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  • 特許-二輪自動車用タイヤ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】二輪自動車用タイヤ
(51)【国際特許分類】
   B60C 11/00 20060101AFI20231031BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20231031BHJP
   C08K 3/04 20060101ALI20231031BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20231031BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B60C11/00 C
C08L9/00
C08K3/04
C08K3/36
B60C1/00 A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020002542
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2020132139
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2019022486
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】冨田 皓太
【審査官】松岡 美和
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-188007(JP,A)
【文献】国際公開第2018/203557(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/204236(WO,A1)
【文献】特開2016-112998(JP,A)
【文献】特開2014-234448(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 1/00
B60C 11/00
C08L 9/00
C08K 3/04
C08K 3/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ幅方向に少なくとも3分割されたトレッドゴムが配されたトレッド部を有する二輪自動車用タイヤであって、
前記トレッドゴムは、タイヤ幅方向の中央部に配されたセンターゴムと、前記センターゴムのタイヤ幅方向の両側に配されたショルダーゴムとを備え、
前記センターゴムは、スチレンブタジエンゴムを50質量%以上含むゴム成分と、シリカと、カーボンブラックと、レジンとを含有し、かつ前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が90質量部以上、前記カーボンブラックの含有量が1~15質量部、前記レジンの含有量が25質量部以上のセンターゴム組成物から得られ、
前記ショルダーゴムは、スチレンブタジエンゴムを70質量%以上含むゴム成分と、シリカと、カーボンブラックと、レジンとを含有し、かつ前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が20質量部以上90質量部未満、前記カーボンブラックの含有量が15質量部超40質量部以下、前記レジンの含有量が1~40質量部のショルダーゴム用ゴム組成物から得られる二輪自動車用タイヤ。
【請求項2】
センターゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が10~50質量%であり、
ショルダーゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が5~30質量%である請求項1記載の二輪自動車用タイヤ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪自動車用タイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
二輪自動車用タイヤでは、出力の向上に伴い、高いドライグリップ性能とウェットブレーキ性能がタイヤに求められる一方で、耐摩耗性の向上も合わせて要求されている。しかしながら、一般に、これらの3つの性能は背反性能であるため、同時に改善することは難しい。
【0003】
例えば、特許文献1には、ショルダーゴムに所定のシリカを用いた二輪車用タイヤが開示されているが、ドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性等の性能をバランスよく改善することについて更なる改善が望まれている。また、氷上性能の付与、タイヤの色味の統一等も要求されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-189808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決し、ドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性、氷上性能、色味の総合性能に優れた二輪自動車用タイヤを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、タイヤ幅方向に少なくとも3分割されたトレッドゴムが配されたトレッド部を有する二輪自動車用タイヤであって、前記トレッドゴムは、タイヤ幅方向の中央部に配されたセンターゴムと、前記センターゴムのタイヤ幅方向の両側に配されたショルダーゴムとを備え、前記センターゴムは、スチレンブタジエンゴムを50質量%以上含むゴム成分と、シリカと、カーボンブラックと、レジンとを含有し、かつ前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が90質量部以上、前記カーボンブラックの含有量が1~15質量部、前記レジンの含有量が25質量部以上のセンターゴム組成物から得られ、前記ショルダーゴムは、スチレンブタジエンゴムを70質量%以上含むゴム成分と、シリカと、カーボンブラックと、レジンとを含有し、かつ前記ゴム成分100質量部に対する前記シリカの含有量が20質量部以上90質量部未満、前記カーボンブラックの含有量が15質量部超40質量部以下、前記レジンの含有量が1~40質量部のショルダーゴム用ゴム組成物から得られる二輪自動車用タイヤに関する。
【0007】
センターゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が10~50質量%であり、ショルダーゴム組成物は、ゴム成分100質量%中のブタジエンゴムの含有量が5~30質量%であることが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タイヤ幅方向に少なくとも3分割されたトレッドゴムが配されたトレッド部を有する二輪自動車用タイヤであって、前記トレッドゴムは、タイヤ幅方向の中央部に配されたセンターゴムと、前記センターゴムのタイヤ幅方向の両側に配されたショルダーゴムとを備え、前記センターゴム、前記ショルダーゴムが所定のセンターゴム組成物、ショルダーゴム用ゴム組成物から得られるものであるので、ドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性、氷上性能、色味の総合性能が顕著に改善される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る二輪自動車用タイヤのタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の二輪自動車用タイヤは、タイヤ幅方向に少なくとも3分割されたトレッドゴムが配されたトレッド部を有し、前記トレッドゴムは、タイヤ幅方向の中央部に配されたセンターゴムと、前記センターゴムのタイヤ幅方向の両側に配されたショルダーゴムとを備えるもので、かつ前記センターゴム及びショルダーゴムは、所定のセンターゴム組成物、ショルダーゴム用ゴム組成物を用いたものである。
【0011】
先ず、センターゴムは常に接地をしているため、耐摩耗性及びウェットブレーキ性能を重視した配合とし、ショルダーゴムは車両を傾けて走行をする際に使用されることが多いため、ドライグリップ性能を重視した配合を用いることで、ドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性の3つの性能の両立を可能とした。更に、センターゴムの配合を調整(ブタジエンゴム量の調整等)することで、低温可塑性が高まり、氷上性能も改善させた。
【0012】
加えて、耐摩耗性向上のためにセンターゴムのフィラー中のカーボンブラック比率を高める手法が考えられるが、ウェットブレーキ性能の低下が懸念されるため、センターゴムとしてシリカ配合を採用した。ショルダーゴムはドライグリップ性能を考慮して、カーボンブラック含有量を増加する手法も考えられるが、センターゴムとの色味が異なるようになるため、シリカ配合を採用しつつ、ポリマー比率を変更することで、上述の各種要求性能を満足させた。従って、本発明では、ドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性、氷上性能、色味の総合性能に優れた二輪自動車用タイヤを提供できる。
【0013】
以下、本発明の一実施形態として、二輪自動車用タイヤの一例を図面に基づき説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る二輪自動車用タイヤのタイヤ回転軸を含むタイヤ子午線断面図である。
【0014】
二輪自動車用タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3を経てビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6のタイヤ半径方向外側かつトレッド部2の内部に配されたベルト層7とを備える。
【0015】
上記断面において、トレッド部2の路面と接地するトレッド面2Aは、タイヤ半径方向外側に凸で円弧状に湾曲してのびている。また、トレッド面2Aのタイヤ軸方向の外端であるトレッド縁2eは、最もタイヤ軸方向外側に位置している。
【0016】
トレッド部2には、ベルト層7の半径方向外側にトレッドゴム9が配される。該トレッドゴム9は、本実施形態では、ベルト層7の外面からトレッド面2Aまでを構成している。また、本実施形態のトレッドゴム9では、タイヤ幅方向に配された複数の分割トレッド部材により構成されたトレッド部が示され、ここでは、配合が異なる2種類のゴム組成物により作製された各分割トレッド部材で構成されている。
【0017】
具体的にはタイヤ赤道Cを中心とするセンターゴム9Aと、センターゴム9Aに隣接し、トレッド縁2eまで延びる一対のショルダーゴム9Bとから構成される。すなわち、タイヤ赤道C付近からタイヤ幅方向両側に向かって、センターゴム9A、ショルダーゴム9Bの2種類のゴムが並んで配されている。なお、センターゴム9Aとショルダーゴム9Bとは、トレッド面2Aに立てた法線12によって区分けされているが、例えば、トレッド面2Aからベルト層7に向かって、タイヤ軸方向外側又は内側に傾斜する境界線で区分されたものでもよい。
【0018】
本実施形態では、トレッドゴム9が2種類の分割トレッド部材(センターゴム9A及びショルダーゴム9B)によって構成される場合について説明したが、分割トレッド部材の種類の数は特に限定されず、例えば3種類であってもよいし、5種類であってもよい。
そして、センターゴム、ショルダーゴムは、以下に説明するゴム組成物が用いられる。
【0019】
〔センターゴム〕
センターゴムを構成するセンターゴム組成物は、ゴム成分としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を含む。
【0020】
センターゴム組成物では、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性等の観点から、50質量%以上、好ましくは55質量%以上、より好ましくは65質量%以上である。上記含有量は、氷上性能の観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、より好ましくは75質量%以下である。
【0021】
SBRのスチレン含有量は、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上である。下限以上にすることで、良好なドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。また、該スチレン含有量の上限は、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。上限以下にすることで、良好な低燃費性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、SBRのスチレン含有量は、H-NMR測定により算出される。
【0022】
SBRのビニル含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上である。上記ビニル含有量は、好ましくは65質量%以下、より好ましくは60質量%以下である。上記範囲内にすることで、良好なドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。
なお、ビニル含有量(1,2-結合ブタジエン単位量)は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0023】
SBRの重量平均分子量(Mw)は、好ましくは40万以上、より好ましくは70万以上、更に好ましくは85万以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性等が得られる傾向がある。該Mwは、好ましくは180万以下、より好ましくは160万以下、更に好ましくは140万以下である。上限以下にすることで、良好な加工性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)、は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC-8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ-M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
【0024】
SBRとしては特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S-SBR)等を使用できる。SBRは、非変性SBR、変性SBRのいずれでもよい。
【0025】
変性SBRとしては、シリカ等の充填剤と相互作用する官能基を有するSBRであればよく、例えば、SBRの少なくとも一方の末端を、上記官能基を有する化合物(変性剤)で変性された末端変性SBR(末端に上記官能基を有する末端変性SBR)や、主鎖に上記官能基を有する主鎖変性SBRや、主鎖及び末端に上記官能基を有する主鎖末端変性SBR(例えば、主鎖に上記官能基を有し、少なくとも一方の末端を上記変性剤で変性された主鎖末端変性SBR)や、分子中に2個以上のエポキシ基を有する多官能化合物により変性(カップリング)され、水酸基やエポキシ基が導入された末端変性SBR等が挙げられる。
【0026】
上記官能基としては、例えば、アミノ基、アミド基、シリル基、アルコキシシリル基、イソシアネート基、イミノ基、イミダゾール基、ウレア基、エーテル基、カルボニル基、オキシカルボニル基、メルカプト基、スルフィド基、ジスルフィド基、スルホニル基、スルフィニル基、チオカルボニル基、アンモニウム基、イミド基、ヒドラゾ基、アゾ基、ジアゾ基、カルボキシル基、ニトリル基、ピリジル基、アルコキシ基、水酸基、オキシ基、エポキシ基等が挙げられる。なお、これらの官能基は、置換基を有していてもよい。なかでも、アミノ基(好ましくはアミノ基が有する水素原子が炭素数1~6のアルキル基に置換されたアミノ基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシ基)、アルコキシシリル基(好ましくは炭素数1~6のアルコキシシリル基)が好ましい。
【0027】
変性SBRとして、特に下記式で表される化合物(変性剤)により変性されたSBRが好適である。
【化1】
(式中、R、R及びRは、同一又は異なって、アルキル基、アルコキシ基、シリルオキシ基、アセタール基、カルボキシル基(-COOH)、メルカプト基(-SH)又はこれらの誘導体を表す。R及びRは、同一又は異なって、水素原子又はアルキル基を表す。R及びRは結合して窒素原子と共に環構造を形成してもよい。nは整数を表す。)
【0028】
上記式で表される化合物(変性剤)により変性された変性SBRとしては、なかでも、溶液重合のスチレンブタジエンゴム(S-SBR)の重合末端(活性末端)を上記式で表される化合物により変性されたSBR(特開2010-111753号公報に記載の変性SBR等)が好適に用いられる。
【0029】
、R及びRとしてはアルコキシ基が好適である(好ましくは炭素数1~8、より好ましくは炭素数1~4のアルコキシ基)。R及びRとしてはアルキル基(好ましくは炭素数1~3のアルキル基)が好適である。nは、好ましくは1~5、より好ましくは2~4、更に好ましくは3である。また、R及びRが結合して窒素原子と共に環構造を形成する場合、4~8員環であることが好ましい。なお、アルコキシ基には、シクロアルコキシ基(シクロヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基、ベンジルオキシ基等)も含まれる。
【0030】
上記変性剤の具体例としては、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジエチルアミノエチルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。なかでも、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0031】
変性SBRとしては、以下の化合物(変性剤)により変性された変性SBRも好適に使用できる。変性剤としては、例えば、エチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;ジグリシジル化ビスフェノールA等の2個以上のフェノール基を有する芳香族化合物のポリグリシジルエーテル;1,4-ジグリシジルベンゼン、1,3,5-トリグリシジルベンゼン、ポリエポキシ化液状ポリブタジエン等のポリエポキシ化合物;4,4’-ジグリシジル-ジフェニルメチルアミン、4,4’-ジグリシジル-ジベンジルメチルアミン等のエポキシ基含有3級アミン;ジグリシジルアニリン、N,N’-ジグリシジル-4-グリシジルオキシアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル-p-フェニレンジアミン、ジグリシジルアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン等のジグリシジルアミノ化合物;
【0032】
ビス-(1-メチルプロピル)カルバミン酸クロリド、4-モルホリンカルボニルクロリド、1-ピロリジンカルボニルクロリド、N,N-ジメチルカルバミド酸クロリド、N,N-ジエチルカルバミド酸クロリド等のアミノ基含有酸クロリド;1,3-ビス-(グリシジルオキシプロピル)-テトラメチルジシロキサン、(3-グリシジルオキシプロピル)-ペンタメチルジシロキサン等のエポキシ基含有シラン化合物;
【0033】
(トリメチルシリル)[3-(トリメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(トリブトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジメトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジエトキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジプロポキシシリル)プロピル]スルフィド、(トリメチルシリル)[3-(メチルジブトキシシリル)プロピル]スルフィド等のスルフィド基含有シラン化合物;
【0034】
エチレンイミン、プロピレンイミン等のN-置換アジリジン化合物;メチルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン;4-N,N-ジメチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジ-t-ブチルアミノベンゾフェノン、4-N,N-ジフェニルアミノベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジフェニルアミノ)ベンゾフェノン、N,N,N’,N’-ビス-(テトラエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有する(チオ)ベンゾフェノン化合物;4-N,N-ジメチルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジフェニルアミノベンズアルデヒド、4-N,N-ジビニルアミノベンズアルデヒド等のアミノ基及び/又は置換アミノ基を有するベンズアルデヒド化合物;N-メチル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピロリドン、N-フェニル-2-ピロリドン、N-t-ブチル-2-ピロリドン、N-メチル-5-メチル-2-ピロリドン等のN-置換ピロリドン;N-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-フェニル-2-ピペリドン等のN-置換ピペリドン;N-メチル-ε-カプロラクタム、N-フェニル-ε-カプロラクタム、N-メチル-ω-ラウリロラクタム、N-ビニル-ω-ラウリロラクタム、N-メチル-β-プロピオラクタム、N-フェニル-β-プロピオラクタム等のN-置換ラクタム類;の他、
【0035】
N,N-ビス-(2,3-エポキシプロポキシ)-アニリン、4,4-メチレン-ビス-(N,N-グリシジルアニリン)、トリス-(2,3-エポキシプロピル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリオン類、N,N-ジエチルアセトアミド、N-メチルマレイミド、N,N-ジエチル尿素、1,3-ジメチルエチレン尿素、1,3-ジビニルエチレン尿素、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、1-メチル-3-エチル-2-イミダゾリジノン、4-N,N-ジメチルアミノアセトフェン、4-N,N-ジエチルアミノアセトフェノン、1,3-ビス(ジフェニルアミノ)-2-プロパノン、1,7-ビス(メチルエチルアミノ)-4-ヘプタノン等を挙げることができる。なかでも、アルコキシシランにより変性された変性SBRが好ましい。
なお、上記化合物(変性剤)による変性は公知の方法で実施可能である。
【0036】
SBRとしては、例えば、住友化学(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)、Dow Chemical等により製造・販売されているSBRを使用できる。
【0037】
センターゴム組成物において、SBR以外に使用可能なゴム成分としては、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合ゴム(SIBR)等のジエン系ゴムが挙げられる。イソプレン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、改質NR、変性NR、変性IR等が挙げられる。NRとしては、例えば、SIR20、RSS♯3、TSR20等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。IRとしては、特に限定されず、例えば、IR2200等、タイヤ工業において一般的なものを使用できる。改質NRとしては、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度天然ゴム(UPNR)等、変性NRとしては、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素添加天然ゴム(HNR)、グラフト化天然ゴム等、変性IRとしては、エポキシ化イソプレンゴム、水素添加イソプレンゴム、グラフト化イソプレンゴム等が挙げられる。なかでも、耐摩耗性、氷上性能等の観点から、BRが好ましい。なお、SBR等のゴム成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
センターゴム組成物では、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、氷上性能等が得られる傾向がある。該含有量の上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは35量%以下である。上限以下にすることで、SBR量が確保され、良好なドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。
【0039】
BRとしては特に限定されず、高シス含量のBR、シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。BRは、非変性BR、変性BRのいずれでもよく、変性BRとしては、前述の官能基が導入された変性BRが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、耐摩耗性が向上するという理由から、BRのシス含量は90質量%以上(好ましくは95質量%以上)であることが好適である。なお、シス含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定できる。
【0040】
BRとしては、例えば、宇部興産(株)、JSR(株)、旭化成(株)、日本ゼオン(株)等の製品を使用できる。
【0041】
センターゴム組成物に用いるシリカとしては、例えば、乾式法シリカ(無水シリカ)、湿式法シリカ(含水シリカ)などが挙げられる。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。
【0042】
センターゴム組成物では、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、90質量部以上、好ましくは92質量部以上、より好ましくは95質量部以上である。下限以上にすることで、良好なウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。該含有量の上限は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは130質量部以下、更に好ましくは110質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
【0043】
シリカの窒素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは80m/g以上、より好ましくは120m/g以上、更に好ましくは150m/g以上である。下限以上にすることで、良好なドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。また、シリカのNSAは、好ましくは250m/g以下、より好ましくは200m/g以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
なお、シリカのNSAは、ASTM D3037-93に準じてBET法で測定される値である。
【0044】
シリカとしては、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
【0045】
センターゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
シランカップリング剤としては、特に限定されず、例えば、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)テトラスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)トリスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)トリスルフィド、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリエトキシシリルブチル)ジスルフィド、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(2-トリメトキシシリルエチル)ジスルフィド、ビス(4-トリメトキシシリルブチル)ジスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリルエチル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルメタクリレートモノスルフィド、などのスルフィド系、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、Momentive社製のNXT、NXT-Zなどのメルカプト系、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシランなどのビニル系、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ系、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、などのグリシドキシ系、3-ニトロプロピルトリメトキシシラン、3-ニトロプロピルトリエトキシシランなどのニトロ系、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシランなどのクロロ系などがあげられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られるという理由から、スルフィド系、メルカプト系が好ましい。
【0046】
シランカップリング剤としては、例えば、デグッサ社、Momentive社、信越シリコーン(株)、東京化成工業(株)、アヅマックス(株)、東レ・ダウコーニング(株)等の製品を使用できる。
【0047】
シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、3質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましい。3質量部以上であると、添加による効果が得られる傾向がある。また、上記含有量は、25質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましい。25質量部以下であると、配合量に見合った効果が得られ、良好な混練時の加工性が得られる傾向がある。
【0048】
センターゴム組成物に使用できるカーボンブラックとしては、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAF等が挙げられるが、特に限定されない。市販品としては、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。カーボンブラックを配合することにより、補強性が得られ、耐摩耗性等が顕著に改善される。
【0049】
センターゴム組成物では、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは7質量部以上である。下限以上にすることで、カーボンブラックを配合した効果が充分に得られる傾向があると共に、紫外線等による劣化を防ぐことが出来る。また、該カーボンブラックの含有量は、15質量部以下、好ましくは13質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性や低燃費性が得られる傾向がある。
【0050】
センターゴム組成物では、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積(NSA)は、好ましくは50m/g以上、より好ましくは80m/g以上、更に好ましくは100m/g以上である。下限以上であると、良好な補強性が得られる傾向がある。カーボンブラックのNSAの上限は特に限定されないが、好ましくは200m/g以下、より好ましくは160m/g以下、更に好ましくは140m/g以下である。
なお、カーボンブラックのチッ素吸着比表面積は、JIS K6217のA法によって求められる。
【0051】
センターゴム組成物では、シリカ及びカーボンブラックの合計含有量100質量%中、シリカの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、更に好ましくは85質量%以上である。下限以上にすることで、良好なウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。該含有率の上限は、好ましくは95質量%以下、より好ましくは93質量%以下である。
【0052】
センターゴム組成物に使用可能なレジンとしては、液状レジン(常温(25℃)で液体状態の樹脂)、固体樹脂(常温(25℃)で固体状態の樹脂)等が挙げられる。
【0053】
センターゴム組成物では、レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、25質量部以上、好ましくは30質量部以上、より好ましくは35質量部以上である。下限以上にすることで、良好なウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。また、レジンの含有量の上限は特に限定されないが、工程(密着)の観点から、好ましくは80質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下、特に好ましくは40質量部以下である。なお、液状レジンの含有量も同様の範囲が好適である。
【0054】
センターゴム組成物では、レジンとしては、ウェットブレーキ性能等の観点から、液状レジンを用いることが好ましい。液状レジンは、通常、重量平均分子量が数百から数千の熱可塑性樹脂であり、天然ゴムや合成ゴムなどに配合することにより、粘着性を付与することができる樹脂である。液状レジンとしては、例えば、クマロンインデン樹脂、インデン樹脂、α-メチルスチレン樹脂、ビニルトルエン樹脂、ポリイソペンタン樹脂などの石油系又は石炭系樹脂の液状体などが挙げられる。その他、液状レジンとしては、クマロン樹脂、ナフテン樹脂、フェノール樹脂、テルペン樹脂、テルペン-フェノール樹脂、ロジン、ロジンエステル、水素添加ロジン誘導体、水素添加テルペン樹脂といった天然樹脂の液状体や、アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、脂肪族系石油樹脂、キシレン-ホルムアルデヒド系樹脂、フェノール変性C9系石油樹脂、カルボン酸変性C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン変性C9系石油樹脂等の合成樹脂の液状体も使用できる。なかでも、液状レジンとしては、液状クマロンインデン樹脂、液状インデン樹脂、液状α-メチルスチレン樹脂からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、液状クマロンインデン樹脂がより好ましい。
【0055】
クマロンインデン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成するモノマー成分として、クマロン及びインデンを含む樹脂であり、クマロン、インデン以外に骨格に含まれるモノマー成分としては、スチレン、α-メチルスチレン、メチルインデン、ビニルトルエンなどが挙げられる。インデン樹脂、α-メチルスチレン樹脂は、樹脂の骨格(主鎖)を構成する主なモノマー成分として、それぞれインデン、α-メチルスチレンを含む樹脂である。
【0056】
センターゴム組成物では、液状レジンの軟化点は、-20℃以上、好ましくは-5℃以上、より好ましくは0℃以上である。下限以上であると、良好なゴム成分との混練性が得られる傾向がある。また、上記液状レジンの軟化点は、好ましくは35℃以下、より好ましくは25℃以下、更に好ましくは18℃以下、特に好ましくは17℃以下である。上限以下にすることで、良好な転がり抵抗特性が得られる傾向がある。
なお、本明細書において、軟化点とは、JIS K 6220に規定される軟化点を環球式軟化点測定装置で測定し、球が降下した温度である。
【0057】
センターゴム組成物は、オイルを含むことが好ましい。
センターゴム組成物では、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。上限は、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。
なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
【0058】
オイルとしては、例えば、プロセスオイル、植物油脂、又はその混合物が挙げられる。プロセスオイルとしては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイルなどを用いることができる。植物油脂としては、ひまし油、綿実油、あまに油、なたね油、大豆油、パーム油、やし油、落花生油、ロジン、パインオイル、パインタール、トール油、コーン油、こめ油、べに花油、ごま油、オリーブ油、ひまわり油、パーム核油、椿油、ホホバ油、マカデミアナッツ油、桐油等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、効果がより良好に得られるという理由から、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイルが好ましい。
【0059】
オイルとしては、例えば、出光興産(株)、三共油化工業(株)、(株)ジャパンエナジー、オリソイ社、H&R社、豊国製油(株)、昭和シェル石油(株)、富士興産(株)等の製品を使用できる。
【0060】
センターゴム組成物では、レジン及びオイルの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。下限以上にすることで、良好なドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。該合計含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性が得られる傾向がある。なお、液状レジン及びオイルの合計含有量の同様の範囲が好適である。
【0061】
センターゴム組成物は、ワックスを含んでもよい。
ワックスの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~20質量部、より好ましくは1.5~10質量部である。
【0062】
ワックスとしては、特に限定されず、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油系ワックス;植物系ワックス、動物系ワックス等の天然系ワックス;エチレン、プロピレン等の重合物等の合成ワックスなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、石油系ワックスが好ましく、パラフィンワックスがより好ましい。
【0063】
なお、ワックスとしては、例えば、大内新興化学工業(株)、日本精蝋(株)、精工化学(株)等の製品を使用できる。
【0064】
センターゴム組成物は、老化防止剤を含むことが好ましい。
老化防止剤の含有量は、低燃費性、耐チップカット性能の総合性能の観点から、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1~10質量部、より好ましくは2~7質量部である。
【0065】
老化防止剤としては、例えば、フェニル-α-ナフチルアミン等のナフチルアミン系老化防止剤;オクチル化ジフェニルアミン、4,4′-ビス(α,α′-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン等のジフェニルアミン系老化防止剤;N-イソプロピル-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、N,N′-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン等のp-フェニレンジアミン系老化防止剤;2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物等のキノリン系老化防止剤;2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、スチレン化フェノール等のモノフェノール系老化防止剤;テトラキス-[メチレン-3-(3′,5′-ジ-t-ブチル-4′-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のビス、トリス、ポリフェノール系老化防止剤などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、p-フェニレンジアミン系老化防止剤、キノリン系老化防止剤が好ましく、N-(1,3-ジメチルブチル)-N′-フェニル-p-フェニレンジアミン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンの重合物がより好ましい。
【0066】
なお、老化防止剤としては、例えば、精工化学(株)、住友化学(株)、大内新興化学工業(株)、フレクシス社等の製品を使用できる。
【0067】
センターゴム組成物は、ステアリン酸を含むことが好ましい。ステアリン酸の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
【0068】
なお、ステアリン酸としては、従来公知のものを使用でき、例えば、日油(株)、NOF社、花王(株)、富士フイルム和光純薬(株)、千葉脂肪酸(株)等の製品を使用できる。
【0069】
センターゴム組成物は、酸化亜鉛を含むことが好ましい。酸化亜鉛の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部である。
【0070】
なお、酸化亜鉛としては、従来公知のものを使用でき、例えば、三井金属鉱業(株)、東邦亜鉛(株)、ハクスイテック(株)、正同化学工業(株)、堺化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0071】
センターゴム組成物は、硫黄を含むことが好ましい。
硫黄の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは1~5質量部、更に好ましく1~3質量部である。
【0072】
硫黄としては、ゴム工業において一般的に用いられる粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、不溶性硫黄、高分散性硫黄、可溶性硫黄などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0073】
なお、硫黄としては、例えば、鶴見化学工業(株)、軽井沢硫黄(株)、四国化成工業(株)、フレクシス社、日本乾溜工業(株)、細井化学工業(株)等の製品を使用できる。
【0074】
センターゴム組成物は、加硫促進剤を含むことが好ましい。
加硫促進剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.3~5.0質量部、より好ましくは0.5~4.0質量部、更に好ましくは0.7~3.0質量部である。
【0075】
加硫促進剤としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、ジ-2-ベンゾチアゾリルジスルフィド、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド等のチアゾール系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラベンジルチウラムジスルフィド(TBzTD)、テトラキス(2-エチルヘキシル)チウラムジスルフィド(TOT-N)等のチウラム系加硫促進剤;N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-t-ブチル-2-ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、N-オキシエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等のグアニジン系加硫促進剤を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、低燃費性、耐チップカット性能の総合性能の観点から、スルフェンアミド系加硫促進剤、グアニジン系加硫促進剤が好ましい。
【0076】
センターゴム組成物には、有機架橋剤を配合してもよい。
有機架橋剤としては、特に限定されず、マレイミド化合物類、アルキルフェノール・塩化硫黄縮合物類、有機過酸化物類、アミン有機サルファイド類等が挙げられる。これらは、単独でも、2種以上を用いてもよく、硫黄と併用してもよい。なお、有機架橋剤は、例えば、ゴム成分100質量部に対して、10質量部以下で配合される。
【0077】
センターゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
【0078】
〔ショルダーゴム〕
ショルダーゴムを構成するショルダーゴム組成物は、ゴム成分としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を含む。
【0079】
ショルダーゴム組成物では、ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、ドライグリップ性能等の観点から、70質量%以上、好ましくは75質量%以上、より好ましくは80質量%以上である。上記含有量は、氷上性能の観点から、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
【0080】
ショルダーゴム組成物に使用されるSBRのスチレン含有量、ビニル含有量、Mwは、前述のセンターゴム組成物に使用されるものと同様の範囲が好適である。また、ショルダーゴム組成物に使用されるSBRとしては、センターゴム組成物と同様のものを好適に使用できる。
【0081】
ショルダーゴム組成物では、ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。下限以上にすることで、良好な耐摩耗性、氷上性能等が得られる傾向がある。該含有量の上限は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。上限以下にすることで、SBR量が確保され、良好なドライグリップ性能等が得られる傾向がある。
【0082】
ショルダーゴム組成物に使用されるBRとしては、センターゴム組成物に使用されるBRと同様のものを好適に使用できる。
【0083】
ショルダーゴム組成物に用いるシリカとしては、センターゴム組成物に使用されるものを好適に使用できる。ショルダーゴム組成物に使用されるシリカのNSAは、前述のセンターゴム組成物に使用されるものと同様の範囲が好適である。
【0084】
ショルダーゴム組成物では、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、20質量部以上、好ましくは40質量部以上、より好ましくは60質量部以上、更に好ましくは70質量部以上である。下限以上にすることで、良好なドライグリップ性能、色味等が得られる傾向がある。該含有量の上限は、90質量部未満、好ましくは85質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
【0085】
ショルダーゴム組成物は、シリカと共にシランカップリング剤を含むことが好ましい。
ショルダーゴム組成物に用いるシランカップリング剤としては、センターゴム組成物に使用されるものを好適に使用できる。ショルダーゴム組成物におけるシランカップリング剤の含有量もセンターゴム組成物に使用されるシランカップリング剤の含有量と同様の範囲が好適である。
【0086】
ショルダーゴム組成物に使用できるカーボンブラックとしては、センターゴム組成物に使用されるものを好適に使用できる。ショルダーゴム組成物に使用されるカーボンブラックのNSAは、前述のセンターゴム組成物に使用されるものと同様の範囲が好適である。
【0087】
ショルダーゴム組成物では、カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、15質量部超(15質量部を超え)、好ましくは17質量部以上、より好ましくは18質量部以上である。下限以上にすることで、カーボンブラックを配合した効果が充分に得られる傾向がある。また、該カーボンブラックの含有量は、40質量部以下、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。上限以下にすることで、良好な分散性が得られる傾向がある。
【0088】
ショルダーゴム組成物では、シリカ及びカーボンブラックの合計含有量100質量%中、シリカの含有率は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは65質量%以上、更に好ましくは75質量%以上である。下限以上にすることで、良好なドライグリップ性能等が得られる傾向がある。該含有率の上限は、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下である。
【0089】
ショルダーゴム組成物に使用可能なレジンとしては、センターゴム組成物に使用されるものを好適に使用できる。ショルダーゴム組成物に液状レジンを用いる場合、使用される液状レジンの軟化点は、前述のセンターゴム組成物に使用されるものと同様の範囲が好適である。
【0090】
ショルダーゴム組成物では、レジンの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1質量部以上、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは15質量部以上である。下限以上にすることで、良好なウェットブレーキ性能等が得られる傾向がある。また、レジンの含有量の上限は、耐摩耗性の観点から、40質量部以下、好ましくは35質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。なお、液状レジンの含有量も同様の範囲が好適である。
【0091】
ショルダーゴム組成物は、オイルを含むことが好ましい。ショルダーゴム組成物に使用可能なオイルとしては、センターゴム組成物に使用されるものを好適に使用できる。
【0092】
ショルダーゴム組成物では、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは30質量部以上、更に好ましくは40質量部以上である。上限は、好ましくは80質量部以下、より好ましくは70質量部以下、更に好ましくは60質量部以下である。
なお、オイルの含有量には、ゴム(油展ゴム)に含まれるオイルの量も含まれる。
【0093】
ショルダーゴム組成物では、レジン及びオイルの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは45質量部以上、更に好ましくは55質量部以上である。下限以上にすることで、良好なドライグリップ性能等が得られる傾向がある。該合計含有量の上限は、好ましくは100質量部以下、より好ましくは90質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。上限以下にすることで、良好な耐摩耗性が得られる傾向がある。なお、液状レジン及びオイルの合計含有量の同様の範囲が好適である。
【0094】
ショルダーゴム組成物には、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、硫黄、加硫促進剤、有機架橋剤を配合してもよく、例えば、センターゴム組成物に使用されるものを好適に使用できる。ショルダーゴム組成物にこれらの材料が使用される場合、その含有量は、前述のセンターゴム組成物に使用される場合の含有量と同様の範囲が好適である。
【0095】
ショルダーゴム組成物は、一般的な方法で製造される。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどで前記各成分を混練りし、その後加硫する方法等により製造できる。
【0096】
センターゴム、ショルダーゴム組成物の混練条件としては、加硫剤及び加硫促進剤以外の添加剤を混練するベース練り工程では、混練温度は、通常50~200℃、好ましくは80~190℃であり、混練時間は、通常30秒~30分、好ましくは1分~30分である。加硫剤、加硫促進剤を混練する仕上げ練り工程では、混練温度は、通常100℃以下、好ましくは室温~80℃である。また、加硫剤、加硫促進剤を混練した組成物は、通常、プレス加硫などの加硫処理が施される。加硫温度としては、通常120~200℃、好ましくは140~180℃である。
【0097】
本発明の二輪自動車用タイヤは、センターゴム、ショルダーゴム組成物を用いて通常の方法で製造される。すなわち、前記成分を配合したセンターゴム組成物、ショルダーゴム組成物を未加硫の段階で、センターゴム、ショルダーゴムの形状にあわせて押出し加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤを得る。
【実施例
【0098】
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
【0099】
以下、実施例及び比較例で使用した各種薬品についてまとめて説明する。
SBR:Dow Chemical社製のSLR6430(スチレン量40質量%、ビニル量24質量%、Mw136万、ゴム固形分100質量部に対してオイル分37.5質量部含有)
BR:宇部興産(株)製のBR150B(シス含量98質量%)
カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイアブラックI(N220、NSA:114m/g)
シリカ:デグッサ社製のVN3(NSA:175m/g)
シランカップリング剤:デグッサ社製のSi266(ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド)
液状レジン:Rutgers Chemicals社製のNovares C10(液状クマロンインデン樹脂、軟化点:5~15℃)
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製の椿
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックS
オイル:TDAEオイル
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N-tert-ブチル-2-ベンゾチアジルスルフェンアミド)
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(1,3-ジフェニルグアニジン)
【0100】
(実施例及び比較例)
表1に示す配合処方に従い、バンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の薬品を60rpmで4分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、2軸オープンロールを用いて混練りし、未加硫ゴムシート(厚さ:4mm)を得た。得られた未加硫ゴムシートをトレッドゴム(センターゴム、ショルダーゴム)の形状に加工し、他のタイヤ部材と貼り合わせ、170℃で15分間加硫することで、表2に記載のセンターゴム、ショルダーゴムを用い、図1に示す構造を有する試験用タイヤを得た。
【0101】
作製した試験用タイヤを用いて以下の評価を行った。結果を表2に示す。
【0102】
<ドライグリップ性能>
試験用タイヤをスズキ社製のバンデッド1250(排気量:1250cc、フロントタイヤ:120/70ZR17、リアタイヤ200/55ZR17)の前後輪に装着し、ドライアスファルト路面のテストコースにて実車走行を行った。発進、加速、コーナリング時における操舵コントロールの安定性をテストドライバーがフィーリング評価した。フィーリング評価は、比較例1を100とし、明らかに性能が向上したとテストドライバーが判断したものを105、これまでに全く見られなかった良好なレベルであるものを110とする評点付けで総合点として、指数表示をした。数値が大きいほど乾燥路面におけるグリップ性能が優れることを示す。
【0103】
<ウェットブレーキ性能>
試験用タイヤをスズキ社製のバンデッド1250(排気量:1250cc、フロントタイヤ:120/70ZR17、リアタイヤ200/55ZR17)の前後輪に装着し、湿潤アスファルト路面にて初速度100km/hからの制動距離を求め、下記計算式により比較例1を100とした時の指数で表示した。指数が大きいほど制動距離が短く、ウェットブレーキ性能(湿潤路面でのブレーキ性能)に優れることを示す。
(ウェットブレーキ性能指数)=(比較例1の制動距離)/(各タイヤの制動距離)×100
【0104】
<氷上性能>
試験用タイヤをスズキ社製のバンデッド1250(排気量:1250cc、フロントタイヤ:120/70ZR17、リアタイヤ200/55ZR17)の前後輪に装着し、氷上路面のテストコースにて実車走行を行った。発進、加速、コーナリング時における操舵コントロールの安定性をテストドライバーがフィーリング評価した。フィーリング評価は、比較例1を100とし、明らかに性能が向上したとテストドライバーが判断したものを105、これまでに全く見られなかった良好なレベルであるものを110とする評点付けで総合点として、指数表示をした。数値が大きいほど氷上性能(氷上路面におけるグリップ性能)が優れることを示す。
【0105】
<耐摩耗性>
正規内圧が充填された試験用タイヤをスズキ社製のバンデッド1250(排気量:1250cc、フロントタイヤ:120/70ZR17、リアタイヤ200/55ZR17)の前後輪に装着し、時速200kmでドライアスファルト路面のサーキットを走行した。そして、200km走行した後の各タイヤの溝深さの減少量を測定し、溝深さが1mm減少するときの走行距離を算出した。比較例1の走行距離を100とし、下記計算式により、各タイヤでの走行距離を指数表示した。数値が大きいほど、耐摩耗性に優れることを示す。
(耐摩耗性指数)=(各試験用タイヤの走行距離)/(比較例1の走行距離)×100
【0106】
<色味の違い>
試験用タイヤの各ブロック間(第1のトレッドと第2のトレッド間)の色味の違いを下記基準で、目視による官能評価をした。
〇(100点):色味の違いを感じない。
△(95点):多少の色味の違いを感じるが許容範囲。
×(90点):色味が大きく許容範囲未満。
【0107】
【表1】
【0108】
【表2】
【0109】
表1~2より、センターゴム、ショルダーゴムが所定のセンターゴム組成物、ショルダーゴム用ゴム組成物から得られる実施例のタイヤは、ドライグリップ性能、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性、氷上性能、色味の総合性能が顕著に改善されることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0110】
1 二輪自動車用タイヤ
2 トレッド部
2A トレッド面
2e トレッド縁
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
6 カーカス
7 ベルト層
8 ビードエイペックス
9 トレッドゴム
9A センターゴム
9B ショルダーゴム
C タイヤ赤道
12 法線

図1