(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】自走式土壌圧縮装置の走行作動の制御方法および土壌圧縮装置
(51)【国際特許分類】
E01C 19/26 20060101AFI20231030BHJP
【FI】
E01C19/26
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022085573
(22)【出願日】2022-05-25
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】10 2021 002 728.0
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】592188715
【氏名又は名称】ボーマーク・ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】BOMAG GMBH
【住所又は居所原語表記】INDUSTRIEGEBIET HELLERWALD,D-56154 BOPPARD,BUNDESREPUBLIK DEUTSCHLAND
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・デッカー
(72)【発明者】
【氏名】ティモ・レーヴ
【審査官】石川 信也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第09267245(US,B1)
【文献】特開昭61-294512(JP,A)
【文献】特開2020-079529(JP,A)
【文献】特開2010-211512(JP,A)
【文献】特表2006-522881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00-19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御ユニット(10)を用いた自走式土壌圧縮装置(1)の走行作動の制御方法であって、前記制御ユニットは前記土壌圧縮装置(1)の走行作動システムに各走行制御信号を予め与え、
前記制御ユニット(10)が各走行仕様を自身で生成して前記各走行仕様を各走行制御信号の形において前記土壌圧縮装置(1)の前記走行作動システムへ伝達する、自律モードにおける前記土壌圧縮装置(1)の作動であって、
前記土壌圧縮装置(1)の側壁検出装置(13)
が前記土壌圧縮装置(1)の走行方向に直交する水平方向の領域における前記土壌圧縮装置(1)の起立面に対して直立する側壁の存在
を検出
する場合
に、前記土壌圧縮装置(1)の前記自律モードにおける作動が前記制御ユニット(10)によって有効化され、前記自律モードにおける走行作動時において前記側壁検出装置(13)による側壁の存在の検出が急に失われた場合に前記制御ユニット(10)が時間依存的および/または経路依存的に前記自律モードにおける前記走行作動を継続することを含んでなる、方法。
【請求項2】
別法として前記土壌圧縮装置(1)の前記作動がユーザによって手動で作動可能な入力装置(7)を介して予め与えられた各走行仕様が前記制御ユニット(10)に伝達され、前記制御ユニットによって各走行制御信号の形において前記土壌圧縮装置(1)の前記走行作動システムに伝達されるユーザモードにおいて実施されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記自律モードの有効化は、前記側壁検出装置(13)が前記土壌圧縮装置(1)の走行方向に直交する水平方向の領域において前記土壌圧縮装置(1)の両側面において前記土壌圧縮装置(1)の前記起立面から直立するそれぞれ一つの側壁の存在
を検出する場合にのみ実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記土壌圧縮装置(1)の両側面における前記各側壁の前記検出が交互にあるいは同時に実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記側壁検出装置(13)が前記土壌圧縮装置(1)の前記起立面から直立する前記側壁の存在がもはや検出されなくなると前記自律モードにある前記土壌圧縮装置(1)において前記走行作動の停止が前記制御ユニット(10)によって実施されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記自律モードにおける前記走行作動において前記側壁検出装置(13)による側壁の存在の検出が急に失われた場合に前記制御ユニット(10)は、前記側壁検出装置(13)によって別の場所(前方/後方;反対側)において側壁の存在が検出される場合(および検出され続ける限り)前記自律モードにおける前記走行作動を継続することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記自律モードにおける前記走行作動の停止は、前記側壁検出装置(13)が以下の各シナリオのうち少なくとも一つを検出した場合に実施される:-前記検出された側壁の垂直高さが予め定められ
た基準値を下回る;および/または-前記土壌圧縮装置(1)の前進走行方向に直交する水平方向における前記検出された側壁の水平間隔が予め定められた基準値を上回る;および/または-前記土壌圧縮装置(1)の前進走行方向に直交する水平方向における前記検出された側壁の水平間隔が予め定められた基準値を下回る。
および/または
前記自律モードにおける前記走行作動の有効化は、前記側壁検出装置(13)が以下の各シナリオのうち少なくとも一つを検出した場合に実施される:-前記検出された側壁の垂直高さが予め定められ
た基準値を上回る;および/または-前記土壌圧縮装置(1)の前進走行方向に直交する水平方向における前記検出された側壁の水平間隔が予め定められた基準値を下回ることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記土壌圧縮装置(1)の現在の走行方向におよび/または反対方向にある各障害物の検出が障害物検出装置(17)を用いて実施され
、前記障害物検出装置(17)によって前記走行方向(A)におよび/または反対方向にある障害物が検知された場合に前記制御ユニット(10)は前記自律モードにおける前記走行作動を停止することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項9】
前記自律モードにおいて前記走行方向(A)に移動する前記土壌圧縮装置(1)において-前記走行方向(A)にある障害物が検出される;-予め与えられた走行距離の終端に到達した;-前記土壌圧縮装置(1)によって検出装置(14k、16k)を用いて検出可能な外部のマーキング要素(21a、21b、21c、21d、21e)が検知される;-前記土壌圧縮装置(1)によって検出装置(14k、16k)を用いて検出可能な外部のマーキング要素(21b、21c、21d、21e)の検出が中断される;-ユーザによって手動で作動可能
な入力装置(7)を介した入力が実施される場合、前記制御ユニット(10)によって前記走行方向(A)が反対の走行方向に切り換えられる反転コマンドが生成されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項10】
前記制御ユニット(10)は、a)前記自律モードにおける作動のための有効化前提が満たされることを表示するおよび/またはb)前記自律モードにおける作動のための有効化前提がもはや満たされないことを表示するおよび/またはc)前記土壌圧縮装置(1)が現時点で前記自律モードにおいて作動されているかどうかを表示するおよび/またはd)遠隔操作装置に対する有効な信号伝達接続が確立されているかおよび/またはもはや確立されていないかを表示するおよび/またはe
)他の各作動パラメータが表示されるおよび/またはf)前記土壌圧縮装置(1)の現在の位置が表示されるように表示装置(15)を制御することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項11】
-前記土壌圧縮装置(1)の走行作動のために必要な駆動エネルギーを供給する駆動ユニット(4)、-土壌面の圧縮を実施する土壌接触装置(6)、-前記土壌圧縮装置(1)の走行作動を制御する制御ユニット(10)を含んでなる自走式の土壌圧縮装置(1)であって、
側壁検出装置(13)を有し、当該側壁検出装置は前記土壌圧縮装置(1)の前進走行方向に直交する水平方向の領域において前記土壌圧縮装置(1)の起立面に対して垂直方向に直立する側壁の存在を検出するように形成されており、
前記制御ユニット(10)は、自律モードにおいて前記土壌圧縮装置(1)の前記走行作動を制御し、前記自律モードにおいて各走行仕様が前記制御ユニット(10)によって予め与えられ有効化され、
さらに前記自律モードを有効化または無効にする有効化装置が設けられ、前記有効化装置は前記側壁検出装置(13)が前記土壌圧縮装置(1)の前進方向に直交して存在する側壁を同時に検出する各作動状況においてのみ前記自律モードを有効化するように形成されている土壌圧縮装置において、
前記土壌圧縮装置は、請求項1から6による方法を実施するように形成されていることを特徴とする
、土壌圧縮装置(1)。
【請求項12】
前記土壌圧縮装置は、前記自律モードの別法としてユーザモードにおいて作動可能であり、前記ユーザモードでは各走行仕様がユーザによって手動で作動可能な入力装置を介して前記制御ユニット(10)に予め与えられることを特徴とする、請求項11に記載の土壌圧縮装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自走式土壌圧縮装置の走行作動の制御方法および特に本発明による方法を実施するための土壌圧縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土壌圧縮装置は、基本的に広い適用範囲を有し、公知の場合では自身の自重による土壌面の圧縮(静的圧縮)または追加的に作用する圧縮装置(動的な例えばアンバランスエキサイタ)による土壌圧縮工事の範囲において使用される。自走式土壌圧縮装置は、土壌圧縮装置の作動のために必要な駆動エネルギーを供給するための駆動装置を有することを特徴とする。したがって土壌圧縮装置は、この場合自身で各走行動作および操向動作に必要な駆動エネルギーを例えば内燃機関および/または電気モータを用いて生成する。駆動装置は、当該装置の走行方向への動作を駆動する走行装置を有し得る。ここで走行方向は、土壌圧縮装置の現在の動作方向を表す。走行方向は、前進方向および後進方向に向けられ得る。前進方向は、定義により定められ得る。さらにこの種の土壌圧縮装置は、操向可能であり得る。土壌圧縮装置自身によって駆動される各操向動作は、走行作動装置を介してあるいは操向駆動装置を用いて実施され得る。この目的のために従来技術において例えば関節連結式操向、重畳型操向あるいは各アンバランスエキサイタの各動作座標による操向などの各種操向方法が説明されている。この際重要なのは、本書における「操向可能」とは土壌圧縮装置自身によって駆動される操向動作を称するものであって、ユーザの土壌圧縮装置への作用によって得られた操向動作ではないということである。走行作動装置は、例えば土壌面上を転動する例えば車輪またはタイヤなどの走行装置の水平な回転軸を中心とする回転移動を駆動する走行作動モータ、特に油圧モータまたは電気モータであり得る。各装置は、通常一つまたは複数の実質的にはドラム型で土壌面上を転動するタイヤを土壌接触装置として含んでなる。いわゆるトレンチローラの形におけるこの種の装置は、例えば独国特許出願公開第102010014902号明細書において開示されている。別法としてまたはさらに加えて駆動モータはアンバランスエキサイタをも駆動することが可能であり、その際は生成された各遠心力が走行方向への進行動作をも生成することが可能である。当該アプローチは、例えばいわゆる揺動板あるいは振動板において用いられ、揺動板の土壌接触装置は通常土壌上に直立した圧縮板である。この種の土壌圧縮装置は、例えば独国特許出願公開第102012017777号明細書において説明されている。
【0003】
さらにいわゆる積載土壌圧縮装置が公知であって積載土壌圧縮装置の実質的な特徴は、ユーザが作動時に装置自身の上に乗って当該装置を操作し、当該装置とともに移動することにある。この種の装置は、例えば同様に独国特許出願公開第102012017777号明細書において開示されている。これに代わるものとして手動の各土壌圧縮装置があり、土壌圧縮装置においてはとりわけ欧州特許出願公開第2947205号明細書において説明されているようにユーザが装置の作動時に土壌圧縮装置の後を追いかけ、当該装置を例えばドローバーまたはガイドブラケットを介して操向し、および/または追加的な各駆動用入力を予め設定する。先行技術においては既に遠隔操作される各土壌圧縮装置が公知であり、当該各土壌圧縮装置の実質的な特徴は、土壌圧縮装置の近くにいるユーザが当該装置を遠隔操作によって少なくとも部分的に走行用入力および操向用入力に関して制御することが可能であることにある。このことは例えば同様に独国特許出願公開第102010014902号明細書によって公知である。このような各装置もまた一般的にいわゆる手動式土壌圧縮装置のグループに分類される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102010014902号明細書
【文献】独国特許出願公開第102012017777号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2947205号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多くの場合、特に空間的に閉ざされた各環境におけるおよび/または長距離に亘る作業に際しては土壌圧縮作業のユーザに対する負担が大きい。当該両難題を特に著しく組み合わせる使用状況とは、例えばパイプラインやその他の通路および導管などの建設時において長距離に亘って生じ得る溝の土壌面の圧縮である。溝とは、結局は主に溝の土壌から自身の垂直方向への長手方向への延伸に沿って多かれ少なかれ直線的にまたは傾斜して起立する各側壁を有する、長手方向に延伸する土壌の凹部である。その際、両溝壁の互いに対する水平間隔が溝の幅を画定する。溝の深さは、側壁の上端に対する垂直方向への溝または溝床の土壌の間隔を表す。溝は、少なくとも区間毎に垂直方向上方に向けて溝遮蔽物によって覆われていてもよい。安全上の理由からは例えば同時に空間的に狭い各状況における土壌圧縮装置とユーザとの間における衝突を防止するためにユーザが土壌圧縮装置と同時に溝の中に滞在しないことが有利である。これに加えて内燃機関を使用する場合、溝の内部空間において排気ガスが蓄積する場合がある。したがって典型的な使用状況においてはユーザが溝の外側から溝の内にある土壌圧縮装置を遠隔操作または遠隔制御によって操作して長距離に亘って土壌圧縮装置とともに移動するように帯同する。これにより特に作業距離が長い場合にはユーザが疲れを感じる場合がある。
【0006】
これに基づき本発明の課題は、特に溝内における圧縮作業における土壌圧縮装置の作動を改良する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
当該課題の解決は、各独立クレームによる自走式土壌圧縮装置の走行作動の制御方法と土壌圧縮装置とによって達成される。好ましい各発展態様は、各従属クレームにおいて記載されている。
【0008】
本発明の一態様は、土壌圧縮装置の走行作動システムに各走行制御信号を予め設定する制御ユニットを用いる自走式土壌圧縮装置の走行作動の制御方法に関する。その際、本発明による方法は特に自走式トレンチローラまたは自走式揺動板の走行作動を制御するのに適している。
【0009】
ここで関連する類の土壌圧縮装置は、土壌接触装置を含んでなり、土壌接触装置を介して圧縮すべき土壌面に接触して圧縮される。さらに土壌圧縮装置の走行動作を自力で駆動する走行作動装置が設けられている。このために例えば少なくとも一つの電気モータまたは油圧モータあるいは駆動ギアを一次駆動ユニットとして使用することが可能である。土壌圧縮装置の自走作動に必要な駆動エネルギーは、例えば内燃機関、電気モータ、燃料電池などの一次駆動ユニットを介して土壌圧縮装置の作動時に土壌圧縮装置において生成され得、あるいは例えば電気エネルギーのための蓄積装置などのエネルギー蓄積装置を用いて帯同され得る。設計によってはギアボックスのような各中間伝達装置を使用することも可能であることは明らかである。ハイブリッド式一次駆動装置を使用することも可能である。
【0010】
この種の土壌接触装置の基本的な構造から出発して特にトレンチローラは、少なくとも二つのそれぞれ水平であり、作業方向に直交して延伸する回転軸を中心に回転可能であり、作業方向に対して前後に連続して配置された各土壌圧縮タイヤを含んでなり、タイヤの外装面が平らまたは例えばいわゆる羊蹄型を有し得ることを特徴とする。一つまたは両タイヤは、特に油圧モータまたは電気モータである走行作動モータを有し、各タイヤの回転軸を中心とした回転作動を駆動する。一つ以上のタイヤを各回転軸のうち一つの高さにおいて隣接して配置することも可能である。公知であるトレンチローラは、一体型の機枠あるいは例えば間接連結式ジョイントを介して互いに連結されている前枠と後枠とを含んでなる数個割りの機枠を有し得る。このようなトレンチローラの駆動エネルギーは、多くの場合内燃機関によって供給され、内燃機関は下流において油圧エネルギーおよび/または電気エネルギーを生成するために一つまたは複数の油圧ポンプおよび/または発電機を駆動する。電動式駆動も考えられ得、その際にトレンチローラは例えば電気エネルギーのための蓄積装置を帯同する。トレンチローラが電気エネルギーを生成するために燃料電池をも含んでなるものであってもよい。各タイヤに各アンバランスエキサイタが設けられていてもよい。この場合、土壌接触装置は、ドラム型の各タイヤの形に形成されている。
【0011】
これに対して揺動板は、土壌面上を転動する各圧縮タイヤではなく、通常は実質的にプレート状に形成された土壌接触要素を土壌接触装置として備える。この種の装置の場合、走行方向への推進動作は、それ自体公知である方法で既存のアンバランスエキサイタを相応して調整することによって生成される。既存のアンバランスエキサイタの駆動は、例えば油圧駆動モータおよび/または電気駆動モータを介しておよび/または一次駆動ユニットと駆動連結している駆動ギアによって実施され得る。各駆動モータへのエネルギー供給および/または各アンバランスエキサイタを駆動するために一次駆動ユニットとして同様に内燃機関、例えば発電機および/または油圧ポンプを駆動するためあるいは直接駆動のために、あるいは電気エネルギーのための蓄積装置が設けられていてもよい。燃料電池やこれに類似するものも可能である。
【0012】
この種の土壌圧縮装置は、さらに制御ユニットを含んでなり、制御ユニットを用いて受信された各駆動用入力、例えば走行方向コマンド、速度コマンドおよび/または操向コマンドなどが具体的な各走行制御信号へと変換され、当該各信号を介して例えばステアリングアクチュエータ、アンバランスエキサイタの駆動モータおよび/または走行モータなどの駆動システムの各構成要素が制御ユニットによって制御される。したがって走行制御信号とは、制御ユニットによって生成された各制御信号を称し、各制御信号を介して土壌圧縮装置の駆動された各構成要素の作動が制御される。その際、各走行制御信号は、土壌圧縮装置の走行作動を制御する制御ユニットの各制御信号をまとめたものである。制御信号とは、例えば走行方向(例えば前進、後進、コーナリングなど)および/または走行速度(例えば加速、制動、停止など)の各変更に関する各制御信号である。
【0013】
ここで本発明によると特に例えば走行方向コマンドおよび/または速度コマンドおよび/または操向コマンドなど、各走行仕様に関する土壌圧縮装置の作動が適切な入力装置を介してユーザによって手動で予め定められた各入力を介して実施されることにより土壌圧縮装置が従来の作動モードを可能にするようにしてもよい。以下「ユーザモード」と称される作動モードにおいて、ユーザが手動で作動可能な入力装置によって予め定められた各走行仕様が土壌圧縮装置の制御ユニットに伝達され、制御ユニットから各走行制御信号の形において当該装置自身の実際の制御のために土壌圧縮装置の駆動システムへと転送される。このため入力は特に直接土壌圧縮装置に組み付けられた入力装置の各操作要素を介しておよび/またはユーザが入力装置として担持する、好ましくは無線の信号伝達接続を介して土壌圧縮装置と信号接続されている遠隔操作装置を含んでなる遠隔制御システムを用いて実施される。このような遠隔制御システムは、例えば独国特許出願公開第102010014902号明細書において開示されている。
【0014】
ここで本発明による方法および本発明による土壌圧縮装置の特徴は、当該装置の制御が特に前述し、それ自体公知であるユーザモードの他に特にいわゆる自律モードを可能にすることにある。「自律モード」の作動モードは、当該装置の制御ユニットが手動で作動可能な入力装置を介した各入力に関係なく、あるいはこの類の手動で予め定められた各走行コマンドがなくとも各走行仕様を自身で生成し、各走行仕様を各走行制御信号の形において土壌圧縮装置の駆動システムへと伝達することを特徴とする。したがって自律モードにおいて土壌圧縮装置は、走行速度および特に走行方向に関して進行動作を採用し、さらに/あるいは当該動作を継続し、さらに/あるいはそのためにユーザの入力を必要とすることなく当該動作を変更する。換言するとしたがって自律モードにおいて制御ユニットは、そのために予めユーザが手動で各コマンドを入力することなく走行方向および走行速度に関する決定を自身で実施する。ここで重要なのは、制御ユニットが土壌圧縮装置を自律モードにおいて作動させる可能性を土壌圧縮装置に隣接して少なくとも一つの側壁があるという条件と結び付けているということである。これにより理想的には土壌圧縮装置が土壌の凹部、特に溝内に存在する場合にのみ、制御ユニットによって自律モードが許容および許可されることが保証されることを目的とする。したがって土壌圧縮装置の側壁検出装置が土壌圧縮装置の直立面に対向して起立する側壁が土壌圧縮装置の前進走行方向に直交する水平方向の領域において存在することを検出する場合および/または検出し続けている間のみ、制御ユニットによって自律モードにおける土壌圧縮装置の作動が許容されるように設けられている。このことは側壁が直立面から直接起立していることを意味し得る。したがって土壌圧縮装置を自律モードにおいて作動する可能性は、外的要因、具体的には土壌圧縮装置に隣接して少なくとも一つの側壁が存在することの検出と結び付けられている。したがって走行方向から見て当該装置に隣接して側壁が存在することを検出してはじめて当該装置の自律モードにおける作動を有効化する。土壌圧縮装置を自律モードにおいて作動する上で溝または溝内部の作業環境が比較的安全と見なされるのは、作業環境が一方では地理的に明確に区切られていて少なくとも一つ、理想的には二つの互いに対向する側壁によって空間的に明確に区切られており、他方では衝突リスクが最小限であるからである。加えて以下に詳述するとおり溝内部は、比較的確実に監視され得る。したがって側壁検出装置を用いて制御ユニットが自律モードを作業環境においてのみ許可することが保証される。このため側壁検出装置と制御ユニットとは互いに通信する。その際、側壁検出装置が一つまたは複数の計測値を自身で評価し、制御ユニットが少なくとも一つの側壁の有無を通知するようにすることが可能である。しかしながら別法としてまたはさらに加えて評価を制御ユニット自身によって実施するおよび/または側壁検出装置を制御ユニットの一部として設けてもよい。
【0015】
基本的には、側壁検出装置を用いて側壁の存在の検出が土壌圧縮装置の両側面のうち最低でも少なくとも一方で実施されることが可能である。本書において「側面」とは、現在の前進走行方向に対して土壌圧縮装置の「右」または「左」の側面である。但し典型的な溝は、通常は二つの、基本的に長手方向に対して互いに実質的に平行に延伸し、長手方向に延伸し、溝床から垂直方向に起立する各側壁を有することを特徴とする。したがって側壁検出装置が土壌圧縮装置の前進走行方向に対して直交する水平方向の領域において土壌圧縮装置の両側面において同時に土壌圧縮装置の起立面から直立するそれぞれ一つの側壁が存在することを検出した場合にのみ、自律モードの有効化が実施されることも好ましい。ここで特に側壁検出装置が両側面において側壁の存在を検出した場合にのみ、制御ユニットが自律モードにおける走行作動を許可するように制御ユニットが形成されることが好ましい。土壌圧縮装置の互いに対向する両側面(すなわち「右」と「左」)における各側壁を同時に検出することによってより正確に「溝」という作業環境が識別されるため、自律モードが制御ユニットによってより確実に、土壌圧縮装置が実際に溝の中に存在する場合にのみ実際に許可される。
【0016】
ここで土壌圧縮装置が自律モードにおいて実際に作動される場合、一走行方向への走行動作が継続されると側壁検出装置によって片側または両側において突然側壁の欠落が確認されるかあるいは側壁の存在がもはや検出されないことがある。その際、側壁検出装置が前記土壌圧縮装置の直立面から起立する側壁の存在がもはや検出されなくなった場合、自律モードにある土壌圧縮装置において制御ユニットによって走行作動が停止されるように設けられることが好ましい。これによって例えば溝から傾斜路を越えて外に走行する土壌圧縮装置が溝の外において自律モードにおける自身の動作を継続するのではなく、例えば停止する(その後、例えばユーザモードにおいてのみ再び動作可能である)ことが確証される。
【0017】
しかしながら土壌圧縮装置の自律モードにおける実際の作動時において溝内においても側壁が終了しなくとも側壁が中断してさらに続く構成も考えられる。例えば溝内における分岐がある場合にこのようなことがあり得る。さらに場合によっては存在する側壁における例えば外向き管路などのスリットが溝の側壁表面上における遷移的な中断につながり得る。ここで自動モードにおいて側壁の面におけるこのようなスリットがある場合に自律モードにおける土壌圧縮装置が毎回停止されることでこのような各箇所において「ひっかかる」ことがないことが望ましい。この問題を回避するために制御ユニットに補正機能を設け、補正機能を用いることで側壁検出装置による側壁の存在の検出が短い間および遷移的に中断された場合であっても土壌圧縮装置の自律モードにおける作動を継続することが可能であるようにすることが可能である。このため例えば自律モードにおける走行作動において側壁検出装置による側壁の存在の検出が突然失われた場合に制御ユニットが時間依存的および/または経路依存的に自律モードにおける走行作動を継続することが可能である。このことはまずは側壁の存在が突然喪失するという状態が生じなくてはならないということを意味する。したがって突然とは急激な検出の喪失を意味する。走行方向における側壁に対する検出された横方向への間隔が、例えば側壁が側面側に向かってどんどん平らに減少したり使用されるセンサから側壁までの間隔がセンサの検出領域から離れたりして側壁検出装置によって側壁が検出されなくなるまでゆっくりと大きくなる場合、このような損失は突然生じるものではないため、補正機能は有効化されない。したがって突然とは経路との関連において「数センチメートル以内」の意味と理解される。走行作動の時間依存的および/または経路依存的な継続とは、側壁の存在の検出が突然失われた後、土壌圧縮装置が工場渡しで予め定められるおよび/またはユーザによって調整可能であり得る所定の時間間隔および/または経路間隔(許容間隔)に亘って走行作動を継続することを意味する。側壁検出装置が許容間隔の間に例えば溝の分岐の通過後に再び側壁の存在を検出すると、土壌圧縮装置は自律モードに維持されて自身の作動をさらに継続する。これに対して許容間隔が側壁の存在が(特に以前に側壁の中断を検出したセンサによって)新たに検出されないまま終了すると制御ユニットは自律モードを終了し、当該装置は例えば自律的に停止するか自動的に電源オフすらされる。さらに別法としてまたはさらに加えて側壁検出装置が側壁の存在を突然検出しなくなった場合、側壁検出装置が別の箇所において側壁の存在を検出する場合および特に検出し続けている場合にのみ、制御ユニットが自律モードにおける走行作動をそれでも継続するように設けてもよい。より具体的にはこのことは例えば土壌圧縮装置の一方側、例えば右側において側壁の存在の検出が突然失われた場合に側壁検出装置が継続して他方側、すなわち本例では土壌圧縮装置の左側において側壁の存在を確認した場合、土壌圧縮装置の自律作動が継続されることを意味し得る。これも経路依存的および/または時間依存的に許容間隔によって制限することが好ましく、これにより自律モードにおける土壌圧縮装置の停止を回避するために所定の時間間隔および/または所定の距離内における土壌圧縮装置の両側面における新たな検出を必要とすることが可能である。別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置の両側面における側壁の存在を検出するための別の様態において側壁検出装置が少なくとも片側における側壁の存在を走行方向において前後に連続したおよび/または重畳する複数の箇所において検出するようにすることも可能である。この場合にも前述の各原理を有する補正機能を使用することが可能である。さらに別法としてまたはさらに加えて検出された各センサデータに基づいておよび/または相応する各データを外部的に予め与えることにより制御ユニットによる計算によって壁および/または壁の経路の仮想モデルが生成されるようにすることが可能である。こうして仮想モデルを用いることにより、壁の中断が例えば分岐などの「小さな」あるいは無視できる壁の中断であるかどうかを導き出すことが可能である。
【0018】
しかしながら補正機能は、側壁検出装置によって検出された側壁領域を走行方向に対して垂直方向に前方および/または後方に調整することによって、例えば側壁検出装置の検出角度を適宜設計することによっても実現可能である。よって例えば側壁検出装置が水平面において土壌圧縮装置の走行方向に対して直交することで当該装置の高さにある側壁領域を検出するのみならず、例えば走行方向に対して先にある、部分的に土壌圧縮装置の前にある側壁領域をも検出するようにしてもよい。このことは例えば一つまたは複数のセンサの検出領域を相応して斜めに配向する、すなわち(各)センサを土壌圧縮装置から出発して側壁への方向および走行方向に対して前方、すなわち前方と外側に向かって斜めに延伸する検出領域を有するようにすることによって実施され得る。ここでも仮想壁モデルを演算して判断の根拠として利用することが可能である。
【0019】
制御ユニットによって自動的に発せられた、自律モードにある(および走行中の)土壌圧縮装の停止が実施され得る様々なシナリオが可能であり、好ましい。よって例えば側壁検出装置が検出された側壁の垂直高さが特に床から測定された所定の閾値を下回ったことを検出した場合に自律モードにおける走行作動の停止が実施される。自律モードを維持するために下回るべきではない、特に好ましい壁高は、少なくとも30cm、特に少なくとも50cmである。当該閾値がパラメータ化可能であり、よってユーザが手動で予め定めることが可能であるようにしてもよい。したがって当該機能性の場合、側壁検出装置は、土壌圧縮装置に隣接して側壁が基本的に存在しているということだけではなく同時に検出された側壁領域の所定の最低高さがあるかどうかをチェックする。こうすることで例えば土壌圧縮装置が溝から傾斜路を越えて外へ走行する場合、まだ溝内にいる間に自動的に停止することを保証することが可能となる。別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置の前進走行方向に対して直交する水平方向において土壌圧縮装置に対する検出された側壁の水平間隔が所定の閾値を越えた場合に自律モードにある土壌圧縮装置が自動的に停止するようにしてもよい。このようなケースは、例えば土壌圧縮装置が溝から外に走行するおよび/または溝から大きな建設ピットへと進入する場合に生じ得る。両シナリオは、トレンチローラが幾分均質で空間的に限定されている溝内部の環境から別の環境へと移動することを特徴とする。ここではその場合に土壌圧縮装置の制御ユニットが自律モードにおける作動を中断することで土壌圧縮装置の進行がユーザモードにおいてのみ可能であるか、別法として自律モードにおいて反転して土壌圧縮装置が逆方向に走行を続けることがそれぞれ好ましい。最終的に別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置の前進走行方向に直交する水平方向における、検出された側壁の水平間隔が所定の閾値を下回った場合、自律モードにある土壌圧縮装置が停止されるようにしてもよい。当該閾値もパラメータ化可能であり、よってユーザが手動で予め定めることが可能である。したがって機能によって自律モードにおける土壌圧縮装置と側壁との衝突を特に回避するおよび/または側壁に対して常に最低間隔または安全間隔が保たれ得るようにすることが可能となる。
【0020】
制御ユニットによる自律モードにおける土壌圧縮装置の作動、特に走行作動を有効化するための本発明における既存の最低条件に加えてそもそも自律モードにおける作動を許可するために制御ユニットにその他の各係数を問うことが可能である。よって例えば側壁検出装置が(特に床から測定された)検出された側壁の垂直高さが所定の閾値を上回ることを検出してはじめて制御ユニットによる自律モードにおける走行作動が有効化されることが好ましい。少なくとも存在すべき特に好ましい壁高は、少なくとも30cm、特に少なくとも50cmである。このような閾値がパラメータ化可能であり、よってユーザが手動で予め定めることが可能であるようにしてもよい。これにより側壁検出装置によって現在検出された、土壌圧縮装置に隣接する側壁が最低高さを有することが保証される。最小高さは、少なくとも例えば具体的な装置との関連において土壌圧縮装置自身が側壁を超えることがない高さであるように定義されることが好ましい。こうすることで自律モードにおいて土壌圧縮装置が各側面に向かって溝内部から脱出し得ないことが保証される。別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置の前進走行方向に直交する水平方向における、検出された側壁の水平間隔が所定の閾値または所定の最大間隔を下回ることを側壁検出装置が検出してはじめて制御ユニットによる自律モードにおける走行作動が有効化されるようにしてもよい。閾値もまた工場渡しで固定的に定義されていても好ましくは手動で調整可能であってもよい。したがって追加の制限を用いて自律モードにおける作動が特定の最大溝幅に制限され、これにより最終的には土壌圧縮装置が溝内に配置された場合にのみ、自律モードが実際に前記制御ユニットによって有効化されることがここでも保証されることにもなる。最小溝幅との関連における自律モードにおける作動の追加的なまたは別法としての制限も可能である。よって例えば最小溝幅が最大装置幅+10%に相当する場合にのみ、自律作動モードが可能であるように要求することが可能である。
【0021】
土壌圧縮装置が自律モードにおいて作動している場合、理想的には自律モードにおける当該装置の衝突を防止するための対策が講じられる。このため、土壌圧縮装置の現在の走行方向におよび/または逆方向に存在する各障害物、特に土壌面から突出するおよび/または当該装置の走行方向における垂直高さおよび/または水平幅にある各障害物の検出が実施されるようにしてもよい。当該検出は、例えば間隔センサ、スキャナ、適切な画像加工ソフトウェアを含むカメラなどを含んでなる障害物検出装置を用いて実施し得る。ここで特に障害物検出装置によって走行方向におよび/または逆方向に存在する障害物が検出された場合、制御ユニットが自律モードにおける走行作動を停止するようにされている。自律モードとは関係なく、少なくとも土壌圧縮装置が走行作動中である場合にはユーザモードにおいても障害物検出装置が有効であり、例えば走行路に障害物があることを検出した場合に土壌圧縮装置の走行作動をユーザモードにおいても停止するようにしてもよい。
【0022】
土壌圧縮作業は、所望する土壌剛性によっておよび土壌物質との関連において所望する圧縮度を得るためには土壌圧縮装置が複数回通過することを必要とする。したがって土壌圧縮装置は多くの場合逆方向に作動されるまたは一経路に沿って複数回、個々の通過軌道の横変位があるおよび/またはない状態で往復走行されることが通例である。そのため本発明による方法の好ましい発展様態では、自律モードでは走行方向に移動している土壌圧縮装置が走行方向を反対の走行方向に切り替える反転コマンドを制御ユニットから自身で生成して制御されていてもよい。例えば走行方向に存在する現実の障害物が検出されて好ましくは同時に現在の走行方向と反対方向においては障害物が検出されない場合、制御ユニットによる反転工程が開始されるようにしてもよい。このようなシナリオは、例えば土壌圧縮装置が例えば溝の終端における溝壁に向かっている場合に生じる。別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置は仮想障害物に当たることも可能である。ここで仮想障害物とは、例えばいわゆるジオフェンシング適用によって予め定められ得るような外部または内部から予め定められた経路制限のことである。この場合、土壌圧縮装置は、相応する各仕様の検出および評価のための適切な検出装置を含んでなることは明らかである。このことは例えばジオフェンシング適用の場合、土壌圧縮装置の位置特定が衛星航法システムおよび/または移動通信システムおよび/または局地測位システムを介して実施され、位置検出が所定の許容動作範囲と比較されることを意味する。別法としてまたはさらに加えて手動で予め定められた走行距離の終わりに到達した場合、制御ユニットが反転コマンドを開始することも可能である。
【0023】
さらに別法としてまたはさらに加えて例えば土壌圧縮装置によって検出装置を用いて検出可能な外部のマーキング要素が検出された場合、制御ユニットによって自律モードにおいて反転工程および/または他の装置機能/装置反応が開始されるようにしてもよい。したがって方法の発展態様では、現地で土壌圧縮装置によって検出可能および評価可能であり、土壌圧縮装置によって復号可能な形における異なる各機能および/または各コマンドおよび/または各環境を表す少なくとも一つのマーキングが位置決めされるようにされている。ここでまず土壌圧縮装置が検知装置を含んでなり、検知装置を用いて土壌圧縮装置が現地に位置決めされた、少なくとも一つのマーキングを走行中に検知して復号できることが重要である。検知装置と検出可能なマーキングからなるシステムは、これにより土壌圧縮装置の継続中の作業作動中における一つまたは複数のマーキングの自動的且つ非接触的な識別が可能であるように形成されることが理想的である。少なくとも一つのマーキングと検知装置とは、互いに互換性のある作用対を形成する。マーキングは、例えば視覚的にとらえることが可能なマーキングであり得、例えば数字および/または色分けを含む看板および床や壁にスプレーされたカラーマーキング、例えばQRコードまたはバーコードなどの光電子的に読み取り可能なコードやこれに類似したものであり得る。この場合、土壌圧縮装置は、例えば適切な画像加工ソフトウェアを有するカメラおよび/またはスキャナなど、少なくとも一つの適切な検出装置を含んでなる。マーキングは、例えばRFID技術などを利用した、非視覚的である検出原理を含むものであり得る。この場合、少なくとも一つのマーキングはRFIDトランスポンダであり、装置側の検出装置は適切な送信および受信ユニットである。この場合、使用される外部のマーキング要素は、特に走行距離との関連において例えば現地に配置されたRFIDトランスポンダおよび/またはマーキング看板、あるいは走行距離に沿って延伸する引き伸ばされたマーキングなど、散発的なマーキングを表すことが可能である。
【0024】
したがって検出装置を用いて土壌圧縮装置によって検出可能な外部のマーキング要素の検出が中断されると土壌圧縮装置の走行動作の反転工程または停止が開始されることも好ましい。したがって変形実施様態においては連続的または定められた時間区間および/または経路区間内において実施されたマーキングの検出によって土壌圧縮装置が自身の走行動作を継続することが特定される。検出が中断されるか少なくとも定められた時間区間および/または経路区間内との関連において時間内に継続されない場合、好ましいことに相応して当該装置が停止されるかあるいは反転工程を開始しさえするように設けられている。
【0025】
自律モードにおける土壌圧縮装置の反転工程の開始時における具体的な制御工程については基本的に同様に様々な設定の選択肢が可能である。例えば反転工程は反転工程が開始された場合に土壌圧縮装置が同一の走行路において反対の走行方向を戻るように移動する限り、直線状に開始され得る。別法として土壌圧縮装置が判定工程の開始とともに土壌圧縮装置の移動軌道が後進方向において走行方向に対して水平且つ垂直に例えば事前に与えられた量分、前進方向における土壌圧縮装置の移動軌道に対して横方向に変位して連続するように軌道変位を開始するようにしてもよい。したがってこの場合、反転工程は制御ユニットによって制御された土壌圧縮装置の操向作動をも同時に含めてなる。
【0026】
別法としてまたはさらに加えて各走行軌道および/または一つまたは複数の土壌剛性と相互関係がある計測値を取得し、記録しおよび/または例えば中央局上、遠隔制御装置上、ウェブインターフェイスを介して、スマートフォンおよび/またはタブレット上などに表示してもよい。当該装置自身上の表示を設けることも可能である。
【0027】
ここで本発明による方法のためには土壌圧縮装置によって自律的に開始されたおよび/または実施された各機能あるいは自律モードにおける土壌圧縮装置について常に土壌圧縮装置あるいは最終的に制御ユニットによって受信された手動による作動入力が全ての自律機能に対して階層的に優先されるようにすることが特に好ましい。こうすることにより手動で操作可能な入力装置を用いた一般的なオーバーライドが提供され、オーバーライドにより最終的にはユーザが自律モードより常に優先され得ることを保証する。土壌圧縮装置が現在自律モードにある場合には、例えば作動状態の間に受信された手動による入力がどのように制御ユニットによって土壌圧縮装置を制御するために処理されるかに関する様々な変形様態が考えられる。よって例えば制御ユニットが実際の具体的な手動による作動入力を実施することが可能である。例えばユーザが自律モードにおける土壌圧縮装置の作動時に手動で作動可能な入力装置を介して左への操向作動を特定すると、制御ユニットがコマンドを実施して土壌圧縮装置の左への操向作動を開始する。他方、土壌圧縮装置が少なくとも自律モードにおいて作動されている間、手動入力装置を介して実施されたあらゆる入力が当該装置側の制御ユニットによって例えば純粋な走行作動に関連する、あるいは同時に駆動モータのスイッチオフをも伴う外部からの停止コマンドとして解釈されて相応して実施され得る。さらに土壌圧縮装置が自律モードにある場合、ユーザが「ハイレベル」な指示を出すようにしてもよい。より具体的にこのことは土壌圧縮装置が例えば正確に隣接する各走行軌道または定義された重畳幅において重畳する各走行軌道など、所定の方法での軌道変更をユーザが始動し、その後土壌圧縮装置が軌道変更を自律的に開始することを意味し得る。別法としてまたはさらに加えてこのような「ハイレベル」な指示を介して第一の溝経路から分岐する第二の溝経路または一つの溝から分岐する別の溝への横方向への曲げ動作が実施されるようにしてもよい。これとは関係なく、特に土壌圧縮装置が自律モードにおける作動中に常に例えば遠隔操作装置などの手動で作動可能な入力装置と信号接続状態にある必要がないようにしてもよい。したがってここでは有利なことに遠隔操作装置との信号接続の中断は、土壌圧縮装置が自律モードにある場合、土壌圧縮装置の作動の中断にはつながらない。これに対してユーザモードにとっては遠隔操作層への信号接続の中断が走行作動状態にある土壌圧縮装置が安全性を鑑みて自動的に停止することが有利である。
【0028】
土壌圧縮装置のユーザにとって特に土壌圧縮装置が自律モードにある場合、理想的には実質的に位置独立的に土壌圧縮装置の現在の作動状態に関する画像をユーザが提供し得ることが好ましくあり得る。したがって制御ユニットが少なくとも自律モードにおける作動中、また好ましくはユーザモードにおける制御ユニットが自律モードの有効化のための外的条件を肯定した時点で既に土壌圧縮装置の作動情報をユーザに表示するように形成されている表示装置を制御することも好ましい。理想的には少なくとも部分的に実数値情報またはリアルタイム情報である。これにより制御ユニットは当然、土壌圧縮装置の完全な、すなわち自律モードとユーザモードを含む作動に関する各作動情報の表示を表示装置に伝達することも可能である。各作動情報の表示自体は、直接土壌圧縮装置における表示装置自身においておよび/または相応する各情報を(好ましくは例えば無線接続など無線で)制御ユニットおよび適切な伝達装置から例えば中央管制センタおよび/または携帯式遠隔操作の枠内における土壌圧縮装置の外部に位置決めされた表示装置に伝達することによって実施され得る。ここで表示され得る関連する各情報は、例えば自律モードにおける作動のための各有効化条件が満たされているかおよび/または自律モードにおける作動のための各有効化条件がもはや満たされていないなどの旨の表示に関連することが好ましい。したがってこのような表示を用いてユーザは例えばそもそもユーザモードから自律モードに変換することが可能であるかどうかを確認するおよび/または例えば側壁がもはや検出されないなど、例えば各有効化条件がもはや満たされていないという現状が故に当該装置が元々自律モードにある土壌圧縮装置を停止させたことを確認することが可能である。別法としてまたはさらに加えて制御ユニットは、土壌圧縮装置が現時点で自律モードおよび/またはユーザモードにおいて作動されているかを表示するように表示装置を制御することが可能である。さらに別法としてまたはさらに加えて表示装置を用いて遠隔操作装置への有効な信号伝達接続が存在するおよび/またはもはや存在しないかを制御ユニットによって表示することが可能である。現在の各作動パラメータを表示することも可能である。このことは例えば現在の走行方向、走行速度、タンクレベル、励起ユニットの活性化状態などの表示に該当する。さらに別法としてまたはさらに加えて側壁検出装置および/または障害物検出装置によって求められた例えば現在のカメラ画像や特に土壌圧縮装置の走行方向に直交する水平方向における各間隔データなど、各データおよび各評価結果を用いて制御ユニットから表示装置へと伝達され得る。最後にさらに別法としてまたはさらに加えて例えば通常はユーザが担持する遠隔操作装置および/または例えばGPSベースのカードシステムにおいて土壌圧縮装置の現在の位置を表示することも可能である。
【0029】
各作動情報の表示の具体的な種類に関しては各情報の種類に応じて様々な表示方法やそれらの組み合わせをも講じることが可能である。ここで例えば相応する信号灯および/または例えばタッチスクリーンなどの表示ディスプレイを利用した視覚的表示が有益であった。しかしながら別法としてまたはさらに加えて特に予期しない結果、特に実施中の自律モードを中断するか(例えば障害物に遭遇した場合など)少なくとも自律モードにある土壌圧縮装置を停止させるような結果が生じた場合に聴覚的な表示可能性を使用することも含まれている。さらに別法としてまたはさらに加えて特にユーザが遠隔操作装置を使用する場合、例えば振動装置などの例えば遠隔操作装置内に配置された触知可能な信号装置を用いて触知可能な各表示を利用することも可能である。
【0030】
また制御ユニットが予測機能を有することも可能である。予測機能は、自律モードにおいて土壌圧縮装置のほぼ確実である将来の作動挙動を経路依存的および/または時間依存的に予測することを特徴とする。このことは特に現在利用可能な各作動情報、特に側壁検出装置を介して求められた各情報および/または間隔情報および/または他の環境状況を提供する、走行方向前方におよび/または反対方向における各センサに基づいておよび/または仮想壁モデルあるいは環境モデルにすら基づいて実施され得る。したがってこのような予測機能は、例えば自律モードにある土壌圧縮装置の挙動の予想とこれに相応するユーザへの早期通知を可能にする。こうすることで例えば経路依存的および/または時間依存的に走行路にある障害物に実際に到達する前にユーザが通知を受けて自身の相応する対応を準備することが可能である。別法としてまたはさらに加えて予測機能は、例えば土壌圧縮装置の将来的な走行路を特に土壌圧縮装置が実際に撮影したカメラ画像に重畳して表示することも可能にする。全体として予測装置を用いて例えば自律モードにおける中断の潜在的な割合を低減することが可能である。
【0031】
本発明による方法は、さらに圧縮すべき土壌領域に対して制御ユニットによって求められた走行計画が定められる計画ステップを含んでなるものであり得る。走行すべき作動計画は、効率的で目標を定めた作業工程を可能にする。ここで例えば各重畳経路、得るべき土壌剛性などさらなる各基準を定めることも可能である。圧縮すべき土壌領域は、外部から例えばユーザによって各位置データを用いて予め与えられ得るあるいは土壌圧縮装置自身が求めることが可能である。
【0032】
本発明はさらに自走式の土壌圧縮装置に関し、土壌圧縮装置は駆動ユニットを含んでなり、駆動ユニットを介して少なくとも土壌圧縮装置の走行作動のために必要な駆動エネルギーが供給される。したがって本書において駆動ユニットは土壌圧縮装置の一次駆動ユニットを意味する。ここでは例えば内燃機関または電気モータであり得る。一次駆動ユニットのエネルギー供給のために土壌圧縮装置は燃料タンクおよび/または電気エネルギー用の蓄積ユニットを帯同し得る。土壌圧縮装置の具体的な圧縮は、例えば土壌面上を転動するタイヤまたは土壌接触板を有する土壌接触装置を用いて実施される。本発明による土壌圧縮装置は、さらに土壌圧縮装置の走行作動を制御する制御ユニットを含んでなる。したがって制御ユニットは、相応する各制御コマンドを例えば走行モータ、励起装置、ステアリングアクチュエータなど、土壌圧縮装置における個々に制御すべき各ユニットへと伝達する装置を意味する。この種の土壌圧縮装置は、冒頭において述べた各公報より公知である。土壌圧縮装置は、揺動板またはトレンチローラであることが好ましい。
【0033】
本発明による土壌圧縮装置は、さらに側壁検出装置を有する。側壁検出装置は、土壌圧縮装置の前進方向に直交する水平方向の領域において土壌圧縮装置の直立面に対して垂直方向に起立する、特に床から垂直方向に起立する側壁の存在を検出することが可能であるように形成されている。したがって本書において土壌圧縮装置の「側面」とは、走行方向に関連して水平に見た場合の土壌圧縮装置の右側および左側を意味する。相応して「側壁」とは、土壌圧縮装置の右側または左側に存在する壁のことであり、したがって土壌圧縮装置は、走行方向において側壁に沿って走行する。側壁検出装置を用いて土壌圧縮装置または制御ユニットは、土壌圧縮装置の現在の位置において土壌圧縮装置の走行方向に関連して土壌圧縮装置に隣接して側壁があるかどうかをチェックすることが可能である。換言すると側壁検出装置は、土壌圧縮装置に隣接して少なくとも一つの側壁が存在することを検出するために形成されている。このことを踏まえてさらに制御ユニットは、土壌圧縮装置の自律モードにおける走行作動を制御するように形成されている。別法として土壌圧縮装置のユーザモードにおける作動も可能であるようにしてもよい。ユーザモードにおいて各走行仕様がユーザによって制御ユニットの手動で作動可能な入力装置によって予め与えられ制御ユニットから制御すべき(各)ユニットへと転送されるようにすることが可能である。これに対して自律モードにおいては各走行仕様が制御ユニット自身から予め与えられて制御すべき(各)ユニットへと転送される。したがって土壌圧縮装置は、自律モードにおいてユーザによる能動的なコマンド入力を必要とせずに自律的または自主的に移動する。この場合、走行作動に関する決定は制御ユニット自身によってなされる。ここで重要なのは本発明による土壌圧縮装置がさらに自律モードを有効化するまたは無効にするように形成された有効化装置を含んでなることである。したがって制御ユニットの一部であり得る有効化装置は、一種の上位の仮想決定要素を構成する。有効化装置の課題は、自律モードにおける土壌圧縮装置の作動のために定義された各最低条件が存在することをチェックすることにある。これにより基本的に土壌圧縮装置が後に詳述する周辺環境にある場合のみ自律モードが可能であることが保証される。より具体的にはここでの有効化装置は、側壁検出装置が少なくとも土壌圧縮装置の前進方向に直交して同時に存在する側壁が検出される各作動状態においてのみ有効化装置によって自律モードが有効化されるように形成されるようにされている。これにより土壌圧縮装置が無作為に自律モードにおいて作動可能であるのではなく、土壌圧縮装置が現在少なくとも一つの側壁、理想的には例えば溝内にいる場合のように二つの互いに対向する側壁の間に存在するような作動環境においてのみ有効化装置によって作動可能であることが保証される。
【0034】
基本的には側壁検出装置が土壌圧縮装置の両側面のうち少なくとも一方において側壁の有無をチェックするように側壁検出装置を形成することが可能である。このことは場合によっては自律モードの有効化のために土壌圧縮装置が例えば溝内にいるということについて十分に信頼できるチェック基準として使用され得る。しかしながら側壁検出装置が土壌圧縮装置の両側面におけるそれぞれ一つの側壁の存在を同時あるいは交互に検出し、その後理想的には制御ユニットが自律モードを有効化するための満たすべき基準として土壌圧縮装置の両側面におけるそれぞれ一つの側壁が同時に存在していることを利用するように側壁検出装置が形成されていることが好ましい。ここで同時の検出とは、土壌圧縮装置の両側面において側壁の存在が同時に検出されることを意味する。これに対して交互の検出とは、例えば2Dおよび3Dレーダセンサなどの軸を中心に旋回または回動するセンサの場合にあり得るように土壌圧縮装置の両側面における側壁の存在が時間的に交互に検出されることを意味する。側壁検出装置の可能である具体的な様態については後により詳述する。
【0035】
ここで側壁検出装置が少なくとも一つの間隔センサを有し、間隔センサが自身の視線方向および/または自身の検出領域に関して土壌圧縮装置の側面に対する水平面に対して少なくとも部分的に斜めまたは平行に配置されるように土壌圧縮装置に配置されていることが有利である。自身の視線方向および/または検出領域が土壌圧縮装置の走行方向に対して水平および垂直に延伸する間隔センサもまたこれに含まれてなる。したがって土壌圧縮装置に配置された間隔センサは、まずは土壌圧縮装置自身から出発して所定の領域内における所定の方向において間隔センサ、すなわち土壌圧縮装置から出発して所定の領域内の所定の方向にある対象物への間隔を求めることができるように形成されていることが好ましい装置を意味する。その際当該方向は、いわば間隔センサの視線方向または検出方向を意味する。当該方向は、間隔センサから出発して例えば実質的に直線的、具体的にはとりわけ測定光の形状において、あるいは実質的に円錐形や扇形などであり得る。スキャンする間隔センサを使用する場合、定義上はスキャンされた領域が基本となる。所定の領域は、特に最大および/または最小側面間隔との関連において検出すべき側壁に対して最小限許容可能なおよび/または最大限許容可能な間隔において決定され得る。これは一方では使用される間隔センサの測定能力自体によって決定されるかおよび/または工場渡しあるいはユーザによる相応する制御仕様によって制限され得る。
【0036】
ここで土壌圧縮装置の両側面においてそれぞれ一つの側壁が存在することを検出するためにはいくつかの可能性がある。一方では自身の検出領域が水平方向に周回するように形成されている間隔センサを使用することが可能である。このような場合、間隔センサを上面、場合によっては垂直方向に、支持ポールなどの適切な支持ユニットによって土壌圧縮装置の他の部分よりも上方に変位して位置決めすることが有用である。しかしながら目的とされる土壌圧縮装置全体の小型化と同時に信頼できる側壁検出とに鑑みて側壁検出装置が少なくとも二つの間隔センサを有し、各間隔センサの各検出領域が少なくとも部分的に土壌圧縮装置の両側面のうちいずれかの方向にそれぞれ配置されていることが好ましい。これにより土壌圧縮装置の両側面のそれぞれに対してそれぞれ少なくとも一つの独自の間隔センサが設けられるため、相互に別の各間隔センサを介して右側および左側において側壁の存在が検出される。当該実施形態は、特に間隔センサが構造的に垂直方向に突出しているのではなく土壌圧縮装置の各側壁の高さに配置され得るという利点を伴う。
【0037】
問題のない自律モードにおける土壌圧縮装置の作動進行のためには、側壁検出装置が可能な限り(各)側壁の存在に関する完全な情報を得ることができることが有利である。したがって本発明による好ましい発展様態において側壁検出装置が土壌圧縮装置の少なくとも一方側において少なくとも二つの間隔センサを有し、各間隔センサは自身の各検出領域が土壌圧縮装置の走行方向に見た場合、少なくとも部分的に前後に連続して延伸するように互いに対して配置されるようにもしている。このことは構造的には少なくとも二つの間隔センサの各検出領域を相応して配置することおよび/または間隔センサの走行方向において前後に連続するように位置決めすることによって得られる。別法としてまたはさらに加えて少なくとも二つの間隔センサが自身の各検出領域が土壌圧縮装置の垂直方向から見た場合、少なくとも部分的に重畳するように延伸するように互いに対して配置されているようにしてもよい。このため少なくとも二つの間隔センサを各検出領域がここでも相応して配置されるおよび/または各検出領域が垂直方向から見た場合に重畳して土壌圧縮装置に位置決めされることが可能である。
【0038】
土壌圧縮装置が自身の検出領域、特に土壌圧縮装置の側面への方向に関して複数の間隔センサを有する場合、各間隔センサは基本的には同じ機能原理に基づき、また構造的に同じですらあるように形成されていてもよい。しかしながら少なくとも二つの間隔センサが互いに異なる方法で間隔計測を実施し、したがってこの場合は異なる機能原理および/または例えば各計測波長領域(例えば超音波と赤外線)およびこれによって異なる課題を互いに組み合わせ、特に少なくとも同一の各方向および/または互いに少なくとも部分的に重畳する空間領域を検出することも有利であり得る。このことはいくつかの間隔センサが例えば明るさに関する条件や可能である空気の粉塵負荷など、特定の環境条件についてはより感受性が高いことがあるという程度まで本発明による土壌圧縮装置の潜在的な適用範囲を高めることが可能であり、そのことは別の作業を実施する各間隔センサと組み合わせることにより理想的な場合にはほぼ補正され得る。より具体的にはそのために例えば比較的大きなこん棒形の検出領域を有する超音波センサが比較的大きな、特に垂直方向にも延伸する領域をも検出して同時に少なくとも部分的に重畳する領域を検出する、例えば水平配置の2-D-LRFセンサが設けられて例えば比較的正確である壁造形とこれに伴って例えば壁の切れ目を検出することを可能にするようにしてもよい。
【0039】
使用される(各)間隔センサの具体的な態様については広い範囲のものを利用することが可能である。例えば基本的には機械的または触知効果がある、例えば土壌圧縮装置に対して案内可能な間隔計測アームなどの間隔センサを利用することが可能である。ここでの原理は、機械的な間隔センサが側壁接触要素を有し、側壁接触要素が土壌圧縮装置の他の部分に対して相対可動であるように土壌圧縮装置に搭載されており、走行作動時に側壁に沿って摺動することに基づいている。したがってこの場合、側壁は土壌圧縮装置の他の部分に対して側壁接触要素に変位圧を付与するおよび/または土壌圧縮装置の他の部分に対する側壁接触要素の変位移動を生じさせる。その後、変位圧および/または変位移動は、位置センサ、経路センサ/経路センサなどによって求められ得る。このことは側壁検出装置によって側壁が存在することの確認として解釈され得る。しかしながら側壁に対する間隔を非接触で求めるように形成されている間隔センサを用いることが好ましい。各センサは、非接触または物理的な接触なしにセンサと本例では側壁である計測対象物との間の間隔を求める。非接触で間隔を求めるためにこれらは本書では特にレーザセンサ、超音波センサ、レーダセンサ、ライダセンサあるいは適切な画像加工ソフトウェアを有する一つまたは複数の例えば立体ビジョンカメラまたは3Dカメラなどのカメラ、立体照明の使用などであり得る。特に制御ユニットは各画像データの評価装置を含んでなり得、これにより例えばカメラによって撮影された溝壁の画像を色情報および/またはコントラスト情報および/または構造情報を用いて識別し得る。この類の溝壁にとって特徴的な各情報は、土壌の材質、湿気、土壌材質の組成などに依存するものであり得、撮影された画像から溝壁の実際の計算上の識別のために制御ユニットが使用し得る。
【0040】
本書において説明される側壁検出装置の課題は、実質的に土壌圧縮装置が自律モードにおいて少なくとも一つの側壁の近く、理想的には走行方向に延伸する二つの側壁の間に位置決めされていることを確証することにある。しかしながら自律モードにおける土壌圧縮装置の実際の走行作動においては追加的に少なくとも一つのセンサが設けられており、センサが土壌圧縮装置の走行方向の前および/または後にある領域、特に土壌圧縮装置の走行路の領域を検出するように形成されていることが有利である。したがってセンサは、例えば土壌圧縮装置と障害物との衝突を防止するために土壌圧縮装置の走行路の検出と評価および走行路に存在する潜在的の障害物の検知を自身の課題とする走行路検出装置または障害物検出装置の一部である。これは例えば溝内にいる人などであり得る。センサの具体的な態様については基本的に前述の側壁検出装置の各実施形態を使用することが可能である。よってここでは特に適切な各間隔センサおよび/または各カメラシステムが有益であることが判明した。前述のように適切なセンサを垂直に突出するように配置するという方法の他に、使用される少なくとも一つのセンサを自身の検出領域とともに少なくとも部分的に走行方向に対して前方または後方に配置し、特に土壌圧縮装置の前面および/または背面に位置付けることが有用である。自身の検出領域を含むそれぞれ使用されるセンサは、センサが走行路において土壌圧縮装置の前方にある床の少なくとも一部分を検出するように配置されることが好ましい。別法としてまたはさらに加えて少なくとも一つの走行方向に配置されたセンサが少なくとも右側または左側に配向されたセンサよりも小さい開口角度を有することが有利である。
【0041】
障害物検出装置の少なくとも一つのセンサと側壁検出装置の少なくとも一つのセンサとが共通のセンサであるか、好ましくは自身の各検出領域が互いに重畳するように配置されるように位置決めされている二つまたは複数の別個のセンサであるようにしてもよい。これにより走行路および/または側壁に関する予報が重複してチェックされることにより確実に予報され得るという利点を奏する。土壌圧縮装置が全体として、特に土壌圧縮装置の高さにおいて周回する検出領域が得られるように各センサの各検出領域を互いに対して相対的に配置することさえ可能である。別法としてまたはさらに加えて特に一つまたは複数のカメラを使用する場合には適切なソフトウェアを用いることによって鳥瞰(「バードビュー」)する仮想視点を生成することも可能である。
【0042】
本発明による方法に関して既に言及したとおり、本発明の好ましい発展様態は、土壌圧縮装置が自律モードにおいて自律的に各外部および/または仮想マーキングを検知および評価し、相応して制御ユニットによって制御されるように形成されていることにある。したがって装置の条件としては土壌圧縮装置が少なくとも一つの外部および/または仮想マーキングを理想的には非接触で検出するための装置を含んでなることが好ましい。外部および/または仮想マーキングの可能である具体的な実施形態に関しては、前述の本発明による方法に関する各実施形態を参照する。特に適切な検出装置は、例えばカメラ、RFIDスキャナ、光学スキャナなどであり得る。
【0043】
さらに本発明による土壌圧縮装置の一部分は、少なくとも一つまたは複数の以下の作動パラメータを表示するための表示装置であり得、特に遠隔操作装置および/または管制局の各部分としてあり得る:
-自律モードはスイッチオンおよび/またはスイッチオフされている(同様のことがユーザモードについても該当する);
-自律モードは有効および/または無効である;
-自律モードは使用可能であるおよび/または使用不可能である;
-側壁の存在が現在検出されるおよび/または検出されない;
-側壁検出装置によって検出された、少なくとも一つの現在求められた側壁への間隔(両側面など)
-走行方向において土壌圧縮装置の前方および/または後方に存在する障害物が検知される/検知されない;
-遠隔操作装置に対する有効および/無効な信号接続が存在する。
表示装置が直接土壌圧縮装置に配置されており土壌圧縮装置と連動する場合、例えば相応する表示灯および/または表示ライトを使用することが可能である。視覚的表示の他に例えばサイレンおよび/または警笛を用いて特に聴覚的シグナル表示が可能である。遠隔操作装置および/または管制局の場合、土壌圧縮装置は適切な、好ましくは無線の信号伝達接続を介して好ましくは恒久的にあるいは少なくとも間隔をおいて遠隔操作装置と通信し、遠隔操作装置に相応する上記の各情報を伝達する。このことは別法としてまたはさらに加えてユーザの要求に応じて実施されてもよい。特に「遠隔操作装置」の場合、土壌圧縮装置と遠隔操作装置との間における信号伝達接続が(あるいは両方向のうち少なくとも一方向において)もはや存在しなくなると自律モードが中断されるようにしてもよい。そのための具体的な実施様態としては遠隔操作装置と土壌圧縮装置との間における信号接続が中断された場合、土壌圧縮装置が最低でも停止されるか制御ユニットによって強制的に自律モードが中断されるという本書における発展的な変更を含んだ上で例えば独国特許出願公開第102010014902号明細書から公知であるシステムを使用することが可能である。後者の結果として遠隔操作装置と土壌圧縮装置との間における信号接続の再開が自律モードにおける土壌圧縮装置の走行作動の続行につながるのではなく、ユーザが再び遠隔操作装置を介してユーザモードから改めて自律モードを始めることを必要とする。しかしながら遠隔操作装置と土壌圧縮装置の間に存在する信号接続がユーザモードにおいてのみ必要であり、土壌圧縮装置が自律モードにおいて作動される場合に遠隔操作装置から土壌圧縮装置への実質的に有効な信号伝達接続は必要ないように制御ユニットを形成することも可能である。
【0044】
さらに人物認識のための一つまたは複数の装置および/または人物が認識されたことを示す表示を土壌圧縮装置に設けることが可能である。
【0045】
本発明による土壌圧縮装置は、特に好ましくはそれぞれ遠隔操作装置を有するトレンチローラまたは揺動板であることが好ましい。トレンチローラにおいてはトレンチローラが関節連結状に形成されており、相応して関節連結ジョイントを介して互いに連結された前枠と後枠とを有することが特に好ましい。さらにトレンチローラの少なくとも一つの側面に対してそれぞれ前車両と後車両に側壁の存在を検出するための間隔センサが設けられているように側壁検出装置が形成されていることが有利である。これに対して揺動板においては揺動板がそれぞれの側面、すなわち右側面と左側面および前面と背面にそれぞれ間隔センサを有することが有利である。しかしながら間隔を求めるために走行方向に対して右側面と左側面に少なくとも二つのセンサが設けられることが有利であり得る。
【0046】
最後に本発明による別の様態は本発明による土壌圧縮装置と携帯式遠隔操作装置とからなるシステムに関し、ここでは土壌圧縮装置が携帯式遠隔操作装置を介して手動で遠隔制御され得る。当該創意の重要な観点は、前述のとおり土壌圧縮装置が少なくとも自律モードにおいて各情報を遠隔操作装置に伝達するように形成されていることが好ましい点にある。このため相応して前述の各実施形態を参照する。
【0047】
最後に本発明による土壌圧縮装置および本発明による土壌圧縮装置と遠隔操作装置とからなるシステムとは、本発明による方法と当該方法の好ましい各発展態様との実施のために好ましい。
【0048】
以下に本発明について各図面において図示される各実施態様例に基づいて詳述する。概略的に図示されているのは:
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1A】トレンチローラタイプの土壌圧縮装置の側面図である。
【
図2A】揺動板タイプの土壌圧縮装置の側面図である。
【
図3】各センサの様々な配置選択肢を含む土壌圧縮装置の概略上面図である。
【
図4A】各センサの各検出領域の様々な配置選択肢を含む土壌圧縮装置の概略上面図である。
【
図4B】各センサの各検出領域のさらに別の様々な配置選択肢を含む土壌圧縮装置の概略上面図である。
【
図7A】溝内における土壌圧縮装置の作動工程の上面図である。
【
図7C】線II-IIに沿った
図7Aの溝を通る断面図である。
【
図10】ユーザモードにおける土壌圧縮装置の作動のフローチャートである。
【
図11】自律モードにおける土壌圧縮装置の作動のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
同一構造および/または同一機能の各構成要素は、各図面において同一の符号を用いて示され得る。しかしながら各図面において繰り返される全ての構成要素または各図面において繰り返される全ての工程が必ずしも各図面において別個に示されているわけではない。
【0051】
図1Aおよび
図1Bは、トレンチローラ1Aタイプの土壌圧縮装置1を図示している。この場合の土壌圧縮装置1の重要な各要素は、例えば前枠2Aと後枠2Bを有する機枠2であって、前枠と後枠とは例えば関節連結ジョイント3を介して互いに連結され得る。土壌圧縮装置1は、例えば内燃機関または電気モータである一次駆動ユニット4を含んでなり、一次駆動ユニットを介して土壌圧縮装置1の走行作動に必要な駆動エネルギーが供給される。土壌圧縮は、土壌面上を転動する各圧縮タイヤ5によって実施され、各圧縮タイヤは相応して土壌接触要素6を構成する。各圧縮タイヤ5の走行作動のために一つまたは複数の走行作動モータ、特に各電気モータまたは各油圧モータが設けられ得る。土壌圧縮装置1の手動操作のために各制御コマンドを手動入力するための装置が直接土壌接触要素1に(
図1Aにおいて仮想線によって配置されたステアリング牽引棒によって示されるように)あるいは遠隔操作装置7が設けられ得る。この場合、遠隔操作装置7が少なくとも一つの発信機8、土壌圧縮装置1が受信機9を含んでなる。
【0052】
さらに土壌圧縮装置1は、とりわけ走行作動装置の一次駆動ユニット4、特に少なくとも一つの走行作動モータおよび本実施形態例においては関節連結ジョイント3のステアリングアクチュエータ3’の作動を制御する制御ユニット10を含んでなる。しかしながらトレンチローラを関節連結ジョイントおよびステアリングアクチュエータを設けずに連続した剛性枠を用いて形成することも可能である。この場合、操向は前方および後方の各タイヤ対の走行作動を調整(「重畳型操向」)することによって実施される。さらに制御ユニット10は、遠隔操作装置7および/または土壌圧縮装置1に直接配置された、手動作動される入力装置を介して入力された各作動コマンドを受信して土壌圧縮装置1内において各作動コマンドを相応する各制御コマンドまたは各走行制御信号へと変換する。
【0053】
図2Aおよび
図2Bは、揺動板1Bタイプの土壌圧縮装置1を図示している。基本的に個々の要素の説明のために相応する
図1Aおよび
図1Bに関する実施形態を参照する。トレンチローラ1Aとは異なり、揺動板1Bは土壌接触要素6として揺動板11を備える。したがって揺動板1Bの進行動作は、一つまたは複数のアンバランスエキサイタ12を介してそれ自体公知である方法で得られる。
【0054】
土壌圧縮装置1の作動のためにはユーザモードと自律モードとが設けられている。ユーザモードにおいて特に走行作動、操向作動および/またはエキサイタ作動などの作業作動の制御が相応する各作動仕様を例えば土壌圧縮装置1に配置された手動作動される入力装置または遠隔操作を用いてユーザが手動で入力することによって実施される。これに対して自律モードにおける土壌圧縮装置1の作動は、所定の条件下においてのみ実施可能である。このことは特に後に詳しく一例として説明されるように土壌圧縮装置1に隣接して少なくとも一つの側壁が存在することの検出を必須とすることで含んでなり得る。そのため土壌圧縮装置1の一部分はさらに側壁検出装置13であり、側壁検出装置の原則的な構造はまずは
図3を用いて詳述される。自律モードにおいて土壌圧縮装置1または制御ユニット10は各作動仕様を自身で生成するあるいは各走行コマンドおよび/または各操向コマンドに関する決定を自身で下す。したがって土壌圧縮装置は、当該モードにおいて個々に手動で処理された各走行仕様および/または各操向仕様に基づいてではなく、自律的にあるいは自動的に作動する。
【0055】
図3は、土壌圧縮装置1の上面図を概略的に示すものである。側壁検出装置13は、土壌圧縮装置1が直立している土壌面に対して走行方向Aから見たときに土壌圧縮装置1に隣接して起立する側壁SWを検出するように形成された少なくとも一つの装置を含んでなる。よって側壁検出装置3の課題と機能とは、機能面から見ると特に自律モードの有効化のためおよび/または自律モードにおける走行作動中に土壌圧縮装置1に隣接して現在側壁SWが存在するかどうかをチェックすることにある。ここで「隣接」とは垂直方向において土壌圧縮装置の直立面の上半分および走行方向に対する垂直である水平面に存在する、特に少なくとも部分的に土壌圧縮装置の高さにおける空間を表す。走行方向Aは、土壌圧縮装置1の現在の走行方向を表し、ここでは前進走行方向と後進走行方向とがともに含まれてなる。各方向は、それぞれの土壌圧縮装置1において基本的に自由に定義され得る。各図面において前進方向が走行方向Aとして例示的に示されている。したがって本書において重要となる(各)側壁SWは、水平面において前進走行方向Aに対して垂直方向右側および/または左側に存在する。当該装置に隣接する少なくとも一つの側壁を検出するために一つまたは複数の適切なセンサ14を土壌圧縮装置1に設けることが可能である。
図3による本実施形態例において側壁検出装置13は全部で四つの個々のセンサ14VL(左前)、14HL(左後)、14VR(右前)および14HR(右後)を含んでなる。ここで各側面における各センサの数は、本発明の範囲内において可変である。よって例えば各側面に一つのセンサであっても既に十分であり得る。(各)センサ14は、自身の各計測値を構造的にも機能的にも制御ユニット10とは別のモジュールまたは、本実施形態例のように、制御ユニット10と一体化された要素であり得る有効化装置15へと伝達する。有効化装置15は、一つまたは複数のセンサ14が側壁の存在を検出するかどうかをチェックする。そのため各センサは、計測領域M1を含んでなる。計測領域とは、それぞれのセンサがその内部において間隔を求めることが可能である空間を表す。当該空間は、例えば通常、それぞれのセンサに対して最大間隔および/または最小間隔を有する。
図3においては見やすさのため例えばセンサ14VLおよび14HLの個々の計測領域のみが図示されている。通常且つ本実施形態例とは無関係に予めそれぞれのセンサについて計測領域が(例えばソフトウェアを用いて)定義され、その内部においてセンサが間隔を求める。計測領域は、それぞれのセンサの理論的に可能な最大計測領域よりも小さいことが好ましい。
【0056】
側壁SWの実際の検出は、
図3においてセンサ14VRを用いて詳細に図示されている。自身の計測領域M内において側壁(または対象物)の存在を現在検出する各センサは、
図3およびそれ以降の各図において太線で強調されている。このことは
図3において右側において例示的な側壁SWを用いて図示されている。センサ14VRは側壁SWに遭遇し、そのことを相応して制御ユニット10の有効化装置15へと伝達する。それに対して
図3において他の各センサ14HR、14VLおよび14HLは、自身の各計測範囲において現在は側壁には遭遇しない。ここでこの場合には一側面において最大可能な側面検出領域に関して側面を検出する各センサのうち一部しか側壁SWを検出していないため、有効化装置15は自律モードの有効化をブロックするように形成され得る。この場合にユーザが土壌圧縮装置1を自律モードに転換したい場合、それは有効化装置15によって相応してブロックされる。したがってこの場合、有効化装置15は自律モードの有効化のために当該装置の一側面において検出する全てのセンサ14が同時に側壁SWの存在を検出しなければならないように形成されている。しかしながら有効化装置15が
図3に図示される場合において既に自律モードを有効化することも可能である。その場合、自律モードを有効化するための有効化装置15は、一側面において検出する各センサのうち少なくとも一つが側壁SWの存在を現在検出するように形成されている。この基本的な考え方の発展様態として自律モードを有効化するためには、それぞれ少なくとも一つ、好ましくは複数のセンサによる土壌圧縮装置の両側面におけるそれぞれ一つの側壁の同時検出あるいは自律モードを有効化するために全てのセンサ14による側壁の存在の検出が必要であるようにすることも可能である。土壌圧縮装置の一側面において側壁検出のために二つ以上のセンサが設けられている場合、側面に設けられた各センサのうち全てではなくとも少なくとも二つ(あるいはそれ以上)のセンサが同時に土壌圧縮装置に隣接した側壁の存在を検出した場合に有効化装置15がはじめて自律モードを有効化することも可能である。
【0057】
したがって具体的な実施形態例とは関係なく、有効化装置15が階層的には制御装置10の(追加の)各制御機能よりも上位の要素であることが好ましく、当該要素は側壁検出装置13を介して検出された結果との関連において(すなわち土壌圧縮装置に隣接して少なくとも一つの側壁の存在が現在確認されたかどうかによって)自律モードを有効化するまたは無効にする。
【0058】
制御ユニット10は、一次駆動ユニット4とさらなる各要素3、特に例えば一つまたは複数のアンバランスエキサイタおよび/または(存在する場合は)ステアリングアクチュエータ3‘などの各作業装置および各制御装置とを制御する。さらに有効化装置15は、
図3に図示されるように有線接続または無線で受信機9を介して遠隔操作装置7と、あるいは土壌圧縮装置1に直接配置された入力装置など、手動作動される入力装置と連結され得る。その上、受信機9は送信および受信ユニットとして形成され得るため、有効化装置15および制御ユニット10が各データを遠隔操作装置に伝達することが可能である。表示装置15へのデータ伝達も可能である。表示装置は、土壌圧縮装置1および/または遠隔操作装置7に配置され得る。
【0059】
さらに土壌圧縮装置1は、側壁検出装置13の少なくとも一つのセンサ14に追加的に一つまたは複数の障害物センサ16を有し得て、障害物センサは少なくとも部分的に自身のそれぞれの検出領域M2において走行方向Aに、および反対向きに配置される。したがって少なくとも一つの障害物センサ16(
図3において障害物センサ16fが前向き、16rが後向き)の検出領域M2は、土壌圧縮装置1から出発して当該装置の走行方向Aに、あるいは反対向きに当該装置の前方または後方にある空間領域を含んでなる。特に土壌圧縮装置1から出発して走行方向に、または反対方向における各センサの検出領域M2が少なくとも部分的に垂直方向下向きに床に向けて降下するようにも延伸することが最適である。よって少なくとも一つの障害物センサ16を用いることで土壌圧縮装置1の走行路Aにおいて土壌圧縮装置の現在の直立面に対向して垂直方向下向きおよび/または上向きに延伸する、例えば走行路に存在する対象物、人あるいは溝などの各障害物を検出することが可能である。当該装置の付近にいる各人物の保護の他に障害物センサ16を用いることで、当該装置の走行路に存在する溝壁を用いて特に例えば溝の終端を求め、後に詳述するように自律モードにある当該装置を停止または反転することが可能である。
【0060】
さらに
図3において例示的に装置1の角に位置付けられたセンサ14eを用いて示されているように、(各)センサ14、16を(各)センサが自身の検出領域M1/M2において側壁SWまたは土壌圧縮装置1の側面の方向のみならず走行方向Aに、または反対方向に配置されるようにすることも可能である。走行方向Aに対する各側面領域と装置1の前方領域および後方領域との間における複数、特に全ての移行領域においてこのような位置決めを実施するようにしてもいいことは明らかである。このようなセンサは、検出領域に応じて障害検出装置17の障害物センサとしても側壁検出装置13のセンサとしても機能し得る。
【0061】
側壁検出装置13および各障害物センサ16を有する障害検出装置17の(各)センサ14の検出領域Mならびにこれらの相対配置の実施形態については同様に様々な別法の可能性がある。基本的には各センサを自身の個々の検出領域が例えば
図3において示されているように互いに対して実質的に重畳しないように配置することが可能である。このことは特にそれぞれのセンサの検出領域が円錐形状、扇形状または球形状ではなく例えば
図3においてセンサ14HLについて計測光MSで示されているように実質的に放射形状である場合にあり得る。
【0062】
しかしながらそれぞれのセンサの各計測領域が少なくとも部分的に互いに重畳するように延伸することも有利であり得る。このことは
図4Aおよび
図4Bにおいて例示的に詳しく図示されている。
図4Aにおいて土壌圧縮装置は、例えば
図3に関して上記で詳しく説明したように各センサ14および16を含んでなる。側壁検出装置13の各センサ14のそれぞれは検出領域M1(各検出領域は互いに異なるものであり得る)を有する。各障害物センサ16の各検出領域はM2と称される。各検出領域M1、M2は例えば
図4Aに図示されるように円錐形状であり得る。別法としてまたはさらに加えて少なくとも装置1の水平延長線に対して当該装置の各外縁の内側、特に当該装置の各外縁に対して水平面において実質的に中央に配置されたセンサ14zが設けられ得、センサの検出領域が「M1、M2」と称される。このような配置は、例えばセンサ14zを当該装置の外被の上面または水平方向に起立したポールに位置決めされることによって得られる。このようなセンサ14zはスキャンするようにおよび/または自身の検出領域が垂直な軸を中心に回転するように形成され得る。ここでセンサ14zは自身の検出領域M1、M2が側壁検出と同時に障害物検出にも用いられるように配置されることが好ましい。センサは例えば3Dライダセンサであり得る。本実施形態例においてセンサ14zは各センサ14および/または16に追加的に設けられている。そのためにはセンサ14zの検出領域M1、M2が少なくとも部分的に側壁検出装置13および/または障害物検出装置17の一つ、複数あるいは全ての各検出領域M1、M2と重畳することが最適であり得る。換言するとこの場合、各センサ14zおよび14および/または16は、検出領域M1(各センサ14)およびM2(各センサ16)およびM1、M2(センサ14z)によって少なくとも部分的に同一の各空間区間が検出または検出対象とされるように配置される。このことは多くの面で有利であり得る。一方ではこのことで特に自律モードにおける土壌圧縮装置1の作動確実性を高める重複が得られる。他方ではこれにより同一の空間領域について二つのセンサを介して二つの異なる視線角度を用いて一つまたは複数の側壁および/または障害物をより確実且つ正確に捉えて検出することが可能となる。
【0063】
センサ14zは、自給自足または自分自身で障害物の監視のみならず側壁検知にも用いられ得、そのため同時に、極端な場合は専ら、側壁検出装置13および障害物検出装置17のためのセンサを形成し得る。さらに複数のこの種のセンサ14zが側壁検知および/または障害物検知のために用いられるようにしてもよい。ここで特にトレンチローラについてはこの種のセンサが走行方向に対して当該装置の前半分の領域と別のこの種のセンサが当該装置の後半分の領域とに位置決めされることが最適であり得る。したがって特に関節連結式トレンチローラについては、このようなセンサ14zが前車両と別のこのようなセンサ14zが後車両とに配置されていることが好ましい。
【0064】
図4Bは、互いに少なくとも部分的に重畳している各センサ領域の別の可能な例を図示している。ここで
図4Bからは側壁検出装置13の各センサ14がここでは水平面において走行方向Aに対して垂直ではなく、自身のそれぞれの検出領域M1に対して走行方向Aに、および反対側に角度α分傾斜して配置され得ることが見受けられる。当該角度は、水平面において走行方向Aとそれぞれの検出領域M1のそれぞれのセンサ14から延びる中心軸とによって定義されている(
図4Bにおいてそれぞれ各点線矢印によって示されている)。当該水平面における傾斜は、具体的には例えば水平面における中心軸がそれぞれ土壌圧縮装置の長手方向に対して見た場合、それぞれのセンサに近い当該装置の端部に向かって傾斜することによって得られる。装置1の一側面において互いに隣接する各センサ14は、実質的に互いに重畳しなくてもあるいは互いに重畳していてもよい各検出領域M1を有し得る。しかしながら当該配置により、特に側壁検出装置13の少なくとも一つのセンサ14と障害物検出装置の少なくとも一つのセンサ16との各検出領域の重畳を維持することが可能である。このような重畳領域UB1は、
図4Bにおいて例示的に走行方向Aに対して左後方にある領域について一点鎖線を用いて囲むことで強調されている。このことは単に当該配置原理を視覚化するためであって、各センサ14/16の(各)検出領域が例えば必ずしも唐突に終了するものではないことは明らかである。ここでは各センサ14の各検出領域M1の傾斜によって例えば特に当該装置の周辺における各角領域を最適に検出することが可能になり、このことは例えば正確な側壁検知のために特に有利であり得る。ここで(水平面との関連における)四つの角領域の全てが検出されることが最適であり得る。このことは本実施形態例において好ましい、走行方向Aに延伸する当該装置の長手方向軸Lに対して鏡対象的に側壁検出装置13および障害物検出装置17の各センサを配置することにより、例えば
図4Bに示される配置によって得られる。
【0065】
ここで
図5および
図6は、垂直に延伸する基準面との関連における他の可能である配置上の詳細を視覚化している。両図において走行方向Aは、定義上、図平面から飛び出て見る人に向かって延伸する。各図面において土壌圧縮装置1の例としてトレンチローラが示されている場合であっても、特に後述する各記述は揺動板として形成される土壌圧縮装置についても同様に当てはまる。
【0066】
図5は、まずは二つの可能である(各)センサ14の垂直面における(各)検出領域との関連における配置を視覚化している。例えば右側に水平に延伸する計測光MSが示されている。当該計測光は、土壌面に対して垂直間隔Hをおいて延伸している。したがって当該配置によって検出可能な側壁SWは、実質的にHに相当する最低高さを前提とする。側壁SWがHよりも低いと側壁を検知することはできない。このことは
図5において右側における側壁SWを用いて示されている。側壁は、Hよりも小さい土壌面からの高さを有する。したがってこの場合、側壁検出装置13のこの変形例は側壁SWの存在を検出せず、これに相応して(自分に)自律モードの有効化を可能にする。したがって検出可能な各側壁SWは、この場合(床から見て)高さHに相当する最小高さを有する必要がある。
【0067】
これに対して左側には、実質的に円錐形状の検出領域を有する、側壁検出装置13のセンサ14が示されている。検出円錐形の軸(M1における点線矢印)は、センサ14から出発して垂直方向上方に向かって(水平に対して角度βに)調整されている。この曲げは、例えば検出領域M1の下縁または検出領域M1の上縁が実質的に水平に延伸することによって実施され得る。こうすることで一方では改めて検出可能な側壁SWの「最小高さ」を構造的に定める、あるいはそれぞれのセンサの上向きおよび/または下向きの「視線方向」を的確に得ることが可能である。このことはそれぞれのセンサ14の当該装置における位置決めによっては有利であり得る。当然、下向きまたは床に対して斜めに向けられた相応する配置も実施され得る。
【0068】
図6は、側壁検出装置13の各センサの配置に関するさらなる選択肢を視覚化している。例えば右側におけるセンサ14は、自身の検出領域M1が自身の長手方向軸とともに実質的に水平に延伸するよう、当該装置の側面に位置決めされている。これに対して左側においては二つの垂直方向に重なり合うように配置されたセンサ14を有するセンサ対が図示されている。二つ以上のセンサを垂直方向に重ねて位置決めすることも可能である。重なり合って配置された各センサ14は、さらに自身の個々の検出領域M1の配置に関して同様に重畳するようにあるいは重畳しないように互いに位置決めされることも可能である。加えて各センサは、
図6において図示されるように垂直方向において互いに対して反対の方向に向けて斜めに配置され得る。垂直方向において上方のセンサ14は、斜め上向きに、垂直方向において下方のセンサ14は斜め下向きに配置されている。
【0069】
さらに
図6は、一つまたは複数のセンサ14および16の別法としてまたはさらに加えて設けられ得る中央のセンサ14zの可能な配置選択肢を視覚化している。センサ14zは、例えば当該装置の上面あるいは当該装置の残りの部分に対して垂直方向に対して上方にスペーシング装置18を用いて変位すらして位置決めされ得る。例えば支持ポールであるスペーシング装置18は、着脱可能あるいは省スペースである支持位置と作動位置との間で調整可能であり得る。センサ14zは、自身の検出領域M1、M2に関してセンサが少なくとも部分的に自身から出発して垂直方向下向きに存在する、装置1の前方および/または隣接する空間領域を検出するように配置されている。
【0070】
別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置は、例えば当該装置のケーシングにまたその内部(
図1Aから
図2B)またはスペーシング装置18(
図6)においてGPS受信機19をも含んでなるものであり得る。これにより装置1の位置決定を実施することが可能となり、位置決定は制御目的および/または位置確認目的のために用いられ得る。
【0071】
上記の各変形実施様態に関して、特に一つまたは複数のセンサの配置に関して、ここで念のため上記の各実施形態例以外にも多数の他の様態が可能であり、本発明に含まれるものであることを言及しておく。特に側壁検出装置13の各センサ14の配置における重要な観点は、土壌圧縮装置1に隣接して側壁の存在の検出が可能であるということにある。さらに個々の配置選択肢を垂直面および/または水平面において互いに組み合わせる、あるいは側壁検出装置13および/または障害物検出装置17の全ての存在する各センサを利用することが可能である。
【0072】
当該装置を作業環境において必要に応じてよりよく検知および/または位置確認することが可能であるように、例えば
図1Aおよび
図6に示されているように例えば視覚的(特に信号灯)および/または聴覚的(特に警笛)信号装置20の形における表示装置が設けられ得る。
【0073】
ここで
図7Aから
図7Cは、可能な作動工程を視覚化している。ここで
図7Aは、進入傾斜路E、各側壁SWおよび一つの終端壁Wを有する溝Gの上面図である。
図7Bは、
図7Aにおける線I-Iに沿った垂直な断面図であって、
図7Cは
図7Aにおける線II-IIに沿った垂直な断面図である。土壌圧縮装置1は、三つの作動状況において例示されている。
【0074】
図7Aから
図7Cにおいて単に例示的に示されている側壁検出装置16および障害物検出装置17の各センサ14は、各図面において各センサが現時点で側壁または走行路にある障害物を検出していない場合には細線、現時点で側壁または走行路にある障害物を検出している場合には太線で示されている。さらにここで図面において見やすさのため走行方向Aに向けられた障害物検出センサ16が一つだけ、さらに各側面において側壁検出装置13のセンサ14が一つだけ示されている。前述の各図面において視覚化されているとおり、個々のセンサは、その種類、位置決めおよび配置に関して変更および/または組み合わせられ得ることは明らかである。
【0075】
位置1Aにおいて土壌圧縮装置1Aは、傾斜路Eを介して溝内へと直線的に進入する。土壌圧縮装置1は、この状態においてユーザモードにある。自律モードの活性化は、各センサ14が土壌圧縮装置に隣接して側壁SWを検出していないため、有効化装置15によってブロックされている。したがって作動モードにおいて土壌圧縮装置1の制御が自律モードにおいてのみ可能である。同時に障害物検出装置17がセンサ16を介して土壌圧縮装置1の走行路Aに存在する障害物を検出していない。したがってユーザによる相応する各走行コマンドの入力後、土壌圧縮装置1は走行方向Aに進行してこの場合、例えば位置1Bに到達するまでさらに溝内へと進入する。
【0076】
ここで位置1Bは、側壁検出装置13が各センサ14を介して(具体的には14HLおよび14HR、すなわち同時に両側において)各側壁SWが土壌圧縮装置の両側面において存在することを発見する作動状況を示している。このことは、有効化装置15が自律モードにおける作動を有効化することにつながる。ここでユーザは作動モードを有効にして土壌圧縮装置1はユーザによる作動入力を必要とすることなく溝内において自律的に走行方向Aに進行するであろう。このことは障害物検出装置17が土壌圧縮装置の走行路において走行方向Aに存在する障害物を検出しないことを前提とする。理想的な場合、自律モードは土壌圧縮装置1が完全に自動的にまたは自律的に溝内において走行方向Aに進行して自身で走行方向、走行速度および操向方向に関する各決定をなすように設計され得る。この場合、例えばいわゆる「ハートビート信号」および/または遠隔操作装置と当該装置との間における視覚接触を介した、ユーザに対する連続的なまたは断続的なフィードバックは必要ではないものの、もちろん可能ではある。
【0077】
位置1Bにおいて自律モードが有効にされると、土壌圧縮装置が溝内において自律的に走行方向Aにさらに位置1Cまで移動する。この際、側壁検出装置が定期的に各側壁SWの存在をチェックするようにすることが可能である。その後、例えば実質的に連続して各側壁SWのうち一つまたは両方が存在することが検出される場合にのみ自律モードが継続されるようにすることが可能である。側壁検出装置がある作動状態においてこのことを確認することができない場合、少なくとも土壌圧縮装置の走行作動が停止されるようにしてもよい。しかしながら別法として
図7Aにおいて管路出口Aによって示されるように例えば側面における管路分岐が存在する場合に生じ得る、片側および/または両側における側壁SWの存在の検出の短時間に亘る各中断を有効化装置が許容することも可能である。このように肯定的な側壁検出が失われた場合であっても自律モードを過渡的に継続することが可能である各基準は様々であり得る。このことは例えば時間依存的および/または経路依存的に実施され得る。別法としてまたはさらに加えて例えばこの際、その瞬間に少なくとも反対側において側壁の存在が検出されることおよび/または当該装置の同一側面において例えば走行方向においてさらに前方、さらに後方、より低くまたはより高く配置されているおよび/または別の検出領域を有する、検出用の別のセンサが側面において(しかしながら走行方向および/または高さ方向において異なる箇所において)側壁SWの存在を検出することが最低条件であり得る。
【0078】
各位置置1Bから1Cの間において障害物検出装置17は、土壌圧縮装置1の走行路Aにある障害物を検出しない。しかしながら最終的に位置1C自体において溝終端壁Eがあまりにも土壌圧縮装置に近接して起立しているため、溝終端壁が障害物検出装置17によって走行路にある障害物として検出される。溝壁(あるいは他の障害物)との衝突を回避するために制御ユニット10は土壌圧縮装置1の前進移動または当該方向における走行移動の継続を自動で停止する。ここでこれによって自律モードも終了され、これにより土壌圧縮装置が再びユーザモードにあるため土壌圧縮装置1は手動入力を待機する。しかしながら別法として自律モードにおいて溝終端壁の検出とともに制御ユニット10が反転コマンドを出力し、これにより反対方向(すなわち位置1B方向)における土壌圧縮装置の走行作動を開始するようにすることも可能である。
【0079】
個々の手動による入力とは関係なく当該装置の溝内における走行挙動および作業挙動に作用する方法は様々である。これは例えば当該装置外から、当該装置が検出可能な各マーキング装置24によって実施され得る。この種の各マーキングは、溝内、溝外、特に溝縁あるいは例えばGPSおよび/または局地測位システムなどを用いて仮想的に置くことが可能である。
【0080】
これに関して
図7Bがマーキング要素21aを用いて溝内、例えば溝の終端において当該装置によって検出可能な、装置1に溝の終端を指し示すインジケータを設置する方法を例示している。マーキングは、例えばRFIDトランスポンダ、光電子的に読み取り可能なコード、壁または床にカラーでスプレーされたマーキングあるいはこれらに類似したものであり得る。これにより当然土壌圧縮装置1は、例えばスキャナ、送信および受信ユニット、ビデオカメラなど、外部のマーキング要素を検出および復号するための相応する装置を含んでなる。しかしながら例えば「作業距離の終わり」などの距離情報のみならず別法としてまたはさらに加えて走行情報および作業情報をもこの種の各マーキングを介して土壌圧縮装置1が検出可能および解釈可能な形において提供することも可能である。具体的にはマーキング要素21aを用いて反転マークを置くことも可能であるため、当該装置が近接作動中にマーキング要素21aを検知して識別した場合に自動的に停止するだけではなく、その後自動的に反転し、走行作動を改めて開始して反対方向において再びマーキング要素21aから離れる。当然、このことは溝内において任意の場所で実施され得、必ずしも溝終端壁である必要はない。別法としてまたはさらに加えてこのような各マーキングは、
図7Bにおいて各マーキング要素21b、21cおよび21dを用いて例示されているように走行距離または確実な動作領域の決定に用いることも可能である。そこでは各マーキング要素が走行距離に沿って配置されており、各マーキング要素が全体として一種の仮想誘導線を形成する。ここで例えば土壌圧縮装置1が走行作動の継続のために少なくとも一つの(または複数の)マーキング要素21に対して現在接触しているようにしてもよい。しかしながらここで経路依存的および/または時間依存的に走行作動を中断することをなく、各マーキング要素21b、21cおよび21dのうち一つの検出における過渡的な中断を許容することも可能である。
【0081】
さらに別法としてまたはさらに加えて例えば単に仮想的に置かれた各マーキングを使用することも可能である。このためには追加的に、それが基準点に対する相対的な位置であれ、あるいはまったく具体的な位置データであれ、例えばGPSを使用した上で現場における当該装置の位置を利用する方法があることが好ましい。
図8Aにおいてさらなる視覚化のために仮想フェンス21eが示されている。GPS受信機19が装備された当該装置1は、自律モードにおける作業作動において絶えず自身の位置を求めて監視し、自身が21eによって囲まれた領域内にあるかどうかをチェックする、あるいは当該装置が当該領域を離れないように自身の走行軌道Fを制御する。ここではその他のいわゆる「ジオフェンシング」方法も利用可能であることは明らかである。
【0082】
図8A、
図8Bおよび
図8Cは、さらに土壌圧縮装置1が自律モードにおいて自身の走行軌道Fを決定するために準拠し得る様々な移動モードを視覚化している。そのため土壌圧縮装置1は、それぞれ開始点において示されている。その後、走行軌道Fは、自律モードにおいて開始位置から土壌圧縮装置1が走行した軌道を再現する。
【0083】
ここで
図8Aは、もっとも簡単な場合を示している。これによると土壌圧縮装置1は、少なくとも実質的に同一の経路を反転作動において走行する。
【0084】
この別法として例えば
図8Bに図示されているように走行方向が変わる度に土壌圧縮装置1が水平であり、主走行方向に直交するように延伸する変位間隔ΔA分の軌道変位を実施することも可能である。まず土壌圧縮装置1は、自身の開始点から実質的に溝壁に対して平行に、右側において溝の終端に到達するまで移動する。そこで当該装置は、(例えば溝終端壁の検出および/または転換マークを検出したことで)自身の走行方向を反転して走行方向Aに対して直交する方向に間隔ΔA分オフセットされた平行である戻り走行軌道へと操向する。当該工程は、
図8Bに図示されるように複数回繰り返され得る。
【0085】
これに対して
図8Cにおいては無秩序な走行路計画の場合に生じ得るような、記録された走行路Fが示されている。ここでは土壌圧縮装置1が走行路において障害物に遭遇するまで直線的に移動する。その後、土壌圧縮装置1は一方向へと操向し、再び例えば溝壁などの障害物に遭遇するまで自身の走行路を改めて直線的に継続する。ここで様々な発展態様が可能であることは明らかである。例えば無秩序な走行路計画の種類が異なり得る。別法としてまたはさらに加えて当該モードにおいてまずは圧縮すべき領域のマッピングが実施され、その後当該領域が完全にマッピングされた後、例えば
図8Bにおいて示されているように土壌圧縮装置1が当該領域を体系立てて走行するようにすることも可能である。
【0086】
さらに自律モードにおける土壌圧縮装置の作動は、計画、具体的には圧縮計画を用いても実施され得る。当該計画は、計画された縦走回数および/または所望される土壌剛性との関連において実施され得る。この際、圧縮すべき土壌領域の計画通りの走行は体系的なおよび/または無秩序な走行を含んでなり得る。特に圧縮すべき土壌面を体系的に走行する場合、転動計画は土壌圧縮装置の制御ユニットによって例えば各走行軌道が隣接しておよび/または部分的に重畳しながら互いに対して平行に延伸するように走行されるように決定され得る。別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置の作動計画を決定するために圧縮されるべき土壌領域が特に外部から予め与えられるか、あるいは土壌圧縮装置が例えば初期段階においては無秩序な作動パターンによって圧縮すべき土壌領域をまずは自ら求め、例えば各側壁によって定義される各境界内において閉囲土壌領域が求められるや否や土壌圧縮装置が自身で決定した、通常は最適な作動計画を走行するようにしてもよい。当該発展様態は、具体的な各実施形態例とは関係なく本発明による方法および本発明による土壌圧縮装置に関するものである。
【0087】
図9において、前述した類の土壌圧縮装置1と共に使用されるのに特に適している遠隔操作装置7の好ましい各発展様態を視覚化している。ここで遠隔操作装置7の特徴は、特にユーザに対して自律モードにおける土壌圧縮装置1の各情報を送る各方法にある。
【0088】
遠隔操作装置7の重要な各要素とは、まずは各入力要素であり、各入力要素を介して土壌圧縮装置がユーザモードにおいて操作され得る。このため例えば走行入力および操向入力などの入力を可能にする、相応する各入力要素22が設けられ得る。さらに例えば緊急電源オフスイッチやスタータスイッチなど、本例における類の土壌圧縮装置1にとって通常であるその他の各入力要素が設けられ得る。さらに遠隔操作装置は、有線の信号伝達接続を有するか、あるいは好ましくは土壌圧縮装置と遠隔操作装置との間の無線信号伝達を実施するように形成され得る。相応する各装置は、それ自体例えば独国特許出願公開第102010014902号明細書において記載されるように先行技術より公知である。
【0089】
本例における遠隔操作装置の特徴は、土壌圧縮装置を自律モードにおいて駆動する方法にも適合することにある。前述のとおり、自律モードにおける土壌圧縮装置1の作動を有効化するための基本前提は、土壌圧縮装置1に隣接して少なくとも一つの側壁が存在することを例えば前述の方法の一つまたは複数を用いて検出することであることが好ましい。該当する場合、自律モードが有効にされ得る。したがって遠隔操作装置は、例えば自律モードが有効にされ得ることを表示する表示手段を有し得る。別法としてまたはさらに加えて例えばユーザに対して側壁検出装置13および/または障害物検出装置17のどの各領域が現時点で側壁および/または障害物を検出しているかあるいはしていないかをフィードバックする表示手段を設けることも可能である。そのため
図9においては、本例の場合に各情報をピクトグラムによって表示する検出表示手段22が設けられている。さらに別法としてまたはさらに加えて遠隔操作装置は、遠隔操作装置7に対する土壌圧縮装置1の現在の位置を(例えばオンラインあるいは相応するインターネットサービスを介して利用可能である)格納されたマップ上および/または局地測位システムとの関連において表示する位置表示手段23を有し得る。このことは、土壌圧縮装置が、特に溝走行の場合、迅速にユーザの視野から外に走行する時、特に比較的長い距離の場合に有利であり得る。別法としてまたはさらに加えて別の有利な方法は、土壌圧縮装置1に配置された、側壁検出装置13の一部としての一つまたは複数のカメラ14k(
図5)および障害物検出装置17の一部としての一つまたは複数のカメラ16k(
図1A)の各カメラ撮像を散発的であれリアルタイムであれ、遠隔操作装置上で相応する表示手段24上に表示することにある。この場合、前向き(24A)、後向き(24B)、右向き(24C)および左向き(24D)のカメラビューを含んでなり得る。さらに例えばいわゆる「バードビュー」視線を提供するためにソフトウェアを用いて組み合わされた一つまたは複数のビューを使用することが可能である。さらに(各)表示手段において例えば検出された各側壁境界、現在の走行路の投影、例えば各マーキング21などの識別された各対象物などを用いて特に各センサの各評価結果などの別の各情報を表示された各撮像にスーパーインポーズすることが可能である。当然、遠隔操作装置7は、例えば危険状態を知らせるために聴覚的および/または触知的に知覚できる各装置などを含んでなり得る。
【0090】
さらに別法として遠隔操作装置は「呼び出し機能」25を有し得る。より早く土壌圧縮装置1の位置をより早く現場で特定できるようにするため、当該要素を作動することにより例えば警笛音および/または別の通知を土壌圧縮装置1において発生させることが可能である。
【0091】
最後に自律モードを有効化および/または無効化することが可能な入力要素26が設けられ得る。このことは別法としてまたはさらに加えて土壌圧縮装置が現時点で自律モードにおいてあるいはユーザモードにおいて作動されているかを表示する、その旨の表示手段によって拡大することが可能である。さらに別法としてまたはさらに加えて遠隔操作装置7が現時点で土壌圧縮装置1と信号接続されているか否かを示す表示手段を設けることも可能である。
【0092】
図10は、例示的にユーザモードが有効である場合の本発明による方法のフローを視覚化している。この先行技術からそれ自体公知である方法は、特に各走行仕様および各操向仕様がユーザによって手動で予め与えられることを特徴とする。このような方法は、実質的に当該装置の開始30後にステップ31において走行コマンドおよび/または操向コマンドが手動で入力され、当該コマンドが当該装置の制御ユニットによってステップ32において土壌圧縮装置内で相応する制御仕様に変換されることを特徴とする。ここで例えば土壌圧縮装置と遠隔操作装置の間の確立された信号接続の監視および/または土壌圧縮装置の走行路にある各障害物の監視などのための上位の各監視システムを設けることが可能である。その後、この種の各結果に対する当該装置制御の反応は、通常当該装置の停止および/または電源オフである。
【0093】
これに対して
図11は、自律モードにおける土壌圧縮装置の可能な作動工程を表している。土壌圧縮装置1の開始30後、ステップ33において片側面または両側面において側壁検出装置が側壁検出のために設けられた一つまたは複数の各センサによって土壌圧縮装置に隣接して側壁を検出するかどうかを側壁検出装置がチェックするようにしてもよい。ステップ33は、土壌圧縮装置1の開始毎に自動で実施されるかあるいは相応する作動入力によるユーザの要求を受けて要求されてはじめて実施され得る。側壁検出装置によって側壁が検出されないと、ステップ34において新たなチェックが定期的に実施されるようにしてもよい。別法として例えばユーザによる次の要求を待機することも可能である。これに対して土壌圧縮装置の片面あるいは実施形態に応じて両側面において一つまたは複数のセンサによって側壁が存在することが特に同時に確認されると、ステップ35においてそれ自体も当該装置制御の一部であり得る有効化装置によって自走モードの有効化が実施され得る。このことは追加的に例えば聴覚的および/または視覚的に土壌圧縮装置1自体および/または遠隔操作装置において通知され得る。さらにこの中間ステップとして土壌圧縮装置が自律モードの可能性だけではなく、(ここで手動によって予め定められたものであろうと当該装置自身による決定であろうと)次の走行方向および/または側壁の存在が検出される(各)側面なども表示するようにしてもよい。
【0094】
ここでステップ35においてユーザが自律モードを有効にするようにしてもよい。この後、ステップ36において前述の各仕様によって側壁の存在が新たにチェックされる。側壁検出装置によって少なくとも一つの側壁(好ましくは当該装置の両側面におけるそれぞれ一つの側壁)の存在が検知されると、土壌圧縮装置はステップ37において自律作動を提供する自律モードに転換して例えば自律モードにおける走行作動および作業作動を開始し得る。これに対して側壁が(もはや)検知されないか少なくとも具体的な個別ケースにおいて予め定められた程度に検知されないとそのことが相応してユーザに対して好ましくは聴覚的および/または視覚的に通知され得るようにしてもよい。その後、ステップ34による新たなチェックが実施され得る。側壁の存在のチェックは、定期的に繰り返すようにバックグラウンドで実施され得る。
【0095】
ステップ38による継続中の自律モードにおける作業作動では、一つまたは複数の側壁の存在の連続したチェックが断続的であろうと連続的であろうと実施される。同時に特に作動段階において土壌圧縮装置の少なくとも現時点での走行路にある各障害物のチェックが(原則どおり前述の各ステップの範囲において)実施され得る。ここで各障害物および/または側壁検知における中断が確認されないと、ステップ39において自律モードの維持とおよび新たなチェックステップ38の導入が実施される。このことは例えば障害物および/または側壁検知の喪失が生じるまでループで継続される。その後ステップ40において例えば(モータのスイッチオフを伴うまたは伴わない)装置の停止が導入されるおよび/またはユーザに対する相応する通知が実施されるおよび/または土壌圧縮装置が反転される、などとすることが可能である。
【0096】
図12は、例えば側壁検出装置の一つのセンサによって側壁の存在がもはや検出されなくなった場合の補正機能のプロセスフローが視覚化されている。ここで様々な状況が生じ得るが、当該状況においても自律モードの継続が所望される場合がある。このことは例えば土壌圧縮装置が溝内にいて溝の分岐を通過するものの溝の分岐の後、溝が再び継続しているような場合であり得る。
図12に例示的に示されているように当該方法は
図11のステップ38に結び付けることが可能である。ステップ38において側壁検出装置の各センサのうち一つがもはや側壁を検出していないと確認されると、ステップ41において例えば土壌圧縮装置の同一側面における別のセンサが側壁の存在をまだ現在検知しているかどうかをチェックするようにしてもよい。検知している場合、ステップ42によって自律モードの継続が実施され得る。しかしながらここでは当該継続が時間依存的および/または経路依存的に限定されていることが好ましい。このことはステップ38における少なくとも一つのセンサの側壁の検知の喪失とステップ41によるチェックによってステップ42の後、少なくとも一つのセンサによる側壁の存在の検出喪失によって自律モードにおける開始条件が満たされていないにもかかわらず実質的に同時にステップ43において自律モードの継続を例外的に許可するバイパスウィンドウの経路カウントダウンおよび/または時間カウントダウンが開始されることを意味する。したがって補正機能が特に継続中の自律モードにおける作業作動のために設けられているのであって自律モードの開始のために設けられているのではないことも重要である。カウントダウン中に側壁の存在が新たに検出されると例えばステップ38によって自律モードが通常作業において継続される。これに対してカウントダウン中に側壁の存在が新たに検出されない場合、ステップ40によって例えば装置停止を開始することが可能である。