(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
H01M 50/136 20210101AFI20231030BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20231030BHJP
H01M 50/119 20210101ALI20231030BHJP
H01M 4/70 20060101ALI20231030BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20231030BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20231030BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20231030BHJP
H01M 10/0585 20100101ALN20231030BHJP
【FI】
H01M50/136
H01M50/105
H01M50/119
H01M4/70 A
H01M10/04 Z
G09F9/00 347Z
G09F9/30 308Z
H01M10/0585
(21)【出願番号】P 2022014042
(22)【出願日】2022-02-01
(62)【分割の表示】P 2016147007の分割
【原出願日】2016-07-27
【審査請求日】2022-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2015149254
(32)【優先日】2015-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】田島 亮太
【審査官】小森 重樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-218696(JP,A)
【文献】国際公開第2015/005227(WO,A1)
【文献】特開2015-087474(JP,A)
【文献】特開2010-250195(JP,A)
【文献】特開2009-158440(JP,A)
【文献】特開2003-043955(JP,A)
【文献】特開2013-191548(JP,A)
【文献】中国実用新案第201146008(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 50/10-50/198
H01M 4/70
H01M 10/04
G09F 9/30
G09F 9/00
H01M 10/0585
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、前記二次電池と重なる領域を有するように配置された表示パネルと、筐体と、を有し、
前記二次電池は、一対のフィルムと、前記一対のフィルムの間の、正極、負極及びセパレータとを有し、
前記正極は、第1の開口部を有する正極集電体及び正極活物質層を有し、
前記負極は、第2の開口部を有する負極集電体及び負極活物質層を有し、
前記第2の開口部は、前記第1の開口部と重なる領域を有し、
前記二次電池の断面において、前記二次電池は第1の領域と、前記第1の領域よりも厚さが薄い第2の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記正極、前記負極及び前記セパレータを有する領域であり、
前記第2の領域は、前記正極活物質層及び前記負極活物質層を有さず、前記正極集電体、前記負極集電体及び前記セパレータを有する領域であり、
前記第2の領域において前記セパレータが、前記第1の開口部
及び前記第2の開口部を介して前記一対のフィルムと接着されており、
前記表示パネルは、一対の可撓性を有する基板と、前記一対の可撓性を有する基板の間の表示素子とを有し、
前記筐体は曲げることができ、前記二次電池は前記筐体が曲がったとき、前記第2の領域で曲げることができ、且つ前記表示パネルは前記第2の領域と重なる領域で前記二次電池に追随して曲げることができる、電子機器。
【請求項2】
二次電池と、前記二次電池と重なる領域を有するように配置された表示パネルと、筐体と、を有し、
前記二次電池は、一対のフィルムと、前記一対のフィルムの間の、正極、負極及びセパレータとを有し、
前記正極は、第1の開口部を有する正極集電体及び正極活物質層を有し、
前記負極は、第2の開口部を有する負極集電体及び負極活物質層を有し、
前記第2の開口部は、前記第1の開口部と重なる領域を有し、
前記セパレータは、前記第1の開口部及び前記第2の開口部より面積の小さな第3の開口部を有し、
前記二次電池の断面において、前記二次電池は第1の領域と、前記第1の領域よりも厚さが薄い第2の領域と、を有し、
前記第1の領域は、前記正極、前記負極及び前記セパレータを有する領域であり、
前記第2の領域は、前記正極活物質層及び前記負極活物質層を有さず、前記正極集電体、前記負極集電体及び前記セパレータを有する領域であり、
前記第2の領域において前記第3の開口部が、前記第1の開口部及び前記第2の開口部と重なり、前記第3の開口部の周縁において前記セパレータが、前記第1の開口部
及び前記第2の開口部を介して前記一対のフィルムと接着されており、
前記表示パネルは、一対の可撓性を有する基板と、前記一対の可撓性を有する基板の間の表示素子とを有し、
前記筐体は曲げることができ、前記二次電池は前記筐体が曲がったとき、前記第2の領域で曲げることができ、且つ前記表示パネルは前記第2の領域と重なる領域で前記二次電池に追随して曲げることができる、電子機器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第2の領域と重なる緩衝材を有する、電子機器。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記一対のフィルムに対して前記第2の領域が2箇所以上あり、
前記二次電池及び前記表示パネルは前記2箇所以上で曲げることができる、電子機器。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか一において、
前記一対のフィルムに対して前記第2の領域が2箇所あり、
前記二次電池及び前記表示パネルは前記2箇所で曲げることができ
前記2箇所で前記二次電池及び前記表示パネルを曲げたとき、三つ折り状態をなす、電子機器。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一において、
前記一対のフィルムは、前記二次電池の外装体であり、
前記外装体は、金属フィルムを有する、電子機器。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一において、
前記第2の領域において前記二次電池が曲がったとき、曲率半径は30mm以下とすることができ、
前記第2の領域において前記表示パネルが曲がったとき、曲率半径30mm以下とすることができる、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一様態は、物、方法、又は、製造方法に関する。または、本発明は、プロセス、
マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関する。
本発明の一態様は、半導体装置、表示装置、発光装置、蓄電装置、照明装置または電子機
器、またはそれらの製造方法に関する。特に、電子機器およびそのオペレーティングシス
テムに関する。
【0002】
なお、本明細書中において電子機器とは、二次電池を有する装置全般を指し、二次電池
を有する電気光学装置、二次電池を有する情報端末装置などは全て電子機器である。
【背景技術】
【0003】
使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器が盛んに開発されている。例え
ば、薄型携帯書籍が特許文献1に記載されている。
【0004】
使用者が携帯する電子機器や、使用者が装着する電子機器は、二次電池を電源として動作
する。使用者が携帯する電子機器は、長時間使用することが望まれ、そのために大容量の
二次電池を用いればよい。電子機器に大容量の二次電池を内蔵させると大容量の二次電池
は大きく、重量がかさむ問題がある。そこで携帯する電子機器に内蔵できる小型または薄
型で大容量の二次電池の開発が進められている。
【0005】
特許文献1には、活物質合剤層が、複数の開口部を有する領域と、開口部を有していない
領域とからなり、集合シートの少なくとも曲げの生じている部分を複数の開口部を有する
領域が覆っている角形リチウムイオン二次電池が開示されている。
【0006】
特許文献2には、曲面を有する構造体上に可撓性を有する二次電池と可撓性を有する表示
パネルが一部重なる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-140781号公報
【文献】特開2015-38868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
外装体として金属缶を用いる場合、二次電池自体の重量が増加する問題点がある。また、
薄い二次電池を実現するために、薄い金属缶を成形加工によって製造することが困難であ
り、薄い金属缶を用いて二次電池を作製することも困難である。
【0009】
外装体として金属箔(アルミニウム、ステンレスなど)と樹脂(熱融着性樹脂)の積層を
含むフィルム(ラミネートフィルムとも呼ぶ)を用いると、金属缶を用いた二次電池より
も軽量であり、薄型の二次電池を作製することができる。
【0010】
使用者の装着感を快適なものとするため、人体に装着して使用される表示装置は軽量化、
及び小型化が求められ、さらに表示装置の駆動装置や電源を含めた電子機器全体の軽量化
が求められる。
【0011】
新規な構造の電子機器を提供する。具体的には、さまざまな外観形状にすることができる
新規な構造の電子機器を提供する。
【0012】
または、本発明の一態様は、新規な蓄電装置、新規な二次電池などを提供することを課題
とする。なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本
発明の一態様は、必ずしも、これらの課題の全てを解決する必要はない。なお、これら以
外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明
細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
薄型の電子機器において、表示部を折り曲げてさらに小型にすることのできる電子機器が
提案されている。このような薄型の電子機器にはスペースが少なく、二次電池を配置する
場所が確保しにくい。また、薄型、及び軽量を重視する場合、部品点数を少なくすること
が望まれる。
【0014】
そこで、表示部だけでなく、二次電池も折り曲げる構成、即ち、屈曲させる箇所を有する
二次電池を提案する。
【0015】
本明細書で開示する電子機器は、2箇所以上曲がる表示部と、2箇所以上曲がる二次電池
と、を有し、表示部の曲がる箇所と二次電池の曲がる箇所が互いに重なる電子機器である
。
【0016】
上記電子機器において、表示部は、可撓性フィルム上に表示素子を有し、二次電池は、金
属フィルムを有する外装体を有する。
【0017】
上記電子機器において、さらに、二次電池の曲がる箇所に重なる円柱状の緩衝材を有し、
緩衝材は、直径30mm以下、好ましくは直径10mm以下である。この緩衝材が設けら
れることで二次電池の曲がる箇所における最小の曲率半径が固定できる。従って、緩衝材
の直径よりも小さな曲率半径を有する曲面に沿って曲げられて外装体が破壊されることを
防ぐことができる。また、二次電池の曲がる箇所は、他の箇所に比べて薄いため、曲げた
状態での空いたスペースを緩衝材が保持し、曲げた状態での二次電池の形状を維持するこ
とができる。
【0018】
上記電子機器において、表示部の曲がる箇所は曲率半径30mm以下とすることができ、
二次電池の曲がる箇所は曲率半径30mm以下とすることができる。
【0019】
上記電子機器において、二次電池は、第1の集電体と、第2の集電体と、セパレータと、
外装体とを有し、二次電池は、第1の集電体、第2の集電体とが互いに重なる第1の領域
と、第1の領域よりも厚さの薄い第2の領域とを有し、第2の領域は、第1の集電体の開
口部と第2の集電体の開口部とが重なる領域を有し、第2の領域は、二次電池の曲がる箇
所を有する。
【0020】
また、二次電池の構成も本明細書で開示する発明の一つであり、その構成は、第1の集電
体と、第2の集電体と、セパレータと、外装体と、を有する二次電池であり、二次電池は
、第1の集電体、第2の集電体とが互いに重なる第1の領域と、第1の領域よりも厚さの
薄い第2の領域とを有し、第2の領域は、第1の集電体の開口部と第2の集電体の開口部
とが重なる領域を有し、第2の領域は、二次電池の曲がる箇所を有することを特徴とする
二次電池である。
【0021】
上記二次電池において、第2の領域は、セパレータの開口部と第1の集電体の開口部が重
なっている。
【0022】
また、他の二次電池の構成は、第1の集電体と、第2の集電体と、セパレータと、電解液
と、外装体と、を有する二次電池であり、二次電池は、第1の集電体、第2の集電体とが
互いに重なる2つの第1の領域と、2つの第1の領域よりも厚さの薄い第2の領域と、二
次電池の周縁部である第3の領域を有し、第3の領域は、2つの第1の領域と、第2の領
域と接し、第2の領域は、2つの第1の領域間の圧着された領域であり、電解液は2つの
第1の領域においてそれぞれ外装体で囲まれており、第3の領域は第2の領域と厚さが同
じまたは第2の領域よりも薄い領域であることを特徴とする二次電池である。
【0023】
上記二次電池において、第2の領域は、二次電池の曲がる箇所を有する。
【0024】
上記二次電池において、第2の領域は、第1の集電体の開口部と第2の集電体の開口部と
、セパレータの開口部とが互いに重なっている。
【0025】
上記二次電池において、さらに、第2の領域に重なる円柱状の緩衝材を有し、緩衝材は、
直径30mm以下、好ましくは10mm以下である。
【0026】
上記二次電池において、二次電池は、曲がる箇所において曲率半径30mm以下、好まし
くは曲率半径10mm以下の範囲で変形することができる。二次電池の外装体である金属
フィルムは、1枚または2枚で構成されている。積層構造の二次電池である場合、湾曲さ
せて二次電池の断面形状を円弧とすると、二次電池はその内容物がフィルムの2つの曲面
で挟まれた構造となる。
【0027】
面の曲率半径について、
図7を用いて説明する。
図7(A)において、曲面1700を切
断した平面1701において、曲面1700に含まれる曲線1702の一部を円の弧に近
似して、その円の半径を曲率半径1703とし、円の中心を曲率中心1704とする。図
7(B)に曲面1700の上面図を示す。
図7(C)に、平面1701で曲面1700を
切断した断面図を示す。曲面を平面で切断するとき、曲面に対する平面の角度や切断する
位置に応じて、断面に現れる曲線の曲率半径は異なるものとなるが、本明細書等では、最
も小さい曲率半径を面の曲率半径とする。
【0028】
2枚のフィルムを外装体として電極及び電解液などを含む内容物1805を挟む二次電池
を湾曲させた場合には、二次電池の曲率中心1800に近い側のフィルム1801の曲率
半径1802は、曲率中心1800から遠い側のフィルム1803の曲率半径1804よ
りも小さい(
図8(A))。二次電池を湾曲させて断面を円弧とすると曲率中心1800
に近いフィルムの表面には圧縮応力がかかり、曲率中心1800から遠いフィルムの表面
には引っ張り応力がかかる(
図8(B))。
【0029】
上記構成において、外装体である金属フィルムにプレス加工、例えばエンボス加工を行い
、外装体の表面に凹部または凸部で形成される模様を形成すると、このように圧縮応力や
引っ張り応力がかかったとしても、ひずみによる影響を許容範囲内に抑えることができる
。そのため、二次電池を屈曲させる箇所は、曲率中心に近い側の外装体の曲率半径を30
mm以下、好ましくは10mm以下とすることができる。プレス加工の一種であるエンボ
ス加工に限らず、フィルムの一部に浮き彫り(レリーフ)が形成できる手法であればよい
。また、それらの組み合わせ、例えばエンボス加工と、他のプレス加工とを1枚のフィル
ムに対して行ってもよい。また、複数回のエンボス加工を1枚のフィルムに行ってもよい
。エンボス加工とは、プレス加工の一種であり、表面に凹凸のあるエンボスロールをフィ
ルムに圧接させ、エンボスロールの凹凸に対応する凹凸をフィルムに形成する処理のこと
を指している。エンボスロールは、表面に模様を彫刻したロールである。
【0030】
なお、二次電池の断面形状は、単純な円弧に限定されず、一部が円弧を有する形状にする
ことができ、例えば、
図8(C)に示す二次電池を2箇所で折り曲げ、3つ折り状態にし
て、
図8(D)に示すように、S字形状などとすることもできる。二次電池の屈曲する部
分の内容物をなくす、或いは一部とすることで他の領域よりも曲がりやすい箇所を設ける
ことができる。
図8(D)に一例を示すように二次電池の曲面が複数の曲率中心1800
を有する形状となる場合は、複数の曲率中心それぞれにおける曲率半径の中で、最も曲率
半径が小さい曲面において、2枚の外装体の曲率中心に近い方の外装体の曲率半径が、3
0mm以下好ましくは10mm以下となる範囲で変形することができる。
【0031】
従来の平板状の二次電池を電子機器に搭載し、電池の容量を大きくしたい場合には複数の
二次電池を用意してもよいが、それぞれに保護回路や制御回路が必要であり、部品点数が
多くなってしまう問題があった。従来に対して、
図8(D)に示すように、S字形状とす
ることのできる二次電池は、曲げることのできる1つの二次電池であるため、保護回路や
制御回路は一つずつでよく、部品数を少なくすることができる。
【0032】
二次電池の断面から見た場合、曲率中心を内側にして二次電池を曲げると、外側表面が引
っ張られ、内側表面が圧縮される。即ち、外側が伸び、内側が縮む。言い換えると曲がる
二次電池とは、伸び縮みする二次電池とも呼べる。
【0033】
2枚のフィルムを外装体として電解液などを挟む二次電池を湾曲させた場合には、第1の
フィルムの曲率半径は、第2のフィルムの曲率半径よりも小さい。二次電池を湾曲させて
断面を円弧とすると曲率中心に近いフィルム表面は圧縮応力がかかり、曲率中心に遠いフ
ィルム表面は引っ張り応力がかかる。
【0034】
このように圧縮応力や引っ張り応力がかかったとしても、外装体の表面に凹部または凸部
で形成される模様を有していれば、ひずみによる影響を許容範囲内に抑えることができる
。
【0035】
電子機器に内蔵できる部品の数や大きさは、電子機器の筐体で形成される空間の体積で決
定される場合が多い。二次電池以外の部品の隙間にフレキシブルな二次電池を設けること
で、電子機器の筐体で形成される空間を有効利用することができ、小型化することもでき
る。
【0036】
なお、ウェアラブルデバイスとは、ウェアラブルカメラ、ウェアラブルマイク、ウェアラ
ブルセンサなどのウェアラブルな入力端末や、ウェアラブルディスプレイ、ウェアラブル
スピーカーなどのウェアラブルな出力端末や、それらの機能を併せもつウェアラブルな入
出力端末を含む。また、ウェアラブルデバイスとは、各装置の制御やデータの計算または
加工を行う装置、代表的にはCPUを有するウェアラブルコンピュータを含む。また、ウ
ェアラブルデバイスとは、データの記憶、データの送信、データの受信を行う装置、代表
的には携帯情報端末、メモリなども含む。
【発明の効果】
【0037】
新規な構造の二次電池を実現できる。または、新規な蓄電装置を実現できる。
【0038】
二次電池の形状を自在に設計できるため、例えば屈曲される箇所を有する二次電池を用い
ることにより、デバイス全体の自由度があがり、いろいろなデザインを有するデバイスを
実現する。また、屈曲される箇所を有するデバイス内の隙間に無駄なスペースを作ること
なく、曲がる表示部の表面の曲面に沿ってデバイスの曲面の内側に二次電池を設けること
でデバイス内の空間を有効に利用することができる。
【0039】
従って、新規な構造の電子機器を実現できる。
【0040】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一
態様は、必ずしも、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は
、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面
、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本発明の一態様を示す二次電池の上面図及び斜視図である。
【
図2】本発明の一態様を示す二次電池の写真図及び模式図である。
【
図3】本発明の一態様を示す二次電池の上面図である。
【
図4】本発明の一態様を示す二次電池の上面図である。
【
図5】本発明の一態様を示す二次電池の断面図である。
【
図6】本発明の一態様を示す二次電池の写真図である。
【
図9】本発明の一態様を示す電子機器の斜視図である。
【
図10】本発明の一態様を示す表示パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は
以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれ
ば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈さ
れるものではない。
【0043】
「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場
合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信
号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。
【0044】
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解を容易にするため、実際
の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ず
しも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0045】
「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すもの
である。
【0046】
(実施の形態1)
本実施の形態では、外装体に金属フィルムを用いて、内容物(集電体、セパレータ、活物
質層など)の構成を工夫することで曲がる箇所を有するリチウムイオン二次電池を作製す
る例を示す。
【0047】
まず、可撓性基材からなるシート状のフィルムを用意する。シート状のフィルムは、積層
体を用い、金属フィルムの一方の面または両方の面に接着層(ヒートシール層とも呼ぶ)
を有するものを用いる。接着層は、ポリプロピレンやポリエチレンなどを含む熱融着性樹
脂フィルムを用いる。本実施の形態では、シート状のフィルムとして、アルミニウム箔の
表面にナイロン樹脂を有し、アルミニウム箔の裏面に耐酸性ポリプロピレン膜と、ポリプ
ロピレン膜の積層が設けられている金属フィルムを用いる。
【0048】
金属フィルムは、内容物を囲み、封止するために用いる外装体である。
【0049】
内容物の一部である正極を用意する。正極としては、正極活物質層18が表面の一部に形
成された正極集電体12を用いる。
図1(B)に示すように、正極集電体12は開口部2
0を有している。
図1(B)に正極の上面図の一例を示す。また、
図1(B)に示すよう
に正極活物質層18は選択的に形成されており、正極集電体12の突出部と開口部20付
近には形成されていない。正極集電体12の開口部20が形成されている部分が二次電池
の曲がる箇所となる。なお、
図1(B)では矩形の開口部20を2つ有する例を示したが
、特に限定されず、開口部の上面形状が楕円でもよいし、開口部が1つでもよいし、3つ
以上であってもよい。
【0050】
内容物の一部である負極を用意する。負極活物質層が表面の一部に形成された負極集電体
14を用いる。本実施の形態では、負極にも開口部を形成する。
【0051】
正極集電体12や負極集電体14などの集電体としては、ステンレス、金、白金、亜鉛、
鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、タンタル等の金属、及びこれらの合金など、
導電性が高く、リチウム等のキャリアイオンと合金化しない材料を用いることができる。
また、シリコン、チタン、ネオジム、スカンジウム、モリブデンなどの耐熱性を向上させ
る元素が添加されたアルミニウム合金を用いることができる。また、シリコンと反応して
シリサイドを形成する金属元素で形成してもよい。シリコンと反応してシリサイドを形成
する金属元素としては、ジルコニウム、チタン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タン
タル、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、ニッケル等がある。また、集電体
は、箔状、板状(シート状)、網状、円柱状、コイル状、パンチングメタル状、エキスパ
ンドメタル状等の形状を適宜用いることができる。集電体は、厚みが5μm以上40μm
以下のものを用いるとよい。
【0052】
正極活物質層18に用いる正極活物質としては、オリビン型の結晶構造、層状岩塩型の結
晶構造、またはスピネル型の結晶構造を有する複合酸化物等がある。正極活物質として、
例えばLiFeO2、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、V2O5、Cr2
O5、MnO2等の化合物を用いる。
【0053】
または、複合材料(一般式LiMPO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(I
I)、Ni(II)の一以上))を用いることができる。一般式LiMPO4の代表例と
しては、LiFePO4、LiNiPO4、LiCoPO4、LiMnPO4、LiFe
aNibPO4、LiFeaCobPO4、LiFeaMnbPO4、LiNiaCob
PO4、LiNiaMnbPO4(a+bは1以下、0<a<1、0<b<1)、LiF
ecNidCoePO4、LiFecNidMnePO4、LiNicCodMnePO
4(c+d+eは1以下、0<c<1、0<d<1、0<e<1)、LiFefNigC
ohMniPO4(f+g+h+iは1以下、0<f<1、0<g<1、0<h<1、0
<i<1)等のリチウム化合物を材料として用いることができる。
【0054】
または、一般式Li(2-j)MSiO4(Mは、Fe(II)、Mn(II)、Co(
II)、Ni(II)の一以上、0≦j≦2)等の複合材料を用いることができる。一般
式Li(2-j)MSiO4の代表例としては、Li(2-j)FeSiO4、Li(2
-j)NiSiO4、Li(2-j)CoSiO4、Li(2-j)MnSiO4、Li
(2-j)FekNilSiO4、Li(2-j)FekColSiO4、Li(2-j
)FekMnlSiO4、Li(2-j)NikColSiO4、Li(2-j)Nik
MnlSiO4(k+lは1以下、0<k<1、0<l<1)、Li(2-j)FemN
inCoqSiO4、Li(2-j)FemNinMnqSiO4、Li(2-j)Ni
mConMnqSiO4(m+n+qは1以下、0<m<1、0<n<1、0<q<1)
、Li(2-j)FerNisCotMnuSiO4(r+s+t+uは1以下、0<r
<1、0<s<1、0<t<1、0<u<1)等のリチウム化合物を材料として用いるこ
とができる。
【0055】
また、正極活物質として、AxM2(XO4)3(A=Li、Na、Mg、M=Fe、M
n、Ti、V、Nb、Al、X=S、P、Mo、W、As、Si)の一般式で表されるナ
シコン型化合物を用いることができる。ナシコン型化合物としては、Fe2(MnO4)
3、Fe2(SO4)3、Li3Fe2(PO4)3等がある。また、正極活物質として
、Li2MPO4F、Li2MP2O7、Li5MO4(M=Fe、Mn)の一般式で表
される化合物、NaFeF3、FeF3等のペロブスカイト型フッ化物、TiS2、Mo
S2等の金属カルコゲナイド(硫化物、セレン化物、テルル化物)、LiMVO4(M=
Mn、Co、Ni)等の逆スピネル型の結晶構造を有する酸化物、バナジウム酸化物系(
V2O5、V6O13、LiV3O8等)、マンガン酸化物、有機硫黄化合物等の材料を
用いることができる。
【0056】
なお、キャリアイオンが、リチウムイオン以外のアルカリ金属イオンや、アルカリ土類金
属イオンの場合、正極活物質として、リチウムの代わりに、アルカリ金属(例えば、ナト
リウムやカリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、ストロンチウム、バリ
ウム、ベリリウム、マグネシウム等)を用いてもよい。
【0057】
また、負極活物質層の負極活物質としては、リチウムの溶解・析出、又はリチウムイオン
の挿入・脱離が可能な材料を用いることができ、リチウム金属、炭素系材料、合金系材料
等を用いることができる。
【0058】
リチウム金属は、酸化還元電位が低く(標準水素電極に対して-3.045V)、重量及
び体積当たりの比容量が大きい(それぞれ3860mAh/g、2062mAh/cm3
)ため、好ましい。
【0059】
炭素系材料としては、黒鉛、易黒鉛化性炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化性炭素(ハー
ドカーボン)、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック等がある。
【0060】
黒鉛としては、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、コークス系人造黒鉛、ピッチ
系人造黒鉛等の人造黒鉛や、球状化天然黒鉛等の天然黒鉛がある。
【0061】
黒鉛はリチウムイオンが黒鉛に挿入されたとき(リチウム-黒鉛層間化合物の生成時)に
リチウム金属と同程度に卑な電位を示す(0.1~0.3V vs.Li/Li+)。こ
れにより、リチウムイオン二次電池は高い作動電圧を示すことができる。さらに、黒鉛は
、単位体積当たりの容量が比較的高い、体積膨張が小さい、安価である、リチウム金属に
比べて安全性が高い等の利点を有するため、好ましい。
【0062】
負極活物質として、リチウムとの合金化・脱合金化反応により充放電反応を行うことが可
能な合金系材料も用いることができる。キャリアイオンがリチウムイオンである場合、例
えば、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Ag、Au、Zn、Cd、In、G
a等のうち少なくとも一つを含む材料がある。このような元素は炭素に対して容量が大き
く、特にシリコンは理論容量が4200mAh/gと飛躍的に高い。このため、負極活物
質にシリコンを用いることが好ましい。このような元素を用いた材料としては、例えば、
SiO、Mg2Si、Mg2Ge、SnO、SnO2、Mg2Sn、SnS2、V2Sn
3、FeSn2、CoSn2、Ni3Sn2、Cu6Sn5、Ag3Sn、Ag3Sb、
Ni2MnSb、CeSb3、LaSn3、La3Co2Sn7、CoSb3、InSb
、SbSn等がある。なお、SiOとは、ケイ素リッチの部分を含むケイ素酸化物の粉末
を指しており、SiOy(2>y>0)とも表記できる。例えばSiOは、Si2O3、
Si3O4、またはSi2Oから選ばれた単数または複数を含む材料や、Siの粉末と二
酸化ケイ素SiO2の混合物も含む。また、SiOは他の元素(炭素、窒素、鉄、アルミ
ニウム、銅、チタン、カルシウム、マンガンなど)を含む場合もある。即ち、単結晶Si
、アモルファスSi、多結晶Si、Si2O3、Si3O4、Si2O、SiO2から選
ばれる複数を含む材料を指しており、SiOは有色材料である。SiOではないSiOx
(Xは2以上)であれば無色透明、或いは白色であり、区別することができる。ただし、
二次電池の材料としてSiOを用いて二次電池を作製した後、充放電を繰り返すなどによ
って、SiOが酸化した場合には、SiO2に変質する場合もある。
【0063】
また、負極活物質として、二酸化チタン(TiO2)、リチウムチタン酸化物(Li4T
i5O12)、リチウム-黒鉛層間化合物(LixC6)、五酸化ニオブ(Nb2O5)
、酸化タングステン(WO2)、酸化モリブデン(MoO2)等の酸化物を用いることが
できる。
【0064】
また、負極活物質として、リチウムと遷移金属の複窒化物である、Li3N型構造をもつ
Li(3-x)MxN(M=Co、Ni、Cu)を用いることができる。例えば、Li2
.6Co0.4N3は大きな充放電容量(900mAh/g、1890mAh/cm3)
を示し好ましい。
【0065】
リチウムと遷移金属の複窒化物を用いると、負極活物質中にリチウムイオンを含むため、
正極活物質としてリチウムイオンを含まないV2O5、Cr3O8等の材料と組み合わせ
ることができ好ましい。なお、正極活物質にリチウムイオンを含む材料を用いる場合でも
、あらかじめ正極活物質に含まれるリチウムイオンを脱離させておくことで負極活物質と
してリチウムと遷移金属の複窒化物を用いることができる。
【0066】
また、コンバージョン反応が生じる材料を負極活物質として用いることもできる。例えば
、酸化コバルト(CoO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化鉄(FeO)等の、リチウム
と合金化反応を行わない遷移金属酸化物を負極活物質に用いてもよい。コンバージョン反
応が生じる材料としては、さらに、Fe2O3、CuO、Cu2O、RuO2、Cr2O
3等の酸化物、CoS0.89、NiS、CuS等の硫化物、Zn3N2、Cu3N、G
e3N4等の窒化物、NiP2、FeP2、CoP3等のリン化物、FeF3、BiF3
等のフッ化物が挙げられる。なお、上記フッ化物の電位は高いため、正極活物質として用
いてもよい。
【0067】
また、負極活物質層には、上述した負極活物質の他、活物質の密着性を高めるための結着
剤(バインダ)、負極活物質層の導電性を高めるための導電助剤等を有してもよい。
【0068】
集電体に選択的に活物質層を形成し、さらに活物質層を除去して露出した集電体に開口部
を形成する手順を以下に示す。
【0069】
具体的には、集電体に活物質層を形成した後、レーザ光などを用いて照射領域の集電体の
一部及び活物質層の一部を除去するレーザ加工を行う。レーザ加工によって切削されて形
成できる開口部や、切れ目や、裂け目は、直線形状、幾何学形状(多角形、不定形など)
、円形とすることができる。
【0070】
本実施の形態では、正極、負極の両方に開口部を形成する例を示したが、曲がる箇所が二
次電池に形成できるのであれば、正極または負極の少なくとも一方のみにレーザ加工を行
って開口部を形成してもよい。
【0071】
また、レーザ加工によって集電体の一部及び活物質層の一部を除去することに限定されず
、パンチングによって切削加工を行ってもよい。また、集電体の一部及び活物質層の一部
にレーザ光を走査して切削することに代えて、集電体の一部及び活物質層の一部に超高圧
水を走査することで集電体の一部及び活物質層の一部を除去してもよい。
【0072】
また、セパレータ13にも開口部を設ける。
図1(C)には、正極上に開口部を有するセ
パレータ13を重ねた状態を示す上面図の一例を示す。セパレータ13としては、セルロ
ース(紙)、または空孔が設けられたポリプロピレン、ポリエチレン等の絶縁体を用いる
ことができる。また、二次電池を曲がる箇所で曲げた際に正極と負極が短絡することを防
止するために開口部を設けなくてもよい。
【0073】
図1(B)に示した開口部を有する正極上に開口部を有するセパレータ13を重ね、さら
にセパレータ13上に負極を重ねた状態の斜視図を
図1(D)に示す。なお、
図1(D)
には負極活物質層が図示されていないが、負極活物質層は、負極集電体14とセパレータ
13の間に負極集電体14と接して設けられている。負極集電体14に選択的に負極活物
質層が形成されており、負極集電体14の開口部付近と突出部には負極活物質層が形成さ
れていない。
【0074】
ここでは説明を簡略にするため、正極集電体12、セパレータ13、負極集電体14の積
層の組み合わせを1つにして外装体に収納する例を示す。
【0075】
図1(D)に示す積層を用意した後、封止層15を有するリード電極16を2つ用意する
。リード電極16はリード端子とも呼ばれ、二次電池の正極または負極を外装フィルムの
外側へ引き出すために設けられる。リード電極として、正極リードはアルミニウムを用い
、負極リードはニッケルメッキを施した銅を用いる。
【0076】
そして、正極リードと、正極集電体12の突出部を超音波溶接などにより、電気的に接続
する。また、負極リードと、負極集電体14の突出部を超音波溶接などにより、電気的に
接続する。
【0077】
そして、電解液を入れるための一辺を残して、金属フィルム10の周縁部に対して熱圧着
を行って封止する。本実施の形態では、1枚の長方形の金属フィルム10を中央で折り曲
げて2つの端部を重ねて封止する。熱圧着の際、リード電極に設けられた封止層15も溶
けてリード電極と金属フィルム10との間が固定される。そして、減圧下、或いは不活性
ガス雰囲気下で所望の量の電解液を金属フィルム10が袋状となった内側に滴下する。そ
して真空引き、加熱および加圧を行いながら、熱圧着をせずに残していた金属フィルム1
0の周縁の残りの一辺を封止する。
図1(A)に示す二次電池40の点線と端面の領域は
熱圧着領域17である。これらの操作は、グローブボックスを用いるなどして酸素を排除
した環境にて行う。真空引きは、脱気シーラー、注液シーラー等を用いて行うとよい。ま
たシーラーが有する加熱可能な2本のバーで金属フィルム10を挟むことにより、加熱お
よび加圧を行って封止することができる。それぞれの条件は、例えば真空度は60kPa
、加熱は190℃、加圧は0.1MPaにおいて3秒とすることができる。
【0078】
次に、上記の工程で得られた二次電池に、エージング処理を行うことが好ましい。エージ
ング処理により、電極と電解質の界面に生じる被膜を制御し、活物質を活性化することが
できる。
【0079】
さらに、エージング処理を行った二次電池を一度開封し、エージングにより生じたガスを
抜いてから、電解液を継ぎ足して再封止してもよい。正極と負極の電極の間にガスが存在
すると、電池反応に偏りが生じて劣化要因となるため、ガスを抜いて再封止をすることで
劣化を抑制することができる。
【0080】
電解液は、電解質として、リチウムイオンを有する材料を用いる。電解質の代表例として
は、LiPF6、LiClO4、LiAsF6、LiBF4、LiCF3SO3、Li(
CF3SO2)2N、Li(C2F5SO2)2N等のリチウム塩がある。これらの電解
質は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を任意の組み合わせ及び比率で用いてもよい
。
【0081】
また、電解液の溶媒としては、キャリアイオンが移動可能な材料を用いる。電解液の溶媒
としては、非プロトン性有機溶媒が好ましい。非プロトン性有機溶媒の代表例としては、
エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネート(DEC)、γーブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン
、テトラヒドロフラン等があり、これらの一つまたは複数を用いることができる。また、
電解液の溶媒としてゲル化される高分子材料を用いることで、漏液性等に対する安全性が
高まる。また、二次電池の薄型化及び軽量化が可能である。ゲル化される高分子材料の代
表例としては、シリコーンゲル、アクリルゲル、アクリロニトリルゲル、ポリエチレンオ
キサイド系ゲル、ポリプロピレンオキサイド系ゲル、フッ素系ポリマーのゲル等がある。
また、電解液の溶媒として、難燃性及び難揮発性であるイオン液体(常温溶融塩)を一つ
または複数用いることで、二次電池の内部短絡や、過充電等によって内部温度が上昇して
も、二次電池の破裂や発火などを防ぐことができる。なお、イオン液体は、流動状態であ
る塩であり、イオン移動度(伝導度)が高い。また、イオン液体は、カチオンとアニオン
とを含む。イオン液体としては、エチルメチルイミダゾリウム(EMI)カチオンを含む
イオン液体、またはN-メチル-N-プロピルピペリジニウム(PP13)カチオンを含
むイオン液体などがある。
【0082】
また、電解液の代わりに、硫化物系や酸化物系等の無機物材料を有する固体電解質や、P
EO(ポリエチレンオキシド)系等の高分子材料を有する固体電解質を用いることができ
る。固体電解質を用いる場合には、セパレータやスペーサの設置が不要となる。また、電
池全体を固体化できるため、漏液のおそれがなくなり安全性が飛躍的に向上する。
【0083】
こうして
図1(A)に示す二次電池40を作製することができる。
【0084】
なお、ここでは説明を簡略にするため、正極集電体12、セパレータ13、負極集電体1
4の積層の組み合わせを1つにして外装体に収納する例を示したが、二次電池の容量を大
きくするために組み合わせを複数重ねて外装体に収納する。複数の積層体を外装体に収納
する場合、外装体に予めプレス加工を行い、積層体を納める空間を作製してもよい。
【0085】
図1(A)に示した二次電池は、集電体の2つの開口部を結ぶ領域で折り曲げることがで
きる。この開口部と重なる領域には電解液のみしか存在していないため電池としてほとん
ど機能しない。
図1(A)に示した二次電池は、折り曲げる領域の内容物を一部除去する
ことで厚さが薄くなり、他の領域よりも曲げやすくすることができる。また、開口部付近
は電池として機能する構成となっていないため、二次電池の折り曲げにより二次電池の充
放電特性に影響をほとんど与えない構成となっている。
【0086】
本実施の形態では、1枚の長方形の金属フィルムを中央で折り曲げて2つの端部を重ねて
封止する構造の例を示したが、フィルムの形状は長方形に限定されない。三角形、正方形
、五角形等の多角形や、円形、星形など長方形以外の対称性のある任意の形でもよい。ま
た、2枚の矩形のフィルムを用いて作製してもよく、その場合には2枚を重ね、4辺全て
熱圧着して封止する。
【0087】
本実施の形態では、携帯情報端末などに用いる小型の電池の例を示したが、特に限定され
ず、車両などに搭載する大型の電池にも適用することができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、リチウムイオン二次電池に適用した場合の例を示したが、本発
明の一態様は、これに限定されない。様々な二次電池、例えば、鉛蓄電池、リチウムイオ
ンポリマー二次電池、ニッケル・水素蓄電池、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・
鉄蓄電池、ニッケル・亜鉛蓄電池、酸化銀・亜鉛蓄電池、固体電池、空気電池、などに適
用することも可能である。または、様々な蓄電装置に適用することが可能であり、例えば
、一次電池、コンデンサ、リチウムイオンキャパシタなどに適用することも可能である。
さらに、太陽電池、光センサ、タッチセンサ、表示装置、FPC(フレキシブルプリント
基板)、光学フィルム(偏光板、位相差板、プリズムシート、光反射シート、光拡散シー
トなど)などに適用することも可能である。
【0089】
(実施の形態2)
本実施の形態では、フィルム表面にエンボス加工を行い、模様を有する金属フィルム11
を用いてリチウムイオン二次電池を作製する例を示す。
【0090】
外装体としてエンボス加工を行い、模様を有する金属フィルム11を用いる以外の構成は
、実施の形態1と同じため、本実施の形態では詳細な説明は省略することとする。
【0091】
フィルムの模様は視認可能な幾何学模様であり、二方向の斜めの線が交差した幾何学模様
である。二方向の斜めの線が交差した幾何学模様とする場合には少なくとも二方向の曲げ
への応力を緩和することができる。また、凹部や凸部の配置が規則的に配置された模様に
限らず、凹部や凸部の配置が不規則に配置されてもよい。不規則に配置された場合には、
二次元の曲げだけでなく、三次元の不規則な曲げまたは捩じりへの応力を緩和することが
できる。また、フィルムの箇所によって模様の異なる領域を複数有していてもよい。例え
ば、フィルムの角部と中央部とで模様を異ならせて、1枚のフィルムに2種類の模様を設
けてもよく、さらに3種以上の模様を設けてもよい。また、曲げられる部分のみに凹部や
凸部を設けてもよく、その他の部分は平坦な面を有するフィルムでもよい。また、凹部や
凸部の形状は特に限定されない。
【0092】
フィルムの凹部または凸部は、プレス加工、例えばエンボス加工により形成される。エン
ボス加工によりフィルム表面(または裏面)に形成された凹部または凸部は、フィルムを
封止構造の壁の一部とする空間の容積が可変な閉塞空間を形成する。この閉塞空間は、フ
ィルムの凹部または凸部が蛇腹構造、ベローズ構造となって形成されるとも言える。フィ
ルムを用いる封止構造により防水及び防塵の効果がある。また、プレス加工の一種である
エンボス加工に限らず、フィルムの一部に浮き彫り(レリーフ)が形成できる手法であれ
ばよい。また、それらの組み合わせ、例えばエンボス加工と、他のプレス加工とを1枚の
フィルムに対して行ってもよい。また、複数回のエンボス加工を1枚のフィルムに行って
もよい。
【0093】
本実施の形態では、模様を有する金属フィルム11を用意し、模様を有する金属フィルム
11を中央で折り曲げて2つの端部を重ね、3辺を接着層で封止する構造とする。
【0094】
模様を有する金属フィルム11を袋状とし、中に収容する内容物は、実施の形態1と同じ
であるため、ここでは説明を省略する。内容物は、開口部を有する正極集電体、セパレー
タ、開口部を有する負極集電体、電解液などである。
【0095】
模様を有する金属フィルム11以外は、実施の形態1に示した手順に従って、二次電池4
1を作製することができる。また、その二次電池41を集電体の開口部付近で折り曲げた
状態の写真図を
図2(A)に示す。また、その模式図を
図2(B)に示す。また、
図2(
B)中の端面の領域は熱圧着領域17であり、その部分にも表面に凹凸を有する模様を有
する。中央部に比べると熱圧着領域17の凹凸は小さいが、二次電池を曲げた時に加わる
応力を緩和することができる。
【0096】
また、二次電池41は、外装体の少なくとも一部にエンボス加工がなされているため、曲
がる箇所である集電体の開口部付近だけでなく、全体的に曲げることができる。ただし、
集電体の開口部付近の曲がる箇所が最も曲率半径の小さい曲げに対応することができ、そ
の他の領域は、集電体の開口部付近の曲がる箇所よりは曲率半径の大きくなる曲げに対応
できる。即ち、二次電池41は、二次電池40に比べて滑らかに曲がった形状とすること
ができ、外部の応力が加えられた際に外部の応力を二次電池全体で緩和することができる
。
【0097】
本実施の形態は実施の形態1と自由に組み合わせることができる。
【0098】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1とは熱圧着領域17の面積が異なる例を示す。
【0099】
実施の形態1では、二次電池の周縁部のみを熱圧着することで封止を行う例を示したが、
本実施の形態では、二次電池を曲がる箇所で曲げを繰り返した場合に内容物の重なり方が
ずれないように集電体の開口部付近も熱圧着する例を示す。
【0100】
熱圧着領域17以外の構成は、実施の形態1と同じため、本実施の形態では詳細な説明は
省略することとする。
【0101】
【0102】
金属フィルムを袋状とし、中に収容する内容物は、実施の形態1と同じであるため、ここ
では説明を省略する。内容物は、開口部20を有する正極集電体、開口部を有するセパレ
ータ、開口部を有する負極集電体、電解液などである。
【0103】
実施の形態1に示した手順に従って、電解液を金属フィルム10が袋状となった内側に滴
下する。そして真空引き、加熱および加圧を行いながら、熱圧着をせずに残していた金属
フィルム10の周縁の残りの一辺を封止する。さらに、開口部20と重なる領域も熱圧着
を行い、二次電池42を作製することができる。
【0104】
正極集電体の開口部20と重なる領域にはセパレータの一部が金属フィルムの接着層と熱
圧着によって固定される。セパレータの開口は、正極集電体の開口部20よりも面積が小
さく、集電体の開口部の周縁の内側にセパレータの開口周縁が配置されている。セパレー
タの開口と重なる領域は、上側の金属フィルムの接着層と、下側の金属フィルムの接着層
とが直接接して熱圧着されるため、厚さが薄い領域となっており、二次電池の周縁部の熱
圧着領域とほぼ同じ厚さとなっている。
【0105】
また、正極集電体の2つの開口部20の間には正極集電体とセパレータと負極集電体とが
重なった状態で熱圧着されているため、開口部よりも厚さが厚くなっている。
【0106】
本実施の形態は実施の形態1または実施の形態2と自由に組み合わせることができる。
【0107】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1とはリード電極の場所や集電体形状が異なる一例を示す
。また、二次電池の曲がる箇所に緩衝材を用いる例を示す。なお、実施の形態1と構成が
同じ部分には同じ符号を用い、詳細な説明は省略することとする。
【0108】
図4(A)に二次電池43の構成の一例を示す。本実施の形態では、二次電池43の曲が
る箇所で曲率半径が3mmとなるように設計する例である。
【0109】
図4(A)では、選択的に負極活物質層19を形成した負極集電体14上に正極集電体1
2を配置する。なお、負極集電体14と正極集電体12の間に設けるセパレータは図示し
ていない。
【0110】
図4(B)は、選択的に負極活物質層19を形成した負極集電体14の上面図を示してい
る。
【0111】
また、
図4(C)は、開口部20を有している正極集電体12の上面図を示している。な
お、開口部付近の正極活物質層は設けられておらず、正極活物質層の端面は点線で示して
いる。正極集電体12の開口部20は、負極集電体の開口部よりも面積が大きい構成とし
ている。正極集電体12の開口部20を負極集電体の開口部よりも面積が大きい構成とす
ることで開口部で熱圧着させる際に、外装体の表面に段差が大きくなって外装体が破れな
いように断面構造が階段状になるようにしている。二次電池の容量を大きくするため、正
極と負極の組み合わせを多く積層する場合には、特に有用である。
【0112】
図4(A)では、熱圧着領域17は大きく4つに分けることができる。一つ目は、周縁部
分の第1領域、二つ目は、封止層15を有するリード電極16と重なる第2領域、三つ目
は、開口部20と重なる第3領域17a、四つ目は、2つの開口部の間の第4領域17b
である。
【0113】
また、第3の領域17a及び第4の領域17bに重なる位置に緩衝材30を設ける。即ち
、緩衝材30は、曲がる箇所に設ける。緩衝材30を設け、
図4(A)中の鎖線A1-A
2で切断した断面模式図が
図5(A)に相当する。
【0114】
緩衝材30は、円柱状の樹脂または円柱状のゴムまたは円柱状の金属を用いる。円柱状に
限定されず、二次電池の曲がる箇所が急峻な角度で折りまがらないような形状であればよ
く、楕円柱状、半円柱状、三角柱状、四角柱状、五角柱状、六角柱状などが挙げられる。
また、軽量化のため、緩衝材30は多孔質材料で構成してもよく、内部が中空である円筒
状とすることが好ましい。また、緩衝材30の長さは、二次電池を折り曲げた状態で突出
しない長さにすればよく、緩衝材の長さを短くする場合には複数箇所に複数の緩衝材を設
ければよい。
【0115】
図5(A)に示すように第1領域と第3領域17aはほぼ同じ厚さt1である。なお、第
3領域17aにおいてセパレータ13が存在していてもよく、その場合には第3領域17
aは、第1領域よりも厚くなる。
【0116】
また、
図5(A)及び
図5(C)に示すように第3領域17aまたは第4領域17bの幅
は、第1領域の幅(約3mm)よりも広く、本実施の形態では約10mmとする。
【0117】
また、
図5(B)は、二次電池43を集電体の開口部を結ぶ線で折り曲げ、コンパクトな
形状とした状態の断面模式図である。
図5(B)に示すように曲げることを想定して第3
領域17aまたは第4領域17bの幅を決定する。本実施の形態では、二次電池43の曲
がる箇所で曲率中心1800からの曲率半径が3mmよりも小さくならないように設計す
るため、緩衝材30の直径を約6mmとし、第3領域17aまたは第4領域17bの幅を
約10mmとしたが、特に限定されない。
【0118】
また、緩衝材30を設け、
図4(A)中の鎖線A3-A4で切断した断面模式図が
図5(
C)に相当する。熱圧着領域17の第4の領域17bを切断した断面模式図とも言える。
【0119】
第4の領域17bの厚さt2は、第1の領域及び第2の領域よりも厚い。
図5(C)では
、第4の領域17bにおいて負極集電体14、セパレータ13、正極集電体12が積層さ
れている。負極集電体14と正極集電体12の短絡を防ぐためにセパレータ13を間に挟
んでおくことは重要である。
【0120】
また、二次電池43において最も厚い領域は、金属フィルム10、負極集電体14、負極
活物質層19、セパレータ13、正極活物質層18、正極集電体12を含み、それらの合
計厚さt3であり、本実施の形態では厚さt3は約3mmである。
【0121】
曲がる箇所に緩衝材30を取り付けた二次電池43の写真を
図6(A)及び
図6(B)に
示す。
【0122】
図6(A)は上面から撮影した写真図であり、
図6(B)は、二次電池の曲がる箇所で曲
げた状態で撮影した写真図である。
【0123】
実際に作製し、直径6mmの緩衝材によって外装体が曲率半径3mmを維持することを確
認できている。緩衝材30を設けることで、緩衝材がない場合に比べて曲がる箇所が決め
られた位置となり、必要以上に急な角度で折り曲げられることを防止することができる。
【0124】
また、
図5(D)には、二次電池がフレキシブルな表示パネルと重なるように配置させた
状態の断面模式図を示す。二次電池を曲げることによってフレキシブルな表示パネルも追
随するように曲げることができる。なお、フレキシブルな表示パネルは、二次電池よりも
曲がりやすく、曲率半径2mmにて10万回の折り曲げ動作に耐えられる。フレキシブル
な表示パネルは非常に薄いため、支えるための支持板などの支持部材があったほうがよく
、その役目を本実施の形態に示した二次電池が担うことができる。
【0125】
図5(D)には、外形寸法が異なる基板111と基板121と、この2枚の基板を貼り合
わせる接着層120と、FPC(Flexible printed circuit)
や、TCP(Tape Carrier Package)などの外部電極124のみを
図示し、簡略な図面を図示したが、
図10にフレキシブルな表示パネルの詳細な断面図を
示す。
【0126】
図10に示す表示パネル100は、表示領域131、および回路133を有する。また、
表示パネル100は、電極115、EL層117、電極118を含む発光素子125と、
端子電極216を有する。発光素子125は、表示領域131中に複数形成されている。
また、各発光素子125には、発光素子125の発光量を制御するトランジスタ232が
接続されている。
【0127】
端子電極216は、異方性導電接続層123を介して外部電極124と電気的に接続され
ている。また、端子電極216の他の一部は回路133と電気的に接続されている。
【0128】
回路133は、複数のトランジスタ252により構成されている。回路133は、外部電
極124を介して供給された信号を、表示領域131中のどの発光素子125に供給する
かを決定する機能を有する。
【0129】
トランジスタ232およびトランジスタ252は、ゲート電極206、ゲート絶縁層20
7、半導体層208、ソース電極209a、ドレイン電極209bを有する。
【0130】
半導体層208としては、非晶質半導体、微結晶半導体、多結晶半導体等を用いて形成す
ることができる。例えば、非晶質シリコンや、微結晶ゲルマニウム等を用いることができ
る。また、炭化シリコン、ガリウム砒素、酸化物半導体、窒化物半導体などの化合物半導
体や、有機半導体等を用いることができる。
【0131】
また、半導体層208として酸化物半導体を用いる場合は、半導体層208側に酸化物絶
縁層を設けることで、ゲート絶縁層207と半導体層208の界面における欠陥準位を低
減することが可能である。この結果、電気特性の劣化の少ないトランジスタを得ることが
できる。なお、半導体層208として酸化物半導体を用いる場合は、酸化物絶縁層として
、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む酸化物絶縁層を用いて形成すると
、ゲート絶縁層207と半導体層208の界面における欠陥準位をさらに低減することが
可能であるため好ましい。
【0132】
また、ソース電極209a、およびドレイン電極209bと同じ層に、配線219が形成
されている。また、トランジスタ232およびトランジスタ252上に絶縁層210が形
成され、絶縁層210上に絶縁層211が形成されている。また、電極115が絶縁層2
11上に形成されている。電極115は、絶縁層210および絶縁層211に形成された
開口を介してドレイン電極209bに電気的に接続されている。また、電極115上に隔
壁114が形成され、電極115および隔壁114上に、EL層117および電極118
が形成されている。
【0133】
また、表示パネル100は、接着層120を介して基板111と基板121が貼り合わさ
れた構造を有する。
【0134】
また、基板111の一方の面には、接着層112を介して絶縁層205が形成されている
。また、基板121の一方の面には、接着層142を介して絶縁層145が形成され、絶
縁層145を介して遮光層264が形成されている。また、基板121の一方の面には、
絶縁層145を介して着色層266、オーバーコート層268が形成されている。
【0135】
絶縁層205は下地層として機能し、基板111や接着層112などから、トランジスタ
や発光素子への水分や不純物元素の拡散を防止、または低減することができる。絶縁層1
45は下地層として機能し、基板121や接着層142などから、トランジスタや発光素
子への水分や不純物元素の拡散を防止、または低減することができる。
【0136】
絶縁層205及び絶縁層145は、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化窒化シリコン、窒
化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、または窒化酸化アルミニウ
ム等を、単層または多層で形成するのが好ましい。絶縁層205及び絶縁層145は、ス
パッタリング法やCVD法、熱酸化法、塗布法、印刷法等を用いて形成することが可能で
ある。
【0137】
基板111および基板121としては、有機樹脂材料などの可撓性を有する材料などを用
いることができる。表示パネル100はトップエミッション構造の表示装置であり、基板
121としてEL層117から射出される光を透過できる材料を用いる。
【0138】
また、基板111および基板121として用いる材料の機械的強度が低すぎる場合、表示
パネル100の作製時に基板が変形しやすくなるため、歩留まりの低下など、生産性低下
の一因となる。一方で、基板111および基板121として用いる材料の機械的強度が高
すぎる場合は、表示装置が屈曲しにくくなってしまう。材料の機械的強度を表す指標の一
つにヤング率がある。基板111および基板121に好適な材料のヤング率は、1GPa
(1×109Pa)以上100GPa(100×109Pa)以下、好ましくは2GPa
以上50GPa以下、より好ましくは2GPa以上20GPa以下である。なお、ヤング
率の測定は、ISO527、JISK7161、JISK7162、JISK7127、
ASTMD638、ASTMD882などを参考にして行うことができる。
【0139】
基板111および基板121の厚さは、5μm以上100μm以下が好ましく、10μm
以上50μm以下がより好ましい。また、基板111または基板121の一方、もしくは
両方を、複数の層を含む積層基板としてもよい。
【0140】
基板111および基板121は、互いに同じ材料で同じ厚さとすることが好ましい。ただ
し、目的に応じて、互いに異なる材料や、異なる厚さとしてもよい。
【0141】
基板111および基板121に用いることができる、可撓性及び可視光に対する透光性を
有する材料の一例としては、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレー
ト樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、
ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリアミド樹脂、シクロオレフィ
ン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリテトラフ
ルオロエチレン(PTFE)などがある。また、光を透過させる必要がない場合には、非
透光性の基板を用いてもよい。例えば、基板111または基板121として、アルミニウ
ムなどを用いてもよい。
【0142】
また、基板111および基板121の熱膨張係数は、好ましくは30ppm/K以下、さ
らに好ましくは10ppm/K以下とする。また、基板111および基板121の表面に
、予め窒化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜や窒化アルミニウム膜等の窒素を含む膜のよ
うな透水性の低い保護膜を成膜しておいても良い。なお、基板111および基板121と
して、繊維体に有機樹脂が含浸された構造物(所謂、プリプレグとも言う)を用いてもよ
い。
【0143】
このような基板を用いることにより、割れにくい表示装置を提供することができる。また
は、軽量な表示装置を提供することができる。または、屈曲しやすい表示装置を提供する
ことができる。
【0144】
また、
図10では、トランジスタ232としてボトムゲート型のトランジスタの一種の例
を示したが、特に限定されず、チャネル保護型のトランジスタや、トップゲート型のトラ
ンジスタを用いることもできる。
【0145】
また、基板111上にトランジスタ232を形成する方法は特に限定されない。例えば、
ガラス基板上に剥離層を形成し、その上にトランジスタ232及び発光素子125を形成
した後、剥離層を用いてガラス基板を除去して基板111を接着層112で固定する方法
がある。この場合の剥離層としては、タングステン、モリブデン、チタン、タンタル、ニ
オブ、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミ
ウム、イリジウム、シリコンから選択された元素、または元素を含む合金材料、または元
素を含む化合物材料を用いて形成することができる。また、これらの材料を単層又は積層
して形成することができる。なお、剥離層の結晶構造は、非晶質、微結晶、多結晶のいず
れの場合でもよい。また、剥離層を、酸化アルミニウム、酸化ガリウム、酸化亜鉛、二酸
化チタン、酸化インジウム、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、またはInG
aZnO(IGZO)等の金属酸化物を用いて形成することもできる。
【0146】
また、基板111上にトランジスタ232を形成する他の方法としては、ガラス基板上に
ポリイミド樹脂などの樹脂材料からなる剥離層を形成し、その上にトランジスタ232及
び発光素子125を形成した後、レーザー光処理などの熱処理を行ってガラス基板を除去
して基板111を接着層112で固定する方法もある。
【0147】
また、トランジスタ232の作製プロセス温度が基板111の耐熱温度よりも低い場合に
は、基板111上に剥離層を用いることなくトランジスタ232を形成してもよく、その
場合には、剥離工程を行わないため接着層112は不要であり、作製工程を大幅に短縮で
きる。
【0148】
本実施の形態では、二次電池を2つ折りとし、それに追随するフレキシブル表示パネルを
設ける例を示したが、特に限定されず、
図8(C)及び
図8(D)に示した3つ折りの二
次電池にフレキシブル表示パネルを設けることもでき、その場合には3つ折りフレキシブ
ル表示パネルと重なる3つ折りの二次電池が実現でき、表示パネルの曲げと二次電池の曲
げとを追従させた電子デバイスを提供できる。
【0149】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組みわせることができる。
【0150】
(実施の形態5)
図9(A)に示すパーソナルコンピュータ2800は、筐体2801、筐体2802、
表示部2803、キーボード2804、及びポインティングデバイス2805等を有する
。筐体2801の内側に二次電池2806を備え、筐体2802の内側に二次電池280
7を備える。また表示部2803には、タッチパネルが適用されている。パーソナルコン
ピュータ2800は、
図9(B)に示すように筐体2801と筐体2802を取り外し、
筐体2802のみでタブレット端末として使用することができる。
【0151】
また筐体2802の表示部2803にはフレキシブルディスプレイが適用されている。
フレキシブルディスプレイは、実施の形態4に示す表示パネルを用いることができる。さ
らに二次電池2807には、曲げることが可能な二次電池が適用されている。曲げること
が可能な二次電池としては、実施の形態1乃至4のいずれか一に示した二次電池を用いれ
ばよい。これにより、
図9(C)に示すように、筐体2802を折り曲げて使用すること
ができる。このとき、
図9(C)に示すように、表示部2803の一部をキーボードとし
て使用することもできる。
【0152】
また、
図9(D)に示すように表示部2803が内側になるように筐体2802を折り
畳むことや、
図9(E)に示すように表示部2803が外側になるように筐体2802を
折り畳むこともできる。
【符号の説明】
【0153】
10 金属フィルム
11 模様を有する金属フィルム
12 正極集電体
13 セパレータ
14 負極集電体
15 封止層
16 リード電極
17 熱圧着領域
17a 第3領域
17b 第4領域
18 正極活物質層
19 負極活物質層
20 開口部
30 緩衝材
40 二次電池
41 二次電池
42 二次電池
43 二次電池
100 表示パネル
111 基板
112 接着層
114 隔壁
115 電極
117 EL層
118 電極
120 接着層
121 基板
123 異方性導電接続層
124 外部電極
125 発光素子
131 表示領域
133 回路
142 接着層
145 絶縁層
205 絶縁層
206 ゲート電極
207 ゲート絶縁層
208 半導体層
209a ソース電極
209b ドレイン電極
210 絶縁層
211 絶縁層
216 端子電極
219 配線
232 トランジスタ
252 トランジスタ
264 遮光層
266 着色層
268 オーバーコート層
1700 曲面
1701 平面
1702 曲線
1703 曲率半径
1704 曲率中心
1800 曲率中心
1801 フィルム
1802 曲率半径
1803 フィルム
1804 曲率半径
1805 内容物
2800 パーソナルコンピュータ
2801 筐体
2802 筐体
2803 表示部
2804 キーボード
2805 ポインティングデバイス
2806 二次電池
2807 二次電池