(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20231031BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20231031BHJP
G03G 15/02 20060101ALI20231031BHJP
G03G 21/18 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G03G21/00 318
G03G21/16 104
G03G15/02
G03G21/16 165
G03G21/18 114
(21)【出願番号】P 2019188743
(22)【出願日】2019-10-15
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向林 祐
(72)【発明者】
【氏名】木下 健
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-030955(JP,A)
【文献】特開平07-092872(JP,A)
【文献】特開2002-049275(JP,A)
【文献】特開2005-345485(JP,A)
【文献】特開2004-309939(JP,A)
【文献】特開平07-199600(JP,A)
【文献】特開2009-122406(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/16
G03G 15/02
G03G 21/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸まわりに回転可能な感光体と、
前記感光体の表面に接するように配置されており、前記感光体の前記表面を帯電させる帯電ローラと、
前記帯電ローラの表面に接するように配置されており、前記帯電ローラの前記表面を清掃するクリーニングローラと、
前記感光体の前記表面のうち前記感光体の回転方向における前記帯電ローラの下流側に位置する露光部を露光させることによって潜像を形成する露光装置と、
前記感光体の前記回転方向における前記帯電ローラの下流側に設けられており、前記潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する現像装置と、
前記感光体の前記表面のうち前記感光体の前記回転方向における前記現像装置の下流側に位置する転写部と前記帯電ローラとの間に設けられており、前記感光体の前記表面のうち前記転写部の下流側の部位に付着した残留トナーを除去するクリーニングブレードと、
前記感光体の前記表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、を備え、
前記感光体の前記表面は、
前記現像装置によって前記トナー像が形成される現像領域と、
前記回転軸の軸方向において前記現像領域の外側に位置する外側領域と、を有し、
前記クリーニングブレードは、
前記現像領域に接する内側接触部と、
前記外側領域に接する外側接触部と、を有し、
前記潤滑剤供給部は、前記外側領域の少なくとも一部に接するように配置されており、
前記感光体の回転に応じて従動回転しながら前記外側領域の少なくとも一部に前記潤滑剤を供給
し、
前記クリーニングローラは、
支持軸と、
前記支持軸に取り付けられており、前記帯電ローラの前記表面に接するように配置されたクリーニング層と、を有し、
前記支持軸は、当該支持軸の軸方向に前記クリーニング層から外側に突出する突出部を有し、
前記潤滑剤供給部は、前記突出部に取り付けられている、画像形成装置。
【請求項2】
前記潤滑剤供給部は、前記回転軸の前記軸方向と直交する方向に前記現像領域と重なる位置に配置されている、請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記潤滑剤供給部は、前記クリーニング層とは別部材で構成されている、請求項
1又は
2に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体の表面に残留するトナーを除去するクリーニングブレードを備える画像形成装置が知られている。このような画像形成装置において、クリーニングブレードの長さが、感光体に形成される現像領域(現像装置によってトナー像が形成される領域)よりも長い場合、感光体の表面のうち現像領域の外側の領域とクリーニングブレードとの間に生じる摩擦力が増大する。そうすると、クリーニングブレードのめくれ等が発生する。
【0003】
上記の問題を解決する画像形成装置として、例えば、特開2005-181713号公報に記載の画像形成装置が知られている。この画像形成装置では、現像担持体(現像ローラ)の端部からの現像剤の漏洩を防止するための現像剤シール部材が現像担持体に当接するように配置されており、この現像剤シール部材に潤滑剤が塗布されている。このため、潤滑剤は、現像担持体を介して感光体に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載される画像形成装置では、感光体が寿命を迎えるまでに感光体の外側領域に供給される潤滑剤が枯渇する場合がある。
【0006】
本発明の目的は、感光体が寿命を迎えるまでに感光体の外側領域に供給される潤滑剤が枯渇するのを抑制可能な画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一局面に従った画像形成装置は、回転軸まわりに回転可能な感光体と、前記感光体の表面に接するように配置されており、前記感光体の前記表面を帯電させる帯電ローラと、前記帯電ローラの表面に接するように配置されており、前記帯電ローラの前記表面を清掃するクリーニングローラと、前記感光体の前記表面のうち前記感光体の回転方向における前記帯電ローラの下流側に位置する露光部を露光させることによって潜像を形成する露光装置と、前記感光体の前記回転方向における前記帯電ローラの下流側に設けられており、前記潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する現像装置と、前記感光体の前記表面のうち前記感光体の前記回転方向における前記現像装置の下流側に位置する転写部と前記帯電ローラとの間に設けられており、前記感光体の前記表面のうち前記転写部の下流側の部位に付着した残留トナーを除去するクリーニングブレードと、前記感光体の前記表面に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部と、を備え、前記感光体の前記表面は、前記現像装置によって前記トナー像が形成される現像領域と、前記回転軸の軸方向において前記現像領域の外側に位置する外側領域と、を有し、前記クリーニングブレードは、前記現像領域に接する内側接触部と、前記外側領域に接する外側接触部と、を有し、前記潤滑剤供給部は、前記外側領域の少なくとも一部に接するように配置されており、前記感光体の回転に応じて従動回転しながら前記外側領域の少なくとも一部に前記潤滑剤を供給する。
【0008】
この画像形成装置では、潤滑剤供給部は、感光体の回転に応じて従動回転しながら感光体の外側領域の少なくとも一部に潤滑剤を供給するため、換言すれば、潤滑剤供給部は、感光体に対して小さな相対速度で回転しながら潤滑剤を供給するため、感光体に対して相対回転しないように当該感光体に潤滑剤供給部が押し当てられる場合に比べて、外側領域への潤滑剤の供給量が比較的少ない状態に維持される。よって、感光体が寿命を迎えるまでに感光体の外側領域に供給される潤滑剤が枯渇するのが抑制される。したがって、外側領域とクリーニングブレードの外側接触部との間に生じる摩擦力が低減された状態が維持される。
【0009】
また、前記帯電ローラは、支持軸と、前記支持軸に取り付けられており、前記感光体の前記表面に接するように配置された帯電層と、を有し、前記支持軸は、当該支持軸の軸方向に前記帯電層から外側に突出する突出部を有し、前記潤滑剤供給部は、前記突出部に取り付けられていてもよい。
【0010】
この場合において、前記潤滑剤供給部は、前記帯電層とは別部材で構成されていることが好ましい。
【0011】
このようにすれば、帯電層と潤滑剤供給部とが一体の部材で構成される場合に比べ、潤滑剤供給部の生産性が高まる。また、潤滑剤供給部による潤滑剤の供給領域が、感光体の回転軸の軸方向と平行な方向における潤滑剤供給部の幅によって規定されるため、前記供給領域の設計精度が高まる。
【0012】
また、前記クリーニングローラは、支持軸と、前記支持軸に取り付けられており、前記帯電ローラの前記表面に接するように配置されたクリーニング層と、を有し、前記支持軸は、当該支持軸の軸方向に前記クリーニング層から外側に突出する突出部を有し、前記潤滑剤供給部は、前記突出部に取り付けられていてもよい。
【0013】
この場合において、前記潤滑剤供給部は、前記回転軸の前記軸方向と直交する方向に前記現像領域と重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0014】
このようにすれば、潤滑剤供給部によって潤滑剤が供給される領域に回転軸の軸方向における公差が生じた場合においても、現像領域と潤滑剤が供給される領域との間に隙間が形成されることが抑制される。
【0015】
また、前記潤滑剤供給部は、前記クリーニング層とは別部材で構成されていることが好ましい。
【0016】
このようにすれば、クリーニング層と潤滑剤供給部とが一体の部材で構成される場合に比べ、潤滑剤供給部の生産性が高まる。また、潤滑剤供給部による潤滑剤の供給領域が、感光体の回転軸の軸方向と平行な方向における潤滑剤供給部の幅によって規定されるため、前記供給領域の設計精度が高まる。
【発明の効果】
【0017】
以上に説明したように、この発明によれば、感光体が寿命を迎えるまでに感光体の外側領域に供給される潤滑剤が枯渇するのを抑制可能な画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1実施形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図3】
図2に示される画像形成ユニットの変形例を示す図である。
【
図4】本発明の第2実施形態の画像形成装置における画像形成ユニットを模式的に示す図である。
【
図5】
図4に示される画像形成ユニットの変形例を示す図である。
【
図6】本発明の第3実施形態の画像形成装置における画像形成ユニットを模式的に示す図である。
【
図7】比較例におけるクリーニングユニットを模式的に示す図である。
【
図8】実施例及び比較例における試験結果を示す表である。
【
図9】実施例における、記録媒体の枚数と感光体への潤滑剤供給量との関係を示すグラフである。
【
図10】比較例における、記録媒体の枚数と感光体への潤滑剤供給量との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。この画像形成装置1は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能およびスキャナ機能などの複数の機能を備えたMFP(MFP:Multifunctional Peripherals)である。
【0021】
図1に示されるように、画像形成装置1は、画像形成ユニット10(10Y,10M,10C,10K)と、転写ユニット20と、給紙トレイ31と、定着装置32と、排紙トレイ33と、トナー補給装置35と、を備えている。
【0022】
画像形成ユニット10は、転写ユニット20に転写するトナー像(画像)を形成するユニットである。画像形成ユニット10Y、画像形成ユニット10M、画像形成ユニット10C及び画像形成ユニット10Kは、それぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の色を有するトナー像を転写ユニット20に形成する。画像形成ユニット10の詳細については、後述する。
【0023】
転写ユニット20は、1次転写ローラ21と、中間転写ベルト22と、2次転写ローラ23と、を有している。画像形成ユニット10により形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト22の表面上で重ね合わされる。その後、中間転写ベルト22は、中間転写ベルト22と2次転写ローラ23との間に形成される2次転写部にカラートナー像を搬送する。
【0024】
給紙トレイ31は、記録媒体としての用紙Sを格納する格納部として設けられている。給紙トレイ31には、複数枚の用紙Sが格納されている。本実施形態では、給紙トレイ31は、上下方向に2段に渡って設けられている。ただし、上下方向に1段又は3段以上の給紙トレイ31が設けられてもよい。
【0025】
給紙トレイ31に収容された用紙Sは、各種の回転ローラにより、中間転写ベルト22と2次転写ローラ23との間の2次転写部に搬送される。中間転写ベルト22に担持されているカラートナー像は、2次転写部において用紙Sの表面に転写される。カラートナー像は、定着装置32によって用紙Sの表面に定着される。以上の工程によって画像が形成された用紙Sは、排紙トレイ33に排出される。
【0026】
トナー補給装置35は、画像形成ユニット10の現像装置150にトナー(現像剤)を供給する装置である。このトナーには、感光体110の長寿命化のために、処理剤(潤滑剤や研磨剤等)が含まれている。トナー補給装置35は、鉛直方向において、中間転写ベルト22及び排紙トレイ33間に設けられている。ただし、画像形成装置1におけるトナー補給装置35の配置は、特に限定されない。
【0027】
ここで、画像形成ユニット10について説明する。
図1及び
図2に示されるように、画像形成ユニット10は、感光体110と、帯電ローラ120と、クリーニングローラ130と、露光装置140と、現像装置150と、クリーニングブレード160と、潤滑剤供給部170と、を有している。
【0028】
感光体110は、回転軸112まわりに回転可能である。感光体110の表面は、回転軸112の回転に応じて回転する感光層を構成している。
【0029】
帯電ローラ120は、感光体110の表面を所定の電位に帯電させる。帯電ローラ120は、感光体110の表面に接するように配置されている。帯電ローラ120は、支持軸122と、帯電層124と、を有している。
【0030】
支持軸122は、感光体110の回転軸112と平行となる姿勢で配置されている。支持軸122は、金属等で形成されている。
【0031】
帯電層124は、支持軸122に取り付けられている。帯電層124は、感光体110の表面に接するように配置されている。帯電層124は、感光体110の回転に合わせて回転する。帯電層124は、ソリッド状のゴム等からなる。
【0032】
図2に示されるように、支持軸122は、当該支持軸122の軸方向に帯電層124から外側に突出する突出部122aを有している。
【0033】
クリーニングローラ130は、帯電ローラ120を清掃する。クリーニングローラ130は、帯電ローラ120の表面に接するように配置されている。クリーニングローラ130は、支持軸132と、クリーニング層134と、を有している。
【0034】
支持軸132は、帯電ローラ120の支持軸122と平行となる姿勢で配置されている。支持軸132は、金属等で形成されている。
【0035】
クリーニング層134は、支持軸132に取り付けられている。クリーニング層134は、帯電層124の表面に接するように配置されている。クリーニング層134は、帯電層124の回転に合わせて回転する。クリーニング層134は、例えば、発泡材料(発泡ゴム等)からなる。
【0036】
露光装置140は、感光体110の表面のうち感光体110の回転方向における帯電ローラ120の下流側に位置する露光部S11を露光させること(レーザ等を照射すること)によって潜像を形成する。本実施形態では、露光装置140は、感光体110の下方に配置されている。
【0037】
現像装置150は、感光体110の回転方向における帯電ローラ120の下流側に設けられている。現像装置150は、潜像にトナーを供給することによってトナー像を形成する。このトナー像は、感光体110の表面のうち感光体110の回転方向における現像装置150の下流側に位置する転写部S12において転写ユニット20に転写される。本実施形態では、現像装置150として、現像ローラが用いられている。
【0038】
図2には、感光体110の表面のうち現像装置150によってトナー像が形成される領域(以下、「現像領域S1」と表記する。)と、感光体110の表面のうち回転軸112の軸方向において現像領域S1の外側に位置する領域(以下、「外側領域S2」と表記する。)と、が二点鎖線で示されている。回転軸112の軸方向における現像領域S1の幅は、同方向における帯電層124の幅と実質的に等しく設定されている。つまり、支持軸122の突出部122aは、回転軸112の軸方向と平行な方向に現像領域S1から外向きに突出している。
【0039】
クリーニングブレード160は、感光体110の回転方向における転写部S12と帯電ローラ120との間に設けられている。クリーニングブレード160は、感光体110の表面のうち転写部S12の下流側の部位に付着した残留トナーを除去する。クリーニングブレード160は、板状に形成されている。クリーニングブレード160は、回転軸112の軸方向に沿って延びる形状を有している。クリーニングブレード160は、例えば、ウレタン等の樹脂材料により形成される。クリーニングブレード160は、内側接触部162と、外側接触部164と、を有している。
【0040】
内側接触部162は、感光体110の表面における現像領域S1に接する部位である。外側接触部164は、感光体110の表面における外側領域S2に接する部位である。つまり、回転軸112の軸方向におけるクリーニングブレード160の長さは、回転軸112の軸方向における現像領域S1の長さよりも長く設定されている。
【0041】
潤滑剤供給部170は、感光体110の表面に潤滑剤を供給する。具体的に、潤滑剤供給部170は、感光体110の表面のうち外側接触部164と接する外側領域S2の少なくとも一部に潤滑剤を供給する。本実施形態では、潤滑剤供給部170は、外側領域S2の一部(回転軸112軸方向における現像領域S1の外側縁部を含む部位)に潤滑剤を供給する。
【0042】
潤滑剤供給部170は、外側領域S2に接するように配置されており、感光体110の回転に応じて従動回転しながら外側領域S2の一部に潤滑剤を供給する。本実施形態では、
図2に示されるように、潤滑剤供給部170は、帯電ローラ120の支持軸122における突出部122aに取り付けられている。潤滑剤供給部170は、帯電層124とは別の部材で構成されている。潤滑剤供給部170は、潤滑剤を担持可能な担持体と、担持体に担持された潤滑剤と、を有している。担持体は、発泡材料(発泡ゴム等)からなることが好ましい。本実施形態では、担持体は、円筒状に形成されており、突出部122aに装着されている。潤滑剤として、フッ素化油、モリブデン、グラファイト等が挙げられる。
【0043】
以上に説明したように、本実施形態の画像形成装置1では、潤滑剤供給部170は、感光体110の回転に応じて従動回転しながら感光体110の外側領域S2の一部に潤滑剤を供給する。換言すれば、潤滑剤供給部170は、感光体110に対して小さな相対速度で回転しながら潤滑剤を供給する。このため、感光体110に対して相対回転しないように当該感光体110に潤滑剤供給部170が押し当てられる場合に比べて、外側領域S2への潤滑剤の供給量が比較的少ない状態に維持される。よって、感光体110が寿命を迎えるまでに感光体110の外側領域S2に供給される潤滑剤が枯渇することが抑制される。したがって、外側領域S2とクリーニングブレード160の外側接触部164との間に生じる摩擦力が低減された状態が維持される。
【0044】
また、潤滑剤供給部170の担持体は、帯電層124とは別部材で構成されているため、帯電層124と担持体とが一体の部材(同一材料)で構成され、かつ、その担持体に潤滑剤を担持させる場合に比べ、潤滑剤供給部170の製造工程が簡素化され、潤滑剤供給部170の生産効率が高まる。また、潤滑剤供給部170による潤滑剤の供給領域が、感光体110の回転軸112の軸方向と平行な方向における担持体の幅によって規定されるため、前記供給領域の設計精度が高まる。
【0045】
なお、本実施形態では、
図3に示されるように、回転軸112の軸方向と平行な方向における潤滑剤供給部170の幅は、同方向における外側領域S2の幅と同じに設定されてもよい。すなわち、潤滑剤供給部170は、外側領域S2の全域に潤滑剤を供給するように構成されてもよい。
【0046】
(第2実施形態)
次に、
図4を参照しながら、本発明の第2実施形態の画像形成装置1について説明する。なお、第2実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0047】
第2実施形態では、潤滑剤供給部170は、クリーニングローラ130の支持軸132に取り付けられている。具体的に、支持軸132は、当該支持軸132の軸方向にクリーニング層134から外側に突出する突出部132aを有しており、潤滑剤供給部170の担持体は、その突出部132aに装着されている。突出部132aは、回転軸112の軸方向と平行な方向に現像領域S1から外向きに突出している。
【0048】
本実施形態では、潤滑剤は、帯電ローラ120を介して外側領域S2に供給される。なお、本実施形態においても、回転軸112の軸方向と平行な方向における潤滑剤供給部170の幅は、同方向における外側領域S2の幅と同じに設定されてもよい。
【0049】
また、
図5に示されるように、潤滑剤供給部170は、回転軸112の軸方向と直交する方向に現像領域S1の外側縁部と重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0050】
このようにすれば、潤滑剤供給部170によって潤滑剤が供給される領域に回転軸112の軸方向における公差が生じた場合においても、現像領域S1と潤滑剤が供給される領域との間に隙間が形成されることが抑制される。
【0051】
(第3実施形態)
次に、
図6を参照しながら、本発明の第3実施形態の画像形成装置1について説明する。なお、第3実施形態では、第1実施形態と異なる部分についてのみ説明を行い、第1実施形態と同じ構造、作用及び効果の説明は繰り返さない。
【0052】
第3実施形態では、潤滑剤供給部170は、感光体110の周方向に帯電ローラ120から離間した位置で、かつ、外側領域S2に接する位置に配置されている。この実施形態においても、潤滑剤供給部170は、感光体110の回転に応じて従動回転しながら外側領域S2の少なくとも一部に潤滑剤を供給する。
【0053】
図6に示されるように、潤滑剤供給部170は、外側領域S2の全域に潤滑剤を供給するように構成されることが好ましく、回転軸112の軸方向と直交する方向に現像領域S1の外側縁部と重なる位置に配置されていることがより好ましい。
【0054】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0055】
例えば、潤滑剤供給部170は、帯電ローラ120の支持軸122の突出部122a及びクリーニングローラ130の支持軸132の突出部132aの双方に設けられてもよい。
【実施例】
【0056】
上記実施形態1及び上記実施形態2の実施例と、それに対する比較例と、について、感光体110が寿命を迎えるまで(感光体110のユニットライフまで)耐久試験を行った。
【0057】
実施例1は、上記実施形態1の実施例である。実施例1では、潤滑剤供給部170の担持体として、発泡ウレタンからなるものを用いた。潤滑剤は、モリドライ5510(住鉱潤滑剤株式会社製)と、ドライサーフ(住鉱潤滑剤株式会社製)と、を用いた。
【0058】
実施例2は、上記実施形態2の実施例である。実施例2における潤滑剤供給部170の担持体及び潤滑剤は、実施例1と同じである。
【0059】
比較例は、
図7に示されるように、感光体110の回転に応じて従動回転しながら外側領域S2に潤滑剤を供給する潤滑剤供給部170を備えておらず、感光体110に対して相対回転しないように外側領域S2に押し当てられた潤滑剤供給部200を備えている。この潤滑剤供給部200の担持体は、発泡ウレタンからなるシートで構成されている。潤滑剤は、実施例1及び実施例2と同じである。なお、
図7では、露光装置140及び現像装置150の図示は省略されている。
【0060】
耐久試験は、温度23℃、湿度65%の環境で行われた。
図8は、その結果を示している。
図8において、「○」は、クリーニングブレード160による感光体110の外側領域S2における残留トナーの拭き残し(清掃不良)が発生しなかったことを意味しており、「×」は、クリーニングブレード160による感光体110の外側領域S2における残留トナーの拭き残しが発生したことを意味している。すなわち、
図8に示されるように、実施例1及び実施例2では、感光体110の外側領域S2における残留トナーの拭き残しは、発生しなかった。一方、比較例では、感光体110の外側領域S2における残留トナーの拭き残しが発生した。
【0061】
この理由は、比較例では、感光体110に対する潤滑剤供給部200の相対速度が大きいことが要因と推察される。この点につき、
図9及び
図10を参照しながら説明する。
図9は、実施例1及び実施例2における感光体110への潤滑剤の供給量を示している。
図10は、比較例における感光体110への潤滑剤の供給量を示している。
【0062】
図9に示されるように、実施例1及び実施例2では、感光体110に対する潤滑剤供給部170の相対速度が小さい(実質的にゼロである)ため、試験期間を通じて、外側領域S2への潤滑剤の供給量が必要量確保されつつ比較的少ない状態に維持されていることが確認された。
【0063】
一方、比較例では、感光体110に対する潤滑剤供給部200の相対速度が大きいため、外側領域S2への潤滑剤の供給量が多くなること、及び、そのことに起因して、試験期間の初期において、担持体に担持された潤滑剤の大部分が感光体110に供給され、試験期間の中期から後期において感光体110に必要な量の潤滑剤を供給することができなかったことが確認された。
【0064】
以上のように、感光体110に対する潤滑剤供給部200の相対速度が大きい場合、感光体110が寿命を迎えるまでに感光体110の外側領域S2に供給される潤滑剤が枯渇する一方、感光体110に対する潤滑剤供給部170の相対速度が小さい(実質的にゼロである)場合、感光体110が寿命を迎えるまで感光体110の外側領域S2に潤滑剤を供給可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置、10 画像形成ユニット、20 転写ユニット、21 1次転写ローラ、22 中間転写ベルト、23 2次転写ローラ、31 給紙トレイ、32 定着装置、33 排紙トレイ、35 現像剤補給装置、110 感光体、112 回転軸、120 帯電ローラ、122 支持軸、122a 突出部、124 帯電層、130 クリーニングローラ、132 支持軸、132a 突出部、134 クリーニング層、140 露光装置、150 現像装置、160 クリーニングブレード、162 内側接触部、164 外側接触部、170 潤滑剤供給部、S1 現像領域、S2 外側領域、S11 露光部、S12 転写部。