(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】クリーニング装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/17 20060101AFI20231031BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20231031BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20231031BHJP
B65H 5/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B41J2/17 103
G03G21/00 310
B41J2/01 305
B41J2/01 401
B65H5/00 B
(21)【出願番号】P 2019175348
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-08-29
(31)【優先権主張番号】P 2019101712
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100127797
【氏名又は名称】平田 晴洋
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 剛史
(72)【発明者】
【氏名】玉井 宏篤
(72)【発明者】
【氏名】佐武 健一
(72)【発明者】
【氏名】坂根 広規
(72)【発明者】
【氏名】臼井 将人
(72)【発明者】
【氏名】湯淺 譲
(72)【発明者】
【氏名】為国 雄介
(72)【発明者】
【氏名】道下 恭弘
(72)【発明者】
【氏名】大畑 志伸
(72)【発明者】
【氏名】宮越 直人
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 俊介
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-077960(JP,A)
【文献】特開2010-211124(JP,A)
【文献】特開昭62-275959(JP,A)
【文献】特開2011-107433(JP,A)
【文献】国際公開第2006/133024(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 13/02
B41J 29/17
G03G 21/00
B65H 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置の装置本体に回転可能に支持されシートを搬送する搬送ローラーの表面を清掃することが可能なクリーニング装置であって、
前記搬送ローラーの表面に当接して前記表面を清掃する帯状のウェブと、
前記ウェブの巻回体を支持する支持ローラーと、
回転駆動力が入力される駆動入力部を有し、前記駆動入力部に入力された回転駆動力に応じた回転によって、前記支持ローラーから前記ウェブを引き出しつつ巻き取る巻き取り
ローラーと、
前記支持ローラーと前記巻き取りローラーとの間において前記ウェブに当接し、当該ウェブを前記搬送ローラーに押圧する押圧ローラーと、
前記押圧ローラーの前記搬送ローラーに対する位置を変化させることにより、前記ウェブを前記搬送ローラーに対して離接させる離接機構と、
前記ウェブによる前記搬送ローラーに対する清掃を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記搬送ローラーがシートの搬送状態及び非搬送状態の何れの状態であるかを判定する搬送状態判定部と、
前記搬送ローラーが前記非搬送状態である場合に、前記押圧ローラーによって前記ウェブが前記搬送ローラーに押圧されるように前記離接機構を制御する離接制御部と、
前記ウェブが前記搬送ローラーに押圧された状態において、前記搬送ローラーを回転させる搬送ローラー回転制御部と、
前記搬送ローラーが回転している状態において、前記巻き取りローラーの回転に応じて前記ウェブを巻き取る巻き取り動作を、予め設定されたクリーニング時間内において所定の時間間隔で複数回実行させる巻き取り制御部と、を含む、クリーニング装置。
【請求項2】
前記巻き取り制御部は、
前記巻き取り動作の動作回数の累積値を監視する監視処理と、
前記複数回の巻き取り動作によって前記巻き取りローラーに巻き取られる前記ウェブの合計巻き取り量が、前記累積値に応じて所定の許容範囲内で一定となるように、前記クリーニング時間内での前記巻き取り動作の回数を設定する動作回数設定処理と、
前記クリーニング時間内において、前記動作回数設定処理によって設定された回数分の前記巻き取り動作を実行させる巻き取り処理と、を実行可能に構成されている、請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記巻き取り制御部は、前記巻き取り処理において、前記複数回の巻き取り動作の各々を等時間間隔で実行させる、請求項2に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記搬送ローラー回転制御部は、前記クリーニング時間の終了時点から所定の回転継続時間内においては前記搬送ローラーの回転を継続させ、
前記離接制御部は、前記回転継続時間内において前記ウェブが前記搬送ローラーから離間するように、前記離接機構を制御する、請求項1~3のいずれか1項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
装置本体と、
前記装置本体に回転可能に支持されシートを搬送する搬送ローラーと、
前記シートに画像を形成する画像形成部と、
前記搬送ローラーを清掃することが可能な、請求項1~4のいずれか1項に記載のクリーニング装置と、を備える、画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送する搬送ローラーを清掃するクリーニング装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンター等の画像形成装置では、所定の画像形成位置にシートが搬送され、前記画像形成位置において前記シートに画像が形成される。従来、画像形成位置にシートを送り出すレジストローラー対が知られている。当該レジストローラー対は、シートの幅に対応した長さをそれぞれ有し、シートが通過するニップ部を形成する。レジストローラー対の回転が停止した状態で、シートの先端部がニップ部に当接すると、シートの斜行が矯正される。その後、レジストローラー対が回転すると、シートがニップ部に搬入されたのち、画像形成位置における適切な画像形成タイミングに合わせてシートが送り出される(搬送される)。
【0003】
特許文献1および2には、レジストローラーの表面に付着した紙粉を除去するクリーニング装置が開示されている。当該クリーニング装置においては、ロール状に巻かれたウェブが巻き取りローラーに巻き取られることで新しいウェブ面がレジストローラーの表面に接触し、紙粉を除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-345805号公報
【文献】特開2006-117420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および2に記載された技術では、レジストローラー対のうちの下側のレジストローラーの表面にウェブが接触して当該表面を清掃する。ウェブによるレジストローラーに対する清掃毎に、巻き取りローラーによるウェブの巻き取り動作が実行され、ウェブのレジストローラーに接触する部分が変化するようにされる。
【0006】
レジストローラーには、紙粉だけではなく、シートに対する画像形成用のインクやトナーが付着する場合がある。このような現象は、レジストローラー対に限らず、シートを搬送する搬送ローラーにも生じうる。搬送ローラーの表面に紙粉やインク等が付着すると、シートの搬送不良やシートにインク等の汚れが発生するため、搬送ローラーの清掃が必要になる。搬送ローラーに付着したインク等をウェブによって除去する場合、ウェブ上に回収されたインク等が再度、搬送ローラーの表面に転写され、搬送ローラーを適切に清掃することができないという問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シートを搬送する搬送ローラーの表面を適切に清掃することが可能なクリーニング装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の局面に係るクリーニング装置は、画像形成装置の装置本体に回転可能に支持されシートを搬送する搬送ローラーの表面を清掃することが可能な装置である。このクリーニング装置は、前記搬送ローラーの表面に当接して前記表面を清掃する帯状のウェブと、前記ウェブの巻回体を支持する支持ローラーと、回転駆動力が入力される駆動入力部を有し、前記駆動入力部に入力された回転駆動力に応じた回転によって、前記支持ローラーから前記ウェブを引き出しつつ巻き取る巻き取りローラーと、前記支持ローラーと前記巻き取りローラーとの間において前記ウェブに当接し、当該ウェブを前記搬送ローラーに押圧する押圧ローラーと、前記押圧ローラーの前記搬送ローラーに対する位置を変化させることにより、前記ウェブを前記搬送ローラーに対して離接させる離接機構と、前記ウェブによる前記搬送ローラーに対する清掃を制御する制御部と、を備える。前記制御部は、前記搬送ローラーがシートの搬送状態及び非搬送状態の何れの状態であるかを判定する搬送状態判定部と、前記搬送ローラーが前記非搬送状態である場合に、前記押圧ローラーによって前記ウェブが前記搬送ローラーに押圧されるように前記離接機構を制御する離接制御部と、前記ウェブが前記搬送ローラーに押圧された状態において、前記搬送ローラーを回転させる搬送ローラー回転制御部と、前記搬送ローラーが回転している状態において、前記巻き取りローラーの回転に応じて前記ウェブを巻き取る巻き取り動作を、予め設定されたクリーニング時間内において所定の時間間隔で複数回実行させる巻き取り制御部と、を含む。
【0009】
このクリーニング装置によれば、ウェブの巻回体を支持する支持ローラーと、当該支持ローラーからウェブを引き出しつつ巻き取る巻き取りローラーとの間に、ウェブを搬送ローラーに押圧する押圧ローラーが配置される。押圧ローラーは搬送ローラーに対する位置が離接機構によって変化され、この押圧ローラーの搬送ローラーに対する位置の変化に応じてウェブが搬送ローラーに対して離接される。押圧ローラーの押圧によってウェブを搬送ローラーに当接させた状態で、搬送ローラーの表面を清掃することが可能となる。ウェブによる搬送ローラーに対する清掃は、制御部によって制御される。
【0010】
制御部は、搬送状態判定部、離接制御部、搬送ローラー回転制御部及び巻き取り制御部を含む。搬送ローラーがシートの非搬送状態であることが搬送状態判定部によって判定された場合を想定する。この場合、離接制御部は、押圧ローラーによってウェブが搬送ローラーに押圧されるように離接機構を制御する。ウェブが搬送ローラーに押圧されると、搬送ローラー回転制御部は、搬送ローラーを回転させる。ウェブが押圧された状態での搬送ローラーの回転によって、搬送ローラーの表面をウェブによって清掃することができる。そして、ウェブによる搬送ローラーに対する清掃時において、巻き取り制御部は、巻き取りローラーの回転に応じたウェブの巻き取り動作を、予め設定されたクリーニング時間内において所定の時間間隔で複数回実行させる。これにより、1回のクリーニング時間内において、ウェブの搬送ローラーに接触する部分を複数回変化させることができる。このため、シートに対する画像形成用のインク等が搬送ローラーに付着している場合であっても、当該搬送ローラーからインク等を確実に除去してウェブ上に回収し、搬送ローラーを適切に清掃することができる。
【0011】
上記のクリーニング装置において、前記巻き取り制御部は、前記巻き取り動作の動作回数の累積値を監視する監視処理と、前記複数回の巻き取り動作によって前記巻き取りローラーに巻き取られる前記ウェブの合計巻き取り量が、前記累積値に応じて所定の許容範囲内で一定となるように、前記クリーニング時間内での前記巻き取り動作の回数を設定する動作回数設定処理と、前記クリーニング時間内において、前記動作回数設定処理によって設定された回数分の前記巻き取り動作を実行させる巻き取り処理と、を実行可能に構成されていることが望ましい。
【0012】
巻き取りローラーによるウェブの巻き取り動作が行われると、巻き取りローラー上にウェブの巻回体が形成される。巻き取りローラー上に形成されるウェブの巻回体の外径は、巻き取り動作が行われる毎に大きくなる。すなわち、巻き取り動作の動作回数の累積値が増大するのに従って、巻き取りローラー上に形成されるウェブの巻回体の外径が大きくなる。巻き取りローラー上に形成されるウェブの巻回体の外径が大きくなると、巻き取りローラーの1回転当りのウェブの巻き取り量が増大することになる。このため、クリーニング時間内での巻き取り動作の回数を一定に設定した場合、巻き取りローラーの回転に応じたウェブの巻き取り量が、巻き取り動作の動作回数の累積値に応じて変化してしまう。
【0013】
そこで、巻き取り制御部は、巻き取り動作の動作回数の累積値を監視する監視処理と、巻き取り動作の回数を設定する動作回数設定処理と、動作回数設定処理によって設定された回数分の巻き取り動作を実行させる巻き取り処理と、を実行可能に構成されている。巻き取り制御部は、動作回数設定処理において、複数回の巻き取り動作によって巻き取りローラーに巻き取られるウェブの合計巻き取り量が、前記累積値に応じて所定の許容範囲内で一定となるように、クリーニング時間内での巻き取り動作の回数を設定する。
【0014】
上記のクリーニング装置において、前記巻き取り制御部は、前記巻き取り処理において、前記複数回の巻き取り動作の各々を等時間間隔で実行させることが望ましい。
【0015】
この態様では、巻き取り制御部は、巻き取りローラーの回転に応じたウェブの巻き取り動作を、予め設定されたクリーニング時間内において等時間間隔で複数回実行させる。これにより、ウェブの搬送ローラーに接触する部分を、1回のクリーニング時間内において等時間間隔で複数回変化させることができる。
【0016】
上記のクリーニング装置において、前記搬送ローラー回転制御部は、前記クリーニング時間の終了時点から所定の回転継続時間内においては前記搬送ローラーの回転を継続させ、前記離接制御部は、前記回転継続時間内において前記ウェブが前記搬送ローラーから離間するように、前記離接機構を制御することが望ましい。
【0017】
この態様では、ウェブによる搬送ローラーに対する清掃後において、搬送ローラーの回転を継続させた状態で、ウェブが搬送ローラーから離間される。これにより、搬送ローラーに付着した紙粉やインク等を、当該搬送ローラーからより確実に除去してウェブ上に回収することができる。
【0018】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、装置本体と、前記装置本体に回転可能に支持されシートを搬送する搬送ローラーと、前記シートに画像を形成する画像形成部と、前記搬送ローラーを清掃することが可能な、上記のクリーニング装置と、を備える。
【0019】
この画像形成装置によれば、搬送ローラーから紙粉やインク等を確実に除去してウェブ上に回収し、搬送ローラーを適切に清掃することが可能なクリーニング装置を備えている。このため、シートの搬送不良やシートにインク等の汚れが発生することを抑制し、画像形成装置において適切な画像を形成することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シートを搬送する搬送ローラーの表面を適切に清掃することが可能なクリーニング装置、及びそれを備えた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の内部構造を示す模式的な断面図である。
【
図2】画像形成装置のレジストローラー対及びクリーニングユニットの周辺の断面図であって、クリーニングユニットが清掃位置に配置された状態の断面図である。
【
図7】画像形成装置のクリーニングユニット及びウェブ送り出し機構の斜視図である。
【
図8】画像形成装置の装置本体を構成する本体フレームから搬送ユニットフレームが脱離された様子を示す斜視図である。
【
図11】搬送ユニットフレームのクリーニングユニット回動部の斜視図である。
【
図12】搬送ユニットフレームにクリーニングユニットが装着される様子を示す断面図である。
【
図13】搬送ユニットフレームにクリーニングユニットが装着された様子を示す断面図である。
【
図14】画像形成装置のレジストローラー対およびクリーニングユニットの周辺の断面図であって、クリーニングユニットが着脱位置に配置された状態の断面図である。
【
図15】画像形成装置のレジストローラー対およびクリーニングユニットの周辺の断面図であって、クリーニングユニットが離間位置に配置された状態の断面図である。
【
図16】画像形成装置の電気的構成を示すブロック図である。
【
図17】クリーニングユニットのウェブによるレジスト下ローラーに対する清掃時のタイミングチャートである。
【
図18】画像形成装置の制御部におけるクリーニング制御部の記憶部に記憶された換算率関連情報を示す図である。
【
図19】記憶部に記憶された閾値関連情報を示す図である。
【
図20】ソレノイド作動回数の累積値と、ソレノイド1回作動毎のウェブ巻き取り量との関係を示すグラフである。
【
図21】記憶部に記憶された作動回数設定情報を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態に係るクリーニング装置及び画像形成装置について図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置1の内部構造を示す模式的な断面図である。
図1に示す画像形成装置1は、インク滴を吐出してシートSに画像を形成(記録)するインクジェット記録装置である。画像形成装置1は、装置本体10と、給紙部20と、レジストローラー部30と、ベルト搬送ユニット40と、画像形成部50と、カール矯正部60と、メンテナンスユニット61と、を備える。
【0024】
装置本体10は、シートSに画像を形成するための各種の装置を収容する箱形の筐体である。この装置本体10には、シートSの搬送通路となる第1搬送路11、第2搬送路12及び第3搬送路13が形成されている。
【0025】
給紙部20は、シートSを第1搬送路11へ給紙する。給紙部20は、給紙カセット21と給紙ローラー22とを備える。給紙カセット21は、装置本体10に対して着脱自在であり、内部にシートSを収容する。給紙ローラー22は、給紙カセット21の上端部の右側に配置される。給紙ローラー22は、給紙カセット21に収容されたシートSを第1搬送路11の下流側に搬送する。
【0026】
第1搬送路11に給紙されたシートSは、その第1搬送路11に設けられた第1搬送ローラー対111によって、第1搬送路11の下流端に配置された、レジストローラー部30まで搬送される。また、装置本体10の右側の側面には給紙トレイ24が配置されており、給紙トレイ24の上面部にはシートSが載置可能とされる。給紙トレイ24上に載置されたシートSは、給紙ローラー23によってレジストローラー部30に向かって送り出される。
【0027】
レジストローラー部30は、第1搬送路11又は給紙ローラー23を介して搬入されたシートSを、ベルト搬送ユニット40における搬送ベルト41に向けて、シート搬送方向A1に搬送する装置である。なお、レジストローラー部30およびベルト搬送ユニット40は互いに異なる位置でシートSを搬送する。このレジストローラー部30の詳細については、後述する。
【0028】
レジストローラー部30により搬送されたシートSは、ベルト搬送ユニット40によってシート搬送方向A2に搬送される。なお、シート搬送方向A1およびA2は、
図1において左方向である。
【0029】
ベルト搬送ユニット40は、画像形成部50の下方に配置されている。ベルト搬送ユニット40は、画像形成部50の下方をシートSが通過するように、レジストローラー部30により搬送されたシートSを、カール矯正部60に向けてシート搬送方向A2に搬送する。ベルト搬送ユニット40は、搬送ベルト41(搬送部)と、第1支持ローラー421と、第2支持ローラー422と、第3支持ローラー423と、及び一対の第4支持ローラー424と、吸引部43とを有する。
【0030】
搬送ベルト41は、前後方向に所定の幅を有して左右方向に延びる無端状のベルトである。搬送ベルト41は、画像形成部50と対向して配置され、外周面411上にてシートSをシート搬送方向A2に搬送する。搬送ベルト41の周回移動経路上には、画像形成部50によりシートSに画像が形成される画像形成位置が設定される。
【0031】
搬送ベルト41は、第1支持ローラー421、第2支持ローラー422、第3支持ローラー423、及び一対の第4支持ローラー424に張架される。この張架された搬送ベルト41の内側において、搬送ベルト41の内周面412に対向して吸引部43が配置されている。第1支持ローラー421は、不図示の駆動モーターによって回転駆動され、所定の周回方向に搬送ベルト41を周回させる。また、搬送ベルト41は、外周面411から内周面412にわたって厚み方向に貫通した複数の吸引孔を有している。
【0032】
吸引部43は、画像形成部50と搬送ベルト41を介して対向して配置されている。吸引部43は、搬送ベルト41の外周面411に保持されたシートSと搬送ベルト41との間に負圧を発生させることにより、シートSを搬送ベルト41の外周面411に密着させる。吸引部43は、ベルト案内部材431と、吸引筐体432と、吸引装置433と、排気ダクト434とを備える。
【0033】
ベルト案内部材431は、第1支持ローラー421と第2支持ローラー422との間において、第1支持ローラー421の回転に連動した搬送ベルト41の周回移動を案内する。
【0034】
吸引部43は、ベルト案内部材431に形成された溝部並びに貫通孔と、搬送ベルト41の吸引孔とを介して、搬送ベルト41の上側の空間から空気を吸引することにより吸引力を発生させる。この吸引力により、搬送ベルト41の上側の空間に吸引部43へ向かう気流(吸引風)が発生する。シートSがレジストローラー部30により搬送ベルト41上に搬送されて搬送ベルト41の外周面411の一部を覆うと、シートSに吸引力(負圧)が作用して、シートSが搬送ベルト41の外周面411に密着される。
【0035】
吸引筐体432は、上側が開口した箱形の筐体であり、当該上側の開口がベルト案内部材431によって覆われるように、搬送ベルト41の下側に配置される。吸引筐体432は、ベルト案内部材431と協働して吸引空間432Aを画定する。
【0036】
吸引筐体432の底壁部には開口部432Bが形成され、この開口部432Bに対応して吸引装置433が配置されている。この吸引装置433には、排気ダクト434が接続されている。この排気ダクト434は、装置本体10に設けられた不図示の排気口と連結されている。
【0037】
ベルト搬送ユニット40の上側には、画像形成部50が配置されている。画像形成部50は、搬送ベルト41の外周面411上に保持された状態でシート搬送方向A2に搬送されるシートSに、画像形成処理を施して画像を形成する。本実施形態では、画像形成部50の画像形成方式はインクジェット式であり、インク滴を吐出してシートSに画像を形成する。
【0038】
画像形成部50は、ラインヘッド51(51Bk、51C、51M、51Y)を備える。ラインヘッド51Bkはブラック色のインク滴を吐出し、ラインヘッド51Cはシアン色のインク滴を吐出し、ラインヘッド51Mはマゼンタ色のインク滴を吐出し、ラインヘッド51Yはイエロー色のインク滴を吐出する。ラインヘッド51Bk、51C、51M、51Yは、シート搬送方向A1の上流側から下流側に向かって並設される。
【0039】
ラインヘッド51は、搬送ベルト41の外周面411上に保持された状態でシート搬送方向A2に搬送されるシートSにインク滴を吐出して、シートSに画像を形成する。これにより、シートSに画像が形成される。
【0040】
画像が形成されたシートSは、搬送ベルト41により搬送され、シート排出ガイド部44によりガイドされつつカール矯正部60に向けて排出(送出)される。カール矯正部60は、シート排出ガイド部44を挟んで搬送ベルト41のシート搬送方向A2下流側に配置される。カール矯正部60は、画像が形成されたシートSを下流側へ搬送しつつ、当該シートSのカールを矯正する。
【0041】
カール矯正部60によりカールが矯正されたシートSは、第2搬送路12に送出される。第2搬送路12は、装置本体10の左側の側面に沿って延設されている。第2搬送路12に送出されたシートSは、その第2搬送路12に設けられた第2搬送ローラー対121によって、装置本体10の左側に形成された排紙口12Aに向けて搬送され、排紙口12Aから排紙部14上に排出される。
【0042】
一方、シートSに両面印刷が施される場合、第1面(表面)の画像形成処理が完了したシートSは、第2搬送路12からシート反転部15に送り出される。シート反転部15は、第2搬送路12の途中で分岐された搬送路であり、シートSが反転(スイッチバック)される部分である。シート反転部15によって表裏が反転されたシートSは、第3搬送路13に送出される。第3搬送路13に送出されたシートSは、その第3搬送路13に設けられた第3搬送ローラー対131によって逆送され、レジストローラー部30を介して、表裏が反転した状態で再び搬送ベルト41の外周面411上に供給される。このように表裏が反転した状態で搬送ベルト41の外周面411上に供給されたシートSは、搬送ベルト41により搬送されながら、画像形成部50によって、第1面とは反対側の第2面(裏面)に画像形成処理が施される。両面印刷が完了したシートSは、第2搬送路12を通過して排紙口12Aから排紙部14上に排出される。
【0043】
画像形成装置1において、シートSに画像を形成する画像形成処理の実行時には、ラインヘッド51からインクを吐出する。一方、シートSへの画像形成処理の休止時にラインヘッド51に対するメンテナンス処理が実行されるときには、ラインヘッド51から加圧されたインクを吐出させるパージ処理が行われる。ラインヘッド51に対するメンテナンス処理は、
図1に示すメンテナンスユニット61により実行される。メンテナンスユニット61は、キャリッジ61Aに搭載されたキャップユニット61Bとワイプユニット61Cとを含む。このメンテナンスユニット61の構成の詳細について、また、ラインヘッド51に対するメンテナンス処理の詳細については、後述する。
【0044】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置1のレジストローラー対およびクリーニングユニット70の周辺の断面図であって、クリーニングユニット70が清掃位置に配置された状態の断面図である。
【0045】
前述のレジストローラー部30は、レジストハウジング30Hと、レジスト上ローラー31(上側レジストローラー)およびレジスト下ローラー32(搬送ローラー、下側レジストローラー)を含むレジストローラー対と、を有する。レジストハウジング30Hは、装置本体10に装着されており、レジスト上ローラー31およびレジスト下ローラー32を回転可能に支持する。シートSは、レジストハウジング30H内において
図2の矢印で示すようにレジストローラー対のニップ部に搬入される。なお、レジストローラー部30は、レジスト上ローラー31およびレジスト下ローラー32を回転駆動するレジスト駆動部30M(後記の
図16)を有する。
【0046】
レジスト上ローラー31は、レジストローラー対のうち上側に配置されるローラーである。レジスト上ローラー31は、金属ローラーからなる。
【0047】
レジスト下ローラー32は、レジストローラー対のうち下側に配置されるローラーである。レジスト下ローラー32は、ゴムローラーからなり、その外周面にはPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)チューブが巻かれている(嵌め込まれている)。
【0048】
なお、
図2に示すように、レジスト上ローラー31の中心とレジスト下ローラー32の中心とを結ぶ直線Lは、鉛直方向に対して鋭角(たとえば10度)で傾斜している。換言すれば、レジスト上ローラー31よりもレジスト下ローラー32は、シートSの搬送方向上流側にずれた位置に配置されている。
【0049】
更に、画像形成装置1は、クリーニング装置7を備える。クリーニング装置7は、レジスト下ローラー32の表面を清掃することが可能とされている。クリーニング装置7は、クリーニングユニット70と、移動機構75(
図9参照)と、を有する。移動機構75は、クリーニングユニット70を清掃位置(
図2)と、着脱位置(
図14)と、離間位置(
図15)との間で移動させる機能を備えている。
【0050】
図3乃至
図5は、本実施形態に係る画像形成装置1のクリーニングユニット70の斜視図である。
図6は、
図5の断面位置I-Iにおけるクリーニングユニット70の断面図である。
【0051】
クリーニングユニット70は、クリーニング部70Aと、クリーニングハウジング70Hと、を有する。クリーニング部70Aは、レジスト下ローラー32の軸方向に沿って延びる形状を有しレジスト下ローラー32の表面に下方から当接し前記表面を清掃する。
【0052】
クリーニングハウジング70Hは、クリーニング部70Aを支持する。クリーニングハウジング70Hは、前壁701および後壁702(一対の壁部)と、接続壁703と、一対のユニット支点ピン70P(ハウジング軸部)と、シート部材704と、一対のガイドコロ705(ガイドローラー)と、を有する。クリーニングハウジング70Hの前壁701、後壁702および接続壁703は、金属材料(磁性材料)から構成される。
【0053】
前壁701および後壁702は、前後方向(レジスト下ローラー32の軸方向)において互いに対向して配置されクリーニング部70Aを支持する。接続壁703は、前壁701および後壁702を前後方向に沿って接続する。接続壁703は、側壁703Aと、底壁703Bと、を有する(
図5、
図6)。底壁703Bには、前後一対のリブ703Tが突設されている(
図12、
図13参照)。
【0054】
一対のユニット支点ピン70Pは、前壁701および後壁702(一対の壁部)の外側面から前後方向にそれぞれ突設される。ユニット支点ピン70Pは、前壁701および後壁702の左下部分に配置されている。各ユニット支点ピン70Pは、先端部に向かって外径が縮小する2段式の円柱形状からなる。
【0055】
シート部材704は、クリーニングユニット70の左側面を画定するように底壁703Bに固定されている(
図6)。シート部材704は、クリーニングユニット70に回収された紙粉等の回収物がベルト搬送ユニット40(
図1)側に飛散することを防止する。
【0056】
一対のガイドコロ705は、ユニット支点ピン70Pよりも上方において前壁701および後壁702にそれぞれ支持され、前後方向と平行な中心軸(第2中心軸)回りに回転可能な外周面をそれぞれ含む。ガイドコロ705は、前壁701および後壁702の右上部分に配置されている。一対のガイドコロ705は、クリーニングユニット70が、前述の着脱位置、離間位置および清掃位置に移動する際に、クリーニングユニット70を案内する機能を有する。
【0057】
クリーニング部70Aは、ウェブWと、それぞれ前壁701および後壁702に回転可能に支持された、ウェブ従動ローラー71(支持ローラー)と、押圧ローラー72と、ウェブ駆動ローラー73(巻き取りローラー)と、を有する(
図6参照)。ウェブWは、レジスト下ローラー32の表面に当接することが可能な当接面を有する帯状の部材からなり、一例として、不織布などの布材料から構成される。ウェブWは、レジスト下ローラー32の表面に当接して前記表面を清掃する。本実施形態では、
図6に示すように、ウェブWが予めロール状に巻かれた巻回体としてのウェブロールWRがウェブ従動ローラー71に外嵌されている。そして、ウェブWの先端が、押圧ローラー72の外周面にかけられた後、ウェブ駆動ローラー73の外周面に固定されている。
【0058】
ウェブ従動ローラー71は、ウェブWの巻回体であるウェブロールWRを支持する支持ローラーである。ウェブ駆動ローラー73は、回転駆動力が入力される駆動入力部としての駆動ローラーギヤ713を有した巻き取りローラーである。ウェブ駆動ローラー73は、駆動ローラーギヤ713に入力された回転駆動力に応じた回転によって、ウェブ従動ローラー71からウェブWを引き出しつつ巻き取る。押圧ローラー72は、ウェブ従動ローラー71とウェブ駆動ローラー73との間においてウェブWの裏面に当接し、当該ウェブWの表面をレジスト下ローラー32に押圧する。なお、クリーニングユニット70が前述の清掃位置(
図2)に配置されると、押圧ローラー72がウェブWを挟んでレジスト下ローラー32に当接する。ウェブ駆動ローラー73の回転に応じてウェブ従動ローラー71からウェブWが引き出されることにより、ウェブWのうち押圧ローラー72を介してレジスト下ローラー32に当接する部分が変化する。
【0059】
なお、
図5に示すように、側壁703Aと底壁703Bとの間に形成される開口部を通じて、ウェブ従動ローラー71に支持されたウェブロールWRの状態をクリーニングユニット70の外側から視認することができる。このため、使用途中で装置本体10から脱離されウェブWの繰り出し可能量が僅かとなったクリーニングユニット70が誤って装置本体10に装着されることが防止される。
【0060】
更に、クリーニングユニット70は、ユニット入力ギヤ711(
図4)と、連動ギヤ711Tと、伝達ギヤ712と、前述の駆動ローラーギヤ713と、を有する(
図6)。
【0061】
ユニット入力ギヤ711は、前壁701の下端部かつ右端部に回転可能に支持されている。ユニット入力ギヤ711の入力ギヤシャフト711Sは、前壁701を貫通して前壁701の内側(裏側)に延びている。連動ギヤ711Tは、入力ギヤシャフト711Sに固定されており、ユニット入力ギヤ711と一体的に回転する。
【0062】
伝達ギヤ712は、前壁701の内側に回転可能に支持されており、連動ギヤ711Tおよび駆動ローラーギヤ713にそれぞれ係合している。駆動ローラーギヤ713は、ウェブ駆動ローラー73の一端部に固定されたギヤであり、ウェブ駆動ローラー73を回転させる回転駆動力が入力される駆動入力部として機能する。
【0063】
図7は、本実施形態に係る画像形成装置1のクリーニングユニット70およびウェブ送り出し機構81の斜視図である。クリーニング装置7は、更に、ウェブ送り出し機構81(ウェブ駆動機構)を備える。ウェブ送り出し機構81は、画像形成装置1の装置本体10に装着されている。ウェブ送り出し機構81は、クリーニングユニット70のウェブWを送り出す機能を有する。ウェブ送り出し機構81は、クリーニングユニット70が前記清掃位置に配置されることで、クリーニングユニット70に連結される。ウェブ送り出し機構81は、ソレノイド811と、第3検知センサー813(検知部)と、伝達ギヤ814,815と、を有する。
【0064】
ソレノイド811は、ウェブ駆動ローラー73を回転させるための駆動力を発生する。ソレノイド811は、出没軸811Sを有し、回動アーム812(回動部材)を回動させる。出没軸811Sは、ソレノイド811の本体に対して出没する。回動アーム812は、装置本体10に回動可能に支持された回動部材である。ソレノイド811は、通電による出没軸811Sの出没動作に応じて回動アーム812を回動させ、当該回動アーム812の回動力を、ウェブ駆動ローラー73に固定された駆動ローラーギヤ713に対する回転駆動力として出力させる。ソレノイド811は、装置本体10内に配置された板金製の不図示の駆動フレームに支持されている。
【0065】
回動アーム812は、装置本体10内の前記駆動フレームに備えられたシャフト812S(
図7)に回動可能に支持されている。当該シャフト812Sは、前後方向に延びる回転中心軸回りに回転可能なように前記駆動フレームに支持されている。回動アーム812は、第1アーム部812Aと、第2アーム部812Bと、を有する。第1アーム部812Aは、回動アーム812の回転中心軸から右方に向かって延びている。第1アーム部812Aの先端部は、出没軸811Sに接続されている。第2アーム部812Bは、第1アーム部812Aとは反対側で回動アーム812の回転中心軸から下方に向かって延びている。第2アーム部812Bの先端部(下端部)には検知片812Cが固設されている。また、シャフト812Sの後端部には、シャフト812Sと一体的に回転することが可能なギヤ部812Tが備えられている。更に、ウェブ送り出し機構81は、第1ワンウェイクラッチおよび第2ワンウェイクラッチ(いずれも不図示)を有する。第1ワンウェイクラッチは、回動アーム812の内部に固定されシャフト812Sに嵌め込まれている。また、第2ワンウェイクラッチは、第1ワンウェイクラッチに隣接するように前記駆動フレームに固定されておりシャフト812Sに嵌め込まれている。
【0066】
第3検知センサー813は、ソレノイド811の本体の左端部に固定されている。第3検知センサー813は、回動アーム812の回動に応じて検知片812Cが所定の検知領域に配置された場合に、当該検知片812Cを検知する検知部である。
【0067】
伝達ギヤ814は、装置本体10に回転可能に支持されており、ギヤ部812Tに係合している。なお、伝達ギヤ814は2段ギヤからなる。同様に、伝達ギヤ815は、装置本体10に回転可能に支持されており、伝達ギヤ814の2段ギヤのうちの後側のギヤ部に係合するとともに、前述のユニット入力ギヤ711に係合している。
【0068】
図7は、出没軸811Sがソレノイド811の本体に対して没入(収縮)した状態を示している。
図7の状態から、ソレノイド811の通電が停止されると、出没軸811Sがソレノイド811の本体から突出(伸長)することで、回動アーム812がシャフト812Sを中心として
図7の反時計回りに回動する。この際、前述の第1ワンウェイクラッチの作用によって、回動アーム812はシャフト812Sに対して相対回転するため、シャフト812Sが回転することはない。一方、ウェブWを所定量巻き取るために、ソレノイド811が通電されると、出没軸811Sがソレノイド811の本体に対して収縮される。この結果、回動アーム812がシャフト812Sを中心として
図7の時計回りに回動する。この際、前述の第1ワンウェイクラッチの作用によって、シャフト812Sが回動アーム812と一体的に所定の角度だけ回転する。この結果、シャフト812Sに固定されたギヤ部812Tから、伝達ギヤ814及び伝達ギヤ815を介してユニット入力ギヤ711に回転駆動力が入力される。そして、クリーニングユニット70のユニット入力ギヤ711、連動ギヤ711T、伝達ギヤ712および駆動ローラーギヤ713に回転駆動力が更に伝達され、予め設定された回転角度分、ウェブ駆動ローラー73が回転し、ウェブWがウェブ駆動ローラー73に巻き取られるように移動する。この結果、ウェブWの当接面のうちレジスト下ローラー32に対向する部分が変化する。なお、回動アーム812が1往復分回動する毎に、第3検知センサー813が検知片812Cを検知することで、ユニット入力ギヤ711が回転しウェブWが移動したことが検出される。
【0069】
ウェブWがウェブ駆動ローラー73に巻き取られるように移動すると、ソレノイド811に対する通電が停止され、出没軸811Sがソレノイド811の本体に対して再び突出した状態となる。この際、前述の第2ワンウェイクラッチの作用によって、シャフト812Sが逆回転することが防止される。また、ウェブ駆動ローラー73の駆動ローラーシャフト73Sに備えられたワンウェイクラッチが機能し、ウェブ駆動ローラー73が逆回転することが防止される。ソレノイド811に対する通電および通電停止の通電状態の切替えによって、出没軸811Sの出没動作が行われる。この出没軸811Sの出没動作に応じて回動アーム812が回動し、その回動に応じてウェブ駆動ローラー73が回転する。これにより、ウェブWがウェブ駆動ローラー73に巻き取られるように移動する。このように本実施形態では、ソレノイド811の出没軸811Sの僅かな出没ストロークを利用して、ウェブ従動ローラー71に支持されたウェブロールWRからウェブWを送り出すことが可能となる。なお、他の実施形態において、ウェブ送り出し機構81は、ウェブ駆動ローラー73に加え、ウェブ従動ローラー71を回転駆動させてもよい。
【0070】
なお、
図7を参照して、押圧ローラー72の押圧ローラーシャフト72Sには、トルクリミッタ72Tが備えられている。クリーニング装置7のウェブW(押圧ローラー72)がレジスト下ローラー32に当接し、レジスト上ローラー31とレジスト下ローラー32との間にシートSが挟持された状態で、画像形成装置1においてシートS詰まりが発生することがある。この場合、使用者は、画像形成装置1の装置本体10の所定のカバーを開放し、
図2の矢印とは逆方向に向かってシートSを引き出すことで、レジスト上ローラー31とレジスト下ローラー32との間に詰まったシートSを取り除こうとする。この際、シートSが引き出される力が、レジスト下ローラー32から押圧ローラー72に伝わると、ウェブWが押圧ローラー72からウェブ駆動ローラー73側に過剰に送り出されてしまう。本実施形態では、押圧ローラーシャフト72Sにトルクリミッタ72Tが備えられているため、押圧ローラー72に急激な回転力が付与されると、押圧ローラー72の回転がロックし、ウェブWが繰り出されることが防止される。
【0071】
移動機構75(
図2)は、クリーニングユニット70を清掃位置(
図2)と、前記清掃位置よりも下方の着脱位置(
図14)と、清掃位置と着脱位置との間の離間位置(
図15)との間で移動させることが可能とされている。移動機構75は、前記清掃位置ではクリーニング部70Aの押圧ローラー72がウェブWを介してレジスト下ローラー32に当接することを許容し、前記着脱位置ではクリーニング部70Aがレジスト下ローラー32に対して下方に離間して配置されかつクリーニングユニット70が装置本体10に対して着脱されることを許容する。また、前記離間位置では、クリーニング部70Aがレジスト下ローラー32に対して下方に離間して配置されかつクリーニングユニット70と前述のウェブ送り出し機構81との連結が解除される。
【0072】
移動機構75は、クリーニングユニット70を移動させることにより、押圧ローラー72のレジスト下ローラー32に対する位置を変化させ、ウェブWをレジスト下ローラー32に対して離接させる離接機構として機能する。移動機構75は、クリーニングユニット70を前記清掃位置に移動させることにより、押圧ローラー72の押圧によってウェブWをレジスト下ローラー32に当接させる。また、移動機構75は、クリーニングユニット70を前記離間位置に移動させることにより、押圧ローラー72をレジスト下ローラー32に対して下方に離間して配置し、ウェブWをレジスト下ローラー32から離間させる。
【0073】
図8は、本実施形態に係る画像形成装置1の装置本体10を構成する本体フレーム100から搬送ユニットフレーム40Hが脱離された様子を示す斜視図である。
図9および
図10は、搬送ユニットフレーム40Hの斜視図である。
【0074】
図1に示されるベルト搬送ユニット40は、搬送ユニットフレーム40Hを更に有する。搬送ユニットフレーム40Hは、搬送ベルト41と、第1支持ローラー421と、第2支持ローラー422と、第3支持ローラー423と、一対の第4支持ローラー424と、吸引部43と、を一体的に支持している。搬送ユニットフレーム40Hは、装置本体10の本体フレーム100に前後方向(レジスト下ローラー32の軸方向)と平行な第1方向(後方向)に沿って装着可能であるとともに、本体フレーム100から前記第1方向と反対の第2方向(前方向)に沿って脱離可能とされている。
【0075】
図9および
図10を参照して、搬送ユニットフレーム40Hは、前フレーム401と、後フレーム402と、左フレーム403と、第1右フレーム404A(上側接続フレーム)と、第2右フレーム404B(下側接続フレーム)と、前後一対のマグネット404C(磁性部材)と、左右一対のレール部40Rと、を有する。
【0076】
前フレーム401は、搬送ユニットフレーム40Hの前面部に配置されるフレームである。なお、前フレーム401には、前カバー401Aが装着されている。前カバー401Aは、装置本体10の前面部の一部を構成する。後フレーム402は、搬送ユニットフレーム40Hの後面部に配置されるフレームであり、前後方向において前フレーム401に対向して配置される。左フレーム403は、搬送ユニットフレーム40Hの左端部に配置され、前フレーム401と後フレーム402とを前後方向に沿って接続する。また、第1右フレーム404Aおよび第2右フレーム404Bは、搬送ユニットフレーム40Hの右端部に配置され、前フレーム401と後フレーム402とを前後方向に沿って接続する。第1右フレーム404Aは、搬送ユニットフレーム40Hの上面部に沿って配置されており、第2右フレーム404Bは第1右フレーム404Aよりも下方に配置されている。なお、第1右フレーム404Aおよび第2右フレーム404Bの前後方向の両端部同士は、前フレーム401および後フレーム402の内側に配置された不図示の一対の側板によって上下方向に沿って互いに接続されている。この結果、第1右フレーム404A、第2右フレーム404Bおよび上記の一対の側板によって、矩形状の枠構造が形成されている。左右一対のレール部40Rは、搬送ユニットフレーム40Hが本体フレーム100に対して前後方向にスライド移動するためのレール部である。なお、
図9および
図10では、右側のレール部40Rのみが現れているが、搬送ユニットフレーム40Hの左端部にも同様のレール部40Rが配置されている。一対のマグネット404Cは、第2右フレーム404Bの上面部において前後方向に間隔をおいて配置された磁石である。一対のマグネット404Cは、クリーニングユニット70を保持する機能を有している。
【0077】
図9および
図10に示すように、搬送ユニットフレーム40Hのうち、第1右フレーム
404Aおよび第2右フレーム404Bよりも左側には、搬送ユニット装着部40Aが形成されている。当該搬送ユニット装着部40Aには、前述の搬送ベルト41、第1支持ローラー421、第2支持ローラー422、第3支持ローラー423、一対の第4支持ローラー424、吸引部43などが配置される。一方、第1右フレーム404Aと第2右フレーム404Bとの間の空間には、クリーニングユニット装着部40B(ユニット収容部)が配置される。クリーニングユニット装着部40Bは、着脱位置に配置された前述のクリーニングユニット70が装着されることを許容し、当該クリーニングユニット70を収容する。なお、クリーニングユニット装着部40Bは、移動機構75の一部を構成する。
【0078】
更に、搬送ユニットフレーム40Hは、クリーニングユニット回動部45と、回動入力ギヤ40Gと、を有する。
図11は、本実施形態に係る搬送ユニットフレーム40Hのクリーニングユニット回動部45の斜視図である。
【0079】
クリーニングユニット回動部45は、第1右フレーム404Aの直下において前記一対の側板に支持されている。クリーニングユニット回動部45は、回動シャフト451と、前後一対のベアリング451Sと、回動ギヤ452と、前後一対のレバー支持部453(固定部材)と、前後一対の回動レバー454(支持部材)と、を有する。
【0080】
回動シャフト451は、前後一対のベアリング451Sを介して、前記一対の側板に回動可能に支持されている。回動シャフト451は、前後方向(レジスト下ローラー32の軸方向)に沿って延びるとともに一対の回動レバー454の回動における中心軸(第1中心軸)を形成する。回動ギヤ452は、回動シャフト451の後端部に固定されたギヤであり、回動入力ギヤ40Gに係合している。
【0081】
前後一対の回動レバー454は、クリーニングユニット装着部40Bに配置され、クリーニングユニット70のクリーニングハウジング70Hを前後方向(レジスト下ローラー32の軸方向)の両側から挟むようにクリーニングハウジング70Hを支持することが可能とされている。前後一対の回動レバー454には、ピン受け部454P(軸支部)が形成されている。ピン受け部454Pは、クリーニングユニット70のユニット支点ピン70P(
図3、
図4)を前後方向(レジスト下ローラー32の軸方向)と直交する方向に沿って受け入れるとともにユニット支点ピン70Pを回転可能に支持する機能を有する。前後一対のレバー支持部453は、一対の回動レバー454をそれぞれ保持することが可能なように回動シャフト451に固定されている。
【0082】
更に、クリーニング装置7は、回動駆動部75Kを有する。回動駆動部75Kは、移動機構75の一部を構成する。回動駆動部75Kは、一対のユニット支点ピン70Pが一対のピン受け部454Pに軸支された状態でクリーニングユニット70が前記清掃位置と前記着脱位置との間を、前記離間位置を経由して移動するように、一対の回動レバー454を回動シャフト451の中心軸(第1中心軸)回りに回動させる。なお、前記中心軸は、
図2においてピン受け部454Pよりも上方に配置されている。また、回動駆動部75Kは、クリーニングユニット70のクリーニング部70A(ウェブW)が上方を向く姿勢をクリーニングユニット70が維持するように、一対のユニット支点ピン70Pが一対のピン受け部454Pに対して相対回転することを許容しながら一対の回動レバー454を回動させる。
【0083】
回動駆動部75Kは、前述のクリーニングユニット回動部45に加え、ユニット駆動部80(
図2)を有する。ユニット駆動部80は、クリーニングユニット回動部45の回動シャフト451をその中心軸回りに回転させる駆動力を発生する。
図2を参照して、ユニット駆動部80は、駆動モーター出力軸801を含む不図示のモーターと、パルス板802と、第1検知センサー803と、第2検知センサー804と、ユニット駆動出力ギヤ805(
図14)と、を有する。
【0084】
パルス板802は、駆動モーター出力軸801に固定され、駆動モーター出力軸801と一体的に回転する。第1検知センサー803は、パルス板802の回転量を検出する。具体的に、第1検知センサー803は、検出光を発光する発光部と、前記検出光を受光する受光部とを有する。パルス板802にはその回転方向に沿って間隔をおいて開口された複数のスリットが形成されている。パルス板802の回転に伴って、前記スリットによって検出光が遮光され、その波形に応じた信号を受光部が出力することで、駆動モーター出力軸801(一対の回動レバー454)の回転量が検出される。
【0085】
第2検知センサー804は、公知のPIセンサーから構成され、クリーニングユニット70が
図2に示す清掃位置に配置されたことを検出する。本実施形態では、第2検知センサー804の発光部と受光部との間にクリーニングユニット70のクリーニングハウジング70Hの一部が進入することで、第2検知センサー804がクリーニングユニット70を検出する。
【0086】
ユニット駆動出力ギヤ805は、ユニット駆動部80のモーターが発生する回転駆動力をクリーニングユニット回動部45の回動入力ギヤ40Gに伝達する。本実施形態では、搬送ユニットフレーム40Hが本体フレーム100に装着されると、回動入力ギヤ40Gとユニット駆動出力ギヤ805とが互いに係合し、回転駆動力の伝達が可能となる。
【0087】
図12は、本実施形態に係る搬送ユニットフレーム40Hにクリーニングユニット70が装着される様子を示す断面図であり、
図13は、搬送ユニットフレーム40Hにクリーニングユニット70が装着された様子を示す断面図である。
図14は、画像形成装置1のレジストローラー対およびクリーニングユニット70の周辺の断面図であって、クリーニングユニット70が着脱位置に配置された状態の断面図であり、
図15は、画像形成装置のレジストローラー対およびクリーニングユニット70の周辺の断面図であって、クリーニングユニット70が離間位置に配置された状態の断面図である。
【0088】
図14を参照して、移動機構75は、更に、ガイド部100Gを有する。ガイド部100Gは、一対の回動レバー454の前記第1中心軸回りの回動に伴って一対のガイドコロ705が当接することを許容し、クリーニングユニット70を前記清掃位置と前記着脱位置との間で案内する。ガイド部100Gは、前後一対の第1ガイド面101Rと、前後一対の第2ガイド面102Rと、を有する。前後一対の第1ガイド面101Rは、本体フレーム100に備えられた前後一対のガイドフレーム101の左側面からそれぞれ構成される。第1ガイド面101Rは、上方に進むにつれてクリーニングユニット70(ガイドコロ705)を右側に案内するように傾斜している。同様に、前後一対の第2ガイド面102Rは、本体フレーム100に備えられた前後一対のレジストフレームの一部によってそれぞれ構成される。第2ガイド面102Rは、上方に進むにつれてクリーニングユニット70(ガイドコロ705)を左側に案内するように僅かに傾斜している。
【0089】
また、移動機構75は、前後一対の位置決め部102Sを有する。位置決め部102Sは、前記清掃位置においてクリーニングユニットのガイドコロ705に当接し、クリーニング部70AのウェブWがレジスト下ローラー32を清掃可能なようにクリーニングユニット70を位置決めする。
図14に示すように、位置決め部102Sは、第2ガイド面102Rに接続されており、ガイドコロ705の外周面に沿うような円弧形状を有している。なお、
図14では、前後一対の第1ガイド面101R、第2ガイド面102Rおよび位置決め部102Sのうち後側の各部材が現れている。
【0090】
図8に示すように、搬送ユニットフレーム40Hが装置本体10の本体フレーム100から前方に引き出されると、作業者はクリーニングユニット70を搬送ユニットフレーム40Hのクリーニングユニット装着部40Bに装着することができる。この際、
図12に示すように、一対の回動レバー454は回動シャフト451(第1中心軸)から下方に延びるように配置され、ピン受け部454Pは回動レバー454の右側(幅方向における一端側)の側部が左側(幅方向のうち前記一端側とは反対の他端側)かつ下方に向かって斜めに切り欠かれた形状を有している。このため、作業者は、クリーニングユニット70の側壁703Aおよび底壁703B(
図6)を把持しながらクリーニングユニット70の左右一対のユニット支点ピン70Pをピン受け部454Pに上から挿入し嵌め込むことができる(
図13)。この際、クリーニングユニット70の前側のユニット支点ピン70Pの後方には前述のユニット入力ギヤ711が配置される。また、クリーニングユニット70の後側のユニット支点ピン70Pは、ピン受け部454Pに嵌め込まれる。
【0091】
クリーニングユニット70の一対のユニット支点ピン70Pが作業者によって一対の回動レバー454のピン受け部454Pに嵌め込まれると、クリーニングハウジング70Hの底壁703Bが一対のマグネット404Cに対向して配置されるとともに、一対のリブ703Tが第2右フレーム404Bの上面部にそれぞれ当接する。この結果、一対の回動レバー454に加え、一対のマグネット404Cが発生する磁界によってクリーニングユニット70が第2右フレーム404Bに保持される。したがって、作業者がクリーニングユニット70から手を放しても、クリーニングユニット70が搬送ユニットフレーム40Hから脱落することが防止される。
【0092】
上記のように、クリーニングユニット70が搬送ユニットフレーム40Hのクリーニングユニット装着部40B(着脱位置)に装着されると、作業者は搬送ユニットフレーム40Hを本体フレーム100に挿入する。この結果、クリーニングユニット70が本体フレーム100内に挿入されるとともに、搬送ユニットフレーム40Hの回動入力ギヤ40Gが、本体フレーム100内のユニット駆動部80のユニット駆動出力ギヤ805に係合する。また、この際、クリーニングユニット70の前後一対のガイドコロ705が、前後一対のガイド部100Gの第1ガイド面101Rに左右方向に所定の間隔をおいて対向して配置される。
【0093】
図14に示すように、着脱位置に配置されたクリーニングユニット70をレジスト下ローラー32の軸方向と平行な方向から見ると、ピン受け部454Pに支持されたユニット支点ピン70Pの中心(P2)は、回動シャフト451の中心軸(P1)よりも下方かつ右側(幅方向の一端側)に配置される。また、クリーニングユニット70の重心(J)はユニット支点ピン70Pよりも右側に配置される。本実施形態では、押圧ローラー72が、金属材からなる重量の大きい押圧ローラーシャフト72Sを含む。このため、クリーニングユニット70の重心(J)は、押圧ローラー72の中心(P4)よりもさらに右側に位置するように、クリーニングユニット70の右側部分に偏心している。また、マグネット404Cの左右方向(幅方向)における中心(P3)は、ユニット支点ピン70Pの中心(P2)よりも右側(左右方向におけるクリーニングユニット70の移動方向先端側)に配置されている。
【0094】
図14に示される状態からユニット駆動部80の駆動力によってクリーニングユニット回動部45の回動シャフト451が回転し、この回動シャフト451の回転に応じて一対の回動レバー454が回動する。この際、ユニット支点ピン70Pの移動に伴って、底壁703Bの左端部が上方に移動する。この結果、底壁703Bの左端部とマグネット404Cとの距離が拡がることで、マグネット404Cによる磁気拘束力の影響が小さくなり、クリーニングユニット70の底壁703Bをマグネット404Cから容易に脱離させることができる。その後、クリーニングユニット70の自重によってクリーニングユニット70がユニット支点ピン70Pを中心に右側に傾動すると、一対のガイドコロ705が一対のガイド部100Gの第1ガイド面101Rにそれぞれ当接する。
【0095】
その後、回動シャフト451の回転に応じて一対の回動レバー454が更に回動すると、一対のガイドコロ705が第1ガイド面101Rに案内されながら、クリーニングユニット70が上方かつ右方に移動する。この際、回動レバー454の回動軌跡と、第1ガイド面101Rによって案内されるクリーニングユニット70の移動軌跡とは互いに異なっている。本実施形態では、クリーニングユニット70の一対のユニット支点ピン70Pが、回動レバー454のピン受け部454Pに対して相対回転可能に支持されている。このため、上方への移動に伴ってクリーニングユニット70の姿勢が変化することが可能であるため、回動レバー454の回動に応じてクリーニングユニット70がスムーズに上昇することができる。
【0096】
図15に示す状態では、一対のガイドコロ705が第1ガイド面101Rから第2ガイド面102Rに受け渡される。そして、回動シャフト451の回転に応じて一対の回動レバー454が更に回動すると、やがて、一対のガイドコロ705が一対の位置決め部102Sに当接し嵌め込まれる。この際、クリーニングユニット70のクリーニング部70Aの押圧ローラー72が、
図2に示すように、レジスト上ローラー31Tの中心とレジスト下ローラー32の中心とを結ぶ直線Lに沿ってレジスト下ローラー32に下から当接する。このようにしてクリーニングユニット70が
図2に示される清掃位置に至ると、押圧ローラー72がウェブWをレジスト下ローラー32に押圧することによって、レジスト下ローラー32の表面に付着した紙粉やインク等を清掃することができる。なお、
図2に示される清掃位置におけるクリーニングユニット70の姿勢では、クリーニングユニット70の重心(押圧ローラー72)がユニット支点ピン70Pの直上に配置されるため、清掃位置におけるクリーニングユニット70の姿勢が安定して維持される。
【0097】
なお、本実施形態では、
図14に示される着脱位置を基準として、パルス板802の回転量を第1検知センサー803が検出することで、回動レバー454の回動量、すなわち、クリーニングユニット70の位置(清掃位置、離間位置)が検出される。また、第2検知センサー804がクリーニングハウジング70Hを検出することで、クリーニングユニット70が清掃位置に至ったことが検出される。
【0098】
次に、本実施形態に係る画像形成装置1及びクリーニング装置7の制御系について、
図16のブロック図を参照して説明する。画像形成装置1は、制御部90を更に備える。
【0099】
制御部90は、例えば制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)や一時的にデータを記憶するフラッシュメモリ等の記憶装置が内蔵されたマイクロコンピュータからなる。制御部90は、前記制御プログラムが読み出されることにより、クリーニング装置7を含めた画像形成装置1の動作を制御する。制御部90は、画像形成制御部90Gと、メンテナンス制御部90Mと、クリーニング制御部90Cとを含む。
【0100】
画像形成制御部90Gは、主としてベルト搬送ユニット40のシート搬送動作と画像形成部50の画像形成動作とを制御し、シートSに対する画像形成処理を実行する。
【0101】
メンテナンス制御部90Mは、シートSに対する画像形成処理の休止時に、パージ機構50P及びメンテナンス作動機構61Mを制御して、ラインヘッド51に対するメンテナンス処理を実行する。ラインヘッド51に対するメンテナンス処理は、キャップ処理と、パージ処理と、ワイピング処理とを含む。
【0102】
キャップ処理は、ラインヘッド51にキャップを被せる処理である。メンテナンス制御部90Mは、主としてメンテナンス作動機構61Mを制御して、キャップ処理を実行する。メンテナンス作動機構61Mは、メンテナンスユニット61(
図1)においてキャリッジ61Aを移動させることによってキャップユニット61Bを、画像形成部50に対して水平方向(左右方向)に退避した退避位置と、画像形成部50に対して鉛直下方のメンテナンス位置との間で移動させる。なお、キャップユニット61Bを退避位置からメンテナンス位置へ移動させるときには、その前に、メンテナンス作動機構61Mは、ベルト搬送ユニット40を画像形成部50の直下の位置から鉛直下方に下降させる。キャップユニット61Bがメンテナンス位置に配置されると、メンテナンス作動機構61Mは、キャップユニット61Bを鉛直上方に上昇させる。これにより、キャップユニット61Bがラインヘッド51のインク吐出面に当接し、キャップが被せられる。
【0103】
パージ処理は、ラインヘッド51のインク吐出ノズル内の気泡や異物、増粘したインク等を除去するために、ラインヘッド51から加圧されたインクを強制的に吐出させる処理である。ワイピング処理は、パージ処理後においてラインヘッド51のインク吐出面に付着したインク滴を拭き取る処理である。メンテナンス作動機構61Mは、メンテナンスユニット61においてキャリッジ61Aを移動させることによってワイプユニット61Cを、画像形成部50に対して水平方向に退避した退避位置と、画像形成部50に対して鉛直下方のメンテナンス位置との間で移動させる。なお、ワイプユニット61Cを退避位置からメンテナンス位置へ移動させるときには、キャリッジ61Aにおいてワイプユニット6
1Cの上方に支持されているキャップユニット61Bは退避位置に配置された状態のままとする。また、ワイプユニット61Cを退避位置からメンテナンス位置へ移動させるときには、その前に、メンテナンス作動機構61Mは、ベルト搬送ユニット40を画像形成部50の直下の位置から鉛直下方に下降させる。ワイプユニット61Cがメンテナンス位置に配置されると、メンテナンス作動機構61Mは、ワイプユニット61Cを鉛直上方に上昇させる。その後、メンテナンス制御部90Mは、パージ機構50Pを制御することによりラインヘッド51に対するパージ処理を実行し、メンテナンス作動機構61Mを制御することによりワイプユニット61Cのブレードユニットを移動させて、ラインヘッド51に対するワイピング処理を実行する。
【0104】
クリーニング制御部90Cは、クリーニング装置7の一部を構成し、ウェブWを用いたクリーニングユニット70によるレジスト下ローラー32に対する清掃を制御する。本実施形態では、クリーニング制御部90Cは、レジストローラー部30によって搬送されるシートSにおいて、第1面(表面)および第2面(裏面)の両面に画像形成処理が施される両面画像形成用のシートSの搬送数に基づいて、クリーニングユニット70によるレジスト下ローラー32に対する清掃を制御する。クリーニング制御部90Cは、シートSに対する画像形成処理の休止時であって、レジスト下ローラー32がシートSの非搬送状態である場合に、クリーニングユニット70によるレジスト下ローラー32に対する清掃を制御する。
【0105】
両面画像形成処理(両面印刷)において第1面に画像が形成されたシートSは、前述のように、シート反転部15および第3搬送路13を経て、表裏が反転した状態で再びレジストローラー部30に搬入される。この際、第1面に形成された画像のインクがレジスト下ローラー32のPFAチューブの表面に付着すると、次のシートSの先端部に当該インクがレジスト下ローラー32から付着しシート汚れが発生する。また、レジスト下ローラー32に付着したインクがレジスト上ローラー31に転移すると、そのインクが次のシートSの第1面に付着することで画像不良が発生する。
【0106】
そこで、本実施形態では、クリーニング制御部90Cは、両面印刷の実行に対応した、予め設定されたクリーニング時間CLT(
図17)内においてクリーニングユニット70を清掃位置に配置する一方、片面印刷時にはクリーニングユニット70を離間位置に配置する。すなわち、クリーニング制御部90Cは、前記クリーニング時間CLT内においてはクリーニングユニット70を清掃位置に配置し、それ以外の時間帯においてはクリーニングユニット70を離間位置に配置する。この結果、限られた長さのウェブロールWRでも長期に亘ってレジスト下ローラー32の清掃を行うことが可能であるとともに、ウェブロールWRをコンパクト化し、クリーニング装置7のサイズを小さくすることが可能となる。
【0107】
また、片面印刷時のようにレジスト下ローラー32の表面が汚れにくい条件で画像が形成されている際には、クリーニングユニット70を離間位置に配置することで、クリーニング部70Aがレジスト下ローラー32に当接することに伴うレジスト下ローラー32の負荷を低減するとともに、ウェブWの不必要な繰り出しを抑制することができる。
【0108】
クリーニング制御部90Cの制御について、
図16に加えて
図17乃至
図21を参照して説明する。
図17は、クリーニングユニット70のウェブWによるレジスト下ローラー32に対する清掃時のタイミングチャートである。
図18は、クリーニング制御部90Cの記憶部99に記憶された換算率関連情報J1を示す図である。
図19は、記憶部99に記憶された閾値関連情報J2を示す図である。
図20は、ソレノイド811の作動回数の累積値と、ソレノイド811の1回作動毎のウェブ巻き取り量との関係を示すグラフである。
図21は、記憶部99に記憶された作動回数設定情報J3を示す図である。
【0109】
クリーニング制御部90Cは、
図16に示すように、搬送数判定部91と、搬送状態判定部92と、離接制御部93と、レジスト回転制御部94(搬送ローラー回転制御部)と、巻き取り制御部95と、作動回数判定部96と、ウェブ終端判定部97と、情報生成部98と、記憶部99とを含む。
【0110】
記憶部99は、クリーニングユニット70のウェブWによるレジスト下ローラー32に対する清掃の制御の際に参照される情報を記憶する。記憶部99は、
図18に示す換算率関連情報J1、
図19に示す閾値関連情報J2、
図21に示す作動回数設定情報J3をそれぞれ記憶する。
【0111】
図18に示す換算率関連情報J1は、シートSのサイズをシートSの搬送数に換算する換算率をシートSのサイズ毎に示す情報であって、シートサイズ情報J11と換算率情報J12とが関連付けられた情報である。
【0112】
シートサイズ情報J11は、シートSのサイズを示す情報である。シートSのサイズは、例えば「A4サイズ」や「A3サイズ」などで表される。換算率情報J12は、レジストローラー部30によって搬送されるシートSの搬送数に関する換算率を示す情報である。換算率情報J12に登録される換算率は、シートサイズ情報J11に登録されるシートSのサイズが大きくなるに従って、大きい値が設定される。例えば、シートサイズ情報J11に登録されるシートSのサイズ「SS1」および「SS2」について、「SS1」が「A4サイズ」を示し、「SS2」が「A3サイズ」を示す場合を想定する。この場合、換算率情報J12に登録される換算率「CR1」および「CR2」について、「SS1」に関連付けられた「CR1」よりも、「SS2」に関連付けられた「CR2」が大きい値を示す。例えば、換算率「CR1」が「1」の場合、換算率「CR2」は「2」である。この場合、1枚の「A4サイズ」のシートSがレジストローラー部30によって搬送されると、その搬送数が「1」として補正されることになる。一方、1枚の「A3サイズ」のシートSがレジストローラー部30によって搬送されると、その搬送数が「2」として補正されることになる。換算率関連情報J1は、後述の搬送数判定部91によって参照される。
【0113】
図19に示す閾値関連情報J2は、搬送数判定部91がレジストローラー部30によって搬送されるシートSの搬送数を判定する際に参照する搬送判定閾値を示す情報である。閾値関連情報J2は、タイミング条件情報J21と、印字条件情報J22と、搬送判定閾値情報J23とが関連付けられている。
【0114】
タイミング条件情報J21は、ユニット駆動部80の駆動力によってクリーニングユニット70が離間位置から清掃位置に移動されるタイミングの条件を示す情報である。前述したように、クリーニング制御部90Cは、シートSに対する画像形成処理の休止時であって、レジスト下ローラー32がシートSの非搬送状態である場合に、クリーニングユニット70によるレジスト下ローラー32に対する清掃を制御する。したがって、タイミング条件情報J21に登録されるクリーニングユニット70の移動タイミングは、レジスト下ローラー32がシートSの非搬送状態である条件を満たす第1タイミングや第2タイミングとなる。前記第1タイミングは、連続したシートSに対する一連の画像形成処理の終了時点から次の画像形成処理の開始時点までの間の期間内に設定される。前記第2タイミングは、シートSに対する画像形成処理の休止時において、メンテナンス制御部90Mによってラインヘッド51に対するメンテナンス処理が実行される期間内に設定される。
図19に示す例では、タイミング条件情報J21には、前記第1タイミングを示す情報が「CT1」として登録され、前記第2タイミングを示す情報が「CT2」として登録されている。
【0115】
印字条件情報J22は、シートSに対する画像の印字条件を示す情報であって、例えば印字率を示す情報である。印字条件情報J22は、タイミング条件情報J21で示されるクリーニングユニット70の移動タイミング毎に登録されている。
図19に示す例では、タイミング条件情報J21の「CT1」および「CT2」の各々に対応して、印字条件情報J22として「CP1」や「CP2」などが登録されている。
【0116】
搬送判定閾値情報J23は、搬送数判定部91がレジストローラー部30によって搬送されるシートSの搬送数を判定する際に参照する搬送判定閾値を示す情報である。
図19に示す例では、タイミング条件情報J21の「CT1」に対応した印字条件情報J22の「CP1」や「CP2」毎に、搬送判定閾値情報J23として「TT11」や「TT12」が登録され、タイミング条件情報J21の「CT2」に対応した印字条件情報J22の「CP1」や「CP2」毎に、搬送判定閾値情報J23として「TT21」や「TT22」が登録されている。搬送判定閾値情報J23に登録される搬送判定閾値は、タイミング条件情報J21に登録されるクリーニングユニット70の移動タイミングに応じて、異なる値が設定される。例えば、搬送判定閾値情報J23に登録される搬送判定閾値「TT11」と「TT21」とを比較する。この場合、タイミング条件情報J21において前記第1タイミングを示す「CT1」に関連付けられた搬送判定閾値「TT1」は、タイミング条件情報J21において前記第2タイミングを示す「CT2」に関連付けられた搬送判定閾値「TT21」よりも小さい値に設定される。また、搬送判定閾値情報J23に登録される搬送判定閾値は、印字条件情報J22に登録される印字率が大きくなるに従って、小さい値が設定される。
【0117】
図21に示す作動回数設定情報J3は、後述の巻き取り制御部95がウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作の回数を設定する際に参照する、ソレノイド作動回数設定値を示す情報である。なお、ウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作の回数は、ソレノイド811の作動回数と一致している。作動回数設定情報J3は、累積値情報J31と作動回数設定値情報J32とが関連付けられている。
【0118】
累積値情報J31は、ウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作の動作回数の累積値、すなわち、ソレノイド811の作動回数の累積値を示す情報である。作動回数設定値情報J32は、予め設定されたクリーニング時間CLT(
図17)内でのウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作の回数の設定値、すなわち、1回のクリーニングにおけるソレノイド811の作動回数の設定値を示す情報である。作動回数設定値情報J32に登録されるソレノイド作動回数設定値は、累積値情報J31に登録されるソレノイド811の作動回数の累積値が大きくなるに従って、小さい値が設定される。
【0119】
搬送数判定部91は、クリーニングユニット70が離間位置に配置された状態でレジストローラー部30によって搬送されるシートSにおいて、両面画像形成用のシートSの搬送数を監視する。そして、搬送数判定部91は、記憶部99に記憶された閾値関連情報J2を参照し、両面画像形成用のシートSの搬送数の累積値が搬送判定閾値情報J23で示される搬送判定閾値に到達したか否かを判定する。この際、搬送数判定部91は、記憶部99に記憶された換算率関連情報J1を参照し、両面画像形成用のシートSのサイズに応じた、換算率情報J12で示される換算率に基づき、前記搬送数を補正する。そして、搬送数判定部91は、その補正した搬送数の累積値が前記搬送判定閾値に到達したか否かを判定する。
【0120】
搬送状態判定部92は、記憶部99に記憶された閾値関連情報J2のタイミング条件情報J21で示される前記第1タイミングや前記第2タイミングを規定する条件を満たすか否かを判定する。これにより、搬送状態判定部92は、レジストローラー部30のレジスト下ローラー32がシートSの搬送状態及び非搬送状態の何れの状態であるかを判定する。搬送状態判定部92は、前記第1タイミングを規定する条件である、連続したシートSに対する一連の画像形成処理の終了時点から次の画像形成処理の開始時点までの間の期間であれば、レジスト下ローラー32が非搬送状態であると判定する。また、搬送状態判定部92は、前記第2タイミングを規定する条件である、メンテナンス制御部90Mによってラインヘッド51に対するメンテナンス処理が実行される期間であれば、レジスト下ローラー32が非搬送状態であると判定する。
【0121】
離接制御部93は、ユニット駆動部80を制御し、クリーニングユニット70を移動させる。搬送数判定部91によって両面画像形成用のシートSの搬送数の累積値が前記搬送判定閾値に到達したと判定され、且つ、搬送状態判定部92によってレジスト下ローラー32が非搬送状態であると判定された場合を想定する。この場合、離接制御部93は、ユニット駆動部80を制御し、押圧ローラー72によってウェブWがレジスト下ローラー32に押圧されるように、クリーニングユニット70を離間位置から清掃位置へと移動させる。ユニット駆動部80の駆動によってクリーニングユニット70が清掃位置に配置されると、第2検知センサー804が当該クリーニングユニット70を検出する。第2検知センサー804によるクリーニングユニット70の検出時点から所定の第1時間t1が経過すると、離接制御部93は、ユニット駆動部80の駆動を停止させる(
図17参照)。前記第1時間t1は、例えば400msに設定される。
【0122】
レジスト回転制御部94は、清掃位置に配置されたクリーニングユニット70においてウェブWがレジスト下ローラー32に押圧された状態で、レジスト駆動部30Mを制御し、レジスト上ローラー31およびレジスト下ローラー32を回転させる。レジスト回転制御部94は、ユニット駆動部80の駆動が停止された時点から所定の第2時間t2の経過後に、レジスト駆動部30Mを駆動させる(
図17参照)。前記第2時間t2は、例えば100msに設定される。ウェブWが押圧された状態でのレジスト下ローラー32の回転によって、レジスト下ローラー32の表面をウェブWによって清掃することができる。
【0123】
本実施形態では、レジスト回転制御部94は、レジスト駆動部30Mを制御し、レジスト下ローラー32におけるシートSの搬送状態での搬送時回転速度よりも低速のクリーニング回転速度で、レジスト下ローラー32を回転させる。詳細については後述するが、ソレノイド811の作動に基づくウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作は、所定のクリーニング時間CLT内において所定の時間間隔で複数回実行される(
図17参照)。レジスト回転制御部94は、前記複数回の巻き取り動作の各々の間の巻き取り待機期間WPにおいてレジスト下ローラー32の1回転が可能となる第1回転速度以上、且つ、前記搬送時回転速度の半分の第2回転速度以下の範囲において、前記クリーニング回転速度を設定する。ウェブWが押圧された状態でのレジスト下ローラー32の回転速度を、前記搬送時回転速度よりも低速のクリーニング回転速度に設定することにより、レジスト下ローラー32のウェブWに対する接触時間を長くすることができる。これにより、ウェブWによるレジスト下ローラー32に対する清掃を、より効果的に行うことができる。
【0124】
巻き取り制御部95は、レジスト下ローラー32が回転している状態において、ソレノイド811に対する通電および通電停止の通電状態の切替えの制御を行う。このようなソレノイド811に対する通電状態の切替えの制御によって、巻き取り制御部95は、ウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作を、所定のクリーニング時間CLT内において所定の時間間隔で複数回実行させる。巻き取り制御部95は、レジスト駆動部30Mの駆動が開始された時点から所定の第3時間t3の経過後に、ソレノイド811に対する通電状態の切替えの制御を行う(
図17参照)。前記第3時間t3は、例えば1000msに設定される。また、前記クリーニング時間CLTは、画像形成部50による画像形成処理の実行時においてシートSに形成された画像の印字率等に基づいて、例えば10秒間~30秒間の範囲内で設定される。
【0125】
また、クリーニングユニット70が清掃位置に配置された状態においては、押圧ローラー72のレジスト下ローラー32に対する押圧によって、ウェブ押圧ニップ部が形成される。このウェブ押圧ニップ部のニップ幅は、例えば2.5mm~5.0mmの範囲内で設定される。巻き取り制御部95は、前記クリーニング時間CLT内での複数回の巻き取り動作によってウェブ駆動ローラー73に巻き取られるウェブWの合計巻き取り量を、前記ウェブ押圧ニップ部のニップ幅と一致するように設定する。
【0126】
ウェブWによるレジスト下ローラー32に対する清掃時において、巻き取り制御部95は、ウェブ駆動ローラー73の回転に応じたウェブWの巻き取り動作を、前記クリーニング時間CLT内において所定の時間間隔で複数回実行させる。これにより、1回のクリーニング時間CLT内において、ウェブWのレジスト下ローラー32に接触する部分を複数回変化させることができる。このため、シートSに対する画像形成用のインク等がレジスト下ローラー32に付着している場合であっても、当該レジスト下ローラー32からインク等を確実に除去してウェブW上に回収し、レジスト下ローラー32を適切に清掃することができる。
【0127】
ソレノイド811の作動によってウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作が行われると、ウェブ駆動ローラー73上にウェブWの巻回体が形成される。ウェブ駆動ローラー73上に形成されるウェブWの巻回体の外径は、ソレノイド811の作動に応じたウェブ駆動ローラー73の巻き取り動作が行われる毎に大きくなる。すなわち、ウェブ駆動ローラー73の巻き取り動作の動作回数に対応したソレノイド811の作動回数の累積値が増大するのに従って、ウェブ駆動ローラー73上に形成されるウェブWの巻回体の外径が大きくなる。ウェブ駆動ローラー73上に形成されるウェブWの巻回体の外径が大きくなると、ソレノイド811の1回の作動によってウェブ駆動ローラー73に巻き取られるウェブWの巻き取り量が増大することになる(
図20参照)。このため、前記クリーニング時間CLT内でのウェブ駆動ローラー73の巻き取り動作の回数、すなわち、ソレノイド811の作動回数を一定に設定した場合、ウェブ駆動ローラー73の回転に応じたウェブWの巻き取り量が、ソレノイド811の作動回数の累積値に応じて変化してしまう。
【0128】
そこで、巻き取り制御部95は、監視処理、動作回数設定処理、及び巻き取り処理を実行可能に構成されている。巻き取り制御部95は、監視処理において、ソレノイド811の作動回数の累積値を監視することにより、ウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作の動作回数を監視する。また、巻き取り制御部95は、動作回数設定処理において、前記クリーニング時間CLT内でのウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作の回数、すなわち、1回のクリーニングにおけるソレノイド811の作動回数を設定する。巻き取り制御部95は、記憶部99に記憶された作動回数設定情報J3を参照し、前記クリーニング時間CLT内での複数回の巻き取り動作によってウェブ駆動ローラー73に巻き取られるウェブWの合計巻き取り量が、ソレノイド811の作動回数の累積値に応じて所定の許容範囲内で一定となるように、1回のクリーニングにおけるソレノイド811の作動回数を設定する。そして、巻き取り制御部95は、巻き取り処理において、動作回数設定処理で設定された回数分のソレノイド811の作動を、前記クリーニング時間CLT内で所定の時間間隔で実行させる。
【0129】
また、巻き取り制御部95は、巻き取り処理において、ソレノイド811の作動に基づくウェブ駆動ローラー73による複数回のウェブWの巻き取り動作の各々を、等時間間隔で実行させる。これにより、ウェブWのレジスト下ローラー32に接触する部分を、1回のクリーニング時間CLT内において等時間間隔で複数回変化させることができる。
【0130】
前記クリーニング時間CLT内でのウェブWによるレジスト下ローラー32に対する清掃が終了すると、レジスト回転制御部94は、前記クリーニング時間CLTの終了時点から所定の回転継続時間RCT内においてはレジスト下ローラー32の回転が継続されるように、レジスト駆動部30Mを制御する(
図17参照)。そして、離接制御部93は、ユニット駆動部80を制御し、前記回転継続時間RCT内においてウェブWがレジスト下ローラー32から離間するように、クリーニングユニット70を清掃位置から離間位置へと移動させる。
【0131】
ユニット駆動部80の駆動によってクリーニングユニット70が清掃位置から離間位置へと移動すると、第2検知センサー804によるクリーニングユニット70の検出が解除される。第2検知センサー804によるクリーニングユニット70の検出が解除された時点から所定の第4時間t4が経過すると、レジスト回転制御部94は、レジスト駆動部30Mの駆動を停止させる(
図17参照)。前記第4時間t4は、例えば500msに設定される。なお、クリーニングユニットが離間位置に配置されると、離接制御部93は、ユニット駆動部80の駆動を停止させる。
【0132】
上記のように、ウェブWによるレジスト下ローラー32に対する清掃後において、レジスト下ローラー32の回転を継続させた状態で、ウェブWがレジスト下ローラー32から離間される。これにより、レジスト下ローラー32に付着した紙粉やインク等を、当該レジスト下ローラー32からより確実に除去してウェブW上に回収することができる。
【0133】
作動回数判定部96は、ソレノイド811の通電に応じた作動回数を監視し、当該作動回数の累積値が所定の作動判定閾値に到達したか否かを判定する。前記作動判定閾値は、ソレノイド811の作動に基づくウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り動作によって、ウェブ従動ローラー71に支持されたウェブロールWRの残量が所定の警告残量に到達したことの認識が可能な値に設定される。例えば、ウェブロールWRの全長が「5m」で、ソレノイド811の1回の作動に基づくウェブ駆動ローラー73によるウェブWの巻き取り量の平均値が「3.75mm」である場合を想定する。この場合、理論上、ソレノイド811の作動回数の累積値が「1333」に到達したときに、ウェブ従動ローラー71上においてウェブWの終端が露出されることになる。しかし実際は、
図20に示すように、ソレノイド811の作動回数の累積値が増大するのに従って、ソレノイド811の1回の作動によってウェブ駆動ローラー73に巻き取られるウェブWの巻き取り量が増大し、ウェブWの巻き取り量は変化する。このため、理論上、ウェブ従動ローラー71上においてウェブWの終端が露出されると推定される、ソレノイド811の作動回数の累積値「1333」よりも所定の範囲で小さい「1300」が、前記作動判定閾値として設定される。
【0134】
ウェブ終端判定部97は、ソレノイド811の作動回数の累積値が前記作動判定閾値に到達した場合に、ウェブWの終端がウェブ従動ローラー71上において露出されたか否かを判定するウェブ終端判定処理を実行する。ウェブ終端判定部97は、ソレノイド811の通電状態と第3検知センサー813の検知結果とに基づいて、ウェブWの終端がウェブ従動ローラー71上において露出されたか否かを判定する。ウェブ終端判定部97は、ソレノイド811に対する通電が行われているにも関わらず、第3検知センサー813の検知結果に変化が生じない場合に、ウェブWの終端がウェブ従動ローラー71上において露出されたと判定する。これにより、ウェブWの終端がウェブ従動ローラー71上において露出され、ウェブWの交換が必要であること、すなわち、クリーニングユニット70の交換が必要であることを、正確に判定することができる。このため、クリーニングユニット70を交換するときには、ウェブ従動ローラー71に支持されたウェブロールWRについて、ウェブWを無駄に残すことなく全てのウェブWを使い切ることができる。
【0135】
情報生成部98は、作動回数判定部96及びウェブ終端判定部97の各々の判定結果を示す情報を生成する。作動回数判定部96によってソレノイド811の作動回数の累積値が前記作動判定閾値に到達したと判定された場合を想定する。この場合、情報生成部98は、ウェブ従動ローラー71に支持されたウェブロールWRの残量が所定の警告残量に到達した旨を報知するためのウェブ残量警告情報を生成する。ウェブ残量警告情報は、例えば、「ウェブロールWRの残量が少なくなりました。」などのメッセージ情報である。一方、ウェブ終端判定部97によってウェブWの終端がウェブ従動ローラー71上において露出されたと判定された場合を想定する。この場合、情報生成部98は、ウェブWの交換が必要である旨、すなわち、クリーニングユニット70の交換が必要である旨を報知するためのウェブ交換要求情報を生成する。ウェブ交換要求情報は、例えば、「ウェブロールWRが全て繰り出されました。クリーニングユニット70を交換して下さい。」などのメッセージ情報である。
【0136】
情報生成部98によって生成されたウェブ残量警告情報及びウェブ交換要求情報は、画像形成装置1に備えられる報知部DP(
図16)に向けて出力される。報知部DPは、情報生成部98から出力されたウェブ残量警告情報及びウェブ交換要求情報を報知する。作業者は、報知部DPによって報知されるウェブ残量警告情報を認識することによって、ウェブロールWRの残量が少なくなったことを把握することができる。また、作業者は、報知部DPによって報知されるウェブ交換要求情報を認識することによって、クリーニングユニット70の交換が必要であることを把握することができる。
【0137】
ウェブ交換要求情報を認識した作業者が画像形成装置1の不図示の操作部においてクリーニングユニット70の交換作業の実行を指示すると、離接制御部93は、ユニット駆動部80を制御してクリーニングユニット70を着脱位置に移動させる。その後、作業者が、搬送ユニットフレーム40Hを装置本体10の本体フレーム100から前方に引き出し、クリーニングユニット70を搬送ユニットフレーム40Hのクリーニングユニット装着部40Bから取り外すとともに、新しいクリーニングユニット70を搬送ユニットフレーム40Hのクリーニングユニット装着部40Bに装着する。
【0138】
本実施形態では、クリーニングユニット70が搬送ユニットフレーム40Hと一体的に装置本体10から脱離されると、回動駆動部75Kと一対の回動レバー454との間における駆動伝達系の一部(装置本体10Gとユニット駆動出力ギヤ805との係合)が切断される。この結果、一対の回動レバー454は、回動シャフト451回りに回動自在となる。したがって、作業者が古いクリーニングユニット70をクリーニングユニット装着部40Bから取り外す際に、一対の回動レバー454がクリーニングユニット70をクリーニングユニット装着部40Bの外側に送り出すように回動することができる。換言すれば、一対の回動レバー454は、クリーニングユニット70の一対のユニット支点ピン70Pが一対のピン受け部454Pから脱離されることを補助するように、回動シャフト451回りに回動する。この結果、作業者は、クリーニングユニット70の一対のユニット支点ピン70Pを一対のピン受け部454Pから容易に脱離することができる。この結果、クリーニングユニット70をベルト搬送ユニット40の搬送ユニットフレーム40Hから容易に取り外すことができる。
【0139】
以上、本発明の一実施形態に係るクリーニング装置7及びそれを備えた画像形成装置1について説明した。このような構成によれば、レジスト下ローラー32から紙粉やインク等を確実に除去してウェブW上に回収し、レジスト下ローラー32を適切に清掃することが可能である。このため、シートSの搬送不良やシートSにインク等の汚れが発生することを抑制し、画像形成装置1において適切な画像を形成することができる。なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、以下のような変形実施形態を採用することが可能である。
【0140】
上記の実施形態では、クリーニングユニット70の移動に伴って押圧ローラー72のレジスト下ローラー32に対する位置を変化させることにより、ウェブWをレジスト下ローラー32に対して離接させる態様を説明したが、このような態様に限定されるものではない。例えば、押圧ローラー72を上下方向に移動可能に設け、当該押圧ローラー72を移動させることにより、ウェブWをレジスト下ローラー32に対して離接させる構成であってもよい。
【0141】
また、上記の実施形態では、クリーニングユニット70によって清掃される搬送ローラーとしてレジスト下ローラー32を用いて説明したが、搬送ローラーはシートSを搬送する他のローラーであってもよい。
【0142】
また、上記の実施形態では、画像形成部50がインクジェット方式からなる態様にて説明したが、画像形成部50は公知の電子写真方式などその他の画像形成方式が適用されたものでもよい。
【符号の説明】
【0143】
1 画像形成装置
10 装置本体
20 給紙部
30 レジストローラー部
31 レジスト上ローラー(上側レジストローラー)
32 レジスト下ローラー(搬送ローラー、下側レジストローラー)
40 ベルト搬送ユニット
50 画像形成部
60 カール矯正部
61 メンテナンスユニット
7 クリーニング装置
70 クリーニングユニット
71 ウェブ従動ローラー(支持ローラー)
713 駆動ローラーギヤ(駆動入力部)
72 押圧ローラー
73 ウェブ駆動ローラー(巻き取りローラー)
75 移動機構(離接機構)
80 ユニット駆動部
81 ウェブ送り出し機構
811 ソレノイド
812 回動アーム(回動部材)
812A 第1アーム部
812B 第2アーム部
812C 検知片
813 第3検知センサー(検知部)
90 制御部
91 搬送数判定部
92 搬送状態判定部
93 離接制御部
94 レジスト回転制御部(搬送ローラー回転制御部)
95 巻き取り制御部
96 作動回数判定部
97 ウェブ終端判定部
98 情報生成部
99 記憶部
W ウェブ
WR ウェブロール(巻回体)