(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ケアイベント可視化装置、ケアイベント可視化システム、およびケアイベント可視化方法
(51)【国際特許分類】
G16H 40/00 20180101AFI20231031BHJP
【FI】
G16H40/00
(21)【出願番号】P 2019564642
(86)(22)【出願日】2018-12-27
(86)【国際出願番号】 JP2018048324
(87)【国際公開番号】W WO2019138915
(87)【国際公開日】2019-07-18
【審査請求日】2021-09-24
(31)【優先権主張番号】P 2018002446
(32)【優先日】2018-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】古川 寛
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-219551(JP,A)
【文献】特開2009-098979(JP,A)
【文献】特開2015-026277(JP,A)
【文献】特開平11-306242(JP,A)
【文献】特開2002-215800(JP,A)
【文献】特開2001-325365(JP,A)
【文献】特開平08-266483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0267224(US,A1)
【文献】特開2014-215687(JP,A)
【文献】特表2017-508527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知された、ケア対象者およびケア実行者の少なくともいずれか一方により行われる、ケアに関するイベントの情報を記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記イベントの情報を、前記ケア対象者、前記ケア実行者、および前記イベントの少なくともいずれかごとに可視化するための、イベント回数の統計分布の統計グラフを作成する演算部と、を有し、
前記記憶部は、前記イベントの情報として、イベント名、前記ケア対象者、前記ケア実行者、ならびに、前記イベントの開始時刻および終了時刻を記憶し、
前記演算部は、記憶された前記イベントの開始時刻および終了時刻から前記ケア実行者よる前記イベントの実行に要した時間を算出し、前記イベントの実行に要した時間ごとの前記イベントの回数の統計分布として可視化するための前記統計グラフを、前記ケア実行者および前記ケア対象者の組み合わせごとに作成する、ケアイベント可視化装置。
【請求項2】
前記記憶部に記憶される前記イベントの情報には、前記イベントが開始された施設内の領域の情報が含まれ、
前記演算部は、前記記憶部に前記イベントが開始された施設の領域の情報が記憶されるごとに、前記施設の領域ごとのイベントの発生回数の前記統計グラフを作成する、
請求項
1に記載のケアイベント可視化装置。
【請求項3】
前記演算部は、前記記憶部に記憶された前記イベントの情報から、指定された一定期間に発生したイベントの発生回数の前記統計グラフを作成する、
請求項
1に記載のケアイベント可視化装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一項に記載のケアイベント可視化装置と、
前記ケアイベント可視化装置により作成された前記統計グラフを出力する出力部と、
を有する、ケアイベント可視化システム。
【請求項5】
検知された、ケア対象者およびケア実行者の少なくともいずれか一方により行われる、ケアに関するイベントの情報を記憶部により記憶する段階(a)と、
演算部により、段階(a)において記憶された前記イベントの情報を、前記ケア対象者、前記ケア実行者、および前記イベントの少なくともいずれかごとに可視化するための、イベント回数の統計分布の統計グラフを作成する段階(b)と、を有
し、
前記段階(a)は、前記イベントの情報として、イベント名、前記ケア対象者、前記ケア実行者、ならびに、前記イベントの開始時刻および終了時刻を記憶し、
前記段階(b)は、前記段階(a)において記憶された前記イベントの開始時刻および終了時刻から前記ケア実行者よる前記イベントの実行に要した時間を算出し、前記イベントの実行に要した時間ごとの前記イベントの回数の統計分布として可視化するための前記統計グラフを、前記ケア実行者および前記ケア対象者の組み合わせごとに作成する、ケアイベント可視化方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケアイベント可視化装置、ケアイベント可視化システム、およびケアイベント可視化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
我が国は、戦後の高度経済成長に伴う生活水準の向上、衛生環境の改善、および医療水準の向上等により、長寿命化が顕著となっている。このため、出生率の低下と相まって、高齢化率が高い高齢化社会になっている。このような高齢化社会では、病気、怪我、および加齢などにより、介護や看護等を必要とする要看護者および要看護者等(以下、「ケア対象者」と称する)の増加が想定される。
【0003】
ケア対象者は、病院や老人福祉施設などの施設において、歩行中に転倒したり、ベッドから転落して怪我をしたりするおそれがある。そのため、ケア対象者がこのような状態になったときに介護士や看護師等(以下、「ケア実行者」と称する)がすぐに駆けつけられるようにするために、ケア対象者の状態を検知するためのシステムの開発が進められている。
【0004】
このようなシステムとして、特許文献1に開示されたナースコールシステムにおいては、患者のベッドに対して設置されたカメラの撮像映像から、患者の起床、離床のいずれかの状態を判断し、起床、または離床と判断した場合には、ナースステーションに設けられたナースコール親機に、カメラの撮像映像を表示させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、施設に入居するケア対象者は様々な状態(要介護度、要支援度)であり、ケア実行者にはケアの業務経験が長い人と短い人がいる。そして、ケア対象者の部屋割り、ケア実行者のシフト等のケアに関する人の配置は、現場の責任者の経験に基づく判断により決定されている。しかし、ケア実行者の業務は多種多様であり、人を対象とする業務であるため、ケアに関する人の配置は、業務負荷、業務効率、ケア対象者の状態、現場の状況等の面から適切に決定される必要がある。一方、特許文献1に開示された先行技術では、ケアに関する人の配置を適切に決定することには対応できない。
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものである。すなわち、ケアに関する人の配置、およびケアの状況に応じた再配置を適正化することで業務効率の改善を実現できる、ケアイベント可視化装置、ケアイベント可視化システム、およびケアイベント可視化方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記課題は、以下の手段によって解決される。
【0009】
(1)検知された、ケア対象者およびケア実行者の少なくともいずれか一方により行われる、ケアに関するイベントの情報を記憶する記憶部と、前記記憶部に記憶された前記イベントの情報を、前記ケア対象者、前記ケア実行者、および前記イベントの少なくともいずれかごとに可視化するための、イベント回数の統計分布の統計グラフを作成する演算部と、を有し、前記記憶部は、前記イベントの情報として、イベント名、前記ケア対象者、前記ケア実行者、ならびに、前記イベントの開始時刻および終了時刻を記憶し、前記演算部は、記憶された前記イベントの開始時刻および終了時刻から前記ケア実行者よる前記イベントの実行に要した時間を算出し、前記イベントの実行に要した時間ごとの前記イベントの回数の統計分布として可視化するための前記統計グラフを、前記ケア実行者および前記ケア対象者の組み合わせごとに作成する、ケアイベント可視化装置。
【0014】
(2)前記記憶部に記憶される前記イベントの情報には、前記イベントが開始された施設内の領域の情報が含まれ、前記演算部は、前記記憶部に前記イベントが開始された施設の領域の情報が記憶されるごとに、前記施設の領域ごとのイベントの発生回数の前記統計グラフを作成する、上記(1)に記載のケアイベント可視化装置。
【0015】
(3)前記演算部は、前記記憶部に記憶された前記イベントの情報から、指定された一定期間に発生したイベントの発生回数の前記統計グラフを作成する、上記(1)に記載のケアイベント可視化装置。
【0016】
(4)上記(1)~(3)のいずれかに記載のケアイベント可視化装置と、前記ケアイベント可視化装置により作成された前記統計グラフを出力する出力部と、を有する、ケアイベント可視化システム。
【0017】
(5)検知された、ケア対象者およびケア実行者の少なくともいずれか一方により行われる、ケアに関するイベントの情報を記憶部により記憶する段階(a)と、演算部により、段階(a)において記憶された前記イベントの情報を、前記ケア対象者、前記ケア実行者、および前記イベントの少なくともいずれかごとに可視化するための、イベント回数の統計分布の統計グラフを作成する段階(b)と、を有し、前記段階(a)は、前記イベントの情報として、イベント名、前記ケア対象者、前記ケア実行者、ならびに、前記イベントの開始時刻および終了時刻を記憶し、前記段階(b)は、前記段階(a)において記憶された前記イベントの開始時刻および終了時刻から前記ケア実行者よる前記イベントの実行に要した時間を算出し、前記イベントの実行に要した時間ごとの前記イベントの回数の統計分布として可視化するための前記統計グラフを、前記ケア実行者および前記ケア対象者の組み合わせごとに作成する、ケアイベント可視化方法。
【発明の効果】
【0020】
ケア対象者およびケア実行者の少なくともいずれか一方により行われる介護に関するイベントの情報を記録し、ケア対象者、ケア実行者、およびイベントの少なくともいずれかごとに統計グラフとして可視化する。これにより、介護に関する人の配置、および介護の状況に応じた再配置を適正化することで業務効率の改善を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】ケアイベント可視化システム全体構成を示す図である。
【
図2】ケア対象者の部屋のベッド周辺に設置された検知部の例を示す図である。
【
図4】管理サーバーの概略構成を示すブロック図である。
【
図5】携帯端末の概略構成を示すブロック図である。
【
図6】イベントの情報をイベントごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図7】イベントの情報をケア実行者ごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図8】イベントの情報を、ケア実行者とケア対象者の組み合わせごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図9】イベントの情報を、ケア実行者とイベントの組み合わせごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図10】イベントの情報を、イベントとケア対象者の組み合わせごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図11】イベントの情報を、特定のケア対象者のケアの負荷値の推移として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図12】イベントの情報を、ケア対象者の所定の行動の回数の時間推移として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図13】イベントの情報を、一定期間におけるケア対象者の所定の行動の回数の推移として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図14】イベントの情報を、施設内の領域ごとのイベントの発生の現時点での累積回数として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図15】イベントの情報を、1日の、施設全体のケア対象者によるケアコールの回数の時間推移として、イベントの情報を可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図16】イベントの情報を、1週間の曜日ごとの、施設全体のケア対象者によるケアコールの回数の推移として、イベントの情報を可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【
図17】ケアイベント可視化システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る、ケアイベント可視化装置、ケアイベント可視化システム、およびケアイベント可視化方法について説明する。なお、図面において、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0023】
なお、本明細書において、ケア対象者には、異常状態等の所定の不都合な事象がその者に生じた場合に、その発見を必要としている者が広く含まれ、たとえば、要介護者、患者、および要支援者を含む。ケアには、ケア対象者に対してケア実行者が行うケアを広く含み、たとえば排泄介助、入浴介助、食事介助、および移動介助のほか、食事の準備や掃除などの生活介助を含む。ケア実行者は、ケア対象者に対しケアを行う者である。
【0024】
図1はケアイベント可視化システム全体構成を示す図であり、
図2はケア対象者の部屋のベッド周辺に設置された検知部の例を示す図である。
【0025】
図1に示すように、ケアイベント可視化システム1は、複数の検知部10、管理サーバー20、固定端末30、および1つ以上の携帯端末40を有する。これらは、有線や無線によって、LAN(Local Area Network)、電話網またはデータ通信網等のネットワーク50を介して、相互に通信可能に接続される。ネットワーク50は、通信信号を中継する中継機を備えてもよい。
図1に示す例では、携帯端末40は、検知部10、管理サーバー20、および固定端末30が、アクセスポイント51を含む無線LAN等(たとえばIEEE802.11規格によるLAN)のネットワーク50によって、相互に通信可能に接続されている。
【0026】
ケアイベント可視化システム1は、たとえば病院、老人福祉施設、および住戸等の建物に好適に配設される。
図1に示す例では、ケアイベント可視化システム1は、複数のケア対象者がそれぞれ入居する複数の居室やケアステーションを含む複数の部屋を備える施設の建物内に配置されている。
【0027】
検知部10は、ケア対象者80の観察領域である、各フロア(フロアA~C)の居室にそれぞれ配置される。
図1に示す例では、フロアAにおいて、4つの検知部10がケア対象者80であるaさん、bさん、cさんおよびdさんの居室にそれぞれ配置されている。なお、図示は省略するが、その他のフロアにおいても、複数の検知部10が、ケア対象者80の居室にそれぞれ配置されている。ケア実行者であるユーザーu001、u002はそれぞれ携帯端末40を携帯している。管理サーバー20はネットワーク50に接続されている外部のサーバーであってもよい。また、固定端末30を省略し、管理サーバー20または携帯端末40がその機能を有してもよい。
【0028】
図3は検知部の概略構成を示すブロック図である。検知部10は、制御部11、通信部12、カメラ13、およびケアコール部14を備え、これらの構成要素はバスによって、相互に接続されている。
【0029】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、およびRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などのメモリにより構成され、プログラムにしたがって検知部10の各部の制御および演算処理を行う。
【0030】
通信部12は、ネットワーク50を介して、たとえば、管理サーバー20、固定端末30、および携帯端末40を含む他の装置と通信するためのインターフェースであり、たとえばLANカードであり得る。
【0031】
カメラ13は、たとえば居室の天井、または壁の上部に配置され、観察領域としてケア対象者80のベッド90を含む領域を撮影し、撮影画像(画像データ)を出力する。この撮影画像には、静止画および動画が含まれる。カメラ13は、たとえば可視光カメラまたは近赤外線カメラであり得る。
【0032】
制御部11は、カメラ13が撮影した撮影画像から、ケア対象者の行動を認識する。この認識する行動には、たとえば、ベッド90から起き上がる「起床」、およびベッド90から離れる「離床」、「転倒」等が含まれる。
【0033】
制御部11は、複数の撮影画像(たとえば動画像)から画像のシルエット(以下、「人シルエット」と称する)を検知する。人シルエットは、たとえば、撮影時刻が前後する画像を差分する時間差分により差分が相対的に大きい画素の範囲を抽出することで検知され得る。人シルエットは、撮影画像から背景画像を差分する背景差分法により検知されてもよい。ケア対象者80の行動は、人シルエットに基づいて認識されるケア対象者80の姿勢(たとえば、立位、座位、および臥位)の時間的変化、およびベッド90などの居室内の設置物との相対的な位置関係から検知され得る。制御部11は、所定の行動を検知した場合、検知された行動、検知部10を特定するユニークなID(たとえばMACアドレス)、および検知時刻を含む情報(以下、「センサー送信情報」と称する)を、通信部12を介して管理サーバー20へ送信する。所定の行動には、たとえばケア対象者80の起床および離床が含まれる。
【0034】
なお、ケア対象者80の所定の行動の検知は、管理サーバー20により行われてもよい。この場合、制御部11は、管理サーバー20へ撮影画像の送信を行う。
【0035】
ケアコール部14は、押しボタン式のスイッチを含み、スイッチがケア対象者によって押されることでケアコールを検知する。押しボタン式のスイッチに換えて、音声マイクによりケアコールを検知してもよい。ケアコール部14は、ケアコール部14のスイッチが押されることでケアコールを検知した場合、ケアコール部14を特定するユニークなID(たとえばMACアドレス)、および検知時刻を含む情報(以下、「ケアコール情報」と称する)を、ケアコールとして、通信部12を介して管理サーバー20へ送信する。なお、ケアコール部14は、携帯端末40との音声通話用のマイクおよびスピーカーを備えてもよい。
【0036】
本実施形態において、ケアに関するイベント(以下、単に「イベント」と称する)とは、ケア実行者によるケア対象者80へのケア、ケア対象者80の所定の行動、ならびにケア対象者80によるケアコールなどのケアに関連する行動をいう。したがって、検知部10は、ケア対象者80の所定の行動およびケアコールをイベントとして検知し、センサー送信情報およびケアコール情報を管理サーバー20へ送信することでイベントを通知する。なお、後述するように、ケア実行者は、ケアを行う際に、携帯する携帯端末40に、ケア対象者80、ならびにケアを開始する旨およびケアを終了する旨を入力し得る。これにより、携帯端末40から管理サーバー20へ、携帯端末40を特定するユニークなID(たとえば携帯端末の番号)、ケア対象者80、ケアの内容、ならびにケアを開始した時間およびケアを終了した時間、を含む情報(以下、「携帯端末送信情報」と称する)が送信されることで、ケア実行者によりケア対象者80への介護が行われたことが通知される。なお、後述するように、携帯端末送信情報には、ケア対象者80に代えて、携帯端末40により検知されたケア実行者の現在位置が含まれてもよい。この場合、管理サーバー20においてケア実行者の現在位置に基づいて、ケア実行者がケアを実行するケア対象者80が特定され得る。
【0037】
また、本実施形態において、介護に関するイベントの情報(以下、単に「イベントの情報」と称する)とは、イベントの内容を特定するための情報であり、イベント名、ケア対象者、ケア実行者、イベントの開始時刻および終了時刻、イベントが開始された施設の領域、ならびにこれらの情報から算出される情報を含む。
【0038】
(管理サーバー)
図4は、管理サーバーの概略構成を示すブロック図である。管理サーバー20は、制御部21、通信部22、および記憶部23を有する。制御部21は演算部を構成する。通信部22は出力部を構成する。制御部21および通信部22の基本構成は、検知部10の対応する構成要素である、制御部11および通信部12と同様である。各構成要素は、バスによって、相互に接続されている。
【0039】
制御部21は、センサー送信情報に基づいて、イベントの情報として、イベント名、ケア対象者、およびイベントの開始時間を特定する。イベント名は、検知された所定の行動から特定される。ケア対象者80は検知部10を特定するユニークなIDから、当該IDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルが参照されることで特定される。当該テーブルはあらかじめ記憶部23に記憶される。イベントの開始時間は、センサー送信情報を受信した時間として特定される。
【0040】
制御部21は、携帯端末送信情報に基づいて、イベントの情報として、イベント名、ケア対象者、ケア実行者、ならびに、イベントの開始時刻および終了時刻を特定する。イベント名は、ケアの内容から特定される。ケア実行者は、携帯端末40を特定するユニークなIDから、当該IDとケア実行者80との対応関係が登録されたテーブルが参照されることで特定される。イベントの開始時刻および終了時刻は、ケアを開始した時間およびケアを終了した時間から特定される。なお、携帯端末送信情報には、ケア対象者80に代えて、携帯端末40により検知されたケア実行者の現在位置が含まれ得る。この場合、制御部21は、ケア実行者の現在位置に対応する施設内の領域を特定し、特定した領域を居室とするケア対象者80を特定する。たとえば、施設内の領域とケア対象者80の居室とを対応づけたテーブルをあらかじめ記憶部23に記憶させることにより、制御部21は当該テーブルを利用してケア実行者の現在位置に基づいてケア対象者80を特定し得る。
【0041】
制御部21は、ケアコール情報に基づいて、イベントの情報として、イベント名、ケア対象者、およびイベントの開始時間を演算により特定する。イベント名はケアコール情報の受信によりケアコールと特定される。ケア対象者80は、ケアコール部14を特定するユニークなIDから、当該IDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルが参照されることで特定される。当該テーブルはあらかじめ記憶部23に記憶される。イベントの開始時間は、ケアコール情報を受信した時間として特定される。
【0042】
記憶部23は、検知部10を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、携帯端末40を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、ケアコール部14を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、および、イベントの情報を含む各種データを記憶する。
【0043】
制御部21は、記憶部23に記憶されたイベントの情報を、ケア対象者80、ケア実行者、およびイベントの少なくともいずれかごとに可視化するための統計グラフ(以下、「可視化統計グラフ」と称する)を作成する。可視化統計グラフにはヒストグラムが含まれる。可視化統計グラフについては後述する。
【0044】
(固定端末)
固定端末30は、PC(Personal Computer)であり、CPU、RAM、ROM、HDD、表示部、通信部、および入力部などを備える。表示部は、出力部を構成し、通信部により管理サーバー20から受信された可視化統計グラフを表示(出力)する。入力部は、ケア実行者による各種情報の操作入力を受け付ける。管理サーバー20の記憶部23に記憶される、検知部10を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルは、入力部から入力されることで、管理サーバー20へ送信され、記憶部23に記憶され得る。同様に、携帯端末40を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブル、およびケアコール部14を特定するユニークなIDとケア対象者80との対応関係が登録されたテーブルも、入力部から入力されることで、管理サーバー20へ送信され、記憶部23に記憶され得る。なお、管理サーバー20から受信された可視化統計グラフは、外部の表示装置に表示するために、または外部の記憶装置に記憶するために通信部からデータとして出力されてもよい。
【0045】
(携帯端末)
図5は、携帯端末の概略構成を示すブロック図である。携帯端末40は、制御部41、無線通信部42、表示部43、入力部44,音声入出力部45、および位置検知部46を備え、これらはバスにより相互に接続される。携帯端末40は、たとえば、タブレット型コンピューター、スマートフォンまたは携帯電話等の、ケア実行者により携帯可能な通信端末機器によって構成できる。
【0046】
制御部41は、検知部10の制御部11の構成と同様に、CPU、RAM、ROMなどの基本構成を備える。
【0047】
無線通信部42は、Wi-Fi、Bluetooth(登録商標)などの規格による無線通信を行う機能を有し、アクセスポイント51を経由して、または直接に各装置と無線通信する。
【0048】
表示部43、および入力部44は、タッチパネルであり、液晶などで構成される表示部43の表示面に、入力部44としてのタッチセンサーが設けられる。表示部43、入力部44によって、ケア実行者に対して、ケアをこれから実行しようとするケア対象者80、ならびにケアを開始する旨およびケアを終了する旨を入力するための画面を含む各種操作画面を表示したり、操作画面を通じて各種の操作を受け付ける。
【0049】
音声入出力部45は、たとえばスピーカーとマイクであり、無線通信部42を介して他の携帯端末40との間でケア実行者相互間の音声通話を可能にする。また、音声入出力部45は、無線通信部42を介して検知部10との間で音声通話を可能にする機能を有し得る。
【0050】
位置検知部46は、たとえばGPS機能を有し、携帯端末40を携帯するケア実行者の現在位置を検知する。または、位置検知部46は、ICタグ機能を有し、各部屋に設けたRFIDリーダーで読み取ることにより、ケア実行者の現在位置を検知する。
【0051】
制御部41は、無線通信部42により、携帯端末40を特定するユニークなID、ケア対象者80、ケアの内容、ならびにケアを開始した時間およびケアを終了した時間、を含む情報を携帯端末送信情報として管理サーバー20へ送信する。なお、ケア対象者80に代えて、位置検知部46により検知されたケア実行者の現在位置が管理サーバー20へ送信されてもよい。ケア実行者の現在位置が管理サーバー20へ送信されることにより、管理サーバー20によりケア実行者の現在位置に対応する施設内の領域が特定され、特定された領域を居室とするケア対象者80が特定される。
【0052】
可視化統計グラフについて説明する。以下、例1~例7の可視化統計グラフは、ケア実行者により実行されたイベントについて、当該イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフである。例8~例12の可視化統計グラフは、ケア対象者80により実行されたイベントについて、当該イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフである。
【0053】
(例1:イベントごとに、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図6は、イベントの情報をイベントごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
図6の左図は、イベントである排泄介助の、ケア実行者によるケアに要した作業時間のヒストグラムである。
図6の右図は、イベントである入浴介助の、ケア実行者による作業時間のヒストグラムである。
【0054】
図6に示すヒストグラムによれば、イベント(介護業務)ごとのケア実行者への負荷が明確化される。すなわち、入浴介助の方が排泄介助よりもケア実行者の作業時間が長いことから、入浴介助のほうが排泄介助よりもケア実行者への負荷が大きい傾向があることが判る。入浴介助および排泄介助に要する作業時間が明確化されることで、作業時間に応じて入浴介助の計画を立てることができるため、ケア実行者の業務効率を向上できる。
【0055】
(例2:ケア実行者ごとに、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図7は、イベントの情報をケア実行者ごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
図7の左図は、ケア実行者である介護士Aが行ったすべてのイベントの、ケアに要した作業時間のヒストグラムである。
図7の右図は、介護士Bが行ったすべてのイベントの、ケアに要した作業時間のヒストグラムである。
【0056】
図7に示すヒストグラムによれば、ケア実行者ごとにケア実行者への負荷が明確化されている。すなわち、介護士Aは10分未満で終えているイベントが多いが、介護士Bは10分以上で終えているイベントが多い。これにより、時間のかかるイベントを介護士Bが行っているのか、または介護士Bの作業効率が悪くてイベントに時間がかかっているかのいずれかの状況にあることが判る。イベントに要した時間をケア実行者ごとに明確化されることで、ケア実行者ごとの負荷の適正化を図ることができ、ケア実行者全体としての業務効率を向上できる。
【0057】
(例3:ケア対象者ごとに、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
ケア対象者80ごと(たとえばケア対象者aごとおよびケア対象者bごと)の、イベントの情報である、ケアに要した時間のヒストグラム(図示せず)によれば、どのケア対象者80に対するイベントに時間を要しているかが判る。これにより、イベントに時間を要するケア対象者が明確化されるため、当該ケア対象者に対しては余裕をもったケア計画を立て得る。また、イベントに時間を要するケア対象者について、時間がかかる原因を調査し、業務効率の改善につなげる契機を与え得る。
【0058】
(例4:ケア実行者とケア対象者の組み合わせごとに、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図8は、イベントの情報を、ケア実行者とケア対象者の組み合わせごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
図8の左図は、ケア実行者である介護士Aがケア対象者aに対して行ったすべてのイベントの、ケアに要した作業時間のヒストグラムである。
図8の右図は、介護士Bがケア対象者aに対して行ったすべてのケアに関するイベントの、ケアに要した作業時間のヒストグラムである。
【0059】
図8に示すヒストグラムによれば、同じケア対象者に対するケア実行者ごとの負荷が明確化されている。すなわち、ケア対象者aに対して介護士Aはケアの作業時間が比較的短く、介護士Bは比較的長いことがわかる。これにより、ケア対象者aに対する介護士Aの作業効率のよい原因を調査し、その原因によって、介護士Aのケア対象者aに対するケア方法を、介護士Bを含む他のケア実行者に伝達することで、各ケア実行者の負荷を軽減し、業務効率の改善につなげ得る。
【0060】
(例5:ケア実行者とイベントの組み合わせごとに、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図9は、イベントの情報を、ケア実行者とイベントの組み合わせごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
図9の左図は、ケア実行者である介護士Aの排泄介助のイベントのケアに要した作業時間のヒストグラムである。
図9の右図は、介護士Bの排泄介助のイベントのケアに要した作業時間のヒストグラムである。
【0061】
図9に示すヒストグラムによれば、ケア実行者ごとの排泄介助の負荷が明確化されている。すなわち、介護士Aによる排泄介助の作業時間が比較的短く、介護士Bによる排泄介助の作業時間が比較的長いことがわかる。これにより、介護士Aの排泄介助の作業効率がよい原因を調査し、判明した原因に対する対策を、介護士Aの排泄介助の方法を介護士Bを含む他のケア実行者に伝達することで、各ケア実行者の負荷を軽減し、業務効率の改善につなげ得る。
【0062】
(例6:イベントとケア対象者の組み合わせごとに、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図10は、イベントの情報を、イベントとケア対象者の組み合わせごとに可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
図10の左図は、ケア対象者aに対する排泄介助のイベントのケアに要した作業時間のヒストグラムである。
図10の右図は、ケア対象者bに対する排泄介助のイベントのケアに要した作業時間のヒストグラムである。
【0063】
図10に示すヒストグラムによれば、ケア対象者ごとの排泄介助の負荷が明確化されている。すなわち、ケア対象者bに対する排泄介助の作業時間が比較的長いことがわかる。これにより、ケア対象者bに対する排泄介助の負荷が大きい原因として、ケア対象者bの介護度が高い、または体が大きいなどが考えられるため、ケア対象者bに対してはケア実行者が2人でケアを行うなどによりケア実行者の負荷を軽減し、業務効率の改善につなげ得る。
【0064】
(例7:ケア対象者ごとのケアの負荷値の推移として、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図11は、イベントの情報を、特定のケア対象者のケアの負荷値の推移として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【0065】
ケアの負荷値は、イベントごとに負荷の大小を示す値を設定し、設定した値にイベントに要した作業時間を掛け合わせて和をとることで算出し得る。
図11の例においては、排泄介助のイベントの負荷値を10、入浴介助のイベントの負荷値を30と設定し、イベントに要した作業時間をそれぞれ掛け合わせて和をとることで算出された、日ごとのケアの負荷値の推移が示されている。
図11の例による、ケアの負荷値の推移による可視化統計グラフによれば、9月2日および9月3日の介護士Aの負荷が比較的大きいことから、この2日間において、介護士Aが負荷の大きいケアを行っていたか、ケアの作業時間が長かったことがわかる。これにより、ケアの負荷の推移がケア実行者ごとに明確化されるため、ケアの負荷が特定の曜日などに集中しないように、ケアの状況に応じてケア実行者の配置を適正化できる。
【0066】
(例8:ケア対象者の所定の行動の回数の時間推移として、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図12は、イベントの情報を、ケア対象者の所定の行動の回数の時間推移として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【0067】
図12の例によれば、ケア対象者aは、就寝中である22時頃から5時頃までに3回離床していることがわかる。このため、就寝中に3回トイレに行っている可能性があることから、就寝前の水分摂取量を適正量に抑制する対応などをすることで、夜間の排泄介助業務の回数を減らし得る。これにより、ケア実行者の負荷を軽減できる。
【0068】
(例9:一定期間におけるケア対象者の所定の行動の回数の推移として、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図13は、イベントの情報を、一定期間におけるケア対象者の、夜間における所定の行動の回数の推移として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【0069】
図13の例によれば、ケア対象者bは、夜間である22時から6時の離床回数が増えてきていることがわかる。このため、夜間に寝られなくなっている可能性があるので、昼寝の時間を適正に抑制することや、昼間の活動を増やすことや、入眠後に部屋の照明を消しに行くなどにより安眠環境を整えるといった対応をし得る。これにより、夜間のケアコールによる呼び出しへの対応を軽減することで、ケア実行者の負荷を軽減できる。
【0070】
(例10:施設内の領域ごとのイベントの現時点での累積回数として、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図14は、イベントの情報を、施設内の領域ごとのイベントの発生の現時点での累積回数として可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【0071】
図14の例によれば、フロアBにおいて、ケアコール、起床、および離床のイベントの現時点(午前6時時点)における発生回数が多くなっており、フロアBを担当するケア実行者の負荷が現在高くなっていることがわかる。このため、一時的にケア実行者の配置を変更して負荷が高くなっている場所(フロアB)を担当するケア担当者の数を増加することで、負荷が高くなっている場所におけるケアをサポートできる。
図14の例においては、各フロアにケア実行者が2人ずつ配置されていた場合、負荷が最も低いフロアAを担当するケア実行者のうちの1人をフロアBに配置してフロアBにおけるケアを手伝わせることで、フロアBを担当するケア実行者の過度な負荷を軽減できる。
【0072】
(例11:一定期間における施設全体のケア対象者によるケアコールの回数の時間推移として、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図15は、イベントの情報を、1日の、施設全体のケア対象者によるケアコールの回数の時間推移として、イベントの情報を可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【0073】
図15の例によれば、9時から11時、および16時から18時にかけてケア実行者が対応しなければならないケアコールの回数が多くなっていることがわかる。施設の運営者またはケア実行者の管理者は、経験に基づいて、ケアコールの回数が増加する上記時間帯においてはケア実行者の数を増やすシフト設計をしていると考えられる。しかし、
図15の例のように、1日におけるケアコールの回数の時間推移が可視化統計グラフにより可視化されることで、より業務効率の高いケア実行者の配置を実現できる。
【0074】
(例12:一定期間における施設全体のケア対象者によるケアコールの回数の推移として、イベントの情報を可視化するための可視化統計グラフ)
図16は、イベントの情報を、1週間の曜日ごとの、施設全体のケア対象者によるケアコールの回数の推移として、イベントの情報を可視化した可視化統計グラフの例を示す図である。
【0075】
図16の例によれば、金曜日から日曜日においてケアコールの回数が少なくなっていることがわかる。このため、金曜日から日曜日において、配置するケア実行者の人数を低減することにより、より業務効率の高いケア実行者の配置を実現できる。
【0076】
図17は、ケアイベント可視化システムの動作を示すフローチャートである。本フローチャートは、検知部10の制御部11、管理サーバー20の制御部21、固定端末30の制御部、および携帯端末40の制御部41の協働した制御によりプログラムに従って実行され得る。
【0077】
検知部10は、撮影画像に基づいてケア対象者80の行動を認識する(S101)。
【0078】
検知部10は、認識したケア対象者80の行動が所定の行動に該当することを検知するまで、ステップS101およびステップS102を繰り返す(S102:NO)。
【0079】
検知部10は、認識したケア対象者80の行動が所定の行動に該当することを検知した場合は(S102:YES)、センサー送信情報を管理サーバー20へ送信する(S103)。
【0080】
ステップS101~S103と並行して、検知部10は、ケアコール情報を管理サーバー20へ送信する(S105)。携帯端末40は、携帯端末送信情報を管理サーバー20へ送信する(S104)。
【0081】
管理サーバー20は、検知部10からセンサー送信情報およびケアコール情報を受信するとともに、携帯端末40から携帯端末送信情報を受信する(S106)。
【0082】
管理サーバー20は、受信したセンサー送信情報、ケアコール情報、および携帯端末送信情報に基づいてイベントの情報を算出し、算出したイベントの情報を記憶部23に保存する(S107)。
【0083】
管理サーバー20は、保存したイベントの情報を読み出し(S108)、読み出したイベントの情報に基づいて可視化統計グラフを作成し、固定端末30へ送信する(S109)。管理サーバー20は、ステップS107においてイベントの情報を記憶部23に保存するごとに、保存したイベントの情報を読み出し(S108)、読み出したイベントの情報に基づいて可視化統計グラフを作成し得る。管理サーバー20は、固定端末30において指定された一定期間のイベントの情報に基づいて可視化統計グラフを作成してもよい。
【0084】
固定端末30は、受信した可視化統計グラフを表示(出力)する(S110)。
【0085】
本実施形態は、以下の効果を奏する。
ケア対象者およびケア実行者の少なくともいずれか一方により行われる介護に関するイベントの情報を記録し、ケア対象者、ケア実行者、およびイベントの少なくともいずれかごとに統計グラフとして可視化する。これにより、介護に関する人の配置、および介護の状況に応じた再配置を適正化して業務効率の改善を実現できる。
【0086】
さらに、イベント名、ケア対象者、ケア実行者、ならびに、イベントの開始時刻および終了時刻をイベントの情報として記憶し、当該情報に基づいて、ケア実行者によるイベントの実行に要した時間ごと、またはケア実行者によるイベントの実行による負荷を示す負荷値ごとの、イベントの回数の統計分布として可視化統計グラフを作成する。これにより、ケア実行者によるケアの実行結果に基づいて、業務効率の改善の要否および改善箇所を視覚的に容易に判断できる。
【0087】
さらに、イベント名、ケア対象者、およびイベントの開始時間をイベントの情報として記憶し、当該情報に基づいて、ケア対象者により実行されたイベントの回数の統計分布として可視化統計グラフを作成する。これにより、ケア対象者の行動に基づいて、業務効率の改善の要否および改善箇所を視覚的に容易に判断できる。
【0088】
さらに、記憶されたイベントの開始時刻および終了時刻からケア実行者よるイベントの実行に要した時間を算出する。そして、イベントの実行に要した時間ごとのイベントの回数の統計分布としての可視化統計グラフを、イベント、ケア実行者、もしくはケア対象者のいずれかごとに作成し、または、イベント、ケア実行者、およびケア対象者からなる群から選択された少なくともいずれか2つの組み合わせごとに作成する。これにより、イベント、ケア実行者、およびケア対象者の相互の組み合わせごとに、多面的かつ効果的に業務効率の改善の要否および改善箇所を視覚的に容易に判断できる。
【0089】
さらに、記憶されたイベントの開始時間に基づいて、時間帯ごとのイベントの発生回数、および所定期間におけるイベントの発生回数の少なくともいずれかの可視化統計グラフを作成する。これにより、イベントの発生回数の、時間、日、曜日、週、月、年などごとの傾向から、業務効率の改善の要否および改善箇所を視覚的に容易に判断できる。
【0090】
さらに、イベントが開始された施設の領域の情報を記憶するごとに、施設の領域ごとのイベントの発生回数の統計グラフを作成する。これにより、施設のフロアごとの繁閑から、業務効率の改善の要否および改善箇所を視覚的に容易かつ迅速に判断できる。
【0091】
さらに、記憶されたイベントの情報から、指定された一定期間に発生したイベントの発生回数の可視化統計グラフを作成する。これにより、指定した期間におけるイベントの発生回数を確認できるため、業務効率の改善の要否および改善箇所を視覚的に容易に判断できる。
【0092】
本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0093】
たとえば、ケア実行者により実行されたイベントについての可視化統計グラフは、ケア対象者、ケア実行者、およびイベントの少なくともいずれかごとに可視化するための統計グラフであれば、実施形態において記載されたものに限定されない。すなわち、たとえば、特定のケア対象者に対する特定のケア実行者による特定のイベントごとに可視化する統計グラフであってもよい。
【0094】
また、実施形態においてプログラムにより実行される処理の一部または全部を回路などのハードウェアに置き換えて実行され得る。
【0095】
本出願は、2018年1月11日に出願された日本特許出願(特願2018-002446号)に基づいており、その開示内容は、参照され、全体として、組み入れられている。
【符号の説明】
【0096】
1 ケアイベント可視化システム、
10 検出部、
11 制御部、
12 通信部、
13 カメラ、
14 ケアコール部、
20 管理サーバー、
21 制御部、
22 通信部、
23 記憶部、
30 固定端末、
40 携帯端末、
41 制御部、
42 無線通信部、
43 表示部、
44 入力部、
45 音声入出力部、
46 位置検知部、
50 ネットワーク、
51 アクセスポイント。