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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】水位検出装置、および浴槽給湯システム
(51)【国際特許分類】
   G01F 23/18 20060101AFI20231031BHJP
   F24H 15/196 20220101ALI20231031BHJP
   A47K 3/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
G01F23/18
F24H15/196 301M
A47K3/00 N
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020003115
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021110654
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木津 貴裕
(72)【発明者】
【氏名】丸田 翔悟
(72)【発明者】
【氏名】竹内 聡
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】実開昭62-184432(JP,U)
【文献】特開平05-248918(JP,A)
【文献】特開2002-282224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/14-23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の湯貯め部に貯められた湯の水位を検出する水位検出装置であって、
前記湯貯め部の側面に一端が連通する中空管と、
前記中空管の他端に設けられて前記中空管の空気圧を測定する圧力センサと、
前記圧力センサによって測定された前記空気圧に基づいて前記湯の水位を推定する制御部と
を備え、
前記制御部は、
前記圧力センサによって測定された前記空気圧に基づいて前記空気圧の変化の度合いを算出する算出部と、
前記空気圧の変化の度合いに基づいて、前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化によるものか、前記湯の水位変化以外の外因によるものかを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記湯の水位を推定する推定部と
を備えることを特徴とする水位検出装置。
【請求項2】
前記外因は、前記中空管の周囲温度である
ことを特徴とする請求項1に記載の水位検出装置。
【請求項3】
前記算出部は、
前記空気圧の単位時間当たりの変化量を算出し、
前記判定部は、
前記変化量に基づいて、前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化によるものか、前記中空管の周囲温度によるものかを判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の水位検出装置。
【請求項4】
前記算出部は、
前記空気圧の変化によって生じる周波数を算出し、
前記判定部は、
前記周波数に基づいて、前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化によるものか、前記中空管の周囲温度によるものかを判定する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の水位検出装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一つに記載の水位検出装置と、
前記浴槽への湯の供給量を調整する調整弁と、
前記調整弁の動作を制御する給湯制御部と
を備え、
前記給湯制御部は、
前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化以外の外因である場合に、前記調整弁の開放を禁止する
ことを特徴とする浴槽給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、水位検出装置、および浴槽給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、密封された空気の圧力変化を圧力センサによって検出し、検出された圧力変化に基づいて浴槽に貯められた湯の水位を推定する水位検出装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-141032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記する水位検出装置では、湯の水位変化以外の外因によって密封された空気が膨張、または収縮し、湯の水位を正確に推定できないおそれがある。
【0005】
実施形態の一態様は、湯の水位の推定精度を向上させる水位検出装置、および浴槽給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る水位検出装置は、浴槽の湯貯め部に貯められた湯の水位を検出する。水位検出装置は、前記湯貯め部の側面に一端が連通する中空管と、前記中空管の他端に設けられて前記中空管の空気圧を測定する圧力センサと、前記圧力センサによって測定された前記空気圧に基づいて前記湯の水位を推定する制御部とを備え、前記制御部は、前記圧力センサによって測定された前記空気圧に基づいて前記空気圧の変化の度合いを算出する算出部と、前記空気圧の変化の度合いに基づいて、前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化によるものか、前記湯の水位変化以外の外因によるものかを判定する判定部と、前記判定部による判定結果に基づいて、前記湯の水位を推定する推定部とを備える。
【0007】
これにより、水位検出装置は、空気圧の変化の度合いに基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、湯の水位変化以外の外因によるものかを判定することで、空気圧の変化原因を正確に判定することができる。すなわち、水位検出装置は、湯貯め部の湯の水位推定精度を向上させることができる。
【0008】
また、前記外因は、前記中空管の周囲温度であることを特徴とする。
【0009】
これにより、水位検出装置は、中空管の周囲温度が変化した場合であっても、湯の水位が変化したと誤認することを防止することができる。そのため、水位検出装置は、湯貯め部の湯の水位推定精度を向上させることができる。
【0010】
また、前記算出部は、前記空気圧の単位時間当たりの変化量を算出し、前記判定部は、前記変化量に基づいて、前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化によるものか、前記中空管の周囲温度によるものかを判定することを特徴とする。
【0011】
これにより、水位検出装置は、空気圧の変化量に基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、中空管の周囲温度によるものかを判定することで、空気圧の変化原因を正確に判定することができる。
【0012】
また、前記算出部は、前記空気圧の変化によって生じる周波数を算出し、前記判定部は、前記周波数に基づいて、前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化によるものか、前記中空管の周囲温度によるものかを判定することを特徴とする。
【0013】
水位検出装置は、空気圧の変化によって生じる周波数に基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、中空管の周囲温度によるものかを判定することで、空気圧の変化原因を正確に判定することができる。
【0014】
また、浴槽給湯システムは、前記水位検出装置と、前記浴槽への湯の供給量を調整する調整弁と、前記調整弁の動作を制御する給湯制御部とを備え、前記給湯制御部は、前記空気圧の変化原因が、前記湯の水位変化以外の外因である場合に、前記調整弁の開放を禁止することを特徴とする。
【0015】
これにより、浴槽給湯システムは、湯の水位が高い状態で浴槽に湯が供給されることを防止し、湯貯め部から湯が溢れることを防止することができる。
【発明の効果】
【0016】
実施形態の一態様によれば、湯の水位の推定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、実施形態に係る浴槽給湯システムを示す概略構成図である。
図2図2は、実施形態に係るコントローラを示すブロック図である。
図3図3は、実施形態に係る湯張り制御処理を説明するフローチャートである。
図4図4は、実施形態に係る湯張り開始制御処理を説明するフローチャートである。
図5図5は、実施形態に係る湯張り終了制御処理を説明するフローチャートである。
図6図6は、実施形態に係る補水開始制御処理を説明するフローチャートである。
図7図7は、実施形態に係る補水終了制御処理を説明するフローチャートである。
図8図8は、実施形態に係る温度上昇検出制御処理を説明するフローチャートである。
図9図9は、実施形態に係る第1禁止フラグ設定制御処理を説明するフローチャートである。
図10図10は、実施形態に係る第1禁止フラグ解除制御処理を説明するフローチャートである。
図11図11は、実施形態に係る温度降下検出制御処理を説明するフローチャートである。
図12図12は、実施形態に係る第2禁止フラグ設定制御処理を説明するフローチャートである。
図13図13は、実施形態に係る第2禁止フラグ解除制御処理を説明するフローチャートである。
図14図14は、実施形態に係る湯張り制御、および補水制御を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水位検出装置、および浴槽給湯システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。
【0019】
<浴槽給湯システム>
実施形態に係る水位検出装置100は、浴槽給湯システム1に設けられる。まず、浴槽給湯システム1について、図1を参照し説明する。図1は、実施形態に係る浴槽給湯システム1を示す概略構成図である。浴槽給湯システム1は、ホテルなどに設置されるセントラル方式の給湯システムである。なお、浴槽給湯システム1は、個別方式の給湯システムであってもよい。
【0020】
浴槽給湯システム1は、浴槽2に湯を予め設定された所定水位まで自動的に貯める機能を有する。また、浴槽給湯システム1は、浴槽2における湯の水位が低下した場合に、水位が所定水位となるように、自動的に貯める機能を有する。なお、以下では、浴槽2に湯を所定水位まで自動的に貯めることを「湯張り」と称する。浴槽2における湯の水位が低下した場合に、水位が所定水位となるように、自動的に貯めることを、「補水」と称する。
【0021】
浴槽給湯システム1は、使用者によるリモコン(不図示)の操作に基づいて湯張りや、補水を行う。浴槽給湯システム1は、リモコンに設けられた湯張りスイッチ(不図示)が「ON」に操作されると、湯張りや、補水を実行する。
【0022】
浴槽給湯システム1は、浴槽2と、吐水部3と、排水部4と、水位検出部5と、コントローラ6とを備える。水位検出部5、およびコントローラ6は、水位検出装置100を構成する。浴槽2は、浴室200に設けられ、湯貯め部2aに湯を貯めることができる。
【0023】
吐水部3は、給湯源(不図示)から供給された湯を浴槽2に吐水する。吐水部3には、給湯弁30(調整弁)が設けられる。給湯弁30は、給湯モータ31によって開度が調整され、浴槽2に吐水する湯量を調整する。
【0024】
排水部4は、湯貯め部2aの底部に接続するように設けられ、湯貯め部2aから湯を排出する。排水部4には、排水弁40が設けられる。排水弁40は、排水モータ41によって開閉される。排水弁40が開くことによって、浴槽2から湯が排出される。
【0025】
水位検出部5は、中空管50と、圧力センサ51とを備える。中空管50の一端は、湯貯め部2aの側面に連通する。中空管50の他端には圧力センサ51が設けられる。
【0026】
圧力センサ51は、中空管50の空気圧を測定する。圧力センサ51は、例えば、ダイアフラム式の圧力センサであり、中空管50の空気圧に応じた電気信号を出力する。
【0027】
湯貯め部2aに湯が貯水された場合には、中空管50の一端側から湯が流入し、中空管50には空気が密閉される。中空管50の空気圧は、湯の水位に応じて変化する。圧力センサ51が中空管50の空気圧を測定することで、湯の水位を検出することができる。
【0028】
<コントローラ>
次に、実施形態に係るコントローラ6について図2を参照し説明する。図2は、実施形態に係るコントローラ6を示すブロック図である。
【0029】
コントローラ6は、例えば、使用者がリモコン(不図示)を操作した場合に、操作に応じて浴槽給湯システム1を制御する。ここでは、浴槽給湯システム1を制御する機能のうち、浴槽2に湯を貯める機能について説明する。
【0030】
なお、コントローラ6は、複数のコントローラによって構成されてもよい。例えば、コントローラ6として、圧力センサ51によって測定された空気圧に基づいて水位を検出するコントローラと、給湯モータ31、および排水モータ41を制御するコントローラとが設けられてもよい。
【0031】
コントローラ6は、通信部60と、制御部61(給湯制御部)と、記憶部62とを備える。
【0032】
通信部60には、圧力センサ51によって測定された空気圧に応じた電気信号が入力される。また、通信部60は、給湯モータ31、および排水モータ41を制御する信号を給湯モータ31、および排水モータ41に出力する。また、通信部60は、リモコン(不図示)との間で制御信号などの入出力を行う。
【0033】
記憶部62は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置である。
【0034】
制御部61は、CPU(Central Processing Unit)などの電子回路に対応する。そして、制御部61は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部61は、取得部61Aと、算出部61Bと、判定部61Cと、設定部61Dと、推定部61Eと、指示部61Fとを備える。制御部61は、圧力センサ51によって測定された空気圧に基づいて浴槽2の湯貯め部2aに貯められた湯の水位を検出し、また推定する。
【0035】
取得部61Aは、通信部60を介して圧力センサ51から空気圧に応じた電気信号を取得する。すなわち、取得部61Aは、中空管50の空気圧を取得する。また、取得部61Aは、通信部60を介してリモコン(不図示)から使用者の操作信号を取得する。
【0036】
算出部61Bは、取得部61Aによって取得された空気圧に基づいて空気圧の変化の度合いを算出する。具体的には、算出部61Bは、空気圧の単位時間当たりの変化量(以下、「空気圧の変化量」と称する。)、および空気圧の変化によって生じる周波数を算出する。変化量は、空気圧が大きくなる場合には正の値となり、空気圧が小さくなる場合には負の値となる。算出部61Bは、空気圧に応じた電気信号の変化によって生じる周波数を算出する。
【0037】
判定部61Cは、取得部61Aによって取得された空気圧が第1所定圧以上であるか否かを判定する。第1所定圧は、予め設定された値であり、湯張りが行われる場合の所定水位に対応する値である。なお、所定水位は、使用者によって設定可能であってもよく、第1所定圧は、設定された所定水位に応じて変更される。
【0038】
判定部61Cは、取得部61Aによって取得された空気圧が第2所定圧以上であるか否かを判定する。第2所定圧は、第1所定圧よりも小さく、予め設定された値である。第2所定圧は、湯貯め部2aにおける湯の水位が低くなった場合に、補水を開始する開始水位に対応する値である。
【0039】
判定部61Cは、取得部61Aによって取得された空気圧が大気圧であるか否かを判定する。
【0040】
判定部61Cは、空気圧の変化の度合いに基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、湯の水位変化以外の外因によるものかを判定する。判定部61Cは、空気圧の変化量、および周波数に基づき、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、湯の水位変化以外の外因によるものかを判定する。
【0041】
空気圧の変化は、吐水部3によって湯が供給されていない場合、および排水部4によって湯が排出されていない場合であっても、使用者の動作に応じた湯の水位変化によって生じる。使用者の動作とは、使用者が、湯貯め部2aに入った場合や、湯貯め部2aから出た場合や、湯貯め部2aから湯を汲み出した場合などの動作が含まれる。
【0042】
また、空気圧の変化は、吐水部3によって湯が供給されていない場合、および排水部4によって湯が排出されていない場合であっても、中空管50の周囲温度が変化した場合に生じる。すなわち、空気圧の変化原因は、湯の水位変化以外の外因として、中空管50の周囲温度が該当する。
【0043】
中空管50の周囲温度が高くなると、中空管50に密閉された空気が膨張し、圧力センサ51によって測定される空気圧が高くなる。さらに、中空管50に密閉された空気が膨張すると、膨張した空気が、湯貯め部2aの側面から湯貯め部2aに吐出され、中空管50に密閉された空気が少なくなる。そのため、圧力センサ51によって測定される空気圧が低くなる。また、中空管50の周囲温度が低くなると、中空管50に密閉された空気が収縮し、圧力センサ51によって測定される空気圧が低くなる。
【0044】
このように、中空管50の周囲温度が変化すると、湯の水位が変化していない場合であっても、圧力センサ51によって測定される空気圧が変化する。
【0045】
そこで、判定部61Cは、空気圧の変化量、および周波数に基づき、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、湯の水位変化以外の外因によるものかを判定する。
【0046】
具体的には、判定部61Cは、算出部61Bによって算出された空気圧の変化量が第1所定量以上であるか否かを判定する。また、判定部61Cは、第2所定量よりも小さいか否かを判定する。また、判定部61Cは、算出部61Bによって算出された周波数が、所定周波数よりも低いか否かを判定する。
【0047】
第1所定量は、予め設定された値であり、正の値である。第1所定量は、吐水部3によって湯が供給されていない場合、および排水部4によって湯が排出されていない場合に、中空管50の周囲温度の上昇により、中空管50に密閉された空気が膨張していると判定できる値である。
【0048】
第2所定量は、予め設定された値であり、負の値である。第2所定量は、吐水部3によって湯が供給されていない場合、および排水部4によって湯が排出されていない場合に、中空管50の周囲温度の下降により、中空管50に密閉された空気が収縮していると判定できる値である。
【0049】
所定周波数は、予め設定された値であり、使用者の動作によって生じる周波数である。所定周波数は、湯貯め部2aの水位の変化が使用者の動作に起因するものであるか否かを判定可能な値である。使用者の動作が行われると、湯貯め部2aの水面が波立つことで、湯の水位変動が多くなり、算出部61Bによって算出される周波数が高くなる。
【0050】
そして、判定部61Cは、空気圧の変化量が第1所定量以上であり、かつ周波数が所定周波数よりも低い場合に、空気圧の変化原因が、中空管50の周囲温度の上昇によるものであると判定する。また、判定部61Cは、空気圧の変化量が第2所定量以下であり、かつ周波数が所定周波数よりも低い場合に、空気圧の変化原因が、中空管50の周囲温度の下降によるものであると判定する。
【0051】
判定部61Cは、湯貯め部2aの水位が所定水位に安定しているか否かを判定する。具体的には、判定部61Cは、空気圧が第1所定圧以上となった状態を示すタイマが安定時間となったか否かを判定する。安定時間は、予め設定された時間であり、空気圧が第1所定圧以上となった状態が安定したか否かを判定可能な時間である。なお、タイマは、空気圧が第1所定圧よりも低いと判定された場合に、リセットされる。
【0052】
判定部61Cは、第1禁止フラグが「ON」であるか、「OFF」であるかを判定する。第1禁止フラグは、補水を禁止するか否かを設定するフラグである。第1禁止フラグは、空気圧の変化原因が湯の水位変化以外であり、中空管50の周囲温度が高くなっている場合に「ON」になる。第1禁止フラグの設定方法については、後述する。
【0053】
判定部61Cは、第2禁止フラグが「ON」であるか、「OFF」であるかを判定する。第2禁止フラグは、補水を禁止するか否かを設定するフラグである。第2禁止フラグは、空気圧の変化原因が湯の水位変化以外であり、中空管50の周囲温度が低くなっている場合に「ON」になる。第2禁止フラグの設定方法については、後述する。
【0054】
判定部61Cは、排水弁40が閉じられているか否かを判定する。判定部61Cは、湯張りスイッチ(不図示)が「OFF」から「ON」に操作されたか否かを判定する。湯張りスイッチは、リモコンに設けられ、使用者によって操作される。
【0055】
判定部61Cは、湯張りが完了したか否かを判定する。具体的には、判定部61Cは、取得部61Aによって取得された空気圧が第1所定圧以上であり、かつ安定時間を経過した場合に、湯張りが完了したと判定する。すなわち、判定部61Cは、空気圧が第1所定圧以上となる状態が、連続して安定時間継続された場合に、湯張りが完了したと判定する。
【0056】
判定部61Cは、第1シーケンス制御の状態番号(第1SQNo)を判定する。第1シーケンス制御の状態番号は、後述する湯張り制御処理の状態を示す番号であり、「0」~「3」に設定される。
【0057】
判定部61Cは、第2シーケンス制御の状態番号(第2SQNo)を判定する。第2シーケンス制御の状態番号は、後述する温度上昇検出制御処理の状態を示す番号であり、「0」または「1」に設定される。
【0058】
判定部61Cは、第3シーケンス制御の状態番号(第3SQNo)を判定する。第3シーケンス制御の状態番号は、後述する温度下降検出制御処理の状態を示す番号であり、「0」または「1」に設定される。
【0059】
設定部61Dは、第1禁止フラグ、および第2禁止フラグを設定する。具体的には、設定部61Dは、湯張りが完了した後に、取得部61Aによって取得された空気圧が第1所定圧以上であり、空気圧の変化量が第1所定量以上であり、かつ周波数が所定周波数よりも低い場合に、第1禁止フラグを「OFF」から「ON」に変更する。また、設定部61Dは、排水弁40が開かれた場合、または取得部61Aによって取得された空気圧が大気圧になった場合に、第1禁止フラグを「ON」から「OFF」に変更する。
【0060】
設定部61Dは、湯張りが完了した後に、空気圧の変化量が「0」よりも小さく、第2所定量以下であり、かつ周波数が所定周波数よりも低い場合に、第2禁止フラグを「OFF」から「ON」に変更する。また、設定部61Dは、排水弁40が開かれた場合に、第2禁止フラグを「ON」から「OFF」に変更する。
【0061】
設定部61Dは、第1シーケンス制御の状態番号を「0」~「3」のいずれかに設定する。第1シーケンス制御の状態番号の設定方法の詳細については、後述するが、設定部61Dは、排水弁40が開かれると第1シーケンス制御の状態番号を「0」に設定する。
【0062】
設定部61Dは、第2シーケンス制御の状態番号を「0」または「1」に設定する。設定部61Dは、第3シーケンス制御の状態番号を「0」または「1」に設定する。
【0063】
設定部61Dは、タイマをセットする。具体的には、設定部61Dは、湯張り制御処理において、空気圧が第1所定圧よりも低いと判定された場合に、タイマをセットし、タイマによるカウントを開始する。設定部61Dは、空気圧が第1所定圧よりも低いと判定される度に、タイマをリセットし、新たにカウントを開始する。
【0064】
推定部61Eは、空気圧の変化の度合いによる判定結果に基づいて湯貯め部2aに貯められた湯の水位を推定する。具体的には、推定部61Eは、空気圧の変化原因が湯の水位変化である場合には、圧力センサ51によって測定された現在の空気圧に基づいて湯の水位を検出する。
【0065】
また、推定部61Eは、空気の変化原因が湯の水位以外の外因である場合には、圧力センサ51によって測定された現在の空気圧に基づいた湯の水位を検出しない。この場合、例えば、推定部61Eは、圧力センサ51によって測定された空気圧が変化しても、湯の水位は変わっていないとみなす。推定部61Eは、空気の変化原因が湯の水位以外の外因であると判定される直前の湯の水位を現在の水位とみなす。
【0066】
指示部61Fは、給湯モータ31を制御する制御信号を生成し、通信部60を介して給湯モータ31に制御信号を出力する。これにより、制御信号に基づいて給湯モータ31が動作し、給湯弁30の開度が調整され、吐水部3から湯貯め部2aに供給される湯の流量が調整される。湯張り、または補水を行う場合には、制御信号に基づいて給湯弁30が開閉される。
【0067】
指示部61Fは、排水モータ41を制御する制御信号を生成し、通信部60を介して排水モータ41に制御信号を出力する。これにより、制御信号に基づいて排水モータ41が動作し、排水弁40が開閉される。
【0068】
なお、指示部61Fは、第1禁止フラグ、および第2禁止フラグの少なくとも一方が「ON」である場合には、湯張りスイッチが「ON」に操作された場合であっても、補水の実行を禁止する。換言すると、指示部61Fは、空気圧の変化原因が湯の水位変化以外である場合には、湯張りスイッチが「ON」に操作された場合であっても、給湯弁30の開放を禁止し、補水の実行を禁止する。例えば、指示部61Fは、湯張りスイッチが「ON」にされた場合であっても、給湯弁30を開くための制御信号を生成しない。
【0069】
<湯張り制御処理>
次に、実施形態に係る湯張り制御処理について図3を参照し説明する。図3は、実施形態に係る湯張り制御処理を説明するフローチャートである。
【0070】
コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号(第1SQNo)が「0」であるか否かを判定する(S100)。コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号が「0」である場合には(S100:Yes)、湯張り開始制御を実行する(S101)。
【0071】
コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号が「0」ではない場合には(S100:No)、第1シーケンス制御の状態番号が「1」であるか否かを判定する(S102)。コントローラ6には、第1シーケンス制御の状態番号が「1」である場合には(S102:Yes)、湯張り終了制御を実行する(S103)。
【0072】
コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号が「1」ではない場合には(S102:No)、第1シーケンス制御の状態番号が「2」であるか否かを判定する(S104)。コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号が「2」である場合には(S104:Yes)、補水開始制御を実行する(S105)。
【0073】
コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号が「2」ではない場合(S104:No)、すなわち第1シーケンス制御の状態番号が「3」である場合には、補水終了制御を実行する(S106)。
【0074】
<湯張り開始制御処理>
次に、実施形態に係る湯張り開始制御処理について図4を参照し説明する。図4は、実施形態に係る湯張り開始制御処理を説明するフローチャートである。
【0075】
コントローラ6は、湯張りスイッチ(湯張りSW)が「ON」にされたか否かを判定する(S200)。コントローラ6は、湯張りスイッチが「OFF」の場合には(S200:No)、今回の処理を終了する。すなわち、第1シーケンス制御の状態番号(第1SQNo)は、「0」に保持される。
【0076】
コントローラ6は、湯張りスイッチが「ON」にされた場合には(S200:Yes)、排水弁40を閉じる(S201)。なお、湯貯め部2aに湯が残っている場合には、コントローラ6は、排水弁40を開き、湯を排出した後に排水弁40を閉じる。
【0077】
コントローラ6は、湯張りを開始する(S202)。コントローラ6は、給湯弁30を開き、吐水部3から湯貯め部2aに湯の供給を開始する。コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号を「0」から「1」に変更する(S203)。
【0078】
<湯張り終了制御処理>
次に、実施形態に係る湯張り終了制御処理について図5を参照し説明する。図5は、実施形態に係る湯張り終了制御処理を説明するフローチャートである。
【0079】
コントローラ6は、排水弁40が閉じているか否かを判定する(S300)。コントローラ6は、排水弁40が開いている場合には(S300:No)、第1シーケンス制御の状態番号(第1SQNo)を「1」から「0」に変更する(S301)。
【0080】
コントローラ6は、排水弁40が閉じている場合には(S300:Yes)、空気圧が第1所定圧以上であるか否かを判定する(S302)。すなわち、コントローラ6は、湯貯め部2aの湯の水位が所定水位になっているか否かを判定する。
【0081】
コントローラ6は、空気圧が第1所定圧よりも低い場合(S302:No)、すなわち、湯の水位が所定水位よりも低い場合には、タイマをセットする(S303)。なお、コントローラ6は、空気圧が第1所定圧よりも低いと判定すると、タイマをリセットし、新たにタイマをセットする。コントローラ6は、空気圧が第1所定圧以上となってから安定時間が経過する前に、空気圧が第1所定圧よりも低くなると、新たにタイマをセットする。
【0082】
コントローラ6は、空気圧が第1所定圧以上である場合には(S302:Yes)、タイマが安定時間となったか否かを判定する(S304)。すなわち、コントローラ6は、湯貯め部2aの湯の水位が所定水位となった状態が安定時間継続しているか否かを判定する。
【0083】
コントローラ6は、タイマが安定時間になるまでステップS302に戻り、上記制御を繰り返す。
【0084】
コントローラ6は、タイマが安定時間になると(S304:Yes)、給湯弁30を閉じて湯張りを完了する(S305)。コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号を「1」から「2」に変更する(S306)。
【0085】
<補水開始制御処理>
次に、実施形態に係る補水開始制御処理について図6を参照し説明する。図6は、実施形態に係る補水開始制御処理を説明するフローチャートである。
【0086】
コントローラ6は、排水弁40が閉じているか否かを判定する(S400)。コントローラ6は、排水弁40が開いている場合には(S400:No)、第1シーケンス制御の状態番号(第1SQNo)を「2」から「0」に変更する(S401)。
【0087】
コントローラ6は、排水弁40が閉じている場合には(S400:Yes)、湯張りスイッチ(湯張りSW)が「ON」にされたか否かを判定する(S402)。
【0088】
コントローラ6は、湯張りスイッチが「ON」にされた場合には(S402:Yes)、空気圧が第2所定圧よりも低いか否かを判定する(S403)。すなわち、コントローラ6は、湯貯め部2aの湯の水位が開始水位よりも低くなったか否かを判定する。
【0089】
コントローラ6は、空気圧が第2所定圧よりも小さい場合には(S403:Yes)、第1禁止フラグが「ON」であるか否かを判定する(S404)。コントローラ6は、第1禁止フラグが「OFF」である場合には(S404:No)、第2禁止フラグが「ON」であるか否かを判定する(S405)。
【0090】
コントローラ6は、第2禁止フラグが「OFF」である場合(S405:No)、すなわち第1禁止フラグ、および第2禁止フラグがともに「OFF」である場合に、補水を開始する(S406)。コントローラ6は、給湯弁30を開き、吐水部3から浴槽2の湯貯め部2aに湯の供給を開始する。
【0091】
コントローラ6は、第1シーケンス制御の状態番号を「2」から「3」に変更する(S407)。
【0092】
コントローラ6は、湯張りスイッチが「OFF」である場合(S402:No)、空気圧が第2所定圧以上である場合(S403:No)、第1禁止フラグが「ON」である場合(S404:Yes)、または第2禁止フラグが「ON」である場合(S405:Yes)には、今回の処理を終了する。すなわち、第1シーケンス制御の状態番号は、「2」に保持される。
【0093】
コントローラ6は、湯張りスイッチが「ON」にされた場合であっても、第1禁止フラグ、および第2禁止フラグの少なくとも一方が「ON」である場合には、補水を行わない。
【0094】
<補水終了制御処理>
次に、実施形態に係る補水終了制御処理について図7を参照し説明する。図7は、実施形態に係る補水終了制御処理を説明するフローチャートである。
【0095】
図7に示す補水終了制御処理のフローチャートは、図5に示す湯張り終了制御処理のフローチャートと基本的に同じであり、詳しい説明は省略する。なお、コントローラ6は、タイマが安定時間になると(S504:Yes)、給湯弁30を閉じて補水を完了し(S505)。第1シーケンス制御(第1SQNo)の状態番号を「3」から「2」に変更する(S506)。また、コントローラ6は、排水弁40が開いている場合には(S500:Yes)、第1シーケンス制御の状態番号を「3」から「0」に変更する(S501)。
【0096】
<温度上昇検出制御処理>
次に、実施形態に係る温度上昇検出制御処理について図8を参照し説明する。図8は、実施形態に係る温度上昇検出制御処理を説明するフローチャートである。
【0097】
コントローラ6は、第2シーケンス制御の状態番号(第2SQNo)が「0」であるか否かを判定する(S600)。コントローラ6は、第2シーケンス制御の状態番号が「0」である場合には(S600:Yes)、第1禁止フラグ設定制御を実行する(S601)。
【0098】
コントローラ6は、第2シーケンス制御の状態番号が「0」ではない場合(S600:No)、すなわち第2シーケンス制御の状態番号が「1」である場合には、第1禁止フラグ解除制御を実行する(S602)。
【0099】
<第1禁止フラグ設定制御処理>
次に、実施形態に係る第1禁止フラグ設定制御処理について図9を参照し説明する。図9は、実施形態に係る第1禁止フラグ設定制御処理を説明するフローチャートである。
【0100】
コントローラ6は、排水弁40が閉じているか否かを判定する(S700)。コントローラ6は、排水弁40が閉じている場合には(S700:Yes)、湯張りが完了しているか否かを判定する(S701)。なお、湯張りが完了しているか否かは、図5のステップS302、およびステップS304と同じ処理に基づいて行われる。
【0101】
コントローラ6は、湯張りが完了している場合には(S701:Yes)、変化量が第1所定量以上であるか否かを判定する(S702)。すなわち、コントローラ6は、湯張りが完了した後に、中空管50に密閉された空気が膨張しているか否かを判定する。
【0102】
コントローラ6は、変化量が第1所定量以上である場合には(S702:Yes)、周波数が所定周波数よりも低いか否かを判定する(S703)。すなわち、コントローラ6は、湯貯め部2aの水位の変動が多いか否かを判定する。
【0103】
コントローラ6は、周波数が所定周波数よりも低い場合(S703:Yes)、すなわち変化量が第1所定量以上であり、かつ周波数が所定周波数よりも低い場合には、空気圧の変化が湯の水位変化に起因するものではなく、中空管50の周囲温度の上昇に起因するものであると判定する。この場合、コントローラ6は、第1禁止フラグを「ON」に設定する(S704)。
【0104】
コントローラ6は、第2シーケンス制御の状態番号(第2SQNo)を「0」から「1」に変更する(S705)。
【0105】
コントローラ6は、排水弁40が開いている場合(S700:No)、湯張りが完了していない場合(S701:No)、変化量が第1所定量よりも小さい場合(S702:No)、または周波数が所定周波数以上である場合(S703:No)には、今回の処理を終了する。すなわち、第2シーケンス制御の状態番号は、「0」に保持される。
【0106】
<第1禁止フラグ解除制御処理>
次に、実施形態に係る第1禁止フラグ解除制御処理について図10を参照し説明する。図10は、実施形態に係る第1禁止フラグ解除制御処理を説明するフローチャートである。
【0107】
コントローラ6は、排水弁40が開いているか否かを判定する(S800)。コントローラ6は、排水弁40が閉じている場合には(S800:No)、空気圧が大気圧であるか否かを判定する(S801)。
【0108】
コントローラ6は、排水弁40が開いている場合(S800:Yes)、または空気圧が大気圧である場合には(S801:Yes)、第1禁止フラグを「OFF」に設定する(S802)。コントローラ6は、第2シーケンス制御の状態番号(第2SQNo)を「1」から「0」に変更する(S803)。
【0109】
ここでは、排水弁40が閉じている場合には、空気圧が大気圧となるまで、第1禁止フラグは「OFF」にされない。排水弁40が閉じている場合に、実際に湯貯め部2aにおける湯の水位が低下すると、空気圧は大気圧と同等になる。本実施形態では、実際に湯の水位が十分に低下していると判定可能な状態になるまで、中空管50の周囲温度変化により擬似的に湯の水位が低下しているとみなし、第1禁止フラグを「ON」に保持する。
【0110】
コントローラ6は、空気圧が大気圧である場合には(S801:No)、今回の処理を終了する。すなわち、第2シーケンス制御の状態番号は、「1」に保持される。
【0111】
<温度下降検出制御処理>
次に、実施形態に係る温度降下検出制御処理について図11を参照し説明する。図11は、実施形態に係る温度降下検出制御処理を説明するフローチャートである。
【0112】
コントローラ6は、第3シーケンス制御の状態番号(第3SQNo)が「0」であるか否かを判定する(S900)。コントローラ6は、第3シーケンス制御の状態番号が「0」である場合には(S900:Yes)、第2禁止フラグ設定制御を実行する(S901)。
【0113】
コントローラ6は、第3シーケンス制御の状態番号が「0」ではない場合、すなわち第3シーケンス制御の状態番号が「1」である場合には、第2禁止フラグ解除制御を実行する(S902)。
【0114】
<第2禁止フラグ設定制御処理>
次に、実施形態に係る第2禁止フラグ設定制御処理について図12を参照し説明する。図12は、実施形態に係る第2禁止フラグ設定制御処理を説明するフローチャートである。
【0115】
コントローラ6は、排水弁40が閉じているか否かを判定する(S1000)。コントローラ6は、排水弁40が閉じている場合には(S1000:Yes)、湯張りが完了しているか否かを判定する(S1001)。なお、湯張りが完了しているか否かは、図5のステップS302、およびステップS304と同じ処理に基づいて行われる。
【0116】
コントローラ6は、湯張りが完了している場合には(S1001:Yes)、変化量が第2所定量以下であるか否かを判定する(S1002)。すなわち、コントローラ6は、湯張りが完了した後に、中空管50に密閉された空気が収縮しているか否かを判定する。
【0117】
コントローラ6は、変化量が第2所定量以下である場合には(S1002:Yes)、周波数が所定周波数よりも低いか否かを判定する(S1003)。すなわち、コントローラ6は、湯貯め部2aの水位の変動が多いか否かを判定する。
【0118】
コントローラ6は、周波数が所定周波数よりも低い場合(S1003:Yes)、すなわち変化量が第2所定量以下であり、かつ周波数が所定周波数よりも低い場合には、空気圧の変化が湯の水位変化に起因するものではなく、中空管50の周囲温度の下降に起因するものであると判定する。この場合、コントローラ6は、第2禁止フラグを「ON」に設定する(S1004)。
【0119】
コントローラ6は、第3シーケンス制御の状態番号(第3SQNo)を「0」から「1」に変更する(S1005)。
【0120】
コントローラ6は、排水弁40が開いている場合(S1000:No)、湯張りが完了していない場合(S1001:No)、変化量が第2所定量以上である場合(S1002:No)、または周波数が所定周波数以上である場合(S1003:No)には、今回の処理を終了する。すなわち、第3シーケンス制御の状態番号は、「0」に保持される。
【0121】
<第2禁止フラグ解除制御処理>
次に、実施形態に係る第2禁止フラグ解除制御処理について図13を参照し説明する。図13は、実施形態に係る第2禁止フラグ解除制御処理を説明するフローチャートである。
【0122】
コントローラ6は、排水弁40が開いているか否かを判定する(S1100)。コントローラ6は、排水弁40が閉じている場合には(S1100:No)、今回の処理を終了する。すなわち、第3シーケンス制御の状態番号(第3SQNo)は、「1」に保持される。
【0123】
コントローラ6は、排水弁40が開いている場合には(S1100:Yes)、第2禁止フラグを「OFF」に設定する(S1102)。コントローラ6は、第3シーケンス制御の状態番号を「1」から「0」に変更する(S1103)。
【0124】
<タイムチャート>
次に、湯張り、および補水が行われた場合の制御について図14のタイムチャートを参照し説明する。図14は、実施形態に係る湯張り制御、および補水制御を示すタイムチャートである。なお、ここでは、中空管50の周囲温度が高くなる一例について説明する。また、湯貯め部2aには湯が貯められておらず、第2禁止フラグは「OFF」になっているものとする。
【0125】
時間t0において、湯張りスイッチが「ON」にされて排水弁40が閉じられる。時間t1において、給湯弁30が開かれ、湯貯め部2aに吐水部3から湯が供給される。これにより、湯貯め部2aの湯の水位が高くなり、圧力センサ51によって測定される空気圧が高くなる。
【0126】
時間t2において、空気圧が第1所定圧以上となり、かつ安定時間を経過すると、給湯弁30が閉じられ、湯張りが完了する。
【0127】
なお、図14においては、「補水許可範囲」を示している。補水許可範囲は、湯貯め部2aの湯の水位が開始水位以上であるか否かを示す範囲であるが、補水許可範囲の「許可」または「禁止」の切替は、湯の水位が開始水位を跨いで変化した後に湯の水位が安定すると切り替えられる。
【0128】
時間t2においては、湯張りが完了することで、湯の水位が開始水位を跨いで変化した後に湯の水位が安定しているため、補水許可範囲が「許可」から「禁止」に変更される。そのため、補水運転が禁止される。補水運転が禁止とは、使用者の操作によって湯張りスイッチが「ON」とされた場合であっても、補水が禁止されることを意味する。
【0129】
湯張りが完了した後に、中空管50の周囲温度が上昇すると、圧力センサ51によって測定される空気圧が徐々に高くなる。
【0130】
時間t3において、周波数が周波数よりも低く、かつ空気圧の変化量が第1所定変化量以上となると、第1禁止フラグが「OFF」から「ON」に変更される。
【0131】
中空管50の周囲温度が高くなることによって、時間t4において、中空管50の空気が湯貯め部2aの側面から漏れると、中空管50に密閉された空気が少なくなるため、空気圧が低下し、第2所定圧よりも低くなる。
【0132】
空気圧が第2所定圧よりも低くなり、安定すると補水許可範囲が「禁止」から「許可」に変更されるが、第1禁止フラグは「ON」に保持されている。そのため、補水運転は「禁止」に維持される。従って、使用者が湯張りスイッチを「ON」にした場合であっても、補水は行われない。
【0133】
そして、時間t5において、空気圧が大気圧になると、第1禁止フラグが「ON」から「OFF」に変更されるため、補水運転が「禁止」から「許可」に変更され、補水が可能となる。これにより、時間t5よりも後に、使用者が湯張りスイッチを「ON」にした場合には、補水が開始される。
【0134】
<効果>
浴槽2の湯貯め部2aに貯められた湯の水位を検出する水位検出装置100は、湯貯め部2aの側面に一端が連通する中空管50と、中空管50の他端に設けられて中空管50の空気圧を測定する圧力センサ51と、圧力センサ51によって測定された空気圧に基づいて湯の水位を推定するコントローラ6とを備える。コントローラ6は、圧力センサ51によって測定された空気圧に基づいて空気圧の変化の度合いを算出する算出部61Bと、空気圧の変化の度合いに基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、湯の水位変化以外の外因によるものかを判定する判定部61Cと、判定部61Cによる判定結果に基づいて、湯の水位を推定する推定部61Eとを備える。
【0135】
これにより、水位検出装置100は、空気圧の変化の度合いに基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、湯の水位変化以外の外因によるものかを判定することで、空気圧の変化原因を正確に判定することができる。すなわち、水位検出装置100は、湯貯め部2aの湯の水位推定精度を向上させることができる。
【0136】
また、湯の水位変化以外の外因は、中空管50の周囲温度である。
【0137】
中空管50の周囲温度が変化した場合には、中空管50に密閉された空気の体積が変化するため、圧力センサ51によって測定される空気圧が変化する。
【0138】
水位検出装置100は、中空管50の周囲温度が変化した場合であっても、例えば、湯の水位が変化したと誤認することを防止することができる。コントローラ6は、例えば、湯の水位が高い状態で、補水が行われることを防止し、浴槽2の湯貯め部2aから湯が溢れることを防止することができる。
【0139】
また、算出部61Bは、空気圧の単位時間当たりの変化量を算出する。判定部61Cは、変化量に基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、中空管50の周囲温度によるものかを判定する。
【0140】
中空管50の周囲温度が急激に変化することは希であり、中空管50の周囲温度は徐々に変化する。すなわち、中空管50の周囲温度の変化に起因する空気圧の変化は小さい。これに対し、例えば、湯貯め部2aに湯が供給された場合や、湯貯め部2aから湯が排水された場合には、湯の水位変化が大きくなり、空気圧の変化は大きい。
【0141】
水位検出装置100は、空気圧の変化量に基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、中空管50の周囲温度によるものかを判定することで、空気圧の変化原因を正確に判定することができる。
【0142】
また、算出部61Bは、空気圧の変化によって生じる周波数を算出し、判定部61Cは、周波数に基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、中空管50の周囲温度によるものかを判定する。
【0143】
湯貯め部2aに使用者が出入りした場合や、湯が汲み出された場合には、湯の水面が波立つことで、圧力センサ51によって測定される空気圧が変化し、変化によって生じる周波数が高くなる。
【0144】
水位検出装置100は、空気圧の変化によって生じる周波数に基づいて、空気圧の変化原因が、湯の水位変化によるものか、中空管50の周囲温度によるものかを判定することで、空気圧の変化原因を正確に判定することができる。
【0145】
コントローラ6は、空気圧の変化原因が、湯の水位変化以外の外因である場合には、補水を禁止する。
【0146】
これにより、コントローラ6は、例えば、湯の水位が高い状態で補水が行われることを防止し、湯貯め部2aから湯が溢れることを防止することができる。
【0147】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0148】
1 浴槽給湯システム
2 浴槽
2a 湯貯め部
5 水位検出部
6 コントローラ
30 給湯弁(調整弁)
31 給湯モータ
40 排水弁
41 排水モータ
50 中空管
51 圧力センサ
61 制御部(給湯制御部)
61B 算出部
61C 判定部
61E 推定部
100 水位検出装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14