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特許7375465画像形成装置、交換時期判定方法および交換時期判定プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】画像形成装置、交換時期判定方法および交換時期判定プログラム
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
G03G21/00 512
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019194551
(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2021067879
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(72)【発明者】
【氏名】小堀 一樹
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-159798(JP,A)
【文献】特開2018-077284(JP,A)
【文献】特開2010-204370(JP,A)
【文献】特開2018-063364(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に形成された静電潜像がトナーにより現像され、現像されたトナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に電荷を付与する帯電手段と、
入力される設定値に従って前記帯電手段に電圧を印加する電源回路と、
前記像担持体に流れる電流の電流値を検出する電流検出手段と、
前記電源回路に前記設定値が入力されることに応じて、前記電流検出手段により検出された電流値を前記設定値に対して定められた閾値と比較することにより、前記像担持体の交換時期を判定する判定手段と、を備え
前記判定手段は、前記設定値と前記電源回路が前記設定値に従って前記帯電手段に印加する電圧を計測して得られた実効値とを予め対応付けた性能データを用いて前記閾値を補正し、前記電流検出手段により検出された電流値を補正後の前記閾値と比較する、画像形成装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記性能データを用いて前記設定値に対応する前記実効値を決定し、前記設定値と前記実効値との差分に基づいて前記閾値を補正する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記判定手段は、前記性能データが前記設定値に対して定める前記実効値から前記設定値を減算した差分が大きいほど前記閾値を大きな値に変更し、前記差分が小さいほど前記閾値を小さな値に変更する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判定手段は、前記設定値と前記差分と前記閾値との関係を定めた関連情報を用いて前記閾値を決定する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記電源回路は、前記設定値に従って前記帯電手段に流れる電流を制御し、
前記性能データは、前記電源回路が前記設定値に従って前記帯電手段に印加する電圧の値および前記帯電手段に流れる電流の値それぞれを前記実効値として定め、
前記判定手段は、前記性能データ、前記設定値および前記電流検出手段により検出された電流値に基づいて、前記像担持体の交換時期を判定する、請求項1~のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記性能データを予め記憶する記憶手段を、さらに備えた請求項1~のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記憶手段は、前記電源回路に設けられる、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像形成装置で実行される交換時期判定方法であって、
前記画像形成装置は、
トナー像を形成する作像手段に設けられ、前記トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に電荷を付与する帯電手段と、
入力される設定値に従って前記帯電手段に電圧を印加する電源回路と、
前記像担持体に流れる電流の電流値を検出する電流検出手段と、を備え、
前記電源回路に前記設定値が入力されることに応じて、前記電流検出手段により検出された電流値を前記設定値に対して定められた閾値と比較することにより、前記像担持体の交換時期を判定する判定ステップを含み、
前記判定ステップは、前記設定値と前記電源回路が前記設定値に従って前記帯電手段に印加する電圧を計測して得られた実効値とを予め対応付けた性能データを用いて前記閾値を補正するステップと、
前記電流検出手段により検出された電流値を補正後の前記閾値と比較するステップと、を含む、交換時期判定方法。
【請求項9】
画像形成装置を制御するコンピューターで実行される交換時期判定プログラムであって、
前記画像形成装置は、
トナー像を形成する作像手段に設けられ、前記トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体に電荷を付与する帯電手段と、
入力される設定値に従って前記帯電手段に電圧を印加する電源回路と、
前記像担持体に流れる電流の電流値を検出する電流検出手段と、を備え、
前記電源回路に前記設定値が入力されることに応じて、前記電流検出手段により検出された電流値を前記設定値に対して定められた閾値と比較することにより、前記像担持体の交換時期を判定する判定ステップとを前記コンピューターに実行させ
前記判定ステップは、前記設定値と前記電源回路が前記設定値に従って前記帯電手段に印加する電圧を計測して得られた実効値とを予め対応付けた性能データを用いて前記閾値を補正するステップと、
前記電流検出手段により検出された電流値を補正後の前記閾値と比較するステップと、を含む、交換時期判定プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像形成装置、交換時期判定方法および交換時期判定プログラムに関し、特に、トナーを用いて画像を形成する画像形成装置、その画像形成装置で実行される交換時期判定方法およびコンピューターにその交換時期判定方法を実行させる交換時期判定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multi Function Peripheral)で代表される画像形成装置は、感光体ドラムに形成された静電潜像をトナーで現像することによって、感光体ドラムにトナー像を形成する。この感光体ドラムは、表面に形成された感光体層が使用に伴って劣化するため、寿命時期になると交換される。この寿命時期の判断方法は、駆動距離または印字枚数が予め定められた閾値に到達した時点とする方法が知られているが、感光体ドラムが劣化する度合いは、MFPの使い方や、感光体ドラムの個体差等によって異なる場合がある。
【0003】
このため、特開平9-237018号公報には、表面に感光体を有する被帯電体と、前記感光体に接触配置された帯電部材と、該帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段とを備え、前記帯電部材を介して前記感光体を帯電又は除電する画像形成装置において、前記帯電部材を介して前記感光体を帯電又は除電する際に出力される電流を検知する電流検知手段と、該電流検知手段が検知する電流の積分値を更新記憶する第1の記憶手段と、該第1の記憶手段が更新記憶した電流の積分値と、前記感光体の寿命に対応する電流の積分値とを比較して前記感光体の寿命を予測する制御手段と、を備える、ことを特徴とする画像形成装置が記載されている。
【0004】
しかしながら、帯電部材に電圧を印加する電圧印加手段に個体差があることが知られている。図13は、電圧印加手段の個体差の一例を示す図である。第1象限は、電圧印加手段の入力電圧と出力電圧との関係を示し、第2象限は、帯電部材に印加される電圧と被帯電体に流れる電流との関係を示す。電圧印加手段の出力電圧と帯電部材に印加される電圧とは同じなので、ここでは同一の軸で示される。
【0005】
第1象限に、3つの電圧印加手段HV1、HV2、HV3それぞれの入力電圧と出力電圧との関係が示される。電圧印加手段HV1は、入力電圧に対する出力電圧の割合が、電圧印加手段HV2および電圧印加手段HV3よりも小さい。電圧印加手段HV3は、入力電圧に対する出力電圧の割合が、電圧印加手段HV1および電圧印加手段HV2よりも大きい。電圧印加手段HV2は、入力電圧に対する出力電圧の割合が、電圧印加手段HV1より大きく、電圧印加手段HV3よりも小さい。
【0006】
例えば、入力電圧1600Vに対して、電圧印加手段HV2においては出力電圧1600Vであるのに対して、電圧印加手段HV1は出力電圧が1600Vよりも小さく、電圧印加手段HV3は出力電圧が1600Vよりも大きい。このため、同じ被帯電体であっても電流の値が、電圧印加手段HV3により帯電体に電圧が印加される場合に被帯電体に流れる電流が最も大きく、電圧印加手段HV2により帯電体に電圧が印加される場合に被帯電体に流れる電流が次に大きく、電圧印加手段HV1により帯電体に電圧が印加される場合に被帯電体に流れる電流が最も小さくなる。このように、3つの電圧印加手段HV1、HV2、HV3のいずれを用いるかによって被帯電体に流れる電流の値が異なるので、被帯電体の交換時期を正確に判断することができないといった問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平9-237018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明の目的の1つは、像担持体の交換時期を正確に判定することが可能な画像形成装置を提供することである。
【0009】
この発明の他の局面に従えば、像担持体の交換時期を正確に判定することが可能な交換時期判定方法を提供することである。
【0010】
この発明のさらに他の局面に従えば、像担持体の交換時期を正確に判定することが可能な交換時期判定プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明のある局面によれば、画像形成装置は、表面に形成された静電潜像がトナーにより現像され、現像されたトナー像を担持する像担持体と、像担持体に電荷を付与する帯電手段と、入力される設定値に従って帯電手段に電圧を印加する電源回路と、像担持体に流れる電流の電流値を検出する電流検出手段と、電源回路に設定値が入力されることに応じて、電流検出手段により検出された電流値を設定値に対して定められた閾値と比較することにより、像担持体の交換時期を判定する判定手段と、を備え、判定手段は、設定値と電源回路が設定値に従って帯電手段に印加する電圧を計測して得られた実効値とを予め対応付けた性能データを用いて閾値を補正し、電流検出手段により検出された電流値を補正後の閾値と比較する。
【0012】
この局面に従えば、電源回路により帯電手段に電圧が印加され、像担持体に流れる電流の電流値が検出される。設定値と電源回路が設定値に従って帯電手段に印加する電圧を計測して得られた実効値とを予め対応付けた性能データを用いて閾値が補正され、像担持体に流れる電流の電流値が補正後の閾値と比較され、担持体の交換時期が判定される。性能データは電源回路が設定値に従って帯電手段に印加する電圧の値を実効値として定めるので、電源回路から帯電手段に実際に印加される電圧と設定値との違いを考慮することができる。その結果、像担持体の交換時期を正確に判断することが可能な画像形成装置を提供することができる。
【0014】
また、帯電手段に印加される電圧と像担持体に流れる電流との間の予め定められた関係を用いることができる。
【0015】
好ましくは、判定手段は、性能データを用いて設定値に対応する実効値を決定し、設定値と実効値との差分に基づいて閾値を補正する。
【0016】
この局面に従えば、設定値を性能データに基づき補正された閾値と比較すればよいので、交換時期を容易に判断することができる。
【0017】
好ましくは、判定手段は、性能データが設定値に対して定める実効値から設定値を減算した差分が大きいほど閾値を大きな値に変更し、差分が小さいほど閾値を小さな値に変更する。
【0018】
好ましくは、判定手段は、設定値と差分と閾値との関係を定めた関連情報を用いて閾値を決定する。
【0019】
この局面に従えば、閾値を容易に補正することができる。
【0022】
好ましくは、電源回路は、帯電手段に流れる電流を制御し、性能データは、電源回路が設定値に従って帯電手段に印加する電圧の値および帯電手段に流れる電流の値それぞれを実効値として定め、判定手段は、性能データ、設定値および電流検出手段により検出された電流値に基づいて、像担持体の交換時期を判定する。
【0023】
この局面に従えば、帯電手段の負荷の変動に対応することができるので、像担持体の交換時期を正確に判断することができる。
【0024】
好ましくは、性能データを予め記憶する記憶手段を、さらに備える。
【0025】
この局面に従えば、性能データの取得が容易である。
【0026】
好ましくは、記憶手段は、電源回路に設けられる。
【0027】
この局面に従えば、電源回路に固有の性能データの取得が容易である。
【0028】
この発明の他の局面によれば、交換時期判定方法は、画像形成装置で実行される交換時期判定方法であって、画像形成装置は、トナー像を形成する作像手段に設けられ、トナー像を担持する像担持体と、像担持体に電荷を付与する帯電手段と、入力される設定値に従って帯電手段に電圧を印加する電源回路と、像担持体に流れる電流の電流値を検出する電流検出手段と、を備え、電源回路に設定値が入力されることに応じて、電流検出手段により検出された電流値を設定値に対して定められた閾値と比較することにより、像担持体の交換時期を判定する判定ステップを含み、判定ステップは、設定値と電源回路が設定値に従って帯電手段に印加する電圧を計測して得られた実効値とを予め対応付けた性能データを用いて閾値を補正するステップと、電流検出手段により検出された電流値を補正後の閾値と比較するステップと、を含む。
【0029】
この局面に従えば、像担持体の交換時期を正確に判定することが可能な交換時期判定方法を提供することができる。
【0030】
この発明の他の局面によれば、交換時期判定プログラムは、画像形成装置を制御するコンピューターで実行される交換時期判定プログラムであって、画像形成装置は、トナー像を形成する作像手段に設けられ、トナー像を担持する像担持体と、像担持体に電荷を付与する帯電手段と、入力される設定値に従って帯電手段に電圧を印加する電源回路と、像担持体に流れる電流の電流値を検出する電流検出手段と、を備え、電源回路に設定値が入力されることに応じて、電流検出手段により検出された電流値を設定値に対して定められた閾値と比較することにより、像担持体の交換時期を判定する判定ステップをコンピューターに実行させ、判定ステップは、設定値と電源回路が設定値に従って帯電手段に印加する電圧を計測して得られた実効値とを予め対応付けた性能データを用いて閾値を補正するステップと、電流検出手段により検出された電流値を補正後の閾値と比較するステップと、を含む
【0031】
この局面に従えば、像担持体の交換時期を正確に判定することが可能な交換時期判定プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す斜視図である。
図2】MFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。
図3】MFPの内部構成を示す模式的断面図である。
図4】画像形成ユニットの詳細な構成を示す図である。
図5】感光体ドラムに流れる電流と感光体ドラムの感光層の膜厚との関係を示す図である。
図6】MFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図7】差分と閾値との関係を定めた演算式の一例を示す図である。
図8】性能データ設定処理の流れの一例を示す図である。
図9】交換時期判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10】電源回路の実効値が設定値よりも大きい場合の一例を示す図である。
図11】電源回路の実効値が設定値よりも大きい場合の一例を示す図である。
図12】第1の変形例におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。
図13】電圧印加手段の個体差の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。以下の説明では同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態の1つにおけるMFPの外観を示す斜視図である。図2は、MFPのハードウェア構成の概要を示すブロック図である。図1および図2を参照して、MFP(Multi Function Peripheral)100は、画像形成装置の一例であり、メイン回路110と、原稿を読み取る原稿読取部130と、原稿を原稿読取部130に搬送する自動原稿搬送装置120と、画像データに基づいて用紙に画像を形成する画像形成部140と、画像形成部140に用紙を供給する給紙部150と、ユーザーインターフェースとしての操作パネル160とを含む。
【0035】
自動原稿搬送装置120は、原稿トレイ上にセットされた複数枚の原稿を1枚ずつ自動的に原稿読取部130の原稿読み取り位置まで搬送し、原稿読取部130により原稿に形成された画像が読み取られた原稿を原稿排紙トレイ上に排出する。
【0036】
画像形成部140は、給紙部150により搬送される用紙に、周知の電子写真方式により画像を形成する。本実施の形態では、画像形成部140は、画像データと、用紙の媒体種別に対応する画像形成条件で、給紙部150により搬送される用紙に画像を形成する。画像が形成された用紙は排紙トレイ159に排出される。
【0037】
メイン回路110は、MFP100の全体を制御するCPU(中央演算処理装置)111と、通信インターフェース(I/F)部112と、ROM(Read OnlY MemorY)113と、RAM(Random Access MemorY)114と、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)115と、ファクシミリ部116と、電流値センサー117と、外部記憶装置118と、を含む。CPU111は、プログラムを実行するコンピューターの一例である。CPU111は、プログラムを実行することにより、自動原稿搬送装置120、原稿読取部130、画像形成部140、給紙部150および操作パネル160と接続され、MFP100の全体を制御する。
【0038】
ROM113は、CPU111が実行するプログラム、またはそのプログラムを実行するために必要なデータを記憶する。RAM114は、CPU111がプログラムを実行する際の作業領域として用いられる。また、RAM114は、原稿読取部130から連続的に送られてくる画像データを一時的に記憶する。
【0039】
操作パネル160は、MFP100の上部に設けられる。操作パネル160は、表示部161と操作部163とを含む。表示部161は、例えば、液晶表示装置(LCD)であり、ユーザーに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。なお、LCDに代えて、画像を表示する装置であれば、例えば、有機EL(electroluminescence)ディスプレイを用いることができる。
【0040】
操作部163は、タッチパネル165と、ハードキー部167とを含む。タッチパネル165は、静電容量方式である。なお、タッチパネル165は、静電容量方式に限らず、例えば、抵抗膜方式、表面弾性波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等の他の方式を用いることができる。ハードキー部167は、複数のハードキーを含む。ハードキーは、例えば接点スイッチである。
【0041】
通信I/F部112は、ネットワークにMFP100を接続するためのインターフェースである。通信I/F部112は、TCP(Transmission Control Protocol)またはFTP(File Transfer Protocol)等の通信プロトコルで、ネットワークに接続された他のコンピューターまたはデータ処理装置と通信する。通信I/F部112が接続されるネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)であり、接続形態は有線または無線を問わない。また、ネットワークは、LANに限らず、ワイドエリアネットワーク(WAN)、公衆交換電話網(PSTN)、インターネット等であってもよい。
【0042】
ファクシミリ部116は、公衆交換電話網(PSTN)に接続され、PSTNにファクシミリデータを送信する、またはPSTNからファクシミリデータを受信する。ファクシミリ部116は、受信したファクシミリデータを、HDD115に記憶するとともに、画像形成部140でプリント可能なプリントデータに変換して、画像形成部140に出力する。これにより、画像形成部140は、ファクシミリ部116により受信されたファクシミリデータの画像を用紙に形成する。また、ファクシミリ部116は、HDD115に記憶されたデータをファクシミリデータに変換して、PSTNに接続されたファクシミリ装置に送信する。
【0043】
外部記憶装置118は、CPU111により制御され、CD-ROM(Compact Disk Read OnlY MemorY)118A、または半導体メモリが装着される。本実施の形態においては、CPU111は、ROM113に記憶されたプログラムを実行する例を説明するが、CPU111は、外部記憶装置118を制御して、CD-ROM118AからCPU111が実行するためのプログラムを読出し、読み出したプログラムをRAM114に記憶し、実行するようにしてもよい。
【0044】
CPU111は、画像形成部140を制御し、用紙などの記録媒体に画像データの画像を形成させる。CPU111が画像形成部140に出力する画像データは、原稿読取部130から入力される画像データの他、外部から受信されるプリントデータ等の画像データを含む。
【0045】
なお、CPU111が実行するためのプログラムを記憶する記録媒体としては、CD-ROM118Aに限られず、フレキシブルディスク、カセットテープ、光ディスク(MO(Magnetic Optical Disc)/MD(Mini Disc)/DVD(Digital Versatile Disc))、ICカード、光カード、マスクROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)などの半導体メモリ等の媒体でもよい。さらに、CPU111がネットワークに接続されたコンピューターからプログラムをダウンロードしてHDD115に記憶する、または、ネットワークに接続されたコンピューターがプログラムをHDD115に書込みするようにして、HDD115に記憶されたプログラムをRAM114にロードしてCPU111で実行するようにしてもよい。ここでいうプログラムは、CPU111により直接実行可能なプログラムだけでなく、ソースプログラム、圧縮処理されたプログラム、暗号化されたプログラム等を含む。
【0046】
図3は、MFPの内部構成を示す模式的断面図である。図3を参照して、自動原稿搬送装置120は、原稿トレイに載置された1以上の原稿をさばいて、1枚ずつ原稿読取部130に搬送する。原稿読取部130は、自動原稿搬送装置120により原稿ガラス11上にセットされた原稿の画像を、その下方を移動するスライダー12に取付けられた露光ランプ13で露光する。原稿からの反射光は、ミラー14と2枚の反射ミラー15,15Aによりレンズ16に導かれ、CCD(Charge Coupled Devices)センサー18に結像する。
【0047】
CCDセンサー18に結像した反射光は、CCDセンサー18内で電気信号としての画像データに変換される。画像データは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の印字用データに変換されて、画像形成部140に出力される。
【0048】
画像形成部140は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックそれぞれの画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備える。ここで、“Y”、“M”、“C”および“K”は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックを表す。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの少なくとも1つが駆動されることにより、画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてが駆動されると、フルカラーの画像が形成される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kには、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの印字用データがそれぞれ入力される。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、取扱うトナーの色彩が異なるのみなので、ここでは、イエローの画像を形成するための画像形成ユニット20Yについて説明する。
【0049】
一方、中間転写ベルト30は、駆動ローラー33と従動ローラー34とにより弛まないように懸架されている。駆動ローラー33が図3中で反時計回りに回転すると、中間転写ベルト30が所定の速度で図中反時計回りに回転する。中間転写ベルト30の回転に伴って、従動ローラー34が、反時計回りに回転する。
【0050】
これにより、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kが、順に中間転写ベルト30上にトナー像を転写する。画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kそれぞれが、中間転写ベルト30上にトナー像を転写するタイミングは、中間転写ベルト30に付された基準マークを検出することにより、調整される。これにより、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックのトナー像が中間転写ベルト30上に重畳される。
【0051】
中間転写ベルト30に形成されたトナー像は、転写部材である2次転写ローラー26によって電界力の作用で用紙に転写される。用紙は、タイミングローラー31により搬送される中間転写ベルト30と2次転写ローラー26とが接するニップ部に搬送される。トナー像が転写された用紙は、定着ローラー32に搬送され、定着ローラー32により加熱および加圧される。これにより、トナーが溶かされて用紙に定着する。その後、用紙は排紙トレイ39に排出される。
【0052】
中間転写ベルト30の画像形成ユニット20Yの上流に、ベルト清掃ブレード29が設けられている。ベルト清掃ブレード29は、中間転写ベルト30上で用紙に転写されずに残ったトナーを除去する。
【0053】
給紙カセット35,35A,35Bには、それぞれサイズの異なる用紙がセットされている。給紙カセット35,35A,35Bそれぞれに収容された用紙は、給紙カセット35,35A,35Bにそれぞれ取付けられている取出ローラー36,36A,36Bにより、搬送経路へ供給され、給紙ローラー37によりタイミングローラー31へ送られる。
【0054】
MFP100は、フルカラーの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのすべてを駆動するが、モノクロの画像を形成する場合、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kのいずれか1つを駆動する。また、画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kの2以上を組み合わせて画像を形成することもできる。なお、ここでは、MFP100は、用紙に4色のトナーそれぞれを形成する画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kを備えたタンデム方式を採用する例について説明するが、1つの感光体ドラムで4色のトナーを順に用紙に転写する4サイクル方式を採用してもよい。
【0055】
画像形成ユニット20Y,20M,20C,20Kは、取り扱うトナーが異なるのみで、構成は同じである。ここでは、画像形成ユニット20Yを例に説明する。
【0056】
図4は、画像形成ユニットの詳細な構成を示す図である。図4を参照して、画像形成ユニット20Yは、イエローの印字用データが入力される露光装置21Yと、像担持体である感光体ドラム23Yと、感光体ドラム23Yの表面を一様に帯電するための帯電ローラー22Yと、現像装置24Yと、感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像を電界力の作用で像担持体である中間転写ベルト30上に転写するための1次転写ローラー25Yと、感光体ドラム23Y上の転写残トナーを除去するためドラム清掃ブレード27Yと、電源回路145と、電流値センサー117と、を備える。
【0057】
感光体ドラム23Yの周辺に、帯電ローラー22Y、露光装置21Y、現像装置24Y、1次転写ローラー25Y、ドラム清掃ブレード27Yが、感光体ドラム23Yの回転方向に沿って順に配置される。
【0058】
この感光体ドラム23Yに対して帯電ローラー22Yが接触するように配置される。感光体ドラム23Yは、アルミニウム製の円筒の表面に、OPC(有機光半導体)等の感光体からなる感光層が形成されている。
【0059】
感光体ドラム23Yは、電流値センサー117に接続されている。電源回路145は、CPU111により制御され、CPU111から入力される設定値に従って帯電ローラー22Yに設定値に対応する電圧を印加する。電源回路145は、ROM147が搭載されている。ROM147には、電源回路145の性能データが記憶されている。性能データについては後述する。
【0060】
電源回路145によって帯電ローラー22Yに所定の電圧が印加されることにより、帯電ローラー22Yが感光体ドラム23Yを帯電させる。この間に感光体ドラム23Yに流れる電流の値が電流値センサー117により測定される。
【0061】
感光体ドラム23Yは、帯電ローラー22Yによって帯電された後、露光装置21Yが発光するレーザー光が照射される。帯電ローラー22Yは電源回路145により所定の電圧が印加される。露光装置21Yは、感光体ドラム23Yの表面の画像対応部を露光して静電潜像を形成する。これにより、感光体ドラム23Yに静電潜像が形成される。続いて、現像装置24Yが、感光体ドラム23Yに形成された静電潜像を帯電したトナーで現像する。
【0062】
具体的には、現像装置24Yは、ケース200Y、第2スクリュー203Y、第1スクリュー201Y、現像ローラー221Yを備えている。ケース200Y内に、現像ローラー221Y、第1スクリュー201Yおよび第2スクリュー203Yがそれぞれ平行な状態で設けられる。第2スクリュー203Yおよび第1スクリュー201Yが回転することにより、ケース200Y内で現像剤を循環させる。現像ローラー221Yは、複数の磁極を有する磁石を内蔵したスリーブ状であり、感光体ドラム23Yと僅かな間隔を保持して回転駆動される。現像ローラー221Yは、第1スクリュー201Yと対向して設けられる。さらに、現像ローラー221Yは、ケース200Yから露出しており、感光体ドラム23Yと対向している。現像ローラー221Yは、磁石を内蔵しており、磁力により磁性体のキャリアを非磁性体のトナーとともに吸着して、第1スクリュー201Yにより搬送されてきた現像剤を担持する。
【0063】
現像ローラー221Yは、トナーを感光体ドラム23Yに付与して静電潜像を現像する。具体的には、現像ローラー221Yには、現像バイアスが印加されている。これにより、現像ローラー221Yの周面の電位は、感光体ドラム23Yの周面の露光装置21Yによりレーザー光が照射された部分の電位(略0V)よりも低く、かつ、感光体ドラム23Yの周面のレーザー光が照射されていない部分の電位よりも高くなる。現像ローラー221Yが担持している現像剤の内のトナーは、負に帯電しているので、感光体ドラム23Yの周面のレーザー光が照射された部分に付着する。これにより、感光体ドラム23Yの周面には負に帯電したトナーによりトナー像が形成される。
【0064】
感光体ドラム23Y上に形成されたトナー像は、像担持体である中間転写ベルト30上に1次転写ローラー25Yにより電界力の作用で転写される。感光体ドラム23Y上で転写されずに残ったトナーは、ドラム清掃ブレード27Yにより感光体ドラム23Yから除去される。
【0065】
感光体ドラム23Yは、画像形成回数が増加するにしたがって摩耗などにより感光層の膜厚が減少する。帯電ローラー22Yに電源回路145により所定の電圧が印加された状態で感光体ドラム23Yに流れる電流は、感光体ドラム23Yの感光層の膜厚に比例し、膜厚が薄いほど電流が大きい。
【0066】
図5は、感光体ドラムに流れる電流と感光体ドラムの感光層の膜厚との関係を示す図である。横軸に電流値が示され、縦軸に感光層の膜厚が示される。図5に示す関係を用いて、感光体ドラム23Yに流れる電流から感光体ドラム23Yの感光層の膜厚が決定される。本実施の形態におけるMFP100は、感光体ドラム23Yの寿命時膜厚を定めており、帯電ローラー22Yに電源回路145により所定の電圧が印加された状態で感光体ドラム23Yに流れる電流を検出することで、感光体ドラム23Yの交換時期を判断する。
【0067】
図6は、MFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図6に示す機能は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された交換時期判定プログラムを実行することにより、CPU111により実現される。
【0068】
図6を参照して、CPU111は、電流検出部51と、電源制御部53と、判定部55と、性能データ取得部57と、を含む。性能データ取得部57は、電源回路145が備えるROM147に記憶された性能データを読み出し、性能データを判定部55に出力する。性能データは、電源回路145の特性を示すデータであり、電源回路145に固有の値である。性能データは、電源回路145が設定値に従って帯電ローラー22Yに印加する電圧の実効値を定める。性能データは、電源回路145を検査することにより生成され、ROM147に記憶される。性能データは、電源回路145が製造された後、例えば、検査工程でROM147に記憶される。設定値が複数存在する場合には、性能データは、複数の設定値それぞれに対応する実効値を含む。設定値と実効値との間に所定の相関がある場合には、性能データは設定値と実効値との関係を定めた演算式であってもよい。
【0069】
電源制御部53は、電源回路145に設定値を入力し、電源回路145に帯電ローラー22Yに電圧を印加させる。電源制御部53は、電源回路145に入力した設定値を判定部55に出力する。電流検出部51は、電流値センサー117を制御し、感光体ドラム23Yに流れる電流を検出させる。電流検出部51は、電流値センサー117により検出された電流値を判定部55に出力する。
【0070】
判定部55は、感光体ドラム23Yが交換時期か否かを判定する。具体的には、判定部55は、感光体ドラム23Yに流れる電流が、帯電ローラー22Yに印加される電圧に対して定められた閾値と比較し、閾値より大きい場合に交換時期と判断する。閾値は、感光体ドラム23Yに流れる電流の上限値である。
【0071】
判定部55は、閾値補正部63と、比較部61とを含む。閾値補正部63は、電源制御部53から入力される設定値と、性能データ取得部57から入力される性能データとに基づいて、閾値を変更する。閾値補正部63は、変更後の閾値を比較部61に出力する。具体的には、閾値補正部63は、実行値から設定値を減算した差分を算出し、差分が大きいほど閾値を大きな値に変更し、差分が小さいほど閾値を小さな値に変更する。差分と閾値との関係を定めた演算式が準備される場合、演算式を用いて変更後の閾値が求められてもよい。
【0072】
なお、複数の電圧値にそれぞれ対応して複数の閾値を定めた閾値テーブルを記憶している場合には、閾値補正部63は、その閾値テーブルを用いて閾値を変更してもよい。具体的には、閾値補正部63は、性能データに基づいて設定値に対応する実効値を決定する。そして、閾値補正部63は、閾値テーブルにおいて設定値に対して定められた閾値を、閾値テーブルにおいて実効値に対して予め定められた閾値に変更する。
【0073】
比較部61は、電流検出部51から入力される電流値が閾値補正部63から入力される閾値と比較する。比較部61は、電流値が閾値より大きい場合に感光体ドラム23Yが交換時期と判断し、電流値が閾値以下の場合に感光体ドラム23Yが交換時期でないと判断する。比較部61は、感光体ドラム23Yが交換時期と判断する場合、例えば、表示部161に交換時期であることを示すメッセージを表示する。
【0074】
図7は、差分と閾値との関係を定めた演算式の一例を示す図である。図7を参照して、横軸が差分を示し、縦軸が閾値を示す。演算式は、差分と閾値とが比例する関数で示される。関数は、差分が大きいほど大きな閾値を定め、差分が小さいほど小さな閾値を定める。
【0075】
図8は、性能データ設定処理の流れの一例を示す図である。性能データ設定処理は、電源回路145を検査する検査用コンピューターが、性能データ設定プログラムを実行することにより、検査用コンピューターにより実行される処理である。図8を参照して、検査用コンピューターは、検査対象となる電源回路145に設定値を設定する。具体的には、電源回路145の入力端子に設定値を含むコマンドが入力される。そして、電源回路145の出力電圧が検出される(ステップS02)。検査用コンピューターは、電源回路145の出力端子間の電圧を電圧計に計測させ、その電圧計から電圧を取得する。
【0076】
次のステップS03においては、電圧計から取得された電圧が実効値に設定され、処理はステップS04に進む。ステップS04においては、ステップS01において電源回路145に設定された設定値と、ステップS03において実行値に設定された電圧とを関連付けた性能データを生成し、性能データを電源回路145が備えるROM147に格納し、処理を終了する。なお、複数の設定値それぞれに対して実効値を定める性能データが生成される場合は、ステップS01~ステップS04が設定値の数だけ繰り返される。
【0077】
図9は、交換時期判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。交換時期判定処理は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された交換時期判定プログラムを実行することにより、CPU111により実行される処理である。図9を参照して、CPU111は、電源回路145が備えるROM147から性能データを読み出し(ステップS21)、処理をステップS22に進める。
【0078】
ステップS22においては、電源回路145に設定値が設定され、処理はステップS23に進む。この段階で、電源回路145から帯電ローラー22Yに電圧が印加される。具体的には、電源回路145の入力端子に設定値を含むコマンドが入力される。ステップS23においては、実効値が決定され、処理はステップS24に進む。性能データにおいて、設定値に対して定められた実効値が決定される。ステップS24においては、実効値から設定値を減算した差分が算出され、処理はステップS25に進む。
【0079】
ステップS25においては、図7に示した演算式を用いて、変更後の閾値が決定され、処理はステップS26に進む。ステップS26においては、設定値に対して定められた閾値がステップS25において決定された閾値に変更され、処理はステップS27に進む。
【0080】
ステップS27においては、感光体ドラム23Yに流れる電流が検出され、処理はステップS28に進む。電流値センサー117により計測された電流が取得される。ステップS28においては、感光体ドラム23Yに流れる電流が、ステップS26において変更された閾値より大きいか否かが判断される。感光体ドラム23Yに流れる電流が変更された閾値より大きいならば処理はステップS29に進むが、そうでなければ処理は終了する。ステップS29においては、感光体ドラム23Yの交換時期と判断し、処理はステップS30に進む。ステップS30においては、感光体ドラム23Yの交換時期であることを通知するメッセージが表示部161に表示され、処理は終了する。
【0081】
<実施例>
図10は、電源回路の実効値が設定値よりも大きい場合の一例を示す図である。図10においては、上側のグラフが印刷枚数に対する感光体ドラム23Yに流れる電流値を示し、下側のグラフが印刷枚数に対する感光体ドラム23Yの膜厚を示す。印刷枚数と感光体ドラム23Yに流れる電流値とは正比例し、印刷枚数が増加すれば電流値が増加する。印刷枚数と感光体ドラム23Yの膜厚とは正比例し、印刷枚数が増加すれば電流値が減少する。
【0082】
電源回路145の実効値が設定値よりも大きい場合、閾値がより大きな値に変更される。このため、電流値が変更後の閾値を超える時点の印刷枚数P2における感光体ドラム23Yの膜厚が交換時期に対して予め定められた膜厚に近い。このため、感光体ドラム23Yの交換時期が適切に判断される。
【0083】
電源回路145の実効値が設定値よりも大きい場合、閾値がより大きな値に変更されない場合、電流値が閾値を超える時点の印刷枚数P1における感光体ドラム23Yの膜厚が交換時期に対して予め定められた膜厚よりも大きい。このため、電源回路145の実効値が設定値よりも大きい場合に閾値がより大きな値に変更されることにより、感光体ドラム23Yが交換時期に到達していないのに、交換時期と判断しないようにできる。
【0084】
図11は、電源回路の実効値が設定値よりも小さい場合の一例を示す図である。図11においては、上側のグラフが印刷枚数に対する感光体ドラム23Yに流れる電流値を示し、下側のグラフが印刷枚数に対する感光体ドラム23Yの膜厚を示す。印刷枚数と感光体ドラム23Yに流れる電流値とは正比例し、印刷枚数が増加すれば電流値が増加する。印刷枚数と感光体ドラム23Yの膜厚とは正比例し、印刷枚数が増加すれば電流値が減少する。
【0085】
電源回路145の実効値が設定値よりも小さい場合、閾値がより小さな値に変更される。このため、電流値が変更後の閾値を超える時点の印刷枚数P2における感光体ドラム23Yの膜厚が交換時期に対して予め定められた膜厚に近い。このため、感光体ドラム23Yの交換時期が適切に判断される。
【0086】
電源回路145の実効値が設定値よりも小さい場合、閾値がより小さな値に変更されない場合、電流値が閾値を超える時点の印刷枚数P2における感光体ドラム23Yの膜厚が交換時期に対して予め定められた膜厚よりも小さい。このため、電源回路145の実効値が設定値よりも小さい場合に閾値がより小さな値に変更されることにより、感光体ドラム23Yが交換時期を過ぎてもなお、交換時期が通知されないことがないようにできる。
【0087】
<第1の変形例>
第1の変形例におけるMFP100は、設定値に対する閾値を変更するのに代えて、電源回路145が帯電ローラー22Yに印加する電圧が設定値と同じ値になるように設定値を補正する。第1の変形例におけるMFP100は、性能データに基づいて設定値を補正するので、CPU111は、設定値を性能データに基づき補正された設定値を閾値と比較すればよいので、交換時期を容易に判断することができる。以下、電源回路145に設定する値を入力値という。
【0088】
図12は、第1の変形例におけるMFPが備えるCPUが有する機能の一例を示すブロック図である。図12に示す機能は、MFP100が備えるCPU111が、ROM113、HDD115またはCD-ROM118Aに記憶された交換時期判定プログラムを実行することにより、CPU111により実現される。
【0089】
図12を参照して、図6に示した機能と異なる点は、判定部55が判定部55Aに変更された点、設定値補正部71が追加された点である。その他の機能は図6に示した機能と同じなのでここでは説明を繰り返さない。
【0090】
設定値補正部71は、性能データに基づいて設定値を補正する。具体的には、電源回路145が帯電ローラー22Yに印加する電圧が設定値と同じ値になるように、電源回路145に入力する入力値を設定値から変更する。具体的には、設定値補正部71は、性能データにおいて設定値と同じ実効値に関連付けられた設定値を入力値に決定する。
【0091】
設定値補正部71は、入力値を電源制御部53に出力する。この場合、電源制御部53は、入力値に対応する電圧を帯電ローラー22Yに印加する。これにより、実効値が設定値に等しくなる。
【0092】
このため、判定部55Aに含まれる比較部61は、電流検出部51から入力される電流値を設定値に対して定められた閾値と比較する。比較部61は、電流値が閾値以下の場合に感光体ドラム23Yが交換時期と判断し、電流値が閾値以下でない場合に感光体ドラム23Yが交換時期でないと判断する。
【0093】
<第2の変形例>
電源回路145は、帯電ローラー22Yに流れる電流を制御してもよい。具体的には、電源回路145、CPU111から入力される設定値に従って帯電ローラー22Yに設定値に対応する電圧を印加するとともに帯電ローラー22Yに設定値に対応する電流値が流れるように電圧および電流を制御する。
【0094】
第2の変形例においては、性能データは、電源回路が設定値に従って負荷に印加する電圧の値と負荷に流れる電流の値それぞれを実行値として定める。また、閾値は、電圧および電流の組に対して定められる。このため、第2の変形例における閾値補正部63は、設定値の電圧値および電流値の組に対して定められた閾値を、性能データによって定まる電圧の実効値と電流の実効値との組に対して定められた閾値に変更する。
【0095】
第2の変形例においては、電源回路145により帯電ローラー22Yに印加される電圧および帯電ローラー22Yに流れる電流が制御されるので、帯電ローラー22Yの負荷が経時的に変化する場合であっても感光体ドラム23Yの交換時期を正確に判断することができる。
【0096】
<第3の変形例>
性能データは、MFP100が備えるHDD115に記憶されてもよい。また、性能データがHDD115に記憶されるタイミングは、限定するものではないが、電源回路145が組み込まれる段階である。
【0097】
以上説明したように本実施の形態におけるMFP100は、表面に形成された静電潜像がトナーにより現像され、現像されたトナー像を担持する感光体ドラム23Yと、感光体ドラム23Yに電荷を付与する帯電ローラー22Yと、入力される設定値に従って帯電ローラー22Yに電圧を印加する電源回路145と、感光体ドラム23Yに流れる電流の電流値を検出する電流値センサー117と、電源回路145が設定値に従って帯電ローラー22Yに印加する電圧の値を実行値として定めた性能データ、設定値および電流値センサー117により検出された電流値に基づいて感光体ドラム23Yの交換時期を判定するCPU111と、を備える。CPU111は、帯電ローラー22Yに印加される電圧と感光体ドラム23Yに流れる電流との間の予め定められた関係を用いて感光体ドラム23Yの交換時期を判定する。性能データは、電源回路145が設定値に従って帯電ローラー22Yに印加する電圧の値を実行値として定めるので、電源回路145から帯電ローラー22Yに実際に印加される電圧と設定値との違いが考慮されて交換時期が判定される。このため、感光体ドラム23Yの交換時期を正確に判断することができる。
【0098】
また、CPU111は、電流値センサー117により検出された電流値を設定値に対して定められた閾値と比較するので、帯電ローラー22Yに印加される電圧と感光体ドラム23Yに流れる電流との間の予め定められた関係を用いて感光体ドラム23Yの交換時期を判断することができる。
【0099】
また、CPU111は、性能データに基づいて閾値を補正するので、交換時期を正確に判断することができる。また、CPU111は、設定値を性能データに基づき補正された閾値と比較すればよいので、交換時期を容易に判断することができる。
【0100】
また、CPU111は、設定値と、実行値から設定値を減算した差分と、閾値との関係を定めた関連情報を予め記憶してもよい。この場合は、関連情報を用いて閾値が決定されるので、CPU111は、閾値を容易に補正することができる。
【0101】
また、電源回路145は、性能データが記憶されたROM147を備えるので、CPU111は、電源回路145に固有の性能データを容易に取得することができる。
【0102】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0103】
100 MFP、111 CPU、20Y,20M,20C,20K 画像形成ユニット、21Y,21M,21C,21K 露光装置、22Y、22M,22C,22K 帯電ローラー、23Y,23M,23C,23K 感光体ドラム、24Y,24M,24C,24K 現像装置、25Y,25M,25C,25K 1次転写ローラー、26 2次転写ローラー、27Y,27M,27C,27K ドラム清掃ブレード、29 ベルト清掃ブレード、30 中間転写ベルト、31 タイミングローラー、32 定着ローラー、33 駆動ローラー、34 従動ローラー、35,35A,35B 給紙カセット、37 給紙ローラー、39 排紙トレイ、200Y ケース、201Y 第1スクリュー、203Y 第2スクリュー、221Y 現像ローラー、51 電流検出部、53 電源制御部、55,55A 判定部、57 性能データ取得部、61 比較部、63 閾値補正部、71 設定値補正部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13