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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】人工膝関節
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/38 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
A61F2/38
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021547015
(86)(22)【出願日】2019-09-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 KR2019011882
(87)【国際公開番号】W WO2021049690
(87)【国際公開日】2021-03-18
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】521173063
【氏名又は名称】コレンテク カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヨン ウォン
(72)【発明者】
【氏名】キム,チャン エオル
(72)【発明者】
【氏名】ロ,ヤエ フン
(72)【発明者】
【氏名】ハン,ア レウム
(72)【発明者】
【氏名】リー,ミュング チュル
(72)【発明者】
【氏名】イン,ヤング
(72)【発明者】
【氏名】ハン,スン ボム
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第08764840(US,B2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0091030(US,A1)
【文献】特表2015-526185(JP,A)
【文献】特開2016-025906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脛骨の近位端にインプラントされる脛骨要素と、前記脛骨要素に結合するベアリング要素を含み、
前記脛骨要素は、前記ベアリング要素と結合するベースプレートを含み、
前記ベースプレートは、外周縁に沿って突出しているリムを含み、
前記リムの一定位置には、前記ベアリング要素の挿入時に前記ベアリング要素との干渉を防止する凹入溝が凹入して形成されており、
前記ベアリング要素は、前記凹入溝に結合する突出部を含み、
前記突出部は、前記ベアリング要素の側部のうち前記凹入溝に対応する位置から下側方向に突出し、前記凹入溝に相補的な形状を有し、
前記凹入溝は一端及び他端を含み、前記一端は前記ベースプレートにおける前記リムの内部の空間において最長軸の線分とその延長線を基準に後方に位置し、前記他端は前方に位置する、人工膝関節。
【請求項2】
前記凹入溝は、相互対称に一対で形成される、請求項1に記載の人工膝関節。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人工膝関節に関し、より詳細には、脛骨の近位端にインプラントされる脛骨要素と、前記脛骨要素に結合するベアリング要素を含み、前記脛骨要素は、前記ベアリング要素の斜線方向挿入時にベアリング要素との干渉を防止できる干渉防止部を含み、前記ベアリング要素は、干渉防止部に結合する突出部を含む、人工膝関節に関する。
【背景技術】
【0002】
身体をなす無数な関節のうち、膝関節は、脛骨と大腿骨とを連結する関節部位で、膝関節の摩耗、骨組織の老化及び事故によって回復不能な状態になる患者が益々増加している。膝関節とは、膝の関節を指し、大腿骨の下端、脛骨の上端及び膝蓋骨(膝骨)の後面の間にある関節であり、脚を膝から後ろに曲げる機能を担う。
【0003】
近年、関節部位の深刻な損傷によって回復不能になった患者に人工膝関節を代替する手術が多く施されており、このような人工膝関節の関節運動部位には金属、セラミック又はポリエチレンなどが用いられ、優れた機械的特性、低い摩擦係数、及び高い生体適合性を得ている。一般に、人工膝関節は、大腿骨末端に結合する大腿骨挿入部材と、脛骨末端に結合す脛骨要素と、大腿骨挿入部材と脛骨要素との間に位置するベアリング要素(軟骨に該当する部分)とに区分されている。ここで、大腿骨挿入部材及び脛骨要素には主に金属合金を使用し、ベアリング要素はポリエチレンなどで製造している。
【0004】
図1は従来技術である人工膝関節の斜視図で、図2図1の分解斜視図であり、これは、大韓民国登録特許10-1352066号に開示されている。図1及び図2に示す内容を参照すると、人工膝関節9は、脛骨要素93の上側に結合して実際膝関節の軟骨に取って代わるベアリング要素95と、脛骨の上側に挿入され、上側に前記ベアリング要素95を収容して前記ベアリング要素95と結合する脛骨要素93を含む。
【0005】
前記ベアリング要素95は、不図示の大腿骨要素と接して関節運動する関節面を提供する上部951と、前記上部の下面から段部を介して下側に延長されて脛骨要素93と結合する下部953を含む。
【0006】
また、前記脛骨要素93は、前記ベアリング要素の下部が挿入して結合する結合空間を規定するベースプレート933と、前記ベースプレートの下側から延長されるステム931を含む。
【0007】
前記ベースプレート933は、プレート底9331と、該プレート底の外周縁に沿って上側に延長して形成されるリム9332を含む。
【0008】
前記脛骨要素93のベースプレート933とベアリング要素95の下部953は相互結合するように相応する形状と構造を有する。このような構成は、上記の大韓民国登録特許第10-1352066号に開示されている。
【0009】
人工膝関節9を行う過程で前記ベアリング要素95を脛骨要素93と結合する際には、正確な位置に合わせておき、定位置で結合がなされることが重要であるが、これは、定位置で結合しないと、前記ベアリング要素95が損傷したり、或いは前記脛骨要素93が定位置から離脱する問題が発生し得るためである。
【0010】
一方、皮膚切開部位を最小化する最小切開膝関節置換術が患者にとって好ましいが、最小切開膝関節置換術とは、手術のための皮膚及び軟部組織の切開及び剥離を最小化し、美容上の利点の他、手術過程で出血が少なく、手術後疼痛が少なく、筋肉靭帯を切断しないため回復期間が短く、リハビリ治療が速いという利点がある。しかし、このように皮膚切開部位を最小化する膝関節置換術過程では、手術上に様々な不都合があり、例えば、皮膚を切開するとき、内側に切開した後に膝蓋骨が外側に反り、前記脛骨要素93を挿入した後に前記ベアリング要素95と最終結合させる場合、周辺組織によって前記ベアリング要素95を斜線方向に挿入しなければならないという制約が発生する。
【0011】
図3は、従来技術である人工膝関節の使用状態図であり、脛骨要素にベアリング要素を斜線方向に挿入することを示しており、図4は、図3に続いて脛骨要素にベアリング要素を斜線方向に挿入して結合させる過程で干渉が発生したことに関する図であり、図5の(a)は上側から脛骨要素を平面に投影した図、(b)は上側からベアリング要素を平面に投影した図、(c)は斜線方向にベアリング要素を脛骨要素に挿入する状態を上側から平面に投影した図である。
【0012】
図3に示すように、斜線方向に手術をする場合には、手術医は、脛骨の近位端にインプラントされた脛骨要素93に向かって斜線方向にベアリング要素95を移動させた後、該ベアリング要素95の下部953のうち左側又は右側の後端953aを、対応するベースプレート933におけるリム9332の内部空間、すなわち空間の左側又は右側の空間に位置させる。しかし、図5に示すように、ベースプレート933におけるリム9332の内部の結合空間において最長軸である長軸の線分a-a’の長さと、インサートの下部において最長軸である長軸の線分であるb-b’の長さとが略同一なため、前記ベアリング要素95を脛骨要素93に対して斜線方向に挿入すると、前記ベアリング要素95の下部の長軸線分であるb-b’がベースプレートの長軸線分a-a’以外の位置に配置されることになるため、図3に示すように、ベアリング要素95の下部953の一部がベースプレート933のリム9332の上側端に衝突し、図4に示すように、既に挿入されているベアリング要素95の下部953のうち左側又は右側の後方953aが上方に持ち上がり、斜線方向への挿入が難しくなる。図5の(c)に示すように、ベアリング要素の下部の長軸線分b-b’が、インサートの下部の長軸がベースプレートのリムの上面の内側端と出会う点を連結した線分c-c’よりも長いため、斜線方向の挿入が難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、上記のような問題点を解決するために案出されたものであり、
【0014】
本発明の目的は、干渉防止部を含み、ベアリング要素が脛骨要素に斜線方向に挿入される時に前記ベアリング要素と前記脛骨要素間の干渉を防止することによって、斜線方向の挿入が容易な人工膝関節を提供することである。
【0015】
本発明の他の目的は、干渉防止部と相補的な形状を有し、前記干渉防止部に結合する突出部を含むことによって、脛骨要素とベアリング要素の結合位置の整列が容易な人工膝関節を提供することである。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、ベアリング要素の突出部と脛骨要素の凹入溝が相補的な形状で結合することによって、人工膝関節の運動によるベアリング要素の回転が防止され、位置保存が可能な人工膝関節を提供することである。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、突出部と凹入溝とが隙間なく結合することによって、手術過程後の回復過程において、結合部位の隙間に周辺組織が挟んだりする等の副作用を防止する人工膝関節を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記の目的を達成するために、次のような構成を有する実施例によって具現される。
【0019】
本発明の一実施例によれば、本発明は、脛骨の近位端にインプラントされる脛骨要素と、前記脛骨要素に結合するベアリング要素を含み、前記脛骨要素は、前記ベアリング要素の斜線方向挿入時にベアリング要素との干渉を防止する干渉防止部を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の他の実施例によれば、本発明は、前記脛骨要素が、前記ベアリング要素と結合するベースプレートを含み、前記干渉防止部が前記ベースプレートに形成されることを特徴とする。
【0021】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記干渉防止部が前記脛骨要素の外周縁に形成されることを特徴とする。
【0022】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記干渉防止部が、前記脛骨要素の外周縁の一定位置に凹入して形成される凹入溝であることを特徴とする。
【0023】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記ベースプレートが、外周縁に沿って突出しているリムを含み、前記凹入溝が前記リムに形成されることを特徴とする。
【0024】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記干渉防止部がA-Pラインを基準に対称に形成されることを特徴とする。
【0025】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記干渉防止部が一端及び他端を含み、一端はM-Lラインを基準に後方に位置し、他端は前方に位置することを特徴とする。
【0026】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記ベアリング要素が、干渉防止部に結合する突出部を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明のさらに他の実施例によれば、本発明は、前記突出部が前記干渉防止部に相補的な形状を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、上記の実施例及び下記に説明する構成と結合、使用関係によって次のような効果を得ることができる。
【0029】
本発明は、干渉防止部を含み、ベアリング要素が脛骨要素に斜線方向に挿入される時に前記ベアリング要素と前記脛骨要素間の干渉を防止することによって、斜線方向の挿入が容易となる効果がある。
【0030】
本発明は、干渉防止部と相補的な形状を有し、前記干渉防止部に結合する突出部を含み、脛骨要素とベアリング要素の結合位置の整列が容易となる効果がある。
【0031】
本発明は、ベアリング要素の突出部と脛骨要素の凹入溝が相補的な形状で結合することによって、人工膝関節の運動によるベアリング要素の回転が防止され、位置保存が可能になる効果を得る。
【0032】
本発明は、突出部と凹入溝とが隙間なく結合することによって、手術過程後の回復過程において、結合部位の隙間に周辺組織が挟んだりする等の副作用を防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】従来技術である人工膝関節の斜視図である。
【0034】
図2図1の分解斜視図である。
【0035】
図3】従来技術である人工膝関節の使用状態図であり、脛骨要素にベアリング要素を斜線方向に挿入することに関する図である。
【0036】
図4図3に続いて脛骨要素にベアリング要素を斜線方向に挿入して結合する過程で干渉が発生したことに関する図である。
【0037】
図5】(a)は上側から脛骨要素を平面に投影した図、(b)は上側からベアリング要素を平面に投影した図、(c)は斜線方向にベアリング要素を脛骨要素に挿入する状態を上側から平面に投影した図である。
【0038】
図6】本発明の一実施例に係る人工膝関節の斜視図である。
【0039】
図7図6の分解斜視図である。
【0040】
図8】本発明の一実施例に係る脛骨要素の平面図である。
【0041】
図9】本発明の一実施例に係るベアリング要素の下側斜視図である。
【0042】
図10図6のA-A’断面図である。
【0043】
図11】本発明の使用状態図であり、脛骨要素にベアリング要素を斜線方向に挿入する時に干渉が発生しないことを示す図である。
【0044】
図12図11に続いて脛骨要素にベアリング要素を斜線方向に挿入して結合させる過程で干渉が発生せずに結合が円滑になされたことに関する図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下では、本発明に係る人工膝関節を、添付の図面を参照して詳細に説明する。図面中、同一の構成要素には可能なかぎり、いずれの箇所でも同一の符号を付するものとする。また、本発明の要旨を却って曖昧にし得る公知機能及び構成に関する詳細な説明は省略する。特に定義しない限り、本明細書の用語はいずれも、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する技術者が理解する当該用語の一般的意味と同一であり、仮に本明細書に使われた用語の意味と衝突する場合には、本明細書に使われた定義に従う。
【0046】
本願において、冠状面(coronal palne)を基準に、Aは人の顔が向く方向で、前方を意味し、Pは、人の後頭が向く方向で、後方を意味し、矢状面(sagital plane)を基準に、Mは内側(medial)を、Lは外側(lateral)を意味する。
【0047】
図6は、本発明の一実施例に係る人工膝関節の斜視図であり、図7は、図6の分解斜視図である。図6及び図7を参照すると、
【0048】
本発明の一実施例に係る人工膝関節は、脛骨末端に結合する脛骨要素3と、前記脛骨要素上側に結合するベアリング要素5を含み、大腿骨挿入部材(図示せず)が前記ベアリング要素5の上面で滑りながら屈曲又は回転運動をしつつ実の膝関節と類似に関節運動ができ、人工関節としての機能を果たす。
【0049】
前記脛骨要素3は、脛骨の上側に挿入され、前記脛骨要素3の上側にはベアリング要素5を収容して前記ベアリング要素5と結合し、前記脛骨要素の一部をなす一定形状に形成される構成であり、このために、ステム31、ベースプレート33を含む。
【0050】
前記ステム31は、人工膝関節の手術において患者の脛骨に埋植される部分であり、大きく、脛骨と前記ステム31間の接合力向上のための骨セメント固定型ステムと、骨セメントを使用しない無セメント型ステムとに分類でき、その他、ステム31の脛骨内部固定のための様々な構造を有してもよい。
【0051】
前記ベースプレート33は、ベアリング要素5が安着する部分であり、プレート底331とリム332を含み、通常、Ti合金又はCoCr合金などの単一の金属材質からなるが、積層技術を用いて、プレート底331とリム332の材質を個別に製造してもよい。
【0052】
前記プレート底331は、その上に前記リム332が立てられ、その下にはベースプレート33とステム31との接合面が存在する部分であり、プレート底331の下部と前記ステムの上端面とが接合することで、前記ベースプレート33とステム31とが結合する。
【0053】
前記リム332は、前記プレート底の外周縁に沿って上側に突出して形成され、前記プレート底531上に立設して、人工膝関節のベアリング要素5が安着する結合空間を規定し、患者に応じて異なる形状、高さ、大きさなどにしてカスタマイズ型に具現することができ、後方突起3321、前方溝3322、凹入溝3323を含む。
【0054】
前記後方突起3321は、リム332から水平方向に折り曲がって延長形成された部分であり、ベアリング要素5の結合溝531に挿入されて結合する。このような結合関係は、図10から確認できる。
【0055】
前記前方溝3322は、前記後方突起3321が水平方向に折り曲がって延長形成される過程で生成された部分であり、その断面が“コ”状を有し、ベアリング要素5の弾性フック532が前記前方溝3322内に挿入されて弾性的に結合する。このような結合関係は、図10から確認できる。
【0056】
図8に示すように、前記凹入溝3323は、リム332から下側に一定深さ凹入している部分であるが、凹入が始まる一端3323aと凹入が終わる他端3323bを有する。一端3323aは、ベースプレート33の後端に近接する部分であり、他端3323bは、ベースプレートの前端に近接する部分である。ここで、後端はベースプレートから後方Pに向く部分であり、前端はベースプレートから前方Aに向く部分である。前記一端3323aと他端3323b間の間隔と位置は、様々に設定可能であるが、ベアリング要素を斜線方向に挿入するために、挿入されたインサートの下部のうち、外側L又は内側Mの後端535が対応するベースプレート33の結合空間、すなわち、空間の外側又は内側空間に位置させた時、その後端の前方側に位置するベアリング要素の下部部分がベースプレートのリムの上面の内側端と衝突しないように形成される。好ましくは、内外側ラインM-Lラインを基準に、一端3323aはM-Lライン後方に、そして他端3323bはM-Lライン前方に位置するように形成される。
【0057】
本発明のさらに他の実施例によれば、前記凹入溝3323は、ベースプレートのリムの内側Mと外側Lに相互対称になるように一対で形成される。さらに、間隔や位置が非対称に形成されてもよいことを排除するわけではない。例えば、内側Mの凹入溝と外側Lの凹入溝とが異なる間隔で形成されたり、或いは挿入方向に位置する凹入溝の間隔をその反対方向に位置する凹入溝の間隔より長くしてもよい。
【0058】
図9は、本発明の一実施例に係るベアリング要素の下側斜視図である。図7及び図9を参照すると、
【0059】
前記ベアリング要素5は、大腿骨挿入部材と脛骨要素3との間に位置し、実の膝関節の軟骨を代替する構成であり、前記脛骨要素5の上側に結合し、上部51、下部53、側部55を含む。
【0060】
図7を参照すると、前記上部51は、前記ベアリング要素5の上側に突出形成されたポスト511、前記ポスト511の下端に延長形成され、前記大腿骨挿入部材(図示せず)の関節面と関節運動をする関節面を提供するグルーブ512を含む。
【0061】
前記ポスト511は、前記ベアリング要素5の上部面の一側から上方に突出して形成される構成であり、人工膝関節手術にはCRタイプとPSタイプの手術があるが、CR(Cruciate Retaining)タイプは、後方十字靭帯を除去しない状態で人工膝関節を行う場合の人工膝関節の類型であり、PS(Posterior Stabilized)タイプは、後方十字靭帯を除去した状態で、前記後方十字靭帯を前記ベアリング要素5のポスト511に置き換える人工膝関節の類型である。前記PSタイプの人工膝関節では、前記ベアリング要素5のポスト511と大腿骨挿入部材のカムによって除去された後方十字靭帯を代替する。したがって、前記ポスト511は後方十字靭帯を除去した場合の人工膝関節手術に必要な構成で、本発明の必須構成ではなく、手術方式によって前記ベアリング要素5に含まれればいい。
【0062】
前記グルーブ512は、前記ポスト511の下端に延長形成された部分であり、大腿骨挿入部材(図示せず)の関節面と当接して関節運動を可能にする関節面を提供する。
【0063】
図9を参照すると、前記下部53は、上部の下側から段部を介して下側に延長して形成され、前記脛骨要素3との結合のための結合溝531と弾性フック532を含む。
【0064】
前記結合溝531は、ベアリング要素5の後面、すなわち、後方Pの方向に凹入形成される部分であり、脛骨要素3との結合時に、脛骨要素3の後方突起3321が前記結合溝531に挿入されて強固に結合する。このような結合関係は、図10から確認できる。
【0065】
前記弾性フック532は、前記ベアリング要素の前面、すなわち、前方(A:anterior)の方向に突出形成される部分であり、脛骨要素3との結合時に前記弾性フック532が脛骨要素3の前方溝5322に挿入されて強固に結合する。このような結合関係は、図10から確認できる。
【0066】
前記側部55は、前記上部31と前記下部53とを繋ぐ部分であり、ベアリング要素5の周りを形成する部分であり、突出部551を含む。
【0067】
前記突出部551は、ベアリング要素5の側部55から下側方向に突出して形成された部分であり、脛骨要素3の凹入溝3323と相補的な形状である。前述したように、最小切開膝関節置換術を行う過程において、皮膚切開部位最小化に伴う制約によって、脛骨要素3に前記ベアリング要素5を斜線方向に挿入した後に結合位置を整列させる場合が発生するが、本発明は、脛骨要素の凹入溝3323が前記突出部551を収容して定位置で結合を案内することができる。また、ベアリング要素5の突出部551と脛骨要素3の凹入溝3323とが相補的な形状で結合するので、人工膝関節の運動による前記ベアリング要素5の回転を防止することができ、前記ベアリング要素5の位置保存が可能であり、さらに、前記突出部551と前記凹入溝3323とが隙間なく結合するので、手術過程後の回復過程において、結合部位の隙間に周辺組織が挟んだりする等の副作用を防止できる効果がある。
【0068】
図11は、本発明の使用状態図であり、脛骨要素にベアリング要素を斜線方向に挿入する時に干渉が発生しないことを示す図である。
【0069】
図11を参照すると、前述したように、皮膚切開部位を最小化する手術過程においては、周辺組織によって前記ベアリング要素を、前方Aから後方Pと外側Lとの間に傾いた状態の斜線方向に挿入することになる。その後、前記ベアリング要素5を反時計斜線の方向に回転して前記脛骨要素3と結合する位置を合わせる。本発明は、従来技術と違い、前記リム332に凹入溝3323を含み、結合する位置を合わせる過程でベアリング要素の下部53が前記リム332と干渉することを防止することによって、前記ベアリング要素の下部53が前記リム332に乗って浮いた状態で位置合わせされる従来技術における問題点を解決し、前記ベアリング要素5が斜線方向に挿入される場合にも前記脛骨要素3と定位置で容易に結合する効果がある。このような前記突出部551と前記凹入溝3323の結合関係は、図12から確認できる。
【0070】
以上の詳細な説明は本発明を例示するものである。また、前述した内容は、本発明の好ましい実施形態を挙げて説明するものであり、本発明は様々な他の組合せ、変更及び環境で利用可能である。すなわち、本明細書に開示された発明の概念の範囲、記述した開示内容と均等な範囲及び/又は当業界における技術又は知識の範囲内で変更又は修正が可能である。前述した実施例は本発明の技術的思想を具現するための最善の状態を説明するものであり、本発明の具体的な適用分野及び用途で要求される様々な変更も可能である。したがって、以上の発明の詳細な説明は、開示された実施状態に本発明を制限しようとする意図ではない。また、添付する特許請求の範囲は他の実施状態も含むものとして解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12