IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 住友ゴム工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ゴルフボール 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
A63B37/00 316
A63B37/00 342
A63B37/00 616
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019216325
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021083843
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125184
【弁理士】
【氏名又は名称】二口 治
(74)【代理人】
【識別番号】100188488
【弁理士】
【氏名又は名称】原谷 英之
(72)【発明者】
【氏名】林 界
(72)【発明者】
【氏名】重光 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】志賀 一喜
(72)【発明者】
【氏名】小森 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】多羅尾 俊之
(72)【発明者】
【氏名】横田 政利
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-183136(JP,A)
【文献】特開2018-102561(JP,A)
【文献】特開2010-012250(JP,A)
【文献】特開2014-128666(JP,A)
【文献】特開平11-151322(JP,A)
【文献】特開2000-024139(JP,A)
【文献】特開2012-090973(JP,A)
【文献】特開2017-095696(JP,A)
【文献】特開2004-114536(JP,A)
【文献】特開2005-002172(JP,A)
【文献】米国特許第04798386(US,A)
【文献】特開2017-118950(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00 - 37/14
C09D 11/00 - 13/00
C09D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、
前記カバーが、第一基材樹脂と蛍光顔料とを含有する樹脂組成物から形成されており、
前記第一基材樹脂が、ウレタン樹脂を含有し、
前記蛍光顔料が、第二基材樹脂中に蛍光染料を分散させたものであり、前記第二基材樹脂が、熱硬化性樹脂であり、
前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径が、2.5μm~100μmであり、
前記蛍光顔料の密度が、1.300g/cm 3 ~1.355g/cm 3 であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項2】
コアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、
前記カバーが、第一基材樹脂と蛍光顔料とを含有する樹脂組成物から形成されており、
前記第一基材樹脂が、アイオノマー樹脂を含有し、
前記蛍光顔料が、第二基材樹脂中に蛍光染料を分散させたものであり、前記第二基材樹脂が、熱硬化性樹脂であり、
前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径が、2.5μm~100μmであり、
前記蛍光顔料の密度が、1.300g/cm 3 ~1.355g/cm 3 であることを特徴とするゴルフボール。
【請求項3】
前記蛍光顔料は、個数基準の10%径(D10)と個数基準の90%径(D90)との差(D90-D10)が、0.5μm~10μmである請求項1または2に記載のゴルフボール。
【請求項4】
前記第二基材樹脂が、ベンゾグアナミン樹脂である請求項1~3のいずれか1項に記載のゴルフボール。
【請求項5】
前記樹脂組成物中の前記蛍光顔料の含有量が、第一基材樹脂100質量部に対して、0.1質量部~10質量部である請求項1~4のいずれか一項に記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールに関し、特にカバーが蛍光顔料を含有するカラーゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、ゴルフボールは白色である。雨、曇り、霧、薄暗い条件等の悪天候の場合には、白色ゴルフボールの弾道を追って、ゴルフボールの落下地点を視認することが困難である。また、白色のゴルフボールが枯れた芝生の上に止まっている場合には、ゴルフボールの近くにいても、ゴルフボールを見つけることが難しい。また、最近、ゴルフボールにファッション性を求めるゴルフプレーヤーも増加している。このような状況下、ファッション性を有する外観、悪天候での視認性などの要求を満足するために、カラーゴルフボールが提案されている。
【0003】
このようなカラーゴルフボールは、添加された染料や顔料の発色安定性が高いことが重要である。そこで、特許文献1には、コアと、前記コアを被覆するカバーとを有し、前記カバーが第一基材樹脂と蛍光顔料とを含有する樹脂組成物から形成されており、前記蛍光顔料が第二基材樹脂に蛍光染料を分散させたものであり、前記第一基材樹脂の溶解度パラメーター値(SP1)((cal/cm30.5)と前記第二基材樹脂の溶解度パラメーター値(SP2)((cal/cm30.5)との差の絶対値(│SP1-SP2│)が6以下であるゴルフボールが記載されている(特許文献1(請求項1)参照)。
【0004】
特許文献2には、コアと、外表面に多数のディンプルが形成されるカバーと、該カバーに接した内側層とを具備するカラーゴルフボールであり、(i)内側層とボールとの色差ΔE*が30以上;(ii)JIS Z8729に基づくL***表示法によって表したとき、内側層の明度L*値が82以上、かつ(a*2+b*21/2で表わされる彩度Cが10以下;(iii)ボールの明度L*値が50以上;(iv)ボールの明度L*値≦内側層の明度L*値;(v)内側層の透明度が、全透過率10%以下、平行透過率1.0%以下;(vi)カバー透明度が、全透過率50%以上、平行透過率1.0%以上の条件を満たすカラーゴルフボールが記載されている(特許文献2(請求項1)参照)。
【0005】
特許文献3には、コアと、該コアを被覆する1層以上のカバーと、該カバーの最外層の表面に施されるペイント層とを有するゴルフボールにおいて、上記カバーの最外層及び/又は上記ペイント層が蛍光顔料により着色されており、JIS Z 8722に準拠した反射物体の測定方法における測定孔径φ5mmにおけるボール自体の色調が、Lab表色系で、30≦L、-40≦a≦60、-20≦b≦60であるゴルフボールが記載されている(特許文献3(請求項1)参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2018-102561号公報
【文献】特開2010-012250号公報
【文献】特開2010-246642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、カラーゴルフボールが提案されているが、染料や顔料の発色安定性は改善の余地があった。本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、発色安定性に優れたゴルフボールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決することができた本発明のゴルフボールは、コアと前記コアを被覆するカバーとを有し、前記カバーが、第一基材樹脂と蛍光顔料とを含有する樹脂組成物から形成されており、前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径が、2.5μm以上であることを特徴とする。前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径が2.5μm以上であれば、蛍光顔料の単位体積当たりの表面積が小さくなり、蛍光顔料と第一基材樹脂との接触面積が低減される。そのため、蛍光顔料が含有する蛍光染料が、カバーを構成する第一基材樹脂へと移行することが抑制され、カバーの発色安定性が向上する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、発色安定性に優れたカラーゴルフボールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された一部切り欠き断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明のゴルフボールは、コアと前記コアを被覆するカバーとを有し、前記カバーが、第一基材樹脂と蛍光顔料とを含有する樹脂組成物から形成されており、前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径が、2.5μm以上であることを特徴とする。前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径が2.5μm以上であれば、蛍光顔料の単位体積当たりの表面積が小さくなり、蛍光顔料と第一基材樹脂との接触面積が低減される。そのため、蛍光顔料が含有する蛍光染料が、カバーを構成する第一基材樹脂へと移行することが抑制され、カバーの発色安定性が向上する。
【0012】
[カバー用樹脂組成物]
カバー用樹脂組成物は、第一基材樹脂と蛍光顔料とを含有する。
【0013】
〔蛍光顔料〕
前記蛍光顔料は、第二基材樹脂に蛍光染料を分散させたものである。前記蛍光顔料としては、第二基材樹脂に蛍光染料を分散させ、固定したものが好ましい。第二基材樹脂に蛍光染料を固定したものとしては、例えば、第二基材樹脂として熱硬化性樹脂を使用して蛍光染料を固定したもの;蛍光染料と基剤樹脂を反応させて固定したものが挙げられる。
【0014】
(第二基材樹脂)
前記第二基材樹脂は特に限定されず、従来蛍光顔料に使用される樹脂が使用でき、熱硬化性樹脂が好ましい。前記第二基材樹脂としては、例えば、ベンゾグアナミン樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられる。前記第二基材樹脂としては、ベンゾグアナミン樹脂、アクリル系樹脂およびポリエステル樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましく、ベンゾグアナミン樹脂がより好ましい。前記第二基材樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0015】
ベンゾグアナミン樹脂
ベンゾグアナミン樹脂としては、ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物が挙げられる。
【0016】
アクリル系樹脂
アクリル系樹脂としては、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルの重合体が挙げられる。前記アクリル酸エステルの重合体としては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等が挙げられる。前記メタクリル酸エステルの重合体としては、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸ブチル等が挙げられる。
【0017】
ポリエステル樹脂
前記ポリエステル樹脂は、分子の主鎖にエステル結合を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、ジカルボン酸とジオールとを反応させることにより得られるものが好ましい。
【0018】
〔蛍光染料〕
蛍光染料は、有機系または無機系のいずれであっても良く、市販されているいずれの蛍光染料であってもよい。前記蛍光染料としては、例えば、チオキサンテン誘導体、サンテン誘導体、ペリレン誘導体、ペリレンイミド誘導体、クマリン誘導体、チオインジゴ誘導体、ナフタルイミド誘導体、メチン誘導体等を挙げることができる。
【0019】
前記蛍光染料としては、特に限定されないが、具体例を商品名で例示すると、Lumogen F Orange.TM. 240(BASF社製);Lumogen F Yellow.TM. 083(BASF社製);Hostasol Yellow.TM. 3G(Hoechst-Celanese社製);Oraset Yellow.TM. 8GF(Ciba-Geigy社製);Fluorol 088.TM.(BASF社製);Thermoplast F Yellow.TM. 084(BASF社製);Golden Yellow.TM. D-304(DayGlo社製);Mohawk Yellow.TM. D-299(DayGlo社製);Potomac Yellow.TM. D-838(DayGlo社製);Polyfast Brilliant Red.TM. SB(Keystone社製)等の黄色系蛍光染料を挙げることができる。
【0020】
前記蛍光顔料は、個数基準の累積中位径(50%径、D50)(小径側を0%とした個数基準の累積分布における累積50%に対応する粒子径)が、2.5μm以上、好ましくは2.6μm以上、より好ましくは2.7μm以上、特に好ましくは3.0μm以上である。前記累積中位径が2.5μm以上であれば蛍光顔料の単位体積当たりの表面積が小さくなり、蛍光顔料と第一基材樹脂との接触面積が低減されるため、発色安定性が向上する。また、前記累積中位径は100μm以下が好ましく、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは20μm以下である。前記累積中位径が100μm以下であれば蛍光顔料の粒子が大きすぎず発色性が安定する。
【0021】
前記蛍光顔料は、個数基準の10%径(D10)(小径側を0%とした個数基準の累積分布における累積10%に対応する粒子径)が、1.3μm以上が好ましく、より好ましくは1.4μm以上、さらに好ましくは1.5μm以上であり、前記10%径が1.3μm以上であれば蛍光顔料の凝集が抑制され、発色性が良好となる。
【0022】
前記蛍光顔料は、個数基準の90%径(D90)(小径側を0%とした個数基準の累積分布における累積90%に対応する粒子径)が、250μm以下が好ましく、より好ましくは230μm以下、さらに好ましくは200μm以下、特に好ましくは30μm以下である。前記90%径が250μm以下であれば蛍光顔料の粒子が大きすぎず、蛍光顔料の分散性が良好となる。
【0023】
前記10%径(D10)と90%径(D90)との差(D90-D10)は、0.5μm以上が好ましく、より好ましくは1.0μm以上、さらに好ましくは2.0μm以上であり、10μm以下が好ましく、より好ましくは8.0μm以下、さらに好ましくは6.0μm以下である。前記差(D90-D10)が上記範囲内であれば蛍光顔料の粒子分布が安定し、カバー用組成物の成型性が優れる。
【0024】
前記蛍光顔料は、個数基準のモード径が、2.0μm以上が好ましく、より好ましくは2.2μm以上、さらに好ましくは2.3μm以上であり、100μm以下が好ましく、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは50μm以下、特に好ましくは15μm以下である。前記モード径が2.0μm以上であれば蛍光顔料の単位体積当たりの表面積が小さくなり、蛍光顔料と第一基材樹脂との接触面積が低減されるため、発色安定性が向上し、100μm以下であれば蛍光顔料の粒子が大きすぎず、発色性が安定する。前記モード径は、個数基準の頻度分布グラフにおいて、極大値(最頻値)を有する粒子径である。
【0025】
前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径(50%径)、10%径、90%径およびモード径は、原料として使用する蛍光顔料の粉末を電子顕微鏡で撮影し、その画像から求めることができる。なお、蛍光顔料の粒子径は、カバー用組成物の調製後、カバーの成形後であっても変化しないため、カバー用組成物から形成したスラブや成形後のカバーについて電子顕微鏡観察を行うことでも、蛍光顔料の粒子径を測定することができる。
【0026】
前記蛍光顔料の密度は、1.300g/cm3以上が好ましく、3.0g/cm3以下が好ましく、1.355g/cm 3 以下がより好ましい。蛍光顔料の密度が上記範囲内であれば、カバー成型時に蛍光顔料が基材樹脂から分離することが抑制される。なお、密度とは、蛍光顔料の質量と、その質量の蛍光顔料が占有する体積の比(質量/体積)である。
【0027】
前記蛍光顔料の粒子形状は特に限定されず、球状、略球状、楕円球状、略楕円球状、不定形状等が挙げられ、球状または略球状が好ましい。粒子形状が球状または略球状であれば、単位体積当たりの表面積が小さく、カバーの発色安定性がより向上する。
【0028】
前記蛍光顔料の含有量は、第一基材樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.5質量部以上、特に好ましくは1.0質量部以上であり、10質量部以下が好ましく、より好ましくは9質量部以下、さらに好ましくは8質量部以下、特に好ましくは5質量部以下である。前記蛍光顔料の含有量が上記範囲内であれば蛍光顔料が十分な発色性を有する。
【0029】
(第一基材樹脂)
前記第一基材樹脂は特に限定されず、従来ゴルフボールのカバーに使用される樹脂が使用できる。前記第一基材樹脂としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、アミド樹脂、スチレン系エラストマー等が挙げられる。前記カバー用の樹脂組成物は、第一基材樹脂として、ウレタン樹脂、アイオノマー樹脂およびアミド樹脂よりなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含有することが好ましい。前記第一基材樹脂は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0030】
(ポリウレタン樹脂)
前記ポリウレタン樹脂は、分子内にウレタン結合を複数有するものであれば、特に限定されず、例えば、ポリイソシアネートと高分子量ポリオールとを反応させることによって、ウレタン結合が分子内に形成された生成物であり、必要に応じて、さらに低分子量ポリオールや低分子量ポリアミン等の鎖長延長剤により鎖長延長反応させることにより得られるものである。前記ポリウレタン樹脂としては、熱可塑性ポリウレタンが好ましい。
【0031】
前記ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分としては、イソシアネート基を2以上有するものであれば特に限定されず、例えば、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、2,4-トルエンジイソシアネートと2,6-トルエンジイソシアネートの混合物(TDI)、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5-ナフチレンジイソシアネート(NDI)、3,3’-ビトリレン-4,4’-ジイソシアネート(TODI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)、パラフェニレンジイソシアネート(PPDI)等の芳香族ポリイソシアネート;4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(H6XDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ノルボルネンジイソシアネート(NBDI)等の脂環式ポリイソシアネートまたは脂肪族ポリイソシアネート等のうちの1種または2種以上の混合物等である。
【0032】
耐擦過傷性を向上するという観点からは、ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分として、芳香族ポリイソシアネートを使用することが好ましい。芳香族ポリイソシアネートを使用することにより、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られる。また、耐候性を向上するという観点からは、ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネート成分として、非黄変性のポリイソシアネート(TMXDI、XDI、HDI、H6XDI、IPDI、H12MDI、NBDI等)を使用することが好ましく、さらに好ましくは4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を使用する。4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)は剛直な構造を有しており、得られるポリウレタンの機械的特性が向上し、耐擦過傷性に優れるカバーが得られるからである。
【0033】
前記ポリウレタン樹脂を構成するポリオール成分としては、ヒドロキシ基を複数有するものであれば特に限定されず、例えば、低分子量のポリオールや高分子量のポリオール等を挙げることができる。低分子量のポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロパンジオール(例:1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール等)、ジプロピレングリコール、ブタンジオール(例:1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール等)、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、1,6-シクロへキサンジメチロール、アニリン系ジオール、ビスフェノールA系ジオール等のジオール;グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール等のトリオール;ペンタエリスリトール、ソルビトールなどのテトラオールまたはヘキサオール等が挙げられる。
【0034】
高分子量のポリオールとしては、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、ポリオキシテトラメチレングリコール(PTMG)等のポリエーテルポリオール;ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、ポリヘキサメチレンアジペート(PHMA)等の縮合系ポリエステルポリオール;ポリ-ε-カプロラクトン(PCL)等のラクトン系ポリエステルポリオール;ポリヘキサメチレンカーボネート等のポリカーボネートポリオール;およびアクリルポリオール等が挙げられ、上述したポリオールの少なくとも2種以上の混合物であってもよい。
【0035】
高分子量のポリオールの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば、400以上が好ましく、より好ましくは1,000以上である。高分子量ポリオールの数平均分子量を400以上とすることにより、得られるポリウレタンが硬くなりすぎず、ゴルフボールの打球感が向上するからである。また、高分子量ポリオールの数平均分子量は、特に限定されるものではないが、10,000以下が好ましく、より好ましくは8,000以下である。なお、ポリオール成分の数平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により、標準物質としてポリスチレン、溶離液としてテトラヒドロフラン、カラムとしてTSK-GEL SUPERH2500(東ソー株式会社製)2本を用いて測定すればよい。
【0036】
また、必要に応じて前記ポリウレタン樹脂を構成するポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基を有するものであれば特に限定されない。前記ポリアミンとしては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族系ポリアミン;イソホロンジアミン、ピペラジン等の脂環式系ポリアミン;および、芳香族ポリアミン等が挙げられる。
【0037】
前記芳香族ポリアミンは、少なくとも2以上のアミノ基が芳香環に直接または間接的に結合しているものであれば、特に限定されない。ここで、間接的に結合しているとは、アミノ基が、例えば低級アルキレン基を介して芳香環に結合していることをいう。前記芳香族ポリアミンとしては、例えば、1つの芳香環に2以上のアミノ基が結合している単環式芳香族ポリアミンでもよいし、少なくとも1つのアミノ基が1つの芳香環に結合しているアミノフェニル基を2個以上含む多環式芳香族ポリアミンでもよい。
【0038】
前記単環式芳香族ポリアミンとしては、例えば、フェニレンジアミン、トルエンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン等のアミノ基が芳香環に直接結合しているタイプ;キシリレンジアミンのようなアミノ基が低級アルキレン基を介して芳香環に結合しているタイプ等が挙げられる。また、前記多環式芳香族ポリアミンとしては、少なくとも2つのアミノフェニル基が直接結合しているポリ(アミノベンゼン)でもよいし、少なくとも2つのアミノフェニル基が低級アルキレン基やアルキレンオキシド基を介して結合していてもよい。これらのうち、低級アルキレン基を介して2つのアミノフェニル基が結合しているジアミノジフェニルアルカンが好ましく、4,4’-ジアミノジフェニルメタン及びその誘導体が特に好ましい。
【0039】
前記ポリウレタン樹脂の構成態様としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分によって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分と低分子量ポリオール成分によって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分と低分子量ポリオール成分とポリアミン成分とによって構成されている態様;ポリイソシアネート成分と高分子量ポリオール成分とポリアミン成分とによって構成されている態様等を挙げることができる。
【0040】
前記ポリウレタン樹脂のスラブ硬度は、ショアD硬度で、20以上が好ましく、26以上が更に好ましく、55以下が好ましく、52以下がより好ましく、49以下がさらに好ましい。ポリウレタン樹脂の硬度を、ショアD硬度で20以上とすることにより、カバー用組成物が柔らかくなりすぎず、良好な反発性能が得られる。また、ポリウレタン樹脂の硬度を、ショアD硬度で55以下とすることにより、カバー用組成物が硬くなりすぎず、十分な耐久性が得られる。前記ポリウレタン樹脂の具体例としては、BASFジャパン株式会社製の「エラストラン(登録商標)1195ATR、ET880、1198ATR、1154D、NY82A」などを挙げることができる。
【0041】
(アイオノマー樹脂)
前記アイオノマー樹脂としては、オレフィンと、炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸との二元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂(以下、「二元系アイオノマー樹脂」と称する場合がある。);オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸とα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物からなるアイオノマー樹脂(以下、三元系アイオノマー樹脂」と称する場合がある。);または、これらの混合物を挙げることができる。
【0042】
前記オレフィンとしては、炭素数が2~8個のオレフィンが好ましく、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン等が挙げられ、エチレンが好ましい。前記炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸等が挙げられ、アクリル酸またはメタクリル酸が好ましい。
【0043】
α,β-不飽和カルボン酸エステルとしては、炭素数が3~8個α,β-不飽和カルボン酸のアルキルエステルが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸またはマレイン酸のアルキルエステルがより好ましく、特にアクリル酸アルキルエステルまたはメタクリル酸アルキルエステルが好ましい。エステルを構成するアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチルエステル等が挙げられる。
【0044】
前記二元系アイオノマー樹脂としては、エチレン-(メタ)アクリル酸二元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。前記三元系アイオノマー樹脂としては、エチレンと(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの三元共重合体の金属イオン中和物が好ましい。ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸を意味する。
【0045】
前記二元系アイオノマー樹脂を構成する二元共重合体、および、三元系アイオノマー樹脂を構成する三元共重合体は、共重合体中の炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸成分の含有率が、4質量%以上が好ましく、より好ましくは6質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、50質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは15質量%以下である。炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸成分の含有率が、4質量%以上であれば二元系アイオノマー樹脂がより高反発となり、50質量%以下であれば二元系アイオノマー樹脂の柔軟性が向上する。
【0046】
前記二元系アイオノマー樹脂、および/または、三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の少なくとも一部を中和する金属イオンとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム等の1価の金属イオン;マグネシウム、カルシウム、亜鉛、バリウム、カドミウム等の2価の金属イオン;アルミニウム等の3価の金属イオン;錫、ジルコニウム等のその他のイオンが挙げられる。前記二元系アイオノマー樹脂、および、三元系アイオノマー樹脂は、Na+、Mg2+、Ca2+、および、Zn2+よりなる群から選択される少なくとも1種の金属イオンにより中和されていることが好ましい。
【0047】
前記二元系アイオノマー樹脂、および、三元系アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、15モル%以上が好ましく、より好ましくは20モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上であり、100モル%以下が好ましく、85モル%以下がより好ましい。中和度が15モル%以上であれば、得られるゴルフボールの反発性および耐久性が良好になる。一方、中和度が100モル%以下であれば、ゴルフボール用樹脂組成物の流動性が良好になる(成形性が良い)。なお、前記アイオノマー樹脂のカルボキシル基の中和度は、下記式で求めることができる。
アイオノマー樹脂の中和度(モル%)=100×共重合体中の中和されているカルボキシル基のモル数/共重合体中のカルボキシル基の総モル数
【0048】
前記二元系アイオノマー樹脂、および、三元系アイオノマー樹脂は、予め中和されたアイオノマー樹脂を用いてもよいし、オレフィンと、炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸との二元共重合体、および/または、オレフィンと炭素数3~8個のα,β-不飽和カルボン酸とα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体と、金属化合物とを混合して用いてもよい。また、二元系アイオノマー樹脂および三元系アイオノマー樹脂は、それぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
前記金属化合物としては、カルボキシ基を中和することができるものであれば、特に限定されず、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化銅等の金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化銅等の金属酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、炭酸カリウム等の金属炭酸化物が挙げられる。
【0050】
前記二元系アイオノマー樹脂としては、ハイミラン(登録商標)1555(Na)、1557(Zn)、1605(Na)、1706(Zn)、1707(Na)、AM7311(Mg)、AM7329(Zn)(三井・ダウポリケミカル社製);サーリン(登録商標)8945(Na)、9945(Zn)、8140(Na)、8150(Na)、9120(Zn)、9150(Zn)、6910(Mg)、6120(Mg)、7930(Li)、7940(Li)、AD8546(Li)(デュポン社製);アイオテック(登録商標)8000(Na)、8030(Na)、7010(Zn)、7030(Zn)(エクソンモービル化学社製)等が挙げられる。
【0051】
前記三元系アイオノマー樹脂としては、ハイミランAM7327(Zn)、1855(Zn)、1856(Na)、AM7331(Na)(三井・ダウポリケミカル社製);サーリン6320(Mg)、8120(Na)、8320(Na)、9320(Zn)、9320W(Zn)、HPF1000(Mg)、HPF2000(Mg)(デュポン社製);アイオテック7510(Zn)、7520(Zn)(エクソンモービル化学社製)等が挙げられる。
【0052】
前記二元共重合体としては、ニュクレル(登録商標)N1050H、N2050H、N1110H、N0200H(三井・ダウポリケミカル社製);プリマコール(登録商標)5980I(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。前記三元共重合体としては、ニュクレルAN4318、AN4319(三井・ダウポリケミカル社製)、プリマコールAT310、AT320(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。前記商品名の後の括弧内に記載したNa、Zn、Li、Mg等は、これらの中和金属イオンの金属種を示している。
【0053】
(ポリアミド樹脂)
前記ポリアミドとしては、分子の主鎖中にアミド結合(-NH-CO-)を複数有する熱可塑性樹脂であれば特に限定されず、例えば、ラクタムを開環重合させたり、ジアミン成分とジカルボン酸成分とを反応させたりすることによって、アミド結合が分子内に形成された生成物が挙げられる。
【0054】
前記ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、ポリアミドM5T、ポリアミド612等の脂肪族系ポリアミド;ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド、ポリ-m-フェニレンイソフタルアミド等の芳香族系ポリアミドが挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド11、ポリアミド12等の脂肪族系ポリアミドが好適である。
【0055】
前記ポリアミド樹脂の具体例を商品名で示すと、例えば、アルケマ社から市販されている「リルサン(登録商標)B(例えば、リルサンBESN TL、BESN P20 TL、BESN P40 TL、MB3610、BMF O、BMN O、BMN O TLD、BMN BK TLD、BMN P20 D、BMN P40 D等)」、アルケマ社製の「ペバックス(登録商標)2533、3533、4033、5533」等が挙げられる。
【0056】
(スチレン系エラストマー)
スチレン系エラストマーとしては、スチレンブロックを含有するエラストマーを好適に使用できる。前記スチレンブロック含有エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの構成成分としては、ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン及び2,3-ジメチル-1,3-ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の構成成分が併用されてもよい。
【0057】
スチレンブロック含有エラストマーには、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-イソプレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物としては、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物としては、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物としては、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
【0058】
前記スチレンブロック含有エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。得られるゴルフボールの打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
【0059】
前記スチレンブロック含有エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPS、並びに、これらの水添物からなる群から選択された1種又は2種以上と、ポリオレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、アイオノマー樹脂との相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイが用いられることにより、ゴルフボールの反発性能が向上する。好ましくは、炭素数が2以上10以下のオレフィンが用いられる。好適なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
【0060】
ポリマーアロイの具体例としては、三菱ケミカル社製「テファブロック(登録商標)T3221C、T3339C、SJ4400N、SJ5400N、SJ6400N、SJ7400N、SJ8400N、SJ9400N、SR04」が挙げられる。スチレンブロック含有エラストマーの他の具体例としては、ダイセル化学工業社製「エポフレンドA1010」及びクラレ社製「セプトンHG-252」が挙げられる。
【0061】
(紫外線吸収剤、光安定剤)
前記蛍光顔料は、光安定性が低いため、カバー用樹脂組成物は、紫外線吸収剤または光安定剤を含有することが好ましい。前記紫外線吸収剤または光安定剤としては、特に限定されず、市販のいずれの製品であってもよい。紫外線吸収剤としては、例えば、サリチル酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、シアノアクリレート誘導体、トリアジン誘導体、ニッケル錯体等が挙げられる。光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン誘導体等が挙げられる。
【0062】
サリチル酸誘導体の紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレート、p-t-ブチルフェニルサリシレート、p-オクチルフェニルサリシレート等;ベンゾフェノン誘導体の紫外線吸収剤としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクチロキシベンゾフェノン、2,2-ジヒドロキシ-4,4’-メトキシベンゾフェノン等;ベンゾトリアゾール誘導体の紫外線吸収剤としては、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-3’-t-ブチル-5’-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α’-ジメチルベンジル)フェニル]-2H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等;シアノアクリレート誘導体の紫外線吸収剤としては、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート、エチル-2-シアノ-3,3’-ジフェニルアクリレート等;トリアジン誘導体の紫外線吸収剤としては、2-(4,6-ジフェニル-1,3,5-トリアジン-2-イル)-5[(ヘキシル)オキシ]-フェノール、2,4-ビス(2-ヒドロキシ-4-ブチロキシフェニル)-6-(2,4-ビス-ブチロキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-(4-{[2-ヒドロキシ-3-(2’-エチル)ヘキシル]オキシ}-2-ヒドロキシフェニル)-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。具体的には、住友化学社製の「スミソープ130」、「スミソープ140」(いずれもベンゾフェノン系の紫外線吸収剤)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「チヌビン(TINUVIN)234」、「チヌビン900」、「チヌビン326」、「チヌビンP」(いずれもベンゾトリアゾール系)、BASF社製の「Uvinul N-35」(シアノアクリレート系)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「チヌビン1577」、「チヌビン460」、「チヌビン405」(トリアジン系)等が挙げられる。これらの紫外線吸収剤は1種類を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本発明において使用可能な紫外線吸収剤はこれらに限定されるものではなく、従来公知の紫外線吸収剤はいずれも使用可能である。
【0063】
ヒンダードアミン誘導体等の光安定剤としては、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル){[3,5-ビス(1,1’-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]メチル}ブチルマロネート、1-{2-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート等が挙げられる。具体的には、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の「サノールLS-2626」、「チヌビン144」、城北化学工業社の「JF-90」等が挙げられる。
【0064】
(酸化チタン)
蛍光顔料を含有するカバーは、透明または半透明が好ましい態様であるが、カバーは酸化チタンを含有しても良い。蛍光顔料と少量の酸化チタンとを組み合わせることにより、鮮やかな色を有する半透明のカバーが得られる。前記酸化チタンは隠蔽性が高いので、酸化チタンの含有量は、樹脂成分100質量部に対して、0.001質量部以上が好ましく、0.002質量部以上がより好ましく、0.005質量部以上がさらに好ましく、0.5質量部未満が好ましく、0.45質量部以下が好ましく、さらに0.3質量部以下が好ましい。酸化チタンの含有量が0.001質量部以上であれば、鮮やかな色を有する半透明のカバーが得られ、酸化チタンの含有量が0.5質量部以上になると、カバーが隠蔽性を示す傾向がある。
【0065】
(他の成分)
前記樹脂組成物は、上述した成分のほか、顔料成分、酸化亜鉛、炭酸カルシウムや硫酸バリウム等の質量調整材、分散剤、老化防止剤、蛍光増白剤、滑剤、光安定剤等を、カバーの性能を損なわない範囲で含有してもよい。
【0066】
前記カバー用の樹脂組成物は、例えば、第一基材樹脂、蛍光顔料および必要に応じて配合される添加剤をドライブレンドすることにより得られる。また、ドライブレンドした混合物を、押出してペレット化してもよい。ドライブレンドには、例えば、ペレット状の原料を配合できる混合機を用いるのが好ましく、より好ましくはタンブラー型混合機を用いる。押出は、一軸押出機、二軸押出機、二軸一軸押出機等の公知の押出機を使用することができる。
【0067】
[ゴルフボール]
本発明のゴルフボールの構造は、球状コアと、前記球状コアを被覆するカバーとを有するものであれば特に限定されない。ゴルフボールの構造としては、例えば、単層の球状コアと前記球状コアを被覆するカバーとを有するツーピースゴルフボール;センターと前記センターを被覆する1層の中間層とからなる球状コアと前記球状コアを被覆するカバーとを有するスリーピースゴルフボール;センターと前記センターを被覆する2層以上の中間層とからなる球状コアと前記球状コアを被覆するカバーとを有するマルチピースゴルフボール;等が挙げられる。
【0068】
前記コアまたはセンターには、公知のゴム組成物(以下、単に「コア用ゴム組成物」という場合がある)を用いることができ、例えば、基材ゴム、共架橋剤および架橋開始剤を含むゴム組成物を加熱プレスして成形することができる。
【0069】
前記基材ゴムとしては、特に、反発に有利なシス結合が40質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上のハイシスポリブタジエンを用いることが好ましい。前記共架橋剤としては、炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸またはその金属塩が好ましく、アクリル酸の金属塩またはメタクリル酸の金属塩がより好ましい。金属塩の金属としては、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、ナトリウムが好ましく、より好ましくは亜鉛である。共架橋剤の使用量は、基材ゴム100質量部に対して20質量部以上50質量部以下が好ましい。前記共架橋剤として炭素数が3~8個のα,β-不飽和カルボン酸を使用する場合、金属化合物(例えば、酸化マグネシウム)を配合することが好ましい。架橋開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。具体的には、ジクミルパーオキサイド、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t―ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物が挙げられ、これらのうちジクミルパーオキサイドが好ましく用いられる。架橋開始剤の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.2質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5質量部以下が好ましく、より好ましくは3質量部以下である。
【0070】
また、前記コア用ゴム組成物は、さらに、有機硫黄化合物を含有してもよい。前記有機硫黄化合物としては、ジフェニルジスルフィド類、チオフェノール類、チオナフトール類を好適に使用することができる。有機硫黄化合物の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、より好ましくは0.3質量部以上であって、5.0質量部以下が好ましく、より好ましくは3.0質量部以下である。前記コア用ゴム組成物は、さらにカルボン酸および/またはその塩を含有してもよい。カルボン酸および/またはその塩としては、炭素数が1~30のカルボン酸および/またはその塩が好ましい。前記カルボン酸としては、脂肪族カルボン酸、芳香族カルボン酸(安息香酸など)のいずれも使用できる。カルボン酸および/またはその塩の配合量は、基材ゴム100質量部に対して、1質量部以上、40質量部以下である。
【0071】
前記コア用ゴム組成物には、基材ゴム、共架橋剤、架橋開始剤、有機硫黄化合物に加えて、さらに、酸化亜鉛や硫酸バリウム等の重量調整剤、老化防止剤、色粉等を適宜配合することができる。前記コア用ゴム組成物の加熱プレス成型条件は、ゴム組成に応じて適宜設定すればよいが、通常、130℃~200℃で10分間~60分間加熱するか、あるいは130℃~150℃で20分間~40分間加熱した後、160℃~180℃で5分間~15分間と2段階加熱することが好ましい。
【0072】
球状コアが中間層を有する場合、中間層材料としては、例えば、ポリウレタン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂;スチレンエラストマー、ポリオレフィンエラストマー、ポリウレタンエラストマー、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマー;ゴム組成物の硬化物などが挙げられる。ここで、アイオノマー樹脂としては、例えば、エチレンとα,β-不飽和カルボン酸との共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したもの、またはエチレンとα,β-不飽和カルボン酸とα,β-不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体中のカルボキシル基の少なくとも一部を金属イオンで中和したものが挙げられる。前記中間層には、さらに、硫酸バリウム、タングステンなどの重量調整剤、老化防止剤、顔料などが配合されていてもよい。
【0073】
中間層を形成する方法としては、特に限定されないが、例えば、中間層用組成物を予め半球殻状のハーフシェルに成形し、それを2枚用いて球体を包み、加圧成形する方法、または、中間層用組成物を直接球体上に射出成形して球体を包み込む方法などを挙げることができる。
【0074】
中間層用組成物を球体上に射出成形して中間層を成形する場合、成形用上下金型としては、半球状キャビティを有しているものを使用することが好ましい。射出成形による中間層の成形は、ホールドピンを突き出し、被覆球体を投入してホールドさせた後、加熱溶融された中間層用組成物を注入して、冷却することにより中間層を成形することができる。
【0075】
圧縮成形法により中間層を成形する場合、ハーフシェルの成形は、圧縮成形法または射出成形法のいずれの方法によっても行うことができるが、圧縮成形法が好適である。中間層用組成物を圧縮成形してハーフシェルに成形する条件としては、例えば、1MPa以上、20MPa以下の圧力で、中間層用組成物の流動開始温度に対して、-20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みをもつハーフシェルを成形できる。ハーフシェルを用いて中間層を成形する方法としては、例えば、球体を2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法を挙げることができる。ハーフシェルを圧縮成形して中間層に成形する条件としては、例えば、0.5MPa以上、25MPa以下の成形圧力で、中間層用組成物の流動開始温度に対して、-20℃以上、+70℃以下の成形温度を挙げることができる。前記成形条件とすることによって、均一な厚みを有する中間層を成形できる。
【0076】
なお、成形温度とは、型締めから型開きの間に、下型の凹部の表面が到達する最高温度を意味する。また組成物の流動開始温度は、島津製作所の「フローテスター CFT-500」を用いて、ペレット状の熱可塑性樹脂組成物を、プランジャー面積:1cm2、DIE LENGTH:1mm、DIE DIA:1mm、荷重:588.399N、開始温度:30℃、昇温速度:3℃/分の条件で測定することができる。
【0077】
前記球状コアの直径は、34.8mm以上が好ましく、より好ましくは36.8mm以上、さらに好ましくは38.8mm以上であり、42.2mm以下が好ましく、41.8mm以下がより好ましく、さらに好ましくは41.2mm以下であり、最も好ましくは40.8mm以下である。前記球状コアの直径が34.8mm以上であれば、カバーの厚みが厚くなり過ぎず、反発性がより良好となる。一方、球状コアの直径が42.2mm以下であれば、カバーが薄くなり過ぎず、カバーの機能がより発揮される。
【0078】
カバー用組成物を用いてカバーを成形する態様は、特に限定されないが、カバー用組成物を球状コア上に直接射出成形する態様、あるいは、カバー用組成物から中空殻状のシェルを成形し、球状コアを複数のシェルで被覆して圧縮成形する態様(好ましくは、カバー用組成物から中空殻状のハーフシェルを成形し、球状コアを2枚のハーフシェルで被覆して圧縮成形する方法)を挙げることができる。カバーが成形されたゴルフボール本体は、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、マークを形成することもできる。
【0079】
前記カバーの厚さは、0.3mm以上が好ましく、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.5mm以上であり、2.0mm以下が好ましく、より好ましくは1.5mm以下、さらに好ましくは1.0mm以下である。カバーの厚さが0.3mm以上であればカバーの成形がより容易となり、2.0mm以下であれば相対的にコアの直径を大きくできるため、ゴルフボールの反発性能が向上する。
【0080】
カバーに形成されるディンプルの総数は、200個以上500個以下が好ましい。ディンプルの総数が200個未満では、ディンプルの効果が得られにくい。また、ディンプルの総数が500個を超えると、個々のディンプルのサイズが小さくなり、ディンプルの効果が得られにくい。形成されるディンプルの形状(平面視形状)は、特に限定されるものではなく、円形;略三角形、略四角形、略五角形、略六角形などの多角形;その他不定形状;を単独で使用してもよいし、2種以上を組合せて使用してもよい。
【0081】
カバーが成形されたゴルフボールは、金型から取り出し、必要に応じて、バリ取り、洗浄、サンドブラストなどの表面処理を行うことが好ましい。また、所望により、塗膜やマークを形成することもできる。前記塗膜の膜厚は、特に限定されないが、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。膜厚が5μm未満になると継続的な使用により塗膜が摩耗消失しやすくなり、膜厚が50μmを超えるとディンプルの効果が低下してゴルフボールの飛行性能が低下するからである。
【0082】
本発明のゴルフボールの直径は、40mmから45mmが好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。また、ゴルフボールの質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
【0083】
図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボール1が示された一部切り欠き断面図である。ゴルフボール1は、球状コア2と、球状コア2を被覆するカバー3とを有する。このカバーの表面には、多数のディンプル31が形成されている。このゴルフボール3の表面のうち、ディンプル31以外の部分は、ランド32である。このゴルフボール1は、カバー3の外側にペイント層およびマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。
【実施例
【0084】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。
【0085】
[評価方法]
【0086】
(1)蛍光顔料密度
蛍光顔料密度は、自動真密度測定装置(マイクロトラック・ベル社製、BELPycno)を用いて測定した。測定条件は、使用ガス;ヘリウム、試料室容積;10cm3、測定温度;23℃とした。測定は、1つの蛍光顔料について2回測定し、その平均値をその蛍光顔料の密度とした。
【0087】
(2)顔料粒子径
走査型電子顕微鏡を用いて粉末状の蛍光顔料を撮影した。得られた画像(視野高さ17.1μm、幅25.6μm)に対して、個々の顔料粒子の形状に沿って円を作図し、顔料粒子を抽出した。粒子は、少なくとも100個抽出した。抽出した粒子について、画像処理ソフト(ImageJ)を用いて粒子径を測定し、個数基準累積分布グラフ(リニアプロットの粒子径0μm~10μmを50分割して得られる頻度分布)を作成した。前記グラフからモード径、D10(10%径)、D50(累積中位径、50%径)、D90(90%径)を求めた。
【0088】
(3)発色安定性(耐候性)
ゴルフボールをスーパーキセノンウェザーメーターに投入し、このゴルフボールに光線を24時間照射した。色彩色差計(「CM-3500d」、コニカミノルタ社製)により、各ゴルフボールのCIELAB表示系における指数L*、a*及びb*を測定した。光線照射前後の指数差ΔL*、Δa*、Δb*を求めて、下記数式により色差ΔEを算出した。
ΔE=[(ΔL*2+(Δa*2+(Δb*2]1/2
【0089】
(4)発色安定性(耐熱性)
カバー用組成物の材料をドライブレンドし、二軸混練型押出機によりペレット状のカバー用組成物を得た。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150~260℃に加熱された。
得られたカバー用組成物を、押出機のダイの位置で、240℃で加熱し、滞留させずに球状コア上に射出成形してゴルフボールI(240℃、0分)を作製した。また、得られたカバー用組成物を、押出機のダイの位置で、240℃で加熱し、20分滞留した後、球状コア上に射出成形してゴルフボールII(240℃、20分)を作製した。
色彩色差計(「CM-3500d」、コニカミノルタ社製)を用いて各ゴルフボールのカバーの色彩を測定した。ゴルフボールIの色差値をL* 0、a* 0、b* 0、ゴルフボールIIの色差値をL* 1、a* 1、b* 1、とし、色差(ΔE)を下記式から求めた。
△E=[(L* 1-L* 02+(a* 1-a* 02+(b* 1-b* 021/2
【0090】
[ゴルフボールの作製]
(1)コアの作製
表1に示す配合のゴム組成物を混練ロールにより混練し、半球状キャビティを有する上下金型内で170℃、20分間加熱プレスすることにより直径39.7mmの球状コアを得た。
【0091】
【表1】
【0092】
表1で使用した原料は以下の通りである。
ポリブタジエンゴム:JSR社製、ハイシスポリブタジエン「BR730」(シス-1,4-結合含有量=96質量%、1,2-ビニル結合含有量=1.3質量%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))=55、分子量分布(Mw/Mn)=3)
アクリル酸亜鉛:日触テクノファインケミカル社製、「ZNDA-90S」
酸化亜鉛:東邦亜鉛社製、「銀嶺R」
酸化チタン:石原産業社製、「A220」
ジフェニルジスルフィド:住友精化社製
ジクミルパーオキサイド:日油社製、「パークミル(登録商標)D」
【0093】
(2)カバーの作製
表2に示す材料をドライブレンドし、二軸混練型押出機によりミキシングして、ペレット状のカバー用組成物を得た。押出は、スクリュー径45mm、スクリュー回転数200rpm、スクリューL/D=35で行った。配合物は、押出機のダイの位置で150~260℃に加熱された。得られたカバー用組成物を厚さ1.5mmとなるように上述のようにして得られた球状コア上に射出成形して、球状コアと前記コアを被覆するカバーを有するゴルフボールを作製した。
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
表2、表3で使用した原料は以下の通りである。
ウレタン樹脂:BASFジャパン社製、エラストラン(登録商標)NY82A(ポリウレタンエラストマー(ポリオール成分;ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリイソシアネート成分;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、鎖延長剤;1,4-ブタンジオール)(ショアA硬度82))
ハイミラン(登録商標)1555:三井・ダウポリケミカル社製、アイオノマー樹脂
ハイミラン1557:三井・ダウポリケミカル社製、アイオノマー樹脂
スチレン系エラストマー:三菱ケミカル社製、テファブロック(登録商標)T3221C
ワックスマスターVD2:BASFジャパン社製、滑剤
酸化チタン:石原産業社製、「A220」
酸化亜鉛:パナソニック社製、パナテトラ(登録商標)WZ-0501
JF-90:城北化学工業社製、光安定剤
エポカラーFP3000:UKSEUNG CHEMICAL CO.,LTD.製(ベンゾクアナミン樹脂(ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物)に蛍光染料を分散させ、固着させた蛍光顔料)
FX305:シンロイヒ社製(ベンゾクアナミン樹脂(ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物)に蛍光染料を分散させ、固着させた蛍光顔料)
FX305S:シンロイヒ社製(ベンゾクアナミン樹脂(ベンゾグアナミンとホルムアルデヒドとの縮合物)に蛍光染料を分散させ、固着させた蛍光顔料)
【0097】
表2、3に示したように、前記蛍光顔料の個数基準の累積中位径が2.5μm以上であるゴルフボールNo.4および7は、カバーの発色安定性が優れていた。
【符号の説明】
【0098】
1:ゴルフボール、2:球状コア、3:カバー、31:ディンプル、32:ランド
図1