(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】GLP-1受容体アゴニストおよびその使用
(51)【国際特許分類】
C07D 405/14 20060101AFI20231030BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20231030BHJP
C07D 471/04 20060101ALI20231030BHJP
A61K 31/4439 20060101ALI20231030BHJP
A61K 31/4184 20060101ALI20231030BHJP
A61K 31/506 20060101ALI20231030BHJP
A61K 31/497 20060101ALI20231030BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20231030BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20231030BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20231030BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20231030BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20231030BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20231030BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20231030BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20231030BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20231030BHJP
A61P 9/12 20060101ALI20231030BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20231030BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20231030BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20231030BHJP
A61P 27/12 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
C07D405/14 CSP
A61K31/4545
C07D471/04 107E
A61K31/4439
A61K31/4184
A61K31/506
A61K31/497
A61P3/00
A61P3/10
A61P9/10
A61P27/02
A61P9/00
A61P25/16
A61P7/02
A61P25/28
A61P1/04
A61P9/12
A61P13/12
A61P19/10
A61P3/06
A61P27/12
(21)【出願番号】P 2022528212
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 KR2020015985
(87)【国際公開番号】W WO2021096284
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0146798
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0022485
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】518076676
【氏名又は名称】イルドン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ユン,ホン チョル
(72)【発明者】
【氏名】アン,キョン ミ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ミョン ジェ
(72)【発明者】
【氏名】イ,ジン ヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン-グン
(72)【発明者】
【氏名】イム,ア-ラン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ウ ジン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,ジン ア
(72)【発明者】
【氏名】ホ,ジェホ
(72)【発明者】
【氏名】ホン,チャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム,キョジン
(72)【発明者】
【氏名】パク,ジョン-ウン
(72)【発明者】
【氏名】ソン,テ-イク
(72)【発明者】
【氏名】オ,チャンモク
(72)【発明者】
【氏名】ホン,ダ ヘ
(72)【発明者】
【氏名】クウォン,ソン ウク
(72)【発明者】
【氏名】キム,ジョン ホ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ジェ ウィ
(72)【発明者】
【氏名】ユ,ヨンラン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ミン ファン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ウン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】ジェ,イン-ギュ
(72)【発明者】
【氏名】チェ,ジ ヘ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ゴンヒ
(72)【発明者】
【氏名】ジョン,イェリン
【審査官】三須 大樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/135527(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/109607(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式1で表される化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩:
【化1】
前記一般式1において
R
1は、-C(=O)R
aであり;
R
aは、-OHまたは-O-(C
1-C
4アルキル)であり;
Yは、-CH-または-N-であり;
R
2は
、非置換の
【化2】
であり;
A
1は、
【化3】
であり;
【化4】
は、少なくとも1つの窒素を含有す
る非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキルであ
り;
R’は、水素、または-(C
1-C
4アルキル)であり;
Xは、-CR
b-または-N-であり;
R
bは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
W
1は、-CR
C-または-N-であり、R
cは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
W
2は、-CR
d-または-N-であり、R
dは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
W
3は、-CR
e-または-N-であり、R
eは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
Jは、-O-または-NR’’-であり、
R’’は、水素または-(C
1-C
4アルキル)であり;
Z
1は、-CR
f-または-N-であり、R
fは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
Z
2は、-CR
g-または-N-であり、R
gは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
Z
3は、-CR
h-または-N-であり、R
hは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
Z
4は、-CR
i-または-N-であり、R
iは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
R
jは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C
1-C
4アルキル)、-NH
2、-NO
2および-C
1-C
4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種である。
【請求項2】
Z
1~Z
4のうちの-N-が1つである、請求項1に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Z
1は、-CR
f-であり、Z
2は、-CR
g-であり、Z
3は、-CR
h-であり、Z
4は、-CR
i-である、請求項1に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項4】
R
jは、ハロゲンまたは-CNである、請求項1に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項5】
R
gは、-H、ハロゲンおよび-CNからなる群から選択されるいずれか1種である、請求項4に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項6】
Jは、-O-である、請求項1に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項7】
A
1は、
【化5】
であ
り、および
R’が水素である、請求項1に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項8】
【化6】
は
、1つの窒素を含有す
る非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキ
ルである、請求項
1に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項9】
【化7】
は
、非置換の
【化8】
、非置換の
【化9】
及
び非置換の
【化10】
からなる群から選択されるいずれか1種であ
る、請求項7に記載の、化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項10】
【化11】
は、非置換の
【化12】
及び非置換の
【化13】
からなる群から選択される1種である、請求項7に記載の、化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
【請求項11】
前記一般式1で表される化合物は、下記に記載の化合物からなる群から選択されるいずれか1種である一般式1で表されることを特徴とする、請求項1に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩。
(S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)フェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((2-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-2-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)フェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-3-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-3-オキセタン-2-イルメチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
(S)-2-((3-(((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-3-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
(S)-2-((4-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((2-(((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピラジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((S)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((2-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-3-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-3-(オキセタン-2-イルメチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
2-(((R)-3-((4-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピラジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((2-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)フェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピラジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)(メチル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)フェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-2-イル)オキシ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)アゼチジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;及び
2-(((R)-3-((6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸。
【請求項12】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容された担体を含む医薬組成物。
【請求項13】
請求項1~
11のいずれか一項に記載の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む、代謝性疾患の予防または治療用医薬組成物。
【請求項14】
前記代謝性疾患が、糖尿病、特発性T1D、成人における潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、若年発症T2DM(EOD)、若年発症非定型糖尿病(YOAD)、若年発症成人型糖尿病(MODY)、栄養失調-関連糖尿病、妊娠性糖尿病、高血糖症、インスリン耐性、肝臓インスリン耐性、耐糖能障害、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、腎疾患、糖尿病網膜症、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、睡眠時無呼吸症候群、肥満、摂食障害、異常脂質血症、高インスリン血症、NAFLD、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患、高血圧、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳卒中、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、肺高血圧、血管形成術後の再狭窄症、間歇性跛行、食後脂質異常症、?代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、骨粗鬆症、パーキンソン病、左室肥大、末梢動脈疾患、視力低下、白内障、糸球体硬化症、慢性腎不全、代謝症候群、X症候群、月経前症候群、狭心症、血栓症、一過性脳虚血発作、血管再狭窄、糖代謝障害、空腹時血糖障害、高尿酸血症、痛風、勃起不全、乾癬、足部潰瘍、潰瘍性大腸炎、高アポ蛋白B脂質血症、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、炎症性腸疾患、短腸症候群、クローン病、大腸炎、過敏性大腸症候群、または多嚢胞性卵巣症候群である
、請求項
13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記NAFLDが、脂肪症、NASH、線維症、肝硬変、または肝細胞癌である
、請求項
14に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願では、新規GLP-1Rアゴニスト化合物、およびその使用を提供する。
【背景技術】
【0002】
インスリンは、膵臓β細胞から分泌されるペプチドであって、体内の血糖を調節する上で極めて重要な役割を担う物質である。このようなインスリンの分泌量が不十分であったり、正常に機能しなかったりして血中グルコースの濃度が高くなる代謝疾患を糖尿病という。膵臓からインスリンが分泌されずに血糖が上昇する場合を1型糖尿病といい、これを治療するためにはインスリンの投与が必須である。
【0003】
其の外、インスリンの分泌が十分でなかったり、或いは分泌されたインスリンが正常に機能しなかったりして体内の血糖が調節されずに上昇する場合を2型糖尿病といい、化学物質を主成分とする血糖降下剤を用いて治療する。
糖尿病の治療における正常な血糖値に向けた厳格な血糖管理が、糖尿病によって引き起こされる様々な合併症を予防するために重要であることは、すでに大規模な臨床研究を通じて広く知られている。
【0004】
インスリンの分泌を強力に刺激して血糖値を下げられる候補化合物としては、グルカゴン様ペプチド-1(Glucagon like peptide-1、GLP-1)というホルモンが含まれる。GLP-1は、回腸と大腸のL細胞から分泌されるインクレチンホルモンとして1985年に初めて発見された。GLP-1は、GLP-1R(Glucagon like peptide-1 Receptor)という受容体に作用することにより、インスリンの分泌を増加させる。GLP-1は、吸収された栄養分または血糖濃度に刺激されて分泌される。GLP-1を用いた糖尿病治療には、グルコース濃度によってインスリンが分泌されるため、低血糖が起こらないという利点がある。また、このホルモンは上部消化器官の動きを減らし、食欲を抑制するなどの効果があり、既存の膵臓のβ細胞を増殖させることができることが知られている。
【0005】
このような特徴から、GLP-1は、2型糖尿病の治療方法に適用されていたが、血中半減期が2分しかないので、薬剤として開発する上で多くの障害があった候補化合物であった。作用時間が短いことによるGLP-1の欠点を克服するために、最近、血中にGLP-1を破壊するジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV)という酵素に対して抵抗性を有するGLP-1類似体と、DPP- IV阻害剤という2つの方法で治療薬が開発されてきた(Oh,SJ.「Glucagon-like Peptide-1 Analogue and Dipeptidyl Peptidase-IV Inhibitors」 韓国内分泌学会誌 Vol.21(6)、pp.437-447,2006;Holst,J.J.「Glucagon like peptide 1:a newly discovered gastrointestinal hormone」Gastroenterology Vol.107,pp.1848-1855,1994)。
【0006】
GLP-1以外のインスリン分泌ペプチドの中で、エキセンジン(exendin)は、アリゾナと北メキシコに内生の爬虫類であるメキシコドクトカゲおよびアメリカドクトカゲの唾液分泌物に見られるペプチドである。エキセンジン-3は、メキシコドクトカゲ(Heloderma horridum)の唾液分泌物に存在し、エキセンジン-4は、アメリカドクトカゲ(Heloderma suspectum)の唾液分泌物に存在し、GLP-1配列と高い相同性を(Goke et al.,J.Biol.Chem.Vo1.268,pp.19650-19655,1993)。薬理学的研究報告書によれば、エキセンジン-4が、特定のインスリン分泌細胞におけるGLP-1受容体、モルモット膵臓からの分散された腺房細胞にて、および胃からの壁細胞にて、作用することができるとされており、このようなペプチドは、ソマトスタチン放出を刺激し、単離された胃におけるガストリン放出を抑制することが報告されている。
【0007】
今日、血中GLP-1を破壊するDPP-4酵素に対して抵抗性を有する様々なGLP-1類似体が開発されており、2型糖尿病の治療剤として使用されている。これらのGLP-1類似体は、GLP-1に比べてかなり長い半減期を有するため、血糖降下の効果を長く保持することができる利点がある。しかしながら、経口投与が不可能なため、注射剤の形態で使用しなければならないという点で、服薬利便性に劣る問題がある。したがって、近来、経口投与が可能な低分子GLP-1Rアゴニストを発掘して糖尿病治療剤として開発しようとする研究が進められている。最近、韓国では、ヒトおよびラットのGLP-1受容体を選択的に刺激することができる新規低分子化合物であるDA-15864が、糖尿病と肥満を治療するために経口投与可能なGLP-1受容体アゴニストとして作用すると報告されている(Moon,H-S.et al.,「The development of non-peptide glucagon-like peptide 1 receptor agonist for the treatment of type 2 diabetes」Arch.Pharm.Res.Vol.34(7),pp.1041-1043,2011)。このような経口製剤は、服用の利便性を改善したGLP-1Rアゴニストとして作用するという点で、開発価値が高い。
【0008】
一方、米国FDAなどの規制当局は、突然死まで引き起こす可能性のある医薬品の心血管系の副作用、特にQT延長および心室再分極の遅延に注目しており、新規物質の心血管系安全性薬理研究が強調されている。これに関連して、ヒトエーテル-a-go-go関連遺伝子(hERG)は、心臓の遅延整流(rectifier)カリウム電流の一部を構成する遺伝子であり、心臓の活動電位の再分極を起こす重要なイオンチャネルである。薬剤によってhERGチャネルが阻害されると、心室の活動電位間隔がのび、心電
図QT間隔が延長される。これはトルサード・ド・ポワンツ(TdP)を含む心不整脈などの心毒性と関連している。潜在的な薬剤候補群は、心毒性の問題に関連してQT延長に著しい影響を及ぼすhERGチャネル阻害作用の有無を必ず評価するようになっており、このような過程で大多数の薬剤がhERGチャネルの阻害に影響を及ぼすので、開発過程で進行が中断されることが多い。
【0009】
特に糖尿病治療剤の開発において、前記QT延長が重要な考慮事項である。糖尿病の場合、虚血性心疾患による死因が2~3倍以上増加するとされており、30歳以前に糖尿病と診断された女性は、心筋梗塞または致命的な冠状動脈疾患のリスク率が大幅に増加することが知られている。このようなことを考慮したとき、糖尿病治療剤が作用効果の側面で優れた効果を示すとしても、前記のQT延長などの面で問題がある場合であれば、薬剤の開発自体が難しいだけでなく、長期間の服用を必要とする治療剤という観点からも、非常に制限的に服用するしかない。
【0010】
このような背景の下、本発明では様々な候補物質からGLP-1受容体の活性を増加させる効果に優れた新しいアゴニスト化合物をスクリーニングし、これらの化合物がGLP-1受容体アゴニストとして優れた活性を示すことを確認した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、下記一般式1で表される化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩に関する:
【化1】
前記一般式1において、
R
1は、-C(=O)R
aであり;
R
aは、-OHまたは-O-(C
1-C
4アルキル)であり;
Yは、-CH-または-N-であり;
R
2は、置換または非置換のC
6~C
12アリール、置換または非置換のC
5~C
12ヘテロアリール、置換または非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキルおよび置換または非置換のC
3~C
8シクロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり(ここで、置換されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、およびシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換);
【0012】
A
1は、
【化2】
であり、
【化3】
は、少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキル、少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
12スピロヘテロシクロアルキル、または少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
12橋かけヘテロビシクロアルキルであり(ここで、置換されたヘテロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキル、およびヘテロビシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換);
【0013】
R’は、水素、または-(C1-C4アルキル)であり;
Xは、-CRb-または-N-であり;
Rbは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2、および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
【0014】
W1は、-CRc-または-N-であり、Rcは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
W2は、-CRd-または-N-であり、Rdは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
W3は、-CRe-または-N-であり、Reは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
Jは、-O-または-NR’’-であり、
【0015】
R’’は、水素または-(C1-C4アルキル)であり;
Z1は、-CRf-または-N-であり、Rfは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
Z2は、-CRg-または-N-であり、Rgは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
【0016】
Z3は、-CRh-または-N-であり、Rhは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
Z4は、-CRi-または-N-であり、Riは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種であり;
【0017】
Rjは、-H、ハロゲン、-CN、-OH、-O-(C1-C4アルキル)、-NH2、-NO2および-C1-C4ハロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種である。
具体的には、前記一般式1において、Z1は、-CRf-または-N-であり;Z2は、-CRg-または-N-であり;Z3は、-CRh-または-N-であり;Z4は、-CRi-または-N-であり、Z1~Z4のいずれか1種のみが-N-であってもよい。
【0018】
具体的には、前記一般式1において、Z
1は、-CR
f-であり、Z
2は、-CR
g-であり、Z
3は、-CR
h-であり、Z
4は、-CR
i-であってもよい。
より具体的には、前記一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、下記一般式2の化合物であってもよい。
【化4】
【0019】
前記一般式2の化合物において、Rf、Rg、Rh、Ri、Rj、J、X、W1、W2、W3、A1、R2、Y、及びR1は、前記一般式1において定義した通りである。
具体的には、前記一般式1において、Rjは、ハロゲンまたは-CNであってもよい。
具体的には、前記一般式1において、Rgは、-H、ハロゲンおよび-CNからなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
【0020】
具体的には、前記一般式1において、Jは、-O-であってもよい。
より具体的には、前記一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、下記一般式3の化合物であってもよい。
【化5】
【0021】
前記一般式3の化合物において、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、R
j、X、W
1、W
2、W
3、A
1、R
2、Y、及びR
1は、前記一般式1において定義した通りである。
具体的には、前記一般式1において、A
1は、
【化6】
であってもよい。
【0022】
より具体的には、前記一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、下記一般式4の化合物であってもよい。
【化7】
前記一般式4の化合物において、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、R
j、J、X、W
1、W
2、W
3、R’、
【化8】
R
2、Y、およびR
1は、前記一般式1において、定義した通りである。
【0023】
具体的には、前記一般式1において、
【化9】
は、少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキル(ここで、置換されたヘテロシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)であってもよい。
具体的には、前記一般式1において、
【化10】
は、置換または非置換の
【化11】
置換または非置換の
【化12】
および置換または非置換の
【化13】
からなる群から選択されるいずれか1種である(ここで、置換された
【化14】
は、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)であってもよい。
【0024】
具体的には、前記一般式1において、A
1は、
【化15】
であってもよい。
より具体的には、前記一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、
【化16】
が置換または非置換の
【化17】
である場合、下記一般式5-1の化合物であってもよい。
【化18】
【0025】
より具体的には、前記一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、
【化19】
が置換または非置換の
【化20】
である場合、下記一般式5-2の化合物であってもよい。
【化21】
【0026】
より具体的には、前記一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、
【化22】
が置換または非置換の
【化23】
である場合、下記一般式5-3の化合物であってもよい。
【化24】
前記一般式5-1、5-2、5-3の化合物において、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、R
j、J、X、W
1、W
2、W
3、R’、R
2、YおよびR
1は、前記一般式1において、定義した通りである。
【0027】
具体的には、前記一般式1において、R2は、置換または非置換のC3~C5ヘテロシクロアルキル、または置換または非置換のC3~C5シクロアルキルである(ここで、置換された、ヘテロシクロアルキルおよびシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C1-C4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)であってもよい。
【0028】
具体的には、前記一般式1において、R
2は、置換または非置換の
【化25】
である(ここで、置換された
【化26】
は、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)であってもよい。
【0029】
より具体的には、前記一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、下記一般式6の化合物であってもよい。
【化27】
前記一般式6の化合物において、Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、R
j、J、X、W
1、W
2、W
3、A
1、YおよびR
1は、前記一般式1において、定義した通りである。
【0030】
本発明のもう一つの実施形態は、前記一般式1で表される化合物は、下記の化合物からなる群から選択されるいずれか1種である一般式1で表される化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩である:
(S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)フェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0031】
(S)-2-((4-((2-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-2-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)--4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0032】
(S)-2-((4-((3-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)フェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-3-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
【0033】
2-(((R)-3-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0034】
(S)-2-((4-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-3-オキセタン-2-イルメチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
(S)-2-((3-(((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0035】
2-(((R)-3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-3-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5- b]ピリジン-5-カルボン酸;
(S)-2-((4-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((2-(((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0036】
(S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピラジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((S)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((2-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0037】
2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-3-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
(S)-2-((4-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0038】
(S)-2-((4-((3-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-4-フルオロフェニル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-3-(オキセタン-2-イルメチル)-3H-イミダゾ[4,5-b]ピリジン-5-カルボン酸;
2-(((R)-3-((4-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-5-フルオロピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピラジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((2-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)オキシ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0039】
2-(((R)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)フェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0040】
2-(((R)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピラジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)(メチル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)フェニル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0041】
2-((3-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-2-イル)オキシ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
(S)-2-((4-((6-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((6-((5-シアノピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0042】
(S)-2-((3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)アゼチジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
2-(((R)-3-((4-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;及び
2-(((R)-3-((6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸;
【0043】
本発明のもう一つの実施形態は、本願に記載の任意の実施形態に定義された一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、以下の実施形態を含む。
本願に記載の任意の実施形態で定義される一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩;及び薬学的に許容される担体を含む医薬組成物;
代謝性疾患の治療および/または予防に使用するための、本願に記載の任意の実施形態で定義される一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩;
【0044】
本願に記載の任意の実施形態で定義される一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を、これを必要とする対象に投与する工程を含む代謝性疾患の治療方法。
代謝性疾患の予防または治療に使用されるものである、本願に記載の任意の実施形態で定義される一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩の用途;
代謝性疾患の予防または治療のための薬剤の調製に使用されるための、本願に記載の実施形態で定義される一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩の用途;
【0045】
本願に記載の任意の実施形態で定義される一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む代謝性疾患の予防または治療用医薬組成物;または
本願に記載の任意の実施形態で定義される一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩含むGLP-1Rアゴニスト。
【0046】
本発明による具体的な実施形態によれば、本発明による新規化合物は、GLP-1アゴニストに優れた作用効果を示す。具体的には、細胞で生成された固有cAMPと、染料で標識された外来cAMP間の競合的免疫検定法を行ったところ、GLP-1アゴニストに優れた効果を示した。
また、耐糖能実験において静脈内投与および経口投与の両方において優れた耐糖能改善効果を示し、薬剤動態特性も非常に優れている。また、安全性薬理の観点からも優れた安定性を示す。例えば、心血管系に対する優れた安全性を示し、長期間の服用時にも不整脈などの心毒性が発生するおそれが非常に低いものと予想される。
すべての化合物の例、その光学異性体またはそれらの薬学的に許容される塩は、別々に、または本願に記載のあらゆる各実施形態の任意の個数との任意の組み合わせにより一緒にグループ化することができる。
【0047】
さらに、本発明は、本願にて議論する代謝性疾患の治療および/または予防に使用するための、本願に記載の任意の実施形態に定義された一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む医薬組成物に関する。
【0048】
具体的には、代謝性疾患は、例えば、糖尿病(T1Dおよび/またはT2DM、いわば、全糖尿病)、特発性T1D(1b型)、成人における潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)、若年発症T2DM(EOD)、若年発症非定型糖尿病(YOAD)、若年発症成人型糖尿病(MODY)、栄養失調-関連糖尿病、妊娠性糖尿病、高血糖症、インスリン耐性、肝臓インスリン耐性、耐糖能障害、糖尿病神経障害、糖尿病腎症、腎疾患(例えば、急性腎障害、尿細管障害、近位尿細管の感染症の変化)、糖尿病網膜症、脂肪細胞機能障害、内臓脂肪蓄積、睡眠時無呼吸症候群、肥満(例えば、視床下部性肥満および単一遺伝子肥満-遺伝性肥満)およびこれに伴う疾患(例えば、変形性関節症および尿失禁)、摂食障害(例えば、神経性過食症、神経性食欲不振症、および症候性肥満、例えば、プラダーウィリー症候群およびバルデービードル症候群)、他の薬剤の使用による体重増加(例えば、ステロイドおよび抗精神病薬の使用による)、過剰な糖摂取欲、異常脂質血症(高脂血症、高中性脂肪血症、総コレステロール増加、高LDLコレステロール、および低HDLコレステロールを含む)、高インスリン血症、NAFLD(関連疾患、例えば、脂肪症、NASH、線維症、肝硬変、および肝細胞癌を含む)、心血管疾患、アテローム性動脈硬化症(冠状動脈疾患を含む)、末梢血管疾患、高血圧、内皮機能障害、血管コンプライアンス障害、うっ血性心不全、心筋梗塞(例えば、ネクローシスおよびアポトーシス)、脳卒中、出血性脳卒中、虚血性脳卒中、外傷性脳損傷、肺高血圧、血管形成術後の再狭窄症、間歇性跛行、食後脂質異常症、 代謝性アシドーシス、ケトン症、関節炎、骨粗鬆症、パーキンソン病、左室肥大、末梢動脈疾患、視力低下、白内障、糸球体硬化症、慢性腎不全、代謝症候群、X症候群、月経前症候群、狭心症、血栓症、アテローム性動脈硬化、一過性脳虚血発作、血管再狭窄、糖代謝障害、空腹時血糖障害、高尿酸血症、痛風、勃起不全、皮膚および結合組織障害、乾癬、足部潰瘍、潰瘍性大腸炎、高アポ蛋白B脂質血症、アルツハイマー病、統合失調症、認知障害、炎症性腸疾患、短腸症候群、クローン病、大腸炎、過敏性大腸症候群の予防および/または治療、多嚢胞性卵巣症候群の予防または治療および中毒治療(例えば、アルコールおよび/または薬剤乱用)であってもよい。
【0049】
本願で使用される用語および記号の意味は、以下の通りである。
本願で使用される用語「アルキル」は、構造式-CnH(2n+1)の直鎖または分岐鎖の一価炭化水素基を意味する。その非限定的例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、2-メチル-プロピル、1,1-ジメチルエチル、ペンチルおよびヘキシルなどが含まれる。例えば、「C1-C4アルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、ブチル、2-メチル-プロピル、イソプロピルなどのアルキルを指すものであってもよい。
本願における用語「C6~C12アリール」は、6または12個の炭素原子を含有する芳香族炭化水素を指す。例えば、単環式(例えば、フェニル)、二環式(例えば、インデニル、ナフタレニル、テトラヒドロナフチル、テトラヒドロインデニル)などの環系を指すことができる。
【0050】
本願における用語「C5-C12ヘテロアリール」は、酸素、窒素および硫黄から選択されるヘテロ原子で環炭素原子のうち少なくとも1種が置換された、5~12個の炭素原子を含有する芳香族炭化水素を指す。前記ヘテロアリール基は環炭素原子を介して、または原子価が許容される場合、環窒素原子などを介して結合することができる。ヘテロアリール基は、2~3個の環を有するベンゾ縮合環系を含む。
本願における用語「C3-C8シクロアルキル」は、3~8個の炭素原子を含有する構造式-CnH(2n-1)の環状、一価炭化水素基を意味する。その非限定的例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルが含まれる。
【0051】
本願における用語「C3-C8ヘテロシクロアルキル」は、環メチレン基(-CH2-)のうち1種以上が、-O-、-S-および窒素から選択される基で置換された、3~8個の炭素原子を含有するシクロアルキル基を指す。この場合、窒素は、各実施形態内にて提供するように、付着点を呈するまたは置換することができる。
本願における「非置換」は、任意の置換基で置換されずになくなるか、或いは水素の状態を意味する。本願において、「置換されたアリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、シクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキルおよびヘテロビシクロアルキル」は、例えば、少なくとも1種以上、すなわち、1、2、3、4、5、6またはそれ以上の-OH、-(C1-C4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換を意味し、これらの置換はそれぞれ独立してなされることができる。
【0052】
本願における用語「C3-C12スピロヘテロシクロアルキル」は、少なくとも1つのヘテロ原子を含有し、3~12個の炭素原子を含有する単一炭素原子において、融合された少なくとも2つの環を含有する非-芳香族炭化水素残基を意味する。すなわち、前記「スピロヘテロシクロアルキル」は、1つ以上のヘテロ原子を含有する多環式炭化水素を意味し、これらは単環式環間の原子(スピロ原子と呼ばれる)を共有する。これらは1つ以上の二重結合を含むことができるが、環のいかなる原子も完全にコンジュゲートされたパイ電子システムを有さない。
【0053】
本願における用語「C3-C12橋かけヘテロ二環式シクロアルキル」は、ブリッジされた多環式環アセンブリであって、少なくとも1つのヘテロ原子、好ましくは1つ以上の窒素原子を含有するブリッジされた(bridged)多環式環アセンブリを意味する。
【0054】
本願における用語「ハロゲン」は、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物を指す。
本願における用語「ハロアルキル」は、1つ以上のハロゲン(例えば、フッ化物、塩化物、臭化物、またはヨウ化物)で置換されたアルキル基を指す。
【0055】
本発明に記載の以下の略語は、以下の用語を表す。
EA:酢酸エチル
BINAP:2,2’-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1’-ビナフチル
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
THF:テトラヒドロフラン
TBD:トリアザビシクロデセン(Triazabicyclodecene)
DMSO:ジメチルスルホキシド
Pd2(dba)3:トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)
MeOH:メタノール
KOtBu:カリウムtert-ブトキシド
【0056】
本願中の波線
【化28】
は、他の基に対する置換器の付着点を表す。
前記一般式1において、R
1は、-C(=O)R
aであり、R
aは-OHまたは-O-(C
1-C
4アルキル)である。
前記R
1は、好ましくは-C(=O)OHであってもよい。
前記一般式1において、R
2は、置換または非置換のC
6~C
12アリール、置換または非置換のC
5~C
12ヘテロアリール、置換または非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキルおよび置換または非置換のC
3 ~C
8シクロアルキルからなる群から選択されるいずれか1種(ここで、置換された、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキルおよびシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)である。
【0057】
前記R2は、好ましくは、R2は、置換または非置換のC3~C5ヘテロシクロアルキル、または置換または非置換のC3~C5シクロアルキルである(ここで、置換された、ヘテロシクロアルキルおよびシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C1-C4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)である。より好ましくは、置換または非置換のキラル中心炭素を含むオキサシクロブタン(ここで、置換された、オキサシクロブタンは、少なくとも1種以上の-OH、-(C1-C4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)である。
【0058】
前記R
2は、より好ましくは置換または非置換の
【化29】
(ここで、置換された
【化30】
は、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)であってもよい。
本発明のもう一つの実施形態では、Yは、-CH-または-N-であってもよい。より具体的には、-CH-であってもよい。
【0059】
前記一般式1において、A
1は、
【化31】
であり;
【化32】
は、少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキル、少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
12スピロヘテロシクロアルキル、または少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
12橋かけヘテロビシクロアルキルであり(ここで、置換された、ヘテロシクロアルキル、スピロヘテロシクロアルキルおよびヘテロビシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換);
R’は、水素、または-(C
1-C
4アルキル)である。
【0060】
具体的には、
【化33】
は、少なくとも1つの窒素を含有する置換または非置換のC
3~C
8ヘテロシクロアルキル(ここで、置換されたヘテロシクロアルキルは、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)であってもよい。
具体的には、
【化34】
からなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
【0061】
本発明のもう一つの実施形態は、A
1は、
【化35】
である。
具体的には、
【化36】
は、置換または非置換の
【化37】
置換または非置換の
【化38】
および置換または非置換の
【化39】
からなる群から選択されるいずれかである(ここで、置換の
【化40】
は、少なくとも1種以上の-OH、-(C
1-C
4アルキル)、ハロゲン、または-CNへの置換)であってもよい。
【0062】
具体的には、前記一般式1においてA
1は、以下の化合物からなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
【化41】
【0063】
本発明のもう一つの実施形態では、Jは、-O-または-NR’’-であり、より具体的にJは、-O-であってもよい。
本発明のもう一つの実施形態は、Z1~Z4のいずれか1種のみが-N-であってもよい。
本発明のもう一つの実施形態は、Z1は、-CRf-であり、Z2は、-CRg-であり、Z3は、-CRh-であり、Z4は、-CRi-であってもよい。
本発明のもう一つの実施形態は、Rjは、ハロゲンまたは-CNであってもよい。
【0064】
具体的には、R
gは、-H、ハロゲンおよび-CNからなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
好ましくは、前記一般式1において、
【化42】
は、置換または非置換のフェニルまたは置換または非置換のピリジニルであってもよい。
好ましくは、前記一般式1において、
【化43】
は、下記化合物からなる群から選択されるいずれか1種であってもよい。
【化44】
【0065】
好ましくは、前記一般式1において、
【化45】
置換または非置換のフェニル、置換または非置換のピリジニル、置換または非置換のピリミジニル、置換または非置換のピラジニルであってもよい。
好ましくは、前記一般式1において、
【化46】
は、下記化合物からなる群から選択されるいずれかであってもよい。
【化47】
【0066】
以下に記載の化合物および中間体は、化学・生化学研究用統合ソフトウエア (ChemBioDraWUltra)で提供される命名規則を用いて命名された。その命名規則は、一般に、有機化学の命名法IUPAC( International Union for Pure and Applied Chemistry)CASインデックス規則の推奨事項と一致するものであり、化学名称は、括弧のみを有したり、括弧及び大括弧を有したりすることができることが理解されよう。
【0067】
さらに、立体化学的説明は、命名規則に従って、名称自体のさなざまな位置に配置ことができる。当業者は、このようなフォーマットのバリエーションを認識し、それらが同じ化学構造を呈することを理解している。
一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、酸付加塩および塩基付加塩が含まれる。
【0068】
適切な酸付加塩は、非毒性塩を形成する酸から形成される。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物塩、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物塩、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、1,5-ナフタレンジスルホン酸及びキシノホ酸塩(xinofoate)を含む。
【0069】
好適な塩基付加塩は、非毒性塩を形成する塩基から形成される。例としては、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ビス(2-ヒドロキシエチル)アミン(ジオールアミン)、グリシン、リジン、マグネシウム、メグルミン、2-アミノエタノール(オルアミン)、カリウム、ナトリウム、2-アミノ-2-(ヒドロキシメチル)プロパン-1,3-ジオール(トリスまたはトリメタミン)および亜鉛塩を含む。
また、酸および塩基のヘミ塩、例えば、ヘミサルフェートおよびヘミカルシウム塩を形成することができる。
【0070】
一般式1の化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩は、非媒介形態および溶媒和形態で存在することができる。本願における用語「溶媒和物」は、一般式1の化合物またはその薬学的に許容される塩、および1種以上の薬学的に許容可能な溶媒分子(例えば、エタノール)を含む分子複合体を指す。用語「水和物」は、前記溶媒が水である場合を指す。
【0071】
さらに、多成分複合体(塩および溶媒和物以外に)が、本発明の範疇内に含まれ、ここで薬剤および1つ以上の他の成分は、化学量論的または非-化学量論的量に存在する。このタイプの複合体は、包接化合物(薬剤-宿主包接錯体)および共-結晶が含まれる。共-結晶は、典型的には、非-共有相互作用を介して一緒に結合されるが、また、塩との中性分子の複合体であることができる中性分子構成要素の結晶性複合体として定義される。共-結晶は、溶融結晶化により、溶媒からの再結晶化、または成分を一緒に物理的に粉砕することによって調製することができる。
【0072】
本発明の化合物は、完全非結晶性から完全結晶性までの範囲にわたる固体状態の連続で存在し得る。「非晶質」という用語は、物質が分子レベルで長距離配列の規則性を失い、温度に応じて固体または液体の物理的特性を呈することができる状態を指す。典型的には、前記物質は、特有のX線回折パターンを提供せず、固体の特定を呈し、より正式には液体として記述される。
【0073】
加熱すると、固体から液体特性への変化が生じ、これは状態変化(典型的には二次)(「ガラス転移」)を特徴とする。「結晶性」という用語は、物質が分子レベルで規則的に配列された内部構造を有し、定義されたピークを有するX線回折パターンを与える固相を指す。また、前記物質は、十分に加熱すると、液体の特徴を呈するが、固体から液体への変化は、相変化(典型的には一次)(「融点」)を特徴とする。
1つ以上の不斉炭素原子を含有する一般式1の化合物は、2つ以上の立体異性体として存在し得る。構造異性体が低エネルギー障壁を介して相互変換可能である場合、互変異性(tautomeric isomerism or tautomerism)が生じ得る。これは、例えば、イミノ、ケトもしくはオキシム基を含有する一般式1の化合物ではプロトン互変異性、または芳香族残基を含有する化合物ではいわゆる原子価(valence)互変異性の形態を取ることができる。その結果、単一の化合物が複数種の異性を呈し得る。
また、一般式1の化合物の薬学的に許容される塩は、光学活性またはラセミである対応するイオンを含んでいてもよい。
【0074】
個々の鏡像異性体の調製/単離のための従来の技術は、適切な光学的に純粋な前駆体からのキラル合成、または、例えば、キラル高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用するラセミ体(または塩もしくは誘導体のラセミ体)の分割(resolution)を含む。或いは、ラセミ体(またはラセミ前駆体)は、適切な光学活性化合物、例えば、アルコール、または、一般式1の化合物が酸性もしくは塩基性残基を含有する場合、塩基または酸(例えば、1-フェニルエチルアミンまたは酒石酸)と反応することができる。生成された立体異性体の混合物はクロマトグラフィーおよび/または分別結晶化によって分離することができ、部分立体異性体のうち一方または両方を当業者に周知の手段によって対応する純粋な鏡像異性体に変換されることができる。一般式1のキラル化合物(およびそのキラル前駆体)は、0~50体積%、典型的には2%~20%のイソプロパノール、および0~5体積%のアルキルアミン、典型的には0.1%のジエチルアミンを含有する炭化水素、典型的にはヘプタンまたはヘキサンからなる移動相を用いる不斉樹脂上でのクロマトグラフィー、典型的にはHPLCを用いて、鏡像異性体に富化された形態で取得することができる。溶離液の濃縮により、富化(enriched)混合物が得られる。未臨界および超臨界流体を用いるキラルクロマトグラフィーを使用することができる。本発明のいくつかの実施形態で有用なキラルクロマトグラフィー方法は当分野において公知である。
【0075】
任意のラセミ体が結晶化する場合、2つの異なる種類の結晶が可能である。第一の種類は、両方の鏡像異性体を等モル量で含有する1つの均質な形態の結晶が生成される。前記で言及したラセミ化合物(真のラセミ体)である。第二の種類は、それぞれ単一の鏡像異性体を含む2つの形態の結晶が等モル量で生成される、ラセミ混合物または集塊(conglomerate)である。ラセミ混合物中に存在する結晶形態は、いずれも同一の物理的特性を有するが、真のラセミ体と比較して異なる物理的特性を有し得る。ラセミ混合物は、当業者に知られている従来の技術によって分離することができる。
一般式1の化合物、好ましくは一般式2~6の化合物に対する言及は、前記化合物自体およびその前駆物質を含む。本発明は、前記一般式1の化合物のみならず、前記化合物の薬学的に許容される塩、ならびに前記化合物および塩の薬学的に許容可能な溶媒和物を含む。
【0076】
投与及び投与量
典型的には、本発明の化合物は、本願に記載された症状を治療するのに有効な量で投与される。本発明の化合物は、化合物自体であって、または代替として、薬学的に許容される塩として投与することができる。投与量および投与の目的で、前記化合物自体またはその薬学的に許容される塩は、単に本発明の化合物と称される。
本発明の化合物は、任意の適切な経路を介してその経路に適した医薬組成物の形態で、および意図された治療に有効な投与量で投与される。本発明の化合物は、経口、直腸、膣内、非経口、もしくは局所投与することができる。
本発明の化合物は、好ましくは経口投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むことを含むことができ、または化合物が口から血流に直接入る頬側もしくは舌下投与を利用することができる。
【0077】
また、もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、血流、筋肉、または内部器官に直接投与することができる。非経口投与に適した手段は、静脈内、動脈内、腹腔内、脊椎腔内、心室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内および皮下を含む。非経口投与に適した装置としては、針(マイクロ針を含む)注射器、無針注射器、および注入技術が含まれる。
また、もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、皮膚または粘膜に局所(すなわち、表皮または経皮)投与することができる。また、もう一つの実施形態において、本発明の化合物は、鼻腔内または吸入によって投与することができる。もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、直腸または膣内投与することができる。また、もう一つの実施形態では、本発明の化合物は、目または耳に直接投与することができる。
【0078】
本発明の化合物および/または前記化合物を含有する組成物は、投与療法は、患者の種類、年齢、体重、性別および医学的症状;症状の重症度;投与経路;及び使用される特定化合物の活性を始めとする様々な因子に基づく。したがって、投与療法は幅広く異なり得る。一実施形態では、本発明の化合物の総1日投与量は、典型的には、本願で論じられる提示された症状の治療のために約0.001~約100mg/kg(すなわち、体重1kg当たりの本発明の化合物のmg)である。もう一つの実施形態では、本発明の化合物の総1日投与量は、約0.01~約30mg/kg、もう一つの実施形態では、約0.03~約10mg/kg、もう一つの実施形態では、約0.1~約3mg/kgである。本発明の化合物の投与が1日に数回(典型的には4回以下)繰り返されるのは通常ではない。1日当たりの複数回投与は、典型的には、必要に応じて、総1日投与量を増加させるのに使用することができる。
【0079】
経口投与の場合、前記組成物は、患者への投与量の症状関連の調節のために、錠剤、カプセル剤、液剤などの形態で提供することができる。前記薬剤は、典型的には約0.01mg~約500mgの活性成分を含有する。
本発明による適切な対象は、哺乳動物対象を含む。一実施形態では、ヒトが適切な対象である。ヒト対象は、男性または女性および任意の成長段階であってもよい。
【0080】
医薬組成物
もう一つの実施形態では、本発明は医薬組成物を含む。
本発明は、一般式1で表される化合物、その光学異性体、またはそれらの薬学的に許容される塩を含む代謝性疾患の予防および治療用医薬組成物を提供する。
前記医薬組成物は、本発明の化合物を薬学的に許容可能な担体と共に含むことができる。
【0081】
他の薬理学的に活性成分がまた存在し得る。本願における「薬学的に許容可能な担体」は、生理学的に混和性である任意のおよびすべての溶媒、分散媒質、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張化剤および吸収遅延剤などを含む。
【0082】
薬学的に許容可能な担体の例として、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールのうちの1種以上のみならず、それらの組み合わせを含み、等張化剤、例えば、糖、塩化ナトリウム、または ポリアルコール、例えばマンニトールまたはソルビトールを前記組成物中に含むことができる。薬学的に許容可能な成分(例えば、湿潤剤)または抗体または抗体の一部の保存寿命または効果を向上させる少量の補助成分(例えば、湿潤剤、乳化剤、保存剤または緩衝剤)が含まれる。
【0083】
本発明の組成物は様々な形態であってもよい。これは、例えば、液体、半-固体および固体投与形態、例えば、液体溶液(例えば、注射可能および注射可能溶液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸薬、粉末、リポソームおよび坐剤を含む。上記形態は、投与の意図された方法および治療用途に依存する。
【0084】
典型的な組成物は、注射可能および注入可能溶液である。投与の一つの方法は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内)である。もう一つの実施形態では、薬剤は静脈内注入または注射によって投与される。もう一つの実施形態では、薬剤は筋肉内または皮下注射によって投与される。
【0085】
固体投与形態の経口投与は、例えば、1つ以上の本発明の化合物の予め決定された量をそれぞれ含有する、硬質または軟質のカプセル、丸薬、サシェイ、ロゼンジまたは錠剤として提供することができる。もう一つの実施形態では、経口投与は、粉末または顆粒形態であってもよい。もう一つの実施形態では、経口投与形態は、舌下、例えば、ロゼンジである。前記固体投与形態では、一般式1の化合物は、通常1つ以上の賦形剤と組み合わせる。前記カプセルまたは錠剤は、制御放出製剤を含むことができる。カプセル、錠剤および丸薬の場合、投与形態はまた緩衝剤を含むことができる、または腸溶性コーティングで調製することができる。
【0086】
もう一つの実施形態では、経口投与は液体剤形であってもよい。経口投与用の液体投与形態は、例えば、当分野で一般に用いられる不活性希釈剤(例えば、水)を含有する、薬学的に許容可能な乳液、溶液、懸濁液、シロップ、およびエリキシルを含む。また、前記組成物は、賦形剤、例えば、湿潤剤、乳化剤、懸濁剤、香味剤(例えば、甘味剤)、および/または芳香剤を含むことができる。
【0087】
もう一つの実施形態では、本発明は、非経口投与形態を含む。「非経口投与」は、例えば、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射、筋肉内注射、胸骨内注射、および注入を含む。注射可能な製剤(すなわち、滅菌注射可能な水性または保持性懸濁液)は、適切な分散剤、湿潤剤および/または懸濁剤を用いて公知の技術に従って製剤化することができる。
【0088】
また、製薬技術分野において、公知の他の担体物質と投与方式を使用することができる。本発明の医薬組成物は、任意の周知の製薬技術、例えば、効果的な製剤化および投与手順によって調製することができる。効果的な製剤化および投与手順に関する前記の考慮事項は、当技術分野において広く公知されており、標準教科書に記載されている。
【0089】
キット
本発明のもう一つの実施態様は、一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、または本発明の一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物を含む医薬組成物を含むキットを提供する。前記キットは、本発明の一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物またはその医薬組成物に加えて、診断剤または治療剤を含むことができる。また、前記キットは、診断または治療方法に用いるための指針書を含む。いくつかの実施形態では、前記キットは、一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、またはその医薬組成物および診断剤を含む。もう一つの実施形態では、前記キットは、一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物、またはその医薬組成物を含む。
【0090】
もう一つの実施形態では、本発明は、本願に記載の治療方法を実施する際に使用するのに適したキットを含む。一実施形態では、前記キットは、本発明の方法を実施するのに十分な量の1つ以上の本発明の化合物を含む第1の投与形態を含む。もう一つの実施形態では、前記キットは、本発明の方法を実施するのに十分な量の1つ以上の本発明の化合物、および投与のための容器を含む。
【0091】
調製
後述する反応式は、本発明の化合物の調製に用いられる方法論の一般的な説明を呈するためのものである。本発明の化合物のうちのいくつかは、立体化学的配置(R)または(S)を有する単一または多重キラル中心を含有することができる。物質が鏡像異性体的に富化したものであれ、ラセミ体であれ、すべての合成変換を同様の方式で行うことができることが当業者に自明であろう。また、所望の光学活性物質への分離は、任意の所望の時点であれ、本願および化学文献に記載されたような周知の方法を使用した順序で行うことができる。
【0092】
下記反応式において、変数X、Y、W1、W2、W3、J、A1、Z1、Z2、Z3、Z4、R1、R2、Ra、Rb、Rc、Rd、Re、Rf、Rg、Rh、Ri、Rjは、特に断りのない限り、一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3又は6の化合物について本願に記載の通りである。
【0093】
本願の一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物は、以下に調製される実施例の化合物を含む。前記実施例の化合物は、下記中間体の化合物の中から選択される2以上に基づいて文献に記述された様々な方法と、当該分野における通常の技術者に知られている技術常識に基づいて調製するまたは調製することができる。前記中間体の化合物は、以下の記載に加えて、文献に記述された様々な方法と当該分野における通常の技術者に知られた技術常識に基づいて調製するまたは調製することができる。
後述する調製法は、一般式1、2、3、4、5-1、5-2、5-3または6の化合物を調製するために用いられる中間体の調製方法を開示する。
【発明の効果】
【0094】
本発明は、新規化合物であって、GLP-1受容体アゴニストとして優れた活性を示す。また、本発明による化合物は、GLP-1受容体アゴニストへの効果により、耐糖能評価において優れた効果を示し、代謝性疾患に対する治療剤として顕著な効果を示す。さらに、安全性薬理の観点から優れた安全性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0095】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施形態を提示する。しかしながら、以下の実施形態は、本発明をより容易に理解するために提供されるものであり、実施形態によって本発明の内容が限定されるものではない。
以下で言及する試薬および溶媒は、特に断りのない限りSigma-Aldrich,TCIなどで購入したものであり、HPLCは、Waters社のAlliance HPLC systemを用いており、カラムクロマトグラフィー用シリカゲルは、Biotage社のFlash purification systemを用いた。1HNMRデータは、Bruker社のAscendTMシステムを用いて、400MHzで測定しており、Mass Spectrumは、Waters社のMasslynx MSシステムなどを用いた。
【0096】
1H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、すべての場合、提案された構造に適合した。特徴的な化学シフト(δ)は、重水素化溶媒の残留プロトンシグナルに対するppm(part-per-million)(CDCl3:7.27ppm;CD3OD:3.31ppm;DMSO-d6:2.50ppm)で提示され、主要なピークの指定に対する通常の略語として報告される:例えば、s、単一項;d、二重項;t、三重項;q、四重項;m、多重項;br、広い。
【0097】
合成例
合成例1.中間体1~39の合成
中間体1~39の調製工程の例を以下に具体的に記載した。通常の技術者は、調製法1~7の具体的な例を用いて商業的に販売または合成可能な化合物で中間体1~39を調製することができる。
【0098】
【0099】
(1)中間体1(3-フルオロ-4-((3-(ピペリジン-4-イルアミノ)フェノキシ)メチル)ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩)の合成
1)4-((3-ブロモフェノキシ)メチル)-3-フルオロベンゾニトリルの合成
4-(ブロモメチル)-3-フルオロベンゾニトリル(10g)、3-ブロモフェノール(5.46mL)および炭酸カリウム(9.68g)をCH3CN(100mL)に溶解した後、16時間室温で撹拌した。TLCにより反応の進行を確認してから、1N NaOHを加え、EAで2回抽出して有機層で化合物を分離した。得られた有機層に無水NA2SO4を入れて乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した後、ヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより分離した上、DCM/ヘキサン条件で固体化を進め、白色固体である標題化合物(11.88g)を83%の収率で得た。LC-MS(ES+):307(M+H)+。
【0100】
2)tert-ブチル4-((3-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)フェニル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
前記1)で合成された化合物(674mg)、tert-ブチル4-アミノピペリジン-1-カルボキシレート(529mg)、Pd2(dba)3(201mg)、NaOtBu(423mg)、DavePhos(173mg)を丸底フラスコに入れ、トルエン(4mL)溶媒下で撹拌した。窒素バルーンを用いて、反応器内の空気を窒素で置換した後、同じ条件で120℃で加熱して一日攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、EAで溶液を希釈した後、セライトパッドにより無機物を減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、ヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより黄色シロップである標題化合物(177mg)を19%の収率で得た。LC-MS(ES+):426(M+H)+。
【0101】
3)3-フルオロ-4-((3-(ピペリジン-4-イルアミノ)フェノキシ)メチル)ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩の合成
前記2)で合成した化合物(177mg)を丸底フラスコに入れ、次いでDCM(4mL)に溶かして攪拌した。TFA(4mL)を加えて攪拌した後、室温で30分間攪拌した。TLCで反応の終了を確認してから、減圧濾過し、エーテルを入れ、固化させて標題化合物を合成した。LC-MS(ES+):326(M+H)+。
【0102】
2.調製法2
【化49】
(1)中間体2(3-フルオロ-4-(((6-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリジン-2-イル)オキシ)メチル)ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩)の合成
【0103】
1)4-(((6-クロロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロベンゾニトリルの合成
4-シアノ-2-フルオロベンジルアルコール(3.81g)をTHF(54mL)にカリウムtert-ブトキシド(4.24g)を15℃で滴下し、45分間撹拌した。反応混合物に2,4-ジクロロピリジン(3.1g)を滴下し、15℃で18時間撹拌した。反応物にaq.NH4Clを滴下し、反応を終了した後、EAを入れて15分間攪拌した。これをセライトパッドを用いてフィルターした後、ろ液をEAで抽出し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、フィルターで濃縮した。濃縮残渣をヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、白色固体の標題化合物(4.85g)を88%の収率で得た。LC-MS(ES+):263(M+H)+。
【0104】
2)tert-ブチル3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
前記1)で合成された化合物(300.0mg)、4-アミノ-N-Boc-ピペリジン(274.5mg)、Pd2(dba)3(52.3mg)、BINAP(71.1mg)およびCs2CO3(558.2mg)をトルエン(3.0mL)に溶解し、窒素雰囲気下で100℃で16時間撹拌した。反応物を室温まで冷まし、セライトパッドで濾過した後、濾液を濃縮した。濃縮残渣をヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより淡黄色固体の標題化合物(228.2mg)を34.2%の収率で得た。LC-MS(ES+):427(M+H)+。
【0105】
3)3-フルオロ-4-(((6-(ピペリジン-3-イルアミノ)ピリジン-2-イル)オキシ)メチル)ベンゾニトリルトリフルオロ酢酸塩の合成
前記2)で合成した化合物(220.0mg)をDCM(3.0mL)に溶解し、TFA(5.0mL)を滴下した後、1時間室温で攪拌した。反応物を濃縮した後、イソプロピルエーテルをゆっくり滴下し、濾過して明るい淡黄色固体である標的化合物(258mg)を95.9%の収率で得た。LC-MS(ES+):327(M+H)+。
【0106】
3.調製法3
【化50】
(1)中間体3(3-フルオロ-4-(((5-フルオロ-2-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)オキシ)メチル)ベンゾニトリル)の合成
【0107】
1)4-(((6-クロロピリジン-2-イル)オキシ)メチル)-3-フルオロベンゾニトリルの合成
2,4-ジクロロピリジン(1.0g)をトルエン(50mL)に溶解し、ナトリウムtert-ブトキシド(724mg)を0℃で入れ、30分間撹拌した。反応混合物に4-シアノ-2-フルオロベンジルアルコール(760mg)を滴下し、室温で15時間撹拌した。反応物にaq.NH4Clを用いて反応を終了し、EAで2回抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。濃縮残渣をヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより白色固体である標的化合物(900mg)を64%の収率で得た。LC-MS(ES+):263(M+H)+。
【0108】
2)tert-ブチル4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
前記1)で合成した化合物(200mg)をDMSO(1.4mL)に溶解し、室温でトリエチルアミン(0.25mL)、4-アミノ-1-Boc-ピペリジン(285mg)を加え、丸底フラスコで攪拌した。窒素バルーンを用いて反応器内の空気を窒素で置換した後、120℃で1時間撹拌した。蒸留水を入れて反応を終了し、EAで2回抽出した。セライトパッドにより無機物を減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、ヘキサン/アセトン条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより標題化合物(55mg)を17%の収率で得た。LC-MS(ES+):427(M+H)+。
【0109】
3)3-フルオロ-4-(((5-フルオロ-2-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-4-イル)オキシ)メチル)ベンゾニトリルの合成
前記2)で合成した化合物(110mg)を丸底フラスコに入れた後、DCM(1.2mL)に溶解して攪拌した。0℃でTFA(0.6mL)を1滴ずつ添加し、撹拌した後、室温で1時間撹拌した。TLCで反応の終了を確認してから、濾液を減圧濃縮し、DCMに溶かした。NaHCO3飽和水溶液で有機層を洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧して標題化合物(85mg)を99%の収率で得た。LC-MS(ES+):327(M+H)+。
【0110】
4.調製法4
【化51】
(1)中間体4(3-フルオロ-4-(((4-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)ベンゾニトリル)の合成
【0111】
1)tert-ブチル4-((2-クロロピリミジン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
2,4-ジクロロピリジン(2.0g)をDMF(22mL)に溶解し、トリエチルアミン(2.8mL)と4-アミノ-1-Boc-ピペリジン(2.9g)を室温で加え、15時間撹拌した。反応混合物に蒸留水を入れて反応を終了し、EAで2回抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。濃縮残渣をヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより白色固体である標的化合物(2.6g)を62%の収率で得た。LC-MS(ES+):313(M+H)+。
【0112】
2)tert-ブチル4-((2-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリミジン-4-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
前記1)で合成した化合物(1g)をTHF(16mL)に溶解し、室温で水素化ナトリウム(192mg)を添加した。室温で15分間撹拌した後、4-シアノ-2-フルオロベンジルアルコール(726mg)を加え、80℃で2日間撹拌した。TLCで反応の終了を確認し、蒸留水を加えて反応を終了し、EAで2回抽出した。セライトパッドにより無機物を減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、ヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより白色個体の標題化合物(380mg)を28%の収率で得た。LC-MS(ES+):428(M+H)+。
【0113】
3)3-フルオロ-4-(((4-(ピペリジン-4-イルアミノ)ピリミジン-2-イル)オキシ)メチル)ベンゾニトリルの合成
前記2)で合成した化合物(378mg)を丸底フラスコに入れた後、DCM(4.4mL)に溶解して攪拌した。室温でTFA(2.2mL)を加え、室温で1.5時間撹拌した。TLCで反応の終了を確認した後、濾液を減圧濃縮し、DCMに溶かした。NaHCO3飽和水溶液で有機層を洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧して標題化合物(140mg)を48%の収率で得た。LC-MS(ES+):328(M+H)+。
【0114】
5.調製法5
【化52】
(1)中間体5(6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)-N-(ピペリジン-4-イル)ピリジン-2-アミントリフルオロ酢酸塩)の合成
【0115】
1)tert-ブチル4-((6-クロロピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
2,6-ジクロロピリジン(200mg)、tert-ブチル4-アミノピペリジン-1-カルボキシレート(300mg)、Pd2(dba)3(63mg)、Cs2CO3(880mg)及びBINAP(88mg)を丸底フラスコに入れ、トルエン(10mL)溶媒下で撹拌した。窒素バルーンを用いて反応器内の空気を窒素で置換した後、同じ条件で100℃に加熱し、一日撹拌した。TLCで反応の終了を確認し、EAで溶液を希釈した後、セライトパッドにより無機物を減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、ヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより黄色固体である標題化合物(295mg)を70%の収率で得た。
【0116】
2)tert-ブチル4-((6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
前記1)で合成された化合物(256mg)、(5-クロロピリジン-2-イル)メタノール(160mg)、Pd2(dba)3(75.1mg)、ナトリウムtert-ブトキシド(205mg)及びBINAP(76.6mg)を丸底フラスコに入れ、トルエン(10mL)溶媒下で撹拌した。窒素バルーンを用いて反応器内の空気を窒素で置換した後、同じ条件で100℃に加熱して一日攪拌した。TLCで反応の終了を確認し、EAで溶液を希釈した後、セライトパッドにより無機物を減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、ヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより黄色油状物である標題化合物(68mg)を20%の収率で得た。
【0117】
3)6-(((5-(クロロピリジン-2-イル)メトキシ)-N-(ピペリジン-4-イル)ピリジン-2-アミントリフルオロ酢酸塩の合成
前記2)で合成した化合物(68mg)を丸底フラスコに入れた後、DCM(10mL)に溶解して攪拌した。0℃でTFA(1mL)を1滴ずつ添加し、撹拌した後、室温で1時間撹拌した。TLCで反応の終了を確認した後、ろ液を減圧濃縮して得られた標題化合物を精製せずに、次の反応に用いた。
【0118】
6.調製法6
【化53】
(1)中間体6(N-(4-クロロ-2-フルオロベンジル)-6-(ピペリジン-4-イルオキシ)ピリジン-2-アミン)の合成
【0119】
1)tert-ブチル4-((6-クロロピリジン-2-イル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
2,4-ジクロロピリジン(1.0g)をDMF(33mL)に溶解し、水素化ナトリウム(810mg)とtert-ブチル-4-ヒドロキシ-1-ピペリジンカルボキシレート(2.0g)を室温で添加し、4時間撹拌した。反応混合物に蒸留水を入れて反応を終了し、EAで2回抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮した。濃縮残渣をヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより透明な油状物の標的化合物(1.3g)を62%の収率で得た。LC-MS(ES+):313(M+H)+。
【0120】
2)tert-ブチル4-((6-((4-クロロ-2-フルオロベンジル)アミノ)ピリジン-2-イル)オキシ)ピペリジン-1-カルボキシレートの合成
前記1)で合成した化合物(200mg)をPd2(dba)3(29mg)、BINAP(40mg)、ナトリウムtert-ブトキシド(105mg)及び(4-クロロ-2-フルオロフェニル)メタンアミン(122mg)を丸底フラスコに入れ、トルエン(3.2mL)溶媒下で70℃で15時間撹拌した。反応混合物をセライトパッドにより無機物を減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、ヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより白色個体の標題化合物(245mg)を88%の収率で得た。LC-MS(ES+):436(M+H)+。
【0121】
3)N-(4-クロロ-2-フルオロベンジル)-6-(ピペリジン-4-イルオキシ)ピリジン-2-アミンの合成
前記2)で合成した化合物(240mg)を丸底フラスコに入れた後、DCM(2.7mL)に溶解して攪拌した。室温でTFA(1.4mL)を添加し、室温で2時間撹拌した。TLCで反応の終了を確認した後、濾液を減圧濃縮し、DCMに溶かした。NaHCO3飽和水溶液で有機層を洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧して黄色油状物の標題化合物(179mg)を97%の収率で得た。LC-MS(ES+):336(M+H)+。
【0122】
7.調製法7
【化54】
(1)中間体7(tert-ブチル3-((6-ブロモピリジン-2-イル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレート)の合成
【0123】
1)tert-ブチル3-((6-ブロモピリジン-2-イル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレートの合成
tert-ブチル3-メチレンピロリジン-1-カルボキシレート(0.77g)をTHF(20mL)に溶解し、15分間室温でガス脱気(degassing)および窒素バルーンを用いて窒素ガスで置換した後、9-ボラビシクロ(3.3.1)ノナン(9-borabicyclo[3.3.1]nonane,8.4mL,0.5M in THF)を加えた。反応混合物を60℃で3時間反応させ、室温まで冷ました上、予め用意した2,6-ジブロモピリジン(1g)、炭酸カリウム(0.75g)およびPdCl2(dppf)CH2Cl2 complex(0.1g、0.03eq.)をDMF/水(=10mL:1mL)に溶解し、ガス脱気(degassing)した溶液に添加した。反応混合物を85℃で16時間撹拌した。反応が終了した後、1N NaOH水溶液を用いてpH11塩基化した。水層をEAで2回抽出し、合わせた有機層をブリンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥させ、ろ過し、減圧条件で濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、透明な油状物の標題化合物(0.72g)を47%の収率で得た。LC-MS(ES+):341(M+H)+。
【0124】
2)tert-ブチル3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)メチル)ピロリジン-1-カルボキシレートの合成
前記1)で合成した化合物(0.8g、2.344mmol、1.0eq.)をトルエン(25mL)に溶解し、炭酸セシウム(2.28g)、3-フルオロ-4-(ヒドロキシメチル)ベンゾニトリル(425mg)および2-(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル(0.02g、0.09mmol、0.04eq.)を室温で封管(sealed tube)に入れ、15分間ガス脱気(degassing)および窒素バルーンを用いて窒素ガスで置換した。反応混合物にトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.042g)を室温で加え、110℃に加熱した後、16時間撹拌した。反応が終了した後、室温まで冷まし、蒸留水で希釈し、次いでEAで2回抽出した。合わせた有機層を水、ブリンの順で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、減圧条件で濃縮した。得られた濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより茶色油状物の標的化合物(0.5g)を51%の収率で得た。LC-MS(ES+):412(M+H)+。
【0125】
3)3-フルオロ-4-(((6-(ピロリジン-3-イルメチル)ピリジン-2-イル)オキシ)メチル)ベンゾニトリルの合成
前記1)で合成した化合物(1.1g、2.67mmol、1.0eq.)をEA(35mL)に溶解し、室温でパラ-トルエンスルホン酸(p-TSA,1.01g,5.34mmol,2.0eq.)を室温で加えた。反応混合物を65℃で室温で4時間撹拌した。反応が終了し、反応混合物を減圧条件で濃縮し、飽和NaHCO3水溶液で希釈し、DCMで2回抽出した。合わせた有機層をブリンで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過し、濃縮して茶色油状物の標題化合物(0.8g、crude)を得た。得られた化合物は、追加の精製なしに、次の反応に用いた。C-MS(M+H)+:312.31
【0126】
8.中間体8~41の合成
以下の表1に列挙される中間体8~41の化合物は、調製法1~7の合成法と同一または類似の手順を使って、市販の適切な出発物質を用いて調製したり、または当業者に広く知られた調製方法を用いて調製する、または他の中間体について上述した経路と同様の方法で調製した。これらの化合物は、当業者に周知の方法を用いて精製し、これはシリカゲルクロマトグラフィー、HPLC、または反応混合物からの再結晶化を含むことができる。最終化合物は、中性物質または酸付加塩または塩基付加塩として単離することができ、トリフルオロ酢酸(TFA)塩は、少なくとも1つ以上のTFA塩として存在し得る。前記で調製した中間体化合物名とLC-MSデータを下記表1に記載した。
【0127】
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【0128】
実施形態
前記中間体を用いた実施形態1~44の合成方法を以下に具体的に記載した。以下の製造例A、B、Cは、前記中間体を用いて実施形態1~44の合成方法の一例を具体化したものに該当する。通常の技術者は、製造例A、B、Cの具体的な例示を参考にして本発明による実施形態1~44の化合物を合成することができる。
【0129】
1.製造例A
【化55】
(1)実施形態1
((S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸)の合成
【0130】
1)メチル(S)-2-((4-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレートの合成
中間体2(250.0mg)、炭酸カリウム(198.8mg)、中間体40(155.4mg)をCH3CN(4.0mL)に溶解した後、80~90℃で4時間撹拌した。反応物を室温まで冷ました後、セライトパッドにより濾過して濾液を濃縮した。濃縮残渣をヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより淡褐色固体の標題化合物(246.8mg)を88.1%収率で得た。LC-MS(ES+):585[M+H]+。
【0131】
2)最終化合物の合成
前記1)で得た化合物(230mg)を1,4-ジオキサン/H2O(4:1,3mL)に溶解した後、LiOH(33mg)を添加し、60℃で5時間攪拌した。反応物を室温まで冷まし、1N HClで中和した後、EAで抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過して濃縮した。濃縮残渣をDCM/MeOH条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより、明黄色固体の最終化合物(92mg)を41.1%の収率で得た。1H NMR(400 MHz,DMSO-d6):δ 12.81(brs,1H)、8.26(s,1H)、7.89(d,J=1.2 Hz,1H)、7.80(dd,J=6.8 Hz,J=1.6 Hz,1H)、7.69(dd,J=8.0 Hz,J=1.6,1H)、7.64(d,J=8.4 Hz,1H)、7.59(t,J=7.2 Hz,1H)、7.29(t,J=7.6 Hz,1H)、6.47(d,J=7.2 Hz,1H)、6.01(d,J=8.0 Hz,1H)、5.94(d,J=7.6 Hz,1H)、5.40(s,2H)、5.11-5.06(m,1H)、4.48(dd,J=15.2 Hz,J=7.6 Hz,1H)、4.65-4.61(m,1H)、4.52-4.47(m,2H)、4.40-4.36(m、1H)、3.93(d,J=13.6 Hz,1H)、3.74(d,J=13.6 Hz,1H)、3.48-3.47(m,1H)、2.85-2.83(m,1H)、2.76-2.67(m,2H)、2.46-2.39(m,1H)、2.18-2.07(m,2H)、1.73(brs,2H)、1.36-1.28(m,2H);LC-MS(ES+):585[M+H]+。
【0132】
(2)実施形態2~31の合成
以下の表2に列挙される実施形態2~31の化合物は、実施形態1の合成法(製造例A)と同一または類似の手順を使用し、市販の適切な出発物質を用いて調製したり、当業者に広く知られた調製方法を用いたりして調製した。これらの化合物は、当業者に周知の方法を用いて精製し、これはシリカゲルクロマトグラフィー、HPLC、または反応混合物からの再結晶化を含むことができる。最終化合物を中性物質、酸付加塩、または塩基付加塩として単離することができた。前記製造された実施形態の化合物名、NMRデータおよびLC-MSデータを下記表2に記載した。
【0133】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【表2-10】
【表2-11】
【表2-12】
【表2-13】
【表2-14】
【表2-15】
【表2-16】
【表2-17】
【表2-18】
【0134】
2.製造例B
【化56】
(1)実施形態32
(2-(((R)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸)の合成
【0135】
1)メチル2-(((R)-3-((6-((4-シアノ-2-フルオロベンジル)オキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピロリジン-1-イル)メチル)-1-(((S)-オキセタン-2-イル)メチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレートの合成
中間体30(0.35mmol)、炭酸カリウム(152mg)、中間体40(118mg)をCH3CN(5.0mL)に溶解した後、80~90℃で4時間撹拌した。反応物を室温まで冷ました後、セライトパッドによりろ過しし、濾液を濃縮した。濃縮残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(12g SiO2、50% EA->100%EA)で分離精製し、白色固体の標題化合物(130mg)を66%の収率で得た。LC-MS(ES+):571[M+H]+。
【0136】
2)最終化合物の合成
前記1)で得られた化合物(120mg)を1,4-ジオキサン/H2O(4/1,2.0mL)に溶かした後、1N NaOH水溶液0.3mLを滴下し、室温で24時間攪拌した。反応物を室温まで冷まし、1N HClで中和し、5%DCM中のメタノールで抽出した。抽出した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、ろ過し、濃縮してシリカゲルカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH:AcOH=10:1:0.01)で分離精製し、白色固体の最終化合物(72mg)を62%の収率で得た。1H NMR(400 MHz,CDCl3):δ 8.01(d,J=8.0 Hz,1H)、7.89(s,1H)、7.80(d,J=7.4 Hz,1H)、7.63(d,J=8.0 Hz,1H)、7.38(m,2H)、6.11(d,J=8.0 Hz,1H)、6.00(d,J=8.0 Hz,1H)、5.42(s,2H)、5.13(brs,1H)、4.69-4.59(m,4H)、4.42-4.33(m,5H)、4.05(brs,1H)、3.13-2.35(m,4H)、1.92-1.78(m,2H);LC-MS(ES+):557[M+H]+。
【0137】
(2)実施形態33~38の合成
以下の表3に列挙される実施形態33~38の化合物は、実施形態32の合成法(製造例B)と同一または類似の手順を使って、市販の適切な出発物質を用いて調製する、または当業者に周知の調製方法を用いて調製した。これらの化合物は、当業者に周知の方法を用いて精製し、これはシリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC、または反応混合物からの再結晶化を含むことができる。最終化合物を中性物質または酸付加塩または塩基付加塩として単離することができた。前記調製した実施形態の化合物名、NMRデータおよびLC-MSデータを下記表3に記載した。
【0138】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【0139】
3.製造例C
【化57】
(1)実施形態39
((S)-2-((4-((6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル))メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボン酸)の合成
【0140】
1)メチル(S)-2-((4-((6-((5-クロロピリジン-2-イル)メトキシ)ピリジン-2-イル)アミノ)ピペリジン-1-イル)メチル)-1-(オキセタン-2-イルメチル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-6-カルボキシレートの合成
中間体5(crude)、中間体40(47mg)、炭酸カリウム(90mg)を丸底フラスコに入れ、CH3CN(5mL)に溶かし、60℃で一日撹拌した。TLCで反応の終了を確認し、EAで溶液を希釈した後、飽和塩水で有機層を洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、ヘキサン/EA条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより透明なシロップの標題化合物(86mg)を93%の収率で得た。
【0141】
2)最終化合物の合成
前記1)で得た化合物(86mg)を丸底フラスコに入れた後、CH3CN(10mL)に溶かして攪拌した。TBD1.0M水溶液(0.3mL)を一滴ずつ加えて攪拌した後、精製水(1mL)を加えて室温で一日攪拌した。TLCで反応の終了を確認した後、1N HCl水溶液で溶液をpH7に中和した。DCM/MeOH10%溶液を用いて化合物を抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濾過して濾液を受けた。濾液を減圧濃縮した後、DCM/MeOH条件でシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより白色固体の最終化合物(7mg)を8%の収率で得た。1H NMR(DMSO-d6):δ 8.57(d,J=2.4 Hz,1H)、8.23(s,1H)、7.89(dd,J=8.4 Hz,J=2.8 Hz,1H)、7.79(d,J=8.8 Hz,1H)、7.61(d,J=8.4 Hz,1H)、7.35(d,J=8.4 Hz,1H)、7.28(t,J=8.0 Hz,1H)、6.41(d,J=7.2 Hz,1H)、5.97(dd,J=16.4 Hz,J=8.0 Hz,2H)、5.31(s,2H)、5.09-5.04(m,1H)、4.76(dd,J=14.8 Hz,J=7.2 Hz,1H)、4.63-4.59(m,1H)、4.49-4.46(m,1H)、4.40-4.35(m,1H)、3.90(d,J=13.6,1H)、3.72(d,J=13.2,1H)、2.79(d,J=11.2 Hz,1H)、2.72-2.66(m,2H)、2.46-2.39(m,2H)、2.13-2.02(m,2H)、1.66(brs,2H)、1.29-1.23(m,2H);LC-MS(ES+):563[M+H]+。
【0142】
(2)実施形態40~44の合成
以下の表3に列挙される実施形態40~44の化合物は、実施形態39の合成と同一または類似の手順を使って、市販の適切な出発物質を用いて調製したり、当業者に周知の調製方法で調製したりした。これらの化合物は、当業者に周知の方法を用いて精製しており、これはシリカゲルカラムクロマトグラフィー、HPLC、または反応混合物からの再結晶化を含むことができる。最終化合物を中性物質、酸、または塩基塩として単離することができた。前記調製した実施形態の化合物名、NMRデータおよびLC-MSデータを下記表4に記載した。
【0143】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【0144】
前記製造例A、B、Cで調製される実施形態1~44の化合物の構造と化合物名を下記表5に記載した。
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【表5-5】
【表5-6】
【表5-7】
【表5-8】
【表5-9】
【0145】
実験例
1.実験例1.cAMPアッセイ
cAMPアッセイ試験は、cAMPアッセイキットメーカー(CISBIO)が提供するプロトコルに基づいて最適化された試験法に従って行った。cAMP測定用96-ウェルプレート(low volume,white)に、GLP-1受容体CHO-K1細胞を6×103セル/ウェル/5μLで分注した。一つのプレートにある全部のセルのそれぞれに、エキセンジン-4 5μLを0、1、10、100、1000、10000pMで処理した。そして、他のプレートにある全部のセルのそれぞれに、実施形態1、2、5、8、12、13、15、16、19、20、23、29、32、37、39および43の化合物5μLを0、1、10、100、1000、10000nMの濃度でそれぞれ処理した。全ての細胞を常温で7分間インキュベートした。cAMPコンジュゲートと溶出バッファーを1:4の比率で希釈し、cAMP-d2コンジュゲート試薬を用意した。また、cAMPクリプテートコンジュゲートと溶出バッファーを1:4の比率で希釈し、抗cAMPクリプテートコンジュゲート試薬を用意した。cAMP-d2コンジュゲート試薬5μLずつを全てのウェルにて処理した。次いで、cAMPクリプテートコンジュゲート試薬5μLを全てのウェルにて処理した。常温で1時間インキュベートした上、FlexStaton 3(Molecular Devices)機器を用いて665nmでのHTRFシグナルと620nmでのHTRFシグナルを測定した。エキセンジン-4について665nmと620nmで測定した値と実施形態化合物について665nmと620nmで測定した値から665/620の割合を計算した。エキセンジン-4に対する665/620の割合を100%に換算することにより、実施形態化合物のcAMP刺激比であるEmax値を計算した。その結果を下記表5に示した。表中の++は、EC50値が100nΜ未満であることを意味し、+は、EC50値が100nΜ以上200nΜ以下であることを意味する。
【0146】