(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】ポリイミドフィルム、その製造方法、およびこれを含む軟性金属箔積層板
(51)【国際特許分類】
C08G 73/10 20060101AFI20231030BHJP
B32B 15/08 20060101ALN20231030BHJP
【FI】
C08G73/10
B32B15/08 Q
(21)【出願番号】P 2022517261
(86)(22)【出願日】2019-10-25
(86)【国際出願番号】 KR2019014208
(87)【国際公開番号】W WO2021054515
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-23
(31)【優先権主張番号】10-2019-0115014
(32)【優先日】2019-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514225065
【氏名又は名称】ピーアイ アドヴァンスド マテリアルズ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】PI Advanced Materials CO., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キム・ドン ユン
(72)【発明者】
【氏名】ウォン・ドン ユン
(72)【発明者】
【氏名】チョイ・ジョン ユル
【審査官】佐藤 貴浩
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-166287(JP,A)
【文献】特表2012-522863(JP,A)
【文献】特開2010-163595(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0012753(KR,A)
【文献】特開2008-049486(JP,A)
【文献】特開2000-297163(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G73/00-73/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が9ppm/%RH以下であるポリイミドフィルム
であって、
前記ポリイミドフィルムは、第1二無水物、第2二無水物、第1ジアミンおよび第2ジアミンの反応から形成されたポリアミック酸のイミド化から誘導され、
前記第1二無水物と前記第2二無水物は、互いに異なり、
前記第1ジアミンと前記第2ジアミンは、互いに異なり、
前記第1二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、またはこれらの組み合わせから選択され、
前記第2二無水物は、ピロメリット酸二無水物であり、
前記第1ジアミンは、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、またはこれらの組み合わせから選択され、
前記第2ジアミンは、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、またはこれらの組み合わせから選択され、
前記第1二無水物および前記第2二無水物の総モル数を基準として、前記第1二無水物が40~70モル%含まれ、前記第2二無水物が30~60モル%含まれ、
前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが70~98モル%含まれ、前記第2ジアミンが2~30モル%含まれ、
前記ポリアミック酸は、第1二無水物および第1ジアミンの先反応物に第2二無水物および第2ジアミンが順次に反応して、先反応物のうち少なくとも一部の末端を延長させて形成されたものであり、
前記ポリアミック酸溶液の形成において、前記第1二無水物および前記第1ジアミンが、250/481~7/9の、前記第1ジアミンのモル%に対する第1二無水物のモル%の比率(第1二無水物のモル%/第1ジアミンのモル%)で混合され、反応させられ、
前記ポリイミドフィルムのうち前記第1二無水物と前記第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が40~70%である、
ポリイミドフィルム。
【請求項2】
前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが
80~98モル%含まれ、前記第2ジアミンが
2~20モル%含まれ、
前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数
が8ppm/%RH以下である、請求項
1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項3】
前記ポリイミドフィルムは、25℃、3~90%相対湿度区間での吸湿膨張係数
が9ppm/%RH以下である、請求項1に記載のポリイミドフィルム。
【請求項4】
溶媒中に第1二無水物および第1ジアミンを混合し、反応させた後、第2二無水物および第2ジアミンを添加し、反応させて、ポリアミック酸溶液を形成するステップと、
前記ポリアミック酸をイミド化するステップと、を含むポリイミドフィルムの製造方法であり、
前記第1二無水物と前記
第2二無水物は、互いに異なり、
前記第1ジアミンと前記第2ジアミンは、互いに異なり、
前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が9ppm/%RH以下であ
り、
前記第1二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、またはこれらの組み合わせから選択され、
前記第2二無水物は、ピロメリット酸二無水物であり、
前記第1ジアミンは、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、またはこれらの組み合わせから選択され、
前記第2ジアミンは、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、またはこれらの組み合わせから選択され、
前記第1二無水物および前記第2二無水物の総モル数を基準として、前記第1二無水物が40~70モル%含まれ、前記第2二無水物が30~60モル%含まれ、
前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが70~98モル%含まれ、前記第2ジアミンが2~30モル%含まれ、
前記ポリアミック酸溶液の形成において、前記第1二無水物および前記第1ジアミンが、250/481~7/9の、前記第1ジアミンのモル%に対する第1二無水物のモル%の比率(第1二無水物のモル%/第1ジアミンのモル%)で混合され、反応させられ、
前記ポリイミドフィルムのうち前記第1二無水物と前記第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が40~70%である、
ポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項5】
前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが
80~98モル%含まれ、前記第2ジアミンが
2~20モル%含まれ、
前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数
が8ppm/%RH以下である、請求項
4に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項6】
前記ポリイミドフィルムは、25℃、3~90%相対湿度区間での吸湿膨張係数
が9ppm/%RH以下である、請求項
4に記載のポリイミドフィルムの製造方法。
【請求項7】
請求項1~
3のいずれか1項に記載のポリイミドフィルム;および
前記ポリイミドフィルム上に形成された金属箔を含む
軟性金属箔積層板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ポリイミドフィルム、その製造方法、およびこれを含む軟性金属箔積層板に関し、より詳しくは、吸湿膨張係数が小さいポリイミドフィルム、その製造方法、およびこれを含む軟性金属箔積層板に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリイミドフィルムは、機械的、熱的寸法安定性に優れ、化学的安定性を有し、電気、電子材料、宇宙、航空および電気通信分野で幅広く用いられている。ポリイミドフィルムは、部品の軽薄短小化によって微細なパターンを有する軟性回路基板(flexible printed circuit board:FPCB(フレキシブルプリント基板))材料、例えば、テープ自動ボンディング(tape automated bonding:TAB)やチップオンフィルム(chip on film:COF)などのベースフィルムとして多く用いられている。軟性回路基板は、ベースフィルム上に金属箔を含む回路が形成されている構造が一般的であり、このような軟性回路基板を広い意味として軟性金属箔積層板(flexible metal foil clad laminate)と称する。このようなポリイミドは、他の高分子素材とは異なり、やや高い吸湿膨張係数を有するが、吸湿膨張係数が大きい場合、FPCB工程中に水分を吸収して寸法変化が発生することがあり、これによって回路間の短絡が起こったり、パターン間の距離が変化する問題が発生することがある。したがって、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数を低下させる必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、吸湿膨張係数が低くて寸法安定性に優れたポリイミドフィルムを提供することである。
本発明の他の目的は、上述したポリイミドフィルムの製造方法を提供することである。
本発明のさらに他の目的は、上述したポリイミドフィルムを含む軟性金属箔積層板を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1.一側面によれば、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下であるポリイミドフィルムが提供される。
2.前記1において、前記ポリイミドフィルムは、第1二無水物、第2二無水物、第1ジアミンおよび第2ジアミンの反応から形成されたポリアミック酸のイミド化から誘導され、
前記第1二無水物と前記第2無水物は、互いに異なり、
前記第1ジアミンと前記第2ジアミンは、互いに異なり、
前記第1二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、またはこれらの組み合わせを含み、
前記第1ジアミンは、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、またはこれらの組み合わせを含み、
前記ポリイミドフィルムのうち前記第1二無水物と前記第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が約40~約70%であってもよい。
3.前記2において、前記ポリアミック酸は、第1二無水物および第1ジアミンの先反応物に第2無水物および第2ジアミンが順次に反応して、先反応物のうち少なくとも一部の末端を延長させて形成されたものであってもよい。
4.前記2または3において、前記第2二無水物は、ピロメリット酸二無水物を含むことができる。
5.前記2~4のいずれか1つにおいて、前記第2ジアミンは、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
6.前記2~5のいずれか1つにおいて、前記第1二無水物および前記第2二無水物の総モル数を基準として、前記第1二無水物が約40~約70モル%含まれ、前記第2二無水物が約30~約60モル%含まれる。
7.前記2~6のいずれか1つにおいて、前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが約70~約98モル%含まれ、前記第2ジアミンが約2~約30モル%含まれる。
8.前記2~7のいずれか1つにおいて、前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが約80~約98モル%含まれ、前記第2ジアミンが2~20モル%含まれ、
前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約8ppm/%RH以下であってもよい。
9.前記1~8のいずれか1つにおいて、前記ポリイミドフィルムは、25℃、3~90%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下であってもよい。
10.他の側面によれば、溶媒中に第1二無水物および第1ジアミンを混合し、反応させた後、第2二無水物および第2ジアミンを添加し、反応させて、ポリアミック酸溶液を形成するステップと、
前記ポリアミック酸をイミド化するステップと、を含むポリイミドフィルムの製造方法であり、
前記第1二無水物と前記第2無水物は、互いに異なり、
前記第1ジアミンと前記第2ジアミンは、互いに異なり、
前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下であるポリイミドフィルムの製造方法が提供される。
11.前記10において、前記第1二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、またはこれらの組み合わせを含み、
前記第1ジアミンは、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、またはこれらの組み合わせを含み、
前記ポリイミドフィルムのうち前記第1二無水物と前記第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が約40~約70%であってもよい。
12.前記10または11において、前記第2二無水物は、ピロメリット酸二無水物を含むことができる。
13.前記10~12のいずれか1つにおいて、前記第2ジアミンは、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。
14.前記10~13のいずれか1つにおいて、前記第1二無水物および前記第2二無水物の総モル数を基準として、前記第1二無水物が約40~約70モル%含まれ、前記第2二無水物が約30~約60モル%含まれる。
15.前記10~14のいずれか1つにおいて、前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが約70~約98モル%含まれ、前記第2ジアミンが約2~約30モル%含まれる。
16.前記10~15のいずれか1つにおいて、前記第1ジアミンおよび前記第2ジアミンの総モル数を基準として、前記第1ジアミンが約80~約98モル%含まれ、前記第2ジアミンが約2~約20モル%含まれ、
前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約8ppm/%RH以下であってもよい。
17.前記10~16のいずれか1つにおいて、前記ポリイミドフィルムは、25℃、3~90%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下であってもよい。
18.さらに他の側面によれば、前記1~9のいずれか1つに記載のポリイミドフィルム、または前記10~17のいずれか1つに記載の製造方法で製造されたポリイミドフィルム;および
前記ポリイミドフィルム上に形成された金属箔を含む軟性金属箔積層板が提供される。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、吸湿膨張係数が小さくて寸法安定性に優れたポリイミドフィルム、その製造方法およびこれを含む軟性金属箔積層板を提供する効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明を説明するにあたり、かかる公知の技術に関する具体的な説明が本発明の要旨を不必要にあいまいにしうると判断された場合、その詳細な説明は省略する。
本明細書上で言及した「含む」、「有する」、「なる」などが使われる場合、「のみ」が使われない以上、他の部分が追加できる。構成要素を単数で表現した場合に、特に明示的な記載事項がない限り、複数の場合を含む。
また、構成要素を解釈するにあたり、別の明示的記載がなくても誤差範囲を含むと解釈する。
本明細書で使われる第1、第2などの用語は、多様な構成要素を説明するのに使われるが、構成要素は用語によって限定されてはならない。用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ使われる。
本明細書中、「第1結合比率」とは、第1二無水物、第2二無水物、第1ジアミンおよび第2ジアミンの反応から形成されたポリアミック酸のイミド化から製造されたポリイミドフィルムのうち前記第1二無水物と前記第1ジアミンとが結合した比率を意味することができ、「第2結合比率」とは、前記第2二無水物と前記第1ジアミンとが結合した比率を意味することができ、第2結合比率は、第1結合比率によって決定可能である。例えば、第1二無水物と第2二無水物との合計モル数と第1ジアミンおよび第2ジアミンの合計モル数が等モルであり、第1二無水物と第2二無水物との合計モル数を基準として、第1二無水物のモル比率をAモル%とし、第1ジアミンと第2ジアミンとの合計モル数を基準として、第1ジアミンのモル比率をBモル%とした時、Aモル%がBモル%より小さければ、第1結合比率をA%とし、第2結合比率をB-A%とし、Aモル%がBモル%より大きければ、第1結合比率をB%とし、第2結合比率を0%として、第1結合比率、第2結合比率を計算することができる。
本明細書において、数値範囲を示す「a~b」における「~」は、≧aであり、≦bであると定義する。
【0007】
ポリイミドフィルム
一側面によれば、ポリイミドフィルムが提供される。前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下(例えば、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、または約9ppm/%RH)であってもよい。前記範囲で、寸法安定性に優れることができる。一実施形態において、25℃、20~80%相対湿度区間でのポリイミドフィルムの吸湿膨張係数の下限は、例えば、0超過、約1、約2、約3、約4、約5、約6、または約6.2ppm/%RHであってもよく、上限は、例えば、約9、約8.5、約8、約7.5、約7、約6.9、約6.8、約6.7、約6.5、約6.4、約6.3、または約6.2ppm/%RHであってもよいし、前記下限と上限は、互いに組み合わされてもよい。例えば、25℃、20~80%相対湿度区間でのポリイミドフィルムの吸湿膨張係数は、0超過~約9ppm/%RH、他の例として約4~約9ppm/%RH、さらに他の例として約4~約8ppm/%RHなどであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0008】
一実施形態によれば、ポリイミドフィルムは、第1二無水物、第2二無水物、第1ジアミンおよび第2ジアミンの反応から形成されたポリアミック酸のイミド化から誘導される。例えば、ポリイミドフィルムは、第1二無水物および第1ジアミンの先反応物に第2二無水物および第2ジアミンが順次に反応して、先反応物のうち少なくとも一部の末端を延長させて形成されたポリアミック酸のイミド化から誘導されるが、これに限定されるものではない。この時、第1二無水物と第2無水物は、互いに異なり、第1ジアミンと第2ジアミンは、互いに異なっていてもよい。
例えば、第1二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態によれば、第1二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であってもよいが、これに限定されるものではない。
第2無水物は、第1無水物と異なっていれば、その種類が特に限定されない。例えば、第2無水物は、ピロメリット酸二無水物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
例えば、第1ジアミンは、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態によれば、第1ジアミンは、p-フェニレンジアミンであってもよいが、これに限定されるものではない。
第2ジアミンは、第1ジアミンと異なっていれば、その種類が特に限定されない。例えば、第2ジアミンは、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態によれば、第2ジアミンは、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0009】
一実施形態によれば、ポリイミドフィルムのうち第1二無水物と第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が約40~約70%(例えば、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、または約70%)であってもよい。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数が小さくなって寸法安定性に優れることができる。第1結合比率は、例として約45~約70%、他の例として約50~約70%、さらに他の例として約40~約60%、さらに他の例として約45~約55%であってもよい。一実施形態によれば、第1結合比率は、約50~約70%であってもよい。他の実施形態によれば、第1結合比率は、約45~約55%であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0010】
一実施形態によれば、ポリイミドフィルムのうち第1二無水物と第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が約40~約70%(例えば、約50~約70%)であり、第2二無水物と第1ジアミンとが結合した比率である第2結合比率が約20~約50%(例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50%)であってもよい。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数が小さくなって寸法安定性に優れるだけでなく、所定の物性、例えば、所定の熱膨張係数(CTE)(例えば、約2~約5μm/(m・℃)を有することができて、これを用いて軟性金属箔積層板を製造する場合、ポリイミドフィルムと金属箔との間の接着力に優れることができる。
【0011】
一実施形態によれば、第1二無水物および第2二無水物の総モル数を基準として、第1二無水物が約40~約70モル%(例えば、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、または約70モル%)含まれ、前記第2二無水物が約30~約60モル%(例えば、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、または約60モル%)含まれる。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数を低下させることができる。例えば、第1二無水物および第2二無水物の総モル数を基準として、第1二無水物が、例として約45~約70モル%、他の例として約50~約70モル%、さらに他の例として約40~約60モル%、さらに他の例として約45~約55モル%含まれ、第2二無水物が、例として約30~約55モル%、他の例として約30~約50モル%、さらに他の例として約40~約60モル%、さらに他の例として約45~約55モル%含まれるが、これに限定されるものではない。
【0012】
一実施形態によれば、第1ジアミンおよび第2ジアミンの総モル数を基準として、第1ジアミンが約70~約98モル%(例えば、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、または約98モル%)含まれ、前記第2ジアミンが約2~約30モル%(例えば、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30モル%)含まれる。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数を低下させることができる。例えば、第1ジアミンおよび第2ジアミンの総モル数を基準として、第1ジアミンが、例として約70~約92モル%、他の例として約70~約90モル%、さらに他の例として約70~約88モル%、さらに他の例として約80~約98モル%、さらに他の例として約80~約92モル%、さらに他の例として約80~約90モル%、さらに他の例として約80~約88モル%含まれ、第2ジアミンが、例として約8~約30モル%、他の例として約10~約30モル%、さらに他の例として約12~約30モル%、さらに他の例として約2~約20モル%、さらに他の例として約8~約20モル%、さらに他の例として約10~約20モル%、さらに他の例として約12~約20モル%含まれるが、これに限定されるものではない。
【0013】
一実施形態によれば、前記ポリイミドフィルムは、25℃、3~90%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下(例えば、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、または約9ppm/%RH)であってもよい。前記範囲で、寸法安定性に優れることができる。25℃、3~90%相対湿度区間でのポリイミドフィルムの吸湿膨張係数の下限は、例えば、0超過、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、または約ppm/%RHであってもよく、上限は、例えば、約9、約8.9、約8.8、約8.7、約8.6、約8.5、約8.4、約8.3、または約8.2ppm/%RHであってもよいし、前記下限と上限は、互いに組み合わされてもよいが、これに限定されるものではない。
【0014】
ポリイミドフィルムの厚さは、ポリイミドフィルムの用途、使用環境、物性などを考慮して適宜選択可能である。例えば、ポリイミドフィルムの厚さは、約10~約500μm(例えば、約10、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、または約500μm)、他の例として約25~約50μm、さらに他の例として約35~約50μm、さらに他の例として約25~約35μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0015】
ポリイミドフィルムの熱膨張係数は、ポリイミドフィルムの用途、使用環境、物性などを考慮して適宜選択可能である。例えば、ポリイミドフィルムが軟性金属箔積層板に用いられる場合、ポリイミドフィルムの熱膨張係数は、金属箔の熱膨張係数より低い。例えば、金属箔が約16~約17μm/m・℃(例えば、約16、約16.1、約16.2、約16.3、約16.4、約16.5、約16.6、約16.7、約16.8、約16.9、または約17μm/m・℃)の熱膨張係数を有し、ポリイミドフィルムは、約2~約7μm/m・℃(例えば、約2、約3、約4、約5、約6、または約7μm/m・℃、他の例として約2~約5μm/m・℃)の熱膨張係数を有することができるが、これに限定されるものではない。ここで、ポリイミドフィルムの熱膨張係数は、TA社のTMA(thermal mechanical apparatus)Q400を用いて、0.01~0.05Nの荷重および窒素雰囲気下、室温(25℃)から420℃まで10℃/分の速度で加熱して求められるが、これに限定されるものではない。
【0016】
ポリイミドフィルムのガラス転移温度は、ポリイミドフィルムの用途、使用環境、物性などを考慮して適宜選択可能である。例えば、ポリイミドフィルムが軟性金属箔積層板に用いられる場合、ポリイミドフィルムは、約370℃以上(例えば、約370、約380、約390、約400、約410、または約420℃、他の例として約370~約420℃、さらに他の例として約380℃以上、さらに他の例として約380~約420℃)のガラス転移温度を有することができる。ここで、ポリイミドフィルムのガラス転移温度は、TA社のDMA(dynamic mechanical analysis)Q800を用いて、窒素雰囲気下、室温(25℃)から550℃まで5℃/分の速度で加熱して求められるが、これに限定されるものではない。
【0017】
ポリイミドフィルムの製造方法
他の側面によれば、ポリイミドフィルムの製造方法が提供される。前記方法は、溶媒中に第1二無水物および第1ジアミンを混合し、反応させた後、第2二無水物および第2ジアミンを添加し、反応させて、ポリアミック酸溶液を形成するステップと、前記ポリアミック酸をイミド化するステップとを含むことができ、この時、前記第1二無水物と前記第2無水物は、互いに異なり、前記第1ジアミンと前記第2ジアミンは、互いに異なり、前記ポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下(例えば、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、または約9ppm/%RH)であってもよい。前記方法で製造されたポリイミドフィルムは、優れた寸法安定性を有することができる。
【0018】
まず、溶媒中に第1二無水物および第1ジアミンを混合し、反応させた後、第2二無水物および第2ジアミンを添加し、反応させて、ポリアミック酸溶液を形成することができる。この時、溶媒中に第1二無水物および第1ジアミンを混合し、反応させた後、第2二無水物を添加し、反応させた後、第2ジアミンを添加し、反応させて、ポリアミック酸溶液を形成することができる。あるいは、溶媒中に第1二無水物および第1ジアミンを混合し、反応させた後、第2二無水物および第2ジアミンを共に添加し、反応させて、ポリアミック酸溶液を形成することもでき、この場合、反応性の差によって第1二無水物および第1ジアミンの先反応物と第2二無水物が先に反応し、以後、第2ジアミンが反応することができる。
第1二無水物は、例えば、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態によれば、第1二無水物は、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物であってもよいが、これに限定されるものではない。
第2無水物は、第1無水物と異なっていれば、その種類が特に限定されない。例えば、第2無水物は、ピロメリット酸二無水物を含むことができるが、これに限定されるものではない。
第1ジアミンは、例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミン、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態によれば、第1ジアミンは、p-フェニレンジアミンであってもよいが、これに限定されるものではない。
第2ジアミンは、第1ジアミンと異なっていれば、その種類が特に限定されない。例えば、第2ジアミンは、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、またはこれらの組み合わせを含むことができる。一実施形態によれば、第2ジアミンは、4,4’-ジアミノジフェニルエーテルであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0019】
一実施形態によれば、第1二無水物および第2二無水物の総モル数を基準として、第1二無水物が約40~約70モル%(例えば、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、または約70%)含まれ、前記第2二無水物が約30~約60モル%(例えば、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、または約60モル%)含まれる。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数を低下させることができる。例えば、第1二無水物および第2二無水物の総モル数を基準として、第1二無水物が、例として約45~約70モル%、他の例として約50~約70モル%、さらに他の例として約40~約60モル%、さらに他の例として約45~約55モル%含まれ、第2二無水物が、例として約30~約55モル%、他の例として約30~約50モル%、さらに他の例として約40~約60モル%、さらに他の例として約45~約55モル%含まれるが、これに限定されるものではない。
一実施形態によれば、第1ジアミンおよび第2ジアミンの総モル数を基準として、第1ジアミンが約70~約98モル%(例えば、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、または約98モル%)含まれ、前記第2ジアミンが約2~約30モル%(例えば、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30モル%)含まれる。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数を低下させることができる。例えば、第1ジアミンおよび第2ジアミンの総モル数を基準として、第1ジアミンが、例として約70~約92モル%、他の例として約70~約90モル%、さらに他の例として約70~約88モル%、さらに他の例として約80~約98モル%、さらに他の例として約80~約92モル%、さらに他の例として約80~約90モル%、さらに他の例として約80~約88モル%含まれ、第2ジアミンが、例として約8~約30モル%、他の例として約10~約30モル%、さらに他の例として約12~約30モル%、さらに他の例として約2~約20モル%、さらに他の例として約8~約20モル%、さらに他の例として約10~約20モル%、さらに他の例として約12~約20モル%含まれるが、これに限定されるものではない。
溶媒は、ポリアミック酸を溶解させることができる溶媒であれば、その種類が特に限定されない。例えば、溶媒は、有機溶媒のうち非プロトン性極性溶媒であってもよく、このような例としては、N,N’-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N’-ジメチルアセトアミド(DMAc)などのアミド系溶媒、p-クロロフェノール、o-クロロフェノールなどのフェノール系溶媒、N-メチル-ピロリドン(NMP)、γ-ブチロラクトン(GBL)、およびジグリム(Diglyme)などが挙げられ、これらは、単独でまたは2種以上組み合わせて使用可能である。必要な場合、トルエン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、水などの補助的溶媒を用いて、ポリアミック酸の溶解度を調節してもよい。
【0020】
一実施形態によれば、ポリアミック酸溶液は、約10~約20重量%(例えば、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、または約20重量%)のポリアミック酸の固形分および約80~約90重量%(例えば、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、または約90重量%)の溶媒を含むことができる。例えば、ポリアミック酸溶液は、約13~約17重量%(例えば、約15重量%)のポリアミック酸の固形分および約83~約87重量%(例えば、約85重量%)の溶媒を含むことができるが、これに限定されるものではない。
【0021】
一実施形態によれば、ポリアミック酸溶液は、約90,000~約300,000cP(例えば、約90,000、約100,000、約110,000、約120,000、約130,000、約140,000、約150,000、約160,000、約170,000、約180,000、約190,000、約200,000、約210,000、約220,000、約230,000、約240,000、約250,000、約260,000、約270,000、約280,000、約290,000、または約300,000cP)の粘度を有することができる。前記範囲で、ポリイミドフィルムの製造時、工程性に優れることができる。ここで、ポリアミック酸の粘度は、Brookfield粘度計(RVDV-II+P)を用いて、25℃で7回scandalを通して50rpmで2回測定した平均値で求められるが、これに限定されるものではない。一実施形態によれば、ポリアミック酸溶液の粘度は、約100,000~約250,000cPであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0022】
一実施形態によれば、ポリアミック酸は、約150,000~約1,000,000(例えば、約150,000、約200,000、約250,000、約300,000、約350,000、約400,000、約450,000、約500,000、約550,000、約600,000、約650,000、約700,000、約750,000、約800,000、約850,000、約900,000、約950,000、または約1,000,000)の重量平均分子量を有することができる。前記範囲で、ポリイミドフィルムの耐熱性および機械的物性を向上させることができる。ここで、重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量を意味することができる。例えば、ポリアミック酸の重量平均分子量は、約260,000~約700,000、他の例として約280,000~約500,000であってもよいが、これに限定されるものではない。
【0023】
一実施形態によれば、反応は、約0~約80℃の温度で約10分~約30時間行われ、重合前に少量の末端封止剤を添加して重合反応を制御してもよいが、これに限定されるものではない。
一実施形態によれば、ポリイミドフィルムの摺動性、熱伝導性、導電性、コロナ耐性、ループ硬さなどのフィルムの多様な特性を改善する目的でポリアミック酸の製造時に添加剤を追加することができる。このような添加剤の例としては、充填剤が挙げられ、このような充填剤としては、シリカ、酸化チタン、アルミナ、窒化ケイ素、窒化ホウ素、リン酸水素カルシウム、リン酸カルシウム、雲母などが挙げられるが、これに限定されるものではない。添加剤の含有量は、本発明の目的を阻害しない範囲内で適宜選択可能である。
【0024】
次に、溶液内のポリアミック酸をイミド化することができる。
ポリアミック酸をイミド化するために、ポリアミック酸に脱水剤およびイミド化剤を添加することができる。脱水剤は、ポリアミック酸に対する脱水作用により閉環反応を促進できるものであれば特に限定されず、脱水剤の例としては、酢酸無水物などが挙げられる。イミド化剤は、ポリアミック酸に対する閉環反応を促進できるものであれば特に限定されず、イミド化剤の例としては、3級アミン、例えば、キノリン、イソキノリン、β-ピコリン、ピリジンなどが挙げられる。脱水剤およびイミド化剤の含有量は特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミック酸中のアミック酸基1モルに対して、脱水剤は約2.5~約5.0モル比(例えば、約2.5、約2.6、約2.7、約2.8、約2.9、約3、約3.1、約3.2、約3.3、約3.4、約3.5、約3.6、約3.7、約3.8、約3.9、約4.0、約4.1、約4.2、約4.3、約4.4、約4.5、約4.6、約4.7、約4.8、約4.9、または約5.0モル比)で添加され、イミド化剤は約0.7~約1.2モル比(例えば、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、または約1.2モル比)で添加される。
【0025】
一実施形態によれば、ポリアミック酸をイミド化するステップは、ポリアミック酸に脱水剤およびイミド化剤を混合してポリイミドフィルム用組成物を製造するステップと、前記組成物を製膜するステップとを含むことができる。製膜は、ポリアミック酸を基材(例えば、ガラス板、アルミニウム箔、エンドレス(endless)ステンレスベルト、またはステンレスドラムなど)上にフィルム形状に塗布し、約30~約200℃(例えば、約50~約150℃)の温度で約15秒~約30分間第1熱処理してゲルフィルムを製造した後、基材を除去したゲルフィルムを約50~約650℃(例えば、約20~約600℃)の温度で約15秒~約30分間第2熱処理して行われるが、これに限定されるものではない。第1熱処理によってアミック酸基がイミド基に速やかに変換されてもよいし、第2熱処理によってアミック酸基がイミド基に速やかに変換され、ゲルフィルムに残存する溶媒、脱水剤、イミド化剤などが除去できる。第1熱処理および第2熱処理の間に、選択的にゲルフィルムを延伸してポリイミドフィルムの厚さを制御し、配向性を向上させることができるが、これに限定されるものではない。場合によっては、第2熱処理されたポリイミドフィルムを約400~約650℃の温度で約5~約400秒間第3熱処理する加熱仕上げによりポリイミドフィルムをさらに硬化させてもよいし、第3熱処理は、ポリイミドフィルムに残留しうる内部応力を緩和させるために所定の張力下で行ってもよい。
【0026】
上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下(例えば、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、または約9ppm/%RH)であってもよい。前記範囲で、寸法安定性に優れることができる。一実施形態において、25℃、20~80%相対湿度区間でのポリイミドフィルムの吸湿膨張係数の下限は、例えば、0超過、約1、約2、約3、約4、約5、約6、または約6.2ppm/%RHであってもよく、上限は、例えば、約9、約8.5、約8、約7.5、約7、約6.9、約6.8、約6.7、約6.5、約6.4、約6.3、または約6.2ppm/%RHであってもよいし、前記下限と上限は、互いに組み合わされてもよい。例えば、25℃、20~80%相対湿度区間でのポリイミドフィルムの吸湿膨張係数は、0超過~約9ppm/%RH、他の例として約4~約9ppm/%RH、さらに他の例として約4~約8ppm/%RHなどであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0027】
一実施形態によれば、上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムのうち第1二無水物と第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が約40~約70%(例えば、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59、約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、または約70%)であってもよい。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数が小さくなって寸法安定性に優れることができる。第1結合比率は、例として約45~約70%、他の例として約50~約70%、さらに他の例として約40~約60%、さらに他の例として約45~約55%であってもよい。一実施形態によれば、第1結合比率は、約50~約70%であってもよい。他の実施形態によれば、第1結合比率は、約45~約55%であってもよいが、これに限定されるものではない。
一実施形態によれば、上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルムは、ポリイミドフィルムのうち第1二無水物と第1ジアミンとが結合した比率である第1結合比率が約40~約70%(例えば、約50~約70%)であり、第2二無水物と第1ジアミンとが結合した比率である第2結合比率が約20~約50%(例えば、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50%)であってもよい。前記範囲で、ポリイミドフィルムの吸湿膨張係数が小さくなって寸法安定性に優れるだけでなく、所定の物性、例えば、所定の熱膨張係数(CTE)(例えば、約2~約5μm/(m・℃)を有することができて、これを用いて軟性金属箔積層板を製造する場合、ポリイミドフィルムと金属箔との間の接着力に優れることができる。
【0028】
一実施形態によれば、上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルムは、25℃、3~90%相対湿度区間での吸湿膨張係数が約9ppm/%RH以下(例えば、約0、約0.5、約1、約1.5、約2、約2.5、約3、約3.5、約4、約4.5、約5、約5.5、約6、約6.5、約7、約7.5、約8、約8.5、または約9ppm/%RH)であってもよい。前記範囲で、寸法安定性に優れることができる。25℃、3~90%相対湿度区間でのポリイミドフィルムの吸湿膨張係数の下限は、例えば、0超過、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、または約8.2ppm/%RHであってもよく、上限は、例えば、約9、約8.9、約8.8、約8.7、約8.6、約8.5、約8.4、約8.3、または約8.2ppm/%RHであってもよいし、前記下限と上限は、互いに組み合わされてもよいが、これに限定されるものではない。
【0029】
一実施形態によれば、上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルムの厚さは、ポリイミドフィルムの用途、使用環境、物性などを考慮して適宜選択可能である。例えば、ポリイミドフィルムの厚さは、約10~約500μm(例えば、約10、約50、約100、約150、約200、約250、約300、約350、約400、約450、または約500μm)、他の例として約25~約50μm、さらに他の例として約35~約50μm、さらに他の例として約25~約35μmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0030】
一実施形態によれば、上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルムの熱膨張係数は、ポリイミドフィルムの用途、使用環境、物性などを考慮して適宜選択可能である。例えば、ポリイミドフィルムが軟性金属箔積層板に用いられる場合、ポリイミドフィルムの熱膨張係数は、金属箔の熱膨張係数より低い。例えば、金属箔が約16~約17μm/m・℃(例えば、約16、約16.1、約16.2、約16.3、約16.4、約16.5、約16.6、約16.7、約16.8、約16.9、または約17μm/m・℃)の熱膨張係数を有し、ポリイミドフィルムは、約2~約7μm/m・℃(例えば、約2、約3、約4、約5、約6、または約7μm/m・℃、他の例として約2~約5μm/m・℃)の熱膨張係数を有することができるが、これに限定されるものではない。
【0031】
一実施形態によれば、上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルムのガラス転移温度は、ポリイミドフィルムの用途、使用環境、物性などを考慮して適宜選択可能である。例えば、ポリイミドフィルムが軟性金属箔積層板に用いられる場合、ポリイミドフィルムは、約370℃以上(例えば、約370、約380、約390、約400、約410、または約420℃、他の例として約370~約420℃、さらに他の例として約380℃以上、さらに他の例として約380~約420℃)のガラス転移温度を有することができる。
【0032】
軟性金属箔積層板
さらに他の側面によれば、上述したポリイミドフィルムを含む軟性金属箔積層板が提供される。このような軟性金属箔積層板は、ポリイミドフィルムの一面または両面に金属箔が形成されたものであってもよい。例えば、軟性金属箔積層板は、上述したポリイミドフィルムまたは上述した製造方法で製造されたポリイミドフィルム;および前記ポリイミドフィルム上に形成された金属箔を含むことができる。
軟性金属箔積層板は、当該技術分野にて通常使用される多様な方法で製造できる。例えば、軟性金属箔積層板は、(i)金属箔上にポリアミック酸溶液をキャスティングした後、イミド化するキャスティング法、(ii)スパッタリングによってポリイミドフィルム上に直接金属層を形成するメタライジング法、(iii)ポリイミドフィルムと金属箔とを熱と圧力で接合させるラミネート法などの方法で製造できる。
本発明の軟性金属箔積層板は、ポリイミドフィルムの低い吸湿膨張係数を有し、高温加工工程においても寸法安定性に優れることができる。
【実施例】
【0033】
以下、本発明の好ましい実施例を通じて本発明の構成および作用をさらに詳細に説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例として提示されたものであり、いかなる意味でもこれによって本発明が制限されると解釈されない。
【0034】
実施例1
反応器にジメチルホルムアミド(DMF)を投入し、第1二無水物として3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物および第1ジアミンとしてp-フェニレンジアミンを7:9のモル比で投入した後、25℃で2時間反応させた。前記反応器に、第2二無水物としてピロメリット酸二無水物および第2ジアミンとして4,4’-ジアミノジフェニルエーテルを3:1のモル比で添加し、30℃で2時間反応させて、ポリアミック酸の固形分の含有量が15重量%であるポリアミック酸溶液を製造した。この時、第1二無水物と第2二無水物との合計モル数と第1ジアミンおよび第2ジアミンの合計モル数は、実質的に等モルをなすようにした。
このように製造されたポリアミック酸溶液に、アミック酸基1モルあたり3.5モル比の酢酸無水物および1.1モル比のイソキノリンを添加して、ポリイミドフィルム製造用組成物を得た。前記組成物をドクターブレードを用いてSUS板(100SA、Sandvik社)上にキャスティングし、90℃で4分間乾燥させてゲルフィルムを製造した。前記ゲルフィルムをSUS板と分離した後、250~380℃で14分間熱処理して、30μmの平均厚さを有するポリイミドフィルムを製造した。
【0035】
実施例2~4、および比較例1および2
各成分の含有量を表1に記載の通りに変更したことを除けば、実施例1と同様の方法を用いてポリイミドフィルムを製造した。
【0036】
評価例:吸湿膨張係数の測定
実施例1~4、および比較例1、2で製造したポリイミドフィルムを25mm×130mmに切断した後、CHEmeter(BMA社)に締結して、25℃の条件で相対湿度20%から80%までの寸法変化を測定し、その結果を表1に示した。
【0037】
【0038】
前記表1を通して確認できるように、本発明の実施例1~4のポリイミドフィルムは、25℃、20~80%相対湿度区間での熱膨張係数が9ppm/%RH以下と低いのに対し、そうでない比較例1、2の場合、熱膨張係数がそれぞれ12.9、11.7ppm/%RHと高いことを確認することができる。
一方、実施例4で製造したポリイミドフィルムを25mm×130mmに切断した後、CHEmeter(BMA社)に締結して、25℃の条件で相対湿度3%から90%までの寸法変化を測定した。その結果、25℃、3~90%相対湿度区間での吸湿膨張係数が8.2ppm/%RHと低いことを確認することができた。
本発明の単なる変形乃至変更はこの分野における通常の知識を有する者によって容易に実施可能であり、このような変形や変更はすべて本発明の領域に含まれる。