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特許7375120機能的能力及び転倒リスクのモバイル評価のためのコンシューマー向けアプリケーション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】機能的能力及び転倒リスクのモバイル評価のためのコンシューマー向けアプリケーション
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20231030BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20231030BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
G06F3/01 510
A61H1/02 Z
A61B5/11 210
A61B5/11 200
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022100240
(22)【出願日】2022-06-22
(62)【分割の表示】P 2020550657の分割
【原出願日】2019-03-11
(65)【公開番号】P2022153362
(43)【公開日】2022-10-12
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】62/645,053
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/289,551
(32)【優先日】2019-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520264003
【氏名又は名称】エレクトロニック ケアギヴァー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ドーマン,アンソニー
(72)【発明者】
【氏名】チャスコ,ブライアン ジョン
(72)【発明者】
【氏名】キーリー,デヴィッド,ダブリュ.
【審査官】酒井 優一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/118908(WO,A1)
【文献】特表2012-532652(JP,A)
【文献】特開2016-137226(JP,A)
【文献】特開2010-172481(JP,A)
【文献】特表2012-513227(JP,A)
【文献】国際公開第2014/043757(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0273601(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0330172(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01
A61H 1/02
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
慣性計測装置を含むモバイルデバイスであり、前記慣性計測装置は、
ジャイロスコープ、及び
加速度計
を含む、モバイルデバイスと、
少なくとも1つのプロセッサと、
プロセッサにより実行可能な命令を記憶するメモリと、
を含む、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターするためのシステムであって、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記プロセッサにより実行可能な命令を実行したときに、以下の動作、すなわち、
臨床的な移動度に基づく評価をユーザに提供することと、
前記慣性計測装置を使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価に基づく前記ユーザの移動能力を示す前記ユーザの慣性データを生成することと、
前記モバイルデバイスに対してローカルに前記ユーザの慣性データをログし、ローカルにログされた前記ユーザの慣性データが結果として生じることと、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間の前記モバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、前記ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理することであり、前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理することは、
前記ローカルにログされたユーザの慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザの慣性データが結果として生じること、
前記セグメント化され整列したユーザの慣性データの重力加速度カウンターバランスをとり、カウンターバランスのとれた前記ユーザの慣性データが結果として生じること、
前記カウンターバランスのとれたユーザの慣性データを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価の間の前記モバイルデバイスの速度を決定すること、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度をドリフト補償し、ドリフト補償された速度データが結果として生じること、及び
前記ドリフト補償された速度データを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定すること、
を含むことと、
を実施するように構成され、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記プロセッサにより実行可能な命令を実行したときに、以下の動作、すなわち
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価に関連する前記ユーザの身体移動評価を決定することと、
前記身体移動評価の少なくとも一部を前記ユーザに表示することであり、前記表示は、前記臨床的な移動度に基づく評価における低下を含むことと、
を実施するようにさらに構成されている、システム。
【請求項2】
前記モバイルデバイスによって表示される対話型アニメーションの会話型グラフィカルユーザインターフェースをさらに含み、
前記少なくとも1つのプロセッサは、前記対話型アニメーションの会話型グラフィカルユーザインターフェースを介して前記臨床的な移動度に基づく評価の表現を表示する動作を実施するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記臨床的な移動度に基づく評価は、検査時間、ターン時間、座り立ち時間、立ち座り時間、所定の時間内に完了した座り立ちの繰り返しの数、及び所定の時間内に完了した立ち座りの繰り返しの数のうち1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザの移動能力を示すユーザの慣性データは、前記ジャイロスコープを使用して生成されたジャイロスコープデータと、前記加速度計を使用して生成された加速度計データとを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのプロセッサは、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きに基づき前記ユーザの機能的移動の特徴を決定する動作であって、前記機能的移動の特徴には、タスクの完了までの時間、タスクの完了までの速度、所定の時間内に完了したタスクの繰り返し総数、所定の時間内に完了したタスクの繰り返しの減衰、ターン速度、体軸方向の振れ、内外方向の振れ、歩行特性、総変位量、垂直変位、内外方向の変位、及び結果として生じる変位のうち1つ以上が含まれる、動作を実施するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記ユーザに対する身体移動評価は、前記ユーザの静的安定性、前記ユーザの動的安定性、前記ユーザの姿勢安定性、前記ユーザのバランス、前記ユーザの移動度、前記ユーザの転倒リスク、前記ユーザの下半身筋力、前記ユーザの下半身筋持久力、前記ユーザの下半身筋柔軟性、前記ユーザの上半身筋力、及び前記ユーザの上半身筋持久力のうち1つ以上を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記少なくとも1つのプロセッサは、以下の動作、すなわち、
前記ローカルにログされたユーザの慣性データ及び前記ユーザの身体移動評価を受信することと、
前記臨床的な移動度に基づく評価に関連するユーザの身体移動評価を使用して縦断的身体移動評価分析を行うことと、
前記縦断的身体移動評価分析の少なくとも一部を前記ユーザに表示することと、
を実施するようにさらに構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記縦断的身体移動評価分析を行うことは、
クラウドベースの規範的データストレージからドメインに関連する身体移動における変化の所定の閾値を受信することと、
前記ユーザの身体移動評価を前記身体移動における変化の所定の閾値と比較することと、
前記比較に基づき、前記身体移動評価が、前記身体移動における変化の所定の閾値を超えていると決定することと、
前記身体移動評価が、前記身体移動における変化の所定の閾値を超えている場合に、縦断的移動度評価を前記ユーザに表示することと、
を含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターする方法であって、
慣性計測装置を含むモバイルデバイスを使用して、臨床的な移動度に基づく評価をユーザに提供するステップと、
前記慣性計測装置を使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価に基づく前記ユーザの移動能力を示す前記ユーザの慣性データを生成するステップと、
前記モバイルデバイスに対してローカルに前記ユーザの慣性データをログし、ローカルにログされた前記ユーザの慣性データが結果として生じるステップと、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間の前記モバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、前記ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップであり、前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップは、
前記ローカルにログされたユーザの慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザの慣性データが結果として生じること、
前記セグメント化され整列したユーザの慣性データの重力加速度カウンターバランスをとり、カウンターバランスのとれた前記ユーザの慣性データが結果として生じること、
前記カウンターバランスのとれたユーザの慣性データを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価の間の前記モバイルデバイスの速度を決定すること、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度をドリフト補償し、ドリフト補償された速度データが結果として生じること、及び
前記ドリフト補償された速度データを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定すること、
を含む、ステップと、
を含み、
前記方法は、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価に関連する前記ユーザの身体移動評価を決定するステップと、
前記モバイルデバイスを使用して、前記身体移動評価の少なくとも一部を前記ユーザに表示するステップであり、前記表示は、前記臨床的な移動度に基づく評価における低下を含む、ステップと、
さらに含む、方法。
【請求項10】
前記モバイルデバイスによって表示される対話型アニメーションの会話型グラフィカルユーザインターフェースを介して前記臨床的な移動度に基づく評価の表現を表示するステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記臨床的な移動度に基づく評価は、検査時間、ターン時間、座り立ち時間、立ち座り時間、所定の時間内に完了した座り立ちの繰り返しの数、及び所定の時間内に完了した立ち座りの繰り返しの数のうち1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザの移動能力を示すユーザの慣性データは、ジャイロスコープを使用して生成されたジャイロスコープデータと、加速度計を使用して生成された加速度計データとを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きに基づき前記ユーザの機能的移動の特徴を決定するステップであって、前記機能的移動の特徴には、タスクの完了までの時間、タスクの完了までの速度、所定の時間内に完了したタスクの繰り返し総数、所定の時間内に完了したタスクの繰り返しの減衰、ターン速度、体軸方向の振れ、内外方向の振れ、歩行特性、総変位量、垂直変位、内外方向の変位、及び結果として生じる変位のうち1つ以上が含まれる、ステップをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記ユーザに対する身体移動評価は、前記ユーザの静的安定性、前記ユーザの動的安定性、前記ユーザの姿勢安定性、前記ユーザのバランス、前記ユーザの移動度、前記ユーザの転倒リスク、前記ユーザの下半身筋力、前記ユーザの下半身筋持久力、前記ユーザの下半身筋柔軟性、前記ユーザの上半身筋力、及び前記ユーザの上半身筋持久力のうち1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記ローカルにログされたユーザの慣性データ及び前記ユーザの身体移動評価を受信するステップと、
前記臨床的な移動度に基づく評価に関連する前記ユーザの身体移動評価を使用して縦断的身体移動評価分析を行うステップと、
前記縦断的身体移動評価分析の少なくとも一部を前記ユーザに表示するステップと、
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターする方法を行うために少なくとも1つのプロセッサによって実行可能である命令を具現化した非一時的なコンピュータ読取可能媒体であって、前記方法は、
慣性計測装置を含むモバイルデバイスを使用して、臨床的な移動度に基づく評価をユーザに提供するステップと、
前記慣性計測装置を使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価に基づく前記ユーザの移動能力を示す前記ユーザの慣性データを生成するステップと、
前記モバイルデバイスに対してローカルに前記ユーザの慣性データをログし、ローカルにログされた前記ユーザの慣性データが結果として生じるステップと、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間の前記モバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、前記ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップであり、前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップは、
前記ローカルにログされたユーザの慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザの慣性データが結果として生じること、
前記セグメント化され整列したユーザの慣性データの重力加速度カウンターバランスをとり、カウンターバランスのとれた前記ユーザの慣性データが結果として生じること、
前記カウンターバランスのとれたユーザの慣性データを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価の間の前記モバイルデバイスの速度を決定すること、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度をドリフト補償し、ドリフト補償された速度データが結果として生じること、及び
前記ドリフト補償された速度データを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定すること、
を含む、ステップと、
を含み、
前記方法は、
前記臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを使用して、前記臨床的な移動度に基づく評価に関連する前記ユーザの身体移動評価を決定するステップと、
前記モバイルデバイスを使用して、前記身体移動評価の少なくとも一部を前記ユーザに表示するステップであり、前記表示は、前記臨床的な移動度に基づく評価における低下を含む、ステップと、
さらに含む、非一時的なコンピュータ読取可能媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2018年3月19日に出願された“Consumer Application for Mobile Assessment of Functional Capacity and Falls Risk”と題する米国仮特許出願第62/645,053号の優先権を主張するものであり、その中に引用されている全ての付属物及び全ての参照文献を含め、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
本技術は、接続デバイスソフトウェアアプリケーションに関する。より具体的には、本技術は、限定されるものではないが、慣性計測能力を備え、インターネット及び/又はセルラーの接続性、並びに音声通信技術を有する市販のモバイルデバイスにインストールされた場合に、ユーザのリアルタイムの転倒リスクを評価することができるアプリケーションに関する。
【背景技術】
【0003】
このセクションにおいて記載されるアプローチは実行可能であるが、必ずしも以前に考えられた又は実行されたアプローチであるというわけではない。従って、別段の指示がない限り、このセクションにおいて記載されるアプローチのいずれも、単にこのセクションに含まれているという理由で従来技術として認定すると考えられるべきではない。
【0004】
加齢に伴う数多くのリスク、及び、米国の人口が急速に高齢化しているという事実に応えて、自立を維持するための努力が、健康モニタリングの様々な側面に焦点を当てた多くのアプリケーションの開発につながっている。これらのアプリケーションのほとんどは、血圧、心拍数、血中グルコースレベル、及び/又は睡眠等の生物学的要因をモニターする能力を含むような様式で開発されている。エビデンスは、健康全般に関連するこれらの生体信号を示唆し、このようなパラメータの一貫したモニタリングは健康の改善に寄与し得るということを示唆するけれども、現在利用可能なヘルスアプリケーションは、動くためのユーザの能力を一貫してモニターする能力を提供しない。加えて、これらの現在のヘルスモニタリングアプリケーションは、一般的に、自己完結型ではなく、多くの場合、それらがインストールされているものに加えて、ハードウェアを必要とする。本技術は、ユーザの移動能力を評価する自己完結型で包括的な方法を提供し、さらに、機能的能力の低下を直接モニターし特定する非侵襲的な方法を提供する。これらの決定的な運動評価の結果は、ユーザが容易にアクセスすることができ、様々なフォーマットでユーザのモバイルデバイス上に表示することができる。
【発明の概要】
【0005】
一部の実施形態において、本開示は、1つ又は複数のコンピュータのシステムを対象にしており、該システムは、動作中に本明細書において記載される作動及び/又は方法のステップをシステムに行わせるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェア、又はそれらの組み合わせをシステムにインストールさせることによって、特定の動作又は作動を行うように構成することができる。
【0006】
一部の実施形態によると、本技術は、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターする方法を対象にしており、当該方法は:(a)慣性計測装置を含むモバイルデバイスを使用して、臨床的な移動度に基づく評価をユーザに提供するステップ;(b)慣性計測装置を使用して、臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザの移動能力を示すユーザの慣性データを生成するステップ;(c)モバイルデバイスに対してローカルにユーザの慣性データをログし、ローカルにログされた(locally logged)ユーザの慣性データが結果として生じるステップ;(d)臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップ;(e)臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを使用して、臨床的な移動度に基づく評価に関連するユーザの身体移動評価を決定するステップ;及び(f)モバイルデバイスを使用して、身体移動評価の少なくとも一部をユーザに表示するステップ;を含む。
【0007】
様々な実施態様において、当該方法は、モバイルデバイスによって表示される対話型アニメーションの会話型グラフィカルユーザインターフェースを介して臨床的な移動度に基づく評価の表現を表示するステップを含む。
【0008】
一部の実施形態では、当該方法において、臨床的な移動度に基づく評価は、検査時間、ターン時間、座り立ち時間、立ち座り時間、所定の時間内に完了した座り立ちの繰り返しの数、及び所定の時間内に完了した立ち座りの繰り返しの数のうち1つ以上を含む。
【0009】
様々な実施形態において、臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザの移動能力を示すユーザの慣性データは、ジャイロスコープを使用して生成されたジャイロスコープデータ;及び、加速度計を使用して生成された加速度計データ;を含む。
【0010】
一部の実施形態では、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップは:ローカルにログされたユーザの慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザの慣性データが結果として生じること;セグメント化され整列したユーザの慣性データの重力加速度カウンターバランスをとり、カウンターバランスのとれたユーザの慣性データが結果として生じること;カウンターバランスのとれたユーザの慣性データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度を決定すること;臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度をドリフト補償し、ドリフト補償された速度データが結果として生じること;及び、ドリフト補償された速度データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定すること;を含む。
【0011】
様々な実施形態において、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップは:ローカルにログされたユーザの慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザの慣性データが結果として生じること;セグメント化され整列したユーザの慣性データの角度方向を積分(integrating)して、カウンターバランスのとれたユーザの慣性データが結果として生じること;カウンターバランスのとれたユーザの慣性データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度を決定すること;臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度をドリフト補償し、ドリフト補償された速度データが結果として生じること;及び、ドリフト補償された速度データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定すること;を含む。
【0012】
一部の実施形態では、当該方法は:臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きに基づきユーザの機能的移動の特徴を決定するステップをさらに含み、機能的移動の特徴には:タスクの完了までの時間、タスクの完了までの速度、所定の時間内に完了したタスクの繰り返し総数、所定の時間内に完了したタスクの繰り返しの減衰、ターン速度、体軸方向の振れ、内外方向の振れ、歩行特性、総変位量、垂直変位、内外方向の変位、及び結果として生じる変位のうち1つ以上が含まれる。
【0013】
様々な実施形態では、当該方法において、ユーザに対する身体移動評価は、ユーザの静的安定性、ユーザの動的安定性、ユーザの姿勢安定性、ユーザのバランス、ユーザの移動度、ユーザの転倒リスク、ユーザの下半身筋力、ユーザの下半身筋持久力、ユーザの下半身筋柔軟性、ユーザの上半身筋力、及びユーザの上半身筋持久力のうち1つ以上を含む。
【0014】
一部の実施形態では、当該方法は:ローカルにログされたユーザの慣性データ及びユーザの身体移動評価を受信するステップ;臨床的な移動度に基づく評価に関連するユーザの身体移動評価を使用して縦断的身体移動評価分析(a longitude physical movement assessment analysis)を行うステップ;及び、縦断的身体移動評価分析の少なくとも一部をユーザに表示するステップ;をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本技術の特定の実施形態が、添付の図によって例示される。図は、必ずしも正確な縮尺で描かれているわけではないということが理解されるであろう。本技術は、必ずしも本明細書において例示される特定の実施形態に限定されるものではないということが理解されるであろう。
図1】本技術の実施形態に従った、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターするためのシステムを示した図である。
図2】本技術の実施形態に従った、例証的な慣性データ処理アルゴリズムを例示した図である。
図3】本技術の実施形態に従った、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターするシステムと、クラウドベースのプラットフォームとの間の通信システムを示した図である。
図4A】本技術の実施形態に従った、椅子立ち上がりの臨床的な移動度に基づく評価を分析するための慣性データ処理アルゴリズムの結果を示した図である。
図4B】本技術の実施形態に従った、タイムアップアンドゴーの臨床的な移動度に基づく評価を分析するための慣性データ処理アルゴリズムの結果を描いた図である。
図5A】本技術の実施形態に従った、ユーザの機能的移動能力を決定するための移動評価を示す表を描いた図である。
図5B】本技術の実施形態に従った、ユーザの慣性データから抽出される特徴を示す表を描いた図であり、特徴は、アプリケーション分析アルゴリズムに従った機能的移動を記載しており、ユーザの機能的移動能力を記載している。
図6】本技術の実施形態に従った、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターする方法を示すプロセスの流れ図を描いた図である。
図7】本技術の実施形態を実施するために使用され得る例証的なコンピュータシステムを例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本技術の詳細な実施形態がここで開示される。開示される実施形態は、単に本発明の例証であり、複数の形態で具体化することができるということを理解されたい。本明細書において開示されるそれらの詳細は、限定的であるとしていかなる形態においても解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に対する基礎として解釈されるべきである。
【0017】
様々な実施形態において、本技術の目的は、慣性計測装置を備えたモバイルデバイスとのシンプルな相互作用を通して、ユーザの機能運動能力のモニタリング及び評価を提供するソフトウェアアプリケーションである。そのようなものとして、ソフトウェアアプリケーションは、ユーザの運動特性を一貫して評価し、どのようにそれらの運動特性がリアルタイムのユーザの機能的能力に関連するかを報告するように機能する。ソフトウェアアプリケーションは、ユーザに、種々の基本的な移動テストに関するパフォーマンスを評価する能力も提供する。加えて、クラウドベースのストレージ及びコンピュータ計算機能を利用するソフトウェアアプリケーションの能力は、機能的移動能力のリアルタイムの低下を特定し且つ報告することができるような様式で、複数のテストの迅速なストレージ、検索、及び評価の能力を提供する。ソフトウェアアプリケーションのさらなる利点は、本技術の実施形態を明記している詳細な実施形態の記載及び添付の図面から明らかである。
【0018】
図1は、本技術の実施形態に従った、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターするためのシステム100を示している。システム100は、モバイルデバイス120にアクセスすることができるユーザ110を示している。モバイルデバイス120は、慣性計測装置130を含む。慣性計測装置130は、モバイルデバイス120上に設置されるチップ等であってもよい。慣性計測装置130は、ジャイロスコープ140及び加速度計150を含む。モバイルデバイス120は、アプリケーション155(例えば、ソフトウェアアプリケーション等)をさらに含む。モバイルデバイス120は、機能検査システム170、バランス/安定性システム180、及び歩行分析システム190と通信するために通信ネットワーク160を使用する。
【0019】
様々な実施形態において、アプリケーション155は、ユーザ110の移動能力をモニターする能力を有する、Electronic Caregiver社により開発されたモバイルアプリケーションである。使用中に、アプリケーション155は、様々な臨床的な移動度に基づく評価の間の、ユーザ110の運動特性を記述するデータの収集、処理、記憶、及び分析の能力を具体化する。例えば、臨床的な移動度に基づく評価は、運動タスクであってもよい。様々な実施形態において、臨床的な移動度に基づく評価は、検査時間、ターン時間、座り立ち時間、立ち座り時間、所定の時間内に完了した座り立ちの繰り返しの数、及び所定の時間内に完了した立ち座りの繰り返しの数であってもよい。例えば、図5A及び図5Bにおいて記載された臨床的な移動度に基づく評価等である。例証的な臨床的な移動度に基づく評価(例えば、運動タスク等)には、機能検査システム170、バランス/安定性システム180、及び歩行分析システム190と通信するモバイルデバイス120を使用した、タイムアップアンドゴーテスト、30秒椅子立ち上がりテスト、4ステージバランステスト、歩行分析、ファンクショナルリーチテスト、シットアンドリーチテスト、5回椅子立ち上がりテスト、10回椅子立ち上がりテスト、アームカールテスト、及び姿勢安定性が含まれる。
【0020】
様々な実施形態において、ユーザ110は、モバイルデバイス120によって表示される対話型アニメーションの会話型グラフィカルユーザインターフェースを介した臨床的な移動度に基づく評価の表現のディスプレイにアクセスすることによって、モバイルデバイス120にアクセスすることができる。本技術の実施形態は、慣性計測装置130を含むモバイルデバイス120を使用して、臨床的な移動度に基づく評価をユーザに提供し、慣性計測装置130を使用して、臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザ110の移動能力を示すユーザ110の慣性データを生成することを含む。実施形態は、モバイルデバイス120に対してローカルにユーザ110の慣性データをログし、ローカルにログされたユーザ110の慣性データが結果として生じることを含む。様々な実施形態において、臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザ110の移動能力を示すユーザ110の慣性データは、ジャイロスコープ140を使用して生成されたジャイロスコープデータ;及び加速度計150を使用して生成された加速度計データ;を含む。
【0021】
図2は、本技術の実施形態に従った、例証的な慣性データ処理アルゴリズム200を例示している。慣性データ処理アルゴリズム200は、ハードウェア(例えば、専用論理、プログラマブル論理、及びマイクロコード等)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン上で実行されるソフトウェア等)、又はそれらの組み合わせを含み得る処理論理によって行われてもよい。1つ又は複数の例となる実施形態では、処理論理は、モバイルデバイス120、慣性計測装置130、機能検査システム170、バランス/安定性システム180、及び歩行分析システム190、若しくはクラウドベースの規範的データストレージ330、又はそれらの組み合わせに存在する。慣性データ処理アルゴリズム200は、慣性計測装置130を含むモバイルデバイス120から慣性データを受信する。慣性計測装置130は、ジャイロスコープ140及び加速度計150を含む。慣性データ処理アルゴリズム200は、信号セグメンテーション及びアライメント210、重力加速度カウンターバランス220、角度方向の積分230、速度の推定240、ドリフト決定及び補償250、向きの推定260、及び位置の推定270を含む。
【0022】
様々な実施形態において、慣性データ処理アルゴリズム200は、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザ110の移動能力をモニターするためのものである。本技術の実施形態は、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイス120の位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザ110の慣性データをリアルタイムで処理することを含む。一部の実施形態では、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザ110の慣性データをリアルタイムで処理することは:ローカルにログされたユーザ110の慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザ110の慣性データが結果として生じることを含む。例えば、ローカルにログされたユーザ110の慣性データをセグメント化して整列させることは、図4Aにおいて示されている。実施形態は、セグメント化され整列したユーザ110の慣性データの重力加速度カウンターバランスをとり、カウンターバランスのとれたユーザ110の慣性データが結果として生じること;カウンターバランスのとれたユーザ110の慣性データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度を決定すること;臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度をドリフト補償し、ドリフト補償された速度データが結果として生じること;及び、ドリフト補償された速度データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定すること;をさらに含む。
【0023】
本技術の実施形態は、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイス120の位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザ110の慣性データをリアルタイムで処理することを含む。一部の実施形態では、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザ110の慣性データをリアルタイムで処理することは:ローカルにログされたユーザ110の慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザ110の慣性データが結果として生じること;セグメント化され整列したユーザ110の慣性データの角度方向を積分して、カウンターバランスのとれたユーザ110の慣性データが結果として生じること;カウンターバランスのとれたユーザ110の慣性データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度を決定すること;臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの速度をドリフト補償し、ドリフト補償された速度データが結果として生じること;及び、ドリフト補償された速度データを使用して、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定すること;を含む。
【0024】
図3は、本技術の実施形態に従った、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターするためのシステムと、クラウドベースのプラットフォームとの間の通信システム300を示している。通信システム300は、アプリケーション155(例えば、Electronic Caregiver社のアプリケーション等)を含むモバイルデバイス120を含む。通信システム300は、クラウドコンピューティングネットワーク320、クラウドベースの規範的データストレージ330、及びデータストリーミング340をさらに含む。様々な実施形態において、アプリケーション155は、クラウドコンピューティングネットワーク320と通信する。
【0025】
一般に、クラウドコンピューティングネットワーク320は、クラウドベースのコンピューティング環境であり、これは、典型的には、(ウェブサーバ内等の)大規模なグループ分けのプロセッサのコンピュータ計算能力を組み合わせる、及び/又は、大規模なグループ分けのコンピュータメモリ若しくは記憶装置の記憶容量を組み合わせるリソースである。
【0026】
クラウドコンピューティングネットワーク320は、例えば、コンピュータシステム700等の複数のコンピューティングデバイスを含むウェブサーバのネットワークによって形成されてもよく、各サーバ(又は少なくともその複数)がプロセッサ及び/又はストレージリソースを提供する。これらのサーバは、複数のユーザ(例えば、クラウドリソースのカスタマー又は他のユーザ等)によって提供されるワークロードを管理することができる。
【0027】
図4Aは、本技術の実施形態に従った、椅子立ち上がりの臨床的な移動度に基づく評価を分析するための慣性データ処理アルゴリズムの結果400を示している。例えば、臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザの移動能力を示すユーザの慣性データを処理するために使用される慣性データ処理アルゴリズムは、図2において示されている慣性データ処理アルゴリズム200であってもよい。より詳細には、図4Aは、ローカルにログされたユーザ110の慣性データをセグメント化して整列させ、セグメント化され整列したユーザ110の慣性データが結果として生じることを示している。例えば、複数の信号セグメンテーションのうちの信号セグメンテーション405が、図4Aにおいて示されている。より具体的には、図4Aは、例1においてより詳細に記載される椅子立ち上がりの臨床的な移動度に基づく評価の分析を示している。
【0028】
図4Bは、本技術の実施形態に従った、タイムアップアンドゴーの臨床的な移動度に基づく評価を分析するための慣性データ処理アルゴリズム200の結果410を描いている。より詳細には、図4Bは、例2においてより詳細に記載される、タイムアップアンドゴーの臨床的な移動度に基づく評価の分析410を示している。
【0029】
図5Aは、本技術の実施形態に従った、ユーザ110の機能的移動能力を決定するための移動評価を示す表500を描いている。例えば、臨床的な移動度に基づく評価は、運動タスクであってもよい。様々な実施形態において、臨床的な移動度に基づく評価は、検査時間、ターン時間、座り立ち時間、立ち座り時間、所定の時間内に完了した座り立ちの繰り返しの数、及び所定の時間内に完了した立ち座りの繰り返しの数であってもよい。例証的な臨床的な移動度に基づく評価(例えば、運動タスク等)には、タイムアップアンドゴーテスト、30秒椅子立ち上がりテスト、4ステージバランステスト、歩行分析、ファンクショナルリーチテスト、シットアンドリーチテスト、5回椅子立ち上がりテスト、10回椅子立ち上がりテスト、アームカールテスト、及び姿勢安定性が含まれる。表500は、各臨床的な移動度に基づく評価(例えば、運動タスク等)について評価されるユーザ110の評価の領域をさらに示している。
【0030】
図5Bは、本技術の実施形態に従った、ユーザ110の慣性データから抽出される特徴を示す表510であって、特徴は、アプリケーション分析アルゴリズムに従った機能的移動を記載しており、ユーザの機能的移動能力を記載している表510を描いている。例えば、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイス120の位置及び向きに基づきユーザ110の機能的移動の特徴を決定することにおいて、機能的移動の特徴には:タスクの完了までの時間、タスクの完了までの速度、所定の時間内に完了したタスクの繰り返し総数、所定の時間内に完了したタスクの繰り返しの減衰、ターン速度、体軸方向の振れ、内外方向の振れ、歩行特性、総変位量、垂直変位、内外方向の変位、及び結果として生じる変位のうち1つ以上が含まれる。表510は、各臨床的な移動度に基づく評価(例えば、運動タスク等)に対して抽出されるユーザ110の特徴も示している。
【0031】
図6は、本技術の実施形態に従った、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターする方法600を示すプロセスの流れ図を描いている。方法600は、ハードウェア(例えば、専用論理、プログラマブル論理、及びマイクロコード等)、ソフトウェア(汎用コンピュータシステム又は専用マシン上で実行されるソフトウェア等)、又はそれらの組み合わせを含み得る処理論理によって行われてもよい。1つ又は複数の例となる実施形態では、処理論理は、モバイルデバイス120、慣性計測装置130、機能検査システム170、バランス/安定性システム180、及び歩行分析システム190、若しくはクラウドベースの規範的データストレージ330、又はそれらの組み合わせに存在する。
【0032】
図6において示されているように、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターする方法600は、慣性計測装置を含むモバイルデバイスを使用して、臨床的な移動度に基づく評価をユーザに提供するステップ610を含む。方法600は、慣性計測装置を使用して、臨床的な移動度に基づく評価に基づくユーザの移動能力を示すユーザの慣性データを生成するステップ620において始まってもよい。方法600は、モバイルデバイスに対してローカルにユーザの慣性データをログし、ローカルにログされたユーザの慣性データが結果として生じるステップ630;及び、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを決定するために、ローカルにログされたユーザの慣性データをリアルタイムで処理するステップ640;を進めることができる。方法600は、臨床的な移動度に基づく評価の間のモバイルデバイスの位置及び向きを使用して、臨床的な移動度に基づく評価に関連するユーザの身体移動評価を決定するステップ650;及び、モバイルデバイスを使用して、身体移動評価の少なくとも一部をユーザに表示するステップ660;を進めることができる。
【0033】
様々な実施形態において、方法600は、任意的に、ローカルにログされたユーザの慣性データ及びユーザの身体移動評価を受信するステップ670;臨床的な移動度に基づく評価に関連するユーザの身体移動評価を使用して縦断的身体移動評価分析を行うステップ680;及び、縦断的身体移動評価分析の少なくとも一部をユーザに表示するステップ690;を含む。
【0034】
様々な実施形態において、縦断的身体移動評価分析を行うステップは、クラウドベースの規範的データストレージからドメインに関連する身体移動における変化の所定の閾値を受信すること;ユーザの身体移動評価を身体移動における変化の所定の閾値と比較すること;比較に基づき、身体移動評価が、身体移動における変化の所定の閾値を超えていると決定すること;及び、身体移動評価が、身体移動における変化の所定の閾値を超えている場合に、縦断的移動度評価をユーザに表示すること;を含む。
【0035】
例1
図4Aは、本技術の実施形態に従った、椅子立ち上がりの臨床的な移動度に基づく評価を分析するための慣性データ処理アルゴリズム200の結果400を示している。例えば、機能検査は、椅子立ち上がりを完了するユーザ110の能力であってもよい。この特定の検査の領域は、ユーザ110の下肢筋力への貴重な洞察を提供する。1つの特定の検査である30秒椅子立ち上がりは、アプリケーション155によって遠隔で評価することができる。これを達成するために、ユーザ110は、標準的な椅子において座位をとり、アプリケーション155(例えば、Electronic Caregiver社のアプリケーション等)を開き、ドロップダウンメニューから対応する検査(例えば、椅子立ち上がりの臨床的な移動度に基づく評価等)を選択する。検査の選択後、モバイルデバイス120の慣性計測装置130が作動され、ユーザ110の慣性データを収集し始める。5秒のカウントダウンの後、ユーザ110は、椅子立ち上がりテストを始め、割り当てられた時間内に可能な限り多くの座り立ち移動に続いて立ち座りの繰り返しを完了する。図4Aにおいて描かれているように、垂直加速度信号を、検査の間に評価される標準的な臨床的変数である、検査の間に完了した繰り返しの数を評価するために利用することができる。完了した繰り返しの数を評価することは、垂直加速度の大きさにおける数量化できるスパイクに基づき信号を別のセグメントに分ける信号セグメンテーションの適用、及び、処理の間に得られた独立したセグメントの数を決定するシンプルなカウント関数の適用を介して達成される。例えば、複数の信号セグメンテーションのうちの信号セグメンテーション405が図4Aにおいて示されている。
【0036】
例2
図4Bは、本技術の実施形態に従った、タイムアップアンドゴーの臨床的な移動度に基づく評価を分析するための慣性データ処理アルゴリズム200の結果410を描いている。例えば、高齢者医療提供環境において利用される機能検査は、タイムアップアンドゴーテストである。タイムアップアンドゴーテストでは、ユーザ110は、標準的な椅子において座位で開始し、立位まで立ち上がり、3メートルの距離を歩く必要がある。3メートルのマークにおいて、ユーザ110は、180度のターンを完了し、開始点まで歩いて戻り、次に、開始した椅子に座る。タイムアップアンドゴーテストが完了すると、臨床医は、典型的には、患者が検査を完了するのにかかった時間を記録する。
【0037】
様々な実施形態において、本明細書において記載される本技術のシステム及び方法は、様々な実施形態において要求に応じて臨床医と同じ評価を行う能力を有する。そのようなものとして、ユーザ110は、標準的な椅子において座位をとり、アプリケーション155(例えば、Electronic Caregiver社のアプリケーション等)を開き、モバイルデバイス120上のドロップダウンメニューから臨床的な移動度に基づく評価(すなわち、タイムアップアンドゴーの臨床的な移動度に基づく評価)を選択する。検査の選択後、慣性計測装置130が作動され、ユーザ110の慣性データを収集し始める。5秒のカウントダウンの後、ユーザ110は、タイムアップアンドゴーテストを開始から終了まで行う。座位に戻った後、ユーザは、検査終了のアイコンを選択して、慣性データの収集を終える。タイムアップアンドゴーテストが完了すると、信号セグメンテーションアルゴリズムが、慣性データを、立ち上がり期415、アウトバウンド期420(すなわち、外へ出る歩行)、180°ターン期425(すなわち旋回)、インバウンド期430(すなわち、中へ入る歩行)、及び座り期435にセグメント化する。ローカルにログされたユーザの慣性データをセグメント化し整列させた後で、種々の特徴(例えば、検査完了までの時間、立ち上がりの間の垂直加速度の大きさ、及び座りの間の垂直加速度の大きさ等)が、ユーザ110の機能低下の特性を特定するために使用される。例えば、機能低下の特性には、タイムアップアンドゴーテストを完了するまでの時間の増加、立ち上がり期415の間の垂直加速度のピーク及び/又は全体的な大きさの低下、又は、座り期435の間の垂直加速度のピーク及び/又は全体的な大きさの増加が含まれてもよい。
【0038】
例3
高齢者医療提供環境において利用される別の一般的な機能検査は、姿勢安定性テストである。姿勢安定性テストでは、ユーザ110は、姿勢の揺れの測定値が収集される間、静的立位を維持する必要がある。姿勢安定性テストが完了すると、臨床医は、典型的には、姿勢安定性テストを完了するユーザ110の観察した安定性、並びに、姿勢の揺れを示す様々な加速度の大きさを記録する。ここでも、アプリケーション155(例えば、Electronic Caregiver社のアプリケーション等)を含む本技術のシステム及び方法は、要求に応じて臨床医と同じ評価を行う能力を有する。そのようなものとして、ユーザ110は、立位をとり、アプリケーション155(例えば、Electronic Caregiver社のアプリケーション等)を開き、ドロップダウンメニューから姿勢安定性テストを選択する。姿勢安定性テストの選択後、モバイルデバイス120内の慣性計測装置130が作動され、ユーザ110の慣性データを収集し始める。5秒のカウントダウンの後、ユーザ110は、アプリケーション155によって指定された時間の間、姿勢安定性テストを行う。姿勢安定性テストが完了すると、ユーザ110の慣性データが処理され、体軸方向の大きさ、内外方向の大きさ、及び結果として生じる大きさ(すなわち、加速度計データ)、並びに、体軸方向の軸、内外方向の軸、及び左右軸に関する角運動の大きさ(すなわち、ジャイロスコープデータ)に置き換えられる。加速度計データ及びジャイロスコープデータは、ユーザ110の全体的な静的安定性及び転倒の潜在的リスクの指標として使用することができる各体軸に沿った及びその軸に関する振れの大きさを定量化するために分析される。
【0039】
図7は、本技術の実施形態を実施するために使用され得る例証的なコンピュータシステムを例示している。図7は、コンピュータシステム700の例となる電子的形態の機械に対するコンピューティングデバイスの概略図を示しており、その中で、本明細書において議論される方法論のうちいずれか1つ又は複数を機械に行わせるための命令のセットを実行することができる。例となる実施形態において、機械は、スタンドアロンデバイスとして作動するか、又は、他の機械に接続(例えば、ネットワーク化)することができる。ネットワーク化された展開では、機械は、サーバの能力、サーバ-クライアントネットワーク環境のクライアントマシンにおいて、又はピア・ツー・ピア(又は分散)ネットワーク環境のピアマシンとして作動することができる。この機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、ゲーム機、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、テレビジョン装置、携帯電話、ポータブルミュージックプレーヤ(例えば、ポータブルハードドライブオーディオ装置等)、ウェブアプライアンス、又は(連続的、又さもなければ)その機械が取るべき行動を指定する命令のセットを実行する能力を有する任意の機械であり得る。さらに、単一の機械のみが例示されているけれども、「機械」という用語は、本明細書において議論される方法論のいずれか1つ又は複数を行うための命令のセット(又は複数のセット)を別々に又は共同で実行する機械の任意のコレクションも含むとも解釈されるべきである。コンピュータシステム700は、モバイルデバイス120、慣性計測装置130、機能検査システム170、バランス/安定性システム180、及び歩行分析システム190、又はクラウドベースの規範的データストレージ330の例であり得る。
【0040】
例となるコンピュータシステム700は、バス720を介して互いに通信する、1つ又は複数のプロセッサ705(例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィックスプロセッシングユニット(GPU)、又はその両方等)、並びにメインメモリ710及びスタティックメモリ715を含む。コンピュータシステム700は、ビデオディスプレイユニット725(例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、又は陰極線管(CRT)等)をさらに含み得る。コンピュータシステム700は、英数字入力装置(例えば、キーボード等)、カーソル制御装置(例えば、マウス等)、マイクロホン、デジタルカメラ、及びビデオカメラ等の少なくとも1つの入力装置730も含む。コンピュータシステム700は、ディスクドライブユニット735、信号発生装置740(例えば、スピーカ等)、及びネットワークインターフェース装置745も含む。
【0041】
ディスクドライブユニット735(ディスクドライブユニット735とも呼ばれる)は、本明細書において記載される方法論又は機能のうちいずれか1つ又は複数を具体化する又はそれによって利用される命令及びデータ構造の1つ又は複数のセット(例えば、命令755等)を記憶する機械読取可能媒体750(コンピュータ読取可能媒体750とも呼ばれる)を含む。命令755は、コンピュータシステム700によるその実行の間、メインメモリ710、スタティックメモリ715内、及び/又は、1つ又は複数のプロセッサ705内に完全に又は少なくとも部分的に存在することもできる。メインメモリ710、スタティックメモリ715、及び1つ又は複数のプロセッサ705も、機械読取可能媒体を構成する。
【0042】
命令755は、さらに、多数の周知の転送プロトコル(例えば、ハイパーテキスト・トランスファー・プロトコル(HTTP)、CAN、Serial、及びModbus等)、のいずれか1つを利用するネットワークインターフェース装置745を経由した通信ネットワーク760を介して送信又は受信することができる。通信ネットワーク760は、インターネット、ローカルイントラネット、パーソナルエリアネットワーク(PAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、バーチャルプライベートネットワーク(VPN)、ストレージエリアネットワーク(SAN)、フレームリレー接続、高度インテリジェントネットワーク(AIN)接続、同期型光ネットワーク(SONET)接続、デジタルT1、T3、E1又はE3線、デジタルデータサービス(DDS)接続、デジタル加入者線(DSL)接続、イーサネット接続、サービス総合デジタル網(ISDN)線、ケーブルモデム、アシンクロナストランスファーモード(ATM)接続、又は、ファイバ分散データインターフェース(FDDI)若しくは銅線分散データインターフェース(CDDI)接続を含む。さらに、通信ネットワーク760は、ワイヤレスアプリケーションプロトコル(WAP)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、グローバルシステムフォーモバイルコミュニケーション(GSM)、符号分割多元接続(CDMA)若しくは時分割多元接続(TDMA)、携帯電話ネットワーク、グローバルポジショニングシステム(GPS)、セルラーデジタルパケットデータ(CDPD)、リサーチインモーション(RIM)社のデュプレックスページングネットワーク、Bluetooth(登録商標)無線、又はIEEE 802.11ベースの無線周波数ネットワークを含む種々の無線ネットワークのいずれかへのリンクも含み得る。
【0043】
機械読取可能媒体750は、例となる実施形態において、単一の媒体であることが示されているけれども、「コンピュータ読取可能媒体」という用語は、1つ又は複数の命令のセットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中型若しくは分散型のデータベース、及び/又は、関連するキャッシュ及びサーバ等)を含むと解されるべきである。「コンピュータ読取可能媒体」という用語は、機械による実行のための命令のセットを記憶する、符号化する、又は運ぶ能力を有し、且つ、本願の方法論のうちいずれか1つ又は複数を機械に行わせる、又は、そのような命令のセットによって利用されるか又は関連するデータ構造を記憶する、符号化する、又は運ぶ能力を有する任意の媒体を含むとも解されるべきである。「コンピュータ読取可能媒体」という用語は、従って、ソリッドステートメモリ、光媒体、及び磁気媒体を含むが、これらに限定されないと解されるべきである。そのような媒体は、ハードディスク、フロッピーディスク、フラッシュメモリカード、デジタルビデオディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及びリードオンリーメモリ(ROM)等も含み得るが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書において記載される例となる実施形態は、コンピュータにインストールされるコンピュータ実行可能命令(例えば、ソフトウェア等)を含む作動環境において、ハードウェアにおいて、又はソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにおいて実施することができる。コンピュータ実行可能命令は、コンピュータプログラミング言語で書くことができるか、又は、ファームウェアロジックで具体化することができる。認識されている標準に従うプログラミング言語で書かれた場合、そのような命令は、種々のハードウェアプラットフォーム上で、種々のオペレーティングシステムへのインターフェースのために実行することができる。限定されるものではないけれども、本方法を実施するためのコンピュータソフトウェアプログラムを、例えば、ハイパーテキストマークアップランゲージ(HTML)、ダイナミックHTML、XML、拡張可能なスタイルシート言語(XSL)、文書スタイル意味指定言語(DSSSL)、カスケーディングスタイルシート(CSS)、同期マルチメディア統合言語(SMIL)、ワイヤレスマークアップ言語(WML)、Java(商標)、Jini(商標)、C、C++、C#、.NET、Adobe Flash、Perl、UNIX Shell、Visual Basic若しくはVisual Basic Script、仮想現実マークアップ言語(VRML)、ColdFusion(商標)、又は、他のコンパイラ、アセンブラ、インタプリタ、又は他のコンピュータ言語若しくはプラットフォーム等、任意の数の適したプログラミング言語で書くことができる。
【0045】
このように、臨床的な移動度に基づく評価を使用してユーザの移動能力をモニターするための技術が開示されている。特定の例となる実施形態を参照して実施形態が記載されてきたけれども、本願のより広い真意及び範囲から逸脱することなく、これらの例となる実施形態に様々な修正及び変更を行うことができるということは明らかであろう。従って、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきである。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7