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特許7375411カメラ制御装置、カメラ制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】カメラ制御装置、カメラ制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/222 20060101AFI20231031BHJP
   H04N 23/52 20230101ALI20231031BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231031BHJP
   G03B 17/02 20210101ALI20231031BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20231031BHJP
   G03B 11/04 20210101ALI20231031BHJP
【FI】
H04N5/222 100
H04N23/52
G03B15/00 S
G03B15/00 P
G03B17/02
G03B17/56 B
G03B11/04 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019172977
(22)【出願日】2019-09-24
(65)【公開番号】P2021052270
(43)【公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】光田 武史
(72)【発明者】
【氏名】小倉 敬順
【審査官】藏田 敦之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-268414(JP,A)
【文献】特開2013-211653(JP,A)
【文献】特開2003-078788(JP,A)
【文献】特開2004-061737(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017405(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/222- 5/257
H04N 23/40 - 23/76
G03B 11/04
G03B 15/00
G03B 17/02
G03B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風向きを計測する風向計測手段と、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動する駆動手段とを備え
降雨を観測する降雨観測手段をさらに備え、
降雨が観測された場合、前記駆動手段は、前記カメラの被洗浄面を風上へ向ける
カメラ制御装置。
【請求項2】
風向きを計測する風向計測手段と、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動する駆動手段とを備え、
降雨を観測する降雨観測手段をさらに備え、
降雨が観測された場合、前記駆動手段は、前記カメラのフードを縮める
カメラ制御装置。
【請求項3】
風向きを計測する風向計測手段と、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動する駆動手段とを備え、
降雨を観測する降雨観測手段をさらに備え、
降雨が観測された場合、前記駆動手段は、前記カメラの仰角を上げる
カメラ制御装置。
【請求項4】
前記被洗浄面の汚れ度を計算する汚れ検出手段と、
前記汚れ度に応じて、前記駆動手段が前記カメラを駆動する頻度を決定する清掃頻度手段とをさらに備えた
ことを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載のカメラ制御装置。
【請求項5】
風向きを計測する風向計測手段と、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動する駆動手段とを備え、
前記被洗浄面の汚れ度を計算する汚れ検出手段と、
前記汚れ度に応じて、前記駆動手段が前記カメラを駆動する頻度を決定する清掃頻度手段とをさらに備えた
カメラ制御装置。
【請求項6】
風向きを計測し、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動し、
降雨を観測し、
降雨が観測された場合、前記カメラの被洗浄面を風上へ向ける
カメラ制御方法。
【請求項7】
風向きを計測し、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動し、
降雨を観測し、
降雨が観測された場合、前記カメラのフードを縮める
カメラ制御方法。
【請求項8】
風向きを計測し、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動し、
降雨を観測し、
降雨が観測された場合、前記カメラの仰角を上げる
カメラ制御方法。
【請求項9】
前記被洗浄面の汚れ度を計算し、
前記汚れ度に応じて、前記カメラを駆動する頻度を決定する
ことを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載のカメラ制御方法。
【請求項10】
風向きを計測し、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動し、
前記被洗浄面の汚れ度を計算し、
前記汚れ度に応じて、前記カメラを駆動する頻度を決定する
カメラ制御方法。
【請求項11】
風向きを計測することと、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動することと
降雨を観測することと、
降雨が観測された場合、前記カメラの被洗浄面を風上へ向けることと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項12】
風向きを計測することと、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動することと、
降雨を観測することと、
降雨が観測された場合、前記カメラのフードを縮めることと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項13】
風向きを計測することと、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動することと、
降雨を観測することと、
降雨が観測された場合、前記カメラの仰角を上げることと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
風向きを計測することと、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動することと、
前記被洗浄面の汚れ度を計算することと、
前記汚れ度に応じて、前記カメラを駆動する頻度を決定することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラ制御装置、カメラ制御方法、及びプログラムに関し、特に、野外に設置される監視カメラを制御するためのカメラ制御装置、カメラ制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
カメラの被洗浄面(例えばカメラドーム)には、時間とともに、水垢やほこりなどの汚れが堆積して、カメラの視界が遮られる。野外で使用される監視カメラには、汚れが特に堆積しやすい。そのため、定期的または非定期的に、カメラの清掃を含むメンテナンスが実施される。
【0003】
カメラの清掃は人手で行われているため、清掃の頻度が増えるほど、カメラのメンテナンスコストが増大する。特に、カメラが無人島などの僻地に設置されている場合、メンテナンスコストは高額になりやすい。そこで、人手によらず、カメラに汚れが堆積することを抑制するための機構が、例えば特許文献1及び特許文献2において開示されている。
【0004】
特許文献1には、防水ハウジングの透明窓(被洗浄面の一例である)に対して、ノズルから洗浄液を吹き付けつつ、防水ハウジングに対して接触したワイパ部材を動かすことにより、防水ハウジングの透明窓に付着した汚れを拭き取ることが記載されている。
【0005】
特許文献2には、カメラレンズを保護する透明な防滴板(被洗浄面の一例である)に対し、カメラの視界を妨げない位置から、ノズルにより、洗浄液を噴射することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平5-167897号公報
【文献】特開2009-81765号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1及び特許文献2に記載の関連技術では、カメラの被洗浄面を清掃するために、洗浄液を用いる。そこで、洗浄液を補充する作業を人手で行う必要があるため、カメラのメンテナンスコストをそれほど削減できない。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、人手によるカメラの清掃の頻度を少なくし、カメラのメンテナンスコストを削減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係わるカメラ制御装置は、風向きを計測する風向計測手段と、前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動する駆動手段とを備えている。
【0010】
本発明の一態様に係わるカメラ制御方法は、風向きを計測し、前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動する。
【0011】
本発明の一態様に係わるプログラムは、風向きを計測することと、前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、前記カメラを駆動することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の一態様によれば、カメラの被洗浄面に汚れが付着することを抑制するので、人手によるカメラの清掃の頻度を少なくし、カメラのメンテナンスコストを削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1に係わるカメラ制御装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施形態1に係わるカメラ制御装置によって制御されるカメラ1000の一例を示す図である。
図3】実施形態1に係わるカメラ制御装置の風向計測部が使用する風向センサの一例の外観図である。
図4】カメラメンテナンス期間中、実施形態1に係わるカメラ制御装置の駆動部が実行するカメラの制御を説明する図である。
図5】実施形態1に係わるカメラ制御装置の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図6】実施形態2に係わるカメラ制御装置の構成を示すブロック図である。
図7】実施形態2に係わるカメラ制御装置の降雨観測部が使用する降雨(感雨)センサの一例の外観図である。
図8】実施形態2に係わるカメラ制御装置の駆動部がカメラメンテナンス期間中に実行するカメラの制御を説明する図である。
図9】実施形態2に係わるカメラ制御装置の駆動部がカメラメンテナンス期間中に実行するカメラの制御を説明する他の図である。
図10】実施形態2に係わるカメラ制御装置の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
図11】実施形態3に係わるカメラ制御装置の構成を示すブロック図である。
図12】実施形態3に係わるカメラ制御装置の汚れ検出部の詳細構成を示す図である。
図13】実施形態1~3に係わるカメラ制御装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態1〕
図1図5を参照して、実施形態1について説明する。
【0015】
(カメラ制御装置1)
図1は、本実施形態1に係わるカメラ制御装置1の構成を示すブロック図である。図1に示すように、カメラ制御装置1は、風向計測部10、および駆動部20を備えている。
【0016】
カメラ制御装置1は、カメラ(図示せず)の制御を実行する。カメラは、例えば、野外に設置された監視カメラである。
【0017】
図2は、本実施形態1に係わるカメラ1000の一例を示す。カメラ1000は、仰俯角方向および水平方向に回転可能なアームと接続されている。カメラ1000のカメラレンズの前方(図2では左)には、ゴミや埃からカメラレンズを保護するとともに、カメラ1000の内部へ雨粒が侵入することを防止するための防滴板が設けられている。防滴板は、例えば、透明な薄いガラス板である。防滴板の外側の面が、被洗浄面1010の一例である。
【0018】
被洗浄面1010は、本実施形態1において、洗浄の対象となるカメラ1000の筐体表面の一部である。一変形例では、被洗浄面1010は、特に、カメラ1000のカメラレンズそのものの表面である。あるいは、被洗浄面1010は、カメラレンズの表面を覆った、透明な素材でできた保護部材の表面または膜である。
【0019】
風向計測部10は、風向きを計測する。風向計測部10は、風向計測手段の一例である。例えば、風向計測部10は、カメラ1000に対して取り付けられた風向センサ(図示せず)、あるいは、カメラ1000と有線または無線で接続した風向センサから、風向センサが検出した風向きのデータを受信する。
【0020】
(風向センサ2000)
図3は、風向計測部10が使用する風向センサ2000の一例の外観図である。または、風向計測部10は、気象センタが提供する気象データを受信し、気象データ(天気情報とも呼ぶ)から、カメラ1000の設置場所またはその周辺における風向きを示す風向き情報を抽出してもよい。
【0021】
あるいは、実施形態2において詳細に説明するように、風向計測部10は、カメラ1000が撮影した画像を分析(画像解析)することによって、風向きおよび風速を推定することもできる。
【0022】
風向計測部10は、計測した風向きを示す情報を少なくとも含むデータを、駆動部20へ送信する。
【0023】
駆動部20は、風向きに応じて、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向けるように、カメラ1000の向きを変えるように動かす。駆動部20は、駆動手段の一例である。以下では、カメラ1000の向きを変えるように動かすことを、カメラ1000を駆動すると表現する場合がある。
【0024】
具体的には、駆動部20は、カメラ1000のメンテナンス期間中、風向計測部10から、風向きを示す情報を含むデータを受信する。駆動部20は、風向計測部10が計測した風向きに応じて、カメラ1000の被洗浄面1010を風下に向けるように、カメラ1000を駆動する。
【0025】
例えば、カメラ1000は、アームと接続されており、アーム上で回転可能である。この場合、駆動部20は、例えばモータ制御により、カメラ1000を回転させる。これにより、カメラを駆動し、カメラ1000の被洗浄面1010の向きを変えることができる。
【0026】
(カメラ1000の制御)
図4は、カメラメンテナンス期間中に、駆動部20が実行するカメラ1000の制御を説明する図である。図4に示すように、駆動部20は、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向けるように、カメラ1000を駆動する。その結果、カメラ1000の被洗浄面1010に汚れが付着することを抑制する。したがって、人手によるカメラ1000の清掃の頻度を少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストを削減できる。
【0027】
これにより、人手によるカメラ1000の清掃の頻度を少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストを削減できる。ここでいう汚れとは、例えば、埃、樹木からの落葉、虫、雨粒、及び鳥の糞などである。
【0028】
なお、駆動部20は、風向計測部10から、風速を示す情報をさらに受信してもよい。駆動部20は、無風または微風(すなわち風速が閾値未満である)の場合、カメラを駆動することをキャンセルしてもよい。無風または微風のとき、カメラ1000の被洗浄面1010を風下に向けたとしても、カメラ1000の被洗浄面1010に汚れが付着することを抑制する効果は小さいからである。
【0029】
(カメラ制御装置1の動作)
図5を参照して、本実施形態1に係わるカメラ制御装置1の動作を説明する。図5は、カメラ制御装置1の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。以下で説明する動作は、定期的なカメラメンテナンスの時間中(例えば夜間の所定の1時間)に実施される。
【0030】
カメラメンテナンスとは、例えば、カメラ1000が撮影した映像データをネットワーク上のサーバ(図示せず)へ送信すること、あるいは、更新ファイルの入手および適用である。
【0031】
図5に示すように、風向計測部10は、上述したような手段または手法により、風向きを計測する(S1)。風向計測部10は、計測した風向きを示す情報を、駆動部20へ送信する。
【0032】
駆動部20は、風向計測部10から、風向きを示す情報を受信する。駆動部20は、計測された風向きに応じて、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向けるように、カメラを駆動する(S2)。
【0033】
その後、駆動部20は、カメラメンテナンスが終了したか否かを判定する(S3)。カメラメンテナンスが終了していない場合(S3でNo)、フローは、ステップS1へ戻る。一方、カメラメンテナンスが終了した場合(S3でYes)、駆動部20は、カメラ1000の向きを、初期位置へ戻す(S4)。
【0034】
初期位置とは、駆動部20がカメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向ける直前のカメラ1000の向きである。以上で、カメラ制御装置1の動作は終了する。
【0035】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、風向計測部10は、風向きを計測する。駆動部20は、風向きに応じて、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向けるように、カメラ1000を駆動する。これにより、カメラ1000の被洗浄面1010に汚れが付着することを抑制するので、人手によるカメラ1000の清掃の頻度を少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストを削減できる。
【0036】
〔実施形態2〕
図6図10を参照して、実施形態2について説明する。
【0037】
(カメラ制御装置2)
図6は、本実施形態2に係わるカメラ制御装置2の構成を示すブロック図である。図6に示すように、カメラ制御装置2は、風向計測部10、駆動部20、および降雨観測部30を備えている。本実施形態2に係わるカメラ制御装置2は、降雨観測部30をさらに備えている点で、前記実施形態1に係わるカメラ制御装置1とは構成が異なる。
【0038】
降雨観測部30は、降雨を観測する。降雨観測部30は、降雨観測手段の一例である。例えば、降雨観測部30は、カメラ1000(図2)に対して取り付けられた降雨(感雨)センサ(図示せず)、あるいは、カメラ1000と有線または無線で接続した降雨センサから、降雨センサが検出した降水量のデータを受信する。
【0039】
(降雨センサ3000)
図7は、降雨観測部30が使用する降雨センサ3000の一例の外観図である。または、降雨観測部30は、気象センタが提供する気象データを受信し、気象データから、カメラ1000の設置場所またはその周辺における降雨の観測結果を示す降雨情報を抽出してもよい。
【0040】
降雨観測部30は、降雨の有無または降水量を示す降雨情報を、駆動部20へ送信する。
【0041】
駆動部20は、降雨観測部30から、降雨情報を受信する。また駆動部20は、風向計測部10から、風向きを示す風向き情報を受信する。駆動部20は、風向き情報および降雨情報に基づいて、カメラ1000を駆動する。
【0042】
(カメラ1000の制御)
図8および図9を参照して、駆動部20が実行するカメラ1000の制御を具体的に説明する。
【0043】
図8は、降雨が観測された場合に駆動部20が実行するカメラ1000の制御を示す。図8に示すように、降雨が観測された場合、駆動部20は、カメラ1000の被洗浄面1010を風上へ向けるように、カメラ1000を駆動する。
【0044】
これにより、カメラ1000の被洗浄面1010に対し、雨粒がより頻繁に当たるので、カメラ1000の被洗浄面1010に付着した汚れを雨水で効果的に洗い流すことができる。したがって、人手によるカメラ1000の清掃の頻度をさらに少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストをさらに削減できる。
【0045】
図9は、降雨が観測されない場合に駆動部20が実行するカメラ1000の制御を示す。図9に示すように、降雨が観測されない場合、駆動部20は、前記実施形態1と同様に、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向けるように、カメラ1000を駆動する。その結果、カメラ1000の被洗浄面1010に汚れが付着することを抑制する。したがって、人手によるカメラ1000の清掃の頻度を少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストを削減できる。
【0046】
(風向き計測の具体例)
一例では、風向計測部10は、風向センサ2000(図3)を用いて、風向きを計測する。
【0047】
一例では、風向計測部10は、気象センタから、風向き情報を取得する。それ以外にも、風向計測部10は、画像解析によって、風向きを計測してもよい。具体的には、風向計測部10は、カメラ1000が撮影した映像に映るオブジェクトの動きに基づいて、風向きを計測する。
【0048】
例えば、風向計測部10は、カメラ1000が撮影した映像(具体的には動画像)から、樹木または風に揺らいでいる他のオブジェクトを検出する。そして、風向計測部10は、樹木(または他のオブジェクト)の揺れ方及び揺れる方向から、風速および風向きを計測する。
【0049】
別の例では、風向計測部10は、カメラ1000が撮影した映像から、被洗浄面1010上を伝って落下する水滴を検出する。そして、風向計測部10は、被洗浄面1010上の水滴の落ち方(動き方)に基づいて、風向きを計測する。
【0050】
例えば、被洗浄面1010に対し、向かって左(右)側から風が吹き付けている場合、水滴は、被洗浄面1010上を右(左)方向に移動しながら落下する。風向計測部10は、鉛直下方向に対し、被洗浄面1010上を水滴が落ちる実際の方向のずれの大きさに基づいて、風向きを計測する。
【0051】
さらに別の例では、風向計測部10は、赤外線領域まで感度を有するカメラ1000によって、サーモグラフィを生成し、生成したサーモグラフィにおける熱の揺らぎに基づいて、風向きを計測する。
【0052】
さらに別の例では、風向計測部10は、単位時間に水滴が被洗浄面1010に当たる数が最も多い方向を特定し、特定したその方向が風向きであると判定する。
【0053】
(降雨観測の具体例)
一例では、降雨観測部30は、降雨(感雨)センサ3000(図7)を用いて、降雨を観測する。
【0054】
一例では、降雨観測部30は、気象センタから、降雨情報を取得する。
【0055】
それ以外にも、降雨観測部30は、画像解析によって、降雨を観測してもよい。例えば、降雨観測部30は、カメラ1000が撮影した映像から、被洗浄面1010上を伝って落下する水滴を検出する。そして、降雨観測部30は、被洗浄面1010上の水滴の有無に基づいて、降雨を観測する。
【0056】
すなわち、被洗浄面1010上に水滴が付着している場合、降雨観測部30は、降雨が観測されたと判定する。一方、被洗浄面1010上に水滴が付着していない場合、降雨観測部30は、降雨が観測されないと判定する。このようにして、降雨観測部30は、被洗浄面1010上の水滴の有無に基づいて、降雨を観測することができる。
【0057】
あるいは、降雨観測部30は、例えば「鹿威し」のような機構を用いて、降雨を音として観測してもよい。
【0058】
(カメラ制御装置2の動作)
図10を参照して、本実施形態2に係わるカメラ制御装置2の動作を説明する。図10は、カメラ制御装置2の各部が実行する処理の流れを示すフローチャートである。以下で説明する動作は、定期的なカメラメンテナンスの時間中(例えば夜間の所定の1時間)に実施される。
【0059】
図10に示すように、風向計測部10は、前記実施形態1で説明したような手段または手法により、風向きを計測する(S101)。風向計測部10は、計測した風向きを示す風向き情報を、駆動部20へ送信する。
【0060】
降雨観測部30は、降雨を観測する(S102)。降雨観測部30は、降雨の観測結果(すなわち現在に雨が降っているか否か)を示す降雨情報を、駆動部20へ送信する。
【0061】
駆動部20は、降雨観測部30から、降雨情報を受信する。また駆動部20は、風向計測部10から、風向きを示す風向き情報を受信する。
【0062】
駆動部20は、降雨情報に基づいて、現在に雨が降っているかどうかを判定する(S103)。現在に雨が降っている場合(S103でYes)、駆動部20は、カメラ1000の被洗浄面1010を風上へ向ける(S141)。一方、現在に雨が降っていない場合(S103でNo)、駆動部20は、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向ける(S142)。
【0063】
その後、駆動部20は、カメラメンテナンスが終了したか否かを判定する(S105)。カメラメンテナンスが終了していない場合(S105でNo)、フローは、ステップS1へ戻る。一方、カメラメンテナンスが終了した場合(S105でYes)、駆動部20は、カメラ1000の向きを初期位置へ戻す(S106)。ここでいる初期位置とは、駆動部20がカメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向ける直前のカメラ1000の向きである。
【0064】
以上で、カメラ制御装置1の動作は終了する。
【0065】
(変形例)
一変形例では、降雨観測部30によって降雨が観測された場合、駆動部20は、カメラ1000のフード1020(図2)を縮小する。
【0066】
また別の変形例では、降雨観測部30によって降雨が観測された場合、駆動部20は、カメラ1000のフード1020の仰角を上げる。
【0067】
これらの変形例によれば、カメラ1000のフード1020が、雨粒から被洗浄面1010を遮蔽しなくなる。そのため、カメラ1000の被洗浄面1010に対し、雨粒がより頻繁に当たるので、カメラ1000の被洗浄面1010に付着した汚れを雨水で洗浄することができる。したがって、人手によるカメラ1000の清掃の頻度をさらに少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストをさらに削減できる。
【0068】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、風向計測部10は、風向きを計測する。降雨観測部30は、降雨を観測する。降雨が観測されない場合、駆動部20は、風向きに応じて、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向けるように、カメラ1000を駆動する。これにより、カメラ1000の被洗浄面1010に汚れが付着することを抑制するので、人手によるカメラ1000の清掃の頻度を少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストを削減できる。
【0069】
一方、降雨が観測された場合、駆動部20は、カメラ1000の被洗浄面1010を風上へ向ける。その結果、カメラ1000の被洗浄面1010に対し、雨粒が頻繁に当たるので、カメラ1000の被洗浄面1010に付着した汚れを雨水で洗浄することができる。したがって、人手によるカメラ1000の清掃の頻度をさらに少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストをさらに削減できる。
【0070】
〔実施形態3〕
図11図12を参照して、実施形態3について説明する。
【0071】
(カメラ制御装置3)
図11は、本実施形態3に係わるカメラ制御装置3の構成を示すブロック図である。図11に示すように、カメラ制御装置2は、風向計測部10、駆動部20、降雨観測部30、汚れ検出部40、および清掃頻度決定部50を備えている。本実施形態3に係わるカメラ制御装置3は、汚れ検出部40及び清掃頻度決定部50をさらに備えている点で、前記実施形態2に係わるカメラ制御装置2とは構成が異なる。
【0072】
汚れ検出部40は、被洗浄面1010の汚れ度を計算する。汚れ検出部40は、汚れ検出手段の一例である。汚れ検出部40は、カメラ1000が撮影した映像のデータを取得する。汚れ検出部40は、画像解析によって、カメラ1000の視界内の被洗浄面1010が、どれぐらい汚れているかを表す指標となる値(以下では、汚れ度と呼ぶ)を計算する。汚れ検出部40の詳細な構成を後述する。
【0073】
ここでいう被洗浄面1010の汚れとは、例えば、被洗浄面1010に付着した埃、樹木の葉、虫、雨粒、及び鳥の糞などである。
【0074】
清掃頻度決定部50は、汚れ度に応じて、駆動部20(駆動手段の一例である)がカメラ1000(図2)を駆動する頻度を決定する。清掃頻度決定部50は、清掃頻度決定手段の一例である。例えば、被洗浄面1010の汚れ度が比較的(ある閾値よりも)小さい場合、清掃頻度決定部50は、駆動部20がカメラ1000(図2)を駆動する頻度を、数日に一度のみとする。一方、被洗浄面1010の汚れ度が比較的大きい(ある閾値以上である)場合、清掃頻度決定部50は、駆動部20がカメラ1000を駆動する頻度を、一日に一度とする。
【0075】
これにより、被洗浄面1010の汚れ度が小さいほど、被洗浄面1010を洗浄できる頻度を減らし、被洗浄面1010の汚れ度が大きいほど、被洗浄面1010を洗浄できる頻度を増やすことができる。
【0076】
(汚れ検出部40)
図12は、本実施形態3に係わる汚れ検出部40の詳細な構成を示すブロック図である。図12に示すように、汚れ検出部40は、画像取得部410、受光量計測部420、および汚れ度計算部430を備えている。
【0077】
画像取得部410は、カメラ1000が撮影した映像のデータを取得する。画像取得部410は、取得した映像のデータから、一または複数の画像フレームを抽出し、抽出した一または複数の画像のデータを、受光量計測部420へ送信する。
【0078】
受光量計測部420は、画像取得部410から、一または複数の画像のデータを受信する。受光量計測部420は、受信した画像のデータから、輝度情報を抽出する。受光量計測部420は、抽出した輝度情報から、カメラ1000の各画素の受光量を計測する。受光量計測部420は、計測した受光量のデータを、汚れ度計算部430へ送信する。
【0079】
汚れ度計算部430は、受光量計測部420から、受光量のデータを受信する。汚れ度計算部430は、受光量のデータに基づいて、カメラ1000の視界内の被洗浄面1010が、どれぐらい汚れているかを表す指標となる汚れ度を計算する。
【0080】
一般的に、被洗浄面1010がより汚れているほど、被洗浄面1010を透過する光量が減少するため、カメラ1000の画素の受光量は減少する。したがって、受光量が少ないほど、被洗浄面1010の汚れ度が大きい。そこで、汚れ度計算部430は、カメラ1000の各画素の受光量のレベル(範囲)と、被洗浄面1010の汚れ度との間の対応関係を示すテーブルを参照することによって、汚れ度を計算してもよい。
【0081】
汚れ度計算部430は、計算した汚れ度の大きさを示す情報(汚れ度情報)を、清掃頻度決定部50へ送信する。
【0082】
上述したように、清掃頻度決定部50は、汚れ度計算部430から、汚れ度情報を受信する。清掃頻度決定部50は、被洗浄面1010の汚れ度に基づいて、被洗浄面1010の清掃を実施する頻度を決定する。より詳細には、清掃頻度決定部50は、被洗浄面1010の汚れ度が小さいほど、被洗浄面1010の清掃を実施する頻度を少なくし、被洗浄面1010の汚れ度が大きいほど、被洗浄面1010の清掃を実施する頻度を多くする。
【0083】
これにより、汚れている被洗浄面1010をより効率的に清掃することができる。
【0084】
なお、前記実施形態2において説明した変形例を、本実施形態3の構成にも適用することができる。
【0085】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、風向計測部10は、風向きを計測する。駆動部20は、風向きに応じて、カメラ1000の被洗浄面1010を風下へ向けるように、カメラを駆動する。これにより、カメラ1000の被洗浄面1010に汚れが付着することを抑制するので、人手によるカメラ1000の清掃の頻度を少なくし、カメラ1000のメンテナンスコストを削減できる。
【0086】
さらに、汚れ検出部40は、被洗浄面1010の汚れ度を計算する。清掃頻度決定部50は、汚れ度に応じて、駆動部20がカメラ1000を駆動する頻度を決定する。これにより、被洗浄面1010の汚れ度が小さいほど、被洗浄面1010を洗浄できる頻度を減らし、被洗浄面1010の汚れ度が大きいほど、被洗浄面1010を洗浄できる頻度を増やすことができる。
【0087】
〔ハードウェア構成について〕
前記実施形態1~3で説明したカメラ制御装置1~3の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば図13に示すような情報処理装置900により実現される。図13は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0088】
図13に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0089】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~3で説明したカメラ制御装置の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0090】
これにより、前記実施形態1~3において説明したカメラ制御装置が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態1~3において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0091】
〔付記〕
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0092】
(付記1)
風向きを計測する風向計測手段と、
前記風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、カメラを駆動する駆動手段とを備えた
カメラ制御装置。
【0093】
(付記2)
降雨を観測する降雨観測手段をさらに備えた
ことを特徴とする付記1のカメラ制御装置。
【0094】
(付記3)
降雨が観測された場合、駆動手段は、カメラの被洗浄面を風上へ向ける
ことを特徴とする付記2のカメラ制御装置。
【0095】
(付記4)
降雨が観測された場合、駆動手段は、カメラのフードを縮める
ことを特徴とする付記2のカメラ制御装置。
【0096】
(付記5)
降雨が観測された場合、駆動手段は、カメラの仰角を上げる
ことを特徴とする付記2のカメラ制御装置。
【0097】
(付記6)
被洗浄面の汚れ度を計算する汚れ検出手段と、
汚れ度に応じて、駆動手段が前記カメラを駆動する頻度を決定する清掃頻度手段とをさらに備えた
ことを特徴とする付記1から5のいずれかのカメラ制御装置。
【0098】
(付記7)
風向きを計測し、
風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、カメラを駆動する
カメラ制御方法。
【0099】
(付記8)
風向きを計測することと、
風向きに応じて、カメラの被洗浄面を風下へ向けるように、カメラを駆動することと
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0100】
(付記9)
汚れ検出手段は、カメラの画素の受光量から、被洗浄面の汚れ度を計算する
ことを特徴とする付記6のカメラ制御装置。
【0101】
(付記10)
風向計測手段は、風向センサを用いて風向きを計測する
ことを特徴とする付記1のカメラ制御装置。
【0102】
(付記11)
風向計測手段は、気象センタから風向き情報を取得する
ことを特徴とする付記1のカメラ制御装置。
【0103】
(付記12)
風向計測手段は、被洗浄面上の水滴の落ち方に基づいて、風向きを計測する
ことを特徴とする付記1のカメラ制御装置。
【0104】
(付記13)
風向計測手段は、カメラが撮影した映像に映るオブジェクトの動きに基づいて、風向きを計測する
ことを特徴とする付記1のカメラ制御装置。
【0105】
(付記14)
降雨観測手段は、降雨センサ3000を用いて降雨を観測する
ことを特徴とする付記2のカメラ制御装置。
【0106】
(付記15)
降雨観測手段は、気象センタから降雨情報を取得する
ことを特徴とする付記2のカメラ制御装置。
【0107】
(付記16)
降雨観測手段は、被洗浄面上の水滴の有無に基づいて、降雨を観測する
ことを特徴とする付記2のカメラ制御装置。
【符号の説明】
【0108】
1 カメラ制御装置
2 カメラ制御装置
3 カメラ制御装置
10 風向計測部
20 駆動部
30 降雨観測部
40 汚れ検出部
50 清掃頻度決定部
1000 カメラ
1010 被洗浄面
1020 フード
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13