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特許7375597車載ECU、情報処理方法及び車載システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】車載ECU、情報処理方法及び車載システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/06 20060101AFI20231031BHJP
   G06F 11/07 20060101ALI20231031BHJP
   G06F 9/50 20060101ALI20231031BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B60W50/06
G06F11/07 140R
G06F9/50 120B
F02D45/00 374
G06F11/07 181
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020022615
(22)【出願日】2020-02-13
(65)【公開番号】P2021128531
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2022-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】河野 智哉
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-85686(JP,A)
【文献】特開2014-135025(JP,A)
【文献】特開2015-116911(JP,A)
【文献】特開2010-241298(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
F02D 41/00-45/00
G06F 9/455- 9/54
G06F 11/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される複数の車載装置及び、前記車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置と通信可能に接続される車載ECUであって、
前記車載装置の制御に関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御の優先度を決定し、
前記制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複し、
前記制御部による優先度の決定は、前記車両制御装置による優先度の決定よりも優先される
車載ECU。
【請求項2】
車両に搭載される複数の車載装置及び、前記車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置と通信可能に接続される車載ECUであって、
前記車載装置の制御に関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御の優先度を決定し、
前記制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複し、
前記複数の車載装置は、第1車載装置及び、前記第1車載装置が出力する制御に関する情報よりも、緊急性が高い制御に関する情報を出力する第2車載装置を含み、
前記制御部は、
前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を前記車両制御装置に中継し、
前記第2車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第2車載装置から出力された制御に関する情報に基づき優先度を決定するための処理を実行する
車載ECU。
【請求項3】
前記制御部は、
前記車両制御装置によって優先度が決定された結果に基づく制御に関する情報を取得し、
前記第2車載装置から出力された制御に関する情報を取得し、
取得した前記車両制御装置によって優先度が決定された結果に基づく制御に関する情報及び、前記第2車載装置から出力された制御に関する情報に基づき優先度を決定するための処理を実行する
請求項に記載の車載ECU。
【請求項4】
前記緊急性の高低は、ISO26262のASIL(Automotive Safety Integrity Level)に基づき決定され、
優先度の決定の対象となる車載装置への制御に関するASILの安全度が高くなるにつれ、該制御の緊急性は高くなる
請求項又は請求項に記載の車載ECU。
【請求項5】
車両に搭載される複数の車載装置及び、前記車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置と通信可能に接続される車載ECUであって、
前記車載装置の制御に関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御の優先度を決定し、
前記制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複し、
前記競合する複数の制御において割込み処理が含まれる場合、前記制御部は、前記車両制御装置による優先度の決定よりも前記割込み処理を優先して、前記競合する複数の制御における優先度を決定する
車載ECU。
【請求項6】
前記割込み処理に関する情報を出力する車載装置は、前記車載ECUに直接、接続されている
請求項に記載の車載ECU。
【請求項7】
前記車載装置と通信するための通信部又は、前記車載装置への電力の供給及び遮断を行うリレー制御部を備え、
前記制御部による優先度の決定の対象となる車載装置は、前記通信部又は前記リレー制御部を介して前記車載ECUと直接、接続される
請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の車載ECU。
【請求項8】
コンピュータに、
車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置による優先度の決定対象の車載装置又は連関する車載装置群と、少なくも一部において重複する車載装置又は車載装置群に対する制御が競合する場合、該制御における優先度を決定し、
前記コンピュータによる優先度の決定は、前記車両制御装置による優先度の決定よりも優先される
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項9】
車両に搭載される複数の車載装置に通信可能に接続される車両制御装置と、
前記複数の車載装置に通信可能に接続される複数の車載ECUとを
備える車載システムであって、
前記車載ECU及び前記車両制御装置は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御における優先度の決定を行う制御部を含み、
前記車載ECUの制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置の制御部による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複し、
前記車載ECUの制御部による優先度の決定は、前記車両制御装置による優先度の決定よりも優先される
車載システム。
【請求項10】
コンピュータに、
車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置による優先度の決定対象の車載装置又は連関する車載装置群と、少なくも一部において重複する車載装置又は車載装置群に対する制御が競合する場合、該制御における優先度を決定し、
前記車載装置は、第1車載装置及び、前記第1車載装置が出力する制御に関する情報よりも、緊急性が高い制御に関する情報を出力する第2車載装置を含み、
前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を前記車両制御装置に中継し、
前記第2車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第2車載装置から出力された制御に関する情報に基づき優先度を決定するための処理を実行する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項11】
車両に搭載される複数の車載装置に通信可能に接続される車両制御装置と、
前記複数の車載装置に通信可能に接続される複数の車載ECUとを
備える車載システムであって、
前記車載ECU及び前記車両制御装置は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御における優先度の決定を行う制御部を含み、
前記車載ECUの制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置の制御部による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複し、
前記複数の車載装置は、第1車載装置及び、前記第1車載装置が出力する制御に関する情報よりも、緊急性が高い制御に関する情報を出力する第2車載装置を含み、
前記車載ECUの制御部は、
前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を前記車両制御装置に中継し、
前記第2車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第2車載装置から出力された制御に関する情報に基づき優先度を決定するための処理を実行する
車載システム。
【請求項12】
コンピュータに、
車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置による優先度の決定対象の車載装置又は連関する車載装置群と、少なくも一部において重複する車載装置又は車載装置群に対する制御が競合する場合、該制御における優先度を決定し、
前記競合する複数の制御において割込み処理が含まれる場合、前記車両制御装置による優先度の決定よりも前記割込み処理を優先して、前記競合する複数の制御における優先度を決定する
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項13】
車両に搭載される複数の車載装置に通信可能に接続される車両制御装置と、
前記複数の車載装置に通信可能に接続される複数の車載ECUとを
備える車載システムであって、
前記車載ECU及び前記車両制御装置は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御における優先度の決定を行う制御部を含み、
前記車載ECUの制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置の制御部による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複し、
前記競合する複数の制御において割込み処理が含まれる場合、前記車載ECUの制御部は、前記車両制御装置による優先度の決定よりも前記割込み処理を優先して、前記競合する複数の制御における優先度を決定する
車載システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載ECU、情報処理方法及び車載システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、エンジン、トランスミッション、モータジェネレータ、ブレーキ装置及びステアリング装置などの車載装置を制御するための制御システムが搭載されている。(例えば特許文献1)。特許文献1の制御システムは、同一の車載装置への制御信号が競合する場合に優先度の決定処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-30633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の制御システムは、当該制御システムによる制御対象となる車載装置に対する単一の機能部が優先度を決定する構成となっているため、当該車載装置への複数の制御が競合した場合、これら競合する制御における優先度の決定が困難となることが懸念される。
【0005】
本発明は、車載装置への複数の制御が競合した場合、これら競合する制御における優先度の決定を効率的に行うことができる車載ECU等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る車載ECUは、車両に搭載される複数の車載装置及び、前記車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置と通信可能に接続される車載ECUであって、
前記車載装置の制御に関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御の優先度を決定し、
前記制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、車載装置への複数の制御が競合した場合、これら競合する制御における優先度の決定に関する処理を効率的に行うことができる車載ECU等を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る個別ECU(車載ECU)及び統合ECU(車両制御装置)を含むシステム構成を例示する模式図である。
図2】個別ECU(車載ECU)の内部構成を例示するブロック図である。
図3】車載ECU間(個別ECUと統合ECU)の接続形態を例示する模式図である。
図4】個別ECU(車載ECU)の制御部の処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載ECUは、車両に搭載される複数の車載装置及び、前記車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置と通信可能に接続される車載ECUであって、
前記車載装置の制御に関する処理を行う制御部を備え、
前記制御部は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御の優先度を決定し、
前記制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複する。
【0011】
本態様にあたっては、車載装置に対する制御が競合する場合、車載ECUの制御部は、当該競合する制御に対する優先度を決定する。車載ECUによる当該優先度の決定の対象となる車載装置は、車両制御装置による優先度の決定の対象となる車載装置と、少なくも一部において重複する。同一の車載装置に対する優先度の決定に関する処理を、車両制御装置及び、当該車両制御装置とは別途の装置である車載ECUによって、分離又は分担して行うことにより、当該優先度の決定に関する処理を効率的に行うことができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載ECUは、前記制御部による優先度の決定は、前記車両制御装置による優先度の決定よりも優先される。
【0013】
本態様にあたっては、車載ECUの制御部による優先度の決定は、車両制御装置による優先度の決定よりも優先される。従って、当該車両制御装置の処理負荷が高い状態にある場合であっても、車載ECUの制御部による優先度の決定を優先することにより、優先度の決定の対象となる車載装置に対する優先度の決定及び、当該優先度の決定結果に基づいた制御に遅延が発生することを抑制することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載ECUは、前記車載装置と通信するための通信部又は、前記車載装置への電力の供給及び遮断を行うリレー制御部を備え、
前記制御部による優先度の決定の対象となる車載装置は、前記通信部又は前記リレー制御部を介して自ECUと直接、接続される。
【0015】
本態様にあたっては、車載ECUは、車載装置と通信するための通信部又は、車載装置への電力の供給及び遮断を行うリレー制御部を備える。車載ECUは、通信部又はリレー制御部を介して自ECUに直接、接続される車載装置を、制御部による優先度の決定の対象となる車載装置とすることにより、当該優先度の決定結果に基づく制御に関する情報を、効率的に優先度の決定の対象となる車載装置に出力することができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載ECUは、前記通複数の車載装置は、第1車載装置及び、前記第1車載装置が出力する制御に関する情報よりも、緊急性が高い制御に関する情報を出力する第2車載装置を含み、
前記制御部は、
前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第1車載装置から出力された制御に関する情報を前記車両制御装置に中継し、
前記第2車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合は、前記第2車載装置から出力された制御に関する情報に基づき優先度を決定するための処理を実行する。
【0017】
本態様にあたっては、車載ECUの制御部は、第1車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合、当該情報を車両制御装置に中継する。更に、制御部は、第1車載装置からの情報よりも緊急性が高い情報である第2車載装置から出力された制御に関する情報を取得した場合、当該情報に基づき優先度を決定するための処理を実行する。従って、同一の車載装置に対する優先度の決定に関する処理を行うにあたり、通常は車両制御装置が当該優先度の決定を行い、制御に要する所要時間が短くリアルタイム性を要求されるような緊急性が高い制御に関する情報に基づく優先度の決定は、車載EUCが行うことにより、車両制御における緊急性要件に効率的に対応することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載ECUは、前記制御部は、
前記車両制御装置によって優先度が決定された結果に基づく制御に関する情報を取得し、
前記第2車載装置から出力された制御に関する情報を取得し、
取得した前記車両制御装置によって優先度が決定された結果に基づく制御に関する情報及び、前記第2車載装置から出力された制御に関する情報に基づき優先度を決定するための処理を実行する。
【0019】
本態様にあたっては、車載ECUの制御部は、車両制御装置から優先度の決定した結果に基づく制御に関する情報及び、第2車載装置から出力された制御に関する情報に基づき優先度を決定するための処理を実行するため、効率的に優先度の決定に関する処理を行うことができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載ECUは、前記緊急性の高低は、ISO26262のASIL(Automotive Safety Integrity Level)に基づき決定され、
優先度の決定の対象となる車載装置への制御に関するASILの安全度が高くなるにつれ、該制御の緊急性は高くなる。
【0021】
本態様にあたっては、緊急性の高低は、ISO26262のASILに基づき決定されるものであり、すなわちASILにおける安全レベルが高くになるにつれて、当該緊急性も高いものとなる。従って、安全レベルに応じた緊急性の高い制御の優先度の決定を効率的に実効することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載ECUは、前記競合する複数の制御において割込み処理が含まれる場合、前記制御部は、前記車両制御装置による優先度の決定よりも前記割込み処理を優先して、前記競合する複数の制御における優先度を決定する。
【0023】
本態様にあたっては、車載ECUの制御部による優先度の決定は割込み処理の有無を加味して行われるものであり、すなわち車載ECUの制御部による、当該割込み処理に基づく優先度の決定は、車両制御装置による優先度の決定よりも優先される。従って、当該車両制御装置の処理負荷が高い状態にある場合であっても、車載ECUの制御部による優先度の決定を優先することにより、優先度の決定の対象となる車載装置に対する優先度の決定及び、当該優先度の決定結果に基づいた制御に遅延が発生することを抑制することができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る車載ECUは、前記割込み処理に関する情報を出力する車載装置は、自ECUに直接、接続されている。
【0025】
本態様にあたっては、割込み処理に関する情報を出力する車載装置は、自ECUに直接、接続されているため、制御部は、当該割込み処理に関する情報の取得における遅延が発生することを抑制し、割込み処理の有無に応じて競合する複数の制御の優先度を決定することができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータに、車載装置の制御に関する優先度の決定を行う車両制御装置による優先度の決定対象の車載装置又は連関する車載装置群と、少なくも一部において重複する車載装置又は車載装置群に対する制御が競合する場合、該制御における優先度を決定する
処理を実行させる。
【0027】
本態様にあたっては、コンピュータを、車載装置への複数の制御が競合した場合、これら競合する制御における優先度の決定を効率的に行うことができる車載ECUとして機能させる情報処理方法を提供することができる。
【0028】
(10)本開示の一態様に係る車載システムは、車両に搭載される複数の車載装置に通信可能に接続される車両制御装置と、
前記複数の車載装置に通信可能に接続される複数の車載ECUとを
備える車載システムであって、
前記車載ECU及び前記車両制御装置は、前記複数の車載装置における、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群への制御が競合する場合、該制御における優先度の決定を行う制御部を含み、
前記車両制御装置の制御部による優先度の決定の対象となる車載装置と、前記車両制御装置の制御部による優先度の決定の対象となる車載装置とは、少なくも一部において重複する。
【0029】
本態様にあたっては、車載装置への複数の制御が競合した場合、これら競合する制御における優先度の決定を効率的に行う車載システムを提供することができる。
【0030】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載ECU(個別ECU2)を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0031】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る個別ECU2(車載ECU)及び統合ECU6(車両制御装置)を含むシステム構成を例示する模式図である。図2は、個別ECU2(車載ECU)の内部構成を例示するブロック図である。
【0032】
車載システムSは、車両に搭載される複数の個別ECU2(車載ECU)、複数の車載装置3及び統合ECU6(車両制御装置)を含む。個別ECU2は、車両における各エリアに配置され、当該個別ECU2に車載ネットワーク4を介して接続される複数の車載装置3間の通信又は、車載装置3と統合ECU6との通信を中継するゲートウェイ又はイーサスイッチ等の車載中継装置として機能する中継制御ECUである。当該個別ECU2は、いずれかの車載装置3又は、連関する車載装置3群への制御が競合する場合、該制御の優先度を決定する機能を備える車載ECUに相当する。個別ECU2は、通信に関する中継に加え、蓄電装置から出力された電力を分配及び中継し、自ECUに接続される車載装置3に供給する電力分配装置としても機能するPLB(Power Lan Box)であってもよい
【0033】
統合ECU6は、個別ECU2を介して中継された車載装置3からのデータに基づき、個々の車載装置3への制御信号を生成及び出力するものであり、例えばヴィークルコンピュータ等の中央制御装置である。統合ECU6は、いずれかの車載装置3又は、連関する車載装置3群への制御が競合する場合、該制御の優先度を決定する機能を備える車両制御装置に相当する。
【0034】
車載装置3は、例えばLiDAR(Light Detection and Ranging)、ライトセンサ、CMOSカメラ、赤外線センサ等の各種センサ31、フォグランプSW,マニュアルSWなどのスイッチ32、ヘッドライト等のランプ装置301等(図3参照)のアクチュエータ30及び、故障検知ECU331等のECU33を含む。
【0035】
個別ECU2及び統合ECU6は、いずれかの車載装置3に対する複数の制御が競合する場合、当該複数の制御の優先度を決定するための処理(優先度の決定処理)を行う。個別ECU2及び統合ECU6における優先度の決定の対象となる車載装置3の内、少なくとも一部の車載装置3は、重複している。すなわち、同一の車載装置3に対し、個別ECU2及び統合ECU6の双方の装置によって、優先度の決定に関する処理が行われる。当該優先度の決定処理に関する詳細については、後述する。
【0036】
外部サーバ100は、例えばインターネット又は公衆回線網等の車外ネットワークNに接続されているサーバ等のコンピュータであり、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)又はハードディスク等による記憶部を備える。いずれかの個別ECU2は、車外通信装置1と通信可能に接続され、車外通信装置1車外ネットワークNを介して接続された外部サーバ100と通信し、外部サーバ100と、車両Cに搭載される車載装置3との間の通信を中継するものであってもよい。
【0037】
車両Cには、統合ECU6、車外通信装置1、個別ECU2、及び複数の車載装置3が搭載されている。個別ECU2と車外通信装置1とは、例えばシリアルケーブル等のワイヤーハーネスにより通信可能に接続されている。個別ECU2及び車載装置3は、CAN(Control Area Network/登録商標)又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルに対応した通信線41及び車載ネットワーク4によって通信可能に接続されている。個別ECU2及び車載装置3における通信プロトコルは、LIN、MOST、FlexRay等によるものであってもよい。又は、個別ECU2及び車載装置3は、例えばシリアルケーブル等のワイヤーハーネスにより通信可能に接続されるものであってもよい。
【0038】
車外通信装置1は、車外通信部(図示せず)及び、個別ECU2と通信するための入出力I/F(図示せず)を含む。車外通信部は、3G、LTE(Long Term Evolution/登録商標)、4G、WiFi等の移動体通信のプロトコルを用いて無線通信をするための通信装置であり、車外通信部に接続されたアンテナ11を介して外部サーバ100とデータの送受信を行う。車外通信装置1と外部サーバ100との通信は、例えば公衆回線網又はインターネット等の外部ネットワークNを介して行われる。入出力I/Fは、個別ECU2と、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。車外通信装置1と個別ECU2とは、入出力I/F及び入出力I/Fに接続されたシリアルケーブル等のワイヤーハーネスを介して相互に通信する。本実施形態では、車外通信装置1は、個別ECU2と別装置とし、入出力I/F等によってこれら装置を通信可能に接続しているが、これに限定されない。車外通信装置1は、個別ECU2の一構成部位として、個別ECU2に内蔵されるものであってもよい。
【0039】
個別ECU2は、制御部20、記憶部21、入出力I/F22、車内通信部23及びリレー制御部24を含む。車内通信部23及び入出力I/F22は、個別ECU2に接続される車載装置3と通信するための通信部に相当する。
【0040】
個別ECU2夫々は、例えば、認知系の車載装置3、判断系の車載装置3及び、操作系の車載装置3等の複数の通信線41による系統夫々のセグメントを統括し、これらセグメント間での車載装置3同士の通信を中継するゲートウェイ(中継器)として機能する。複数の通信線41夫々は、各セグメント(エリア)におけるバスに相当するものであり、個別ECU2は、自ECUに接続されるエリアを管理するエリア・コントロール・ユニットとして機能するものであってもよい。又、個別ECU2は、リチウムイオン電池等の二次電池からなる蓄電装置(図示せず)と接続され、蓄電装置から供給される電力を、自ECUが管理するセグメントに含まれる車載装置3に分配するPLB(Power Lan Box)として機能するものであってもよい。個別ECU2は、車外通信装置1が無線通信によって外部サーバ100から受信した更新プログラムを、車外通信装置1から取得し、車載ネットワーク4を介して当該更新プログラムを所定の車載装置3(更新対象の車載装置3)に送信するように構成されているもの(リプロマスター)であってもよい。
【0041】
制御部20は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部21に予め記憶された制御プログラム及びデータを読み出して実行することにより、上述した優先度の決定処理を含む種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。
【0042】
記憶部21は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子により構成してあり、制御プログラム及び処理時に参照するデータがあらかじめ記憶してある。記憶部21に記憶された制御プログラムは、個別ECU2が読み取り可能な記録媒体211から読み出された制御プログラムを記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムをダウンロードし、記憶部21に記憶させたものであってもよい。
【0043】
記憶部21には、車載装置3間の通信、車載装置3と統合ECU6との通信又は、車載装置3と外部サーバ100との間の通信のための中継処理を行うにあたり用いられる中継経路情報(ルーティングテーブル)が、記憶される。当該中継経路情報は、通信プロトコルに基づき書式が決定される。通信プロトコルがCANの場合、CAN用中継経路情報は、CANメッセージに含まれるメッセージ識別子(CAN-ID)及び、当該CAN-IDに関連付けられた中継先(CAN通信部232のI/Oポート番号)を含む。通信プロトコルがTCP/IPの場合、TCP/IP用中継経路情報は、IPパケットに含まれる送信先アドレス(MACアドレス又はIPアドレス)及び、当該送信先アドレスに関連付けられた中継先(イーサネット通信部231の物理ポート番号)を含む。
【0044】
入出力I/F22は、車外通信装置1の入出力I/Fと同様に、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F22を介して、個別ECU2は、車外通信装置1及び、センサ31、スイッチ32又はアクチュエータ30等の車載装置3と通信可能に接続される。
【0045】
車内通信部23は、例えばCAN(Control Area Network)又はイーサネット(Ethernet/登録商標)の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイス(CAN通信部232、イーサネット通信部231)であり、制御部20は、車内通信部23を介して車載ネットワーク4に接続されている車載装置3又は他の中継装置等の車載機器と相互に通信する。
【0046】
イーサネット通信部231は、100BASE-T1又は1000BASE-T1等のイーサネットケーブル411にて伝送されるTCP/IPのパケットに対応するイーサネットPHY部である。
【0047】
CAN通信部232は、CANバス412上にて伝送されるCANメッセージに対応するものであり、ハイ側及びロー側の2本の配線により構成されるCANバス412上の差動電圧の電位差による波形を受信し、受信した波形を1と0のビット列で表される信号に復号するCANトランシーバである。又は、CAN通信部232は、CANトランシーバ及びCANコントローラを含むものであってもよい。
【0048】
車内通信部23(イーサネット通信部231、CAN通信部232)は、複数個設けられており、車内通信部23夫々に、車載ネットワーク4を構成する通信線41夫々(イーサネットケーブル411、CANバス412)、すなわちバス夫々が接続されている。このように車内通信部23を複数個設けることにより、車載ネットワーク4を複数個のセグメントに分け、各セグメントに車載装置3を、当該車載装置3の機能(認知系機能、判断系機能、操作系機能)に応じて接続するものであってもよい。
【0049】
リレー制御部24は、例えばFET(Field effect transistor)等の半導体スイッチ又は機械式リレーを含み、電源線5を介してランプ装置301等のアクチュエータ30に接続されている。リレー制御部24は、アクチュエータ30等の車載装置3への電力の供給及び遮断を行うリレー制御部24は、制御部20から出力された制御信号(リレー制御信号)に基づき、当該半導体スイッチをオン又はオフにすることにより、電源線5にて接続されているアクチュエータ30の駆動を制御する。
【0050】
当該アクチュエータ30の駆動を制御するにあたって、半導体スイッチを内包するリレー制御部24は一例であり、これに限定されない。リレー制御部24は、個別ECU2に接続されるアクチュエータ30の駆動を制御するためのアクチュエータ駆動制御部であってもよい。すなわち、アクチュエータ30の駆動を制御するためのアクチュエータ駆動制御部は、車内通信部23又は入出力I/F22を含む通信部を介して接続されるアクチュエータ30に制御信号を出力し、当該アクチュエータ30の駆動を制御するものであってもよい。アクチュエータ駆動制御部は、制御部20が制御プログラムを実行することにより機能する機能部であってもよい。
【0051】
このように構成された統合ECU6、複数の個別ECU2は、例えば図1に示すとおり、リング状のネットワークトポロジーにて通信可能に接続されている。すなわち、統合ECU6及び個別ECU2は複数個のイーサネット通信部231を備え、リング状のネットワークトポロジーを構成し、双方向通信を可能として冗長化を図るものであってもよい。更に、当該リング状のネットワークトポロジーにて、統合ECU6に直接的に隣接していない個別ECU2と、統合ECU6とをイーサネットケーブル411等による通信線41で接続してバイパスラインを形成し、通信経路の更なる冗長化を図るものであってもよい。又は、CANバス412によるバス状のネットワークトポロジーにて、統合ECU6及び、複数の個別ECU2を通信可能に接続するものであってもよい。
【0052】
図3は、車載ECU間(個別ECU2と統合ECU6)の接続形態を例示する模式図である。統合ECU6(車両制御装置)は、個別ECU2と同様に、制御部60、記憶部61及び、イーサネット通信部621を含む車内通信部62を備え、例えば車両C全体を制御するヴィークルコンピュータ等の中央制御装置である。統合ECU6は、当該中央制御装置における一機能部として動作するものであってもよい。
【0053】
個別ECU2の制御部20は、記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、中継部201、制御信号生成部202及び割込処理受付部203として機能する。
【0054】
個別ECU2の中継部201は、車内通信部23又は入出力I/F22を介して、車載装置3から出力(送信)された情報を、統合ECU6、他の車載装置3、又は他の個別ECU2に中継する。このように統合ECU6に中継される情報を出力する車載装置3は、第1車載装置に相当する。
【0055】
個別ECU2の制御信号生成部202は、車内通信部23又は入出力I/F22を介して車載装置3から取得した情報に基づき、優先度の決定の対象となる車載装置3を制御するための制御信号を生成し、割込処理受付部203に出力する。このように制御信号生成部202によって取得される情報を出力する車載装置3は、第2車載装置に相当する。すなわち車載装置3は、第1車載装置及び第2車載装置を含む。第1車載装置及び第2車載装置が出力する情報は、いずれかの車載装置又は、連関する車載装置群に対する制御に関する情報に相当する。詳細は後述するが、第2車載装置が出力する制御に関する情報は、第1車載装置が出力する制御に関する情報よりも、緊急性が高い。
【0056】
制御信号生成部202は、割込処理受付部203に生成した制御信号を出力するにあたり、当該制御信号を割込処理信号として、割込処理受付部203に出力するものであってもよい。この場合、車内通信部23又は入出力I/F22を介して取得した情報を出力した車載装置3は、割込み処理に関する情報を出力する車載装置3に相当するものであり、上述の第2車載装置含まれる。
【0057】
個別ECU2の割込処理受付部203は、制御信号生成部202から出力された制御信号を取得する。上述のとおり、制御信号生成部202から出力された制御信号が割込処理信号である場合、割込処理受付部203は、制御信号生成部202から出力された割込処理信号を取得する。更に、割込処理受付部203は、車内通信部23を介して、統合ECU6から出力された制御信号、すなわち統合ECU6によって優先度の決定された制御信号(優先度の決定結果に基づく制御信号)を取得する。
【0058】
割込処理受付部203は、制御信号生成部202から出力された制御信号(割込処理信号)、統合ECU6によって優先度の決定された制御信号、又は、割込処理受付部203から出力された制御信号及び統合ECU6によって優先度の決定された制御信号に基づき、最終的な優先度の決定を行う。すなわち、割込処理受付部203は、所定の処理単位時間において、統合ECU6によって優先度の決定された制御信号のみを取得した場合、当該統合ECU6により決定された優先度の制御信号を、最終的な優先度の制御信号として決定する。割込処理受付部203は、所定の処理単位時間において、制御信号生成部202から出力された制御信号(割込処理信号)のみを取得した場合、当該制御信号生成部202から出力された制御信号(割込処理信号)を、最終的な優先度の制御信号として決定する。割込処理受付部203は、所定の処理単位時間において、統合ECU6によって優先度の決定された制御信号及び、制御信号生成部202から出力された制御信号(割込処理信号)を取得した場合、当該制御信号生成部202から出力された制御信号(割込処理信号)を最終的な優先度の制御信号として決定する。
【0059】
割込処理受付部203は、最終的な優先度の決定結果に基づき、車載装置3を起動、駆動、停止、中断又は再開等、当該車載装置3を制御するためのリレー制御信号等の駆動信号を生成する。割込処理受付部203は、生成したリレー制御信号等の駆動信号を、優先度の決定の対象となる車載装置3に電源線5を介して接続されているリレー制御部24に出力する。
【0060】
リレー制御部24は、割込処理受付部203から出力されたリレー制御信号に基づき、リレーのオン又はオフを行い、優先度の決定の対象となる車載装置3の駆動制御を行う。
【0061】
統合ECU6の制御部60は、自ECUの記憶部21に記憶されている制御プログラムを実行することにより、制御信号生成部601及び優先度決定部602として機能する。
【0062】
統合ECU6の制御信号生成部601は、個別ECU2を介して中継された、車載装置3から出力(送信)された情報を取得し、取得した当該情報に基づき、優先度の決定の対象となる車載装置3を制御するための制御信号を生成し、優先度決定部602に出力する。優先度の決定の対象となる車載装置3とは、複数の制御が競合し得る車載装置3であり、当該車載装置3に対する複数の制御が競合した場合、優先度決定部602によって、これら競合する複数の制御において、優先される制御が決定される。本実施形態の図示のとおり、統合ECU6は、取得した情報の種類又は個数に応じて、複数の制御信号生成部601を含むものであってもよい。
【0063】
統合ECU6の優先度決定部602は、複数の制御信号生成部601夫々から出力された制御信号夫々を取得し、取得した制御信号夫々における優先度を決定する処理(優先度の決定処理)を行う。統合ECU6の優先度決定部602は、優先度の決定処理の結果(優先度の決定結果)に基づき、優先度の決定の対象となる車載装置3を制御するための制御信号を生成し、個別ECU2に出力(送信)する。優先度決定部602によって、優先度が決定され、生成された制御信号は、例えば、競合する複数の制御において、最も重要度が高い制御を行うための制御信号である。又は、優先度決定部602によって、優先度が決定され、生成された制御信号は、例えば、競合する複数の制御において、制御対象の車載装置の動作保証又は保護の見地より選択されるいずれかの制御を行うための制御信号であってもよい。
【0064】
優先度の決定の対象となる同一の車載装置3又は連関する車載装置3群に対し、複数の制御が競合する場合がある。本実施形態のように、優先度の決定の対象となる車載装置3が、例えばランプ装置301である場合、オートライト機能部に対応するライトセンサによりランプ装置を点灯する制御に関する要求と、フォグランプを点灯させるためのフォグランプSW(スイッチ)によりランプ装置を点灯する制御に関する要求と、マニュアルSWによりランプ装置を点灯する制御に関する要求とが、略同時又は所定の期間内(所定の処理単位時間)に行われることにより、これら複数の制御が競合する場合がある。略同時とは、優先度の決定処理を行うにあたり求められる制御品質又は精度において、実質的に同時期である程度に短い期間を含む。この場合、統合ECU6の優先度決定部602は、これら複数の制御の優先度を決定するための処理を実行し、優先度の決定結果としての制御信号を、優先度の決定の対象となる車載装置3が直接、接続されている個別ECU2に出力する。統合ECU6の優先度決定部602による優先度の決定は、競合する複数の制御における優先度又は、複数の制御が競合した時点における車両Cの状態に基づき実行されるものであってもよい。
【0065】
個別ECU2の割込処理受付部203は、上述のとおり、割込処理受付部203から出力された制御信号、統合ECU6によって優先度の決定された制御信号、又は、割込処理受付部203から出力された制御信号及び統合ECU6によって優先度の決定された制御信号に基づき、優先度の決定を行う。割込処理受付部203は、略同時又は所定の期間内に、自ECUの制御信号生成部202から出力された制御信号及び、統合ECU6によって優先度の決定された制御信号を取得した場合、自ECUの制御信号生成部202から出力された制御信号を優先して優先度の決定を行い、リレー制御信号等の駆動信号を生成し、リレー制御部24に出力する。割込処理受付部203は、略同時又は所定の期間内に、自ECUの制御信号生成部202から出力された制御信号のみを取得した場合、当該制御信号に基づき、リレー制御信号等の駆動信号を生成し、リレー制御部24に出力する。
【0066】
すなわち、割込処理受付部203は、統合ECU6の優先度決定部602からの入力と、自ECUにおける制御信号生成部202からの入力とによる2つの入力を受付ける。割込処理受付部203は、統合ECU6の優先度決定部602からの入力が行われている場合、又は統合ECU6の優先度決定部602からの入力を待ち受けている場合であって、自ECUにおける制御信号生成部202からの入力がされた場合は、制御信号生成部202からの入力に基づく処理を優先して行う。すなわち、割込処理受付部203は、統合ECU6の優先度決定部602からの入力に関する処理に対し、自ECUにおける制御信号生成部202からの入力に関する処理を割込み処理として行うものであってもよい。
【0067】
個別ECU2が複数の制御信号生成部202を備え、当該複数の制御信号生成部202夫々から、略同時又は所定の期間内に複数の制御信号が、割込処理受付部203に出力されるものであってもよい。この場合、割込処理受付部203は、これら複数の制御信号に基づき優先度の決定に関する処理を行い、優先度の決定結果となるリレー制御信号等の駆動信号を生成し、リレー制御部24に出力するものであってもよい。
【0068】
割込処理受付部203は、略同時又は所定の期間内に、統合ECU6によって優先度の決定された制御信号を取得した場合、当該優先度の決定された制御信号に基づき、リレー制御信号等の駆動信号を生成し、リレー制御部24に出力する。
【0069】
個別ECU2における中継部201、制御信号生成部202及び割込処理受付部203を含む各機能部は、個別ECU2の制御部20における機能部として説明したが、これに限定されない。これら機能部における一部の機能部は、個別ECU2と通信可能に接続される外部サーバ100等のクラウドサーバの一機能部として構成され、個別ECU2と、外部サーバ100とが協働して、これら機能部における一連の処理を行うものであってもよい。
【0070】
統合ECU6における制御信号生成部202及び割込処理受付部203を含む各機能部は、個別ECU2の制御部20機能部として説明したが、これに限定されない。これら統合ECU6の機能部における一部の機能部は、統合ECU6と通信可能に接続される外部サーバ100等のクラウドサーバの一機能部として構成され、統合ECU6と、外部サーバ100とが協働して、これら機能部における一連の処理を行うものであってもよい。
【0071】
車載装置3は、第1車載装置及び、第1車載装置が出力する制御に関する情報よりも、緊急性が高い制御に関する情報を出力する第2車載装置を含む。当該制御における緊急性の高低、すなわち緊急度は、例えばISO26262のASIL(Automotive Safety Integrity Level)によって定義される安全度に基づき決定されるものであってもよい。ASILのレベルは、QM、ASIL-A,ASIL-B,ASIL-C,ASIL-Dのレベルに分類される。QMレベルは、ISO26262による機能安全を適用しなくてもよい通常の品質管理である。ASIL-AからDのレベルにおいては、ISO26262による機能安全の適用が必要となるレベルであり、ASIL-AからASIL-Dになるについて、機能安全要件が厳しくなる。すなわち、QMレベルの優先度が最も低く、ASIL-Dレベルの優先度が最も高いとみなすことができる。
【0072】
個別ECU2及び統合ECU6にて行われる優先度の決定処理及び制御は、制御プログラム又は制御プログラムに含まれるプログラムモジュールとして特定されるものであり、当該プログラムにおいて要求されるASILの安全度に基づき、制御における緊急性の高低、すなわち緊急度を決定するものであってもよい。すなわち、ASILの安全度が高くになるにつれ、緊急度も高くなる。緊急性の高低をISO26262のASILに基づき決定することにより、安全レベルに応じた緊急性の高い制御の優先度の決定を効率的に実効することができる。
【0073】
緊急度は、優先度の決定の対象となるアクチュエータ30等の車載装置3に対する処理において、当該処理に要する時間(処理時間)に基づき決定されるものであってもよい。すなわち、制御を実行するにあたり要求される処理時間が短くなるにつれ、当該制御の緊急性は高くなるものであってもよい。従って、いずれかのアクチュエータ30に対し、第2車載装置から出力される情報によって行われる制御にて要求される処理時間は、第1車載装置から出力される情報によって行われる制御にて要求される処理時間よりも、短い。要求される処理時間とは、例えば、いずれかのアクチュエータ30を駆動するにあたり、当該駆動のトリガーとなる情報の取得、優先度の決定処理、制御信号の生成及び出力に至るまでの一連の処理に要する時間の上限値である。要求される処理時間が、例えば0.5秒である場合、個別ECU2は、いずれかのアクチュエータ30の駆動のトリガーとなる情報の取得、優先度の決定処理、制御信号の生成及び出力に至るまでの一連の処理を、0.5秒以内に行うことが要求される。
【0074】
本実施形態において、例えば、優先度の決定対象となるアクチュエータ30がランプ装置301である場合、第1車載装置(車載装置3)は、ライトセンサ等のセンサ31、フォグランプSW又はマニュアルSW等のスイッチ32であり、第2車載装置(車載装置3)は、故障検知ECU331ある。故障検知ECU331は、個別ECU2とCAN通信部232及びCANバス412を介して接続されており、例えば、当該CANバス412上に流れるCANメッセージに基づき、車両において故障又は障害が発生したか否かを検知する。故障検知ECU331と個別ECU2との接続形態は、CAN通信部232及びCANバス412に限定されず、イーサネット通信部231及びイーサネットケーブル411であってもよい。
【0075】
優先度の決定対象となるランプ装置301に対する制御の優先度の決定は、個別ECU2及び統合ECU6の両装置にて行われるものであり、当該ランプ装置301は、個別ECU2及び統合ECU6による優先度の決定の対象となる車載装置3において、重複する車載装置3である。このように個別ECU2による優先度の決定の対象となる車載装置3と、統合ECU6による優先度の決定の対象となる車載装置3とにおいて、少なくも一部の車載装置3を重複させるものとすることにより、個別ECU2と統合ECU6とによって、優先度の決定処理に関する機能を分離することができる。
【0076】
ライトセンサ等のセンサ31、フォグランプSW又はマニュアルSW等のスイッチ32は、車両Cの周辺環境における明度、車両Cの操作者の操作又は挙動に応じて、ランプ装置301に対する制御に関する情報を出力する。故障検知ECU331は、車両における故障又は障害を検知した場合、ランプ装置301に対する制御に関する情報を出力する。この場合、第2車載装置に相当する故障検知ECU331から出力された情報(制御に関する情報)に基づき実施される制御は、第1車載装置に相当するライトセンサ、フォグランプSW等のスイッチ32から出力された情報(制御に関する情報)に基づき実施される制御よりも、緊急性が高い(緊急度が大きい)ものとなる。
【0077】
本実施形態において、個別ECU2は、第1車載装置に相当するライトセンサ等のセンサ31、フォグランプSW又はマニュアルSW等のスイッチ32から、優先度の決定対象の装置であるランプ装置301の制御に関する情報を取得した場合、当該情報を統合ECU6に中継する。
【0078】
統合ECU6は、第1車載装置に相当するライトセンサ等のセンサ31、フォグランプSW又はマニュアルSW等のスイッチ32から出力され、個別ECU2によって中継された情報を取得する。
【0079】
統合ECU6におけるライトセンサに対応した制御信号生成部601フォグランプSWに対応した制御信号生成部601、及び、マニュアルSWに対応した制御信号生成部601は、取得した当該情報に基づき、夫々の制御信号を生成し、優先度決定部602に出力する。
【0080】
統合ECU6の優先度決定部602は、ライトセンサに対応した制御信号生成部601、フォグランプSWに対応した制御信号生成部601及びマニュアルSWに対応した制御信号生成部601が生成した制御信号夫々に基づき優先度の決定処理を行い、優先度の決定結果となる制御信号(優先度の決定された制御信号)を個別ECU2に出力(送信)する。
【0081】
個別ECU2は、統合ECU6から出力された制御信号(優先度の決定された制御信号)に基づきリレー制御信号を生成し、当該リレー制御信号をリレー制御部24に出力する。第1車載装置から出力された情報に基づく制御、すなわち緊急性が比較的に低く、車両Cの操作において通常時に行われる制御に関する優先度の決定は、統合ECU6が行うことにより、車両C全体の制御を統合ECU6によって一元化し、当該制御を効率的に行うことができる。
【0082】
個別ECU2は、第2車載装置に相当する故障検知ECU331等のECU33から、優先度の決定対象の装置であるランプ装置301の制御に関する情報を取得した場合、個別ECU2の制御信号生成部202は制御信号を生成する。割込処理受付部203は当該制御信号に基づき優先度の決定を行い、優先度の決定結果となるリレー制御信号を生成し、リレー制御部24に出力する。
【0083】
第2車載装置から出力された情報に基づく制御、すなわち緊急性が高く、車両Cの操作において緊急時に行われる制御に関する優先度の決定は、個別ECU2が行うことにより、当該緊急性の高い制御をリアルタイムで行い、制御における即応性を向上させることができる。更に、当該緊急性の高い制御については、当該制御に関する情報を統合ECU6に出力(中継)することを不要とすることができ、第2車載装置における処理負荷の低減及び、統合ECU6からの応答等の受信を不要とし、要求される処理時間を確実に保証することができる。
【0084】
個別ECU2は、いずれかの車載装置3から出力された制御に関する情報を取得した場合は、当該制御に関する情報に基づく優先度の決定は、自身の割込処理受付部203にて行うか、又は、統合ECU6の優先度決定部602にて行われるものであるかを識別又は分別する処理を行う。すなわち、個別ECU2は、当該制御に関する情報に基づく優先度の決定を自ECUで行うか、又は自ECUで行うことなく、車載装置3から出力された制御に関する情報を統合ECU6へ中継するかの判定を行う。
【0085】
個別ECU2は、自ECUの通信部である車内通信部23、入出力I/F22において、自ECU及び車載装置3が専用の通信ケーブル(専用通信ケーブル)で接続されている車載装置3から出力された制御に関する情報を取得した場合、当該情報に基づく優先度の決定を自ECUに含まれる割込処理受付部203で行うものであってもよい。個別ECU2は、自ECUの通信部である車内通信部23、入出力I/F22において、自ECU及び車載装置3が、他の車載装置3とも共用する通信ケーブル(共用通信ケーブル)で接続されている車載装置3から、出力された制御に関する情報を取得した場合、当該情報に基づく優先度の決定を行うことなく、当該情報を統合ECU6に中継するものであってもよい。専用通信ケーブルとは、例えば、入出力I/F22を介して自ECUである個別ECU2と車載装置3とを接続する場合のシリアルケーブル等のワイヤーハーネス、又はイーサネット通信部231を介して自ECUである個別ECU2と車載装置3とを接続する場合のイーサネットケーブル411であってもよい。この場合、専用通信ケーブルによって統合ECU6に直接、接続される車載装置3は、第1車載装置に相当する。共用通信ケーブルとは、例えば、CAN通信部232を介して自ECUである個別ECU2と車載装置3とを接続する場合のCANバス412である。この場合、共用通信ケーブルによって統合ECU6に直接、接続される車載装置3は、第2車載装置に相当する。
【0086】
個別ECU2に専用通信ケーブルを介して直接、接続される車載装置3の内、すくなくとも一つの車載装置3から、制御に関する情報を取得した場合、個別ECU2は、当該情報に基づく優先度の決定を自ECUに含まれる制御信号生成部202及び割込処理受付部203にて処理する。従って、当該制御に要する時間を短くし、要求される処理時間を保証することができる。緊急性の高い制御に関する情報を出力する車載装置3(第2車載装置)の少なくとも1つを、例えば、専用通信ケーブルを介して個別ECU2に直接、接続することにより、当該第2車載装置と個別ECU2との通信又は信号伝送を行うための帯域幅又は伝送容量を当該通信のために占有することができ、処理の即応性を向上させることができる。
【0087】
個別ECU2は。車載装置3から出力された制御に関する情報を取得した場合、当該制御に関する情報に基づく優先度の決定を自身の制御信号生成部202にて行うか、又は自ECUで行うことなく取得した情報を統合ECU6へ中継するかの判定を、記憶部21に記憶された車載装置3の識別情報に基づき行うものであってもよい。当該識別情報は、例えば、情報の送信元となる車載装置3のIPアドレスに対し、当該車載装置3が第1車載装置又は第2車載装置であるかを示す情報を付与したものであってよい。又は、当該識別情報は、例えば、車載装置3から出力されたメッセージに含まれるCAN-ID等のメッセージ識別子に対し、第1車載装置又は第2車載装置に該当するかが付与された情報であってもよい。又は、当該識別情報は、上述した中継経路情報に付加され、又は含まれ、制御に関する情報を出力した車載装置3が、第1車載装置又は第2車載装置であるかを示すものであってもよい。個別ECU2は、当該識別情報を参照することにより、いずれかの車載装置3から出力された制御に関する情報に対する優先度の決定の要否を効率的に判定することができる。
【0088】
本実施形態によれば、第2車載装置は、故障検知ECU331であり、制御部20による優先度の決定の対象となる車載装置3は、ランプ装置301である。
【0089】
本態様にあたっては、第2車載装置は故障検知ECU331であり、制御部20による優先度の決定の対象となる車載装置3はランプ装置301とすることにより、制御部20は、例えば、故障検知ECU331から車両Cの故障に関する情報を取得した場合、当該情報に基づき優先度の決定を行い、ランプ装置301に対しランプ(ヘッドランプ)を点灯又は点滅させる制御信号を効率的に行うことができる。当該ランプ装置301に対する制御夫々における優先度の決定に関する処理は、車両制御装置(統合ECU6)においても実施されるものであるが、制御部20は、故障検知ECU331からの情報に基づき優先度の決定を行うため、車両制御装置(統合ECU6)からの応答を待つ等の処理を不要とし、緊急性の高い制御を効率的に行うことができる。
【0090】
図4は、個別ECU2の制御部20の処理を例示するフローチャートである。個別ECU2の制御部20は、例えば車両が起動状態(IGスイッチ32がオン)において、定常的に以下の処理を行う。
【0091】
個別ECU2の制御部20は、第1車載装置から制御に関する情報を取得したかを判定する(S101)。制御部20は、例えば、CAN通信部232等を介して接続される第1車載装置から制御に関する情報を取得したか否かを判定する。第1車載装置から制御に関する情報を取得しなかった場合(S101:NO)、個別ECU2の制御部20は、再度S101の処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0092】
第1車載装置から制御に関する情報を取得した場合(S101:YES)、個別ECU2の制御部20は、第1車載装置から取得した制御に関する情報を統合ECU6に出力(中継)する(S1011)。制御部20は、第1車載装置から取得した制御に関する情報を、例えば中継経路情報を参照して、統合ECU6に出力(中継)する。
【0093】
個別ECU2の制御部20は、統合ECU6から優先度の決定結果に関する情報を取得したかを判定する(S102)。統合ECU6から優先度の決定結果に関する情報を取得しなかった場合(S102:NO)、個別ECU2の制御部20は、再度S102の処理を実行すべく、ループ処理を行う。統合ECU6から優先度の決定結果に関する情報を取得した場合(S102:YES)、個別ECU2の制御部20は、優先度の決定に関する処理を実行する(S104)。
【0094】
個別ECU2の制御部20は、第2車載装置から制御に関する情報を取得したかを判定する(S103)。第2車載装置から制御に関する情報を取得しなかった場合(S103:NO)、個別ECU2の制御部20は、再度S103の処理を実行すべく、ループ処理を行う。第2車載装置から制御に関する情報を取得した場合(S103:YES)、個別ECU2の制御部20は、優先度の決定に関する処理を実行する(S104)。
【0095】
個別ECU2の制御部20は、上述したS101、S102及びS103の処理を並列処理又は並行処理として行うものであってもよい。個別ECU2の制御部20は、例えば、第1車載装置から出力される情報を待ち受ける処理、個別ECU2から出力される情報を待ち受ける処理及び、第2車載装置から出力される情報を待ち受ける処理の夫々の処理を行うプロセス夫々を複数の常駐プロセスとして生成し、これら複数の処理を並行して行うものであってもよい。
【0096】
統合ECU6から優先度の決定結果に関する情報を取得した場合(S102:YES)、第2車載装置から制御に関する情報を取得した場合(S103:YES)又は、統合ECU6からの優先度の決定結果に関する情報及び第2車載装置からの制御に関する情報の両情報を略同時期又は所定時間以内に取得した場合、個別ECU2の制御部20は、優先度の決定に関する処理を実行する(S104)。制御部20は、略同時期又は所定の期間内に、第2車載装置から制御に関する情報のみを取得した場合、当該情報に基づき優先度の決定に関する処理を行う。制御部20は、略同時期又は所定の期間内に、統合ECU6からの優先度の決定結果に関する情報のみを取得した場合、当該情報に基づき優先度の決定に関する処理を行う。制御部20は、略同時期又は所定の期間内に、統合ECU6からの優先度の決定結果に関する情報及び第2車載装置からの制御に関する情報の両情報を取得した場合、第2車載装置からの制御に関する情報を優先して優先度の決定を行う。
【0097】
個別ECU2の制御部20は、優先度の決定結果に基づく制御信号を出力する(S105)。制御部20は、優先度の決定結果に基づく制御信号として、例えば、優先度の決定対象のアクチュエータ30が接続されているリレー制御部24に対し、オン又はオフを示すリレー制御信号を生成し、当該リレー制御信号を出力する。リレー制御信号が入力されたリレー制御部24は、当該リレー制御信号に応じて駆動することにより、リレー制御部24に接続されているアクチュエータ30の駆動制御が行われる。
【0098】
本実施形態によれば、優先度の決定対象となるアクチュエータ30等の複数の車載装置3において、少なくとも1部の車載装置3は、個別ECU2及び統合ECU6にて重複して優先度の決定処理が行われる。従って、同一の車載装置3に対する優先度の決定に関する処理を、統合ECU6及び、当該統合ECU6とは別途の装置である個別ECU2によって、分離又は分担して行うことにより、当該優先度の決定に関する処理の負荷分散を行うと共に、緊急性を要する制御の優先度の決定は個別ECU2が担うことにより、即応性を向上させることができる。個別ECU2の制御部20による優先度の決定は、統合ECU6による優先度の決定よりも優先されるため、優先度の決定の対象となる車載装置3に対する優先度の決定及び、当該優先度の決定結果に基づいた制御に遅延が発生することを抑制することができる。
【0099】
本実施形態によれば、緊急性の高い制御に関する情報を出力する車載装置3(第2車載装置)及び優先度の決定の対象となる車載装置3は、個別ECU2の入出力I/F22又はリレー制御部24等に直接、接続されているため、通信遅延等のよるオーバヘッドを低減し、当該優先度の決定結果に基づく制御に関する情報又は信号を効率的に優先度の決定の対象となる車載装置3に出力し、即応性を向上させることができる。
【0100】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0101】
C 車両
S 車載システム
100 外部サーバ
1 車外通信装置
11 アンテナ
2 個別ECU(車載ECU)
20 制御部
201 中継部
202 制御信号生成部
203 割込処理受付部
21 記憶部
211 記録媒体
22 入出力I/F(通信部)
23 車内通信部(通信部)
231 イーサネット通信部
232 CAN通信部
24 リレー制御部
3 車載装置(第1車載装置、第2車載装置)
30 アクチュエータ
301 ランプ装置
31 センサ
32 スイッチ
33 車載ECU
331 故障検知ECU
4 車載ネットワーク
41 通信線
411 イーサネットケーブル
412 CANバス
5 電源線
6 統合ECU(車両制御装置)
60 制御部
61 記憶部
62 車内通信部(通信部)
621 イーサネット通信部
601 制御信号生成部
602 優先度決定部
図1
図2
図3
図4