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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】連座溶着装置及び連座溶着方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/16 20060101AFI20231030BHJP
   H01M 4/14 20060101ALI20231030BHJP
   H01M 4/76 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
H01M4/16 E
H01M4/16 Z
H01M4/14 R
H01M4/76 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021536492
(86)(22)【出願日】2019-07-29
(86)【国際出願番号】 JP2019029689
(87)【国際公開番号】W WO2021019651
(87)【国際公開日】2021-02-04
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】322013937
【氏名又は名称】エナジーウィズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100156395
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 寿王
(72)【発明者】
【氏名】上田 博雅
(72)【発明者】
【氏名】北森 茂孝
(72)【発明者】
【氏名】大野 周平
【審査官】前田 寛之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-178445(JP,A)
【文献】特開昭63-178444(JP,A)
【文献】特開平04-137363(JP,A)
【文献】特開平04-123759(JP,A)
【文献】実開昭60-029364(JP,U)
【文献】特開昭62-190659(JP,A)
【文献】特開2009-302007(JP,A)
【文献】特開2005-216689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極に用いられる複数の筒状体の端部に連座を熱溶着する装置であって、
複数の前記筒状体の端部に前記連座が挿入された状態で当該端部を加圧しながら加熱する金型を備え、
前記金型において複数の前記筒状体の端部に当接する当接面は、複数の前記筒状体の外面に沿った曲面を有し、
前記連座は、長尺状の開口を有する有底箱状の基部と、前記基部の底面に設けられ複数の前記筒状体の端部のそれぞれに挿入される複数の筒部と、を含んでおり、
前記連座の基部を把持する把持部材を更に備え、
前記把持部材は、一対のアームを備え、
一対の前記アームは、前記基部の長手方向に沿って互いに離れるように移動して、前記基部の内面に前記基部の長手方向に沿って突き当たることで、前記基部を把持する、連座溶着装置。
【請求項2】
電極に用いられる複数の筒状体の端部に連座を熱溶着する装置であって、
複数の前記筒状体の端部に前記連座が挿入された状態で当該端部を加圧しながら加熱する金型を備え、
前記金型において複数の前記筒状体の端部に当接する当接面は、複数の前記筒状体の外面に沿った曲面を有し、
前記金型は、協動して複数の前記筒状体を挟む上金型及び下金型と、前記上金型及び前記下金型の少なくとも何れかに設けられたヒータと、を含み、
前記上金型における前記下金型側の面と前記下金型における前記上金型側の面とが、前記当接面を有し、
前記上金型と前記下金型とを互いに接近及び離間するように駆動する駆動部を更に備え、
前記上金型と前記下金型とが最も接近した状態において、前記上金型と前記下金型との間に隙間が形成されている、連座溶着装置。
【請求項3】
前記連座は、長尺状の開口を有する有底箱状の基部と、前記基部の底面に設けられ複数の前記筒状体の端部のそれぞれに挿入される複数の筒部と、を含んでおり、
前記連座の基部を把持する把持部材を更に備え、
前記把持部材は、一対のアームを備え、
前記把持部材は、複数の連座を集積する連座集積部から1つの前記連座の基部を一対の前記アームで把持すると共に、当該一対のアームを取付位置まで移動させ、前記連座の前記筒部を前記筒状体の端部に挿入させる、請求項2に記載の連座溶着装置。
【請求項4】
複数の前記筒状体を集積する筒状体集積部から所定数の前記筒状体をパレットに整列させた状態で載置させる筒状体供給装置と、
抑え具駆動機構の駆動によって、前記パレットに対して、前記筒状体の軸方向に接近及び離間するように構成されている抑え具と、を備え、
前記抑え具駆動機構により前記抑え具を駆動し、前記抑え具を前記金型に近づくように前記筒状体の軸方向に移動させ、前記パレット上の所定数の前記筒状体の一端部が前記上金型と前記下金型との間に入り込むように、当該筒状体の他端面を前記抑え具で前記軸方向に押し込むとともに、押し込んだ当該筒状体を、前記金型から離間する側に戻らないように前記抑え具で前記軸方向に抑える、請求項2又は3に記載の連座溶着装置。
【請求項5】
電極に用いられる複数の筒状体の端部に連座を熱溶着する方法であって、
複数の前記筒状体の端部に前記連座を挿入する挿入工程と、
複数の前記筒状体の端部に前記連座を挿入した状態で、当該端部を金型で加圧しながら加熱する加圧加熱工程と、を備え、
前記金型において複数の前記筒状体の端部に当接する当接面は、複数の前記筒状体の外面に沿った曲面を有し、
前記金型は、協動して複数の前記筒状体を挟む上金型及び下金型と、前記上金型及び前記下金型の少なくとも何れかに設けられたヒータと、を含み、
前記上金型における前記下金型側の面と前記下金型における前記上金型側の面とが、前記当接面を有し、
前記加圧加熱工程では、
前記上金型と前記下金型とを互いに接近及び離間するように駆動部により駆動し、
前記上金型と前記下金型とが最も接近した状態において、前記上金型と前記下金型との間に隙間が形成されている、連座溶着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一側面は、連座溶着装置及び連座溶着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛蓄電池は、産業用又は民生用の二次電池として広く用いられており、特に、電気車用鉛蓄電池(いわゆるバッテリー)、又は、UPS(Uninterruptible Power Supply)、防災(非常)無線、電話等のバックアップ用鉛蓄電池の需要が多い。
【0003】
鉛蓄電池の電極は、例えば、複数の筒状体と、複数の筒状体のそれぞれに挿入された芯金と、複数の筒状体の内部に充填された鉛粉と、複数の筒状体の端部に取り付けられた連座と、を備える。このような電極に関して、例えば特許文献1には、複数の筒状体の端部のそれぞれに連座を挿入して熱溶着する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第4305196号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来技術では、例えば近年において鉛蓄電池の需要が高まる中、筒状体と連座との溶着強度を高めることが要求されている。
【0006】
本発明の一側面は、筒状体と連座との溶着強度を高めることができる連座溶着装置及び連座溶着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る連座溶着装置は、電極に用いられる複数の筒状体の端部に連座を熱溶着する装置であって、複数の筒状体の端部に連座が挿入された状態で当該端部を加圧しながら加熱する金型を備え、金型において複数の筒状体の端部に当接する当接面は、複数の筒状体の外面に沿った曲面を有する。
【0008】
この連座溶着装置では、金型を利用して、複数の筒状体の端部を加圧及び加熱することができる。そして、金型の当接面にあっては、複数の筒状体の外面に沿った曲面を有する。よって、例えば、筒状体の端部に対する加熱及び加圧の偏りを抑え、筒状体に適した態様で筒状体の端部の加熱及び加圧を行うことができる。複数の筒状体のそれぞれに連座を適切に熱溶着することができ、筒状体と連座との溶着強度を高めることが可能となる。
【0009】
本発明の一側面に係る連座溶着装置では、筒状体は、円筒状を呈し、筒状体の軸方向から見て、金型における当接面の曲面の形状は、円形状又は円弧形状を有し、曲面の円形状又は円弧形状の半径は、筒状体の外半径以下であってもよい。これにより、筒状体に一層適した態様で筒状体の端部の加熱及び加圧を行うことができる。
【0010】
本発明の一側面に係る連座溶着装置では、連座は、ポリスチレンを含む材料で形成されていてもよい。これにより、複数の筒状体の端部に連座を確実に熱溶着することができる。
【0011】
本発明の一側面に係る連座溶着装置では、連座は、長尺状の開口を有する有底箱状の基部と、基部の底面に設けられ複数の筒状体の端部のそれぞれに挿入される複数の筒部と、を含んでおり、連座の基部を把持する把持部材を更に備えていてもよい。この場合、把持部材により、連座の加圧及び加熱される部分以外の部分である基部を把持することができる。連座の把持にその加圧及び加熱による影響が及ぶのを抑制することが可能となる。
【0012】
本発明の一側面に係る連座溶着装置では、把持部材は、一対のアームを備え、一対のアームは、基部の長手方向に沿って互いに離れるように移動して、基部の内面に基部の長手方向に沿って突き当たることで、基部を把持してもよい。この構成によれば、把持部材による基部の把持を具体的に実現できる。
【0013】
本発明の一側面に係る連座溶着装置では、金型は、協動して複数の筒状体を挟む上金型及び下金型と、上金型及び下金型の少なくとも何れかに設けられたヒータと、を含み、上金型における下金型側の面と下金型における上金型側の面とが、当接面を有し、上金型と下金型とを互いに接近及び離間するように駆動する駆動部を更に備えていてもよい。この構成によれば、筒状体に適した態様で筒状体の端部の加熱及び加圧を行い得る上記効果を、具体的に実現できる。
【0014】
本発明の一側面に係る連座溶着方法は、電極に用いられる複数の筒状体の端部に連座を熱溶着する方法であって、複数の筒状体の端部に連座を挿入する挿入工程と、複数の筒状体の端部に連座を挿入した状態で、当該端部を金型で加圧しながら加熱する加圧加熱工程と、を備え、金型において複数の筒状体の端部に当接する当接面は、複数の筒状体の外面に沿った曲面を有する。
【0015】
この連座溶着方法では、金型を利用して、複数の筒状体の端部を加圧及び加熱することができる。そして、金型の当接面にあっては、複数の筒状体の外面に沿った曲面を有する。よって、例えば、筒状体の端部に対する加熱及び加圧の偏りを抑え、筒状体に適した態様で筒状体の端部の加熱及び加圧を行うことができる。複数の筒状体のそれぞれに連座を適切に熱溶着することができ、筒状体と連座との溶着強度を高めることが可能となる。
【0016】
本発明の一側面に係る連座溶着方法では、筒状体は、円筒状を呈し、筒状体の軸方向から見て、金型における当接面の曲面の形状は、円形状又は円弧形状を有し、曲面の円形状又は円弧形状の半径は、筒状体の外半径以下であってもよい。これにより、筒状体に一層適した態様で筒状体の端部の加熱及び加圧を行うことができる。
【0017】
本発明の一側面に係る連座溶着方法では、連座は、ポリスチレンを含む材料で形成されていてもよい。これにより、複数の筒状体の端部に連座を確実に熱溶着することができる。
【0018】
本発明の一側面に係る連座溶着方法では、連座は、長尺状の開口を有する有底箱状の基部と、基部の底面に設けられ複数の筒状体の端部のそれぞれに挿入される複数の筒部と、を含んでおり、挿入工程の前に、連座の基部を把持部材で把持する把持工程を更に備え、挿入工程では、連座の基部を把持した把持部材を移動して、複数の筒状体の端部に連座を挿入し、加圧加熱工程では、連座の基部を把持部材で把持した状態で、当該端部を金型で加圧しながら加熱してもよい。この場合、把持部材により、連座の加圧及び加熱される部分以外の部分である基部を把持することができる。連座の把持にその加圧及び加熱による影響が及ぶのを抑制することが可能となる。また、基部を把持部材で把持した状態で筒状体の端部を加熱及び加圧できることから、筒状体の端部を精度よく加熱及び加圧することが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一側面によれば、筒状体と連座との溶着強度を高めることができる連座溶着装置及び連座溶着方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態に係る鉛蓄電池を模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う一部断面図である。
図3図3は、図1の正極を示す斜視図である。
図4図4(a)は、図1の上部連座を示す平面図である。図4(b)は、図1の上部連座を示す正面図である。
図5図5は、図4(a)のV-V線に沿った断面の一部を示す図である。
図6図6は、実施形態に係る連座溶着装置の概略構成を示すブロック図である。
図7図7は、図6のパレットを示す概略斜視図である。
図8図8は、図6のチャッカーを示す概略正面図である。
図9図9は、図6のチャッカーのアームを示す概略平面図である。
図10図10(a)は、図6の金型を示す概略正面図である。図10(b)は、図6の金型を示す概略平面図である。
図11図11(a)は、図6の金型の当接面を示す正面図である。図11(b)は、図1の筒状体を軸方向から見たときの図である。
図12図12は、図6の金型の周辺構成を示す概略平面図である。
図13図13は、図12においてパレットに筒状体が載置された状態を示す概略平面図である。
図14図14は、図13において抑え具により筒状体が押し込まれた状態を示す概略平面図である。
図15図15(a)は、図6のチャッカーで上部連座を把持する例を説明する図である。図15(b)は、図15(a)の続きを説明する図である。
図16図16(a)は、図6の金型で筒状体の上端部を加圧しながら加熱する例を説明する断面図である。図16(b)は、図16(a)の続きを説明する断面図である。
図17図17(a)は、図16(b)の続きを説明する断面図である。図17(b)は、図17(a)の続きを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図面において、同一又は相当の要素には同じ符号を付し、重複する説明を省略する。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
【0022】
実施形態に係る連座溶着装置及び連座溶着方法は、鉛蓄電池において電極に用いられる複数の筒状体の上端部(端部)に、上部連座(連座)を熱溶着する。そこでまず、鉛蓄電池について説明した後、上部連座について説明する。
【0023】
図1は、鉛蓄電池100を模式的に示す断面図である。図2は、図1のII-II線に沿う一部断面図である。図3は、正極10を示す斜視図である。図1では、図面の手前側から奥側にかけて、セパレータ30を介して正極10及び負極20が交互に配置されている。図1では、正極10の一部を断面化して示している。図2は、鉛蓄電池100を上方から見た際の正極10、負極20及びセパレータ30の積層構造を示している。なお、「上」及び「下」の語は、鉛直方向の上方及び下方に対応する(以下、同じ)。Z方向は上下方向に対応し、X方向はZ方向と直交する方向に対応し、Y方向はZ方向と直交し且つX方向と直交する方向に対応する。
【0024】
図1及び図2に示されるように、実施形態に係る鉛蓄電池100は、電極群110と、電極群110を収容する電槽120と、電極群110に接続された連結部材130a,130bと、連結部材130a,130bに接続された極柱140a,140bと、電槽120の注液口を閉塞する液口栓150と、電槽120に接続された支持部材160と、を備える。
【0025】
電極群110は、複数の正極10と、複数の負極20と、複数のセパレータ30とを備える。正極10及び負極20は、セパレータ30を介して交互に配置されている。セパレータ30間における正極10の周囲の空間には、電解液40が充填されている。図1図2及び図3に示されるように、正極10は、例えば、板状の電極である。正極10は、複数の筒状体12aと、複数の芯金(集電体)14と、正極材(電極材)16と、下部連座12cと、上部連座(連座)1と、耳部12dと、を有する。
【0026】
複数の筒状体12aは、その軸方向(以下、単に「軸方向」ともいう)と直交する方向に沿って、隣接して一列に並設されている。ここでは、所定数の筒状体12aが並設されている。複数の筒状体12aは、活物質保持用チューブ(クラッドチューブ)群を構成する。筒状体12aにおける軸方向に垂直な断面の外形形状は、円形であるが、楕円形、角丸四角形等であってもよい。筒状体12aは、多孔質体で形成されている。筒状体12aは、例えば、織布、不織布等の基材で形成されていてもよい。基材の材料としては、耐酸性を有する材料を用いることができる。基材の材料としては、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂、ガラス繊維、炭化ケイ素、アルミナ等の無機材料が挙げられる。筒状体12aは、サイクル特性を向上させやすい観点から、熱可塑性樹脂を含むことが好ましく、ポリオレフィンを含むことがより好ましい。
【0027】
筒状体12aでは、基材上に樹脂が保持されていてもよい。樹脂としては、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる。樹脂は、基材の内表面上若しくは外表面上、又は、基材における細孔内の表面上に保持されていてもよく、基材上に付着していてもよい。樹脂は、基材上の一部に保持されていてもよく、基材上の全部に保持されていてもよい。筒状体12aでは、上部連座1が挿入される上端部において、基材上にスチレンポリマーが保持されている。
【0028】
芯金14は、各筒状体12aに挿入されている。芯金14は、棒状を呈する。芯金14は、筒状体12aの内部において軸方向に沿って延びている。芯金14の構成材料としては、導電性材料であればよく、例えば、鉛-カルシウム-錫系合金、鉛-アンチモン-ヒ素系合金等の鉛合金が挙げられる。鉛合金は、セレン、銀、ビスマス等を含んでいてもよい。
【0029】
正極材16は、筒状体12aの内部に充填されている。正極材16は、活物質を含む。筒状体12a、芯金14及び正極材16は、筒状電極(棒状電極)を構成する。正極10の筒状電極は、上部連座1、耳部12d及び連結部材130aを介して極柱140aに電気的に接続されている。
【0030】
下部連座12cは、複数の筒状体12aにおける電槽120の底側の端部(筒状体12aの一端側の末端部分)である下端部に取り付けられている。下部連座12cは、複数の筒状体12aの下端部を封止する。下部連座12cは、複数の筒状体12aの下端部に嵌合されている。なお、熱硬化性の接着剤等により、下部連座12cが複数の筒状体12aの下端部に固着されていてもよい。
【0031】
上部連座1は、筒状体12aにおける電槽120の頂部側の端部(筒状体12aの他端側の末端部分)である上端部に取り付けられている。上部連座1は、溶着により筒状体12aの上端部に固着されている。上部連座1と筒状体12aとの溶着では、これらの境界部分が一体化していてもよい。溶着について、詳細は後述する。
【0032】
下部連座12c及び上部連座1は、筒状体12aと、筒状体12a内に配置された芯金14及び正極材16と、に接する。下部連座12c及び上部連座1は、筒状体12aと芯金14と正極材16とを保持する。耳部12dの一端は、上部連座1に接続されている。耳部12dの他端は、連結部材130aに接続されている。
【0033】
図1及び図2に示されるように、負極20は、例えば板状の電極である。負極20は、例えばペースト式負極板である。負極20は、連結部材130bを介して極柱140bに電気的に接続されている。負極20は、負極集電体と、当該負極集電体に保持された電極材である負極材と、を有する。負極集電体としては、板状の集電体を用いることができる。負極材は、活物質を含む。
【0034】
支持部材160は、電槽120の底面に配置され、下部連座12cを支持する。支持部材160は、上方に突出する複数の突条160aを有する。突条160aは、下部連座12cに当接する(図1参照)。すなわち、支持部材160は、下部連座12cにおける電槽120の底面側の部分を各突条160aによって支持している。
【0035】
図4(a)は、上部連座1を示す平面図である。図4(b)は、上部連座1を示す正面図である。図5は、図4(a)のV-V線に沿った断面の一部を示す図である。図4(a)、図4(b)及び図5に示されるように、上部連座1は、長尺状の開口2aを有する有底箱状の基部2と、基部2の底面2bに設けられた複数の筒部3と、を含む。
【0036】
基部2は、筒状体12aの上端に当接する。基部2は、長手方向に対向する一対の側壁2cと、短手方向に対向する一対の側壁2dと、を有する。一対の側壁2cは、平面視において、長手方向の外側に膨らむ円弧形状となるように屈曲する。一対の側壁2dは、平面視において、互いに平行な直線状に延びる。
【0037】
筒部3は、複数の筒状体12aの数に対応する所定数だけ設けられている。筒部3は、筒状体12aの内径に対応する外径を有する円筒状を呈する。筒部3は、複数の筒状体12aの上端部のそれぞれに挿入される。筒部3は、その筒孔3aが基部2の内部と連通する。筒部3の外周面は、基部2から離れるに連れて拡径するように傾斜した後、先端部で先細りとなるように傾斜している。
【0038】
上部連座1は、ポリスチレンを含む材料で形成されている。なお、上部連座1の材料としては、特に限定されない。例えば上部連座1の材料として、耐酸性を有する材料を用いることができる。上部連座1の材料としては、ポリオレフィン(ポリプロピレン、ポリエチレン等)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリカーボネート(PC)等の樹脂などが挙げられる。
【0039】
次に、実施形態に係る連座溶着装置について説明する。
【0040】
図6は、連座溶着装置50の概略構成を示すブロック図である。図6に示されるように、連座溶着装置50は、筒状体12aの上端部に上部連座1を熱溶着する装置である。連座溶着装置50は、パレット51、筒状体集積部52、上部連座集積部53、筒状体供給装置54、チャッカー(把持部材)55、金型60、金型駆動機構(駆動部)56、抑え具57、抑え具駆動機構58及びコントローラ59を備える。
【0041】
図7は、パレット51を示す概略斜視図である。図6及び図7に示されるように、パレット51は、複数の筒状体12aを載置する載置台である。パレット51には、軸方向をX方向とする複数の筒状体12aが、Y方向に整列した状態で載置される。図示する例では、パレット51の上面には、筒状体12aの外周面に沿った浅いU字形の溝51aが、所定数設けられている。パレット51は、例えばフレームに固定されている。パレット51としては特に限定されず、複数の筒状体12aを整列して載置できれば、種々の公知のパレットを用いることができる。
【0042】
図6に戻り、筒状体集積部52は、外部から供給された複数の筒状体12aを集積する。筒状体集積部52としては特に限定されず、例えば集積ボックスなどの種々の公知の集積部を用いることができる。
【0043】
上部連座集積部53は、外部から供給された複数の上部連座1を集積する。ここでの上部連座集積部53では、複数の上部連座1が長手方向をY方向にしてZ方向に積み上げられている。また、上部連座集積部53では、複数の上部連座1が、筒部3の軸方向をX方向にして積み上げられている。さらにまた、上部連座集積部53では、パレット51に載置された所定数の筒状体12aの上端部に上部連座1が取り付けられた場合の当該上部連座1の位置(以下、単に「取付位置」ともいう)に対してY方向の位置が等しくなるように、複数の上部連座1が積み上げられている、つまり、上部連座集積部53に集積された上部連座1は、Y方向へは動かさずに取付位置まで移動可能である。上部連座集積部53としては特に限定されず、例えば集積棚などの種々の公知の集積部を用いることができる。
【0044】
筒状体供給装置54は、筒状体集積部52からパレット51へ複数の筒状体12aを供給する装置である。筒状体供給装置54は、筒状体集積部52に集積された複数の筒状体12aのうちの所定数の筒状体12aを、パレット51上に整列して載置させる。筒状体供給装置54としては特に限定されず、種々の公知の供給装置を用いることができる。例えば筒状体供給装置54は、所定数の筒状体12aを筒状体集積部52からパレット51へ供給するためのロボットアーム及びコンベアなどの少なくとも何れかを含んでいてもよい。筒状体供給装置54は、コントローラ59に接続されており、その動作がコントローラ59により制御される。
【0045】
図8は、チャッカー55を示す概略正面図である。図9は、チャッカー55のアーム55aを示す概略平面図である。図8及び図9に示されるように、チャッカー55は、上部連座1の基部2を把持する。また、チャッカー55は、把持した上部連座1を取付位置まで移動させ、複数の筒状体12aの上端部に上部連座1を挿入する。チャッカー55は、一対のアーム55a、アームホルダ55b、Z軸レール55c、及びX軸レール55dを有する。
【0046】
一対のアーム55aは、平面視でL字状に延びる部材であって、X方向に延びた後に互いに離れるようにY方向に延びる。一対のアーム55aは、互いに離れるように移動して、上部連座1の基部2の側壁2cの内面に対して基部2の長手方向に沿って突き当たる(突っ張る)ことで、基部2を把持する(図15参照、詳しくは後述)。アームホルダ55bは、一対のアーム55aをY方向に移動可能に保持する。Z軸レール55cは、Z方向に延在するレールを含んで構成されている。Z軸レール55cは、アームホルダ55bをZ方向に移動可能に支持する。X軸レール55dは、X方向に延在するレールを含んで構成されている。X軸レール55dは、Z軸レール55cをX方向に移動可能に支持する。
【0047】
このようなチャッカー55においては、上部連座集積部53から1つの上部連座1の基部2を一対のアーム55aで把持すると共に、Z軸レール55c及びX軸レール55dにより当該一対のアーム55aを取付位置まで移動させ、上部連座1の筒部3を筒状体12aの上端部に挿入させる。チャッカー55は、コントローラ59に接続されており、その動作がコントローラ59により制御される。
【0048】
図10(a)は、金型60を示す概略正面図である。図10(b)は、金型60を示す概略平面図である。図11(a)は、金型60の当接面61a,62aを示す正面図である。図11(b)は、筒状体12aを軸方向から見たときの図である。図10(a)及び図10(b)に示されるように、金型60は、複数の筒状体12aの上端部に上部連座1が挿入された状態で当該上端部を加圧しながら加熱する部材である。金型60は、上金型61、下金型62及びヒータ63を有する。
【0049】
上金型61及び下金型62は、協動して所定数の筒状体12aの上端部を挟む。上金型61及び下金型62は、Y方向を長手方向とする長尺状の形状を呈し、ここでは、矩形棒状を呈する。上金型61及び下金型62は、Z方向に対向するように配置されている。上金型61及び下金型62は、パレット51のX方向の一方側に隣接して配置されている(図12参照)。上金型61及び下金型62は、例えば真鍮により形成されている。
【0050】
上金型61における下金型62側の面は、所定数の筒状体12aの上端部に当接する当接面61aを有する。下金型62における上金型61側の面は、所定数の筒状体12aの上端部に当接する当接面62aを有する。当接面61a,62aは、筒状体12aの外周面に沿った(倣った)曲面である。例えば当接面61a,62aは、Y方向においてパレット51の溝51aに対応する位置に設けられている(図12参照)。上金型61及び下金型62は、金型駆動機構56の駆動によって互いに接近及び離間(開閉動作)するように構成されている。
【0051】
ヒータ63は、上金型61及び下金型62のそれぞれの内部に設けられている。ヒータ63は、上金型61及び下金型62を加熱する。ヒータ63は、コントローラ59に接続されており、加熱温度及びON/OFFがコントローラ59により制御される。ヒータ63としては特に限定されず、種々の公知のヒータを用いることができる。
【0052】
このような金型60においては、例えば、上部連座1が挿入された筒状体12aの上端部が下金型62の当接面62aに載置されている状態で、金型駆動機構56により上金型61と下金型62とが接近するようにZ方向に可動する。このとき、ヒータ63によって上金型61及び下金型62は所定温度まで加熱されている。これにより、上部連座1が挿入された筒状体12aの上端部は、加熱されながら当接面61aと当接面62aとで強く挟み込まれる(締め付けられる)。なお、上金型61と下金型62とは、互いに当接するまでZ方向に接近しておらず、上金型61と下金型62とがZ方向に最も接近した状態では、これらの間に隙間が形成されている。
【0053】
図11(a)及び図11(b)に示されるように、X方向から見て、上金型61の当接面61aの曲面の形状は、筒状体12aの外周面に沿った形状であって、円弧形状である。X方向から見て、下金型62の当接面62aの曲面の形状は、筒状体12aの外周面に沿った形状であって、当接面61aの曲面の形状と等しい円弧形状である。当接面61aの曲面の円弧形状の半径rdは、筒状体の外半径rt以下である。当接面62aの曲面の円弧形状の半径についても、同様に外半径rt以下である。
【0054】
金型駆動機構56は、上金型61と下金型62とを互いに接近及び離間するように駆動する機構である。金型駆動機構56は、例えばエアシリンダを含んでいる。金型駆動機構56は、コントローラ59に接続されており、その動作がコントローラ59により制御される。金型駆動機構56としては特に限定されず、種々の公知の駆動機構を用いることができる。
【0055】
図12は、金型60の周辺構成を示す概略平面図である。図13は、図12においてパレット51に筒状体12aが載置された状態を示す概略平面図である。図14は、図13において抑え具57により筒状体12aが押し込まれた状態を示す概略平面図である。図13及び図14に示される筒状体12aでは、図示左側が上端側に対応し、図示右側が下端側に対応する。
【0056】
図6図12図13及び図14に示されるように、抑え具57は、パレット51のX方向の他方側(金型60とは反対側)に配置されている。抑え具57は、パレット51に載置された筒状体12aの下端面に当接し、筒状体12aの上端部が上金型61と下金型62との間に入り込むように筒状体12aの下端面をX方向に押し込むと共に、押し込んだ当該筒状体12aが戻らないように抑える。抑え具57は、抑え具駆動機構58の駆動によってパレット51に対してX方向に接近及び離間するように構成されている。抑え具57としては特に限定されず、種々の公知の器具を用いることができる。
【0057】
図6に示されるように、抑え具駆動機構58は、抑え具57をX方向に沿って駆動する機構である。抑え具駆動機構58は、例えばエアシリンダを含んでいる。抑え具駆動機構58は、コントローラ59に接続されており、その動作がコントローラ59により制御される。抑え具駆動機構58としては特に限定されず、種々の公知の駆動機構を用いることができる。
【0058】
コントローラ59は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等からなる電子制御ユニットである。コントローラ59は、例えばROMに格納されているプログラムがRAM上にロードされてCPUで実行されるソフトウェアとして構成することができる。コントローラ59は、電子回路等によるハードウェアとして構成されてもよい。コントローラ59は、一つの装置で構成されてもよいし、複数の装置で構成されてもよい。複数の装置で構成されている場合には、これらがインターネット又はイントラネット等の通信ネットワークを介して接続されることで、論理的に一つのコントローラ59が構築される。
【0059】
コントローラ59は、連座溶着装置50の各種動作を制御する。コントローラ59は、筒状体供給装置54、チャッカー55、金型駆動機構56、抑え具駆動機構58及びヒータ63を制御する。コントローラ59は、例えば作業者との間で情報の入出力を行うためのインターフェイスであるHMI(Human Machine Interface)を備えていてもよい。コントローラ59は、スマートデバイス及びサーバ(クラウドサーバ)などの少なくとも何れかと通信を行ってもよい。
【0060】
次に、実施形態に係る連座溶着方法について説明する。
【0061】
連座溶着方法は、所定数の筒状体12aの端部に上部連座1を熱溶着する方法である。連座溶着方法は、上述した連座溶着装置50により実現される。具体的には、まず、図13に示されるように、筒状体供給装置54により、筒状体集積部52から所定数の筒状体12aをパレット51上に整列させた状態で載置させる。
【0062】
続いて、図14に示されるように、抑え具駆動機構58により抑え具57を駆動し、抑え具57を金型60に近づくようにX方向に移動させる。これにより、パレット51上の所定数の筒状体12aの上端部(金型60側の端部)が上金型61と下金型62との間に入り込むように、当該筒状体12aの下端面を抑え具57でX方向に押し込む。また、押し込んだ当該筒状体12aを、金型60から離間する側に移動しないようにX方向に抑える。なお、押し込まれた筒状体12aの上端縁は、金型60の縁と同位置に位置していてもよいし(図16(a)参照)、上金型61と下金型62との間に位置していてもよいし、パレット51から離間する側に上金型61と下金型62との間から多少突き出していてもよい。
【0063】
続いて、チャッカー55において、一対のアーム55aを互いにY方向に接近する状態とする。例えば図15(a)に示されるように、Y方向において、一対のアーム55aのうちの一方のアーム55aの先端から他方のアーム55aの先端までの長さを、上部連座1の開口2aよりも小さい状態とする。Z軸レール55c及びX軸レール55dに沿って適宜に一対のアーム55aを可動し、上部連座集積部53に集積された上部連座1の基部2の内部に一対のアーム55aを開口2aから進入させる。そして、図15(b)に示されるように、一対のアーム55aを互いに離れるように移動して、基部2の側壁2cの内面に対してY方向に沿って一対のアーム55aを突き当てる(突っ張る)。これにより、上部連座1の基部2を把持する(把持工程)。
【0064】
続いて、図16(a)及び図16(b)に示されるように、上部連座1の基部2を一対のアーム55aで把持した状態で、Z軸レール55c及びX軸レール55dに沿って適宜に一対のアーム55aを可動し、把持した上部連座1を取付位置まで移動させ、複数の筒状体12aの上端部に上部連座1の筒部3を挿入する(挿入工程)。
【0065】
続いて、図17(a)に示されるように、金型駆動機構56により、上金型61と下金型62とを接近するようにZ方向に移動させる。このとき、上金型61及び下金型62はヒータ63により所定温度まで加熱されている。上金型61の当接面61aに筒状体12aが当接され、下金型62の当接面62aに筒状体12aが当接されているが、上金型61と下金型62とは互いに当接せず、上金型61と下金型62とがZ方向に最も接近した状態でこれらの間に隙間が形成されている。
【0066】
これにより、上部連座1が挿入された筒状体12aの上端部は、当接面61aと当接面62aとによって、加熱されながら強く且つ強すぎずに挟み込まれる。すなわち、上部連座1の基部2をチャッカー55で把持した状態で、且つ、所定数の筒状体12aの上端部に上部連座1の筒部3を挿入した状態で、筒状体12aの上端部が金型60で加圧されながら加熱される(加圧加熱工程)。その結果、上部連座1の筒部3と筒状体12aの上端部とが、溶着により固着される。
【0067】
その後、図17(b)に示されるように、金型駆動機構56により、上金型61と下金型62とが離れるようにZ方向に移動させる。その後、例えばロボットアームなど(不図示)により、上部連座1が溶着された筒状体12aが金型60から抜出され、後段の装置へ供給される。
【0068】
以上、連座溶着装置50及び連座溶着方法では、金型60を利用して、複数の筒状体12aの上端部を加圧及び加熱することができる。金型60の当接面61a,62aは、筒状体12aの外周面に沿った曲面を有する。よって、例えば、筒状体12の上端部に対する加熱及び加圧の偏りを抑え、筒状体12aに適した態様で筒状体12aの上端部の加熱及び加圧を行うことができる。所定数の筒状体12aのそれぞれに上部連座1を適切に熱溶着することができ、筒状体12aと上部連座1との溶着強度を高めることが可能となる。
【0069】
連座溶着装置50及び連座溶着方法では、筒状体12aは、円筒状を呈している。X方向から見て、金型60における当接面61a,62aの曲面の形状は円弧形状であり、その円弧形状の半径rdは、筒状体12aの外半径rt以下である。これにより、筒状体12aに一層適した態様で筒状体12aの上端部の加熱及び加圧を行うことができる。
【0070】
連座溶着装置50及び連座溶着方法では、上部連座1は、ポリスチレンを含む材料で形成されている。これにより、複数の筒状体12aの上端部に上部連座1を確実に熱溶着することができる。
【0071】
連座溶着装置50は、上部連座1の基部2を把持するチャッカー55を更に備える。チャッカー55により、上部連座1の加圧及び加熱される部分以外の部分である基部2を把持することができる。上部連座1の把持にその加圧及び加熱による影響が及ぶのを抑制することが可能となる。
【0072】
連座溶着装置50では、チャッカー55は、一対のアーム55aを備える。一対のアーム55aは、基部2の長手方向に沿って互いに離れるように移動して、基部2の内面に基部2の長手方向に沿って突き当たることで、基部2を把持する。この構成によれば、チャッカー55による基部2の把持を具体的且つ効果的に実現できる。
【0073】
連座溶着装置50では、金型60は、上金型61、下金型62及びヒータ63を含む。上金型61の下金型62側の面が当接面61aを有し、下金型62の上金型61側の面が当接面62aを有する。金型駆動機構56により、上金型61と下金型62とが互いに接近及び離間するように駆動される。この構成によれば、筒状体12aに適した態様で筒状体12aの上端部の加熱及び加圧を行い得る上記効果を、具体的且つ効果的に実現できる。
【0074】
連座溶着方法において、挿入工程では、上部連座1の基部2を把持したチャッカー55の一対のアーム55aを移動して、複数の筒状体12aの上端部に上部連座1を挿入する。加圧加熱工程では、上部連座1の基部2をチャッカー55で把持した状態で、当該上端部を金型60で加圧しながら加熱する。チャッカー55により、上部連座1の加圧及び加熱される部分以外の部分である基部2を把持することができる。上部連座1の把持にその加圧及び加熱による影響が及ぶのを抑制することが可能となる。また、基部2をチャッカー55で把持した状態で筒状体12aの上端部を加熱及び加圧できることから、筒状体12aの上端部を精度よく加熱及び加圧することが可能となる。
【0075】
以上、実施形態について説明したが、本発明の一態様は上記実施形態に限定されない。
【0076】
本発明の一態様では、上金型61及び下金型62の両者にヒータ63が設けられているが、これらの少なくとも何れかにヒータ63が設けられていてもよい。本発明の一態様は、上部連座1の筒状体12aへの上端部に適用したが、これに限定されない。本発明の一態様は、下部連座12cが溶着により筒状体12aの下端部に取り付けられる構成であれば、下部連座12cの当該溶着に適用することができる。
【0077】
本発明の一態様では、筒状体12aの形状は円筒状に限定されず、種々の筒形状であってもよい、この場合、当接面61a,62aは、種々の筒形状の外面に沿った曲面を有していればよい。本発明の一態様では、筒状体12aの数(所定数)は、特に限定されない。本発明の一形態では、金型60の当接面61a,62aの全面が筒状体12aの外周面に沿った曲面であるが、当接面61a,62aの少なくとも一部が筒状体12aの外周面に沿った曲面であってもよく、すなわち、金型の当接面は筒状体の外面に沿った曲面を有していればよい。本発明の一態様では、上金型61と下金型62とを互いに接近及び離間させるために、これらの双方を駆動したが、これらの一方のみを駆動してもよい。
【0078】
本発明の一態様では、金型60が上金型61と下金型62とで分かれて構成されているが、このような複数に分かれた構成の金型60に限定されない。例えば金型60は、上金型61と下金型62とが一体的に連結されたような構成としてもよい。この場合、金型60において筒状体12aの上端部に当接する当接面は、X方向から見て、筒状体12aの外周面に沿った円形状の曲面を有していてもよい。本発明の一態様では、金型60の形状を限定されず、種々の形状としていてもよい。
【0079】
本発明の一態様に係る連座溶着装置50の対象となる正極10及び鉛蓄電池100は、電気車に用いることができる。電気車としては、フォークリフト、ゴルフカート等が挙げられる。本発明では、上記実施形態及び上記変形例の各構成を適宜組み合わせてもよい。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1…上部連座(連座)、2…基部、2a…開口、2b…底面、3…筒部、10…正極(電極)、12a…筒状体、50…連座溶着装置、55…チャッカー(把持部材)、55a…アーム、60…金型、61…上金型、61a…当接面、62…下金型、62a…当接面、63…ヒータ、56…金型駆動機構(駆動部)。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17