(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】作業車両の制御システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/02 20200101AFI20231031BHJP
A01B 69/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G05D1/02 T
G05D1/02 N
A01B69/00 303F
A01B69/00 303M
(21)【出願番号】P 2019235737
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2021-12-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤木 拓人
(72)【発明者】
【氏名】畑邊 昌也
(72)【発明者】
【氏名】関谷 大地
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-37168(JP,A)
【文献】特開2019-201604(JP,A)
【文献】特開2018-88931(JP,A)
【文献】米国特許第5913801(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/02
A01B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地面に拡散した刈草を走行軌跡に沿って集草する集草作業機を備えた先行車両と、
前記先行車両によって集草された前記刈草をロール状に梱包する梱包作業機を備えた後続車両と、を備え、
前記先行車両および前記後続車両は、
双方向に通信して同一圃場内を協調して走行しつつ直進および旋回による往復工程を繰り返して作業を行い、
前記後続車両は、
前記先行車
両が最初の往路、旋回、復路を走行し、次の往路に到着した場合に送信される信号を受信すると作業走行を開始し、前記先行車両における前記走行軌跡に基づいて設定された走行経路を自動走行するとともに、カメラで検出した前記集草作業機の集草位置の軌跡を前記走行経路として自動走行すること
を特徴とする作業車両の制御システム。
【請求項2】
前記先行車両は、
自己のPTO軸により取り出した動力によって前記集草作業機を駆動し、
前記後続車両は、
前記先行車両の前記PTO軸が駆動状態で走行した前記走行軌跡に基づいて設定された前記走行経路を走行する場合には、前記梱包作業機を駆動し、
前記先行車両の前記PTO軸が非駆動状態で走行した前記走行軌跡に基づいて設定された前記走行経路を走行する場合には、前記梱包作業機を駆動しないこと
を特徴とする請求項1に記載の作業車両の制御システム。
【請求項3】
前記先行車両は、
前記集草作業機が昇降自在に装着され、
前記後続車両は、
前記先行車両の前記集草作業機の昇降位置が所定の位置未満である状態で走行した前記走行軌跡に基づいて設定された前記走行経路を走行する場合には、前記梱包作業機を駆動し、
前記先行車両の前記集草作業機の昇降位置が所定の位置以上である状態で走行した前記走行軌跡に基づいて設定された前記走行経路を走行する場合には、前記梱包作業機を駆動しないこと
を特徴とする請求項1または2に記載の作業車両の制御システム。
【請求項4】
前記先行車両は、
前記集草作業機を作業時および非作業時に応じた変形状態に変形し、
前記後続車両は、
前記先行車両の前記集草作業機が前記作業時の変形状態で走行した前記走行軌跡に基づいて設定された前記走行経路を走行する場合には、前記梱包作業機を駆動し、
前記先行車両の前記集草作業機が前記非作業時の変形状態で走行した前記走行軌跡に基づいて設定された前記走行経路を走行する場合には、前記梱包作業機を駆動しないこと
を特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の作業車両の制御システム。
【請求項5】
前記後続車両は、
前記刈草を梱包するための梱包材の残量が所定量未満となった場合には、前記先行車両に対して残量低下情報を報知するとともに、次の旋回時位置において自動停止すること
を特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の作業車両の制御システム。
【請求項6】
前記後続車両は、
前記先行車両との進行方向における距離が所定距離未満となった場合には、自動停止すること
を特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の作業車両の制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両の制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トラクタ等の作業車両において、有人走行車両である第1車両の走行軌跡を無人走行車両である第2車両の作業領域の境界として、第2車両の演算手段が作業走行経路を、演算処理によって確定し、作業走行経路に走行停止すべき状況が発生した場合は第1車両に走行停止情報の信号を送付する作業車両による作業車両の制御システムが公知である(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は、作業車両の作業内容によっては、作業を円滑に行えないおそれがあった。具体的には、刈り取って乾燥させた牧草を第1車両によって集草し、集草した牧草を第2車両がロール状に梱包する場合等には、第1車両の走行軌跡が第2車両の作業に影響を及ぼす場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、作業を円滑に行うことができる作業車両の制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、実施形態の一態様に係る作業車両(1a,1b)の制御システム(S)は、地面に拡散した刈草を走行軌跡(200)に沿って集草する集草作業機(Wa)を備えた先行車両(1a)と、前記先行車両(1a)によって集草された前記刈草をロール状に梱包する梱包作業機(Wb)を備えた後続車両(1b)と、を備え、前記後続車両(1b)は、前記先行車両(1a)における前記走行軌跡(200)に基づいて設定された走行経路を自動走行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
実施形態の一態様によれば、作業を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】
図1Aは、実施形態に係る作業車両の制御システムの構成例を示す図である。
【
図1B】
図1Bは、実施形態に係る制御システムにおける動作例を示す図である。
【
図1C】
図1Cは、実施形態に係る制御システムにおける動作例を示す図である。
【
図2】
図2は、先行車両(後続車両)の制御系の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、集草作業機の集草位置の説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る制御システムの動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の制御システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0010】
まず、
図1A~
図1Cを参照して実施形態に係る作業車両の制御システムの全体構成について説明する。
図1Aは、実施形態に係る作業車両の制御システムの構成例を示す図である。
図1Bおよび
図1Cは、実施形態に係る制御システムにおける動作例を示す図である。なお、以下では、作業車両としてトラクタを例に説明する。
【0011】
作業車両であるトラクタは、自走しながら圃場などで作業を行う農業用トラクタである。また、トラクタ1は、操縦者(作業者ともいう。)が搭乗して圃場内を走行しながら所定の作業を実行する他、後述する制御装置40(
図3参照)を中心とする制御系による各部の制御により、圃場内を自動走行しながら所定の作業を実行する。
【0012】
また、以下において、前後方向とは、トラクタの直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。
【0013】
また、左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向である。以下では、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、トラクタの操縦者が操縦席に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
【0014】
また、上下方向とは、鉛直方向に平行する方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。なお、各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、トラクタを指して「機体」という場合がある。
【0015】
図1に示すように、制御システムSは、第1のトラクタ1aと、第2のトラクタ1bとを有する。また、第1のトラクタ1aおよび第2のトラクタ1bは、所定の通信ネットワークNを介して双方向の通信が可能に接続される。第1のトラクタ1aおよび第2のトラクタ1bは、圃場において、協調して牧草の集草作業および梱包作業を行う。具体的には、第1のトラクタ1aは、第2のトラクタ1bに先行して、地面に拡散した牧草を集草し、第2のトラクタ1bは、集草された牧草を回収してロール状に梱包する。なお、以下では、第1のトラクタ1aを、先行車両と称し、第2のトラクタ1bを、後続車両と称する。
【0016】
先行車両1aおよび後続車両1bは、走行車体と、走行車体に連結される作業機Wa,Wbとを備える。走行車体は、車輪や、ボンネット、エンジン、操縦席等を備える。
【0017】
作業機Waは、先行車両1aの後方に装着され、地面に拡散した刈草を集草する、いわゆる、レーキである。作業機Waは、先行車両1aが備える図示しないPTO軸(Power Take-off)によって駆動される。PTO軸は、エンジンから取り出した動力を作業機Waへ伝達する部材である。なお、作業機Waを、集草作業機Waと称する場合がある。
【0018】
作業機Wbは、後続車両1bの後方に装着され、先行車両1aによって集草された刈草を回収して牧草ロールRを生成することで、ロール状に梱包する、いわゆる、ロールベーラである。作業機Wbは、後続車両1bが備える図示しないPTO軸によって駆動される。PTO軸は、エンジンから取り出した動力を作業機Wbへ伝達する部材である。なお、作業機Wbを、梱包作業機Wbと称する場合がある。
【0019】
ここで、
図1Bおよび
図1Cを用いて、先行車両1aおよび後続車両1bの動作例について説明する。
図1Bでは、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して略中心である場合を示し、
図1Cでは、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して左側に寄せた位置である場合を示す。なお、集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して右側に寄せた位置であってもよい。
【0020】
図1Bに示すように、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して略中心である場合、集草位置300と先行車両1aの走行軌跡200(車幅の中心の軌跡)とは重なることとなる。
【0021】
そこで、後続車両1bは、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して略中心である場合、先行車両1aにおける走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を自動走行する。具体的には、後続車両1bは、走行軌跡200上を走行する走行経路(作業経路)を自動走行する。なお、走行経路は、先行車両1aの制御装置によって設定されてもよく、後続車両1bの制御装置が先行車両1aの走行軌跡200の情報を取得することで設定されてもよい。
【0022】
このように、後続車両1bは、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して略中心である場合、走行軌跡200上を作業経路として自動走行することで、走行軌跡200周辺に集草された刈草を円滑に回収して梱包することができる。すなわち、実施形態に係る制御システムSでは、作業(集草および梱包)を円滑に行うことができる。さらに、後続車両1bは、先行車両1aを自動で追従するため、後続車両1bを運転する必要が無く、先行車両1aの運転者のみで作業を行うことができるため、省人化を実現できる。
【0023】
次に、
図1Cに示すように、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して左側に寄せた位置である場合、集草位置300が先行車両1aの走行軌跡200に対して左側にずれることとなる。
【0024】
そこで、後続車両1bは、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して左側または右側に寄せた位置である場合、集草位置300の軌跡に基づいて設定された走行経路を自動走行する。具体的には、後続車両1bは、先行車両1aの走行軌跡200から左または右方向に所定距離離れた位置を作業経路として自動走行する。なお、走行軌跡200から左または右方向に離れる所定距離は、走行軌跡200の情報および集草作業機Waの集草位置300の設定情報に基づいて算出可能である。
【0025】
このように、後続車両1bは、集草作業機Waの集草位置300が先行車両1aの進行方向に対して左側または右側に寄せた位置である場合、走行軌跡200に対して左側または右側に寄せた位置を作業経路として自動走行することで、走行軌跡200からずれた位置を集草位置300とする場合であっても刈草を円滑に回収して梱包することができる。すなわち、実施形態に係る制御システムSでは、作業(集草および梱包)を円滑に行うことができる。さらに、後続車両1bは、先行車両1aを自動で追従するため、後続車両1bを運転する必要が無く、先行車両1aの運転者のみで作業を行うことができるため、省人化を実現できる。
【0026】
なお、以下では、「作業経路」と称した場合、作業(集草および梱包)を行う必要がある走行経路であることを意味し、「走行経路」と称した場合、作業を行う必要がない走行経路であることを意味することとする。
【0027】
次に、
図2を参照して制御装置40を中心とする先行車両1a(後続車両1b)の制御系について説明する。
図2は、先行車両1a(後続車両1b)の制御系の一例を示すブロック図である。なお、作業機Wa,Wbの種類が違うことを除いて、先行車両1aおよび後続車両1bの制御系は同じであるため、以下では、先行車両1aを例に挙げて説明する。
図2に示すように、制御装置40は、エンジンECU(Electronic Control Unit)41と、走行系ECU42と、作業機昇降系ECU43とを備える。エンジンECU41は、エンジンEの回転数を制御する。走行系ECU42は、駆動輪の回転を制御することで、先行車両1aの走行速度を制御する。作業機昇降系ECU43は、昇降装置12を制御して作業機Waを昇降制御する。
【0028】
制御装置40は、電子制御によって各部を制御することが可能であり、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部をはじめ、各種プログラムや圃場ごとに予め設定された先行車両1a(後続車両1b)の予定走行経路などの必要なデータ類が記憶される記憶部などを備える。
【0029】
図2に示すように、制御装置40には、測位装置(GNSS)30、エンジン回転センサ23、車速センサ24、切れ角センサ25、障害物センサ20(前方センサ21および後方センサ22)、リフトアームセンサ26、位置検知センサ70などの各種センサ類が接続される。なお、エンジン回転センサ23は、エンジンEの回転数を検知する。車速センサ24は、先行車両1aの走行速度(車速)を検知する。切れ角センサ25は、操舵輪である前輪の切れ角を検知する。切れ角センサ25は、機体の旋回を検知する。
【0030】
制御装置40には、測位装置30から圃場などにおける先行車両1aの位置情報、エンジン回転センサ23からエンジンEの回転数、車速センサ24から先行車両1aの走行速度、切れ角センサ25から前輪の切れ角、障害物センサ20から障害物の検知結果、リフトアームセンサ26から作業機Waの高さ、位置検知センサ70から作業機Waの検知の有無がそれぞれ入力される。制御装置40は、先行車両1aを自律走行させる場合、切れ角センサ25の検知結果を用いて、前輪の切れ角をフィードバックしながらステアリングホイールに連結されたステアリングシリンダを制御することで、ステアリングホイールを自動操舵する。
【0031】
また、制御装置40には、エンジンECU41がエンジンEに接続され、走行系ECU42が、操舵装置51、変速装置52および制動装置53などに接続され、作業機昇降系ECU43が昇降装置12に接続される。
【0032】
このうち、作業機昇降系ECU43は、昇降装置12に向けて作業機昇降信号を出力する。昇降装置12は、作業機昇降系ECU43から出力された作業機昇降信号に基づいて作業機Waを昇降駆動する。
【0033】
また、制御装置40は、たとえば、作業者が携行可能な情報処理端末100(情報端末)と無線接続される。制御装置40は、作業者の操作による情報処理端末100からの指示信号に基づいて先行車両1aの各部を制御する。また、制御装置40は、先行車両1aの機体情報データベースを保持し、型式などの情報の受け渡しを情報処理端末100などからも行うことができるように構成してもよい。また、情報処理端末100は、作業機Wa,Wbの各種パラメータを設定することができる。
【0034】
例えば、情報処理端末100は、集草作業機Waの作業幅(集草位置300の幅)や、梱包作業機Wの作業位置(刈草の回収位置および範囲)を設定可能である。
【0035】
また、制御装置40は、トラクタ1が自律走行しつつ作業を行うモードである「自動運転モード」を有する。制御装置40は、自動運転モードにおいては、作業機Waによる作業内容に応じた予定走行経路が予め圃場ごとに定められ、データ化されて記憶部に記憶され、測位装置30の測定結果に基づいて、記憶された予定走行経路に沿って走行するように、エンジンE、操舵装置51、変速装置52、制動装置53および昇降装置12などの各部を制御する。なお、予定走行経路は、圃場の形状、大きさ、圃場内に形成された畝の幅、長さおよび本数、さらには作物の種類などに応じて設定される。
【0036】
また、制御装置40は、後続車両1bの制御装置と無線接続される。制御装置40は、先行車両1aの走行軌跡200の情報や、作業機Waの集草位置300の情報、後続車両1bの走行経路(必要に応じて)の情報等を、後続車両1bの制御装置へ送信する。そして、後続車両1bの制御装置は、先行車両1aの制御装置40から受信した情報に基づいて、各ECUを制御して後続車両1bを所定の走行経路に沿って自動走行させる。
【0037】
具体的には、走行軌跡200の情報は、測位装置30によって測定された先行車両1aの位置情報(測位点)の軌跡である。あるいは、走行軌跡200の情報は、予定走行経路からの左または右方向へのズレ量であってもよい。作業機Waの集草位置300の情報は、例えば、運転者等の作業者によって入力される情報であってもよく、あるいは、カメラ等で作業機Waを識別したり、集草位置300を検出したりしてもよい。
【0038】
また、制御装置40は、作業機Waが作業中であるか否かの情報を併せて送信してもよい。具体的には、制御装置40は、作業機Waが作業中の状態である走行軌跡200を「作業経路」とし、作業機Waが非作業中(作業中ではない)の状態である走行軌跡200を「走行経路」として後続車両1bへ送信する。
【0039】
これにより、後続車両1bは、作業経路を走行する場合のみ梱包作業機Wbを駆動させればよいため、無駄な作業を省くことができる。
【0040】
なお、制御装置40は、作業機Waが作業中であるか否かの情報に代えて、先行車両1aのPTO軸が駆動状態であるか非駆動状態であるかの情報を送信してもよい。例えば、集草作業機Waが駆動状態であることを示す情報が走行軌跡200の情報とともに送信されたとする。かかる場合、後続車両1bは、先行車両1aのPTO軸が駆動状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路(すなわち、作業経路)を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動する。
【0041】
集草作業機Waが非駆動状態であることを示す情報が走行軌跡200の情報とともに送信されたとする。かかる場合、後続車両1bは、先行車両1aのPTO軸が非駆動状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動しない。
【0042】
すなわち、後続車両1bは、先行車両1aのPTO軸が駆動状態である場合の走行軌跡200では集草作業機Waが作業中であるため、梱包作業機Wbを駆動させ、先行車両1aのPTO軸が非駆動状態である場合の走行軌跡200では集草作業機Waが作業していないため、梱包作業機Wbを駆動させない。これにより、後続車両1bは、作業経路を走行する場合のみ梱包作業機Wbを駆動させればよいため、無駄な作業を省くことができる。
【0043】
また、制御装置40は、作業機Waが作業中であるか否かの情報に代えて、集草作業機Waの昇降位置の情報を送信してもよい。後続車両1bは、集草作業機Waの昇降位置が所定の位置未満である状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路(すなわち、作業経路)を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動する。
【0044】
一方、後続車両1bは、集草作業機Waの昇降位置が所定の位置以上である状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動しない。
【0045】
すなわち、後続車両1bは、集草作業機Waの昇降位置が所定の位置よりも低い場合の走行軌跡200では集草作業機Waが作業中であるため、梱包作業機Wbを駆動させ、集草作業機Waの昇降位置が所定の位置以上の高さである場合の走行軌跡200では集草作業機Waが作業していないため、梱包作業機Wbを駆動させない。これにより、後続車両1bは、作業経路を走行する場合のみ梱包作業機Wbを駆動させればよいため、無駄な作業を省くことができる。
【0046】
また、集草作業機Waが作業時および非作業時の状態に応じて形態を変形される場合には、変形状態の情報を送信してもよい。例えば、後続車両1bは、集草作業機Waが作業時の変形状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動する。
【0047】
一方、後続車両1bは、集草作業機Waが非作業時の変形状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動しない。
【0048】
すなわち、後続車両1bは、集草作業機Waが作業時の変形状態である場合の走行軌跡200では、集草作業機Waが作業中であるため、梱包作業機Wbを駆動させ、集草作業機Waが非作業時の変形状態である場合の走行軌跡200では、集草作業機Waが作業していないため、梱包作業機Wbを駆動させない。これにより、後続車両1bは、作業経路を走行する場合のみ梱包作業機Wbを駆動させればよいため、無駄な作業を省くことができる。
【0049】
次に、
図3を用いて、集草作業機Waの集草位置300について説明する。
図3は、集草作業機Waの集草位置300の説明図である。
図3では、先行車両1aは、往路を直進して集草作業を行った後(走行軌跡200a)、旋回して往路と略平行な復路を直進して集草作業を行う(走行軌跡200b)作業を圃場内において繰り返し行うこととする。また、
図3では、集草作業機Waの集草位置300a,300bは、先行車両1aの進行方向に対して左側に寄せた位置であることとする。
【0050】
図3に示すように、制御装置40は、集草作業機Waの集草位置300の情報(走行軌跡200からのズレ量)に基づいて、先行車両1aの予定走行経路を設定する。具体的には、制御装置40は、往路および復路それぞれにおける集草位置300a,300bが隣接もしくは重なるように予定走行経路を設定する。
【0051】
あるいは、制御装置40は、集草作業機Waの集草位置300を任意の位置に変更可能である場合、先行車両1aの設定された予定走行経路に基づいて、往路および復路それぞれにおける集草位置300a,300bが隣接もしくは重なるように集草位置300を設定する。
【0052】
かかる場合には、後続車両1bは、先行車両1aの往路および復路の集草作業が完了した場合に、作業走行、すなわち、自動走行を開始して梱包作業を行う。これにより、梱包作業における刈草の回収漏れを回避することができる。
【0053】
また、後続車両1bが行う梱包作業は、先行車両1aが2直線(往路および復路)分の集草作業を行うのに対し、1直線分の梱包作業を行うだけ済む。すなわち、後続車両1bは、先行車両1aの往路および復路における集草位置300a,300bが所定範囲内に収まる場合、自己の1往復(2直線)の工程のうち、1直線分、すなわち、自己の1往復における往路または復路のいずれか一方の工程を省略することができる。これにより、後続車両1bの梱包作業における作業距離を減らすことができる。
【0054】
なお、後続車両1bは、先行車両1aとの進行方向における距離が所定距離未満となった場合には、自動停止するようにしてもよい。これにより、先行車両1aと後続車両1bとに速度差がある場合であっても、接触を回避することができる。
【0055】
また、後続車両1bは、刈草を梱包するための梱包材(トワインやネット等)の残量が所定量未満となった場合には、先行車両1aへ通知して自動停止する。かかる点について、
図4を用いて説明する。
【0056】
図4は、後続車両1bの動作例を示す図である。
図4では、圃場Fにおいて、後続車両1bが直進(往路および復路)および旋回による往復工程を繰り返して作業を行うこととする。
【0057】
例えば、後続車両1bは、直線の工程において、センサ等により梱包材の残量が所定量未満となった場合には、先行車両1aに対して残量が低下したことを示す残量低下情報を通知する。そして、後続車両1bは、残量低下情報を通知後、次の旋回位置まで通常通り梱包作業を行い、かかる旋回位置において自動停止する。
【0058】
これにより、先行車両1aの運転者が、例えば、先行車両1aの図示しない表示部等により表示された残量低下情報により、梱包材の補充を早期に確認できる。さらに、後続車両1bを旋回位置で自動停止させることで、後続車両1bを圃場Fの端に停車できるため、運転者等が圃場F内を移動することを回避できる。
【0059】
なお、
図4では、旋回開始位置で自動停止する場合を示したが、旋回終了位置や旋回途中位置で自動停止させてもよい。
【0060】
また、残量低下情報を通知する際の梱包材の残量は、1直線分であることが好ましい。これにより、自動停止する旋回位置までは梱包作業を継続することができる。
【0061】
次に、
図5を用いて、実施形態に係る制御システムSの動作例について説明する。
図5は、実施形態に係る制御システムSの動作例を示すシーケンス図である。
【0062】
図5に示すように、先行車両1aは、圃場Fにおける予定走行経路を作成する(ステップS101)。つづいて、先行車両1aは、予定走行経路に沿って走行を開始する(ステップS102)。具体的には、先行車両1aは、最初の往路の走行を開始する。
【0063】
つづいて、先行車両1aは、最初の往路、旋回および復路を走行し、次の往路に到着したとする(ステップS103)。先行車両1aは、後続車両1bに対して梱包作業開始を通知する(ステップS104)。かかる通知には、作業開始点(走行開始点)の情報や、走行軌跡200の情報、集草位置300の情報等が含まれる。
【0064】
つづいて、後続車両1bは、先行車両1aの軌跡(走行軌跡200または集草位置300の軌跡)に沿って自動走行を開始する(ステップS105)。
【0065】
つづいて、先行車両1aは、次の往路に到着した場合(ステップS106)、後続車両1bに対して次の往路に到着したことを通知する(ステップS107)。
【0066】
つづいて、後続車両1bは、先行車両1aの軌跡(走行軌跡200または集草位置300の軌跡)に沿って自動走行を継続する(ステップS108)。
【0067】
つづいて、先行車両1aは、集草作業が終了したとする(ステップS109)。先行車両1aは、後続車両1bに作業終了を通知する(ステップS110)。かかる通知には、作業終了点(走行終了点)の情報等が含まれる。
【0068】
つづいて、後続車両1bは、先行車両1aの軌跡に沿って自動走行を継続し(ステップS111)、作業終了点に到達した場合に、梱包作業を終了する(ステップS112)。
【0069】
上述したように、実施形態に係る作業車両1a,1bの制御システムSは、先行車両1aと、後続車両1bとを備える。先行車両1aは、地面に拡散した刈草を走行軌跡200に沿って集草する集草作業機Waを備える。後続車両1bは、先行車両1aによって集草された刈草をロール状に梱包する梱包作業機Wbを備える。後続車両1bは、先行車両1aにおける走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を自動走行する。これにより、作業を円滑に行うことができる。
【0070】
また、先行車両1aは、自己のPTO軸により取り出した動力によって集草作業機Waを駆動する。後続車両1bは、先行車両1aのPTO軸が駆動状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動し、先行車両1aのPTO軸が非駆動状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動しない。これにより、後続車両1bは、作業経路を走行する場合のみ梱包作業機Wbを駆動させればよいため、無駄な作業を省くことができる。
【0071】
また、先行車両1aは、集草作業機Waが昇降自在に装着される。後続車両1bは、先行車両1aの集草作業機Waの昇降位置が所定の位置未満である状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動し、先行車両1aの集草作業機Waの昇降位置が所定の位置以上である状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動しない。これにより、後続車両1bは、作業経路を走行する場合のみ梱包作業機Wbを駆動させればよいため、無駄な作業を省くことができる。
【0072】
また、先行車両1aは、集草作業機Waが作業時および非作業時に応じた変形状態に変形する。後続車両1bは、先行車両1aの集草作業機Waが作業時の変形状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動し、先行車両1aの集草作業機Waが非作業時の変形状態で走行した走行軌跡200に基づいて設定された走行経路を走行する場合には、梱包作業機Wbを駆動しない。これにより、後続車両1bは、作業経路を走行する場合のみ梱包作業機Wbを駆動させればよいため、無駄な作業を省くことができる。
【0073】
また、先行車両1aおよび後続車両1bは、直進および旋回による往復工程を繰り返して作業を行う。後続車両1bは、刈草を梱包するための梱包材の残量が所定量未満となった場合には、先行車両1aに対して残量低下情報を報知するとともに、次の旋回時位置において自動停止する。これにより、これにより、先行車両1aの運転者が、例えば、先行車両1aの図示しない表示部等により表示された残量低下情報により、梱包材の補充を早期に確認できる。さらに、後続車両1bを旋回位置で自動停止させることで、後続車両1bを圃場Fの端に停車できるため、運転者等が圃場F内を移動することを回避できる。
【0074】
また、後続車両1bは、先行車両1aとの進行方向における距離が所定距離未満となった場合には、自動停止する。これにより、先行車両1aと後続車両1bとに速度差がある場合であっても、接触を回避することができる。
【0075】
また、実施形態に係る作業車両1a,1bの制御システムSは、地面に拡散した刈草を進行方向に対して左右のいずれか一方に寄せた位置を集草位置300として集草する集草作業機Waを備えた先行車両1aと、先行車両1aによって集草された刈草をロール状に梱包する梱包作業機Wbを備えた後続車両1bと、を備え、後続車両1bは、先行車両1aにおける集草位置300の軌跡に基づいて設定された走行経路を自動走行する。これにより、作業を円滑に行うことができる。
【0076】
また、先行車両1aは、往路を直進して集草作業を行った後、旋回して往路と略平行な復路を直進して集草作業を繰り返し行う。後続車両1bは、往路および復路の集草作業が完了した場合に、作業走行を開始する。これにより、梱包作業における刈草の回収漏れを回避することができる。
【0077】
また、後続車両1bは、先行車両1aの往路および復路における集草位置300a,300bが所定範囲内に収まる場合、自己の1往復の工程における往路または復路のうち、いずれか一方の工程を省略する。後続車両1bの梱包作業における作業距離を減らすことができる。
【0078】
また、制御システムSは、集草作業機Waにおける作業幅と、梱包作業機Wbの作業位置と設定する情報端末100をさらに備える。これにより、作業者が集草作業および梱包作業の設定を変更することができる。
【0079】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0080】
1a 先行車両(作業車両)
1b 後続車両(作業車両)
200 走行軌跡
300 集草位置
S 制御システム
Wa 集草作業機
Wb 梱包作業機