(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】薄い光学セキュリティ要素及びそれを設計する方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G02B5/18
(21)【出願番号】P 2020508586
(86)(22)【出願日】2018-09-28
(86)【国際出願番号】 EP2018076433
(87)【国際公開番号】W WO2019063778
(87)【国際公開日】2019-04-04
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2017-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】カルガーリ, アンドレア
(72)【発明者】
【氏名】デゴット, ピエール
(72)【発明者】
【氏名】ディノーブ, トドール
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ, クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】メイヤー, アラン
(72)【発明者】
【氏名】シュヴァルツブルク, ユリー
(72)【発明者】
【氏名】テスタズ, ロメイン
(72)【発明者】
【氏名】ポーリー, マーク
【審査官】辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-531897(JP,A)
【文献】特表2006-507526(JP,A)
【文献】特表2013-527938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0258456(US,A1)
【文献】特開2001-272629(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0139204(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第103282212(CN,A)
【文献】独国特許出願公開第102007019522(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第2927013(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射性の光偏向面、又は屈折性の透明若しくは部分的に透明な光偏向面を備える光学セキュリティ要素において、点状光源から受け取る入射光を偏向し、コースティックパターンを含む投影画像を投影面上に形成するように適合された深さδ
fのレリーフパターンを有し、前記コースティックパターンが、参照パターンを再現し、視覚的に認識可能であり、
前記レリーフパターンのプロファイルが、不連続部を有する計算されたレリーフパターンプロファイルに従って光学材料部片の表面を加工することによって形成された急激な変化を有し、前記加工された急激な変化が前記不連続部に対応し、
不連続部を有する前記計算されたレリーフパターンプロファイルが、モデル光偏向面の初期レリーフパターンプロファイルをより小さい隣接するプロファイル区間にスライスすることによって得られ、前記初期レリーフパターンプロファイルが、δ
fよりも大きい深さδ
iを有し、光路シミュレーションによって、前記点状光源による照明の下で前記コースティックパターンを前記投影面に再現するように作用可能であり、前記スライスが、前記モデル光偏向面の光軸と平行に延在する任意の2つの隣接するプロファイル区間の間に境界面を生成し、前記光軸に沿って2つの連続する境界面の間に含まれる各プロファイル区間を押しつぶ
すことによって、各境界面に沿って、不連続部を有する前記計算されたレリーフプロファイルを形成する、
ことを特徴とする光学セキュリティ要素。
【請求項2】
前記モデル光偏向面の前記光軸に対して高さが測定され、前記光軸に垂直なベース面の上方に延在する前記初期レリーフパターンプロファイルのプロファイル区間を
前記押しつぶす
ことが、その境界面が前記プロファイル区間と交差する最小高さに相当する距離値だけ、前記光軸と平行に、前記ベース面に向けて前記プロファイル区間を並進することによって得られ、δ
iよりも小さい低減された深さのレリーフパターンを有する前記計算されたレリーフプロファイルを得る、請求項1に記載の光学セキュリティ要素。
【請求項3】
前記レリーフパターンの前記プロファイルが、30μm以下の小さい深さδ
fを有する、請求項1又は2に記載の光学セキュリティ要素。
【請求項4】
前記レリーフパターンの前記プロファイルが、250μm以下の小さい深さδ
fを有する、請求項1又は2に記載の光学セキュリティ要素。
【請求項5】
前記反射性の光偏向面、又は屈折性の透明若しくは部分的に透明な光偏向面が、平坦なベース基材全体にわたって配設され、前記光学セキュリティ要素の全厚が100μm以下である、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学セキュリティ要素。
【請求項6】
前記光学セキュリティ要素のレリーフパターンが、前記光偏向面から距離d
sで、前記点状光源から受け取られた入射光を偏向し、前記コースティックパターンを含む前記投影画像を、前記光偏向面から距離d
iにある前記投影面上に形成するように適合され、d
iの値が30cm以下であり、比d
s/d
iの値が5以上である、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学セキュリティ要素。
【請求項7】
消費者製品、納税印紙、IDカード、パスポート、クレジットカード、及び紙幣を含む群から選択される物体にマークを付ける、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学セキュリティ要素。
【請求項8】
反射性の光偏向面、又は屈折性の透明若しくは部分的に透明な光偏向面を設計する方法において、前記光偏向面が、点状光源から受け取る入射光を偏向し、投影面上にコースティックパターンを含む投影画像を形成するように適合された光学セキュリティ要素の深さδ
fのレリーフパターンを有し、前記コースティックパターンが、参照パターンを再現し、視覚的に認識可能であり、
a)不連続部を有するレリーフパターンプロファイルを計算するステップと、
b)ステップa)で計算された不連続部を有する前記レリーフパターンプロファイルに応じて、光学材料部片の表面を加工して、ステップa)で計算された前記レリーフパターンプロファイルの前記不連続部に相当する急激な変化を有する前記レリーフパターンの加工されたプロファイルを有するステップと、
を含み、
ステップa)において、不連続部を有する前記レリーフパターンプロファイルを計算することが、
モデル光偏向面の初期レリーフパターンプロファイルを、より小さい連続的なプロファイル区間にスライスするステップであって、前記初期レリーフパターンプロファイルが、δ
fよりも大きい深さδ
iを有し、光路シミュレーションによって、前記点状光源による照明の下で前記コースティックパターンを前記投影面に再現するように作用可能であり、前記スライスが、前記モデル光偏向面の光軸と平行に延在する任意の2つの隣接するプロファイル区間の間に境界面を生成するさらなるステップと、
前記光軸に沿って2つの連続する境界面の間に含まれる各プロファイル区間を押しつぶして、各境界面に沿って、不連続部を有する前記計算されたレリーフプロファイルを形成するさらなるステップと、
によって行われる
ことを特徴とする方法。
【請求項9】
ステップa)で、前記モデル光偏向面の前記光軸に対して高さが測定され、前記光軸に垂直なベース面の上方に延在する前記初期レリーフパターンプロファイルのプロファイル区間を漬す前記さらなるステップが、その境界面が前記プロファイル区間と交差する最小高さに相当する距離値だけ、前記光軸と平行に、前記ベース面に向けて前記プロファイル区間を並進することによって行われ、δ
iよりも小さい低減された深さのレリーフパターンを有する前記計算されたレリーフプロファイルを得て、
ステップ(b)において、前記光学材料部片の前記表面が、δ
iよりも小さい低減された深さの前記計算されたレリーフパターンプロファイルに応じて加工され、
δ
iよりも小さい低減された深さδ
fのレリーフパターンを有する前記光学セキュリティ要素の前記光偏向面を得る
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記光学材料部片の前記表面の前記加工が、超精密加工、レーザアブレーション、及びリソグラフィの任意の1つを含む、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記加工される光偏向面が、前記光偏向面の複製を製造するために使用されるマスタ光偏向面であることをさらに含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記加工された光偏向面を基材上に複製することをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
複製が、UVキャスティング及びエンボス加工のうちの1つを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、適切な照明の下でコースティックパターンを投影するように作用可能な反射性又は屈折性の光学セキュリティ要素の技術分野、及びそのような光学セキュリティ要素を設計するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆる「一般人」が、一般に利用可能な手段を用いて真偽判定することができる物体上のセキュリティ機能が求められている。これらの手段は、五感、主に視覚及び触覚の使用に加えて、例えば携帯電話などの普及しているツールの使用を含む。
【0003】
セキュリティ機能のいくつかの一般的な例は、(例えば紙のような基材に組み込まれた)フォレンシック繊維、糸、又は箔、透かし、凹版印刷又はマイクロ印刷(場合によっては光学的に可変なインクを用いて基材に印刷される)であり、それらは、紙幣、クレジットカード、ID、チケット、証明書、書類、パスポートなどで見られ得る。これらのセキュリティ機能は、光学的に可変なインク、透明インク、若しくは発光インク(特定の励起光を用いた適切な照明の下での蛍光又は燐光)、ホログラム、及び/又は触覚特徴部を含むこともできる。セキュリティ機能の主な態様は、偽造することが非常に難しい何らかの物理的性質(光学的効果、磁気的効果、材料構造、又は化学組成)を有することであり、そのようなセキュリティ機能を用いてマークを付けられた物体は、(視覚的に又は特定の装置によって)その性質を観察又は露呈することができた場合に、確実に本物と考えることができる。
【0004】
しかし、物体が透明又は部分的に透明であるとき、これらの機能は、適切でない場合がある。実際、透明な物体は、多くの場合、所要のセキュリティ機能を有するセキュリティ要素が美観面又は機能面でその物体の透過性又は外観を変えないことを必要とする。注目すべき例として、医薬品のためのブリスタ及びバイアル瓶を挙げることができる。近年、例えば、ポリマー紙幣及びハイブリッド紙幣が、それらのデザインに透明窓を組み込んでおり、したがって、その窓と適合性があるセキュリティ機能に対する要望が生じている。
【0005】
文書、紙幣、セキュリティ保護されたチケット、パスポートなどのためのセキュリティ要素の既存のセキュリティ機能のほとんどは、透明な物体/領域向けには特に開発されておらず、したがって、そのような用途にはあまり適していない。他の機能、例えば透明インクや蛍光インクを用いて得られる機能は、特定の励起ツール及び/又は検出ツールを必要とし、それらのツールは、「一般人」には容易には利用可能ではないことがある。
【0006】
半透明の光学的に可変な機能(例えば、液晶コーティング、又は表面構造からの潜像)が知られており、この種の機能を提供することができる。残念ながら、そのようなセキュリティ機能を組み込んだマークは、一般に、効果をよく見えるようにするには暗く/均一な背景に対して観察されなければならない。
【0007】
他の既知の機能は、非メタライゼーション表面ホログラムなどの回折性の光学要素である。これらの機能の欠点は、直接見たときに、非常に低いコントラストの視覚的効果を示すことである。さらに、パターンを投影するために単色光源と組み合わせて使用されるとき、満足な結果を得るためには、典型的にはレーザを必要とする。さらに、明瞭に見える光学的効果を提供するためには、光源、回折性の光学要素、及びユーザの眼のかなり厳密な相対的空間配置が必要とされる。
【0008】
例えば、レーザ刻印された極小文字及び/又は微小符号が、例えばガラスバイアル瓶に使用されている。しかし、それらは、実装のための高価なツールと、検出のための特定の拡大ツールとを必要とする。
【0009】
したがって、本発明の目的は、透明又は部分的に透明な物体(又は基材)のための光学セキュリティ要素であって、さらなる手段を用いることなく(すなわち裸眼で)、又は一般的に容易に利用可能な手段(例えば、単なる拡大鏡)を用いて、人が視覚的に容易に真偽判定することができるセキュリティ機能を有する光学セキュリティ要素を提供することである。本発明の別の目標は、容易に大量生産できる、又は大量生産製造プロセスに適合性がある光学セキュリティ要素を提供することである。さらにまた、光学セキュリティ要素の照明も、容易に利用可能な手段(例えば、携帯電話のLEDなどの光源、又は日光)を用いて可能であるべきであり、ユーザによる良好な目視観測のための条件が、光源、光学セキュリティ要素、及びユーザの眼の過度に厳密な相対的空間配置を必要とすべきではない。
【0010】
さらに、上に列挙した物体の大半は、少なくとも1つの寸法で、より小さいサイズを有する(例えば、紙幣は、厚さがわずか100μm未満であり得る)。したがって、本発明のさらなる目的は、より小さい寸法(例えば、300μm未満の厚さ)を有する物体に適合性がある薄い光学セキュリティ要素を提供することである。
【0011】
本発明のさらなる目的は、選択されたターゲット視覚的効果に従って視覚的効果を照明下で提供するように作用可能な非常に薄い光学セキュリティ要素を設計するための効率的な方法を提供することである。さらに、この方法は、そのような薄い光学セキュリティ要素の大量生産に適合性があるべきである。
【発明の概要】
【0012】
一態様によれば、本発明は、反射性の光偏向面、又は屈折性の透明若しくは部分的に透明な光偏向面を備える光学セキュリティ要素であって、光源からの入射光を偏向し、投影面上に投影画像を形成するように作用可能なレリーフパターンを有し、投影画像が、さらなる手段を用いることなく(すなわち裸眼で)、又は一般的に容易に利用可能な手段を用いて人が容易に認識可能な参照パターンを再現するコースティックパターンを備え、この光学セキュリティ要素でマークを付けられた物体を、人が視覚的に容易に真偽判定することができる、光学セキュリティ要素に関する。光学セキュリティ要素のレリーフパターンの低減された厚さにより、例えば、この光学セキュリティ要素は、より小さい寸法を有する物体、例えば紙幣又はセキュリティ文書(例えば、身分証明書、パスポート、カードなど)にマークを付けるために特に適したものになる。本発明によれば、不連続部を有する計算されたレリーフプロファイルを再現するように加工プロセスを制御することによって、急激な変化及び小さい深さδfを有する加工されたプロファイルを有するレリーフパターンを備える非常に薄い光学セキュリティ要素が得られる。実際、不連続を有する計算されたレリーフプロファイルが、上述した認識可能なコースティックパターンを有する画像の投影と適合性があることが多数のテストで確認された。屈折性の光学セキュリティ要素の透明な態様により、屈折性の光学セキュリティ要素は、少なくとも部分的に透明な基材(例えば、ガラス製若しくはプラスチック製ボトル、ボトルキャップ、時計のガラス、宝飾品、宝石など)にマークを付けるために特に適したものになる。屈折性の光学セキュリティ要素は、可視光に対して(すなわち、約380nm~740nmの光波長に対して)透明(又は部分的に透明)であることが好ましい。
【0013】
特に光学セキュリティ要素のレリーフパターンが非常に薄くなければならない(すなわち、典型的には250μm未満のレリーフ深さδfを有する)とき、投影されるコースティックパターンによって投影面上に簡便に再現され得て人が視覚的に認識可能になる参照パターンを決定することが非常に困難であること、また、適切な光偏向面を形成するために光学材料部片の表面に加工される対応する非常に薄いレリーフパターンを計算することが困難であることに鑑みて、本発明の別の態様は、光学セキュリティ要素の光偏向面のレリーフパターンを効率的に設計するための方法に関する。
δfよりも大きい深さδiのレリーフパターンを有する、すなわち、はるかに容易に対処できる深さの制約を有するモデル光偏向面の連続的な(又は部分的に連続的な)初期プロファイルから開始して、ターゲット参照パターンを好適に再現すること、及びそれに対応するレリーフパターンの連続的プロファイルを決定することを共に可能にする。しかし、これは、ターゲットδfに鑑みて非常に厚い光学セキュリティ要素を提供することになる。
連続的な(又は部分的に連続的な)初期プロファイルを特に平面に押しつぶすことによって、上記初期プロファイルを、不連続部を有するレリーフプロファイルに変形すると共に、プロファイルを薄くし、ターゲット参照パターンに対応しており人が視覚的に認識できるコースティックパターンを投影面上に投影することが可能な加工されたレリーフパターンを提供する能力を維持すること。
【0014】
この方法は、マークを付けられた物体の視覚による真偽判定に簡便な非常に薄いレリーフパターン(すなわち250μm以下、さらには30μm以下の深さ)を設計するために特に効率的であり、光学セキュリティ要素の設計プロセス操作を大幅に加速することを可能にすると共に、ターゲット参照パターンの選択の自由度をより大きくする。
【0015】
したがって、一態様によれば、本発明は、反射性の光偏向面、又は屈折性の透明若しくは部分的に透明な光偏向面を備える光学セキュリティ要素であって、点状光源から受け取る入射光を偏向し、コースティックパターンを含む投影画像を投影面上に形成するように適合された深さδfのレリーフパターンを有し、上記コースティックパターンが、参照パターンを再現し、視覚的に認識可能であり、レリーフパターンのプロファイルが、不連続部を有する計算されたレリーフパターンプロファイルに従って光学材料部片の表面を加工することによって形成された急激な変化を有し、上記加工された急激な変化が不連続部に対応する、光学セキュリティ要素に関する。
【0016】
計算されたレリーフパターンプロファイルは、
i)モデル光偏向面の(場合によっては連続する)初期レリーフパターンプロファイルをより小さい隣接するプロファイル区間にスライスし、上記初期レリーフパターンプロファイルが、δfよりも大きい深さδiを有し、光路シミュレーションによって、点状光源による照明の下で上記コースティックパターンを投影面に再現するように作用可能であり、スライスが、上記モデル光偏向面の光軸と平行に延在する任意の2つの隣接するプロファイル区間の間に境界面を生成し、
ii)光軸に沿って2つの連続する境界面の間に含まれる各プロファイル区間を押しつぶして、各境界面に沿って、不連続部を有する計算されたレリーフプロファイルを形成する
ことによって得られることが好ましい。
【0017】
本発明によれば、上記モデル光偏向面の光軸に対して高さが測定され、上記光軸に垂直なベース面の上方に延在する初期レリーフパターンプロファイルのプロファイル区間を押しつぶす操作が、その境界面が上記プロファイル区間と交差する最小高さに相当する距離値だけ、光軸と平行に、ベース面に向けてプロファイル区間を並進することによって得られ、δiよりも小さい低減された深さのレリーフパターンを有する計算されたレリーフプロファイルを得る。
【0018】
このようにして、厚い初期レリーフパターンに従って、参照パターンを再現し、人が視覚的に認識可能なコースティックパターンを(投影面上に)投影する能力を維持しながら、より薄いレリーフパターンを加工することができ、より薄い光学セキュリティ要素を形成することができる。
【0019】
非常に薄い光学セキュリティ要素を提供するために、レリーフパターンの深さδfの値は、250μm以下、さらには30μm以下にすることができる。さらに、光学セキュリティ要素は、平坦なベース基材上に配設されたレリーフパターンをさらに有してもよく、光学セキュリティ要素の全体の厚さは100μm以下である。
【0020】
投影されたコースティックパターンから参照パターンの視覚による認識によって真偽判定する操作をさらに容易にするために、光学セキュリティ要素は、さらに、そのレリーフパターンが、光偏向面から距離dsで、点状光源から受け取られた入射光を偏向し、コースティックパターンを含む投影画像を、光偏向面から距離diにある投影面上に形成するように適合されることがあり、diの値が30cm以下であり、比ds/diの値が5以上であり得ることが好ましい。さらに、好ましくは、投影面は平坦である。
【0021】
本発明による光学セキュリティ要素を使用して、多数の異なる種類の物体にマークを付けることができ、特に、消費者製品、納税印紙、IDカード、パスポート、クレジットカード、及び紙幣を含む群から選択される物体にマークを付けることができる。
【0022】
別の態様によれば、反射性の光偏向面、又は屈折性の透明若しくは部分的に透明な光偏向面を設計する方法であって、光偏向面が、点状光源から受け取る入射光を偏向し、投影面上にコースティックパターンを含む投影画像を形成するように適合された光学セキュリティ要素の深さδfのレリーフパターンを有し、上記コースティックパターンが、参照パターンを再現し、視覚的に認識可能であり、
a)不連続性を有するレリーフプロファイルを計算するステップと、
b)ステップa)で計算された不連続部を有するレリーフパターンプロファイルに応じて、光学材料部片の表面を加工して、ステップa)で計算されたレリーフパターンプロファイルの不連続部に相当する急激な変化を有するレリーフパターンの加工されたプロファイルを有するステップと、
を含む方法に関する。
【0023】
本発明による光偏向面を設計する方法のステップa)において、不連続部を有するレリーフパターンプロファイルを計算することが、
モデル光偏向面の初期レリーフパターンプロファイルを、より小さい隣接するプロファイル区間にスライスするステップであって、上記初期レリーフパターンプロファイルが、δfよりも大きい深さδiを有し、光路シミュレーションによって、点状光源による照明の下で上記コースティックパターンを投影面に再現するように作用可能であり、スライスが、上記モデル光偏向面の光軸と平行に延在する任意の2つの隣接するプロファイル区間の間に境界面を生成するさらなるステップと、
光軸に沿って2つの連続する境界面の間に含まれる各プロファイル区間を押しつぶして、各境界面に沿って、不連続部を有する計算されたレリーフプロファイルを形成するさらなるステップと、
によって行われることが好ましい。
【0024】
本発明による光偏向面の設計の上述の方法において、
ステップa)で、上記モデル光偏向面の光軸に対して高さが測定され、上記光軸に垂直なベース面の上方に延在する初期レリーフパターンプロファイルのプロファイル区間を押しつぶすさらなるステップが、その境界面が上記プロファイル区間と交差する最小高さに相当する距離値だけ、光軸と平行に、ベース面に向けてプロファイル区間を並進することによって行われ、δiよりも小さい低減された深さのレリーフパターンを有する計算されたレリーフプロファイルを得て、
ステップ(b)において、光学材料部片の表面が、δiよりも小さい低減された深さの計算されたレリーフパターンプロファイルに応じて加工され、
δiよりも小さい低減された深さδfのレリーフパターンを有する光学セキュリティ要素の光偏向面を得ることがより好ましい。
【0025】
方法のステップ(b)において、光学材料部片の表面の加工は、超精密加工(UPM)、レーザアブレーション、及びリソグラフィの任意の1つを含むことがある。
【0026】
本方法による加工された光偏向面は、成形技法によって光偏向面の複製(又は光学セキュリティ要素の大量生産用の複製)を構成するために使用されるマスタ光偏向面にすることができ、(例えば、物体に適用可能なマークを形成するために)基材上に複製することができる。加工された光偏向面の複製は、UVキャスティング及びエンボス加工(例えばロールツーロール又はフォイルツーフォイル製造プロセス)の任意の1つを含むことがある。
【0027】
本明細書では以後、添付図面を参照して本発明をより詳細に述べる。添付図面では、異なる図面全体にわたって同様の番号が同様の要素を表し、本発明の顕著な態様及び特徴が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の好ましい実施形態によるコースティックパターンを投影するための屈折性の光学要素の光学的構成の概略図である。
【
図2】(A)は、2次元の初期レリーフパターンプロファイルの断面図であり、(B)は、本発明による、不連続部を有し、(A)の初期レリーフパターンから得られる、計算された2次元のレリーフパターンプロファイルの断面図である。
【
図3】参照パターンの一例(暗い背景に数字100を表すパターンを有する)を示す図である。
【
図4A】箔基材上(前景)に設計された薄い透明な屈折性の光学セキュリティ要素と、それに対応する投影されるコースティックパターン(背景)とを示す図である。
【
図4B】
図4Aの前景に示される光学セキュリティ要素によって投影されたコースティックパターンの写真である。
【
図5A】
図3の参照パターンに関する計算されたレリーフプロファイルの不連続部に対応する等高線を有するレリーフパターンの斜視図である。
【
図5B】
図5Aのレリーフパターンに対応する投影されるコースティックパターンの図である。
【
図6A】楕円円筒を有する初期レリーフパターンのスライスによって形成されるカットに対応する等高線を有するレリーフパターンの斜視図である。
【
図6B】
図6Aのレリーフパターンに対応する投影されるコースティックパターンの図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
光学系において、用語「コースティック」は、1つ又は複数の表面(そのうちの少なくとも1つは湾曲している)によって反射又は屈折された光線の包絡線、及びそのような光線の別の表面上への投影を意味する。より具体的には、コースティックは、各光線に対して接線方向の曲線又は表面であり、光線の包絡線の境界を高密度の光の曲線として定義する。例えば、太陽光によってプールの底に形成される光パターンは、単一の屈折性の光偏向面(波状の空気-水の界面)によって形成されるコースティック「像」又はパターンであり、一方、水の入ったグラスの曲面を通過する光は、光の経路を偏向する2つ以上の表面(例えば、空気-ガラス、ガラス-水、空気-水など)に交差するときに、水の入ったグラスが置かれているテーブルに尖頭状のパターンを生み出す。
【0030】
以下では、(屈折)光学(セキュリティ)要素が1つの曲面と1つの平面によって画定されている最もよくある構成を例として使用するが、より一般的な場合を制限しない。本明細書では、適切に形作られた(すなわち適切なレリーフパターンを有する)光学表面が、光源からの光を偏向し、スクリーンのいくつかの領域から光を逸らし、スクリーンの他の領域に所定の光パターンで光を集中させる(すなわち、それにより上記「コースティックパターン」を形成する)とき、より一般的な「コースティックパターン」(又は、「コースティック画像」)を、スクリーン(投影面)上に形成される光パターンと呼ぶ。偏向とは、光学要素が存在しない場合の光源からスクリーンまでの経路に対する、光学要素が存在する場合の光源からの光線の経路の変化を表す。さらに、湾曲した光学表面を、「レリーフパターン」と呼び、この表面を設けられた光学要素を、光学セキュリティ要素と呼ぶ。コースティックパターンは、場合によっては複雑さの増大という犠牲を払うが、複数の曲面及び複数の物体による光の偏向の結果でもよいことに留意されたい。さらに、コースティックパターンを生成するためのレリーフパターンを、回折パターン(例えば、セキュリティホログラムなど)と混同してはならない。
【0031】
本発明によれば、この概念は、例えば、消費者製品、ID/クレジットカード、紙幣など一般的な物体に適用することができることが見出され得る。適用するために、光学セキュリティ要素のサイズを大幅に縮小すること、特に、レリーフ深さを許容値未満にすることが必要とされる。しかし、レリーフの深さは強く制限されていたが、投影面(又はスクリーン)上の目視観察されたコースティックパターンからの選択画像の視覚による認識を可能にするのに十分な品質の選択(デジタル)画像(参照パターンを表す)の近似を投影面上に実現することが依然として可能であることが見出された。設計及び加工がかなり困難である(したがって偽造が非常に難しい)光学セキュリティ要素から投影される、スクリーン上にかすかに見えるコースティックパターンから参照パターンをそのようにして直接認識することが、この光学セキュリティ要素を用いてマークを付けられた物体の確実な真偽判定を可能にする有益なセキュリティ試験を構成する。
【0032】
本明細書では、「レリーフ」とは、山の谷底と頂上との高度差(すなわち、「山頂から谷底」のスケールとして)のような、表面の最高点と最低点との高低差の存在(光学セキュリティ要素の光軸に沿って測定される)として理解されたい。本発明の好ましい実施形態によれば、光学セキュリティ要素のレリーフパターンの最大深さは、250μm以下又はより好ましくは30μm以下であり、超精密加工(UPM)及び再現プロセスによって課される限度、すなわち約0.2μmを超える。本明細書によれば、光偏向面のレリーフパターンでの最高点と最低点との高低差を、レリーフ深さδと呼ぶ。
【0033】
本明細書では、いくつかの用語が使用されており、以下でさらに定義する。
【0034】
デジタル画像の近似を形成するコースティックパターン(画像)は、適切な光源(必須ではないが、好ましくは点状光源)によって照明されるときに光学セキュリティ要素によって投影される光パターンとして理解されたい。上述したように、光学(セキュリティ)要素は、コースティック画像の作成に寄与する屈折性材料の平板として理解されたい。
【0035】
光偏向面(複数可)は、光源からの入射光を、コースティックパターンが形成されるスクリーン又は(好ましくは平坦な)投影面上に偏向することに寄与する光学セキュリティ要素の(1つ又は複数の)表面である。
【0036】
光学(セキュリティ)要素を作製するために使用される光学材料基材は、レリーフパターンを有し、それにより光偏向面を形成するように表面が特別に加工される原材料基材である。反射性の光偏向面の場合、光学材料基材は、均質又は透明である必要はない。例えば、材料は、可視光に対して不透明でもよい(このとき、加工される表面の従来のメタライゼーションによって反射性が得られる)。屈折性の光偏向面の場合、原材料基材は、(ヒトの眼に見えるスペクトルの光子に関して)透明(又は部分的に透明)であり、且つ均質であって屈折率nを有し、対応する光偏向面は、「屈折率nの屈折性の透明又は部分的に透明な光偏向面」と称される。
【0037】
本明細書によるマスタは、計算されたプロファイル(特に、計算されたレリーフパターン)からの光偏向面の最初の物理的実現である。マスタは、いくつかのコピー(ツール)に複製することができ、これらが次いで大量複製のために使用される。
【0038】
本明細書で使用される点状光源は、(光学セキュリティ要素の観点からの)角度サイズが十分に小さく、光偏向面からの距離d
sにある単一の点から光が生じていると考えることができる光源である。経験則として、これは、(光源の直径)×d
i/d
sの量が、光偏向面(
図1参照)から距離d
iにある投影面上の投影画像のターゲットコースティックパターンの所望の解像度(例えば0.05~0.1mm)よりも小さいことを意味する。スクリーンは、コースティックパターンが投影される表面として理解されたい。また、光源と光偏向面との距離を、光源距離d
sと称し、光偏向面とスクリーンとの距離を、画像距離d
iと称する。
【0039】
用語「ツール」(又は、曖昧さをなくす必要があるときには「複製ツール」)は、大量複製のために使用される光偏向面のプロファイルを有する物理的物体について主に使用される。これは、例えば、マスタ表面のコピーを生成することであり得る(対応する反転されたレリーフを有するマスタから、エンボス加工又は注入によって、オリジナルのレリーフが再現される)。光偏向面のレリーフパターンを加工するために使用されるツールについては、曖昧さをなくすために用語「加工ツール」が使用される。
【0040】
本発明の好ましい実施形態によれば、反射面又は屈折面を有し、点状光源Sからの光を偏向し、その光を適切なスクリーン(3)上に投影する光学セキュリティ要素(1)が提供される。スクリーン(3)は、任意の面(ほとんどの場合は平面)でよく、又は任意の物体(の平坦部分)などでよく、
図1に示されるように、そこに有意な画像が形成される。光偏向面の特別な設計により、(認識可能な)コースティックパターンを曲面上に投影することが可能になり得る。画像は、例えば、ロゴ、写真、数字、又は特定のコンテキストに関連し得る任意の他の情報でよい。スクリーンは、平坦な投影面であることが好ましい。
【0041】
図1の構成は、光源Sからの光が、レリーフパターン(2)を有する適切に形作られた光学表面によって偏向されることを示す。この一般的な着想は、例えば、自動車のヘッドライト用の反射面、LED照明用のリフレクタ及びレンズ、並びにレーザ光学系、プロジェクタ、及びカメラでの光学システムから知られている。しかし、通常、その目標は、光の不均質な分布を均質な分布に変換することである。対照的に、本発明の目標は、不均質な光パターン、すなわちコースティックパターンを得ることであり、このコースティックパターンは、((デジタル)参照画像上に表現されるような)参照パターンの相対輝度を有するいくつかの領域を(近似的に)再現する。光学要素の照明されたレリーフパターン(2)により、スクリーン(3)上にコースティックパターン(4)を形成して、既知の参照パターン(5)を十分な品質(場合によっては全体の強度スケーリング係数ごとに異なる)で再現することが可能である場合、スクリーン上のコースティックパターンを目視観察する人が、参照パターンの有効な再現となっているか否かを容易に確かめ、そのコースティックパターンが参照パターンと十分に類似している場合、光学セキュリティ要素によってマークを付けられた物体が(ほぼ確実に)本物であると考える。
【0042】
図1の実施形態によれば、この例によれば点状光源である光源Sからの光線(6)が、レリーフパターン(2)を有する光偏向面を備える光源距離d
sにある(屈折)光学セキュリティ要素(1)に伝播する。光学セキュリティ要素は、ここでは屈折率nの透明又は部分的に透明な均質な材料で作製されている。いわゆるコースティックパターン(4)が、光学セキュリティ要素(1)の光偏向面から画像距離d
iにあるスクリーン(3)に投影される。光学セキュリティ要素(したがって、このセキュリティ要素でマークを付けられた物体)の真偽判定は、投影されたコースティックパターンと参照パターンとの類似の度合いを視覚的にチェックすることにより、直接評価することができる。
【0043】
レリーフパターン(2)は、まず、参照パターンの指定されたターゲットデジタル画像から計算されることが好ましい。そのような計算のための方法は、例えば、欧州特許出願公開第2711745号、及び欧州特許出願公開第2963464号に記載されている。その計算されたレリーフパターンから、対応する物理的レリーフパターンを、超精密加工(UPM)を使用して、適切な光学材料基材の表面(例えば、屈折率nの透明若しくは部分的に透明な材料、又は不透明材料の反射面)に作成することができる。不透明な光学材料基材の表面にレリーフを加工して反射面を形成する場合、レリーフ上に金属の薄層を堆積(メタライゼーション)するさらなる従来の操作によって良好な反射率が得られる。UPMは、ダイヤモンド加工ツール及びナノテクノロジツールを使用して、公差が「サブミクロン」レベル、さらには「ナノスケール」レベルに達することができるように非常に高い精度を実現する。これとは対照的に、従来の加工での「高精度」は、マイクロメートル単位での1桁台の公差を意味する。表面に物理的レリーフパターンを作成するのに適切であり得る他の技法は、レーザアブレーション、及びグレースケールリソグラフィである。微細加工の分野で知られているように、これらの技法はそれぞれ、コスト、精度、速度、解像度などに関して異なる長所及び制限を有する。一般に、コースティックパターンを生成するための計算されたレリーフパターンは、10cmx10cmの全体サイズに関して、少なくとも2mmの典型的な深さを有する滑らかなプロファイル(すなわち不連続性のない)を有する。
【0044】
屈折性の光偏向光学要素に適した光学材料基材は、光学的に透過性であり、透明又は少なくとも部分的に透明であり、且つ機械的に安定しているべきである。本発明の目的、すなわち視覚的に認識可能なコースティックパターンを生成することができる薄い光学セキュリティ要素の提供のために、透明又は部分的に透明な材料は、実際、低いヘイズ値(H)及び高い透過率(T)の材料に相当し、したがって、光の拡散が、視覚的に認識可能なコースティックパターンの形成を阻害しない。典型的には、透過率Tが50%以上であることが好ましく、Tが90%以上であることが最も好ましい。また、10%以下の低いヘイズ値Hを使用することができるが、Hが3%以下であることが好ましく、Hが1%以下であることが最も好ましい。また、適切な光学材料基材は、加工プロセス中、滑らかで欠陥のない表面を提供するように正しく挙動すべきである。適切な基材の一例は、光学的に透明なPMMAの平板(プレキシグラス(Plexiglas)、ルーサイト(Lucite)、パースペックス(Perspex)などの商品名でも知られている)である。反射性のコースティック光偏向光学要素の場合、適切な光学材料基材は、機械的に安定であるべきであり、且つ基材に鏡面仕上げを施すことが可能であるべきである。適切な基材の一例は、例えばルールドグレーティングのマスタ及びレーザミラーに使用されるものなどの金属、又はさらにメタライゼーションすることができる非反射性基材である。
【0045】
大規模生産のために、ツール作成のステップ、及びターゲット物体上への光学セキュリティ要素の大量複製のステップがさらに必要とされる。マスタからのツール作成に適したプロセスは、例えば電鋳である。大量複製に適したプロセスは、例えば、ポリマーフィルムのホットエンボス加工、又はフォトポリマーのUVキャスティングである。ただし、大量複製のためには、マスタも、マスタから導出されるツールも、光学的に透明である必要はなく、したがって、最終製品が屈折性の光学要素であっても不透明な材料(特に金属)を使用することもできる。それにもかかわらず、場合によっては、マスタが透明であることが有利であり得る。これは、ツール作成及び大量複製を行う前にコースティック画像の品質のチェックを可能にするからである。
【0046】
セキュリティ機能としての(レリーフパターンを有する光偏向面を備える)光学要素の使用に関する1つの重要な態様は、要素の物理的スケールであり、その物理的寸法は、ターゲット物体、及びコースティック画像を投影するために必要な光学的構成に適合性がなければならない。
【0047】
一般に、このような用途に関して、横方向の最大サイズは、物体の全体サイズによって制限され、通常、あまり好ましくない場合には数cmから1cm未満の範囲内であり得る。例えば紙幣などの特定の用途では、ターゲットとなる全厚は極めて小さいことがある(100μm以下のオーダ)。さらに、許容される厚さの変動(レリーフ)は、機械的制約(より薄い領域に関連する弱いスポット)、及び操作上の考慮事項(例えば、紙幣を積み上げるとき、紙幣のより厚い部分に対応して札束が盛り上がり、取扱いや保管が複雑になる)を含む様々な理由により、さらに小さい。典型的には、全厚が約100μmの紙幣の場合、この紙幣に含まれる光学セキュリティ要素のレリーフパターンに関するターゲット厚さは、約30μmであり得る。厚さ約1mmのクレジットカード又はIDカードの場合、このクレジット/IDカードに含まれる光学セキュリティ要素のレリーフパターンに関するターゲット厚さは、約400μm未満、好ましくは約250μm以下であり得る。
【0048】
さらに、光源距離及び画像距離は、一般に、ユーザの使い勝手により、数十センチメートルに制限される。注目すべき例外は、日光、又は天井に取り付けられたスポットライトであるが、これらは、特定の環境下ではあまり容易には使用可能でない。また、より容易に認識できるより鮮明な(及び良好なコントラストの)画像を得るために、2つの距離の比ds/diは通常、5よりも大きく、10までである。さらに、比ds/diが5以上であること、及び光源Sが好ましくは点状(例えば従来の携帯電話の照明用LED)であることにより、光源が事実上ほぼ「無限遠にある」と考えることが可能となり、光学セキュリティ要素からほぼ焦点距離にある投影面のみが、投影されるコースティックパターンを明瞭に視認するのに適している。結果として、ユーザによる良好な目視観察の条件は、光源、光学セキュリティ要素、及びユーザの眼の過度に厳密な相対的空間配置を必要としない。
【0049】
一般に、厚さ及びレリーフは、最も重要なパラメータである。任意のターゲット画像(参照パターン)、及び光学的幾何構成(すなわち、投影されたコースティックパターンの照明/観察に関する幾何学的条件)を考慮すると、計算された光学表面が所定の限度未満のレリーフパターンを有するという保証はない。実際、一般的な場合、逆のことが起こり得る。これは、上述した光学セキュリティ要素に課される厳しい制約に特にあてはまる。光学表面を最適化するための数値シミュレーションは時間及びリソースの観点から費用がかかり、過度のトライアルアンドエラーは実行可能な選択肢ではないことを考慮すると、有用な結果を最初の試行で、又は少なくともわずかな回数の試行のみで確実に得ることができることが非常に望ましい。また、全てのターゲット画像が浅い深さの滑らかなレリーフパターンに適合性があるとは限らないので、ターゲット画像の選択に制限がないことも非常に望ましい。
【0050】
したがって、光偏向面から特定の距離dsにある光源(好ましくは点状光源)による適切な照明の下で、得られる光学セキュリティ要素が入射光を偏向し、コースティックパターンを含む投影画像を(光偏向面から特定の距離diにある)投影面上に形成し、このコースティックパターンが、人が肉眼だけで、又はせいぜい一般に容易に利用可能な手段を用いて(例えば拡大鏡を用いて)視覚的に認識可能になるように十分な精度で所与の参照パターンを再現することができなければならないという追加の厳しい制約の下では、非常に浅い深さのレリーフパターンを直接計算して、光学材料部片の表面上への深さδfの対応するレリーフパターンの加工を制御して、薄い光学セキュリティ要素(例えば、250μm未満のレリーフパターン深さを有する)の光偏向面を達成することが非常に困難であることに鑑みて、そのようなレリーフパターンの新しい計算法が提案される。
【0051】
本発明によれば、光学材料部片の表面の加工を制御(ガイド)するための不連続部を有する計算されたレリーフパターンプロファイルを使用して、対応するレリーフパターンを再現して、入射光を偏向することが可能な光偏向面を達成し、コースティックパターンを含む投影画像を投影面上に形成し、このコースティックパターンが、人が視覚的に認識可能であるように十分な精度で所与の参照パターンを再現することができることが観察された。実際、導入される不連続部は、認識可能なコースティックパターンを形成する機能に大きな影響を与えず、投影されるコースティックパターンの残りの部分に影響を与えない不連続部により、かすかな影のみが現れる可能性があることが、多数のテストで確認された。さらに、不連続部を有するレリーフプロファイルが、ターゲット参照パターンの選択に関してはるかに大きな自由度を与えることがテストで確認された。加工プロセス(例えばUPM)の結果は、計算されたレリーフプロファイルの不連続部に対応する急激な変化を有する加工されたレリーフプロファイルである。しかし、加工ツールの限られた精度により、得られるプロファイルは、不連続部を厳密には再現することができず、したがって不連続部が多少「平滑化」される。その種の計算されたレリーフパターンプロファイルは、初期プロファイルに関連する光学特性をほぼ維持しながら(すなわち、コリメートされたビームが同じ焦点に収束するようにして)、初期の(厚い)平凸レンズプロファイルから薄いレンズ(すなわち「フレネルレンズ」)を製造するためにフレネル以来知られている方法を適用することによって、より薄い光学セキュリティ要素の形成を可能にするという大きな利点を有する。フレネルの方法によれば、レンズの光軸及びレンズの光学的中心に対して厳密に同心円状の不連続部がレンズプロファイルに形成され、それによりプロファイルのいくつかの同心円区域を生じ、それらの区域の上方のプロファイル区間が、次いで同心の不連続部に沿って押しつぶされて、同じ光学特性、すなわち同じ光軸、同じ光学的中心、同じ焦点距離を有し、且つ(ほぼ)同じ光ビーム均質性を提供するが、より薄い「等価レンズプロファイル」が形成される。
【0052】
光ビーム均質性を維持することを試みる従来のフレネルの方法とは対照的に、本発明による方法が、コースティックパターンを生成する光の不均質性の維持を可能にすることがテストされた。さらに、本発明によれば、フレネルの方法の制約の大半が緩和される。特に、光学的中心の考慮がなく、且つプロファイルに形成される区域が、光軸に対して必ずしも同心である必要がなく(円形である必要さえなく)、レリーフパターンプロファイルを隣り合う領域に自由に分割し、光学材料部片の表面での対応する領域を加工して、光偏向面を提供することが可能となる。そのような自由度は、所与の参照パターンを再現するためのレリーフパターンプロファイルの適用をはるかに容易にすると同時に、依然として厚さの減少を可能にする。特に、この手法は、非常に小さいターゲット深さδ
fの光学セキュリティ要素を製造するには非常に厚すぎる深さδ
iを有する最初に計算された(概して連続的な、すなわち滑らかな)レリーフプロファイルを修正するように適合されているが、それにもかかわらず、投影面上に所与の参照パターン(視覚的に認識可能)を再現するコースティックパターンを含む投影画像を形成することが可能な光学要素の光偏向面を提供するための全ての要件を満たす。光偏向面の加工のためのそのような初期レリーフプロファイルが、
図2の(A)に図示されている。
【0053】
本発明によれば、
図2の(A)に図示されているように、ベース面にわたって延在する(2次元の)初期レリーフパターンプロファイル(8)の断面図が、座標系(X,Y)で表されており、高さ軸Y(縦座標)が、対応する光偏向面の光軸に対応し、横座標Xがベース面にある。断面図は、初期レリーフパターンの最大深さδ
iを示す(1次元の)曲線(8)に対応している。初期レリーフパターンプロファイルのスライスが行われる。ここで、スライスは、(軸Yに沿って値が増加する、好ましくは等間隔で位置された)所与の高さh
1、h
2、h
3、及びh
4でレリーフパターンに交差する光軸Yに垂直な平面に対応し、平面のラインに沿って、断面プロファイル(8)でのそれぞれのトレースが、いくつかの交点P
1、P
1’、P
2、P
2’、P
2’’、P
2’’’、P
3、P
3’、P
4、及びP
4’を決定する。点P
0及びP
0’は、ベース面との交点に対応する。Y軸に沿った軸を有する円筒面(すなわち、トポロジー的には直円筒と等価である)と初期レリーフパターンプロファイルとの交点によって得られるものなど、他のスライスも(初期レリーフパターンプロファイル上での得られる交線の位置に関する選択に応じて)可能である。
【0054】
各スライス面は、プロファイル(8)の下、及び後続のスライス面の間に含まれる以下の区域を画定する。
【0055】
ベース面上(すなわち高さh0=0でのスライス面上)の区域であって、交点P0及びP0’を有し、交点P1及びP1’を有して、ベース面と(次の)第1のスライス面(高さh1)との間に、プロファイルカーブ(8)の2つの区間に対応する2つの部分(すなわち、第1の部分が、交点P0とP1との間のプロファイルカーブ(8)の第1の区間に対応し、第2の部分が、交点P0’とP1’との間の第2の区間に対応する)を有する区域。
【0056】
第1のスライス面上の区域であって、高さh1で交点P1及びP1’を有し、交点P2、P2’、P2’’、及びP2’’’を有して、第1のスライス面と(次の)第2のスライス面(高さh2)との間に、プロファイルカーブ(8)の3つの区間に対応する3つの部分(すなわち、第1の部分が、交点P1とP2との間のプロファイルカーブ(8)の第1の区間に対応し、第2の部分が、交点P2’とP2’’との間のプロファイルカーブ(8)の第2の区間に対応し、第3の部分が、交点P1’とP2’’’との間のプロファイルカーブ(8)の第3の区間に対応する)を有する区域。
【0057】
第2のスライス面上の区域であって、高さh2で交点P2、P2’、P2’’、及びP2’’’を有し、交点P3及びP3’を有して、第2のスライス面と(次の)第3のスライス面(高さh3)との間に、プロファイルカーブ(8)の3つの区間に対応する3つの部分(すなわち、第1の部分が、交点P2とP2’との間のプロファイルカーブ(8)の第1の区間に対応し、第2の部分が、交点P2’’とP3との間のプロファイルカーブ(8)の第2の区間に対応し、第3の部分が、交点P2’’’とP3’との間のプロファイルカーブ(8)の第3の区間に対応する)を有する区域。
【0058】
第3のスライス面上の区域であって、高さh3で交点P3及びP3’を有し、交点P4及びP4’を有して、第3のスライス面と(次の)第4のスライス面(高さh4)との間に、プロファイルカーブ(8)の2つの区間に対応する2つの部分(すなわち、第1の部分が、交点P3とP4との間のプロファイルカーブ(8)の第1の区間に対応し、第2の部分が、交点P3’とP4’との間の第2の区間に対応する)を有する区域。
【0059】
第4のスライス面上の区域であって、高さh4で交点P4及びP4’を有し、第4のスライス面の上方のプロファイルカーブ(8)のただ1つの区間に対応するただ1つの部分(すなわち、その部分が、交点P4とP4’との間のプロファイルカーブ(8)の区間に対応する)を有する区域。
【0060】
スライス面の数、及びそれらの異なる高さは、プロファイル深さδiの目標減少量に鑑みて選択される。例えば、高精度加工の使用に鑑みて、10などの減少係数を容易に得ることができる。
【0061】
円筒面を有するレリーフパターンプロファイルの交点により得られるスライスの場合、交点のトレースに対応する各ラインは、明らかに一定の高さ値ではなく、したがって、ベース面への並進に関して考慮すべき対応する高さ値は、ラインに沿った最低の値である。
【0062】
次に、高さh
i(i=0~4)でのスライス面上の区域の対応する部分の上方に含まれるプロファイルカーブ(8)の各区間を、値h
iの距離だけベース面に向けて(単一ユニットとして、且つ光軸Yと平行に)並進させることによって、ベース面への「押しつぶし」が実現される。その結果、
図2の(B)に示されるような、深さδが低減された「押しつぶされた」(又は縮小された)レリーフパターンプロファイル(9)が得られる。
【0063】
高さh0=0でのスライス面の上方にある、それぞれ点P0とP1との間、点P0’とP1’との間のプロファイルカーブ(8)の区間が距離値0だけ並進されて、それぞれ点M0とM1との間、点M0’とM1’との間に含まれる低減されたプロファイル(9)の区間を得て、点M1及びM1’でプロファイル不連続部を有し、それぞれ点N1及びN1’でベース面上の対応する不連続トレースを有する。
【0064】
高さh1でのスライス面の上方にある、それぞれ点P1とP2との間、点P2’とP2’’との間、P1’とP2’’’との間のプロファイルカーブ(8)の区間が距離値h1だけ並進されて、それぞれ点N1とM2の間、M2’とM2’’との間、点N1’とM2’’’との間に含まれる低減されたプロファイル(9)の区間を得て、点M2、M2’、M2’’、及びM2’’’でプロファイル不連続部を有し、それぞれ点N2、N2’、N2’’、及びN2’’’でベース面上の対応するトレースを有する。
【0065】
高さh2でのスライス面の上方にある、それぞれ点P2とP2’との間、点P2’’とP3との間、P2’’’とP3’との間のプロファイルカーブ(8)の区間が距離値h2だけ並進されて、それぞれ点N2とN2’の間、N2’’とM3との間、点N2’’’とM3’との間に含まれる低減されたプロファイル(9)の区間を得て、点M3及びM3’でプロファイル不連続部を有し、それぞれ点N3及びN3’でベース面上の対応するトレースを有する。
【0066】
高さh3でのスライス面の上方にある、それぞれ点P3とP4との間、点P3’とP4’との間のプロファイルカーブ(8)の区間が距離値h3だけ並進されて、それぞれ点N3とM4の間、N3’とM4’との間に含まれる低減されたプロファイル(9)の区間を得て、点M4及びM4’でプロファイル不連続部を有し、それぞれ点N4及びN4’でベース面上の対応する不連続部トレースを有する。
【0067】
高さh4でのスライス面の上方にある、点P4とP4’との間のプロファイルカーブ(8)の区間が距離値h4だけ並進されて、点N4とN4’との間に含まれる低減されたプロファイル(9)の区間を得る。
【0068】
ベース面上の点M0とN1、点N1とN2、点N2とN2’、点N2’とN2’’、点N2’’とN3、点N3とN4、点N4とN4’、点N4’とN3’、点N3’とN2’’’、点N2’’’とN1’、点N1’とM0の間に含まれる異なるプロファイル区間のそれぞれのサイズに対して、上記のレリーフプロファイルの計算方法において、スライス面の数及びそれらの高さに関する制限が存在する。これらのサイズは、投影されるコースティックパターンが依然として視覚的に認識可能である(すなわち、例えば色収差によって損なわれない)ように、(可視光に関する)回折限界を上回らなくてはならない。さらなる制限は、加工されたレリーフプロファイルの対応するドラフトファセットへの入射に起因する入射光の損失による不連続部のレベルでのドラフト損失に関係する。
【0069】
「切断及び押しつぶし」操作の結果として、不連続部を有する計算されたレリーフプロファイル(9)は、δiよりもはるかに小さい低減されたレリーフパターン深さδを有し、したがって、それに対応して加工されたレリーフパターンも、低減された深さδfを有し、計算されたレリーフプロファイル(9)の不連続部に対応する急激な変化を示す。
【0070】
したがって、本発明によれば、非常に小さい深さδfのレリーフパターンを設計し、光学材料基材上に光偏向面を形成して、(所与の参照パターンに関する)上述の目視認識基準を満たすことが可能な光学セキュリティ要素を提供する操作が、以下のような理由で大幅に容易にされる。δi>>δfを有する厚い初期レリーフパターンプロファイル(すなわち、光学セキュリティ要素に関する厳しい厚さ要件には適合しないが、他の点では、コースティックパターンの視覚的に認識可能な投影を(光学材料の表面の加工により)生成することが可能である)からプロセスを始め、低減された深さの対応する不連続なレリーフパターンプロファイルを形成し、(所与のターゲット深さの)薄い光学セキュリティ要素を提供することが可能であり、光学材料の加工が適切な光学セキュリティ要素を提供することを検証するための何らかのテストを実施する必要なく、候補参照パターンの修正(さらには棄却)の必要をなくして、それに従って計算されたレリーフパターンプロファイルは、対応するコースティックパターンの視覚的に認識可能な投影に実際に適合性がある。
【0071】
図3は、暗い背景に数字の100を表す参照パターンの例である。
【0072】
図4Aは、本発明による、透明な屈折性箔材料上にUVキャスティングされている深さδ=30μmのレリーフパターンを備える屈折性の光偏向面を有する、本発明による非常に薄い光学セキュリティ要素(すなわち、画像内の最前面の物体の透明部分)の実現の写真を示す。光学セキュリティ要素の全体の深さは、100μmであり、その面積Aは1cm
2である。箔の屈折性材料は、約1.5の屈折率nを有し、ポリエステルで作製されている。レリーフパターンを形成するために使用される樹脂の屈折率も、約1.5である。また、スクリーン上(
図4Bも参照)に、投影されたコースティックパターン(すなわち、数字の100)が、加工されたレリーフパターンの急激な変化に対応する影状のラインと共に(背景に)示されている。参照パターンは、
図3のものである。
【0073】
図4Bは、
図4Aの光学セキュリティ要素によって投影されたコースティックパターンの詳細を示す写真である。ここで、点状光源は、光偏向面から距離d
s=30cmにあるLEDであり、コースティックパターンが投影される平坦なスクリーンは、距離d
i=40mmにある。コースティックパターンは、
図3の参照パターンの数字100のパターンを適切に再現している。
【0074】
図5Aは、30μmの高さを維持する水平化されたカットに対応する(すなわち、
図3の参照パターン(すなわち数字の100)に関する計算されたレリーフプロファイルの不連続部に対応する)等高線を有するレリーフパターンの斜視図である。
【0075】
図5Bは、
図5Aのレリーフパターンに対応する投影されたコースティックパターンの図であり、平坦化されたカットに相当する影状のラインが、数字の100の周りに明確に見られる。
【0076】
図6Aは、約30μmの高さを維持する楕円円筒を有する初期レリーフパターンをスライスすることによって形成されたカットに対応する(すなわち、
図3の参照パターン(すなわち数字の100)のためのレリーフプロファイルの不連続部に対応する)等高線を有するレリーフパターンの斜視図である。
【0077】
図6Bは、
図6Aのレリーフパターンに対応する投影されたコースティックパターンの図であり、楕円形カットに対応する影状のラインを示す。
【0078】
上で開示された主題は、限定的ではなく例示的であると考えられるべきであり、独立クレームによって定義される本発明のより良い理解を提供するのに役立つ。