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特許7375588PONシステム、局側装置、管理サーバ、設定方法、及び設置方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】PONシステム、局側装置、管理サーバ、設定方法、及び設置方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/44 20060101AFI20231031BHJP
【FI】
H04L12/44 200
H04L12/44 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020019594
(22)【出願日】2020-02-07
(65)【公開番号】P2021125839
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-07-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 誠
(72)【発明者】
【氏名】高柳 賢
【審査官】宮島 郁美
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/087457(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0295307(US,A1)
【文献】国際公開第2015/166791(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0023366(US,A1)
【文献】特開2007-274693(JP,A)
【文献】特開2017-017529(JP,A)
【文献】特開2015-095741(JP,A)
【文献】特開2019-140562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L12/00-12/66,13/00,41/00-49/9057,61/00-65/80,69/00-69/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
宅側装置が接続される複数の局側装置と、前記複数の局側装置を制御する管理サーバと、を備えるPONシステムであって、
宅側装置について、個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けた宅側装置情報を記憶する宅側装置情報記憶部と、
宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶するコンフィグ記憶部と、を有する前記管理サーバが設けられており、
固有の通信ネットワークの情報と一又は複数の前記サービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶する通信ネットワーク情報記憶部と、
宅側装置が接続された後で、該宅側装置の個体識別情報に応じた前記コンフィグファイルを前記管理サーバに要求し、該コンフィグファイルを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記コンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応する前記サービス種類に対応付けられた前記通信ネットワークの情報を加えた設定情報を作成して、前記宅側装置に設定する設定部と、を有する前記局側装置が複数設けられている、PONシステム。
【請求項2】
前記局側装置の前記通信ネットワーク情報記憶部は、前記通信ネットワーク情報において、同一の前記通信ネットワークの情報に対応する複数の前記サービス種類を記憶している、請求項1に記載のPONシステム。
【請求項3】
前記複数の局側装置には、第1の局側装置と、第2の局側装置とが含まれており、
前記第1の局側装置の前記通信ネットワーク情報記憶部は、第1の通信ネットワークの情報と第1のサービス種類とを対応付けた前記通信ネットワーク情報を記憶しており、
前記第2の局側装置の前記通信ネットワーク情報記憶部は、第2の通信ネットワークの情報と前記第1のサービス種類とは異なる第2のサービス種類とを対応付けた前記通信ネットワーク情報を記憶している、請求項1又は2に記載のPONシステム。
【請求項4】
宅側装置が接続される局側装置であって、
固有の通信ネットワークの情報と一又は複数のサービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶する通信ネットワーク情報記憶部と、
宅側装置が接続された後で、複数の宅側装置の個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けると共に宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶する管理サーバに対して、接続された宅側装置の個体識別情報に応じた前記コンフィグファイルを要求し、該コンフィグファイルを取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記コンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応する前記サービス種類に対応付けられた前記通信ネットワークの情報を加えた設定情報を作成して、前記宅側装置に設定する設定部と、を備える局側装置。
【請求項5】
宅側装置が接続される複数の局側装置を制御する管理サーバであって、
前記局側装置に接続予定の複数の宅側装置について、個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けた宅側装置情報を記憶する宅側装置情報記憶部と、
宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶するコンフィグ記憶部と、
宅側装置が接続された後の前記局側装置から前記コンフィグファイルの要求を受け、該コンフィグファイルの要求に係る宅側装置の個体識別情報と、前記宅側装置情報と、前記コンフィグ記憶部に記憶された情報とに基づき、前記宅側装置に設定するコンフィグファイルを特定する特定部と、
前記特定部によって特定された前記コンフィグファイルの情報に、宅側装置が接続された前記局側装置に係る通信ネットワークの情報を加えて設定情報を作成し、前記宅側装置に設定するように前記局側装置に設定指示を行う設定指示部と、を備える管理サーバ。
【請求項6】
宅側装置の設定方法であって、
宅側装置が接続された後で、複数の宅側装置について個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けると共に宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶する管理サーバに対して、接続された宅側装置の個体識別情報に応じた前記コンフィグファイルを要求し、該コンフィグファイルを取得する取得工程と、
前記取得工程において取得した前記コンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応する前記サービス種類に対応付けられて予め記憶されている通信ネットワークの情報を加えた設定情報を作成して、前記宅側装置に設定する設定工程と、を含む設定方法。
【請求項7】
局側装置を複数備えたPONシステムに宅側装置を設置する方法であって、
宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に管理サーバのデータベースに登録するステップと、
複数の局側装置に共通に接続しうる宅側装置を在庫登録するステップと、
前記宅側装置の個体識別情報と、前記宅側装置で提供するサービス種類を対応付ける宅側装置情報を、管理サーバのデータベースに登録するステップと、
前記宅側装置を前記複数の局側装置のいずれかに接続するステップを有し、
前記宅側装置が接続された後の局側装置は、前記宅側装置の個体識別情報を読み出し、前記個体識別情報に応じた前記コンフィグファイルの情報を管理サーバから受け、前記局側装置に係る通信ネットワークの情報を加えて設定情報を作成し、前記宅側装置に設定することで、
前記宅側装置が前記複数の局側装置のいずれに接続されても通信可能な状態にする、宅側装置の設置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、PONシステム、局側装置、管理サーバ、設定方法、及び設置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、FTTH(Fiber to the Home)等のサービスにおいて、光信号を複数に分岐して一心の光ファイバを複数ユーザで共有するPON(Passive Optical Network)システムが利用されている(例えば特許文献1参照)。PONシステムにおいては、例えば局側装置としてOLT(Optical Line Terminal)が用いられると共に宅側装置としてONU(OpticalNetwork Unit)が用いられ、OLTとONUとの間に光信号を合分波する光スプリッタが設けられることにより、1つのOLTに複数のONUが接続される。
【0003】
OLTを制御する管理サーバにおいては、ONUのマックアドレスを在庫として事前登録し、ONUの通信に係るコンフィグファイルを生成しておくことが考えられる。この場合、事前登録されたマックアドレスを持つONUがOLTに接続された際に、PON管理サーバから該ONUのコンフィグファイルがOLT経由でONUに設定され、ONUは通信可能な状態になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-82499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、PON管理サーバを運用する事業者には、複数のOLT毎に、配下で使用されるONUの通信サービスに用いられるVLAN(Virtual LAN)を分けて管理したいとの要望がある。この場合、上述したコンフィグファイルにおいては、予めOLT(詳細にはOLTに対応するVLANの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎に、通信に係るコンフィグファイルが生成される。このような管理方法においては、例えば第1のOLTに接続される予定であったONUを誤って第2のOLTに接続してしまった場合、ONUが通信可能な状態にならないことが問題となる。事業者としては拠点(OLT)を気にすることなくONUを設置したいという要望があるため、施工性の観点から、上述した管理方法は好ましくない。
【0006】
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、局側装置(OLT)との対応関係を気にせずに宅側装置(ONU)の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係るPONシステムは、宅側装置が接続される複数の局側装置と、複数の局側装置を制御する管理サーバと、を備えるPONシステムであって、宅側装置について、個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けた宅側装置情報を記憶する宅側装置情報記憶部と、宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶するコンフィグ記憶部と、を有する管理サーバが設けられており、固有の通信ネットワークの情報と一又は複数のサービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶する通信ネットワーク情報記憶部と、宅側装置が接続された際に、該宅側装置の個体識別情報に応じたコンフィグファイルを管理サーバに要求し、該コンフィグファイルを取得する取得部と、取得部によって取得されたコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられた通信ネットワークの情報を加えた設定情報を、宅側装置に設定する設定部と、を有する局側装置が複数設けられている。
【0008】
本発明の一態様に係る局側装置は、宅側装置が接続される局側装置であって、固有の通信ネットワークの情報と一又は複数のサービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶する通信ネットワーク情報記憶部と、宅側装置が接続された際に、複数の宅側装置の個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けると共に宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶する管理サーバに対して、接続された宅側装置の個体識別情報に応じたコンフィグファイルを要求し、該コンフィグファイルを取得する取得部と、取得部によって取得されたコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられた通信ネットワークの情報を加えた設定情報を、宅側装置に設定する設定部と、を備える。
【0009】
本発明の一態様に係る管理サーバは、宅側装置が接続される複数の局側装置を制御する管理サーバであって、局側装置に接続予定の複数の宅側装置について、個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けた宅側装置情報を記憶する宅側装置情報記憶部と、宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶するコンフィグ記憶部と、宅側装置が接続された局側装置からコンフィグファイルの要求を受け、該コンフィグファイルの要求に係る宅側装置の個体識別情報と、宅側装置情報と、コンフィグ記憶部に記憶された情報とに基づき、宅側装置に設定するコンフィグファイルを特定する特定部と、特定部によって特定されたコンフィグファイルの情報に、宅側装置が接続された局側装置に係る通信ネットワークの情報を加えて宅側装置に設定するように局側装置に設定指示を行う設定指示部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係る設定方法は、宅側装置の設定方法であって、宅側装置が接続された際に、複数の宅側装置について個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けると共に宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶する管理サーバに対して、接続された宅側装置の個体識別情報に応じたコンフィグファイルを要求し、該コンフィグファイルを取得する取得工程と、取得工程において取得したコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられて予め記憶されている通信ネットワークの情報を加えた設定情報を、宅側装置に設定する設定工程と、を含む。
【0011】
本発明の一態様に係る設置方法は、局側装置を複数備えたPONシステムに宅側装置を設置する方法であって、宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に管理サーバのデータベースに登録するステップと、複数の局側装置に共通に接続しうる宅側装置を在庫登録するステップと、宅側装置の個体識別情報と、宅側装置で提供するサービス種類を対応付ける宅側装置情報を、管理サーバのデータベースに登録するステップと、宅側装置を複数の局側装置のいずれかに接続するステップを有し、宅側装置が接続された局側装置は、宅側装置の個体識別情報を読み出し、個体識別情報に応じたコンフィグファイルの情報を管理サーバから受け、局側装置に係る通信ネットワークの情報を加えて、宅側装置に設定することで、宅側装置が複数の局側装置のいずれに接続されても通信可能な状態にする。
【発明の効果】
【0012】
上記によれば、局側装置(OLT)との対応関係を気にせずに宅側装置(ONU)の設置を可能にし、事業者の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、一実施形態に係るPONシステムの構成図である。
図2図2は、一実施形態に係るPONシステムの処理イメージの説明図である。
図3図3は、管理サーバ及びOLTの機能ブロック図である。
図4図4は、PONシステムにおける処理を示すシーケンス図である。
図5図5は、比較例に係るPONシステムの処理イメージの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[本願発明の実施形態の説明]
最初に本発明の実施形態を列記して説明する。本発明の一態様に係るPONシステムは、宅側装置が接続される複数の局側装置と、複数の局側装置を制御する管理サーバと、を備えるPONシステムであって、宅側装置について、個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けた宅側装置情報を記憶する宅側装置情報記憶部と、宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶するコンフィグ記憶部と、を有する管理サーバが設けられており、固有の通信ネットワークの情報と一又は複数のサービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶する通信ネットワーク情報記憶部と、宅側装置が接続された際に、該宅側装置の個体識別情報に応じたコンフィグファイルを管理サーバに要求し、該コンフィグファイルを取得する取得部と、取得部によって取得されたコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられた通信ネットワークの情報を加えた設定情報を、宅側装置に設定する設定部と、を有する局側装置が複数設けられている。
【0015】
本発明の一態様に係るPONシステムでは、管理サーバにおいて、接続予定の宅側装置の個体識別情報とサービス種類とが対応付けられた情報が記憶されると共に、サービス種類毎のコンフィグファイルが記憶されている。そして、各局側装置において、通信ネットワークの情報と提供するサービス種類とが対応付けられた情報が記憶されている。このような構成を前提として、本PONシステムでは、局側装置において、宅側装置が接続されると、宅側装置の個体識別情報に応じたコンフィグファイルが管理サーバからダウンロードされて、該コンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられた通信ネットワークの情報を加えた設定情報が宅側装置に設定される。このように、局側装置において、の情報とサービス種類とが対応付けて記憶され、宅側装置の個体識別情報に応じて取得したコンフィグファイルに該通信ネットワークの情報が付加されて宅側装置に設定されることにより、管理サーバでは単にサービス種類毎のコンフィグファイルが記憶され、局側装置(通信ネットワークの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎のコンフィグファイルが記憶されていない構成とされても、局側装置の配下で使用される宅側装置の通信サービスに用いられるVLANを分けて管理しながら、宅側装置に適切なコンフィグファイルを設定して宅側装置を通信可能な状態とすることができる。管理サーバにおいて局側装置(通信ネットワークの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎のコンフィグファイルが記憶されない(単にサービス種類毎のコンフィグファイルが記憶される)構成を採用できることにより、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置を設置することが可能になり、事業者の負担を軽減することができる。すなわち、通信ネットワークの情報が、局側装置でのみ管理され、宅側装置が接続された後に局側装置にて設定されるため、サービス種類が対応してさえいれば、どの局側装置に宅側装置を接続しても、該宅側装置を通信可能な状態とすることができる。また、管理サーバにおいて局側装置(通信ネットワークの情報)の管理が不要になるため、管理サーバにおけるデータベース管理が煩雑となることを回避できる。特に、1つの拠点(局側装置)において複数のVLANサービスが提供されるような場合には、その分、管理項目が増えてデータベース管理が煩雑になるが、本発明の一態様に係るPONシステムでは、そのような煩雑なデータベース管理となることを回避することができる。
【0016】
上記PONシステムにおいて、局側装置の通信ネットワーク情報記憶部は、通信ネットワーク情報において、同一の通信ネットワークの情報に対応する複数のサービス種類を記憶していてもよい。これにより、同一の通信ネットワークの情報に対応して複数のサービス種類が存在する場合においても、局側装置において上記設定情報を適切に宅側装置に設定することができる。
【0017】
上記PONシステムにおいて、前記複数の局側装置には、第1の局側装置と、第2の局側装置とが含まれており、第1の局側装置の通信ネットワーク情報記憶部は、第1の通信ネットワークの情報と第1のサービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶しており、第2の局側装置の通信ネットワーク情報記憶部は、第2の通信ネットワークの情報と第1のサービス種類とは異なる第2のサービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶していてもよい。これにより、PONシステムに含まれる複数の局側装置が互いに異なる種類のサービスの提供に係るものである場合においても、局側装置において上記設定情報を適切に宅側装置に設定することができる。
【0018】
本発明の一態様に係る局側装置は、宅側装置が接続される局側装置であって、固有の通信ネットワークの情報と一又は複数のサービス種類とを対応付けた通信ネットワーク情報を記憶する通信ネットワーク情報記憶部と、宅側装置が接続された際に、複数の宅側装置の個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けると共に宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶する管理サーバに対して、接続された宅側装置の個体識別情報に応じたコンフィグファイルを要求し、該コンフィグファイルを取得する取得部と、取得部によって取得されたコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられた通信ネットワークの情報を加えた設定情報を、宅側装置に設定する設定部と、を備える。このような局側装置によれば、局側装置の配下で使用される宅側装置の通信サービスに用いられるVLANを分けて管理しながら、宅側装置に適切なコンフィグファイルを設定して宅側装置を通信可能な状態とすることができる。管理サーバにおいて局側装置(通信ネットワークの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎のコンフィグファイルが記憶されない(単にサービス種類毎のコンフィグファイルが記憶される)構成を採用できることにより、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置を設置することが可能になり、事業者の負担を軽減することができる。
【0019】
本発明の一態様に係る管理サーバは、宅側装置が接続される複数の局側装置を制御する管理サーバであって、局側装置に接続予定の複数の宅側装置について、個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けた宅側装置情報を記憶する宅側装置情報記憶部と、宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶するコンフィグ記憶部と、宅側装置が接続された局側装置からコンフィグファイルの要求を受け、該コンフィグファイルの要求に係る宅側装置の個体識別情報と、宅側装置情報と、コンフィグ記憶部に記憶された情報とに基づき、宅側装置に設定するコンフィグファイルを特定する特定部と、特定部によって特定されたコンフィグファイルの情報に、宅側装置が接続された局側装置に係る通信ネットワークの情報を加えて宅側装置に設定するように局側装置に設定指示を行う設定指示部と、を備える。このような管理サーバによれば、局側装置の配下で使用される宅側装置の通信サービスに用いられるVLANを分けて管理しながら、宅側装置に適切なコンフィグファイルを設定して宅側装置を通信可能な状態とすることができる。管理サーバにおいて局側装置(通信ネットワークの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎のコンフィグファイルが記憶されない(単にサービス種類毎のコンフィグファイルが記憶される)構成を採用できることにより、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置を設置することが可能になり、事業者の負担を軽減することができる。
【0020】
本発明の一態様に係る設定方法は、宅側装置の設定方法であって、宅側装置が接続された際に、複数の宅側装置について個体識別情報と対応可能なサービス種類とを対応付けると共に宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶する管理サーバに対して、接続された宅側装置の個体識別情報に応じたコンフィグファイルを要求し、該コンフィグファイルを取得する取得工程と、取得工程において取得したコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられて予め記憶されている通信ネットワークの情報を加えた設定情報を、宅側装置に設定する設定工程と、を含む。このような設定方法によれば、局側装置の配下で使用される宅側装置の通信サービスに用いられるVLANを分けて管理しながら、宅側装置に適切なコンフィグファイルを設定して宅側装置を通信可能な状態とすることができる。管理サーバにおいて局側装置(通信ネットワークの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎のコンフィグファイルが記憶されない(単にサービス種類毎のコンフィグファイルが記憶される)構成を採用できることにより、局側装置との対応関係を気にせずに宅側装置を設置することが可能になり、事業者の負担を軽減することができる。
【0021】
本発明の一態様に係る設置方法は、局側装置を複数備えたPONシステムに宅側装置を設置する方法であって、宅側装置の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に管理サーバのデータベースに登録するステップと、複数の局側装置に共通に接続しうる宅側装置を在庫登録するステップと、宅側装置の個体識別情報と、宅側装置で提供するサービス種類を対応付ける宅側装置情報を、管理サーバのデータベースに登録するステップと、宅側装置を複数の局側装置のいずれかに接続するステップを有し、宅側装置が接続された局側装置は、宅側装置の個体識別情報を読み出し、個体識別情報に応じたコンフィグファイルの情報を管理サーバから受け、局側装置に係る通信ネットワークの情報を加えて、宅側装置に設定することで、宅側装置が複数の局側装置のいずれに接続されても通信可能な状態にする。
【0022】
[本発明の実施形態の詳細]
本発明の実施形態に係るPONシステムの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、説明において、同一要素または同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0023】
図1は、本実施形態に係るPONシステム1のシステム構成図である。PONシステム1は、例えばケーブルテレビ事業者等の事業者により運用されるシステムである。PONシステム1は、FTTHサービスの提供において、光信号を複数に分岐して一心の光ファイバを複数ユーザで共有するネットワークシステムである。図1に示されるように、PONシステム1は、管理サーバ10と、複数のOLT20(局側装置)と、複数のONU30(宅側装置)と、管理サーバ10及び複数のONU30間においてデータの転送処理を行うL3スイッチ50と、を備える。OLT20及び複数のONU30は、FTTHネットワークを介して互いに接続されている。
【0024】
図1に示されるように、管理サーバ10及びL3スイッチ50は、例えば事業者のセンタ内に設けられている。また、複数のOLT20は、例えば互いに異なるロケーションのサブセンタ(図1中では、サブセンタ1、サブセンタ2、サブセンタ3)に設けられている。例えばG-EPONでは、光伝送路の区間は、パッシブ部品の光カプラ等で分岐して20km範囲内とされる。このように、サービス区間が距離による制約で決まることから、サービス範囲を広げるべく、本実施形態に係るPONシステム1では、中継地点としてサブセンタを設置している。すなわち、PONシステム1では、複数のサブセンタに局側装置であるOLT20を設置すると共に、センタに管理サーバ10等の管理及び監視に係る装置を設置して、各拠点のOLT20及びONU30を管理している。
【0025】
また、図1に示されるように、本実施形態に係るPONシステム1では、各サブセンタのOLT20毎に配下で使用されるONU30の通信サービスに用いられるVLAN(Virtual LAN)が分けて管理されている。すなわち、PONシステム1では、OLT20毎に通信ネットワークが分けられている。図1に示される例では、サブセンタ1のOLT20の配下で使用されるONU30のVLANはVLAN-Aに属しており、サブセンタ2のOLT20の配下で使用されるONU30のVLANはVLAN-Bに属しており、サブセンタ3のOLT20の配下で使用されるONU30のVLANはVLAN-Cに属している。このようなONU30が使用するIPアドレスは、管理サーバ10のDHCPサーバに対して予め設定されている。
【0026】
管理サーバ10及び複数のOLT20の詳細について、図2及び図3も参照しながら説明する。図2は、PONシステム1の処理イメージの説明図である。図3は、管理サーバ10及びOLT20の機能ブロック図である。
【0027】
管理サーバ10は、ONU30が接続される複数のOLT20を制御する装置である。管理サーバ10は、例えば、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サーバ、TFTP(Trivial File Transfer Protocol)サーバ、及びバッチファイル等で構成されたプロビジョニングサーバである。DHCPサーバは、OLT20からDHCP情報要求を受信し、ONU30に設定されるIPアドレスを割り当てるサーバである。TFTPサーバは、OLT20からコンフィグファイル要求を受信し、OLT20に対してコンフィグファイルを転送するサーバである。管理サーバ10は、OLT20の登録及び状態監視(SNMP:Simple Network Management Protocol)、ONU30の登録及び状態確認、ONU30のサービスの管理等を行う。ONU30のサービスとは、通信帯域、速度、端末台数許可数等の情報である。
【0028】
管理サーバ10は、ONU30に適用(設定)されるコンフィグファイルを管理している。当該コンフィグファイルは、ONU30の通信の設定に係るコンフィグファイルである。ONU30に適用されるコンフィグファイルは、TFTPサーバのデータベースにおいて管理されている。管理サーバ10のTFTPサーバのデータベースでは、サービス種類毎にコンフィグファイルが記憶されている。サービス種類とは、例えばエンドユーザ向けの各速度サービスメニューに対応する情報であり、データ通信、電話、及び映像等の種別を示す情報である。なお、データ通信については、更に速度に応じて、例えば1G、100M、10M等のようにサービス種類が分かれていてもよい。また、TFTPサーバのデータベースにおいては、OLT20の同一のVLAN内で提供され得るサービス種類毎に、識別子であるマスクが対応付けて管理されている。図2に示される例では、コンフィグファイルのデータベースにおいて、同一のVLAN内で提供され得るデータ通信に係る1G、100M、10Mのサービス種類にマスク1が対応付けられると共に、これらのサービス種類とは同一のVLAN内で提供され得ない他のサービス種類(電話用)にマスク2が対応付けられている。
【0029】
OLT20は、固有のVLAN(通信ネットワーク)の情報と一又は複数のサービス種類とを対応付けて(紐づけて)記憶している。より詳細には、OLT20は、VLANの設定と該VLAN内で提供され得るサービス種類に対応するマスク(上述した、TFTPサーバのデータベースで管理されている識別子としてのマスク)とを対応付けて記憶している。例えば、図2に示されるVLAN-A、VLAN-B、VLAN-Cにおいて1G、100M、10Mのデータ通信が提供され得、VLAN-Dにおいて電話用のサービスが提供され得るとする。この場合、VLAN-AのOLT20ではVLAN-Aの設定とマスク1とが対応付けて記憶され、VLAN-BのOLT20ではVLAN-Bの設定とマスク1とが対応付けて記憶され、VLAN-CのOLT20ではVLAN-Cの設定とマスク1とが対応付けて記憶される。また、VLAN-CのOLT20では、VLAN-Dにおいて電話用のサービスが提供され得るため、VLAN-Dの設定とマスク2とが対応付けて記憶される。
【0030】
このような構成においては、例えばVLAN-AのOLT20及びVLAN-BのOLT20にそれぞれ1Gのデータ通信の提供を受けるONU30,30が接続される場合、これらのONU30,30に適用されるコンフィグファイルは、マスク1の1Gデータ通信用のコンフィグファイルで共通である。すなわち、接続先のOLT20のVLANが異なっていても、サービス種類が同じであるONU30,30には、管理サーバ10において管理される同一のコンフィグファイルが適用されることになる。ただし、最終的にONU30,30に設定される情報は、コンフィグファイルの情報(ONU30,30で同じ)にVLANの設定(ONU30,30で異なる)を加えた設定情報であるため、互いに異なる情報となる。
【0031】
図3に示されるように、管理サーバ10は、その機能として、コンフィグファイルDB11(コンフィグ記憶部)と、ONU情報DB12(宅側装置情報記憶部)と、特定部13と、設定指示部14と、を備えている。
【0032】
コンフィグファイルDB11は、ONU30の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶している。サービス種類毎に記憶しているとは、上述したように、データ通信(さらに詳細に1G、100M、10M等の速度に応じた種別)、電話、及び映像等の種別毎にコンフィグファイルを記憶していることを意味する。コンフィグファイルDB11は、VLAN及びサービス種類の組み合わせ毎にはコンフィグファイルを記憶しておらず、単に、サービス種類毎にコンフィグファイルを記憶している。コンフィグファイルDB11では、図2に示されるように、OLT20の同一のVLAN内で提供され得るサービス種類毎に、識別子であるマスクが対応付けて管理されている。コンフィグファイルには、サービス種別に応じた、ONU30の設定内容の全般(速度、UNI設定等)が規定されている。
【0033】
ONU情報DB12は、OLT20に接続予定の複数のONU30について、マックアドレス(個体識別情報)と対応可能なサービス種類とを対応付けたONU情報を記憶している。
【0034】
特定部13は、ONU30が接続されたOLT20からコンフィグファイルの要求を受け、該コンフィグファイルの要求に係るONU30のマックアドレスと、上述したONU情報DB12のONU情報と、コンフィグファイルDB11に記憶された情報とに基づき、ONU30に設定するコンフィグファイルを特定する。すなわち、特定部13は、ONU情報DB12を参照することにより、コンフィグファイルの要求に係るONU30のマックアドレスに対応するサービス種類(ONU30に提供予定のサービス種類)を特定する。そして、特定部13は、コンフィグファイルDB11を参照することにより、特定したサービス種類に対応するコンフィグファイルを特定する。
【0035】
設定指示部14は、特定部13によって特定されたコンフィグファイルの情報に、ONU30が接続されたOLT20に係るVLANの設定を加えてONU30に設定するようにOLT20に設定指示を行う。すなわち、設定指示部14は、コンフィグファイルの要求の送信元であるOLT20に対して、特定されたコンフィグファイルの情報を送付すると共に、上述した設定指示を行う。
【0036】
図3に示されるように、各OLT20は、その機能として、VLAN情報DB21(通信ネットワーク情報記憶部)と、取得部22と、設定部23と、を備えている。
【0037】
VLAN情報DB21は、当該OLT20固有のVLANの設定と一又は複数のサービス種類とを対応付けたVLAN情報を記憶している。VLAN情報においては、例えば同一のVLANの設定に対応する複数のサービス種類が記憶されている。例えば複数のOLT20,20(第1の局側装置,第2の局側装置)間において、VLAN情報DB21がVLANの設定に対応付けて記憶するサービス種類は、互いに異なっていてもよい。VLAN情報DB21は、VLANの設定と該VLAN内で提供され得るサービス種類に対応するマスク(上述した、コンフィグファイルDB11において記憶されている識別子としてのマスク)とを対応付けて記憶している。
【0038】
取得部22は、OLT20にONU30が接続された際に、管理サーバ10に対して、接続されたONU30のマックアドレスに応じたコンフィグファイルを要求し、該コンフィグファイルを取得する。
【0039】
設定部23は、取得部22によって取得されたコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられたVLANの設定を加えた設定情報をONU30に設定する。具体的には、設定部23は、管理サーバ10の設定指示部14からの設定指示に応じて、VLAN情報DB21を参照し、コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられたVLANの設定を特定する。そして、設定部23は、取得部22によって取得されたコンフィグファイルの情報に、特定したVLANの設定を加えた設定情報を生成し、該設定情報をONU30に送信する。これにより、ONU30において設定情報が設定される。
【0040】
次に、図4を参照して、本実施形態に係るPONシステム1における処理について説明する。図4は、PONシステム1における処理を示すシーケンス図である。なお、図4は、ONU30の設定方法を示すシーケンス図であると共に、ONU30の設置方法を示すシーケンス図でもある。
【0041】
図4に示される処理が行われる前提として、複数のOLT20に共通に接続しうるONU30を在庫登録している。また、各接続予定のONU30について、マックアドレスと対応可能なサービス種類とを対応付けた宅側装置情報が管理サーバ10のONU情報DB12に登録されている。また、各接続予定のONU30の通信の設定に係るコンフィグファイルがサービス種類毎に管理サーバ10のコンフィグファイルDB11に登録されている。
【0042】
そして、図4に示されるように、最初に、施工時においてランダムに選択された一のONU30の電源がONされる(ステップS1)。すなわち、ONU30を複数のOLT20のいずれかに接続する。ONU30の電源がONされると、OLT20(詳細にはOLT20におけるEPONに関する機能)は、該ONU30に対してONU認証要求を送信する(ステップS2)。ONU30は、該ONU認証要求を受信すると、OLT20に対してONU認証応答を送信する(ステップS3)。これにより、ONU30の認証(登録)が完了し、OLT20とONU30とが紐づく(接続される)。OLT20のEPONに関する機能は、OLT20における専用のソフトウェア(バーチャルケーブルモデム)に対してONU登録完了通知を送信する(ステップS4)。
【0043】
つづいて、OLT20は、管理サーバ10に含まれるDHCPサーバに対してDHCP情報要求を送信する(ステップS5)。DHCPサーバは、該DHCP情報要求を受信すると、IPアドレスのプール情報を参照し、OLT20に対してDHCP情報応答を送信する(ステップS6)。これにより、OLT20は、DHCPサーバからONU30のIPアドレスを取得する。つづいて、OLT20は、管理サーバ10に含まれるTFTPサーバに対してコンフィグファイル要求を送信し(ステップS7)、TFTPサーバからコンフィグファイルをダウンロードする(ステップS8)。ステップS7において、OLT20は、ONU30のマックアドレスを読出し、マックアドレスに応じたコンフィグファイルを要求する。
【0044】
つづいて、OLT20は、取得したコンフィグファイルの情報に、コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられて予め記憶されている(VLAN情報DB21に記憶されている)VLANの設定を加えた設定情報を生成し(ステップS9)、該設定情報をONU30に送信する(ステップS10)。これにより、ONU30において設定情報が設定され、ONU30が通信可能な状態(オンライン状態)となる(ステップS11)。このような方法によれば、ONU30が複数のOLT20のいずれに接続されても、(サービス種類が合致していれば)、通信可能な状態になる。
【0045】
次に、本実施形態に係るPONシステム1の作用効果について、比較例に係るPONシステム100(図5参照)と対比しながら説明する。
【0046】
従来より、PON管理サーバを運用する事業者には、複数のOLT毎に、配下で使用されるONUの通信サービスに用いられるVLANを分けて管理したいとの要望がある。このため、例えば図5に示される比較例に係るPONシステム100のように、管理サーバ110において、予めOLT120(詳細にはOLT120に対応するVLANの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎にコンフィグファイルを保持する構成を採用することが考えられる。しかしながら、このような構成を採用した管理方法においては、例えばAA地区のVLAN-AのOLT120に接続される予定であったONU130を誤ってBB地区のVLAN-BのOLT120に接続してしまった場合には、ONU130が通信可能な状態にならないことが問題となる。事業者としては拠点(OLT)を気にすることなくONUを設置したいという要望があるため、施工性の観点から、比較例に係る図5の構成を採用した管理方法は好ましくない。
【0047】
上述した課題を解決すべく、本実施形態に係るPONシステム1は、ONU30が接続される複数のOLT20と、複数のOLT20を制御する管理サーバ10と、を備えるPONシステム1であって、管理サーバ10は、OLT20に接続予定の複数のONU30について、マックアドレスと対応可能なサービス種類とを対応付けたONU情報を記憶するONU情報DB12と、ONU30の通信の設定に係るコンフィグファイルをサービス種類毎に記憶するコンフィグファイルDB11と、を有し、複数のOLT20は、固有のVLANの情報と一又は複数のサービス種類とを対応付けたVLAN情報を記憶するVLAN情報DB21と、ONU30が接続された際に、該ONU30のマックアドレスに応じたコンフィグファイルを管理サーバ10に要求し、該コンフィグファイルを取得する取得部22と、取得部22によって取得されたコンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられたVLANの情報を加えた設定情報を、ONU30に設定する設定部23と、を備える。
【0048】
本実施形態に係るPONシステム1では、管理サーバ10において、接続予定のONU30のマックアドレスとサービス種類とが対応付けられた情報が記憶されると共に、サービス種類毎のコンフィグファイルが記憶されている。そして、各OLT20において、VLANの情報と提供するサービス種類とが対応付けられた情報が記憶されている。このような構成を前提として、本PONシステム1では、OLT20において、ONU30が接続されると、ONU30のマックアドレスに応じたコンフィグファイルが管理サーバ10からダウンロードされて、該コンフィグファイルの情報に、該コンフィグファイルに対応するサービス種類に対応付けられたVLANの情報を加えた設定情報がONU30に設定される。このように、OLT20において、VLANの情報とサービス種類とが対応付けて記憶され、ONU30のマックアドレスに応じて取得したコンフィグファイルに該VLANの情報が付加されてONU30に設定されることにより、管理サーバ10では単にサービス種類毎のコンフィグファイルが記憶され、OLT20(VLANの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎のコンフィグファイルが記憶されていない構成とされても、OLT20の配下で使用されるONU30の通信サービスに用いられるVLANを分けて管理しながら、ONU30に適切なコンフィグファイルを設定してONU30を通信可能な状態とすることができる。管理サーバ10においてOLT20(VLANの情報)及びサービス種類の組み合わせ毎のコンフィグファイルが記憶されない(単にサービス種類毎のコンフィグファイルが記憶される)構成を採用できることにより、OLT20との対応関係を気にせずにONU30を設置することが可能になり、事業者の負担を軽減することができる。すなわち、VLANの情報が、OLT20でのみ管理され、ONU30が接続された後にOLT20にて設定されるため、サービス種類が対応してさえいれば、どのOLT20にONU30を接続しても、該ONU30を通信可能な状態とすることができる。また、管理サーバ10においてOLT20(VLANの情報)の管理が不要になるため、管理サーバ10におけるデータベース管理が煩雑となることを回避できる。特に、1つの拠点(OLT)において複数のVLANサービスが提供されるような場合には、その分、管理項目が増えてデータベース管理が煩雑になるが、本実施形態に係るPONシステム1では、そのような煩雑なデータベース管理となることを回避することができる。
【0049】
上記PONシステム1において、OLT20のVLAN情報DB21は、VLAN情報において、同一のVLANに対応する複数のサービス種類を記憶していてもよい。これにより、同一のVLANに対応して複数のサービス種類が存在する場合においても、OLT20において上記設定情報を適切にONU30に設定することができる。
【0050】
上記PONシステム1において、複数のOLT20には、第1のOLT20と、第2のOLT20とが含まれており、第1のOLT20のVLAN情報DB21は、第1のVLANと第1のサービス種類(例えばデータ通信)とを対応付けたVLAN情報を記憶しており、第2のOLT20のVLAN情報DB21は、第2のVLANと第1のサービス種類とは異なる(第1のサービス種類とは同じVLANにてサービスを提供し得ない)第2のサービス種類(例えば電話)とを対応付けたVLAN情報を記憶していてもよい。これにより、PONシステム1に含まれる複数のOLT20,20が互いに異なる種類のサービスの提供に係るものである場合においても、OLT20において上記設定情報を適切にONU30に設定することができる。
【0051】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0052】
1…PONシステム、10…管理サーバ、11…コンフィグファイルDB、12…ONU情報DB、13…特定部、14…設定指示部、20…OLT、21…VLAN情報DB、22…取得部、23…設定部、30…ONU、50…L3スイッチ、100…PONシステム、110…管理サーバ、120…OLT、130…ONU。
図1
図2
図3
図4
図5