(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】搬送システム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/137 20060101AFI20231031BHJP
B65G 47/51 20060101ALI20231031BHJP
B65G 47/49 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B65G1/137 A
B65G47/51
B65G47/49
(21)【出願番号】P 2019227183
(22)【出願日】2019-12-17
【審査請求日】2022-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】野村 恒也
【審査官】内田 茉李
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-295304(JP,A)
【文献】特開平07-185470(JP,A)
【文献】特開2000-053211(JP,A)
【文献】特開昭63-092505(JP,A)
【文献】特開2015-048195(JP,A)
【文献】特開2006-111421(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
B65G 47/51
B65G 47/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが荷物の投入を行う複数の投入部と、
前記複数の投入部に隣接しており、前記複数の投入部のそれぞれにより投入された前記荷物を、一方通行で周回する周回経路で搬送する搬送装置と、
前記搬送装置の搬送方向において前記複数の投入部とは異なる位置に配置され、前記搬送装置が搬送している前記荷物が払い出されるシュートと、
前記周回経路上の第1区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記複数の投入部よりも前記搬送方向の上流側の第1区間に接続され、前記第1区間から払い出された前記荷物を保持し、かつ、保持している前記荷物を前記搬送装置に払い出すバッファ装置と、
(i)前記搬送装置により搬送されている荷物が前記シュートに払い出される順番でない場合、前記荷物が前記シュートに到達しても前記荷物を前記シュートに払い出させずに通過させるように前記搬送装置を制御する順番制御と、(ii)前記順番制御によって前記シュートを通過した荷物を前記バッファ装置へ払い出させるように前記搬送装置を制御する保管制御と、を行うコントローラと、を備える
搬送システム。
【請求項2】
前記コントローラは、前記保管制御において、
(i)前記周回経路上の第2区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記バッファ装置よりも前記搬送方向の上流側の第2区間における荷物の占有率を取得し、
(ii)前記占有率が所定値以下になるように搬送している前記荷物を前記バッファ装置へ払い出させるように前記搬送装置を制御する
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記保管制御において、
前記シュートを通過した荷物の順番と、次に前記シュートに払い出されるべき荷物の順番との差が第1の閾値よりも大きい場合、前記シュートを通過した荷物を前記バッファ装置へ払い出させるように前記搬送装置を制御する
請求項1に記載の搬送システム。
【請求項4】
前記コントローラは、前記保管制御において、
(i)前記周回経路上の第2区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記バッファ装置よりも前記搬送方向の上流側の第2区間における荷物の占有率を取得し、
(ii)前記占有率が大きいほど小さい値に前記第1の閾値を設定する
請求項3に記載の搬送システム。
【請求項5】
前記コントローラは、さらに、前記バッファ装置に保管されている荷物の順番と、次に前記シュートに払い出されるべき荷物の順番との差が第2の閾値よりも小さい場合、前記バッファ装置に保持されている前記荷物を前記搬送装置に再投入させるように前記バッファ装置を制御する再投入制御を行う
請求項1から4のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項6】
前記コントローラは、前記再投入制御において、
(i)前記周回経路上の第
2区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記バッファ装置よりも前記搬送方向の上流側の第2区間における荷物の占有率を取得し、
(ii)前記占有率が大きいほど小さい値に前記第2の閾値を設定する
請求項5に記載の搬送システム。
【請求項7】
前記コントローラは、前記複数の投入部に含まれる2以上の投入部において、前記シュートに払い出される順番が連続している複数の荷物が揃った場合、払い出される順番で前記搬送装置に搬送されるように前記2以上の投入部へ前記複数の荷物の投入指示を出力する
請求項1から6のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項8】
前記シュートは複数設けられており、
前記バッファ装置は、それぞれが異なる高さに配置される複数の棚と、前記複数の棚のそれぞれに対応して配置され、かつ、荷物を搬送する台車と、前記複数の棚が存在する高さ方向の範囲において荷物を昇降させる昇降搬送装置とを備える自動倉庫であり、
前記コントローラは、前記シュートに払い出される予定の荷物が、前記複数の棚のうちの第1の棚に載置されている場合、前記シュートに対して払い出される予定の他の荷物を前記第1の棚とは異なる第2の棚に載置するように前記バッファ装置を制御する
請求項1から7のいずれか1項に記載の搬送システム。
【請求項9】
前記搬送装置は、高さ方向に異なる位置に設けられ、前記バッファ装置が有する荷物を昇降させる昇降搬送装置に接続する第1搬送装置と第2搬送装置とを有し、
前記投入部は、前記第1搬送装置に荷物の投入を行う第1投入部と、前記第2搬送装置に荷物の投入を行う第2投入部と、を有し、
前記シュートは、前記第1搬送装置によって荷物が払い出される第1シュートと、前記第2搬送装置によって荷物が払い出される第2シュートと、を有し、
前記コントローラは、前記第1投入部において前記第1搬送装置に投入された荷物が前記第2シュートに払い出される荷物である場合、前記昇降搬送装置を用いて前記第2搬送装置に払い出すように前記バッファ装置を制御する
請求項1から8のいずれか1項に記載の搬送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の投入装置からの荷物を搬送装置で搬送する搬送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の投入口から荷物の投入を受け付け、受け付けた荷物を仕分けるための仕分け装置を備える仕分けシステムが知られている。特許文献1に開示された仕分けシステムは、互いに連結された状態で環状の搬送経路に沿って移動する複数のトレイと、搬送経路の側方に配置された複数のシュートとを備えている。複数のトレイの各々は、荷物を載置するためのトレイとして機能するとともに、当該トレイに載置された荷物をシュートに払い出すためのベルトコンベヤとしても機能する。
【0003】
荷物を載置したトレイは、複数のシュートのうち当該荷物の仕分け先である特定のシュートに向けて、搬送経路に沿って移動する。トレイが特定のシュートに近付いたタイミングで、当該トレイがベルトコンベヤとして駆動する。これにより、当該トレイに載置された荷物は、搬送経路に沿った搬送方向に対して直交する払い出し方向に搬送され、特定のシュートに払い出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した仕分けシステムでは、荷物を予め定められた順番でシュートに払い出すことが求められる場合がある。これは、例えば、出荷用ボックスに仕分けされた順番で荷物を梱包することで出荷先の店舗での仕分け作業を軽減できたり、食品に関する物と、殺虫剤とを同じ出荷用ボックスの中に梱包しないようにすることが容易にできるからである。
【0006】
このように荷物を予め定められた順番でシュートに払い出すことが求められている場合において、次にシュートに払い出される順番の荷物がシュートに払い出されないと、そのシュートに払い出すべき他の荷物を当該シュートに払い出すことができないため、多くの荷物が仕分けシステムの仕分け装置(搬送装置)において滞留するおそれがある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決しようとするものであり、搬送装置において荷物の滞留を低減することができる搬送システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る搬送システムは、それぞれが荷物の投入を行う複数の投入部と、前記複数の投入部に隣接しており、前記複数の投入部のそれぞれにより投入された前記荷物を、一方通行で周回する周回経路で搬送する搬送装置と、前記搬送装置の搬送方向において前記複数の投入部とは異なる位置に配置され、前記搬送装置が搬送している前記荷物が払い出されるシュートと、前記周回経路上の第1区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記複数の投入部よりも前記搬送方向の上流側の第1区間に接続され、前記第1区間から払い出された前記荷物を保持し、かつ、保持している前記荷物を前記搬送装置に払い出すバッファ装置と、(i)前記搬送装置により搬送されている荷物が前記シュートに払い出される順番でない場合、前記荷物が前記シュートに到達しても前記荷物を前記シュートに払い出させずに通過させるように前記搬送装置を制御する順番制御と、(ii)前記順番制御によって前記シュートを通過した荷物を前記バッファ装置へ払い出させるように前記搬送装置を制御する保管制御と、を行うコントローラと、を備える。
【0009】
これによれば、順番制御によってシュートを通過した荷物を、シュートの下流側、かつ、投入部の上流側のバッファ装置に払い出させるように搬送装置を制御する。このため、搬送装置からシュート通過して滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0010】
また、前記コントローラは、前記保管制御において、(i)前記周回経路上の第2区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記バッファ装置よりも前記搬送方向の上流側の第2区間における荷物の占有率を取得し、(ii)前記占有率が所定値以下になるように搬送している前記荷物を前記バッファ装置へ払い出させるように前記搬送装置を制御してもよい。
【0011】
このため、搬送装置の第2区間における荷物の占有率を所定値以下にすることができ、搬送装置からシュートを通過して滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0012】
また、前記コントローラは、前記保管制御において、前記シュートを通過した荷物の順番と、次に前記シュートに払い出されるべき荷物の順番との差が第1の閾値よりも大きい場合、前記シュートを通過した荷物を前記バッファ装置へ払い出させるように前記搬送装置を制御してもよい。
【0013】
このため、シュートに払い出されるまでの順番待ちのための時間を多く要する荷物をバッファ装置に払い出すため、搬送装置からシュートを通過して滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0014】
また、前記コントローラは、前記保管制御において、(i)前記周回経路上の第2区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記バッファ装置よりも前記搬送方向の上流側の第2区間における荷物の占有率を取得し、(ii)前記占有率が大きいほど小さい値に前記第1の閾値を設定してもよい。
【0015】
このため、搬送装置の第2区間における荷物の占有率が大きいほど、バッファ装置に払い出される荷物の量を増加させることができ、搬送装置からシュートを通過して滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0016】
また、前記コントローラは、さらに、前記バッファ装置に保管されている荷物の順番と、次に前記シュートに払い出されるべき荷物の順番との差が第2の閾値よりも小さい場合、前記バッファ装置に保持されている前記荷物を前記搬送装置に再投入させるように前記バッファ装置を制御する再投入制御を行ってもよい。
【0017】
このため、シュートに払い出されるべき順番が近い荷物を適切なタイミングで搬送装置に再投入することができる。
【0018】
また、前記コントローラは、前記再投入制御において、(i)前記周回経路上の第2区間であって、前記シュートよりも前記搬送方向の下流側、かつ、前記バッファ装置よりも前記搬送方向の上流側の第2区間における荷物の占有率を取得し、(ii)前記占有率が大きいほど小さい値に前記第2の閾値を設定してもよい。
【0019】
このため、搬送装置の第2区間における荷物の占有率が大きいほど、バッファ装置から搬送装置に再投入される荷物の量を低減させることができ、搬送装置に滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0020】
また、前記コントローラは、前記複数の投入部に含まれる2以上の投入部において、前記シュートに払い出される順番が連続している複数の荷物が揃った場合、払い出される順番で前記搬送装置に搬送されるように前記2以上の投入部へ前記複数の荷物の投入指示を出力してもよい。
【0021】
このため、複数の投入部から搬送装置に投入された荷物を効率よくシュートへ払い出すことができる。
【0022】
また、前記シュートは複数設けられており、前記バッファ装置は、それぞれが異なる高さに配置される複数の棚と、前記複数の棚のそれぞれに対応して配置され、かつ、荷物を搬送する台車と、前記複数の棚が存在する高さ方向の範囲において荷物を昇降させる昇降搬送装置とを備える自動倉庫であり、前記コントローラは、前記シュートに払い出される予定の荷物が、前記複数の棚のうちの第1の棚に載置されている場合、前記シュートに対して払い出される予定の他の荷物を前記第1の棚とは異なる第2の棚に載置するように前記バッファ装置を制御してもよい。
【0023】
このため、バッファ装置における荷物の出庫を複数の台車で行うことができるため、バッファ装置から出庫した荷物を効率よく搬送装置へ再投入することができる。
【0024】
また、前記搬送装置は、高さ方向に異なる位置に設けられ、前記バッファ装置が有する荷物を昇降させる昇降搬送装置に接続する第1搬送装置と第2搬送装置とを有し、前記投入部は、前記第1搬送装置に荷物の投入を行う第1投入部と、前記第2搬送装置に荷物の投入を行う第2投入部と、を有し、前記シュートは、前記第1搬送装置によって荷物が払い出される第1シュートと、前記第2搬送装置によって荷物が払い出される第2シュートと、を有し、前記コントローラは、前記第1投入部において前記第1搬送装置に投入された荷物が前記第2シュートに払い出される荷物である場合、前記昇降搬送装置を用いて前記第2搬送装置に払い出すように前記バッファ装置を制御してもよい。
【0025】
このため、第1搬送装置および第2搬送装置の一方に故障などの不具合が発生しても他方の搬送装置を用いて、荷物を払い出すことができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一態様に係る搬送システムによれば、荷物の滞留を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る搬送システムの全体構成を示す平面図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る搬送装置の周辺の構成を拡大した平面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る搬送システムのブロック図である。
【
図4】
図4は、収納庫の具体的な構成を示す概略図である。
【
図5】
図5は、収納庫の具体的な構成を示す概略図である。
【
図6】
図6は、搬送システムにおける搬送装置の占有率を調整する処理の一例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、コントローラによる順番制御の処理を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、コントローラによる保管制御の処理を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、コントローラによる再投入制御の処理を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、変形例に係る搬送システムの全体構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0029】
(実施の形態)
[搬送システムの構成]
図1及び
図2を用いて搬送システムの全体構成について説明する。
【0030】
図1は、実施の形態に係る搬送システム10の全体構成を示す平面図である。
図2は、実施の形態に係る搬送装置200の周辺の構成を拡大した平面図である。
図3は、実施の形態に係る搬送システム10のブロック図である。
【0031】
図1~
図3に示すように、搬送システム10は、複数の投入装置100と、搬送装置200と、コントローラ400と、バッファ装置500とを備える。搬送システム10は、さらに、検出器230と、複数のシュート300とを備えていてもよい。搬送システム10は、例えば、通信販売業、卸売業及び宅配業等の物流分野において、自動倉庫等に保管され、かつ、送付先がそれぞれ割り当てられた複数の荷物20を、送付先毎に仕分けるためのシステムである。なお、複数の荷物20の各々は、例えば梱包された商品等である。
【0032】
複数の投入装置100のそれぞれは、異なる倉庫31~34に連結されており、複数の倉庫31~34に保管されている荷物20を搬送装置200に投入する装置である。各投入装置100は、例えば、一端が各倉庫31~34に連結され、各倉庫31~34から荷物20の供給を受け、他端が搬送装置200の搬送方向における側方の近傍の位置に配置され荷物20を搬送装置200に投入するコンベヤである。複数の投入装置100は、搬送装置200の搬送方向に沿って並んで配置されている。つまり、複数の投入装置100は、搬送方向において異なる位置に配置されている。複数の投入装置100は、複数の投入部の一例である。
【0033】
なお、複数の投入装置100は、互いに共通する倉庫に連結されていてもよい。つまり、複数の投入装置100は、共通する倉庫からの荷物20を搬送装置200に供給する。
【0034】
なお、複数の投入装置100は、コンベヤに限らずに、倉庫から搬送されてきた荷物20を搬送装置200に投入するロボットであってもよい。また、複数の投入装置100の代わりに、荷物20を作業者が搬送装置200に投入するための複数の投入ステーションが設けられていてもよい。
【0035】
搬送装置200は、複数の投入装置100に隣接しており、複数の投入装置100のそれぞれより投入された荷物20を一方通行で周回する搬送経路240で搬送する装置である。また、搬送装置200は、搬送経路240に沿った搬送方向に対して直交する方向に荷物20を移動させる機能を有している、例えば、クロスベルトソータであってもよい。搬送装置200は、複数のトレイ210と、駆動ユニット220とを有している。
【0036】
複数のトレイ210は、搬送経路240に沿って互いに環状に連結されている。
図2に示すように、複数のトレイ210のそれぞれは、荷物20を載置するためのトレイとして機能する。複数のトレイ210のそれぞれは、複数の投入装置100から投入された荷物20をトレイ210の中心の方向へ引き込む機能と、当該トレイ210に載置された荷物20を払い出し方向に払い出す機能とを有するベルトコンベヤを含む。複数のトレイ210のうち隣り合う任意の2つのトレイ210は、互いに連結されている。駆動ユニット220は、複数のトレイ210を搬送経路240に沿って所定の方向、例えば
図2における時計方向に移動させる。
【0037】
検出器230は、搬送経路240の搬送方向における複数のシュート300の下流側からバッファ装置500よりも上流側の区間243における荷物の占有率を検出する。検出器230は、区間243における荷物の占有率を検出することで、搬送装置200における滞留の原因となる、複数のシュート300を通過した荷物20による搬送装置200の占有率を検出することができる。区間243は、第2区間の一例である。検出器230は、搬送経路240の搬送方向における複数のシュート300の下流側からバッファ装置500までの間の第1の位置に配置され、所定期間において、当該第1の位置を通過するトレイ210の数、及び、当該第1の位置を通過する荷物20の数をカウントする。例えば、検出器230は、現在より所定期間前から現在までに第1の位置を通過したトレイ210の数及び荷物20の数をカウントし、カウントされた荷物20の数をカウントされたトレイ210の数で除し、得られた値を空率として検出する。所定期間は、所定の数(例えば100個)のトレイ210が第1の位置を通過するのに要する時間であってもよい。つまり、検出器230は、カウントを開始時からトレイ210をカウントした数が所定の数となった時までの間を所定期間とみなしてもよい。
【0038】
なお、検出器230は、複数のトレイ210に対する荷物の占有率の代わりに、複数のトレイ210に対する荷物の空率を検出してもよい。検出器230は、空率を検出する場合、例えば、現在より所定期間前から現在までに第1の位置を通過したトレイ210の数及び荷物20が無いトレイ210の数をカウントし、カウントされた荷物20が無いトレイ210の数をカウントされたトレイ210の数で除し、得られた値を空率として検出する。なお、荷物20が無いトレイ210の数は、通過したトレイの数210から荷物20の数を減じることで算出されてもよい。
【0039】
なお、検出器230は、トレイ210が第1の位置を通過した時刻と、当該トレイ210が荷物20を有するか否かを示す情報とを互いに対応付けた通過履歴を図示しない記憶装置に逐次記憶していてもよい。これにより、検出器230または他の情報処理装置は、記憶装置の通過履歴を参照することで、現在から所定期間前までに第1の位置を通過したトレイ210の数及び荷物20の数を算出することができ、これにより占有率または空率を算出することができる。
【0040】
検出器230は、例えば、トレイ210及び荷物20が第1の位置を通過したことを検出する赤外線センサにより構成されていてもよい。この場合、検出器230は、トレイ210を検出する赤外線センサと、荷物20を検出する赤外線センサとの2つのセンサにより構成されていてもよい。また、検出器230は、第1の位置を通過するトレイ210及び荷物20を撮影するカメラと、カメラにより得られた画像を画像認識することで荷物20無しのトレイ210が第1の位置を通過したこと、または、荷物20有りのトレイ210が第1の位置を通過したことを判断する情報処理装置とにより構成されていてもよい。
【0041】
なお、検出器230は、所定期間において第1の位置を通過するトレイ210の数が一定の所定の数である場合、第1の位置を通過するトレイ210の数をカウントしなくてもよく、所定期間経過したことを計時することで第1の位置を所定の数のトレイ210が通過したと見なしてもよい。この場合、検出器230は、所定期間において第1の位置を通過する荷物20の数をカウントする、または、所定期間において第1の位置を通過する荷物20が無いトレイ210の数をカウントすることで得られた値と所定の数とを用いることで、占有率を算出する。また、この場合の検出器230は、トレイ210を検出する赤外線センサを有していなくてもよい。
【0042】
複数のシュート300のそれぞれは、搬送装置200が搬送している荷物20が搬送装置200によって払い出される出口である。複数のシュート300のそれぞれは、例えば、コンベヤである。例えば、各シュート300には、それぞれ異なる送付先が割り当てられており、搬送装置200は、荷物20を、当該荷物20の送付先が割り当てられているシュート300に払い出す。複数のシュート300は、搬送方向において複数の投入装置100とは異なる位置に配置されている。複数のシュート300は、搬送経路240の一側方において、搬送経路240に沿って並んで配置されている。なお、複数のシュート300は、搬送経路240の両側方において、搬送経路240に沿って並んで配置されていてもよい。
【0043】
なお、搬送システム10は、必ずしも複数のシュート300を備えていなくてもよく、1つのシュート300を備える構成であってもよい。
【0044】
コントローラ400は、搬送システム10の制御を行う。コントローラ400は、複数の投入装置100及び搬送装置200との間で情報のやり取りを行うことで、複数の投入装置100及び搬送装置200の動作を制御する。コントローラ400は、例えば、外部の機器から受信したオーダーに基づいて、当該オーダーに含まれる荷物20を各倉庫から複数の投入装置100に搬送装置200へ投入させる。そして、コントローラ400は、搬送装置200に、上記オーダーに応じた送付先に対応するシュート300へ上記荷物20を搬送させる。
【0045】
オーダーには、複数の荷物20と、複数の荷物20の順番とが示されていてもよい。オーダーには、複数の荷物20の順番が示されていなくてもよく、この場合、コントローラ400は、オーダーに含まれる複数の荷物20の種類などの属性情報に応じて、順番を決定してもよい。複数の荷物20の順番は、例えば、出荷用ボックスに梱包される順番を示す。コントローラ400は、複数の荷物20の順番のとおりに、搬送装置200からオーダーに応じた送付先に対応するシュート300に荷物20を払い出させる制御を行う。コントローラ400は、例えば、所定のプログラムを実行するプロセッサ、及び、所定のプログラムを記憶しているメモリなどにより構成される。また、コントローラ400は、専用回路により構成されてもよい。
【0046】
バッファ装置500は、搬送装置200の搬送経路240の区間241から払い出された荷物20を保持し、かつ、保持している荷物20を搬送装置200に投入する装置である。なお、区間241は、搬送経路240上の区間であり、複数のシュート300よりも搬送方向の下流側、かつ、複数の投入装置100よりも搬送方向の上流側の区間である。このように、バッファ装置500に区間241からの荷物20が払い出されることで、複数のシュート300を通過した荷物20を考慮して搬送装置200の荷物の占有率を効果的に制御することができる。区間241は、第1区間の一例である。
【0047】
バッファ装置500は、具体的には、搬送装置200の第1区間に接続され、搬送装置200から荷物20を受け取る受け取り用コンベヤ501と、荷物20を一時的に格納する収納庫502と、収納庫502に格納されている荷物20を搬送装置200に再投入する投入用コンベヤ503とを備える。なお、バッファ装置500は、荷物20を保持し、保持した荷物20の順番を並べ替え、並べ替えた荷物を搬送装置200へ再投入することができる構成であれば、上記の構成に限るものではない。
【0048】
なお、投入用コンベヤ503は、一の投入装置100に接続されており、バッファ装置500は、一の投入装置100を介して搬送装置200に荷物を再投入する。投入用コンベヤ503は、投入装置100を介さずに搬送装置200に直接接続されていてもよい。
【0049】
搬送システム10では、バッファ装置500が設けられることで以下に示す効果が奏される。搬送システム10では、複数の投入装置100のそれぞれは、異なる倉庫31~34に連結されている。このため、オーダーで示されるシュート300への払い出しの順番どおりに出庫指令が複数の投入装置100へ出されたとしても、倉庫31~34のそれぞれの出庫状況によっては、オーダーの順番に、複数の投入装置100へ荷物20が到着しない場合がある。この場合、複数の投入装置100にオーダーの順番に荷物20の投入を制御させるために、当該順番において後の荷物20を先の荷物が投入装置100に到着するまで待機させると、複数の投入装置100のいずれかにおいて荷物20の滞留が発生してしまう。このため、複数の投入装置100において滞留が発生しないように、複数の投入装置100は、複数の投入装置100に到着した順番で、荷物20を搬送装置200へ投入する。そこで、シュート300を通り過ぎた荷物が払い出されるバッファ装置500を設けることにより、バッファ装置500においてオーダーの順番となるように荷物20の順番を並べ替えて搬送装置200へ再投入することにより、複数の投入装置100および搬送装置において荷物20が滞留することを低減することができる。
【0050】
収納庫502は、例えば自動倉庫である。収納庫502の具体的な構成について、
図4及び
図5を用いて説明する。
図4及び
図5は、収納庫502の具体的な構成を示す概略図である。
【0051】
収納庫502は、複数の棚521~523と、複数の台車531~533と、荷物20を昇降させる昇降搬送装置510とを備える。複数の棚521~523のそれぞれは、Z軸方向(高さ方向)に直交するY軸方向に長尺な矩形板状部材である。複数の棚521~523は、それぞれ異なる高さに配置されている。
【0052】
複数の台車531~533は、複数の棚521~523にそれぞれ対応して配置され、複数の棚521~523のX軸方向プラス側に配置される。複数の台車531~533は、Y軸方向に沿って移動可能に配置されており、荷物20をY軸方向に搬送する。各台車531~533は、各台車531~533が対応する棚521~523のY軸方向の所定の位置において荷物20を載置する動作、または、荷物20を取り込む動作を行うことができる。つまり、各台車531~533は、対応する棚521~523との間で荷物20をX軸方向に移動させることができる。
【0053】
昇降搬送装置510は、複数の棚521~523が存在する高さ方向の範囲において荷物20を昇降させる装置である。昇降搬送装置510は、複数の台車531~533のそれぞれの高さに荷物20を搬送することができる。これにより、昇降搬送装置510は、各台車531~533との間で荷物20の授受をすることができる。なお、昇降搬送装置510と各台車531~533との間の荷物20の授受は、バッファコンベヤ541~543を介して行われてもよい。各バッファコンベヤ541~543は、異なる台車531~533に対応している。
【0054】
次に、コントローラ400による具体的な処理について説明する。
【0055】
コントローラ400は、搬送装置200の占有率が低減し、効率よく複数のシュート300へ荷物20が払い出されるように、搬送システム10の制御を行う。コントローラ400は、外部の機器から受信したオーダーに基づく順番で、複数の荷物20が所定のシュート300へ払い出されるように、搬送装置200を制御する。
【0056】
コントローラ400は、搬送装置200に対して順番制御と、保管制御とを行う。コントローラ400は、さらに、バッファ装置500に対して再投入制御を行ってもよい。
【0057】
順番制御において、コントローラ400は、搬送装置200により搬送されている荷物がシュート300に払い出される順番の荷物であるか否かを判定する。そして、コントローラ400は、判定の結果、搬送装置200により搬送されている荷物がシュート300に払い出される順番の荷物でない場合、次に当該荷物がシュート300に接続されている区間に到達しても当該荷物をシュート300に払い出させずに通過させるように搬送装置200を制御する。具体的には、コントローラ400は、搬送方向において複数の投入装置100よりも下流側から複数のシュート300の上流側の区間(例えば、シュート300の直前の区間)において、シュート300に払い出される順番の荷物20が載置されているトレイ210に対してシュート300で荷物20を払い出すように指示する。つまり、コントローラ400は、シュート300の直前の区間に、シュートに払い出される順番の荷物20が載置されているトレイ210があれば、当該トレイ210に荷物20を払い出すように指示する。各トレイ210は光伝送の受信器を有しており、コントローラ400は、シュート300の直線の区間に配置される光伝送の送信器から次にシュート300に払い出されるべき荷物20が載置されているトレイ210にシュート300に払い出しを行うように指示する。光伝送の送信器から指示を受信したトレイ210は、シュート300において荷物20を払い出す。
【0058】
例えば、シュート300を通過した荷物20の順番が5番目であり、当該荷物20の払い出し先のシュート300には3番目の荷物20までが払い出されている場合を考える。この場合、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番は4番目の荷物であるため、5番目の荷物がシュート300に接続されている区間に到達しても5番目の荷物をシュート300に払い出されずに通過する。一方で、4番目の荷物がシュート300に接続されている区間に到達した場合、4番目の荷物は、搬送装置200によってシュート300に払い出される。
【0059】
保管制御において、コントローラ400は、さらに、順番制御によってシュート300を通過した荷物20をバッファ装置500に払い出させるように搬送装置200を制御する。コントローラ400は、シュート300を通過した荷物20の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番との第1の差が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する。そして、コントローラ400は、第1の差が第1の閾値よりも大きい場合、シュート300を通過した荷物20をバッファ装置500へ払い出させるように搬送装置200を制御する。コントローラ400は、第1の差が第1の閾値以下である場合、シュート300を通過した荷物20をバッファ装置500に払い出させずに搬送装置200の搬送経路240を周回させる。このように、コントローラ400は、第1の閾値を基準に保管制御を行うため、占有率を考慮せずに搬送装置200の占有率が低減するように搬送装置200を制御することができる。
【0060】
例えば、第1の閾値が「5」であり、シュート300を通過した荷物20の順番が10番目であり、当該荷物20の払い出し先のシュート300には3番目の荷物20までが払い出されている場合を考える。この場合、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番は4番目の荷物であり、シュート300を通過した荷物20の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番との第1の差が「6」となり、第1の閾値である「5」よりも大きい。このため、コントローラ400は、搬送装置200に対して、10番目の順番の荷物20をバッファ装置500へ払い出させる指示を送る。これにより、10番目の順番の荷物20は、搬送装置200からバッファ装置500へ払い出される。
【0061】
また、シュート300を通過した荷物20の順番が4番目であり、当該荷物20の払い出し先のシュート300には1番目の荷物20のみが払い出されている場合を考える。この場合、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番は2番目の荷物であり、シュート300を通過した荷物20の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番との第1の差が「2」となり、第1の閾値である「5」以下となる。このため、コントローラ400は、搬送装置200に対して、4番目の順番の荷物20をバッファ装置500に払い出させずに搬送経路240を周回させる指示を搬送装置200に送る。これにより、4番目の順番の荷物20は、搬送装置200の搬送経路240を再び周回する。
【0062】
なお、コントローラ400は、検出器230を用いて占有率を取得し、取得した占有率が大きいほど小さい値に第1の閾値を設定してもよい。つまり、コントローラ400は、占有率に応じて第1の閾値を設定してもよい。これにより、搬送装置200の荷物の占有率が大きいほど、バッファ装置500に払い出される荷物の量を増加させることができ、搬送装置200からシュート300に払い出されずに滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0063】
なお、コントローラ400は、検出器230を用いて占有率を取得し、取得した占有率が所定値以下になるように搬送している荷物20をバッファ装置500へ払い出させるように搬送装置200を制御してもよい。このため、搬送装置200の区間243における荷物20の占有率を所定値以下にすることができ、搬送装置200からシュート300を通過して滞留する荷物20を効果的に低減することができる。
【0064】
再投入制御において、コントローラ400は、さらに、バッファ装置500に保管されている荷物20の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物の順番との第2の差が第2の閾値よりも小さい場合、バッファ装置500に保持されている荷物20を搬送装置200に再投入させるようにバッファ装置500を制御する。コントローラ400は、第2の差が第2の閾値以上である場合、荷物20を搬送装置200に再投入しない。なお、第2の閾値は、第1の閾値以下の値である。つまり、第2の閾値は、第1の閾値より小さい値であってもよいし、第1の閾値と等しい値であってもよい。
【0065】
例えば、第2の閾値が「3」であり、バッファ装置500に保管されている荷物20の順番が6番目であり、当該荷物20の払い出し先のシュート300には3番目の荷物20までが払い出されている場合を考える。この場合、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番は4番目の荷物であり、バッファ装置500に保管されている荷物20の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番との第2の差が「2」となり、第2の閾値である「3」よりも小さい。このため、コントローラ400は、バッファ装置500に対して、バッファ装置500に保管されている6番目の順番の荷物20を搬送装置200へ払い出させる指示を送る。これにより、6番目の順番の荷物20は、バッファ装置500から投入装置100を介して搬送装置200へ再投入される。
【0066】
また、バッファ装置500に保管されている荷物20の順番が8番目であり、当該荷物20の払い出し先のシュート300には3番目の荷物20までが払い出されている場合を考える。この場合、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番は4番目の荷物であり、バッファ装置500に保管されている荷物20の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物20の順番との第2の差が「4」となり、第2の閾値である「3」以上となる。このため、コントローラ400は、バッファ装置500に対して再投入の指示をせずに、バッファ装置500に保管されている8番目の順番の荷物20をバッファ装置500に保管されたままとする。
【0067】
なお、コントローラ400は、検出器230を用いて占有率を取得し、取得した占有率が大きいほど小さい値に第2の閾値を設定してもよい。つまり、コントローラ400は、占有率に応じて第2の閾値を設定してもよい。これにより、搬送装置200の荷物の占有率が大きいほど、バッファ装置500から搬送装置200に再投入される荷物の量を低減させることができ、搬送装置200に滞留する荷物を効果的に低減することができる。反対に、搬送装置200の荷物の占有率が小さいほど、バッファ装置500から搬送装置200に再投入される荷物の量を増加させることができ、シュート300への荷物の払い出しを効率よく行うことができる。
【0068】
また、コントローラ400は、複数の投入装置100において、シュート300に払い出される順番が連続している複数の荷物20が揃った場合、シュート300に払い出される順番で搬送装置200に搬送されるように複数の投入装置100への複数の荷物20の投入指示を出力してもよい。例えば、複数の投入装置100において、特定のシュート300へ2~4番目に払い出される荷物が同じタイミングで搬送装置200に投入されようとしている場合、搬送装置200の複数のトレイ210が搬送方向で並んでいる順番に並ぶように、2番目の荷物、3番目の荷物および4番目の荷物を投入する。例えば、一の投入装置100が3番目の荷物を搬送装置200へ投入する際に、当該一の投入装置100が投入しようとしている荷物20と同じシュート300に払い出される荷物であって、投入しようとしている荷物よりも前の順番の荷物(例えば、2番目の荷物)が他の投入装置100により搬送装置200へ投入されようとしているか否かを判定する。そして、他の投入装置100により払い出されようとしている2番目の荷物があった場合、一の投入装置100は、他の投入装置100が2番目の荷物を搬送装置200へ投入し、投入された2番目の荷物が一の投入装置100を通過するまで、3番目の荷物を搬送装置200へ投入するのを待機する。これにより、例えば、3番目の荷物を投入しようとしている投入装置100よりも、上流側の投入装置100から2番目の荷物が投入されようとしている場合であっても、搬送方向において、2番目の荷物が載置される予定のトレイ210よりも後ろのトレイ210に3番目の荷物を載置することができるため、特定のシュート300への払い出しを効率よく行うことができる。
【0069】
また、コントローラ400は、複数のシュート300のうちの特定のシュート300に払い出される予定の荷物21、22が、バッファ装置500の収納庫502における複数の棚521~523のうちの棚521、522にそれぞれ載置されている場合、特定のシュート300に対して払い出される予定の他の荷物23を棚521、522とは異なる棚523に載置するようにバッファ装置500を制御してもよい。
【0070】
このため、特定のシュート300に払い出される予定の荷物23を台車533で搬送しているのと併行して、特定のシュート300に払い出される予定の他の荷物21、22の搬送を他の台車531、532で行うことができる。つまり、特定のシュート300に対して払い出される予定の複数の荷物21~23をバッファ装置500から搬送装置200へ出庫する指示があった場合、それぞれ異なる棚521~523に配置されているため、複数の台車531~532は、荷物21~23を併行してバッファコンベヤ541~543へ移載する。このため、昇降搬送装置510が荷物21~23を受け取るまでの時間を短縮することができ、昇降搬送装置510は、バッファコンベヤ541~543からオーダーの順番に従って荷物21~23を効率よく受け取ることができる。よって、例えば、荷物21~23の順番が連続しており、同じタイミングで荷物21~23の収納庫502からの出し入れが発生する場合に、効率よく荷物21~23を搬送することができる。
【0071】
[搬送システムの動作]
以下、搬送システム10の動作について説明する。
【0072】
搬送システム10における搬送装置の占有率を調整する処理について
図6を用いて説明する。
図6は、搬送システム10における搬送装置の占有率を調整する処理の一例を示すシーケンス図である。
【0073】
搬送システム10では、コントローラ400は、搬送経路240の搬送方向における複数のシュート300の下流側からバッファ装置500の受け取り用コンベヤ501までの間における搬送装置200の占有率を、検出器230を用いて取得する(S11)。
【0074】
次に、コントローラ400は、順番制御を行う(S12)。順番制御の詳細について
図7を用いて説明する。
図7は、コントローラ400による順番制御の処理を示すフローチャートである。
【0075】
コントローラ400は、特定のシュート300に接続されている区間に荷物20が到達した場合、当該荷物20が当該特定のシュート300に払い出される順番の荷物であるか否かを判定する(S21)。
【0076】
コントローラ400は、順番が一致すると判定した場合(S21でYes)、当該荷物20を特定のシュート300に払い出す指示を搬送装置200に送信することを決定する(S22)。
【0077】
コントローラ400は、順番が一致しないと判定した場合(S21でNo)、当該荷物20を特定のシュート300に払い出す指示を搬送装置200に送信しないことを決定する(S23)。つまり、コントローラ400は、当該荷物20を周回させることを決定する。なお、コントローラ400は、ステップS23を行わなくてもよい。
【0078】
順番制御の後で、コントローラ400は、ステップS22が行われた場合、当該荷物20を特定のシュート300に払い出す指示を搬送装置200に送信する(S13)。コントローラ400は、ステップS23が行われた場合、指示を送信しない。
【0079】
次に、コントローラ400は、保管制御を行う(S14)。保管制御の詳細について
図8を用いて説明する。
図8は、コントローラ400による保管制御の処理を示すフローチャートである。
【0080】
コントローラ400は、特定のシュート300を通過して、シュート300に払い出されなかった荷物20の順番と、次に特定のシュート300に払い出されるべき荷物20の順番との第1の差が第1の閾値よりも大きいか否かを判定する(S31)。
【0081】
コントローラ400は、第1の差が第1の閾値よりも大きいと判定した場合(S31でYes)、当該荷物20をバッファ装置500に払い出す指示を搬送装置200に送信することを決定する(S32)。
【0082】
コントローラ400は、第1の差が第1の閾値以下である判定した場合(S31でNo)、当該荷物20をバッファ装置500に払い出す指示を搬送装置200に送信しないことを決定する(S33)。つまり、コントローラ400は、当該荷物20を周回させることを決定する。なお、コントローラ400は、ステップS33を行わなくてもよい。
【0083】
保管制御の後で、コントローラ400は、ステップS32が行われた場合、当該荷物20をバッファ装置500に払い出す指示を搬送装置200に送信する(S15)。コントローラ400は、ステップS33が行われた場合、指示を送信しない。
【0084】
次に、コントローラ400は、再投入制御を行う(S16)。再投入制御の詳細について
図9を用いて説明する。
図9は、コントローラ400による再投入制御の処理を示すフローチャートである。
【0085】
コントローラ400は、バッファ装置500に保管されている荷物20の順番と、次に特定のシュート300に払い出されるべき荷物20の順番との第2の差が第2の閾値よりも小さいか否かを判定する(S41)。
【0086】
コントローラ400は、第2の差が第2の閾値よりも小さいと判定した場合(S41でYes)、当該荷物20を搬送装置200に再投入する指示をバッファ装置500に送信することを決定する(S42)。
【0087】
コントローラ400は、第2の差が第2の閾値以下である判定した場合(S41でNo)、処理を終了する。
【0088】
再投入制御の後で、コントローラ400は、ステップS42が行われた場合、当該荷物20を搬送装置200に再投入する指示をバッファ装置500に送信する(S17)。コントローラ400は、ステップS41でNoと判定した場合、指示を送信しない。
【0089】
[効果など]
本実施の形態に係る搬送システム10によれば、コントローラ400は、順番制御によってシュート300を通過した荷物20を、シュート300の下流側、かつ、投入装置100の上流側のバッファ装置500に払い出させるように搬送装置200を制御する。このため、搬送装置200からシュート300に払い出されずに滞留する荷物20を効果的に低減することができる。
【0090】
また、搬送装置200において滞留する荷物20を低減することができるため、複数の投入装置100による荷物20の搬送装置200への投入機会を増加させることができる。これにより、複数の投入装置100において荷物20が滞留することを低減することができる。また、複数の投入装置100による投入機会が増えるため、シュート300に次に払い出されるべき荷物20を搬送装置200へ投入することができ、シュート300へ払い出される荷物20を増加させることができる。よって、搬送装置200による荷物20の仕分けを効率よく行うことができる。
【0091】
また、コントローラ400は、保管制御において、シュート300を通過した荷物の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物の順番との差が第1の閾値よりも大きい場合、シュート300を通過した荷物をバッファ装置500に払い出させるように搬送装置200を制御する。このため、シュート300に払い出されるまでの順番待ちのための時間を多く要する荷物をバッファ装置500に払い出すため、搬送装置200からシュート300に払い出されずに滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0092】
また、コントローラ400は、保管制御において、搬送経路240上の区間243であって、シュート300よりも搬送方向の下流側、かつ、バッファ装置500よりも搬送方向の上流側の区間243における荷物の占有率を取得する。そして、コントローラ400は、占有率が大きいほど小さい値に第1の閾値を設定する。このため、搬送装置200の区間243における荷物の占有率が大きいほど、バッファ装置500に払い出される荷物の量を増加させることができ、搬送装置200からシュート300に払い出されずに滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0093】
また、コントローラ400は、バッファ装置500に保管されている荷物の順番と、次にシュート300に払い出されるべき荷物の順番との差が第2の閾値よりも小さい場合、バッファ装置500に保持されている荷物を搬送装置200に再投入させるようにバッファ装置500を制御する再投入制御を行う。このため、シュートに払い出されるべき順番が近い荷物を適切なタイミングで搬送装置200に再投入することができる。
【0094】
また、コントローラ400は、再投入制御において、搬送経路240上の区間243であって、シュート300よりも搬送方向の下流側、かつ、バッファ装置500よりも搬送方向の上流側の区間243における荷物の占有率を取得する。そして、コントローラ400は、占有率が大きいほど小さい値に第2の閾値を設定する。このため、搬送装置200の区間243における荷物の占有率が大きいほど、バッファ装置500から搬送装置200に再投入される荷物の量を低減させることができ、搬送装置200に滞留する荷物を効果的に低減することができる。
【0095】
また、コントローラ400は、複数の投入装置100において、シュート300に払い出される順番が連続している複数の荷物が揃った場合、払い出される順番で搬送装置200に搬送されるように複数の投入装置100へ複数の荷物の投入指示を出力する。このため、複数の投入装置100から搬送装置200に投入された荷物を効率よくシュートへ払い出すことができる。
【0096】
[変形例]
上記実施の形態に係る搬送システム10では、複数の投入装置100、搬送装置200および複数のシュート300は、1階層の構成を例に説明したが、これに限らずに、2階層以上の構成であってもよい。
【0097】
図10を用いて、変形例の搬送システム10Aについて説明する。
図10は、変形例に係る搬送システム10Aの全体構成を示す平面図である。
図10では、1階部分と、2階部分とを分けて図示しているが、実際には、1階部分と2階部分とは、上下方向に異なる位置に配置され、上面視において重なる位置に配置されている。なお、1階部分と2階部分とは、上面視において重なる位置に配置されていなくてもよい。
【0098】
搬送システム10Aは、1階部分において、複数の投入装置100Aと、搬送装置200Aと、複数のシュート300Aとを備え、2階部分において、複数の投入装置100Bと、搬送装置200Bと、複数のシュート300Bとを備える。つまり、搬送システム10Aは、高さ方向に異なる位置に設けられ、バッファ装置500が有する昇降搬送装置510の高さ方向に異なる位置に接続する搬送装置200A、200Bを備える。
【0099】
複数の投入装置100Aは、搬送装置200Aに荷物の投入を行う投入装置であり、それぞれが異なる倉庫31~34に連結される。複数の投入装置100Bは、搬送装置200Bに荷物の投入を行う投入装置であり、それぞれが異なる倉庫31~34に連結される。複数の投入装置100Aは、
図10において、左から順に、倉庫31、倉庫32、倉庫33および倉庫34に連結されており、複数の投入装置100Bは、
図10において、左から順に、倉庫31、倉庫32、倉庫33および倉庫34に連結されている。なお、これに限らずに、複数の投入装置100Bは、右から順に、倉庫31、倉庫32、倉庫33および倉庫34に連結されていてもよい。搬送装置200A、200Bが同じ回転方向に循環する環状の経路を有する場合、倉庫31~34がそれぞれ連結される複数の投入装置の搬送方向における並び順を1階部分と2階部分とで反対になる。このため、例えば、1階部分で上流側に投入する投入装置に連結されている倉庫は、2階部分では下流側に投入する投入装置に連結される。これにより、各倉庫31~34から出庫された荷物20が投入される搬送装置200A、200B上における位置のばらつきを低減することができる。このため、特定の倉庫の荷物が搬送装置へ投入されやすくなったり、他の特定の倉庫の荷物が搬送装置へ投入されにくくなったりすることを低減することができる。シュート300Aは、搬送装置200Aによって荷物が払い出され、シュート300Bは、搬送装置200Bによって荷物が払い出される。
【0100】
バッファ装置500は、搬送装置200Aと受け取り用コンベヤ501Aで接続され、一の投入装置100Aと投入用コンベヤ503Aで接続される。また、バッファ装置500は、搬送装置200Bと受け取り用コンベヤ501Bで接続され、一の投入装置100Bと投入用コンベヤ503Bで接続される。
【0101】
そして、コントローラ400は、投入装置100Aにおいて搬送装置200Aに投入された荷物がシュート300Bに払い出される荷物である場合、バッファ装置500の昇降搬送装置510を用いて搬送装置200Bに払い出すようにバッファ装置500を制御する。つまり、この場合、搬送装置200Aの荷物は、昇降搬送装置510により、2階部分に上げられ、搬送装置200Bに払い出される。
【0102】
また、コントローラ400は、投入装置100Bにおいて搬送装置200Bに投入された荷物がシュート300Aに払い出される荷物である場合、バッファ装置500の昇降搬送装置510を用いて搬送装置200Aに払い出すようにバッファ装置500を制御する。つまり、この場合、搬送装置200Bの荷物は、昇降搬送装置510により、1階部分に降ろされ、搬送装置200Aに払い出される。
【0103】
このため、搬送システム10Aでは、搬送装置200Aおよび搬送装置200Bの一方が故障しても他方の搬送装置を用いて、荷物を払い出すことができる。
【0104】
また、特定の1つのシュート300に対して払い出す複数の荷物20を倉庫31~34から一度に出庫する場合、当該シュート300への順番が1~3番目の荷物を搬送装置200Aへ払い出し、4~6番目の荷物を搬送装置200Bへ払い出した後でバッファ装置500に保管させてもよい。これにより、特定の1つのシュートへ払い出す荷物を効率よく集めることができる。
【産業上の利用可能性】
【0105】
本発明は、荷物の滞留を低減することができる搬送システムなどとして有用である。
【符号の説明】
【0106】
10、10A 搬送システム
20~23 荷物
31~34 倉庫
100、100A、100B 投入装置
200、200A、200B 搬送装置
210 トレイ
220 駆動ユニット
230 検出器
240 搬送経路
300、300A、300B シュート
400 コントローラ
500 バッファ装置
501、501A、501B 受け取り用コンベヤ
502 収納庫
503、503A、503B 投入用コンベヤ
510 昇降搬送装置
521~523 棚
531~533 台車
541~543 バッファコンベヤ