(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】光学式選別装置
(51)【国際特許分類】
B07C 5/342 20060101AFI20231031BHJP
G01N 21/85 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/85 A
(21)【出願番号】P 2019233200
(22)【出願日】2019-12-24
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 陽一
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第04848590(US,A)
【文献】国際公開第2019/155764(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/043431(WO,A1)
【文献】特開2010-184226(JP,A)
【文献】特開2005-180958(JP,A)
【文献】特開2005-083775(JP,A)
【文献】特開平10-180195(JP,A)
【文献】米国特許第10088425(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/00-5/38
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学検出用スリットと、該光学検出用スリットの下流側に配置された選別除去用スリットとを有し、被選別物が表面を流下するシュートと、
前記シュートの裏面側に設置され前記被選別物に開口から光を照射するリア側照明部を有する照明部と、該照明部によって照射された光の前記被選別物からの透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部と、前記透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を前記受光部へ送る光経路を有し、前記シュートの表面を流下する被選別物の検査を行う光学検査部と、
前記シュートの表面を流下する被選別物に噴出可能なエジェクターノズルを有し、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター部と、
を備える光学式選別装置において、
前記シュートの裏面側に取り付けられたベース部材を備え、
前記ベース部材には、少なくとも前記リア側照明部と前記エジェクターノズルとが取り付けられ、該ベース部材は、前記リア側照明部の前記開口が前記光学検出用スリットに臨み、前記エジェクターノズルの先端が前記選別除去用スリットに臨むように設置されて
おり、
前記ベース部材又は前記リア側照明部は、前記光学検出用スリットに挿入されることで前記シュートに対して前記ベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えている
ことを特徴とする光学式選別装置。
【請求項2】
光学検出用スリットと、該光学検出用スリットの下流側に配置された選別除去用スリットとを有し、被選別物が表面を流下するシュートと、
前記シュートの裏面側に設置され前記被選別物に開口から光を照射するリア側照明部を有する照明部と、該照明部によって照射された光の前記被選別物からの透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部と、前記透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を前記受光部へ送る光経路を有し、前記シュートの表面を流下する被選別物の検査を行う光学検査部と、
前記シュートの表面を流下する被選別物に噴出可能なエジェクターノズルを有し、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター部と、
を備える光学式選別装置において、
前記シュートの裏面側に取り付けられたベース部材を備え、
前記ベース部材には、少なくとも前記リア側照明部と前記エジェクターノズルとが取り付けられ、該ベース部材は、前記リア側照明部の前記開口が前記光学検出用スリットに臨み、前記エジェクターノズルの先端が前記選別除去用スリットに臨むように設置されており、
前記ベース部材又は前記エジェクターノズルは、前記選別除去用スリットに挿入されることで前記シュートに対して前記ベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えている
ことを特徴とする光学式選別装置。
【請求項3】
前記ベース部材がリア側ハウジングであり、
前記エジェクター部は、前記エジェクターノズルと、前記エジェクターノズルに高圧エアを分配するマニホールドと、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記マニホールドの分配を制御する電磁バルブとを有し、
前記リア側ハウジング内には、前記リア側照明部、前記エジェクターノズル及び前記マニホールドが収容され、前記リア側ハウジングの外面には、前記電磁バルブが取り付けられている
ことを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の光学式選別装置。
【請求項4】
前記リア側ハウジングの外面に突片が張り出され、前記電磁バルブに係合爪が設けられ、前記突片に係合爪をスナップ係合することにより、前記リア側ハウジングの外面に前記電磁バルブが取り付けられていることを特徴とする請求項
3に記載の光学式選別装置。
【請求項5】
前記ベース部材がリア側ハウジングであり、
前記エジェクター部は、前記エジェクターノズルと、前記エジェクターノズルに高圧エアを分配するマニホールドと、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記マニホールドの分配を制御する電磁バルブとを有し、
前記リア側ハウジング内には、前記リア側照明部及び前記エジェクターノズルが収容され、前記エジェクターノズルと前記リア側ハウジングの外部に設置された前記マニホールド及び前記電磁バルブとがエアホースで連結されていることを特徴とする請求項1
又は請求項2に記載の光学式選別装置。
【請求項6】
前記リア側照明部は、光源と、前記光源から出射された光を前記光学検出用スリットに向けて反射する反射部とを有し、
前記シュートの上流側から、前記光源、前記反射部、前記エジェクターノズルの順で配置されている
ことを特徴とする請求項1乃至
請求項5のいずれか1項に記載の光学式選別装置。
【請求項7】
前記シュートの表面側にフロント側ハウジングを備え、
前記照明部は、前記シュートの表面側に設置されるフロント側照明部とを有し、
前記フロント側ハウジングには、少なくとも前記フロント側照明部と、前記受光部と、前記光経路とが収容されている
ことを特徴とする請求項1乃至
請求項6のいずれか1項に記載の光学式選別装置。
【請求項8】
請求項1乃至
請求項7のいずれか1項に記載の光学式選別装置を備えたことを特徴とする籾摺選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒、豆類、樹脂ペレット等の粒状物を、色彩等に基づいて選別する光学式選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀類、豆類、樹脂ペレット等の粒状物は、色彩等に基づいて、良品と不良品とに選別して不良品を除去したり、混入した異物を除去したりすることがある。
例えば、特許文献1には、穀粒が流下するシュートの下方に、シュートから落下する粒状物の落下軌跡を挟んで光学検出部を設け、光学検出部のさらに下方にエジェクターノズルを設け、光学検出部で落下する粒状物が良品か不良品かを検出し、不良品であるとされた粒状物をエジェクターノズルから噴射された高圧の噴風によって流下中の粒状物から除去する光学式粒状物選別装置が開示されている。
【0003】
上記特許文献1に記載のような光学式粒状物選別装置は、シュートから落下した不良品を噴風で除去しているが、空中での飛行姿勢の乱れによって一定の飛行軌跡を落下しない粒状物があるため、噴風が不良品に当たらずに選別ミスを起こす可能性がある。
【0004】
選別性能を向上させるため、出願人は、特許文献2を出願している。これは、被選別部のシュートに光学検出用スリットと、選別除去用スリットを設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6037125号公報
【文献】特願2019-209821号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のような光学式選別装置は、シュートの光学検出用スリットに対応させて光学検出部を設け、さらにその下方の選別除去用スリットに対応させてエジェクターノズルを設ける必要がある。このため、全体が大型化し、組み立てが面倒で、人手やロボットによる大量生産にも不向きであった。特に、籾摺機に付設するような場合では、そのような課題が顕著であった。
また、光学検出用スリットと選別除去用スリットとの距離をできる限り近づけ、コンパクト化や選別精度の向上も求められている。
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、コンパクトで組み立てが容易であり、大量生産に適した光学式選別装置を提供することにある。本発明が解決しようとする課題は、光学検出用スリットと選別除去用スリットとの距離をできる限り近づけ、選別精度が高く、コンパクトな光学式選別装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に係る発明は、光学検出用スリットと、該光学検出用スリットの下流側に配置された選別除去用スリットとを有し、被選別物が表面を流下するシュートと、前記シュートの裏面側に設置され前記被選別物に開口から光を照射するリア側照明部を有する照明部と、該照明部によって照射された光の前記被選別物からの透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部と、前記透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を前記受光部へ送る光経路を有し、前記シュートの表面を流下する被選別物の検査を行う光学検査部と、前記シュートの表面を流下する被選別物に噴出可能なエジェクターノズルを有し、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター部と、を備える光学式選別装置において、前記シュートの裏面側に取り付けられたベース部材を備え、前記ベース部材には、少なくとも前記リア側照明部と前記エジェクターノズルとが取り付けられ、該ベース部材は、前記リア側照明部の前記開口が前記光学検出用スリットに臨み、前記エジェクターノズルの先端が前記選別除去用スリットに臨むように設置されており、前記ベース部材又は前記リア側照明部は、前記光学検出用スリットに挿入されることで前記シュートに対して前記ベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えていることを特徴とする光学式選別装置である。
本願請求項2に係る発明は、光学検出用スリットと、該光学検出用スリットの下流側に配置された選別除去用スリットとを有し、被選別物が表面を流下するシュートと、前記シュートの裏面側に設置され前記被選別物に開口から光を照射するリア側照明部を有する照明部と、該照明部によって照射された光の前記被選別物からの透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部と、前記透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を前記受光部へ送る光経路を有し、前記シュートの表面を流下する被選別物の検査を行う光学検査部と、前記シュートの表面を流下する被選別物に噴出可能なエジェクターノズルを有し、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター部と、を備える光学式選別装置において、前記シュートの裏面側に取り付けられたベース部材を備え、前記ベース部材には、少なくとも前記リア側照明部と前記エジェクターノズルとが取り付けられ、該ベース部材は、前記リア側照明部の前記開口が前記光学検出用スリットに臨み、前記エジェクターノズルの先端が前記選別除去用スリットに臨むように設置されており、前記ベース部材又は前記エジェクターノズルは、前記選別除去用スリットに挿入されることで前記シュートに対して前記ベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えていることを特徴とする光学式選別装置である。
本願請求項3に係る発明は、前記ベース部材がリア側ハウジングであり、前記エジェクター部は、前記エジェクターノズルと、前記エジェクターノズルに高圧エアを分配するマニホールドと、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記マニホールドの分配を制御する電磁バルブとを有し、前記リア側ハウジング内には、前記リア側照明部、前記エジェクターノズル及び前記マニホールドが収容され、前記リア側ハウジングの外面には、前記電磁バルブが取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学式選別装置である。
本願請求項4に係る発明は、前記リア側ハウジングの外面に突片が張り出され、前記電磁バルブに係合爪が設けられ、前記突片に係合爪をスナップ係合することにより、前記リア側ハウジングの外面に前記電磁バルブが取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載の光学式選別装置である。
本願請求項5に係る発明は、前記ベース部材がリア側ハウジングであり、前記エジェクター部は、前記エジェクターノズルと、前記エジェクターノズルに高圧エアを分配するマニホールドと、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記マニホールドの分配を制御する電磁バルブとを有し、前記リア側ハウジング内には、前記リア側照明部及び前記エジェクターノズルが収容され、前記エジェクターノズルと前記リア側ハウジングの外部に設置された前記マニホールド及び前記電磁バルブとがエアホースで連結されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の光学式選別装置である。
本願請求項6に係る発明は、前記リア側照明部は、光源と、前記光源から出射された光を前記光学検出用スリットに向けて反射する反射部とを有し、前記シュートの上流側から、前記光源、前記反射部、前記エジェクターノズルの順で配置されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の光学式選別装置である。
本願請求項7に係る発明は、前記シュートの表面側にフロント側ハウジングを備え、前記照明部は、前記シュートの表面側に設置されるフロント側照明部とを有し、前記フロント側ハウジングには、少なくとも前記フロント側照明部と、前記受光部と、前記光経路とが収容されていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光学式選別装置である。
本願請求項8に係る発明は、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の光学式選別装置を備えたことを特徴とする籾摺選別機である。
また別発明として以下のものでも良い。
手段1は、光学検出用スリットと、該光学検出用スリットの下流側に配置された選別除去用スリットとを有し、被選別物が表面を流下するシュートと、前記シュートの裏面側に設置され前記被選別物に開口から光を照射するリア側照明部を有する照明部と、該照明部によって照射された光の前記被選別物からの透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部と、前記透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を前記受光部へ送る光経路を有し、前記シュートの表面を流下する被選別物の検査を行う光学検査部と、前記シュートの表面を流下する被選別物に噴出可能なエジェクターノズルを有し、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター部と、を備える光学式選別装置において、前記シュートの裏面側に取り付けられたベース部材を備え、前記ベース部材には、少なくとも前記リア側照明部と前記エジェクターノズルとが取り付けられ、該ベース部材は、前記リア側照明部の前記開口が前記光学検出用スリットに臨み、前記エジェクターノズルの先端が前記選別除去用スリットに臨むように設置されていることを特徴とする光学式選別装置である。
【0009】
手段2は、前記ベース部材又は前記リア側照明部は、前記光学検出用スリットに挿入されることで前記シュートに対して前記ベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えていることを特徴とする手段1に記載の光学式選別装置である。
【0010】
手段3に係る発明は、前記ベース部材又は前記エジェクターノズルは、前記選別除去用スリットに挿入されることで前記シュートに対して前記ベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えていることを特徴とする手段1又は2に記載の光学式選別装置である。
【0011】
手段4は、前記ベース部材がリア側ハウジングであり、前記エジェクター部は、前記エジェクターノズルと、前記エジェクターノズルに高圧エアを分配するマニホールドと、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記マニホールドの分配を制御する電磁バルブとを有し、前記リア側ハウジング内には、前記リア側照明部、前記エジェクターノズル及び前記マニホールドが収容され、前記リア側ハウジングの外面には、前記電磁バルブが取り付けられていることを特徴とする手段1乃至手段3のいずれかに記載の光学式選別装置である。
【0012】
手段5は、前記リア側ハウジングの外面に突片が張り出され、前記電磁バルブに係合爪が設けられ、前記突片に係合爪をスナップ係合することにより、前記リア側ハウジングの外面に前記電磁バルブが取り付けられていることを特徴とする手段4に記載の光学式選別装置である。
【0013】
手段6は、前記ベース部材がリア側ハウジングであり、前記エジェクター部は、前記エジェクターノズルと、前記エジェクターノズルに高圧エアを分配するマニホールドと、前記光学検査部の検査結果に基づいて前記マニホールドの分配を制御する電磁バルブとを有し、前記リア側ハウジング内には、前記リア側照明部及び前記エジェクターノズルが収容され、前記エジェクターノズルと前記リア側ハウジングの外部に設置された前記マニホールド及び前記電磁バルブとがエアホースで連結されていることを特徴とする手段1乃至手段3のいずれかに記載の光学式選別装置である。
【0014】
手段7は、前記リア側照明部は、光源と、前記光源から出射された光を前記光学検出用スリットに向けて反射する反射部とを有し、前記シュートの上流側から、前記光源、前記反射部、前記エジェクターノズルの順で配置されていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれかに記載の光学式選別装置である。
【0015】
手段8は、前記シュートの表面側にフロント側ハウジングを備え、前記照明部は、前記シュートの表面側に設置されるフロント側照明部とを有し、前記フロント側ハウジングには、少なくとも前記フロント側照明部と、前記受光部と、前記光経路とが収容されていることを特徴とする手段1乃至手段7のいずれかに記載の光学式選別装置である。
【0016】
手段9は、手段1乃至手段8のいずれかに記載の光学式選別装置を備えたことを特徴とする籾摺選別機である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シュート表面の安定した軌道を流下する被選別物に選別除去用スリットを通してエアを吹き付けるので、空気流の乱れ等の影響を受けずに、除去すべき被選別物に確実に噴風を当てることができ、選別ミスが起こりにくく精度が向上する。
リア側照明部及びエジェクターノズルを一つのベース部材に取り付けてあるので、ベース部材を取り付けるだけで、リア側照明部及びエジェクターノズルを同時に簡単に設置することができ、この結果、人手やロボットによって容易に大量生産することが可能となる。また、装置が小型化し、リア側照明部とエジェクターノズルとの距離、すなわち、光学検出用スリットと選別除去用スリットとの距離が短くなるため、光検出用スリットを通過してから選別除去用スリットに達するまでの混合粒の軌道が変わりにくく、選別精度が高まる。
【0018】
加えて、ベース部材又はリア側照明部は、光学検出用スリットに挿入されることでシュートに対してベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えているので、取り付けの際に簡単に位置決めを行うことができる。
【0019】
加えて、ベース部材又はエジェクターノズルは、前記選別除去用スリットに挿入されることでシュートに対してベース部材の位置決めが行われる位置決め突起を備えているので、取り付けの際に簡単に位置決めを行うことができる。
【0020】
加えて、フロント側照明部、受光部及び光経路をフロント側ハウジング内に収容することにより、さらに組み立てが容易となり、フロント側照明部、受光部及び光経路が埃等から保護される。
【0021】
加えて、ベース部材をリア側ハウジングとし、リア側照明部、エジェクターノズル及びマニホールドをリア側ハウジング内に収容すれば、さらに装置を小型化でき、リア側照明部に埃等が付着しにくい。
【0022】
加えて、リア側ハウジングの外面に突片を張り出し、電磁バルブに突片とスナップ係合する係合爪を設けることにより、電磁バルブをリア側ハウジングに簡単に取り付けることができる。
【0023】
加えて、エジェクターノズルとリア側ハウジングの外部に設置されたマニホールド及び電磁バルブをエアホースで連結すれば、市販されている一般的なマニホールド及び電磁バルブを用いることができる。
【0024】
加えて、リア側照明部が、光源と、光源から出射された光を光学検出用スリットに向けて反射する反射部とを有し、シュートの上流側から、光源、反射部、エジェクターノズルの順で配置されているので、光学検出用スリットと選別除去用スリットとの距離をさらに短くすることができ、コンパクト化と選別精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る選別部の断面図。
【
図2】本発明の第1の実施形態を示す光学式選別装置の断面図。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係るシュートの斜視図。
【
図4】本発明の第1の実施形態を示す光学式選別装置の要部拡大断面図。
【
図5】本発明の第2の実施形態を示す光学式選別装置の要部拡大断面図。
【
図6】本発明の第3の実施形態を示す光学式選別装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0027】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態を
図1乃至
図4と共に説明する。
図1は、第1の実施形態における選別機の断面図であり、
図2は、第1の実施形態における光学式選別装置の断面図であり、
図3は、第1の実施形態におけるシュートの斜視図であり、
図4は、第1の実施形態における光学式選別装置の要部拡大断面図である。
【0028】
第1の実施形態では、
図1に示すように、光学式選別装置1が、図示しない籾摺選別機の選別部2に搭載される。選別部2は、図示しない籾摺部の下流側に隣接して設置される二次選別部である。
籾摺部で籾から籾殻と玄米とが分離され籾殻が一次選別される。一次選別された籾殻等の異物を依然と含む玄米からなる混合粒(被選別物)は、選別部2に送られ、光学式選別装置1により混合粒から異物のみが選別・除去される。
【0029】
選別部2の下部には、籾摺部から混合粒が送り込まれる原料ホッパ3が設けられる。選別部2の上部であって、光学式選別装置1の上方には貯留タンク4が設置される。原料ホッパ3に送り込まれた混合粒は、揚穀部5によって貯留タンク4へ揚送される。
【0030】
貯留タンク4へ揚送された混合粒は、ロータリーバルブ9を介してシュート6の上端に供給される。シュート6の下方には、光学式選別装置1のエジェクター部8によって排除されない玄米を排出する玄米排出路10が連結されている。シュート6の下方には、光学式選別装置1のエジェクター部8によって排除された異物を排出する異物排出路11も連結されている。
【0031】
図2に示すように、光学式選別装置1は、混合粒が表面を流下する傾斜状のシュート6を備えている。光学式選別装置1は、シュート6の表面側及び裏面側に対向して配置された光学検査部7を備えている。光学式選別装置1は、光学検査部7の検査結果に基づき混合粒の異物aと玄米bとの判別を行って異物aのみを混合粒から排除するエジェクター部8を備えている。
【0032】
図3に示すように、シュート6には、混合粒の流下方向に直交して光学検出用スリット12が形成されている。シュート6には、光学検出用スリット12の下流側に、混合粒の流下方向に直交して選別除去用スリット13が形成されている。光学検出用スリット12と選別除去用スリット13とは近接した位置に形成される。
光学検出用スリット12及び選別除去用スリット13の幅は、シュート6を流下する混合粒の大きさや重量、エジェクター部8の除去能力等に応じて設定する。
【0033】
図2に示すように、光学検査部7は、シュート6の表面を流下する混合粒に光を照射する照明部14を備える。光学検査部7は、照明部14によって光を照射された混合粒からの透過光及び反射光を受光するCCDカメラ等の受光部15を備える。光学検査部7は、透過光及び反射光を受光部15へ送る光経路16を備える。
【0034】
光経路16は複数の反射板及びレンズから成り、受光部15及び光経路16はフロント側照明部14bと共にフロント側ハウジング20の内部に一体的に収容される。
フロント側ハウジング20は、シュート6の表面側において光学検出用スリット12に対向した位置に設置され、フロント側照明部14bが光学検出用スリット12に臨んでいる。
そして、フロント側照明部14bからの光が光学検出用スリット12を通過する粒状物(異物a或いは玄米b)に照射され、その粒状物からの反射光が光経路16を経て受光部15に達する。
【0035】
図4に示すように、照明部14は、シュート6の裏面側に設置されるリア側照明部14aと、シュート6の表面側に設置されるフロント側照明部14bとを備える。
リア側照明部14aは、乳白色の透光板である光拡散板17と、LED等の光源18と、凹面鏡である反射部19とを備える。
フロント側照明部14bは、LED等の光源である。
【0036】
光拡散板17は、その面方向がシュート6の流下方向と平行に設けられている。
光源18は、エジェクターノズル22の直上に近接させて設けられて、シュート6の流下方向と反対方向に光を出射するように配置されている。光源18は平板状であって、その面方向はエジェクターノズル22が延びる噴出方向と平行に配置されている。
反射部19は、光源18から出射された光を光拡散板17に向けて反射する。
このような配置とすることで、エジェクターノズル22とリア側照明部14aを近づけることができ、光学検出用スリット12と選別除去用スリット13とを近づけることができる。
【0037】
リア側照明部14aは、流下する混合粒に光を射出する開口部材14a1を備えている。開口部材14a1は、ベース部材であるリア側ハウジング28から突出する位置決め突起を形成している。開口部材14a1の光源18側に光拡散板17が設けられている。
位置決め突起である開口部材14a1が光学検出用スリット12に挿入されることで、シュート6に対してリア側照明部14aが取り付けられたリア側ハウジング28の位置決めが行われる。
【0038】
本実施形態では、位置決め突起はリア側照明部14aの開口部材14a1であったが、リア側照明部14aが取り付けられるリア側ハウジング28の部分に同様の構成を設けて、ベース部材に位置決め突起を構成するようにしても良い。
【0039】
エジェクター部8は、複数のエジェクターノズル22と、エジェクターノズル22に高圧エアを分配するマニホールド23と、エジェクターノズル22からのエアの噴出を制御する電磁バルブ24とを備えている。
マニホールド23には、給気管25が接続され、給気管25を通してコンプレッサ等からマニホールド23へ高圧エアが供給される。
また、電磁バルブ24は、バルブ駆動回路基板26及び信号処理基板27を介して光学検査部7の受光部15に接続されている(
図2)。
【0040】
エジェクターノズル22の先端22aは、ベース部材であるリア側ハウジング28から突出する位置決め突起を形成している。
位置決め突起であるエジェクターノズル22の先端22aが選別除去用スリット13に挿入されることで、シュート6に対してエジェクター部8が取り付けられたリア側ハウジング28の位置決めが行われる。
【0041】
本実施形態では、位置決め突起はエジェクターノズル22の先端22aであったが、エジェクターノズル22が取り付けられるリア側ハウジング28の部分に同様の構成を設けて、ベース部材に位置決め突起を構成するようにしても良い。
【0042】
シュート6の裏面側には、ベース部材として箱状のリア側ハウジング28が取り付けられている。リア側ハウジング28の内部には、リア側照明部14a、エジェクターノズル22及びマニホールド23が、一体的に収容されている。すなわち、リア側照明部14a、エジェクターノズル22及びマニホールド23は、ベース部材であるリア側ハウジング28によってユニット化することができる。
【0043】
リア側ハウジング28のシュート6の裏面に対向する前面は、位置決め突起であるリア側照明部14aの開口部材14a1とエジェクターノズル22の先端22aを突出させることができるように開口している。
リア側ハウジング28の後面は、マニホールド23と電磁バルブ24、エジェクターノズル22と電磁バルブ24を連通させるための開口が設けられている。
【0044】
リア側ハウジング28の後面一端部にはフック部29が形成され、後面他端部には突片30が張り出している。
電磁バルブ24の前面一端部にはフランジ31が形成され、前面他端部には突片30とスナップ係合する係止爪32が設けられる。
【0045】
電磁バルブ24を傾斜させてフランジ31をフック部29に差し込み、次いで、電磁バルブ24を回転させて係止爪32を突片30にスナップ係合する。これにより、電磁バルブ24をリア側ハウジング28の後面(外面)にワンタッチで取り付けてマニホールド23に装着することができる。
電磁バルブ24の交換等の際には、係止爪32を揺動させて突片30から離間させることにより、簡単に電磁バルブ24をリア側ハウジング28から取り外すことができる。
【0046】
シュート6のリア側の組立は、以下のように行われる。
リア側ハウジング28に、リア側照明部14a、エジェクターノズル22、マニホールド23を収容してユニット化する。位置決め突起であるリア側照明部14aの開口部材14a1及びエジェクターノズル22の先端22aは、リア側ハウジング28の前面から突出する。
【0047】
位置決め突起であるリア側照明部14aの開口部材14a1及びエジェクターノズル22の先端22aをそれぞれ光学検出用スリット12及び選別除去用スリット13に挿入し位置決めがされて、リア側ハウジング28がシュート6の裏面に取付けられる。
リア側ハウジング28は、リア側照明部14aの開口部材14a1が光学検出用スリット12に臨み、エジェクターノズル22の先端22aが選別除去用スリット13に臨むよう設置される。
【0048】
リア側ハウジング28は、シュート6の裏面への爪の係合やビス等の固定具により更に固定される。
電磁バルブ24のリア側ハウジング28の後面への取り付けは、適宜のタイミングで行う。
【0049】
リア側ハウジング28、バルブ駆動回路基板26、信号処理基板27及び光学式選別装置1を駆動する電源33はボックス34内に収容され、ボックス34はシュート6の裏面側に設置される(
図1及び
図2)。
【0050】
リア側照明部14aからの光は、光学検出用スリット12を通して、光学検出用スリット12上を通過する粒状物に照射され、粒状物を透過した光が光経路16を経て受光部15に達する。
フロント側照明部14bからの光は、光学検出用スリット12上を通過する粒状物に照射され、粒状物で反射された光が光経路16を経て受光部15に達する。
【0051】
受光部15の受光信号は信号処理基板27に送られる。信号処理基板27において受光信号の信号レベルと閾値とが比較され、その粒状物が異物aであるか玄米bであるか判別される。
信号処理基板27による判別結果は、バルブ駆動回路基板26に送信される。バルブ駆動回路基板26によって電磁バルブ24を開閉制御される。
【0052】
粒状物が異物aであると判定された場合、その粒状物が選別除去用スリット13を通過する時、電磁バルブ24の開閉制御により選択されたエジェクターノズル22から高圧エアが噴出される。エジェクターノズル22から噴き出した高圧エアにより、異物aをシュート6の表面から排除する。排除された異物aは異物排出路11に排出される。
排除されなかった玄米bは玄米排出路10を通して次工程へ送られる。
【0053】
〔第2の実施形態〕
以下、本発明に係る第2の実施形態について
図5と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0054】
第2の実施形態では、リア側照明部14aの光源18が、エジェクターノズル22に向かって光を出射するように対向して設置されている。
反射部19は、エジェクターノズル22の直上に近接させて設けられている。
光源18から出射された光は反射部19により光拡散板17に向けて反射され、光学検出用スリット12を通して混合粒に照射される。すなわち、シュート6の流下方向においてシュート6の上流側から、光源18、反射部19、エジェクターノズル22の順で配置されている。
【0055】
光源18よりスペース(シュート6の流下方向の高さ)を小さくできる反射部19をエジェクターノズル22に近接させて、光源18を反射部19よりシュート6の流下方向の上流側に配置する。これによって、リア側照明部14aの開口部材14a1をエジェクターノズル22に近づけることができ、光学検出用スリット12と選別除去用スリット13との距離をさらに短くすることができる。よって、選別精度を向上させることができる。
【0056】
〔第3の実施形態〕
以下、本発明に係る第3の実施形態について
図6と共に説明する。なお、第1の実施形態あるいは第2の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0057】
第3の実施形態では、リア側照明部14a及びエジェクターノズル22がリア側ハウジング28の内部に設置され、マニホールド23及び電磁バルブ24がリア側ハウジング28の外部に設置されている。具体的には、ボックス34の外部に設けられている。
マニホールド23には電磁バルブ24が装着され、エジェクターノズル22とエアホース35で連結されている。
リア側ハウジング28には、電磁バルブ24を取り付けるためのフック部、突片等を設ける必要がない。
【0058】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0059】
本実施形態では、光学式選別装置は、籾殻等の異物と玄米とを選別しているが、他の穀物、豆類、樹脂ペレット等の選別に用いることもできる。
【0060】
本実施形態では、リア側照明部に光経路や受光部を備えないものであったが、これに限られない。リア側照明部に光経路及び受光部を備えるようにしても良い。
【0061】
本実施形態では、ベース部材を箱状のリア側ハウジングとしてあるが、内部に収納するものでなく、その上部にリア側照明部やエジェクターノズルを載置してユニット化できる板状のものであっても良い。
【0062】
第1の実施形態及び第2の実施形態では、リア側ハウジング及び電磁バルブの片側の端部のみに突片及び係合爪を設けてあるが、両側の端部に突片とこれにスナップ係合する係合爪を設けても良い。また、その他の係止具によってリア側ハウジングと電磁バルブを結合することも可能である。
【0063】
本実施形態では、位置決め突起を光学検出用スリット12及び選別除去用スリット13の双方に挿入させるように設けたがこれに限られない。どちらか一方に挿入させるように設けても良い。
【0064】
本実施形態では、ベース部材をシュートに位置決めをする際に、位置決め突起を光学検出用スリット12及び選別除去用スリット13に挿入させるように構成したがこれに限られない。例えば、リア側ハウジング28はシュート6の裏面のスリット以外の箇所に、爪を引掛けることにより、あるいはビス等の固定具により取り付けられるが、爪の係合位置や固定具挿通用の孔を合わせることにより、自動的に位置合わせされるようにしても良い。
【0065】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0066】
1 光学式選別装置
2 選別部
3 原料ホッパ
4 貯留タンク
5 揚穀部
6 シュート
7 光学検査部
8 エジェクター部
9 ロータリーバルブ
10 玄米排出路
11 異物排出路
12 光学検出用スリット
13 選別除去用スリット
14 照明部
14a リア側照明部
14b フロント側照明部
15 受光部
16 光経路
17 光拡散板
18 光源
19 反射部
20 フロント側ハウジング
22 エジェクターノズル
23 マニホールド
24 電磁バルブ
25 給気管
26 バルブ駆動回路基板
27 信号処理基板
28 リア側ハウジング
29 フック部
30 突片
31 フランジ
32 係止爪
33 電源
34 ボックス
35 エアホース