部4Yの両端を端部締結部4Xの上下の端部に連結する構造は、中間連結部4Yを介して端部締結部4Xに作用する引張り力を上下に分散して剪断応力が集中するのを防止できる。
【0055】
さらに、
図3に示す中間連結部4Yは、互いに連結される上部連結バー6Aと下部連結バー6Bにより、中央部に閉ループ形状の変形延伸部7を形成している。図に示す中間連結部4Yは、上部連結バー6Aと下部連結バー6Bとを共に2周期分の波形としており、一対の端部締結部4Xの間において形成される2組の一体連結部6xによって、1周期分の波形の上部連結バー6Aと下部連結バー6Bとを互いに連結して、変形延伸部7を形成している。
図3に示す連結バー6は、三角波の波形であって、傾斜姿勢の直線部を折曲部で連結してなるジグザグ状としている。したがって、中間連結部4Yの中央部において、上下の連結バー6により形成される変形延伸部7をひし形状としている。ひし形状の変形延伸部7は、中央部にひし形状の中間開口部7Aが形成されている。
【0056】
この変形延伸部7は、二次電池セル1の膨張時において、締結部材4の長手方向に引張り力Fが作用すると、
図4に示すように、横方向に伸びる形状に弾性変形して締結部材4が延伸される。具体的には、締結部材4の長手方向に引張り力Fが作用すると、ひし形状の変形延伸部7の両端に位置する一対の一体連結部6xには互いに離れる方向に引張り力f1が作用する。この引張り力f1により、変形延伸部7には、上部連結バー6Aの上端部6aと下部連結バー6Bの下端部6Bとを互いに接近させる圧縮力f2が作用する。これにより、ひし形状の変形延伸部7は、上下方向に押し潰された形状、言い換えると左右に引き伸ばされた形状に変形して締結部材4が延伸される。このようにして締結部材4の中央部に変形延伸部7を形成することで、両端の端部締結部4Xに作用する引張り力Fに対して延伸性を実現して、二次電池セル1の膨張に対する変形に対応可能な締結部材4が実現できる。
【0057】
以上の締結部材4は、端部締結部4Xの強度を金属板からなる板材の厚さで調整し、中間連結部4Yの延伸性を、連結バー6の幅、形状、及び連結構造で特定している。ここで、連結バー6の幅(d)は、電池積層体10の側面10aの高さ(h)の1/5~1/3とすることができる。また、図に示す締結部材4は、中央部に1つの変形延伸部7を設けているが、締結部材4は、複数の変形延伸部を設けてもよい。複数の変形延伸部を備える締結部材は、さらに延伸性を高めることができる。
【0058】
さらに、
図3に示す締結部材4は、変形延伸部7の両側に、変形延伸部7と端部締結部4Xとを連結するための連結保持部8を形成している。図に示す連結保持部8は、上部連結バー6A及び下部連結バー6Bの半周期分の波形である1辺ずつと端部連結部4Xとを閉ループ形状に連結して、中央部に三角形状の端部開口部8Aを形成している。この連結保持部8は、連結バー6の2辺と端部連結部4Xとで三角形状に形成されており、引張り力Fが作用する状態においても延伸が抑制される非変形部としている。三角形状の連結保持部8は、優れた剛性を実現できるので、端部締結部4Xに作用する引張り力Fに対して耐性を示しつつ、中央部に形成される変形延伸部7の両端の一体連結部6xに対して引張り力f1を確実に作用させることができる。このように、中央部に変形延伸部7を設けて両端部に非変形部である連結保持部8を設ける構造は、二次電池セル1の膨張時において、締結部材4に作用する引張り力Fに対して両端部の連結保持部8の変形を抑制して端部締結部4Xを確実にエンドプレート3に連結できる構造としながら、中央部の変形延伸部7を確実に弾性変形させて二次電池セル1の積層方向に延伸できる。これにより二次電池セル1の膨張時に変形しやすくして延伸性を実現しながら、端部締結部4Xにおいては、強度を高めてエンドプレート3に対する連結強度を保証できる。
【0059】
ただ、変形延伸部7の両側に、配置される連結保持部8は、必ずしも三角形状として非変形部とする必要はなく、連結バー6の端部を湾曲させ、あるいは折曲させて、引張り力により多少変形する形状とすることもできる。
【0060】
また、以上の締結部材4は、中間連結部4Yを構成する一対の連結バー6を一体連結部6xで連結することで全体を1枚の板材で構成するが、中間連結部は、一対の連結バーを互いに分離することもできる。この構造の締結部材は、両端に配置される一対の端部締結部を独立する2本の連結バーを介して連結される。この場合においても、波形の各連結バーが引き伸ばされる形状に弾性変形することで、中間連結部を二次電池セルの積層方向に延伸できる。この締結部材は、一対の連結バーの中間を一体連結部で連結しないので、中央部において、変形延伸部が形成されず、また、両端部においても連結保持部が形成されない。この締結部材は、波形である各々の連結バーが、拡開されるように弾性変形することによって延伸される。したがって、締結部材は、必ずしも中央部に変形延伸部を設ける必要はなく、また、必ずしも両端部に連結保持部を備える必要はない。
【0061】
以上の締結部材4は、各連結バー6を三角波の波形とするとともに、一対の連結バー6を中間部で連結することで、中央部にひし形状の変形延伸部7を設けて、その両側には三角形状の連結保持部8を設けている。したがって、この構造の締結部材4は、正面視において、パンタグラフ形状に形成されている。
【0062】
以上の締結部材4は、1枚の板材、たとえば1枚の金属板を所定の形状に裁断して製造されるが、締結部材は、必ずしも1枚の板材で製造する必要はなく、複数の板材を連結して製造することもできる。
【0063】
(締結部材の他の例)
図5と
図6に示す締結部材14は、両端に配置された端部締結部14X同士の間を連結する中間連結部14Yが、互いに上下対称な波形に形成された第一連結バー16Xと第二連結バー16Yとを備えており、第一連結バー16Xと第二連結バー16Yの両端を端部締結部14Xに連結している。図の中間連結部14Yは、第一連結バー16Xと第二連結バー16Yとを2枚の板材で構成しており、その中間部において第一連結バー16Xと第二連結バー16Yの一部を互いに積層している。
【0064】
図5に示す中間連結部14Yは、第一連結バー16Xと第二連結バー16Yとを、共に1周期分の波形としている。
図5に示す第一連結バー16Xは、正面視を中央凹形状として、その両端を端部締結部14Xに連結し、中間部を電池積層体の側面の下部領域に対向するように配置している。
図5の第一連結バー16Xは、両端部に波形の上端部16aを配置しており、これらの上端部16aを左右の端部締結部14Xの上端部に連結して、下端部16bを含む中間部を端部締結部14Xの下端の高さまで降下させている。また、
図5に示す第二連結バー16Yは、正面視を中央凸形状として、その両端を端部締結部14Xに連結し、中間部を電池積層体の側面の上部領域に対向するように配置している。
図5の第二連結バー16Yは、両端部に波形の下端部16bを配置しており、これらの下端部16bを左右の端部締結部14Xの下端部に連結して、上端部16aを含む中間部を端部締結部14Xの上端の高さまで上昇させている。以上の形状の第一連結バー16Xと第二連結バー16Yは、
図5に示す正面視において、複数箇所で互いに交差する姿勢で積層されている。図に示す第一連結バー16Xと第二連結バー16Yは、一対の交差部16xで互いに積層されている。
【0065】
図5に示す中間連結部14Yは、第一連結バー16Xと第二連結バー16Yで形成される一対の交差部16xのうち、一方(図において左側)の交差部16xについては、第一連結バー16Xの外側に第二連結バー16Yを積層し、他方(図において右側)の交差部16xについては、第一連結バー16Xの内側に第二連結バー16Yを積層している。この構造の締結部材14は、二次電池セル1の膨張時に受ける引張り力Fにより、各連結バー16が延伸する際に、一対の交差部16xにおいて互いに逆姿勢で積層されることにより、連結バー16が傾倒する方向に変形するのを有効に防止できる特徴がある。逆姿勢に積層された交差部16xにより、傾倒する方向に作用する力が打ち消し合うからである。したがって、第一連結バー16Xと第二連結バー16Yで形成される複数の交差部16xは、第一連結バー16Xの外側に第二連結バー16Yが積層される交差部16xと、第一連結バー16Xの内側に第二連結バー16Yが積層される交差部16xとを交互に設けることが好ましい。ただ、第一連結バーと第二連結バーで形成される複数の交差部は、一方の連結バーに対して他方の連結バーが全て同じ側となるように積層してもよい。この構造は、交差部において互いに積層される連結バー同士の摩擦抵抗を低減して効果的に延伸できる。
【0066】
さらに、
図5に示す中間連結部14Yは、互いに交差して積層される第一連結バー16Xと第二連結バー16Yにより、中央部に中間隙間17を形成している。図に示す中間連結部14Yは、一対の端部締結部14Xの間に形成される2組の交差部16xによって、略1/2周期分の波形の第一連結バー16Xと第二連結バー16Yとを互いにラップして、中間隙間17を形成している。
図5に示す連結バー16は、三角波の波形であって、傾斜姿勢の直線部を折曲部で連結してなるジグザグ状としている。したがって、中間連結部14Yの中央部において、中央凹形状であるV字状の第一連結バー16Xと中央凸形状である逆V字状の第二連結バー16Yとにより形成される中間隙間17をひし形状としている。また、
図5に示す締結部材14は、一対の交差部16xの両側において、第一連結バー16X及び第二連結バー16Yの端部と端部締結部14Xとで三角形状の端部隙間18を形成している。
【0067】
この締結部材14は、二次電池セル1の膨張時において、締結部材14の長手方向に引張り力Fが作用すると、
図6に示すように、横方向に伸びる形状に弾性変形して締結部材14が延伸される。具体的には、締結部材14の長手方向に引張り力Fが作用すると、V字状の第一連結バー16Xの両端と逆V字状の第二連結バー16Yの両端には、互いに離れる方向に引張り力f1が作用する。この引張り力f1により、V字状の第一連結バー16Xと逆V字状の第二連結バー16Yとが、ともに拡開された形状に弾性変形して、締結部材14が延伸される。この状態で、一対の連結バー16は、
図6に示すように、第一連結バー16Xの上端部6aと第二連結バー16Yの下端部6bとに作用する圧縮力f2により、上端部6aと下端部6bとの間隔が狭くなって、V字状の第一連結バー16Xと逆V字状の第二連結バー16Yとで形成されるひし形形状の中間隙間17が縮小される。このように、互いに積層される逆位相の波形である第一連結バー16Xと第二連結バー16Yとを拡開する方向に弾性変形させることで、両端の端部締結部14Xに作用する引張り力Fに対して延伸性を実現して、二次電池セル1の膨張に対する変形に対応可能な締結部材14が実現できる。
【0068】
以上の締結部材14は、
図7に示すように、第一プレート13Aと第二プレート13Bとからなる2枚の板材13を連結して製造することができる。図の第一プレート13Aは、端部締結部14Xの第1の端部(図においては上端部)に第一連結バー16Xを一体的に連結し、第二プレート13Bは、端部締結部14Xの第2の端部(図においては下端部)に第二連結バー16Yを一体的に連結している。この締結部材14は、第一プレート13Aと第二プレート13Bを同形状の板材13として裁断等により多量生産しながら、一対の板材13のうち、一方を180度回転することで、連結バー16が上下対称の姿勢で配置された第一プレート13A及び第二プレート13Bを得ることができる。
【0069】
以上の第一プレート13Aと第二プレート13Bは、第一連結バー16Xの先端が第二プレート13Bの端部締結部14Xの第1の端部(図においては上端部)に連結され、第二連結バー16Yの先端が第一プレート13Aの端部締結部14Xの第2の端部(図においてが下端部)に連結されて、互いに連結される。このとき、互いの連結部は、溶接により接合することができる。連結バー16の先端面16cと端部締結部14の測面14aは、互いに突き合わせる状態で、レーザー溶接等により直線状に溶接されて強固に接合される。ただ、第一プレート13Aと第二プレート13Bは、図の鎖線で示すように、連結バー16の先端に連結片16sを設けて、この連結片16sを端部締結部14Xの端部に積層して接合することもできる。この場合、連結バー16の連結片16sは、端部締結部14Xに対して、溶接して、あるいは機械的に接合することができる。
【0070】
さらに、締結部材14は、
図8に示すように、第一プレート13Cと第二プレート13Dとからなる2枚の板材13を積層して製造することもできる。図の第一プレート13Cは、一対の端部締結部14Xを第一連結バー16Xで連結し、第二プレート13Dは、一対の端部締結部14Xを第二連結バー16Yで連結している。これらの第一プレート13Cと第二プレート13Dを、両端の端部締結部14Xが一致するように重ねて連結することで、第一連結バー16Xと第二連結バー16Yとを、中央部でラップする姿勢で積層している。互いに積層される端部締結部14X同士は、溶着や接着により接合される。ラップする状態で積層される第一連結バー16Xと第二連結バー16Yは、交差部において接合されることなく、自由に相対移動できるようにしている。
【0071】
この締結部材14も、第一プレート13Cと第二プレート13Dを同形状の板材13として裁断等により多量生産しながら、一対の板材13のうち、一方を上限反転し、あるいは表裏反転することで、連結バー16が上下対称の姿勢で配置された第一プレート13C及び第二プレート13Dとして互いに積層して製造できる。この構造の締結部材14は、連結バー16と端部締結部14Xとを1枚の板材13で一体的に製造できるので、連結バー16と端部締結部14Xとの連結強度を高くできる。また、中間連結部14Yとして互いに積層される第一連結バー16Xと第二連結バー16Yの交差部における摩擦を低減できるので、締結部材14を効率よく延伸できる。
【0072】
以上の締結部材14は、連結バー16を共に1周期分の波形としているが、連結バー16は、1周期よりも大きな波形とすることもできる。たとえば、締結部材は、一対の連結バーを1.5周期分の波形とすることもできる。この締結部材は、連結バーの一端が端部締結部の上端部に、他端が端部締結部の下端部に連結されると共に、一対の連結バーが3カ所の交差部により積層されて、隣接する交差部の間に2つの中間隙間が形成される。この締結部材は、複数の中間隙間を設けることで、さらに延伸性を高めることができる。
【0073】
以上の締結部材14は、各連結バー16を三角波の波形とするとともに、一対の連結バー16を中間部で積層して複数の交差部16xを設けることで、中央部にひし形状の中間隙間17を設けて、その両側には三角形状の端部隙間18を設けている。したがって、この構造の締結部材14は、正面視において、パンタグラフ形状に形成されている。
【0074】
以上の連結バー6、16は、正面視を三角波からなる波形としているが、連結バーは、必ずしも三角波とする必要はなく、正弦波や台形波とすることもできる。あるいは、連結バーは、三角波、正弦波、台形波の一部を組み合わせた波形とすることもできる。さらに、連結バーは、以上の波形に加えて、円形、楕円形、サイクロイド曲線、アーチ曲線等の湾曲線や、その一部を組み合わせた波形とすることもできる。すなわち、連結バーは、正面視において、波形に折曲され、あるいは波形に湾曲された経路を有する板材であって、両端方向に引張り力が作用する状態で、波形が両端方向に引き伸ばされる状態に弾性変形が可能であって、これにより延伸される全ての形状とすることができる。
【0075】
したがって、これらの波形からなる連結バーを一体連結部で連結してなる形状の締結部材においては、中央部に形成される変形延伸部の形状がひし形以外の形状、たとえば、略楕円形状、略六角形状、両端が先細りとなるしずく形状等、種々の形状に形成される。ただ、いずれの形状の変形延伸部においても、両端方向に引張り力が作用する状態においては、中央部の上下部分が互いに接近する方向に変形して、両端の一体連結部が両端方向に引き延ばされる形状に変形して締結部材の延伸性を実現する。
【0076】
(係止ブロック5)
係止ブロック5は、
図2に示すように、所定の厚さを有する板状ないし角柱状の金属製としている。図に示す係止ブロック5は、締結部材4よりも肉厚に形成された板状であって、締結部材4の長手方向の両端部であって端部締結部4Xの内側面に接合して固定されている。係止ブロック5は、端部締結部4Xの内側面に固定された状態で、エンドプレート3の外周面に向かって突出している。締結部材4の両端部に固定される一対の係止ブロック5は、エンドプレート3の外側面に設けた嵌合部3aに案内されて、ストッパ部3bに係止できる大きさと形状としている。この係止ブロック5は、締結部材4をエンドプレート3に連結する状態では、嵌合部3aに案内されてストッパ部3bに係止され、締結部材4を電池積層体10の両側の定位置に配置する。
【0077】
係止ブロック5には、鉄などの金属板、好ましくは鋼板や鉄、鉄合金、SUS、アルミニウム、アルミニウム合金等が使用できる。締結部材4と係止ブロック5は、好ましくは、同種類の金属とする。これによって、締結部材4と係止ブロック5との溶接を容易に行いつつ、連結強度を高めることができる。ただ、係止ブロック5は締結部材4と係止ブロック5とを異種金属で形成することもできる。すなわち、異種金属からなる係止ブロック5と締結部材4とを互いに接合して連結することもできる。この場合、たとえば、係止ブロックには鉄系の金属を使用して強度を高めつつ、締結部材にはアルミニウム系の金属板を使用して延伸性を高めることができる。さらに、締結部材は、金属板に限らず、炭素繊維等の補強繊維をプラスチックに埋設している繊維強化樹脂成形板としてもよい。この場合、係止ブロックは、リベット等の機械的接合により締結部材に固定することができる。
【0078】
(貫通孔4c)
以上の係止ブロック5は、
図2の分解斜視図に示すように、係止ブロック5をエンドプレート3の嵌合部3aに案内してストッパ部3bに係止されるとともに、複数のボルト9を介してエンドプレート3の外周面に固定される。
図2に示す締結部材4と係止ブロック5は、エンドプレート3を締結した状態で係止ブロック5を嵌合部3aにボルト9で固定するために、ボルト9を挿通する貫通孔4c、5cを設けている。ボルト9は、締結部材4と係止ブロック5を貫通して、エンドプレート3の雌ねじ穴3cにねじ込まれて、係止ブロック5をエンドプレート3に固定する。この固定構造の電源装置100は、係止ブロック5を確実にエンドプレート3に固定しながら、ボルト9とストッパ部3bとの両方で係止ブロック5の位置ずれを確実に阻止できる。それは、ボルト9が係止ブロック5を嵌合部3aの底面に押し付けて固定して、ストッパ部3bで確実に位置ずれを阻止できると共に、ボルト9の軸力によっても位置ずれを阻止できるからである。
【0079】
締結部材4は、ボルト9を貫通孔4cに挿通して、エンドプレート3に設けた雌ねじ穴3cにねじ込んでエンドプレート3に固定される。図に示す締結部材4と係止ブロック5は、係止ブロック5を嵌合部3aに案内した状態で、エンドプレート3に設けた雌ねじ穴3cと一致するように、貫通孔4c、5cを開口している。
図2の締結部材4と係止ブロック5は、係止ブロック5の延長方向であって、図においては上下方向に所定の間隔で複数の貫通孔4c、5cを開口して設けている。これに応じてエンドプレート3の雌ねじ穴3cも、エンドプレート3の側面に沿って複数個が形成されている。
【0080】
以上の締結部材4は、
図1に示すように、係止ブロック5がエンドプレート3の嵌合部3aに案内されて、係止ブロック5をストッパ部3bに係止する状態で定位置に配置される。さらに、係止ブロック5はボルト9を介してエンドプレート3に固定されて、一対のエンドプレート3を締結部材4で連結する。
【0081】
以上のように、多数の二次電池セル1を積層している電源装置100は、複数の二次電池セル1からなる電池積層体10の両端に配置されるエンドプレート3を締結部材4で連結することで、複数の二次電池セル1を拘束するように構成されている。複数の二次電池セル1を、高い剛性をもつエンドプレート3や締結部材4を介して拘束することで、充放電や劣化に伴う二次電池セル1の膨張、変形、相対移動、振動による誤動作などを抑制できる。
【0082】
(絶縁シート)
また、締結部材4と電池積層体10の間には、図示しないが、絶縁シートが介在される。絶縁シートは絶縁性を備える材質、例えば樹脂などで構成され、金属製の締結部材4と二次電池セル1との間を絶縁することができる。このように、締結部材4と電池積層体10とを絶縁シートで絶縁することにより、二次電池セル1と締結部材4の意図しない導通を回避することができる。
【0083】
以上の電源装置100は、以下の工程で組み立てられる。
(1)所定の個数の二次電池セル1を、間に絶縁スペーサ11を介在させる状態で、二次電池セル1の厚さ方向に積層して電池積層体10とする。
(2)電池積層体10の両端にエンドプレート3を配置し、一対のエンドプレート3を両側からプレス機(図示せず)で押圧して、エンドプレート3でもって、電池積層体10を所定の圧力で加圧し、二次電池セル1を圧縮して加圧状態に保持する。
(3)電池積層体10をエンドプレート3で加圧する状態で、一対のエンドプレート3に締結部材4を連結して固定する。締結部材4は、両端部の係止ブロック5が一対のエンドプレート3の嵌合部3aに案内されるように配置されると共に、係止ブロック5を貫通するボルト8をエンドプレート3の雌ねじ穴3cにねじ込んで固定される。固定後、加圧状態は開放される。これにより、締結部材4に作用する引張力により、係止ブロック5はエンドプレート3のストッパ部3bに係止された状態に保持される。
(4)電池積層体10の両側部において、互いに隣接する二次電池セル1の対向する電極端子2同士をバスバー(図示せず)で連結する。バスバーは、電極端子2に固定されて、電池セル1を直列に接続し、あるいは直列と並列に接続する。バスバーは、電極端子2に溶接され、あるいはネジ止めされて電極端子2に固定される。
【0084】
[実施形態2]
さらに、
図9に示す電源装置200は、さらに多数の二次電池セル1を積層してなる電池積層体20を備えており、電池積層体20の両端面に配置された一対のエンドプレート3を、前述の実施形態の締結部材4よりも長く形成された締結部材24で連結している。図に示す電源装置200は、前述の電源装置100の2倍の数の二次電池セル1を積層して電池積層体20としている。さらに、図に示す電池積層体20は、積層される複数の二次電池セル1の積層方向の中間部に中間プレート23を積層している。さらに、電池積層体20の両側には、側面20aに対向する姿勢で締結部材24を配置している。この締結部材24は、電池積層体20の全長とほぼ等しい全長を有しており、すなわち、前述の実施形態の電源装置100に使用した締結部材4の全長のおよそ2倍の長さの締結部材24を備えている。この締結部材24は、中間プレート23に連結される中間締結部24Zを中間部に備えている。図に示す締結部材24は、両端の端部締結部24Xと中間締結部24Zとの間にそれぞれ中間連結部24Yを備えており、各中間連結部2Yを独立して電池積層体20の積層方向に延伸できるようにしている。この構造の電源装置200は、多数の二次電池セル1が積層された電池積層体20を一対の締結部材24で締結する構造としながら、電池積層体20の中間部分に積層された中間プレート23を、締結部材24の中間部に設けた中間締結部24Zに連結することで、中間プレート23の両側に積層される二次電池セル1の膨張による変形を、締結部材24の両側に設けた中間連結部24Yにおいて吸収できる構造としている。この形状の締結部材24も、前述の締結部材4と同様に各中間連結部24を構成する波形の連結バー6により、二次電池セル1の積層方向に対する延伸性を実現している。
【0085】
以上の電源装置は、電動車両を走行させるモータに電力を供給する車両用の電源として利用できる。電源装置を搭載する電動車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。なお、車両を駆動する電力を得るために、上述した電源装置を直列や並列に多数接続して、さらに必要な制御回路を付加した大容量、高出力の電源装置100を構築した例として説明する。
【0086】
(ハイブリッド車用電源装置)
図10は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、これらのエンジン96及び走行用のモータ93で駆動される車輪97と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。なお、車両HVは、
図10に示すように、電源装置100を充電するための充電プラグ98を備えてもよい。この充電プラグ98を外部電源と接続することで、電源装置100を充電できる。
【0087】
(電気自動車用電源装置)
また、
図11は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両本体91と、この車両本体91を走行させる走行用のモータ93と、このモータ93で駆動される車輪97と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。また車両EVは充電プラグ98を備えており、この充電プラグ98を外部電源と接続して電源装置100を充電できる。
【0088】
(蓄電装置用の電源装置)
さらに、本発明は、電源装置の用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。実施形態に係る電源装置は、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。
図12は、電源装置100の電池を太陽電池82で充電して蓄電する蓄電装置を示す。
【0089】
図12に示す蓄電装置は、家屋や工場等の建物81の屋根や屋上等に配置された太陽電池82で発電される電力で電源装置100の電池を充電する。この蓄電装置は、太陽電池82を充電用電源として充電回路83で電源装置100の電池を充電した後、DC/ACインバータ85を介して負荷86に電力を供給する。このため、この蓄電装置は、充電モードと放電モードを備えている。図に示す蓄電装置は、DC/ACインバータ85と充電回路83を、それぞれ放電スイッチ87と充電スイッチ84を介して電源装置100と接続している。放電スイッチ87と充電スイッチ84のON/OFFは、蓄電装置の電源コントローラ88によって切り替えられる。充電モードにおいては、電源コントローラ88は充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をOFFに切り替えて、充電回路83から電源装置100への充電を許可する。また、充電が完了し満充電になると、あるいは所定値以上の容量が充電された状態で、電源コントローラ88は充電スイッチ84をOFFに、放電スイッチ87をONにして放電モードに切り替え、電源装置100から負荷86への放電を許可する。また、必要に応じて、充電スイッチ84をONに、放電スイッチ87をONにして、負荷86への電力供給と、電源装置100への充電を同時に行うこともできる。
【0090】
さらに、電源装置は、図示しないが、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電装置の電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電源装置は、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電源装置は、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電源装置は、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0091】
以上のような蓄電装置は、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機や道路用の交通表示器などのバックアップ電源用などの用途に好適に利用できる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明に係る電源装置及びこれを用いた電動車両並びに蓄電装置、電源装置用締結部材、電源装置の製造方法、電源装置用締結部材の製造方法は、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車、電動オートバイ等の電動車両を駆動するモータの電源用等に使用される大電流用の電源として好適に利用できる。例えばEV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置が挙げられる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0093】
100、200…電源装置、1…電池セル、1X…端子面、1a…外装缶、1b…封口板、2…電極端子、3…エンドプレート、3a…嵌合部、3b…ストッパ部、3c…雌ねじ穴、4…締結部材、4X…端部締結部、4Y…中間連結部、4c…貫通孔、5…係止ブロック、5c…貫通孔、6…連結バー、6X…第一連結バー、6Y…第二連結バー、6A…上部連結バー、6B…下部連結バー、6a…上端部、6b…下端部、6x…一体連結部、7…変形延伸部、7A…中間開口部、8…連結保持部、8A…端部開口部、9…ボルト、10…電池積層体、10a…側面、11…絶縁スペーサ、12…端面スペーサ、13…板材、13A、13C…第一プレート、13B、13D…第二プレート、14…締結部材、14X…端部締結部、14Y…中間連結部、14a…側面、16…連結バー、16X…第一連結バー、16Y…第二連結バー、16a…上端部、16b…下端部、16c…先端面、16x…交差部、16s…連結片、17…中間隙間、18…端部隙間、20…電池積層体、20a…側面、23…中間プレート、24…締結部材、24X…端部締結部、24Y…中間連結部、24Z…中間締結部、81…建物、82…太陽電池、83…充電回路、84…充電スイッチ、85…DC/ACインバータ、86…負荷、87…放電スイッチ、88…電源コントローラ、91…車両本体、93…モータ、94…発電機、95…DC/ACインバータ、96…エンジン、97…車輪、98…充電プラグ、HV、EV…車両。