(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】線状発光部材及び面状発光装置
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20231030BHJP
F21V 7/00 20060101ALI20231030BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20231030BHJP
F21Y 103/10 20160101ALN20231030BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21S2/00 439
F21V7/00 510
F21Y115:10 300
F21Y103:10
(21)【出願番号】P 2022514352
(86)(22)【出願日】2021-03-12
(86)【国際出願番号】 JP2021010224
(87)【国際公開番号】W WO2021205815
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-08-25
(31)【優先権主張番号】P 2020070012
(32)【優先日】2020-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100207778
【氏名又は名称】阿形 直起
(72)【発明者】
【氏名】田村 量
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 清一
【審査官】河村 勝也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/009561(WO,A1)
【文献】特開2009-130300(JP,A)
【文献】特開2009-272451(JP,A)
【文献】特開2012-227290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
F21V 7/00
F21Y 115/10
F21Y 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方向に延伸する実装基板と、
前記実装基板に配置され、前記所定の方向に延伸する回路基板であって、前記所定の方向に延伸する開口部を有する回路基板と、
前記回路基板に配置された電極と、
前記所定の方向に沿って前記実装基板に配置され、前記電極と電気的に接続された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を囲むように前記回路基板に配置され、前記発光素子からの光を反射する枠体と、を有し、
前記枠体は、内周面に、前記発光素子の方向に、前記開口部の外縁よりも内側まで張り出す突出部を有する、
ことを特徴とする線状発光部材。
【請求項2】
前記枠体は、前記発光素子の上面の中央部から前記線状発光部材の短手方向に延伸して前記枠体に接する接線の仰角が5度以上30度以下となるように形成される、請求項1に記載の線状発光部材。
【請求項3】
前記発光素子の上面の高さは、前記電極の上面の高さと略一致する、
請求項1又は2に記載の線状発光部材。
【請求項4】
前記電極は、前記枠体の内周から延出する延出部を有し、
前記複数の発光素子は、前記延出部に接合されたワイヤを介して前記電極と電気的に接続される、請求項1-3の何れか一項に記載の線状発光部材。
【請求項5】
前記回路基板は、前記所定の方向に沿って複数の前記開口部を有し、
前記電極は、前記複数の開口部のうちの隣接する開口部の間において、前記枠体の内周から延出する延出部を有し、
前記複数の発光素子は、前記延出部に接合されたワイヤを介して前記電極と電気的に接続される、請求項1-3の何れか一項に記載の線状発光部材。
【請求項6】
前記枠体の上面は、前記実装基板と平行する平面状に形成される、請求項1-5の何れか一項に記載の線状発光部材。
【請求項7】
前記回路基板の高さは、前記複数の発光素子のうちの少なくとも一つの発光素子よりも低い、
請求項1-6の何れか一項に記載の線状発光部材。
【請求項8】
所定の方向に延伸する実装基板と、
前記実装基板に配置され、前記所定の方向に延伸する回路基板と、
前記回路基板に配置された電極と、
前記所定の方向に沿って前記実装基板に配置され、前記電極と電気的に接続された複数の発光素子と、
前記複数の発光素子を囲むように前記回路基板に配置され、前記発光素子からの光を反射する枠体と、を有し、
前記発光素子は、前記実装基板の短手方向において、所定の仰角を有する出射方向に出射された光の強度が最大となるような指向特性を有し、
前記枠体は、内周面が前記発光素子の方向に突出する突出部を有し、前記枠体の上端部から前記発光素子の方向に突出した突出部に至る湾曲面が、前記発光素子の上面の中央部に対して前記出射方向に位置するように形成される、
ことを特徴とする線状発光部材。
【請求項9】
ケースと、
発光領域を有する実装基板、前記実装基板の前記発光領域に実装された複数の発光素子、前記複数の発光素子の周囲に配置された枠体、及び前記枠体の内側で前記複数の発光素子を封止する封止材を含み、前記ケースの内側に沿って配置された線状発光部材と、
前記線状発光部材からの光が入射される入射面と、前記入射面から入射された光が出射される出射面とを含み、前記入射面を前記線状発光部材に対向させて前記ケース内に配置された導光板と、
前記入射面と対向する面から前記導光板の外へ出射した光を反射して前記導光板側に戻す反射シートと、を有し、
前記枠体は、前記反射シートで反射された光の一部を前記封止材内に導くために、前記発光素子側に向かって突出した凸部を有する、
ことを特徴とする面状発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、線状発光部材及び面状発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶ディスプレイのバックライトや照明装置等として、光を面状に放射する面状発光装置が用いられている。面状発光装置は、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子を線状に配列した線状発光部材と導光板とを備え、線状発光部材から放射された光を導光板が面状に拡散することにより光を面状に放射する。近年は、デジタルサイネージ等のために液晶ディスプレイが屋外で用いられることがあり、液晶ディスプレイの屋外での視認性を確保するために、線状発光部材及び面状発光装置の輝度を向上させることが求められている。
【0003】
線状発光部材の輝度を向上させるためには、発光素子の配置を高密度化することが有効であるが、電力や放熱の観点から、無制限に高密度化することは難しい。そこで、線状発光部材及び面状発光装置の発光効率を向上させることが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
特許文献1には、発光ダイオードの周囲に傾斜したリフレクタを設け、発光ダイオードからの光を効率的に取出すことにより発光効率を向上させる発光装置が記載されている。このような発光装置において、発光効率のさらなる向上が求められている。
【0006】
実施形態に係る線状発光部材及び面状発光装置は、発光効率を向上させることを可能とする。
【0007】
実施形態に係る線状発光部材は、所定の方向に延伸する実装基板と、実装基板に配置され、所定の方向に延伸する開口部を有する回路基板と、回路基板に配置された電極と、開口部の内側において所定の方向に沿って実装基板に配置され、電極と電気的に接続された複数の発光素子と、複数の発光素子を囲むように回路基板に配置され、発光素子からの光を反射する枠体と、を有し、枠体は、内周面が発光素子の方向に湾曲するように突出する、ことを特徴とする。
【0008】
実施形態に係る線状発光部材において、枠体は、発光素子の上面の中央部から線状発光部材の短手方向に延伸して枠体に接する接線の仰角が5度以上30度以下となるように形成される、ことが好ましい。
【0009】
実施形態に係る線状発光部材において、発光素子は、線状発光部材の短手方向において、所定の仰角を有する出射方向に出射された光の強度が最大となるような指向特性を有し、枠体は、枠体の上端部から発光素子の方向に突出した突出部に至る湾曲面が、発光素子の上面の中央部に対して出射方向に位置するように形成される、ことが好ましい。
【0010】
実施形態に係る線状発光部材において、電極は、枠体の内周から延出する延出部を有し、複数の発光素子は、延出部に接合されたワイヤを介して電極と電気的に接続される、ことが好ましい。
【0011】
実施形態に係る線状発光部材において、回路基板は、所定の方向に沿って複数の開口部を有し、延出部は、複数の開口部のうちの隣接する開口部の間において延出する、ことが好ましい。
【0012】
実施形態に係る線状発光部材において、枠体の上面は、実装基板と平行する平面状に形成される、ことが好ましい。
【0013】
実施形態に係る線状発光部材において、回路基板の高さは、複数の発光素子のうちの少なくとも一つの発光素子よりも低い、ことが好ましい。
【0014】
実施形態に係る線状発光部材において、枠体の内周面は、開口部の外縁よりも内側まで突出する、ことが好ましい。
【0015】
実施形態に係る面状発光装置は、実施形態に係る線状発光部材と、線状発光部材からの光が入射される入射面、及び、入射面から入射された光が出射される出射面を有する導光板と、線状発光部材及び導光板を収容するケースと、を有し、線状発光部材の枠体は、入射面と当接する、ことを特徴とする。
【0016】
実施形態に係る面状発光装置は、実施形態に係る線状発光部材と、線状発光部材からの光が入射される入射面、及び、入射面から入射された光が出射される出射面を有する導光板と、入射面に対向する面と出射面に対向する面とをそれぞれ被覆し、線状発光部材からの光を反射する反射部材と、線状発光部材、導光板及び反射部材を収容するケースと、を有することを特徴とする。
【0017】
実施形態によれば、面状発光装置及び線状発光部材は、発光効率を向上させることを可能とする。本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図8】封止材26の高さと光の強度比率との関係を示すグラフである。
【
図9】接線の角度と光の強度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ、本発明の様々な実施形態について説明する。ただし、本発明の技術的範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0020】
図1は、第1の実施形態に係る面状発光装置1の斜視図であり、
図2は、面状発光装置1の分解斜視図であり、
図3は、面状発光装置1の断面図である。
図3は、
図1のIII-III断面の断面図である。面状発光装置1は、例えば、液晶パネル等の透過型の表示パネルを背面から照らす光源として使用されるバックライトとして用いられる。面状発光装置1は、照明装置及び情報表示装置の光源として用いられてもよい。
【0021】
面状発光装置1は、線状発光部材2、導光板11、反射シート12、拡散シート13、集光シート14、反射型偏光板15、スペーサ16及びこれらを内部に収容するケース17を有する。ケース17は、ケース上部17aとケース下部17bとに分離可能である。ケース上部17aは、その中央に開口部を有し、開口部から反射型偏光板15が外部へ露出する。また、ケース下部17bは、その端部付近に、電源ケーブル18が挿通される開口部を有する。電源ケーブル18は、外部電源から線状発光部材2に電力を供給する。
【0022】
導光板11は、扁平な略直方体の形状を有する。導光板11は、線状発光部材2からの光が入射される入射面11aと、入射面11aと直交し且つ入射面11aから入射された光が出射される出射面11bと、出射面11bと対向し且つ微細な凹凸構造が設けられた反射面11cとを有する。入射面11aの両端には、突起部11eが設けられる。導光板11は、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂等の樹脂を用いて形成される。なお、以降では、導光板11の出射面11bが位置する方向を面状発光装置1の上方と称し、反射面11cが位置する方向を面状発光装置1の下方と称することがある。
【0023】
反射シート12は、導光板11の下方に設けられる薄膜状の部材である。反射シート12は、光を反射する金属板、フィルム又は白色シート等である。光を反射するフィルムは、例えば、銀、アルミニウム等の蒸着膜が形成されたフィルムである。反射シート12は、その端部付近に、電源ケーブル18が挿通される開口部を有する。
【0024】
拡散シート13は、導光板11の上方に設けられる薄膜状の部材である。拡散シート13は、例えば、ポリカーボネート樹脂又はアクリル樹脂等の透光性の樹脂にシリカ粒子等を分散して形成される。集光シート14は、拡散シート13の上方に設けられる薄膜状の部材である。集光シート14は、例えば、プリズムシートである。反射型偏光板15は、集光シート14の上方に設けられる薄膜状の部材である。反射型偏光板15は、樹脂により形成される多層膜構造を有する。
【0025】
導光板11の入射面11aに入射された光は、反射面11c又は出射面11bに向かって進行する。入射面11aから反射面11cに向かう光は、反射面11cの凹凸構造又は反射シート12において反射され、出射面11bに向かって進行する。入射面11a又は反射面11cから出射面11bに向かって進行する光は、出射面11bから出射される。
【0026】
出射面11bから出射された光は、拡散シート13、集光シート14、反射型偏光板15に順次入射される。拡散シート13は、入射された光を散乱させ、光量の分布を一様にする。集光シート14は、入射された光を反射型偏光板15の方向に集光させる。反射型偏光板15は、入射された光のうち特定の偏光成分を透過させ、他の偏光成分を反射させる。反射された光は、導光板11の反射面11c又は反射シート12等により反射され、偏光成分を変化させながら再び反射型偏光板15に入射する。これにより、特定の偏光成分を有し特定の方向に集光された光が反射型偏光板15から一様に出射される。
【0027】
導光板11の入射面11aと対向する対向面11dとケース17の側面との間にはスペーサ16が設けられる。スペーサ16は、弾性を有し、弾性力により導光板11を線状発光部材2の方向に押圧する。線状発光部材2は、発光素子が配置された線状の部材であり、発光素子が導光板11の入射面11aと対向するようにケース17の内部に配置される。線状発光部材2は、ケース17の側面に設けられた接着材19とスペーサ16により押圧された導光板11の突起部11eとにより挟持されて固定される。
【0028】
突起部11eの線状発光部材2に接する面と入射面11aとの間の、入射面11aの法線方向の距離は、線状発光部材2の厚さと略同一に形成される。これにより、
図3に示すように、線状発光部材2と入射面11aとが当接する。
【0029】
図4及び
図5は、第1の実施形態に係る線状発光部材2の正面図であり、
図6及び
図7は、線状発光部材2の断面図である。
図5は、
図4において枠体25の図示を省略した図面である。
図6は、
図4のVI-VI断面の断面図である。
図7は、
図6の拡大図である。
【0030】
線状発光部材2は、概略、実装基板21、回路基板22、電極23、複数の発光素子24、枠体25、封止材26を有する。
【0031】
実装基板21は、X軸方向(
図4参照)に延伸する線状の部材である。実装基板21は、X軸方向とX軸方向に直交するY軸方向(
図4参照)とに平行する上面及び下面を有する。実装基板21は、例えば、アルミニウム又はアルミナ等で形成される。実装基板21は、例えば、0.7mmの厚さに形成される。また、実装基板21の短手方向であるY軸方向の幅L1(
図6参照)は、10mm以下に形成され、例えば、5mmに形成される。なお、X軸方向は所定の方向の一例である。
【0032】
回路基板22は、実装基板21の上面に配置される。回路基板22は、X軸方向に延伸し且つX軸方向とY軸方向とに平行する平板状の形状を有する。回路基板22は、接着シート等の接着材によって実装基板21と接合する。回路基板22は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂又はポリエステル樹脂等の電気絶縁性の樹脂を用いて形成される。回路基板22は、例えば、0.1mmの厚さに形成される。回路基板22は、その中央部にX軸方向に延伸する一つ、または複数の開口部221を有し、開口部221から実装基板21の上面が露出する。一つ、または複数の開口部221は、X軸方向に沿って設けられる。
【0033】
電極23は、X軸方向に延伸する一対の金属部材であり、何れも回路基板22上に配置される。電極23は、金又は銅等の導電体が回路基板22上にパターニングされて形成される。電極23は、例えば、35μmの厚さに形成される。電極23は、接着剤又は接着シート等の接着部材によって回路基板22に接着されてもよい。接着部材は、例えば、25μmの厚さに形成される。また、電極23には、その上面にニッケルめっきが施されてもよい。ニッケルめっきは、例えば、10μmの厚さに形成される。電極23は、端部に設けられたコネクタ231を介して電源ケーブル18と電気的に接続され、その一方が陽極、他方が陰極として機能する。回路基板22及び電極23の上面には、コネクタ231が設けられる部分を除いてソルダレジスト222(
図4には不図示)が塗布される。
【0034】
電極23の一部は、枠体25の下部に設けられる。電極23は、枠体25の内周から延出する延出部232を有する。延出部232は、複数の開口部221のうちの隣接する開口部221の間において枠体25の内周から延出する。
【0035】
発光素子24は、所定の波長の光を発する素子であり、例えば、440~455nmの波長の光を発するInGan系化合物半導体からなる青色LEDである。発光素子24は、例えば、X軸方向及びY軸方向の幅がそれぞれ0.65mmであり、高さが0.2mmである。複数の発光素子24は、回路基板22の開口部221の内側において、開口部221から露出した実装基板21の上面にX軸方向に沿って配置され、銀ペーストやはんだ等のダイボンドにより実装基板21に固定される。複数の発光素子24のX軸方向の間隔は、例えば、1.4mmである。
【0036】
発光素子24は、電極23と電気的に接続される。
図4に示す例では、X軸方向に沿って配置された複数の発光素子24が、その上面に接続されたワイヤ241を介して8個ごとに直列に接続されている。かかる8個の発光素子のうちの両端の発光素子24のそれぞれは、電極23の延出部232に接合されたワイヤ241を介して、電極23と電気的に接続されている。
【0037】
発光素子24の上面の高さは、電極23の上面の高さと略一致する。例えば、回路基板22の厚さが0.1mm、接着部材の厚さが25μm、電極23の厚さが35μm、ニッケルめっきの厚さが10μmである場合、電極23の上面は、実装基板21の上面から0.17mmの高さに位置する。この場合、発光素子24の高さが0.2mmであるように形成されることにより、発光素子24の上面の高さが電極23の上面の高さと略一致する。これにより、電極23と発光素子24とを電気的に接続するワイヤ241の接合が容易となり安定する。なお、発光素子24の上面の高さが電極23の上面の高さと略一致するとは、発光素子24の上面の高さと電極23の上面の高さとの間の差が0.05mm以下であることをいう。
【0038】
枠体25は、複数の発光素子24を囲むように回路基板22上に設けられる環状の部材である。枠体25は、その内周が回路基板22の開口部221の外周と略一致するように設けられる。枠体25は、酸化チタン等の微粒子が分散されたシリコン樹脂又はエポキシ樹脂等の、発光素子24からの光を反射する白色の樹脂で形成される。枠体25は、例えば、その厚さが1mmであり、高さが0.3mmであるように形成される。
【0039】
枠体25の内周面は、発光素子24の方向に湾曲するように突出する。すなわち、
図7に示すように、枠体25の内周面は、発光素子24の方向に突出した突出部251と発光素子24との間の距離L2が、枠体25の内周面の下端部252と発光素子24との間の距離L3よりも小さくなるように形成される。例えば、距離L3が0.9mmである場合、距離L2が約0.8mmであるように形成される。
【0040】
枠体25は、発光素子の上面の中央部242からY軸方向に延伸する枠体25の接線の仰角D1(
図7参照)が5度以上30度以下となるように形成される。
【0041】
枠体25は、回路基板22に樹脂を塗布し、樹脂の表面張力により内周面が湾曲している状態で硬化させることにより形成される。枠体25は、金型等を用いてあらかじめ内周面が湾曲している形状に形成された樹脂を回路基板22に接着することにより配置されてもよい。枠体25は、外周面が湾曲した形状であってもよく、平面形状であってもよい。枠体25の外周面が実装基板21に対して垂直な平面形状のとき、枠体25の外周面の位置と実装基板21や回路基板22の外周面の位置とが一致してもよい。これにより、線状発光部材2のY軸方向の幅を最小とすることができる。
【0042】
封止材26は、複数の発光素子24を封止する部材である。封止材26は、実装基板21及び枠体25によって形成される空間に、発光素子24の上面に接続されたワイヤ241が露出しない高さまで充填される。封止材26は、発光素子24が発する光に対して透光性を有する樹脂に蛍光体が分散された材料で形成される。発光素子24が青色LEDである場合、封止材26は、例えば、エポキシ樹脂又はシリコン樹脂等の樹脂にYAG(Yttrium Aluminum Garnet)を分散させた材料で形成される。これにより、封止材26からは発光素子24が発した青色光とYAGが青色光を吸収することにより発した黄色光とが出射され、これらが混合されることにより白色光が得られる。
【0043】
図8は、封止材26の高さと光の強度比率との関係を示すグラフである。
図8の横軸は発光素子24の上面に対する封止材26の上面の高さHであり、縦軸は高さHが0.5mmである場合を100パーセントとする線状発光部材2の発光強度の比率である。なお、
図8は、突出部251と発光素子24との間の距離L2が0.325mmである場合のグラフである。
【0044】
図8によれば、封止材26の上面の高さHは、0.1mm以上0.2mm以下であることが好ましい。これにより、高さHが0.5mmである場合に対する線状発光部材2の発光強度の比率が106パーセント以上となる。また、封止材26の上面の高さHは、0.15mmであることがさらに好ましい。これにより、線状発光部材2の発光強度が最大となる。
【0045】
また、封止材26は、発光素子24の上面から封止材26の上面までの高さHの、Y軸方向における発光素子24の側面から枠体25の内周面までの距離L2に対する比率が0.4以上0.5以下となるような高さまで充填されてもよい。さらに好ましくは、封止材26は、高さHの距離L3に対する比率が0.45以上0.47以下となるような高さまで充填されてもよい。例えば、距離L2が0.8mmである場合、封止材26は、高さHが0.37mmとなるような高さまで充填される。これにより、距離L2の大きさにかかわらず、線状発光部材2の発光強度が大きくなる。
【0046】
以上説明したように、線状発光部材2において、枠体25の内周面は、発光素子24の方向に突出する突出部251を有することにより発光素子24の方向に湾曲する。これにより、線状発光部材2は、発光効率を向上させることを可能とする。
【0047】
すなわち、枠体25の内周面が発光素子24の方向に湾曲することにより、枠体25の突出部251から上端部253に至る湾曲面で反射される光は、導光板11の入射面11aの法線方向に近づくように反射される。その結果、光が入射面11aで反射される割合が小さくなり、線状発光部材2から導光板11への光の取出効率が向上される。
【0048】
また、枠体25の突出部251から下端部252に至る湾曲面で反射される光は、実装基板21の方向に反射される。その結果、光は実装基板21で反射されて入射面11aの方向に進行するため、線状発光部材2から導光板11への光の取出効率が向上される。仮に、枠体25の内周面が湾曲していない場合、発光素子24から低い仰角の方向に出射された光は、対向する枠体25の内周面の間で反射を繰り返して入射面11aに到達するため、多数回の反射により減衰する。枠体25の内周面が湾曲していることにより、低い仰角の方向に出射された光は、枠体25の突出部251から下端部252に至る湾曲面及び実装基板21で一回ずつ反射されて入射面11aに到達することが可能となる。したがって、発光素子24から低い仰角の方向に出射された光が反射によって減衰することが抑えられ、光の取出効率が向上される。
【0049】
また、枠体25の下端部252における厚さが突出部251における厚さよりも薄いため、回路基板22において枠体25を配置するための領域が小さくなる。これにより、線状発光部材2の幅を細くし、面状発光装置1の薄型化を図ることができる。
【0050】
また、線状発光部材2において、電極23は、枠体25の下部から延出する延出部232を有し、複数の発光素子24は、延出部232に接合されたワイヤ241を介して電極23と電気的に接合される。これにより、線状発光部材2は、外力により破損するおそれを低減させる。
【0051】
すなわち、発光素子24が枠体25の下部において電極23とワイヤ241で接合される場合、ワイヤ241が枠体25の下部を通過する。この場合、枠体25が導光板11と当接すること等により回路基板22の方向の外力を受けた場合に、枠体25の下部のワイヤ241が断線して線状発光部材2が破損する可能性があった。これに対し、線状発光部材2においてワイヤ241が延出部232に接合されることにより、ワイヤ241が枠体25の下部に位置することがなくなるため、外力により線状発光部材2が破損する可能性が低減する。
【0052】
ワイヤが枠体25の下部を通過しなくなることにより、枠体25の外周面が湾曲し、実装基板21や回路基板22よりY軸方向に大きい形状とすることができ、枠体25のみで線状発光部材2を保持しやすくなる。また、枠体25をあらかじめ金型等により形成してから回路基板22に配置することが可能となり、製造効率が向上する。
【0053】
また、線状発光部材2において、回路基板22は、複数の開口部221を有し、延出部232は、複数の開口部221の間において延出する。これにより、開口部221と延出部232がX軸方向に並ぶように配置することができ、線状発光部材2のY軸方向の幅を小さくすることができる。なお、回路基板22は一つの開口部221のみを有するものとしてもよい。
【0054】
また、面状発光装置1において、枠体25は、導光板11の入射面11aと当接する。これにより、発光素子24からの光が枠体25と入射面11aとの間隙から漏出することがなくなり、線状発光部材2から導光板11への光の取出効率が向上される。
【0055】
また、線状発光部材2において、枠体25は、発光素子24の上面の中央部242からY軸方向に延伸して枠体25に接する接線の仰角が5度以上30度以下となるように形成される。これにより、線状発光部材2は、発光効率をより向上させることを可能とする。
【0056】
以下では、発光素子24の上面の中央部242からY軸方向に延伸する枠体25の接線の仰角と発光効率との関係について説明する。
図9は、発光素子24の上面の中央部242からY軸方向に延伸する枠体25の接線の角度と光の強度比率との関係を示したグラフである。
図9は、枠体25の高さを変化させることにより接線の角度を変化させた場合の、線状発光部材2から出射される光の強度の変化をプロットしたグラフである。
図9において、接線の角度は、鉛直上方に対する角度として示されている。また、光の強度は、その最大値を100パーセントとした場合の相対値により示されている。
【0057】
図9に示すように、接線の角度が60度以上である場合に、光の強度が93パーセント以上となり、線状発光部材2から多くの光が取り出されていることがわかる。他方、接線の角度が85度以上である場合には、枠体25の上端部253の高さが発光素子24の上面の高さに近くなり、封止材26を発光素子24の上面に接続されたワイヤ241が露出しない高さまで充填することが困難となる。したがって、接線は、鉛直上方に対して60度以上85度以下の角度を有することが好ましい。すなわち、水平方向に対する角度である仰角に換算すると、接線の仰角は、5度以上30度以下であることが好ましい。
【0058】
なお、封止材26の上面は、その外周部が中央部よりも高い凹面形状に形成されてもよい。これにより、封止材26を出射する光の進行方向が鉛直上方に近くなり、発光効率が向上される。
【0059】
図10は、第2の実施形態に係る線状発光部材2aの断面図である。
図10は、
図6と同様の断面の断面図である。線状発光部材2aは、枠体の形状において線状発光部材2と相違する。
【0060】
線状発光部材2aが有する枠体25aの内周面は、枠体25と同様に、発光素子24の方向に凸となるように湾曲する。例えば、枠体25aは、その厚さが1mmであり、高さが0.9mmであるように形成される。
【0061】
発光素子24は、Y軸方向において仰角D2を有する出射方向に出射された光の強度が最大となるような指向特性を有する。仰角D2は、例えば、40度である。枠体25aは、枠体25aの上端部253から発光素子24の方向に突出した突出部251に至る湾曲面が、発光素子24の上面の中央部242から見て仰角D2を有する方向に位置するように形成される。これにより、線状発光部材2aは、発光効率をより向上させることを可能とする。
【0062】
すなわち、発光素子24から出射されて枠体25の上端部253から突出部251に至る湾曲面で反射された光は、導光板11の入射面11aの方向に進行し、一回の反射で入射面11aに入射される。かかる湾曲面が仰角D2を有する出射方向に位置することにより、線状発光部材2aは、強度が最大である光を一回の反射で入射面11aに入射させることができ、効率的に光を導光板11に入射させることを可能とする。
【0063】
図11は、第3の実施形態に係る線状発光部材2bの断面図である。
図11は、
図6と同様の断面の断面図である。線状発光部材2bは、枠体の形状において線状発光部材2と相違する。
【0064】
線状発光部材2bが有する枠体25bの内周面は、枠体25と同様に、発光素子24の方向に凸となるように湾曲する。枠体25bの上面254bは、実装基板21と平行する平面状に形成される。これにより、枠体25bが導光板11の入射面11aと当接したときに入射面11aと実装基板21とが平行になりやすく、線状発光部材2から導光板11への光の取出効率が向上される。
【0065】
なお、枠体25bの内周面と枠体25bの上面254bとの交点は、発光素子24の上面の中央部242からY軸方向に延伸して枠体25bに接する接線の接点であることが好ましい。また、枠体25bは、例えば、かかる接点が、線状発光部材2bから出射される光の強度比率が93%となるような位置(すなわち、接線の仰角が30度以下となるような位置)となるような形状を有することが好ましい。これにより、上面254bを設けても枠体25bの内周面の反射効率が下がらないので、線状発光部材2bの発光効率が下がらない。また、交点を設けることで、封止材26を充填するときに封止材26が上面254bにはい上がることが防止できる。さらに、交点を基準として封止材26の量を調整しやすくなるから、封止材26を下面凸や上面凸の形状にしやすくなる。
【0066】
図12は、第4の実施形態に係る線状発光部材2cの正面図であり、
図13は、線状発光部材2cの断面図である。
図13は、
図12のXIII-XIII断面の断面図である。
【0067】
線状発光部材2cが有する枠体25cは、複数の発光素子24を囲むように、回路基板22の開口部221cから露出した実装基板21上に設けられる。すなわち、線状発光部材2cは、複数の開口部221cのそれぞれの内側に枠体25cを有することにより、複数の枠体25cを有する。枠体25cのそれぞれは、相互に対向してX軸方向に延伸する一対の延伸部255cと、一対の延伸部255cのそれぞれに接合する端部256cとを有する。
【0068】
発光素子24は、その上面に接続されたワイヤ241cを介して8個ごとに直列に接続される。かかる8個の発光素子のうちの両端の発光素子24のそれぞれは、電極23cの延出部232cに接合されたワイヤ241cを介して、電極23cと電気的に接続されている。両端の発光素子24と延出部232cとに接合されたワイヤ241cは、枠体25cの端部256cの内部又は下部を通過する。
【0069】
枠体25cの端部256cは、実装基板21に樹脂を塗布することにより形成される。延伸部255cは、実装基板21に樹脂を塗布することにより形成されてもよく、あらかじめ金型等により成形された樹脂を配置してもよい。すなわち、延伸部255cの下部にワイヤ241cが設けられていないため、延伸部255cとして予め成形した樹脂を用いることが可能となる。
【0070】
また、延伸部255cは、端部256cよりも高くなるように形成されてもよい。これにより、ワイヤが下部を通過しない延伸部255cのみが導光板11の入射面11aに当接するようになり、ワイヤが断線するおそれが低減する。なお、端部256cを延伸部255cよりも高くなるように形成し、ワイヤ241cが延伸部255cの内部又は下部を通過するようにしてもよい。
【0071】
上述した説明では、線状発光部材2cの回路基板22は複数の開口部221cを有するものとしたが、一つの開口部221cを有するものとしてもよい。
【0072】
図14は、第5の実施形態に係る線状発光部材2dの断面図である。
図14は、
図13と同様の断面における断面図である。線状発光部材2dは、線状発光部材2cと、枠体の形状において相違する。
【0073】
線状発光部材2dが有する枠体25dは、突出部251の上側において、内周面から枠体25dの内側に向かって形成された水平面257dを有するとともに、水平面257dの端部から上方に延伸する垂直面258dを有する。これにより、枠体25dは、上部に直角の切欠きが設けられた断面形状を有する。水平面257dは、高さが封止材26の上面の高さと略同一となるように形成される。これにより、水平面257dの高さを基準として封止材26を充填することが可能となるため、封止材26を適切な量だけ充填することが容易になり、製造効率が向上する。
【0074】
図15は、第6の実施形態に係る線状発光部材2eの正面図であり、
図16は、線状発光部材2eの断面図である。
図16は、
図15のXVI-XVI断面における断面図である。線状発光部材2eは、線状発光部材2cと、枠体の形状において相違する。
【0075】
線状発光部材2eが有する枠体25eは、相互に対向してX軸方向に延伸する一対の延伸部255eと、一対の延伸部255eのそれぞれに接合する端部256eとを有する。線状発光部材2eが有する回路基板22eは、コネクタ231の周辺を除き、実装基板21のY軸方向の両端部が露出するような形状を有する。枠体25eの延伸部255eは、回路基板22eによって露出された実装基板21のY軸方向の両端部に設けられる。すなわち、枠体25eは、一対の延伸部255eの間に回路基板22e、電極23及び発光素子24が位置するように設けられる。
【0076】
線状発光部材2eが有する封止材26eは、回路基板22e、電極23及び発光素子24を封止する。これにより、線状発光部材2eは、線状発光部材2eのY軸方向の幅に対する封止材26eのY軸方向の幅の比率を大きくすることができ、発光面の面積を大きくとることを可能とする。
【0077】
図17は、第7の実施形態に係る線状発光部材2fの断面図である。
図17は、
図6と同様の断面における断面図である。なお、
図17は、
図6に対して縦方向の縮尺が変更されている。線状発光部材2fは、実装基板21、回路基板27f、複数の発光素子24、枠体25f、封止材26を有する。
【0078】
回路基板27fは、実装基板21の上面に配置されるフレキシブルプリント回路基板(FPC;Flexible Printed Circuits)である。回路基板27fは、基材22f、電極23f及び絶縁層222fを有する。
【0079】
回路基板27fは、上面の高さが発光素子24の上面の高さよりも低くなるように設けられる。例えば、回路基板27fの高さは、発光素子24の高さの3分の1~2分の1である。発光素子24の高さが0.2mmであるとすると、回路基板27fの高さは例えば85μmである。複数の発光素子24の高さが相互に異なる場合、回路基板27fは、高さが複数の発光素子24のうちの少なくとも一つの発光素子の高さよりも低くなるように設けられる。
【0080】
基材22fは、接着シート等の接着部材によって実装基板21と接合する平板状の部材である。基材22fは、発光素子24から出射される光を透過する光透過材により形成される。光透過材は、例えばポリイミド等の合成樹脂である。基材22fは、その中央部にX軸方向に延伸する開口部221が形成され、開口部221から実装基板21の上面が露出する。開口部221は、X軸方向に沿って設けられる。
【0081】
基材22fは、例えば、無色透明の光透過材により形成される。これにより、発光素子24から出射される440~495nmの波長帯の青色光が基材22fを透過しやすくなるため、青色光は実装基板21の表面の高反射層により反射されやすくなり、線状発光部材2fの発光効率が向上する。基材22fは、白色、黄色又は褐色等の有色透明の光透過材により形成されてもよい。
【0082】
基材22fの厚さは、例えば5μm、7μm、12.5μm、25μm、50μm又は75μm等である。基材22fの厚さは、75μmより大きくてもよい。基材22fの厚さが25μm以上である場合、絶縁耐電圧が10kVを超えるため、実装基板21と電極23fとの間の短絡が防止される。
【0083】
また、基材22fは、複数の光透過材を重ねることにより形成されてもよい。これにより、基材22fの厚さを容易に調整することができる。例えば、基材22fとして、厚さが12.5μmである光透過材を2枚重ねたものが用いられる場合も、絶縁耐電圧が10kVを超えるため、実装基板21と電極23fとの間の短絡が防止される。
【0084】
電極23fは、X軸方向に延伸する一対の金属部材であり、何れも基材22f上に配置される。電極23fは、金、銀又は銅等の導電体が回路基板22上にパターニングされて形成される。電極23fが銀により形成される場合、金や銅と比較して発光素子24から出射される440nm~495nmの波長の青色光が電極23fにより反射されやすくなるため、線状発光部材2fの発光効率が向上する。
【0085】
電極23fは、接着剤又は接着シート等の接着部材によって基材22fに接着される。電極23fは、端部に設けられたコネクタ231を介して電源ケーブル18と電気的に接続され、その一方が陽極、他方が陰極として機能する。
【0086】
絶縁層222fは、基材22f及び電極23fの上面の、コネクタ231が設けられる部分を除いた部分に形成される。絶縁層222fは、基材22fの絶縁耐電圧以下の絶縁耐電圧を有する合成樹脂により形成される。例えば、絶縁層222fは、ポリイミド樹脂等のフィルムカバーレイ、又は、エポキシ若しくはシリコン樹脂等のソルダレジストにより形成される。
【0087】
以上説明したように、線状発光部材2fにおいて、回路基板27fは、上面の高さが複数の発光素子24の上面の高さよりも低く形成される。これにより、線状発光部材2fの発光効率が向上する。すなわち、回路基板27fの上面の高さが発光素子24の上面の高さよりも低く形成されることにより、発光素子24の側面から出射された光のうち、回路基板27fの側面に向かう光の割合が小さくなり、枠体28に向かう光の割合が大きくなる。枠体28の反射率は回路基板27fの反射率よりも大きいため、より多くの光が枠体28に反射して線状発光部材2fの外部に出射される。これにより、線状発光部材2fの発光効率が向上する。また、回路基板27fがフレキシブルプリント回路基板であることにより、回路基板27fの上面の高さを発光素子24の上面の高さよりも低く形成することが容易となる。
【0088】
なお、線状発光部材2fにおいて、基材22fの開口部は、発光素子24の近傍のみに設けられてもよい。これにより、電極23fが発光素子24の近傍に配置可能となるため、電極23fと発光素子24とを結ぶワイヤの長さが短くなり、ワイヤが断線する可能性が低減する。
【0089】
図18は、第8の実施形態に係る線状発光部材2gの平面図であり、
図19は線状発光部材2gの断面図である。
図19は、
図18のXIX-XIX断面における断面図である。線状発光部材2gは、回路基板27fに代えて回路基板27gを有する点で線状発光部材2fと相違する。
【0090】
回路基板27gは、実装基板21の上面に配置されるフレキシブルプリント回路基板である。回路基板27gは、基材22g、電極23f、絶縁層222fを有する。
【0091】
基材22gは、接着材によって実装基板21と接合する平板状の部材である。基材22fは、発光素子24から出射される光を透過する光透過材により形成される。基材22fは、複数の光透過材を重ねることにより形成されてもよい。基材22gは、その中央部に開口部が形成されない点で基材22fと相違する。これにより、複数の発光素子24は、実装基板21の上面に直接実装されるのではなく、基材22gの上面に実装される。すなわち、複数の発光素子24は、回路基板27gを介して実装基板21に実装される。
【0092】
このように、線状発光部材2gにおいて、発光素子24は回路基板27gを介して実装基板21に実装される。これにより、発光素子24の側面から出射された光のうち、枠体28に向かう光の割合がより大きくなるため、線状発光部材2gは、発光効率をより向上させることを可能とする。また、線状発光部材2gは、発光素子24が実装基板21の上面に直接実装される場合よりも、発光素子24と実装基板21との間の絶縁耐電圧を向上させることを可能とする。
【0093】
また、線状発光部材2gにおいて、回路基板27gはフレキシブルプリント回路基板である。これにより、線状発光部材2gは、絶縁耐電圧をより向上させることを可能とする。例えば、FPCの耐電圧は10kV程度であり、リジッド回路基板として用いられるFR-4の耐電圧は1.32kVである。したがって、回路基板27gがフレキシブルプリント回路基板であることにより、回路基板27gがリジッド回路基板である場合よりも耐電圧が約10倍に向上する。
【0094】
図20は、第9の実施形態に係る線状発光部材2hの平面図である。線状発光部材2hは、回路基板27fに代えて回路基板27hを有する点で線状発光部材2fと相違する。
【0095】
回路基板27hは、実装基板の上面に配置されるフレキシブルプリント回路基板である。回路基板27gは、基材22h、電極23h、絶縁層222hを有する。
【0096】
基材22hは、接着材によって実装基板21と接合する平板状の部材である。基材22hは、発光素子24から出射される光を透過する光透過材により形成される。基材22fは、複数の光透過材を重ねることにより形成されてもよい。基材22fは、その中央部にX軸方向に延伸する一つ、または複数の開口部221が形成され、開口部221から実装基板21の上面が露出する。
【0097】
基材22hは、X軸方向における幅が実装基板21のX軸方向における幅よりも大きく形成される。これにより、基材22hは、X軸方向における少なくとも一方の端部が、実装基板21の上面の端部からさらにX軸方向に延出する。
図20において、基材22hの一方の端部E1は、実装基板21のX軸方向における一方の端部E2(
図20では点線にて図示)からさらにX軸方向(
図20では下方)に延出している。
【0098】
電極23hは、X軸方向に延伸する一対の金属部材であり、何れも基材22h上に配置される。電極23hは、導電体が基材22hの上面にパターニングされて形成される。電極23fは、接着部材によって基材22hに接着される。電極23hは、その一方が陽極、他方が陰極として機能する。電極23hは、X軸方向における少なくとも一方の端部が、実装基板21の上面の端部からさらにX軸方向に延出する。これにより、回路基板27hは、長手方向の少なくとも一方の端部が実装基板21の端部から延出し、実装基板21から離隔するように配置される。
【0099】
回路基板27hの、実装基板21から延出した端部は、面状発光装置1のケース17(
図2参照)に設けられた開口部から面状発光装置1の外部に導出される。回路基板27hはフレキシブルプリント回路基板であるため、導出された部分を配線として用いることにより、線状発光部材2hを外部電源に直接に接続可能となる。このように、フレキシブルプリント回路基板である回路基板27hの少なくとも一方の端部が実装基板21から延出することにより、線状発光部材2hは、電極23hを外部電源に接続するためのコネクタ及びケーブルを不要とし、面状発光装置1の製造コストを低減することを可能とする。
【0100】
絶縁層222hは、基材22h及び電極23hの上面のうち、実装基板21から延出した部分を除いた部分に形成される。
図20では、絶縁層222hは、基材22h及び電極23hのうち、端部E2を示す点線より上側の領域にのみ形成される。絶縁層222hは、基材22fの絶縁体電圧以下の絶縁体電圧を有する合成樹脂により形成される。このように、絶縁層222hが、回路基板27hの実装基板21から延出した部分にのみ設けられることにより、延出した部分が薄くなる。これにより、線状発光部材2hは、回路基板27hの実装基板21から延出した部分の取扱いを容易にすることを可能とする。特に、延出した部分が外部電源のコネクタに挿入される場合には、延出した部分が薄くなることによりコネクタへの挿入が容易になる。
【0101】
上述した説明では、絶縁層222hは、基材22h及び電極23hの上面のうち実装基板21から延出した部分を除いた部分に形成されるものとしたが、このような例に限られない。絶縁層222hは、電極23hの一部が露出し、電極23hが外部電源に接続可能である限り、基材22h及び電極23hの上面の任意の領域に形成されてもよい。
【0102】
図21は、第10の実施形態に係る線状発光部材2iの平面図である。線状発光部材2iは、回路基板27hに代えて回路基板27iを有する点で線状発光部材2hと相違する。回路基板27iは、実装基板の上面に配置されるFPCである。回路基板27iは、基材22h、電極23i、絶縁層222hを有する。
【0103】
電極23iは、X軸方向に延伸する一対の金属部材であり、何れも基材22h上に配置される。電極23iは、導電体が基材22hの上面にパターニングされて形成される。電極23iは、接着部材によって基材22hに接着される。電極23iは、その一方が陽極、他方が陰極として機能する。電極23iは、端部が実装基板21の端部E2から延出しない点で電極23hと相違する。
【0104】
線状発光部材2iを面状発光装置1に組込む作業者は、基材22hの実装基板21から延出した部分を把持することができる。したがって、線状発光部材2iは、基材22hの端部が実装基板21から延出することにより、線状発光部材2iを面状発光装置1に組込む作業の効率を向上させることを可能とする。
【0105】
また、線状発光部材2iが面状発光装置1に組込まれた後に基材22hの実装基板21から延出した部分を曲げることにより、延出した部分は、発光素子24から出射された光がケース17の開口部から漏出することを防ぐ遮光部材として機能する。これにより、線状発光部材2iは、発光素子24からの光の漏出を防ぎ、面状発光装置1の発光効率を向上させることを可能とする。
【0106】
図22は、第11の実施形態に係る面状発光装置1jの斜視図であり、
図23は、面状発光装置1jの分解斜視図である。面状発光装置1jは、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置用の光源又はシーリングライト等の照明装置用の光源として用いられる。
図22及び
図23に示す面状発光装置1jは、所定の方向に延伸した扁平な直方体の形状を有しているが、このような例に限られず、面状発光装置1jの形状は用途に合わせて適宜決定されてよい。
【0107】
面状発光装置1jは、線状発光部材2j、導光板11、反射シート12j、拡散シート13、集光シート14、反射型偏光板15、スペーサ16及びこれらを内部に収容するケース17を有する。ケース17は、ケース上部17aとケース下部17bとに分離可能である。ケース上部17aは、その中央に開口部を有し、開口部から反射型偏光板15が外部へ露出する。また、ケース下部17bは、その端部付近に、電源ケーブル18が挿通される開口部を有する。電源ケーブル18は、不図示の外部電源から線状発光部材2に電力を供給する。
【0108】
ケース上部17aの開口部は、面状発光装置1jの発光面として機能する。
図22及び
図23に示す例では発光面の形状は矩形状であるが、このような例に限られず、発光面の形状は任意の多角形又は楕円形等の形状でもよい。
【0109】
面状発光装置1jは、線状発光部材2及び反射シート12に代えて線状発光部材2j及び反射シート12jを有する点で面状発光装置1と相違する。以下では、反射シート12j及び線状発光部材2jについて説明する。
【0110】
反射シート12jは、導光板11の下方に設けられる薄膜状の部材である。反射シート12jは、光を反射する金属板、フィルム又は白色シート等である。光を反射するフィルムは、例えば、銀、アルミニウム等の蒸着膜が形成されたフィルムである。フィルムとしては、例えば、ナイロン、液晶ポリマー、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂が用いられる。反射シート12jの表面には、さらに増反射膜がコーティングされてもよい。反射シート12jは、その端部付近に、電源ケーブル18が挿通される開口部を有する。
【0111】
反射シート12jは、導光板11の入射面11a(
図2参照)と対向する対向面11dに沿うように端部が折り曲げられてケース17に収容される。これにより、反射シート12jは、導光板11の反射面11c(
図2参照)を被覆する主反射部12j-1と、入射面11aと対向する面を被覆する対向反射部12j-2とを有する。主反射部12j-1と対向反射部12j-2とは、別体として形成されてもよい。
【0112】
図24は、面状発光装置1jの断面図である。
図24は、
図21のXXIV-XXIV断面の断面図である。
【0113】
線状発光部材2jは、その長手方向がケース17の長手方向と一致するように、ケース17の長手方向に延伸する側面の内側に沿って配置される。すなわち、導光板11は、入射面11aを線状発光部材2に対向させてケース17内に配置される。線状発光部材2jは、接着シート、接着テープ又は接着剤等の接着部材によりケース17に接着される。線状発光部材2jは、ケース17にねじ又はピンにより固定されてもよい。
【0114】
線状発光部材2jから出射された光のうち、反射シート12jの主反射部12j-1に向かう光(
図24では、破線矢印L1にて図示)は、主反射部12j-1で反射されて出射面11bから出射する。線状発光部材2jから出射された光のうち、反射シート12jの対向反射部12j-2に向かう光(
図24では、実線矢印L2にて図示)は、対向反射部12j-2で反射されて線状発光部材2jに再び入射する。すなわち、反射シート12jの対向反射部12j-2は、導光板11の入射面11aと対向する対向面11dから導光板11の外へ出射された光を反射して導光板11側に戻す。
【0115】
図25は、線状発光部材2jの正面図であり、
図26は、線状発光部材2jの断面図である。
図26は、
図25のXXVI-XXVI断面の断面図である。線状発光部材2jは、概略、実装基板21、回路基板22、電極23、複数の発光素子24、枠体25j、封止材26を有する。線状発光部材2jは、枠体25に代えて枠体25jを有する点で線状発光部材2と相違する。なお、
図25では、枠体25jの下部に設けられた電極23が視認可能であるものとして図示されている。また、以降では、実装基板21のうち発光素子24が配置される領域を発光領域と称する。
図25に示す例では、実装基板21のうち、回路基板22の開口部から露出している領域が発光領域である。以下では、
図26を参照して枠体25jについて説明する。
【0116】
枠体25jは、複数の発光素子24を囲むように回路基板22上に設けられる環状の部材である。枠体25lは、その内周が回路基板22の開口部221の外周と略一致するように設けられる。枠体25は、酸化チタン等の微粒子が分散されたシリコン樹脂又はエポキシ樹脂等の、発光素子24からの光を反射する白色の樹脂で形成される。
【0117】
枠体25jは、内周面に、発光素子24が配置される内側、すなわち発光素子24側に向かって突出した凸部25j-1を有する。凸部25j-1は、回路基板22の開口部221の外縁よりも内側まで張り出す。すなわち、凸部25j-1において最も内側に突出した頂点25j-2は、回路基板22の開口部221の外縁よりも内側に位置する。これにより、頂点25j-2は、開口部221から露出した実装基板21の直上に位置し、回路基板22の開口部から露出した実装基板21に対向する。
【0118】
凸部25j-1は、枠体25jの内周面全体に亘って、枠体25jと一体的に設けられる。凸部25j-1は、枠体25jの内周面のうち、相互に対向し且つ線状発光部材2jの長手方向に延伸する部分(両側部分)にのみ設けられてもよい。凸部25j-1は、枠体25jの内周面の長手方向に延伸する部分のうち、発光素子24の側面に対向する部分にのみ設けられてもよい。
【0119】
図24を用いて説明したように、線状発光部材2jから出射された光の一部は、対向反射部12j-2で反射されて線状発光部材2jに再び入射する。線状発光部材2jに入射する光のうち、枠体25jの頂点25j-2よりも内側に入射した光(
図26では、矢印L3で図示)は、回路基板22の開口部221から露出した実装基板21において反射され、再び導光板11に向かって出射する。
【0120】
線状発光部材2jに入射する光のうち、頂点25j-2よりも外側に入射した光(
図26では、矢印L4で図示)は、封止材26内において、対向する枠体25jの凸部25j-1の間で複数回の反射を繰り返し、実装基板21に到達する。実装基板21に到達した光は、実装基板21において反射され、再び凸部25j-1の間で反射を繰り返し、導光板11に向かって出射する。すなわち、枠体25jが凸部25j-1を有することにより、線状発光部材2jに入射した光が、再び線状発光部材2jから出射するまでの封止材26内における平均光路長が長くなる。すなわち、凸部25j-1は、反射シート12jの対向反射部12j-2で反射された光の一部を封止材26内に導くために機能する。
【0121】
線状発光部材2jからは、発光素子24から出射された青色光と封止材26に含まれる蛍光体が励起されることにより放射された黄色光との混合光が出射される。青色光と黄色光の強度比率が適切であれば、混合光は白色光となる。
【0122】
混合光は、導光板11の入射面11aから入射して、導光板11の内部を進行しながら導光板11、拡散シート13、集光シート14又は反射型偏光板15において徐々に散乱され、その散乱光が面状発光装置1から出射される。しかしながら、一般に、青色光は黄色光よりも散乱されやすい。したがって、線状発光部材2jから出射された混合光の強度比率が適切であるとしても、青色光は導光板11に入射した直後に多く散乱するため、導光板11の線状発光部材2jに近い部分から出射される光は白色光よりも青みがかった光となる。また、線状発光部材2jから遠い部分から出射される光は白色光よりも黄色がかった光となる。
【0123】
線状発光部材2jにおいて、枠体25jが凸部25j-1を有することにより、対向反射部12j-2で反射して線状発光部材2jに入射した光の平均光路長が長くなり、封止材26に含まれる黄色蛍光体がより多く励起される。これにより、導光板11に黄色がかった光が入射されるため、導光板11の線状発光部材2jに近い部分から出射される光が青みがかった光となることが防止される。一方で、凸部25j-1の間で複数回の反射を繰り返した光は減衰するため、この光が導光板11の線状発光部材2jから遠い部分まで到達する割合は小さい。したがって、このような光が入射したとしても、線状発光部材2jから遠い部分から出射される光がさらに黄色がかった光となること可能性は小さい。結果として、線状発光部材2jは、面状発光装置1jから出射される光の色を均一にすることを可能とする。
【0124】
上述した説明では、凸部25j-1は開口部221の外縁の内側まで突出するものとしたが、このような例に限られない。凸部25j-1の頂点25j-2は、上方から見たときに、回路基板22の開口部221の外側に位置してもよい。この場合でも、線状発光部材2jに入射した光は凸部25j-1の間で反射することが可能となるため、面状発光装置1jから出射される光の色が均一にされる。
【0125】
当業者は、本発明の精神及び範囲から外れることなく、様々な変更、置換及び修正をこれに加えることが可能であることを理解されたい。上述した実施形態及び変形例は、本発明の範囲において、適宜に組み合わせて実施されてもよい。
【符号の説明】
【0126】
1 面状発光装置
11 導光板
17 ケース
2 線状発光部材
21 実装基板
22 回路基板
23 電極
24 発光素子
25 枠体