IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イーライ リリー アンド カンパニーの特許一覧

特許7375214置換7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-A]ピリミジン-3-カルボキサミド誘導体
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-27
(45)【発行日】2023-11-07
(54)【発明の名称】置換7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-A]ピリミジン-3-カルボキサミド誘導体
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20231030BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231030BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20231030BHJP
【FI】
C07D487/04 142
A61K31/519
A61P3/10
A61P17/06
A61P37/02
C07D487/04 CSP
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022548677
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-13
(86)【国際出願番号】 US2021016746
(87)【国際公開番号】W WO2021162944
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】62/975,252
(32)【優先日】2020-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】594197872
【氏名又は名称】イーライ リリー アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【弁理士】
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】ブレイシュ,トーマス ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ガーナート,ダグラス リン
(72)【発明者】
【氏名】スティーブンス,フレディー クレイグ
【審査官】阿久津 江梨子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/023468(WO,A1)
【文献】特表2006-519226(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 487/04
A61K 31/519
A61P 3/10
A61P 17/06
A61P 37/02
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】
で示される化合物であって、
式中、Rが、
【化2】
である、化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項2】
以下の式:
【化3】
で示されるものである、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項3】
Rが、
【化4】
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項4】
Rが、
【化5】
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項5】
前記化合物が、
【化6】
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項6】
以下のもの:
【化7】
である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
前記化合物が、
【化8】
である、請求項1に記載の化合物、またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
以下のもの:
【化9】
である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物。
【請求項10】
請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とともに含む、薬学的組成物。
【請求項11】
患者における乾癬を治療するための、請求項9または10に記載の薬学的組成物。
【請求項12】
患者における全身性エリテマトーデスを治療するための、請求項9または10に記載の薬学的組成物。
【請求項13】
患者における1型糖尿病を治療するための、請求項9または10に記載の薬学的組成物。
【請求項14】
乾癬を治療するための医薬の製造のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の、使用。
【請求項15】
全身性エリテマトーデスを治療するための医薬の製造のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の、使用。
【請求項16】
1型糖尿病を治療するための医薬の製造のための、請求項1~8のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩の、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、TYK2のシュードキナーゼドメイン(JH2)に結合し、かつある特定のサイトカインシグナル伝達、特にIL-23およびIFNαシグナル伝達を阻害する新規化合物と、この化合物を含む薬学的組成物と、ある特定の自己免疫疾患を治療するためにこの化合物を使用する方法と、この化合物の合成に有用な中間体およびプロセスとに関する。
【背景技術】
【0002】
乾癬および糖尿病などの他の自己免疫疾患は、ある特定の炎症性サイトカインのTYK2シグナル伝達によって媒介されると考えられる(例えば、J.S.Tokarski,et al.,J.Biol.Chem.,vol.290(17),pages 11061-11074(2015)、およびL.Marroqui,et al.,Diabetes,vol.64,pages 3808-3817(2015)を参照されたい)。乾癬は、慢性皮膚疾患であり、一般人口の約2%が罹患していると推定される。乾癬の治療選択肢には、例えば、コルチコステロイドなどの局所治療、紫外線B(UVB)光などの光線療法、ならびにメトトレキサートおよびアプレミラストなどの全身療法が挙げられる。残念ながら、そのような薬剤は、効果的な治療を常に提供するとは限らず、種々の有害な副作用を伴う可能性がある。
【0003】
US2019/0031664A1は、TYK2の阻害を通じて様々な炎症性および自己免疫疾患を治療するのに有用なある特定の置換ピラゾロ[1,5-a]ピリミジンを開示する。米国特許第7,557,110号は、炎症性疾患および自己免疫疾患などのキナーゼ媒介性障害を治療するのに有用なキナーゼ阻害剤としてある特定のピラゾロ[1,5-a]ピリミジン誘導体を開示する。
【0004】
乾癬、全身性エリテマトーデス(SLE)、および糖尿病などの自己免疫疾患の代替治療に対する必要性が、存在する。特に、TYK2 JH2ドメインに結合する化合物に対する必要性が、存在する。加えて、TYK2 JH2ドメインに結合し、IL-23およびIFNαシグナル伝達を阻害する化合物に対する必要性が、存在する。
【発明の概要】
【0005】
したがって、一実施形態では、本発明は、式Iの化合物であって、
【化1】
式中、Rが、以下のもの、
【化2】
である、化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。
【0006】
特定の実施形態では、化合物は、式Iaのもの、
【化3】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0007】
特定の実施形態では、化合物は、式Ibのもの、
【化4】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0008】
一実施形態では、Rは、以下のもの、
【化5】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0009】
一実施形態では、Rは、以下のもの、
【化6】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0010】
一実施形態では、化合物は、以下のもの、
【化7】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0011】
一実施形態では、化合物は、以下のもの、
【化8】
またはその薬学的に許容される塩である。
【0012】
一実施形態では、本発明は、乾癬の治療を必要とする患者における乾癬を治療する方法であって、患者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法も提供する。一実施形態では、本発明は、SLEの治療を必要とする患者におけるSLEを治療する方法であって、患者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法をさらに提供する。一実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、リウマチ様関節炎(RA)、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、体軸性脊椎関節炎、多発性硬化症(MS)、1型糖尿病、2型糖尿病、および成人潜在性自己免疫性糖尿病(LADA)からなる群から選択される疾患の治療を必要とする患者におけるそのような治療を行う方法であって、患者に、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の有効量を投与することを含む、方法をさらに提供する。
【0013】
一実施形態では、本発明は、療法に使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本発明は、乾癬の治療に使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本発明は、SLEの治療に使用するための、式Iの化合物、またはその薬学的に許容される塩を提供する。一実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、RA、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、体軸性脊椎関節炎、MS、1型糖尿病、2型糖尿病、およびLADAからなる群から選択される疾患の治療に使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩も提供する。
【0014】
一実施形態では、本発明は、乾癬を治療するための医薬の製造のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。一実施形態では、本発明は、SLEを治療するための医薬の製造のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用を提供する。一実施形態では、本発明は、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病、乾癬性関節炎、RA、円形脱毛症、アトピー性皮膚炎、軸性脊椎関節炎、MS、1型糖尿病、2型糖尿病、およびLADAからなる群から選択される疾患を治療するための医薬の製造のための、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩の使用も提供する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤とともに式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含む、薬学的組成物をさらに提供する。一実施形態では、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を、1つ以上の薬学的に許容される担体、希釈剤または賦形剤と混合することを含む、薬学的組成物を調製するためのプロセスをさらに提供する。一実施形態では、本発明は、式Iの化合物の合成のための新規中間体およびプロセスも包含する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で使用される場合、「治療すること」、「治療」、または「治療する」という用語は、既存の症状または障害の進行または重症度を抑制すること、遅延させること、阻止すること、または改善することを含む。
【0017】
本明細書で使用される場合、「患者」という用語は、哺乳類、特にヒトを指す。
【0018】
本明細書で使用される場合、「有効量」という用語は、患者に単回または複数回投与すると、診断中または治療中の患者に所望の効果を提供する、本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩の量または投与量を指す。
【0019】
有効量は、既知の技法の使用によって、かつ同様の状況下で得られた結果を観察することによって、当業者により決定され得る。患者のための有効量を決定する際には、担当診断医によって多数の要因が考慮され、これらの要因には、患者の人種;患者のサイズ、年齢、および全体的な健康状態;関与する特定の疾患または障害;疾患または障害の程度または関与もしくは重症度;個々の患者の応答;投与される特定の化合物;投与の様式;投与される調製物の生物学的利用能の特性;選択された投与レジメン;付随する薬物の使用;ならびに他の関連する状況が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
本発明の化合物は、本化合物を生物学的に利用可能にする任意の経路によって投与される薬学的組成物として製剤化される。より好ましくは、そのような組成物は、経口投与用である。そのような薬学的組成物およびそれを調製するためのプロセスは、当該技術分野で周知である(例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,L.V.Allen,Editor,22nd Edition,Pharmaceutical Press,2012を参照されたい)。
【0021】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩は、本発明の治療方法に特に有用であり、鏡像異性体を含むすべての立体配置およびラセミ体を含むそれらの混合物が本発明の範囲内で企図される。これらの立体配置は本発明の治療方法および化合物の両方に適用可能であることが、理解される。
【0022】
以下の調製物に記載される特定の中間体は、1つ以上の窒素保護基を含んでもよい。保護基は、特定の反応条件および実施される特定の変換に応じて、当業者によって認識されるように変化し得ることが理解される。保護および脱保護条件は、当業者に周知であり、文献(例えば、”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”,Fourth Edition,by Peter G.M.Wuts and Theodora W.Greene,John Wiley and Sons,Inc.2007を参照のこと)に記載されている。
【0023】
鏡像異性体を含む個々の異性体は、選択的結晶化技術またはキラルクロマトグラフィーなどの方法によって、本発明の化合物の合成における任意の好都合な時点において、当業者により分離または分割されてもよい(例えば、J.Jacques,et al.,”Enantiomers,Racemates,and Resolutions”,John Wiley and Sons,Inc.,1981、およびE.L.Eliel and S.H.Wilen,”Stereochemistry of Organic Compounds”,Wiley-Interscience,1994を参照されたい)。
【0024】
本発明の化合物の薬学的に許容される塩を、例えば、当該技術分野で周知の標準的な条件下で、ジエチルエーテルなどの好適な溶媒中で、本発明の化合物の適切な遊離塩基の、適切な薬学的に許容される酸の反応によって形成することができる。加えて、そのような薬学的に許容される塩の形成は、窒素保護基の脱保護と同時に起こり得る。例えば、Gould,P.L.,“Salt selection for basic drugs,”International Journal of Pharmaceutics,33:201-217(1986)、Bastin,R.J.,et al.“Salt Selection and Optimization Procedures for Pharmaceutical New Chemical Entities,”Organic Process Research and Development,4:427-435(2000)、およびBerge,S.M.,et al.,“Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19,(1977)を参照されたい。
【0025】
ある特定の略語は以下のように定義される。「BINAP」は、(±)-2,2′-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1′-ビナフタレンを指し、「BOP」は、(ベンゾトリアゾール-1-イルオキシ)トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートを指し、「DCM」は、ジクロロメタンを指し、「DEM」はマロン酸ジエチルを指し、「DIEA」は、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを指し、「DMEM」は、Dulbecco’s Modified Eagle’s Mediumを指し、「DMF」は、N,N-ジメチルホルムアミドを指し、「DMSO」は、ジメチルスルホキシドを指し、「DMT」は、ジメルカプトトリアジンを指し、「EtOAc」は、酢酸エチルを指し、「EtOH」は、エタノールおよびエチルアルコールを指し、「FBS」は、胎仔ウシ血清を指し、「HATU」は、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスフェートを指し、「HEPES」は、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸を指し、「HPLC」は、高速液体クロマトグラフィーを指し、「IFNα」は、インターフェロンアルファを指し、「IL-2」は、インターロイキン2を指し、「IL-23」は、インターロイキン23を指し、「JAK」は、ヤヌスキナーゼを指し、「LiHMDS」は、リチウムヘキサメチルジシラジドを指し、「MeI」はヨウ化メチルを指し、「MeNH」は、メチルアミンを指し、「MeOH」は、メタノールおよびメチルアルコールを指し、「MTBE」は、メチルtert-ブチルエーテルを指し、「NaOEt」は、ナトリウムエトキシドを指し、「Pd(OAc)」は、パラジウム(II)アセテートを指し、「RPM」は、毎分回転数を指し、「RPMI」は、Roswell Park Memorial Instituteを指し、「TEA」はトリエチルアミンを指し、「THF」は、テトラヒドロフランを指し、「TYK2」は、チロシンキナーゼ2を指し、「UVB」は、紫外線Bを指し、「STAT」は、転写タンパク質のシグナルトランスデューサーおよび活性化因子を指す。
【0026】
本発明の化合物またはその薬学的に許容される塩は、当業者に既知の様々な手順によって調製されてもよく、そのうちのいくつかが、以下のスキーム、調製物、および実施例に示される。以下のスキームにおける各ステップの生成物は、抽出、蒸発、沈殿、クロマトグラフィー、濾過、粉砕、および結晶化を含む、当該技術分野で周知の従来の方法によって回収することができる。以下のスキームにおいて、すべての置換基は、別途指示のない限り、すでに定義したとおりである。試薬および出発材料は、当業者にとって容易に入手可能である。本発明の範囲を限定することなく、以下のスキーム、調製物、および実施例は、本発明をさらに説明するために提供される。
【0027】
スキーム1
【化9】
スキーム1、ステップAにおいて、化合物(2)の形成を、0~22℃のDMFなどの溶媒中でDIEAなどの好適な有機塩基およびHATUなどの好適なカップリング剤を使用する、化合物(1)とMeNHとの間の当該技術分野で周知の条件下でのアミドカップリングとして示す。
【0028】
ステップBにおいて、MeIは、ジメチルスルホニウムヨージド塩を形成するための化合物(2)へ添加され、続いて0~22℃でのTHFなどの好適な溶媒中でLiHMDSなどの好適な塩基での処理を行って、環化化合物(3)を得る。
【0029】
ステップCにおいて、化合物(3)を、約55℃のアセトニトリルなどの好適な溶媒中で4-メチルベンゼンスルホン酸などの好適な酸を使用して、標準条件下で脱保護し、続いてMTBEなどの溶媒を添加して、化合物(4)を沈殿させる。
【0030】
スキーム2
【化10】
スキーム2、ステップAは、化合物(5)へのDEMの添加、およびEtOHなどの溶媒中で約80℃でNaOEtまたはカリウムt-ブトキシドなどの好適な塩基を使用する化合物(6)へのその後の環化を示す。
【0031】
ステップBにおいて、化合物(6)の7-ヒドロキシおよび5-オキソ基を、アセトニトリルなどの好適な溶媒中で約50~100℃でPOClなどの好適な塩素源およびピリジンなどの好適な有機塩基を使用して塩素化して、化合物(7)を得ることができる。
【0032】
ステップCにおいて、化合物(7)の7-クロロ基上の選択的求核芳香族置換を、周囲温度でTHFなどの好適な溶媒中のMeNHなどの適切な求核試薬を使用する当技術分野で周知の条件下で実施して、化合物(8)を得ることができる。
【0033】
ステップDにおいて、Buchwaldカップリングを、130℃で加熱しながら1,4-ジオキサンおよび2-メチル-2-ブタノールなどの適切な溶媒系中で、アリルパラジウム(II)クロリド二量体およびBINAPなどの好適な触媒およびリガンド系を酢酸カリウムなどの好適な塩基とともに使用して、置換アミノピリジンとともに化合物(8)で実施して、化合物(9)を形成することができる。
【0034】
化合物(9)を、還流下でEtOHおよびTHFなどの好適な溶媒系中で水性LiOHなどの好適な塩基で処理して、ステップEに示すようにエステルの塩基性加水分解を通じて化合物(10)を得ることができる。
【0035】
ステップFは、DMFなどの溶媒中でDIEAなどの好適な有機塩基およびBOPなどの好適なカップリング剤を使用して、化合物(10)と化合物(4)との間の当該技術分野で周知の条件下でのアミドカップリングを示す。
【0036】
スキーム3
【化11】
スキーム3、ステップAは、50℃で1,4-ジオキサンなどの溶媒中、NaOH水溶液などの好適な塩基を用いて化合物(8)を塩基性加水分解して、化合物(11)を得ることを示す。
【0037】
ステップBは、化合物(12)を得るためのスキーム2、ステップFに一般的に記載される条件下での化合物(11)と(4)との間のアミドカップリングを示す。
【0038】
ステップCにおいて、Buchwaldカップリングを、130℃で加熱しながら1,4-ジオキサンなどの適切な溶媒中で、アリルパラジウム(II)クロリド二量体およびBINAPなどの好適な触媒およびリガンド系を酢酸カリウムなどの好適な塩基とともに使用して、置換アミノピリジンとともに化合物(12)で実施して、式Iaの化合物を得ることができる。
【0039】
調製物1
【化12】
スキーム1、ステップA:DMF(4L)中の(tert-ブトキシカルボニル)-D-メチオニン(400g、1.6mol)、メチルアミン塩酸塩(162.47g、2.4mol)、およびDIEA(700mL、4.01mol)の溶液を0℃まで冷却し、HATU(732.1g、1.92mol)を添加する。反応物を周囲温度まで温める。2時間撹拌した後、溶媒を蒸発させる。次いで、水(10L)を添加し、水溶液をDCM(2×3L)で抽出する。有機層を、合わせ、飽和重炭酸ナトリウム水溶液(3L)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空で濃縮する。得られた残留物を、ヘキサン中のEtOAcで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色の固体として得る(368g、87%)。ES/MS m/z 263(M+H)。
【0040】
調製物2
【化13】
スキーム1、ステップB:tert-ブチルN-[(1R)-1-(メチルカルバモイル)-3-メチルスルファニル-プロピル]カルバメート(368g、1.40mol)およびMeI(3.68L、59.11mol)の混合物を、周囲温度で18時間撹拌する。次いで、混合物を、真空中で濃縮する。得られた粗製ジメチルスルホニウムヨージド塩(210g、0.52mol)の一部分を、THF(4.7L)に溶解し、窒素雰囲気下で0℃まで冷却し、LiHMDS(THF中の1.00M溶液、1.16L、1.16mol)を滴下する。次いで、反応混合物を周囲温度まで温める。4時間後、水(2.4L)を添加し、溶媒を濃縮して半分の体積にする。混合物をDCM(2×3L)で抽出する。有機物を、合わせ、真空で濃縮する。残留物を、DCM中のMeOHで溶出するシリカゲルクロマトグラフィーによって精製して、表題化合物を白色の固体として得る(50g)。ES/MS m/z 215(M+H)。キラルHPLC:Rt(保持時間)=9.13分;LCカラム:ChiralPAc IA OD 4.6×250mm 5μm;アイソクラティック:0.1%ジエチルアミン/ヘキサン/エタノール(85/15);カラム温度:25℃;流速:1.0mL/分。
【0041】
旋光度:[α] 20=+53°(C=0.5、MeOH)。
【0042】
調製物3
【化14】
スキーム1、ステップC:アセトニトリル(500mL)中のtert-ブチルN-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]カルバメート(46g、214.69mmol)および4-メチルベンゼンスルホン酸(74.5g、433mmol)を55℃で加熱し、4時間撹拌する。次いで、MTBE(1L)を添加し、混合物を22℃まで冷却する。得られた固体を濾過により収集し、追加のMTBEで洗浄し、真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物を白色の固体として得る(60g、95%)。ES/MS m/z 115(M+H)。
【0043】
旋光度:[α] 20=+31.3°(C=0.5、MeOH)。
【0044】
調製物4
【化15】
スキーム2、ステップA:エチル5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(12.5g、80.6mmol)、およびDEM(18.5mL、121mmol)を、EtOH(90mL)に溶解する。この混合物に、NaOEt(EtOH中21質量%、45.1mL、121mmol)を添加し、混合物を90℃で24時間撹拌する。この後、混合物を、周囲温度まで冷却する。次いで、混合物を5N HCl水溶液で酸性にし、得られた沈殿物を濾過して、表題化合物を白色の固体として得る(11.7g、65.1%)。ES/MS m/z 224(M+H)。
【0045】
代替調製物4
スキーム2、ステップA:EtOH(6.00L)中のエチル5-アミノ-1H-ピラゾール-4-カルボキシレート(400g、2.58mol)およびDEM(584mL、3.87mol)の溶液に、カリウムt-ブトキシド(578g、5.16mol)を、窒素下で25℃で添加する。溶液を、80℃で12時間撹拌し、次いで22℃まで冷却する。反応混合物を0.1N HCl(2L)で希釈し、pHを5N HClで3に調整する。混合物を濾過し、フィルターケーキを水(800mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をオフホワイトの固体として得る(460g、81%)。ES/MS m/z 224(M+H)。
【0046】
調製物5
【化16】
スキーム2、ステップB:エチル7-ヒドロキシ-5-オキソ-4H-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(11.7g、52.4mmol)をアセトニトリル(50mL)に懸濁し、窒素で5分パージする。この混合物に、POCl(14.8mL、157mmol)、続いてピリジン(4.28mL、52.4mmol)を50℃で添加し、次いで混合物を100℃で5時間撹拌する。この後、混合物を、周囲温度まで冷却し、氷/水混合物に注ぐ。この混合物を飽和重炭酸ナトリウム水溶液で中和し、得られた沈殿物を濾過して、表題化合物を白色固体として得る(13g、95.3%)。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)260/262[M+H]
【0047】
代替調製物5
スキーム2、ステップB:アセトニトリル(2L)中のエチル7-ヒドロキシ-5-オキソ-4H-ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(400g、1.79mol)の懸濁液に、POCl(416mL、4.48mol)およびピリジン(217mL、2.69mol)を窒素下で、50℃で滴下する。混合物を、80℃で12時間撹拌する。反応混合物を真空で濃縮し、残留物を水(2L)に注ぐ。反応混合物を濾過し、固体を水(800mL)で洗浄する。固体を真空下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物をオレンジ色の固体として得る(360g、66%)。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)260/262[M+H]
【0048】
調製物6
【化17】
スキーム2、ステップC:エチル5,7-ジクロロピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(50.0g、192mmol)をTHF(250mL)に添加し、溶液を10℃まで冷却する。次いで、MeNH溶液(EtOH中33%w/w)(79mL、634mmol)を添加し、温度を20℃未満に保つ。混合物を、撹拌し、22℃まで温め、4時間撹拌する。次いで水(300mL)を添加し、混合物をさらに1時間撹拌する。得られた固体を濾過により収集し、THF/水混合物(2:3)(100mL)および水(400mL)で洗浄する。次いで、固体を真空(10mbar/50℃)下で恒重量まで乾燥させて、表題化合物を淡褐色の固体(49.5g、90%)として得る。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)255/257[M+H]
【0049】
調製物7
【化18】
スキーム3、ステップA:1N NaOH(50mL、50mmol)を1,4-ジオキサン(50mL)中のエチル5-クロロ-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(9.05g、35.5mmol)に添加し、混合物を50°Cに温める。16時間後、混合物を周囲温度まで冷却し、pHを1N HClの添加によって約3に調整する。固体を、収集し、真空下で乾燥させて、表題化合物を淡黄褐色の固体(8.0g、99%超)として得る。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)227/229[M+H]
【0050】
調製物8
【化19】
スキーム2、ステップD:丸底フラスコに、エチル5-クロロ-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(1.3g、5.1mmol)、6-エトキシピリジン-2-アミン(850mg、6.2mmol)、酢酸カリウム(1.1g、11mmol)、2-メチルブタン-2-オール(1.4mL)、および1,4-ジオキサン(14mL)を充填する。フラスコに、窒素を5分間流す。BINAP(0.23g、0.36mmol)および塩化アリルパラジウム(II)二量体(92mg、0.24mmol)を添加し、混合物を130°Cに加熱する。1時間後、混合物を、周囲温度まで冷却し、水(30mL)で希釈する。混合物を珪藻土を通して濾過し、濾液をMeOH(400mL)およびDCM(100mL)に懸濁する。SiliaMetS(登録商標)DMT樹脂(SiliCycle R79030B)を添加し、混合物を80°Cで4時間加熱する。混合物を、周囲温度まで冷却し、濾過し、周囲温度で真空下で乾燥して、表題化合物(1.7g、93%)を得る。ES/MS m/z 357(M+H)。
【0051】
調製物9
【化20】
スキーム2、ステップE:丸底フラスコに、水(11mL)に溶解したエチル5-[(6-エトキシ-2-ピリジル)アミノ]-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキシレート(1.7g、4.8mmol)、EtOH(18mL)、THF(5mL)、およびLiOH(0.5g、20mmol)を充填した。混合物を、窒素下で4時間加熱還流し、次いで周囲温度まで冷却させる。pHを、5N HClの添加によって約4に調整する。30分間撹拌した後、得られた固体を、濾過し、氷冷水(20mL)で洗浄し、真空下、周囲温度で乾燥させて、表題化合物(1.4g、89%)を得る。ES/MS m/z 329.0(M+H)。
【0052】
調製物10
【化21】
スキーム3、ステップB:BOP(7.2g、16mmol)を、5-クロロ-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(2.75g、12.1mmol)、(3R)-3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オン;DMF(50mL)中の4-メチルベンゼンスルホン酸(3.48g、12.2mmol)およびDIEA(9mL、51.6mmol)の混合物に添加する。周囲温度で1時間撹拌後、100mLの氷水を添加し、混合物を20分間撹拌する。得られた固体を、収集し、追加の水で洗浄し、真空下で乾燥させて、表題化合物をかすかな黄色の固体(2.54g、65%)として得る。ES/MS m/z(35Cl/37Cl)323/325[M+H]
【0053】
調製物11
TYK2-JH2トレーサー結合アッセイ用のトレーサーの調製
(2E)-2-[(2E、4E)-5-[3-[6-[4-[4-[[5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-6-(メチルカルバモイル)-1,2,4-トリアジン-3-イル]アミノ]ピラゾール-1-イル]-1-ピペリジル]-6-オキソ-ヘキシル]-3-メチル-5-スルホナト-1-(3-スルホナトプロピル)インドール-1-イウム-2-イル]ペンタ-2,4-ジエニリデン]-3,3-ジメチル-1-(3-スルホナトプロピル)インドリン-5-スルホネート;トリエチルアンモニウム
2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリン(5.95g、29.1mmol)をNMP(20mL)中のエチル5-クロロ-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキシレート(6.8g、29.0mmol)に添加し、混合物を周囲温度で撹拌する。90分後、ジエチルエーテル(100mL)を添加し、混合物を15分間撹拌する。得られた固体を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。固体を、DCMと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配する。有機層を、飽和塩化ナトリウム水溶液でさらに洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、エチル5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキシレートをかすかな黄色の固体(10.12g、82%)として得る。ES/MS m/z 402.2(M+H)。
【0054】
エチル5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキシレート(10.12g、23.7mmol)を、THF中(75mL、150mmol)の2M MeNH中で、周囲温度で4時間撹拌する。ジエチルエーテル(100mL)を添加し、混合物を15分間撹拌する。得られた固体を収集し、ジエチルエーテル(50mL)で洗浄し、真空下で乾燥させて、5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミドを淡黄色の固体として得る(8.03g、78%)。ES/MS m/z 387.0(M+H)。
【0055】
m-クロロペルオキシ安息香酸(703mg、3.14mmol)を、DMF(12.5mL)中の5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-メチルスルファニル-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミド(500mg、1.26mmol)の懸濁液に0℃で添加し、周囲温度まで温める。30分後、tert-ブチル4-(4-アミノピラゾール-1-イル)ピペリジン-1-カルボキシレート(520mg、1.89mmol)を添加し、混合物を周囲温度で撹拌する。24時間後、混合物を、DCMと飽和重炭酸ナトリウム水溶液とに分配する。有機層を、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させる。得られた固体をジエチルエーテルで数回粉砕し、真空下で乾燥させて、tert-ブチル4-[4-[[5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-6-(メチルカルバモイル)-1,2,4-トリアジン-3-イル]アミノ]ピラゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシレートを86%純粋な黄色の固体として得る(720mg、81%)。ES/MS m/z 605.2(M+H)。
【0056】
ジオキサン(2.5mL、10mmol)中の4N HClを、MeOH(5mL)中のtert-ブチル4-[4-[[5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-6-(メチルカルバモイル)-1,2,4-トリアジン-3-イル]アミノ]ピラゾール-1-イル]ピペリジン-1-カルボキシレート(720mg、1.0mmol)の懸濁液に添加し、周囲温度で撹拌する。72時間後、混合物を蒸発させる。得られた物質をDCM(100mL)と水(20mL)とに分配する。水層のpHを、1N NaOHを添加して8超に調整し、3:1のクロロホルム/イソプロパノールで抽出する。有機層を混合し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、蒸発させる。得られた固体をジエチルエーテルで粉砕し、次いで真空下で乾燥させて、5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-[[1-(4-ピペリジル)ピラゾール-4-イル]アミノ]-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミドを86%純粋な黄色の固体として得る(585mg、97%)。ES/MS m/z 505.0(M+H)。
【0057】
DMSO(1mL)中の(2E)-2-[(2E、4E)-5-[3-[6-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イル)オキシ-6-オキソ-ヘキシル]-3-メチル-5-スルホナト-1-(3-スルホナトプロピル)インドール-1-イウム-2-イル]ペンタ-2,4-ジエニリデン]-3,3-ジメチル-1-(3-スルホナトプロピル)インドリン-5-スルホンナートトリエチルアンモニウム(10mg、0.008mmol)の溶液を、DMSO(1mL)中の5-[2-メトキシ-3-(1-メチル-1,2,4-トリアゾール-3-イル)アニリノ]-N-メチル-3-[[1-(4-ピペリジル)ピラゾール-4-イル]アミノ]-1,2,4-トリアジン-6-カルボキサミド(4.5mg、0.008mmol)およびTEA(0.002mL、0.014mmol)の溶液に添加する。反応バイアルを、光から保護するためにアルミホイルで包み、周囲温度で一晩撹拌した。得られた残留物を、水中の0~20%のアセトニトリルで溶出する分取HPLC(Kinetix EVO C18 30mm×100mm、5μm)によって精製して、表題化合物を明るい青色の固体(8.5mg、65%)として得る。ES/MS m/z 673.4(M+H)。
【実施例
【0058】
実施例1
【化22】
スキーム2、ステップF:5-[(6-エトキシ-2-ピリジル)アミノ]-7-(メチルアミノ)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボン酸(1.4g、4.3mmol)、(3R)-3-アミノ-1-メチル-ピロリジン-2-オン;DMF(25mL)中の4-メチルベンゼンスルホン酸(1.2g、4.1mmol)の混合物に、DIEA(3ml、17mmol)およびBOP(2.5g、5.5mmol)を添加した。周囲温度で18時間撹拌後、反応混合物を、3:1のDCMおよびMeOHと2N NaOH水溶液とに分配する。水層を、3:1のDCMおよびMeOHで2回抽出する。有機層を、合わせ、5N NaOH水溶液および飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮する。得られた残留物を逆相クロマトグラフィーを介して精製して、表題化合物(0.94g、52%)を得る。ES/MS m/z 425.2(M+H)。
【0059】
実施例2
【化23】
スキーム3、ステップC:20mLバイアルに、5-クロロ-7-(メチルアミノ)-N-[(3R)-1-メチル-2-オキソ-ピロリジン-3-イル]ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(1g、3.1mmol)、4,6-ジメチルピリジン-2-アミン(660mg、5.4mmol)、および酢酸カリウム(770mg、7.8mmol)を充填した。バイアルを、排気し、窒素で3回充填し戻す(back-fill)。1,4-ジオキサン(11mL)、(R)-BINAP(160mg、0.25mmol)および塩化アリルパラジウム(II)二量体(66mg、0.18mmol)を添加し、バイアルに、窒素を流し、130°Cに加熱する。約30分後、混合物を、周囲温度まで冷却し、EtOAc(75mL)および水(50mL)の混合物に注ぐ。約10分間激しく撹拌した後、混合物を濾過する。固体を、EtOAcおよび水で連続的に洗浄し、次いで真空下で乾燥させて、粗ベージュ色の固体を得る。固体を、DMF(20mL)、DMSO(20mL)、およびMeOH(5mL)の混合物に懸濁する。1gのSiliaMetS(登録商標)DMT樹脂(SiliCycle R79030B)を添加し、混合物を80℃に設定した加熱ブロック内で一晩撹拌する。樹脂を、濾過し、追加のDMFおよびDMSOで洗浄する。濾液を高真空下で濃縮して、表題化合物をオフホワイトの固体(725mg、57%)として得る。ES/MS m/z 409[M+H]
【0060】
TYK2-JH2トレーサー結合アッセイ
N末端His6タグを有するヒトJAK(細胞質チロシンキナーゼのJanusファミリー)ファミリーチロシンキナーゼ2(TYK2)(Genbank NP_003322)のシュードキナーゼドメイン(JH2)を、バキュロウイルス中で発現させ、HisPur Ni-NTAアフィニティーおよびSuperdex 200サイズ排除クロマトグラフィーによって精製する。Alexa Fluor 647色素(Thermo Fisher Scientific)と好適なTYK2 JH2バインダーとのコンジュゲートである調製物11で調製した化合物を、本明細書では「トレーサー」と呼ぶ。実施例1および実施例2の化合物の3倍、10点段階希釈を100%DMSO、50nL/ウェルで調製し、音響液体処理を使用して、Proxiplate-384Fホワイトプレート(PerkinElmer 6008280)に移す。阻害率を決定するために使用した対照ウェルには、100%DMSO(50nL)と、トレーサー(最終濃度2.00nM)(最小、低FRET)または希釈TYK2-JH2酵素(最終濃度0.200nM)およびトレーサー(最終濃度2.00nM)(最大、高FRET)のいずれかのアッセイバッファーが含まれていた。
【0061】
アッセイバッファー(50mMのHEPES pH7.5、10mMの塩化マグネシウム、1mMのエチレングリコール-ビス(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N′,N′-四酢酸、0.01%のBrij-35およびMilli-Q)水中の5.0μLのHisタグ付きTYK2-JH2(0.402nM)およびLanthaScreen Eu-抗HIS抗体(4.02nM、LifeTech、PV5597)を50nLの希釈化合物を含むProxiplate-384プレートおよび対照ウェルに添加する。アッセイ緩衝液中の5.0μLのトレーサー(最終濃度2.00nM)を、プレートに添加し、周囲温度で30分間平衡化させる。30分後、プレートをPerkinElmer Envisionで、励起(340nm)、トレーサー発光(665nm)、LanthaScreen Eu-抗His抗体発光(615nm)の設定で計数する。LanthaScreen Eu-抗His抗体発光(615nm)に対するトレーサー発光(665nm)の比率を決定する。各阻害剤濃度での阻害パーセント比を、最大および最小の対照ウェルを使用して計算し、GeneData Screener(登録商標)の4パラメータ非線形ロジスティック方程式に適合させて、実施例1の化合物について0.254nM未満(n=1)、かつ実施例2の化合物について0.254nM未満(n=1)のIC50を得る。この結果は、実施例1および実施例2の化合物がインビトロでTYK2-JH2シュードキナーゼドメインに結合することを実証する。
【0062】
TF1細胞におけるpSTAT1を通じたIFNαシグナル伝達の阻害
TF1細胞(ATCC、CL-2003)を、10%透析FBS、0.1mg/mLアンピシリン、および2ng/mL顆粒球マクロファージコロニー刺激因子を補充したRPMI 1640(GIBCO)で培養する。TF1細胞(ウェルあたり100K)を、無血清DMEM中、96ウェルのポリ-D-リジン被覆プレートに播種し、37℃で、5%CO下で一晩インキュベートする。実施例1を、DMSOで段階希釈し、細胞に添加し、37℃で1時間インキュベートする。次いで、細胞を、10ng/mL IFNα2で37°Cで20分間刺激する。培地を除去した後、細胞を、Haltプロテアーゼおよびホスファターゼ阻害剤カクテル(Thermo Scientific#78441)を含有するバッファー中、周囲温度で30分間溶解する。p-Stat1(Tyr701)の量を、AlphaLISA SureFire Ultra p-Stat1(Tyr701)アッセイキット(Perkin Elmer#ALSU-PST1-A50K)を使用して、ベンダーの推奨プロトコルに従って615nmでの発光として定量化する。各阻害剤濃度のパーセント阻害を、計算し、Genedata Screener(登録商標)を使用して4パラメータ非線形ロジスティック方程式に適合させて、平均の標準誤差(SEM)を有するGeoMetric平均として表された、実施例1の化合物について0.038μM(±0.004μM、n=2)かつ実施例2の化合物について0.084μM(n=1)のIC50を得る。この結果は、実施例1および実施例2の化合物が、TF1細胞におけるpSTAT1を通じたIFNαシグナル伝達の阻害剤であることを実証する。
【0063】
IL23 pSTAT3 AlphaLISAアッセイ
内因性IL23受容体を発現するIL2依存性Kit225細胞(University of Texas MD Anderson Cancer Center)に、ホタルルシフェラーゼに連結されたLenti STAT3 Reporter(SABiosciences CLS-6028L)を安定的に形質導入させる。これらの細胞を使用して、AlphaLISAテクノロジー(TGR Biosciences ALSU-TST3-A50K)を使用するIL2の存在下のIL23による誘導に続くSTAT3リン酸化によって引き起こされた遺伝子発現を定量化することによって、TYK2活性を監視する。細胞を、10% FBS(Invitrogen 10082)、1X Pen/Strep(Gibco 15140-122)、200ng/mL ピューロマイシン(Sigma P9620)、および新鮮な10ng/mL 組換えヒトIL2(R&D Systems 202-IL-50)を補充したRPMI 1640(Gibco 22400)で培養する。
【0064】
アッセイ調製のために、細胞をDMEM(Sigma D5796)中のBiocoatブラックポリ-d-リジン被覆透明底384ウェルプレート(Becton Dickinson Bio-Coat 35-4640)内に300,000細胞/ウェルで分注し、37℃で一晩インキュベートさせる。DMSOに可溶化された化合物を、1:3で段階希釈し、10点濃度応答曲線を作成する(最終DMSO=0.1%)。細胞を、実施例1とともに37℃で1時間プレインキュベートし、次いでIL23(最終25ng/mL)で30分間刺激する。2000rpmで10分間遠心分離した後、細胞ペレットを、1:1溶解バッファー(TGR Biosciences)およびHalt Protease&Phosphatase阻害剤カクテル(Thermo Scientific 1861281)の混合物で30分間溶解する。AlphaLISA反応を、ベンダーが推奨するプロトコルに従って実施し、ルシフェラーゼレベルを、Envisionプレートリーダー(Perkin Elmer)を使用して測定する。相対的IC50を、4パラメータ非線形ロジスティック方程式(GeneData Screener 13.0.5)を使用して計算して、平均の標準誤差(SEM)を有するGeoMetric平均として表された、実施例1の化合物について0.029μM(±0.007μM、n=2)かつ実施例2の化合物について0.060μM(n=1)のIC50を得る。この結果は、実施例1および実施例2の化合物が、細胞ベースのアッセイにおいてIL-23シグナル伝達の阻害剤であることを実証する。