(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】空気清浄装置
(51)【国際特許分類】
F24F 8/167 20210101AFI20231030BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20231030BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20231030BHJP
A61L 9/20 20060101ALI20231030BHJP
A61L 9/00 20060101ALI20231030BHJP
B01J 35/02 20060101ALI20231030BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20231030BHJP
F24F 13/02 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
F24F8/167
F24F8/22
F24F8/80 130
A61L9/20
A61L9/00 C
B01J35/02 J
F24F13/28
F24F13/02 A
(21)【出願番号】P 2022073722
(22)【出願日】2022-04-27
【審査請求日】2022-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000226242
【氏名又は名称】日機装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【氏名又は名称】伊藤 温
(74)【代理人】
【識別番号】100135862
【氏名又は名称】金木 章郎
(72)【発明者】
【氏名】山口 楓太
(72)【発明者】
【氏名】村田 浩貴
(72)【発明者】
【氏名】木内 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 真也
(72)【発明者】
【氏名】池田 翔馬
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 隼人
【審査官】中村 泰三
(56)【参考文献】
【文献】特開平01-139139(JP,A)
【文献】特開2006-223939(JP,A)
【文献】特開2001-009017(JP,A)
【文献】特開2005-131553(JP,A)
【文献】特開2003-230806(JP,A)
【文献】特開平10-114504(JP,A)
【文献】特開2003-251147(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00-22
B01D 53/86-90、94
B01J 35/02
B60H 3/00
F24F 8/00-99、13/00-32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光触媒を担持させた光触媒フィルタであって、気流の上流から下流に向かって延在し、上流側端部と下流側端部とを有
し、互いに離隔して配置される2つの光触媒フィルタと、
前記光触媒フィルタに向かって紫外光を発する紫外光光源と、
空気を上流から下流に向かって案内可能な壁部を有し、前記光触媒フィルタが収納される筐体であって、
前記2つの光触媒フィルタの間に形成されて空気が流動可能な第1の間隙部と、前記光触媒フィルタと向かい合う前記壁部と前記光触媒フィルタとの間に空気が流動可能な
第2の間隙部
とを有する筐体と、
前記上流側端部を前記筐体の壁部に接続し、前記上流側端部よりも上流から前記
第1の間隙部
及び第2の間隙部への空気の流入を防止する接続保持機構と、を備え
、
空気が、前記光触媒フィルタを通過することなく前記第1の間隙部を流動することで、第1の流路が形成され、
空気が、前記第1の間隙部から前記光触媒フィルタを通過して前記第2の間隙部を流動することで、第2の流路が形成される、空気清浄装置。
【請求項2】
前記紫外光光源は、第1の光源と、前記第1の光源と異なる第2の光源とを有し、
前記第1の光源を支持する第1の支持部材と、前記第2の光源を支持し前記第1の支持部材から離隔した第2の支持部材と、を更に備え、
前記第1の光源は、前記第1の支持部材と向かい合う第1の壁部に向かって紫外光を発し、
前記第2の光源は、前記第2の支持部材と向かい合う第2の壁部に向かって紫外光を発し、
前記第1の支持部材と前記第1の壁部との間に、及び前記第2の支持部材と前記第2の壁部との間に、紫外光が照射可能な照射可能領域が形成され、
前記第1の支持部材と前記第2の支持部材との間に、紫外光が照射困難な照射困難領域が形成される、請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項3】
前記筐体は、空気が入流する流入口と、前記流入口から流入した空気を流出させる流出口と、を有し、
前記筐体の流路断面積が前記流入口の流路断面積よりも大きい、請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項4】
前記上流側端部は、前記流入口と前記壁部との間で前記上流側の壁部に接続されている、請求項
3に記載の空気清浄装置。
【請求項5】
前記接続保持機構は、前記上流側端部又は前記光触媒フィルタを保持する保持体の上流側の端部を前記壁部に直接に連結する機構である、請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項6】
前記接続保持機構は、前記上流側端部又は前記光触媒フィルタを保持する保持体の上流側の端部と、前記壁部との間に介在し、前記保持体の上流側の端部と前記壁部とを連結する介在部材を有する機構であり、
前記介在部材が、前記
第1の間隙部
及び第2の間隙部への空気の流入を防止する、請求項1に記載の空気清浄装置。
【請求項7】
上流から下流に向かって空気を流動させる空気流発生部をさらに備える、請求項1又は
6に記載の空気清浄装置。
【請求項8】
前記第1の流路を流れる気流の流速が、前記紫外光光源から生ずる熱に基づく最小速度以上で、かつ、前記空気流発生部から生ずる騒音の許容騒音値に基づく最大速度以下である、請求項
7に記載の空気清浄装置。
【請求項9】
前記空気流発生部は、空気を、室内から上流に案内し前記第1の流路及び前記第2の流路を経て下流から室内に案内する、請求項
7に記載の空気清浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気を清浄にする空気清浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
空気を清浄化する技術として、殺菌や脱臭機能を有する光触媒フィルタを用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した技術は、光触媒フィルタを気流に対して垂直に配置するものであった。このため、フィルタによる圧力損失が大きく生じ、風量や風速が低下したり、騒音が生じやすくなったりしていた。
【0005】
本発明は、上述の点に鑑みてなされたものである。その目的は、フィルタによる圧力損失を小さくしつつ、空気を清浄化するための装置や構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による空気清浄装置の特徴は、
光触媒を担持させた光触媒フィルタであって、気流の上流から下流に向かって延在し、上流側端部と下流側端部とを有し、互いに離隔して配置される2つの光触媒フィルタと、
前記光触媒フィルタに向かって紫外光を発する紫外光光源と、
空気を上流から下流に向かって案内可能な壁部を有し、前記光触媒フィルタが収納される筐体であって、前記2つの光触媒フィルタの間に形成されて空気が流動可能な第1の間隙部と、前記光触媒フィルタと向かい合う前記壁部と前記光触媒フィルタとの間に空気が流動可能な第2の間隙部とを有する筐体と、
前記上流側端部を前記筐体の壁部に接続し、前記上流側端部よりも上流から前記第1の間隙部及び第2の間隙部への空気の流入を防止する接続保持機構と、を備え、
空気が、前記光触媒フィルタを通過することなく前記第1の間隙部を流動することで、第1の流路が形成され、
空気が、前記第1の間隙部から前記光触媒フィルタを通過して前記第2の間隙部を流動することで、第2の流路が形成される、ことである。
【発明の効果】
【0007】
フィルタによる圧力損失を小さくしつつ、空気を清浄化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に直接に接続する例を示す概念図である。
【
図2】右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に間接的に接続する例を示す概念図である。
【
図3】右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lの配置を示す概念図である。
【
図4】空気清浄装置10の全体を示す斜視図である。
【
図5】空気清浄化ユニット300の全体を示す斜視図である。
【
図6】光触媒フィルタ344並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置を示す断面図である。
【
図7】空気清浄装置10を流れる全体の空気の流れを示す概略図である。
【
図8】浄化区域140における空気の流れを示す図である。
【
図9】ファン162の風速(横軸)と、ファン162による騒音値(左縦軸)並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の温度(右縦軸)との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<<<<本実施の形態の概要>>>>
以下に、実施の形態について図面に基づいて説明する。
【0010】
<<<方向など>>>
<上流方向>
上流方向とは、空気などの流体の源に向かう方向である。例えば、上流方向は、空気などの流体の流れに逆らう方向である。
【0011】
<下流方向>
下流方向とは、上流方向とは反対の方向であり、空気などの流体の供給先に向かう方向である。例えば、下流方向は、空気などの流体の流れに従った方向である。
【0012】
<上下流方向>
上下流方向は、上流方向及び下流方向に沿った方向である。向きは問わず、上流方向及び下流方向に沿っていればよい。上流方向、下流方向及び上下流方向は、気流などの流体の流れを基準にした方向であり、左右方向でも上下方向でも水平方向でも垂直方向でも、その他の方向でもよい。
【0013】
<右方向、右側、右向きなど>
上流から下流に向かう方向を基準にして、右に向かう方向や側などである。
【0014】
<左方向、左側、左向きなど>
上流から下流に向かう方向を基準にして、左に向かう方向や側などである。
【0015】
<左右方向など>
左右方向は、右方向及び左方向に沿った方向である。向きは問わず、右方向及び左方向に沿っていればよい。
【0016】
<上方向、上側、上向きなど>
上方向は、後述する下方向と逆の方向であり、重力の方向と逆の方向である。
【0017】
<下方向、下側、下向きなど>
下方向は、重力の方向である。すなわち、下方向は、物体を吊り下げた糸の示す方向である。
【0018】
<上下方向>
上下方向は、上方向及び下方向に沿った方向である。向きは問わず、上方向及び下方向に沿っていればよい。
【0019】
<<<本実施の形態の概念>>>
<<第1の態様>>
第1の態様によれば、
光触媒を担持させた光触媒フィルタであって、気流の上流から下流に向かって延在し、上流側端部(例えば、後述する上流側端部370Rや上流側端部370Lなど)と下流側端部(例えば、後述する下流側端部380Rや下流側端部380Lなど)とを有する光触媒フィルタ(例えば、後述する光触媒フィルタ344(右側光触媒フィルタ344R、左側光触媒フィルタ344L)など)と、
前記光触媒フィルタに向かって紫外光を発する紫外光光源(例えば、後述する触媒活性用光源350(右側触媒活性用光源350Rや左側触媒活性用光源350L)及び不活化用光源360(右側不活化用光源360Rや左側不活化用光源360L)など)と、
空気を上流から下流に向かって案内可能な壁部を有し、前記光触媒フィルタが収納される筐体であって、前記光触媒フィルタと向かい合う前記壁部と前記光触媒フィルタとの間に空気が流動可能な間隙部を有する筐体(例えば、後述する筐体100など)と、
前記上流側端部を前記筐体の壁部に接続し、前記上流側端部よりも上流から前記間隙部への空気の流入を防止する接続保持機構(例えば、後述する閉塞板122やフィルタ用ガイドレール320やフィルタ用フレーム342などの筐体の壁部と光触媒フィルタとの接続に要する部材を有する機構など)と、を備える空気清浄装置が提供される。
【0020】
第1の態様による空気清浄装置は、光触媒フィルタと、紫外光光源と、筐体と、接続保持機構とを備える。
【0021】
光触媒フィルタは、光触媒を担持させている。光触媒フィルタは、気流の上流から下流に向かって延在して配置される。光触媒フィルタは、上流側端部と下流側端部とを有する。
【0022】
紫外光光源は、光触媒フィルタに向かって紫外光を発する。紫外光光源は、光触媒フィルタの光触媒を、紫外光の照射により活性化させたり、細菌及びウィルスを不活化させたりする。
【0023】
筐体は、壁部を有する。壁部は、流動する空気を上流から下流に向かって案内する。筐体は、光触媒フィルタを収納する。光触媒フィルタは、壁部と向かい合う。筐体は、壁部と光触媒フィルタとの間に空気が流動可能な間隙部を有する。
【0024】
接続保持機構は、上流側端部を筐体の壁部に接続する。上流側端部と筐体の壁部との接続により封止される。接続保持機構は、上流側端部よりも上流から間隙部への空気の流入を防止する。
【0025】
光触媒フィルタの上流側端部よりも上流で、空気を間隙部に直接に流入させないようにし、光触媒フィルタを介して空気を間隙部に流入させやすくする。空気を間隙部に流入させやすくすることで、光触媒フィルタを通過しやすくでき、細菌及びウィルスを光触媒フィルタに捕捉しやすくできる。
【0026】
図1~
図3は、前述した第1の態様の筐体及び光触媒フィルタの各種の配置を示す。なお、
図1~
図3では、紫外光光源を省略して示した。
図1~
図3では、紙面の左方向が上流方向を示し、右方向が下流方向を示す。紙面の上方向が左方向を示し、下方向が右方向を示す。
【0027】
<光触媒フィルタの直接的な接続>
図1は、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に直接に接続する例を示す概念図である。
【0028】
筐体部11には、流入管12と流出管16とが接続される。流入管12は、後述する吸気区域120に対応する。筐体部11は、後述する浄化区域140に対応する。流出管16は、後述する排気区域160に対応する。筐体部11は、流入管12と流出管16との間に位置する。流入管12の流入口12aは、後述する開口部124に対応する。筐体部11の断面積は、流入管12の流入口12aの断面積よりも大きい。断面積は、上流から下流に向かう気流の方向に対して垂直な面の面積である。筐体は、直方体形状や四角筒状の形状を有する。しかし、筐体の形状は、直方体形状に限らず、立方体形状や角筒状や円筒形状でも良く、側壁面と上流側壁面と下流側壁面が曲面で連なっている形状(角のない丸みを帯びた形状)でも良く、長手方向に湾曲した形状でもよい。
【0029】
図1に示すように、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lは、筐体部11に配置されている。筐体部11は、右側間隙部42R及び左側間隙部42Lを有する。右側間隙部42Rは、右側光触媒フィルタ44Rと筐体部11の右側壁部22Rとの間に形成される。左側間隙部42Lは、左側光触媒フィルタ44Lと筐体部11の左側壁部22Lとの間に形成される。
【0030】
図1(a)に示すように、右側光触媒フィルタ44Rの上流側端部37Rは、筐体部11の上流側の上流右側端部15Rに直接に接続されている。左側光触媒フィルタ44Lの上流側端部37Lは、筐体部11の上流側の上流左側端部15Lに直接に接続されている。
【0031】
図1(a)に示す例では、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lが、流入管12と面一に接続される。右側光触媒フィルタ44Rは、平坦接続プレート24によって流入管12と直接に接続される。左側光触媒フィルタ44Lは、平坦接続プレート24流入管12と直接に接続される。ネジなどの係止用部材(図示せず)を用いることで、平坦接続プレート24を、右側光触媒フィルタ44R及び流入管12に取り付け、左側光触媒フィルタ44L及び流入管12に取り付けることができる。この場合には、平坦接続プレート24が接続保持機構として機能する。
【0032】
また、右側光触媒フィルタ44Rは、L字接続プレート26によって筐体部11の上流右側端部15Rと直接に接続される。左側光触媒フィルタ44Lは、L字接続プレート26によって筐体部11の上流左側端部15Lと直接に接続される。ネジなどの係止用部材(図示せず)を用いることで、L字接続プレート26を、右側光触媒フィルタ44R及び上流右側端部15Rに取り付け、左側光触媒フィルタ44L及び上流左側端部15Lに取り付けることができる。この場合には、L字接続プレート26が接続保持機構として機能する。
【0033】
図1(b)に示す例では、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lが、流入管12に対して段差を有して接続される。
【0034】
右側光触媒フィルタ44Rは、2つのL字接続プレート26によって筐体部11の上流右側端部15Rと直接に接続される。左側光触媒フィルタ44Lは、2つのL字接続プレート26によって筐体部11の上流左側端部15Lと直接に接続される。ネジなどの係止部材(図示せず)を用いることで、2つのL字接続プレート26を向かい合わせて、右側光触媒フィルタ44R及び上流右側端部15Rに挟んで取り付け、左側光触媒フィルタ44L及び上流左側端部15Lに挟んで取り付けることができる。この場合には、2つのL字接続プレート26が接続保持機構として機能する。
【0035】
図1(a)及び(b)に示すように、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に直接に接続することで、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lの上流側端部よりも上流から空気を右側間隙部42R及び左側間隙部42Lに流入させないようにできる。上流からの空気を右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを介して、右側間隙部42R及び左側間隙部42Lに流入させやすくする。このように構成することで、細菌及びウィルスを右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lで捕捉しやすくできる。
【0036】
<光触媒フィルタの間接的な接続>
図2は、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に間接的に接続する例を示す。なお、
図2では、
図1と同じ構成については、同様の符号を付した。
【0037】
図2(a)は、上下流方向に垂直な板材28を接続保持機構として、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に接続する例である。
図2(b)は、上下流方向に平行な板材29を接続保持機構として、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に接続する例である。ネジなどの係止部材(図示せず)を用いることで、板材28や板材29を取り付けることができる。
【0038】
このように、板材28や板材29などの別の部材を介して、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを筐体部11に接続することもできる。このように構成しても、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lの上流側端部よりも上流から空気を右側間隙部42R及び左側間隙部42Lに流入させないようにできる。上流からの空気を右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lに通過させて、細菌及びウィルスを右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lで捕捉しやすくできる。
【0039】
<右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lの向き>
図1及び
図2では、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを互いに平行に、かつ、上流から下流に向かって配置する例を示したが、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lの配置は、これに限られない。
【0040】
図3(a)は、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lが下流に向かって互いに離れるように配置した例である。右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lによる圧力損失を小さくして、空気を円滑に下流に向かって案内することができる。
【0041】
図3(b)は、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lが下流に向かって互いに近づくように配置した例である。右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lに空気を通過させやすくできる。右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを通過させる空気を増やすことで、浄化される空気の量を増やすことができる。
【0042】
なお、
図3(a)及び(b)に示すように、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを、上流から下流に向かって対称に配置する場合だけでなく、非対称に配置してもよい。筐体部11内における空気の流量や流速の分布などに応じて、適宜に右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lの向きや配置や大きさ(長さや面積)などを定めればよい。また、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lの形状についても適宜変更可能であり、例えば、屈曲した形状や湾曲した形状にしても良い。右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lに空気を通過させやすくできる。
【0043】
前述した例では、右側光触媒フィルタ44Rを右側壁部22R側に配置し、左側光触媒フィルタ44Lを左側壁部22L側に配置して、右側光触媒フィルタ44Rと左側光触媒フィルタ44Lとを互いに向かい合わせに配置する例を示した。光触媒フィルタの配置は、これに限られない。例えば、上側壁部(図示せず)と向かい合う光触媒フィルタ(図示せず)や下側壁部(図示せず)と向かい合う光触媒フィルタ(図示せず)を設けてもよい。さらに、右側壁部22R側と左側壁部22L側と上側壁部と下側壁部との全体で四角柱状に形成したり囲繞したりするように光触媒フィルタを配置してもよい。
【0044】
前述した例では、上流から下流に向かう気流の方向に対して垂直な面の断面積が異なる例を示したが、断面積が同じ流路に右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを設けてもよい。この場合、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lが下流に向かって近づくように配置することができる。このように構成しても、右側光触媒フィルタ44R及び左側光触媒フィルタ44Lを通過する空気によって浄化することができる。
【0045】
<<<<本実施の形態による空気清浄装置10>>>>
図4は、空気清浄装置10の全体を示す斜視図である。
図5は、空気清浄化ユニット300の全体を示す斜視図である。
図6は、光触媒フィルタ344並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置を示す断面図である。
図7は、空気清浄装置10を流れる全体の空気の流れを示す概略図である。
図8は、浄化区域140における空気の流れを示す図である。
【0046】
<<<空気清浄装置10の構造>>>
空気清浄装置10は、浄化対象の部屋の空気を吸入して清浄化し、清浄化した空気を元の部屋に戻す。空気清浄装置10は、主に、天井裏などに設置される。空気清浄装置10は、建築時に予め天井裏などに設置しても、建築後に天井裏などに後から設置してもよい。
【0047】
<<<筐体100>>>
空気清浄装置10は、筐体100を有する。筐体100は、吸入した空気の流路を形成して、空気を案内するダクトとして機能する。
【0048】
筐体100は、略直方体で中空の一定の形状を有する。筐体100は、アルミやステンレスや鉄などの金属製の板状の部材によって構成される。なお、筐体100は、樹脂やガラスなどで構成されてもよい。筐体100は、紫外線などによる影響を受けにくいもので構成されればよい。筐体100は、後述する空気清浄化ユニット300を一定の位置に保持する。
【0049】
筐体100は、
上流壁部102Uと、
下流壁部102Dと、
右壁部102Rと、
左壁部102Lと、
上壁部102Tと、
下壁部102Bと、
を有する。上流壁部102Uと、下流壁部102Dと、右壁部102Rと、左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとによって、略直方体の外形が画定される。右壁部102Rと、左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとによって略四角柱状の形状が形成される。右壁部102R、左壁部102L、上壁部102T、下壁部102Bは、筐体100の側壁部を構成する。
【0050】
右壁部102Rと、左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとの内側面は、紫外光を反射する。左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとを構成する部材(例えば、アルミ材など)は、紫外光を反射する性質を有する。なお、右壁部102Rと、左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとの内側面に、紫外光を反射する塗料などを塗布してもよい。筐体100の内側で、紫外光(後述)を反射させることによって、複数回に亘って光触媒フィルタ344に紫外線を照射することができる。複数回の照射により、紫外光の照射による効率を高めることができる。光触媒フィルタ344については、後で説明する。
【0051】
筐体100は、主に、
吸入口110と、
吸気区域120と、
浄化区域140と、
排気区域160と、
排気口180と、
を有する。
【0052】
<<吸入口110>>
吸入口110は、室内と連通する。吸入口110は、室内の空気を吸い込んで筐体100の内部に案内する。吸入口110は、室内に向かって開口する。吸入口110は、筐体100の下部に形成されている。吸入口110は、略長方形状の形状を有する。吸入口110は、長尺な形状を有する。吸入口110は、室内の空気を効率よく吸い込むことができる形状であればよい。
【0053】
<<吸気区域120>>
吸気区域120は、上流壁部102Uと閉塞板122との間に形成される。吸気区域120は、筐体100の上流側に位置する。吸気区域120は、略直方体状の形状を有する。吸入口110から吸い込まれた空気は、吸気区域120に案内される。
【0054】
<閉塞板122>
吸気区域120は、閉塞板122を有する。閉塞板122は、吸気区域120と浄化区域140とを画定する。閉塞板122は、アルミやステンレスや鉄などの金属製の板状の部材によって構成される。閉塞板122は、所定の厚さを有する。閉塞板122の厚さは、気流による風圧などに耐える厚さであればよい。
【0055】
閉塞板122は、樹脂やガラスなどで構成されてもよい。閉塞板122は、紫外線などによる影響を受けにくいもので構成されればよい。
【0056】
閉塞板122は、紫外光を反射する性質を有する。閉塞板122の浄化区域140側の面に、紫外光を反射する塗料などを塗布してもよい。紫外光を反射させることによって、紫外光の照射による効率を高めることができる。
【0057】
閉塞板122と、右壁部102R、左壁部102L、上壁部102T、下壁部102Bとの各壁物とが接続される接続部分は、封止されている。接続部分から空気が漏れたり逆流したりすることを防止する。閉塞板122は、上流から下流に向かう気流の方向に対して垂直に筐体100の内部に配置される。
【0058】
後述するように、閉塞板122には、右側光触媒フィルタ344Rの上流側端部370Rや左側光触媒フィルタ344Lの上流側端部370Lが連結されている(
図7参照)。例えば、ネジなど(図示せず)によって、右側光触媒フィルタ344Rの上流側端部370Rや左側光触媒フィルタ344Lの上流側端部370Lが閉塞板122に連結される。右側光触媒フィルタ344Rの上流側端部370Rや左側光触媒フィルタ344Lの上流側端部370Lを閉塞板122に連結することによって封止でき、右側光触媒フィルタ344Rの上流側端部370Rや左側光触媒フィルタ344Lの上流側端部370Lよりも上流から右間隙142Rや左間隙142Lに空気が流入することを防止できる。このように構成することで、右側光触媒フィルタ344Rを通過させてから右間隙142Rに空気を流入させたり、左側光触媒フィルタ344Lを通過させてから左間隙142Lに空気を流入させたりできる。
【0059】
<開口部124>
閉塞板122は、開口部124を有する。室内から吸気区域120に吸入された空気は、開口部124を介して、浄化区域140に流動する。
【0060】
開口部124の大きさは、吸気区域120の断面積よりも小さい。吸気区域120の断面積は、上流から下流に向かう気流の方向に対して垂直な面の面積である。さらに、吸気区域120の断面積は、吸気区域120における右壁部102Rと、左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとによって、輪郭が画定される面の面積である。
【0061】
なお、本実施の形態における空気清浄装置10の吸気区域120の断面積と浄化区域140の断面積は同じである。浄化区域140の断面積は、吸気区域120の断面積と同様に、上流から下流に向かう気流の方向に対して垂直な面の面積である。さらに、浄化区域140の断面積は、浄化区域140における右壁部102Rと、左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとによって、輪郭が画定される面の面積である。
【0062】
空気が、吸気区域120から浄化区域140に流動する際に、常に、閉塞板122の開口部124を経る。開口部124の大きさを吸気区域120の断面積よりも小さくしたことにより、空気は、開口部124で一旦絞られてから、浄化区域140に向かって開放される。
【0063】
このように構成することで、流速を速くして浄化区域140に空気を案内することができる。開口部124から排出される空気の流速を速くすることで、触媒活性用光源350の発光ダイオード352や不活化用光源360の発光ダイオード362(詳細は後述する)から発せられる熱を背面(背面排熱)から奪って空気冷却できる。また、流速を速くすることで、右側光触媒フィルタ344Rや左側光触媒フィルタ344Lを通過させる空気を増やすことができ、捕捉される細菌及びウィルスを多くして除菌効率を高めることができる。さらに、流速を速くすることで、比重の大きい粒子などは、直線的に進みやすくなり、右側光触媒フィルタ344Rや左側光触媒フィルタ344Lに捕捉されにくくなり、右側光触媒フィルタ344Rや左側光触媒フィルタ344Lの表面に汚れが付きにくくできる。
【0064】
また、閉塞板122の開口部124によって、一旦狭くなった後、浄化区域140の広い空間に案内されるので、右間隙142Rや左間隙142L(詳細は後述する)を通過する空気を増やすことができ、除菌効率を高めることができる。
【0065】
閉塞板122の開口部124を通過した後の気流の風速が速くなると、比重の大きい粒子は直線的に進みやすくなるため、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lの表面に汚れが付きにくくできる。
【0066】
開口部124によって空気の流れを一旦絞ることにより、開口部124をノズルとして機能させて、速度分布を生じさせることで、開口部124を通過する空気を浄化区域140に拡散しやすくでき、流速の遅い空気を右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lに通過させやすくできる。
【0067】
開口部124の大きさは、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lの上流側端部によって画定される空気清浄化ユニット300の開口と同じ大きさである。後述するように、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lは、互いに離隔して配置される。右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lは、幅FWだけ離れている。また、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lの上流側端部は、高さFHを有する。空気清浄化ユニット300の開口は、幅FW×高さFHの大きさを有する。開口部124も幅FW×高さFHの大きさを有する。
【0068】
このように構成することで、開口部124から流出する全ての空気を漏れなく、右側光触媒フィルタ344Rと左側光触媒フィルタ344Lとの間の間隙領域に案内することができる。
【0069】
<遮蔽板126>
閉塞板122は、遮蔽板126を有する(
図7参照)。遮蔽板126は、閉塞板122から上流壁部102Uに向かって突出する。遮蔽板126は、水平方向に延在する。遮蔽板126は、閉塞板122に対して略垂直に配置される。閉塞板122は、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられた紫外光を遮断し、吸入口110から紫外光が漏れないようにする。遮蔽板126は、紫外光を遮る部材で構成される。
【0070】
<<浄化区域140>>
浄化区域140は、閉塞板122を挟んで吸気区域120と隣り合う。浄化区域140は、空気清浄化ユニット300を有する。
【0071】
<空気清浄化ユニット300>
図5は、空気清浄化ユニット300の全体を示す斜視図である。
図6は、光触媒フィルタ344並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の配置を示す断面図である。
【0072】
空気清浄化ユニット300は、主に、光触媒フィルタカセット340と、触媒活性用光源350と、不活化用光源360と、を備える。
【0073】
<光触媒フィルタカセット340>
光触媒フィルタカセット340は、光触媒を担持する光触媒フィルタ344を有する。光触媒フィルタカセット340は、着脱可能にするためカセット状に形成されている。光触媒フィルタカセット340は、右側光触媒フィルタカセット340Rと左側光触媒フィルタカセット340Lとを有する。右側光触媒フィルタカセット340Rは、上流から下流に沿って右側に配置される。左側光触媒フィルタカセット340Lは、上流から下流に沿って左側に配置される。以下では、右側光触媒フィルタカセット340R及び左側光触媒フィルタカセット340Lを区別する必要がない場合には、単に光触媒フィルタカセット340と称する。
【0074】
<触媒活性用光源350>
触媒活性用光源350は、紫外光を発する。触媒活性用光源350から発せられた紫外光は、光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344に照射される。光触媒フィルタ344の光触媒は、紫外光の照射により活性化する。光触媒フィルタ344の構成については後述する。
【0075】
触媒活性用光源350は、右側触媒活性用光源350Rと左側触媒活性用光源350Lとを有する。
【0076】
右側触媒活性用光源350Rは、右側光触媒フィルタ344Rと向かい合う。右側触媒活性用光源350Rから発せられた紫外光は、右側光触媒フィルタ344Rに向かって進む。右側触媒活性用光源350Rは、主に、右側光触媒フィルタ344Rを照明する。
【0077】
左側触媒活性用光源350Lは、左側光触媒フィルタ344Lと向かい合う。左側触媒活性用光源350Lから発せられた紫外光は、左側光触媒フィルタ344Lに向かって進む。左側触媒活性用光源350Lは、主に、左側光触媒フィルタ344Lを照明する。
【0078】
<不活化用光源360>
不活化用光源360は、触媒活性用光源350から発する紫外光よりも短い波長の紫外光を発する。不活化用光源360から発せられた紫外光は、光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344に照射される。触媒活性用光源350から発する紫外光よりも短い波長の紫外光を光触媒フィルタ344に照射することにより、細菌及びウィルスを不活化させる。
【0079】
不活化用光源360は、右側不活化用光源360Rと左側不活化用光源360Lとを有する。
【0080】
右側不活化用光源360Rは、右側光触媒フィルタ344Rと向かい合う。右側不活化用光源360Rから発せられた紫外光は、右側光触媒フィルタ344Rに向かって進む。右側不活化用光源360Rは、主に、右側光触媒フィルタ344Rを照明する。
【0081】
左側不活化用光源360Lは、左側光触媒フィルタ344Lと向かい合う。左側触媒活性用光源350Lから発せられた紫外光は、左側光触媒フィルタ344Lに向かって進む。左側触媒活性用光源350Lは、主に、左側光触媒フィルタ344Lを照明する。
【0082】
また、空気清浄化ユニット300は、外板310と、フィルタ用ガイドレール320と、光源支持用フレーム330と、を備える。
【0083】
<外板310>
外板310は、矩形状の形状を有する。外板310は、フィルタ用ガイドレール320を保持したり、空気清浄化ユニット300を筐体100に取り付けたりするための板である。
【0084】
<フィルタ用ガイドレール320>
フィルタ用ガイドレール320は、光触媒フィルタカセット340を着脱可能に支持するための部材である。フィルタ用ガイドレール320は、浄化区域140に突出するように筐体100に設けられる。
【0085】
<光源支持用フレーム330>
光源支持用フレーム330は、長尺な形状を有する。光源支持用フレーム330は、浄化区域140に突出するように設けられる。光源支持用フレーム330には、触媒活性用光源350又は不活化用光源360が設けられる。
【0086】
<光触媒フィルタ344>
光触媒フィルタカセット340は、光触媒フィルタ344を有する。光触媒フィルタ344は、紫外線の照射により光触媒機能を発揮する光触媒を担持する。右側光触媒フィルタカセット340Rは、右側光触媒フィルタ344Rを有する。右側光触媒フィルタ344Rは、右側光触媒フィルタカセット340Rに装着される。左側光触媒フィルタカセット340Lは、左側光触媒フィルタ344Lを有する。左側光触媒フィルタ344Lは、左側光触媒フィルタカセット340Lに装着される。以下では、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lを区別する必要がない場合には、単に光触媒フィルタ344と称する。
【0087】
本実施の形態では、光触媒フィルタ344は、ステンレスやアルミニウム等の無機材料からなるフィルタ基体の表面に、アパタイトや酸化チタン等を含有する光触媒が担持される構造を有する。
【0088】
フィルタ基体は、例えば、ステンレスやアルミニウム等からなる繊維状体を用いて構成された不織布、あるいは、ステンレスやアルミニウム等からなるエキスパンドメタル又はパンチングメタルにより構成される。ステンレスやアルミニウム等の無機材料からなるフィルタ基体を用いることで、フィルタ基体の劣化を抑制し、メンテナンスの削減、交換頻度の削減が可能になる。
【0089】
光触媒の担持方法は、フィルタ基材表面への塗工による方法や、繊維状体基材を用いた場合には繊維状体内へ粒子状の光触媒を担持させる方法などがある。フィルタ基材表面へ担持させる方法は、触媒活性用光源350の発する紫外線を受けやすくできる点で好ましい。一方、繊維状体、メッシュやパンチングメタルを基材として担持させる方法は、浄化区域140を流れる空気との接触面積を大きくし、光触媒との接触時間を長くできる点で好ましい。
【0090】
本実施の形態では、光触媒フィルタカセット340は、光触媒フィルタ344とフィルタ用フレーム342とを有する。光触媒フィルタ344は、フィルタ用フレーム342により保持される。光触媒フィルタ344は、フィルタ用フレーム342への保持によって、平坦な形状に延在する。なお、本実施の形態では、2つの光触媒フィルタカセット340を用いているが、光触媒フィルタカセット340の数は、これに限定されず、1つでも3つ以上でもよい。
【0091】
<光触媒フィルタカセット340の支持>
光触媒フィルタカセット340は、互いに向かい合う一対のフィルタ用ガイドレール320により着脱可能に支持される。
【0092】
フィルタ用ガイドレール320は、長尺な形状を有する。フィルタ用ガイドレール320は、先端側(突出端側(外板310から離れる側))と基端側(外板310側)とを有する。
【0093】
フィルタ用ガイドレール320は、断面が略U字状の形状を有する。フィルタ用ガイドレール320は、底溝部と、2つの側壁部とを有する。2つの側壁部は、底溝部を挟んで底溝部から突設され、互いに平行になって向かい合う。互いに離隔する2つの側壁部によって開口部が形成される。
【0094】
一対のフィルタ用ガイドレール320は、開口部が互いに向かい合い、底溝部が互いに離れるように配置される。
【0095】
本実施の形態では、空気清浄化ユニット300は、2つの光触媒フィルタカセット340を有する。2つの光触媒フィルタカセット340の各々に、互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320が用いられる。
【0096】
光触媒フィルタカセット340は、互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320に挟持されて保持される。互いに向かい合う1対のフィルタ用ガイドレール320の先端側(突出端側)から基端側(外板310側)に向かって、光触媒フィルタカセット340の端部をフィルタ用ガイドレール320の開口部内にスライドさせ挿入する。このようにして、光触媒フィルタカセット340が、1対のフィルタ用ガイドレール320を介して外板310へと装着される。
【0097】
<触媒活性用光源350及び不活化用光源360>
触媒活性用光源350は、光触媒フィルタカセット340に紫外光を照射して光触媒を活性化させるための光源である。不活化用光源360は、細菌やウィルスを不活化させるための光源である。触媒活性用光源350と不活化用光源360とを共通化せずに別個に構成することで、光触媒を活性化することによる脱臭等の効果と、細菌やウィルスを不活化させる効果との両方を、十分に得ることが可能になる。脱臭や細菌等の不活化の効果を十分に得るベく、触媒活性用光源350と不活化用光源360とを別個に構成することが望ましい。
【0098】
触媒活性用光源350は、複数の発光ダイオード352を有する。複数の発光ダイオード352は、略直線状に配置される。不活化用光源360は、複数の発光ダイオード362を有する。複数の発光ダイオード362は、略直線状に配置される。触媒活性用光源350を発光ダイオード352により構成し、不活化用光源360を発光ダイオード362により構成することで、例えば、紫外線ランプを用いた場合と比較して、触媒活性用光源350及び不活化用光源360のサイズを小さくできる。具体的には、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を薄く形成することができる。このようにすることで、触媒活性用光源350及び不活化用光源360によって、浄化区域140内の空気抵抗が増加することを抑制することができる。このため、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を小さい(細い)筐体100にも適用することができる。
【0099】
また、触媒活性用光源350を発光ダイオード352により構成し、不活化用光源360を発光ダイオード362により構成することで、例えば、紫外線ランプを用いた場合と比較して消費電力を抑えることができる。
【0100】
さらに、発光ダイオード352及び362は、寿命が長く、例えば、5年以上の発光ダイオードの交換を必要としない。このため、年に1回程度の交換が必須となる紫外線ランプと比較すると、交換の手間やランニングコストを低減し、メンテナンス性も向上できる。特に、本実施の形態のように、触媒活性用光源350を発光ダイオード352により、不活化用光源360を発光ダイオード362により、別個に構成することで、効果を非常に大きくできる。
【0101】
触媒活性用光源350を構成する発光ダイオード352として、波長360nm以上380nm以下の紫外光を発する発光ダイオードを用いる。本実施の形態では、波長365nmの紫外光を発する発光ダイオード352を触媒活性用光源350として用いた。
【0102】
不活化用光源360を構成する発光ダイオード362として、触媒活性用光源を構成する発光ダイオード352よりも短い波長の紫外光を照射するものを用いる。より具体的には、不活化用光源360を構成する発光ダイオード362として、波長250nm以上280nm以下の深紫外光を発する発光ダイオードを用いる。本実施の形態では、波長280nmの深紫外光を発する発光ダイオード362を不活化用光源360として用いた。
【0103】
複数の発光ダイオード352が、光源支持用フレーム330に略直線列に並んで配置され、触媒活性用光源350を構成する。複数の発光ダイオード362が、光源支持用フレーム330に略直線列に並んで配置され、不活化用光源360を構成する。発光ダイオード352が配置される光源支持用フレーム330と発光ダイオード362が配置される光源支持用フレーム330とは、互いに平行に離隔して配置される。このため、複数の発光ダイオード352及び複数の発光ダイオード362は、全体としてマトリックス状(複数の格子の交点上)に配置される。
【0104】
本実施の形態では、空気清浄化ユニット300は、2つの光触媒フィルタカセット340を有する。2つの光触媒フィルタカセット340は、互いに離隔して向かい合って配置される。2つの光触媒フィルタカセット340の光触媒フィルタ344の間に、触媒活性用光源350及び不活化用光源360が配置される。
【0105】
図6及び
図8に示すように、空気清浄化ユニット300は、合計で、4個の触媒活性用光源350及び2個の不活化用光源360を有する。6本の光源支持用フレーム330が外板310に突設されている。6本の光源支持用フレーム330は、外板310から垂直に延出する。6本の光源支持用フレーム330は、互いに離隔して平行に配置される。4個の触媒活性用光源350及び2個の不活化用光源360の各々は、光源支持用フレーム330に取り付けられる。
【0106】
2つの光触媒フィルタ344の各々に、2個の触媒活性用光源350及び1個の不活化用光源360が対応付けられて配置される。光触媒フィルタ344の各々に対応する2個の触媒活性用光源350は、1個の不活化用光源360を挟んで平行に配置される。2個の触媒活性用光源350及び1個の不活化用光源360から発せられる紫外線は、対応する光触媒フィルタ344に向かって進み照射される。
【0107】
触媒活性用光源350は、不活化用光源360よりも光触媒フィルタカセット340から遠い位置に配置される。これにより、比較的サイズの大きい光触媒フィルタ344に対しても、触媒活性用光源350からの紫外光を光触媒フィルタ344の全体に照射でき、光触媒の活性効果を十分に得ることができる。また、不活化用光源360は、触媒活性用光源350よりも光触媒フィルタカセット340から近い位置に配置される。これにより、不活化用光源360による細菌やウィルスの不活性効果も十分に得ることが可能になる。
【0108】
図8に示すように、触媒活性用光源350及び不活化用光源360は、発せられる紫外光が内側(浄化区域140の中央側)から外側(右壁部102Rや左壁部102L)に向かうように設けられている。これにより、触媒活性用光源350及び不活化用光源360用の配線を、空気清浄化ユニット300の中央部に集めることができ、配線レイアウトを簡略化できる。ただし、これに限らず、外側(右壁部102Rや左壁部102L)から内側(浄化区域140の中央側)に向けて紫外光を発するように、触媒活性用光源350及び不活化用光源360を設けてもよい。この場合、筐体100の内壁に紫外光が照射されにくくなるので、筐体100の劣化を抑制することが可能になる。
【0109】
なお、本実施の形態では、光触媒フィルタ344の延在する面が、上流から下流に向かう空気の流れと平行になるように、光触媒フィルタ344を配置する場合について説明したが、光触媒フィルタ344の配置は、これに限られない。また、光触媒フィルタ344の延在する面が、空気の流れに対して所定の角度をなすように、光触媒フィルタ344を配置してもよい。
【0110】
<<上流側端部370R及び上流側端部370L並びに下流側端部380R及び下流側端部380L>>
右側光触媒フィルタカセット340R及び右側光触媒フィルタ344Rは、上流側に上流側端部370Rを有し、下流側に下流側端部380Rを有する。上流側端部370Rは、上流に向かって配置され、下流側端部380Rは、下流に向かって配置される。
【0111】
左側光触媒フィルタカセット340L及び左側光触媒フィルタ344Lは、上流側に上流側端部370Lを有し、下流側に下流側端部380Lを有する。上流側端部370Lは、上流に向かって配置され、下流側端部380Lは、下流に向かって配置される。
【0112】
<<排気区域160>>
排気区域160は、浄化区域140で浄化された空気を排気口180に案内する区域である。排気区域160は、略長方形状の形状を有する。排気区域160は、排気口180を有する。排気口180は、室内と連通する。浄化区域140と排気区域160との間には、閉塞板122のような部材は、存在しない。浄化区域140からの空気は、排気区域160を経て排気口180に円滑に案内される。
【0113】
図7に示すように、排気区域160は、ファン162を有する。ファン162は、シャフト166を介してモータ164に連結されている。ファン162は、シャフト166によってモータ164の駆動力が伝達されて回転する。ファン162の回転より、浄化区域140を通過する気流が生ずる。
【0114】
なお、筐体100の外側に、モータ164、制御回路168及び電源回路170が設けられている。電源回路170は、駆動に必要な電力をモータ164及び制御回路168に供給する。制御回路168は、モータ164の回転数を制御する。モータ164の回転数によって、浄化区域140を通過する気流の流速や流量を制御することができる。
【0115】
制御回路168は、操作者が操作可能な操作部(図示せず)を有する。操作者が、操作部を操作することによって、操作者が所望する流速や流量にすることができる。
【0116】
筐体100の外側に、モータ164、制御回路168及び電源回路170が設けたことにより、モータ164、制御回路168及び電源回路170からの発熱を、排気口180から排出する空気に与えにくくできる。
【0117】
<<<全体の空気の流れ>>>
図7は、空気清浄装置10を流れる全体の空気の流れを示す概略図である。
図7に示すように、筐体100は、天井裏に設置されている。筐体100の吸入口110及び排気口180は、室内に向かって開口する。
【0118】
モータ164を駆動することにより、吸入口110から室内の空気を吸気区域120に吸入する。吸気区域120に吸入された空気は、閉塞板122の開口部124を介して浄化区域140に案内される。浄化区域140において浄化された空気は、ファン162を介して排気区域160に案内され、排気口180から室内に戻される。
【0119】
図7に示した空気の流路は、一例である。空気清浄装置10は、室内の空気を浄化して、室内に戻す流路を有するものであればよい。言い換えれば、空気清浄装置10は、室内の空気を循環させつつ浄化できる流路を有するものであればよい。
【0120】
<<<浄化区域140における空気の流れ>>>
図8は、浄化区域140における空気の流れを示す図である。
【0121】
<右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lの配置>
右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lは、上流から下流に向かって延在する。右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lは、互いに平行に配置される。浄化区域140内で圧力損失を生じさせずに、円滑に空気を流動させることができる。
【0122】
<右間隙142R>
右側光触媒フィルタ344Rは、右壁部102Rと間隙を有して向かい合う。右側光触媒フィルタ344Rは、右壁部102Rに対して平行に配置される。右側光触媒フィルタ344Rと右壁部102Rとの間に右間隙142Rが形成される。右側光触媒フィルタ344Rを通過した空気は、右間隙142Rを流動することができる。
【0123】
右側光触媒フィルタ344Rと右壁部102Rとの距離は、右間隙142Rを通過する空気の流速や流量などに応じて適宜に定めることができる。
【0124】
<左間隙142L>
左側光触媒フィルタ344Lは、左壁部102Lと間隙を有して向かい合う。左側光触媒フィルタ344Lは、左壁部102Lに対して平行に配置される。左側光触媒フィルタ344Lと左壁部102Lとの間に左間隙142Lが形成される。左側光触媒フィルタ344Lを通過した空気は、左間隙142Lを流動することができる。
【0125】
左側光触媒フィルタ344Lと左壁部102Lとの距離は、左間隙142Lを通過する空気の流速や流量などに応じて適宜に定めることができる。
【0126】
<照射領域IR(右側照射領域IR-R及び左側照射領域IR-L)>
浄化区域140は、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられる紫外光によって照明される照射領域IRを有する。照射領域IRは、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せされた紫外光が照射され、紫外光として有効に機能する領域である。
【0127】
照射領域IRは、右側照射領域IR-Rと左側照射領域IR-Lとを有する。右側照射領域IR-Rは、主に、右側触媒活性用光源350R及び右側不活化用光源360Rと右壁部102Rとの間の領域である。左側照射領域IR-Lは、主に、左側触媒活性用光源350L及び左側不活化用光源360Lと左壁部102Lとの間の領域である。
【0128】
なお、前述したように、右壁部102Rと、左壁部102Lと、上壁部102Tと、下壁部102Bとの内側面は、紫外光を反射する。したがって、照射領域IRは、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられた紫外光が直接に照射される領域だけでなく、反射された紫外光が照射される領域も含めることができる。例えば、照射領域IRは、所定の明るさ(例えば、照度など)以上の領域や、所定の強度以上の領域にすることができる。
【0129】
<非照射領域NIR>
浄化区域140は、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられた紫外光によって照明されない非照射領域NIRを有する。非照射領域NIRは、触媒活性用光源350の発光ダイオード352が設けられていない背面側の領域や、不活化用光源360の発光ダイオード362が設けられていない背面側の領域などにすることができる。非照射領域NIRは、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せされた紫外光が、紫外光として有効に機能しない領域である。非照射領域NIRは、紫外光が到達しても、紫外光として有効に機能しない領域にすることができる。
【0130】
浄化区域140は、右側触媒活性用光源350R及び右側不活化用光源360Rと、左側触媒活性用光源350L及び左側不活化用光源360Lとの間の領域である。例えば、非照射領域NIRは、所定の明るさ(例えば、照度など)未満の領域や、所定の強度未満の領域にすることができる。
【0131】
<<右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lの配置の向き>>
なお、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lは、下流に向かって互いに近づくように配置されてもよい。右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lに空気を通過させやすくできる。右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lを通過させる空気を増やすことで、浄化される空気の量を増やすことができる。
【0132】
逆に、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lは、下流に向かって互いに離れるように配置されてもよい。右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lによる圧力損失を小さくして、排気区域160に空気を円滑に案内することができる。
【0133】
<<空気の流れ>>
閉塞板122の開口部124(上流側)から浄化区域140に流入した全ての空気は、右側光触媒フィルタ344Rの上流側端部370R(右側光触媒フィルタカセット340Rの上流側端部)と、左側光触媒フィルタ344Lの上流側端部370L(左側光触媒フィルタカセット340Lの上流側端部)との間を通過する。
【0134】
<右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lの通過>
開口部124を通過した空気は、浄化区域140内で左右方向に拡がる。右方向に進んだ空気は、右側光触媒フィルタ344Rを通過し、右間隙142Rを流動する(
図7の矢印FR)。右側光触媒フィルタ344Rの通過により、細菌やウィルスを右側光触媒フィルタ344Rに捕捉することができる。右側光触媒フィルタ344Rは、右側照射領域IR-Rに位置する。右側光触媒フィルタ344Rに捕捉された細菌やウィルスは、右側不活化用光源360Rによって不活性化される。右間隙142Rを設けたことにより、右側光触媒フィルタ344Rを通過する流路FRを形成しやすくできる。
【0135】
また、左方向に進んだ空気は、左側光触媒フィルタ344Lを通過し、左間隙142Lを流動する(
図7の矢印FL)。左側光触媒フィルタ344Lの通過により、細菌やウィルスを左側光触媒フィルタ344Lに捕捉することができる。左側光触媒フィルタ344Lは、左側照射領域IR-Lに位置する。左側光触媒フィルタ344Lに捕捉された細菌やウィルスは、左側不活化用光源360Lによって不活性化される。左間隙142Lを設けたことにより、左側光触媒フィルタ344Lを通過する流路FLを形成しやすくできる。
【0136】
さらに、左右方向に向かわない空気は、右側光触媒フィルタ344R及び左側光触媒フィルタ344Lを通過することなく直進し、非照射領域NIRを流動する(
図7の矢印FS)。空気を非照射領域NIRに流動させることで、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の背面から熱を奪って空気冷却できる。
【0137】
<<上壁部102T及び下壁部102B>>
前述した例では、右側光触媒フィルタ344Rを右壁部102Rと向か合うように配置し、左側光触媒フィルタ344Lを左壁部102Lと向か合うように配置したが、光触媒フィルタ344の配置は、これに限られない。
【0138】
例えば、上壁部102Tと向かい合う光触媒フィルタ(図示せず)や下壁部102Bと向かい合う光触媒フィルタ(図示せず)を設けてもよい。また、右壁部102R、左壁部102L、上壁部102T、下壁部102Bに向かい合うように光触媒フィルタを配置してもよい。すなわち、全体で四角柱状となったり、触媒活性用光源350や不活化用光源360を囲繞したりするように光触媒フィルタを配置してもよい。
【0139】
<<<ファン162の風速と、ファン162による騒音値並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の温度の関係>>>
図9は、ファン162の風速(横軸)と、ファン162による騒音値(左縦軸)並びに触媒活性用光源350及び不活化用光源360の温度(右縦軸)との関係を示すグラフである。
【0140】
前述したように、空気清浄装置10は、ファン162が制御回路168によって回転するように制御される。
図9に示すように、ファン162の回転数が高くなると、風切り音やモータ164の動作音による騒音値が大きくなる。騒音値が大きくなると、不適切な環境になり得る。許容される騒音値からファン162による最大風速(例えば、10.0m/秒など)を定めることができる。
【0141】
また、ファン162の回転数が高くなると、触媒活性用光源350及び不活化用光源360から発せられる熱を奪いやすくでき、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の温度を下げることができる。一方、ファン162の回転数が低くなると、触媒活性用光源350及び不活化用光源360からの熱を十分に奪えず、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の温度が高くなりやすい。触媒活性用光源350及び不活化用光源360の温度が高い状態が続くと、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の耐久性が低下する。触媒活性用光源350及び不活化用光源360の耐久性から許容される温度からファン162による最小風速(例えば、0.65m/秒など)を定めることができる。
【0142】
このように、ファン162を用いた場合には、最小風速以上かつ最大風速以下(所定の範囲)となるように、ファン162を駆動するのが好ましい。最小風速以上とすることで、触媒活性用光源350及び不活化用光源360の耐久性を維持して長寿命化を図るとともに、最大風速以下とすることで静音環境を維持することができる。
【0143】
<<<変形例>>>
前述した本実施の形態の説明においては、空気清浄装置10を天井裏に配置する場合を例に説明したが、空気清浄装置10は、天井裏に限らず、例えば、天井に固定して室内側に配置してもよい。また、本発明を空調ダクト内に設置する空気清浄装置に適用してもよい。
【0144】
前述したように、本実施の形態では、閉塞板122やフィルタ用ガイドレール320やフィルタ用フレーム342や、ネジやナットなどの各種の係止部材や係合部材は、筐体100の側壁部(右壁部102R、左壁部102L、上壁部102T、下壁部102B)と光触媒フィルタ344との接続に要する部材である。接続保持機構は、この接続に要する部材によって構成される機構である。接続保持機構は、本実施の形態の構成に限らず、光触媒フィルタの上流側端部を筐体の壁部に接続されるとともに、光触媒フィルタの上流側端部よりも上流から筐体の側壁側に空気が流れることを防止できる機構であれば良く、適宜に設計変更可能である。
【0145】
(発明の実施態様)
<<第1の実施態様>>
第1の実施態様によれば、
光触媒を担持させた光触媒フィルタであって、気流の上流から下流に向かって延在し、上流側端部(例えば、前述した上流側端部370Rや上流側端部370Lなど)と下流側端部(例えば、前述した下流側端部380Rや下流側端部380Lなど)とを有する光触媒フィルタ(例えば、前述した光触媒フィルタ344(右側光触媒フィルタ344R、左側光触媒フィルタ344L)など)と、
前記光触媒フィルタに向かって紫外光を発する紫外光光源(例えば、前述した触媒活性用光源350(右側触媒活性用光源350Rや左側触媒活性用光源350L)及び不活化用光源360(右側不活化用光源360Rや左側不活化用光源360L)など)と、
空気を上流から下流に向かって案内可能な壁部を有し、前記光触媒フィルタが収納される筐体であって、前記光触媒フィルタと向かい合う前記壁部と前記光触媒フィルタとの間に空気が流動可能な間隙部を有する筐体(例えば、前述した筐体100など)と、
前記上流側端部を前記筐体の壁部に接続し、前記上流側端部よりも上流から前記間隙部への空気の流入を防止する接続保持機構(例えば、前述した閉塞板122やフィルタ用ガイドレール320やフィルタ用フレーム342などの筐体の壁部と光触媒フィルタとの接続に要する部材を有する機構など)と、を備える空気清浄装置が提供される。
【0146】
光触媒フィルタの上流側端部よりも上流で、空気を間隙部に直接に流入させないようにし、光触媒フィルタを介して空気を間隙部に流入させやすくする。空気を間隙部に流入させやすくすることで、光触媒フィルタを通過しやすくでき、細菌及びウィルスを光触媒フィルタに捕捉しやすくできる。
【0147】
<<第2の実施態様>>
第2の実施態様は、第1の実施態様において、
前記筐体は、空気が入流する流入口(前述した流入口12aや開口部124など)と、前記流入口から流入した空気を流出させる流出口と、を有し、
前記筐体の流路断面積が前記流入口の流路断面積よりも大きい。
【0148】
流出口の流路断面積を大きくすることで、流入口から流入させる空気の流速を速くでき、紫外光光源から熱を奪って空気冷却できる。また、流入させる空気を増やすことができ、光触媒フィルタで捕捉される細菌及びウィルスを多くして除菌効率を高めることができる。流速を速くすることで、比重の大きい粒子などは、直線的に進みやすくなり、光触媒フィルタに捕捉されにくくなり、光触媒フィルタの表面に汚れが付きにくくできる。
【0149】
<<第3の実施態様>>
第3の実施態様は、第1の実施態様又は第2の実施態様において、
前記上流側端部は、前記流入口と前記壁部との間で前記上流側の壁部に接続されている。
【0150】
空気の流れを上流から制御することができ、空気の流れを有効に活用することができる。
【0151】
<<第4の実施態様>>
第4の実施態様は、第1の実施態様ないし第3の実施態様において、
前記接続保持機構は、前記上流側端部又は前記光触媒フィルタを保持する保持体(例えば、前述した右側光触媒フィルタカセット340Rと左側光触媒フィルタカセット340Lなど)の上流側の端部が、前記壁部に直接に連結する機構である、前記間隙部への空気の流入を防止する。
【0152】
<<第5の実施態様>>
第5の実施態様は、第1の実施態様ないし第4の実施態様において、
前記接続保持機構は、前記上流側の端部又は前記光触媒フィルタを保持する保持体(例えば、前述した右側光触媒フィルタカセット340Rと左側光触媒フィルタカセット340Lなど)の上流側の端部と、前記壁部の間に介在し、前記保持体の上流側の端部と前記壁部とを連結する介在部材を有する機構であり、
前記介在部材が、前記間隙部への空気の流入を防止する。
【0153】
光触媒フィルタを保持する保持体を有する構成とした場合にも、上流からの空気を間隙部に流入させないようにできる。細菌及びウィルスを光触媒フィルタで捕捉しやすくできる。
【0154】
このように、光触媒フィルタを単独で用いた場合でも、光触媒フィルタを保持体で保持して用いる場合でも、空気を間隙部に直接に流入させないようにできる。光触媒フィルタを介することで、細菌及びウィルスを光触媒フィルタで捕捉しやすくできる。
【0155】
<<第6の実施態様>>
第6の実施態様は、第1の実施態様ないし第5の実施態様において、
前記光触媒フィルタを通過させずに空気を案内する第1の流路(例えば、前述した流路FSなど)と、
前記光触媒フィルタを通過させて前記間隙部に空気を案内する第2の流路(例えば、前述した流路FRなど)と、
を有する。
【0156】
第1の流路によって、圧力損失の低下を防止するとともに、第2の流路によって、空気を浄化することができ、圧力損失を生じさせにくくしつつ、かつ、空気を浄化できる。また、粒径が大きい粒子は、重量があるため第2の流路に向かわず、第1の流路によって通過させることができ、光触媒フィルタの根詰まりを防止でき、光触媒フィルタの交換作業の頻度を下げることができる。
【0157】
<<第7の実施態様>>
第7の実施態様は、第6の実施態様において、
前記筐体は、前記紫外光光源から紫外光が発せられる照射可能領域(例えば、前述した右側照射領域IR-Rや左側照射領域IR-Lなど)と、紫外光が照射困難な照射困難領域(例えば、前述した非照射領域NIRなど)とを有し、
前記第1の流路が、前記照射困難領域に含まれる。
【0158】
光触媒フィルタを通過しない空気を、照射困難領域で紫外光光源に吹き付けることで、紫外光光源を空気冷却することができる。筐体を流れる空気を有効に活用することができる。
【0159】
<<第8の実施態様>>
第8の実施態様は、第1の実施態様ないし第7の実施態様において、
上流から下流に向かって空気を流動させる空気流発生部(例えば、前述したファン162やモータ164など)をさらに備える。
【0160】
空気を能動的に流動させたり強制的に流動させたりでき、空気を光触媒フィルタに積極的に通過させて浄化するとともに、空気を紫外光光源に当てることで積極的に紫外光光源を冷却できる。
【0161】
また、空気流発生部は、制御部(例えば、前述した制御回路168など)によって制御されるのが好ましい。空気流発生部は、制御部から発せられる駆動信号に応じて駆動される。急速に浄化したり徐々に浄化したりなど、汚染などの状況に応じて浄化することができる。
【0162】
<<第9の実施態様>>
第9の実施態様は、第8の実施態様において、
前記第1の流路を流れる気流の流速が、前記紫外光光源から生ずる熱に基づく最小速度以上で、かつ、前記空気流発生部から生ずる騒音の許容騒音値に基づく最大速度以下(例えば、前述した最小風速(0.65m/秒など)や、最大風速(10.0m/秒など))である。
【0163】
触媒活性用光源350及び不活化用光源360を空気冷却することで長寿命化を図るとともに、静音環境を維持することができる。
【0164】
<<第10の実施態様>>
第10の実施態様は、第8の実施態様において、
前記空気流発生部は、空気を、室内から上流に案内し前記第1の流路及び前記第2の流路を経て下流から室内に案内する。
【0165】
室内との間で空気を循環させつつ浄化するので、室内を効率よく浄化できる。
【0166】
<<<<実施の形態の範囲>>>>
上述したように、本実施の形態を記載した。しかし、この開示の一部をなす記載及び図面は、限定するものと理解すべきでない。ここで記載していない様々な実施の形態等が含まれる。
【符号の説明】
【0167】
10 空気清浄装置
100 筐体
122 閉塞板(接続保持機構)
320 フィルタ用ガイドレール
340 フィルタ用フレーム
344 光触媒フィルタ
350 触媒活性用光源(紫外光光源)
360 不活化用光源(紫外光光源)
【要約】
【課題】 フィルタの圧力損失を小さくしつつ、空気を清浄化できる空気清浄装置を提供する。
【解決手段】 光触媒を担持させた光触媒フィルタであって、気流の上流から下流に向かって延在し、上流側端部と下流側端部とを有する光触媒フィルタと、光触媒フィルタに向かって紫外光を発する紫外光光源と、空気を上流から下流に向かって案内可能な壁部を有し、光触媒フィルタが収納される筐体であって、光触媒フィルタと向かい合う壁部と光触媒フィルタとの間に空気が流動可能な間隙部を有する筐体と、上流側端部を筐体の壁部に接続し、上流側端部よりも上流から間隙部への空気の流入を防止する接続保持機構と、を備える。
【選択図】
図8