IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特許7375393静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
<>
  • 特許-静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 図1
  • 特許-静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 図2
  • 特許-静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 9/097 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G03G9/097 375
G03G9/097 371
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019163564
(22)【出願日】2019-09-09
(65)【公開番号】P2021043273
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 拓郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 祥雅
(72)【発明者】
【氏名】野口 大介
(72)【発明者】
【氏名】安野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 諭
【審査官】中山 千尋
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-125431(JP,A)
【文献】特開2009-169350(JP,A)
【文献】特開2016-164602(JP,A)
【文献】特開2016-170246(JP,A)
【文献】特開2018-049239(JP,A)
【文献】特開2004-145325(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナー粒子と、オイル処理された気相法シリカ粒子Aと、オイル処理以外の疎水化処理された湿式法シリカ粒子Bと、を含み、
前記気相法シリカ粒子Aの平均粒径Daと前記湿式法シリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa≧Dbの関係であり、
前記気相法シリカ粒子A及び前記湿式法シリカ粒子B以外の外添剤を含まない、又は、前記気相法シリカ粒子A及び前記湿式法シリカ粒子B以外の外添剤を含み当該外添剤の平均粒径が前記平均粒径Daよりも小さ
全外添剤による前記トナー粒子表面の被覆率が70%以上100%以下である、
静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記平均粒径Daと前記平均粒径Dbとの比Da/Dbが1.0以上2.0以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記気相法シリカ粒子Aの含有量Maと前記湿式法シリカ粒子Bの含有量Mbとの質量基準の比Ma/Mbが0.5以上1.0以下である、請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記湿式法シリカ粒子Bが、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理された湿式法シリカ粒子を含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記気相法シリカ粒子Aが、シリコーンオイルにより処理された気相法シリカ粒子を含む、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項6】
前記気相法シリカ粒子Aの粒径の個数基準の頻度分布にピークが2つ存在し、
第一のピークが粒径80nm以上110nm以下の範囲にあり、
第二のピークが粒径50nm以上80nm以下の範囲にある、
請求項1~請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項7】
前記平均粒径Daが70nm以上110nm以下である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
前記平均粒径Dbが20nm以上80nm以下である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項9】
前記気相法シリカ粒子Aによる前記トナー粒子表面の被覆率が5%以上30%以下である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項10】
全外添剤の粒径の個数基準の頻度分布において、粒径20nm以上100nm以下の範囲に含まれる割合が75%以上である、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項11】
テトラキス(トリメチルシロキシ)シランをさらに含む、請求項1~請求項10のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項12】
テトラキス(トリメチルシロキシ)シランの含有量が質量基準で0.01ppm以上10ppm以下である、請求項11に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項13】
前記トナー粒子がコア・シェル構造のトナー粒子である、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項15】
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項16】
前記静電荷像現像用トナーを収容している本体が回転する回転式トナーカートリッジである、請求項15に記載のトナーカートリッジ。
【請求項17】
静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容したトナーカートリッジと、
前記トナーカートリッジと前記現像手段とをつなぎ、前記トナーカートリッジ内の前記静電荷像現像用トナーを前記現像手段に補給するトナー補給路と、
を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項18】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容している補給用トナー収容部と、
前記補給用トナー収容部と前記現像手段とをつなぎ、前記補給用トナー収容部内の前記静電荷像現像用トナーを前記現像手段に補給するトナー補給路と、
を備える画像形成装置。
【請求項19】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
請求項1~請求項13のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容している補給用トナー収容部から、前記補給用トナー収容部と現像手段とをつなぐトナー補給路を通じて、前記補給用トナー収容部内の前記静電荷像現像用トナーを前記現像手段に補給するトナー補給工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、1次粒子の平均粒子径が体積基準メジアン径で0.01μm~5μmであり、表面の少なくとも一部が疎水化処理された表面疎水化球状シリカ粒子、及び、表面疎水化球状シリカ粒子が外添されたトナーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-114175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、オイル処理された凝集シリカ粒子Aとオイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bとを含む静電荷像現像用トナーであって、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa<Dbの関係である静電荷像現像用トナーに比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための手段には、下記の態様が含まれる。
【0006】
<1> トナー粒子と、オイル処理された凝集シリカ粒子Aと、オイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bと、を含み、
前記凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daと前記シリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa≧Dbの関係であり、
前記凝集シリカ粒子A及び前記シリカ粒子B以外の外添剤を含まない、又は、前記凝集シリカ粒子A及び前記シリカ粒子B以外の外添剤を含み当該外添剤の平均粒径が前記平均粒径Daよりも小さい、静電荷像現像用トナー。
<2> 前記平均粒径Daと前記平均粒径Dbとの比Da/Dbが1.0以上2.0以下である、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3> 前記凝集シリカ粒子Aの含有量Maと前記シリカ粒子Bの含有量Mbとの質量基準の比Ma/Mbが0.5以上1.0以下である、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4> 前記シリカ粒子Bが、湿式法シリカ粒子の非凝集粒子を含む、<1>~<3>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<5> 前記シリカ粒子Bが、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理されたシリカ粒子を含む、<1>~<4>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<6> 前記凝集シリカ粒子Aが、気相法シリカ粒子の凝集粒子を含む、<1>~<5>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<7> 前記凝集シリカ粒子Aが、シリコーンオイルにより処理された凝集シリカ粒子を含む、<1>~<6>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<8> 前記凝集シリカ粒子Aの粒径の個数基準の頻度分布にピークが2つ存在し、第一のピークが粒径80nm以上110nm以下の範囲にあり、第二のピークが粒径50nm以上80nm以下の範囲にある、<1>~<7>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<9> 前記平均粒径Daが70nm以上110nm以下である、<1>~<8>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<10> 前記平均粒径Dbが20nm以上80nm以下である、<1>~<9>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<11> 前記凝集シリカ粒子Aによる前記トナー粒子表面の被覆率が5%以上30%以下である、<1>~<10>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<12> 全外添剤による前記トナー粒子表面の被覆率が60%以上100%以下である、<1>~<11>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<13> 全外添剤の粒径の個数基準の頻度分布において、粒径20nm以上100nm以下の範囲に含まれる割合が75%以上である、<1>~<12>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<14> テトラキス(トリメチルシロキシ)シランをさらに含む、<1>~<13>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<15> テトラキス(トリメチルシロキシ)シランの含有量が質量基準で0.01ppm以上10ppm以下である、<1>~<14>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナー。
<16> <1>~<15>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<17> <1>~<15>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<18> 前記静電荷像現像用トナーを収容している本体が回転する回転式トナーカートリッジである、<17>に記載のトナーカートリッジ。
<19> 静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、<1>~<15>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容したトナーカートリッジと、前記トナーカートリッジと前記現像手段とをつなぎ、前記トナーカートリッジ内の前記静電荷像現像用トナーを前記現像手段に補給するトナー補給路と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<20> 像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
<1>~<15>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容している補給用トナー収容部と、
前記補給用トナー収容部と前記現像手段とをつなぎ、前記補給用トナー収容部内の前記静電荷像現像用トナーを前記現像手段に補給するトナー補給路と、
を備える画像形成装置。
<21> 像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
<1>~<15>のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容している補給用トナー収容部から、前記補給用トナー収容部と現像手段とをつなぐトナー補給路を通じて、前記補給用トナー収容部内の前記静電荷像現像用トナーを前記現像手段に補給するトナー補給工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0007】
<1>、<5>、<6>、<7>又は<8>に係る発明によれば、オイル処理された凝集シリカ粒子Aとオイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bとを含む静電荷像現像用トナーであって、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa<Dbの関係である静電荷像現像用トナーに比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<2>に係る発明によれば、比Da/Dbが1.0未満又は2.0超である場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<3>に係る発明によれば、凝集シリカ粒子Aの含有量Maとシリカ粒子Bの含有量Mbとの質量基準の比Ma/Mbが0.5未満又は1.0超である場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<4>に係る発明によれば、シリカ粒子Bが気相法シリカ粒子のみ又は凝集シリカ粒子のみである場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<9>に係る発明によれば、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daが70nm未満又は110nm超である場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<10>に係る発明によれば、シリカ粒子Bの平均粒径Dbが20nm未満又は80nm超である場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<11>に係る発明によれば、凝集シリカ粒子Aによるトナー粒子表面の被覆率が5%未満又は30%超である場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<12>に係る発明によれば、全外添剤によるトナー粒子表面の被覆率が60%未満である場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<13>に係る発明によれば、全外添剤の粒径の個数基準の頻度分布において、粒径20nm以上100nm以下の範囲に含まれる割合が75%未満である場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
<14>又は<15>に係る発明によれば、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランを含まない場合に比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーが提供される。
【0008】
<16>に係る発明によれば、オイル処理された凝集シリカ粒子Aとオイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bとを含む静電荷像現像用トナーであって、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa<Dbの関係である静電荷像現像用トナーに比べて、補給用トナー収容部からの排出性に優れる静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤が提供される。
<17>又は<18>に係る発明によれば、オイル処理された凝集シリカ粒子Aとオイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bとを含む静電荷像現像用トナーであって、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa<Dbの関係である静電荷像現像用トナーを収容したトナーカートリッジに比べて、静電荷像現像用トナーの排出性に優れるトナーカートリッジが提供される。
<19>に係る発明によれば、オイル処理された凝集シリカ粒子Aとオイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bとを含む静電荷像現像用トナーであって、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa<Dbの関係である静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べて、トナーカートリッジからの静電荷像現像用トナーの排出性に優れるプロセスカートリッジが提供される。
<20>に係る発明によれば、オイル処理された凝集シリカ粒子Aとオイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bとを含む静電荷像現像用トナーであって、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa<Dbの関係である静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べて、補給用トナー収容部からの静電荷像現像用トナーの排出性に優れる画像形成装置が提供される。
<21>に係る発明によれば、オイル処理された凝集シリカ粒子Aとオイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bとを含む静電荷像現像用トナーであって、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa<Dbの関係である静電荷像現像用トナーを適用した場合に比べて、補給用トナー収容部からの静電荷像現像用トナーの排出性に優れる画像形成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係るトナーカートリッジの一例を示す概略構成図である。
図2】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本開示の実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
【0011】
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
【0012】
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
【0013】
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
【0014】
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0015】
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
【0016】
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
【0017】
本開示において、「静電荷像現像用トナー」を単に「トナー」ともいい、「静電荷像現像剤」を単に「現像剤」ともいう。
【0018】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係るトナーは、現像手段に供給するための補給用トナーとして、電子写真方式の画像形成装置に供される。本実施形態に係るトナーは、現像手段に予め装填されるトナーとして用いてもよい。
【0019】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子と、オイル処理された凝集シリカ粒子Aと、オイル処理以外の疎水化処理された凝集及び非凝集のいずれでもよいシリカ粒子Bと、を含み、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daとシリカ粒子Bの平均粒径DbとがDa≧Dbの関係である。そして、本実施形態に係るトナーは、凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外の外添剤を含まない、又は、凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外の外添剤を含んでいても、凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外の外添剤の平均粒径が凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daよりも小さい。
【0020】
本実施形態に係るトナーは、上記の構成によって、画像形成装置内の補給用トナー収容部からの排出性に優れる。その機序として次のことが推測される。以下の説明において、凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外の外添剤を「外添剤C」という。
【0021】
補給用トナー収容部(例えばトナーボトル)の内表面にトナーが付着して、トナーの排出性が低下することがある。特に、補給用トナー収容部が回転式トナーボトルである場合、ボトル内表面に設けた螺旋状の凸部がトナーをトナー排出口へ移動させる手段であり、それ以外のトナー排出機構(例えばオーガスクリュー等)をボトル内部に設置しないことが一般的であるので、トナーがボトル内表面に付着するとトナーの排出性が顕著に低下する。
したがって、補給用トナー収容部からのトナーの排出性をよくするには、補給用トナー収容部の内表面にトナーが付着することを抑制することが望ましい。
オイル処理された凝集シリカ粒子Aは、凝集シリカ粒子であることにより粒子表面に凹部を有しているので、オイル処理された非凝集シリカ粒子に比べて、(1)粒子表面にオイルを多く有している、(2)補給用トナー収容部の内表面に対する接触部位が多い、という特徴を有する。そして、Da≧Dbであり、且つ、外添剤Cを含まない又は外添剤Cの平均粒径がDaよりも小さいことにより、凝集シリカ粒子Aが外添剤の中で一番大きく、したがって、凝集シリカ粒子Aが個々のトナーの外縁を成すことになる。
上記(1)及び(2)の特徴を有する凝集シリカ粒子Aがトナーの外縁を成しているので、凝集シリカ粒子Aから補給用トナー収容部の内表面に比較的多くのオイルが移行するものと推測され、補給用トナー収容部の内表面に移行したオイルが、補給用トナー収容部の内表面にトナーが付着することを抑制するものと推測される。
ただし、外添剤のシリカ粒子がオイル処理されたシリカ粒子ばかりであると、トナーどうしの凝集が強まって、補給用トナーの排出性が低下することがある。これに対しては、オイル処理されておらずオイル処理以外の疎水化処理されたシリカ粒子であってDa≧Dbの関係にあるシリカ粒子Bが、凝集シリカ粒子Aの間を埋めるようにしてトナー粒子表面を覆っており、トナーどうしの凝集を抑制するものと推測される。
上記の機序によって、本実施形態に係るトナーは、補給用トナー収容部の内表面への付着とトナーどうしの凝集とを抑制し、補給用トナー収容部からの排出性に優れると推測される。
【0022】
凝集シリカ粒子Aとシリカ粒子Bとは、補給用トナー収容部からのトナー排出性をより良化する観点から、Da>Dbの関係であることが好ましい。
凝集シリカ粒子Aとシリカ粒子Bとは、補給用トナー収容部からのトナー排出性をより良化する観点から、平均粒径の比Da/Dbが1.0以上2.0以下の関係であることが好ましく、1.0超2.0以下の関係であることがより好ましく、1.2以上1.8以下の関係であることが更に好ましい。
【0023】
凝集シリカ粒子Aの含有量Maとシリカ粒子Bの含有量Mbとの質量基準の比Ma/Mbは、補給用トナー収容部からのトナー排出性をより良化する観点から、0.5以上1.0以下であることが好ましく、0.55以上0.95以下であることがより好ましく、0.6以上0.9以下であることが更に好ましい。
【0024】
以下、本実施形態に係るトナーの成分、構造及び特性について詳細に説明する。
【0025】
[トナー粒子]
トナー粒子は、例えば、結着樹脂と、必要に応じて、着色剤と、離型剤と、その他添加剤と、を含んで構成される。
【0026】
-結着樹脂-
トナー粒子は、結着樹脂として、非晶性樹脂と、直鎖ジカルボン酸及び炭素数が2以上12以下の直鎖ジアルコールの重縮合体からなる結晶性ポリエステル樹脂(「特定結晶性ポリエステル樹脂」という。)と、を少なくとも含むことが好ましい。
【0027】
本開示において樹脂の「結晶性」とは、示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱量変化ではなく、明確な吸熱ピークを有することを指し、具体的には、昇温速度10(℃/min)で測定した際の吸熱ピークの半値幅が15℃以内であることを指す。樹脂の「非晶性」とは、半値幅が15℃を超えること、階段状の吸熱量変化を示すこと、又は明確な吸熱ピークが認められないことを指す。
【0028】
結着樹脂は、必要に応じてその他の樹脂を含んでもよい。ただし、非晶性樹脂及び特定結晶性ポリエステル樹脂の合計含有量は、トナー粒子に含まれる樹脂全体に対し、80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましく、95質量%以上であることがさらに好ましい。
【0029】
・非晶性ポリエステル樹脂
非晶性樹脂として非晶性ポリエステル樹脂が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。非晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
【0030】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0031】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0033】
非晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましく、30000以上150000以下が更に好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
非晶性ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0034】
非晶性ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。共重合反応において相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0035】
・結晶性ポリエステル樹脂
結晶性ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの重縮合体が挙げられる。結晶性ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
ここで、結晶性ポリエステル樹脂は、結晶構造を容易に形成するため、芳香環を有する重合性単量体よりも直鎖状脂肪族の重合性単量体を用いた重縮合体が好ましい。
【0036】
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1,14-テトラデカンジカルボン酸、1,18-オクタデカンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸等の二塩基酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸は、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価のカルボン酸としては、例えば、芳香族カルボン酸(例えば1,2,3-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,2,4-ナフタレントリカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。
多価カルボン酸としては、これらジカルボン酸と共に、スルホン酸基を持つジカルボン酸、エチレン性二重結合を持つジカルボン酸を併用してもよい。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えば主鎖部分の炭素数が7以上20以下である直鎖型脂肪族ジオール)が挙げられる。脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジオールとしては、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオールが好ましい。
多価アルコールは、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のアルコールを併用してもよい。3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
ここで、多価アルコールは、脂肪族ジオールの含有量を80モル%以上とすることがよく、好ましくは90モル%以上である。
【0039】
結晶性ポリエステル樹脂の融解温度は、50℃以上100℃以下が好ましく、55℃以上90℃以下がより好ましく、60℃以上85℃以下がさらに好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0040】
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、6,000以上35,000以下が好ましく、7,000以上15,000以下がより好ましい
【0041】
結晶性ポリエステル樹脂は、例えば、非晶性ポリエステルと同様に、公知の製造方法により得られる。
【0042】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子全体に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0043】
-着色剤-
着色剤としては、例えば、カーボンブラック、クロムイエロー、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、スレンイエロー、キノリンイエロー、ピグメントイエロー、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、ウオッチヤングレッド、パーマネントレッド、ブリリアントカーミン3B、ブリリアントカーミン6B、デュポンオイルレッド、ピラゾロンレッド、リソールレッド、ローダミンBレーキ、レーキレッドC、ピグメントレッド、ローズベンガル、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー、カルコオイルブルー、メチレンブルークロライド、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、フタロシアニングリーン、マラカイトグリーンオキサレート等の顔料;アクリジン系、キサンテン系、アゾ系、ベンゾキノン系、アジン系、アントラキノン系、チオインジコ系、ジオキサジン系、チアジン系、アゾメチン系、インジコ系、フタロシアニン系、アニリンブラック系、ポリメチン系、トリフェニルメタン系、ジフェニルメタン系、チアゾール系等の染料;が挙げられる。
着色剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0045】
着色剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、3質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0046】
-離型剤-
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
【0047】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121:1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0048】
離型剤の含有量は、トナー粒子全体に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上15質量%以下がより好ましい。
【0049】
-その他の添加剤-
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0050】
-トナー粒子の特性等-
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂と必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0051】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0052】
トナー粒子の各種平均粒径、及び各種粒度分布指標は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積数平均粒径D50p、累積84%となる粒径を体積粒径D84v、数粒径D84pと定義する。
これらを用いて、体積粒度分布指標(GSDv)は(D84v/D16v)1/2、数粒度分布指標(GSDp)は(D84p/D16p)1/2として算出される。
【0053】
トナー粒子の平均円形度は、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0054】
[凝集シリカ粒子A]
凝集シリカ粒子Aは、オイル処理された凝集シリカ粒子である。
凝集シリカ粒子Aを構成するシリカ粒子として、具体的には、気相法シリカ粒子、湿式法シリカ粒子、溶融シリカ粒子等が挙げられる。
【0055】
凝集シリカ粒子Aの疎水化処理剤は、オイルである。オイルとしては、例えば、シリコーンオイル、パラフィンオイル、フッ素オイル、植物性オイル等が挙げられる。オイルは、1種を用いてもよいし、複数種を用いてもよい。これらの中でも、シリコーンオイルが好ましく、ジメチルシリコーンオイルがより好ましい。
シリカ粒子のオイル処理は、例えば、アルコールに溶解したオイル中にシリカ粒子を分散させた後、エバポレーターを用いてアルコールを留去し乾燥させる方法によって行う。
【0056】
凝集シリカ粒子Aは、オイル保持部となる凹部を粒子表面に比較的多く有する観点から、気相法シリカ粒子の凝集粒子であることが好ましい。気相法シリカ粒子は、例えば、水素及び酸素と共に四塩化ケイ素を燃焼する方法で製造できる。
【0057】
凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daは70nm以上110nm以下であることが好ましい。平均粒径Daが70nm以上であると、トナーどうしの凝集を抑制するスペーサー効果に優れる。この観点から、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daは、75nm以上がより好ましく、80nm以上が更に好ましい。平均粒径Daが110nm以下であると、凝集シリカ粒子Aが解砕しにくい。この観点から、凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daは、105nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。
【0058】
凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daは、下記の測定方法によって求める。
まず、トナーから凝集シリカ粒子を分離する。凝集シリカ粒子の分離は、他の外添剤と比較し、凝集シリカ粒子のトナー粒子に対する付着力が弱いことを利用する。例えば、界面活性剤を含む水にトナーを分散させた分散液に超音波(65μm、1min、20℃)を印加したのち、分散液を高速遠心し、上澄み液を常温(23℃±2℃)で乾燥させて凝集シリカ粒子を得る。
次いで、凝集シリカ粒子を、オイル処理された凝集シリカ粒子(すなわち凝集シリカ粒子A)と、オイル処理以外の疎水化処理された凝集シリカ粒子とに区別する。両者を判別する方法は、例えば、上述の上澄み液に含まれる凝集シリカ粒子を、テトラヒドロフラン(THF)で洗浄し、洗浄前後の凝集シリカ粒子の重量差で判別する。THF処理前の重量をWb、THF処理後の重量をWaとしたとき、(Wb-Wa)がWbの0.20質量%以上のとき凝集シリカ粒子がオイル処理されていると判別する。
凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daは、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を解析して500個の凝集シリカ粒子の径(長径と短径の平均値)を測定し、それらを平均することで求める。
【0059】
凝集シリカ粒子Aの実施形態例として、粒径の個数基準の頻度分布にピークが2つ存在し、第一のピークが粒径80nm以上110nm以下の範囲にあり、第二のピークが粒径50nm以上80nm以下の範囲にある形態が挙げられる。本形態の凝集シリカ粒子Aはつまり、平均粒径が80nm以上110nm以下の範囲である第一の凝集シリカ粒子(「凝集シリカ粒子A1」という。)と、平均粒径が50nm以上80nm以下の範囲である第二の凝集シリカ粒子(「凝集シリカ粒子A2」という。)との混合物である。
凝集シリカ粒子A1と凝集シリカ粒子A2との混合比(質量基準、A1:A2)は、20:80乃至70:30が好ましく、30:70乃至60:40がより好ましく、40:60乃至50:50が更に好ましい。
【0060】
凝集シリカ粒子Aの外添量は、補給用トナー収容部からのトナー排出性を良化する観点から、トナー粒子の量に対して、0.1質量%以上4質量%以下が好ましく、0.3質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1質量%以下が更に好ましい。
【0061】
凝集シリカ粒子Aによるトナー粒子表面の被覆率は、補給用トナー収容部からのトナー排出性を良化する観点から、5%以上30%以下が好ましく、8%以上28%以下がより好ましく、10%以上25%以下が更に好ましい。
【0062】
凝集シリカ粒子Aによるトナー粒子表面の被覆率は、トナーの電子顕微鏡画像を画像解析することにより求める。
具体的には、走査型電子顕微鏡S-4700(日立製作所製)を用い、倍率10000倍にてトナー表面を100視野観察する。観察したトナー表面の画像を画像処理解析ソフトWinROOF(三谷商事株式会社製)の面積解析ツールで解析し、凝集シリカ粒子が付着している部分の面積、他の外添剤が付着している部分の面積、及び外添剤が付着していない部分の面積を算出することにより求める。シリカ粒子であるか否かは、SEM-EDXで求められる。先述の平均粒径Daの測定方法において凝集シリカ粒子がオイル処理されていると判断されたトナー上の凝集シリカ粒子を凝集シリカ粒子Aとしてよい。
【0063】
[シリカ粒子B]
シリカ粒子Bは、オイル処理以外の疎水化処理されたシリカ粒子であって、凝集シリカ粒子及び非凝集シリカ粒子のいずれも含む。シリカ粒子Bは、オイル処理されていないシリカ粒子である。
【0064】
シリカ粒子Bの疎水化処理剤はオイル以外であれば特に制限されないが、シラザン化合物(例えば、ジメチルジシラザン、トリメチルジシラザン、テトラメチルジシラザン、ペンタメチルジシラザン、ヘキサメチルジシラザン等)が好ましく、1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザン(HMDS)が特に好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0065】
シリカ粒子Bは、トナーどうしの凝集を抑制する観点から、円形度が高い粒子であることが好ましく、したがって、湿式法シリカ粒子であること、及び、非凝集のシリカ粒子であることが好ましい。シリカ粒子Bは、平均円形度が0.94以上であることが好ましい。粒子の円形度とは、4π×(粒子像の面積)÷(粒子像の周囲長)1/2であり、最大値が1であり、平均円形度は少なくとも300個の粒子を顕微鏡観察して求める。
【0066】
シリカ粒子Bは、湿式法シリカ粒子が1,1,1,3,3,3-ヘキサメチルジシラザンにより疎水化処理された、非凝集シリカ粒子であることがより好ましい。
【0067】
湿式法シリカ粒子は、例えば、次のようにして得られる。
アルコール化合物とアンモニア水とを含むアルカリ触媒溶液にテトラアルコキシシランを滴下し、テトラアルコキシシランを加水分解及び縮合させゾルゲルシリカ粒子を含む懸濁液を得る。次いで、懸濁液から溶媒を除去し粒状物を得る。次いで、粒状物を乾燥することにより、ゾルゲルシリカ粒子を得る。ゾルゲルシリカ粒子の平均一次粒径は、アルカリ触媒溶液の量に対するテトラアルコキシシランの滴下量によって制御することができる。
【0068】
シリカ粒子Bの平均粒径Dbは20nm以上80nm以下であることが好ましい。平均粒径Dbが20nm以上であると、シリカ粒子Bがトナー粒子に埋没しにくい。この観点から、シリカ粒子Bの平均粒径Dbは、25nm以上がより好ましく、30nm以上が更に好ましい。平均粒径Dbが80nm以下であると、シリカ粒子Bがトナー粒子表面で比較的転がりにくくトナー粒子表面の凹部に偏在しにくい。この観点から、シリカ粒子Bの平均粒径Dbは、75nm以下がより好ましく、70nm以下が更に好ましい。
【0069】
シリカ粒子Bの平均粒径Dbは、下記の測定方法によって求める。
まず、トナーから凝集シリカ粒子を分離する。凝集シリカ粒子の分離は、他の外添剤と比較し、凝集シリカ粒子のトナー粒子に対する付着力が弱いことを利用する。例えば、界面活性剤を含む水にトナーを分散させた分散液に超音波(65μm、1min、20℃)を印加したのち、分散液を高速遠心し、上澄み液(1)を常温(23℃±2℃)で乾燥させて凝集シリカ粒子を得る。
次いで、凝集シリカ粒子を、オイル処理された凝集シリカ粒子(すなわち凝集シリカ粒子A)と、オイル処理以外の疎水化処理された凝集シリカ粒子(すなわち凝集型のシリカ粒子B)とに区別する。両者を判別する方法は、例えば、上澄み液(1)に含まれる凝集シリカ粒子を、テトラヒドロフラン(THF)で洗浄し、洗浄前後の凝集シリカ粒子の重量差で判別する。THF処理前の重量をWb、THF処理後の重量をWaとしたとき、(Wb-Wa)がWbの0.20質量%未満のとき凝集シリカ粒子がオイル処理されていないと判別する。
凝集型のシリカ粒子Bの平均粒径を、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を解析して500個の凝集シリカ粒子の径(長径と短径の平均値)を測定し、それらを平均することで求める。
凝集シリカ粒子をトナーから分離した後、さらに、界面活性剤を含む水にトナーを分散させた分散液に超音波(160μm、60min、20℃)を印加したのち、分散液を高速遠心し、上澄み液(2)を常温(23℃±2℃)で乾燥させて非凝集シリカ粒子を得る。
次いで、非凝集シリカ粒子を、オイル処理された非凝集シリカ粒子と、オイル処理以外の疎水化処理された非凝集シリカ粒子(すなわち非凝集型のシリカ粒子B)とに区別する。両者を判別する方法は、例えば、上澄み液(2)に含まれる非凝集シリカ粒子を、THFで洗浄し、洗浄前後の非凝集シリカ粒子の重量差で判別する。THF処理前の重量をWb、THF処理後の重量をWaとしたとき、(Wb-Wa)がWbの0.20質量%未満のとき非凝集シリカ粒子がオイル処理されていないと判別する。
非凝集型のシリカ粒子Bの平均粒径を、走査型電子顕微鏡(SEM)画像を解析して500個のシリカ粒子の径(長径と短径の平均値)を測定し、それらを平均することで求める。
シリカ粒子Bの平均粒径Dbは、凝集型のシリカ粒子Bの平均粒径と非凝集型のシリカ粒子Bの平均粒径とを個数割合で重みづけした平均粒径である。
【0070】
シリカ粒子Bは、BET比表面積が、100m/g以上240m/g以下であることが好ましく、120m/g以上220m/g以下であることがより好ましく、150m/g以上200m/g以下であることが更に好ましい。シリカ粒子BのBET比表面積は、窒素ガスを用いたBET多点法にて測定方法する。
【0071】
シリカ粒子Bの外添量は、補給用トナー収容部からのトナー排出性を良化する観点から、トナー粒子の量に対して、0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.3質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上2質量%以下が更に好ましい。
【0072】
[その他の外添剤]
本実施形態に係るトナーは、凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外のその他の外添剤を含まないか、又は、凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外のその他の外添剤を含んでいても、その他の外添剤の平均粒径が凝集シリカ粒子Aの平均粒径Daよりも小さい。
【0073】
凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外のその他の外添剤としては、例えば、TiO、Al、CuO、ZnO、SnO、CeO、Fe、MgO、BaO、CaO、KO、NaO、ZrO、CaO・SiO、KO・(TiO)n、Al・2SiO、CaCO、MgCO、BaSO、MgSO等の無機粒子が挙げられる。
【0074】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0075】
凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外のその他の外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0076】
本実施形態に係るトナーが凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外のその他の外添剤を含んでいる場合、その他の外添剤の外添量は、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0077】
本実施形態に係るトナーは、凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子B以外のその他の外添剤を含んでいてもよいが、その他の外添剤を含まないことが好ましい。
【0078】
全外添剤によるトナー粒子表面の被覆率は、補給用トナー収容部からのトナー排出性を良化する観点から、60%以上100%以下が好ましく、70%以上100%以下がより好ましく、80%以上100%以下が更に好ましい。
【0079】
全外添剤によるトナー粒子表面の被覆率は、下記の測定方法によって求める。
(1)トナーをエポキシ樹脂中に分散し1昼夜放置し固化させて測定サンプルを作製する。エポキシ樹脂としては、例えば2液混合型のエポキシ樹脂を使用すればよい。
(2)測定サンプルからミクロトームで厚さ100nmの切片を切り出す。
(3)切片を銅メッシュ上に乗せ、高分解能電子顕微鏡JEM-2010(日本電子株式会社)にセットし、印加電圧200kVで50万倍で撮影する。
(4)ネガを3倍から10倍に引き伸ばしてプリントする。
(5)(1)から(4)の手順によるプリントで、トナーの体積平均粒径の80%以上120%以下の直径のトナーの表面を観察し、全外添剤によるトナー粒子表面の被覆状態を評価する。被覆率は下記式から求める。
式:被覆率=(被覆長さ÷トナー外周長)×100(%)
ここで、被覆長さとは、トナー粒子表面に直接接触している外添剤層の長さをいう。 本実施形態においては、トナー10個の被覆率の平均を被覆率とする。
【0080】
全外添剤の粒径の個数基準の頻度分布において、粒径20nm以上100nm以下の範囲に含まれる割合は、補給用トナー収容部からのトナー排出性を良化する観点から、75%以上100%以下であることが好ましく、80%以上100%以下であることがより好ましく、85%以上100%以下であることが更に好ましく、90%以上100%以下であることが更に好ましい。
【0081】
[分子量200以上600以下の低分子シロキサン]
本実施形態のトナーは、シロキサン結合とアルキル基のみで構成された分子量200以上600以下の低分子シロキサンを含むことが好ましい。
【0082】
本開示においてシロキサンとは、特別に断らない限り、シロキサン結合とアルキル基のみで構成されたシロキサンを指す。本開示においては、分子量1000未満のシロキサンが低分子シロキサンの範疇に入り、分子量1000以上のシロキサンはシリコーンオイルの範疇に入る。
【0083】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは一部又は全部が、外添剤であるシリカ粒子の一部又は全部に付着していることが好ましい。シリカ粒子が疎水化表面処理を施された疎水性シリカ粒子である場合、分子量200以上600以下の低分子シロキサンは一部又は全部が、疎水化処理された後のシリカ粒子の一部又は全部に付着していることが好ましい。
【0084】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、凝集シリカ粒子A表面のオイルを遊離させ補給用トナー収容部の内表面へと移行させる働きをすると推測される。
【0085】
本実施形態に係るトナーに含まれる低分子シロキサンの分子量は、遊離オイルの移行を容易にする観点から、200以上であることが好ましく、250以上であることがより好ましく、280以上であることが更に好ましく、300以上であることが更に好ましい。
本実施形態に係るトナーに含まれる低分子シロキサンの分子量は、比較的分子量が大きいとシロキサン分子どうしの絡み合いでシリカ粒子が集団化しやすのでこれを抑制する観点から、600以下であることが好ましく、550以下であることがより好ましく、500以下であることが更に好ましく、450以下であることが更に好ましい。
【0086】
本実施形態に係るトナーは、本実施形態に係るトナーの効果を妨げない範囲であれば、分子量200未満の低分子シロキサン、分子量600超1000未満の低分子シロキサン及び分子量1000以上のシリコーンオイルから選択される少なくとも1種を含んでいてもよい。
【0087】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、1分子中のSi原子の個数が、最少で2個である。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、遊離オイルの移行を容易にする観点から、1分子中のSi原子の個数が、3個以上であることが好ましく、4個以上であることがより好ましく、5個以上であることが更に好ましい。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、シロキサン分子どうしの絡み合いでシリカ粒子が集団化しやすのでこれを抑制する観点から、1分子中のSi原子の個数が、7個以下であることが好ましく、6個以下であることがより好ましく、5個以下であることが更に好ましい。
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、上記の両観点から、1分子中のSi原子の個数が5個であることが特に好ましい。
【0088】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの25℃における動粘度は、遊離オイルの移行を容易にする観点から、2mm/s以上5mm/s以下であることが好ましい。本実施形態においてシロキサンの動粘度(mm/s)とは、毛細管粘度計の一種であるオストワルド粘度計を用いて測定した25℃における粘度を密度で除した値である。
【0089】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの一例として、シロキサン結合が分岐していない直鎖状シロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子直鎖状シロキサンとしては、例えば、ヘキサアルキルジシロキサン、オクタアルキルトリシロキサン、デカアルキルテトラシロキサン、ドデカアルキルペンタシロキサン、テトラデカアルキルヘキサシロキサン、ヘキサデカアルキルヘプタシロキサンが挙げられる(ただし、分子量は200以上600以下である。)。
これら低分子直鎖状シロキサンが有するアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。低分子直鎖状シロキサン1分子中に複数個あるアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0090】
分子量200以上600以下の低分子直鎖状シロキサンの具体例としては、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、ヘキサデカメチルヘプタシロキサンが挙げられる。
【0091】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの一例として、シロキサン結合が分岐している分岐状シロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子分岐状シロキサンとしては、例えば、1,1,1,3,5,5,5-ヘプタアルキル-3-(トリアルキルシロキシ)トリシロキサン、テトラキス(トリアルキルシロキシ)シラン、1,1,1,3,5,5,7,7,7-ノナアルキル-3-(トリアルキルシロキシ)テトラシロキサン等の分岐状シロキサン(ただし、分子量は200以上600以下である。)が挙げられる。
これら低分子分岐状シロキサンが有するアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。低分子分岐状シロキサン1分子中に複数個あるアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0092】
分子量200以上600以下の低分子分岐状シロキサンの具体例としては、メチルトリス(トリメチルシロキシ)シラン(分子式C1030Si)、テトラキス(トリメチルシロキシ)シラン(分子式C1236Si)、1,1,1,3,5,5,7,7,7-ノナメチル-3-(トリメチルシロキシ)テトラシロキサン(分子式C1236Si)が挙げられる。
【0093】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンの一例として、シロキサン結合のみで構成された環状構造を有する環状シロキサンが挙げられる。
分子量200以上600以下の低分子環状シロキサンとしては、例えば、ヘキサアルキルシクロトリシロキサン、オクタアルキルシクロテトラシロキサン、デカアルキルシクロペンタシロキサン、ドデカアルキルシクロヘキサシロキサン、テトラデカアルキルシクロヘプタシロキサン、ヘキサデカアルキルシクロオクタシロキサンが挙げられる(ただし、分子量は200以上600以下である。)。
これら低分子環状シロキサンが有するアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。低分子環状シロキサン1分子中に複数個あるアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0094】
分子量200以上600以下の低分子環状シロキサンの具体例としては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサンが挙げられる。
【0095】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンとしては、遊離オイルの移行を容易にする観点から、低分子直鎖状シロキサン及び低分子分岐状シロキサンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、低分子分岐状シロキサンがより好ましく、テトラキス構造を有する低分子シロキサンが更に好ましい。テトラキス構造を有するシロキサンとは、分子中に下記の構造(すなわちテトラキスシロキシシラン構造)を少なくとも1個有するシロキサンを指す。
【0096】
【化1】
【0097】
テトラキス構造を有する分子量200以上600以下の低分子シロキサンとしては、テトラキス(トリアルキルシロキシ)シランが挙げられ、ここでアルキル基としては、例えば、炭素数1以上10以下(好ましくは炭素数1以上6以下、より好ましくは炭素数1以上3以下、更に好ましくは炭素数1又は2)の直鎖状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の分岐状アルキル基、炭素数3以上10以下(好ましくは炭素数3以上6以下、より好ましくは炭素数3又は4)の環状アルキル基が挙げられる。中でも、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基の少なくとも一方が好ましく、メチル基が更に好ましい。テトラキス構造を有する低分子シロキサン1分子中のアルキル基は互いに同じでも異なっていてもよい。
【0098】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンとしては、遊離オイルの移行を容易にする観点から、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランが特に好ましい。
【0099】
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量(質量基準)は、遊離オイルの移行を容易にする観点から、トナーの質量に対して、0.01ppm以上であることが好ましく、0.05ppm以上であることがより好ましく、0.1ppm以上であることが更に好ましい。
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量(質量基準)は、シロキサン分子どうしの絡み合いでシリカ粒子が集団化しやすのでこれを抑制する観点から、トナーの質量に対して、10ppm以下であることが好ましく、5ppm以下であることがより好ましく、1ppm以下であることが更に好ましく、0.5ppm以下であることが更に好ましい。
ppmは、parts per million(百万分率)の略である。
【0100】
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量は、ガスクロマトグラフ質量分析計((株)島津製作所製、GCMS-QP2020)及び無極性カラム(Restek社製、Rtx-1、10157、膜厚1.00μm、長さ60m、内径0.32mm)を用いて、ヘッドスペース法により測定する。具体的な特定方法は次のとおりである。
トナーをバイアルビンに秤量し、バイアルビンにキャップをして密封し、加熱時間3分間で190℃まで昇温させる。次いで、バイアルビン内の揮発成分をカラムに導入し、下記の条件で分子量200以上600以下の低分子シロキサンの検出を行う。
・キャリアガス種:ヘリウム
・キャリアガス圧:120kPa(圧力一定)
・オーブン温度:40℃(5分間)→(15℃/分)→250℃(6分間)(合計25分間)
・イオン源温度:260℃
・インターフェース温度:260℃
基準物質(Tetrakis(trimethylsiloxy)silane1)をエタノールで希釈して濃度を振った標準液を用いて検量線を作成する。試料のクロマトグラフに現れた分子量200以上600以下の低分子シロキサンのピーク面積と、基準物質の検量線とから、当該低分子シロキサンの量を求める。試料のクロマトグラフに分子量200以上600以下の低分子シロキサンに当たるピークが複数あるときは、それらのピーク面積の合計面積と、基準物質の検量線とから、当該低分子シロキサンの合計量を求める。さらに、トナー全量に対する分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量(ppm)を算出する。
【0101】
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量(質量基準)は、遊離オイルの移行を容易にする観点から、トナーに含まれる凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bの総含有量に対して、1ppm以上であることが好ましく、5ppm以上であることがより好ましく、10ppm以上であることが更に好ましく、15ppm以上であることが更に好ましく、20ppm以上であることが更に好ましい。
トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量(質量基準)は、シロキサン分子どうしの絡み合いでシリカ粒子が集団化しやすのでこれを抑制する観点から、トナーに含まれる凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bの総含有量に対して、1000ppm以下であることが好ましく、500ppm以下であることがより好ましく、200ppm以下であることが更に好ましく、100ppm以下であることが更に好ましく、50ppm以下であることが更に好ましい。
上記の値は、{トナーに含まれる分子量200以上600以下の低分子シロキサンの総含有量÷トナーに含まれる凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bの総含有量}を百万分率に換算した値である。
凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bの質量とは、疎水化処理された後のシリカ粒子の質量を指し、疎水化処理剤に由来する成分を含む質量である。
【0102】
トナーに含まれる凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bの総含有量は、下記の測定方法によって求める。
トナーを界面活性剤を含む水に分散させた分散液に超音波を印加したのち、分散液を高速遠心し、上澄み液を常温(23℃±2℃)で乾燥させて凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bを得て、上澄み液から得た凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bを秤量する。ここで、上澄み液から得た凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bの表面には低分子シロキサンが付着していることがあるが、付着している低分子シロキサンの質量は凝集シリカ粒子A及びシリカ粒子Bの質量に比べて微量であるので無視する。
【0103】
分子量200以上600以下の低分子シロキサンは、例えば、トナー粒子に外添する;外添剤である凝集シリカ粒子A又はシリカ粒子B(特にはシリカ粒子B)の表面処理剤として用いる;などの方法によって、トナーに含ませ得る。
【0104】
[トナーの製造方法]
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
【0105】
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
【0106】
具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0107】
以下、各工程の詳細について説明する。
以下の説明では、着色剤、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0108】
-樹脂粒子分散液準備工程-
結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0109】
樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0110】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0111】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0112】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、転相乳化法によって分散媒に樹脂粒子を分散させてもよい。転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて中和したのち、水系媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの転相を行い、樹脂を水系媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0113】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0114】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量は、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0115】
樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0116】
-凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0117】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度に近い温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpH2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、加熱を行ってもよい。
【0118】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に含まれる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤と共に、該凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0119】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩;ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体;などが挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸;イミノ二酸酢(IDA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等のアミノカルボン酸;などが挙げられる。
キレート剤の添加量は、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0120】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10℃から30℃高い温度)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0121】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0122】
融合・合一工程終了後、溶液中に形成されたトナー粒子に、公知の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を施して乾燥した状態のトナー粒子を得る。洗浄工程は、帯電性の観点から、イオン交換水による置換洗浄を充分に施すことがよい。固液分離工程は、生産性の観点から、吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。乾燥工程は、生産性の観点から、凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0123】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0124】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤であってもよい。
【0125】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;などが挙げられる。磁性粉分散型キャリア及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、この表面を樹脂で被覆したキャリアであってもよい。
【0126】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属;フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物;などが挙げられる。
【0127】
被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。被覆用の樹脂及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0128】
芯材の表面を樹脂で被覆するには、被覆用の樹脂、及び各種添加剤(必要に応じて使用する)を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する樹脂の種類や、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法;被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法;芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法;ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、その後に溶剤を除去するニーダーコーター法;などが挙げられる。
【0129】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0130】
<トナーカートリッジ>
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係るトナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
【0131】
本実施形態に係るトナーカートリッジの一実施形態例は、トナーを収容している本体が回転する回転式トナーカートリッジである。図1は、回転式トナーカートリッジの一例である回転式トナーボトルを示す概略構成図である。図1に示す回転式トナーボトル200は、ボトル本体202と、蓋部204と、歯車206とを備えている。
【0132】
ボトル本体202は、円筒形であり、補給用トナーを排出口に移動させるための凹凸部220を側面に有する。凹凸部220に設けられた凸部210は、ボトル本体202の底面近傍から蓋部204に向かって螺旋状に連続して設けられている。凸部210は、ボトル本体202の内部から見たとき、凸状となるように設けられている。凸部210は、一条の螺旋でもよく、複数条の螺旋でもよい。隣り合う凸部210に挟まれた部分は、ボトル本体202の内部から見たとき、凹状となる。凸部210の幅(軸線Q方向の長さ)は、補給用トナーがボトル本体202内部を蓋部204に向かって移動しやすいように、隣り合う凹状部の幅(軸線Q方向の長さ)よりも狭いことが望ましい。
【0133】
ボトル本体202は例えば樹脂製である。ボトル本体202の材質として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリエステル等が挙げられる。ボトル本体202と歯車206とは一体的に成形されていてもよく、ボトル本体202と歯車206とをそれぞれ成形し各成形品を組み合わせてもよい。
【0134】
蓋部204は、回転式トナーボトル200の軸線Q方向の一端側に設けられている。蓋部204には、補給用トナーを排出する排出口209と、排出口209を開閉するためのシャッタ208とが設けられている。シャッタ208を開閉させることにより、排出口209が開閉される。
【0135】
歯車206は、画像形成装置のトナーカートリッジ装着部に回転式トナーボトル200が装着された際に、トナーカートリッジ装着部が備える駆動用歯車と噛み合い、駆動用歯車の駆動に従動する画車である。歯車206は、ボトル本体202と同心円状に設けられている。図1に図示する歯車206の外径は、ボトル本体202の外径よりも小さい。歯車206の外径は、ボトル本体202の外径と同じでもよく、ボトル本体202の外径より大きくてもよい。
【0136】
図1には、ボトル本体202に凹凸部220を有する形態を示したが、本実施形態のトナーカートリッジ及び回転式トナーボトルはこれに限らない。ボトル本体202の側面は、ボトル本体202の外部から見たとき、凹部のない平坦な曲面であってもよい。
また、図1には、凸部210がボトル本体202の一部である形態を示したが、本実施形態のトナーカートリッジ及び回転式トナーボトルはこれに限らない。凸部210は、ボトル本体202とは別の部材であってもよい。別の部材としては、例えば、ボトル本体202の内側面に接触して設けられ、ボトル本体202の底面近傍から蓋部204に向かって螺旋状に連続するコイル状部材が挙げられる。
凸部210の幅(軸線Q方向の長さ)は、例えば3mm以上20mm以下であり、好ましくは8mm以上14mm以下である。凸部210の高さは、例えば5mm以上20mm以下であり、好ましくは5mm以上15mm以下である。凸部210の螺旋周期(軸線Q方向の距離)は、例えば10mm以上70mm以下であり、好ましくは25mm以上55mm以下である。
【0137】
次に、回転式トナーボトル200が画像形成装置のトナーカートリッジ装着部に装着された際の動作について説明する。
回転式トナーボトル200は、歯車206が、トナーカートリッジ装着部が有する駆動用の歯車と噛み合うように、トナーカートリッジ装着部に装着される。その際、シャッタ208が開放され、排出口209を介して、回転式トナーボトル200と画像形成装置のトナー補給路とが連結する。トナーカートリッジ装着部が有する駆動用の歯車が回転することにより、歯車206が従動回転し、ボトル本体202が軸線Q方向を中心軸として従動回転する。ボトル本体202が従動回転することで、補給用トナーが凹凸部220によってボトル本体202の底面側から蓋部204に向かって移動する。蓋部204に向かって移動した補給用トナーは、排出口209から排出され、画像形成装置のトナー補給路に供給される。回転式トナーボトル200は、例えば、画像形成装置のトナーカートリッジ装着部に、軸線Q方向が水平方向となるように装着される。
【0138】
<プロセスカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーが収容されているトナーカートリッジと、トナーカートリッジと現像手段とをつなぎ、トナーカートリッジ内の静電荷像現像用トナーを現像手段に補給するトナー補給路と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
【0139】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、現像手段と、トナーカートリッジと、トナー補給路と、必要に応じて、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、転写手段などから選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0140】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、本実施形態はこれに限定されるわけではない。
【0141】
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。図2に示すプロセスカートリッジ300は、例えば、図3に示す画像形成装置に着脱される。
【0142】
プロセスカートリッジ300は、現像装置104(現像手段の一例)と、トナー補給路108と、トナーカートリッジ200とを備える。図2には、プロセスカートリッジ300が画像形成装置に装着された際に、プロセスカートリッジ300の周囲に配される感光体102(像保持体の一例)も図示している。
【0143】
現像装置104は、例えば、仕切り部材により2室に分かれており、一方の室には、トナー補給路108の出口が設けられ、他方の室には、感光体102に対向する現像ロールが備えられている。2室は一部でつながっており、各室には、現像剤を攪拌しながら搬送する攪拌部材がそれぞれ1個備えられている。現像装置104内の現像剤(不図示)は、2個の攪拌部材により攪拌されながら搬送され、現像ロールに供給される。
【0144】
トナー補給路108は、一端がトナーカートリッジ装着部106であり、他端が現像装置104に接続されている。トナー補給路108の内部には、トナー搬送機構の一例であるオーガスクリュ110が配置されている。オーガスクリュ110の作動により、トナーがトナー補給路108を通過する。トナー補給路108の内部には、オーガスクリュ等のトナー搬送機構が配置されていなくてもよく、この場合、例えば自由落下によってトナーがトナー補給路108を通過する。
【0145】
トナーカートリッジ装着部106は、トナーカートリッジ200を画像形成装置に着脱可能に装着させるための部位である。トナーカートリッジ装着部106には、トナーカートリッジ200のトナー排出口と連通するトナー受け口と、トナーカートリッジ200を回転させる回転機構(例えば歯車)とが設けられている。
【0146】
トナーカートリッジ200は、内部に、現像装置104に補給される補給用トナーとして、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを収容している。トナーカートリッジ200は、例えば、回転式トナーボトル(トナーカートリッジの一例)であり、ボトル本体202と、蓋部204と、歯車206と、トナー排出口を開閉するシャッタ208とを備えている。トナーカートリッジ200の構成及び動作の具体的形態及び好ましい形態は、前述の回転式トナーボトル200と同様である。
【0147】
トナーカートリッジ200は、例えば、長軸方向を水平方向にしてトナーカートリッジ装着部106に装着される。トナーカートリッジ106が有する回転機構(例えば歯車)は、例えば、トナーカートリッジ200を水平軸の回りに回転させる。
【0148】
<画像形成装置、画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、現像手段に補給される補給用トナーを収容する補給用トナー収容部であって、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを収容している補給用トナー収容部と、補給用トナー収容部と現像手段とをつなぎ、補給用トナー収容部内の静電荷像現像用トナーを現像手段に補給するトナー補給路と、を備える。
【0149】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを収容している補給用トナー収容部から、補給用トナー収容部と現像手段とをつなぐトナー補給路を通じて、補給用トナー収容部内の静電荷像現像用トナーを現像手段に補給するトナー補給工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0150】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;などの公知の画像形成装置が適用される。
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0151】
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0152】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
【0153】
図3は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図である。
図3に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の第1乃至第4の画像形成ユニット10Y、10M、10C、10K(画像形成手段)を備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10Y、10M、10C、10Kは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10Y、10M、10C、10Kは、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
【0154】
各ユニット10Y、10M、10C、10Kの上方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、駆動ロール22及び支持ロール24に巻きつけて設けられ、第1のユニット10Yから第4のユニット10Kに向う方向に走行するようになっている。支持ロール24は、図示しないバネ等により駆動ロール22から離れる方向に力が加えられており、両者に巻きつけられた中間転写ベルト20に張力が与えられている。中間転写ベルト20の像保持体側面には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置30が備えられている。
【0155】
図3に示す画像形成装置は、補給用トナー収容部の一例であるトナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kが着脱される構成を有する。ユニット10Y、10M、10C、10Kの現像装置4Y、4M、4C、4Kはそれぞれ、トナー補給路(図示せず)によってトナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kと接続されている。トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8Kから、トナー補給路を通じて、現像装置4Y、4M、4C、4Kへ各色トナーの補給がなされる。トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、トナーカートリッジが交換される。
【0156】
第1乃至第4のユニット10Y、10M、10C、10Kは、同等の構成及び動作を有しているため、ここでは中間転写ベルト走行方向の上流側に配設されたイエロー画像を形成する第1のユニット10Yについて代表して説明する。
【0157】
第1のユニット10Yは、像保持体として作用する感光体1Yを有している。感光体1Yの周囲には、感光体1Yの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2Y、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線3Yによって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3、静電荷像に帯電したトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4Y、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール5Y(一次転写手段の一例)、及び一次転写後に感光体1Yの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Yが順に配置されている。
一次転写ロール5Yは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Yに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5Y、5M、5C、5Kには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0158】
以下、第1のユニット10Yにおいてイエロー画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Yによって感光体1Yの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
感光体1Yは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Yの表面に、図示しない制御部から送られてくるイエロー用の画像データに従って、露光装置3からレーザ光線3Yを照射する。それにより、イエローの画像パターンの静電荷像が感光体1Yの表面に形成される。
【0159】
静電荷像とは、帯電によって感光体1Yの表面に形成される像であり、レーザ光線3Yによって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Yの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線3Yが照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
感光体1Y上に形成された静電荷像は、感光体1Yの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1Y上の静電荷像が、現像装置4Yによってトナー画像として現像され可視化される。
【0160】
現像装置4Y内には、例えば、少なくともイエロートナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。イエロートナーは、現像装置4Yの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1Y上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Yの表面が現像装置4Yを通過していくことにより、感光体1Y表面上の除電された潜像部にイエロートナーが静電的に付着し、潜像がイエロートナーによって現像される。イエローのトナー画像が形成された感光体1Yは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1Y上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0161】
感光体1Y上のイエロートナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Yに一次転写バイアスが印加され、感光体1Yから一次転写ロール5Yに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1Y上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1のユニット10Yでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
一方、感光体1Y上に残留したトナーは感光体クリーニング装置6Yで除去されて回収される。
【0162】
第2のユニット10M以降の一次転写ロール5M、5C、5Kに印加される一次転写バイアスも、第1のユニットに準じて制御されている。
こうして、第1のユニット10Yにてイエローのトナー画像が転写された中間転写ベルト20は、第2乃至第4のユニット10M、10C、10Kを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
【0163】
第1乃至第4のユニットを通して4色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する支持ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが支持ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0164】
この後、記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0165】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
【0166】
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【実施例
【0167】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
【0168】
<トナー粒子(1)の作製>
[ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製]
・エチレングリコール :37部
・ネオペンチルグリコール:65部
・1,9-ノナンジオール:32部
・テレフタル酸 :96部
【0169】
上記材料をフラスコに仕込み、1時間かけて温度200℃まで上げ、反応系内が攪拌されていることを確認したのち、ジブチル錫オキサイドを1.2部投入した。生成する水を留去しながら同温度から6時間かけて240℃まで温度を上げ、240℃で4時間脱水縮合反応を継続し、酸価が9.4mgKOH/g、重量平均分子量13,000、ガラス転移温度62℃であるポリエステル樹脂(1)を得た。
【0170】
ポリエステル樹脂(1)を溶融状態のまま、キャビトロンCD1010(ユーロテック社製)に毎分100部の速度で移送した。別途準備した濃度0.37%の希アンモニア水を、熱交換器で120℃に加熱しながら毎分0.1リットルの速度でポリエステル樹脂(1)と共にキャビトロンCD1010に移送した。回転子の回転速度が60Hz、圧力が5kg/cmの条件でキャビトロンCD1010を運転し、固形分30質量%のポリエステル樹脂粒子分散液(1)を得た。ポリエステル樹脂粒子分散液(1)に含まれる樹脂粒子の体積平均粒径は160nmであった。
【0171】
[着色剤粒子分散液(1)の調製]
・シアン顔料(銅フタロシアニン、C.I.Pigment blue15:3、大日精化社製) :10部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬社製): 2部
・イオン交換水 :80部
【0172】
上記材料を混合し、高圧衝撃式分散機アルティマイザー(HJP30006、スギノマシン社製)で1時間分散処理を施し、固形分20質量%の着色剤粒子分散液(1)を得た。着色剤粒子分散液(1)に含まれる着色剤粒子の体積平均粒径は180nmであった。
【0173】
[離型剤粒子分散液(1)の調製]
・カルナバワックス(RC-160、溶融温度84℃、東亜化成社製): 50部
・アニオン性界面活性剤(ネオゲンSC、第一工業製薬社製) : 2部
・イオン交換水 :200部
【0174】
上記材料を120℃に加熱して、IKA社製ウルトラタラックスT50で分散処理を施し、次いで圧力吐出型ゴーリンホモジナイザーで分散処理を施し、固形分20質量%の離型剤粒子分散液(1)を得た。離型剤粒子分散液(1)に含まれる離型剤粒子の体積平均粒径は200nmであった。
【0175】
[トナー粒子の作製]
・ポリエステル樹脂粒子分散液(1):200部
・着色剤粒子分散液(1) : 25部
・離型剤粒子分散液(1) : 30部
・ポリ塩化アルミニウム :0.4部
・イオン交換水 :100部
【0176】
上記材料をステンレス製フラスコに投入し、IKA社製ウルトラタラックスで分散処理を施し、加熱用オイルバスでステンレス製フラスコを攪拌しながら48℃まで加熱した。48℃で30分保持した後、ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を70部追加した。
次いで、濃度0.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を用いて系内のpHを8.0に調整した後、ステンレス製フラスコを密閉し、攪拌軸のシールを磁力シールして攪拌を継続しながら90℃まで加熱して3時間保持した。次いで、降温速度2℃/分で冷却し、濾過、イオン交換水で洗浄した後、ヌッチェ式吸引濾過により固液分離を行った。固形分を30℃のイオン交換水に再分散し、回転速度300rpmで15分間攪拌し洗浄した。この洗浄操作をさらに6回繰り返し、濾液のpHが7.54、電気伝導度6.5μS/cmとなったところで、ヌッチェ式吸引濾過により濾紙を用いて固液分離を行った。固形分に真空乾燥を施しトナー粒子(1)を得た。トナー粒子(1)の体積平均粒径は5.8μmであった。
【0177】
<凝集シリカ粒子Aの作製>
[凝集シリカ粒子A(1)の作製]
-気相法シリカ粒子の製造工程-
四塩化ケイ素、水素ガス及び酸素ガスを燃焼バーナーの混合室内で混合し、1000℃以上3000℃以下の温度で燃焼させ、燃焼後のガスからシリカ粉末を取り出し、凝集シリカ粒子(1)を得た。このとき、燃焼時間によって凝集塊の大きさを調整した。
【0178】
-凝集シリカ粒子の表面処理工程-
凝集シリカ粒子(1)100部とエタノール500部とをエバポレーターに入れ、温度を40℃に維持したまま15分間攪拌した。次いで、ジメチルシリコーンオイル10部を入れ15分間攪拌し、さらにジメチルシリコーンオイル10部を入れ15分間攪拌した。次いで、温度を90℃に上げエタノールを減圧乾燥させた。処理物を取り出して120℃で30分間真空乾燥を行うことで、オイル処理された凝集シリカ粒子A(1)を得た。
【0179】
凝集シリカ粒子A(1)は、粒径の個数基準の頻度分布にピークが2つ存在し、第一のピークが粒径90nmであり、第二のピークが粒径65nmであった。
【0180】
[凝集シリカ粒子A(2)の作製]
凝集シリカ粒子(1)250部と、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)100部とを混合し、130℃に加熱して2時間反応させた後、150℃に加熱し乾燥させて、HMDSにより疎水化処理された凝集シリカ粒子A(2)を得た。
【0181】
[凝集シリカ粒子A(3)の作製]
凝集シリカ粒子(1)の作製と同様にして凝集シリカ粒子を製造し、これをジメチルシリコーンオイルで処理した後、常温で攪拌することによって所望の大きさに解砕し、凝集シリカ粒子A(3)を得た。
【0182】
<シリカ粒子Bの作製>
[シリカ粒子B(1)の作製]
-シリカ粒子の造粒工程-
攪拌機、滴下ノズル及び温度計を備えたガラス製反応容器にメタノール300部と10%アンモニア水70部とを入れ混合し、アルカリ触媒溶液を得た。アルカリ触媒溶液を30℃に調整した後、アルカリ触媒溶液を攪拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)60部と10%アンモニア水1.7部とを滴下し、シリカ粒子分散液を得た。TMOSと10%アンモニア水は同時に滴下を開始し、3分間かけて各全量を滴下した。次いで、シリカ粒子分散液をロータリーフィルター(寿工業社製R-ファイン)を用いて固形分濃度40質量%まで濃縮した。濃縮後のシリカ粒子分散液をシリカ粒子分散液(1)とした。
【0183】
-シリカ粒子の表面処理工程-
シリカ粒子分散液(1)250部に、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)100部を添加し、130℃に加熱して2時間反応させた後、150℃に加熱し乾燥させて、HMDSにより疎水化処理された非凝集のシリカ粒子B(1)を得た。
【0184】
[シリカ粒子B(2)~(3)の作製]
シリカ粒子B(1)の作製と同様にして、ただし、シリカ粒子の造粒工程を表1に記載のとおり変更して、非凝集のシリカ粒子B(2)~(3)を得た。
【0185】
[シリカ粒子B(4)の作製]
シリカ粒子分散液(1)250部に、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)100部を添加し、130℃に加熱して2時間反応させた後、150℃に加熱し乾燥させて、疎水性シリカ粒子(S1)を得た。次いで、テトラキス(トリメチルシロキシ)シランをシリカ粒子分散液(1)の量に対して0.020質量%用意し、メタノールで5倍に希釈した後、疎水性シリカ粒子(S1)に添加し、80℃で反応系内を攪拌しながら乾燥し、非凝集のシリカ粒子B(4)を得た。
【0186】
[シリカ粒子B(5)~(6)の作製]
シリカ粒子B(4)の作製と同様にして、ただし、シリカ粒子の表面処理工程に用いる低分子シロキサンの添加量を表1に記載のとおり変更して、非凝集のシリカ粒子B(5)~(6)を得た。
【0187】
[シリカ粒子B(7)の作製]
シリカ粒子分散液(1)を乾燥させてシリカ粒子を取り出し、シリカ粒子100部とエタノール500部とをエバポレーターに入れ、温度を40℃に維持したまま15分間攪拌した。次いで、ジメチルシリコーンオイル10部を入れ15分間攪拌し、さらにジメチルシリコーンオイル10部を入れ15分間攪拌した。次いで、温度を90℃に上げエタノールを減圧乾燥させた。処理物を取り出して120℃で30分間真空乾燥を行うことで、オイル処理された非凝集のシリカ粒子B(7)を得た。
【0188】
【表1】
【0189】
<キャリアの作製>
・フェライト粒子(体積平均粒径36μm) :100部
・トルエン : 14部
・スチレン-メチルメタクリレート共重合体 : 2部
(重合質量比90:10、重量平均分子量8万)
・カーボンブラック(キャボット社製R330):0.2部
【0190】
トルエンとスチレン-メチルメタクリレート共重合体とカーボンブラックとを混合しスターラーで10分間攪拌し分散液を調製した。次いで、分散液とフェライト粒子とを真空脱気型ニーダーに入れて60℃において30分間攪拌し、次いで、加温しながら減圧して脱気し乾燥させてキャリアを得た。
【0191】
<実施例1>
トナー粒子(1)100部と、表1に記載の添加量の凝集シリカ粒子A(1)及びシリカ粒子B(1)とをヘンシェルミキサーに入れ、攪拌周速30m/secで15分間攪拌し、トナーを得た。
トナーとキャリアとを、トナー:キャリア=10:100(質量比)の混合比でVブレンダーに入れ、20分間攪拌し、現像剤を得た。
【0192】
<実施例2~10、比較例1~4>
実施例1と同様にして、ただし、凝集シリカ粒子Aの種類又は添加量、及び/又は、凝集シリカ粒子Bの種類又は添加量を表2に記載のとおり変更して、トナー及び現像剤を作製した。
【0193】
<性能評価>
カートリッジからのトナー排出速度、及び、カートリッジ内トナー残量を、以下の方法及び基準で評価した。
評価対象のトナーを、PET(ポリエチレンテレフタレート)製の透明なトナーカートリッジに310g充填し、温度28℃且つ相対湿度85%の環境に17時間おいて調温調湿した。その後、温度22℃且つ相対湿度15%の環境下で、搬送ノズルを備えた補給装置(トナーカートリッジからトナー収容容器にトナーを補給する補給装置)にトナーカートリッジを装着し、トナー収容容器の回転及び補給装置の動作を50分間行った。トナー収容容器の回転及び補給装置の動作の条件は以下の通りである。
トナー収容容器回転数:30rpm
補給装置の搬送ノズル長さ:70mm
搬送経路内スクリュピッチ:12.5mm
搬送スクリュ外径:10mm
搬送スクリュ軸径:4mm
搬送スクリュ回転数:62.4rpm
【0194】
動作開始から5分~15分の間の平均排出速度(mg/s)と、50分後のトナーカートリッジ内のトナー残量とを測定し、下記のとおり分類した。結果を表2に示す。
【0195】
[平均排出速度]
A:350mg/s以上
B:350mg/s未満、320mg/s以上
C:320mg/s未満、280mg/s以上
D:280mg/s未満
【0196】
[トナー残量]
A:25g未満(実使用上問題なし)
B:25g以上、50g未満(実使用上問題なし)
C:50g以上(実使用上問題あり)
【0197】
【表2】
【符号の説明】
【0198】
200 回転式トナーボトル(トナーカートリッジの一例)
202 ボトル本体
204 蓋部
206 歯車
208 シャッタ
209 排出口
210 凸部
220 凹凸部
【0199】
300 プロセスカートリッジ
102 感光体(像保持体の一例)
104 現像装置(現像手段の一例)
106 トナーカートリッジ装着部
108 トナー補給路
110 オーガスクリュ
【0200】
1Y、1M、1C、1K 感光体(像保持体の一例)
2Y、2M、2C、2K 帯電ロール(帯電手段の一例)
3 露光装置(静電荷像形成手段の一例)
3Y、3M、3C、3K レーザ光線
4Y、4M、4C、4K 現像装置(現像手段の一例)
5Y、5M、5C、5K 一次転写ロール(一次転写手段の一例)
6Y、6M、6C、6K 感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)
8Y、8M、8C、8K トナーカートリッジ
10Y、10M、10C、10K 画像形成ユニット
20 中間転写ベルト(中間転写体の一例)
22 駆動ロール
24 支持ロール
26 二次転写ロール(二次転写手段の一例)
28 定着装置(定着手段の一例)
30 中間転写体クリーニング装置
P 記録紙(記録媒体の一例)
図1
図2
図3