(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ブレード、滑剤供給装置、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20231031BHJP
G03G 15/16 20060101ALI20231031BHJP
B26D 3/02 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G15/16
B26D3/02
(21)【出願番号】P 2019187622
(22)【出願日】2019-10-11
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柏倉 邦章
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-238437(JP,A)
【文献】特開2011-191732(JP,A)
【文献】特開2009-157002(JP,A)
【文献】特開2014-178353(JP,A)
【文献】特開2011-085704(JP,A)
【文献】特開2008-276125(JP,A)
【文献】特開2006-259466(JP,A)
【文献】特開2015-175897(JP,A)
【文献】特開平02-216178(JP,A)
【文献】特開平08-095449(JP,A)
【文献】特開2008-262022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/16
B26D 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に供給された滑剤を均すブレードであって、
前記像担持体の回転方向に対してトレイル方向で、前記像担持体に撓んで当接する先端部を備え、
前記先端部に向かうに従い細くなるように構成さ
れ、
前記像担持体に当接していない状態において、前記先端部に向かう方向に沿う第1側面と、前記方向に対して前記第1側面側に傾斜する第2側面と、を有し、
前記第1側面と前記第2側面とがなす傾斜角は鋭角であり、
前記傾斜角、及び、前記第1側面と前記像担持体との間のくさび角は、式(1)を満たす、
くさび角≧90-傾斜角・・・(1)
ブレード。
【請求項2】
前記第1側面は、前記像担持体に当接する当接面であり、
前記第2側面は、前記像担持体に当接しない非当接面である、
請求項
1に記載のブレード。
【請求項3】
請求項1
又は2に記載のブレードと、
前記像担持体上に前記滑剤を供給する滑剤供給部と、
を備える滑剤供給装置。
【請求項4】
前記像担持体と、
請求項
3に記載の滑剤供給装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレード、滑剤供給装置、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ、これらの複合機など)には、感光ドラムなどの像担持体上に残存したトナーを除去するクリーニングブレードを有するクリーニング装置が備えられている。また、像担持体とクリーニングブレードとの摩擦力を低減するため、像担持体上に潤滑剤としての滑剤を供給する滑剤供給装置を備えたものもある。このような滑剤供給装置は、滑剤が棒状に形成された滑剤棒、滑剤棒の滑剤を像担持体に供給するブラシ、像担持体上に供給された滑剤を均して固定化する固定化ブレードなどを備えている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、滑剤棒から像担持体に供給する滑剤量(消費滑剤量)に対し、固定化ブレードで固定化される滑剤量は半分以下である。消費滑剤量の多くは、固定化ブレードで堰き止められ、滑剤供給装置内に滞留している。滑剤棒を含む滑剤供給装置などのユニットを交換することなく長い期間使用するためには、滑剤棒を大きくして、供給可能な滑剤量を増やせば良いが、滑剤棒を大きくすると、画像形成装置内に必要なスペースが増大してしまう。従って、滑剤棒を大きくするのではなく、滑剤消費量を抑制することが必要となる。像担持体上に固定化される滑剤量は減らさずに、滑剤消費量を抑制するためには、滑剤の塗布効率(=像担持体上の滑剤量/滑剤消費速度)を向上させる必要がある。
【0005】
滑剤の塗布効率を向上させるためには、像担持体の表面に対する固定化ブレードの先端の角度であるくさび角を小さくして、滑剤の通過性を確保する必要がある。
【0006】
例えば、像担持体に撓んで当接する固定化ブレードにおいては、像担持体の表面に対する固定化ブレードの傾きを変えることで、くさび角を小さくすることができる。しかしながら、この場合、固定化ブレード及びそれを支持する支持部材が、それらに隣接する塗布ブラシ、帯電装置、除電用のイレーサーなどと干渉してしまう問題がある。
【0007】
また、固定化ブレードの像担持体に対する食込み量を大きくすることで、くさび角を小さくすることができる。しかしながら、食込み量を大きくすると、固定化ブレードの像担持体に対する当接力が大きくなり、滑剤の通過性が損なわれる問題がある。
【0008】
また、固定化ブレード自体を薄肉化することで、像担持体に対する食込み量を大きくして、くさび角を小さくすることもできる。この場合、食込み量を大きくしても、固定化ブレードの像担持体に対する当接力を適正に保つことができるが、食込み量が自由長の半分程度と大きすぎ、固定化ブレードの永久ひずみが悪くなる問題がある。
【0009】
また、特許文献1には、固定化ブレードを撓ませずに、くさび角を小さくする構成が開示されている。具体的には、固定化ブレードにおいて、像担持体の回転方向の上流側に、くさび角を小さくして当接する当接面を設けている。この当接面は、切断により形成された面であり、その表面が切断により粗い状態となっており、当接面の像担持体の回転軸方向において凹凸が大きくなっている。そのため、滑剤粉が滞留し易くなり、滑剤の通過性が安定せず、滑剤の塗布量が不均一になって、形成される画像に筋むらが発生する問題がある。
【0010】
このように、滑剤の通過性を確保するためには、くさび角を小さくする必要があるが、従来は、くさび角を小さくすることに伴う問題が副作用として生じていた。
【0011】
本発明の目的は、副作用を生じさせることなく、滑剤の塗布効率を向上させることが可能なブレード、滑剤供給装置、画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るブレードは、
像担持体上に供給された滑剤を均すブレードであって、
前記像担持体の回転方向に対してトレイル方向で、前記像担持体に撓んで当接する先端部を備え、
前記先端部に向かうに従い細くなるように構成され、
前記像担持体に当接していない状態において、前記先端部に向かう方向に沿う第1側面と、前記方向に対して前記第1側面側に傾斜する第2側面と、を有し、
前記第1側面と前記第2側面とがなす傾斜角は鋭角であり、
前記傾斜角、及び、前記第1側面と前記像担持体との間のくさび角は、式(1)を満たす。
くさび角≧90-傾斜角・・・(1)
【0013】
また、本発明に係る滑剤供給装置は、
前記ブレードと、
前記像担持体上に前記滑剤を供給する滑剤供給部と、
を備える。
【0014】
また、本発明に係る画像形成装置は、
前記像担持体と、
前記滑剤供給装置と、
を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、副作用を生じさせることなく、滑剤の塗布効率を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図3】
図1に示した画像形成装置におけるドラムクリーニングユニットを示す図である。
【
図4A】本発明の実施の形態に係るブレードの一例を示す図であって、像担持体に当接していない状態を示す図である。
【
図4B】本発明の実施の形態に係るブレードの一例を示す図であって、像担持体に当接した状態を示す図である。
【
図5A】比較例1のブレードを示す図であって、像担持体に当接していない状態を示す図である。
【
図5B】比較例1のブレードを示す図であって、像担持体に当接した状態を示す図である。
【
図6A】比較例2のブレードを示す図であって、像担持体に当接していない状態を示す図である。
【
図6B】比較例2のブレードを示す図であって、像担持体に当接した状態を示す図である。
【
図7A】本実施例、比較例1及び比較例2のブレードの撓み形状を説明するグラフである。
【
図8】くさび角の滑剤通過条件を説明する図である。
【
図9】くさび角と当接力の関係を説明する図である。
【
図10】くさび角とニップ幅の関係を説明する図である。
【
図11】くさび角とニップ幅の関係を示すグラフである。
【
図12A】正常な当接状態となるくさび角を示す図である。
【
図12B】正常な当接状態におけるブレード先端を示す図である。
【
図13A】異常な当接状態となるくさび角を示す図である。
【
図13B】異常な当接状態におけるブレード先端を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るブレード、滑剤供給装置、画像形成装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態に係る画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0020】
図1に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。即ち、画像形成装置1は、感光体上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)及びK(ブラック)の各色トナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。
【0021】
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0022】
図1、
図2に示す画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60及び制御部70などを備える。
【0023】
制御部70は、CPU(Central Processing Unit)71、ROM(Read Only Memory)72及びRAM(Random Access Memory)73などを備えている。CPU71は、ROM72から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM73に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部82に格納されているLUT(Look Up Table)などの各種データが参照される。記憶部82は、例えば、不揮発性の半導体メモリ(所謂、フラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0024】
制御部70は、通信部81を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)などの通信ネットワークに接続された外部の装置(例えば、パーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部70は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部81は、例えば、LANカード等の通信制御カードで構成される。
【0025】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置12(スキャナー)などを備える。
【0026】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0027】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿又はコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aに結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0028】
操作表示部20は、例えば、タッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部70から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況などの表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキーなどの各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部70に出力する。
【0029】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じた画像処理を行う回路などを備える。画像処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0030】
画像形成部40は、画像処理部30からの画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42などを備える。
【0031】
Y成分、M成分、C成分、K成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。そのため、
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号を付し、他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号を省略する。
【0032】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413(像担持体)、帯電装置414、ドラムクリーニングユニット(以降、クリーニングユニット)415などを備える。
【0033】
露光装置411は、例えば、半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されると、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。その結果、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0034】
現像装置412は、例えば、現像スリーブ412Aなどを有する二成分現像方式の現像装置であり、現像スリーブ412Aから感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより、静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0035】
感光体ドラム413は、例えば、アルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)などを備える。この感光体ドラム413は、導電性円筒体の周面にアンダーコート層、電荷発生層、電荷輸送層を順次積層することで構成された光導電性を有する感光体であり、例えば、負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。感光体ドラム413は、その駆動モーター(図示省略)に供給される駆動電流を制御部70が制御することにより、一定の周速度(線速度)で回転される。
【0036】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。
【0037】
クリーニングユニット415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるクリーニング部材としてのドラムクリーニングブレード(以降、クリーニングブレード)などを有する。クリーニングユニット415は、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーをクリーニングブレードによって除去する。このクリーニングユニット415のより詳しい構成については、
図3を参照して後述する。
【0038】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、駆動ローラー423A、バックアップローラー423Bなどを含む複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、ベルトクリーニング装置426などを備える。
【0039】
中間転写ベルト421は、複数の支持ローラー423にループ状に張架され、駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。一次転写ローラー422は、中間転写ベルト421を感光体ドラム413に圧接させており、これにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写する。二次転写ローラー424は、中間転写ベルト421を挟んでバックアップローラー423Bに圧接されており、これにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写する。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。なお、二次転写ローラー424に代えて、複数の支持ローラーに二次転写ベルトがループ状に張架されたベルト式の二次転写ユニットを採用してもよい。
【0040】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレードなどを有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0041】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52及び搬送経路部53などを備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズなどに基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53aなどの複数の搬送ローラー対を有する。
【0042】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40、定着部60を経て画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0043】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着ベルト61、加熱ローラー62、定着ローラー63、加圧ローラー64などを備える。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0044】
図3は、クリーニングユニット415を示す図である。クリーニングユニット415は、クリーニング装置100、滑剤塗布装置210(滑剤供給部)、固定化装置220などを備える。これらは、図示省略した支持枠体に取り付けられて収容されている。なお、本実施の形態において、滑剤塗布装置210と固定化装置220が滑剤供給装置200を構成する。
【0045】
クリーニング装置100は、クリーニングブレード101と支持板金102とを備えている。クリーニングブレード101は、支持板金102に取り付けられて支持されており、支持板金102は、支持枠体に取り付けられて支持されている。クリーニングブレード101は、ウレタン樹脂(ウレタンゴム)などの弾性部材を板状部材として成形したものであり、感光体ドラム413の軸方向(主走査方向)の幅とほぼ同等の幅を有する。クリーニングブレード101は、ここでは、その先端(エッジ)を感光体ドラム413の回転方向R1(進行方向)に対向するように当接させるカウンター方式の構成となっている。具体的には、回転方向R1に対してカウンター方向(感光体ドラム413が回転するときクリーニングブレード101の先端部分が突っ張ることとなる方向)から所定の当接角及び侵入量(食込み量)で摺接するように配置されている。
【0046】
画像形成時には、感光体ドラム413の回転方向R1への回転に伴い、クリーニングブレード101によって感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーが掻き取られる。
【0047】
滑剤塗布装置210は、回転方向R1において、クリーニング装置100の下流側に配置されている。滑剤塗布装置210は、滑剤棒211と塗布ブラシ212とを備えている。滑剤棒211は、潤滑剤を固形化して棒状に成形したものである。滑剤棒211は、付勢部材を有するホルダー(共に図示省略)に支持されて支持枠体に固定されている。この付勢部材は、例えば、圧縮スプリングであり、滑剤棒211が塗布ブラシ212と接触した状態を保持するため、滑剤棒211を塗布ブラシ212に向けて所定の押圧荷重で押圧している。滑剤棒211の幅は、クリーニングブレード101や後述する固定化ブレード221などの幅よりも狭い。滑剤棒211は、例えば、鉛筆硬度でF~HB相当の硬度を有している。滑剤棒211に使用される潤滑剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛(ZnSt)である。
【0048】
塗布ブラシ212は、滑剤棒211の滑剤を感光体ドラム413上に供給する役割を有する。塗布ブラシ212は、例えば、ポリエステルなどの繊維が植設された基布を芯金に巻き付けたローラー状のブラシであり、感光体ドラム413の軸方向の幅とほぼ同等の幅を有する。塗布ブラシ212は、滑剤棒211の表面及び感光体ドラム413の表面に接触するように配置され、感光体ドラム413の回転方向R1とは反対向きの回転方向R2に回転して、感光体ドラム413上に滑剤を供給する。
【0049】
固定化装置220は、回転方向R1において、クリーニング装置100及び滑剤塗布装置210の下流側に配置されている。この固定化装置220は、固定化ブレード221と支持板金222(支持部材)とを備えている。固定化ブレード221は、支持板金222に取り付けられており、支持板金222は、固定化ブレード221の一端である基端部を片持ちで支持している。そのため、固定化ブレード221の先端部は自由端となって、感光体ドラム413の表面413aに摺接している。また、支持板金222は、支持枠体に取り付けられて支持されている。
【0050】
この固定化ブレード221は、画像形成時には、感光体ドラム413の回転方向R1への回転に伴い、滑剤塗布装置210により感光体ドラム413上に塗布された滑剤を均して固定化(被膜化)している。
【0051】
ところで、このような固定化ブレード221において、滑剤の通過性を確保するためには、感光体ドラム413の表面に対する固定化ブレード221の先端の角度であるくさび角を小さくする必要がある。しかしながら、従来は、くさび角を小さくすることに伴う問題が副作用として生じていた。
【0052】
そこで、本実施の形態では、固定化ブレード221を以下に説明する構成とすることで、副作用を生じさせることなく、くさび角を小さくするようにしている。詳細な構成は以下に述べるが、固定化ブレード221を先端に向かうに従い細くすることにより、先端側がより撓むようにして、くさび角が小さくなるようにしている。このような構成の固定化ブレード221について、以下に詳細に説明を行う。
【0053】
[固定化ブレード]
図4Aは、感光体ドラム413の表面413aに当接していない状態の固定化ブレード221を示す図である。また、
図4Bは、感光体ドラム413の表面413aに当接した状態の固定化ブレード221を示す図である。
【0054】
固定化ブレード221は、先端側に当接部221aを有する。当接部221aは、支持板金222に支持される基端部221b側から先端部221cに向かうに従い細くなっている。このように、先端部221cに向かうに従い細くしているので、先端部221cに近いほどより撓むように柔らかくなっている。このため、固定化ブレード221が感光体ドラム413の表面413aに当接する際には、先端部221cに近いほどより撓んで当接して、くさび角θがより小さくなる。くさび角θが小さくなる理由については、
図7A、
図7B、表1、表2を参照して後述する。
【0055】
当接部221aは、
図4Aに示すように、感光体ドラム413の表面413aに当接しない状態においては、基端部221bから先端部221cに向かう方向に沿う第1側面221dと、この方向に対して第1側面221d側に傾斜する第2側面221eとを有する。つまり、第2側面221eは、第1側面221dに対し先端部221cから基端部221b側に向かうように傾斜している。
【0056】
この第1側面221dが感光体ドラム413の表面413aに当接する当接面となる。また、第2側面221eは、回転方向R1において、第1側面221dの下流側となる面であり、感光体ドラム413の表面413aに当接しない非当接面となっている。
【0057】
このように、当接部221aは、第1側面221d及び第2側面221eにより、先端部221cに向かうに従い細くなる構成となっている。そして、第1側面221dと第2側面221eとがなす角度である傾斜角δは、鋭角となっている。この傾斜角δを鋭角とすることにより、先端部221c付近の撓み角を大きくすることができ、この結果、くさび角θを小さくすることができる。
【0058】
また、固定化ブレード221は、当接時において、当接部221aがトレイル方向となるように、支持板金222に支持されている。ここで、トレイル方向とは、感光体ドラム413が回転するときに固定化ブレード221の当接部221aが回転方向R1の方向に引きずられる方向のことである。
【0059】
ここで、
図4A~
図8及び表1~表3を参照し、後述する比較例との比較により、本実施の形態において、くさび角θが小さくなること、そして、撓み比率が小さくなることを説明する。
【0060】
ここでは、
図4A及び
図4Bに示す固定化装置220を本実施例とし、一例として、固定化ブレード221の厚みを1.6mm、自由長を7.6mm、傾斜角δを50°とする。
【0061】
また、
図5A及び
図5Bに示す固定化装置310を比較例1とする。
図5A及び
図5Bにおいて、固定化装置310は、感光体ドラム413の表面413aに当接される固定化ブレード311と、固定化ブレード311を取り付けて支持する支持板金312とを備える。ここでは、固定化ブレード311の厚みを1.6mm、自由長を7.6mmとする。
【0062】
また、
図6A及び
図6Bに示す固定化装置320を比較例2とする。
図6A及び
図6Bにおいて、固定化装置320は、感光体ドラム413の表面413aに当接される固定化ブレード321と、固定化ブレード321を取り付けて支持する支持板金322とを備える。ここでは、固定化ブレード321の厚みを1.0mm、自由長を5.0mmとする。この固定化ブレード321は、上記の固定化ブレード311より薄くしている。
【0063】
また、
図4Aにおいて、設定角φは、固定化ブレード221が感光体ドラム413の表面413aに当接しない状態において、表面413aに対する上流側の第1側面221dの角度である。この
図4Aにおいては、設定角φを説明するため、当接時における表面413aの位置を点線で示している。また、くさび角θは、感光体ドラム413の表面413aに対する固定化ブレード221の先端の角度である。設定角φ及びくさび角θについては、
図5A~
図6Bにおいても、
図4A、
図4Bと同様に規定している。
【0064】
上記の固定化ブレード221、311、321に対して、当接力を30N/mとして、先端部分の撓み形状を比較したものが
図7A及び
図7Bに示すグラフである。
図7A及び
図7Bに示すグラフに基づいて、感光体ドラム413の表面413aに対する固定化ブレード221、311、321の先端撓み角を求めている。ここでは、先端から自由長の3%までの部分の角度を先端撓み角として求めている。そして、当接力を10N/m、20N/mに変えて、
図7A及び
図7Bと同様に、固定化ブレード221、311、321の先端撓み角を求め、当接力30N/mも含めて纏めたものが表1である。
【0065】
【0066】
また、表1に基づいて、設定角φ=80°のときのくさび角θを求めたものが表2である。設定角φとくさび角θとの関係は、くさび角θ=設定角φ-先端撓み角である。つまり、先端撓み角が大きくなると、くさび角θは小さくなる。
【0067】
【0068】
また、固定化ブレード221、311、321の撓み比率を求めたものが表3である。撓み比率は、固定化ブレード221、311、321の感光体ドラム413への食込み量に基づいて、撓み比率=食込み量/自由長×100により求めている。
【0069】
【0070】
表2からわかるように、本実施例は、比較例1の固定化ブレード311より、くさび角θを小さくすることができ、当接力30N/mにおいては、くさび角θを10°以上小さくすることができる。また、本実施例は、固定化ブレード311より薄肉にした比較例2の固定化ブレード321に対しては、同等のくさび角を得ることができる。
【0071】
また、表3からわかるように、本実施例は、比較例1の固定化ブレード311に対しては、同等の撓み比率を得ることができる。また、本実施例は、比較例2の固定化ブレード321より、撓み比率を小さくすることができる。比較例2では、当接力30N/mにおいて、撓み比率が50%に近い値である。撓み比率が大きくなると、永久ひずみも悪くなるが、本実施例は、比較例2の固定化ブレード321より、永久ひずみが悪くなることはない。
【0072】
つまり、比較例1の固定化ブレード311は、撓み比率は大きくないが、くさび角θを小さくするためには、設定角φを小さくする必要があり、そのため、上述したように、隣接する塗布ブラシ212などと干渉する問題がある。また、比較例2の固定化ブレード321は、くさび角θを小さくすることはできるが、撓み比率が大きく、永久ひずみが悪化する問題がある。
【0073】
これらに対して、本実施例の固定化ブレード221は、先端部221cに向かうに従い細くなっているので、設定角φを小さくしなくても、先端撓み角を大きくして、くさび角θを小さくすることができ、撓み比率も小さくすることができる。そのため、くさび角θを小さくするときに従来生じていた副作用となる問題を起こすことなく、くさび角θを小さくすることができる。
【0074】
次に、
図8及び
図9を参照して、くさび角θと滑剤通過条件の関係、くさび角θと当接力、面圧との関係について、説明する。
【0075】
図8において、抗力T、押圧力T
1、逃げ力T
2、摩擦力Fは、以下の通りである。
抗力T:固定化ブレード221から受ける抗力
押圧力T
1:滑剤粉LPを感光体ドラム413に押圧する押圧力
逃げ力T
2:滑剤粉LPが固定化ブレード221から逃げる方向に受ける力
摩擦力F:滑剤粉LPの感光体ドラム413に対する摩擦力
【0076】
また、押圧力T1、逃げ力T2、摩擦力Fは、抗力T及びくさび角θを用いて、以下式で表すことができる。なお、滑剤粉LPに対する感光体ドラム413の摩擦係数をμとする。
押圧力T1=T×cosθ
逃げ力T2=T×sinθ
摩擦力F=μT1=μT×cosθ
【0077】
図8に示すように、固定化ブレード221まで搬送された滑剤粉LPは、感光体ドラム413との間の摩擦力Fと固定化ブレード221から受ける逃げ力T
2との大小関係で、滑剤の通過性が決定する。具体的には、摩擦力F>逃げ力T
2となれば、滑剤の通過性は向上する。この関係式は、μT×cosθ>Tsinθとなるので、くさび角θで整理すると、θ<tan
-1μとなる。従って、摩擦力F>逃げ力T
2とするためには、くさび角θを小さくすれば良い。
【0078】
また、滑剤粉LPが固定化ブレード221から受ける抗力Tは、固定化ブレード221の面圧に比例する。逃げ力T2を小さくするためには、抗力Tを小さくする必要があり、抗力Tを小さくするためには、面圧を小さくする必要がある。そして、面圧≒当接力/ニップ幅であるので、面圧を下げるには、当接力を下げるか、又は、ニップ幅を大きくする必要がある。当接力を下げると滑剤粉の通過量は増えるが、固定化(被膜化)されずに粒子状のまま通過してしまう。粒子状ですり抜けた滑剤粉は現像器で回収されたり、中間転写ベルトに転移したりして、画像形成に悪影響を及ぼす。そのため、当接力を下げるよりも、ニップ幅を広げることが効果的である。
【0079】
例えば、
図9において、ニップ幅N1、N2の場合について説明する。ここでは、N1>N2である。ニップ幅N1より狭いニップ幅N2において、所望の当接力CFを付与すると、ニップ幅N2における単位面積当たりの面圧は、bに示すように変化し、面圧が高くなる箇所がある。この場合、所望の当接力CFにおいて、面圧が高くなる箇所があるので、滑剤の通過不良が発生し易くなる。一方、ニップ幅N2において、所望の当接力より小さい当接力CFを付与すると、ニップ幅N2における単位面積当たりの面圧は、cに示すように変化し、全体的に面圧が小さくなる。この場合、面圧は小さくなるが、当接力CFも小さいので、滑剤の固定化不良が発生し易くなる。
【0080】
これに対して、ニップ幅N2より広いニップ幅N1において、所望の当接力CFを付与すると、ニップ幅N1における単位面積当たりの面圧は、aに示すように変化し、全体的に面圧が小さくなる。この場合、所望の当接力CFにおいて、面圧は小さくできるので、滑剤の通過不良や固定化不良を抑制することができる。つまり、滑剤粉LPの通過量を増やすことができると共に、通過量が増えた滑剤粉LPを被膜LCに固定化(被膜化)する際に、被膜LCの膜強度を向上させることができる。
【0081】
次に、くさび角θとニップ幅との関係について、
図10、
図11を参照して説明する。
図10は、当接時の当接部221aを実線で示し、当接によって変形する前の当接部221aを点線で仮想的に示した図である。
図10において、感光体ドラム413の表面413aと点線とで囲まれた部分は、感光体ドラム413との当接により圧縮変形する圧縮面積Scの部分である。また、
図11は、傾斜角δ=50°、当接力=30N/mのとき、くさび角θを変化させたときのニップ幅Nの変化を示すグラフである。このニップ幅Nは、当接力により圧縮変形する圧縮面積Scとくさび角θから求めることができる。
【0082】
図11からわかるように、くさび角θが所定の角度より小さくなると、くさび角θを小さくするほど、ニップ幅が大きくなることがわかる。
図11に示す傾斜角δ=50°、当接力=30N/mのときには、くさび角θが60°以下のとき、くさび角θを小さくするほど、ニップ幅が大きくなっている。これは、くさび角θを小さくすると、所望の当接力に維持しながら、面圧を下げることができることを意味する。
【0083】
本発明者は、本実施例の固定化ブレード221を用いた画像形成装置において、くさび角θ及び当接力を変更して、固定化ブレード221を通過した滑剤の量を測定してみた。その結果、同じ当接力であっても、くさび角θを小さくすることで、固定化ブレード221を通過する滑剤量が増えること、つまり、滑剤の通過率が上昇することを確認できた。このように、くさび角θを小さくすることが効果的であり、所望の当接力を確保した上で、滑剤の通過性を上げることができる。
【0084】
次に、
図12A~
図13Bを参照して、くさび角θと傾斜角δの関係について説明する。
【0085】
図12Aに示すように、くさび角θ1が適切な範囲の角度である場合には、当接部221aは、
図12Bに示すように、その先端部221cがニップ領域N内にある。一方、
図13Aに示すように、くさび角θ2が適切な範囲より小さい場合には、当接部221aは、
図13Bに示すように、その先端部221cがニップ領域Nから離れて飛び出た形状に変形するおそれがある。このような状態になると、先端部221cが感光体ドラム413の表面413aに当接しなくなるので、異常摩耗が発生し、これにより、固定化ブレード221の耐久性が低下する。
【0086】
従って、先端部221cがニップ領域N内にあるようにするには、くさび角θを小さくし過ぎないことが必要であり、傾斜角δとくさび角θとの関係は、θ≧90-δを満たす必要がある。傾斜角δとくさび角θを、θ≧90-δを満たす関係とすることにより、先端部221cをニップ領域N内に収めることができる。これにより、固定化ブレード221の耐久性を確保することができる。
【0087】
次に、固定化ブレード221の製造方法について説明する。
【0088】
固定化ブレード221は、ウレタン樹脂(ウレタンゴム)などの弾性部材からなる板状部材から形成する。まず、固定化ブレード221の元となる板状部材を遠心成形法により成形する。この遠心成形法は、回転成形法とも呼ばれ、円筒状の型枠内に樹脂などの材料を注入し、型枠を回転して、型枠内に板状部材を成形する方法である。なお、板状部材の少なくとも1つの面が後述する鏡面状態となれば、遠心成形法以外の方法を用いて、例えば、鏡面加工などを行って、板状部材を成形しても良い。
【0089】
固定化ブレード221は、感光体ドラム413の軸方向(主走査方向)の幅とほぼ同等の幅を有している。このような幅を有する固定化ブレード221の大きさとするため、成形した板状部材を短冊状に切断する。
【0090】
遠心成形時に板状部材の回転中心側となる面は、遠心成形時に空気に接する面であるため、その表面を鏡面状態にすることができる。切断により形成した面は、切断により表面が粗い状態となる。そのため、ここでは、遠心成形時に空気に接する面が鏡面状態となることを利用し、鏡面状態となった面を第1側面221dとしている。この鏡面状態となる第1側面221dが、感光体ドラム413の表面413aに撓んで当接する当接面となる。
【0091】
そして、形成した板状部材において、第1側面221dとなる面との角度が鋭角になる方向に切断を行って、第2側面221eを形成する。板状部材の切断により形成された第2側面221eが、感光体ドラム413の表面413aに当接しない非当接面となる。
【0092】
このように、鏡面状態となる第1側面221dに対しては何の加工も行っていない。一方、回転方向R1において下流側となる第2側面221eに対しては板状部材を切断することにより形成している。これにより、上流側となる第1側面221dの表面性を損なわずに、当接部221aを形成することができる。また、これにより、先端部221cが形成され、先端部221cに向かうに従い、第1側面221dと第2側面221eとの間が細くなる当接部221aが形成されることになる。
【0093】
上記の特許文献1では、くさび角θを小さくするため、切断により形成した当接面を使用していた。そのため、切断により当接面の表面が粗い状態となり、滑剤粉が滞留し易くなり、その結果、滑剤の通過性が安定せず、滑剤の塗布量が不均一になって、形成される画像に筋むらが発生する問題があった。
【0094】
一方、本実施例では、鏡面状態となる第1側面221dが感光体ドラム413の表面413aに当接するので、滑剤粉が通過し易くなり、その結果、滑剤の通過性が安定し、滑剤の塗布量が均一になって、形成される画像の筋むらの発生を抑制することができる。
【0095】
以上説明してきたように、本実施例では、固定化ブレード221を先端部221cに向かうに従い細くしている。そのため、設定角φを必要以上に小さくすることなく、また、食込み量を大きくすることなく、当接力を確保して、先端部221c近傍のくさび角θを小さくすることができる。その結果、固定化装置220の設置の省スペース化を達成すると共に、滑剤の塗布効率の向上と固定化ブレード221の耐久性の向上を図ることができる。更に、固定化ブレード221において、第2側面221e側を加工して第1側面221dに対して傾斜させているので、当接する第1側面221dの表面状態を犠牲する必要はなくなる。その結果、鏡面状態の第1側面221dを用いて、感光体ドラム413に対する滑剤の均一塗布を行うことができ、形成される画像の筋むらの発生を抑制することができる。
【0096】
(固定化ブレードの変形例)
本実施例では、固定化ブレード221の第2側面221eは、連続的な1つの面として形成されているが、この第2側面221eは、先端部221cに向かうに従い細くなれば、非連続的な構成、例えば、階段状に形成されていても良い。
【0097】
なお、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。即ち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
70 制御部
100 クリーニング装置
101 クリーニングブレード
102 支持板金
200 滑剤供給装置
210 滑剤塗布装置
211 滑剤棒
212 塗布ブラシ
220 固定化装置
221 固定化ブレード
221a 当接部
221b 基端部
221c 先端部
221d 第1側面
221e 第2側面
222 支持板金
413 感光体ドラム
415 ドラムクリーニングユニット