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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】光学式選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07C 5/342 20060101AFI20231031BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B07C5/342
G01N21/85 A
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019233205
(22)【出願日】2019-12-24
(65)【公開番号】P2021102176
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】河村 陽一
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/155764(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/043431(WO,A1)
【文献】特開2010-184226(JP,A)
【文献】特開2005-180958(JP,A)
【文献】特開2005-083775(JP,A)
【文献】特開平10-180195(JP,A)
【文献】米国特許第04848590(US,A)
【文献】米国特許第10088425(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07C 5/00-5/38
G01N 21/85
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学検出用スリットを有し、被選別物が表面を流下するシュートと、
前記光学検出用スリットに向けて光を照射する照明部と、該照明部によって照射された光の透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部とを有するとともに、前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方が前記シュートの裏面側に配置されたリア側光学検査部を有し、前記シュートの表面を流下する被選別物の検査を行う光学検査部と、
該光学検査部の検査結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター部と、
を備えた光学式選別装置において、
前記シュートの裏面側に、前記光学検出用スリットから前記リア側光学検査部に塵埃等の侵入を防止するエアカーテンを形成可能なスリット用エアノズルが設けられている
ことを特徴とする光学式選別装置。
【請求項2】
前記スリット用エアノズルは、前記エアカーテンの空気が、前記シュートの上流側から下流側に向けて噴き出すように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学式選別装置。
【請求項3】
前記エジェクター部は、前記光学検出用スリットよりも下流側において、前記被選別物にエアを噴出可能なエジェクターノズルを有し、
前記スリット用エアノズルから噴き出す前記エアカーテンの下流側に排風部が設けられており、
前記排風部の前記スリット用エアノズルに対向する面は、前記光学検出用スリットから離れるにしたがって下流側に傾斜している
ことを特徴とする請求項2に記載の光学式選別装置。
【請求項4】
前記リア側光学検査部は、前記スリット用エアノズルと、前記リア側光学検査部が有する前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するリア透光板を備えている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光学式選別装置。
【請求項5】
前記リア透光板の前記スリット用エアノズル側には、前記リア透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なリア透光板用エアノズルが設けられている
ことを特徴とする請求項4に記載の光学式選別装置。
【請求項6】
前記リア側光学検査部は、前記スリット用エアノズルと、前記リア側光学検査部が有する前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するリア透光板を備えており、
前記リア透光板の前記スリット用エアノズル側には、前記リア透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なリア透光板用エアノズルが設けられており、
前記リア透光板用エアノズルから噴き出す前記エアカーテンの下流側に排風部が設けられており、
該排風部は、前記スリット用エアノズルから噴き出す前記エアカーテンの排風も行う
ことを特徴とする請求項3に記載の光学式選別装置。
【請求項7】
前記光学検査部は、前記光学検出用スリットに向けて光を照射する照明部と、該照明部によって照射された光の透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部とを有するとともに、前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方が前記シュートの表面側に配置されたフロント側光学検査部を有しており、
前記フロント側光学検査部は、前記シュートと、前記フロント側光学検査部が有する前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するフロント透光板を備えており、
前記フロント透光板の前記シュート側には、前記フロント透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なフロント透光板用エアノズルが設けられている
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光学式選別装置。
【請求項8】
前記フロント透光板用エアノズルは、形成するエアカーテンが前記被選別物の流下方向に対して次第に離れるように噴出されるように配置されている
ことを特徴とする請求項7に記載の光学式選別装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の光学式選別装置を備えたことを特徴とする籾摺選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒、豆類、樹脂ペレット等の粒状物を、色彩等に基づいて選別する光学式選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
穀類、豆類、樹脂ペレット等の粒状物は、色彩等に基づいて、良品と不良品とに選別して不良品を除去したり、混入した異物を除去したりすることがある。
例えば、特許文献1には、穀粒が流下するシュートの下方に、シュートから落下する粒状物の落下軌跡を挟んで光学検出部を設け、光学検出部のさらに下方にエジェクターノズルを設け、光学検出部で落下する粒状物が良品か不良品かを検出し、不良品であるとされた粒状物をエジェクターノズルから噴射された高圧の噴風によって流下中の粒状物から除去する光学式粒状物選別装置が開示されている。
【0003】
上記特許文献1に記載のような光学式粒状物選別装置は、シュートから落下した不良品を噴風で除去しているが、空中での飛行姿勢の乱れによって一定の飛行軌跡を落下しない粒状物があるため、噴風が不良品に当たらずに選別ミスを起こす可能性がある。
【0004】
選別性能を向上させるため、出願人は、特許文献2を出願している。これは、被選別部のシュートに光学検出用スリットと、選別除去用スリットを設けたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6037125号公報
【文献】特願2019-209821号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2のような光学式選別装置は、シュートの光学検出用スリットが形成されている。よって、流下する粒状物によって発生した塵埃や粉粒といった塵埃等が光学検出用スリットを通してシュートの裏面側に侵入し、シュートの裏面側に設置された機器類に付着して悪影響を与える恐れがある。特に、籾摺機に付設するような場合では、光学機器は塵埃等の付着により性能が著しく低下し、選別ミスが発生しやすい。
【0007】
また、光学検出用スリットに透光板を嵌めて塵埃等の侵入を防ぐことも考えられる。しかしながら、透光板に塵埃等が付着すると透光性が低下する心配がある。さらに、透光板に付着した塵埃等を除去しようとすると、除去手段をシュートの表面側で作動させるため、粒状物の流下を停止する必要があり、選別作業が中断してしまう。
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、光学検出用スリットに透光板を設けないで、シュートの表面側で発生した塵埃等が光学検出用スリットを通して裏面側に侵入するのを防ぎ、選別ミスが起こりにくい光学式選別装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願請求項1に係る発明は、光学検出用スリットを有し、被選別物が表面を流下するシュートと、前記光学検出用スリットに向けて光を照射する照明部と、該照明部によって照射された光の透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部とを有するとともに、前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方が前記シュートの裏面側に配置されたリア側光学検査部を有し、前記シュートの表面を流下する被選別物の検査を行う光学検査部と、該光学検査部の検査結果に基づいて前記被選別物を選別除去するエジェクター部と、を備えた光学式選別装置において、前記シュートの裏面側に、前記光学検出用スリットから前記リア側光学検査部に塵埃等の侵入を防止するエアカーテンを形成可能なスリット用エアノズルが設けられていることを特徴とする光学式選別装置である。
【0010】
本願請求項2に係る発明は、前記スリット用エアノズルは、前記エアカーテンの空気が、前記シュートの上流側から下流側に向けて噴き出すように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学式選別装置である。
【0011】
本願請求項3に係る発明は、前記エジェクター部は、前記光学検出用スリットよりも下流側において、前記被選別物にエアを噴出可能なエジェクターノズルを有し、前記スリット用エアノズルから噴き出す前記エアカーテンの下流側に排風部が設けられており、前記排風部の前記スリット用エアノズルに対向する面は、前記光学検出用スリットから離れるにしたがって下流側に傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の光学式選別装置である。
【0012】
本願請求項4に係る発明は、前記リア側光学検査部は、前記スリット用エアノズルと、前記リア側光学検査部が有する前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するリア透光板を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の光学式選別装置である。
【0013】
本願請求項5に係る発明は、前記リア透光板の前記スリット用エアノズル側には、前記リア透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なリア透光板用エアノズルが設けられていることを特徴とする請求項4に記載の光学式選別装置である。
【0014】
本願請求項6に係る発明は、前記リア側光学検査部は、前記スリット用エアノズルと、前記リア側光学検査部が有する前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するリア透光板を備えており、前記リア透光板の前記スリット用エアノズル側には、前記リア透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なリア透光板用エアノズルが設けられており、前記リア透光板用エアノズルから噴き出す前記エアカーテンの下流側に排風部が設けられており、該排風部は、前記スリット用エアノズルから噴き出す前記エアカーテンの排風も行うことを特徴とする請求項3に記載の光学式選別装置である。
【0015】
本願請求項7に係る発明は、前記光学検査部は、前記光学検出用スリットに向けて光を照射する照明部と、該照明部によって照射された光の透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部とを有するとともに、前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方が前記シュートの表面側に配置されたフロント側光学検査部を有しており、前記フロント側光学検査部は、前記シュートと、前記フロント側光学検査部が有する前記照明部及び前記受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するフロント透光板を備えており、前記フロント透光板の前記シュート側には、前記フロント透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なフロント透光板用エアノズルが設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の光学式選別装置である。
【0016】
本願請求項8に係る発明は、前記フロント透光板用エアノズルは、形成するエアカーテンが前記被選別物の流下方向に対して次第に離れるように噴出されるように配置されていることを特徴とする請求項7に記載の光学式選別装置である。
【0017】
本願請求項9に係る発明は、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の光学式選別装置を備えたことを特徴とする籾摺選別機である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、光学検査用スリットに透光板を設けずに、シュート表面を流下する被選別物から発生した塵埃等がシュートの裏面側に侵入しないので、シュートの裏面側に設置された機器類に塵埃等が付着しにくく、特にリア側光学検査部に塵埃が付着して性能が著しく低下して、選別ミスが発生するのを防ぐことができる。
また、エアカーテンによって塵埃等の侵入を防いでいるため、透光板で遮断したもののように透光性が失われることもない。
透光板で透光するものは、塵埃等を除去するときに選別作業を中断する必要があるが、本発明によれば、そのようなことは生じない。
【0019】
加えて、スリット用エアノズルは、エアカーテンの空気が、シュートの上流側から下流側に向けて噴き出すように配置されているので、仮にエアカーテンの空気が光学検査用スリットからシュートの表面側に出た場合であっても、被選別物の流下に与える影響を少なくすることができる。
【0020】
加えて、エジェクター部は、光学検出用スリットよりも下流側において、被選別物にエアを噴出可能なエジェクターノズルを有し、スリット用エアノズルから噴き出すエアカーテンの下流側に排風部が設けられており、排風部のスリット用エアノズルに対向する面は、光学検出用スリットから離れるにしたがって下流側に傾斜しているので、エアカーテンのエアは光学検査用スリットからシュートの表面側に流出することなく、効率的に排風部に向かって流れる。このため、下流側に配置されるエジェクターノズルのエアの噴出に影響を与えない。
【0021】
加えて、リア側光学検査部は、スリット用エアノズルと、リア側光学検査部が有する照明部及び受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するリア透光板を備えているので、リア側光学検査部を塵埃等から防護することができる。
【0022】
加えて、リア側光学検査部は、リア透光板のスリット用エアノズル側には、リア透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なリア透光板用エアノズルが設けられているので、リア透光板に塵埃等が付着するのを防止することができる。
【0023】
加えて、リア側光学検査部は、スリット用エアノズルと、リア側光学検査部が有する照明部及び受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するリア透光板を備えており、リア透光板のスリット用エアノズル側には、リア透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なリア透光板用エアノズルが設けられており、リア透光板用エアノズルから噴き出すエアカーテンの下流側に排風部が設けられており、該排風部は、スリット用エアノズルから噴き出すエアカーテンの排風も行うので、排風部を共用できコンパクトな構成とすることができる。
【0024】
加えて、光学検査部は、光学検出用スリットに向けて光を照射する照明部と、該照明部によって照射された光の透過光及び反射光の少なくともいずれか一方を受光する受光部とを有するとともに、照明部及び受光部の少なくともいずれか一方がシュートの表面側に配置されたフロント側光学検査部を有しており、フロント側光学検査部は、シュートと、フロント側光学検査部が有する照明部及び受光部の少なくともいずれか一方との間に空気の流通を遮断するフロント透光板を備えており、フロント透光板のシュート側には、フロント透光板へ塵埃等が付着するのを防止するエアカーテンを形成可能なフロント透光板用エアノズルが設けられているので、フロント側光学検査部を塵埃等から防護し、フロント透光板に塵埃等が付着を防止することができる。
【0025】
加えて、フロント透光板用エアノズルは、形成するエアカーテンが被選別物の流下方向に対して次第に離れるように噴出されるように配置されているので、被選別物のシュートの流下に影響を与えることがない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施形態に係る選別部の断面図。
図2】本発明の第1の実施形態に係るシュートの斜視図。
図3】本発明の第1の実施形態を示す光学式選別装置の断面図。
図4】本発明の第1の実施形態を示す光学式選別装置の要部拡大断面図。
図5】本発明の第2の実施形態を示す光学式選別装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態につき図面を参照する等して説明する。なお、本発明は、実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0028】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態を図1乃至図4と共に説明する。
図1は、第1の実施形態における選別機の断面図であり、図2は、第1の実施形態におけるシュートの斜視図であり、図3は、第1の実施形態における光学式選別装置の断面図であり、図4は、第1の実施形態における光学式選別装置の要部拡大断面図である。
【0029】
第1の実施形態では、図1に示すように、光学式選別装置1が、図示しない籾摺選別機の選別部に搭載される。選別部2は、図示しない籾摺部の下流側に隣接して設置される二次選別部である。
籾摺部で籾から籾殻と玄米とが分離され籾殻が一次選別される。一次選別された籾殻等の異物を依然と含む玄米からなる混合粒(被選別物)は、選別部2に送られ、光学式選別装置1により混合粒から異物のみが選別・除去される。
【0030】
選別部2の下部には、籾摺部から混合粒が送り込まれる原料ホッパ3が設けられる。選別部2の上部であって、光学式選別装置1の上方には貯留タンク4が設置される。原料ホッパ3に送り込まれた混合粒は、揚穀部5によって貯留タンク4へ揚送される。
【0031】
貯留タンク4へ揚送された混合粒は、ロータリーバルブ9を介してシュート6の上端に供給される。シュート6の下方には、光学式選別装置1のエジェクター部8によって排除されない玄米を排出する玄米排出路10が連結されている。シュート6の下方には、光学式選別装置1のエジェクター部8によって排除された異物を排出する異物排出路11も連結されている。
【0032】
光学式選別装置1は、混合粒が表面を流下する傾斜状のシュート6を備えている。光学式選別装置1は、シュート6の表面を流下する混合粒に光学検査を行う光学検査部7を備えている。光学式選別装置1は、光学検査部7の検査結果に基づき混合粒の異物と玄米との判別を行って異物のみを混合粒から排除するエジェクター部8を備えている。
シュート6の裏面には、図示しない信号処理基板、電磁バルブ駆動回路基板、電源などが収納されるボックス6aが取り付けられている。
【0033】
図2に示すように、シュート6には、混合粒の流下方向に直交して光学検出用スリット12が形成されている。シュート6には、光学検出用スリット12の下流側に、混合粒の流下方向に直交して選別除去用スリット13が形成される。光学検出用スリット12と選別除去用スリット13とは近接した位置に形成される。
光学検出用スリット12及び選別除去用スリット13の幅は、シュート6を流下する混合粒の大きさや重量、エジェクター部8の除去能力等に応じて設定する。
【0034】
図3に示すように、光学検査部7は、シュート6の裏面側と表面側において、光学検出用スリット12を挟んだ位置に設置されたリア側光学検査部7a及びフロント側光学検査部7bを備える。
【0035】
リア側光学検査部7aは、LED等のリア側照明部14aと、CCDカメラ等のリア側受光部15aと、フロント側光学検査部7bの対向用であるリア側バックグラウンド照明部16aと、複数の反射板17a1及びレンズ17a2を有するリア側光経路17aとを備え、リア側ハウジング18内に収容される。
【0036】
図3及び図4に示すように、リア側ハウジング18には光が通過するリア側開口部20が形成されている。リア側ハウジング18は、シュート6の裏面側であって、リア側開口部20が光学検出用スリット12と合致するよう取り付けられる。
リア側開口部20は光学検出用スリット12の幅方向全長に亘るよう形成され、リア側照明部14aから出射された光が、リア側開口部20及び光学検出用スリット12を通して、光学検出用スリット12上を通過する粒状物(異物a或いは玄米b)に照射される。
【0037】
図4に示すように、リア側ハウジング18にはエジェクター部8のエジェクターノズル21が組み込まれている。エジェクターノズル21の先端21aは、リア側開口部20よりもシュート6の下流側において、リア側ハウジング18の外面に露出して選別除去用スリット13に臨んでいる。具体的には、エジェクターノズル21の先端21aは、リア側ハウジング18のシュート6の裏面側の面より突出し位置決め突起を形成している。
位置決め突起であるエジェクターノズル21の先端21aが選別除去用スリット13に挿入されることで、シュート6に対してエジェクター部8が取り付けられたリア側ハウジング18の位置決めが行われる。
【0038】
図3及び図4に示すように、リア側ハウジング18において、リア側開口部20のシュート6の上流側には、給気管22’を介して給気される空気室22が形成されている。空気室22からリア側開口部20に向けてエアを噴出するスリット用エアノズル23が配設されている。このスリット用エアノズル23から噴出するエアによってエアカーテン25を形成することができる。
【0039】
リア側ハウジング18のリア側開口部20を挟んだ下流側であって、スリット用エアノズル23から噴き出すエアカーテン25の下流側に排風部24がリア側ハウジング18の外部に開口するよう形成されている。
スリット用エアノズル23から噴き出して排風部24から排出される空気によって、効率的なエアカーテン25が形成される。これによって、光学検出用スリット12からリア側光学検査部7aに塵埃等が侵入することを防止することができる。
【0040】
エアカーテン25の空気は、光学検出用スリット12の裏面側においてシュート6の上流側から下流側に向けて噴き出すように配置されている。これによって、仮にエアカーテン25の空気が光学検出用スリット12からシュート6の表面側に出た場合であっても、混合粒の流下に与える影響を少なくすることができる。
【0041】
図4に示すように、排風部24のスリット用エアノズル23に対向する面24aは、光学検出用スリット12から離れるにしたがって下流側に傾斜している。このため、スリット用エアノズル23から噴出されたエアカーテン25は、対向面に当たって効率的に排風部24の排出口に導かれる。よって、エアカーテン25のエアは光学検出用スリット12からシュート6の表面側に流出することなく、排風部24の排出口に向かって流れる。したがって、下流側に配置されるエジェクターノズル21のエアの噴出に影響を与えない。
【0042】
リア側ハウジング18は、シュート6の裏面への爪の係合やビス等の固定具により更に固定される。
【0043】
図3に示すように、フロント側光学検査部7bは、LED等のフロント側照明部14bと、CCDカメラ等のフロント側受光部15bと、リア側光学検査部7aの対向用であるフロント側バックグラウンド照明部16bと、複数の反射板17b1及びレンズ17b2を有するフロント側光経路17bとを備え、フロント側ハウジング26内に収容される。
【0044】
フロント側ハウジング26には光が通過するフロント側開口部27が形成されている。フロント側ハウジング26は、シュート6の表面側に、フロント側開口部27が光学検出用スリット12に合致するよう設置される。
フロント側開口部27はシュート6の幅方向全長に亘るように形成され、フロント側照明部14bから出射された光が、フロント側開口部27を通して、光学検出用スリット12上を通過する粒状物(異物a或いは玄米b)に照射される。
【0045】
リア側照明部14aからの光は、リア側ハウジング18のリア側開口部20及び光学検出用スリット12を通して、光学検出用スリット12上を通過する粒状物に裏面側から照射される。フロント側照明部14bからの光は、フロント側ハウジング26のフロント側開口部27を通して、光学検出用スリット12上を通過する粒状物に表面側から照射される。
粒状物で反射した光及び粒状物を透過した光は、リア側開口部20及びフロント側開口部27を通してリア側ハウジング18とフロント側ハウジング26の内部に進み、リア側光経路17a及びフロント側光経路17bを介してリア側受光部15a及びフロント側受光部15bで受光される。
【0046】
リア側受光部15a及びフロント側受光部15bで受光された受光信号は、ボックス6a内に収納された図示しない信号処理基板に送られる。信号処理基板において受光信号の信号レベルと閾値とが比較され、その粒状物が異物aであるか玄米bであるか判別される。
信号処理基板による判別結果は、ボックス6a内に収納された図示しないバルブ駆動回路基板に送信される。バルブ駆動回路基板によって、エジェクター部8の図示しない電磁バルブが開閉制御される。
【0047】
粒状物が異物aであると判定された場合、その粒状物が選別除去用スリット13を通過する時、電磁バルブの開閉制御により選択されたエジェクターノズル21から高圧エアが噴出される。エジェクターノズル21から噴き出した高圧エアにより、異物aをシュート6の表面から排除する。排除された異物aは異物排出路11を通して排出される。
排除されなかった玄米bである粒状物は、玄米排出路10を通して次工程へ送られる。
【0048】
シュート6の表面を流下する混合粒から発生する塵埃等は、光学検出用スリット12がエアカーテン25で遮断されているため、シュート6の裏面側に侵入せず、リア側開口部20を通してリア側ハウジング18内のリア側光学検査部7aに付着することもない。
【0049】
〔第2の実施形態〕
以下、本発明に係る第2の実施形態について図5と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の部分については説明を省略し、主に異なる部分について説明する。
【0050】
第2の実施形態では、リア側光学検査部7aが、スリット用エアノズル23と、リア側照明部14a、リア側バックグラウンド照明部16a、リア側光経路17a及びリア側受光部15aとの間に空気の流通を遮断するリア透光板28を備えている。
具体的には、リア側ハウジング18の内部において、リア側開口部20の奥側には、内部空間を横断するようにリア透光板28が嵌め込まれている。リア透光板28によってリア側開口部20と、リア側光学検査部7aのリア側照明部14a、リア側バックグラウンド照明部16a、リア側光経路17a及びリア側受光部15aとが遮断されている。
これにより、エアカーテン25によって塵埃等が舞うなどしても、リア側光学検査部7aは、厳重に保護される。
【0051】
リア透光板28のシュート6側であるスリット用エアノズル23側であって、上流側に、リア透光板用エアノズル29が設けられている。リア透光板用エアノズル29は、空気室22に連通して設けられている。リア透光板用エアノズル29は、リア透光板28に沿ってエアを噴出するように配置されており、このエアによってリア透光板28に沿ってエアカーテンを形成することができる。
したがって、リア透光板28に塵埃等が付着するのを防止することができる。
【0052】
このエアカーテンは、排風部24の開口から排出される。換言すると、この排風部24は、リア透光板用エアノズル29から噴き出すエアカーテンの排風も、スリット用エアノズル23から噴き出すエアカーテン25の排風も行うことができる。
したがって、排風部を共用できコンパクトな構成とすることができる。
【0053】
フロント側光学検査部7bは、シュート6と、フロント側照明部14b、フロント側バックグラウンド照明部16b、フロント側光経路17b及びフロント側受光部15bとの間に空気の流通を遮断するフロント透光板30を備えている。
具体的には、フロント側ハウジング26のフロント側開口部27には、フロント透光板30が嵌め込まれている。フロント透光板30によってシュート6の表面側と、フロント側照明部14b、フロント側バックグラウンド照明部16b、フロント側光経路17b及びフロント側受光部15bとが遮断されている。
これにより、シュート6の表面側で発生した塵埃等がフロント側ハウジング26の内部に侵入するのを防ぎ、フロント側光学検査部7bは厳重に保護される。
【0054】
フロント透光板30のシュート6側であって、上流側に、フロント透光板用エアノズル32が設けられている。フロント透光板用エアノズル32は、空気室31に連通して設けられている。空気室31には、給気管31’が連結されている。フロント透光板用エアノズル32は、フロント透光板30に沿ってエアを噴出するように配置されており、このエアによってフロント透光板30に沿ってエアカーテンを形成することができる。
したがって、フロント透光板30に塵埃等が付着するのを防止することができる。
【0055】
フロント透光板30とフロント透光板用エアノズル32が形成するエアカーテンの形成方向は、シュート6を流下する混合粒の流下方向に対して、次第に離れるように設けられる。換言すると、フロント透光板30とシュート6との間の空間33は、下流に行くにしたがって広くなるように形成される。このため、フロント透光板用エアノズル32が形成するエアカーテンが、混合粒のシュートの流下に影響を与えることがない。
また、空間33の下部は、フロント透光板用エアノズル32が形成するエアカーテンの排風部を形成する。
【0056】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
【0057】
本実施形態では、光学式選別装置は、籾殻等の異物と玄米とを選別しているが、他の穀物、豆類、樹脂ペレット等の選別に用いることもできる。
【0058】
本実施形態では、フロント側光学検査部及びリア側光学検査部の双方が、それぞれ光源部、光経路及び受光部を備えていたが、これに限られない。例えば、一方が光源部を備え、他方が受光部だけを備えるようなものでも良い。
【0059】
本実施形態では、シュートの裏面側に設置したエジェクターノズルから選別除去用スリットを通してシュートの表面側に空気を噴出しているが、選別除去用スリットを設けずシュート下端から放たれる被選別物に空気を噴出するようにしても良く、この場合、上方から下方へ向かって空気を噴き出しても良い。
【0060】
本実施形態では、リア側ハウジングにリア側光学検査部及びエジェクターノズルを収容し、フロント側ハウジングにフロント側光学検査部を収容してあるが、リア側ハウジングやフロント側ハウジングを設けず、その内部に収容されている部品を個別に設置してもよい。この場合、光検出用スリットを遮蔽するエアカーテンを形成するスリット用エアノズルはシュートに設ける。
【0061】
本実施形態では、位置決め突起を選別除去用スリットに挿入させるように設けたがこれに限られない。リア側ハウジングに設けて光学検出用スリットに挿入させるようにしても良いし、どちらにも挿入させるように設けても良い。
【0062】
本実施形態では、リア側ハウジングをシュートに位置決めをする際に、位置決め突起を選別除去用スリットに挿入させるように構成したがこれに限られない。例えば、リア側ハウジングはシュートの裏面のスリット以外の箇所に、爪を引掛けることにより、あるいはビス等の固定具により取り付けられるが、爪の係合位置や固定具挿通用の孔を合わせることにより、自動的に位置合わせされるようにしても良い。
【0063】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0064】
1 光学式選別装置
2 選別部
3 原料ホッパ
4 貯留タンク
5 揚穀部
6 シュート
7 光学検査部
7a リア側光学検査部
7b フロント側光学検査部
8 エジェクター部
9 ロータリーバルブ
10 玄米排出路
11 異物排出路
12 光学検出用スリット
13 選別除去用スリット
14a リア側照明部
14b フロント側照明部
15a リア側受光部
15b フロント側受光部
16a リア側バックグラウンド照明部
16b フロント側バックグラウンド照明部
17a リア側光経路
17b フロント側光経路
18 リア側ハウジング
20 リア側開口部
21 エジェクターノズル
22 空気室
22’ 給気管
23 スリット用エアノズル
24 排風部
25 エアカーテン
26 フロント側ハウジング
27 フロント側開口部
28 リア透光板
29 リア透光板用エアノズル
30 フロント透光板
31 空気室
31’ 給気管
32 フロント透光板用エアノズル
33 空間
図1
図2
図3
図4
図5