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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】検体採取装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/48 20060101AFI20231031BHJP
   G01N 1/04 20060101ALI20231031BHJP
   G01N 1/10 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G01N33/48 F
G01N33/48 G
G01N1/04 G
G01N1/04 H
G01N1/10 V
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020000692
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021110562
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】笹垣 桂也
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋式
【審査官】海野 佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-036242(JP,A)
【文献】特開2000-271043(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0223842(US,A1)
【文献】米国特許第04309782(US,A)
【文献】特開2011-027733(JP,A)
【文献】特開2019-148444(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水洗大便器に排泄された検体を採取する検体採取装置であって、
前記水洗大便器のリム部の上面に載置され、前記リム部に支持される支持部と、
前記支持部に連結され、前記水洗大便器のボウル部に配置されて前記検体を採取する採取部と
を備え、
前記採取部は、
前記ボウル部の前端側から後方に向けて形成される前方壁部と、
前記前方壁部の後端から前記ボウル部の後端に向けて延設され、前記ボウル部の後端となるにつれて高さが高くなる後方壁部と
を備える検体採取装置。
【請求項2】
前記後方壁部は、
使用者の局部に向けて洗浄水を吐水可能な衛生洗浄装置の局部洗浄ノズルが進退可能な逃げ部
を備える請求項1に記載の検体採取装置。
【請求項3】
前記採取部は、尿を採取する尿採取部、および大便を採取する大便採取部の少なくとも一方を備える請求項1または2に記載の検体採取装置。
【請求項4】
前記採取部は、
前記尿採取部と、
前記大便採取部と、
前記尿採取部と前記大便採取部との間に設けられた隔離壁部と
を備える請求項3に記載の検体採取装置。
【請求項5】
前記後方壁部は、
衛生洗浄装置の局部洗浄ノズルが進退可能な逃げ部と、
大便を採取する大便採取部と
を備え、
前記大便採取部は、前記逃げ部よりも下方に設けられる
請求項1~4のいずれか一つに記載の検体採取装置。
【請求項6】
前記採取部は、
前記前方壁部に対し、前記後方壁部を脱着させる連結部
を備える請求項1~5のいずれか一つに記載の検体採取装置。
【請求項7】
前記後方壁部は、前記水洗大便器の便座の開口よりも外側まで延設される
請求項1~6のいずれか一つに記載の検体採取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、検体採取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水洗大便器に設置され、排泄された尿を採取する検体採取装置が知られている(例えば、特許文献1、および特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平4-90962号公報
【文献】特許第5601051号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載された検体採取装置では、尿を収容する容器本体の後方壁部が水洗大便器のリム部の上面付近まで延設されている。そのため、便座に着座した使用者の臀部に体重による落ち込みが発生し、後方壁部と臀部とが接触するおそれがある。
【0005】
また、特許文献2に記載された検体採取装置では、尿を溜める貯留部が検体採取装置の前方に設けられ、貯留部の外周サイズが便座の開口サイズより大きく、かつ、検体採取装置に後方壁部が設けられていない。これにより、便座に着座した使用者の臀部が検体採取装置に接触することがない。しかし、特許文献2に記載された検体採取装置は、例えば、ボウル部に向けて除菌水が吐出される機能部を有する水洗大便器に取り付けられた場合に、ボウル部内全面に向けて噴霧される次亜塩素酸ナトリウムなどの除菌水が検体採取装置に混入し、除菌水の除菌効果などによって、菌体を含む検体に影響が及び検体の信頼性が低下するおそれがある。
【0006】
実施形態の一態様は、使用者の臀部が接触することを抑制し、かつ検体の信頼性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る検体採取装置は、水洗大便器に排泄された検体を採取する。検体採取装置は、前記水洗大便器のリム部の上面に載置され、前記リム部に支持される支持部と、前記支持部に連結され、前記水洗大便器のボウル部に配置されて前記検体を採取する採取部とを備える。前記採取部は、前記ボウル部の前端側から後方に向けて形成される前方壁部と、前記前方壁部の後端から前記ボウル部の後端に向けて延設され、前記ボウル部の後端となるにつれて高さが高くなる後方壁部とを備える。
【0008】
これにより、検体採取装置は、衛生洗浄装置から除菌水が吐出された場合であっても、除菌水が検体採取装置内に混入することを防止することができる。そのため、検体採取装置は、検体の信頼性を向上させることができる。また、検体採取装置は、便座に着座した使用者の臀部が検体採取装置に接触することを抑制することができる。従って、検体採取装置は、便座に着座した使用者に違和感を与えることを抑制することができる。
【0009】
また、前記後方壁部は、使用者の局部に向けて洗浄水を吐水可能な衛生洗浄装置の局部洗浄ノズルが進退可能な逃げ部を備えることを特徴とする。
【0010】
衛生洗浄装置は、洗浄機能の使用中以外の未使用時であっても、ボウル部の衛生性を向上させるために局部洗浄ノズルが進退する場合があり、検体採取装置は、その影響を受けることを抑制することができる。検体採取装置は、局部洗浄ノズルがボウル部内に進出した場合に、逃げ部によって局部洗浄ノズルと検体採取装置とが接触することを防止することができる。そのため、検体採取装置は、局部洗浄ノズル、および検体採取装置が劣化することを抑制することができる。
【0011】
また、前記採取部は、尿を採取する尿採取部、および大便を採取する大便採取部の少なくとも一方を備えることを特徴とする。
【0012】
これにより、検体採取装置は、尿、および大便の少なくとも一方を採取することができる。
【0013】
また、前記採取部は、前記尿採取部と、前記大便採取部と、前記尿採取部と前記大便採取部との間に設けられた隔離壁部とを備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、検体採取装置は、隔離壁部によって尿と大便とが混ざることを抑制することができる。そのため、検体採取装置は、検体の信頼性を向上させることができる。また、検体採取装置は、尿、および大便を同時に採取することができる。そのため、複数の種類の検体採取装置を用意する必要が無く、検体採取装置の管理が容易となる。また、使用者は、検体の種類にかかわらず、同じ検体採取装置を用いて検体を採取することができる。従って、検体採取装置は、検体採取時の使用性を向上させることができる。
【0015】
また、前記後方壁部は、衛生洗浄装置の局部洗浄ノズルが進退可能な逃げ部と、大便を採取する大便採集部とを備え、前記大便採取部は、前記逃げ部よりも下方に設けられることを特徴とする。
【0016】
これにより、検体採取装置は、大便の採取能力を向上させることができる。
【0017】
また、前記採取部は、前記前方壁部に対し、前記後方壁部を脱着させる連結部を備えることを特徴とする。
【0018】
これにより、検体採取装置は、例えば、前方壁部のみを設けた検体採取装置に、後方壁部を取り付けて大便を採取することが可能となる。また、検体採取装置は、前方壁部と後方壁部とを分離して管理することができる。そのため、使用後の検体採取装置を滅菌する場合に、小型の滅菌装置を用いることができる。例えば、前方壁部のみを設けた検体採取装置を滅菌する装置を用いて、後方壁部を滅菌することができる。従って、滅菌装置を新たに購入せずに、後方壁部を有する検体採取装置を滅菌することができ、コストを削減することができる。
【0019】
また、前記後方壁部は、前記水洗大便器の便座の開口よりも外側まで延設されることを特徴とする。
【0020】
これにより、検体採取装置は、便座に着座した使用者の臀部が検体採取装置に接触することを抑制することができる。検体採取装置の後方壁部が便座の開口より大きいため、臀部が自重で垂れ下がっても、検体採取装置と使用者の臀部の接触を確実に防止することができる。そのため、検体採取装置は、便座に着座した使用者に違和感を与えることを抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
実施形態の一態様によれば、使用者の臀部が接触することを抑制し、かつ検体の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、実施形態に係る検体採取装置を水洗大便器に設置した状態を示す模式的な斜視図である。
図2図2は、実施形態に係る検体採取装置の平面図である。
図3図3は、図1のIII-III断面の一部を示す概略断面図である。
図4図4は、便座の開口と、後方受け部との関係を示す斜視図である。
図5図5は、変形例に係る後方受け部を示す模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本開示に係る検体採取装置を実施するための形態(以下、「実施形態」と記載する)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本開示に係る検体採取装置が限定されるものではない。
【0024】
実施形態に係る検体採取装置1について、図1図3を参照し説明する。図1は、実施形態に係る検体採取装置1を水洗大便器100に設置した状態を示す模式的な斜視図である。また、図2は、実施形態に係る検体採取装置1の平面図である。また、図3は、図1のIII-III断面の一部を示す概略断面図である。
【0025】
なお、本明細書においては、鉛直上向き方向を「上方」、鉛直下向き方向を「下方」と定義する。また、水洗大便器100に着座した使用者から見た前方、後方、左方、右方をそれぞれ「前方」、「後方」、「左方」、「右方」と定義する。
【0026】
水洗大便器100は、排泄された汚物を受けるボウル部101と、ボウル部101の上縁に設けられたリム部102とを備える。また、水洗大便器100の後方寄りに、衛生洗浄装置120が設けられる。なお、衛生洗浄装置120は、水洗大便器100に後付けで組み合わせても、水洗大便器100と一体的に形成してもよい。
【0027】
衛生洗浄装置120は、局部洗浄ノズル121(図3参照)を備える。局部洗浄ノズル121は、使用者の操作また事前に設定されたタイミングに応じて進退し、使用者の局部に向けて洗浄水を吐水する。また、衛生洗浄装置120には、ボウル部101の表面に向けて除菌水がミスト状に吐出される除菌水吐水口(不図示)が形成される。除菌水吐水口は、ボウル部101に向けて斜め下方に除菌水が吐出される。なお、衛生洗浄装置120は、除菌水の代わりに洗浄水や薬剤入りの洗浄水などをミスト状に吐出してもよい。
【0028】
検体採取装置1は、水洗大便器100に取り付けられ、使用者が水洗大便器100に排泄した検体を採取する。検体には、尿、および大便のうち少なくとも一方が含まれる。すなわち、検体採取装置1は、尿、および大便の少なくとも一方を採取する。検体採取装置1は、支持部2と、採取部3とを備える。
【0029】
支持部2は、水洗大便器100のリム部102の上面に載置され、リム部102に支持される。すなわち、検体採取装置1は、リム部102に支持される。支持部2は、板状であり、水洗大便器100の便座103が降ろされた場合には、リム部102と便座103とによって挟持される。なお、支持部2とリム部102の支持方法は、挟持に限定されず、支持部2またはリム部102の支持に接着剤や磁石などが使用されてもよい。
【0030】
支持部2は、リム部102の上面に沿ってU字状に形成される。具体的には、支持部2は、リム部102の左右方向の一方から、リム部102の上面に沿ってリム部102の前端に向けて延設される。そして、支持部2は、リム部102の前端から、リム部102の上面に沿ってリム部102の左右方向の他方まで延設される。なお、支持部2は、U字形状に全周に形成されるものに限定されず、リム部102へ十分支持できる範囲に形成されてもよい。
【0031】
支持部2には、リム部102よりも外側に突出する突出部2aが形成される。使用者などは、突出部2aをつかむことで検体採取装置1を水洗大便器100に脱着することができ、使用性がよい。突出部2aは、リム部102よりも外側に突出してればよく、前方または左右方向などに任意に形成することができる。特に左右方向に突出部2aを形成した場合は、使用者が突出部2aに触れにくく、検体採取装置1が使用者との接触によりずれるのを防止することができ、安定して検体を採取することができる。また、着座した使用者から突出部2aが見えないため、使用者への違和感を減らし、安心して排泄することができる。
【0032】
採取部3は、支持部2に連結され、水洗大便器100のボウル部101に配置される。採取部3は、ボウル部101のリム部102の内壁に沿ってボウル状に形成される。採取部3は、排泄された検体の一部を採取する。採取部3は、前方受け部10(前方壁部)と、後方受け部20(後方壁部)と、隔離壁部30とを備える。
【0033】
前方受け部10は、支持部2に連結される。前方受け部10は、ボウル部101の前端側から後方に向けて形成される。前方受け部10は、支持部2の内側の端からボウル部101に向けて窪むように形成される。前方受け部10は、採取部3の前方と、採取部3の側方の一部とを包囲するように形成される。
【0034】
前方受け部10には、尿採取部11が形成される。具体的には、尿採取部11は、前方受け部10の底部に形成される。尿採取部11は、前方受け部10の底部よりも下方に窪むように形成される。前方受け部10に排泄された尿は、尿採取部11に流入する。尿採取部11には、尿排出口11aが形成される。尿排出口11aは、所定量以上の尿が尿採取部11に貯留された場合に、ボウル部101に尿を排出する。そのため、検査に必要な所定量の尿を採取することができ、使用後に余分な尿を便器に排出する手間などを省略することができる。
【0035】
後方受け部20は、前方受け部10の後端からボウル部101の後端に向けて延設され、ボウル部101の後端となるにつれて高さが高くなる。後方受け部20は、採取部3の後方と、採取部3の側方の一部とを包囲するように形成される。言い換えれば、後方受け部20は、前方受け部10の後端からボウル部101の後端に向けて傾斜するよう設けられている。
【0036】
後方受け部20は、図4に示すように、便座103の開口103aよりも外側まで延設される。図4は、便座103の開口103aと、後方受け部20との関係を示す斜視図である。なお、図4では、便座103が降ろされた場合の便座103の形状を示す線を二点鎖線で示す。後方受け部20の周縁は、便座103の開口103aよりも外側に位置する。また、後方受け部20の後端は、衛生洗浄装置120の前端より前方に位置する。具体的には、後方受け部20の周縁は、衛生洗浄装置120の除菌水吐出口よりも前方である。また、後方受け部20の周縁の高さは、リム部102の上面と略同一の高さである。
【0037】
図1図3に戻り、後方受け部20には、逃げ部21と、大便採取部22とが形成される。逃げ部21は、左右方向の中央付近に形成される。逃げ部21は、衛生洗浄装置120の局部洗浄ノズル121が進退可能となるように形成される。具体的には、逃げ部21は、局部洗浄ノズル121の進退方向に沿って形成され、下方に窪むように形成される。
【0038】
大便採取部22は、逃げ部21よりも下方に形成される。具体的には、大便採取部22は、後方受け部20の底部に形成される。大便採取部22は、後方受け部20の底部よりも下方に窪むように形成される。後方受け部20は、排泄された便が大便採取部22に向けて流れるように形成される。
【0039】
隔離壁部30は、尿採取部11と大便採取部22との間に設けられる。隔離壁部30は、例えば、前方受け部10の後端から上方に向けて突出する。隔離壁部30は、前方受け部10に排泄された尿と、後方受け部20に排泄された大便とが混ざることを防止する。隔離壁部30には、切欠部30a(図1参照)が形成される。切欠部30aは、便座103に着座した使用者の臀部が接触しないように形成される。すなわち、隔離壁部30は、U字状に形成される。なお、隔離壁部30は、後方受け部20に設けられてもよい。
【0040】
次に、検体採取装置1の作用、および効果について説明する。
【0041】
検体採取装置1は、使用者などによって支持部2が水洗大便器100のリム部102に載置され、水洗大便器100に取り付けられる。検体採取装置1が水洗大便器100に取り付けられた状態で、使用者が検体を採取する際には、衛生洗浄装置120から除菌水が吐出されることがある。除菌水が検体採取装置1に混入すると、検体に除菌水が混じり、検体の信頼性が低下するおそれがある。
【0042】
実施形態に係る検体採取装置1では、採取部3の後方受け部20がボウル部101の後端となるにつれて高さが高くなるように傾斜して形成されている。これにより、除菌水が吐出された場合であっても、除菌水が検体採取装置1内に混入することを防止することができる。そのため、検体採取装置1は、検体の信頼性を向上させることができる。
【0043】
また、検体採取装置1は、後方受け部20がボウル部101の後端に向けて延設されている。具体的には、後方受け部20は、便座103の開口103aよりも外側まで延設される。そのため、便座103に着座した使用者の臀部が自重で垂れ下がっても、検体採取装置1に接触することを確実の防止することができる。従って、検体採取装置1は、便座103に着座した使用者に違和感を与えることを抑制することができる。
【0044】
使用者が検体採取装置1に尿を排泄した場合には、排泄された尿は前方受け部10によって回収され、前方受け部10に形成された尿採取部11に流入する。尿採取部11に流入した尿は、貯留量が所定量以上になると、尿排出口11aからボウル部101に排出される。
【0045】
また、使用者が検体採取装置1に大便を排泄した場合には、排泄された大便は後方受け部20によって回収され、後方受け部20に形成された大便採取部22に流入する。
【0046】
検体採取装置1は、尿採取部11と大便採取部22との間に設けられた隔離壁部30を備える。そのため、前方受け部10から後方受け部20に尿が流入することが抑制される。また、後方受け部20から前方受け部10に大便が流入することが抑制される。このように、検体採取装置1は、隔離壁部30によって尿と大便とが混ざることを抑制することができる。従って、検体採取装置1は、検体の信頼性を向上させることができる。
【0047】
また、検体採取装置1は、尿、および大便を同時に採取することができる。すなわち、検体採取装置1は、1つの装置によって尿、および大便を採取することができる。また、検体採取装置1は、1つの装置によって尿、および大便のいずれか一方を採取することができる。そのため、複数の種類の検体採取装置を用意する必要が無く、検体採取装置1の管理が容易となる。
【0048】
また、使用者は、検体の種類にかかわらず、同じ検体採取装置1を用いて検体を採取することができる。そのため、検体採取装置1は、検体採取時の使用性を向上させることができる。
【0049】
また、検体採取装置1は、後方受け部20に、衛生洗浄装置120の局部洗浄ノズル121が進退可能な逃げ部21を備える。
【0050】
衛生洗浄装置120は、洗浄機能の使用中以外の未使用時であっても、ボウル部101の衛生性を向上させるために局部洗浄ノズル121が進退する場合がある。検体採取装置1は、局部洗浄ノズル121がボウル部101内に進出した場合に、逃げ部21によって局部洗浄ノズル121と検体採取装置1とが接触することを防止することができる。そのため、局部洗浄ノズル121、および検体採取装置1が劣化することを抑制することができる。
【0051】
また、逃げ部21は、下方に向けて窪むように形成される。これにより、逃げ部21が使用者の臀部に接触することを防止することができる。従って、検体採取装置1は、使用者に違和感を与えることを抑制することができる。
【0052】
また、検体採取装置1では、大便採取部22が逃げ部21よりも下方に設けられる。局部洗浄ノズル121は、臀部の位置に合わせて進出するように設けられている。局部洗浄ノズル121に接触しないように設けられた逃げ部21よりも下方に大便採取部22が設けられることによって、排泄された大便は容易に大便採取部22に流入する。そのため、検体採取装置1は、大便の採取能力を向上させることができる。
【0053】
変形例に係る検体採取装置1は、前方受け部10と、後方受け部20とを別体として設けてもよい。変形例に係る検体採取装置1は、後方受け部20を前方受け部10に対し着脱させる連結部を備えてもよい。すなわち、変形例に係る検体採取装置1は、後方受け部20と前方受け部10とが脱着可能となるように設けられる。
【0054】
例えば、後方受け部20は、図5に示すように、前方受け部10に係合する爪部25を連結部として備える。図5は、変形例に係る後方受け部20を示す模式的な斜視図である。爪部25は、後方受け部20の前端に形成される。なお、前方受け部10、および後方受け部20を連結させる連結部は、上記爪部25に限られることはない。変形例に係る検体採取装置1は、磁石などによって、前方受け部10と後方受け部20と連結させてもよい。連結部は、前方受け部10に設けられてもよい。前方受け部10、および後方受け部20の材質としては、薬剤や高温水によって劣化を受けにくい金属、樹脂などの材料だけでなく、検体採取後に水洗大便器100へ排泄物と共に排出することのできる水溶性紙などを材料として採用することもできる。また、前方受け部10、および後方受け部20の両方またはいずれかをディスポーザブルとして、使用する場合に薬剤や高温水によって劣化を受ける材質も採用することができる。また、前方受け部10、および後方受け部20の両方を異なる材質で形成してもよい。
【0055】
これにより、変形例に係る検体採取装置1は、例えば、前方受け部10のみを設けた検体採取装置1に、後方受け部20を取り付けて大便を採取することが可能となる。また、変形例に係る検体採取装置1は、前方受け部10と後方受け部20とを分離して管理することができる。そのため、使用後の検体採取装置1を滅菌する場合に、小型の滅菌装置を用いることができる。例えば、前方受け部10のみを設けた検体採取装置1を滅菌する装置を用いて、後方受け部20を滅菌することができる。従って、滅菌装置を新たに購入せずに、後方受け部20を有する検体採取装置1を滅菌することができ、コストを削減することができる。
【0056】
また、変形例に係る検体採取装置1は、尿採取部11、および大便採取部22のうち一方を備えてもよい。また、変形例に係る検体採取装置1は、逃げ部21を上方に突出するように設けてもよい。また、変形例に係る検体採取装置1は、後方受け部20が支持部2に連結されてもよい。
【0057】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0058】
1 検体採取装置
2 支持部
3 採取部
10 前方受け部(前方壁部)
11 尿採取部
20 後方受け部(後方壁部)
21 逃げ部
22 大便採取部
30 隔離壁部
100 水洗大便器
101 ボウル部
102 リム部
103 便座
103a 開口
120 衛生洗浄装置
121 局部洗浄ノズル
図1
図2
図3
図4
図5