(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-10-30
(45)【発行日】2023-11-08
(54)【発明の名称】ステアリング装置
(51)【国際特許分類】
B62D 1/185 20060101AFI20231031BHJP
B62D 1/19 20060101ALI20231031BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20231031BHJP
【FI】
B62D1/185
B62D1/19
F16F7/00 L
(21)【出願番号】P 2020023581
(22)【出願日】2020-02-14
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】今垣 進
(72)【発明者】
【氏名】作田 雅芳
(72)【発明者】
【氏名】樋口 耕太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 一喜
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 健二
(72)【発明者】
【氏名】足立 拓也
【審査官】飯島 尚郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-226280(JP,A)
【文献】特開2018-127062(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0375771(US,A1)
【文献】特開2018-165108(JP,A)
【文献】特開2017-171196(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 1/00-1/28
F16F 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コラム軸方向の一端に操舵部材が接続されるアッパジャケットと、
前記コラム軸方向における前記アッパジャケットの他端に対して摺動自在に外嵌されたロアジャケットと、
車体に固定され、前記ロアジャケットを支持する支持部と、
前記ロアジャケットに対する前記アッパジャケットのテレスコ調整の規制及び当該規制の解除を切り替えるロック機構と、
二次衝突時に前記ロアジャケットに対して前記アッパジャケットが移動する際に衝撃を吸収する衝撃吸収部と、を備え、
前記アッパジャケットは、当該アッパジャケットのテレスコストローク範囲の一端位置を規制する凸状のストッパを有し、
前記ロック機構は、前記テレスコ調整の規制の解除時に前記ストッパの経路上に進入し、前記テレスコ調整の規制時に前記ストッパの経路を開放する開閉部
と、前記ロアジャケットを締め付けて前記アッパジャケットに密着させることで、前記テレスコ調整の規制を行うボルトとを有
し、
前記開閉部は、前記ボルトの回転に伴って、当該ボルトの軸方向に沿って互いに接離する一対のストッパ部材を有する
ステアリング装置。
【請求項2】
前記開閉部は、前記一対のストッパ部材のうち少なくとも一方に対して、当該一対のストッパ部材が互いに接近する方向の力を付勢する付勢部材を有する
請求項
1に記載のステアリング装置。
【請求項3】
前記一対のストッパ部材の一方には凹部が形成されおり、
前記一対のストッパ部材の他方には前記凹部に噛み合う凸部が形成されるとともに、前記コラム軸方向に沿う溝部が形成されており、
前記テレスコ調整の規制時には、前記凹部と前記凸部とが噛み合うように前記一対のストッパ部材の少なくとも一方が移動することで、前記溝部が前記ストッパの経路上に配置されて当該経路を開放し、
前記テレスコ調整の規制の解除時には、前記凹部と前記凸部とが離れるように前記一対のストッパ部材の少なくとも一方が移動することで、前記溝部が前記ストッパの経路上から退避して、前記他方のストッパ部材の一部が前記経路上に進入する
請求項
1または
2に記載のステアリング装置。
【請求項4】
前記開閉部は、前記ボルトの回転に伴って駆動することで、前記一対のストッパ部材を離間させる駆動部材を有する
請求項
2に記載のステアリング装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ステアリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、コラム軸方向の一端に操舵部材が接続されたアッパジャケットと、アッパジャケットの他端に対して摺動自在に外嵌されたロアジャケットと、車体に固定され、ロアジャケットを支持する支持部とを備えたステアリング装置が知られている(例えば特許文献1参照)。このようなステアリング装置では、車両衝突の二次衝突時に、アッパジャケットがロアジャケットに対して相対移動させるための衝撃吸収機構を有している。この衝撃吸収機構によって、二次衝突時の衝撃を吸収するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アッパジャケットには、テレスコ位置調整時にロアジャケットの一部に当接することで、それ以上の移動が規制されるストッパが設けられている。このストッパが二次衝突時にロアジャケットに干渉してしまうと、衝撃エネルギーの吸収を阻害してしまう。
【0005】
このため、本発明は、ストッパを起因とした衝撃エネルギーの吸収低下を抑制することができるステアリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るステアリング装置は、コラム軸方向の一端に操舵部材が接続されるアッパジャケットと、コラム軸方向におけるアッパジャケットの他端に対して摺動自在に外嵌されたロアジャケットと、車体に固定され、ロアジャケットを支持する支持部と、ロアジャケットに対するアッパジャケットのテレスコ調整の規制及び当該規制の解除を切り替えるロック機構と、二次衝突時にロアジャケットに対してアッパジャケットが移動する際に衝撃を吸収する衝撃吸収部と、を備え、アッパジャケットは、当該アッパジャケットのテレスコストローク範囲の一端位置を規制する凸状のストッパを有し、ロック機構は、テレスコ調整の規制の解除時にストッパの経路上に進入し、テレスコ調整の規制時にストッパの経路を開放する開閉部を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るステアリング装置によれば、ストッパを起因とした衝撃エネルギーの吸収低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係るステアリング装置の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るステアリング装置の概略構成を示す上面図である。
【
図3】実施の形態1に係るロック機構の概略構成を示す側面図である。
【
図4】実施の形態1に係る開閉部の概略構成を示す斜視図である。
【
図5】実施の形態1に係る第一ストッパ部材及び第二ストッパ部材の概略構成を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1に係る第一ストッパ部材及び第二ストッパ部材の概略構成を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係る第一ストッパ部材及び第二ストッパ部材の概略構成を示す平面図である。
【
図8】実施の形態1に係る開閉部の概略構成を示す斜視図である。
【
図9】実施の形態2に係る開閉部の概略構成を示す斜視図である。
【
図10】実施の形態2に係る開閉部の概略構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係るステアリング装置1の概略構成を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係るステアリング装置1の概略構成を示す上面図である。なお、
図2においては、支持部2の一対のブラケット21、22の図示を省略している。
【0011】
[構造]
図1及び
図2に示すように、ステアリング装置1は、支持部2と、アッパジャケット3と、ロアジャケット4と、ロック機構5と、衝撃吸収部6とを備えている。また、ステアリング装置1は、アッパジャケット3及びロアジャケット4に収容された図示しないステアリングシャフトを有している。ステアリング装置1は、ステアリングシャフトの一端に連結された操舵部材(ステアリングホイール:図示省略)に対する操舵に連動して、転舵輪(図示省略)を転舵するための装置である。転舵輪と、ステアリングシャフトとは、インターミディエイトシャフト及び転舵機構を介して連結されている。
【0012】
以下では、ステアリングシャフトの軸方向であるコラム軸方向Xの上方を軸方向上方XUといい、コラム軸方向Xの下方を軸方向下方XLという。なお、本実施の形態では、軸方向上方XUを後方と称し、軸方向下方XLを前方と称する場合もある。
【0013】
支持部2は、車体に固定され、ロアジャケット4を支持する部位である。支持部2は、コラム軸方向Xに所定の間隔をあけて配置された一対のブラケット21、22と、一対のブラケット21、22間に架け渡された一対の梁部23、24とを有している。一対のブラケット21、22は、車体に固定されており、一対の梁部23、24とはそれぞれ、一対のブラケット21、22の左右の端部に固定されている。
【0014】
アッパジャケット3は、ステアリングシャフトを介して操舵部材が一端部(軸方向上方XU側の端部)に接続された円筒状の部材である。アッパジャケット3の中央部には、その外周面に凸状のストッパ31が設けられている。ストッパ31は、アッパジャケット3のテレスコストローク範囲の一端位置を規制するための部位である。
【0015】
ロアジャケット4は、アッパジャケット3の他端部(軸方向下方XLの端部)に対して摺動自在に外嵌された部材である。ロアジャケット4の他端部は、一対の梁部23、24の他端部間に、チルト軸(図示省略)を中心に回転自在となるように支持されている。このため、ロアジャケット4、アッパジャケット3及びステアリングシャフトは、チルト軸を中心としてチルト方向(略上下方向)に回動可能である。ロアジャケット4、アッパジャケット3及びステアリングシャフトをチルト軸回りに回動させることで、操舵部材の位置をチルト方向に調整することができる。このように、ステアリング装置1はチルト調整機能を有する。
【0016】
ロアジャケット4の上部には、その一端部に切り欠き41が形成されている。切り欠き41は、コラム軸方向Xに沿って長尺に形成されている。アッパジャケット3のストッパ31は、アッパジャケット3がロアジャケット4に対して摺動する際に、切り欠き41内をコラム軸方向Xに沿って移動する。
【0017】
また、ロアジャケット4の一端部には、切り欠き41を挟む位置に、一対の軸支部42、43が形成されている。この軸支部42、43には、ロック機構5の一部であるボルト51が軸支されている。
【0018】
ロック機構5は、ロアジャケット4に対するアッパジャケット3のテレスコ調整の規制及び当該規制の解除を切り替える機構である。ここで、テレスコ調整とは、アッパジャケット3をロアジャケット4に対して摺動させて伸縮させることでコラム軸方向Xにおける操舵部材の位置を調整するものである。このため、ステアリングシャフトもコラム軸方向Xに沿って伸縮自在となっている。テレスコ調整時におけるアッパジャケット3の移動可能範囲をテレスコストローク範囲という。具体的には、テレスコストローク範囲は、コラム軸方向Xにおけるアッパジャケット3の調整上限位置と、コラム軸方向Xにおけるアッパジャケット3の調整下限位置との間の範囲である。アッパジャケット3が調整上限位置にあるときに最も伸びた状態になり、アッパジャケット3が調整下限位置にあるときに最も縮んだ状態になる。アッパジャケット3のストッパ31は、テレスコストローク範囲の一端位置(調整下限位置)にアッパジャケット3が到達した際に、ロック機構5の一部に当接することで、アッパジャケット3のそれ以上の移動を規制することとなる。
【0019】
以下、ロック機構5について詳細に説明する。
図3は、実施の形態1に係るロック機構5の概略構成を示す側面図である。具体的には、
図3は、ロアジャケット4を側面視した図である。
図3では、操作レバー52、一対のブラケット21、22等を省略している。
【0020】
図1~
図3に示すように、ロック機構5は、ボルト51と、ボルト51を回転させるための操作レバー52と、ロックプレート53と、板バネ54と、係合部55と、付勢部56と、開閉部70とを備えている。
【0021】
ボルト51は、一対の軸支部42によって軸支された締付軸であり、操作レバー52が操作されることに連動して回転する。このボルト51の回転によって一対の軸支部42が締め付けられたり、ボルト51が反転することによって当該締め付けが解除されたりする。例えば、操作レバー52がロック位置まで操作された場合には、一対の軸支部42が締め付けられてテレスコ調整が規制された状態となる。一方、操作レバー52が解除位置まで操作された場合には、一対の軸支部42の締め付けが解除されてテレスコ調整の規制が解除された状態となる。また、開閉部70もボルト51の回転に連動して動作するが、開閉部70の詳細については後述する。なお、詳細は省略するが、ロック機構5は、テレスコ調整の規制時にはチルト調整も規制し、テレスコ調整の規制の解除時にはチルト調整の規制を解除している。
【0022】
ロックプレート53は、長尺な板材からなり、アッパジャケット3の外周面に固定された状態でコラム軸方向Xに沿って配置されている。ロックプレート53には、複数の爪部531が長手方向に沿って形成されている。
【0023】
板バネ54は、略H形状に形成された板バネであり、ロックプレート53と係合部55との間に配置されている。板バネ54は、係合部55をロックプレート53から離れる方向に付勢している。
【0024】
係合部55は、ロックプレート53の爪部531に対して係合する部材である。具体的には、係合部55は、ロックプレート53に対して重なるように配置されている。係合部55におけるロックプレート53に対向する面には、爪部531に係合する突起(図示省略)が少なくとも1つ設けられている。また、係合部55におけるロックプレート53に対向する面には、後述するワイヤ61が取り付けられる溝部(図示省略)が形成されている。
【0025】
付勢部56は、係合部55に対してロックプレート53に向かう付勢力を付与する部材である。付勢部56は、操作レバー52の動作に連動して、係合部55に対する付勢力が変動される。例えば、操作レバー52がロック位置まで操作された場合には、付勢部56の付勢力が板バネ54の付勢力を上回るので、係合部55の突起がロックプレート53の爪部531に係合する。この係合によってもテレスコ調整が規制された状態となる。一方、操作レバー52が解除位置まで操作された場合には、付勢部56の付勢力が板バネ54の付勢力を下回るので、係合部55の突起がロックプレート53の爪部531から離間する。これによりテレスコ調整の規制が解除された状態となる。なお、ロックプレート53には、複数の爪部531が長手方向に配置されているので、アッパジャケット3のテレスコ位置を段階的に位置調整することが可能である。
【0026】
衝撃吸収部6は、二次衝突時にロアジャケット4に対してアッパジャケット3が移動する際に衝撃を吸収する部位である。
図3に示すように、衝撃吸収部6は、ロックプレート53、板バネ54、係合部55、付勢部56及びワイヤ61を備えている。
【0027】
ワイヤ61は、二次衝突時の衝撃を吸収するための部材である。ワイヤ61は、金属製の線材を曲げ加工することで形成されている。具体的には、ワイヤ61は、一対の両端部62、63と、両端部62、63の間である中間部64とを備えている。一対の両端部62、63は互いに平行となるように直線状に形成されており、ロアジャケット4に対して固定されている。
【0028】
中間部64は、折り曲げ加工された部位であり、その一部が係合部55の溝部に取り付けられている。具体的には、中間部64は、略W状に曲げられており、その中央部が係合部55の溝部に取り付けられている。二次衝突が発生する際には、アッパジャケット3がロアジャケット4に対して進入する(軸方向下方XLに移動)。このとき、テレスコ調整が規制された状態であるが、二次衝突の衝撃により当該規制に抗いながらアッパジャケット3が移動する。この移動時においては、係合部55の突起がロックプレート53の爪部531に係合したままであり、アッパジャケット3の移動に連動して係合部55もワイヤ61を変形させながら軸方向下方XLに移動する。このワイヤ61の変形によって二次衝突の衝撃が吸収される。
【0029】
次に、開閉部70について詳細に説明する。開閉部70は、テレスコ調整の規制の解除時にストッパ31の経路上に進入し、テレスコ調整の規制時にストッパ31の経路を開放する部位である。
【0030】
図4は、実施の形態1に係る開閉部70の概略構成を示す斜視図である。
図4では、テレスコ調整が規制された状態での開閉部70を示している。
図4に示すように、開閉部70は、ボルト51と、一対のストッパ部材71、72と、付勢部材73と、を有している。
【0031】
一対のストッパ部材71、72のうち、第一ストッパ部材71は、ボルト51に対して嵌合されており、ボルト51とともに回転する。また、一対のストッパ部材71、72の第二ストッパ部材72は、ボルト51に対してスライドするように取り付けられている。具体的には、第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72は、アッパジャケット3の直上において、第一ストッパ部材71が第二ストッパ部材72よりも操作レバー52側に位置するようにボルト51に配置されている。
【0032】
第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72について具体的に説明をする。
図5は、実施の形態1に係る第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72の概略構成を示す斜視図である。
図6は、実施の形態1に係る第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72の概略構成を示す斜視図である。
図7は、実施の形態1に係る第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72の概略構成を示す平面図である。
図5は、軸方向下方XL側から見た斜視図であり、
図6は、軸方向上方XU側から見た斜視図である。
図7は、軸方向上方XU側から見たコラム軸方向X視の平面図である。
【0033】
図5~
図7に示すように、第一ストッパ部材71は、第一本体部711と、第一鍔部712と、複数の第一凸部713とを有した、樹脂あるいは金属からなる部材である。
【0034】
第一本体部711は、筒状の部位であり、その中央部にコラム軸方向Xに貫通した第一貫通孔714が形成されている。第一貫通孔714は、軸方向視長円形状に形成されており、この第一貫通孔714に対してボルト51が嵌合している。これにより、第一本体部711はボルト51に対して固定されている。したがって、第一ストッパ部材71は、ボルト51との相対的な軸方向の位置関係をずらすことなく、ボルト51の回転に追従して回転するようになっている。
【0035】
第一鍔部712は、第一本体部711の外周面から外方に延設され、周方向に伸びる部位である。第一鍔部712は、第一本体部711における上側半周分にのみ設けられている。
【0036】
複数の第一凸部713は、第一鍔部712における第二ストッパ部材72側の主面から突出している。複数の第一凸部713は、周方向に所定の間隔をあけて配列されている。本実施の形態では、第一凸部713の設置個数が3つである場合を例示しているが、第一凸部713は、少なくとも1つ設けられていればよい。各第一凸部713は、先細る形状となっている。また、各第一凸部713における周方向で対向する一対の外側面713a、713bは、平面状あるいは滑らかな曲面状に形成されている。
【0037】
第二ストッパ部材72は、第二本体部721と、第二鍔部722と、複数の第二凸部723と、ガイド部724と、溝部725とを有した、樹脂あるいは金属からなる部材である。
【0038】
第二本体部721は、筒状の部位であり、その中央部にコラム軸方向Xに貫通した第二貫通孔726が形成されている。第二貫通孔726は、軸方向視円形状に形成されており、この第二貫通孔726に対してボルト51が回転自在かつ軸方向に摺動自在に挿通されている。また、第二本体部721の下部には、外方に向けて張り出した台座部727が設けられている。台座部727におけるコラム軸方向Xで対向する一対の外側面727a、727bは、コラム軸方向Xに対して直交する平面に平行な平面に形成されている。
【0039】
図4に示すように、台座部727は、ロアジャケット4の一対の軸支部42、43のうち、操作レバー52から遠い側の軸支部43に係合している。具体的には、軸支部43には、台座部727をスライド自在に収容する第一収容凹部431が形成されている。この第一収容凹部431におけるコラム軸方向Xで対向する一対の内側面は、コラム軸方向Xに対して直交する平面に平行な平面に形成されている。この第一収容凹部431の一対の内側面に対して、台座部727の一対の外側面727a、727bが当接自在となっている。これにより、台座部727の一対の外側面727a、727bが第一収容凹部431の一対の内側面に当接すると、第二ストッパ部材72の回転が規制される。さらに、第二ストッパ部材72がボルト51の軸方向にスライドする際には、当該スライドを第一収容凹部431の一対の内側面がガイドする。
【0040】
図5~
図7に示すように、第二鍔部722は、第二本体部721の外周面から外方に延設され、周方向に伸びる部位である。第二鍔部722は、第二本体部721における下端部を除く部位に設けられている。
【0041】
複数の第二凸部723は、第二鍔部722における第一ストッパ部材71側の主面から突出している。複数の第二凸部723は、周方向に所定の間隔をあけて配列されている。隣り合う一対の第二凸部723の間の部分は、凹部728とも言える。各凹部728内には、第一凸部713が配置され、噛み合うようになっている。本実施の形態では、第二凸部723の設置個数が3つである場合を例示している。このため、凹部728は2つとなる。つまり、各凹部728に対して1つの第一凸部713が噛み合うこととなるが、残りの1つの第一凸部713は凹部728内には配置されない。この残りの第一凸部713は、複数の第二凸部723のうち、一端にある第二凸部723に対して噛み合うこととなる。なお、凹部728は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0042】
各第二凸部723は、先細る形状となっている。また、各第二凸部723における周方向で対向する一対の外側面723a、723bは、平面状あるいは滑らかな曲面状に形成されている。第一ストッパ部材71が回転する際においては、第一ストッパ部材71の各第一凸部713が、第二凸部723の外側面723aに当接しながら回転する。このとき、各外側面723aが平面状あるいは滑らかな曲面状に形成されているので、回転がスムーズに行われることとなる。
【0043】
ガイド部724は、第二本体部721における下端部から第一ストッパ部材71に向けて延設された板状の部位である。ガイド部724の上面には、第一ストッパ部材71の第一本体部711が載置される。ガイド部724の上面は滑らかな凹曲面となっており、第一本体部711の回転をガイドする。ガイド部724におけるコラム軸方向Xで対向する一対の外側面724a、724bは、コラム軸方向Xに対して直交する平面に平行な平面に形成されている。
【0044】
図4に示すように、ガイド部724は、ロアジャケット4の一対の軸支部42、43のうち、操作レバー52に近い側の軸支部42に係合している。具体的には、軸支部42には、台座部727をスライド自在に収容する第二収容凹部421が形成されている。この第二収容凹部421におけるコラム軸方向Xで対向する一対の内側面は、コラム軸方向Xに対して直交する平面に平行な平面に形成されている。この第二収容凹部421の一対の内側面に対して、ガイド部724の一対の外側面724a、724bが当接自在となっている。これにより、ガイド部724の一対の外側面724a、724bが第二収容凹部421の一対の内側面に当接すると、第二ストッパ部材72の回転が規制される。さらに、第二ストッパ部材72がボルト51の軸方向にスライドする際には、当該スライドを第二収容凹部421の一対の内側面がガイドする。
【0045】
溝部725は、第二本体部721の下面に形成された、コラム軸方向Xに沿う溝部である。溝部725は、台座部727とガイド部724との間に設けられており、第二本体部721をコラム軸方向Xに沿って貫通している。溝部725は、平面視においてアッパジャケット3のストッパ31よりも大きい形状に形成されている。これにより、溝部725がストッパ31の経路L1に進入した状態であると、ストッパ31が溝部725を通過できるようになっている。
【0046】
付勢部材73は、
図4に示すように、第二ストッパ部材72に対して、第一ストッパ部材71に接近する方向の力を付勢する付勢部材である。具体的には、付勢部材73は、ボルト51が挿通されたコイルバネである。付勢部材73は、軸支部43と第二ストッパ部材72との間に介在しており、軸支部43から第二ストッパ部材72を離す方向の力を第二ストッパ部材72に対して付勢している。つまり、第二ストッパ部材72には、付勢部材73により第一ストッパ部材71に接近する方向の力が付勢されている。なお、付勢部材73は、コイルバネ以外のバネであってもよいし、ゴムなどの弾性部材であってもよい。
【0047】
[動作]
次に、
図4及び
図8を参照して、開閉部70の動作について説明する。
図8は、実施の形態1に係る開閉部70の概略構成を示す斜視図である。
図8では、テレスコ調整の規制が解除された状態での開閉部70を示している。
【0048】
まず、
図4に示すように、テレスコ調整が規制された状態では、第二ストッパ部材72の一部が第一ストッパ部材71に進入している。具体的には、第二ストッパ部材72の各凹部728内に、第一ストッパ部材71の各第一凸部713が配置された状態である。このとき、第二ストッパ部材72の溝部725は、アッパジャケット3のストッパ31の経路L1上に配置されている。この状態であれば、二次衝突が発生し、アッパジャケット3が軸方向下方XLに移動してロアジャケット4内に進入したとしても、ストッパ31が溝部725を通過するので、ストッパ31と開閉部70との干渉は生じない。
【0049】
図4に示すテレスコ調整が規制された状態から当該規制を解除する際には、操作レバー52が操作される。具体的には、操作レバー52が操作されて、ボルト51が矢印Y1方向に回転すると第一ストッパ部材71も同方向に回転する。この回転により、各第一凸部713も回転する。この際、各第一凸部713は、第二ストッパ部材72の各第二凸部723の一方の外側面723a上を摺動することで、付勢部材73の付勢力に抗いながら第二ストッパ部材72を押圧する。この押圧によって、第二ストッパ部材72はボルト51の軸方向にスライドする。各第一凸部713は、第二ストッパ部材72の各凹部728から離れ、最終的には、
図8に示すように、各第一凸部713は各凹部728から脱して、各第一凸部713の先端面が、第二凸部723の先端面に対して当接する。この状態では、溝部725は、ストッパ31の経路L1上から退避しており、ガイド部724が経路L1上に進入している。この状態では、テレスコ調整の規制が解除されているので、テレスコ調整が可能な状態である。テレスコ調整時にテレスコストローク範囲の一端位置(調整下限位置)にアッパジャケット3が到達した際には、ストッパ31がガイド部724(ロック機構5の一部)に当接するので、アッパジャケット3のそれ以上の移動が規制される。
【0050】
図8に示す状態からテレスコ調整を規制する際には、操作レバー52が操作される。具体的には、操作レバー52が操作されて、ボルト51が矢印Y2方向に回転すると第一ストッパ部材71も同方向に回転する。この回転により、各第一凸部713も回転する。この際、第二ストッパ部材72は、付勢部材73の付勢力により第一ストッパ部材71に向けて付勢されているので、各第二凸部723の一方の外側面723aが各第一凸部713上をスライドしながら、第二ストッパ部材72が第一ストッパ部材71に向けて移動する。最終的には、各第一凸部713は、第二ストッパ部材72の各凹部728内に配置されて、
図4に示す状態となる。
【0051】
[効果など]
以上のように、本実施の形態によれば、テレスコ調整の規制の解除時には開閉部70がストッパ31の経路上に進入しているので、テレスコ調整時にはストッパ31を開閉部70に確実に当接させることができる。ここで、二次衝突時にストッパ31が開閉部70に干渉してしまうと、衝撃吸収部6による衝撃エネルギーの吸収を低下させてしまう。本実施の形態では、テレスコ調整の規制時には開閉部70がストッパ31の経路を開放しているので、二次衝突時にロアジャケット4が移動したとしても、ストッパ31を開閉部70に干渉させない。したがって、ストッパ31を起因とした衝撃エネルギーの吸収低下を抑制することができる。衝撃エネルギーの吸収低下が抑制できれば、二次衝突時の衝撃吸収のコントロールもより容易となる。
【0052】
また、テレスコ調整の規制を行うボルト51に連動して開閉部70がストッパ31の経路L1を開閉するので、テレスコ調整の規制動作と、開閉部70の開閉動作とをボルト51の回転で共通化して実行することが可能である。このため、開閉部70を開閉させるための専用の動力機構が不要となるため、部品点数の削減や小型化などを図ることができる。
【0053】
また、開閉部70は、ボルト51の回転に伴って、当該ボルト51の軸方向に沿って互いに接離する一対のストッパ部材71、72を有している。これによれば、一対のストッパ部材71、72の接離動作に連動させて、ストッパ31の経路L1を開閉することができる。つまり、簡単な構造でストッパ31の経路L1を開閉することが可能である。
【0054】
また、付勢部材73が、第二ストッパ部材72に対して、第一ストッパ部材71に接近する方向の力を付勢しているので、第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72を互いに近接させることができる。これにより、ボルト51の回転に連動させて、第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72の開閉動作をスムーズに実行することが可能である。
【0055】
また、テレスコ調整の規制時には、第二ストッパ部材72の凹部728と、第一ストッパ部材71の第一凸部713とが噛み合うように第二ストッパ部材72が移動することで、溝部725がストッパ31の経路L1上に配置されて当該経路L1を開放している。この状態は、ストッパ31が溝部725内を通過可能な状態である。
【0056】
一方、テレスコ調整の規制の解除時には、凹部728と第一凸部713とが離れるように第二ストッパ部材72が移動することで、溝部725がストッパ31の経路L1上から退避して、第二ストッパ部材72のガイド部724が経路L1上に進入する。この状態は、ストッパ31が溝部725内を通過不可能な状態である。
【0057】
このように、第一ストッパ部材71の各第一凸部713と、第二ストッパ部材72の各凹部728との相対的な動作に連動して溝部725を経路L1に対して進退させることで、開閉部70の開閉動作を実現している。つまり、溝部725をボルト51の軸方向にスライドさせるという簡単な構造で、開閉部70の開閉動作を実現することが可能である。
【0058】
また、第二ストッパ部材72には複数の凹部728が形成されており、第一ストッパ部材71には、複数の凹部728にそれぞれ噛み合う複数の第一凸部713が形成されている。これにより、複数の凹部728及び複数の第一凸部713間で力の伝達が生じるために、第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72の相対的な動作を安定的に行うことができる。
【0059】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72が相互に回転することで、経路L1を開閉する開閉部70を例示した。この実施の形態2では、第一ストッパ部材71a及び第二ストッパ部材72aが相互に接離することで、経路L1を開閉する開閉部70aについて説明する。
【0060】
[構造]
図9及び
図10は、実施の形態2に係る開閉部70aの概略構成を示す斜視図である。
図9は、テレスコ調整が規制された状態の開閉部70aを示しており、
図10は、テレスコ調整の規制が解除された状態の開閉部70aを示している。なお、実施の形態2では、上記実施の形態1と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する場合がある。
【0061】
図9及び
図10に示すように、開閉部70aは、ボルト51と、一対のストッパ部材71a、72aと、一対の付勢部材73a、73bと、駆動部材90aとを有している。
【0062】
一対のストッパ部材71a、72aのそれぞれは、ボルト51に対してスライドするように取り付けられている。一対のストッパ部材71a、72aのうち、第一ストッパ部材71aは、ブロック状の部材であり、その中央部にボルト51が貫通されている。第一ストッパ部材71aは、軸支部42の第二収容凹部421内に収容されており、第二収容凹部421の一対の内側面によって、ボルト51の軸方向にガイドされるようになっている。第一ストッパ部材71aにおける第二ストッパ部材72a側の端部であって、軸方向下方XL側の部位には、第一切欠719aが形成されている。
【0063】
一対のストッパ部材71a、72aのうち、第二ストッパ部材72aは、ブロック状の部材であり、その中央部にボルト51が貫通されている。第二ストッパ部材72aは、軸支部43の第一収容凹部431内に収容されており、第一収容凹部431の一対の内側面によって、ボルト51の軸方向にガイドされるようになっている。第二ストッパ部材72aにおける第一ストッパ部材71a側の端部であって、軸方向下方XL側の部位には、第二切欠729aが形成されている。
【0064】
一対の付勢部材73a、73bは、ボルト51が挿通されたコイルバネである。一対の付勢部材73a、73bのうち、第一付勢部材73aは、第一ストッパ部材71aに対して、第二ストッパ部材72aに接近する方向の力を付勢する付勢部材である。第一付勢部材73aは、軸支部42と第一ストッパ部材71aとの間に介在しており、軸支部42から第一ストッパ部材71aを離す方向の力を第一ストッパ部材71aに対して付勢している。つまり、第一ストッパ部材71aには、第一付勢部材73aにより第二ストッパ部材72aに接近する方向の力が付勢されている。
【0065】
一対の付勢部材73a、73bのうち、第二付勢部材73bは、第二ストッパ部材72aに対して、第一ストッパ部材71aに接近する方向の力を付勢する付勢部材である。第二付勢部材73bは、軸支部43と第二ストッパ部材72aとの間に介在しており、軸支部43から第二ストッパ部材72aを離す方向の力を第二ストッパ部材72aに対して付勢している。つまり、第二ストッパ部材72aには、第二付勢部材73bにより第一ストッパ部材71aに接近する方向の力が付勢されている。
【0066】
駆動部材90aは、ボルト51の回転に伴って駆動することで、第一ストッパ部材71a及び第二ストッパ部材72aを離間させる部材である。具体的には、駆動部材90aは、ブロック状の部材であり、その中央部にボルト51が嵌合した状態で貫通している。これにより駆動部材90aは、ボルト51の回転に連動して回転するようになっている。駆動部材90aは、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの間に配置されている。詳細には、駆動部材90aは、第一ストッパ部材71aの第一切欠719aと第二ストッパ部材72aの第二切欠729aとの間に配置されている。駆動部材90aにおける軸方向上方XU側の端部91aは、先細る形状となっている。駆動部材90aは、
図9に示すように、テレスコ調整が規制された状態では、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの間に介在して、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとを離間させている。一方、駆動部材90aは、
図10に示すように、テレスコ調整の規制が解除された状態では、第一ストッパ部材71aの第一切欠719aと第二ストッパ部材72aの第二切欠729aとの間に収容されている。この状態では、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとは、一対の付勢部材73a、73bの付勢力によって近づき合って当接した状態となっている。
【0067】
[動作]
次に、開閉部70aの動作について説明する。まず、
図9に示すように、テレスコ調整が規制された状態では、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの間に駆動部材90aが介在しており、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとが離間している。このとき、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの両者は、アッパジャケット3のストッパ31の経路L1から退避している。また、駆動部材90aも経路L1から退避している。この状態であれば、二次衝突が発生し、アッパジャケット3が軸方向下方XLに移動してロアジャケット4内に進入したとしても、ストッパ31が駆動部材90aの下方において第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの間を通過する。つまり、ストッパ31と開閉部70aとの干渉は生じない。
【0068】
図9に示すテレスコ調整が規制された状態から当該規制を解除する際には、操作レバー52が操作される。具体的には、操作レバー52が操作されて、ボルト51が矢印Y1方向に回転すると駆動部材90aも同方向に回転する。この回転により、駆動部材90aは、徐々に第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの間から退避する。この際、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとは、一対の付勢部材73a、73bの付勢力によって徐々に互いに近づき合う。
【0069】
最終的には、
図10に示すように、第一ストッパ部材71aの第一切欠719aと第二ストッパ部材72aの第二切欠729aとの間に駆動部材90aが収容されると、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとは当接した状態となる。この状態では、第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとが経路L1を閉塞する。この状態では、テレスコ調整の規制が解除されているので、テレスコ調整が可能な状態である。テレスコ調整時にテレスコストローク範囲の一端位置(調整下限位置)にアッパジャケット3が到達した際には、ストッパ31が第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの少なくとも一方に当接するので、アッパジャケット3のそれ以上の移動が規制される。
【0070】
図10に示す状態からテレスコ調整を規制する際には、操作レバー52が操作される。具体的には、操作レバー52が操作されて、ボルト51が矢印Y2方向に回転すると駆動部材90aも同方向に回転する。この回転により、駆動部材90aの端部91aが第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの間に進入する。駆動部材90aの端部91aは先細り形状であるので、回転が進むにつれて第一ストッパ部材71aと第二ストッパ部材72aとの間を徐々に押し広げ、最終的には
図9に示す状態となる。
【0071】
[効果など]
以上のように、駆動部材90aがボルト51の回転に伴って駆動することで、第一ストッパ部材71a及び第二ストッパ部材72aを離間させるので、ボルト51の回転に基づいて容易に開閉部70aの開動作を実現することができる。
【0072】
なお、ここでは駆動部材90aがボルト51の回転に伴って回転する場合を例示したが、第一ストッパ部材71a及び第二ストッパ部材72aを離間させるのであれば、ボルト51の回転に伴う駆動部材90aの駆動は如何様でもよい。
【0073】
[その他]
この発明は、以上に説明した各実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0074】
例えば、上記実施の形態1では、第一ストッパ部材71がボルト51に対して固定されていて、第二ストッパ部材72がボルト51に対して摺動自在に取り付けられている場合を例示した。しかしながら、第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72のそれぞれがボルト51に対して摺動自在に取り付けられていてもよい。つまり、テレスコ調整の規制と、当該規制の解除とを切り替える際には、第一ストッパ部材71及び第二ストッパ部材72の両者を移動させることができる。この場合、第一ストッパ部材71と軸支部42との間に付勢部材を設けて、軸支部42から第一ストッパ部材71を離す方向の力を第一ストッパ部材71に対して付勢することも可能である。
【0075】
また、上記実施の形態1、2では、テレスコ調整の規制を行うボルト51に連動して開閉部70、70aがストッパ31の経路L1を開閉する場合を例示した。しかしながら、開閉部を開閉させるための専用の動力機構を設けてもよい。
【0076】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態や、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態及び変形例における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1…ステアリング装置、2…支持部、3…アッパジャケット、4…ロアジャケット、5…ロック機構、6…衝撃吸収部、21、22…ブラケット、23、24…梁部、31…ストッパ、41…切り欠き、42、43…軸支部、51…ボルト、52…操作レバー、53…ロックプレート、54…板バネ、55…係合部、56…付勢部、61…ワイヤ、62、63…両端部、64…中間部、70、70a…開閉部、71、71a…第一ストッパ部材(ストッパ部材)、72、72a…第二ストッパ部材(ストッパ部材)、73、73a、73b…付勢部材、90a…駆動部材、91a…端部、421…第二収容凹部、431…第一収容凹部、531…爪部、711…第一本体部、712…第一鍔部、713…第一凸部、713a、713b…外側面、714…第一貫通孔、719a…第一切欠、721…第二本体部、722…第二鍔部、723…第二凸部、723a、723b…外側面、724…ガイド部、724a、724b…外側面、725…溝部、726…第二貫通孔、727…台座部、727a、727b…外側面、728…凹部、729a…第二切欠、L1…経路、X…コラム軸方向、XL…軸方向下方、XU…軸方向上方、Y1…矢印、Y2…矢印