(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】基板両面検査装置、及びその基板検査方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
G01R31/00
(21)【出願番号】P 2022046566
(22)【出願日】2022-03-23
【審査請求日】2022-11-05
(73)【特許権者】
【識別番号】710008198
【氏名又は名称】西川 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】西川 秀雄
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-38926(JP,A)
【文献】特開2010-169651(JP,A)
【文献】特開2020-201283(JP,A)
【文献】特開2000-55971(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気回路が配線された複数の検査端子を両面に有する基板の電気特性を検査する基板両面検査装置において、
前記複数の検査端子にプローブを導電接触させる交換可能な上側及び下側検査治具と、
前記検査治具を設置し移動させる検査治具移動部と、
基板載置部を有し当該基板載置部に載置された前記基板を支持する基板支持部材を有する基板載置台と、
前記基板載置部に載置された前記基板を保持する基板保持部と、自身に対する上方向及び下方向の測定対象物の変位量をそれぞれ測定する上方向及び下方向変位センサと、を有し、保持された前記基板を、前記検査治具により検査する検査スポットへ、XY方向に搬送する搬送テーブルと、
前記基板と前記検査治具のXYZ位置とXY平面内の傾きとをXYZ方向の制御座標上に位置認識することにより、前記検査スポットにおいて、前記検査治具移動部を駆動することにより前記基板と前記上側及び下側検査治具とを整合させる制御装置と、を備え、
前記下方向変位センサは、(1)前記基板を支持するときの前記基板支持部材の前記基板載置部の変位量を測定することにより第1測定値を得ることと、(2)前記搬送テーブルの変位量を測定することにより第2測定値を得ることと、(3)前記下側検査治具の変位量を測定することにより第3測定値を得ることと、が可能であり、
前記上方向変位センサは、(4)前記搬送テーブルの変位量を測定することにより第4測定値を得ることと、(5)前記上側検査治具の変位量を測定することにより第5測定値を得ることと、が可能であり、
前記制御装置は、(i)前記第1測定値により前記基板載置部のZ座標値を校正することと、(ii)校正された前記基板載置部のZ座標値と、前記第1測定値から前記第3測定値までの変位量とにより、前記下側検査治具のZ座標値を校正することと、(iii)校正された前記基板載置部の前記Z座標値と、前記第1測定値から前記第2測定値までの変位量と前記第4測定値から前記第5測定値までの変位量との和とにより、前記上側検査治具のZ座標値を校正することと、を行い、それにより前記検査スポットにおいて、前記基板保持部により保持される前記基板の高さと、前記上側及び下側検査治具の高さとを、前記基板両面検査装置の経時的機械誤差を解消して整合させる、基板両面検査装置。
【請求項2】
前記下方向変位センサは、下方向に光ビームを照射し反射光を捉えることにより、自身に対する前記下方向の測定対象物の変位量を測定するセンサであり、前記搬送テーブルに載置された第1反射板の変位量を測定することにより間接的に、前記搬送テーブルの変位量を測定し、それにより前記第2測定値を得ることが可能であり、
前記上方向変位センサは、上方向に光ビームを照射し反射光を捉えることにより、自身に対する前記上方向の測定対象物の変位量を測定するセンサであり、前記搬送テーブルに設置され前記搬送テーブルよりも高い部材に載置された第2反射板の変位量を測定することにより間接的に、前記搬送テーブルの変位量を測定し、それにより前記第4測定値を得ることが可能である、請求項1に記載の基板両面検査装置。
【請求項3】
前記制御装置は、記憶媒体を有し、
前記記憶媒体は、前記搬送テーブルに載置される第1反射板の前記搬送テーブルに対する変位量である第1反射板変位量と、前記搬送テーブルに設置された前記部材に載置される第2反射板の前記搬送テーブルに対する変位量である第2反射板変位量とを、記憶可能であり、
前記制御装置は、
前記記憶媒体が記憶する前記第1反射板変位量と、前記下方向変位センサが測定した前記第1反射板の変位量と、の和を計算することにより、前記第2測定値を得ることと、
前記記憶媒体が記憶する前記第2反射板変位量と、前記上方向変位センサが測定した前記第2反射板の変位量と、の和を計算することにより、前記第4測定値を得ることと、を更に行う、請求項2に記載の基板両面検査装置。
【請求項4】
前記搬送テーブルと相対移動して、自身に対する測定対象物のZ軸方向の変位量を測定する基板Z変位センサを更に備え、
前記基板Z変位センサは、(6)前記搬送テーブルの変位量を測定することにより第6測定値を得ることと、(7)前記基板保持部により保持された前記基板の複数部位の変位量を測定することにより複数の第7測定値を得ることと、が可能であり、
前記制御装置は、
(iv)校正された前記基板載置部の前記Z座標値と、前記第1測定値から前記第2測定値までの変位量と、前記第6測定値から前記複数の前記第7測定値までの変位量との和とにより、前記基板の前記複数部位のZ座標値を取得し、
取得された前記基板の前記複数部位のZ座標値が、所定の基準を充足しないときに、前記基板の位置又は姿勢が異常である、と判断し、前記検査スポットにおける前記上側及び下側検査治具による前記基板の検査を中止させる、請求項1から3のいずれかに記載の基板両面検査装置。
【請求項5】
請求項3に記載の基板両面検査装置を用いて基板の電気特性を検査する基板両面検査方法であって、
前記記憶媒体に、前記第1反射板変位量と、前記第2反射板変位量とを、記憶させることと、
前記搬送テーブルに前記第1反射板を載置し
、前記下方向変位センサにより、載置された前記第1反射板の前記変位量を測定させることと、
前記搬送テーブルに設置された前記部材に前記第2反射板を載置し
、前記上方向変位センサにより、載置された前記第2反射板の前記変位量を測定させることと、を備える、基板両面検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の電気特性を両面から複数のプローブを当接して検査する上下の検査治具の垂直方向の検査時の位置を定める基板両面検査装置、及びその基板検査方法に関する。
【0002】
尚、この発明は、プリント配線基板に限らず、例えば、多層配線基板、ガラス基板、セラミック基板、及び半導体パッケージ基板や種々の平板状の基板を電気検査する際に適用できる。この明細書では、それら種々の基板を総称して「基板」と称する。
【背景技術】
【0003】
近年、プリント配線基板の微細、高密度に対応して検査点の増加した電気検査が定在化している。多数の微細な検査端子にプローブを両面から同時に導電接触させて検査を実施するために基板と検査治具を整合させる光学的位置合せは基板検査装置の要件になっている。この光学的位置合せはXYΘ軸方向の整合であって、これに加えてZ軸方向の実測と位置制御が重要になっている。
【0004】
図2(b)に示す様に、基板の両面から電気検査時に基板の両面に複数のプローブ31の荷重の不均等なストレスが上下から掛かることから基板保持の位置、及びプローブの導電接触に影響する状況にある。この複数のプローブの形態には、縦型のプローブと、斜め角度のカンチレバー型(IC)プローブの2つのタイプがある。本願では、マトリスク配置が容易な前者の縦型プローブを使用した検査治具の導電接触を対象にしている。
この基板両面の電気検査時の検査治具のZ軸の制御に関する先行技術に次のものがある。
【0005】
特許文献1の回路基板検査装置では、回路基板Pを保持する上下動が可能な回路基板保持手段21を下面側から移動手段6によって、押圧部材33が配設された弾性部材31(ピンプローブ)を有する第1の検査用治具3を移動させると共に、上面側の弾性部材41(ピンプローブ)を有する第2の検査用治具4を押圧移動する。回路基板Pが両検査用治具3,4の弾性部材(ピンプローブ)31、41によって押圧されて、回路基板Pに接触するように構成されている。
【0006】
これは、下側の検査用治具3の押圧移動に合せて、ピンプローブ31、回路基板保持手段21、回路基板P、ピンプローブ41、上側の検査用治具4が押圧にて連動して移動し基板両面に両側ピンプローブ31、41が同時に回路基板Pに接触させられるため、回路基板Pおよびピンプローブ31、41の破損を防止する。又、1つの押圧の移動手段6を配設すれば良く、装置のコストダウンを図っている。
しかし、回路基板Pなどの押圧による複数の上下移動が有り、その機構精度を要しする。又、回路基板保持手段21の複数の配置には好ましくない。
【0007】
特許文献2のプリント配線板の導通検査装置及び導通検査方法では、
図1の回転テーブル200の定角度に設けられた基板を保持する基板治具201~206と,搬入する搬入ステージ21と,ズレ量を求める画像処理ステージ22と、導通検査を行なう検査ステージ23,24と、搬出ステージ25、26とを有し,かつ基板を保持する基板治具201~206は少なくとも搬入ステージ21,画像処理ステージ22及び検査ステージ23,24の数に応じた数が配置されている。
これは、回転テーブル200にて、プリント配線板の搬入工程、位置ズレ量検出工程、検査工程、搬出工程を並列、同時に行い、工程の所要時間を短くすることで高速検査をしている。
【0008】
又、検査対象のプリント配線板1について、段落0085に「
図6(a)(b)に示すごとく,表面及び裏面に多数の半田バンプ43,半田ボール41が設けてある。各半田バンプ43間の間隔は非常に狭く0.15~0.20mm程度、半田バンプ43の直径は0.08~0.13mm程度である。また,各半田ボール41間の間隔も非常に狭く0.1mm程度,直径も0.2mm程度と小さい。」とICパッケージ基板の検査端子のフリップチップ式の接合端子(FC)とボールグリッドアレー(BGA)の特徴が示されている。
これに対し、プリント配線板1は画像処理ステージ22にて位置ズレ量を認識し、チェッカーヘッドの位置は段取り工程にて、導通検査においてXYΘ軸を単位移動した各点の導通信号と非導通信号の検出結果から、導通信号の中心位置を認識しておいて、両者を位置決めしている。
しかし、検査時の位置ズレ量(ΔXYΘ)の補正であってZ軸方向の記載はない。
【0009】
特許文献3の基板検査装置のアライメント方法では、検査治具のZ方向に沿った高さに関する高さ入力情報と、レーザ変位計等の基板表面位置検出部24,25により、被検査基板の表裏面の位置を検出した実測Z位置情報とに基づいて、被検査基板に対して上下検査治具を移動し接触させる際の上下検査治具のZ方向の移動距離を決定する段階を備えている。
【0010】
そして、上下検査治具のZ方向の移動距離を最適な値に設定でき、上下検査治具の検査ピン131、141を被検査基板2の検査点に安定して接触させることができる。と記載されている。
しかし、検出した被検査基板2の表裏面の実測Z位置情報と、入力登録された高さ情報との相互の位置関係が、経時的に適性であるか不明である。
【0011】
特許文献4の検査装置では、第一測距センサ11で計測した基板100の上面101までの距離である第一基板距離Db1と、第二治具32の検査面32Pまでの距離である第二治具距離Dj2と、に基づいて、第二治具32と上面101との距離である第二距離D2を算出し、第二測距センサ12で計測した下面102までの距離である第二基板距離Db2と、第一治具31の検査面31Pまでの距離である第一治具距離Dj1と、に基づいて、第一治具31と下面102との距離である第一距離D1を算出し、第一距離D1及び第二距離D2に基づいて、第一治具31及び第二治具32の、基板100に対する変位量を設定している。
この構成によれば、検査治具と被検査基板との実測の距離に基づいて各検査治具を被検査基板に近接させる際の変位量(移動量)を設定することができるため、高い検査精度を確保することが可能となる。
【0012】
しかし、測距センサ11、12を検査治具31、32に装着して、検査位置において、基板の表裏と対向検査治具までの距離を計測し、移動量(差)を演算し、移動して電気検査をしているので検査時間が長くなる。
図2の様な同じ回路パターンが多数ある多面取りシート状の基板に適するが、上述のICパッケージ基板などの高速検査を要する量産個辺の基板には適さない。
上記の様に検査前に検査治具と基板のZ軸方向の位置を変位センサ、測距センサにて実測する等、基板に検査治具を位置合せ(XYΘZ位置)する手段に各種の工夫がなされているが、改善の余地はある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開1999-344539号公報
【文献】特開2001-235507号公報
【文献】特開2013-164381号公報
【文献】再表2019/130952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
先行技術の特許文献1の物理手段、特許文献2の高速検査、特許文献3、4の距離センサでの実測と異なった特徴が有る。そして、それぞれ一長一短がある。本願は検査対象とする基板を量産するICパッケージ基板などの個辺の平板型の基板に適する高速の全自動基板両面検査装置を主な対象とする。
高速の全自動基板両面検査装置は、基板をハンドリングする装置本体の構成を、回転テーブルに作業工程を割り当てて、各作業工程を並列的な同時に行う構成が好ましい。
【0015】
検査対象のICパッケージ基板の特徴は、表面にICチップと接続する微細なFCボンディング端子(フリップチップ端子)がマトリクス状にある。裏面はBGAがマトリクス状に略全面にあり、外形は4辺形で50ミリ角以下が多い。
本発明は、上記の観点から、上下の検査治具の複数のプローブが適性な荷重を基板の検査端子に付勢し導電接触する基板両面検査を実現する。そして、大量の個辺の平板型の基板の電気特性を保証する基板両面検査装置、及びその基板両面検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の手段は、電気回路が配線された複数の検査端子を両面に有する基板の電気特性を検査する基板両面検査装置において、複数の検査端子にプローブを導電接触させる交換可能な上側及び下側検査治具と、検査治具を設置し移動させる検査治具移動部と、基板載置部を有し当該基板載置部に載置された基板を支持する基板支持部材を有する基板載置台と、基板載置部に載置された基板を保持する基板保持部と、自身に対する上方向及び下方向の測定対象物の変位量をそれぞれ測定する上方向及び下方向変位センサと、を有し、保持された基板を、検査治具により検査する検査スポットへ、XY方向に搬送する搬送テーブルと、基板と検査治具のXYZ位置とXY平面内の傾きとをXYZ方向の制御座標上に位置認識することにより、検査スポットにおいて、検査治具移動部を駆動することにより基板と上側及び下側検査治具とを整合させる制御装置と、を備え、下方向変位センサは、(1)基板を支持するときの基板支持部材の基板載置部の変位量を測定することにより第1測定値を得ることと、(2)搬送テーブルの変位量を測定することにより第2測定値を得ることと、(3)下側検査治具の変位量を測定することにより第3測定値を得ることと、が可能であり、上方向変位センサは、(4)搬送テーブルの変位量を測定することにより第4測定値を得ることと、(5)上側検査治具の変位量を測定することにより第5測定値を得ることと、が可能であり、
制御装置は、(i)第1測定値により基板載置部のZ座標値を校正することと、(ii)校正された基板載置部のZ座標値と、第1測定値から第3測定値までの変位量とにより、下側検査治具のZ座標値を校正することと、(iii)校正された前板載置部のZ座標値と、第1測定値から第2測定値までの変位量と第4測定値から第5測定値までの変位量との和とにより、上側検査治具のZ座標値を校正することと、を行い、それにより検査スポットにおいて、基板保持部により保持される基板の高さと、上側及び下側検査治具の高さとを、基板両面検査装置の経時的機械誤差を解消して整合させる、基板両面検査装置。
【0017】
本発明の第2の手段は、第1の手段において、下方向変位センサは、下方向に光ビームを照射し反射光を捉えることにより、自身に対する下方向の測定対象物の変位量を測定するセンサであり、搬送テーブルに載置された第1反射板の変位量を測定することにより間接的に、搬送テーブルの変位量を測定し、それにより第2測定値を得ることが可能であり、上方向変位センサは、上方向に光ビームを照射し反射光を捉えることにより、自身に対する上方向の測定対象物の変位量を測定するセンサであり、搬送テーブルに設置され前記搬送テーブルよりも高い部材に載置された第2反射板の変位量を測定することにより間接的に、搬送テーブルの変位量を測定し、それにより第4測定値を得ることが可能である、請求項1に記載の基板両面検査装置。
【0018】
本発明の第3の手段は、第2の手段において、制御装置は、記憶媒体を有し、記憶媒体は、搬送テーブルに載置される第1反射板の搬送テーブルに対する変位量である第1反射板変位量と、搬送テーブルに設置された部材に載置される第2反射板の搬送テーブルに対する変位量である第2反射板変位量とを、記憶可能であり、制御装置は、記記憶媒体が記憶する第1反射板変位量と、下方向変位センサが測定した第1反射板の変位量と、の和を計算することにより、第2測定値を得ることと、記憶媒体が記憶する第2反射板変位量と、上方向変位センサが測定した第2反射板の変位量と、の和を計算することにより、第4測定値を得ることと、を更に行う。
【0019】
本発明の第4の手段は、第1乃至3の何れかの手段において、搬送テーブルと相対移動して、自身に対する測定対象物のZ軸方向の変位量を測定する基板Z変位センサを更に備え、基板Z変位センサは、(6)搬送テーブルの変位量を測定することにより第6測定値を得ることと、(7)基板保持部により保持された基板の複数部位の変位量を測定することにより複数の第7測定値を得ることと、が可能であり、制御装置は、(iv)校正された基板載置部の前記Z座標値と、第1測定値から第2測定値までの変位量と、第6測定値から複数の第7測定値までの変位量との和とにより、基板の複数部位のZ座標値を取得し、取得された基板の複数部位のZ座標値が、所定の基準を充足しないときに、基板の位置又は姿勢が異常である、と判断し、検査スポットにおける上側及び下側検査治具による基板の検査を中止させる。
【0020】
本発明の第5の手段は、第3の手段を用いて基板の電気特性を検査する基板両面検査方法であって、記憶媒体に、第1反射板変位量と、第2反射板変位量とを、記憶させることと、搬送テーブルに第1反射板を載置し、前記下方向変位センサにより、載置された第1反射板の前記変位量を測定させることと、搬送テーブルに設置された部材に第2反射板を載置し、上方向変位センサにより、載置された第2反射板の変位量を測定させることと、を備える、基板両面検査方法。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1の手段に依れば、基板載置部に載置された基板を基板保持部に保持し搬送する搬送テーブルに上下方向変位センサが設置されている。自動検査前に下方向変位センサが基板載置部の変位量を測定した第1測定値を、制御座標のZ軸の座標値の所定の基準値(例えば原点の値「0」)とするなど、第1測定値により基板載置部のZ座標値の校正がなされる。校正された基板載置部のZ座標値と、第1測定値から第3測定値までの変位量により、下側検査治具のZ座標値が校正される。また、校正された基板載置部のZ座標値と、第1測定値から第2測定値までの変位量と第4測定値から第5測定値までの変位量との和と、により、上側検査治具のZ座標値が校正される。本手段は、それにより、検査スポットにおいて、基板保持部により保持される基板の高さと、上側及び下側検査治具の高さとを、整合させる構成となっている。このため、機構本体の経時変化にも、適時の基板載置部と上下の検査治具の自動測定にて得た第1、3、5測定値によって、Z座標値の校正を行うことにより、対処が出来る。それにより、経時的に高信頼性の電気検査が実現する。
【0022】
本発明の第2の手段に依れば、搬送テーブルに上下方向変位センサが固定設置されており、更に自動検査前に、光ビームが通過する所定位置(固有値)に反射板を載置することで、間接的に第2、4測定値(実変位量)の取得を可能にしている。この変位センサ自身(測定中心)の設置位置(実測の変位量)は変位センサの規格値(準固定値)となる。上下方向変位センサの設置状態が変わらなければ、第2、4測定値は変位センサの規格内の準機械定数の設置定数として扱える。
これで、個別の上下方向変位センサの上下方向を連結して、上下方向の測定対象物を連続して測定可能にしている。
【0023】
本発明の第3の手段に依れば、制御装置は記憶媒体(記憶部)を有して、上下方向変位センサが測定する反射板の固有の変位量(厚さ第1反射板変位量と部材高さ第2反射板変位量=固有値、オフセット値)を記憶可能であり、記憶された値に基づき、和を計算することにより搬送テーブルとの実変位量(実数値、準固定値)の第2、4測定値12fを更に得ている。これで搬送テーブルから基板(基板載置部)と上下の検査治具までの実測値の差(間隔、Z座標値)が判る。
【0024】
本発明の第4の手段に依れば、搬送テーブルと相対移動する基板Z変位センサは、搬送テーブル(既定値)の測定から第6測定値と、基板保持部により保持された基板を測定することにより複数の第7測定値と、を取得している。これにより基板の保持状態が制御座標のXYZ軸上に3次元で判る。所定の基準を充足しない異常の時は、基板に上下の検査治具が当接することを回避して、基板と複数のプローブなど機構本体の破損事故を防止している。
【0025】
本発明の第5の手段に依れば、上下方向変位センサが間接的に搬送テーブルを測定する方法は、反射板の第1反射板変位量と第2反射板変位量と(固有値)を、予め記憶媒体に記憶させ、第1、2反射板を載置し測定する工程である。これで、上下方向変位センサ自身(測定中心)の実変位量(第2、4測定値)を定めている。固定された設置状態が変わらなければ、頻繁に実施を要しない準固定値の設置定数として扱える。
本発明の手段別に発明の効果を述べたが、共通した特定事項は他の手段にも同様の効果がある。又、相互に作用していることがある。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の基板両面検査装置の機構本体を説明する上面図である。
【
図2】
図2(a)は、基板の載置時に基板保持部の当接部材が側面から保持した正面図である。
図2(b)は、基板を上下の検査治具の複数のプローブが付勢する直前の正面図である。
【
図3】
図3(a)は、上下方向変位センサの上面からの説明図である。
図3(b)は、上下方向変位センサの正面からの説明図である。
【
図4】
図4は、基板Z変位センサと基板カメラの正面からの説明図である。
【
図5】
図5は、検査治具の側面図と部分拡大の説明図である。
【
図6】
図6は、使用するプローブの荷重とストロークの説明図である。
【
図7】
図7は、複数の変位センサが認識したZ座標値の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、添付図面に基づいて、本発明の望ましい実施形態に係る基板両面検査装置、及び基板両面検査方法について説明を行う。
[実施の形態1]
【0028】
図1は実施の形態1の基板両面検査装置1の機構本体10の構成を示す上面図である。基板2を搬送する搬送テーブル12には、回転テーブル12Rを採用しているので、基板2を保持する基板保持部4が回転中心のXY直交軸上に4つと、その間に上下のZ軸方向の対物との変位量(距離)を測定する上下変位センサ8T、8Bと測定方向を上下にする45度ミラー82が固定設置されている。基板2は側面を4方向から基板保持部4の当接部材46に側面を付勢されて所定位置に保持されている、
図2(a)。
図2(b)では、両面から複数の導電プローブ31が上下から導電接触する構成となっている。機構本体10のXY直交軸上には、基板2を搬入し載置する基板搬入部J1、基板2の位置(XYΘZ)を認識する位置認識部J2、電気特性を検査する電気検査部J3、基板2を搬出する基板搬出部J4が配置されて基板の自動検査工程を構成している。各部J1~J4は、基板搬入等の各処理が行われる場所を表す。なお、電気検査が行われる場所である電気検査部J3は、本発明の「検査スポット」と同義である。
連続自動検査をするには、基板搬入部J1の左側矢印側に基板搬入機と、基板搬出部J4の右側矢印側に基板搬出機を配置するのが好ましい。
【0029】
基板両面検査装置1の自動電気検査の主な作業工程JOBは、
図1、
図2(a)、(b)を参照。
JOB1・基板搬入部J1において、基板2を搬入し基板載置台14の上下移動部14Zが機械定位置に上昇する。手動又は自動の吸着ハンド105が基板2を基板載置台14に設置された基板支持部材141に載置して、基板保持部4の当接部材46が基板2の側面を機械的な所定位置に付勢し保持する基板搬入工程。
【0030】
JOB2・回転テーブル12Rが90度回転し、位置認識部J2にはカメラ移動部15XYが配置されており、制御装置11はカメラ15が回転テーブル12Rと相対移動するXY方向の制御座標(基準座標)112の原点から1対の基板位置マーク2a、2bを位置認識し基板2の位置であるXY方向の位置と傾き(XYΘ)の光学的位置認識と、カメラ15と併設された基板Z変位センサ8Cにて基板2の表面のZ座標値を認識する基板の位置認識工程(XYΘZ)。
【0031】
JOB3・回転テーブル12Rが回転移動する間に、制御装置11は基板2と検査治具3の位置を整合させる光学的位置合せ補正(ΔXYΘ)を完了し、電気検査位置(XYΘ)となる。
図2(b)に示す、検査治具移動部13(XYΘZ)のZ軸にて待機のZ座標値から上下移動して、上下の検査治具3T、3Bの複数のプローブ31が基板2の検査端子201に導電接触する。テスター110が電気検査を実行し完了すると、検査治具3は上下の待機位置に戻る検査工程。
【0032】
JOB4・最後に回転テーブル12Rは回転移動し、基板搬出部J4にて基板2を搬出する基板搬出工程となる。
基板2の搬送が回転テーブル12Rであるので、JOB1からJOB3の工程を連続して繰り返すことになる。この場合、基板保持部4を4つ配置し4工程を連続し同時にすることになる。これで、基板2の高速の電気検査をしている。そして、このためには自動検査の前に段取り作業を要する。
【0033】
この段取り作業は、基板搬入部J1において、
図2(a)の基板2を載置する基板支持部材141を基板載置台14の所定位置(中央)に設置する。基板支持部材の厚さ141t(機械定数)は所定の誤差内にあって、4側面は基板保持部4の当接部材46と干渉しない基板2より小さな外寸になっている。
載置した基板底面2Bfの位置をZ軸の基板基準面145とすると、基板載置台14の基板支持部材の上面が基板載置面141fとなるので、その制御座標(基準座標)112(XYZ)のZ座標値Zfが(後述する)判れば、基板の厚さ2h(基板検査データ)から基板の表面2fのZ座標値が判ることになる。これに加えて、上下の検査治具の表面3Tf、3DfのZ座標値Zfが(後述する)判れば、検査時の上下の検査治具3T、3BのZ軸方向の位置制御は定まることになる。基板2は基板保持部4に保持(XYΘZ)されて位置認識部J2、電気検査部J3に移動する。なお、基板載置面141fは、本発明の「基板載置部」の一具体例である。
【0034】
位置認識部J2には、カメラ移動部15XYが配置されており、制御装置11はカメラ15をXY方向に相対移動して搬送テーブル12のテーブル位置マーク121から制御座標(基準座標)112の原点(XY)を定めている。検査時の基板2の位置は1対の基板位置マーク2a、2bの位置認識にて判ることになる。
検査治具3の位置(XYΘ)は、例えば、サンプル基板2Sに貼り付けた感圧シートの検査治具3T、3Dの圧接時の複数の圧接位置マークをカメラ15にて位置認識することで間接的に判る。他にも各種の手段の開示(先行技術の特許文献2、3)が有り詳細な説明はしない。これで、基板2と検査治具3との位置ズレ量(ΔXYΘ)が判り、検査時に検査治具移動部13を相対移動し整合位置に補正するXY平面の光学的位置合せを行う。
又、カメラ15と併設された基板Z変位センサ8Cは、搬送テーブル表面12fと基板表面2f等のZ位置を測定ができる。
【0035】
本願発明の搬送テーブル12Rに固定設置された上下方向変位センサ8T、8Bを
図1、2、3、7において詳細に説明する。この変位センサ8は
図3の・印のレーザダイオードがレーザ光を発光し、2点鎖線で示す光線の測定物での拡散反射光を定位置に配置の(CMOS)センサが受光することで測定中心距離からの変位量を測定している。例えば、測定中心距離85mmを中心に測定範囲±20mm内の変位量(距離)を測定する。この測定値(変位量の直線性、分解能)は製品規格の精度がある。レーザ光の強度は安全規格のクラス1で通常の使用で人に障害はない。
【0036】
図3において、回転テーブル12Rに固定設置された上下方向変位センサ8T、8Bと測定方向を上下に変える45度ミラー821がある。下方向変位センサ8Bは、回転テーブル12Rの上面に固定設置されて、レーザ光は45度ミラーベース821に固定された45度ミラー82BでマイナスZ軸方向に進行し、Z測定窓128を通過し測定物に反射した拡散反射光を(CMOS)センサが受光する。測定範囲(85±20mm)に測定物が入る位置に各々が固定設置されている。
上方向変位センサ8Tも同様に、レーザ光は45度ミラー82TでプラスZ軸方向に進行し、測定物に反射した拡散反射光を(CMOS)センサが受光する。
図3(b)、
図7に2点鎖線の細線で極性と変位量を示している。
これで、測定物の表面の基板支持部材の基板載置面141f、基板載置台14f、回転テーブル12Rf、上下の検査治具3Tf、3Bfを直接に、回転テーブル12Rfは間接に測定する。
【0037】
回転テーブル12Rが回転移動し、上下方向変位センサ8T、8Bが基板載置台14の真上に位置し、基板載置台14の上下移動部14Zを上昇させて基板2の載置時の機械位置を定める。基板載置台14の上昇時の停止Z位置は機構本体10の機械端面などで再現性がある。この基板2の載置時のZ位置は基板支持部材141の上面141f(基板載置面)となる。基板の底面2Bfと同じになり、制御座標112のZ軸の基準位置145、原点Z0に好ましい。
図2(a)において、基板載置台14に基板支持部材141が設置されており、
図7の下方向変位センサ8Bが認識する基板の載置時の制御座標112のZ座標値141Zf=0をZ軸原点としている。
変位センサ8が測定する変位量は測定中心距離(変位量=0)からの回転テーブル12R±変位量であり、Z座標値Zfに校正する補正式の例を以下に示す。
図7を参照。
【0038】
式1・基板載置面=141f=14f+141h(基板支持部材141の高さ)
下方向変位センサ8Bが基板支持部材141fを測定した変位量の第1測定値をZ座標値=0に校正するには、下方向変位センサ8Bの第1補正値を加算する。又、基板載置台14f+141h(機械定数)=141fも同じになる。
式2・141Zf=(-1*)下方向変位センサ141fの第1測定値+第1補正値=0
となる。符号の(-1*)は下変位センサの測定方向を示している。式2から、
式3・下方向変位センサの第1補正値=基板支持部材141fの第1測定値
これで、下方向変位センサ8Bは対物の測定値を校正してZ座標値に認識すること(校正されたZ座標値)になる。
回転テーブル12Rfは、直接に測定が出来ないので、
図3、7において、所定精度の厚さ1mmの反射板83を回転テーブル12上の45度ミラー82Bの直下に載置して測定した第2変位量に反射板の厚さ83h(第1反射板変位量、機械定数)を減算し、第1補正値を加算した値が校正されたZ座標値となる。
式4・12Zf=-1*反射板83fの第2変位量-第1反射板変位量+第1補正値
ここで、(-1*反射板83fの第2変位量-第1反射板変位量)の第2測定値12fは記憶部115に記憶されて下方向変位センサ8Dが搬送テーブル12fに固定設置された固定定数として扱える。
【0039】
回転テーブル12Rの制御座標112のZ座標値12Zfは、上方向変位センサ8Tも同じであるので、反射板83を45度ミラーベース821(高さ20mm=第2反射板変位量、機械定数)の45度ミラー82Tの直上に載置し測定した第4変位量に45度ミラーベースの高さ821h(第2反射板変位量)を減算し、上方向変位センサの第4補正値を加算した値が校正されたZ座標値になる。
式5・12Zf=(第4変位量83Df-第2反射板変位量)+第4補正値
式6・第4補正値=12Zf-(第4変位量83Df-第2反射板変位量)
式7・12Zf=第4測定値12f+第4補正値
(反射板83Dfの第4変位量-第2反射板変位量)の第4測定値12fは記憶部115に記憶されて上方向変位センサ8Tが搬送テーブル12fに固定設置された固定定数として扱える。
これで、上下方向変位センサ8T、8Bにて測定範囲内の上下の対物のZ座標値が認識できる。
回転テーブル12Rが回転移動し、上下方向変位センサ8T、8Bが電気検査部J3に位置すれば、上下の検査治具3T、3BのZ座標値Zfで認識することが出来る。
【0040】
この回転テーブル12RのZ座標値12Zfは、基板Z変位センサ8Cも同じであるので、
式8・12Zf=基板Z変位センサの(-1*第6測定値12f+第6補正値)
式9・第6補正値=12Zf+基板Z変位センサの第6測定値
となる。纏めると、校正されたZ座標値Zfは、
式10・対物のZ座標値Zf=Z変位センサの測定値+Z変位センサの補正値(Z軸原点と測定中心との差)となる。
【0041】
本願事例で具体的に計算する。
図7に制御座標112上のZ軸のZ座標値Zfの状態を示している。制御装置11の記憶部115に記憶されたデータは、
機械定数の基板支持部材の高さ141h=10.00mm、反射板の高さ83h(第1反射板変位量)=1.00mm、45度ミラーベース(部材)の高さ821h(第2反射板変位量)=20.00mmと、基板検査データの基板の厚さ2h=1.20mmであった。
下方向変位センサ8Bが測定した基板支持部材の第1測定値141f(=第1変位量)は=-7.01mmであった。Z座標値Zf=0に変換する下方向変位センサ8Bの第1補正値は、式3から、
式11・第1補正値=141fの第1測定値=-7.01
回転テーブル12Rfの第2変位量83f=-16.01mmであった。式4から、
式12・回転テーブル12RZf=-1*(-16.01)-1.00-7.01=8.00mm
【0042】
上方向変位センサ8Tの第4補正値は、測定した第4変位量83f=-18.02mmであった。式6から、
式13・第4補正値=12Zf-第4変位量83Df+第2反射板変位量
=8.00-(-18.02―20.00)=46.02
基板Z変位センサ8Cの第6補正値は、測定した第6測定値12f=4.95mmであった。式9から、
式14・第6補正値=12Zf+第6測定値12f
=8.00+4.95=12.95
これで、対物の表面fのZ位置は、複数の変位センサ8T、8D、8Cで校正されたZ座標値Zfを認識が出来るので、数値のみで表示する。
【0043】
下側検査治具の表面3BZfは、電気検査部J3において、下側検査治具3Bを-20.00に設定(駆動)し、測定した3BZf=-20.01であった。又、-5.00に設定し、測定した8BZf=-5.01であった。これから制御装置11のZ軸の制御式
式15・3BZf=a*設定値+b
から、下側検査治具3Bの制御係数(制御定数b)に-0.01加算し、再測定した8BZf=-5.00、-20.00に設定した8BZf=-20.00となったので、校正を完了し下側検査治具3Bの検査時のZ座標値=0.00=基板載置面に設定する。
【0044】
上側検査治具の表面3TZfは、上側検査治具3Tを50.00に設定し、測定した8TZf=50.05であった。又、30.00に設定し、測定した8TZf=30.01であった。これから、上側検査治具3Tの制御係数aに0.998掛け、bに-0.05加算し、再測定した8BZf=30.00となり、50.00に設定した8TZf=50.00となったので校正を完了し、上側検査治具3Tの検査時の基板の表面2Tfと当接するZ座標値=基板の厚さ2h=1.20に設定する。(自動化が可能)
これで、制御装置11は制御座標112上のZ軸に基板2と検査治具3を認識し制御(Z)することになる。そして、XY平面はカメラ15の位置ズレ量(ΔXYΘ)認識から、基板検査部J3において基板2と検査具3T、3Bを整合(XYΘZ)させて当接することになる。
【0045】
本基板両面検査装置1の計測、制御と検査の運用ステップS0の概略は、
S1・基板両面検査装置1の機構本体10の状態を認識する。
定期点検として実施する項目で、テスター等の測定精度を標準器に基づいて校正又は補正し、検査装置の規格精度を維持する。機構本体10は、複数の移動部の制御量と認識した移動量が一致する様に、所定精度のゲージ板などで、機械定数又は制御係数を補正・校正し、制御装置11の記憶部115に記憶する。
S2・被検査基板2の検査に関するデータをセットする。
被検査基板の検査データを入力し、基板サイズ、厚さなど検査に関するデータを記憶部115に格納する。
【0046】
S3・該当の検査治具3を設置する。
被検査基板2に合せた複数のプローブ31が配置された上下検査治具3を検査治具移動部13にセットする。
S4・基板保持部4を被検査基板2に合せてセットする。
基板外形サイズより小さい基板支持部材141を基板載置台14にセットし、次に、基板2が所定の基板保持位置(XYΘZ)になる様に基板2の側面に当接部材46を付勢、当接させて基板保持部4にセットする。
【0047】
S5・機構本体10の各移動部XYΘZ現在状態を認識し、自動補正する。
カメラ15が基準(テーブル位置マーク121)、下方向変位センサ8Dが基板支持部材141fを認識し制御装置11の制御座標112(XYZ座標)の原点を定める。
複数の変位センサ8D、8T、8Cは反射板83を使用し搬送テーブル12fを測定し、搬送テーブル12Zfが同じになる様に現在状態を認識する。作業者が操作パネルの表示と指示の対話で行われる。自動補正が可能な範囲は自動補正される。異常状態が検出されたら表示される。これで、制御座標112(XYZ)上に測定対象物を校正された座標値として認識することになる。
【0048】
S6・検査治具3の位置(XYΘZ)認識をする。
制御装置11は、カメラ15にて間接に検査治具3の位置(XYΘ)を位置認識する。上下の検査治具3Tf、3Dfを複数のZ位置に制御、移動し、上下方向変位センサ8T,8Dにて測定し、Z座標値Zfと一致させる。これで、段取り作業工程が完了する。
【0049】
S7・基板2を載置し検査スタートする。
自動モードでは、基板2を自動搬入する自動検査スタートとなる。
S8・基板2を位置認識し位置合せ(ΔXYΘ)を含む相対移動する。
基板2が基板支持部材141に載置されて、基板保持部4は基板2を水平に保持(XYΘZ)し、回転テーブル12Rが90度回転する。基板2はカメラ15にて1対の基板位置マーク2a、2bを、基板Z変位センサ8Cにて基板表面2Zfを位置認識する。続いて、回転テーブ12Rは90度回転する。この回転動作中に制御装置11は、基板との位置づれ(ΔXYΘ)の補正を完了する。
S9・検査治具3をプレスし検査する。
上下の検査治具3T、3Bは、基板Z変位センサ8Cの基板表面2Zfの認識が所定範囲内の状態にて、電気検査のZ位置に移動し、電気検査をスタートし完了で、待機位置に戻る。
S10・回転テーブルは90度回転して基板2を搬出する。
【0050】
被検査基板2の種類が変わる機種変更のセットアップは、S2からS10を行い電気検査がPASSであれば、連続自動検査をスタートすることになる。連続自動検査のサイクルはS7からS10を繰り返すことになる。S1は定期点検として実施される。
連続自動検査は、スタートして検査基板2が無くなるまで数日に渡り連続して行われることがある。この場合に、ステップS5、6の工程の所定部分を時間、検査枚数などの所定条件毎に自動で行うことが好ましい。機構本体11は3次元の機械構造体で温度変化などに依り複数の移動部などの制御座標軸上(XYΘZ)位置が経時変化することを経時的に補正することで、検査の信頼性を維持する。
【0051】
自動補正で行うステップS5、6の工程のZ座標値Zfに関する所定部分は、下方向変位センサ8Bで基板支持部材141f又は基板載置台14fを、上下方向変位センサ8T、8Dで上下の検査治具3Tf、3Dfの複数のZ位置を測定する。反射板83の使用(手動)を要しない。これで、回転テーブル12Rfと基板の底面の基板載置面(基準面)145と上下の検査治具3Tf、3Dfとの経時的な変化が判り、自動補正が出来る。基板Z変位センサ8Cも回転テーブル12Rfを測定することで同様に自動補正が出来る。
[実施の形態2]
【0052】
検査対象のICパッケージ基板の複数の検査端子201に導電接触するプローブ31の特性について説明する。
図6にプローブ31の押込み量=先端のストローク=撓み変位量(mm)に対する荷重(gf)を示している。マトリスク配置の最少ピッチから屈曲特性のワイヤプローブ31Wが基板上面のFC端子と、圧縮コイルばねのスプリングプローブ31Sが基板底面のBGAと導電接触に好ましい。
【0053】
図5、6に示す、スプリングプローブ31Sは、最小ピッチ、荷重、撓み変位量、初期荷重、先端形状などによる各種のプローブが市販されている。又、必要仕様の特注でプローブも製作可能である。基本構成はプローブ本体部313の圧縮コイルばねの弾性特性(荷重/変位量=ばね定数)で、
図6の実線の太線の特性を示す。可動の両側端部311、312に荷重を掛けて案内孔351から突起して初期荷重がある。
例えば、使用荷重は約10から100gf、ストロークは約1から3mm、初期荷重は約10から50gf、最小ピッチは約0.5から1.0mmの市販がある。
【0054】
屈曲特性のワイヤプローブ31Wは、呼び名がバックリングビームプローブ、屈曲プローブ、ワイヤプローブなど複数名ある。
図6の実線の細線の特性を示す。垂直方向に荷重を掛けると弾性特性で撓むことでプローブ本体部313が屈曲し全長が縮む形態のプローブである。材質、針径と長さで特性が定まる。プローブ本体部313は絶縁コーティングされている。押し込み始めると撓み(屈曲し)始め、押込み量を増すと荷重(付勢力)は限界(飽和曲線)になり、撓み(屈曲)は進行する。撓みが弾性限界を超えると変形(損傷)するので、使用時はプローブ保持体35(物理保護枠)に実装する。特徴は微細ピッチでマトリスク配置が出来る。
例えば、使用荷重は約1.2~20gf、ストロークは約0.07~0.3mm、初期荷重は通常0gf、最小ピッチは約0.04~0.15mmがある。針径は0.02~0.11mm、長さは10~30mmの市販がある。
【0055】
図5に基づいて、プローブ31を実装する検査治具3の構成を説明する。治具ベース板301が検査治具移動部13の機械的位置に設置される。治具ベース板301のコネクタ304がテスター110の出力と接続される。コネクタ304から電極板303に配線305されて端部が電極306である。これを電極体300としている。電極板303の支持板302で検査治具の高さ3Hを定めている。
プローブ保持体35は、プローブ31の基端部312を電極306と同軸とする基端板352が電極板303に連結されている。先端311を検査端子201に案内する先端板351の案内孔310でプローブ31の両端部を摺動可能に保持する。基端板352と先端板351は間隔部材353で連結されている。
【0056】
上述から、上側検査治具3Tは複数のワイヤプローブ31Wを、下側検査治具3Dは複数のスプリングプローブ31Sをプローブ保持体35に装備している。その他の構成は上下の検査治具3T、3Dは同様である。
上下のプローブ31W、31Sには、荷重特性、撓み変位量(突起量)に大きな違いがあることが
図6から判る。下側のスプリングプローブ31Sに対して、上側のワイヤプローブ31Wは配置ピッチに比例して突起量、荷重が小さいことである。
これはプローブ31Wの導電接触には不利な特性(5gf以下など)である。基板保持部4に保持されたFC端子がある基板2に当接する上側検査治具3Tが適正な位置(XYΘ)と位置(Z)が重要なことが判る。
[その他の実施の形態]
【0057】
3つの変位センサ8の実施の形態を説明したが、2つの変位センサ8D、8Tで実施しても良い。検査時の基板の表面2Zfは(Z0+基板の厚さ2h)となることから、基板の厚さ2h=検査データの基板の厚さ2hデータを採用すると基板Z変位センサ8Cは無くて装置本体10が簡素になる。下側変位センサ8Dは適時に基板支持部材141Zfを認識できるので、141Zf=0のZ軸原点で運用が出来る。
【0058】
Z座標値の原点0を基板の載置時の基板支持部材の表面141fとしたが、搬送テーブルの表面12fとしても良い。第1補正値と第4補正値が変わる(移動する)だけで、基板支持部材の表面141fとの差は同じである。Z座標値の認識手段(補正算式)は基本的に同じである。
又、上側変位センサ8Tの測定値から第1補正値を定めても良い。下側変位センサ8Dは第4補正値となる。
【0059】
同様に基板Z変位センサ8Cの測定値から第1補正値を定めても良い。搬送テーブルの表面12fが基準面のZ座標値=0のZ軸原点として第1補正値は定まり、上下方向Z変位センサ8T、8Dの第4、6補正値も定まる。補正値を定める手順と数値が変わるだけで、補正の算式は基本的に同じである。これで、基板2Zf、上下の検査治具の表面3TZf、3DZfが間接的に実測できる。
【0060】
上下方向変位センサ8D、8Tの固定設置の方向又は位置(配置)を変えても良い。固定設置するベース(搬送テーブル12)が同じであれば、第1補正値と第4補正値が変わるだけである。基板Z変位センサ8C(15XY)も同様である。
【0061】
搬送テーブル12に回転テーブル12Rを説明したが、XY搬送テーブル12XYを使用しても良い。
図1の機構本体10の配置と構成が変わるが、制御装置11の制御座標112上にはXYΘZ軸を制御と認識が出来る。同様にXY搬送テーブル12XYを2つ配置も出来る。
又、平板の基板2に複数の独立基板2N(パターン)が有っても良い。搬送テーブル12と相対移動するカメラ15と検査治具3のXY移動範囲内で有れば、独立基板2N毎に認識、整合、検査が出来る。
【0062】
実施の形態2において、上側検査治具3Tにワイヤプローブ31Wの使用を説明したが、スプリングプローブ31Sを採用しても良い。スプリングプローブ31Sの微少ピッチ化と低荷重化も進んでいる。
又、同様に、下側検査治具3Dにワイヤプローブ31Wを採用しても良い。
【0063】
機構本体10は、絶対的機械精度を経時的に維持することには困難がある。カメラ15(XYΘ)と変位センサ8(Z)の位置認識(XYΘZ)にて、自動検査スタート時などの所定の条件毎に、自動で所定位置を認識し、既存の設定値との差異をチェックして自動補正、警告などを行い基板両面検査装置1の位置合せ(XYΘZ)精度を維持する構成は電気検査の信頼性に好ましい。
【0064】
本発明の特定の実施形態についての上述の説明は、例示を目的として提示したものである。記載に前後はあるがそれらは、網羅的であったり、記載した形態そのままに本発明を制限したりすることを意図したものではない。数多くの変形や変更が、上述の記載内容に照らして可能であることは当業者に自明である。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の基板両面検査装置は、両面プリント配線基板、ICパッケージ、IC等の個別の平板型の電子部品の両面に備えられた複数の検査端子にプローブを同時に導電接触させる通電装置全般に用いることができる。
【符号の説明】
【0066】
1・基板両面検査装置 10・機構本体、装置本体 11・制御装置 112・制御座標、基準座標 115・記憶部 12・搬送テーブル 12R・回転テーブル 13・検査治具移動部 14・基板載置台 14Z・上下移動部 141・基板支持部材 141f・基板載置面(基板載置部) 145・基板基準面 15・カメラ 15XY・カメラ移動部 2・基板 201・検査端子 3・検査治具、上下の検査治具 31・プローブ 31S・スプリングプローブ 31W・ワイヤプローブ 310・案内孔 4・基板保持部 46・当接部材 8・変位センサ、上下方向変位センサ 8B・下方向変位センサ 8T・上方向変位センサ 8C・基板Z変位センサ 821・45度ミラーベース、部材 83・反射板 J1・基板搬入部 J2・位置認識部 J3・電気検査部(検査スポット) J4・基板搬出部